説明

ターボ機械における電気機器を冷却するための冷却装置

【課題】嵩張らずかつ実現することが簡単で、漏れの危険性がなく、かつ定期的な保守点検作業を必要としない冷却装置を提供する。
【解決手段】可変幾何形状要素のアクチュエータを制御するためのユニットなど、ターボ機械10における電気機器または電子機器12を冷却するための冷却装置であって、少なくとも1つの渦管14を備え、該渦管14は、ターボ機械の要素16から取り込まれた加圧空気を供給するための手段に連結された入口18と、電気機器12を冷却するための手段50に連結された冷気出口24とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ機械における電気機器または電子機器を冷却するための冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は、可変幾何形状要素のアクチュエータを制御するためのユニットなどの一定数の電気機器または電子機器を含み、該機器は、大量の熱を発生し、この熱は、電気機器、および前記電気機器の付近に位置するターボ機械の一定の要素に関して許容可能な温度を維持するために、取り除かれる必要がある。
【0003】
知られている冷却装置は、一般に、油、燃料、または空気などの冷却流体を循環するための手段を備え、それら冷却装置は、嵩張り、かつ実現することが複雑であることが多い。さらに、それら冷却装置は、漏れの危険性があり、かつ定期的な保守点検作業を必要とし、保守点検作業は、長時間かかりかつ費用が嵩む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の具体的な目的は、そのような問題点に対する効率的で費用の嵩まない解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本目的のために、本発明は、ターボ機械における電気機器を冷却するための冷却装置を提供し、該装置が、少なくとも1つの渦管を備え、該渦管が、加圧空気供給手段に連結される入口と、電気機器を冷却するための手段に連結される冷気出口とを有し、渦管が、二次回路を有する熱交換器を介して加圧空気が供給され、該二次回路が、電気機器を冷却するための手段の出口によって、または渦管の熱気出口によって、冷却流体が供給されることを特徴とする。
【0006】
知られている方法において、渦管は、ランク(Ranque)管としても知られ、中間温度の圧縮空気の流れから得られる、冷気の流れおよび熱気の流れを生成するための渦効果を用いるように機能する。入口空気は、管の一端の方に向けられる急速に渦巻く流れを生成するように、管に連結されるチャンバ内に接線方向に注入される。この管の端部には、円錐出口弁が装着される。空気の一部は、前記弁を介して管から出るのに対し、空気の別の部分は、前記弁で反射され、管に沿って注入された空気の内部に渦巻きの動きとは反対方向に進むと同時に、前記空気に熱を生じ、次に管の反対側端部を経て出て行く。
【0007】
本発明の冷却装置は、1つまたは複数の渦管を有し、この渦管は、ターボ機械のコンプレッサから、またはターボ機械の送風導管などの二次空気流を通すための環状導管から、適切な手段によって取り込まれた加圧空気が供給される。各渦管からの冷気出口は、冷却のために機器に結合される熱交換器、または冷却のために電気機器に空気を注入するためのシステムに連結される。
【0008】
渦管は、作製および実現が簡単であり、冷気を局所的に利用可能なリソースによって生成させることを可能にする。渦管は、数バール(約数百kPa)(通常は5バール〜10バール(500kPa〜1000kPa)の範囲にある)の圧力で空気が供給され、入口空気の温度より約50℃低くてもよい温度で、冷気を生成する。さらに、渦管は、可動部分を含まないため、廉価で信頼性が高く、特殊な保守点検を必要とすることなく比較的長い耐用期間を有する。
【0009】
冷却装置は、熱交換器を含むことができ、熱交換器は、空気を取り込むための手段の出口に連結された入口と、渦管の入口に連結された出口とを備えた一次回路を有し、冷却流体が供給される少なくとも1つの二次回路を含む。
【0010】
電気機器を冷却するために用いられている空気の少なくとも一部は、ターボ機械から取り込まれた空気の冷却を支援するために、熱交換器の二次回路に注入されることができる。同様に、渦管の高温出口から出る空気は、その温度がターボ機械から取り込まれた空気の温度より低いという条件で、取り込まれた空気の冷却を支援するために、熱交換器の二次回路に注入されることができる。このように、熱交換器は、冷気が供給される2つの二次回路を有することができ、一方の二次回路は、電気機器を冷却するための手段からの出口によって、他方の二次回路は、渦管からの熱気出口によって冷気が供給される。
【0011】
渦管は、二重回路型であってもよく、その場合には、加圧空気供給手段に連結される第2の入口管を含み、この配置により効率を倍増させることが可能となる。
【0012】
また、電気機器または電子機器を冷却するために、直列または並列に結合された複数の渦管を用いることも可能である。
【0013】
本発明はまた、上述のような電気機器または電子機器の冷却装置を含むことを特徴とする、ターボ機械を提供する。
【0014】
本発明は、添付図面を参照して非限定例によってなされる以下の詳細を読めば、よりよく理解されることができ、本発明の他の詳細、特性、および利点が、明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、ターボ機械10の電気機器または電子機器12を冷却するための本発明の装置の非常に概略的な図である。装置は、ターボ機械の要素16から取り込まれた加圧空気が供給される渦管14またはランク管を備え、前記要素16は、例えば送風導管、低圧または高圧のコンプレッサ、またはターボ機械の補機ギアボックスによって駆動されるサイズのより小さい補助コンプレッサによって構成される。
【0016】
渦管14は、渦管の端部間に形成されるチャンバ20に通じる入口18を有し、渦管は、その端部の一方に熱気出口22を、他方の端部に冷気出口24を有する。渦管のよく知られている動作は、図2および図3を参照して以下に詳細に説明される。
【0017】
示された例において、冷却装置は、さらに、一次回路を含む1つまたは複数段を有する熱交換器30を備え、一次回路は、ターボ機械の要素16から空気を取り込むための手段に連結された入口32と、渦管14の入口18に導管38によって連結された出口36とを有する。
【0018】
取り込まれる空気は、自然対流によって(さらに放熱によって)、および/または熱交換器30の二次回路31内を流れる冷却流体との熱交換によって、熱交換器30内で冷却される。
【0019】
熱交換器30は、任意に、冷却流体用の別の二次回路を含んでもよく、入口40は、電気機器を冷却するために用いられる熱交換器50の出口に導管42によって連結され、熱交換器30の二次回路の出口44で退けられた空気は、場合によってはターボ機械の要素を冷却するために用いられる。
【0020】
同様に、渦管14からの熱気出口22は、熱交換器30の別の二次回路の入口34に導管46によって連結されることができる。
【0021】
渦管からの冷気出口24は、熱交換器50、または電気機器12に結合される空気エジェクタシステムのいずれかに連結され、この電気要素は、例えば、ターボ機械の可変幾何形状部分を制御するための電子ユニットによって構成される。
【0022】
装置は、また、渦管における磨耗を制限するために、32または38に取付けられた加圧空気フィルタ手段を含み、その耐用期間を長くしてもよい。
【0023】
本発明の冷却装置は、以下のように動作する。すなわち、加圧空気が、要素16から取り込まれ、熱交換器30の一次回路を通過し、二次回路31内を流れる冷却流体、場合によっては熱交換器30の二次回路40〜44内を流れる空気、および渦管から出口22によって送出される熱気と、熱を交換することによって冷却される。熱交換器30を出てくる冷気は、管の第1の端部24(図2)付近に位置している、管のチャンバ20に接線方向に注入される。このチャンバ20は、注入される空気を移動させるように、かつ管内部で高速に渦巻く流れ52を生成するように、略円筒形状である。この流れは、管の第2の端部22に向かって進む(矢印54)。渦巻く流れの外周の空気は、相対的に熱いのに対し、渦巻く流れの内周に位置する空気は、相対的に冷たい。
【0024】
円錐台形の制御弁56は、管の第2の端部22に取付けられ、管の内面と協働して、渦巻く流れの外周に位置する空気、すなわち熱気用の環状空気出口チャネルを画定する(矢印58)。渦巻く流れの中央部分は、弁56で反射され、第2の渦巻く流れ60を形成する。第2の渦巻く流れ60は、第1の渦巻く流れ52の内部で反対方向に流れ(矢印62)、管の第1の端部24に達するまで(矢印64)熱を発生する。
【0025】
当分野で知られているように、渦管は、二重回路型であってもよく、その場合には、管の効率を向上するために、チャンバ20とは反対側のその端部22に第2の空気入口を有する。示された例において、管の軸上のオリフィス66は、制御弁56によって形成され、空気供給手段に連結されることができる(矢印68)。この空気は、例えば同一温度であり、チャンバ20に注入される空気より低圧である。
【0026】
本発明の特定の実施形態において、要素16から取り込まれ、熱交換器30を通過する空気の流量は、毎分2833リットル(L/分)であり、この空気は、6.3バール(630kPa)の圧力で温度が200℃である。熱交換器30の二次回路31に供給される冷却流体は、温度が90℃の空気であり、渦管14に供給される加圧空気の温度を100℃まで下げることが可能である。熱交換器50は、流量1840L/分で冷気が供給され、この空気は、熱交換器50への入口で57℃の温度を有し、熱交換器からの出口で約80℃〜90℃の温度を有し、この空気は、次に、導管42を経て熱交換器の二次回路に注入されることができる。
【0027】
複数の渦管14は、1つまたは複数の電気機器または電子機器を冷却するために、直列または並列に連結されてもよい。各渦管の大きさは、流量および管からの出口における冷気の温度に応じ、流量および温度は、冷却対象の機器のタイプに応じて決定される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ターボ機械の電気機器を冷却するための本発明の装置の非常に概略的な図である。
【図2】本発明の冷却装置の渦管の軸断面線図である。
【図3】図2の線III−IIIに沿って切り取った断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 ターボ機械
12 電気機器または電子機器
14 渦管
16 ターボ機械の要素
18、32、34、40 入口
20 チャンバ
22 熱気出口
24 冷気出口
30、50 熱交換器
31 二次回路
36、44 出口
38、42、46 導管
52、60 渦巻く流れ
54、58、62、64、68 矢印
56 制御弁
66 オリフィス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械(10)における電気機器(12)を冷却するための冷却装置であって、該装置が、少なくとも1つの渦管(14)を備え、該渦管(14)が、加圧空気供給手段(16)に連結される入口(18)と、電気機器を冷却するための手段(50)に連結される冷気出口(24)とを有し、渦管(14)が、二次回路を有する熱交換器(30)を介して加圧空気が供給され、該二次回路が、電気機器を冷却するための手段の出口によって、または渦管の熱気出口によって、冷却流体が供給されることを特徴とする、装置。
【請求項2】
加圧空気供給手段(16)が、冷気の流れまたはターボ機械(10)の二次的な流れを通すための環状導管から空気を取り込むための手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
加圧空気供給手段(16)が、ターボ機械のコンプレッサから空気を取り込むための手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
加圧空気供給手段(16)が、ターボ機械の補機ギアボックスによって駆動される補助コンプレッサを備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
熱交換器(14)が、冷気が供給される2つの二次回路(40、44)を含み、一方の二次回路が、電気機器を冷却するための手段(50)からの出口によって、他方の二次回路が、渦管からの熱気出口によって冷気が供給されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
渦管(14)が、数バール(約数百kPa)の圧力で空気が供給されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
渦管(14)から出てくる冷気の温度が、加圧空気の温度より約50℃低いことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
渦管(14)が、二重回路型であり、加圧空気供給手段に連結される第2の入口(66)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
直列または並列に結合される複数の渦管を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
電気機器を冷却するための請求項1に記載の装置を含むことを特徴とするターボ機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−208830(P2008−208830A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−15854(P2008−15854)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(502150878)イスパノ・シユイザ (44)
【Fターム(参考)】