説明

タッチパネルの信号伝導構造

【課題】タッチパネルの信号伝導構造の提供。
【解決手段】導電薄膜の辺縁付近に複数の抵抗ユニットを設け、各抵抗ユニット間に適宜間隔を具備させて信号伝導チャネルを形成し、これら抵抗ユニットと信号伝導チャネルを相互に交錯するように配置し、並びに銀線路をこれら抵抗ユニットと信号伝導チャネルの外側の導電薄膜辺縁表面に接続する。これら抵抗ユニットの設置位置及び相互の間の信号伝導チャネルの大きさを制御することで該導電薄膜上の異なる各部位の信号伝導経路の抵抗値を調整し、信号の伝送過程中の減衰不均一の現象を改善し、出力端に、各部位からの出力信号の同じ伝導信号電圧値を獲得させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は出力信号を調整できるタッチパネルの信号伝導構造に係り、特に、信号伝送過程中の、異なる信号伝導経路に応じて該信号を補正し、タッチパネルの各部位より入力される信号より、特定規格に符合する出力信号をそれぞれ獲得できるようにする、タッチパネルの信号伝導構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルはすでに重要な入力ツールとなっており、それは広く液晶ディスプレイ或いはCRTディスプレイに配置され、使用者は画面上に表示された指示を通して手指或いはペンで必要な位置にタッチし、これにより信号入力の機能を働かせる。タッチパネルは通常、2枚の面状の導電薄膜を一定の間隙を挟んで対向配置し、そのうち、少なくとも一つの導電薄膜はフレキシブルな透明薄膜の上に設置し、もう一つの導電薄膜は硬い基板の表面に設置し、対向配置した2面の間に導通と絶縁のために複数の、平面に樹脂ストリップを設け、並びに残る接着エリアに接着剤を塗布し、両者を密封、接着する。
【0003】
前述の導電薄膜の表面には導電物質を堆積配設してなる導電層、例えば酸化インジウムスズ(ITO)があり、この導電薄膜上の信号は、側面の銀線路(Silver−containing conductive electrode)を通り、信号処理回路に送られ、図3のように、導電薄膜T上の第1部位P1でトリガされた信号は、最短の伝導距離の第1経路D1を通り銀線路Rに送られ、さらに銀線路上の第1信号入力点K1より該銀線路の線端Mに送られ、出力される。同様に、該導電薄膜上の第2部位P2でトリガされた信号は、最短距離の第2経路D2を通り該銀線路に伝送され、さらに第2信号入力点K2より該信号が該銀線路の線端Mに送られ送出される。前述の説明から分かるように、該導電薄膜上の異なる位置でトリガされた信号は、異なる伝導経路を通り後続の信号処理回路に送られる。しかし、一般に銀線路は長細い平面状の箔ストリップであり、前述の導電薄膜の側縁に配置され、且つ銀線路自身は比較的高い抵抗値を具備し、抵抗値は信号の伝導過程中に信号の減衰をもたらす。このため、信号が該銀線路の異なる点K1、K2より入力され、線端Mより送出される過程で、信号は異なる抵抗値の影響を受けて異なる程度の減衰を発生し、特に、該銀線路上の、線端Mから最も遠い部位Kxと最も近い部位Kyにあって、両者の間の伝送信号の減衰程度の対比は更に明確となる。この結果、信号減衰の差異が厳重である時、タッチパネル上の接触点の正確な位置決めに影響が生じて、後続の信号処理回路の動作上、不利な影響が生じる。この問題を改善するために現在行なわれている大多数の方法は、信号伝送の過程中に、信号強度を補正可能な調整プロセスを実行することで、特定規格に符合する信号の出力を獲得する、というものである。
【0004】
多くの周知の信号調整方法中にあって、あるものは複雑な導電パターンを設けることで信号を再分配するか、或いは線路中に余分に信号補正回路を接続してこの再分配の信号を制御し、この信号の伝送過程中での減衰不均一の現象を低減する。そのうち、特許文献1と特許文献2に記載の補強電極設置方法は、図4、5に示されるように、導電薄膜Tの辺縁付近に特別設計の複雑なパターンを有する補強電極Rを設け、該補強電極は異なる形状と長さを具備するものとし、且つ複数の補強電極を中間に接近する部分に設けて、中間部位に複数の補強電極を増加設置し、この部分の信号伝送の減衰値を減らし、これにより、電極の2端と中央部分の伝導信号電圧値の差異を接近させる目的を達成する。しかし、このような周知の技術は、このように複雑なパターン電極の設計及び計算方法が容易でなく、且つその製造技術難度は高く、製造生産時に非常に誤差が生じやすく、このため不正確な信号調整結果を発生する。また、該導電薄膜辺縁にこのような複雑な導電パターンを設置することは、タッチパネルの作用面積を縮小させる。このほか、その他の信号調整方法中、該導電薄膜Tの辺縁に非平行な湾曲線状のブスバーRを設置し、図6のように、このような円弧形等電位場を具備するブスバーを利用し、信号調整の目的を達成する。このような周知の技術は設置が簡単であるが、ブスバーの信号出力端は細くされるため、電流信号が大量に消耗されることがその主要な欠点である。また、該ブスバーの現出する湾曲辺縁により、タッチパネルの外観が突出して美しくなくなり、また、タッチパネルの作業面積が小さくなってしまう。
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,293,734号明細書
【特許文献2】米国特許第4,661,655号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主要な目的は、一種のタッチパネルの信号伝導構造を提供することにあり、それは、タッチパネル上の各異なる部位で発生する信号を銀線路(電極)の出力端に送る信号伝導経路中にあって、ほぼ同じ減衰値を獲得させて、伝導信号電圧値がほぼ同じ出力信号を獲得できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、タッチパネルの信号伝導構造は、その導電薄膜の辺縁付近に複数の抵抗ユニットを設け、並びに各抵抗ユニットの間が相互に適宜間隔を有するようにして信号伝導チャネルを形成し、これら抵抗ユニットと信号伝導チャネルを相互に交錯するように配列し、並びに銀線路をこれら抵抗ユニットと信号伝導チャネルの外側の導電薄膜の辺縁表面上に電気的に接続する。これら抵抗ユニットの設置位置と相互の間の信号伝導チャネルの大きさを制御することにより、該導電薄膜上の各異なる部位の信号伝導経路の抵抗値を調整し、信号の伝送過程中の減衰不均一の現象を改善し、出力端に同じ伝導信号電圧値の各部位からの出力信号を獲得させる。
【0008】
上述の抵抗ユニットは該導電薄膜のスロット或いは孔を貫通し、前述のスロット或いは孔はエッチングにより形成される。
【0009】
好ましくは、これら抵抗ユニットはストリップ形とされ、且つその長さは中間部位から二端に向けて非線形に漸増する方式で配置されるか、或いはこれら信号伝導チャネルの幅は中間部位から二端に向けて非線形漸減する方式で配置されるか、或いはこれら2種類の方式が組み合わされて使用される。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、一種のタッチパネルの信号伝導構造を提供し、それは、タッチパネル上の各異なる部位で発生する信号を銀線路(電極)の出力端に送る信号伝導経路中にあって、ほぼ同じ減衰値を獲得させて、伝導信号電圧値がほぼ同じ出力信号を獲得できるようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
添付の各図に示されるように、タッチパネルの導電薄膜1は基板4の表面上に配置され、並びに該導電薄膜1の辺縁に銀線路6が組み合わされ、該導電薄膜上でトリガされた信号は側辺に電気的に接続された銀線路を通り、その二端の信号出力端61より後続の信号処理回路に送られる。そのうち、該導電薄膜1の辺縁の、電気的に銀線路6に接続された部分の近くに、複数の、該導電薄膜を貫通するスロット12が設けられ、各スロット12の間には適宜間隔が設けられて信号伝導チャネル13が設けられ、これらスロット12と信号伝導チャネル13は相互に交錯するように配列される。前述の導電薄膜1の導電層はITO材料が堆積されてなり、ゆえに、これらスロット12はエッチング方法により形成され得る。このエッチング加工は、まず該導電薄膜の表面の、保留したい部分に対してレジストをコーティング(或いは印刷)し、更に該導電薄膜をエッチング溶液、例えば塩酸或いは硝酸溶液中に浸し、その後、エッチングにより該導電薄膜の不要な部分を除去して、所定の必要な部分のみを保留する。
【0012】
周知のとおり、該導電薄膜1及び該銀線路6はそれぞれ異なる抵抗特性を有する。且つ信号伝導過程中で遭遇する抵抗値はほぼ信号伝導チャネルの断面積と関数性正比例し、及び伝導行程の長さと関数性反比例する。これにより、本発明の実施例の上述の構造の設置は、動作時に該スロット12の長さ或いはこれら信号伝導チャネル13の幅を制御し、該導電薄膜1上の各異なる部位でトリガされる信号が該銀線路6の二側の信号出力端61に伝送される経路中で遭遇する異なる抵抗値を調整することで、該導電薄膜1の各部位でトリガされ伝送される信号に、該信号出力端61に伝送される時にほぼ同じ伝導信号電圧値を具備させ、これにより後続の信号処理回路の演算処理に供する。
【0013】
さらに具体的には、図1のように、本発明の提供するタッチパネルの信号伝導構造はこれらスロット12の長さを調整する方式で配置する時、これらスロット12の長さを、中間部位から二端辺に向けて非線形に漸増する方式で配置して、中間部位が比較的短いスロット12と比較的密集する信号伝導チャネル13を具備する設置とする。また、図2のように、該信号伝導チャネル13の幅を調整する方式で設置する時、これら信号伝導チャネル13の幅は中間部位より二端辺に向けて非線形に幅が漸減する方式で設置し、これにより中間部位に幅広の信号伝導チャネル13を具備し、二側部位に幅細の信号伝導チャネル13を設置する。このような設置により、導電薄膜1は中間部位のトリガ信号が該銀線路6の中段部位に伝送される経路中で比較的小さい抵抗値に遭遇し、該導電薄膜1の側辺部位のトリガ信号が該銀線路6の辺端部位に伝送される経路中で比較的大きな抵抗値に遭遇する。また、該銀線路6の中段部位が受信する信号強度は側辺部位が受信する信号より高いが、これら信号が該銀線路6上で二側の信号出力端61に送られる時、異なる長さの伝導行程をとおり異なる大きさの抵抗値を受けることで、異なる程度の信号強度減衰を発生し、すなわち、該中段部位より入力される信号が二側の信号出力端61に至るのに比較的長い伝導行程を経るため、比較的大きな抵抗を受け、比較的多くの強度減衰を発生し、この結果、導電薄膜1の各部位のトリガ信号が該銀線路6の二側の信号出力端61に至る時に、ほぼ同じ信号強度を獲得できる。
【0014】
総合すると、本発明は導電薄膜の辺縁をエッチングして若干の、相互に交錯するように配列したスロット12及び信号伝導チャネル13を形成し、該銀線路の異なる電気的接続部位に強度を修正した信号を提供し、これにより該銀線路の入力位置により異なる抵抗値を補正し、言い換えると、タッチパネルの各部位においてトリガされた信号を前述の信号伝導構造を経由して伝送し、信号を出力する過程において、各異なる信号伝導経路に同じ或いは近似の抵抗値を具備させ、すなわち信号に同じ程度の減衰を具備させ、これにより特定規格に符合する出力信号を獲得し、信号調整の目的を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の局部平面図であり、これらスロット12の配設方式を示す。
【図2】本発明の別の実施例の局部平面図であり、これら信号伝導チャネル13の配設方式を示す。
【図3】周知のタッチパネルの平面図であり、導電薄膜上でトリガされた信号が異なる伝導経路をへて出力される動作表示図である。
【図4】別の周知のタッチパネルの導電薄膜の平面図であり、導電薄膜の辺縁付近に特別設計されたパターン電極が配置された状態を示す。
【図5】別の周知のタッチパネルの導電薄膜の平面図であり、別の一種の導電薄膜の辺縁付近に特別設計されたパターン電極が配置された状態を示す。
【図6】別の周知のタッチパネルの導電薄膜の平面図であり、別の一種の導電薄膜の辺縁付近に非平行の湾曲線状のブスバーが設置された状態を示す。
【符号の説明】
【0016】
1 導電薄膜 4 基板
6 銀線路 61 信号出力端
12 スロット 13 信号伝導チャネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面に配置された透明な導電薄膜を包含し、該導電薄膜の辺縁に銀線路が組み合わされ、該導電薄膜上でトリガされた信号が、電気的に該導電薄膜の辺縁に接続された銀線路を通り該銀線路の二端より後続の信号処理回路に伝送されるタッチパネルの信号伝導構造において、該導電薄膜の辺縁付近に複数の抵抗ユニットが設けられ、各抵抗ユニット相互間に適宜間隔が設けられて信号伝導チャネルが形成され、これら抵抗ユニットと信号伝導チャネルが相互に交錯するように配設され、並びに該銀線路がこれら抵抗ユニットと信号伝導チャネルの外側の導電薄膜辺縁表面に電気的に接続されたことを特徴とする、タッチパネルの信号伝導構造。
【請求項2】
請求項1記載のタッチパネルの信号伝導構造において、該抵抗ユニットが該導電薄膜のスロット或いは孔を貫通することを特徴とする、タッチパネルの信号伝導構造。
【請求項3】
請求項1記載のタッチパネルの信号伝導構造において、該抵抗ユニットがストリップ形を呈し、且つその長さが中間部位から二端辺に向けて非線形に漸増する方式で配設されたことを特徴とする、タッチパネルの信号伝導構造。
【請求項4】
請求項1記載のタッチパネルの信号伝導構造において、該信号伝導チャネルの幅が中間部位より二端辺に向けて非線形に漸減する方式で配設されたことを特徴とする、タッチパネルの信号伝導構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−199145(P2009−199145A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37325(P2008−37325)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(508050989)洋華光電股▲ふん▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】