説明

タッチパネル装置及び方法並びにプログラム及び記録媒体

【課題】シングルタッチにしか対応していない場合でも、マルチタッチに対応させること。
【解決手段】接触位置を検出できるタッチパネル装置は、ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持する位置情報保持部と、マルチタッチ用の入力データとして、該位置情報保持部により保持された第1及び第2の位置情報を出力する位置情報出力部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル装置は、ディスプレイの表面に直接触れることで、機器を操作する入力装置である。キーボードやマウスを使った入力とは異なり、ディスプレイの画面上に表示されたボタンやソフトウェアキーボードを直接触って入力できるため、機器に不慣れなユーザでも操作が直感的で分かりやすい利点がある。液晶ディスプレイ(LCD: Liquid Crystal Display)などが用いられる。
【0003】
また、複数の点に同時に触れて操作することができるタッチパネル装置が実現されている。該タッチパネル装置は、マルチタッチパネル装置と呼ばれる。マルチタッチパネル装置は、ディスプレイの画面上の複数のポイントに同時に触れて入力することができるため、大きな画面に複数のユーザが触れることにより共同作業を行うことができる。また、画面に複数の指を同時に触れることにより対象の移動や回転、画像のズームなどを行うことができる。
【0004】
また、マルチタッチに対応したアプリケーションも増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005-505065号公報
【特許文献2】特表2009-522669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マルチタッチに対応するアプリケーションを使用するには、タッチパネル装置自体がマルチタッチに対応する機能を有していることが必要である。
【0007】
従って、タッチパネル装置を含むコンピュータシステムを有していても、該タッチパネル装置がシングルタッチにしか対応していない場合には、マルチタッチに対応するアプリケーションをインストールしても、マルチタッチの機能を使用できない。例えば、該コンピュータシステムは、中央演算処理装置(CPU: Central Processing Unit)と、記憶装置と、入力装置と、出力装置とを有する。
【0008】
しかし、マルチタッチに対応するタッチパネル装置に、既に有しているタッチパネル装置を代えるのは大きな負担である。従って、シングルタッチにしか対応していないタッチパネル装置で、マルチタッチに対応するアプリケーションを使用できるのが好ましい。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、シングルタッチにしか対応していない場合でも、マルチタッチに対応させることができるタッチパネル装置及び方法並びにプログラム及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本タッチパネル装置は、
接触位置を検出できるタッチパネル装置であって、
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持する位置情報保持部と、
マルチタッチ用の入力データとして、前記位置情報保持部により保持された第1及び第2の位置情報を出力する位置情報出力部と
を有する。
【0011】
本タッチパネル装置は、
接触位置を検出できるタッチパネル装置であって、
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持する位置情報保持部と、
該位置情報保持部により保持された位置情報に基づいて、該位置情報と所定の位置関係を有する疑似位置情報を作成する疑似位置情報作成部と、
マルチタッチ用の入力データとして、前記位置情報保持部により保持された位置情報、及び前記疑似位置情報作成部により作成された疑似位置情報を出力する位置情報出力部と
を有する。
【0012】
本方法は、
接触位置を検出できるタッチパネル装置における方法であって、
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持する位置情報保持ステップと、
マルチタッチ用の入力データとして、前記位置情報保持ステップにより保持された第1及び第2の位置情報を出力する位置情報出力ステップと
を有する。
【0013】
本方法は、
接触位置を検出できるタッチパネル装置における方法であって、
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持する位置情報保持ステップと、
該位置情報保持ステップにより保持された位置情報に基づいて、該位置情報と所定の位置関係を有する疑似位置情報を作成する疑似位置情報作成ステップと、
マルチタッチ用の入力データとして、前記位置情報保持ステップにより保持された位置情報、及び前記疑似位置情報作成ステップにより作成された疑似位置情報を出力する位置情報出力ステップと
を有する。
【0014】
本プログラムは、
コンピュータに、
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持する位置情報保持ステップと、
マルチタッチ用の入力データとして、該位置情報保持ステップにより保持された第1及び第2の位置情報を出力する位置情報出力ステップと
を実行させる。
【0015】
本プログラムは、
コンピュータに、
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持する位置情報保持ステップと、
該位置情報保持ステップにより保持された位置情報に基づいて、該位置情報と所定の位置関係を有する疑似位置情報を作成する疑似位置情報作成ステップと、
マルチタッチ用の入力データとして、前記位置情報保持ステップにより保持された位置情報、及び前記疑似位置情報作成ステップにより作成された疑似位置情報を出力する位置情報出力ステップと
を実行させる。
【0016】
本記録媒体は、上述したプログラムを記録したものである。
【発明の効果】
【0017】
開示されたタッチパネル装置及び方法並びにプログラム及び記録媒体によれば、シングルタッチにしか対応していない場合でも、マルチタッチに対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施例に従ったタッチパネル装置が適用されるシステムの一例を示す構成図である。
【図2】一実施例に従ったタッチパネル装置が適用されるシステムの一例を示す機能ブロック図である。
【図3】一実施例に従ったタッチパネル装置における疑似データの作成処理の一例を示す説明図である。
【図4】一実施例に従ったタッチパネル装置における疑似データの作成処理の一例を示す説明図である。
【図5】一実施例に従ったタッチパネル装置が適用されるシステムの処理を示すフローチャートである。
【図6】一実施例に従ったタッチパネル装置により作成されるデータの一例を示す説明図である。
【図7】一実施例に従ったタッチパネル装置により作成されるデータの一例を示す説明図である。
【図8】一実施例に従ったタッチパネル装置が適用されるシステムの一例を示す機能ブロック図である。
【図9】一実施例に従ったタッチパネル装置が適用されるシステムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明する。
【0020】
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0021】
<第1の実施例>
<システム>
図1は、本実施例に従ったタッチパネル装置が適用されるシステムを示す。図1には、主にハードウェア構成が示される。
【0022】
本システム100は、中央演算処理装置(CPU: Central Processing Unit)102と、記憶装置104と、入力装置106と、出力装置108と、タッチパネル装置110とを有する。各装置は、バス150により接続される。本実施例では、一例として、コンピュータシステムについて説明される。本タッチパネル装置は、コンピュータシステムに限らず、タッチパネル装置を有する機器やシステムに適用できる。例えば、携帯情報端末(PDA: Personal Digital Assistants)、携帯端末などに適用できる。
【0023】
中央演算処理装置102は、記憶装置104、入力装置106、出力装置108、及びタッチパネル装置110の制御を行う。中央演算処置装置102は、記憶装置104に記憶されたプログラムに従って機能し、所定の処理を行う。
【0024】
記憶装置104は、アプリケーション1042、オペレーティングシステム(OS: Operating System)1044と、タッチパネルドライバ1046とを有する。例えば、記憶装置104は、コンピュータ内でデータやプログラムを記憶する外部記憶装置である。例えば、ハードディスク(hard disk, fixed disk)やフレキシブルディスク(flexible disk)、MO(Magneto-Optical disk)、CD-R(Compact Disk Recordable)、磁気テープなどが含まれる。アプリケーション1042は、ユーザが本システム100上で実行する作業を実施する機能を有するソフトウェアである。例えば、アプリケーション1042には、ワードプロセッサ、表計算ソフト、データベース管理システム(DBMS: Data Base Management System)、メディアプレーヤーなどが含まれる。オペレーティングシステム1044は、本システム100において、ハードウェアを抽象化したインターフェースをアプリケーションソフトウェアに提供するソフトウェアである。該オペレーティングシステムは、マルチタッチ機能に対応している。タッチパネルドライバ1046は、オペレーティングシステム1044として機能する中央演算処理装置102に対して、タッチパネル装置110との間のインターフェースを提供するためのソフトウェアである。
【0025】
入力装置106は、例えば、キーボードやマウスにより構成され、当該システム100への指示や、データの入力を行うための装置である。該指示は、オペレーティングシステム1044に対するものや、アプリケーション1042に対するものが含まれる。
【0026】
出力装置108は、例えば、ディスプレイにより構成され、当該システム100による処理状態や処理結果を表示する。該処理状態や処理結果には、オペレーティングシステム1044やアプリケーション1042によるものが含まれる。ディスプレイには、液晶ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、プラズマ(PDP: Plasma Display Panel)ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどが含まれる。
【0027】
タッチパネル装置110は、タッチパネル1102と、タッチパネル制御部1104とを有する。タッチパネル1102は、例えば出力装置108と一体化されて使用される。出力装置108と一体化されたタッチパネル1102上の表示に接触することにより、該表示に対応する操作を行うことができる。タッチパネル1102上の表示への接触方法としては、指入力であってもよいし、ペン入力であってもよい。タッチパネルの方式としては、抵抗膜方式、静電容量方式、赤外線方式、超音波方式、電磁誘導方式、静電容量方式などがあるが、どの方式であってもよい。
【0028】
タッチパネル制御部1104は、ユーザがタッチパネル1102上の表示に接触した場合、該表示に対応する出力信号をデバイスドライバ1046として機能する中央演算処理装置102に入力する。該出力信号には、タッチパネル1102上の指示位置(直接座標)の情報が含まれる。
【0029】
<システムの機能>
図2は、本システムの機能を示す機能ブロック図である。図2には、中央演算処理装置102により実行される機能が主に示される。
【0030】
本システム100では、ユーザがタッチパネルに接触した位置の座標を一時的に記憶する機能を起動させるタッチホールドフラグをセットすることができる。以下、ユーザがタッチパネルに接触した位置の座標は、接触位置座標と呼ばれることもあるし、第1の座標とも呼ばれることもあるし、第2の座標とも呼ばれることもある。
【0031】
また、本システム100では、ユーザがタッチパネルに接触した位置の座標(第1の座標)に対して所定の位置関係を有する座標(第1の疑似座標)を擬似的に生成する。該第1の疑似座標は、疑似データ、仮想データと呼ばれてもよい。例えば、本システムでは、第1の疑似座標は、モニターの所定位置に対して第1の座標と対称となる位置に生成される。該所定の位置はモニターの中心であってもよい。例えば、左右対称であってもよいし、上下対称であってもよいし、線対称であってもよいし、点対称であってもよい。どのような位置で第1の疑似座標が生成されるかは、予め設定されてもよいし、該第1の疑似座標が生成される際に設定されてもよい。
【0032】
また、本システム100では、第1の座標を一時的に記憶し、該記憶後、さらに接触した位置の座標(第2の座標)を記憶する。換言すれば、第2の座標が入力されても、第1の座標は出力されない。本システム100は、マルチタッチされたデータとして、一時的に記憶した第1及び第2の座標をオペレーティングシステムとして機能する中央演算処理装置102に入力する。第1及び第2の座標をオペレーティングシステムとして機能する中央演算処理装置102に入力できることにより、タッチパネル装置がシングルタッチにしか対応していない場合でも、マルチタッチされたデータを出力できる。該オペレーティングシステムはマルチタッチに対応しているため、第1及び第2の座標をマルチタッチされたデータとして処理する。
【0033】
本システムは、入力判定部202を有する。入力判定部202には、入力装置106により入力された入力情報を取得し、該入力情報に対応する機能を設定する。例えば、キーボードの所定のキーに、所定の機能が対応付けられる。ユーザは起動させたい機能に対応するキーを押すことにより、該機能を起動させる。
【0034】
例えば、所定の機能には、第1の座標を一時的に記憶する機能が含まれる。以下、該機能は「タッチホールド機能」とも呼ばれる。また、所定の機能には、第1の座標に対して所定の位置関係を有する座標(第1の疑似座標)を擬似的に生成する機能が含まれる。以下、該機能は「疑似データ作成機能」とも呼ばれる。また、ユーザがタッチパネルに接触した位置の座標(第1の座標)を一時的に記憶し、さらに接触した位置の座標(第2の座標)を記憶し、マルチタッチされたデータとして、該第1及び第2の座標を出力する機能が含まれる。以下、該機能は「マルチタッチデータ作成機能」とも呼ばれる。
【0035】
入力判定部202は、タッチホールド機能設定部2022を有する。タッチホールド機能設定部2022は、入力装置106により入力された情報がタッチホールド機能を起動させる情報である場合、タッチホールド機能を起動させる。タッチホールド機能を起動させることにより、疑似出力処理部204及び/又はマルチタッチ処理部206に第1の座標を一時的に保持させることができる。換言すれば、第1の座標を出力させずに保持できる。タッチホールド機能設定部2022は、疑似出力処理部204及び/又はマルチタッチ処理部206に、タッチホールド機能を設定する。
【0036】
入力判定部202は、入力装置106により入力された情報が疑似データ作成機能を起動させる情報である場合、疑似出力処理部204に対して動作命令を入力する。
【0037】
入力判定部202は、入力装置106により入力された情報がマルチタッチデータ作成機能を起動させる情報である場合、マルチタッチ処理部206に対して動作命令を入力する。
【0038】
本システムは、疑似出力処理部204を有する。疑似出力処理部204は、入力判定部202と接続される。疑似出力処理部204は、入力判定部202により動作命令が入力された場合に、タッチパネル装置110から取得した第1の座標に対して所定の位置関係を有する第1の疑似座標を生成する。疑似出力処理部204は、第1の座標及び第1の疑似座標をオペレーティングシステム処理部208に入力する。
【0039】
疑似出力処理部204は、対称動作疑似出力処理部2042を有する。対称動作疑似出力処理部2042は、第1の座標に対して、対称位置に第1の疑似座標を生成する。
【0040】
図3は、対称動作疑似出力処理部2042の処理の一例を示す。図3には、第1の座標に対して点対称となる第1の疑似座標が生成される例が示される。タッチパネルの中心に対して、点対称となる第1の疑似座標が生成されてもよい。また、対称の基準となる点を指定できるようにしてもよい。第1の座標が設定される前のカーソル位置を対称の基準としてもよい。図3では、対称の基準を移動前位置(初期入力位置)とした場合について示される。図3では、第1の座標は「タッチ入力でのカーソル(1点目入力カーソル)」により示される。また、図3では、第1の疑似座標は「疑似出力でのカーソル(2点目入力カーソル)」により示される。第1の座標に対して所定の位置関係を有する第1の疑似座標を生成できることにより、1点のタッチ入力で、2点のマルチタッチされたのと同様の効果を得ることができる。
【0041】
疑似出力処理部204は、平行移動動作疑似出力処理部2044を有する。平行移動動作疑似出力処理部2044は、第1の座標に対して、該1の座標を平行移動させた位置に第1の疑似座標を生成する。
【0042】
図4は、平行移動動作疑似出力処理部2044の処理の一例を示す。図4には、第1の座標に対して右方向に平行移動させた第1の疑似座標が生成される例が示される。第1の座標に対して左方向に平行移動させた第1の疑似座標が生成されてもよい。第1の座標に対して下方向に平行移動させた第1の疑似座標が生成されてもよい。第1の座標に対して上方向に平行移動させた第1の疑似座標が生成されてもよい。また、対称の基準となる線を指定できるようにしてもよい。タッチパネルの中心を含む線を対称の基準としてもよい。図4では、対称の基準を移動前位置(初期入力位置)とした場合について示される。図4では、第1の座標は「タッチ入力でのカーソル(1点目入力カーソル)」により示される。また、図4では、第1の疑似座標は「疑似出力でのカーソル(2点目入力カーソル)」により示される。第1の座標に対して所定の位置関係を有する第1の疑似座標を生成できることにより、1点のタッチ入力で、2点のマルチタッチされたのと同様の効果を得ることができる。
【0043】
本システムは、マルチタッチ処理部206を有する。マルチタッチ処理部206は、入力判定部202と接続される。マルチタッチ処理部206は、入力判定部202により動作命令が入力された場合に以下の処理を行う。マルチタッチ処理部206は、タッチパネル装置110からユーザが接触した位置の座標(第1の座標)が入力されると、タッチホールド機能が設定されているが接触位置座標を保持していない場合には、該第1の座標を第1の入力データとして保持する。
【0044】
マルチタッチ処理部206は、ホールド判定部2062を有する。ホールド判定部2062は、タッチホールド機能設定部2022によりタッチホールド機能が設定されている場合に、1点目の入力データとして、第1の座標を保持しているかどうかを判定する。例えば、タッチパネル装置100からユーザが接触した位置の座標(第1の座標)が入力された場合に、ホールド判定部2062は既に1点目の入力データを保持しているかどうかを判定する。
【0045】
ホールド判定部2062は、1点目の入力データが保持されていると判定した場合、第1の座標とともに1点目の入力データを保持していることを入力データ設定部2064に入力する。また、ホールド判定部2062は、1点目の入力データが保持されていないと判定した場合、第1の座標とともに1点目の入力データが保持されていないことを入力データ設定部2064に入力する。
【0046】
マルチタッチ処理部206は、入力データ設定部2064を有する。入力データ設定部2064は、ホールド判定部2062により1点目の入力データが保持されていることが通知された場合に、第1の座標を第2の入力データとして設定する。また、入力データ設定部2064は、ホールド判定部2062により1点目の入力データが保持されていないことが通知された場合に、第1の座標を第1の入力データとして設定する。
【0047】
マルチタッチ処理部206は、入力データ出力部2066を有する。入力データ出力部2066は、タッチオフであるかどうか、換言すれば、入力データ設定部2064により設定された入力データを出力したかどうかを判定する。入力データを出力したと判定した場合、入力データ出力部2066は、タッチホールド機能設定部2022によりタッチホールド機能が設定されている場合には、該タッチホールド機能をクリア、換言すれば、タッチホールド機能をリセットする。タッチホールド機能が設定されていると判定した場合に、該タッチホールド機能をクリアすることにより、タッチホールド機能がセットされていた際に入力された入力データをオペレーティングシステム処理部208に通知しないようにできる。入力データを出力していないと判定した場合、入力データ出力部2066は、入力データ設定部2064により設定された入力データを出力する。
【0048】
本システムは、オペレーティングシステム処理部208を有する。オペレーティングシステム処理部208は、疑似出力処理部204、マルチタッチ処理部206と接続される。オペレーティングシステム処理部208は、マルチタッチ機能を有するタッチパネルにより入力された座標として、疑似出力処理部204により入力された第1の座標及び第1の疑似座標を処理する。また、オペレーティングシステム処理部208は、マルチタッチ機能を有するタッチパネルにより入力された座標として、マルチタッチ処理部206により入力された第1の座標、又は第1及び第2の入力データを処理する。例えば、マルチタッチ機能に対応するオペレーティングシステムは、該第1の座標及び第1の疑似座標に基づいて処理を行う。また、オペレーティングシステム処理部206は、第1の座標、又は第1及び第2の入力データに基づいて処理を行う。
【0049】
<システムの動作>
図5は、本システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【0050】
本システム100は、ユーザにより入力されたキーに対応する情報を取得する(ステップS502)。例えば、入力判定部202は、入力装置106により入力されたキーに対応する情報を取得する。
【0051】
本システム100は、ステップS502により取得した情報がタッチホールド機能を設定する情報であるかどうかを判定する(ステップS504)。例えば、入力判定部202は、入力装置106により入力された情報がタッチホールド機能を設定する情報であるかどうかを判定する。
【0052】
タッチホールド機能を設定する情報である場合(ステップS504:YES)、本システム100は、タッチホールドフラグを設定する(ステップS506)。例えば、タッチホールド機能設定部2022は、タッチホールドフラグを設定する。タッチホールドフラグが設定されることにより、ユーザがタッチパネルに接触した位置の座標を一時的に記憶する機能を起動させることができる。
【0053】
タッチホールド機能を設定する情報でない場合(ステップS504:NO)、及びステップS506によりタッチホールドフラグが設定された後、入力装置106により入力された情報が疑似データ作成機能を起動させる情報であるかどうかを判定する(ステップS508)。例えば、入力判定部202は、入力装置106により入力された情報が疑似データ作成機能を起動させる情報であるかどうかを判定する。
【0054】
疑似データ作成機能を起動させる情報である場合(ステップS508:YES)、本システム100は、マルチタッチ用の第1の入力データへ、ユーザが接触した位置の座標(第1の座標)を変更する(ステップS510)。例えば、対称動作疑似出力処理部2042又は平行移動動作疑似出力処理部2044は、マルチタッチ用の第1の入力データへ、第1の座標を変更する。
【0055】
図6は、シングルタッチに対応するタッチパネルに接触した際に作成されるデータの一例を示す。該座標には、ステータスデータと、X座標と、Y座標とが含まれる。ステータスデータは、タッチパネルがオンであるかオフであるかを示す情報である。例えば、タッチパネルに接触した場合に“1”、離した場合に“0”と設定されてもよい。該設定とは逆の設定とし、タッチパネルに接触した場合に“0”、離した場合に“1”と設定されてもよい。
【0056】
図7は、本システム100により作成されるマルチタッチ用のデータの一例を示す。本システムは、シングルタッチ用の入力データに、入力点データを追加することによりマルチタッチ用のデータを作成する。入力点データは、座標が1点目であるか2点目であるかを示す情報である。例えば、対称動作疑似出力処理部2042又は平行移動動作疑似出力処理部2044は、図6により示されるシングルタッチ用のデータにより示される第1の座標を、図7により示されるマルチタッチ用のデータへ変更することにより、第1の疑似座標を作成する。
【0057】
本システム100は、第1の座標に対して所定の位置関係を有する第1の疑似座標を作成し、該第1の疑似座標を、マルチタッチ用の第2の入力データへ変更する(ステップS512)。例えば、対称動作疑似出力処理部2042又は平行移動動作疑似出力処理部2044は、第1の座標に対して所定の位置関係を有する第1の疑似座標を作成し、該第1の疑似座標をマルチタッチ用の第2の入力データとする。
【0058】
本システム100は、マルチタッチ用の入力データに基づいて、マルチタッチに応じた処理を行う。オペレーティングシステムとして機能する中央演算処理装置102は、マルチタッチ用の入力データに基づいて処理を行う(ステップS514)。例えば、対称動作疑似出力処理部2042又は平行移動動作疑似出力処理部2044は、オペレーティングシステム処理部208に、マルチタッチ用の第1及び第2の入力データを入力する。オペレーティングシステム処理部208は、マルチタッチ用の入力データに基づいて処理を行う。
【0059】
ステップS508において、入力装置106により入力された情報が疑似データ作成機能を起動させる情報でない場合(ステップS508:NO)、本システム100は、入力装置106により入力された情報がマルチタッチデータ作成機能を起動させる情報であるかどうかを判定する(ステップS516)。例えば、入力判定部202は、入力装置106により入力された情報がマルチタッチデータ作成機能を起動させる情報であるかどうかを判定する。
【0060】
マルチタッチデータ作成機能を起動させるキーである場合(ステップS516:YES)、本システム100は、1点目の入力データを保持しているかどうかを判定する(ステップS518)。例えば、ホールド判定部2062は、入力データを保持しているかどうかを判定する。
【0061】
入力データを保持していると判定した場合(ステップS518:YES)、本システム100は、マルチタッチ用の第2の入力データへ、ユーザが接触した位置の座標を変更する(ステップS520)。例えば、入力データ設定部2064は、図7により説明されるマルチタッチ用の第2の入力データへ、ユーザが接触した位置の座標(第1の座標)を変更する。
【0062】
ステップS516によりマルチタッチデータ作成機能を起動させる情報でない場合(ステップS516:NO)又はステップS518により入力データを保持していると判定されない場合(ステップS518:NO)、本システム100は、図7により説明されるマルチタッチ用の第1の入力データへ、ユーザが接触した位置の座標(第1の座標)を変更する(ステップS522)。例えば、入力データ設定部2064は、マルチタッチ用の第1の入力データへ、ユーザが接触した位置の座標(第1の座標)を変更する。
【0063】
本システム100は、タッチオフであるか、換言すればユーザが接触した位置の座標を出力したかどうかを判定する(ステップS524)。例えば、入力データ出力部2066は、入力データ設定部2064により設定された入力データ(第1の入力データ、又は第1及び第2の入力データ)を出力したかどうかを判定する。
【0064】
タッチオフであると判定された場合(ステップS524:YES)、本システム100は、タッチホールドフラグが設定されているかどうかを判定する(ステップS526)。例えば、入力データ設定部2064により設定された入力データ(第1の入力データ、又は第1及び第2の入力データ)が出力された場合、入力データ出力部2066は、タッチホールド機能設定部2022によりタッチホールドフラグが設定されているかどうかを判定する。
【0065】
タッチホールドフラグが設定されていると判定された場合(ステップS526:YES)、本システム100は、タッチホールドフラグをクリアする(ステップS528)。例えば、入力データ出力部2066は、タッチホールド機能設定部2022にタッチホールドフラグをリセットするように命令する。
【0066】
ステップS524によりタッチオフであると判定されない場合(ステップS524:NO)又はステップS526によりタッチホールドフラグが設定されていないと判定された場合(ステップS526:NO)、本システム100は、マルチタッチ用の入力データに基づいて、マルチタッチに応じた処理を行う。オペレーティングシステムとして機能する中央演算処理装置102は、マルチタッチ用の入力データに基づいて処理を行う(ステップS530)。例えば、入力データ出力部2066は、オペレーティングシステム処理部208に、第1の入力データ又はマルチタッチ用の第1及び第2の入力データを入力する。オペレーティングシステム処理部208は、第1の入力データ又はマルチタッチ用の入力データに基づいて処理を行う。
【0067】
ステップS502からステップS512、及びステップS516からステップS528の処理は、中央演算処理装置102がタッチパネルドライバ1046に従って処理を行うことにより実行される。中央演算処理装置102をタッチパネル装置として機能させるためのタッチパネルドライバ1046(プログラム)は、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、メモリカード等の記録媒体に記録された状態で提供される。また、プログラムを、通信網を介してダウンロードするようにしてもよい。この記録媒体をコンピュータの補助記憶装置に挿入すると、記録媒体に記録されたプログラムが読み取られる。中央演算処理装置102は、読み込んだプログラムをRAMあるいはHDDに書き込み、処理を実行する。プログラムは、コンピュータに、図5の各ステップS502からステップS512、及びステップS516からステップS528を実行させる。また、例えば、プログラムは、少なくとも一部のステップを実行されるようにしてもよい。
【0068】
<第2の実施例>
<システム>
本実施例に従ったタッチパネル装置が適用されるシステムは、図1と同様である。
【0069】
<システムの機能>
図8は、本システム100の機能を示す機能ブロック図である。図8には、中央演算処理装置102により実行される機能が主に示される。
【0070】
本システム100の機能は、図2に示される機能ブロック図において、入力判定部202には、タッチパネル装置110からの接触位置座標が入力される。入力判定部202には、入力装置106からの信号は、入力されない。
【0071】
第1の実施例では、「タッチホールド機能」、「疑似データ作成機能」、及び「マルチタッチデータ作成機能」は、ユーザが、各機能に対応するキーを押すことにより設定された。本システムでは、「タッチホールド機能」、「疑似データ作成機能」、及び「マルチタッチデータ作成機能」は、ユーザが、タッチパネル装置110に接触し続けた時間により設定される。
【0072】
本システム100では、ユーザがタッチパネルに接触した位置の座標を一時的に記憶する機能を起動させるタッチホールドフラグをセットすることができる。以下、ユーザがタッチパネルに接触した位置の座標は、接触位置座標と呼ばれることもあるし、第1の座標とも呼ばれることもあるし、第2の座標とも呼ばれることもある。
【0073】
また、本システム100では、ユーザがタッチパネルに接触した位置の座標(第1の座標)に対して所定の位置関係を有する座標(第1の疑似座標)を擬似的に生成する。例えば、本システムでは、第1の疑似座標は、モニターの所定の位置に対して第1の座標と対称となる位置に生成される。該所定の位置は、モニターの中心位置であってもよい。例えば、左右対称であってもよいし、上下対称であってもよいし、線対称であってもよいし、点対称であってもよい。どのような位置で第1の疑似座標が生成されるかは、予め設定されてもよいし、第1の疑似座標が生成される際に設定されてもよい。
【0074】
また、本システム100では、第1の座標を一時的に記憶し、該記憶後、さらに接触した位置の座標(第2の座標)を記憶する。本システム100は、マルチタッチされたデータとして、第1及び第2の座標をオペレーティングシステムとして機能する中央演算処理装置102に入力する。
【0075】
本システムは、入力判定部202を有する。入力判定部202には、タッチパネル装置110にユーザが接触した際に、該接触した時間(以下、「接触経過時間」と呼ばれることもある)を計測し、該接触経過時間に基づいて、所定の機能を設定する。例えば、所定の機能を設定すると判断するために必要な接触経過時間が設定されてもよい。以下、所定の機能を設定すると判断するために必要な接触経過時間は、機能設定時間とも呼ばれる。例えば、所定の機能には、タッチホールド機能が含まれる。また、所定の機能には、疑似データ作成機能が含まれる。また、所定の機能には、マルチタッチデータ作成機能が含まれる。
【0076】
例えば、システムの動作の順序に従って、例えば、「タッチホールド機能」、「疑似データ作成機能」、「マルチタッチデータ作成機能」の順に、機能設定時間が経過したかどうかを判定するようにしてもよい。また、例えば、タッチパネル装置110に、各機能を設定するための領域を設け、該領域に接触した接触経過時間が機能設定時間を経過したかどうかを判定するようにしてもよい。各機能を設定するための領域に接触した接触経過時間が機能設定時間を経過したかどうかを判定することにより、誤認識を低減できる。また、例えば、各機能に応じて、機能設定時間を異なるようにしてもよい。機能設定時間を異ならせることにより、誤認識を低減できる。機能設定時間を異ならせる場合には、タッチパネル装置110に各機能を設定するための領域を設ける必要もない。
【0077】
入力判定部202は、タッチホールド機能設定部2022を有する。タッチホールド機能設定部2022は、タッチパネル装置110による接触経過時間が機能設定時間となった場合に、タッチホールド機能を起動させる。タッチホールド機能を起動させることにより、疑似出力処理部204及び/又はマルチタッチ処理部206に第1の座標を一時的に保持させることができる。タッチホールド機能設定部2022は、疑似出力処理部204及び/又はマルチタッチ処理部206に、タッチホールド機能を設定する。
【0078】
入力判定部202は、タッチパネル装置110による接触経過時間が疑似データ作成機能を起動させる機能設定時間となった場合、疑似出力処理部204に対して動作命令を入力する。
【0079】
入力判定部202は、タッチパネル装置110による接触経過時間がマルチタッチデータ作成機能を起動させる機能設定時間となった場合、マルチタッチ処理部206に対して動作命令を入力する。
【0080】
疑似出力処理部204、マルチタッチ処理部206、及びオペレーティングシステム処理部208については、第1の実施例と同様である。
【0081】
<システムの動作>
図9は、本システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【0082】
本システム100は、ユーザが接触したタッチパネル装置110の接触経過時間を取得する(ステップS902)。例えば、入力判定部202は、タッチパネル装置110により入力された座標に基づいて、接触経過時間を取得する。
【0083】
本システム100は、ステップS502により取得した接触経過時間がタッチホールド機能を設定する機能設定時間を経過したかどうかを判定する(ステップS904)。例えば、入力判定部202は、タッチパネル装置110により同一座標が入力される接触経過時間がタッチホールド機能を設定する機能設定時間を経過したかどうかを判定する。
【0084】
タッチホールド機能を設定する機能設定時間を経過した場合(ステップS904:YES)、本システム100は、タッチホールドフラグを設定する(ステップS906)。例えば、タッチホールド機能設定部2022は、タッチホールドフラグを設定する。タッチホールドフラグが設定されることにより、ユーザがタッチパネルに接触した位置の座標を出力することなく、該座標を一時的に記憶する機能を起動させることができる。
【0085】
タッチホールド機能を設定する機能設定時間を経過しない場合(ステップS904:NO)、及びステップS906によりタッチホールドフラグが設定された後、タッチパネル装置110により同一座標が入力される接触経過時間が疑似データ作成機能を起動させる機能設定時間を経過したかどうかを判定する(ステップS908)。例えば、入力判定部202は、タッチパネル装置110により同一座標が入力される接触経過時間が疑似データ作成機能を起動させる機能設定時間を経過したかどうかを判定する。
【0086】
疑似データ作成機能を起動させる機能設定時間を経過した場合(ステップS908:YES)、本システム100は、図7により示されるマルチタッチ用の第1の入力データへ、ユーザが接触した位置の座標(第1の座標)を変更する(ステップS910)。例えば、対称動作疑似出力処理部2042又は平行移動動作疑似出力処理部2044は、図7により示されるマルチタッチ用の第1の入力データへ、第1の座標を変更する。例えば、対称動作疑似出力処理部2042又は平行移動動作疑似出力処理部2044は、シングルタッチ用の入力データに、入力点データを追加することによりマルチタッチ用のデータを作成する。
【0087】
本システム100は、第1の座標に対して所定の位置関係を有する第1の疑似座標を作成し、該第1の疑似座標を、図7により示されるマルチタッチ用の第2の入力データへ変更する(ステップS912)。例えば、対称動作疑似出力処理部2042又は平行移動動作疑似出力処理部2044は、第1の座標に対して所定の位置関係を有する第1の疑似座標を作成し、該第1の疑似座標をマルチタッチ用の第2の入力データとする。
【0088】
本システム100は、マルチタッチ用の入力データに基づいて、マルチタッチに応じた処理を行う。オペレーティングシステムとして機能する中央演算処理装置102は、マルチタッチ用の入力データに基づいて処理を行う(ステップS914)。例えば、対称動作疑似出力処理部2042又は平行移動動作疑似出力処理部2044は、オペレーティングシステム処理部208に、マルチタッチ用の第1及び第2の入力データを入力する。オペレーティングシステム処理部208は、マルチタッチ用の入力データに基づいて処理を行う。
【0089】
ステップS908において、タッチパネル装置110により同一座標が入力される接触経過時間が疑似データ作成機能を起動させる機能設定時間を経過しない場合(ステップS908:NO)、本システム100は、タッチパネル装置110により同一座標が入力される接触経過時間がマルチタッチデータ作成機能を起動させる機能設定時間を経過したかどうかを判定する(ステップS916)。例えば、入力判定部202は、タッチパネル装置110により同一座標が入力される接触経過時間がマルチタッチデータ作成機能を起動させる機能設定時間を経過したかどうかを判定する。
【0090】
マルチタッチデータ作成機能を起動させる機能設定時間を経過した場合(ステップS916:YES)、本システム100は、1点目の入力データを保持しているかどうかを判定する(ステップS918)。例えば、ホールド判定部2062は、入力データを保持しているかどうかを判定する。
【0091】
入力データを保持していると判定した場合(ステップS918:YES)、本システム100は、マルチタッチ用の第2の入力データへ、ユーザが接触した位置の座標を変更する(ステップS920)。例えば、入力データ設定部2064は、マルチタッチ用の第2の入力データへ、ユーザが接触した位置の座標(第1の座標)を変更する。
【0092】
ステップS916によりマルチタッチデータ作成機能を起動させる機能設定時間を経過していないと判定された場合(ステップS916:NO)又はステップS918により入力データを保持していると判定されない場合(ステップS918:NO)、本システム100は、マルチタッチ用の第1の入力データへ、ユーザが接触した位置の座標(第1の座標)を変更する(ステップS922)。例えば、入力データ設定部2064は、マルチタッチ用の第1の入力データへ、ユーザが接触した位置の座標(第1の座標)を変更する。
【0093】
本システム100は、タッチオフであるか、換言すればユーザが接触した位置の座標を出力したかどうかを判定する(ステップS924)。例えば、入力データ出力部2066は、入力データ設定部2064により設定された入力データ(第1の入力データ、又は第1及び第2の入力データ)を出力したかどうかを判定する。
【0094】
タッチオフであると判定された場合(ステップS924:YES)、本システム100は、タッチホールドフラグが設定されているかどうかを判定する(ステップS926)。例えば、入力データ設定部2064により設定された入力データ(第1の入力データ、又は第1及び第2の入力データ)が出力された場合、入力データ出力部2066は、タッチホールド機能設定部2022によりタッチホールドフラグが設定されているかどうかを判定する。
【0095】
タッチホールドフラグが設定されていると判定された場合(ステップS926:YES)、本システム100は、タッチホールドフラグをクリアする(ステップS928)。例えば、入力データ出力部2066は、タッチホールド機能設定部2022にタッチホールドフラグをリセットするように命令する。
【0096】
ステップS924によりタッチオフであると判定されない場合(ステップS924:NO)又はステップS926によりタッチホールドフラグが設定されていないと判定された場合(ステップS926:NO)、本システム100は、マルチタッチ用の入力データに基づいて、マルチタッチに応じた処理を行う。オペレーティングシステムとして機能する中央演算処理装置102は、マルチタッチ用の入力データに基づいて処理を行う(ステップS930)。例えば、入力データ出力部2066は、オペレーティングシステム処理部208に、第1の入力データ又はマルチタッチ用の第1及び第2の入力データを入力する。オペレーティングシステム処理部208は、第1の入力データ又はマルチタッチ用の入力データに基づいて処理を行う。
【0097】
ステップS902からステップS912、及びステップS916からステップS928の処理は、中央演算処理装置102がタッチパネルドライバ1046に従って処理を行うことにより実行される。中央演算処理装置102をタッチパネル装置として機能させるためのタッチパネルドライバ1046(プログラム)は、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、メモリカード等の記録媒体に記録された状態で提供される。また、プログラムを、通信網を介してダウンロードするようにしてもよい。この記録媒体をコンピュータの補助記憶装置に挿入すると、記録媒体に記録されたプログラムが読み取られる。中央演算処理装置102は、読み込んだプログラムをRAMあるいはHDDに書き込み、処理を実行する。プログラムは、コンピュータに、図9の各ステップS902からステップS912、及びステップS916からステップS928を実行させる。また、例えば、プログラムは、少なくとも一部のステップを実行されるようにしてもよい。
【0098】
上述した実施例では、マルチタッチとして主に2つの入力データが出力される例を示したが、3つ以上の入力データが出力されるようにしてもよい。例えば、疑似座標として3つ以上の座標を生成するようにしてもよいし、シングルタッチ用のデータにより示される3点以上の座標を、それぞれ入力データに変換して出力するようにしてもよい。
【0099】
本実施例によれば、接触位置を検出できるタッチパネル装置が提供される。該タッチパネル装置は、
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持する疑似出力処理部及び/又はマルチタッチ処理部としての位置情報保持部と、
マルチタッチ用の入力データとして、前記位置情報保持部により保持された第1及び第2の位置情報を出力する疑似出力処理部及び/又はマルチタッチ処理部としての位置情報出力部と
を有する。
【0100】
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持し、マルチタッチ用の入力データとして、該保持された第1及び第2の位置情報とを出力することにより、第1の位置情報を出力することなく、マルチタッチ用の入力データとして、第1及び第2の位置情報とを出力できる。
【0101】
また、該タッチパネル装置は、
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持する疑似出力処理部としての位置情報保持部と、
該位置情報保持部により保持された位置情報に基づいて、該位置情報と所定の位置関係を有する疑似位置情報を作成する対称動作疑似出力処理部及び/又は平行移動動作疑似出力処理部としての疑似位置情報作成部と、
マルチタッチ用の入力データとして、前記位置情報保持部により保持された位置情報、及び前記疑似位置情報作成部により作成された疑似位置情報を出力する対称動作疑似出力処理部及び/又は平行移動動作疑似出力処理部としての位置情報出力部と
を有する。
【0102】
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持し、該位置情報と所定の位置関係を有する疑似位置情報を作成する。そして、位置情報と疑似位置情報とを出力することにより、位置情報を出力することなく、マルチタッチ用の入力データとして、位置情報と疑似位置情報とを出力できる。換言すれば、接触した位置が1点であっても、マルチタッチされたのと同様の処理を行うことができる。
【0103】
さらに、対称動作疑似出力処理部としての前記疑似位置情報作成部は、タッチパネル装置の所定の位置に対して、前記位置情報保持部により保持された位置情報と対称となる位置を示す疑似位置情報を作成する。
【0104】
位置情報保持部により保持された位置情報に対して、対称となる位置を示す疑似位置情報を作成することにより、接触した位置が1点であっても、対称となる位置にも接触したのと同様の処理を行うことができる。
【0105】
さらに、平行移動動作疑似出力処理部としての前記疑似位置情報作成部は、タッチパネル装置の所定の位置に対して、前記位置情報保持部により保持された位置情報を平行移動した位置を示す疑似位置情報を作成する。
【0106】
位置情報保持部により保持された位置情報に対して、平行移動した位置を示す疑似位置情報を作成することにより、接触した位置が1点であっても、平行移動した位置にも接触したのと同様の処理を行うことができる。
【0107】
さらに、前記位置情報保持部に、ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持させる機能を起動させるタッチホールド機能設定部としての保持機能設定部を有する。
【0108】
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持させる機能を起動させることにより、必要に応じて、マルチタッチ機能を起動できる。
【0109】
さらに、保持機能設定部は、入力装置により入力された情報に基づいて、前記位置情報保持部を起動させる。
【0110】
例えば、ユーザがキーボードを操作することにより入力された情報に基づいて前記位置情報保持部を起動させることができる。
【0111】
さらに、保持機能設定部は、当該タッチパネル装置の接触時間が、前記位置情報保持部を起動させる設定時間を経過した場合に、前記位置情報保持部を起動させる。
【0112】
例えば、ユーザがタッチパネルに接触した時間に基づいて、前記位置情報保持部を起動させることができる。
【0113】
以上、本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、各実施例は単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。説明の便宜上、本発明の実施例に従った装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が包含される。
【符号の説明】
【0114】
100 システム
102 中央演算処理装置(CPU: Central Processing Unit)
104 記憶装置
1042 アプリケーション
1044 オペレーティングシステム
1046 タッチパネルドライバ
106 入力装置
108 出力装置
110 タッチパネル装置
1102 タッチパネル
1104 タッチパネル制御部
150 バス
202 入力判定部
2022 タッチホールド機能設定部
204 疑似出力処理部
2042 対称動作疑似出力処理部
2044 平行移動動作疑似出力処理部
206 マルチタッチ処理部
2062 ホールド判定部
2064 入力データ設定部
2066 入力データ出力部
208 オペレーティングシステム処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触位置を検出できるタッチパネル装置であって、
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持する位置情報保持部と、
マルチタッチ用の入力データとして、前記位置情報保持部により保持された第1及び第2の位置情報を出力する位置情報出力部と
を有するタッチパネル装置。
【請求項2】
接触位置を検出できるタッチパネル装置であって、
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持する位置情報保持部と、
該位置情報保持部により保持された位置情報に基づいて、該位置情報と所定の位置関係を有する疑似位置情報を作成する疑似位置情報作成部と、
マルチタッチ用の入力データとして、前記位置情報保持部により保持された位置情報、及び前記疑似位置情報作成部により作成された疑似位置情報を出力する位置情報出力部と
を有するタッチパネル装置。
【請求項3】
請求項2に記載のタッチパネル装置において、
前記疑似位置情報作成部は、タッチパネル装置の所定の位置に対して、前記位置情報保持部により保持された位置情報と対称となる位置を示す疑似位置情報を作成するタッチパネル装置。
【請求項4】
請求項2に記載のタッチパネル装置において、
前記疑似位置情報作成部は、タッチパネル装置の所定の位置に対して、前記位置情報保持部により保持された位置情報を平行移動した位置を示す疑似位置情報を作成するタッチパネル装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のタッチパネル装置において、
前記位置情報保持部に、ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持させる機能を起動させる保持機能設定部
を有するタッチパネル装置。
【請求項6】
請求項5に記載のタッチパネル装置において、
保持機能設定部は、入力装置により入力された情報に基づいて、前記位置情報保持部を起動させるタッチパネル装置。
【請求項7】
請求項5に記載のタッチパネル装置において、
保持機能設定部は、当該タッチパネル装置の接触時間が、前記位置情報保持部を起動させる設定時間を経過した場合に、前記位置情報保持部を起動させるタッチパネル装置。
【請求項8】
接触位置を検出できるタッチパネル装置における方法であって、
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持する位置情報保持ステップと、
マルチタッチ用の入力データとして、前記位置情報保持ステップにより保持された第1及び第2の位置情報を出力する位置情報出力ステップと
を有する方法。
【請求項9】
接触位置を検出できるタッチパネル装置における方法であって、
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持する位置情報保持ステップと、
該位置情報保持ステップにより保持された位置情報に基づいて、該位置情報と所定の位置関係を有する疑似位置情報を作成する疑似位置情報作成ステップと、
マルチタッチ用の入力データとして、前記位置情報保持ステップにより保持された位置情報、及び前記疑似位置情報作成ステップにより作成された疑似位置情報を出力する位置情報出力ステップと
を有する方法。
【請求項10】
コンピュータに、
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持する位置情報保持ステップと、
マルチタッチ用の入力データとして、該位置情報保持ステップにより保持された第1及び第2の位置情報とを出力する位置情報出力ステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータに、
ユーザにより接触された位置を示す位置情報を保持する位置情報保持ステップと、
該位置情報保持ステップにより保持された位置情報に基づいて、該位置情報と所定の位置関係を有する疑似位置情報を作成する疑似位置情報作成ステップと、
マルチタッチ用の入力データとして、前記位置情報保持ステップにより保持された位置情報、及び前記疑似位置情報作成ステップにより作成された疑似位置情報を出力する位置情報出力ステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項10又は12に記載のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−34451(P2011−34451A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181851(P2009−181851)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】