説明

タンク体

【課題】
解決しようとする課題は、タンク体の開口部天面が成形時に変形してしまったり、キャップ組付時に、キャップとタンク体の開口部天面との間に異物が入り込んでしまったりして、キャップとタンク体の開口部天面との間に隙ができてしまう事により、タンク体内に貯蔵していた液体が漏れ出てしまう危険性があるという点である。
【解決手段】
液体を補給する為の開口部を有するタンク本体と、前記開口部を塞ぐキャップと、前記キャップの裏側に取り付けられているパッキンと、前記キャップと一体に成形され、先端が前記チューブに差し込まれているパイプによって構成されているタンク体であって、
前記キャップの裏面に前記キャップの外周とほぼ同心円状の凸形状部を設けて、前記開口部の天面に、前記キャップの裏面に設けられている凸形状部に相対する位置に凹形状部を設けることにより前記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車エンジン用の冷却水を貯蔵するリザーブタンク等のタンク体に関する。
【背景技術】
【0002】
リザーブタンク等のタンク体に関する従来技術としては特許文献1に開示されているようなものがある。
【0003】
しかし、特許文献1に開示されているような物では開口部の天面が平らであるから、タンク体の開口部天面が成形時に変形してしまったり、キャップ組付時に、キャップとタンク体の開口部天面との間に異物が入り込んでしまったりして、キャップとタンク体の開口部天面との間に隙ができてしまう事により、タンク体内に貯蔵していた液体が漏れ出てしまう危険性があるという欠点があった。
【0004】
以下、図によってより詳しく説明する。
【0005】
図1は、従来のリザーブタンク1の斜視図である。
前記リザーブタンク1は、タンク本体2とキャップ3とパイプ4とホース5によって構成されている。
【0006】
図2は、前記リザーブタンク1の図1におけるA−A断面図である。
前記キャップ3は、前記タンク本体2の開口部6を外側から包み込むような形状をしている。
前記タンク本体2の前記開口部6の天面aは平らな形状をしている。
【0007】
しかしながら、前記タンク本体2の前記開口部6の天面aが成形時に変形してしまったり、前記キャップ3を組付ける時に、前記キャップ3の裏面bと前記タンク本体2の前記開口部6の天面aとの間に異物が入り込んでしまったりして、前記キャップ3と前記タンク本体2の前記開口部6の天面aとの間に隙ができてしまう事により、前記タンク本体2内に貯蔵していた液体が漏れ出てしまう危険性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−23810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする課題は、タンク本体の開口部の天面が成形時に変形してしまったり、キャップを組付ける時に、キャップの裏面とタンク本体の開口部の天面の間に異物が入り込んでしまったりして、キャップとタンク本体の開口部の天面との間に隙ができてしまう事により、タンク本体内に貯蔵していた液体が漏れ出てしまう危険性がある点である。本発明は上記の点を解決するためになされた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
熱可塑性樹脂のブロー成形によって形成され、液体を補給する為の開口部を有するタンク本体と、外周がほぼ円形状の前記開口部を塞ぐためのキャップと、前記キャップの裏側に取り付けられているパッキンと、前記キャップと一体に形成されているパイプによって構成されているタンク体であって、
前記キャップの裏面、もしくは前記開口部の天面に前記キャップの外周とほぼ同心円状の凸形状部が設けられていることを最も主要な特徴とする。
【0011】
また、キャップの裏面、もしくは開口部の天面に設けられている凸形状部に相対する位置の前記開口部の天面、もしくは前記キャップの裏面に凹形状部が設けられていることを第2の主要な特徴とする。
また、段落0010の記載内容における凸形状部のFが凹形状であることを第3の主要な特徴とする。
また、段落0011の記載内容における凸形状部および凹形状部の実際の形状がそれぞれ凹形状および凸形状であることを第4の主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、貯蔵されている液体がタンク本体の開口部とキャップの隙間から漏れるのを防ぐことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来のリザーブタンク1の斜視図
【図2】従来のリザーブタンク1の図1におけるA−A断面図
【図3】本発明に係るリザーブタンク1の斜視図
【図4】リザーブタンク1の図3におけるB−B断面図
【図5】リザーブタンク1の図4におけるC部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0014】
貯蔵されている液体がタンク本体の開口部とキャップの隙間から漏れるのを防ぐという目的を、キャップの裏面にキャップの外周とほぼ同心円状の凸形状部を設ける事によって、経済性を損なわずに実現した。
【実施例1】
【0015】
本発明の構成を発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。尚、従来例と同一の符号は同一の部材を表す。
【0016】
図3は、本発明の1実施例を示すリザーブタンク1の斜視図である。
チューブ8は、液体を前記タンク本体2内に注水する際に使われる。
前記チューブ8の材質はゴムである。
【0017】
図4は、リザーブタンク1の図3におけるB−B断面図である。
タンク本体2は、開口部6を有している。
前記開口部6は、液体を補給する際に利用される。
キャップ3は外周がほぼ円形状で、前記開口部6を外側から包み込むような形状をしており、前記開口部6を塞いでいる。
前記キャップ3の材質はポリプロピレンである。
パイプ4は、前記キャップ3と一体に形成されており、先端は前記チューブ8に差し込まれている。
【0018】
図5は、リザーブタンク1の図4におけるC部拡大図である。
前記キャップ3にはパッキン7が取り付けられているが、取り付けられた際に前記パッキン7と接している面を前記キャップ3の裏面bとする。
前記キャップ3の前記裏面bには、前記キャップ3の外周とほぼ同心円状の凸形状部9が設けられている。
前記開口部6が前記キャップ3によって塞がれる際に、前記パッキン7と接している面を天面aとする。
前記開口部6の前記天面aには、前記キャップ3の前記裏面bの前記凸形状部9がかみ合う位置に、前記キャップ3の外周とほぼ同心円状の凹形状部10が設けられている。
前記パッキン7の材質はゴムである。
【0019】
次にリザーブタンク1の製造方法を説明する。前記タンク本体2のブロー成形用の分割金型(図示せず)内に半溶融状態にあるポリプロピレン等の熱可塑性樹脂のパリソン(図示せず)を垂下させ該分割金型を型締めする。
【0020】
尚、前記パリソンに適用される熱可塑性樹脂としてはポリプロピレンに限らず、ポリエチレンや他のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、シンジオタクチックポリスチレン、ポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ブロー成形が可能な樹脂であれば何でも良い。
【0021】
その後前記パリソン内に圧縮空気を吹き込んでブローアップし離型して、前記タンク本体2のブロー成形を完了させる。
【0022】
形成された前記タンク本体2の前記開口部6に、前記キャップ3と前記パッキン7を組付ける事によって、前記リザーブタンク1の製造は完了となる。
【0023】
前記キャップ3と前記パッキン7が、前記開口部6に組み付けられると、前記キャップ3の前記裏面bに設けられた前記凸形状部9が、前記開口部6の前記天面aに設けられた前記凹形状部10に前記パッキン7を押し込む。
【0024】
上記のように、前記パッキン7が押し込まれることによって、前記キャップ3の前記裏面bと前記開口部6の前記天面aとの間に隙ができてしまったとしても、押し込まれた部分が壁となり、貯蔵されている液体が漏れる事を防ぐ。
【0025】
以上実施例に述べたように本発明によれば、貯蔵されている液体がタンク本体の開口部とキャップの隙間から漏れるのを防ぐ効果がある。
【0026】
また、実施例の中で、開口部の天面に凹形状部が形成されているが、必ずしも必要ではなく、キャップの裏面の凸形状部のみでも良い。
【0027】
尚、前記凸形状部と前記凹形状部との実際の形状が入れ替わってもよい。
即ち、前記凸形状部の実際の形状が凹形状であり、同時に前記凹形状部の実際の形状が凸形状であってもよい。この場合、入れ替わる前後で両者の発明の効果はまったく同一になる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、リザーブタンクだけでなく、液体を貯蔵するタンク体全てに利用可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 リザーブタンク
2 タンク本体
3 キャップ
4 パイプ
5 ホース
6 開口部
7 パッキン
8 チューブ
9 凸形状部
10 凹形状部
a 天面
b 裏面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂のブロー成形によって形成され、液体を補給する為の開口部を有するタンク本体と、外周がほぼ円形状の前記開口部を塞ぐためのキャップと、前記キャップの裏側に取り付けられているパッキンと、前記キャップと一体に形成されているパイプによって構成されているタンク体であって、
前記キャップの裏面、もしくは前記開口部の天面に前記キャップの外周とほぼ同心円状の凸形状部が設けられていることを特徴とするタンク体。
【請求項2】
請求項1におけるキャップの裏面、もしくは開口部の天面に設けられている凸形状部に相対する位置の前記開口部の天面、もしくは前記キャップの裏面に凹形状部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のタンク体。
【請求項3】
請求項1における凸形状部の実際の形状が凹形状であることを特徴とする請求項1記載のタンク体。
【請求項4】
請求項2における凸形状部および凹形状部の実際の形状がそれぞれ凹形状および凸形状であることを特徴とする請求項2記載のタンク体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−180131(P2012−180131A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2012−141599(P2012−141599)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【出願人】(503233130)株式会社アイテック (96)
【Fターム(参考)】