説明

タッチパネルおよびそれを備えた表示装置

【課題】検出感度を高め、かつ、表示品質が向上したタッチパネルを得ることを目的とする。
【解決手段】本発明に係るタッチパネル100は、網目形状の導線で構成され、基板7の上に並列配置された複数の検出用配線2と、基板7および検出用配線2の上に形成された絶縁膜8と、網目形状の導線で構成され、絶縁膜8の上に並列配置された複数の検出用配線3と、隣接する検出用配線2の間の領域と絶縁膜8を隔てて対向する領域に配置され、隣接する検出用配線2が平面視で見かけ上連続的な網目形状となるように、検出用配線2の網目形状の一部の形状を有する第1のダミーパターン3と、隣接する検出用配線3の間の領域と絶縁膜8を隔てて対向する領域に配置され、隣接する検出用配線3が平面視で見かけ上連続的な網目形状となるように、検出用配線3の網目形状の一部の形状を有する第2のダミーパターン5と、を含むタッチスクリーン1を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルおよびタッチパネルを備えた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、指などによるタッチパネルへのタッチを検出し、そのタッチ位置の座標を特定することにより入力操作を行うタッチパネル機能が知られており、優れたインターフェース手段の一つとして注目されている。このようなタッチパネルでは、指などによるタッチの位置を検出する方法として、抵抗膜方式や静電容量方式などの様々な方式を用いて製品化されている。
【0003】
静電容量方式の一つとして、タッチセンサを内蔵したタッチスクリーンの前面側を数mm厚程度のガラス板等の保護板で覆い、指などによる保護板へのタッチを検出するPCT(Projected Capacitive Touch screen)方式が知られている(例えば、下記特許文献1を参照)。このPCT方式は、保護板を前面に配置した構成であるので堅牢性に優れる点、手袋装着時でもタッチ検出が可能である点、可動部が無いため長寿命である点などの利点を有している。
【0004】
下記特許文献1に記載のPCT方式を用いたタッチパネルにおけるタッチスクリーンは、静電容量を検出するための検出導体として薄い誘電膜で形成された第1シリーズの導電材料パターン(導体エレメント)と、絶縁膜を隔てて形成された第2シリーズの誘電材料パターンとを備えている。また、導電材料パターンの各々の間には電気的接触はなく、第1シリーズの導電材料パターンと第2シリーズの導電材料パターンとで複数の交点を形成している。また、静電容量を検出する導体エレメントは、出力線、マルチプレクサを介して容量制御オシレータに接続される。その出力は除算器でカウントされて、容量検出データとされる。
【0005】
誘導性材料として最適な材料は、例えば銀などの金属材料である。一方、タッチパネルは主に表示装置に付加して利用されることから、表示特性として導電材料パターンの可視性が問題になることがあり、導電材料パターンの可視性を低くするという観点からは、酸化インジウム(ITO)等の透明導電膜が用いられる。また、導電材料パターンに変えて、数μm〜20μmの細い導線を使用することもある。
【0006】
このようなタッチパネルの容量制御オシレータとしては、弛張発振器やヒステリシス発振器を用いることができる。これらの発振器は抵抗素子及び容量素子の充放電時定数により発振周期が概ね決まるが、容量素子の一部に検出用配線(導体エレメント)と指との間に形成される静電容量(以降、タッチ容量とも記載する)を含むように構成する。このような構成を用いることにより、使用者による指タッチが生じた場合に、検出用配線と指との間に形成されるタッチ容量に応じて発振器の発振周期の変化が生じ、この変化量を検出することによりタッチの有無やその位置を判定することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表平9−511086号公報(7頁19〜8頁4行、同頁23行〜9頁6行、13頁4行〜12行、図1、図2、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このようなタッチパネルにおいては、パネルの大型化を図るにあたり、タッチパネルに生じる寄生容量あるいは配線抵抗を低減して良好な検出精度を得ること、あるいは表示品質を向上して良好な表示を得ることが求められている。
【0009】
透明導電膜からなる検出用配線で構成されたタッチパネルでは、タッチパネルが装着される表示装置の表示品質が、検出用配線の可視性に起因して損なわれることは少ない。しかしながら、このようなタッチパネルでは、検出用配線を成す透明導電膜の抵抗値は一般的に高いことから、検出精度の低下を招くという問題があった。したがって、透明導電膜からなる検出用配線で構成されたタッチパネルを大型化することは困難であった。
【0010】
一方、金属膜からなる検出用配線で構成されたタッチパネルでは、透明導電膜からなる検出用配線と比べて配線抵抗が低いため、タッチパネルを大型化しても良好な検出精度を得ることができる。
【0011】
しかし、ベタ配線を用いて検出用配線を構成すると、配線の面積の大きさから視認性の悪化を招くこととなり、検出用配線を金属膜で構成するためには、個々の検出用配線を視認し難い、おおよそ配線幅が数μm〜20μm程度の細い金属線の束で形成することが望ましい。
【0012】
しかしながら、金属線でなる細線の束を用いて検出用配線を構成した場合、ベタ配線を用いた場合と比較すると抵抗値の増大を招くという問題があった。例えば、ベタ配線における配線長をL、配線幅をW1、シート抵抗をρとし、細線の束における配線長をL、1細線の幅をW2、細線の数をN、シート抵抗値をρとすると、1配線における配線幅の関係は、W2×N<W1の関係が成り立つ。また、ベタ配線の抵抗R1は、R1=L/W1×ρとなり、細線の束の抵抗R2は、N本の並列抵抗であることから、R2=(L/W2×ρ)/Nとなる。すなわち、上式から、ベタ配線と細線の束との抵抗値の関係は、R2>(L/W1×ρ)となり、ベタ配線に比べて細線を束にした方が抵抗値が高くなることがわかる。
【0013】
また、個々の配線が細く形成されているために、パターン形成異常などの影響を受けやすく、何らかのプロセス異常により不良となったパターンが検出に寄与できなくなるだけで、検出感度が大幅に低下するという問題があった。例えば、検出配線を3本の細線で形成した場合、何らかのプロセス異常によるパターン不良によって1本が検出に寄与できなくなると、検出感度は2/3に低下することとなる。また、これに起因して、歩留まりの低下を引き起こすこととなる。
【0014】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされてものであり、検出感度を高め、かつ、表示品質が向上したタッチパネルおよびそれを備えた表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るタッチパネルは、基板と、網目形状の導線で構成され、一の方向に所定の隙間を有して前記基板の上に並列配置された複数の第1の検出用配線と、前記基板および前記第1の検出用配線の上に形成された絶縁膜と、網目形状の導線で構成され、前記一の方向と直交する他の方向に所定の隙間を有して前記絶縁膜の上に並列配置された複数の第2の検出用配線と、隣接する前記第1の検出用配線の間の領域と前記絶縁膜を隔てて対向する領域に配置され、隣接する前記第1の検出用配線が平面視で見かけ上連続的な網目形状となるように、前記第1の検出用配線の網目形状の一部の形状を有する第1のダミーパターンと、隣接する前記第2の検出用配線の間の領域と前記絶縁膜を隔てて対向する領域に配置され、隣接する前記第2の検出用配線が平面視で見かけ上連続的な網目形状となるように、前記第2の検出用配線の網目形状の一部の形状を有する第2のダミーパターンと、を含むタッチスクリーンを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るタッチパネルによれば、検出用配線に網目形状の金属配線を用いることで表示光を透過する開口面積を大きくとることができ、表示光の透過率の低下を抑制することができる。また、検出用配線に物理的、電気的に接続された網目形状の金属配線を用いることで、配線抵抗が低下して検出感度が向上することができ、かつ、パターン不良が生じた場合でも、検出感度の低下および歩留まりの低下を抑制することができる。また、隣接する検出用配線の間にダミーパターンを配置することで、隣接する検出用配線が平面視で見かけ上連続した網目形状となる構成となり、表示品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係るタッチスクリーンの構成を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るタッチパネルの構成を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るタッチスクリーンの構成を示した断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る検出用配線とダミーパターンとの関係を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るタッチスクリーンの製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
はじめに、本発明の実施の形態に係るタッチパネル100におけるタッチスクリーン1の構成について説明する。
【0019】
図1aは、本発明の実施の形態に係るタッチスクリーン1の概略の構成を示した平面図である。図1bは、図1aにおける領域Bを拡大した図である。タッチスクリーン1は、列方向(図1中、y方向)に伸在し、行方向(図1中、x方向)に所定の間隔を有して並列配置された複数の検出用列配線2と、行方向に伸在し、列方向に所定の間隔を有して並列配置された複数の検出用行配線3と、検出用配線と外部部品とを電気的に接続するための複数の端子6とを備える。図1bに示すように、検出用列配線2および検出用行配線3は、規則的に配列された網目形状の導線で構成されている。
【0020】
また、タッチスクリーン1は、隣接する複数の検出用列配線2の間に配置され、検出用列配線2の網目形状の一部の形状を有する複数の第1のダミーパターン4と、隣接する複数の検出用行配線3の間に配置され、検出用行配線3の網目形状の一部の形状を有する複数の第2のダミーパターン5とを備える。
【0021】
このような網目形状の導線で構成された検出用配線は、後述するように、細線の束を用いた場合に比べて、配線抵抗を低減し、かつ検出感度の低下を抑制するべく採用された構成である。また、ダミーパターンは、後述するように、検出用配線間に生じる縞状のスジによる表示品質の低下を解決するべく採用されたものである。
【0022】
次に、本発明の実施の形態に係るタッチパネル100の構成について説明する。
【0023】
図2は、タッチパネル100の構成を示した平面図である。タッチパネル100は、上述したタッチスクリーン1と、タッチパネル100として機能するための制御を行う複数の部品が実装されたコントローラ基板11と、タッチスクリーン1とコントローラ基板11とを電気的に接続するACF(Anisotropic Conductive Film)等からなるFPC(Flexible Printed Circuit)10とを備える。
【0024】
コントローラ基板11には、検出用列配線2および検出用行配線3を順次選択して接続するスイッチ回路12と、スイッチ回路12により選択された検出用配線に接続され、指示体と検出用配線との間に形成される静電容量に応じて発振周期が変化する発振回路13と、発振回路13の発振周期に基づいて指示体と検出用配線との間に形成される静電容量を検出し、検出結果に基づいて指示体のタッチ位置を算出するタッチ位置演算回路14等が実装されている。検出された座標データは、外部のコンピュータなどに出力される。
【0025】
次に、タッチスクリーン1の断面構造について説明する。
【0026】
図3(a)は、図1(b)に示すタッチスクリーン1のC−C′に示す領域の断面を示した図である。また、図3(b)は、図1(a)に示すタッチスクリーン1のA−A′に示す領域の断面の一部を示した図である。
【0027】
タッチスクリーン1は、透明なガラスや樹脂からなる透明基板(以下、ベース基板7とも記載)と、ベース基板7の上に形成された検出用列配線2と、ベース基板7の上に形成され、検出用列配線2と同層の金属パターンで形成された第2のダミーパターン5と、ベース基板7の上に検出用列配線2および第2のダミーパターン5を覆うように形成された層間絶縁膜8と、層間絶縁膜8の上に形成された検出用行配線3と、層間絶縁膜8の上に検出用行配線3を覆うように形成された保護膜9とを備える。また、C−C′の領域には存在しないため図示されていないが、層間絶縁膜8の上には、検出用行配線3と同層の金属パターンで形成された第1のダミーパターン4が形成されている。
【0028】
また、図3(b)に示すように、検出用列配線2が接続される端子6aおよび検出用行配線3が接続される端子6bの上には、コンタクトホールCHが形成される。
【0029】
図3(a)に示すように、検出用行配線3と第2のダミーパターン5とは層間絶縁膜8を隔てて配置されていることから、物理的、電気的には接続されないように構成しており、第2のダミーパターン5は、検出用行配線3aと検出用行配線3bの間の領域と層間絶縁膜8を隔てて対向する領域を少なくとも含むように形成される。検出用列配線2と第1のダミーパターン4との関係も同様である。
【0030】
次に、検出用配線とダミーパターンとの関係について説明する。
【0031】
図4(a)は、検出用行配線3の構成を示した図である。図4(b)は、検出用行配線3と、検出用行配線3に対応する第2のダミーパターン5との関係を示した図である。図4(a)に示す領域Dは、検出用行配線3aと検出用行配線3bとの境界領域であり、検出用行配線3aと検出用行配線3bとは物理的にも電気的にも接続されていない。
【0032】
一方、図4(b)に示す第2のダミーパターン5は、検出用行配線3の網目形状の一部の形状を有しており、検出用配線3aと検出用行配線3bとが連続的な網目形状となるように領域Cに配置されている。また、上述したように、第2のダミーパターン5は、検出用行配線3とは異なった層に形成されており、検出用行配線3と第2のダミーパターンとは物理的にも電気的にも接続されていない。すなわち、検出用行配線3aおよび検出用行配線3bと第2のダミーパターン5とは、平面視で見かけ上連続的な網目形状となっている。検出用列配線2と第1のダミーパターン4との関係も同様に、平面視で見かけ上連続的な網目形状となる。
【0033】
また、図1(b)に示すように、本実施の形態では、検出用列配線2の網目形状と検出用行配線3の網目形状とが平面視で1/2ピッチずれた網目形状となるように、検出用列配線2と検出用行配線3とを配置している。ただし、このような配置関係に限定されるものではなく、検出用列配線2と検出用行配線3とを重ねた際に、検出用列配線2と検出用行配線3とが重なった領域の網目形状が平面視で均一なパターンで形成されるような配置であればよい。ただし、検出用列配線2と検出用行配線3の網目形状が平面視で一致したパターンとすると、検出用列配線2と検出用行配線3との間の配線間容量が増大し、検出感度の低下を引き起こす要因となるため、検出用列配線2と検出用行配線3の網目形状が平面視で重なる面積が小さい方が好ましい。
【0034】
次に、本実施の形態における検出用配線と、従来の検出用配線とを比較する。
【0035】
従来の開口部の無い検出用配線(いわゆるベタ配線)は、タッチ容量は大きく確保できるものの、表示光を透過する開口面積が小さくなる。すなわち、表示パネルの前面にベタ配線からなるタッチスクリーンを配置して使用する場合、ベタ配線によって表示光の透過が妨げられ、表示光の透過率が低下してしまう。
【0036】
また、各々が接続されていない細線の束を用いて検出用配線を構成する場合、上述のように、ベタ配線を用いた場合に比べて配線抵抗が増大する。また、検出用配線を構成する細線は、前述のように視認性を損なわないためには数μm〜20μm程度の配線幅で構成することが望ましい。しかし、配線幅を細くすることで、後述する配線形成工程において、検出用配線を配置する領域に異物が存在してパターン欠損を引き起こす可能性や、検出用列配線と検出用行配線とが立体的に交差する領域において断線する可能性があり、検出感度が大幅に低下する。また、検出用配線間は各々物理的、電気的に分離する必要があるため、検出用配線の領域と比べて、検出用配線間の領域は隙間が形成されることとなる。すなわち、検出用配線間に縞状のスジが視認されることになり、表示品質の低下を招くことになる。
【0037】
一方、本実施の形態における検出用列配線2および検出用行配線3は、網目形状の導線で構成することで、表示光を透過する開口面積を大きくとり、表示光の透過率の低下が抑制される。また、網目形状とすることで、同一検出用配線内の各配線が物理的、電気的に接続されることになり、配線領域内で各々が接続されていない細線の束に比べて、電流が流れる領域が増え、配線抵抗が低下して検出精度が向上する。
【0038】
また、検出用配線が物理的、電気的に接続された網目形状の金属配線を用いることで、仮にパターン不良が生じて検出用配線内の一箇所が断線したとしても、容量検出に及ぼす影響は軽微であり、検出感度の低下、および歩留まりの低下を抑制することができる。
【0039】
さらに、本実施の形態では、隣接する検出用配線の間にダミーパターンを配置することで、隣接する検出用配線が平面視で見かけ上連続した網目形状となり、タッチスクリーン1内に光学的に不連続な領域(縞状のスジなど)が無くなり、視認性の損なわれないタッチスクリーン1を得ることが可能となる。
【0040】
次に、本発明の実施の形態に係るタッチパネルの製造方法について説明する。
【0041】
図5は、タッチパネルを製造する際の、図1(b)に示すC−C′領域の断面の様子を示した図である。
【0042】
はじめに、透明なガラスや樹脂からなる透明基板(ベース基板7)を準備する。次に、ベース基板7の上にアルミを主成分とする金属層20(例えば、Niを含むAl合金等であり、本実施の形態ではAlNiNdを用いる)をスパッタリング法を用いて、150〜500nmの膜厚で形成する(図5(a))。このときの成膜条件は、圧力が0.2〜0.5Pa、DCパワーが1.0〜2.5kW、パワー密度が0.17〜0.43W/cm2、成膜温度が室温〜180℃である。
【0043】
また、金属層20には、現像液との反応を抑えるために、AlNiNd層の上に窒化したAlNiNdN層を形成してもよい。また、Al以外にも低抵抗金属材料としてCuもしくはCu合金を用いることができ、この場合もAl同様にスパッタリング法を用いて成膜することができる。
【0044】
次に、金属層20の上にレジストを塗布し、レジストが検出用列配線2と第2のダミーパターン5を形成する形状となるようにフォトリソグラフィ工程を行う。次に、燐酸・硝酸・酢酸の混酸を用いてエッチング工程を行い、金属層20をパターニングして検出用列配線2および第2のダミーパターン5を形成する(図5(b))。なお、検出用列配線2の断面形状をペーパー形状にすると、後続の膜を形成する際に断線などの不良を低減できる。また、エッチングには、燐酸・硝酸・酢酸の混酸以外のエッチング液を用いてもよい。また、ドライエッチングを行ってもよい。
【0045】
次に、CVD法等を用いて、ベース基板7の上に検出用列配線2および第2のダミーパターン5を覆うように層間絶縁膜8を形成する(図5(c))。層間絶縁膜8としては、誘電率の低い酸化珪素(SiO2)膜を形成する。酸化珪素の成膜条件は、SiH4流量が10〜50sccm、N2O流量が200〜500sccm、成膜圧力が50Pa、RFパワーが50〜200W、パワー密度が0.015〜0.67W/cm2、成膜温度が200〜300℃である。
【0046】
なお、層間絶縁膜8の膜厚は、下層配線(検出用列配線2)と上層配線(検出用行配線3)で形成される寄生容量を低減するために可能な限り厚い方が望ましく、生産性を考慮して膜厚を設定すればよい。さらに、層間絶縁膜8には、SiO2膜に限られるものではなく、SiN膜やSiON膜等を用いてもよい。この場合は、上述したガスに水素、窒素、NH3を加えて形成する。
【0047】
次に、層間絶縁膜8の上にアルミを主成分とする金属層30(例えば、Niを含むAl合金等であり、本実施の形態ではAlNiNdを用いる)をスパッタリング法を用いて、200〜1000nm形成する(図5(d))。このときの成膜条件は、圧力が0.2〜0.5Pa、DCパワーが1.0〜2.5kW、パワー密度が0.17〜0.43W/cm2、成膜温度が室温〜180℃である。
【0048】
また、金属層30には、現像液との反応を抑えるために、AlNiNd層の上に窒化したAlNiNdN層を形成してもよい。また、Al以外にも低抵抗金属材料としてCuもしくはCu合金を用いることができ、この場合もAl同様にスパッタリング法を用いて成膜することができる。本実施の形態のように、検出用列配線2と検出用行配線3に同じ材料を用いることで生産効率を向上することができる。
【0049】
次に、金属層30の上にレジストを塗布し、レジストが検出用行配線3と第1のダミーパターン4を形成する形状となるようにフォトリソグラフィ工程を行う。次に、燐酸・硝酸・酢酸の混酸を用いてエッチング工程を行い、金属膜30をパターニングして検出用行配線3および第1のダミーパターン4を形成する(図5(e))。また、エッチングには、燐酸・硝酸・酢酸の混酸以外のエッチング液を用いてもよい。また、ドライエッチングを行ってもよい。
【0050】
次に、CVD法等を用いて、層間絶縁膜8の上に検出用行配線3および第1のダミーパターン4を覆うように保護膜9を形成する(図5(f))。保護膜9としては視認性を良くするために、層間絶縁膜8と同じ種類の膜が良く、本実施の形態では炭化珪素(SiO2)膜を用いる。なお、保護膜9の膜厚はカバレッジと生産性を考慮して決定すればよい。
【0051】
次に、保護膜9の上にレジストを塗布し、レジストがFPCとの接続用コンタクトホールCHを形成する形状となるようにフォトリソグラフィ工程を行う。次に、CF4とO2の混合ガスのプラズマを用いてエッチング工程を行い、保護膜9と層間絶縁膜8とを一括してパターニングし、接続用コンタクトホールCHを形成する。
【0052】
以上のプロセスを用いることで、上述した構成のタッチスクリーン1を製造することができる。また、タッチスクリーン1にFPC10を介して各回路を備えたコントローラ基板11を接続し、タッチパネルを製造することが可能となる。
【0053】
なお、上述したプロセスで作成されたタッチスクリーン1を液晶表示パネルに直接貼り付けることで、従来必要であったタッチスクリーン1の保持機構をなくすことができ、装置全体を薄くすることが可能となる。
【0054】
また、タッチスクリーン1と液晶表示パネルとが一体化して構成されるので、タッチスクリーンと液晶表示パネルとの間隙にゴミ等が混入することによって生じる表示への悪影響を防止することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、液晶表示装置に適用する場合について説明したが、有機EL(Electro-Luminescence)表示装置やPDP(Plasma Display Panel)等の他方式の表示装置であっても、同様に構成することが可能である。
【0056】
また、本実施の形態では、検出用列配線2と第2のダミーパターン5、検出用行配線3と第1のダミーパターン4を同じ金属層から形成した構成としているが、これに限られるものではなく、検出用列配線2と第1のダミーパターン4、検出用行配線3と第2のダミーパターン5が層間絶縁膜8を隔てて配置されていれば、異なった金属層から形成した構成としてもよい。
【0057】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、検出用配線に網目形状の金属配線を用いることで表示光を透過する開口面積を大きくとることができ、表示光の透過率の低下を抑制することができる。また、検出用配線に物理的、電気的に接続された網目形状の金属配線を用いることで、配線抵抗が低下して検出感度が向上することができ、かつ、パターン不良が生じた場合でも、検出感度の低下および歩留まりの低下を抑制することができる。また、隣接する検出用配線の間にダミーパターンを配置することで、隣接する検出用配線が平面視で見かけ上連続した網目形状となる構成となり、表示品質を向上することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 タッチスクリーン、2 検出用列配線、3 検出用行配線、4 第1のダミーパターン、5 第2のダミーパターン、6 端子、7 ベース基板、8 層間絶縁膜、9 保護層、10 FPC、11 コントロール基板、20,30 金属層、100 タッチパネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
網目形状の導線で構成され、一の方向に所定の隙間を有して前記基板の上に並列配置された複数の第1の検出用配線と、
前記基板および前記第1の検出用配線の上に形成された絶縁膜と、
網目形状の導線で構成され、前記一の方向と直交する他の方向に所定の隙間を有して前記絶縁膜の上に並列配置された複数の第2の検出用配線と、
隣接する前記第1の検出用配線の間の領域と前記絶縁膜を隔てて対向する領域に配置され、隣接する前記第1の検出用配線が平面視で見かけ上連続的な網目形状となるように、前記第1の検出用配線の網目形状の一部の形状を有する第1のダミーパターンと、
隣接する前記第2の検出用配線の間の領域と前記絶縁膜を隔てて対向する領域に配置され、隣接する前記第2の検出用配線が平面視で見かけ上連続的な網目形状となるように、前記第2の検出用配線の網目形状の一部の形状を有する第2のダミーパターンと、を含むタッチスクリーンを備える、タッチパネル。
【請求項2】
前記第1のダミーパターンは前記絶縁膜の上に形成され、
前記第2のダミーパターンは前記基板の上に形成される、請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記第1のダミーパターンは前記第2の検出用配線と同じ導電膜から形成され、
前記第2のダミーパターンは前記第1の検出用配線と同じ導電膜から形成される、請求項2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記第1の検出用配線の網目形状と前記第2の検出用配線の網目形状とが平面視でずれた網目形状となるように、前記第1の検出用配線と前記第2の検出用配線とを配置する、請求項1から請求項3のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記第1の検出用配線の網目形状と前記第2の検出用配線の網目形状とが平面視で1/2ピッチずれた網目形状となるように、前記第1の検出用配線と前記第2の検出用配線とを配置する、請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記複数の第1の検出用配線および前記複数の第2の検出用配線を順次選択して接続するスイッチ回路と、
前記スイッチ回路により選択された前記検出用配線に接続され、指示体と前記検出用配線との間に形成される静電容量に応じて発振周期が変化する発振回路と、
前記発振回路の発振周期に基づいて前記指示体と前記検出用配線との間に形成される静電容量を検出し、複数検出結果に基づいて前記指示体のタッチ位置を算出するタッチ位置演算回路と、をさらに備える、請求項1から請求項5のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項7】
液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルの前面に前記タッチスクリーンが配設された請求項6に記載のタッチパネルと、を備える表示装置。
【請求項8】
前記タッチスクリーンが前記液晶表示パネルの前面に粘着して配設された、請求項7に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−277392(P2010−277392A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130312(P2009−130312)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】