説明

タッチ検出機能付きスイッチ装置

【課題】 電気的な接続の信頼性の向上を図ることができるタッチ検出機能付きスイッチ装置を提供する。
【解決手段】 操作ボタン10の内面にタッチ検出用電極11を銅メッキにより設ける。フレキシブル配線板13の上面部にコネクタ15を設け、接続端子をフレキシブル配線板13の配線部に接続し、ターミナル18をタッチ検出用電極11に接続する。操作ボタン10を押圧操作すると、フレキシブル配線板13の弾性変形を伴いタクトスイッチ20が押圧操作される。フレキシブル配線板13の弾性変形を利用することができるので、フレキシブル配線板13とコネクタ15とタッチ検出用電極11とは、それぞれ強固に連結することができる。このため、タッチ検出用電極11とコネクタ15のターミナル18との間、及びコネクタ15とフレキシブル配線板13の配線部との間の電気的な接続の信頼性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ操作部材に手指が接触した際にこれを検出するためのタッチ検出用電極を有するタッチ検出機能付きスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば複数のスイッチ操作部材として複数の操作ボタンを有するスイッチ装置と、その操作ボタンと対応する数の選択部を画面に表示する表示装置とを備え、使用者が選択した操作ボタンを手指にて押圧操作すると、操作ボタンの下側に配設されたスイッチ要素が押圧操作されることに基づき、その操作ボタンに対応する、画面上の選択部が決定されるというものが考えられている。
【0003】
なお、本発明が解決しようとする課題に対応するような公知文献は発見できなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したようなものにおいては、使用者は、スイッチ装置の操作ボタンを見て選択して、操作する必要がある。このため、使用者は、スイッチ装置の操作ボタンと、表示装置の画面の両方を見る必要があり、操作性が悪いという問題がある。
そこで、このようなことに対処するため、発明者らは次のようなものを考えた。それは、スイッチ装置の操作ボタンに手指が接触した際に、これを検出して、その操作ボタンに対応する選択部の表示状態を変化させるような構成とするものである。このような構成のものによれば、表示画面をみれば、手指が接触している操作ボタンの位置がわかるため、スイッチ装置の操作ボタンを見ずに、表示画面のみを見て操作する、いわゆるブラインド操作が可能となる。
【0005】
これを実現させるためのスイッチ装置として、発明者らは例えば図3及び図4に示す構成のもの(比較例)を考えた。これら図3及び図4において、スイッチ操作部材を構成する操作ボタン1は合成樹脂により下面側が開口した逆U字状をなすように形成されていて、内面に、銅メッキによりタッチ検出用電極2が設けられている。操作ボタン1の下方には、矩形板状をなすプリント配線板3が配置されている。このプリント配線板3には、プリント配線がなされている。上記タッチ検出用電極2は、接続線4によりプリント配線板3の配線部5に電気的に接続されている。接続線4の両端部は、タッチ検出用電極2と配線部5にそれぞれはんだ6により接続されている。
【0006】
プリント配線板3において、操作ボタン1の一端部1aの下方に対応する部位に位置させて、スイッチ要素としてタクトスイッチ7が配設されている。なお、操作ボタン1の他端部1bとプリント配線板3の上面との間には、操作ボタン1の他端部1bの下方向への移動を許容する隙間8が設定されている。
なお、図示した構成では、操作ボタン1が1個のみであるが、複数の選択部と対応させる場合には、操作ボタン1を含むユニットを複数個用意する。そして、各配線部5及びタクトスイッチ7は、例えばマイクロコンピュータからなる制御装置(図示せず)に接続される。
【0007】
上記構成において、使用者の手指が操作ボタン1の上面の操作面1cに接触すると、タッチ検出用電極2を介して制御装置がこれを検出し、図示しない表示装置の画面においてそれに対応する選択部の表示状態を変える。そして、その操作ボタン1が下方へ押圧操作され、この操作ボタン1の一端部1aによりタクトスイッチ7が押圧操作されると、制御装置は、例えば表示装置の画面上の選択部の表示状態を決定状態に変化させる。
【0008】
上記した構成のものでは、使用者の手指が操作ボタン1に接触した場合にこれを検出することができる。しかしながら上記した構成のものでは、次のような問題がある。すなわち、操作ボタン1の操作の際に、接続線4が屈曲する必要があり、その接続線4の両端部と、タッチ検出用電極2及び配線部5との間の接続部分に負荷が掛かりやすく、接続信頼性が低下しやすいという問題がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気的な接続の信頼性の向上を図ることができるタッチ検出機能付きスイッチ装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するために、本発明のタッチ検出機能付きスイッチ装置は、スイッチ操作部材と、このスイッチ操作部材に設けられ、前記スイッチ操作部材に手指が接触した際にこれを検出するためのタッチ検出用電極と、配線部を有した弾性変形可能なフレキシブル配線板と、このフレキシブル配線板に固定状態に設けられ、前記配線部と前記タッチ検出用電極との間を電気的に接続する接続器と、前記スイッチ操作部材が押圧操作されることに伴い当該スイッチ操作部材を介して押圧操作されるスイッチ要素とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
スイッチ操作部材の押圧操作の際に、フレキシブル配線板の弾性変形を利用することができるので、フレキシブル配線板と、接続器と、タッチ検出用電極とは、それぞれ強固に連結することができる。このため、タッチ検出用電極と接続器との間、及び接続器とフレキシブル配線板の配線部との間の電気的な接続の信頼性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施例について図1及び図2を参照して説明する。
スイッチ操作部材を構成する操作ボタン10は、合成樹脂により製作されたもので、左右の側壁10a,10bと、これら両側壁10a,10bを上部で連結した上部壁10cとを有していて、下面側が開口した逆U字状をなすように形成されている。この操作ボタン10には、上部壁10cの内面から右側壁10bの内面にかけて銅メッキによりタッチ検出用電極11が設けられている。
【0013】
操作ボタン10の下方には、フレキシブル配線板13が配置されている。このフレキシブル配線板13は、フレキシブルフラットケーブル等と同様に製作されたもので、プラスチックシート間に銅製の配線部(図示せず)を挟み込んだような構造となっていて、弾性変形可能な構成となっている。このフレキシブル配線板13は矩形板状をなす支持台14の上面に接着されていて、フレキシブル配線板13の右部13aは、支持台14から突出している。
【0014】
フレキシブル配線板13の右部13aの上面には、接続器を構成するコネクタ15が固定状態に設けられていて、これの接続端子16(図2参照)が、フレキシブル配線板13の配線部(図示せず)にはんだ17付けにより電気的に接続されている。コネクタ15には、接続端子16と電気的に接続された銅板製のターミナル18が上方へ向けて突設されていて、このターミナル18が、操作ボタン10における上記タッチ検出用電極11の下部にはんだ若しくは抵抗溶接により電気的にも機械的にも接続されている。
【0015】
フレキシブル配線板13の左部13bの上面には、スイッチ要素を構成するタクトスイッチ20が固定状態に設けられている。このタクトスイッチ20は、操作ボタン10の左側壁10aの下面に対応する位置に配置されている。
【0016】
なお、図示した構成では、操作ボタン10が1個のみであるが、複数の選択部と対応させる場合には、操作ボタン10を含むユニットを複数個用意する。そして、各フレキシブル配線板11の配線部及びタクトスイッチ18は、例えばマイクロコンピュータからなる制御装置(図示せず)に接続される。
【0017】
上記構成において、使用者の手指が操作ボタン10の上部壁10cにおける上面の操作面10dに接触すると、タッチ検出用電極11の静電容量が変化する。制御装置は、この変化を検出することに基づき、手指が操作ボタン10に接触したことを検出し、図示しない表示装置の画面においてそれに対応する選択部の表示状態を変える。そして、その操作ボタン10が下方へ押圧操作されると、フレキシブル配線板13の右部13aの弾性変形を伴って(図1及び図2の二点鎖線参照)操作ボタン10が下方へ変位し、この操作ボタン10の左側壁10aの下面によりタクトスイッチ18が押圧操作される。すると、制御装置は、例えば表示装置の画面上の選択部の表示状態を決定状態に変化させる。
【0018】
上記した実施例においては、操作ボタン10の押圧操作の際に、フレキシブル配線板13の弾性変形を利用することができるので、フレキシブル配線板13と、接続器を構成するコネクタ15と、タッチ検出用電極11とは、それぞれ強固に連結することができる。このため、接続線の屈曲が必要とされた比較例とは違い、タッチ検出用電極11とコネクタ15のターミナル18との間、及びコネクタ15の接続端子16とフレキシブル配線板13の配線部との間の電気的な接続の信頼性を向上できる。
【0019】
本発明は、上記した実施例にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
タッチ検出用電極11は、メッキに限られず、例えば接続部が露出していれば操作ボタン10にインサート成形により設けることもできる。
スイッチ要素としては、タクトスイッチ20以外のものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例を示すタッチ検出機能付きスイッチ装置の正面図
【図2】要部の拡大正面図
【図3】比較例を示すタッチ検出機能付きスイッチ装置の斜視図
【図4】同スイッチ装置を示すもので、(a)は正面図、(b)は右側面図
【符号の説明】
【0021】
図面中、10は操作ボタン(スイッチ操作部材)、11はタッチ検出用電極、13はフレキシブル配線板、14は支持台、15はコネクタ(接続器)、16は接続端子、18はターミナル、20はタクトスイッチ(スイッチ要素)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ操作部材と、
このスイッチ操作部材に設けられ、前記スイッチ操作部材に手指が接触した際にこれを検出するためのタッチ検出用電極と、
配線部を有した弾性変形可能なフレキシブル配線板と、
このフレキシブル配線板に固定状態に設けられ、前記配線部と前記タッチ検出用電極との間を電気的に接続する接続器と、
前記スイッチ操作部材が押圧操作されることに伴い当該スイッチ操作部材を介して押圧操作されるスイッチ要素とを備えたことを特徴とするタッチ検出機能付きスイッチ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−66608(P2007−66608A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−249189(P2005−249189)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】