説明

ターゲットコンテンツの放送および受信装置

本発明は、ターゲットコンテンツを放送および受信するための方法および装置に係る。本装置および方法を使用することにより単一クライアントまたはクライアントグループに多種多様なコンテンツをターゲットできる。本方法および装置は、異なるタイプのコンテンツを処理するためにアプリケーションハンドラを利用する。さらに本装置は、パケットをその優先順位に応じた異なる転送速度で配信できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲットコンテンツの放送および受信に関する。ターゲットコンテンツは一つまたは複数のクライアントにターゲットすることができる。
【背景技術】
【0002】
==関連出願の相互参照==
本願は、2003年8月29日に出願された「配信メッセージ管理システム」とする、ワイマン・ラム他の米国特許出願第60/498,575号に基づく優先権を主張するものであり、該出願を本明細書に援用する。
【0003】
放送局は、ターゲットプログラミングにより特定のユーザへ放送コンテンツを配信できる。ターゲットプログラミングはあらゆる用途に利用でき、これらには特定チャンネルへの条件付アクセス、ターゲット広告の配信、さらにはユーザに高性能な会話形プログラミングを提供することをも含む。
【0004】
ターゲットプログラミングシステムの一例として、条件付アクセス(CA)システムがある。一般的な条件付アクセスシステムにおいて、各ユーザはセットトップボックス(STB)で受信し、ありとあらゆる放送内容を見ることができる。一般に、認証される個人またはグループを選び出すための利用制限は、認証ユーザだけが放送データを入手できるようにしたCAメカニズムにより行われる。CAメカニズムの一例が特許文献1に開示されている。しかし、CAシステムは一般に別のハードウェアを必要とし、さまざまなコンテンツタイプをユーザにターゲットする場合には特に適していない。例えば、CAシステムはプログラミングへのアクセスを限定して送信できても、通常はアプリケーションや更新情報を個人ユーザに送信することができない。さらに、一般にプログラミングは個別STB IDにターゲットされ、通常はSTBのグループを同時にプログラミングすることは決しない。
【0005】
従って、種々のターゲットコンテンツを送信できるもっと柔軟なシステムが必要である。また、個人ユーザのターゲットコンテンツグループを同時に送信できるシステムが必要である。
【特許文献1】米国特許第6,157,719号
【発明の開示】
【0006】
本発明はターゲットコンテンツを放送および受信するための方法および装置に関する。ターゲットコンテンツは一つのあるいは複数のクライアントにターゲットできる。
【0007】
本発明の一実施形態は、放送ストリームのターゲットクライアントへのコンテンツ配信方法に関する。本方法には、ターゲットコンテンツの処理を行うアクションハンドラの決定をも含む。また本方法は、コンテンツと、ターゲットクライアントを一つ以上識別するクライアント識別子およびコンテンツタイプ識別子を含んだパケットを準備して、コンテンツパケットを放送ストリームに乗せて複数のクライアント装置へ配信することを含む。
【0008】
好適には、クライアント識別子で一つのクライアント装置あるいはクライアント装置グループを識別する。好適に、クライアント識別子は複数のクライアント装置を識別するビットマップアドレスである。好ましくは、アクションハンドラはクライアント装置のデータベースにデータを投入したり、アプリケーションを実行したりする。好都合なアプリケーションとして、クライアント装置にメッセージを表示するメッセージアプリケーションがある。好適に、コンテンツタイプは階層構造の識別子である。好ましくは、コンテンツパケットは所定の速度で配信される。
【0009】
本発明の別の実施形態は、放送ストリームのターゲットコンテンツ受信方法に関する。本方法は、コンテンツパケットを含む放送ストリームをクライアント受信機で受信することを含む。コンテンツパケットには、コンテンツ、コンテンツにターゲットされたクライアント装置を一つ以上識別するクライアント識別子およびコンテンツタイプ識別子が含まれる。本方法には、クライアント受信機がコンテンツのターゲットとなっているかを判断することとコンテンツの識別タイプに応じた処理を実行するアクションハンドラを決定することをも含む。
【0010】
受信機は、好適には、コンテンツタイプを受信機内のクライアントタイプのリストと比較しコンテンツ処理を実行するアクションハンドラを決定する。好適に、コンテンツパケットは受信機用の最新クライアント識別子リストを備える。好適に、受信機はパケット内のクライアント識別子を受信機内のクライアント識別子リストと比較して、クライアント受信機がコンテンツにターゲットされているかを判断する。好適に、コンテンツパケットは最新クライアント識別子リストを備えている。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態は、サードパーティコンテンツをターゲットクライアントに配信する方法に関する。本方法は、サードパーティコンテンツからコンテンツにターゲットされたクライアントの識別子を取得して、このコンテンツにターゲットされたクライアントの識別子を用いてクライアント受信機識別子を判断することを含む。クライアント受信機は、このクライアント受信機識別子を用いてクライアントがコンテンツにターゲットされているかどうかを判断できる。また本方法には、コンテンツをクライアント受信機識別子と共にパケット化することとコンテンツパケットを放送ストリームに乗せて配信することをも含む。
【0012】
本発明のさらなる実施形態は、ターゲットクライアントへのコンテンツ配信方法に関する。本方法はコンテンツとターゲットクライアントを一つ以上識別するクライアント識別子とを取得し、コンテンツ、クライアント識別子およびターゲットパケット識別子を準備して、パケットを放送ストリームに乗せて複数回配信することを含む。配信速度あるいはパケット配信回数はそのパケットの優先順位に応じて決まる。
【0013】
本発明のまたさらなる実施形態は、放送ストリーム内のターゲットコンテンツを受信する受信システムに関する。この受信システムには、コンテンツパケットを受信して、受信機がコンテンツのターゲットであるかを判断するためにコンテンツのフィルタリングを行うターゲットコンテンツ受信階層と、受信機がコンテンツのターゲットである場合、ターゲットコンテンツ受信階層からコンテンツを受信するアプリケーション階層とを含む。
【0014】
本発明のもう一つの実施形態は、コンテンツにターゲットされた一つ以上のクライアントを識別するためのクライアント識別子とコンテンツタイプ識別子とを含むコンテンツパケットを受信するために実行可能なプログラム命令を有するコンピュータ読取り可能媒体に関する。プログラム命令を実行することによって、コンテンツが受信機にターゲットされたものかを判断し、識別されたコンテンツタイプに応じた処理を行うことができる。
【0015】
本発明のさらにもう一つの実施形態は、コンテンツプロバイダとコンテンツプロバイダからコンテンツを受信するターゲットコンテンツサーバとを有するターゲットコンテンツシステムに関する。コンテンツプロバイダは一つ以上の特定クライアントにターゲットされるコンテンツを準備して、一つ以上のターゲットクライアントを識別するクライアント識別子とコンテンツタイプ識別子とをコンテンツと共にパケット化する。
【0016】
最後に、本発明のさらにもう一つの別の実施形態は、ターゲットコンテンツサーバと待ち行列システムを備えたターゲットコンテンツシステムに関する。ターゲットコンテンツサーバは一つ以上のターゲットクライアントを識別するクライアント識別子とコンテンツタイプ識別子とをコンテンツと共にパケット化し、待ち行列システムはコンテンツパケットを受入れてからそのコンテンツパケットを放送ストリームに挿入する。
【発明の詳細な説明】
【0017】
放送ストリームにおけるターゲットコンテンツ配信/受信方法およびシステムを以下に詳述する。さらに、放送ストリーム内のコンテンツ配信に便利なパケットについて説明する。
【0018】
コンテンツプロバイダまたは販売業者、サードパーティ製品の販売業者およびネットワークオペレータが、アプリケーションまたはサービスのコンテンツをクライアント装置に送信しようとする状況がよくある。これらのコンテンツには、ある出来事または状況変化の通知を含むことができる。例として、新着Eメールまたはインスタントメッセージ受信警告、ターゲットとなるあるいは配信依頼ニュースまたは最新情報(最新株式情報、試合経過およびニュース速報等)、放送やターゲット広告を見るように催促するリマインダまたはプロンプトがある。
【0019】
ターゲットコンテンツシステムは、クライアント受信機にバックチャンネルを備えることを要さない放送メディアを通じて、コンテンツをクライアント受信機に送信できる。さらにターゲットコンテンツシステムは、受信者の見ているチャンネルに関係なく、受信者から直接放送者に返信できるようにする。このシステムは、放送中のコンテンツを中断することなくあるいは利用者が見ている放送をすぐに変えることなく、個人またはグループにコンテンツを送信できる。このシステムはさらに、ネットワーク内の受信機のコンフィギュレーションを管理するために利用できる。
【0020】
ターゲットコンテンツシステムの一実施形態を図1に示す。図1におけるコンテンツサーバ100は、一つ以上のコンテンツプロバイダ102からコンテンツを受信するように設定されている。コンテンツプロバイダ102は例えば、インターネット104、イーサネットあるいは当技術分野で知られているその他あらゆる伝送手段またはネットワークを利用してターゲットコンテンツサーバに接続することができる。インターネット104接続の利用によりコンテンツプロバイダ102をコンテンツサーバ100から離れたところに配置することができる。このコンフィギュレーションにおいて、例えば、コンテンツプロバイダ102がターゲットメッセージシステムを利用してクライアント120へのコンテンツ配信を望むサードパーティの場合に有用である。
【0021】
あるいは、コンテンツプロバイダ102をコンテンツサーバ100付近に配置するか、コンテンツサーバ自体がコンテンツプロバイダを用いずにターゲットコンテンツを生成するようにできる。
【0022】
コンテンツサーバ100はコンテンツプロバイダ102からコンテンツをいったん受信すると、ターゲットコンテンツサーバ100はターゲットコンテンツを受信するべきクライアント120を識別する。この判断はターゲットコンテンツプロバイダ102あるいはコンテンツサーバ100のいずれかによって行われる。ターゲットクライアントには、例えば、個別のセットトップボックス110、一家庭内のすべてのセットトップボックス、特定地域内のあるいはある特徴を有するすべてのクライアント、あるいは放送システム108内のすべてのクライアントまで含むことができる。
【0023】
コンテンツおよびターゲットコンテンツを受信するべきクライアントの識別子は、共にデータパケット内にパッケージ化されて待ち行列システム106に送信される。待ち行列システム106は、ターゲットクライアント120に送信するべきコンテンツパケットのデータ転送速度を決定する。コンテンツパケットのデータ転送速度は、数ある中でもコンテンツの優先順位、コンテンツに設定された日時を含むさまざまな選択肢によって決まる。次に待ち行列システム106は、コンテンツパケットを放送システム108に送信し、放送システムは放送信号を用いてコンテンツパケットをクライアントに配信する。好適な放送システム108には、ケーブル、衛生、地上、インターネット、電話システムあるいはその他従来のすべての放送システムを含む。放送信号はアナログでもデジタルでも構わない。容量の問題があるため、放送信号がデジタルの方が好ましい。好適に、放送システム108は通常予定されている番組と同時にコンテンツパケットを配信する。あるいは、別の時に送信することができる。
【0024】
ターゲットクライアント装置120は、放送信号を受信するように設定されたどんなシステムでも構わない。図1におけるターゲットクライアント装置120はテレビジョン方式である。クライアント装置には、有線あるいは無線のPC機器、デジタルテレビ、アナログテレビ、PDA、ウェブタブレット、デジタルラジオ、携帯電話およびこれら機器のあらゆる組み合わせを含む。
【0025】
図1におけるクライアント装置120は、セットトップボックス110とセットトップボックス110に接続するテレビ118を備える。セットトップボックス110は、コンテンツパケットを受信して実行するためのソフトウェアおよびハードウェア112、114および116を有する。セットトップボックス110は放送システム118から放送信号を受信して、当技術分野においてよく知られている処理方法により復調、解凍および/または復号する。
【0026】
セットトップボックス110内のミドルウェア112はターゲットコンテンツ拡張部114に接続しているため、ターゲットコンテンツ拡張部114がクライアント装置120内の他の機能と通信できる。ミドルウェアは受信機内の異なるアプリケーション間の通信を管理するソフトウェアである。ミドルウェアは、異なるコンピューティングプラットフォームを有する異なる受信機においても同じアプリケーションを実行可能にする。ターゲットコンテンツ拡張部114はターゲットコンテンツパケットを受信し、クライアント装置120がターゲットコンテンツのターゲットかどうかを判断する。ターゲットコンテンツ拡張部114は、どのパケットがクライアント装置用か、ターゲットコンテンツ内の特定クライアント識別子を探し出すことにより判断する。ターゲットコンテンツ拡張部114が、あるターゲットコンテンツがクライアント装置120用であると判断すると、ターゲットコンテンツ拡張部114はターゲットコンテンツを導入するための手段を講じる。ターゲットコンテンツは多種多様なデータを含み、これらにはクライアント装置120の更新情報、構成データ、表、メッセージおよびクライアント装置120用プログラムなどがある。
【0027】
アプリケーション116はターゲットコンテンツ拡張部114とリンクしている。ターゲットコンテンツ拡張部114は、クライアント装置120向けのターゲットコンテンツを、その実行のためにそのまま通過させることができる。図1におけるターゲットコンテンツはクライアント装置120へのメッセージである。本例におけるアプリケーション116は、定期番組122放送中に、ターゲットコンテンツを含むポップアップ画面124をテレビ118に表示するポップアップメッセージアプリケーションである。定期番組は、好ましくはターゲットコンテンツと同時に受信される。
【0028】
《ターゲットコンテンツサーバシステム》
ターゲットコンテンツサーバシステムには、ターゲットコンテンツパケットを準備し、一つ以上のクライアント装置へターゲットコンテンツを放送するためのすべてのコンポーネントが組み込まれている。ターゲットコンテンツサーバシステムには、コンテンツプロバイダからコンテンツを受信するためのコンテンツプロバイダアプリケーション、ターゲットコンテンツパケットを準備するためのターゲットコンテンツサーバおよび放送ストリーム内で所定回ターゲットコンテンツを配信する待ち行列システムを組み込むことができる。
【0029】
図2にターゲットコンテンツサーバシステムの一実施形態を示す。図2におけるターゲットコンテンツサーバ204は、一つ以上のクライアント装置へ配信コンテンツを送信する一つ以上のコンテンツプロバイダアプリケーション202に接続している。ターゲットコンテンツサーバ204は、このコンテンツをクライアント識別子、ターゲットパケット識別子およびコンテンツ識別子等の情報を付加してパケット化する。管理ツール208は、ターゲットコンテンツサーバ204を更新し、クライアント装置へ配信するシステムメッセージおよびデータ等のコンテンツ生成に使用できる。待ち行列システム206はターゲットコンテンツパケットを受け入れて、好適には複数のクライアント装置に受信される放送ストリームにターゲットコンテンツパケットを所定回挿入する。ターゲットコンテンツサーバシステムは、各ターゲットパケットにサービス品質(QOS)を割り当てることができる。サービス品質はパケットの再送速度(単位時間当りのパケット送信回数)を定める。パケットのサービス品質は、パケットの重要度に応じて変えることができる。
【0030】
ターゲットコンテンツサーバ204は、ターゲットコンテンツパケットを生成する。コンテンツパケットは、コンテンツプロバイダアプリケーション202から受信するか、ターゲットコンテンツサーバ204自体によって生成される。ターゲットコンテンツサーバ204は、パケット生成処理時にデータベース210にアクセスしてパケットの宛先である特定クライアント装置のクライアント識別子を調べる。
【0031】
ターゲットコンテンツサーバ204は、単一プロセッサあるいは複数の処理要素を備えることができる。処理要素とは、(1)ある特定の処理ハードウェアで、または複数の処理ハードウェア間で実行される一つのプロセス、(2)ある特定の処理ハードウェア、あるいはコンテクストによって(1)あるいは(2)のいずれかを指す。各処理要素は、標準的な汎用プロセッサ、例えばインテルプロセッサとの互換性を持つプラットフォームなどを介してサポートされてもよく、これらとして好ましくは、少なくとも一つのPENTIUM III、PENTIUM IVまたはCELERON、PENTIUM、XEON、ITANIUM(インテル株式会社(Intel Corp.)、カリフォルニア州サンタクララ)クラスのプロセッサ、あるいは代替品としてMIPS(ミップス・テクノロジーズ(MIPS Technologies)、カリフォルニア州マウンテンヴュー)またはUltraSPARC(サン・マイクロシステムズ(Sun Microsystems)、カリフォルニア州パロアルト)等を当技術分野においてよく知られているその他のマイクロプロセッサと同様に他の実施形態において使用できる。サーバプロセッサは、本発明による機能の少なくとも一部を遂行できるように設定した一つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)および/または特定用途向け集積回路(ASIC)を備えることができる。他の実施形態では、例えばARM(ARM、カリフォルニア州カールスバッド)プロセッサコア等の組み込みマイクロプロセッサを利用できるが、これに限定されるものではない。
【0032】
いくつかの実施形態において、システムプロセッサは汎用プロセッサ、ASICおよび/またはFPGAを組合せて備えるようにできる。また、機能性を複数の処理要素に亘って分散させた実施形態もある。このような実施形態では、機能のアスペクトあるいは機能の一部を連続してまたは同時に実行することができる。複数回実行される特定機能あるいはその一部もまた連続してまたは同時に実行されることがある。
【0033】
少なくとも一つの汎用プロセッサを備えたシステムプロセッサにおいて、一般に汎用プロセッサの実行する適切なオペレーティングシステムには、WINDOWS/NT、WINDOWS 2000またはWINDOWS/XP(マイクロソフト社、ワシントン州レッドモンド)、IRIX(シリコングラフィックス社、カリフォルニア州マウンテンヴュー)、Solaris SOLARIS(サン・マイクロシステムズ(Sun Microsystems)、カリフォルニア州パロアルト)またはLINUX(あるいはその他のUNIX系システム)を含むがこれに限らない。このコンポーネントは好ましくはWindows 2000で実行できる。
【0034】
ターゲットコンテンツサーバは、許可モジュール212を含むことができる。許可モジュール212は、コンテンツプロバイダアプリケーション202へのアクセス権を与え、クライアント装置がコンテンツ処理に使用するべきアクションハンドラ(クライアント装置内のコンテンツ処理モジュール)を指示するパスワードやコンテンツ識別子等の情報を含む。許可モジュール212はまた、コンテンツと共にコンテンツカテゴリをプロバイダから供給する。ターゲットコンテンツサーバ204は、この情報を利用してプロバイダアプリケーションへのアクセスを制限し(例えば、特定のプロバイダは特定のクライアント装置だけにコンテンツを送信するアクセス権を与える)、待ち行列システム206を用いてサービス品質(どの程度頻繁にコンテンツを放送ストリームに乗せて配信するべきか)を決定し、着信パケットに適切なコンテンツ識別子でラベル付けをする方法を決定できる。
【0035】
コンテンツプロバイダアプリケーション202からメッセージをいったん受信すると、ターゲットコンテンツサーバはアドレス絞り込みモジュール214を用いてコンテンツに割り当てられたクライアント識別子を調べることができる。コンテンツプロバイダアプリケーション202は、コンテンツにプロバイダコンテンツ識別子を付与できる。例えば、Eメールアプリケーションはクライアントを識別するためにクライアントにEメールアドレスを付与する。次にターゲットコンテンツサーバは、アドレス絞り込みモジュール214を用いて、コンテンツを適切なクライアント装置に配信するために使用するクライアント識別子を確認する。識別子が見つかると処理は続行し、さもなければコンテンツプロバイダアプリケーション202にエラーメッセージを返信する。さらにアドレス絞り込みモジュール214は、アプリケーションがコンテンツをクライアント装置に送信する権限を有するか否かを確認でき、これによりスパムを防ぐことができる。
【0036】
コンテンツプロバイダアプリケーションにそれ自体の識別子を用いてクライアントを調べさせることにより、システムはコンテンツプロバイダアプリケーション202をより容易にターゲットコンテンツサーバ204に組み込むことができる。
【0037】
コンテンツ識別子およびクライアント識別子がいったん決定すると、ターゲットコンテンツサーバ204は216で全てのメッセージ関連情報を収容するターゲットコンテンツパケットを準備する。パケットは、例えばクライアント識別子、コンテンツ識別子、有効期限等を収容できる。
【0038】
216でパケットの準備が完了すると、ターゲットコンテンツサーバ204は218の適切な品質サービス(QOS)にメッセージを割り当てる。QOSは、コンテンツの繰り返し配信回数を含む待ち行列システム206のメッセージ取扱い方法について説明している。好適には、高品質サービスを提供するパケットをより低い品質サービスを提供するパケットより高い繰返し率で配信する。品質サービスは、時間の経過とともに変えることができる。例えば、繰返し率を時間の経過とともに減少させることができる。
【0039】
好ましくは、コンテンツ情報の記録を220に残す。コンテンツ情報には、コンテンツ受信日時、コンテンツ有効期限およびコンテンツサイズを含むことができる。パラメータは、コンテンツ削除日時、コンテンツ配信回数等も含む。このデータは、請求書の作成や会計監査などの目的を含む種々の用途に利用できる。
【0040】
メッセージが待ち行列システム206にいったん配信されると、ターゲットコンテンツサーバ204は要求識別子を返信し、222のコンテンツプロバイダアプリケーション202に向けてメッセージ総数(メッセージ生成数)を出力できる。コンテンツプロバイダアプリケーション222は、後にメッセージをキャンセルするための要求識別子を使用できる。
【0041】
メッセージの有効期限が切れる時またはターゲットコンテンツサーバ204がコンテンツプロバイダアプリケーション202からキャンセル指令を受領した時のいずれかにメッセージをシステムから削除できる。
【0042】
待ち行列システム206は、すべてのターゲットコンテンツパケットを収容するカルーセルを管理し、作成する。「カルーセル」とは、ターゲットコンテンツパケットを規則正しく並べたものである。待ち行列システム206はターゲットコンテンツサーバ204からの呼び出しを受けると、各ターゲットコンテンツパケットに適切な待ち行列ノード224を生成する。
【0043】
各待ち行列ノード224は、そのQOSに応じてターゲットコンテンツパケットを放送ストリームに挿入する。QOSには以下のパラメータ、出力ビットレート(放送ストリーム内に割当てられたターゲットコンテンツパケットの帯域)を含む、メッセージ存続期間(ターゲットコンテンツパケットが放送されるべき期間)および繰返し率(単位時間当りのパケット送信回数)を含む。
【0044】
ターゲットコンテンツパケットの繰返し率は、特定期間中一定であっても変化してもかまわない。例えば、メッセージを最初の1時間は20回送信し、次の1時間は10回、そして3時間目には全く送信しないとしてもよい。どのような繰返し率でも可能なことがわかる。
【0045】
異なる待ち行列ノードでは違った繰返し率を得られる。例えば、ある待ち行列はターゲットコンテンツパケットをX回送信するように設定できる。コンテンツ送信回数を減らすために、コンテンツはより小さい繰返し率で設定されている次の待ち行列に移動する。コンテンツはその生存期間が満了するまで最後の待ち行列に留まることができる。
【0046】
好適に、待ち行列ノード224は、送信メッセージ数を減らすために同一クライアント識別子を有するコンテンツをパッケージ化する。
【0047】
ノードは、異なるいくつものフォーマットを用いてターゲットコンテンツパケットを種々の放送ストリーム226に挿入できる。例えば、ターゲットコンテンツパケットを、MPEG2専用セクションおよびMPEG2トランスポートパケットにフォーマットできる。MPEG圧縮とは、フレーム間圧縮および復元技術を用いたフルモーションビデオ画像の一連の圧縮・復元処理方式である。
【0048】
使用帯域をさらに減らすために、複数の専用セクションを一つのトランスポートパケット内に詰めることができる。システムがアンダーフローを起こしている場合、出力帯域要求を満たすために空パケットが送信される。また、その他多くのデジタルおよびアナログ方式を用いてもパケット放送が可能なことがわかる。例えば、パケットをアナログ放送ストリームの垂直帰線消去期間(VBI)、水平帰線消去期間、副音声チャンネル、SAP等に挿入できる。
【0049】
ネットワークオペレータは、管理ツール208を用いてターゲットコンテンツサーバシステム200の設定および管理ができる。さらに管理ツールは、クライアント装置にネットワークおよびシステムコンテンツを生成し、供給できるようにする。例えば、ネットワークオペレータはターゲットコンテンツシステム200を用いてメッセージをクライアント装置に送信し、クライアント装置内に表を作成してアプリケーション取得のためのコンテンツを送信できる。
【0050】
システム構成表は、クライアント装置に着信したターゲットコンテンツパケットの取扱い方法を決定するために使用する(例えば、特定コンテンツ用アクションハンドラの決定)。これらの表は放送識別子と共に、すべての受信機に継続的に放送または個別受信機に向けてターゲットできる(例えば、特定受信機用クライアント識別子を含む表を一つの受信機に配信する)。
【0051】
《ターゲットパケット》
「ターゲットパケット」とは、関連データの集合を指す。ターゲットパケットは好適に、同時にあるいは連続して放送ストリームに乗せて送信する。
【0052】
好ましくは、パケットにクライアント識別子が含まれる。クライアント識別子は例えば、単一の受信機、受信機の利用を許可されている一人のユーザ、一家庭内に設けられた一組の受信機、受信機グループあるいは放送パケットを受信して処理できるすべての受信機まで識別できる。
【0053】
例えば、クライアント識別子は特定のクライアント装置に固有であってもよい。この種の識別子には、受信機に固有の識別子(セットトップボックス等)、受信機内のスマートカードに、または受信機にプログラムされたクライアント番号に固有の識別子を含む。この種の識別子は、特定のクライアント装置にのみ向けられたコンテンツに添付できる。
【0054】
複数の受信機を一つのグループに属するように設定できる。グループクライアント識別子の一例に郵便番号がある。特定郵便番号に対応するグループ識別子を受信機フィルタ内に含むように受信機をいったん登録すると、この受信機はその郵便番号に宛てられたすべてのコンテンツを受信できる。グループ識別子の別の例には、特定市場のユーザ、特定情報コンテンツ(例えば、株式情報あるいはスポーツニュース)の配信を依頼したユーザまた、一人以上のユーザおよび/または一つ以上の受信機を含むその他あらゆるグループを含む。グループクライアント識別子は、一つのメッセージを同一グループに属する全ての受信機に送信できる。この種の配信方法は、個別配信と比べて帯域が少なくて済む。さらに、新たなメッセージがシステムに着信してから放送されるまでの待ち時間を短縮してリアルタイム動作を向上させる効果がある。
【0055】
ビットマップアドレス指定もグループ識別子として使用できる。例えば、個別受信アドレスの最後の8ビットを無視して、256ビットのビットマップ(32バイト)で置き換えることができる。ビットマップ内の個別ビットが設定されると受信機のアドレス指定が完了する。このようなアドレス指定モードにより、一つのメッセージに対して受信機256台分までのアドレス指定ができ、個別配信メッセージと比べて効率がよい。
【0056】
またターゲットコンテンツ拡張部は、アドレスを使用しないブロードキャストアドレッシングを、すべての受信機に送信する単一メッセージの形で探索することができる。
【0057】
クライアント識別子長はいくらでもよい。さらに、クライアント識別子長は調整できる。実際のクライアント識別子長は、パケット内の別領域にでも単一パケットのコンテンツの一部に含まれてもよい。このようにして、ネットワークがクライアント識別子用に残したバイト数を使いきらない場合、実際のクライアント識別子長をターゲットコンテンツ拡張部に知らせることによってクライアント識別番号長さを短縮できる。クライアント識別子を縮小すれば、受信機におけるフィルタリング時間を短縮でき、システムの性能が向上する。この領域を増やすことによって一度に識別できるコンテンツパケットの種類が増える。
【0058】
好適にパケットには、パケットを識別するターゲットパケット識別子が付加される。この識別子が付加されているすべてのパケットは同一のターゲットパケット識別子を収容する。ターゲットパケット識別子により、コンテンツが既に受信されて処理されたものかを判断し、重複を防ぐ。
【0059】
またパケットには好ましくはコンテンツ階層タイプの識別子が付加されている。一実施形態において、コンテンツタイプ識別子は、主要カテゴリと副カテゴリコンテンツ識別子に分かれている。主要コンテンツタイプの識別子は、例えば、コンテンツがシステムコンテンツ、ネットワークコンテンツあるいはアプリケーションコンテンツであるかを識別できる。
【0060】
システムコンテンツには、例えば、クライアント装置に関連する表やデータベースに投入したり更新したりするためのコンテンツを含む。このコンテンツはシステムが、受け取りクライアント識別子の選択内容、特定タイプのコンテンツ処理およびシステム内のソフトウェアの更新等に使用するアクションハンドラの選択内容を更新するために使用される。ネットワークコンテンツには、例えば、スケジュールプログラミングに関連し、またクライアントをネットワーク接続するプログラム関連コンテンツを閲覧する権限が与えられている。アプリケーションコンテンツを、クライアント装置でプログラムを実行するために使用するコンテンツと関連付けることができる。この種のコンテンツの例として、例えばクライアント装置に送信して閲覧されるメッセージがある。
【0061】
副カテゴリは、パケットのコンテンツをさらに具体的に列挙する。例として、パケットに含まれている表の種類やメッセージの種類等がある。ターゲットコンテンツ拡張部は、主要・副両コンテンツタイプを用いて、コンテンツ処理に使用するアクションハンドラの種類を決定する。
【0062】
さらに好適には、パケットにはコンテンツパケットの有効期限が付加される。有効期限はまた、同一パケットの連続処理を防止する。例えば、有効期限が20分のパケットは、パケット処理が一度行われると、次の処理は20分間行わないよう受信機に指示する。それを受けて、受信機は同一ターゲットパケット識別子を有するメッセージを無視する。コンテンツがメッセージの場合、有効期限を用いて、クライアント装置によるメッセージの連続表示を阻止し、代わりに20分に一度の表示とする。
【0063】
データパケットには、送信者にコンテンツ受信完了メッセージを返信するための情報を付加することができる。この領域には、送信者との連絡に使用するインターネットアドレスまたはクライアントが送信者にメッセージの送信停止依頼をするために送信者と連絡をとる際に使用するその他の識別子を含むことができる。この領域は、クライアント装置がコンテンツ送信者への連絡を許可するバックチャンネルを含む場合に使用できる。
【0064】
最後にデータパケットは、個人データ領域をも備えることができる。個人データ領域には、例えば、メッセージ取扱いに関するもっと具体的なパラメータ等、その他の情報を含むことができる。
【0065】
《コンテンツ》
コンテンツは種々のデータを備える。好適なデータの種類には、表コンテンツ、メッセージコンテンツおよびアプリケーションコンテンツが含まれる。アプリケーションコンテンツにはメッセージを含む。
【0066】
表コンテンツとは、クライアント受信機に格納されている表またはその他のデータベースにデータを投入するために、一つのクライアント装置あるいはクライアント装置グループに送信されるコンテンツである。表コンテンツの例として、受信機内のリストにデータを投入するために使用する一つ以上のクライアント識別子を含むものがある。例えば、クライアント受信機には、あらかじめ設定されたクライアント受信機識別子を含む。このクライアント受信機識別子を含むデータパケットを、その受信機が受け取らなければならない追加クライアント識別子の一覧とともに受信機に送信できる。データベースまたは表は、受信機または受信機に取付けられたクライアント装置内の種々のプログラム設定に使用できる。
【0067】
メッセージコンテンツとは、クライアント装置の利用者に送信するメッセージ、連絡あるいは警告を含むコンテンツである。好適なメッセージには、新着Eメールあるいはインスタントメッセージの受信を知らせる警告、ターゲットあるいは配信依頼したニュースや最新情報(最新株式情報、試合経過またはニュース速報等)、放送およびターゲット広告メッセージを見るように催促するリマインダあるいはプロンプトを含む。この種のコンテンツは、視聴者へのメッセージを表示するために受信機内の一つ以上のプログラムを利用する。
【0068】
アプリケーションダウンロードコンテンツとは、受信機で使用するプログラムを取り込むための情報を含むコンテンツである。このコンテンツには、クライアント装置によるアプリケーションダウンロード方法(例えば、インターネット接続を使用した場合)に関する情報またはプログラムを含む。
【0069】
《受信機》
受信機は放送信号を受信することができる。好適な受信機は、デジタルまたはアナログのテレビジョン信号を受信できる。受信機は、必要に応じてバックチャンネルを含む。バックチャンネルとは、受信機がクライアント装置外にあるその他のシステムに情報を送信する際に使用する通信経路である。このような通信経路には、標準POTS(従来型の音声電話サービス)電話回線および関連モデムを含む。バックチャンネルはさらに同軸ケーブル、光ファイバケーブル、DSL(デジタル加入者線)、ATM(非同期転送モード)またはその他の有線と無線の両通信回線を含むことができる。
【0070】
《ターゲットコンテンツ拡張部》
ターゲットコンテンツ拡張部は、受信機で受信する放送信号のコンテンツパケットを検出しようとする。好適にターゲットコンテンツ拡張部は、放送されるすべてのチャンネルを聞き取り、エンドユーザが何を視聴していようと、パケットが早急に識別され、処理されるようにする。ターゲットコンテンツ拡張部は、コンテンツパケットがクライアント装置に向けてターゲットされたコンテンツであるか、さらに処理が必要かどうかを判断するためにフィルタリングを行う。フィルタリングは、ハードウェア(例えば、フィルタはデマルチプレクサ内に設けてもよい)、ソフトウェアまたは両方によるフィルタリングであってもよい。クライアント装置ユーザには、ターゲットコンテンツの取得が全く不要な場合、好適には、このフィルタリングを止めることができる。
【0071】
好ましくは、ターゲットコンテンツ拡張部はクライアントに割当てられたすべてのクライアント識別子を有する表あるいはその他のデータベース構造を含む。ターゲットコンテンツ拡張部は、表中のクライアント識別子を探す受信コンテンツのフィルタリングを行う。受信コンテンツが表中にクライアント識別子を含む場合、そのコンテンツ処理は進められる。前述のように、クライアント識別子は単一の受信機、受信機グループまたは放送ストリームを受信するすべての受信機のアドレスを指定するように設定できる。
【0072】
また、さらに絞り込んだクライアント識別子も使用できる。例えば、アプリケーションによっては受信機自体よりも高機能なアドレス指定メカニズムを必要とする場合がある。例として、Eメールアプリケーションは一つのセットトップボックスに対して複数のユーザの利用を許可することが多い。あらゆるアプリケーションを実行できる標準メカニズムを用意することは難しいため、ターゲットコンテンツ拡張部は各アプリケーションのため別途アドレス領域を残すことができる。コンテンツは、各アプリケーションにコンテンツ識別領域または個別データ領域に依存するアドレス情報を追加することがある。例として、EメールアプリケーションがEメール受信者を識別するために「To:」領域を使用することがある。
【0073】
好適にターゲットコンテンツ拡張部は、特定コンテンツ処理に使用するアクションハンドラを指定する表またはその他のデータベースを含む。アクションハンドラは、受信コンテンツを適切に処理するアプリケーションまたはその他のプログラムであってもよい。好適なアクションハンドラは受信機を設定できる。設定には、表またはその他のデータベースにユーザ固有情報を投入することを含む。受信機内のターゲットコンテンツ拡張部またはその他のプログラム(例えば、受信機のミドルウェア)がこの情報を使用する。
【0074】
別の好適なアクションハンドラは受信機を制御できる。「制御」とは、例えば、受信機のチャンネルを変えることを含む。また別の好適なアクションハンドラは、受信機のコンポーネント、例えばミドルウェアプログラムまたは受信機内のその他のソフトウェアを制御できる。最後に別の好適なアクションハンドラはメッセージまたは対話型プログラムを実行できる。好都合な対話型プログラムは、ユーザにメッセージを表示して何らかの処理(他のアプリケーションの実行)を行うように入力を促すことができる。
【0075】
適切なアクションハンドラの一覧を表示する表およびターゲットコンテンツ拡張部用の他の表やデータベースは、好ましくはコンテンツパケットを用いて取得および/または更新される。受信機内のその他のプログラムが使用する表およびデータベースも同様に更新および/または取得される。
【0076】
ターゲットコンテンツ拡張部は、使用するアクションハンドラを決定するためにコンテンツパケット内のコンテンツの主要および副カテゴリを調べることができる。この表には、アクションハンドラの所在(特定のコンテンツ処理に必要なアクションハンドラがシステム内にない場合、ハンドラダウンロードまたは取得場所を含むことができる)とアクションハンドラの起動に用いるパラメータを含むことができる。別の実施形態では、特定コンテンツパケットを探して実行するための情報をパケットとともに送信する。
【0077】
好適なアプリケーションは、クライアント装置にメッセージ(通知や警告等)を表示する。メッセージアプリケーションはパケットのコンテンツをあらゆる方法で表示することができる。例えば、メッセージはクライアント装置を使用して視覚または聴覚で認識できるように伝達される。メッセージはビデオディスプレイまたは受信機/セットトップボックスに表示される。これに加えてまたは別の方法で、クライアント装置は音声信号を利用してクライアント装置のユーザに通知する。
【0078】
テレビ環境に好適なアプリケーションはポップアップメッセージシステムである。ポップアップメッセージシステムは、通常の放送番組にメッセージを重ねて表示する。
【0079】
メッセージを受信するとアプリケーションはユーザに応答を催促できる。例えば、システムはユーザにEメールまたはインスタントメッセージの着信を知らせ、Eメールまたはインスタントメッセージを閲覧するためのEメールまたはインスタントメッセージプログラムを起動したいかどうかユーザに応答を催促する。
【0080】
好適にターゲットコンテンツ拡張部は、着信コンテンツに関する情報を記録する。この情報にはコンテンツパケットを識別するコンテンツ識別子を含む。さらに好ましくは、同一パケットがそのライフサイクル中に再度処理されることを防ぐためにコンテンツパケットの有効期限が記録されている。
【0081】
図3は、ターゲットコンテンツ拡張部300の基本的な動作を示すフローチャートである。図3において、コンテンツパケットは302のターゲットコンテンツ拡張部に配信される。受信機内のハードウェア、ミドルウェアプログラムまたはターゲット拡張部自体が、放送ストリームの通常定期番組からコンテンツパケットを解析できる。
【0082】
次にターゲットコンテンツ拡張部300は、コンテンツパケットのクライアント識別子を304のクライアント識別子一覧表と比較する。メッセージ中のクライアント識別子が表中の認証クライアント識別子と一致すれば、コンテンツパケットは306へ進むが、さもなければターゲットコンテンツは処分され、ターゲットコンテンツ拡張部は次のターゲットパケットが配信されるまで302で待機する。
【0083】
306で表からコンテンツパケットのコンテンツカテゴリを探す。表にはコンテンツカテゴリに適したアクションハンドラの一覧を表示する。さらに、表にはパケットのコンテンツ処理用のアクションハンドラに必要なパラメータとアクションハンドラのシステム内での所在の一覧を表示する表が表示されている。
【0084】
アクションハンドラがシステム上に無い場合、表にその取得場所を表示する。次に310のシステムは進んで適切なアクションハンドラをダウンロード(さもなければ取得)する。
【0085】
アクションハンドラがシステム上にある場合、ターゲットコンテンツ拡張部は、308のターゲットパケットのコンテンツ処理に用いる適切なアクションハンドラにコンテンツおよび任意のパラメータを渡す。アクションハンドラは適切に動作して新着Eメール通知メッセージをユーザに表示するための、例えば、第一の対話型アプリケーション312を実行する。メッセージに対するクライアントの応答により、第一アプリケーション312は、例えば、Eメールプログラムである第二のアプリケーション314を起動する。
【0086】
上記に記載の内容は、当業者が本発明を製作し、使用できるようにするものであり、特定の用途およびその要件に沿って述べられている。本発明の好適な実施形態に対する種々の改良は当業者に容易に明らかになるであろう。また、本願明細書中に定義した包括的な原理は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の実施形態および出願に適用できる。よって、本発明は本願明細書中に例示する実施形態に制限されず、本願明細書中に開示した原理および特徴と合致する最も広い範囲と一致する。
【0087】
本発明のその他の実施形態および使用方法は、本願に開示した本願発明の明細書および実施形態を考慮することによって当業者に明らかになるであろう。本願明細書中の米国および外国特許文献、特許出願、すべての出版物およびその他の文書を含むすべての引用文献は、具体的かつ全体的に参照することによって本書に含まれる。
【0088】
本発明は発明を実施するための最良の形態を添付の図面とともに参照することによってより良い理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施形態によるターゲットコンテンツシステムの概要を示す。
【図2】ターゲットコンテンツサーバシステムの一実施形態を示す。
【図3】ターゲットコンテンツ拡張部の基本動作のフロー図を示す。
【符号の説明】
【0090】
100 コンテンツサーバ
102 コンテンツプロバイダ
104 インターネット(接続)
106 待ち行列システム
108 放送システム
110 セットトップボックス
112 ミドルウェア
114 ターゲットコンテンツ拡張部
116 アプリケーション
118 テレビ
120 クライアント装置
122 (定期)プログラム
124 ポップアップ画面
202 コンテンツプロバイダアプリケーション
204 ターゲットコンテンツサーバ
206 待ち行列システム
208 管理ツール
212 許可モジュール
214 アドレス絞り込みモジュール
224 待ち行列ノード
226 放送ストリーム
300 ターゲットコンテンツ拡張部
312 第一の(対話型)アプリケーション
314 第二のアプリケーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットコンテンツ処理に用いるアクションハンドラを決定し、
コンテンツ、ターゲットクライアントを一つ以上識別するクライアント識別子およびコンテンツタイプ識別子を備えたコンテンツパケットを準備し、
前記コンテンツパケットを放送ストリームに含めて複数のクライアント装置へ配信すること
を含む、放送ストリーム内のコンテンツをターゲットクライアントへ配信する方法。
【請求項2】
前記クライアント識別子が一つのクライアント装置を識別する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クライアント識別子が複数のクライアント装置を識別する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記クライアント識別子が複数のクライアント装置を識別するビットマップアドレスである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アクションハンドラはクライアント装置のデータベースにデータを投入する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アクションハンドラはアプリケーションを実行する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アプリケーションは、クライアント装置にメッセージを表示するメッセージアプリケーションである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コンテンツタイプは階層識別子である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コンテンツパケットは所定の速度で配信される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
コンテンツパケットは、コンテンツ、前記コンテンツにターゲットされるターゲットクライアント装置を一つ以上識別するクライアント識別子およびコンテンツタイプ識別子を備え、
前記コンテンツパケットを含めた放送ストリームをクライアント受信機で受信し、
前記クライアント受信機が前記コンテンツにターゲットされているか判断し、
識別されたコンテンツタイプに応じて前記コンテンツを処理するアクションハンドラを決定すること
を含む放送ストリーム内のターゲットコンテンツ受信方法。
【請求項11】
前記受信機が、前記コンテンツタイプをコンテンツタイプ一覧表と比較して前記コンテンツ処理に使用するアクションハンドラを決定する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コンテンツパケットは前記受信機用の最新クライアント識別子一覧表を備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記受信機が、パケット内の前記クライアント識別子と前記受信機内のクライアント識別子一覧表とを比較して前記クライアント受信機が前記コンテンツにターゲットされているかを判断する請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記コンテンツパケットは最新クライアント識別子一覧表を備える請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記クライアント識別子が一つのクライアント装置を識別する請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記クライアント識別子が複数のクライアント装置を識別する請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記クライアント識別子が複数のクライアント装置を識別するビットマップアドレスである請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記アクションハンドラはクライアント装置のデータベースにデータを投入する請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記アクションハンドラはアプリケーションを実行する請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記アプリケーションは、クライアント装置にメッセージを表示するメッセージアプリケーションである請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記コンテンツタイプは階層識別子である請求項10に記載の方法。
【請求項22】
サードパーティからコンテンツおよびターゲットされたコンテンツのクライアント識別子を取得し、
前記コンテンツにターゲットされているクライアントの前記クライアント識別子を用いて、前記クライアントが前記コンテンツにターゲットされているかを判断するためにクライアント受信機が使用する、クライアント受信機識別子を決定する
前記コンテンツを前記クライアント受信機識別子とともにパケット化し、
放送ストリームに含めてコンテンツパケットを配信すること
を含むターゲットクライアントへのサードパーティコンテンツ配信方法。
【請求項23】
コンテンツおよびターゲットクライアントを一つ以上識別するクライアント識別子を取得し、
前記コンテンツ、前記クライアント識別子およびターゲットパケット識別子を備えるパケットを準備し、
パケット配信速度または配信回数は前記パケットの優先順位に応じて決め、放送ストリームに含めて前記パケットを複数回配信すること
を含む前記ターゲットクライアントへのコンテンツ配信方法。
【請求項24】
コンテンツパケットを受信して、受信機がコンテンツのターゲットであるかを判断するために前記コンテンツのフィルタリングを行ことのできるターゲットコンテンツ受信階層と、
前記受信機が前記コンテンツのターゲットである場合に前記コンテンツを前記ターゲットコンテンツ受信階層から受信するアプリケーション階層と
を備えた放送ストリーム内のターゲットコンテンツを受信する受信装置。
【請求項25】
コンテンツ、前記コンテンツにターゲットされたクライアントを一つ以上識別するためのクライアント識別子およびコンテンツタイプの識別子を備えたコンテンツパケットを受信し、
クライアント受信機が前記コンテンツにターゲットされたものかを判断し、
識別された前記コンテンツタイプに応じて前記コンテンツを処理する
ことが実行可能なプログラム命令を含むコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項26】
一つ以上の特定クライアントにターゲットされるコンテンツを提供するコンテンツプロバイダと、
前記コンテンツとターゲットクライアントを一つ以上識別するクライアント識別子およびコンテンツタイプ識別子とをパケット化し、前記コンテンツプロバイダから前記コンテンツを受信するターゲットコンテンツサーバと
を備えたターゲットコンテンツシステム。
【請求項27】
前記コンテンツとターゲットクライアントを一つ以上識別するクライアント識別子およびコンテンツタイプ識別子とをパケット化するターゲットコンテンツサーバと、
前記ターゲットコンテンツサーバからコンテンツパケットを受け入れて前記コンテンツパケットを放送ストリームに挿入する待ち行列システムと
を備えたターゲットコンテンツシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−504718(P2007−504718A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524892(P2006−524892)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/027944
【国際公開番号】WO2005/022344
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.Linux
3.UNIX
【出願人】(500036093)オープン ティーヴィー インコーポレイテッド (9)
【出願人】(506068003)
【Fターム(参考)】