説明

ダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法及びその装置

【課題】設備及び運転コストが低く、大量のエネルギーを使用しないダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法及びその装置を提供する。
【解決手段】ダイオキシン類を含有する焼却灰21及び植物質被炭化材22からなる被処理物23を処理室11に収納する第1工程と、被処理物23の一部に含まれる植物質被炭化材22に自発熱分解が開始されるまで加熱する第2工程と、処理室11内に供給する酸素量を調節して被処理物23の一部で開始した植物質被炭化材22の自発熱分解を被処理物23の残部に含まれる植物質被炭化材22に順次拡大させて処理室11内を900℃以上1100℃以下の温度の還元性雰囲気に15時間以上24時間以下の時間保持し、植物質被炭化材22を炭化物に転換しながら焼却灰21に含まれるダイオキシン類を熱分解する第3工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却炉で発生した焼却灰中のダイオキシン類を熱分解して無害化するダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低温焼却炉や簡易焼却炉によるごみ等の廃棄物を焼却処理する際に発生する焼却灰の成分は、ナトリウム、カリウム、カルシウム等の無機塩成分が主体であるが、非常に微量の内分泌撹乱物質、例えば、ダイオキシン類を含有しており、ダイオキシン類の強い毒性のため、海洋散布による投棄や農地肥料としての再利用ができず、その処理法の開発が重要な問題となっている。一方、現在整備中の高温焼却炉やRDF(ごみ固形化燃料)発電施設においても、ダイオキシン類の発生する温度条件が炉内に部分的に存在することが判明しており、運転に大量の化石燃料を使用せざるを得ないという問題に加えて、ダイオキシン類が混入する焼却灰の発生という問題も存在する。ここで、ダイオキシン類は、燃焼炉内の高温還元雰囲気領域では自己分解や昇華を起こし、空気(酸素)が大量に供給される600℃以下の酸化雰囲気領域では塩化物と樹脂の混合分解過程において大量に生成するという性質を有している。そこで、ダイオキシン類を含有する焼却灰を処理室内に収容し、処理室内に不活性ガス(例えば窒素ガス)を供給しながら焼却灰を無酸素雰囲気中で加熱してダイオキシン類を分解する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−45826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、高温に保った処理室内に不活性ガスを供給して無酸素雰囲気にする必要があるので、処理室の気密性を高めると共に、高純度の不活性ガスと処理室内を高温に保つためのエネルギーを大量に使用しなければならず、設備コスト及び運転コストが高くなるという問題がある。なお、焼却灰中のダイオキシン類を化学的に分解する方法や微生物を利用して分解する方法も考えられるが、化学的に分解する場合では、強い反応性を有する不安定で高価な化学物質を大量に使用するので設備コスト及び運転コストが高くなるという問題があり、微生物を用いて分解する場合では、焼却灰に微生物を加えて保持する微生物槽の設備コストが高いという問題に加えて、ダイオキシン類が効率的に分解されるように微生物槽内の条件を管理する技術が未だ確立されておらず、実用化には更に時間を要するという問題もある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、設備及び運転コストが低く、大量のエネルギーを使用しないダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係るダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法は、ダイオキシン類を含有する焼却灰及び植物質被炭化材からなる被処理物を処理室に収納する第1工程と、
前記被処理物の一部に含まれる前記植物質被炭化材に自発熱分解が開始されるまで加熱する第2工程と、
前記処理室内に供給する酸素量を調節して前記被処理物の一部で開始した前記植物質被炭化材の自発熱分解を該被処理物の残部に含まれる該植物質被炭化材に順次拡大させて該処理室内を900℃以上1100℃以下の温度の還元性雰囲気に15時間以上24時間以下の時間保持し、前記植物質被炭化材を炭化物に転換しながら前記焼却灰に含まれるダイオキシン類を還元的熱分解する第3工程とを有する。
処理室内を900℃以上の温度の還元性雰囲気に15時間以上の時間保持することで、焼却灰中に塩化物と樹脂が混入していてもダイオキシン類の生成を防止すると共に、処理する焼却灰毎に含まれるダイオキシンの種類と量が変化しても、焼却灰に含まれるダイオキシン類を完全に熱分解することができる。ここで、処理室内の温度を高く、処理時間を長くする程ダイオキシン類の分解を促進することができるが、処理室内の温度を1100℃を超える温度に設定しても、処理時間を24時間を超える時間に設定してもダイオキシン類の熱分解量に顕著な違いは認められず、温度を高く、処理時間を長くするために必要な植物質被炭化材の使用量が増加し、処理できる焼却灰の量が低下するという問題が生じる。このため、処理室内を1100℃以下、処理時間を24時間以下とした。
【0007】
第1の発明に係るダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法において、前記被処理物中の前記焼却灰の重量AWに対する前記植物質被炭化材の重量PWの割合PW/AWを、1.2以上1.5以下にすることが好ましい。
【0008】
第1の発明に係るダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法において、前記処理室から排出される熱分解ガスを900℃以上のガス再燃焼炉に導入して燃焼し、該ガス再燃焼炉から排出された排ガスを冷却して活性炭バグフィルタを通過させて大気中に放出することが好ましい。
ガス再燃焼炉を900℃以上とすることで、ダイオキシン類を完全燃焼分解することができる。
【0009】
第1の発明に係るダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法において、前記第3工程終了後、前記処理室内に供給する酸素量を調整して、生成した前記炭化物を燃焼させ、該処理室内を1100℃以上1200℃以下の温度まで上昇させた後、酸素の供給を停止することが好ましい。
処理室内を1100℃以上とすることで、焼却灰の温度を900℃以上にすることができ、焼却灰中にダイオキシン類が残留していても完全燃焼分解することができる。ここで、処理室内の温度を高くする程ダイオキシン類の完全燃焼分解を促進することができるが、処理室内の温度を1200℃を超える温度に設定しても、ダイオキシン類の完全燃焼分解量に顕著な違いは認められず、温度を高くするために必要な炭化物を形成する植物質被炭化材の量が増加し、処理できる焼却灰の量が低下するという問題が生じる。このため、処理室内を1200℃以下とした。
【0010】
第1の発明に係るダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法において、前記植物質被炭化材として木竹質廃棄物を使用することができる。ここで、木竹質廃棄物とは、例えば、間伐材、伐採竹、剪定材、製材屑、建築廃材、型枠廃材を裁断した木質チップ、竹チップ、又は木質チップと竹チップの混合チップを指す。
【0011】
前記目的に沿う第2の発明に係るダイオキシン類含有焼却灰の無害化装置は、下部に複数の空気導入孔が形成され、ダイオキシン類を含有する焼却灰及び植物質被炭化材からなる被処理物が収納される処理室と、
前記処理室の上部に設けられ、前記被処理物を出し入れする出入口を開閉する蓋と、
前記処理室内に立設されて上端が該処理室の上部位置にある加熱排気筒と、
前記処理室の下に設けられ、前記空気導入孔に空気を供給する空気供給部と、
前記空気供給部に形成された空気取入れ口に設けられた空気供給量調整手段と
前記処理室の下に設けられ、該処理室内の前記被処理物の一部に含まれる前記植物質被炭化材に自発熱分解が開始されるまで加熱する加熱部と、
前記処理室の下部に接続する排気路と、
前記排気路の下流側に設けられ、前記処理室で発生した熱分解ガスを吸引する排気ファンとを有する加熱炉を備え、
前記加熱排気筒は、下部に前記処理室に連通する排気導入孔を備えて上部に天井板を有する外筒と、該外筒内に同心状に配置された内筒とを備え、該内筒は、上端が前記外筒の前記天井板と隙間を有して開口すると共に、下端が前記排気路に連通しており、
前記処理室に収納された前記被処理物の下から開始した酸素不足状態下での前記植物質被炭化材の自発熱分解を該被処理物の上部側に順次拡大させて該処理室内を900℃以上1100℃以下の温度の還元性雰囲気に15時間以上24時間以下の時間保持して前記焼却灰に含まれるダイオキシン類を熱分解する。
【0012】
第2の発明に係るダイオキシン類含有焼却灰の無害化装置において、前記排気路の上流側には、該排気路内に流入した熱分解ガスを再燃焼させるガス再燃焼炉が接続され、該ガス再燃焼炉の直下流側の前記排気路には、該ガス再燃焼炉から排出される排ガスを冷却する熱交換部と、該熱交換部を通過した排ガスが通過する活性炭バグフィルタとを備えた排ガス処理手段が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法及びダイオキシン類含有焼却灰の無害化装置においては、処理室に収納された被処理物の一部に含まれる植物質被炭化材で開始した酸素不足状態下での植物質被炭化材の自発熱分解が被処理物の残部に含まれる植物質被炭化材に順次拡大する際に発生する熱分解熱で被処理物中のダイオキシン類を含有する焼却灰を加熱するので、焼却灰を静止状態で(飛散させずに)900℃以上1100℃以下の温度の還元性雰囲気に15時間以上24時間以下の時間保持することができ、含有されるダイオキシン類を確実に熱分解することができる。そして、処理室内の被処理物の一部に含まれる植物質被炭化材に自発熱分解が開始されるまで外部から加熱し、自発熱分解が開始された後は外部からの継続的な加熱は行わないので、ダイオキシン類の熱分解処理に必要なエネルギーを大幅に削減することができる。
また、ダイオキシン類含有焼却灰の無害化装置は簡便な構成のため移動可能なコンパクトサイズにすることができ、ダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法を実施する場合及びダイオキシン類含有焼却灰の無害化装置を運転する場合に免許等の特殊技術は必要でないので、遠隔地(例えば、離島、山中)、発展途上国、更には船上においても、ダイオキシン類を含有する焼却灰の無害化を容易に行うことができる。
【0014】
本発明に係るダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法において、被処理物中の焼却灰の重量AWに対する植物質被炭化材の重量PWの割合PW/AWを、1.2以上1.5以下にする場合、ダイオキシン類を含有する焼却灰を900℃以上1100℃以下の温度の還元性雰囲気で15時間以上24時間以下の時間確実に保持することができる。
また、処理室から排出される熱分解ガスを900℃以上のガス再燃焼炉に導入して燃焼し、ガス再燃焼炉から排出された排ガスを冷却して活性炭バグフィルタを通過させて大気中に放出する場合、焼却灰が加熱される際に昇華したダイオキシン類が熱分解ガス中に混入しても、ガス再燃焼炉で熱分解することができ、更に、ガス再燃焼炉から排出された排ガス中のダイオキシン類が残存しても活性炭に吸着させることができ、焼却灰の処理時にダイオキシン類が大気中に放出されるのを確実に防止できる。
更に、第3工程終了後、処理室内に供給する酸素量を調整して生成した炭化物を燃焼させ、処理室内を1100℃以上1200℃以下の温度まで上昇させ、酸素の供給を停止する場合、焼却灰中に残留する、又は炭化物に吸着している未分解のダイオキシン類を確実に熱分解することができる。
そして、植物質被炭化材として木竹質廃棄物を使用する場合、熱源として木竹質廃棄物を使用してダイオキシン類を熱分解することになり、大量の化石燃料や電力を使用せず環境に与える負荷を最小限にすることができる。そして、木竹質廃棄物として、森林(竹林)保全の際に発生する間伐材、伐採竹、剪定材を使用すると、森の力を利用したダイオキシン類の無害化が実現され、森林(竹林)保全とダイオキシン類を含有する焼却灰の無害化の両立を図ることができる。
【0015】
本発明に係るダイオキシン類含有焼却灰の無害化装置において、排気路の上流側に、排気路内に流入した熱分解ガスを再燃焼させるガス再燃焼炉が接続され、ガス再燃焼炉の下流側の排気路に、ガス再燃焼炉から排出される排ガスを冷却する熱交換部と、熱交換部を通過した排ガスが通過する活性炭バグフィルタを備えた排ガス処理手段が設けられている場合、処理室内の焼却灰からダイオキシン類が昇華して熱分解ガス中に混入しても、ガス再燃焼炉に導入して熱分解することができ、更に、ガス再燃焼炉から排出された排ガス中にダイオキシン類が残存しても活性炭に吸着させることができ、ダイオキシン類含有焼却灰の処理時にダイオキシン類が大気中に放出されるのを確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係るダイオキシン類含有焼却灰の無害化装置の説明図、図2は同無害化装置の加熱炉の説明図、図3は同無害化装置の加熱炉下部の説明図である。
【0017】
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係るダイオキシン類含有焼却灰の無害化装置10は、ダイオキシン類を含有する焼却灰21及び植物質被炭化材の一例である木材を裁断した木質チップ22からなる被処理物23が収納される処理室11を有する加熱炉12と、処理室11で発生した熱分解ガスを燃焼するガス再燃焼炉15と、ガス再燃焼炉15から排出される排ガスを冷却する熱交換部16及び熱交換部16を通過した排ガスが通過する活性炭バグフィルタ17を備えた排ガス処理手段18とを有している。以下詳細に説明する。
【0018】
図2、図3に示すように、加熱炉12は、有底縦円筒状であって、下部に複数の空気導入孔19が形成され、金属製(例えば、ステンレス製)の収納容器20に入れられたダイオキシン類を含有する焼却灰21及び収納容器20の周囲に充填された木質チップ22からなる被処理物23が収納される処理室11と、処理室11の上部に設けられ、被処理物23を出し入れする出入口24を開閉する蓋25と、処理室11内に立設されて上端が処理室11の上部位置にある加熱排気筒26と、処理室11の下に設けられ、空気導入孔19に空気を供給する空気供給部28と、空気供給部28に形成された空気取入れ口27に接続する空気供給量調整手段一例である流量制御弁79と、処理室11の下に設けられ、処理室11内の被処理物23の一部に含まれる木質チップ22に自発熱分解が開始されるまで加熱する加熱部29と、処理室11の下部に接続する排気路14と、排気路14の下流側に設けられ、処理室11で発生した熱分解ガスを吸引する排気ファン13とを有している。
【0019】
処理室11は、周壁部30と周壁部30の下端より上部位置に取付けられた金属製の円形内底板36を有している。ここで、周壁部30は、内、外金属板31、32を備えた二重壁構造をなし、内、外金属板31、32間に、例えばガラスウールからなる断熱材33が装填され、周壁部30の内周面に、例えばロックウールからなる断熱材34が金属製押さえネット35を介して張設されている。また、処理室11の下には、円形内底板36で仕切られて、周壁部30の下端部と周壁部30の下端に取付けられた金属製の円形外底板37で構成された空気供給部28が設けられている。そして、円形外底板37の一方側(図3ではの右寄り部分)の下面側には、一端部が空気供給部28に連通し他端部が半径方向外側に延出するエルボ管38が設けられ、このエルボ管38の他端部に加熱源の一例であるガスバーナ39が取外し可能に取付けられて加熱部29を形成している。また、空気供給部28の側部を構成する周壁部30の下部には、空気供給部28に連通する空気取入れ口27が形成されている。なお、エルボ管38の他端部にはフランジ40が取付けられ、ガスバーナ39を取外した後、フランジ40にねじ止め具41を介して蓋板42が取付け可能になっている。
【0020】
処理室11の円形内底板36と円形外底板37の中央部にはそれぞれ孔が形成され、各孔の縁部に金属製の短筒体43の両端部がそれぞれ締結部材の一例であるねじ44を用いて接続されている。そして、円形内底板36には、全面にわたって多数の空気導入孔19が穿設されると共に、各空気導入孔19の上面側に閉塞防止用の山形カバー片45が固着されている。
【0021】
加熱排気筒26は、天井板46にて閉塞した上端が処理室11の出入口24近傍に達する高さを有する金属製の外筒47と、外筒47内に同心状に配置して上端が外筒47の天井板46と隙間を有して開口する金属製の内筒48とを有する二重筒をなし、外筒47の下部周囲には処理室11内で発生した熱分解ガスを取入れる多数の排気導入孔49が穿設されている。ここで、外筒47は、下部が短筒体43の内側を挿通して、その下端を円形外底板37の下面中央部に配置した金属製の環状受け板50上に載置しており、その上部側において周方向に等間隔となるように外側から螺挿された複数のねじ形ピン51の先端部を内筒48外周面に当接させることより、内筒48に対して同心状態を保つように設定されている。一方、内筒48は、その下端に設けたフランジ部52を、排気路14の上流端に設けた接続フランジ部53と共に、環状受け板50の下面側に取付けボルト54を介して連結することにより、排気路14に連通した状態で処理室11に一体的に固定されている。なお、外筒47と内筒48との間の環状空間部55は、内筒48のフランジ部52と環状受け板50との連結によって処理室11外に対して閉鎖されている。
【0022】
ここで、排気路14は、処理室11の下側で中心から半径方向外側へ伸びる水平管部56と、水平管部56の先端(外側端)より処理室11の外周面に沿って上方へ伸びる垂直管部57と、垂直管部57の上端部及びガス再燃焼炉15を接続する接続管58を有している。また、垂直管部57には内部を通過する熱分解ガスの温度を計測する温度センサ59が付設されている。なお、この排気路14における水平管部56の基端部、水平管部56と垂直管部57との連結部、垂直管部57と接続管58の連結部にはそれぞれチーズ管60が用いられ、各チーズ管60の非連結側の分岐開口部をキャップ61で閉塞することにより、休止中にキャップ61を外して管内清掃を容易に行えるように設定している。
【0023】
なお、周壁部30の対向する位置には、脚部62、63を備えた支持フレーム64の基側が図示しない取付けピンを介してそれぞれ取付けられ、脚部62、63の下端部が基台65に固定されている。これにより、処理室11を基台65上に、立設状態で保持することができる。
【0024】
蓋25は、処理室11とは別体として設けられ、金属製の円形の底板部材66及び底板部材66に上方から被さる平面視して円形状の金属製のカバー部材67とを有し、底板部材66とカバー部材67の間の空間部には、例えばガラスウールからなる断熱材68が充填されている。また、基台65には支柱69が立設され、支柱69の上部に設けられた取付け軸70に取付けアーム71の中間部が傾動可能に取付けられている。そして、取付けアーム71の一端部には蓋25が取付けられ、取付けアーム71の他端部には図示しないバランスウエイトが取付けられている。
【0025】
収納容器20は、同心状に配置された外筒72及び内筒73と、外筒72及び内筒73の下部開口を塞ぐ環状板部材74とを有している。これによって、収納容器20の内筒73内に加熱排気筒26を挿入させながら収納容器20を下降させることにより、環状板部材74が山形カバー片45に当接した状態で収納容器20を処理室11内に収容することができる。ここで、外筒72と金属製押さえネット35との間、内筒73と加熱排気筒26との間にはそれぞれ隙間(幅が、例えば、1500〜2000mm)が形成されるように、外筒72の外径及び内筒73の内径がそれぞれ決められている。また、外筒72及び内筒73は同一高さで、収納容器20が処理室11内に収容された際に、処理室11内に立設している加熱排気筒26の高さと同一又は加熱排気筒26の高さより低くなるように決められている。
【0026】
ガス再燃焼炉15は、付設の加熱源、例えば、重油バーナ(図示せず)によって内部を高温燃焼状態(900℃以上)とすることにより、加熱炉12から排出される熱分解ガスに含まれる木質乾留可燃ガスの燃焼を助け、且つダイオキシン類を完全に熱分解し、排ガスを無害化及び無臭化する。また、図1に示すように、ガス再燃焼炉15の上部より延出する排気路14の一部を形成する排気筒75の外側には、内部に排気筒75の周囲を螺旋状に周回する通気路(図示せず)を有する熱交換部16が設けられている。そして、熱交換部16の下部には通気路内に空気を送り込む空気入口77が、上部には通気路を通過した空気を排出する空気出口78が設けられ、空気出口78には、空気供給部28の空気取入れ口27に連通し流量制御弁79及び温度センサ80を備えた空気配管81が設けられている。従って、空気供給部28へ供給される空気は、熱交換部16の通気路を通る過程で排気筒75を通過する排ガスと熱交換して、排ガスの温度を下げると共に、昇温した空気は空気配管81を通して空気取入れ口27より空気供給部28内へ流入することになる。
【0027】
ここで、流量制御弁79は、加熱炉12の図示しない制御部に予め入力した制御データに基づき、排気路14の温度センサ59にて計測される熱分解ガスの温度、空気配管81の温度センサ80で計測される供給空気の温度、処理開始からの経過時間等に対応して、制御部からの指令信号によって開度を自動的に調整している。これによって、空気供給部28内への空気供給量の調整が行われる。
【0028】
一方、図1に示すように、熱交換部16内を通過した排気筒75は、連結管82を介して活性炭バグフィルタ17と連通している。ここで、活性炭バグフィルタ17は、連結管82を通過した排ガスが吹き込まれ内部に活性炭が充填された通気性の袋83を備えた吸着部84と、吸着部84を収容して袋83を通過した排ガスを受入れるケーシング85と、ケーシング85に設けられ、内部の排ガスを外部に放出する放出口86とを有している。これによって、連結管82を通過した排ガス中にダイオキシン類が混入していても、ダイオキシン類を活性炭に吸着させて、ダイオキシン類を含まない状態の排ガスを大気中に放出することができる。なお、排気ファン13は、放出口86に接続される放出管87に設けられている。
【0029】
続いて、本発明の一実施の形態に係るダイオキシン類含有焼却灰の無害化装置10を使用したダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法について説明する。
先ず、ダイオキシン類を含有する焼却灰21を収納容器20に入れ、収納容器20の内筒73内に加熱排気筒26を挿入させながら環状板部材74が山形カバー片45に当接まで収納容器20を下降させて収納容器20を処理室11内に収容する。次いで、外筒72と金属製押さえネット35との間及び内筒73と加熱排気筒26との間の隙間内に木質チップ22を充填する。そして、木質チップ22の充填が終了すると、蓋板25を閉じる。なお、処理室11の円形内底板36と収容容器22の環状板部材74で挟まれて形成される空間部には予め木質チップ22を配置しておく。ここで、焼却灰の重量AWに対する木質チップ22の重量PWの割合PW/AWを、1.2以上1.5以下とする。これによって、自発熱分解を処理室11内で開始させて、処理室11内を900℃以上1100℃以下の温度の還元性雰囲気に、15時間以上24時間以下の時間保持することができる(以上、第1工程)。
【0030】
ガス再燃焼炉15に付設の灯油バーナを運転して、ガス再燃焼炉15内部を900〜1100℃の温度に保持する。また、排気ファン13を稼動させて、処理室11内を僅かな減圧状態(例えば、98〜100kPa)にする。これにより、処理室11内のガスが外部に漏れ出すのを防止できると共に、熱交換部16を通過して加熱された空気を空気供給部28内に流入させ、空気導入孔19を介して処理室11内に導くことができる。そして、加熱部29に設けられたガスバーナ39を点火して、高温の燃焼ガスを空気供給部28内に導入し、燃焼ガスと空気の混合ガスを空気導入孔19から処理室11内に流入させて、空気導入孔19の周囲に存在する木質チップ22に自発熱分解が開始されるまで(例えば、約1分間)加熱し、自発熱分解が開始するとガスバーナ39を消火し、エルボ管38の開口部を蓋板42で閉じる(以上、第2工程)。
【0031】
ここで、木質チップ22における自発熱分解の開始に伴い、発生する熱分解ガスは木質チップ22間の隙間を通って上昇して熱気を下から上へ伝播させると共に、熱分解ガスの一部は排気導入口49より加熱排気筒26の外筒47と内筒48との間の環状空間部55に吸い込まれ、この環状空間部55を上昇して加熱排気筒26内の頂部で内筒48内に流入し、内筒48内を下降して排気路14へ流出する。そして、加熱排気筒26内を通過する熱分解ガスの熱気と周囲の木質チップ22の自発熱分解による熱気により加熱排気筒26の外筒47の下部が内外両側から熱せられて赤熱する。更に、処理室11での自発熱分解が拡がるにつれて増加する熱分解ガスの熱気と蓄熱によって外筒47の赤熱部分が次第に上方へ拡大していくと共に、内筒48も赤熱し始め、遂には加熱排気筒26全体が赤熱状態になる。
【0032】
これにより、処理室11内の木質チップ22は、下方から上昇してくる熱気と、赤熱した加熱排気筒26から周囲へ放射される熱気とで加熱され、収容容器20の下方及び収納容器20と加熱排気筒26の外筒47との間にそれぞれ充填された木質チップ22に熱分解が始まり、更に残りの木質チップ22も自発熱分解の温度に達して自発熱分解を開始する。そして、この自発熱分解の領域が拡がるに伴い、加熱排気筒26は流入する熱分解ガスの増加によって外筒47及び内筒48共に更に高温化して周囲への熱放射を増し、その相乗効果で木質チップ22の熱分解反応の進行と自発熱分解領域の拡大が速められ、やがて処理室11全体が均一な高温状態になり、処理室11内に充填した木質チップ22の全てが熱分解して炭化する。これにより、処理室11内を、900℃以上1100℃以下の温度の還元性雰囲気に15時間以上24時間以下の時間保持することができる。その結果、木質チップ22は炭化物に転換され、焼却灰に含まれるダイオキシン類は還元熱分解される(以上、第3工程)。
【0033】
ここで、処理室11内がダイオキシン類に熱分解が生じる温度に達していない状態では、排気ファン13を稼動させて処理室11内を減圧状態に保持しているため、焼却灰21から昇華したダイオキシン類は、熱分解ガスに混じって処理室11内から排気路14の水平管部56及び垂直管部57内に進入する。しかし、垂直管部57内に進入したダイオキシン類は、900〜1000℃の温度に保持されたガス再燃焼炉15に導入されるため、ガス再燃焼炉15内で熱分解され、排ガス中にダイオキシン類が残存するのを防止できる。なお、熱分解ガス中には、木質乾留可燃ガスが含まれているため、木質チップ22の熱分解が継続して進行する状態では、ガス再燃焼炉15内で木質乾留可燃ガスも燃焼するため、ガス再燃焼炉15に付設の灯油バーナの燃焼量を低下させることができる。更に、ガス再燃焼炉15から排出された排ガスは、活性炭バグフィルタ17を通過させて大気中に放出するので、ガス再燃焼炉15の排ガス中に未分解のダイオキシン類が存在していても活性炭に吸着され、大気中にダイオキシン類が放出されることはない。
【0034】
また、処理室11では、加熱排気筒26からの熱分解ガスの排出に伴い、空気供給部28内に空気が供給されるが、この空気供給量を空気配管81に設けられた流量制御弁79で制限することにより、処理室11内を還元性雰囲気(酸素不足状態)に維持できる。これにより、木質チップ22に、不完全燃焼によって炭素成分が殆ど燃焼しない状態で熱分解を継続させ、炭化させることができる。ここで、処理室11内の温度は、空気供給部28に供給される空気量の増減によって変化するので、流量制御弁79の開閉及び開度変更によって処理室11内の温度を制御できる。このため、予め得た試験データに基づいて使用する木質チップ22の種類と大きさ、含水率、装填量等に応じた処理温度条件を求めておき、これを温度センサ59、80による計測温度と炉内温度に関連付けた制御データとして制御装置に入力しておくと、制御装置からの指令信号によって、流量制御弁79の開閉及び開度変更を自動的に行うことができる。
【0035】
木質チップ22の熱分解が完了すると、熱分解ガスの温度が急速に低下する。このため、温度センサ59による熱分解ガスの温度を検出することによって、木質チップ22の熱分解が完了したことが分かる。このため、木質チップ22の熱分解の完了が検知されると、温度センサ59の測温結果から推定される処理室11内が1100℃以上1200℃以下の温度となるように流量制御弁79の開度を変更して、木質チップ22から転換した炭化物を燃焼させる。そして、処理室内が1100℃以上1200℃以下の温度まで上昇したことが温度センサ59の測温結果から推定されると、流量制御弁79を閉じて処理室11内への空気(酸素)の供給を停止する。これにより、木質チップ22の熱分解過程でも分解されずに残留している恐れがあるダイオキシン類を完全に分解することができる。
【実施例】
【0036】
焼却炉の煙道から採取したダイオキシン類を含有する焼却灰800kgを収納容器内に収容し、この収納容器を無害化装置の処理室内に配置して周囲に1000kgの木質チップを充填した。ここで、焼却灰中には、190ngTEQのダイオキシン類が含まれている。なお、TEQは毒性等量を示し、ダイオキシン類の重量(ng)をダイオキシン類の中で最大毒性を持つ2,3,7,8−四塩化ダイオキシンの重量に換算したものである。
【0037】
次いで、ガス再燃焼炉の灯油バーナを運転して、ガス再燃焼炉内部を900〜1000℃の温度に保持し、排気ファンを稼動させて処理室内を98kPa減圧状態にした。そして、熱交換部を通過して加熱された空気を空気供給部内に流入させ、加熱部に設けたガスバーナを点火して、高温の燃焼ガスを空気供給部内に導入し、燃焼ガスと空気の混合ガスを空気導入孔から処理室内に約1分間流入させて、空気導入孔の周囲の木質チップに自発熱分解を開始させる。自発熱分解が開始すると、ガスバーナを消火し、加熱部を蓋板で閉じる。
【0038】
空気供給部に供給する空気流量を流量制御弁の開度を調整することで制御して、処理室内を1000℃の還元性雰囲気に約15時間保持して、木質チップを炭化物に転換しながら焼却灰に含まれるダイオキシン類を熱分解した。そして、処理室から排出される熱分解ガスの温度変化から、処理室内の木質チップの熱分解が完了したことが確認されると、流量制御弁の開度を調整して空気供給部に供給する空気流量を増加させて、処理室内の炭化物を約5時間燃焼させ、処理室内の温度を1100〜1200℃まで上昇させた後、空気を遮断して自然冷却させる。自然冷却後に処理室から収納容器を取出し、処理後の焼却灰の重量を測定すると、水分含量分の減量を超える重量減少は認められず、処理中に焼却灰の飛散は発生していないと解される。そして、収納容器内の焼却灰中のダイオキシン類含有量を測定すると、0.05ngTEQ未満であった。また、ガス再燃焼炉の排ガス中のダイオキシン類含有量を測定すると、0.21ngTEQ/m未満であり、ガス再燃焼炉でほぼ完全に燃焼無害化されたと解される。
【0039】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、植物質被炭化材として木質チップを使用したが、竹材、ナッツ類の殻の如き堅果殻等を裁断したものも使用でき、木材、竹材、及び堅果殻の中のいずれか2以上を組み合わせた混合物でも使用できる。また、大きさが不揃いであっても全く支障はない。なお、木材や竹材については、各種木竹製品の廃材、製材工程や加工工程で生じる不要な端材や残材、削り屑、剪定の切り枝、刈り取った柴等、従来では廃棄や焼却処分の対象であったもの(即ち、木竹質廃棄物)も使用可能である。
また、空気供給部に供給する空気流量の調整は、流量調整弁を用いた自動調整によるほか、手動バルブやダンパー等による手動調整を行うものでもよい。また、加熱炉における二重壁をなす周壁部の内部に充填する断熱材と、周壁部の内周面に張設する断熱材は、ガラスウールやロックウールに限らず、高融点の無機繊維質であれば使用できる。また、加熱炉、ガス再燃焼炉、排ガス処理手段の形態、相互の連結構造、排気路構成、排気ファンの設置位置及び細部構成については、実施の形態以外に種々設計変更が可能である。
更に、焼却灰と木質チップを予め混合して通気性を有する容器内に入れ、この容器を処理室内に挿入してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態に係るダイオキシン類含有焼却灰の無害化装置の説明図である。
【図2】同無害化装置の加熱炉の説明図である。
【図3】同無害化装置の加熱炉下部の説明図である。
【符号の説明】
【0041】
10:ダイオキシン類含有焼却灰の無害化装置、11:処理室、12:加熱炉、13:排気ファン、14:排気路、15:ガス再燃焼炉、16:熱交換部、17:活性炭バグフィルタ、18:排ガス処理手段、19:空気導入孔、20:収納容器、21:焼却灰、22:木材チップ、23:被処理物、24:出入口、25:蓋、26:加熱排気筒、27:空気取入れ口、28:空気供給部、29:加熱部、30:周壁部、31:内金属板、32:外金属板、33、34:断熱材、35:金属製押さえネット、36:円形内底板、37:円形外底板、38:エルボ管、39:ガスバーナ、40:フランジ、41:ねじ止め具、42:蓋板、43:短筒体、44:ねじ、45:山形カバー片、46:天井板、47:外筒、48:内筒、49:排気導入孔、50:環状受け板、51:ねじ形ピン、52:フランジ部、53:接続フランジ部、54:取付けボルト、55:環状空間部、56:水平管部、57:垂直管部、58:接続管、59:温度センサ、60:チーズ管、61:キャップ、62、63:脚部、64:支持フレーム、65:基台、66:底板部材、67:カバー部材、68:断熱材、69:支柱、70:取付け軸、71:取付けアーム、72:外筒、73:内筒、74:環状板部材、75:排気筒、77:空気入口、78:空気出口、79:流量制御弁、80:温度センサ、81:空気配管、82:連結管、83:袋、84:吸着部、85:ケーシング、86:放出口、87放出管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイオキシン類を含有する焼却灰及び植物質被炭化材からなる被処理物を処理室に収納する第1工程と、
前記被処理物の一部に含まれる前記植物質被炭化材に自発熱分解が開始されるまで加熱する第2工程と、
前記処理室内に供給する酸素量を調節して前記被処理物の一部で開始した前記植物質被炭化材の自発熱分解を該被処理物の残部に含まれる該植物質被炭化材に順次拡大させて該処理室内を900℃以上1100℃以下の温度の還元性雰囲気に15時間以上24時間以下の時間保持し、前記植物質被炭化材を炭化物に転換しながら前記焼却灰に含まれるダイオキシン類を熱分解する第3工程とを有することを特徴とするダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法。
【請求項2】
請求項1記載のダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法において、前記被処理物中の前記焼却灰の重量AWに対する前記植物質被炭化材の重量PWの割合PW/AWを、1.2以上1.5以下にすることを特徴とするダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項に記載のダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法において、前記処理室から排出される熱分解ガスを900℃以上のガス再燃焼炉に導入して燃焼し、該ガス再燃焼炉から排出された排ガスを冷却して活性炭バグフィルタを通過させて大気中に放出することを特徴とするダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法において、前記第3工程終了後、前記処理室内に供給する酸素量を調整して、生成した前記炭化物を燃焼させ、該処理室内を1100℃以上1200℃以下の温度まで上昇させた後、酸素の供給を停止することを特徴とするダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法において、前記植物質被炭化材として木竹質廃棄物を使用することを特徴とするダイオキシン類含有焼却灰の無害化方法。
【請求項6】
下部に複数の空気導入孔が形成され、ダイオキシン類を含有する焼却灰及び植物質被炭化材からなる被処理物が収納される処理室と、
前記処理室の上部に設けられ、前記被処理物を出し入れする出入口を開閉する蓋と、
前記処理室内に立設されて上端が該処理室の上部位置にある加熱排気筒と、
前記処理室の下に設けられ、前記空気導入孔に空気を供給する空気供給部と、
前記空気供給部に形成された空気取入れ口に設けられた空気供給量調整手段と
前記処理室の下に設けられ、該処理室内の前記被処理物の一部に含まれる前記植物質被炭化材に自発熱分解が開始されるまで加熱する加熱部と、
前記処理室の下部に接続する排気路と、
前記排気路の下流側に設けられ、前記処理室で発生した熱分解ガスを吸引する排気ファンとを有する加熱炉を備え、
前記加熱排気筒は、下部に前記処理室に連通する排気導入孔を備えて上部に天井板を有する外筒と、該外筒内に同心状に配置された内筒とを備え、該内筒は、上端が前記外筒の前記天井板と隙間を有して開口すると共に、下端が前記排気路に連通しており、
前記処理室に収納された前記被処理物の下から開始した酸素不足状態下での前記植物質被炭化材の自発熱分解を該被処理物の上部側に順次拡大させて該処理室内を900℃以上1100℃以下の温度の還元性雰囲気に15時間以上24時間以下の時間保持して前記焼却灰に含まれるダイオキシン類を熱分解することを特徴とするダイオキシン類含有焼却灰の無害化装置。
【請求項7】
請求項6記載のダイオキシン類含有焼却灰の無害化装置において、前記排気路の上流側には、該排気路内に流入した熱分解ガスを再燃焼させるガス再燃焼炉が接続され、該ガス再燃焼炉の直下流側の前記排気路には、該ガス再燃焼炉から排出される排ガスを冷却する熱交換部と、該熱交換部を通過した排ガスが通過する活性炭バグフィルタとを備えた排ガス処理手段が設けられていることを特徴とするダイオキシン類含有焼却灰の無害化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−279542(P2009−279542A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135728(P2008−135728)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(503152185)
【出願人】(501312738)
【出願人】(508154449)
【Fターム(参考)】