説明

タービンエンジンの冷却空気を管理するための装置

【課題】ガスタービンホイールスペースから流出するシール空気量を制御してタービン効率を向上させる。
【解決手段】回転可能なタービンロータ組立体58に隣接して配置された固定ノズル組立体52と、それら回転可能なタービンロータ組立体58及び固定ノズル組立体52間に形成されたホイールスペース74とを有する。ホイールスペース74は、その中に冷却空気を受け、また第1の回転可能なタービンロータ組立体58上に設置されかつホイールスペース74内に軸方向に延びるシーリング機構96を含み、シーリングランド組立体110は、第2の固定ノズル組立体52の開口部内に取付けられた可動部材と関連するシーリングランド102を有する。タービンエンジンが高温状態に移行した時にシーリングランド102をシーリング機構に向けてホイールスペース74内に軸方向に付勢して冷却空気80の放出を減少させるように作動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンに関し、より具体的には、ガスタービンエンジンにおける温度及び性能管理に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンでは、空気は、圧縮機内で加圧されかつ燃焼器内で燃料と混合されて高温燃焼ガスを発生し、高温燃焼ガスは、1以上のタービン段を通って下流方向に流れる。タービン段は、ステータベーンを有する固定ノズルを含み、ステータベーンは、下流のタービンロータ動翼列を通して燃焼ガスを案内する。動翼は、支持ロータから半径方向外向きに延び、支持ロータは、ガスからエネルギーを抽出することによって動力供給される。
【0003】
第1段タービンノズルは、燃焼器から高温燃焼ガスを受けかつ該高温燃焼ガスを第1段タービンロータ動翼に導いて、該高温燃焼ガスからエネルギーを抽出する。第2段タービンノズルは、第1段タービンロータ動翼の下流に配置することができ、第2段タービンノズルには、第2段タービンロータ動翼の列が続き、これら第2段タービンロータ動翼の列は、燃焼ガスから付加的なエネルギーを抽出する。タービンノズル及びタービンロータ動翼の付加的段は、第2段ロータ動翼の下流に配置することができる。
【0004】
燃焼ガスからエネルギーが抽出されるので、ガスの温度は、それに対応して低下する。しかしながら、このガス温度は比較的高いので、タービン段は一般的に、圧縮機から中空のベーン及び動翼翼形部を通るように分流されてタービンの様々な内部部品を冷却する加圧空気のような冷却媒体によって冷却される。冷却空気は燃焼器での使用から分流されるので、抽気冷却空気の量は、エンジンの全効率に対して直接的な影響を有する。従って、冷却空気を利用する効率を改善してタービンエンジンの全効率を高めることが望ましい。
【0005】
必要となる冷却空気の量は、燃焼ガスの温度だけでなくタービンの回転及び固定部品間に配置された様々なシールの完全性によって決まる。ロータ及び動翼の熱膨張及び収縮は、固定ノズル及びタービンハウジングの熱膨張により変化し、従ってシールの完全性を困難にするおそれがある。幾つかのケースでは、シールが性能低下して、過剰な冷却空気がタービンの主ストリームガス流内に流れて圧縮機空気の過剰な分流を引き起こして、所望のタービン効率以下に直接低下させることになるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、ガスタービン固定及び回転部品間の境界のシール作用を改善したガスタービンエンジンを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な実施形態では、タービンエンジンは、第1のタービンエンジン組立体と、該第1のタービンエンジン組立体に隣接して配置された第2のタービンエンジン組立体とを含む。ホイールスペース(74)が、第1のタービンエンジン組立体及び第2のタービンエンジン組立体間に形成されかつその中に冷却空気を受けるように構成される。シーリング機構が、第1のタービンエンジン組立体上に設置されかつホイールスペース内に軸方向に延びる。可動部材と関連するシーリングランドを有するシーリングランド組立体が、第2のタービンエンジン組立体の開口部内に取付けられる。形状記憶合金で製作された付勢部材が、可動部材と関連し、かつタービンエンジンが低温状態から高温状態に移行した時に可動部材及び関連するシーリングランドをシーリング機構に向けてホイールスペース内に軸方向に付勢するように構成される。
【0008】
本発明の別の例示的な実施形態では、タービンエンジンは、第1の回転可能なタービンロータ組立体と、該第1の回転可能なタービンロータ組立体に隣接して配置された第2の固定ノズル組立体とを含む。第1の回転可能なタービンロータ組立体及び第2の固定ノズル組立体間に形成されたホイールスペースが、その中に冷却空気を受けるように構成される。第1の回転可能なタービンロータ組立体上に設置されたシーリング機構が、ホイールスペース内に軸方向に延びる。可動部材と関連するシーリングランドを有するシーリングランド組立体が、第2の固定ノズル組立体の開口部内に取付けられ、また形状記憶合金で製作された付勢部材が、可動部材と関連し、かつタービンエンジンが低温状態から高温状態に移行した時に可動部材及び関連するシーリングランドをシーリング機構に向けてホイールスペース内に軸方向に付勢するように構成される。
【0009】
本発明のさらに別の例示的な実施形態では、タービンエンジンは、上流及び下流端部を有するタービンハウジングを含む。固定ノズル組立体が、ハウジングに対して固定状態で該ハウジング内に配置される。タービンロータ組立体が、ハウジング内で回転するように該ハウジング内に支持され、かつタービンエンジンの運転の間に、固定ノズル組立体に対して熱膨張するように作動可能である。固定ノズル組立体及び回転可能なタービンロータ組立体間に形成されたホイールスペースが、その中に冷却空気を受けるように構成される。シーリング機構が、タービンロータ組立体上に設置されかつホイールスペース内に軸方向に延び、また可動部材と関連するシーリングランドを有するシーリングランド組立体が、固定ノズル組立体の開口部内に取付けられる。形状記憶合金で製作された付勢部材が、低温のマルテンサイト状態から高温のオーステナイト状態への相変化がガスタービンエンジンの熱過渡の範囲内にあるような組成を有する。付勢部材は、可動部材と関連し、かつタービンエンジンが低温状態から高温状態に移行した時に可動部材及び関連するシーリングランドをシーリング機構に向けてホイールスペース内に軸方向に付勢するように構成される。
【0010】
添付図面に関連して行なった以下の詳細な説明において、好ましくかつ例示的な実施形態により、本発明をその更なる利点と共に一層具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態による例示的なガスタービンエンジンの一部分の軸方向断面図。
【図2】図1のガスタービンエンジンの一部分の拡大断面図。
【図3】低温非運転状態における図1のガスタービンエンジンの一部分の拡大断面図。
【図4】高温運転状態における図1のガスタービンエンジンの一部分の拡大断面図。
【図5】円5で取った、図3の一部分の拡大断面図。
【図6】円6で取った、図4の一部分の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2に示すのは、ガスタービンエンジン10の一部分である。エンジンは、長手方向つまり軸方向中心軸線の周りで軸対称であり、直列流れ連通状態で多段軸流圧縮機12、燃焼器14及び多段タービン16を含む。
【0013】
運転時に、圧縮機12からの加圧空気18は、燃焼器14に流れ、燃焼器は、加圧空気で燃料を燃焼させるように作動して高温燃焼ガス20を発生する。高温燃焼ガス20は、多段タービン16を通って下流方向に流れ、多段タービン16は、高温燃焼ガスからエネルギーを抽出する。
【0014】
図1及び図2に示すように、多段軸流タービン16の実施例は、互いに直接シーケンスとして軸方向に配置されてそれらを通して高温燃焼ガス20を送りかつ該高温燃焼ガス20からエネルギーを抽出する6つの翼形部22、24、26、28、30、32の列を有する3つの段で構成することができる。
【0015】
翼形部22は、第1段ノズルベーン翼形部として構成される。これらの翼形部は、互いに円周方向に間隔を置いて配置されかつ内側及び外側ベーン側壁34及び36間で半径方向に延びて、第1段ノズル組立体38を形成する。ノズル組立体38は、タービンハウジング40内に固定されており、燃焼器14から高温燃焼ガス20を受けかつ導くように作動する。翼形部24は、第1の支持ディスク42の周辺部から半径方向外向きに延びて、第1段シュラウド44に隣接して終端する。翼形部24及び支持ディスク42は、第1段タービンロータ組立体46を形成し、第1段タービンロータ組立体46は、第1段ノズル組立体38から高温燃焼ガス20を受けて該第1段タービンロータ組立体46を回転させ、それによって高温燃焼ガスからエネルギーを抽出する。
【0016】
翼形部26は、第2段ノズルベーン翼形部として構成される。これらの翼形部は、互いに円周方向に間隔を置いて配置されかつ内側及び外側ベーン側壁48及び50間で半径方向に延びて、第2段ノズル組立体52を形成する。第2段ノズル組立体52は、タービンハウジング40内に固定されており、第1段タービンロータ組立体46から高温燃焼ガス20を受けるように作動する。翼形部28は、第2の支持ディスク54から半径方向外向きに延びて、第2段シュラウド56に隣接して終端する。翼形部28及び支持ディスク54は、第2段ノズル組立体52から高温燃焼ガス20を直接受けて該高温燃焼ガス20からさらにエネルギーを抽出する第2段タービンロータ組立体58を形成する。
【0017】
同様に、翼形部30は、第3段ノズルベーン翼形部として構成され、第3段ノズルベーン翼形部は、互いに円周方向に間隔を置いて配置されかつ内側及び外側ベーン側壁60及び62間で半径方向に延びて第3段ノズル組立体64を形成する。第3段ノズル組立体64は、タービンハウジング40内に固定されており、第2段タービンロータ組立体58から高温燃焼ガス20を受けるように作動する。翼形部32は、第3の支持ディスク66から半径方向外向きに延びて、第3段シュラウド68に隣接して終端する。翼形部32及び支持ディスク66は、第3段ノズル組立体64から高温燃焼ガス20を直接受けて該高温燃焼ガス20からさらにエネルギーを抽出する第3段タービンロータ組立体70を形成する。多段タービン16内で利用する段の数は、ガスタービンエンジン10の特定の用途に応じて変化させることができる。
【0018】
上述したように、第1、第2及び第3段ノズル組立体38.52及び64は、タービンハウジング40に対して固定されているが、タービンロータ組立体46、58及び70は、タービンハウジング40内で回転するように取付けられる。従って、固定及び回転部品間には、ホイールスペースと呼ぶことができる空洞が形成される。図2に示す例示的なホイールスペース72及び74は、第2段ノズル組立体52の両側で該ノズル組立体と第1段タービンロータ組立体46との間及び該ノズル組立体と第2段タービンロータ組立体58との間に位置する。
【0019】
タービン翼形部並びにホイールスペース72、74は、タービンエンジン10の運転時に高温燃焼ガス20に曝される。そのような内部部品の所望の耐久性を保証するために、それら内部部品は一般的に、冷却される。例えば、第2段ノズル翼形部26は、その壁76が冷却媒体通路78を形成した状態の中空である。例示的な実施形態では、多段軸流圧縮機12からの加圧空気の一部分は、燃焼器から分流され、翼形部26を通して送られて内部冷却する冷却空気80として使用される。第2段内側ベーン側壁48の半径方向内側に延びているのは、ダイアフラム組立体82である。ダイアフラム組立体は、ロータ表面88に緊密に隣接した半径方向内端部87を備えた半径方向に延びる側方部分84及び86を含む。内側冷却通路90が、翼形部冷却媒体通路78内を通って流れる冷却空気80の一部分を受け、かつ該冷却空気をホイールスペース72及び74内に分散させて、これらホイールススペース内に許容温度レベルを維持する。「エンジェルウィング」と呼ばれるシーリング機構92及び94が、第1段タービン翼形部24の上流及び下流側に配置される。同様に、シーリング機構96及び98が、第2段タービン翼形部28の上流及び下流側に配置される。シーリング機構つまりエンジェルウィングは、軸方向に延びて、第2段ダイアフラム組立体82の半径方向に延びる側方部分84、86内に取付けられかつ該側方部分84、86から半径方向に延びる符号100及び102で示すような相補形シーリングランドに緊密に隣接した状態でそれらの関連するホイールスペース内で終端する。タービンエンジンの運転時に、ダイアフラム組立体82の内側冷却通路90からホイールスペース72及び74内に流れる冷却空気80の漏洩は、上流及び下流側シーリング機構92、94並びにシーリングランド100、102の近接近によって制御される。同様なシーリング機構及びシーリングランドはまた、タービンエンジン10のその他のタービン段の固定及び回転部分間でも使用することができる。
【0020】
ガスタービンエンジン10の運転時には、特にエンジンの温度が低温状態から始動後の高温状態に移行した時に、既に上記したエンジンの様々な部品は、ある程度の熱膨張を受けて、考慮しなければならないほどの寸法変化をエンジン10内で生じる可能性がある。例えば、温度が上昇すると、タービンロータ組立体104全体は、固定ノズル組立体及びタービンハウジング40に対して軸方向に膨張する可能性がある。タービンロータ組立体104がタービンハウジング40内で支持されている方式により、そのような軸方向膨張は、図1ではハウジングに対して主として下流方向である。下流方向の相対的移動の結果として、第1段タービンロータ組立体46の下流側シーリング機構94と第2段上流側シーリングランド100との間の軸方向オーバラップ間隔が、増大して、ホイールスペース72から主ガスストリーム20内への冷却空気80の漏洩を減少させることができる。反対に、第2段下流側シーリングランド102と第2段タービンロータ組立体58の上流側シーリング機構96との間の軸方向オーバラップ間隔は、減少させることができる。接触していない場合に、シーリング機構間の増大及び/又は減少は、微細な問題である。しかしながら、冷却空気80は、軸流圧縮機からの分流空気であるので、燃焼以外の目的のための空気の使用は、ガスタービンエンジン10の効率及びホイールスペースの設計作動に直接影響を与えることになる。各ホイールスペースは、規定の冷却空気の流量を維持して、その中への主ガスストリームの吸込みを防止するように設計される。従って、第2段タービンロータ組立体58の上流側シーリング機構96と第2段下流側シーリングランド102との間の軸方向オーバラップ間隔の減少は、ホイールスペース74に不適当な流量が送給されることになるので、望ましくない。従って、軸方向オーバラップ間隔が減少したホイールスペース74は、主ガスストリーム20内への設計流量よりも多くを漏洩させることになる。
【0021】
非限定的であるが例示的な実施形態では、第2段下流側シーリングランド102は、ダイアフラム組立体82の半径方向に延びる側方部分86の開口部112内で相対的軸方向移動するように取付けた図5及び図6におけるシーリングランド組立体110と関連する。シーリングランド組立体110は、その中に形成された受入れスロット118内にシーリングランド102を受けるように構成された第1の外端部116を有するキャリヤピストン114を含む。キャリヤピストン114の第2の端部120は、開口部112の内端部122に隣接して位置し、かつそれらの間に配置されたスプリング124のような第1の付勢部材を含む。この図示した実施形態では、スプリング124は、キャリヤピストン114の第2の端部120に形成された開口部126内に受けられるが、スプリング124並びにその他のスプリング構成を受けかつ位置決めするその他の構成も考えられる。構成したように、スプリング124は、キャリヤピストン及び関連するシーリングランド102を、ダイアフラム組立体82の半径方向に延びる側方部分86から外向きにホイールスペース74内に付勢する。
【0022】
正に上記した非限定的な実施形態では、付勢スプリング124は、ニッケル−チタン(「NiTi」)ブレンドのような一般に形状記憶合金と呼ばれる材料で製作される。形状記憶合金は、2つの異なる温度依存結晶構造又は相(つまり、マルテンサイト(より低い温度)及びオーステナイト(より高い温度))として存在することができ、その相変化が起こる温度は、主として合金の組成に応じて決まる。二方向形状記憶合金は、変態温度以上に加熱された時にプリセット形状を回復し、また変態温度以下に冷却された時に特定の代替形状に戻る能力を有する。付勢スプリング124は、ガスタービンエンジン10の熱過渡の範囲内の相変化を有するNiTi合金で構成することができる。ガスタービンエンジン10が低温から始動後の高温に移行した時に、スプリング124は、図5に示すそのマルテンサイト相を経て図6に示すそのオーステナイト相に進んで、関連する下流側シーリングランド102と共にキャリヤピストン114がホイールスペース74及び上流側シーリング機構96の方向に付勢されるようになる。その結果、第2段タービンロータ組立体58の上流側シーリング機構96と第2段下流側シーリングランド102との間の所望の近接した物理的間隔が、タービンロータ組立体104の下流方向の軸方向成長(膨張)にも拘わらず維持される。その結果、第2段タービンロータ組立体58と第2段ノズル組立体52のダイアフラム組立体82との間の下流側ホイールスペース74内からの冷却空気80の通路が狭められ、それによってガスタービンエンジンの性能が改善されかつホイールスペース冷却空気流量の制御が維持される。
【0023】
シーリングランド組立体110はまた、戻しスプリング128のような第2の付勢部材を含むことができ、図5及び図6に示す実施形態では、戻しスプリング128は、開口部112の壁132から半径方向内向きに延びる固定環状付勢レッジ130とキャリヤピストン114の内端部122に隣接して配置された対応する環状部134との間で、キャリヤピストン114の外周部の周りに配置される。ガスタービンエンジン10が高温から運転停止後の低温に移行した時に、形状記憶合金スプリング124は、図6に示すそのオーステナイト相を経て図5に示すそのマルテンサイト相に進み、関連する下流側シーリングランド102と共にキャリヤピストン114が、ホイールスペース74から外にかつ上流側シーリング機構96から離れる方向に軸方向に付勢されるようになる。その結果、第2段タービンロータ組立体58の上流側シーリング機構96と第2段下流側シーリングランド102との間の所望の近接した物理的間隔が、タービンロータ組立体104が冷却した時における該タービンロータ組立体104の上流方向の軸方向収縮にも拘わらず維持される。固定付勢レッジ130及びピストン環状部134に対してスプリング荷重を作用させることにより、戻しスプリング128は、スプリング124によってもたらされたあらゆる付勢力に加えてキャリヤピストン114に付勢力を作用させて、それによってキャリヤピストン114が開口部112内の完全嵌挿位置に戻ることを保証する。キャリヤピストン114及び関連するシーリングランド102の完全な後退は、保守整備又は修正のために多段タービン16を分解する場合に、ノズル組立体とタービンロータ組立体との間の隙間の問題を回避するために必要である。
【0024】
本明細書では本発明の例示的な実施形態を主として多段タービンの第2段に対して適用した場合について説明してきたが、この焦点を合せた説明は、専ら説明を単純化するためのものであって、本発明の技術的範囲は、そのような単一の用途に限定されることを意図するものではない。この記載した発明の応用は、同様なタービンエンジン組立体及び様々な段全体にわたる部品に適用することができる。
【0025】
ニッケル−チタン組成の形状記憶合金に関連して本発明の例示的な実施形態を説明してきたが、タービンエンジンの所望の温度において適当な挙動を示す、ニッケル−金属コバルト、銅−亜鉛又はその他のようなその他の組成物も利用することができる。さらに、記載した実施形態は、例えばエンジン温度が上昇した時にシーリングランド102を伸長させる膨張特性を有する形状記憶合金の使用について説明してきたが、それがそのマルテンサイト相からそのオーステナイト相に移行した時に収縮反応を有するように材料を構成した形状記憶合金の使用により、ホイールスペースから離れる方向に下流側シーリングランドを後退させて、タービンエンジン10の始動及び加熱後のタービンロータ組立体104の下流方向の成長の結果としてシーリング機構がランド上に侵入した時に、例えばランド100及びシーリング機構94の所望の間隔を維持することができることが考えられる。
【0026】
本明細書は、実施例を使用して、最良の形態を含む本発明を開示し、またさらにあらゆる装置又はシステムを製作しかつ使用すること及びあらゆる組込み方法を実行することを含む本発明の実施を当業者が行うのを可能にする。本発明の特許性がある技術的範囲は、特許請求の範囲によって定まり、かつ当業者が想起するその他の実施例を含むことができる。そのようなその他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と相違しない構造的要素を有するか又はそれらが特許請求の範囲の文言と本質的でない相違を有する均等な構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲の技術的範囲内に属することになることを意図している。
【符号の説明】
【0027】
10 ガスタービンエンジン
12 多段軸流圧縮機
14 燃焼器
16 多段タービン
18 加圧空気
20 高温燃焼ガス
22 第1段ノズル翼形部
24 第1段タービン翼形部
26 第2段ノズル翼形部
28 第2段タービン翼形部
30 第3段ノズル翼形部
32 第3段タービン翼形部
34 内側ベーン側壁
36 外側ベーン側壁
38 第1段ノズル組立体
40 タービンハウジング
42 第1の支持ディスク
44 第1段シュラウド
46 第1段タービンロータ組立体
48 内側ベーン側壁
50 外側ベーン側壁
52 第2段ノズル組立体
54 第2の支持ディスク
56 第2段シュラウド
58 第2段タービンロータ組立体
60 内側ベーン側壁
62 外側ベーン側壁
64 第3段ノズル組立体
66 第3の支持ディスク
68 第3段シュラウド
70 第3段タービンロータ組立体
72 ホイールスペース
74 ホイールスペース
76 翼形部壁(第2段ノズル翼形部の)
78 翼形部冷却媒体通路(第2段ノズル翼形部の)
80 冷却空気
82 ダイアフラム組立体
84 半径方向に延びる側方部分(ダイアフラム組立体の)
86 半径方向に延びる側方部分(ダイアフラム組立体の)
87 半径方向内端部(ダイアフラム組立体の)
88 ロータ表面
90 内側冷却通路
92 上流側シーリング機構
94 下流側シーリング機構
96 上流側シーリング機構
98 下流側シーリング機構
100 第2段上流側シーリングランド
102 第2段下流側シーリングランド
104 タービンロータ組立体
110 シーリングランド組立体
112 開口部(ダイアフラム組立体の半径方向に延びる側方部分の)
114 キャリヤピストン
116 第1の外端部(キャリヤピストンの)
118 受入れスロット
120 第2の端部(キャリヤピストンの)
122 内端部(キャリヤピストンの)
124 スプリング
126 開口部(キャリヤピストンの第2の端部の、キャリヤピストンの)
128 戻しスプリング
130 固定付勢レッジ
132 壁(ダイアフラム組立体の半径方向に延びる側方部分の開口部の)
134 環状部(キャリヤピストンの、キャリヤピストンの内端部の)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジン(10)であって、
第1のタービンエンジン組立体(58)と、
前記第1のタービンエンジン組立体に隣接して配置された第2のタービンエンジン組立体(52)と、
前記第1のタービンエンジン組立体(58)及び第2のタービンエンジン組立体(52)間に形成されかつその中に冷却空気(80)を受けるように構成されたホイールスペース(74)と、
前記第1のタービンエンジン組立体(58)上に設置されかつ前記ホイールスペース(74)内に軸方向に延びるシーリング機構(96)と、
前記第2のタービンエンジン組立体(52)の開口部(112)内に取付けられた可動部材(114)と関連するシーリングランド(102)、並びに形状記憶合金で製作され、前記可動部材(114)と関連しかつ該タービンエンジン(10)が低温状態から高温状態に移行した時に前記可動部材(114)及び関連するシーリングランド(102)を前記シーリング機構(96)に向けて前記ホイールスペース(74)内に軸方向に付勢するように構成された付勢部材(124)を有するシーリングランド組立体(110)と
を含むタービンエンジン(10)。
【請求項2】
前記付勢部材(124)が、低温のマルテンサイト状態において第1の軸方向長さを有しまた高温のオーステナイト状態において第2のより長い軸方向長さを有する二方向形状記憶合金として構成される、請求項1記載のタービンエンジン(10)。
【請求項3】
前記形状記憶合金が、該ガスタービンエンジン(10)が低温状態から高温状態に移行した時に、低温のマルテンサイト状態から高温のオーステナイト状態への相変化が生じるような組成を有する、請求項1記載のタービンエンジン(10)。
【請求項4】
前記形状記憶合金が、ニッケル−チタン合金を含む、請求項1記載のタービンエンジン(10)。
【請求項5】
前記付勢部材(124)が、該タービンエンジン(10)が高温状態から低温状態に移行した時に、前記可動部材(114)及び関係するシーリングランド(102)を前記ホイールスペース(74)から外にかつ前記シーリング機構(96)から離れる方向に軸方向に付勢するように構成される、請求項1記載のタービンエンジン(10)。
【請求項6】
タービンエンジン(10)であって、
第1の回転可能なタービンロータ組立体(58)と、
前記第1の回転可能なタービンロータ組立体(58)に隣接して配置された第2の固定ノズル組立体(52)と、
前記第1の回転可能なタービンロータ組立体(58)及び第2の固定ノズル組立体(52)間に形成されかつその中に冷却空気(80)を受けるように構成されたホイールスペース(74)と、
前記第1の回転可能なタービンロータ組立体(58)上に設置されかつ前記ホイールスペース(74)内に軸方向に延びるシーリング機構(96)と、
前記第2の固定ノズル組立体(52)の開口部(112)内に取付けられた可動部材(114)と関連するシーリングランド(102)を有するシーリングランド組立体(110)と、
形状記憶合金で製作され、前記可動部材(114)と関連しかつ該タービンエンジン(10)が低温状態から高温状態に移行した時に前記可動部材及び関連するシーリングランド(102)を前記シーリング機構に向けて前記ホイールスペース(74)内に軸方向に付勢するように構成されたた付勢部材(124)と
を含むタービンエンジン(10)。
【請求項7】
前記付勢部材(124)が、低温のマルテンサイト状態において第1の軸方向長さを有しまた高温のオーステナイト状態において第2のより長い軸方向長さを有する二方向形状記憶合金として構成される、請求項6記載のタービンエンジン(10)。
【請求項8】
前記形状記憶合金が、該ガスタービンエンジン(10)が低温状態から高温状態に移行した時に、低温のマルテンサイト状態から高温のオーステナイト状態への相変化が生じるような組成を有する、請求項6記載のタービンエンジン(10)。
【請求項9】
前記付勢部材(124)が、該タービンエンジン(10)が高温状態から低温状態に移行した時に、前記可動部材(114)及び関係するシーリングランド(102)を前記ホイールスペース(74)から外にかつ前記シーリング機構(96)から離れる方向に軸方向に付勢するように構成される、請求項6記載のタービンエンジン(10)。
【請求項10】
前記形状記憶合金が、ニッケル−チタン合金を含む、請求項6記載のタービンエンジン(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−223227(P2010−223227A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61736(P2010−61736)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】