説明

タンパク質系食物製品及び関連する製造方法

本発明の目的は、好ましい栄養生理及びサクサクとした砕けやすい食感を有する食物製品、特にスナック製品、及び関連する製造方法を得ることである。この達成のために、当該食物製品は実質的にデンプン未含有で、且つ発泡構造を有しており、固体成分は少なくとも約25質量%のタンパク質分を有し、タンパク質分の少なくとも約65質量%がゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質を基礎とする食品製品、特にスナック製品に関する。本発明はさらに、この種の食物製品を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
摂取する際に、サクサクとした砕けやすい食感が特徴を有する製品は、スナックとして非常に人気がある(例えば、チップス(crisps)、クラッカー、プレッツェルスティック又はその同等物)。この種のスナック製品は、専ら又はほとんどが炭水化物、特にデンプンからなり、所望のカリカリした食感はたっぷりの油で揚げることにより得られるので、多くの場合高脂質分も添加されている(例えばポテトチップス)。
【0003】
この高炭水化物及び任意の脂質分が原因となって、これらスナック製品は栄養的観点から非常に不利であるため、代替製品の要請がある。DE 30 39 348 A1では、押出し発泡タンパク質系スナック製品で、乾燥部分中51〜95質量%のタンパク質を含有し、当該タンパク質は30〜70質量%のカゼイン塩及び任意のカゼイン、2〜25質量%の穀物タンパク質及び10〜70質量%のダイズタンパク質からなる製品が報告されている。しかし該製品も、とりわけダイズタンパク質及び穀物タンパク質と共に、製品中に持ち込まれる炭水化物及び脂質を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、栄養的に有利で且つ同時にサクサクとした砕けやすい食感を有する、食物製品、特にスナック製品及びその製造のための方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明によって達成される。ここで本発明とは、最初に述べた種類の食物製品において、かかる食物製品が、80質量%以上の固形分を有し、実質的にデンプン未含有で且つ発泡構造を有し、前記固形分は約25質量%以上のタンパク質分を有し、このタンパク質分うち65質量%以上がゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物である、食物製品である。
【0006】
本発明による食物製品は、ヒト摂取用に適するだけでなく、動物(例えばイヌ及び魚)の食物としても使用できる。
【0007】
「実質的にデンプン未含有」なる語は、本発明の範囲において、食物製品が約5質量%以下でデンプン分を有する場合であると解する。ただし、デンプン分は、非常に低含量であるか、使用される原材料の純度に応じて、実質的にゼロであってもよい。本発明によるこの種の食物製品は、特にグルテンに対する不耐性を患うセリアック病患者のための食物として好適である。いずれの場合においても、タンパク質、すなわちゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物は、本発明による食物製品の基礎として使用され、デンプンを基とする製品と比較して2つの観点において有利である。すなわち、タンパク質は栄養的により好都合なだけでなく、デンプンより急速な満腹効果ももたらすので、スナック製品においてしばしば発生する、過剰量の製品を摂取する現象を阻止する。
【0008】
従来のポテトチップスは、その製造方法が原因で、発ガン性のアシルアミドが高負荷されていることがある。これは、デンプンを過熱する際、特にたっぷりの油で揚げる際のメイラード反応で生成する。本発明によるスナック製品は、実質的にデンプン未含有で、且つ製造プロセスには高温を全く必要としない。すなわち、アシルアミド形成の危険性は明らかに減少する。
【0009】
特に、ダイズタンパク質、カゼイン塩、ミルクのタンパク質及び鶏のタンパク質が適しており、追加的タンパク質として、ゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物の成分を補ってもよい。当該追加的タンパク質は個々に、又は2以上の追加的タンパク質の混合物として使用してもよく、さらにタンパク質成分のうち最大35質量%まで使用してもよい。
【0010】
固形分が80質量%以上、に従うと、本発明による食物製品の水分は20質量%以下である。
【0011】
本発明による食物製品は、具体的に肥満の場合において、従来のスナック製品と比較してより害が少ない。
【0012】
所望の食感、すなわち上記の通りサクサクとした砕けやすい食感は、当該食物製品が、発泡構造を有するという、もう一方の本発明の観点において達成される。ただし、従来の市販ゼラチン(例えば、ブルーム値で200〜300g)のみからなる発泡構造の場合、得られる製品は粘つき、噛んでいる間に硬くなる食感であり、前記要請が満たされない。
【0013】
驚くべきことに、本発明の関連において、不都合のないサクサクした砕けやすい製品を、使用するタンパク質の平均分子量を低減することにより作製可能であることを確認した。
【0014】
例えば、低ブルームのゼラチン(例えば、約100ブルーム)単独、又は種々の異なるブルーム値を有するゼラチンとの混合物は、任意にコラーゲン加水分解物と共にうまく使うことができる。例えばコラーゲン加水分解物と組み合わせた高ブルームゼラチンにより、感覚の観点から非常に興味深い製品を作製できる。
【0015】
本発明の好ましい実施態様によれば、固形分中のタンパク質分は、50質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。特に、かかる食物製品はタンパク質成分割合の高い栄養食品に適している。
【0016】
残りのタンパク質分は、例えば香味料、スパイス、野菜片又は同等のものにより、あるいは甘い食物製品の場合は、香味料、果物片、ナッツ又は同等のものにより形成してもよい。
【0017】
さらに、本発明による当該食物製品は、果物、野菜、ナッツ又は他の固体食物製品でその表面を装飾してもよい。この場合本発明による食物製品は、かかる装飾のための担体の役目を果たす。ただし、この装飾物は食物製品の組成には算入しない。
【0018】
ブルーム値は、10℃でゲル化した6.67質量%ゼラチン溶液のゲル強度であり、ヨーロッパ薬局方の第4版(Ph. Eur. 4)に記載される標準ブルーム試験に従って決定される。従来のより高いブルームのゼラチン型と比較して、低ブルームのゼラチンはより低い平均分子量を有する。
【0019】
本発明のある変形によると、食物製品のタンパク質分は、ゼラチン及び10質量%以上のコラーゲン加水分解物を含んでなる。既にコラーゲンの加水分解産物に変化した状態であるゼラチンに対し、本発明の範囲において「コラーゲン加水分解物」なる語は、標準ブルーム試験条件下ではもはやゲルでない範囲、すなわちブルーム強度がゼロgまで加水分解された産物を意味する。特に、コラーゲン加水分解物はゼラチンの酵素的加水分解によっても作製できる。
【0020】
10質量%のコラーゲン加水分解物分で、既に本発明による食物製品の食感に顕著な効果をもたらす。好ましい実施態様によれば、タンパク質分は35質量%以上のコラーゲン加水分解物を含んでなる。タンパク質分の選択において、使用するゼラチンのブルーム値も、具体的にある役割を果たしている。すなわち同じ効果を得るためには、低ブルームゼラチンより中よりも、高ブルームゼラチン中におけるコラーゲン加水分解物の使用が好まれる。
【0021】
過剰量のコラーゲン加水分解物は、ザラザラした食感の食物製品をもたらす可能性がある。従って、タンパク質分は、特に高ブルームゼラチンを使用する場合には、好ましくは85質量%以下のコラーゲン加水分解物を含んでなる。特に好ましくは、コラーゲン加水分解物分が80質量%以下である。45〜75質量%のコラーゲン加水分解物分が、最適な結果をもたらすことが多い。
【0022】
典型的に本発明の関連で使用されるコラーゲン加水分解物は、約0.1〜約30kDaの平均分子量を有する。平均分子量は好ましくは約0.5〜約20kDa、特に約1〜約12kDaの範囲である。
【0023】
本発明による食物製品の摂取時の食感は、その水分による影響も受ける。水分は約8〜約14質量%、特に約10〜約12質量%が好ましい。水分が過剰な場合は、食物製品は軟らかく噛んでいる際にスポンジのように感じられる傾向がある。既知のデンプン系スナック製品との比較において、本発明による食物製品は、周囲からの水に対する低吸水性が際立っており、包装開封後も長期間新鮮でサクサクした状態を維持する。
【0024】
食物製品は好ましくは塩、スパイス及び/又は香味料を含んでなる。この場合、従来のスナック製品中にあるものとして既知の全ての香味料、例えばパプリカ、オニオン又は酢の香味料を組み込むことができる。
スパイス及び/又は香味料及び/又は塩の典型量は、本発明による食物製品の総質量の約2〜6質量%である。
【0025】
可能な限りデンプン未含有の食物製品を提供する目的を考慮して、炭水化物分が45質量%以下であるようなスパイスを選択する。
【0026】
スパイス及び香味料も脂質分を伴うが、通常はスパイス/香味料分を基準として約3質量%を超えない。
【0027】
当該添加物は、タンパク質分中に均一に分散してもよいが、塩、スパイス及び/又は香味料を食物製品の外表面に付与することは特に好ましい。この場合において、同じ食感効果を達成するためにはより低量の添加物を使用するべきであること知られている。
【0028】
本発明の具体的な実施態様によれば、食物製品は1又は複数の糖類、糖代用品及び/又は合成甘味料を含んでなる。この件について、本発明による食物製品は、菓子部門において、例えばビスケット又は同等物についての、デンプン未含有の(及び甘味料を使う場合は炭水化物未含有の)代替物として使用できる。
糖がレシピの構成要素として使用される場合は、固体分総質量の約6質量%以上のゼラチン分が、製造プロセス中で発泡構造を安定化させるために推奨される。
ただし、糖未含有の本発明による食物製品も、特に好ましい。
【0029】
食物製品は好ましくは脂質未含有である。「脂質未含有」とは、本発明に関連する食物製品の総質量のうち約3質量%以下で含有することを意味する。脂質の添加は、本発明の範囲において、風味の理由、又は製造方法に関する理由のいずれからも必要ないが、例えばたっぷりの油で揚げるポテトチップスの場合には必要である。従って、本発明による食物製品は、デンプン及び脂質未含有である、従来のスナック製品の代替物の可能性を提供する。
【0030】
原材料の選択に加えて、食物製品の密度も、摂取する際その食感に影響を与える。本発明による製造方法の過程(以下参照)で、発泡構造の製造の際に、密度は幅広く設定され、好ましくは約0.05〜約0.8 g/cm3、特に約0.1〜約0.5 g/cm3である。発泡構造の平均孔径は好ましくは約30μm〜約4mmの範囲である。
【0031】
本発明の非常に低比重(約0.05 g/cm3以上)の食物製品は、例えば魚餌として使用する。
【0032】
ヒト摂取用の食物製品は、一般的に約0.1 g/cm3以上の比重を有する。
約0.8 g/cm3超の場合、本発明による食物製品を噛んだ際の硬さは、しばしば非常に大きくなる。好ましい比重は約0.5g/cm3以下であることが多い。
【0033】
本発明による食物製品は、様々な形態で提供でき、例えばチップス、クラッカー、ビスケット又は同等物がある。特にスナックとして、又はサラダもしくはスープに味付けするためのクルトンの形態で使用することもできる。穀物代用製品は追加的な形態である。チョコレートバーの充填物としての使用も可能性がある。
【0034】
前述の目的は、本発明により達成される。ここで本発明とは、最初に述べた種類の方法で、当該方法は、
a)5〜60質量%のゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物を含有する水溶液を提供すること、
b)前記水溶液を発泡させること、及び
c)発泡水溶液を乾燥し、発泡構造を伴う食物製品を得ること、
を含んでなる。
【0035】
本発明による製造方法は、実施が比較的単純であり、食物製品を押出すこと、多くの油で揚げること又は焼くことを必要としない。製品の所望のサクサクした食感は、特に所望の原材料を発泡、及び、固体発泡構造の形成を伴う溶液の乾燥により得る。ただし、押出しはチップス製品の工業的製造プロセスにおいて利点を有する。
【0036】
ゼラチン及び任意のコラーゲン加水分解物の選択基準は、本発明による食物製品との関連で既に記載した。
【0037】
ステップa)における開始溶液中の、ゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物の総濃度の選択は、濃度が低すぎると乾燥後に製品が割れ、濃度が高すぎると溶液の発泡に問題があるとともに、製品が硬くなりすぎる、という点を考慮して行われる。特に良好な結果は、水溶液が、総量で20〜40質量%のゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物を含む場合である。
【0038】
可溶性及び不溶性のレシピ構成物を、好ましくは発泡前の水溶液にさらに添加する。より大きな粒子、特に例えばナッツ、野菜及び/又は果実片は、発泡後の気泡に添加しても、製品上に散りばめてもよい。
【0039】
溶液の発泡は、様々な技術を用いて行うことができる。溶液は好ましくは機械的に、特に泡立て機器、圧力泡立て機器又は静的ミキサーを用いてに泡立てられる。発泡はさらに、ガス流、特に空気流を溶液中に導入することによって行ってもよい。
【0040】
発泡溶液の湿潤密度は、異なる発泡方法及び/又は発泡の強度の選択により影響を受ける可能性がある。これは乾燥後に、作製される食物製品の密度及び発泡構造の平均孔径に影響を及ぼす。既に記載した通り、これらの因子は同様に食物製品の食感(サクサク感、砕け感)に影響を与える。
【0041】
特にゼラチンが水溶液のレシピの構成成分を形成する場合、好ましくは溶液を約40℃以上にする。ここで温度は、より好ましくは約60℃以上である。
【0042】
一方、ステップ(b)の水溶液は、好ましくは約20℃〜約50℃の範囲の温度で泡立てられる。
【0043】
製品の所望の形態によっては、発泡溶液を乾燥前に対応する金型に注ぎ入れてもよい。特に好ましくは乾燥前に、発泡溶液を支持体、特にベルト、シリンダー又は同等の物に塗布する。これは連続的製造方法を可能にし、その後、例えば個々の所望の大きさの断片に切断又は分割できる。
【0044】
本発明による方法のさらなる実施態様によれば、発泡溶液を乾燥前に急速凍結させる。急速凍結は、好ましくは部分的に、特に液体窒素中に発泡溶液の液滴を導入することにより行う。この手順では球状の製品を得ることができる。
【0045】
発泡溶液を好ましくは約60℃未満、より好ましくは30℃未満の温度で乾燥させる。温度が高すぎると、ゼラチンの再溶解及び発泡構造崩壊の危険性があるので、乾燥プロセスの前又は途中に、使用したゼラチンをゲル化する。ゲル化促進のため、乾燥前に発泡溶液を冷却してもよく、これは、発泡溶液を例えば冷却ベルトコンベア又は冷却シリンダーに塗布することで上手く実施できる。
【0046】
発泡溶液を乾燥中の相対湿度は、好ましくは約10〜約45%であり、特に約10〜約25%である。乾燥は2以上の段階、すなわち、段階的に温度が上昇し及び/又は段階的に相対湿度が下降する段階で実施することもできる。
【0047】
さらに好ましい可能性は、発泡溶液の凍結乾燥にある。これは特に上記急速凍結の後の可能性である。
【0048】
本発明による方法において、塩、スパイス及び/又は香味料は、発泡前に水溶液に添加しても、発泡後に食物製品の外表面に付与してもよい。既に述べた通り、同量でより大きな食感の効果が得られる点で、第二の変形が好ましい。
【0049】
これら及び本発明のさらなる利点は、以下の実施例を参照しながら、さらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、実施例1によって作製された本発明によるチップスの分割点のLM顕微鏡図の簡単な概略図を示す。
【実施例1】
【0051】
塩味スナック製品の製造
7.5質量%のブタ皮のゼラチン(260ブルーム)、22.5質量%のコラーゲン加水分解物(平均分子量3kDa)及び総量が3質量%の塩及びスパイス混合物を含有する水溶液を作製した。ブタ皮ゼラチンの代わりとして、ブルーム値が同じ牛肉結合組織のゼラチンを使用してもよい。
【0052】
「Mondomix Haas」VS-06型と呼ばれる圧力泡立て機器を用い、以下のパラメータで溶液を攪拌した。ポンプ回転速度:100rpm、入口温度(entry temperature):60℃、ミキシングヘッドの回転速度:1000rpm、ミキシングヘッドの圧力:3.4bar、空気導入:49.1 l/h、対圧力:3bar、出口温度(exit temperature):31.7℃、泡湿潤密度:0.3g/cm3である。
【0053】
気泡を、スプレッド用ナイフを用い、高さ1.5mmでベーキングシートに塗布した。気泡が固体になったら、2×2cmの大きさのチップスに切り込みを入れ、26℃、相対湿度10%で乾燥させた。その後チップスを切断点で分割した。
【0054】
官能評価においては、チップスは心地よいサクサク感、砕ける食感を有していた。
【実施例2】
【0055】
塩味スナック製品の製造
15質量%のブタ皮のゼラチン(260ブルーム)、15質量%のコラーゲン加水分解物(平均分子量3kDa)及び総量が5質量%の塩及びスパイス混合物を含有する水溶液を作製した。
【0056】
溶液を、圧力泡立て機器(実施例1で記載のもの)で泡立て、湿潤密度が約0.3 g/cm3の気泡を得た。
【0057】
気泡を、スプレッド用ナイフを用い、高さ1.5mmで平坦な支持体(ベーキングシート)上に分散させた。気泡が固体になったら、約2×2cmの大きさでチップスに切込みを入れ、これを26℃、相対湿度10%で乾燥させた。
【0058】
官能評価において、当該チップスは心地よいサクサク感、砕ける食感を有していた。
【0059】
ゼラチン及びコラーゲン加水分解物の代わりに、ブルーム値が約100gの、ゼラチンの30質量%分を含む水溶液を使用した場合、類似するチップスを作製できる。官能評価において、チップスのサクサク感はわずかに低かったが、許容可能であった。
【実施例3】
【0060】
塩味スナック製品の製造
15質量%のブタ皮のゼラチン(120ブルーム)+15質量%のコラーゲン加水分解物(平均分子量6kDa)を水溶液に共に入れた。さらなる処理を、実施例1に従って行った。
【0061】
乾燥は最大60℃、少なくとも20℃で実施できる。ここでは異なる乾燥領域、すなわち異なる温度が使用できる。パイロット実験室においては、乾燥だけ26℃で行った。
【0062】
代わりに、20℃未満の温度でのチップスの乾燥又は凍結乾燥を行ってもよい。
【0063】
官能評価においては、チップスは心地よいサクサク感、砕ける食感を有していた。
【実施例4】
【0064】
塩味スナック製品の製造
22.5質量%のブタ皮のゼラチン(95ブルーム)+7.5質量%のコラーゲン加水分解物(6kDa)を水中に共に溶解させた。さらなる処理は、実施例1の通りに行った。
【0065】
ただし、得られた製品は、感覚の点から実施例1よりも硬かった。この製品は動物の食物、例えばイヌの食物に適している。
【実施例5】
【0066】
甘いチップスの製造
12質量%のブタ皮のゼラチン(140ブルーム)、5質量%のコラーゲン加水分解物(平均分子量3kDa)、32.4質量%のスクロース、5.5質量%のグルコースシロップ及び0.1質量%のクエン酸を含む水溶液、着色剤及び香味料を作製した。圧力攪拌機器で溶液を発泡させ、さらなる処理は実施例1に記載の通りに行った。
【0067】
心地よいサクサク感、砕ける食感を有する甘いチップスが得られた。
【実施例6】
【0068】
甘いチップス/ビスケット/炭水化物代替物としてのシリアルバー用のポップシリアルの製造
11質量%のブタ皮のゼラチン(120ブルーム)+18質量%のコラーゲン加水分解物(3kDa)+0.2%香味料、1%クエン酸、1%着色剤。0.02%甘味料を、水溶液を形成するために処理した。
【0069】
甘味料の変わりにスクロースを使用することは、チップスにサクサクした食感をもたらすが、感覚の観点からは、コラーゲン加水分解物は必ず必要というわけではない。この実施例において、一つの選択肢として、ゼラチンに糖のみを添加して使用してもよい。
【0070】
円形/球の製品、例えばポップシリアル用に(チップス及びビスケット用の平面状製品の代わりに)、気泡を円形金型に注ぎ入れゲル化後に金型から取り出してもよいし、液体窒素に滴状で導入しその後チップスと同様に乾燥キャブネットで乾燥させてもよい。
【0071】
官能評価により心地よいサクサク感、砕ける食感であるという結果が得られる。
【0072】
組成物に依存する、さらなる可能な応用としては、
イヌ用スナック、魚餌、ミルクを入れるミューズリー用もしくはシリアルバー中でのシリアル代用製品(ポップシリアル)、又はバーもしくはチョコレート中のビスケット層としての応用がある。
【実施例7】
【0073】
チップスの保存性能
以下の表中にまとめられた試験において、様々なチップスレシピA〜Fの保存性能及び吸湿を、従来チップスG〜Kと比較した。
【0074】
まず、本発明によるチップスは、元々従来製品よりも高い割合で水分を有し、それにもかかわらず、匹敵する感覚特性を有することは特筆すべきである。
【0075】
開放保存5日後、全製品の水分は上昇する。その結果、従来チップス製品(G〜K)はその有利な感覚特性を失ったが、本発明の製品(A〜F)は実質的に変化のないままである。
【0076】
本発明による食物製品が、実質的に脂質が無い、さらには完全に脂質未含有の、具体的にスナック又はチップス形態で作製することもできるので、外気の酸素で保存中に悪臭を放つようになる問題もない。
【0077】
【表1】

表中では、以下の意味である。
ゼラチンA:牛骨ゼラチン95ブルーム
加水分解物A:コラーゲン加水分解物6kDa
ゼラチンB:牛結合組織ゼラチン50ブルーム
加水分解物B:コラーゲン加水分解物12kDa
ゼラチンC:ブタ皮ゼラチン260ブルーム
加水分解物C:コラーゲン加水分解物3kDa
【0078】
実施例7で使用したコラーゲン加水分解物は、各場合において、ブタ皮の原材料を基にして得られた。他のコラーゲン加水分解物、例えば牛肉結合組織又は牛骨の原材料を基にしたものは、同じ利点を有して使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約80質量%以上の固形分を有するタンパク質を基とする食物製品、特にスナック製品であって、ここで当該食物製品は実質的にデンプン未含有で、且つ発泡構造を有し、前記固形分は約25質量%以上のタンパク質分を有し、このタンパク質分のうち65質量%以上がゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物からなる、食物製品。
【請求項2】
前記タンパク質分が、その固形分の約50質量%以上である、請求項1に記載の食物製品。
【請求項3】
前記タンパク質分が、その固形分の約80質量%以上である、請求項2に記載の食物製品。
【請求項4】
前記タンパク質分が、約10質量%以上のコラーゲン加水分解物を含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の食物製品。
【請求項5】
前記タンパク質分が、約35質量%以上のコラーゲン加水分解物を含んでなる、請求項4に記載の食物製品。
【請求項6】
前記タンパク質分が、約85質量%以下のコラーゲン加水分解物を含んでなる、請求項1〜5いずれか1項に記載の食物製品。
【請求項7】
前記タンパク質分が、約80質量%以下のコラーゲン加水分解物を含んでなる、請求項6に記載の食物製品。
【請求項8】
前記タンパク質分が、約45質量%〜約75質量%のコラーゲン加水分解物を含んでなる、請求項7に記載の食物製品。
【請求項9】
前記コラーゲン加水分解物が、約0.1〜約30kDaの平均分子量を有する、請求項1〜8いずれか1項に記載の食物製品。
【請求項10】
前記コラーゲン加水分解物が、約0.5〜約20kDa、特に約1〜約12kDaの平均分子量を有する、請求項9に記載の食物製品。
【請求項11】
前記食物製品が、約8〜約14質量%、特に約10〜約12質量%の水分を有する、請求項1〜10いずれか1項に記載の食物製品。
【請求項12】
前記食物製品が、塩、スパイス及び/又は香味料を含んでなる、請求項1〜11いずれか1項に記載の食物製品。
【請求項13】
塩、スパイス及び/又は香味料が、前記食物製品の外部表面に塗布及び/又は外部層に導入されている、請求項12に記載の食物製品。
【請求項14】
前記食物製品が、1又は複数の糖類、糖代用品及び/又は甘味料を含んでなる、請求項1〜13いずれか1項に記載の食物製品。
【請求項15】
前記食物製品が、実質的に脂質未含有である、請求項1〜14いずれか1項に記載の食物製品。
【請求項16】
前記食物製品が、約0.05〜約0.8 g/cm3、特に0.1〜約0.5 g/cm3の密度を有する、請求項1〜15いずれか1項に記載の食物製品。
【請求項17】
チップス(crisps)、クラッカー、クルトン、穀物代用製品又はその同等の形態である、請求項1〜16いずれか1項に記載の食物製品。
【請求項18】
タンパク質を基とする食物製品を製造するための方法であって、
a)約5〜約60質量%のゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物を含有する水溶液を提供すること、
b)前記水溶液を発泡させること、及び
c)前記発泡水溶液を乾燥させ、発泡構造を有する食物製品を得ること、
を含んでなる方法。
【請求項19】
前記水溶液が、総タンパク質分に対して10質量%分以上のコラーゲン加水分解物を含有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記水溶液が、総量で約20〜約40質量%のゼラチン及び/又はコラーゲン加水分解物を含有する、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記溶液が、約40℃以上、特に60℃以上の温度で提供される、請求項18〜20に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(b)における前記水溶液の泡立てが、約20℃〜約50℃の範囲の温度で行われる、請求項18〜21いずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記発泡が、溶液の機械的泡立てにより行われる、請求項18〜21いずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記溶液が、泡立て機器、圧力泡立て機器又は静的ミキサーを用いて泡立てられる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記溶液の発泡が、気体流、特に空気流を溶液中に取り込むことにより行われる、請求項18〜22いずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記発泡溶液が、乾燥前に鋳型に注ぎ入れられ、任意に既定の分割点を提供される、又は部分に切り分けられる、請求項18〜25いずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記泡立てられた水溶液を、押し出し、乾燥後にスラブ状に切り分ける、請求項18〜25いずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
ステップ(b)の前記発泡溶液を、乾燥前であって成形前又は成形後に、約25℃以下、特に約15℃以下、さらに好ましくは約10℃以下の温度に冷却する、請求項18〜27いずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記発泡溶液を、乾燥前に、支持体に、特にベルト又はシリンダー又は同種のものに塗布する、請求項18〜28いずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記発泡溶液を、乾燥前に急速冷凍する(shock-frosted)、請求項18〜25いずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記発泡溶液を、液体窒素に滴状で導入する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記発泡溶液を、約60℃未満の温度で乾燥させる、請求項18〜31いずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記発泡溶液を、約30℃未満の温度で乾燥させる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記発泡溶液を、約10〜約45%、特に約10〜約25%の相対湿度で乾燥させる、請求項18〜33いずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記発泡溶液が、凍結乾燥される、請求項18〜34いずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
ステップ(c)の乾燥が、2以上の段階で行われ、ここで第一乾燥段階の温度は第二乾燥段階の温度より低い、請求項18〜35いずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
ステップ(c)の乾燥が、2以上の段階で行われ、第一乾燥段階が第二乾燥段階よりも高い相対湿度で行われる、請求項18〜36に記載の方法。
【請求項38】
請求項18〜37いずれか1項に記載の方法により作製される食物製品。

【図1】
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【公表番号】特表2010−515431(P2010−515431A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544365(P2009−544365)
【出願日】平成19年12月8日(2007.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010702
【国際公開番号】WO2008/083802
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(502084056)ゲリタ アクチェンゲゼルシャフト (25)
【Fターム(参考)】