説明

タンクローリ

【課題】冷却機能の信頼性を向上すると共に、タンク貯蔵量の増大を図ることができるタンクローリを提供すること。
【解決手段】ダクト12内をクーラ3により冷却された空気が流通することでタンク2に貯蔵された液体を冷却することができるので、ダクト12を形成する部材等に腐食や破損が発生し、その腐食や破損した箇所から冷却された空気が漏れ出した場合でも、冷却のための空気を枯渇させることなくダクト12内に空気の流通を確保することができる。これにより、タンク2に貯蔵された液体を確実に冷却することができ、冷却機能の信頼性を向上することができる。また、従来のタンクのように冷却液を使用しないので、タンクローリ1の重量を軽減することができる。これにより、車軸の許容荷重に対して負荷可能な荷重に余裕ができるので、その分、タンク2の貯蔵量の増大を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が貯蔵されるタンクを備えるタンクローリに関し、特に、冷却機能の信頼性を向上すると共に、タンク貯蔵量の増大を図ることができるタンクローリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体(例えば、飲料)を搬送するためにタンクローリが用いられている。しかし、例えば牛乳のように保存温度を10℃以下で貯蔵することが望まれている飲料においては、その飲料をタンクに貯蔵する際や目的地へ搬送する際に温度が上昇して、鮮度(味や栄養素)を失ってしまうという問題点があった。
【0003】
これに対し、例えば特許文献1には、冷却機能を付与したタンクが開示されている。具体的には、タンクの外壁面に配設され冷却液の流通経路となる流体案内部材と、その流体案内部材内に冷却液を送給して流通させる供給手段と、その供給手段で送給される冷却液を冷却する冷凍機とを主に備え、流体案内部材内を冷凍機により冷却された冷却液が流通することで、タンクに貯蔵された液体が冷却されるように構成されている。
【0004】
なお、供給手段は、流体案内部材と冷凍機とを連結する配管と、その配管に冷却液を送給するポンプとを備え、ポンプにより送給された冷却液が配管内と流体案内部材内とを循環するように構成されている。
【0005】
これにより、冷却液とタンクとの熱伝導によりタンクが冷却されると共に、タンクと飲料との熱伝導により飲料が冷却されて、タンクに貯蔵された飲料の鮮度を維持することができる。
【0006】
また、上述したタンクは、タンクの外周に覆設されタンクの外壁面及び流体案内部材からの放熱を遮断する断熱材と、その断熱材の外周に覆設され断熱材を保護する保護材とを備え、断熱材によってタンクに貯蔵された飲料の保冷効果を高めると共に、保護材によってタンクの耐候性を高めることができる。
【特許文献1】特開2002−320419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来のタンクでは、流体案内部材に腐食や破損が発生し、その腐食や破損した箇所から冷却液が漏れ出した場合には、冷却液が循環できなくなるので、タンクに貯蔵された飲料を冷却することができなくなってしまうという問題点があった。
【0008】
また、冷却液が漏れ出した箇所を補修する場合には、上述したように、タンクの外周に断熱材及び保護材が覆設されているので、補修作業に要するメンテナンスコストが多大であるという問題点があった。
【0009】
更に、冷却液を備えているので、タンクローリの重量が重くなってしまい、車軸の許容荷重に対して負荷可能な荷重に余裕が無いという理由から、タンク貯蔵量の増大を図ることができないという問題点があった。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、冷却機能の信頼性を向上すると共に、タンク貯蔵量の増大を図ることができるタンクローリを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を解決するために請求項1記載のタンクローリは、液体が貯蔵されるタンクを備えるものであって、前記タンクの外壁面に配設され、空気の流通経路となる通路部材と、前記通路部材内に冷却された空気を送風して流通させる冷却装置とを備え、前記通路部材内を前記冷却装置により冷却された空気が流通することで、前記タンクに貯蔵された前記液体が冷却されるように構成されている。
【0012】
請求項2記載のタンクローリは、請求項1記載のタンクローリにおいて、前記通路部材は、前記冷却装置から送風された空気の流通経路となる往路側通路と、前記往路側通路を流通し前記冷却装置に戻る空気の流通経路となる復路側通路とを備え、前記往路側通路と前記復路側通路との流通経路内を前記冷却装置から送風された空気が循環するように構成されている。
【0013】
請求項3記載のタンクローリは、請求項2記載のタンクローリにおいて、前記往路側通路と前記復路側通路とは、前記タンクの軸心と平行に延設されると共に、延設方向に沿って一定の経路幅を有している。
【0014】
請求項4記載のタンクローリは、請求項1から3のいずれかに記載のタンクローリにおいて、前記タンクの上部に配設され、前記タンクの内部を外部と接続するマンホール部と、前記タンクの下部に配設され、前記タンクを支持するフレーム部とを備え、前記通路部材は、前記マンホール部と前記フレーム部との間となる前記タンクの左右両側方部に一対が配設されている。
【0015】
請求項5記載のタンクローリは、請求項4記載のタンクローリにおいて、前記往路側通路が前記復路側通路よりも前記タンクの上部側に配設されている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載のタンクローリによれば、通路部材と冷却装置とを備え、通路部材内を冷却装置により冷却された空気が流通することでタンクに貯蔵された液体を冷却することができるので、通路部材を形成する部材等に腐食や破損が発生し、その腐食や破損した箇所から冷却された空気が漏れ出した場合でも、冷却のための空気を枯渇させることなく通路部材内に空気の流通を確保することができる。これによりタンクに貯蔵された液体を確実に冷却することができ、タンクに貯蔵された液体を冷却する冷却機能の信頼性を向上することができるという効果がある。
【0017】
また、上述したように、冷却された空気が漏れ出した場合でもタンクに貯蔵された液体を冷却することができるので、空気が漏れ出した箇所の補修を不要とすることができるという効果がある。その結果、メンテナンスコストの削減を図ることができるという効果がある。
【0018】
更に、従来のタンクのように冷却液を使用しないので、タンクローリの重量を軽減することができる。これにより、車軸の許容荷重に対して負荷可能な荷重に余裕ができるので、その分、タンク貯蔵量の増大を図ることができるという効果がある。
【0019】
請求項2記載のタンクローリによれば、請求項1記載のタンクローリの奏する効果に加え、往路側通路と復路側通路とを備え、これら往路側通路と復路側通路とを冷却装置から送風された空気が循環するので、冷却装置により冷却された空気を再利用することができる。これにより、冷却装置で行われる熱交換の仕事量が低減して、冷却装置の冷却効率を向上させることができるという効果がある。
【0020】
また、既に冷却装置により冷却された空気を再利用するので、冷却装置を始動してからタンクに貯蔵された液体を冷却するまでの応答時間を短縮することができるという効果がある。
【0021】
請求項3記載のタンクローリによれば、請求項2記載のタンクローリの奏する効果に加え、往路側通路と復路側通路とがタンクの軸心と平行に延設されると共に、延設方向に沿って一定の経路幅を有しているので、通路部材が途中で屈折していたり狭くなっている場合に比べ空気を直線的に流通させることができる。これにより、空気の流動抵抗が低減して冷却装置による送風効率を向上させることができるという効果がある。
【0022】
また、往路側通路と復路側通路とがタンクの軸心と平行に延設されると共に、延設方向に沿って一定の経路幅を有しているので、タンクの製造を容易にすることができるという効果がある。例えば、通路部材がタンクの軸心と平行に延設されていても一定の経路幅を有していない場合には、タンクの外壁面と固着される通路部材の経路高さをタンクの外壁面の湾曲形状に合わせて変化させなければならない。これに対し、通路部材が一定の経路幅で形成されていれば、通路部材の経路高さをタンクの外壁面の湾曲形状に合わせて変化させる必要が無く、一定の高さで形成することができる。これにより、通路部材の製造が容易になり、タンクの製造を容易にすることができる。
【0023】
請求項4記載のタンクローリによれば、請求項1から3のいずれかに記載のタンクローリの奏する効果に加え、マンホール部とフレーム部との間となるタンクの左右両側方部に通路部材が配設されているので、通路部材とマンホール部及びフレーム部との干渉を避けることができ、マンホール部15の機能を維持することができるという効果がある。
【0024】
また、通路部材がマンホール部との干渉を避けて配設されているので、タンクのマンホール部側の強度を確保することができるという効果がある。
【0025】
つまり、タンクの上部は作業者が乗って作業をする場合があるので、強度を確保する必要があり、通路部材がマンホール部との干渉を避けて配設されていることがタンクのマンホール部側の強度を確保することに対して有効になる。
【0026】
更に、通路部材は、タンクの左右両側方部に一対が配設されているので、タンクの片側方部のみに冷却された空気を流通させる場合に比べ温度分布が偏ることを抑制して、タンクに貯蔵された液体の温度が均等になるように冷却することができるという効果がある。
【0027】
請求項5記載のタンクローリによれば、請求項4記載のタンクローリの奏する効果に加え、往路側通路が復路側通路よりもタンクのマンホール部側に位置するように配設されているので、タンクのマンホール部側にフレーム部側よりも温度の低い空気を流通させることができ、タンクに貯蔵された液体の温度が均等になるように冷却することができるという効果がある。
【0028】
つまり、タンクに貯蔵された液体は、タンクのマンホール部側の温度の方がフレーム部側の温度よりも相対的に高い温度になっている(液体は温度が高いほど比重が軽い)ので、液体の温度が高い側に温度の低い空気を流通させることで、タンクに貯蔵された液体の温度分布が偏ることを抑制する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1(a)は、本発明の一実施の形態におけるタンクローリ1の側面図であり、図1(b)は、クーラ3を模式的に示す模式図である。
【0030】
まず、タンクローリ1の概略構成について説明する。タンクローリ1は、タンク2に貯蔵された液体(例えば、飲料)を冷却しつつ搬送するための車両であり、図1(a)に示すように、液体を貯蔵するタンク2と、そのタンク2の前端部(タンクローリ1の前方側)に配設されるクーラ3と、それらタンク2及びクーラ3を支持するフレーム部4と、そのフレーム部4を支持するトラック5とを主に備えている。
【0031】
クーラ3は、タンク2に貯蔵された液体を冷却するための装置であり、クーラ3により冷却された空気がタンク2の外壁面に設けられた流通経路内に冷却された空気を送風して流通させることができるように構成されている。その結果、空気とタンク2との熱伝導によりタンク2を冷却すると共に、タンク2と液体との熱伝導により液体を冷却することができるので、タンク2に貯蔵された液体を所定の温度(例えば、4℃)に冷却することができる。なお、タンク2及びクーラ3の構成については、後に詳細に説明する。
【0032】
フレーム部4は、タンク2及びクーラ3を支持するための部材であり、タンク2及びクーラ3の下部(地面G側)に配設され、タンク2及びクーラ3を下部(地面G側)から支えている。
【0033】
トラック5は、エンジン(図示せず)等の駆動装置や運搬部5aを備え、走行可能に構成された車両であり、その運搬部5a上にフレーム部4が取着されている。これにより、タンク2に貯蔵された液体を冷却しつつ、トラック5により搬送することができる。
【0034】
次いで、各部の詳細について説明する。クーラ3は、冷媒(例えば、フロンガス)を用いたヒートポンプ式のクーラであり、図1(b)に示すように、圧縮機6と放熱器7と膨張弁8と冷却器9と送風機10とを主に備えている。
【0035】
圧縮機6は、冷媒を圧縮するための装置であり、駆動源とピストンとシリンダ(いずれも図示せず)とを主に備えて構成されている。放熱器7は、冷媒を冷却するための装置であり、冷媒が管路内を流通するように形成されている。膨張弁8は、液体の冷媒を噴射するための装置であり、ノズルとダイアフラム(いずれも図示せず)とを主に備え、液体の冷媒をノズルから噴射するように構成されている。冷却器9は、空気を冷却するための装置であり、液体の冷媒が管路内を流通するように形成されている。送風機10は、空気を送風するための装置であり、駆動源と羽根(いずれも図示せず)とを主に備え、駆動源により羽根が回転するように構成されている。
【0036】
クーラ3では、図1(b)の実線で示すように、冷媒を矢印で示す向きに従って循環させることで、冷却器9の周りの空気を冷却する。その方法は、まず、冷媒が圧縮機6により圧縮される。圧縮機6により圧縮された冷媒の温度は高温になるため、次いで、圧縮機6から放熱器7へ冷媒が送給され、放熱器7により冷却される。次いで、放熱器7により冷却され液化した冷媒は膨張弁8に送給され、その膨張弁8により冷却器9に噴射される。この時、高圧状態の冷媒が低圧の冷却器9側へ噴射されることで液体状態であった冷媒が気化して冷却器9の熱を奪うので、冷却器9が冷却される。冷却器9が冷却されることで、冷却器9の周りの空気が冷却器9により熱を奪われて冷却される。その後、冷媒は、再び圧縮機6に戻されて、上述したサイクルが繰り返し行われる。
【0037】
また、冷却器9の近傍に送風機10が配設されており、冷却器9で冷却された空気が、後述するタンク2の外壁面に設けられた流通経路内に送給される(図2及び図3参照)。
【0038】
次いで、図2及び図3を参照して、タンク2の詳細構造について説明する。図2(a)は、タンク2を側面から視た側面図であり、図2(b)は、図2(a)に示すIIb−IIb線におけるタンク2の断面図であり、図2(c)は、図2(a)に示すIIc−IIc線におけるタンク2の断面図である。また、図3は、図1(a)のAで示す部分を拡大した拡大図である。なお、図3は、タンク2及びクーラ3の一部が断面視されている。
【0039】
タンク2は、図2に示すように、内壁11と、その内壁11の外壁面に配設されるダクト12と、内壁11及びダクト12の外周に覆設される断熱材13と、その断熱材13の外周に覆設される保護材14と、タンク2の上部(図2(a)上側)に配設されるマンホール部15とを備えている。
【0040】
内壁11は、内部に液体を貯蔵するための容器であり、耐食性に優れ不錆性を維持する金属板(例えば、ステンレス鋼)により軸心Oを有し、両端部が閉封された円筒形状に形成されている。
【0041】
ダクト12は、クーラ3により送給された空気を流通させるための部材であり、図2(b)に示すように、金属板により断面コ字形状に形成されていると共に、そのコ字形状の開放部分側の端面を内壁11の外壁面に固着することで、内壁11とダクト12との間に空気の流通経路となる往路側通路12aと復路側通路12bと連通通路12cとを形成する。なお、断面コ字形状とは、空気の流通方向に垂直な断面視における断面形状のことである。
【0042】
往路側通路12aは、図2(a)に示すように、クーラ3から送給された空気を流通させるための流通経路であり、復路側通路12bは、往路側通路12aを流通しクーラ3に戻る空気を流通させるための流通経路である。また、連通通路12cは、往路側通路12aと復路側通路12bとを接続する空気の流通経路であり、往路側通路12aから送給された空気を復路側通路12bへ流入させるものである。
【0043】
なお、ダクト12は、内壁11の軸心Oと平行に延設されていると共に、延設方向に沿って一定の経路幅W(図2(b)参照)を有している。これにより、ダクト12が途中で屈折していたり狭くなっている場合に比べ空気を直線的に流通させることができるので、空気の流動抵抗が低減してクーラ3による送風効率を向上させることができる。
【0044】
また、例えば、ダクト12が内壁11の軸心Oと平行に延設されていても一定の経路幅Wを有していない場合には、内壁11の外壁面と固着されるダクト12の経路高さH(図2(b)参照)を内壁11の外壁面の湾曲形状に合わせて変化させなければならない。これに対し、ダクト12が一定の経路幅Wで形成されていれば、ダクト12の経路高さHを内壁11の外壁面の湾曲形状に合わせて変化させる必要がなく一定の高さで形成することができる。これにより、ダクト12の製造が容易になり、タンク2の製造を容易にすることができる。
【0045】
また、ダクト12は、図2(a)及び図2(b)に示すように、往路側通路12aが復路側通路12bよりもタンク2のマンホール部15側に位置するように配設されている。これにより、タンク2のマンホール部15側にフレーム部4側よりも温度の低い空気を流通させることができるので、内壁11に貯蔵された液体の温度が均等になるように冷却することができる。
【0046】
つまり、内壁11に貯蔵された液体はタンク2のマンホール部15側の温度の方がフレーム部4側の温度よりも相対的に高い温度になっている(液体は温度が高いほど比重が軽い)ので、液体の温度が高い側に温度の低い空気を流通させることで、内壁11に貯蔵された液体の温度分布が偏ることを抑制する。
【0047】
更に、ダクト12は、図2(b)に示すように、マンホール部15とフレーム部4との間となる内壁11の左右両側方部(タンクローリ1の左右両側)に一対の往路側通路12aと復路側通路12bとが形成されるように配設されている。これにより、ダクト12とマンホール部15及びフレーム部4との干渉を避けることができるので、マンホール部15の機能を維持することができる。
【0048】
また、ダクト12がマンホール部15との干渉を避けて配設されているので、タンク2のマンホール部15側の強度を確保することができる。
【0049】
つまり、タンク2は、上述したように、内壁11の外周に断熱材13が覆設され、その断熱材13の外周に保護材14が覆設されているので、保護材14と内壁11とを補強リブ(図示せず)により連結して、保護材14の強度を確保すると共に、保護材14の内壁11に対する位置決めを行っている。特に、タンク2の上部(図2(a)上側)は、作業者が乗って作業をする場合があるため、強度を確保する必要がある。このような特殊な条件においては、ダクト12がマンホール部15との干渉を避けて配設されていれば、その分、補強リブの強度が増加するので、タンク2のマンホール部15側の強度を増加させることができる。
【0050】
更に、ダクト12は、図2(b)に示すように、内壁11の左右両側方部(タンクローリ1の左右両側)に一対の往路側通路12aと復路側通路12bとが形成されるように配設されているので、内壁11の片側方部(タンクローリ1の左右片側)のみに冷却された空気を流通させる場合に比べ、温度分布が偏ることを抑制して、内壁11に貯蔵された液体の温度が均等になるように冷却することができる。
【0051】
連通通路12cは、上述したように、往路側通路12aと復路側通路12bとを接続する空気の流通経路であり、図2(a)に示すように、タンク2の後端部(図2(a)右側)に配設されている。これにより、タンク2の前端部(図2(a)左側)に位置するクーラ3から送給され往路側通路12aを流通した空気を復路側通路12bに流入させて、再びタンク2の前端部(図2(a)左側)に位置するクーラ3に戻すことができる。
【0052】
また、連通通路12cは、内壁11の軸心Oと垂直に延設されていると共に、往路側通路12a及び復路側通路12bと同様に、延設方向に沿って一定の経路幅W及び経路高さHを有している。これにより、往路側通路12a及び復路側通路12bと同様に、空気を直線的に流通させて、流動抵抗を低減することができると共に、タンク2の製造を容易にすることができる。
【0053】
断熱材13は、内壁11及びダクト12からの放熱を遮断するための部材であり、断熱性に優れた樹脂(例えば、ポリウレタン)により形成されている。これにより、内壁11に貯蔵された液体の温度が上昇するのを抑制して、保冷性能の向上を図ることができる。
【0054】
保護材14は、断熱材13を日射しや降雨などの被害から守るための部材であり、耐候性に優れた金属板(例えば、ステンレス鋼)により形成されている。これにより、内壁11も日射しや降雨などの被害から保護できるので、タンク2の耐候性の向上を図ることができる。
【0055】
マンホール部15は、内壁11の内部をタンク2の外部と接続するための管路であり、断熱材13及び保護材14を貫通して形成されている。これにより、作業者が内壁11の内部で作業を行うことができる。
【0056】
なお、クーラ3は、図3に示すように、空間3a内に冷却器9及び送風機10が配設され、冷却器9により空間3a内の空気を冷却すると共に、その空間3aの冷却された空気を送風機10によってダクト12により形成された2の往路側通路12aに送給するように構成されている。これにより、空間3a内の空気を冷却器9により冷却して送風機10に回転駆動を付与することで、2のダクト12に冷却された空気をそれぞれ送給することができる。
【0057】
よって、クーラ3の冷却器9により冷却された空気を循環させて再利用するので、クーラ3で行われる熱交換の仕事量が低減して、クーラ3の冷却効率を向上させることができる。また、既にクーラ3により冷却された空気を再利用するので、クーラ3を始動してからタンク2に貯蔵された液体を冷却するまでの応答時間を短縮することができる。更に、クーラ3の空間3aとダクト12により形成された空気の流通経路との密閉された空間内の空気のみをクーラ3で冷却するので、内壁11の外壁面を全域にわたって冷却する場合に比べクーラ3の冷却効率を向上させることができる。
【0058】
以上のように、本発明におけるタンクローリ1によれば、ダクト12とクーラ3とを備え、ダクト12内をクーラ3により冷却された空気が流通することでタンク2に貯蔵された液体を冷却することができるので、ダクト12を形成する部材等に腐食や破損が発生し、その腐食や破損した箇所から冷却された空気が漏れ出した場合でも、冷却のための空気を枯渇させることなくダクト12内に空気の流通を確保することができる。これにより、タンク2に貯蔵された液体を確実に冷却することができ、タンク2に貯蔵された液体を冷却する冷却機能の信頼性を向上することができる。
【0059】
また、上述したように、冷却された空気が漏れ出した場合でもタンク2に貯蔵された液体を冷却することができるので、空気が漏れ出した箇所の補修を不要とすることができる。その結果、メンテナンスコストの削減を図ることができる。
【0060】
更に、従来のタンクのように冷却液を使用しないので、タンクローリ1の重量を軽減することができる。これにより、車軸の許容荷重に対して負荷可能な荷重に余裕ができるので、その分、タンク2の貯蔵量の増大を図ることができる。
【0061】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0062】
例えば、上述した実施の形態では、タンク2に貯蔵された液体の温度が4℃に冷却されるように構成されていた。しかし、タンク2に貯蔵される液体の温度は4℃に限定されるものではなく、タンク2に貯蔵される液体に最も相応しい保存温度に冷却されるように構成することが望ましい。
【0063】
また、上述した実施の形態では、ダクト12により形成された連通通路12cが内壁11の軸心Oと垂直に延設されるように構成されていた。しかし、タンク2の側面視(図2(a)紙面垂直方向視)において、ダクト12をU字形状となるように形成して、往路側通路12aと復路側通路12bとを接続するように構成してもよい。これにより、流通経路内を流通する空気の流動抵抗を、更に低減させることができる。
【0064】
なお、上述したように、ダクト12をU字形状となるように形成しなくても、往路側通路12aと復路側通路12bとが接続される端面部分の形状のみを滑らかに形成することで、流通経路内を流通する空気の流動抵抗を低減させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】(a)は本発明の一実施の形態におけるタンクローリの側面図であり、(b)はクーラを模式的に示す模式図である。
【図2】(a)はタンクの側面図であり、(b)は(a)に示すIIb−IIb線におけるタンクの断面図であり、(c)は(a)に示すIIc−IIc線におけるタンクの断面図である。
【図3】図1(a)のAで示す部分を拡大した拡大図である。
【符号の説明】
【0066】
1 タンクローリ
2 タンク
3 クーラ(冷却手段)
4 フレーム部
6 圧縮機(冷却手段の一部)
7 放熱器(冷却手段の一部)
8 膨張弁(冷却手段の一部)
9 冷却器(冷却手段の一部)
10 送風機(冷却手段の一部)
11 内壁(タンクの一部)
12 ダクト(通路手段)
12a 往路側通路
12b 復路側通路
15 マンホール部
O 内壁の軸心(タンクの軸心)
W 経路幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が貯蔵されるタンクを備えるタンクローリにおいて、
前記タンクの外壁面に配設され、空気の流通経路となる通路部材と、
前記通路部材内に冷却された空気を送風して流通させる冷却装置とを備え、
前記通路部材内を前記冷却装置により冷却された空気が流通することで、前記タンクに貯蔵された前記液体が冷却されるように構成されていることを特徴とするタンクローリ。
【請求項2】
前記通路部材は、前記冷却装置から送風された空気の流通経路となる往路側通路と、前記往路側通路を流通し前記冷却装置に戻る空気の流通経路となる復路側通路とを備え、
前記往路側通路と前記復路側通路との流通経路内を前記冷却装置から送風された空気が循環するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のタンクローリ。
【請求項3】
前記往路側通路と前記復路側通路とは、前記タンクの軸心と平行に延設されると共に、延設方向に沿って一定の経路幅を有していることを特徴とする請求項2記載のタンクローリ。
【請求項4】
前記タンクの上部に配設され、前記タンクの内部を外部と接続するマンホール部と、
前記タンクの下部に配設され、前記タンクを支持するフレーム部とを備え、
前記通路部材は、前記マンホール部と前記フレーム部との間となる前記タンクの左右両側方部に一対が配設されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のタンクローリ。
【請求項5】
前記往路側通路が前記復路側通路よりも前記タンクの上部側に配設されていることを特徴とする請求項4記載のタンクローリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−106450(P2007−106450A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299424(P2005−299424)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(501337409)中央輸送株式会社 (3)
【Fターム(参考)】