説明

タッチパネルの製造方法、タッチパネル、および、電子機器

【課題】タッチパネルの製造コストを抑制し、タッチパネルの小型化および歩留まりを向上するタッチパネルの製造方法、タッチパネル、および、電子機器を提供する。
【解決手段】基板2と、入力領域AR1および額縁配線領域AR2における基板2の上面に形成された透明電極5と、額縁配線領域AR2における透明電極5に電圧を印加する電極V1〜V4とを備え、透明電極5に印加された電圧に基づいて入力位置を算出するタッチパネル1の製造方法であって、額縁配線領域AR2および引出配線領域AR3における基板2の上面の一部をエッチングし、基板2の上面の一部に配線パターンである溝部2a、2bを形成する工程と、額縁配線領域AR2および引出配線領域AR3における溝部2a、2bに配線層3、4と成る銀ペーストを塗布する工程と、額縁配線領域AR2における配線層3の上面に透明電極5を形成する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルの製造方法、タッチパネル、および、電子機器に関し、より詳細には、基板と、基板の上面に形成された透明電極とを備え、透明電極に印加された電圧に基づいて入力位置を算出するタッチパネルの製造方法、タッチパネル、および、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)などの携帯用の端末装置、電子手帳、パーソナルコンピュータ、複写機、ゲーム用の端末装置などの種々の電子機器に、タッチパネルが備えられている。タッチパネルは、電子機器の表示画面を透視しながら、タッチパネルの表面を押圧操作することによって、各種の情報を入力する入力装置である。このように、タッチパネルは、表示画面上の所定の箇所を指などで押圧操作するだけで、電子機器を対話的、直感的に操作できる。このため、銀行のATM(現金自動預け払い機)やキャッシュ・ディスペンサ、駅の券売機、カーナビゲーションシステム、プラント監視装置などにも使用され、今後、更に広範な分野で使用される可能性を有している。
【0003】
タッチパネルには、その動作原理から種々の方式がある。例えば、抵抗膜方式のタッチパネル、静電容量方式のタッチパネル、赤外線方式のタッチパネル、超音波方式のタッチパネル、電磁方式のタッチパネルなどである。この中でも、透過率が高く、耐久性を有する静電容量方式のタッチパネルが注目されている。静電容量方式のタッチパネルは、例えば、オペレータが指などでタッチパネルに触れると、指とタッチパネルとの間に静電容量(コンデンサ)が形成される。これにより、タッチパネルを流れる電流が変化するので、その変化した電流を検出することにより、座標位置が算出される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図13は、このような静電容量方式のタッチパネルを表す平面図である。図13に示すように、静電容量方式のタッチパネル50は、入力領域AR11、額縁配線領域(外側領域)AR12、および、引出配線領域(外側領域)AR13を有している。
【0005】
静電容量方式のタッチパネル50は、矩形状の基板51から構成されている。入力領域AR11および額縁配線領域AR12の基板51の上面には、ITOから成る透明電極52が形成されている。また、入力領域AR11の透明電極52の上面には、例えば防汚フィルムから成る第1の保護膜53が形成されている。
【0006】
額縁配線領域AR12の透明電極52の上面には、電極V11〜V14が配置されている。電極V11〜V14は、額縁配線領域AR2の4隅に形成されている。これにより、電極V11〜V14は、入力領域AR11の透明電極52に、互いに同相・同電位の交流電圧を印加することができる。それゆえ、入力領域AR11の透明電極52には、電界(電場)が形成されるようになる(例えば、特許文献2または特許文献3参照)。
【0007】
また、額縁配線領域AR12の透明電極52の上面には、銀ペーストから成る額縁配線(配線層)54が配置されている。額縁配線54の幅は1mm程度である。
【0008】
引出配線領域AR13の基板2の上面には、銀ペーストから成る引出配線55が配置されている。引出配線55は、額縁配線領域AR12の電極V1〜V4とそれぞれ接続されている。引出配線55の幅も、額縁配線54の幅と同様に1mm程度である。
【0009】
また、額縁配線54および引出配線55の上面には、図示しない例えば防汚フィルムから成る第2の保護膜が形成されている。
【0010】
図14〜図17は、このような静電容量方式のタッチパネル50における額縁配線54の形成方法を表す断面図である。すなわち、図14〜図17は、図13中に示した切断線B−B´に沿って切断した箇所の製造工程を表す断面図である。
【0011】
まず、図14に示すように、基板51の上面に、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法などを用いて透明電極52を形成する。
【0012】
次に、額縁配線領域AR12の透明電極52の上面に、スクリーン印刷法を用いて銀ペーストを塗布する。これにより、図15に示すように、塗布された銀ペーストが額縁配線54を形成するようになる。ここで、スクリーン印刷法は、パターンが形成されているスクリーンを基板に押し付け、スキージ(へら)を移動させて銀ペーストを塗布する方法である。それゆえ、スクリーン印刷の性質上、額縁配線54の幅Wは1mm程度、厚みHは数十μm程度となる。なお、引出配線55も、額縁配線54と同様に、スクリーン印刷法を用いて形成しているので、引出配線55の幅は1mm程度、厚みは数十μm程度となる。
【0013】
次に、図16に示すように、入力領域AR11の透明電極52の上面に、第1の保護膜53を形成する。
【0014】
最後に、図17に示すように、額縁配線54の上面に、第2の保護膜56を形成する。ここで、額縁配線54に形成される第2の保護膜56の厚みTは、透明電極52に形成される第1の保護膜53の厚みT´と比較すると、略額縁配線54の厚みH分厚くなる。
【特許文献1】特開昭63−16322号公報
【特許文献2】特表2005−530274号公報
【特許文献3】USP4,198,539
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記のタッチパネルでは、スクリーン印刷法を用いて額縁配線および引出配線を形成しているので、上記のように、額縁配線および引出配線の幅は1mm程度、額縁配線および引出配線の厚みは数十μm程度となる。そのため、額縁配線領域および引出配線領域が大きくなり、タッチパネルが大型化する。
【0016】
また、入力領域の透明電極に形成される第1の保護膜とは別の工程にて額縁配線に第2の保護膜を形成する必要がある。そのため、第2の保護膜は、第1の保護膜に対して、オーバーラップ領域Lが500μm程度必要となる。第1の保護膜とは別の工程にて第2の保護膜を形成する必要があるので、タッチパネルの製造コストが高騰する。
【0017】
さらに、額縁配線に形成される第2の保護膜の厚みTは、透明電極に形成される第1の保護膜の厚みT´と比較すると、略額縁配線の厚みH分厚くなるので、表示ムラが発生する恐れがある。また、第1の保護膜と第2の保護膜との間に不純物が進入する恐れもある。
【0018】
以上のように、上記のタッチパネルでは、タッチパネルの製造コストの高騰、タッチパネルの大型化、および、タッチパネルの歩留まりが低下するという問題を生じる。
【0019】
なお、スクリーン印刷法に代えて、オフセット印刷法などを用いて額縁配線および引出配線を形成しても、上記と同様の問題を生じる。
【0020】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、外側領域における基板の上面の一部に形成される配線パターンである溝部に、配線層と成る導電性材料を塗布し、外側領域における配線層の上面に透明電極を形成することによって、タッチパネルの製造コストを抑制し、タッチパネルの小型化および歩留まりを向上するタッチパネルの製造方法、タッチパネル、および、電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明におけるタッチパネルの製造方法は、基板と、入力領域および入力領域の外側の外側領域における前記基板の上面に形成された透明電極と、外側領域における前記透明電極に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記透明電極に印加された電圧に基づいて入力位置を算出するタッチパネルの製造方法であって、外側領域における前記基板の上面の一部をエッチングし、前記基板の上面の一部に配線パターンである溝部を形成する工程と、外側領域における前記溝部に配線層と成る導電性材料を塗布する工程と、外側領域における前記配線層の上面に前記透明電極を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0022】
上記目的を達成するために本発明におけるタッチパネルは、基板と、入力領域および入力領域の外側の外側領域における前記基板の上面に形成された透明電極と、外側領域における前記透明電極に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記透明電極に印加された電圧に基づいて入力位置を算出するタッチパネルであって、外側領域における前記基板の上面の一部に形成された配線パターンである溝部と、外側領域における前記溝部に導電性材料を埋め込んで形成された配線層とを備え、外側領域における前記配線層の上面に前記透明電極が形成されていることを特徴とする。
【0023】
上記目的を達成するために本発明における電子機器は、上記タッチパネルを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明のタッチパネルの製造方法、タッチパネル、および、電子機器によれば、外側領域における基板の上面の一部に形成される配線パターンである溝部に、配線層と成る導電性材料を塗布し、外側領域における配線層の上面に透明電極を形成することによって、タッチパネルの製造コストを抑制し、タッチパネルの小型化および歩留まりを向上するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
上記目的を達成するために本発明におけるタッチパネルの製造方法は、基板と、入力領域および入力領域の外側の外側領域における前記基板の上面に形成された透明電極と、外側領域における前記透明電極に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記透明電極に印加された電圧に基づいて入力位置を算出するタッチパネルの製造方法であって、外側領域における前記基板の上面の一部をエッチングし、前記基板の上面の一部に配線パターンである溝部を形成する工程と、外側領域における前記溝部に配線層と成る導電性材料を塗布する工程と、外側領域における前記配線層の上面に前記透明電極を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0026】
本発明のタッチパネルの製造方法においては、外側領域における基板の上面の一部をエッチングし、基板の上面の一部に配線パターンである溝部を形成する。この溝部の形成は、例えば、フォトリソグラフィ技術を用いて溝部を形成する。そして、外側領域における溝部に配線層と成る導電性材料を塗布する。そして、外側領域における配線層の上面に透明電極を形成する。
【0027】
本発明のタッチパネルの製造方法によれば、基板の溝部の形状に沿うように配線層が形成される。これにより、上記の従来のタッチパネルの製造方法のように、透明電極および基板の上面に配線層と成る導電性材料を塗布する方法と比較して、配線層の幅を狭く形成できる。この結果、タッチパネルの製造コストを抑制し、タッチパネルの小型化を実現できる。
【0028】
上記本発明におけるタッチパネルの製造方法においては、前記溝部に前記配線層と成る前記導電性材料を塗布する工程と、前記配線層の上面に前記透明電極を形成する工程との間に、外側領域における前記溝部の前記配線層を研磨し、前記基板の上面と前記配線層の上面とを略同一の平坦面に形成する工程を含む態様とするのが好ましい。
【0029】
上記のタッチパネルの製造方法によれば、外側領域における溝部の配線層を研磨し、基板の上面と配線層の上面とを略同一の平坦面に形成する。これにより、配線層の上面に透明電極を略段差なく形成できる。それゆえ、このタッチパネルを例えば電子機器に備えても、表示ムラが発生しない。この結果、タッチパネルの歩留まりを向上できる。
【0030】
上記本発明におけるタッチパネルの製造方法においては、前記配線層の上面に前記透明電極を形成する工程の後に、前記透明電極の上面に保護膜を形成する工程を含む態様とするのが好ましい。
【0031】
上記のタッチパネルの製造方法によれば、配線層の上面に形成された透明電極の上面に保護膜を形成する。これにより、上記の従来のタッチパネルの製造方法のように、透明電極に形成する保護膜と配線層に形成する保護膜とを別の工程にて行う必要がなく、単一の工程にて行うことができる。この結果、タッチパネルの製造コストを抑制できる。
【0032】
上記目的を達成するために本発明におけるタッチパネルは、基板と、入力領域および入力領域の外側の外側領域における前記基板の上面に形成された透明電極と、外側領域における前記透明電極に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記透明電極に印加された電圧に基づいて入力位置を算出するタッチパネルであって、外側領域における前記基板の上面の一部に形成された配線パターンである溝部と、外側領域における前記溝部に導電性材料を埋め込んで形成された配線層とを備え、外側領域における前記配線層の上面に前記透明電極が形成されていることを特徴とする。
【0033】
本発明のタッチパネルによれば、基板の溝部の形状に沿うように配線層が形成されている。これにより、上記の従来のタッチパネルのように、透明電極および基板の上面に配線層が形成されている構成と比較して、配線層の幅が狭く形成される。この結果、タッチパネルの製造コストを抑制し、タッチパネルの小型化を実現できる。
【0034】
上記本発明におけるタッチパネルにおいては、前記透明電極の上面に形成された保護膜を更に備える態様とするのが好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、配線層の上面に形成された透明電極の上面に更に保護膜が形成されている。これにより、上記の従来のタッチパネルのように、透明電極に形成される保護膜と配線層に形成される保護膜との厚みが異なることがない。それゆえ、このタッチパネルを例えば電子機器に備えても、表示ムラが発生しない。また、上記の従来のタッチパネルのように、透明電極に形成される保護膜と配線層に形成される保護膜との間に不純物が進入することもない。この結果、タッチパネルの歩留まりを向上できる。
【0036】
上記本発明における電子機器においては、上記のタッチパネルを備えている。ここで、電子機器は、例えば液晶表示装置である。
【0037】
本発明の電子機器によれば、製造コストを抑制し、小型化を実現できるタッチパネルを備えている。それゆえ、電子機器の製造コストを抑制し、電子機器の小型化をも実現できる。
【0038】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図12を参照しながら説明する。ただし、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の一実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、本発明に係るタッチパネルは、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率などを忠実に表したものではない。
【0039】
最初に、本実施形態におけるタッチパネルについて図1を用いて説明する。図1は、静電容量方式のタッチパネルを表す平面図である。
【0040】
図1に示すように、静電容量方式のタッチパネル1は、入力領域AR1、額縁配線領域AR2、および、引出配線領域AR3を有している。入力領域AR1は、押圧操作される領域である。額縁配線領域(外側領域)AR2は、電極V1〜V4、および、額縁配線3が形成されている領域である。引出配線領域(外側領域)AR3は、引出配線4が形成されている領域である。
【0041】
静電容量方式のタッチパネル1は、矩形状の基板2から構成されている。基板2は、例えば、ガラス基板やプラスチック基板などである。ガラス基板としては、例えば、ソーダライムガラス、石英ガラス、アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、板ガラスなどが用いられる。
【0042】
額縁配線領域AR2の基板2の上面の一部には、額縁配線パターンである溝部2aが形成されている。この溝部2aには、電圧印加手段である電極V1〜V4が埋め込まれている。電極V1〜V4は、額縁配線領域AR2の4隅に形成されている。また、この溝部2aには、導電性材料である銀ペーストから成る額縁配線(配線層)3が埋め込まれている。額縁配線3は、略直線状にて形成されており、電極V1〜V4とそれぞれ接続されている。本実施形態では、額縁配線3の幅は数十μm程度である。
【0043】
引出配線領域AR3の基板2の上面の一部には、引出配線パターンである溝部2bが形成されている。この溝部2bには、導電性材料である銀ペーストから成る引出配線4が埋め込まれている。引出配線4は、額縁配線領域AR2の溝部2aに埋め込まれた電極V1〜V4とそれぞれ接続されている。本実施形態では、引出配線4の幅も、額縁配線3の幅と同様に数十μm程度である。
【0044】
入力領域AR1および額縁配線領域AR2の基板2の上面には、ITO(Indium Tin Oxide)から成る透明電極5が形成されている。すなわち、透明電極5は、電極V1〜V4および額縁配線3の上面に形成されている。これにより、電極V1〜V4は、入力領域AR1の透明電極5に、互いに同相・同電位の交流電圧を印加することができる。それゆえ、入力領域AR1の透明電極5には、電界(電場)が形成されるようになる。
【0045】
ここで、本実施形態では、額縁配線3の幅は数十μm程度で形成されている。すなわち、上記の従来の静電容量方式のタッチパネルの額縁配線の幅1mm程度と比較すると、十分に狭い。
【0046】
透明電極5の上面には、図示しない保護膜が形成されている。保護膜は、入力領域AR1、額縁配線領域AR2、および、引出配線領域AR3の全面に渡って形成されている。保護膜は、防汚フィルムあるいは反射防止フィルムから構成されている。
【0047】
このような静電容量方式のタッチパネル1は、例えば、携帯電話やPDAなどの携帯用の端末装置、電子手帳、パーソナルコンピュータ、複写機、ゲーム用の端末装置、液晶表示装置などの種々の電子機器に備えられる。
【0048】
図2は、上記の静電容量方式のタッチパネルが液晶表示装置(電子機器)に備えられている一例を示す図である。図2に示すように、液晶表示装置30は、静電容量方式のタッチパネル1、液晶パネル31、および、バックライト装置32を備えている。液晶パネル31は、アレイ基板31aと対向基板31bとを備え、アレイ基板31aと対向基板31bとの間には、図示しない液晶層が狭持されている。バックライト装置32は、液晶パネル31の背面に備えられ、光源からの光を液晶パネル31側に出射する装置である。静電容量方式のタッチパネル1は、液晶パネル31の前面に備えられている。これにより、静電容量方式のタッチパネル1は、液晶表示装置30の液晶パネル31を透視しながら、タッチパネルの表面を押圧操作することによって、各種の情報を入力することができる。なお、液晶表示装置30の構成は、図2に示す構成に限定されるものではない。
【0049】
続いて、本実施形態に係る静電容量方式のタッチパネル1における額縁配線3の形成方法について、図3〜図12に基づいて説明する。なお、図3〜図12は、図1中に示した切断線A−A´に沿って切断した箇所の製造工程を表す断面図である。
【0050】
まず、図3に示すように、基板2を用意する。そして、この基板2を洗浄する。この洗浄は、例えば、アセトン、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノールなどの有機溶剤を用いて行う。これにより、基板2に付着された有機物や粒子状不純物などが除去される。
【0051】
次に、図4に示すように、基板2の上面に、スピンコート法やスリットコート法あるいは印刷法などによって、レジスト(感光材料)10を塗布する。レジスト10は、所定の厚みとなるように塗布する。レジスト10を塗布した後、レジスト10を硬化するために、温度80〜100℃にてプリベーク(加熱処理)する。
【0052】
そして、図5に示すように、基板2の上面に塗布したレジスト10に、マスク基板11を介して紫外線を照射し、額縁配線3のパターンを転写する。本実施形態では、レジスト10は、ポジ型のレジストを用いているので、紫外線が照射される露光部12のレジスト10は軟化するが、これに限定されるものではない。例えば、ネガ型のレジストを用いることにより、紫外線が照射される露光部のレジストを硬化するようにしても良い。
【0053】
レジスト10に額縁配線3のパターンを転写した後、基板2を現像する。この現像は、基板2を現像液に浸して現像するディップ方式、基板2に現像液を吹き付けて現像するスプレー方式などを用いて行う。これにより、図6に示すように、レジスト10の軟化部分が除去され、開口部13が形成される。基板2を現像した後、現像液を除去し対食性を向上するために、温度100〜200℃にてポストベーク(加熱処理)する。
【0054】
そして、レジスト10の開口部13に面する基板2の上面を、例えばフッ酸(HF)水溶液などのエッチング液を用いてエッチングする。エッチング方式として、等方的にエッチングが進行するウエットエッチング方式、異方的にエッチングが進行するドライエッチング方式などが用いられる。また、ドライエッチング方式としては、プラズマエッチング方式、イオンエッチング方式などが挙げられる。これにより、図7に示すように、基板2に溝部2aが形成される。本実施形態では、エッチング方式として、ウエットエッチング方式を用いているので、基板2の溝部2aは等方的にエッチングされる。図7の例では、基板2の溝部2aは、幅Wが数十μm、深さDが数十μmとなる。また、エッチング液としては、上記のフッ酸水溶液以外に、例えば、バッファードフッ酸(BHF)水溶液などを用いても良い。なお、引出配線領域AR3の基板2に溝部2bを形成する方法も、額縁配線領域AR2の基板2に溝部2aを形成する方法と同様である。
【0055】
そして、剥離液などを用いて基板2の上面に形成されたレジスト10を除去する。これにより、図8に示すように、基板2の上面に形成されたレジスト10は除去される。なお、剥離液を用いてレジスト10を除去することに代えて、例えば、減圧下での酸素ガスの放電によりレジスト10を酸化させてガス状にしてレジスト10を除去する方法や、オゾンと紫外線とによりレジスト10を酸化させてガス状にしてレジスト10を除去する方法などを用いても良い。
【0056】
次に、基板2の溝部2aに、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法などを用いて銀ペーストを塗布する。これにより、図9に示すように、基板2の溝部2aに塗布された銀ペーストが額縁配線3を形成するようになる。すなわち、額縁配線3は、溝部2aの形状に沿うように形成される。なお、引出配線4を形成する方法も、額縁配線3を形成する方法と同様である。
【0057】
次に、基板2の上面と額縁配線3の上面とを略同一の平坦面に形成するために、額縁配線3を研磨する。この研磨は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法やエッチバック法を用いて行う。これにより、図10に示すように、基板2の上面と額縁配線3の上面とは、略同一の平坦面に形成される。また、額縁配線3は、基板2の溝部2aの形状に沿って形成される。それゆえ、額縁配線3は、溝部2aの形状と同様に、幅が数十μm、深さが数十μmとなる。また、この研磨は、額縁配線3である銀ペーストが硬化する前に行っても良いし、銀ペーストが硬化した後に行っても良い。なお、引出配線4も、額縁配線3と同様に、研磨をすることが好ましい。
【0058】
次に、図11に示すように、額縁配線3の上面に、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて透明電極5を形成する。ここで、基板2の上面と額縁配線3の上面とは略同一の平坦面に形成されているので、額縁配線3の上面に透明電極5を略段差なく形成できる。それゆえ、この静電容量方式のタッチパネル1を上記の表示手段の前面に備えても、表示ムラが発生しない。
【0059】
最後に、図12に示すように、透明電極5の上面に、保護膜6を形成する。これにより、透明電極5は、保護膜6により被覆される。なお、保護膜6は、透明電極5の全面だけではなく、引出配線領域AR3の全面にも一括して形成される。
【0060】
以上に述べたように、本実施形態におけるタッチパネル1の製造方法においては、額縁配線領域AR2および引出配線領域AR3における基板2の上面に配線パターンである開口部13を有するレジスト10を形成する。なお、このレジスト10を形成する工程は、基板2の上面にレジスト10を塗布した後に、このレジスト10に配線パターンである開口部13を形成する工程であっても良いし、基板2の上面にレジスト10を塗布する際に、配線パターンである開口部13を形成する工程であっても良い。そして、レジスト10を形成した後、開口部13に面する基板2の上面をエッチングし、基板2の上面の一部に溝部2a、2bを形成する。すなわち、フォトリソグラフィ技術を用いているので、基板2の上面の一部に配線パターンである溝部2a、2bを容易に形成できる。そして、レジスト10を除去した後、この溝部2a、2bに額縁配線3および引出配線4と成る銀ペーストを塗布する。そして、入力領域AR1および額縁配線領域AR2における基板2の上面に透明電極5を形成する。
【0061】
本実施形態のタッチパネル1の製造方法によれば、基板2の溝部2a、2bの形状に沿うように額縁配線3および引出配線4が形成される。これにより、上記の従来のタッチパネルの製造方法のように、透明電極および基板の上面に額縁配線および引出配線と成る銀ペーストを塗布する方法と比較して、額縁配線3および引出配線4の幅を狭く形成できる。この結果、静電容量方式のタッチパネル1の製造コストを抑制し、静電容量方式のタッチパネル1の小型化を実現できる。
【0062】
なお、上記では、入力領域AR1および額縁配線領域AR2の基板2の上面に透明電極5を形成する例について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、引出配線領域AR3の基板2の上面においても、透明電極5を形成するようにしても良い。これにより、額縁配線3および引出配線4を形成してから保護膜6を形成するまでの間の、額縁配線3および引出配線4を保護することができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、タッチパネルとして、静電容量方式のタッチパネルを例に説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、タッチパネルとして、抵抗膜方式のタッチパネルにも適用することができる。
【0064】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明は、外側領域における基板の上面の一部に形成される配線パターンである溝部に、配線層と成る導電性材料を塗布し、外側領域における配線層の上面に透明電極を形成することによって、タッチパネルの製造コストを抑制し、タッチパネルの小型化および歩留まりを向上するタッチパネルの製造方法、タッチパネル、および、電子機器などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施形態に係るタッチパネルを表す平面図である。
【図2】上記タッチパネルを備えている液晶表示装置を表す模式図である。
【図3】上記タッチパネルにおける基板を表す断面図である。
【図4】上記基板にレジストが塗布された状態を表す断面図である。
【図5】上記レジストに額縁配線のパターンが照射されている状態を表す断面図である。
【図6】上記レジストに開口部が形成されている状態を表す断面図である。
【図7】上記開口部に面する上記基板に溝部が形成されている状態を表す断面図である。
【図8】上記基板に形成されている上記レジストが除去された状態を表す断面図である。
【図9】上記基板の上記溝部に額縁配線が形成されている状態を表す断面図である。
【図10】上記基板の上面と上記額縁配線の上面とが略平坦化されている状態を表す断面図である。
【図11】上記基板に透明電極が形成されている状態を表す断面図である。
【図12】上記透明電極に保護膜が形成されている状態を表す断面図である。
【図13】従来のタッチパネルを表す平面図である。
【図14】上記タッチパネルにおける基板に透明電極が形成されている状態を表す断面図である。
【図15】上記透明電極に額縁配線が形成されている状態を表す断面図である。
【図16】上記透明電極に保護膜が形成されている状態を表す断面図である。
【図17】上記額縁配線に保護膜が形成されている状態を表す断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 静電容量方式のタッチパネル(タッチパネル)
2 基板
2a 溝部
3 額縁配線(配線層)
4 引出配線(配線層)
5 透明電極
6 保護膜
30 液晶表示装置(電子機器)
AR1 入力領域
AR2 額縁配線領域(外側領域)
AR3 引出配線領域(外側領域)
V1〜V4 電極(電圧印加手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、入力領域および入力領域の外側の外側領域における前記基板の上面に形成された透明電極と、外側領域における前記透明電極に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記透明電極に印加された電圧に基づいて入力位置を算出するタッチパネルの製造方法であって、
外側領域における前記基板の上面の一部をエッチングし、前記基板の上面の一部に配線パターンである溝部を形成する工程と、
外側領域における前記溝部に配線層と成る導電性材料を塗布する工程と、
外側領域における前記配線層の上面に前記透明電極を形成する工程とを含むことを特徴とするタッチパネルの製造方法。
【請求項2】
前記溝部に前記配線層と成る前記導電性材料を塗布する工程と、前記配線層の上面に前記透明電極を形成する工程との間に、外側領域における前記溝部の前記配線層を研磨し、前記基板の上面と前記配線層の上面とを略同一の平坦面に形成する工程を含む請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
【請求項3】
前記配線層の上面に前記透明電極を形成する工程の後に、前記透明電極の上面に保護膜を形成する工程を含む請求項2に記載のタッチパネルの製造方法。
【請求項4】
基板と、入力領域および入力領域の外側の外側領域における前記基板の上面に形成された透明電極と、外側領域における前記透明電極に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記透明電極に印加された電圧に基づいて入力位置を算出するタッチパネルであって、
外側領域における前記基板の上面の一部に形成された配線パターンである溝部と、
外側領域における前記溝部に導電性材料を埋め込んで形成された配線層とを備え、
外側領域における前記配線層の上面に前記透明電極が形成されていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項5】
前記透明電極の上面に形成された保護膜を更に備える請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項6】
請求項4または5に記載のタッチパネルを備えている電子機器。
【請求項7】
前記電子機器は、液晶表示装置である請求項6に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−77332(P2008−77332A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254667(P2006−254667)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】