説明

タッチパネルおよびタッチパネル型表示装置

【課題】小型化を図りつつ、位置検出用電極と外部回路とを電気的に接続する配線導体間において発生する容量を低減することが可能なタッチパネルおよびタッチパネル型表示装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るタッチパネルX1は、矢印AB方向の位置を検出するための複数の第1電極12と、矢印CD方向の位置を検出するための複数の第2電極22と、第1電極12および第2電極22に対して電圧を印加するための複数の配線導体13と、を備えている。複数の配線導体13は、複数の第1電極12のうちの一の電極12に対して電気的に接続される第1配線導体131と、該一の電極12と隣り合う電極12に対して電気的に接続される第2配線導体132とを含んでいる。第1配線導体131は、矢印AB方向において、第2配線導体132と非対向となるように配置される第1非対向部131bを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶ディスプレイなどの表示画面上に配置され、使用者が表示画面の指示に従って指などで押圧することにより情報を入力することができるタッチパネルおよび該タッチパネルを積層して構成されるタッチパネル型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルとしては、例えば静電容量方式を採用したものがあり、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示のタッチパネル入力装置は、1枚の透明板からなるパネルの表面側にX列電極が配設され、その裏面側にY列電極が平面的に位置ズレして配設されている。X列電極およびY列電極は、電極リードを介してパネル裏面側端部に取り付けられたコネクタに接続されている。
【特許文献1】特開2008−97283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のタッチパネル入力装置では、例えば小型化(狭額縁化など)を図るべく、隣り合う電極リード間の離間距離を小さくすると、隣り合う電極リードの対向領域において発生する容量が大きくなってしまうため、分解能を高めるべく各電極面積などを小さくすることにより、指で触れた際に出力される静電容量の変化が小さくなる場合において検知精度を充分に得ることが困難となる。
【0005】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、小型化を図りつつ、位置検出用電極と外部回路とを電気的に接続する配線導体間において発生する容量を低減することが可能なタッチパネルおよびタッチパネル型表示装置を提供する、ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るタッチパネルは、第1方向の位置を検出するための複数の第1電極と、前記第1方向と交差する第2方向の位置を検出するための複数の第2電極と、前記第1電極および前記第2電極に対して電圧を印加するための複数の配線導体と、を備えている。前記複数の配線導体は、前記複数の第1電極のうちの一の電極に対して電気的に接続される第1配線導体と、該一の電極と隣り合う電極に対して電気的に接続される第2配線導体とを含んでいる。前記第1配線導体は、該第1配線導体の厚さ方向と直交する方向において、前記第2配線導体と非対向となるように配置される第1非対向部を有している。
【0007】
本発明に係るタッチパネル型表示装置は、表示パネルと、該表示パネルに対向配置される本発明に係るタッチパネルと、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るタッチパネルにおいて第1配線導体は、該第1配線導体の厚さ方向と直交する方向において、第2配線導体と非対向となるように配置される第1非対向部を有している。そのため、本タッチパネルでは、複数の配線導体における各配線導体間の離間距離を小さくしても、第1非対向部において離間距離を充分に確保することができる。したがって、本タッチパネルでは、小型化を図りつつ、各配線導体間において発生する容量を低減することができる。
【0009】
本発明に係るタッチパネル型表示装置は、本発明に係るタッチパネルを備えているため、上述の本発明に係るタッチパネルの有する効果と同様の効果を享受することができる。すなわち、本タッチパネル型表示装置は、小型化を図りつつ、各配線導体間において発生する容量を低減するうえで好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るタッチパネルX1の概略構成を表す平面図である。図2は、図1に示すタッチパネルX1の要部を表す断面図であり、(a)は図1のIIa−IIa線に沿った断面図であり、(b)は図1のIIb−IIb線に沿った断面図である。
【0011】
タッチパネルX1は、第1基体10と、第2基体20と、導電性接着部材30と、を備えている。
【0012】
図3は、図1に示すタッチパネルX1を構成する部材を表す図であり、(a)は第1基体10の平面図であり、(b)は第2基体20の平面図である。なお、図3は、いずれも上面側から見た図であり、直接的に見えない部分は破線で示している。また、図3では、後述する外部導通領域10A,20Aおよび接着領域30aを仮想線(二点鎖線)で示している。
【0013】
第1基体10は、透明絶縁基板11と、複数(本実施形態では10個)の透明電極12と、複数の配線導体13と、を備えており、その一部に図外のFPC(Flexible Printed Circuit)などと電気的に接続される領域である外部導通領域10Aが設けられている。本実施形態における第1基体10の平面視形状は実質的に矩形状とされているが、これには限られない。
【0014】
透明絶縁基板11は、透明電極12および配線導体13を支持する役割を担うものである。また、透明絶縁基板11は、その主面に対して交差する方向(例えば矢印EF方向)に光を適切に透過することが可能な構成とされるとともに、絶縁性を充分に有する構成とされている。透明絶縁基板11の構成材料としては、透明ガラスおよび透明プラスチックなどの透光性を有するものが挙げられるが、中でも耐熱性の観点において透明ガラスが好ましい。本実施形態における透光性とは、可視光に対する透過性を有することを意味する。なお、透明絶縁基板11の構成材料として透明ガラスを採用する場合、充分な形状安定性を確保するとともに、静電容量の変化を検知し易くするために、その厚さを0.3mm以上1.1mm以下に設定するのが好ましい。
【0015】
透明電極12は、タッチパネルX1に接近させた指などの矢印CD方向における位置検出を行う役割を担うものであり、該指などとの間に静電容量を発生する機能を有している。本実施形態における各透明電極12は、後述する透明電極22との間に発生する容量を低減する観点から、平面視形状が略ひし形の複数(本実施形態では6個)の主体部12aと、各主体部12a間を電気的に接続する連結部12bとを含む構成とされているが、このような構成には限られない。本実施形態における透明電極12は、一方側から入射した光を他方側に透過するように構成されている。透明電極12の構成材料としては、透光性を有する導電性部材が挙げられる。透光性を有する導電性部材としては、例えばITO(Indium Tin Oxide)と、IZO(Indium Zinc Oxide)と、ATO(Antimony Tin Oxide)と、AZO(Al-Doped Zinc Oxide)と、酸化錫と、酸化亜鉛と、導電性高分子(PEDOTおよびPSSなど)とが挙げられる。本実施形態における透明電極12は、光線透過率の観点から、その厚さが5.0×10−2μm以下に設定されている。
【0016】
配線導体13は、透明電極12に電圧を印加する役割を担うものであり、その一端部が透明電極12と電気的に接続され、その他端部が外部導通領域10Aに位置している。本実施形態において配線電極13は、例えば硬質で高い形状安定性を得るべく、金属薄膜(線幅:0.05mm以上2.0mm以下、厚さ:0.5μm以上2.0μm以下)で構成されている。この金属薄膜としては、例えばアルミニウム膜と、アルミニウム合金膜と、クロム膜とアルミニウム膜との積層膜と、クロム膜とアルミニウム合金膜との積層膜とが挙げられるが、ITOとの密着性の観点から、クロム膜とアルミニウム膜との積層膜(クロムをITOとアルミニウムとの間に配置)またはクロム膜とアルミニウム合金膜との積層膜(クロムをITOとアルミニウム合金との間に配置)が好ましい。また、配線導体13の両端間における抵抗値は、タッチパネルX1の検出精度の観点から、透明電極12の両端間における抵抗値の0.01倍以下に設定されるのが好ましい。なお、上述の薄膜形成法としては、例えばスパッタリング法と、蒸着法と、化学気相成長(CVD)法とが挙げられる。
【0017】
本実施形態における複数の配線導体13は、複数(本実施形態では5個)の第1配線導体131と、複数(本実施形態では5個)の第2配線導体132とを含んで構成されている。第1配線導体131は、一の透明電極12に対して電気的に接続されており、第1配線部131aと、第2配線部131bと、第3配線部131cとを含んで構成されている。第1配線部131aは、その全体にわたって第1基体10側に位置しており、一端部が一の透明電極12に対して電気的に接続され、他端部が導電性接着部材30を介して第2配線部131bの一端部に接続されている。第2配線部131bは、第1配線導体131の厚さ方向(矢印EF方向)と直交する方向(矢印AB方向)において第2配線導体132と非対向となるように配置される非対向部として機能する部位であり、その全体にわたって第2基体20側に位置している。第3配線部131cは、その全体にわたって第1基体10側に位置しており、一端部が導電性接着部材30を介して第2配線部131bの他端部に接続され、他端部が外部導通領域10Aに位置している。第2配線導体132は、第1配線導体131と電気的に接続された透明電極12と隣り合う透明電極12に対して電気的に接続されており、その全体にわたって第1基体10側に位置している。
【0018】
第2基体20は、透明絶縁基板21と、複数(本実施形態では6個)の透明電極22と、複数の配線導体23と、を備えており、その一部に図外のFPCなどと電気的に接続される領域である外部導通領域20Aが設けられている。本実施形態における第2基体20の平面視形状は実質的に矩形状とされているが、これには限られない。
【0019】
透明絶縁基板21は、透明電極22および配線導体23を支持する役割を担うものである。また、透明絶縁基板21は、その主面に対して交差する方向(例えば矢印EF方向)に光を適切に透過することが可能な構成とされるとともに、絶縁性を充分に有する構成とされている。透明絶縁基板21の構成材料としては、透明ガラスおよび透明プラスチックなどの透光性を有するものが挙げられるが、中でも耐熱性の観点において透明ガラスが好ましい。なお、透明絶縁基板21の構成材料として透明ガラスを採用する場合、充分な形状安定性を確保する観点から、その厚さを0.3mm以上に設定するのが好ましい。
【0020】
透明電極22は、タッチパネルX1に接近させた指などの矢印AB方向における位置検出を行うためのものであり、該指などとの間に静電容量を発生する機能を有している。本実施形態における各透明電極22は、透明電極12との間に発生する容量を低減する観点から、平面視形状が略ひし形の複数(本実施形態では9個)の主体部22aと、各主体部22a間を電気的に接続する連結部22bとを含む構成とされているが、このような構成には限られない。本実施形態における透明電極22は、一方側から入射した光を他方側に透過するように構成されている。透明電極22の構成材料としては、透明電極12と同様のものが挙げられる。本実施形態における透明電極22は、光線透過率の観点から、その厚さが5.0×10−2μm以下に設定されている。
【0021】
配線導体23は、透明電極22に電圧を印加する役割を担うものであり、その一端部が透明電極22と電気的に接続され、その他端部が外部導通領域20Aに位置している。本実施形態における配線導体23は、その全体にわたって第2基体20側に位置している。本実施形態において配線電極23は、例えば硬質で高い形状安定性を得るべく、金属薄膜(線幅:0.05mm以上2.0mm以下、厚さ:0.5μm以上2.0μm以下)で構成されている。この金属薄膜としては、例えばアルミニウム膜と、アルミニウム合金膜と、クロム膜とアルミニウム膜との積層膜と、クロム膜とアルミニウム合金膜との積層膜とが挙げられるが、ITOとの密着性の観点から、クロム膜とアルミニウム膜との積層膜(クロムをITOとアルミニウムとの間に配置)またはクロム膜とアルミニウム合金膜との積層膜(クロムをITOとアルミニウム合金との間に配置)が好ましい。また、配線導体23の両端間における抵抗値は、タッチパネルX1の検出精度の観点から、透明電極22の両端間における抵抗値の0.01倍以下に設定されるのが好ましい。なお、上述の薄膜形成法としては、例えばスパッタリング法と、蒸着法と、化学気相成長(CVD)法とが挙げられる。
【0022】
導電性接着部材30は、導電性粒子31と、接着材料32とを含んでなり、第1配線導体131における第1配線部131aおよび第3配線部131cと第2配線部131bとの電気的導通を図りつつ、第1基体10と第2基体20とを接合する役割を担うものである。導電性接着部材30は、少なくとも、第1配線導体131における第1配線部131aの他端部と第2配線部131bの一端部との間、および、第1配線導体131における第2配線部131bの他端部と第3配線部131cの一端部との間に介在するように配置されている。また、導電性接着部材30は、第1基体10および第2基体20と協働して、内部空間Sを規定している。内部空間Sは、第1基体10と第2基体20との離間状態を維持すべく、空気などを封入することによって所定の内圧(例えば大気圧より大きい圧力)とされていてもよいし、複数のスペーサ(図示せず)を分散配置していてもよい。なお、本実施形態において導電性接着部材30による接着領域30aは、透明電極12と透明電極22との間における封止性の観点から、透明電極12,22を取り囲むように設けられているが、これには限られない。
【0023】
導電性粒子31は、第1配線導体131における第1配線部131aの他端部と第2配線部131bの一端部との間、および、第1配線導体131における第2配線部131bの他端部と第3配線部131cの一端部との間の電気的導通を図る役割を担うものである。本実施形態において導電性粒子31は、プラスチックボールと、該プラスチックボールの表面を被覆する導体材料(金およびニッケルなど)とを含んで構成されている。本実施形態において導電性粒子31としては、導電性粒子31に接触する第1配線導体131に与えるダメージを低減する観点から略球形状のものが採用されているが、このような形状のものには限られず、例えば多面体形状のものでもよい。導電性粒子31の粒子径は、各配線部131a,131b,131cに対する充分な接触面積を確保しつつ、導電性粒子31自体を過剰に弾性変形させない範囲内のものであればよく、例えば5μm以上400μm以下の範囲とされる。
【0024】
接着材料32は、第1基体10と第2基体20とを接合する役割を担うものであり、導電性粒子31が混入されている。接着材料32としては、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂と、アクリル系樹脂などの紫外線硬化性樹脂とが挙げられるが、中でも製造プロセスにおける作業効率の観点から熱硬化性樹脂が好ましい。
【0025】
タッチパネルX1において第1配線導体131は、矢印AB方向において、第2配線導体132と非対向となるように配置される第2配線部131b(第1非対向部)を有している。そのため、タッチパネルX1では、複数の配線導体13における各配線導体131,132間の離間距離を小さくしても、第2配線部131bにおいては離間距離を充分に確保することができる。したがって、タッチパネルX1では、小型化を図りつつ、各配線導体131,132間において発生する容量を低減することができる。
【0026】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るタッチパネルX2の概略構成を表す平面図である。図5は、図4に示すタッチパネルX2の要部拡大図であり、(a)は図4のVa−Va線に沿った断面図であり、(b)は図4のVb−Vb線に沿った断面図である。タッチパネルX2は、2つの基体10,20を導電性接着部材30で接着する構成に代えて、1つの基体40による構成を採用する点においてタッチパネルX1と異なる。タッチパネルX2の他の構成については、タッチパネルX1に関して上述したのと同様である。
【0027】
タッチパネルX2は、基体40を備えている。図6は、図4に示すタッチパネルX2を表す平面図であり、(a)は基体40の上面側を示す図であり、(b)は基体40の下面側を示す図である。なお、図6は、いずれも上面側から見た図であり、直接的に見えない部分は破線で示している。また、図6では、後述する外部導通領域40A,40Bを仮想線(二点鎖線)で示している。
【0028】
基体40は、透明絶縁基板41と、複数(本実施形態では10個)の透明電極42と、複数(本実施形態では6個)の透明電極43と、複数の配線導体44,45と、を備えており、その一部に図外のFPCなどと電気的に接続される領域である外部導通領域40A,40Bが設けられている。本実施形態における基体40の平面視形状は実質的に矩形状とされているが、これには限られない。
【0029】
透明絶縁基板41は、透明電極42,43および配線導体44,45を支持する役割を担うものである。また、透明絶縁基板41は、その主面に対して交差する方向(例えば矢印EF方向)に光を適切に透過することが可能な構成とされるとともに、絶縁性を充分に有する構成とされている。透明絶縁基板41の構成材料としては、透明絶縁基板11と同様のものが挙げられる。
【0030】
透明電極42は、タッチパネルX2に接近させた指などの矢印CD方向における位置検出を行う役割を担うものであり、該指などとの間に静電容量を発生する機能を有している。透明電極43は、タッチパネルX2に接近させた指などの矢印AB方向における位置検出を行う役割を担うものであり、該指などとの間に静電容量を発生する機能を有している。本実施形態における各透明電極42,43は、該透明電極42と該透明電極43との間に発生する容量を低減する観点から、平面視形状が略ひし形の複数の主体部42a,43aと、各主体部42a,43a間を電気的に接続する連結部42b,43bとを含む構成とされているが、このような構成には限られない。本実施形態における透明電極42,43は、一方側から入射した光を他方側に透過するように構成されている。透明電極42,43の構成材料としては、透明電極12と同様のものが挙げられる。本実施形態における透明電極42,43は、光線透過率の観点から、その厚さが5.0×10−2μm以下に設定されている。
【0031】
配線導体44は、透明電極42に電圧を印加する役割を担うものであり、その一端部が透明電極42と電気的に接続され、その他端部が外部導通領域40Aに位置している。配線導体45は、透明電極43に電圧を印加する役割を担うものであり、その一端部が透明電極43と電気的に接続され、その他端部が外部導通領域40Bに位置している。本実施形態において配線電極44,45は、例えば硬質で高い形状安定性を得るべく、金属薄膜(線幅:0.05mm以上2.0mm以下、厚さ:0.5μm以上2.0μm以下)で構成されている。この金属薄膜としては、例えばアルミニウム膜と、アルミニウム合金膜と、クロム膜とアルミニウム膜との積層膜と、クロム膜とアルミニウム合金膜との積層膜とが挙げられるが、ITOとの密着性の観点から、クロム膜とアルミニウム膜との積層膜(クロムをITOとアルミニウムとの間に配置)またはクロム膜とアルミニウム合金膜との積層膜(クロムをITOとアルミニウム合金との間に配置)が好ましい。また、配線導体44,45の両端間における抵抗値は、タッチパネルX2の検出精度の観点から、透明電極42,43の両端間における抵抗値の0.01倍以下に設定されるのが好ましい。なお、上述の薄膜形成法としては、例えばスパッタリング法と、蒸着法と、化学気相成長(CVD)法とが挙げられる。
【0032】
本実施形態における複数の配線導体44は、複数(本実施形態では5個)の第1配線導体441と、複数(本実施形態では5個)の第2配線導体442とを含んで構成されている。第1配線導体441は、一の透明電極42に対して電気的に接続されており、第1配線部441aと、第2配線部441bと、第3配線部441cとを含んで構成されている。第1配線部441aは、そのほぼ全体にわたって基体40の上面40a側に位置しており、一端部が一の透明電極42に対して電気的に接続され、他端部が透明絶縁基板41に形成されたスルーホール41aを介して第2配線部441bの一端部に接続されている。第2配線部441bは、第1配線導体441の厚さ方向(矢印EF方向)と直交する方向(矢印AB方向)において第2配線導体442と非対向となるように配置される非対向部として機能する部位であり、そのほぼ全体にわたって基体40の下面40b側に位置している。第3配線部441cは、そのほぼ全体にわたって基体40の上面40a側に位置しており、一端部が透明絶縁基板41に形成されたスルーホール41bを介して第2配線部441bの他端部に接続され、他端部が外部導通領域40Aに位置している。第2配線導体442は、第1配線導体441と電気的に接続された透明電極42と隣り合う透明電極42に対して電気的に接続されており、その全体にわたって基体40の上面40a側に位置している。
【0033】
本実施形態における複数の配線導体45は、透明電極43に対して電気的に接続されており、その全体にわたって基体40の下面40b側に位置している。
【0034】
本実施形態に係るタッチパネルX2では、タッチパネルX1と同様の効果を得ることができる。加えて、タッチパネルX2では、1つの透明絶縁基板41で構成できるため、更なる小型化を図ることができるのに加えて、タッチパネルX2を透過する光の透過率を高めることができる。また、空気層を介在させることに起因するニュートンリングの発生などを低減することもできる。
【0035】
図7は、上述のタッチパネルX1を備えるタッチパネル型表示装置Yの概略構成を表す断面図である。タッチパネル型表示装置Yは、タッチパネルX1および液晶表示装置Zを備えている。液晶表示装置Zは、液晶表示パネル50、バックライト60、および筐体70を備えている。なお、タッチパネル型表示装置Yは、タッチパネルX1を採用した構成として説明するが、タッチパネルX1に代えてタッチパネルX2を採用しても同様の効果を得ることができる。
【0036】
図8は、液晶表示装置Zの液晶表示パネル50の概略構成を表す斜視図である。図9は、図8に示す液晶表示パネル50の要部拡大断面図である。
【0037】
液晶表示パネル50は、液晶層51と、第1基体52と、第2基体53と、接合部材54とを備えており、第1基体52と第2基体53との間に液晶層51を介在させ、該液晶層51を接合部材54により封止することにより、画像を表示するための複数の画素を含んでなる表示領域Pが構成されている。
【0038】
液晶層51は、電気的、光学的、力学的、あるいは磁気的な異方性を示し、固体の規則性と液体の流動性を併せ持つ液晶を含んでなる層である。この液晶としては、例えばネマティック液晶と、コレステリック液晶と、スメクティック液晶とが挙げられる。なお、液晶層51には、該液晶層51の厚さを一定に保つべく、例えば多数の粒子状部材により構成されるスペーサ(図示せず)を介在させてもよい。
【0039】
第1基体52は、透明基体521と、遮光膜522と、カラーフィルタ523と、平坦化膜524と、透明電極525と、配向膜526とを備えている。
【0040】
透明基体521は、遮光膜522およびカラーフィルタ523を支持し且つ液晶層51を封止する役割を担うものであり、その主面に対して交差する方向(例えば矢印EF方向)に光を適切に透過することが可能な構成とされている。透明基体521の構成材料としては、例えば透明ガラスおよび透明プラスチックなどの透光性を有するものが挙げられる。
【0041】
遮光膜522は、光を遮る(光の透過量を所定値以下にする)役割を担うものであり、透明基体521の上面に形成されている。また、遮光膜522は、光を通過させるために、膜厚方向(矢印EF方向)に貫通する貫通孔522aを有している。遮光膜522の構成材料としては、例えば遮光性の高い色(例えば黒色)の染料あるいは顔料と、カーボンが添加された樹脂(例えばアクリル系樹脂)と、Crとが挙げられる。
【0042】
カラーフィルタ523は、該カラーフィルタ523に入射した光のうち所定の波長を選択的に吸収し、所定の波長のみを選択的に透過させる役割を担うもの、例えばアクリル系樹脂に染料あるいは顔料を添加させることにより構成される。カラーフィルタ523としては、例えば赤色可視光の波長を選択的に透過させるための赤色カラーフィルタ(R)、緑色可視光の波長を選択的に透過させるための緑色カラーフィルタ(G)、青色可視光の波長を選択的に透過させるための青色カラーフィルタ(B)が挙げられる。
【0043】
平坦化膜524は、カラーフィルタ523などを配置することにより生じる凹凸を平坦化する役割を担うものである。平坦化膜524の構成材料としては、例えばアクリル系樹脂などの透明樹脂が挙げられる。
【0044】
透明電極525は、後述の第2基体53の透明電極532との間に位置する液晶層51の液晶に所定の電圧を印加する役割を担うものであり、一方側から入射した光を他方側に透過するように構成されている。また、透明電極525は、所定の信号(画像信号)を伝搬する役割を担うものであり、主として矢印CD方向に延びるように複数配列されている。透明電極525の構成材料としては、ITOおよび酸化錫などの透光性を有する導電部材が挙げられる。
【0045】
配向膜526は、マクロ的にランダムな方向を向く(規則性が小さい)液晶層51の液晶分子を所定方向に配向させる役割を担うものであり、透明電極525上に形成されている。配向膜526の構成材料としては、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
【0046】
第2基体53は、透明基体531と、透明電極532と、配向膜533とを備えている。
【0047】
透明基体531は、透明電極532および配向膜533を支持し且つ液晶層51を封止する役割を担うものであり、その主面に対して交差する方向(例えば矢印EF方向)に光を適切に透過することが可能な構成とされている。透明基体531の構成材料としては、透明基体521の構成材料と同様のものが挙げられる。
【0048】
透明電極532は、第1基体52の透明電極525との間に位置する液晶層51の液晶に所定の電圧を印加する役割を担うものであり、一方側から入射した光を他方側に透過するように構成されている。また、透明電極532は、液晶層51への電圧印加状態(ON)もしくは電圧非印加状態(OFF)を制御するための信号(走査信号)を伝搬する役割を担うものであり、主として図9における紙面垂直方向(矢印AB方向)に延びるように複数配列されている。透明電極532の構成材料としては、透明電極525の構成材料と同様のものが挙げられる。
【0049】
配向膜533は、マクロ的にランダムな方向を向く(規則性が小さい)液晶層51の液晶分子を所定方向に配向させる役割を担うものであり、透明電極532上に形成されている。配向膜533の構成材料としては、配向膜526の構成材料と同様のものが挙げられる。
【0050】
接合部材54は、第1基体52と第2基体53との間に液晶層51を封止するとともに、第1基体52と第2基体53とを所定間隔で離間した状態で接合する役割を担うものであり、例えば絶縁性樹脂およびシール樹脂などである。
【0051】
バックライト60は、液晶表示パネル50の一方から他方に向けて光を照射する役割を担うものであり、光源61および導光板62を備えている。光源61は、導光板62に向けて光を出射する役割を担うものである。光源61としては、例えばCFLと、LED(Light Emitting Diode)と、ハロゲンランプと、キセノンランプと、EL(electro-luminescence)とが挙げられる。導光板62は、光源61からの光を液晶表示パネル50の下面全体にわたって略均一に光を導く役割を担うものである。導光板62は、通常、裏面に設けられ且つ光を反射する反射シート621と、表面に設けられ且つより均一な面状発光とすべく光を拡散する拡散シート(図示せず)と、表面に設けられ且つ光を略一定方向に集光するプリズムシート(図示せず)とを含んで構成されている。導光板62の構成材料としては、例えばアクリル樹脂およびポリカーボネート樹脂などの透明樹脂などが挙げられる。なお、バックライト60としては、図7に示すような導光板62の側面に光源61を配したエッジライト方式には限られず、液晶表示パネル50の裏面側に光源61を配した直下方式などの他の方式のものを採用してもよい。
【0052】
筐体70は、液晶表示パネル50およびバックライト60を収容する役割を担うものであり、上側筐体71および下側筐体72を含んで構成される。筐体70の構成材料としては、例えばポリカーボネート樹脂などの樹脂と、ステンレス(SUS)およびアルミニウムなどの金属とが挙げられる。
【0053】
ここで、両面テープTによるタッチパネルX1と液晶表示装置Zとの固定方法の一例について説明する。なお、タッチパネルX1と液晶表示装置Zとの固定方法に使用される固定用部材は両面テープTには限られず、例えば熱硬化性樹脂および紫外線硬化性樹脂などの接着部材、あるいは、タッチパネルX1と液晶表示装置Zとを物理的に固定する固定構造体でもよい。
【0054】
まず、液晶表示装置Zの上側筐体71の上面における所定領域に両面テープTの片面を貼り付ける。本実施形態において所定領域は、図8によく表れているように、液晶表示装置Zの表示領域Pを取り囲むように位置する領域Rである。
【0055】
次に、両面テープTが貼り付けられた液晶表示装置Zに対してタッチパネルXを位置合わせしたうえで、両面テープTを介してタッチパネルX1の透明絶縁基板21と液晶表示装置Zの上側筐体71とを貼り合わせる。
【0056】
以上のようにして、タッチパネルX1と液晶表示装置Zとの固定が行われる。
【0057】
本発明に係るタッチパネル型表示装置Yは、タッチパネルX1を備えているため、上述のタッチパネルX1の有する効果と同様の効果を享受することができる。すなわち、タッチパネル型表示装置Yでは、小型化を図りつつ、各配線導体131,132間において発生する容量を低減することができる。
【0058】
以上、本発明の具体的な実施形態を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
【0059】
タッチパネルX1において複数の配線導体23は、その全体にわたって第2基体20側に位置するように構成されているが、これに代えて、複数の配線導体13と同様の構成としてもよい。具体的には以下のような構成とされる。本構成における複数の配線導体23は、複数の第3配線導体と、複数の第4配線導体とを含んで構成される。第3配線導体は、一の透明電極22に対して電気的に接続されており、第1配線部と、第2配線部と、第3配線部とを含んで構成されている。第1配線部は、その全体にわたって第2基体20側に位置しており、一端部が一の透明電極22に対して電気的に接続され、他端部が導電性接着部材30を介して第2配線部の一端部に接続されている。第2配線部は、第3配線導体の厚さ方向(矢印EF方向)と直交する方向(矢印AB方向)において第4配線導体と非対向となるように配置される非対向部として機能する部位であり、その全体にわたって第1基体10側に位置している。第3配線部は、その全体にわたって第2基体20側に位置しており、一端部が導電性接着部材30を介して第2配線部の他端部に接続され、他端部が外部導通領域20Aに位置している。第4配線導体は、第3配線導体と電気的に接続された透明電極22と隣り合う透明電極22に対して電気的に接続されており、その全体にわたって第2基体20側に位置している。このような構成によると、第3配線導体と第4配線導体との間において発生する容量を低減することができる。
【0060】
タッチパネルX2において複数の配線導体45は、その全体にわたって基体40の下面40b側に位置するように構成されているが、これに代えて、複数の配線導体44と同様の構成としてもよい。具体的には以下のような構成とされる。本構成における複数の配線導体45は、複数の第3配線導体と、複数の第4配線導体とを含んで構成される。第3配線導体は、一の透明電極44に対して電気的に接続されており、第1配線部と、第2配線部と、第3配線部とを含んで構成されている。第1配線部は、その全体にわたって基体40の下面40b側に位置しており、一端部が一の透明電極22に対して電気的に接続され、他端部がスルーホールを介して第2配線部の一端部に接続されている。第2配線部は、第3配線導体の厚さ方向(矢印EF方向)と直交する方向(矢印AB方向)において第4配線導体と非対向となるように配置される非対向部として機能する部位であり、その全体にわたって基体40の上面40a側に位置している。第3配線部は、その全体にわたって基体40の下面40b側に位置しており、一端部がスルーホールを介して第2配線部の他端部に接続され、他端部が外部導通領域40Bに位置している。第4配線導体は、第3配線導体と電気的に接続された透明電極22と隣り合う透明電極22に対して電気的に接続されており、その全体にわたって基体40の下面40b側に位置している。このような構成によると、第3配線導体と第4配線導体との間において発生する容量を低減することができる。
【0061】
タッチパネルX1において導電性接着部材30は、更にスペーサを有していてもよい。このような構成によると、第1基体10と第2基体20との間の離間距離をより適切に規定することができる。
【0062】
タッチパネルX2において基体40は、少なくとも、上面40a側に位置する各配線導体441,442および透明電極44を保護するための保護膜を更に備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るタッチパネルの概略構成を表す平面図である。
【図2】図1のタッチパネルの要部を表す断面図であり、(a)は図1のIIa−IIa線に沿った断面図であり、(b)は図1のIIb−IIb線に沿った断面図である。
【図3】図1のタッチパネルの構成部材を上面側から見た状態を表す図であり、(a)は第1基体を表す平面図であり、(b)は第2基体を表す平面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るタッチパネルの概略構成を表す図であり、(a)はその上面図であり、(b)はその下面図である。
【図5】図4のタッチパネルの要部を表す断面図であり、(a)は図4のVa−Va線に沿った断面図であり、(b)は図4のVb−Vb線に沿った断面図である。
【図6】図4のタッチパネルの上面側から見た状態を表す平面図であり、(a)はタッチパネルの上面側を示す図であり、(b)はタッチパネルの下面側を示す図である。
【図7】図1に示すタッチパネルを備えるタッチパネル型表示装置の概略構成を表す断面図である。
【図8】図7に示すタッチパネル型表示装置における液晶表示装置の液晶表示パネルの概略構成を表す斜視図である。
【図9】図8に示す液晶表示パネルの要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0064】
X1,X2 タッチパネル
Y タッチパネル型表示装置
Z 液晶表示装置
10 第1基体
11 透明絶縁基板
12 透明電極(第1電極)
13 配線導体
131 第1配線導体
131a 第1配線部
131b 第2配線部(第1非対向部)
131c 第3配線部
20 第2基体
21 透明絶縁基板
22 透明電極(第2電極)
23 配線導体
30 導電性接着部材
31 導電性粒子
40 基体
41 透明絶縁基板
42,43 透明電極
44,45 配線導体
441 第1配線導体
442 第2配線導体
50 液晶表示パネル
60 バックライト
70 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の位置を検出するための複数の第1電極と、前記第1方向と交差する第2方向の位置を検出するための複数の第2電極と、前記第1電極および前記第2電極に対して電圧を印加するための複数の配線導体と、を備え、
前記複数の配線導体は、前記複数の第1電極のうちの一の電極に対して電気的に接続される第1配線導体と、該一の電極と隣り合う電極に対して電気的に接続される第2配線導体とを含んでおり、
前記第1配線導体は、該第1配線導体の厚さ方向と直交する方向において、前記第2配線導体と非対向となるように配置される第1非対向部を有することを特徴とする、タッチパネル。
【請求項2】
前記複数の配線導体は、前記複数の第2電極のうちの一の電極に対して電気的に接続される第3配線導体と、該一の電極と隣り合う電極に対して電気的に接続される第4配線導体とを含んでおり、
前記第3配線導体は、該第3配線導体の厚さ方向と直交する方向において、前記第4配線導体と非対向となるように配置される第2非対向部を更に有する、請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記複数の第1電極を上面に有し且つ前記複数の第2電極を下面に有する基板を更に備え、
前記第1配線導体における前記第1非対向部は前記基板の前記下面に位置しており、前記第2配線導体は前記基板の前記上面に位置している、請求項1または2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記第3配線導体における前記第2非対向部は前記基板の前記上面に位置しており、前記第4配線導体は前記基板の前記下面に位置している、請求項3に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記複数の第1電極を有する第1基体と、前記複数の第2電極を有する第2基体とを更に備え、
前記第1配線導体における前記第1非対向部は前記第2基体に位置しており、前記第2配線導体は前記第1基体に位置している、請求項1または2に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記第3配線導体における前記第2非対向部は前記第1基体に位置しており、前記第4配線導体は前記第2基体に位置している、請求項5に記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記第1基体と前記第2基体とを接着し、且つ、前記第1配線導体における前記第1基体側に位置する部位と前記第1非対向部との間に介在する導電性接着部材を更に備える、請求項5または6に記載のタッチパネル。
【請求項8】
前記導電性接着部材は、前記第3配線導体における前記第2非対向部と前記第2基体側に位置する部位との間にも介在している、請求項7に記載のタッチパネル。
【請求項9】
表示パネルと、該表示パネルに対向配置される請求項1から8のいずれかに記載のタッチパネルと、を備えることを特徴とする、タッチパネル型表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−108172(P2010−108172A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278628(P2008−278628)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】