説明

ダブル通信インターフェースICカード

本発明は、接触型および非接触型のダブル通信インターフェースICカードに関するものであって、該カードは、マイクロエレクトロニクスモジュール(11)と、マイクロエレクトロニクスモジュールを収容するのに適した窪み(23)を備えたカード本体(22)とを有し、前記マイクロエレクトロニクスモジュール(11)は、一つの基板(15)から成り、該基板は、第一面に電気接触端子盤(4)を持ち、第二面に、前記電気接触端子盤(4)に電気的に接続される第一のマイクロエレクトロニクスチップ(9)と、巻きが電子モジュールの基板の第二面に配置されるアンテナ(13)の端子に、電気的に接続される第二のチップ(10)とを持ち、カード本体(22)が、電磁波の集中および/または増幅装置(18)を有すること、該装置が、とりわけ非接触型ICカードリーダの側から受け取る電磁束をマイクロエレクトロニクスモジュール(11)のアンテナ(13)の巻きの方に整理誘導するのに適したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触型および非接触型のダブル通信インターフェースICカードに関するものであって、前記カードは、マイクロエレクトロニクスモジュールと、マイクロエレクトロニクスモジュールを収容するのに適した窪みを備えたカード本体とを有し、前記マイクロエレクトロニクスモジュールは一つの基板から成り、該基板は、第一面に電気接触端子盤を持ち、そして第二面に、前記電気接触端子盤に電気的に接続される第一のマイクロエレクトロニクスチップと、アンテナの端子に電気的に接続される第二のチップとを持つものであって、該アンテナの巻きは電子モジュールの基板の第二面に配置される。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、ICカードリーダと接触モードでも非接触モードでも通信することが可能な、両用動作ICカードが既に存在する。
これらの既知のICカードの大部分は、接点を備えたマイクロエレクトロニクスモジュールを有しており、前記モジュールは、一方では動作モードが接触型に限られるチップを有し、他方ではカード本体の中に位置して動作モードが非接触型に限られるチップから成る電子アセンブリを有しており、前記非接触型チップはアンテナに接続されるが、アンテナそれ自体もカード本体上に配置される。
【0003】
このタイプのカードは、より一般的にはハイブリッドカードと呼ばれていて、そのようなカードでは、接触型チップにおいて実行されるアプリケーションソフトは、非接触型チップにおいて実行されるアプリケーションソフトとは概して別個のものであり、デュアルカードやコンビ型通信インターフェースカードと呼ばれるカードとは違っているが、それらのカードにおいては、接触型通信インターフェースおよび非接触型通信インターフェースは、どちらもまったく同一のチップを利用する。
【0004】
ダブル通信インターフェースカードの全体の中で、従来技術において既知であるハイブリッドタイプのカードは、一方では、接触型電子モジュールを有しており、該接触型電子モジュールは、接触型動作モードを目的とした第一のチップを持ち、該第一のチップは、接触型接続端子盤に接続されており、該接触型接続端子盤は、接触型ICカードリーダの対応する接点との接続を可能にするものである。
これらの既知のハイブリッドカードは、他方では、インサートあるいは英語の専門用語で『inlay』と呼ばれるプラスチック材料製のカードを有しており、該カードは、今度は第二のマイクロエレクトロニクスチップに接続されるアンテナを持つものであり、該第二のマイクロエレクトロニクスチップは、非接触型ICカードリーダとの無線周波数通信による非接触型動作モードを目的としたものである。
【0005】
既知のハイブリッドカードのこの第一のタイプにおいて、非接触型インサートの構造は、したがって接触型電子モジュールの構造と共存しており、これら二つは、ICカード本体の厚みの中に重ねられて組み入れられる。
【0006】
この構造は、アンテナの大きなサイズを考慮すると、非接触型通信インターフェースに優れた通信範囲を一般にもたらすが、しかし、該構造は、カード全体における製造に関する一連の問題を提起する。
【0007】
すなわち、第一のタイプのこれらのハイブリッドカードは、一般的に次のような過程にしたがって製造される。
−プラスチック材料製の複数の層から成るインサートの製造過程であって、該複数の層の内側には、アンテナに接続されたチップがある。
そのようなアンテナは、被覆銅線、またはカード本体の内側材料へのアンテナの導電インキ印刷もしくは巻きの銅エッチングを利用するよく知られた方法を利用して製造することができる。
−電子マイクロモジュールの製造過程であって、該電子マイクロモジュールは、電気接触端子盤に接続するチップを有する。
−電子モジュールの収容を可能にする窪みの、カード本体の中への加工過程。
−電子マイクロモジュールの接着過程。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このタイプのカードのこれらの製造方法は、現在いくつかの問題を提起しており、そのような問題のうちの一つに、両面が印刷され、またとりわけID確認用アプリケーション専用のカードの場合において、紫外線感光性のUVインキと呼ばれるインキのような物理的セキュリティーを有することもできる、カード本体の製造の必要性がある。
これらの緻密な印刷過程を考慮すると、そのようなカード本体の製造方法は、かなり低い製造効率をもたらす。
【0009】
ところで、印刷は、既に組み立てられていて、あらゆる電子部品、すなわち接触型電子モジュールと、非接触型チップおよびそのアンテナを持つインサートとを既に中に含むカードに実行されるので、カードの印刷の欠陥は、二つのチップの喪失も結果としてもたらすことになるのだが、該二つのチップはカードの最もコストのかかる構成部品である。
したがって、印刷過程の相対的に低い効率を考慮すると、この方法によって製造されるハイブリッドカードのコストが相対的に高いことが分かる。
【0010】
カード本体の印刷に関連したそのような危険性に加えて、これらのカード本体を製造するために利用される方法論は、強い圧力と高い温度を加えることに基づいており、このことは非接触型チップとそのアンテナをもろくして、カードの寿命期間を著しく減らす可能性がある。
このことは、5年から10年の寿命期間が要求される身元に関するタイプのカードにとって重大な障害となる。
【0011】
以上のことから、この第一のタイプのハイブリッドカードはあまり長い利用期間(例えば5年以上)にわたって品質を保証することができず、このことは、このタイプのカードが可能である用途を制限する。
【0012】
これらの製造の問題を軽減するために、第二のタイプのハイブリッドカードが考えられたが、該第二のタイプのハイブリッドカードにおいて、非接触型チップは、接点が備えられていて接触型動作専用のチップを持つマイクロエレクトロニクスモジュールの中に直接組み込まれる。
このために、前記モジュールは、アンテナの端子に接続されることを目的とした無線周波数通信インターフェースを備えなければならないが、該アンテナそれ自体はカード本体の中に作られる。
【0013】
このように、この第二の既知のタイプに従ったハイブリッドカードは、以下を有する。
−電子モジュールであって、該電子モジュールは、二つのチップ、接触型接続端子盤、および二つの接点を有するものであって、該二つの接点は、後部面に位置し、非接触型チップに接続されてアンテナへの接続を可能にするものである。
−プラスチック材料製のカードであって、アンテナを有するもの。
−そして、電子モジュールとアンテナとの間の接続を可能にする導電性材料。
【0014】
この構造もまた、アンテナの大きなサイズを考慮すると優れた通信範囲を一般にもたらすが、しかし該構造は、製造に関する別の一連の問題を提起しており、該問題とは、アンテナとモジュールとの間の機械的および電気的接続の存在に関連したもので、その製造は、ここでもまた信頼度の低下あるいは製造効率の低下を招くものである。
【0015】
すなわち、上述のこれらの第二のタイプのハイブリッドカードは、一般的に次のような過程にしたがって製造される。
−アンテナを有するカード本体の製造過程。
このようなアンテナは、被覆銅線、またはカード本体の内側材料への導電インキ印刷もしくは銅エッチングを利用する既知の方法を利用して製造することができる。
−電子マイクロモジュールの製造過程であって、該電子マイクロモジュールは、二つのチップを有し、またマイクロモジュールの電気接点を持つ面と反対側の面にアンテナのための接続点を有している。
−電子モジュールの収容を可能にする窪みの、カード本体の中への加工過程であって、カード本体の内側に位置するアンテナの接続範囲をむき出しにしながら行われる。
−電子マイクロモジュールの接着過程であって、電子マイクロモジュールとむき出しにされたアンテナの接続範囲との間の電気接続を確立しながら行われる。
この電気接続は、既知の方法によって得ることができるが、該既知の方法とは、後で重合することになる導電性糊の分配、厚み方向において導電性の異方性導電接着剤もしくはペーストの利用、またはモジュールに置かれるポリマーばね(余分の厚みがあり圧縮できる導電性の固定接点電極の形状)の利用のようなものである。
【0016】
この第二のタイプのハイブリッドカードのこれらの製造方法は、現在、次のような問題を提起する。
−アンテナを有し、従って複雑な製造方法の原因となる特殊なカード本体を製造する必要性であって、このことは、先に説明されたように製造効率を下げる。
−アンテナの接続範囲をむき出しにしながらカード本体を加工する必要性であって、このこともまた製造効率を下げる。
−モジュールとアンテナの電気的相互接続を可能にする特殊なカードの中への電子モジュールの接着方法の利用。
【0017】
これらの方法は、つまりは、接触型動作モードのカードのような標準ICカード用に一般的に利用される方法と比較すると、多くの場合非常に時間がかかるものであり、よってこれらの方法は製造効率のさらなる低下を招く。
【0018】
そのうえ、この第二のタイプのハイブリッドカードにおいて利用されるモジュールとアンテナとの間の相互接続方法は、最終的なカードの信頼度を非常に制限する。
すなわち、カードの利用の際にカードに加わる機械的外力および熱的外力は、モジュールとアンテナとの間の接続の切断、あるいはこの接続の抵抗の大幅な増加を招き、利用の最中にカードの性能の低下をもたらす。
【0019】
本発明の一つの目的は、したがって、上述の不都合がないような、ハイブリッドタイプの、接触型および非接触型のダブル通信インターフェース電子ICカードを提案することである。
【0020】
本発明の別の目的は、非常に大きな信頼度およびおよそ5年から10年もの長い寿命を呈するICカードを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
このために、本発明は、接触型および非接触型のダブル通信インターフェースICカードを準備するものであり、該カードは、マイクロエレクトロニクスモジュールと、マイクロエレクトロニクスモジュールを収容するのに適した窪みを備えたカード本体とを有し、前記マイクロエレクトロニクスモジュールは一つの基板から成り、該基板は、第一面に電気接触端子盤を持ち、そして第二面に、前記電気接触端子盤に電気的に接続される第一のマイクロエレクトロニクスチップと、巻きが電子モジュールの基板の第二面に配置されるアンテナの端子に電気的に接続される第二のチップとを持つものであり、カード本体が、電磁波の集中および/または増幅装置を有すること、該装置が、非接触型ICカードリーダの側から受け取る電磁束をマイクロエレクトロニクスモジュールのアンテナの巻きの方に整理誘導するのに適したものであることを特徴とする。
この構造により、最終的なカードの性能の改善および製造効率の向上が可能になる。
すなわち、この形態において、電子モジュールとこの増幅装置との間にいかなる電気的相互接続も実行されることになっていないことに注目すべきであり、このことによって、接触型カードに利用されるモジュールの接着方法の信頼度に関するすべての利点を持ち続けることが可能になる。
そのうえ、この構造およびこの方法によって、有効なモジュール(有効であると検査済)が有効なカードの中に挿入され、モジュールの接着過程は、それ自体正しく行われれば、製造効率を大きく損なうようなことはなく、該製造効率はしたがって既知の方法に比べておよそ10〜15%のゲインを呈し、製造コストについても同様のゲインがもたらされる。
一方、従来技術による方法において、もしモジュールの接続検査が芳しくなければ、この製造過程の際に二つの有効なチップを失ったことになるであろう。
【0022】
好ましくは、前記電磁波の集中および/または増幅装置は、RLC回路タイプの回路であり、該回路は、モジュール上に配置されるアンテナと共振を起こすのに適しており、このことは、相互インダクタンスにより、それ自体として既知であるように、モジュールのアンテナを通る電磁束を増幅させることを可能とする。
このことは、したがって、他の条件はすべて同じとして、ハイブリッドカードが非接触型モードで機能する際に、ハイブリッドカードの通信範囲を増大することを可能にする。
【0023】
RLC回路の非常に単純な一つの変形実施例において、この電磁波の集中および/または増幅装置は、マイクロエレクトロニクスモジュールを収容する窪みの下のカード本体の中に配置される金属製薄板から成る。
当業者であれば、所望の性能に応じてこの金属製薄板の寸法を決めることは容易であろう。
【0024】
別の変形実施例によると、電磁波の集中および/または増幅装置は、少なくとも一巻きを含むアンテナから成るが、該アンテナは、マイクロエレクトロニクスモジュールを収容することを目的とした窪みの下のカード本体の中に配置されるものである。
【0025】
有利には、モジュールのアンテナの巻きはモジュールの周辺部に位置し、また端子盤の電気接点はアンテナの巻きによって画定される領域の内側に位置する。
このように、モジュールのアンテナの巻きによって受信される電磁束は最大であり、このことは、リーダとの非接触型通信の通信範囲に有利に作用する。
この実施態様において、接触端子盤の電気接点は、好ましくはISO7816−2規格に準拠するように配列される。
【0026】
しかしながら、本発明と逆の実施態様が可能である。
その場合は、端子盤の電気接点はモジュールの周辺部に位置し、またモジュールのアンテナの巻きは電気接点によって画定される領域の内側に位置する。
【0027】
有利には、モジュールのアンテナの巻きは、基板の、マイクロエレクトロニクスチップと同じ側に位置し、また端子盤の電気接点は基板の反対側の面に位置する。
【0028】
本発明の他の特徴および利点は、詳細な記述および以下のような付属の図面を読み取ることにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】従来技術に従った第一のタイプのハイブリッドカードの断面図
【図1B】従来技術に従ったハイブリッドカードの別の形態の断面図
【図2】本発明に従った電子モジュールの平面図
【図3】図2のモジュールの底面図
【図4】本発明に従った図2および図3のモジュールの断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
先に明らかにしたように、図1Aは、従来技術に従った、接触型および非接触型のダブル通信インターフェース電子カードを示している。
モジュール7が、接触型リーダとの接触モードでの動作を保証するために電気接触端子盤4に接続される、第一のチップ3を含む。
モジュール7は、また、カード本体の中に位置づけられるアンテナ6に接続される第二のチップ5を有し、第二のチップ5とアンテナ6によって形成されるアセンブリは、図示されていない非接触型ICカードリーダとの無線周波数通信を保証することを目的としている。
したがって、ICカードの中に別個の独立した二つのアセンブリを分けて配置するということであって、それらは、すなわち、マイクロエレクトロニクスモジュール7上に配置される接触型動作用のアセンブリと、カード本体の中に配置される非接触型動作用のアセンブリであるが、このことには、先に記載した製造方法の段階での不都合が伴う。
【0031】
つぎに、図1Bを参照するが、該図は、従来技術に従った、ダブル通信インターフェースカードの別の解決案を示すものである。
【0032】
この図にもモジュール8が見られるが、該モジュールは、電気接触端子盤4に接続される第一のチップ9と、カード本体の中に位置づけられたアンテナ14に相互接続されるために設けられた接触範囲12に接続される第二のチップ10とを有している。
【0033】
アンテナ14と接触範囲12との間の電気接続は、導電性の材料で製造された固定接点電極16を介して実現される。
先に説明されたように、このカードの製造は、とりわけ接続16のもろさの悪影響を被った効率を有する。
【0034】
つぎに図2と図3を参照する。
これらの図において本発明に従った電子モジュール11を、平面図(図2)、すなわち、接点の側の図、および、底面図(図3)、すなわち、ここでは基板の、電気接点のない側の図で表した。
【0035】
先に記述されたような接点とアンテナとの間の電磁干渉の問題を改善するために、アンテナの巻き13は、モジュールの周辺部の、アンテナの巻きが電気接点17の下にも上にも位置せず接点によって画定される領域の明らかに外側に位置する領域に移されている。
他方では、接触型チップ9の接点をモジュール11の端子盤の対応する接点4に電気的に接続することを可能にする、縦穴あるいはビア17を表示した。
二つのチップの接着に充てられる位置は、図3で19、20と示されている。
【0036】
モジュールのこの構造は、アンテナの巻き13に対して、接点4の電磁シールド効果を最小限にし、さらには無くすという利点を呈する。
【0037】
図4を参照するが、該図は、図2のA−A断面図で本発明によるICカードの構造を示すものである。
モジュール11は、その基板15とともに、この図において表示されているが、該モジュールは、第一のチップ9を持ち、該第一のチップは、接触型動作専用であり、したがって電気接触端子盤4に接続されるものである。
モジュール11は、第二のチップ10も持ち、該第二のチップは、モジュールのアンテナ13に接続され、したがって非接触型動作専用のものである。
【0038】
二つのチップは、ごく少量の被覆樹脂25の中に組み入れられる。
アンテナ13は、モジュール11の、チップと被覆樹脂25の側の周辺部に位置し、そして、チップ9とチップ10の周囲に延びている。
【0039】
本発明によるカードは、さらに、電磁波の集中または増幅装置18を備えたカード本体22を有し、該装置は、とりわけRLC回路タイプであり、電磁束を前記モジュールのアンテナの巻きの方に整理誘導するのに適したものである。
集中装置18は、カード本体の全部かもしくは一部にわたって位置づけされる。
この装置18は、とりわけただ一枚の金属製薄板から成ることができるものであるが、RLCの特徴を呈しており、該特徴とは、非接触型モードICカードの動作の質と通信範囲を大幅に改善するように、非接触型リーダから発せられICカードによって受信される電磁場を、モジュールのアンテナ13の方に整理誘導するのに適していることである。
【0040】
その最も単純な実施態様において、電磁波の集中および/または増幅装置18は、金属製薄板から成り、該金属製薄板は、マイクロエレクトロニクスモジュール11を収容する窪み23の下のカード本体22の中に配置されるものである。
【0041】
別の有利な実施態様において、電磁波の集中および/または増幅装置18は、少なくとも一つの巻きから成るアンテナから成り、該アンテナは、マイクロエレクトロニクスモジュール11を収容する窪み23の下のカード本体22の中に配置されるものである。
【0042】
端子盤の電気接点4は、モジュールの基板15の一方の面上に位置し、またマイクロエレクトロニクスモジュールのアンテナ13の巻きは、基板の反対側の面に位置する。
【0043】
好ましくは、マイクロエレクトロニクスモジュールのアンテナ13の巻きは、モジュール11の周辺部に位置し、また端子盤の電気接点4は、モジュールのアンテナの巻きによって画定される領域の明らかに内側に位置する。
そのようにして、電気接点4は、アンテナ13に向けられる電磁束を妨害することはない。
【0044】
集中または増幅装置18をカード本体22の中に製造するために、それ自体が既知である技術のうちの一つを利用するが、該技術とは、カード本体の中の、図4で示された位置への、環状形状の金属製薄板の挿入や、巻かれたアンテナの挿入のようなものである。
カード本体の材料の適合性に応じて、アンテナ18を、カード本体の内側面あるいはカード本体のインサートの内側面へ一枚の金属製の層を置くことから得ることもできるであろう、続いてアンテナ18の巻きを画定するためのエッチングの過程が成される。
【0045】
本発明によるICカードの組み立ての際、モジュール11は、カード本体22の中に設置された窪み23と向き合って移される。
窪み23は、接着剤26で表面を覆われた領域を備える。
モジュール11は、その良好な動作を確立するために検査された後、図示されるように窪みの中に移されるが、モジュールのアンテナ13の巻きは、接着剤26と接触するようになる。
その後、続いてモジュール11の上部面への加圧の過程が行われ、窪み23の中へのモジュール11の優れた質の接着が確保される。
【0046】
つまりは、本発明は、モジュールの最良の動作を可能にする独特の着想を提案するものであって、該モジュールは、接点の金属被覆によって妨害されることなくモジュールのアンテナ13の内部に電磁束を通過させるように考案されており、このことにより、アンテナがこの電磁束に反応してチップの無線周波数通信に十分なエネルギーを提供することが可能となる。
この電磁束は、集中および/または増幅装置18によってさらに強まるのであるが、該装置は、モジュールのアンテナ13によって受信される磁束を最大限に強化することを、その製造の単純さによって寿命期間の長いハイブリッドICカードの製造に貢献しながら、可能にするものである。
【0047】
すなわち、本発明によって電子モジュールがカード本体とのいかなる電気接続も必要としないことに注目することが重要であり、したがって接触型カード用の標準の差込み方法を利用することができ、このことにより、製造の速さのゲイン、製造効率および信頼度の向上がもたらされる。
このことは、この科学技術を非常に厳しいあるいは非常に長い期間の実践分野に適用することを可能にするのであり、例えば、身分証明カードや電子パスポートへの応用のようなもので、そのような身分証明カードやパスポートに対して、行政局は通常10年間の優れた耐久性および優れた動作の保証を求める。
【0048】
最適化されたハイブリッドモジュールを、カードの非接触型モードでの性能を顕著に改善することを可能にする受動部品RLCを単に備えるカード本体の中に、ただ一度だけ差し込めばいいことから、既知のハイブリッドカードと比較して、最も低いコストそして最も優れた製造効率でハイブリッドカードが得られる。
【符号の説明】
【0049】
3 第一のチップ
4 電気接触端子盤
5 第二のチップ
6 アンテナ
7 モジュール
8 モジュール
9 チップ
10 第二のチップ
11 電子モジュール
12 接触範囲
13 アンテナ
14 アンテナ
15 基板
16 固定接点電極
17 ビア
18 増幅装置
22 カード本体
23 窪み
25 被覆樹脂
26 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触型および非接触型のダブル通信インターフェースICカードであって、該カードは、マイクロエレクトロニクスモジュール(11)と、マイクロエレクトロニクスモジュールを収容するのに適した窪み(23)を備えたカード本体(22)とを有し、
前記マイクロエレクトロニクスモジュール(11)は、一つの基板(15)から成り、
該基板は、第一面に電気接触端子盤(4)を持ち、そして、第二面に、前記電気接触端子盤(4)に電気的に接続される第一のマイクロエレクトロニクスチップ(9)と、巻きが電子モジュールの基板の第二面に配置されるアンテナ(13)の端子に電気的に接続される第二のチップ(10)とを持つものであって、
カード本体(22)が、電磁波の集中および/または増幅装置(18)を有すること、
該装置が、非接触型ICカードリーダの側から受け取る電磁束を、マイクロエレクトロニクスモジュール(11)のアンテナ(13)の巻きの方に整理誘導するのに適したものであることを特徴とする、接触型および非接触型のダブル通信インターフェースICカード。
【請求項2】
前記電磁波の集中および/または増幅装置(18)が、RLC回路タイプの回路であることを特徴とする、請求項1に記載のICカード。
【請求項3】
前記電磁波の集中および/または増幅装置(18)が、マイクロエレクトロニクスモジュール(11)を収容する窪み(23)の下のカード本体(22)の中に配置される金属製薄板から成ることを特徴とする、請求項2に記載のICカード。
【請求項4】
前記電磁波の集中および/または増幅装置(18)が、マイクロエレクトロニクスモジュールを収容する窪み(23)の下のカード本体(22)の中に配置される、少なくとも一巻きから成るアンテナから成ることを特徴とする、請求項2に記載のICカード。
【請求項5】
端子盤の電気接点(4)が基板(15)の一方の面に位置すること、そしてマイクロエレクトロニクスモジュールのアンテナ(13)の巻きが、その反対側の面に位置することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載のICカード。
【請求項6】
マイクロエレクトロニクスモジュール(11)のアンテナ(13)の巻きが、モジュールの周辺部に位置すること、
また、端子盤の電気接点(4)が、モジュールのアンテナ(13)の巻きによって画定される領域の内側に位置することを特徴とする、請求項4に記載のICカード。
【請求項7】
接触型および非接触型動作式ハイブリッドタイプICカードの製造方法であって、
該方法が、
−接触端子盤(4)に接続される第一のチップ(9)と、モジュール上に配置されるアンテナ(13)に接続される第二のチップ(10)とを備える、ハイブリッドマイクロエレクトロニクスモジュール(11)を製造する過程と、
−マイクロエレクトロニクスモジュールを収容するために準備される部分に窪み(23)を備える、カード本体(22)を製造する過程とを有し、
−また、カード本体(22)の中に、モジュールの窪み(23)の下に配置される、電磁波の集中および/または増幅装置(18)を製造する過程を有することを特徴とする、接触型および非接触型動作式ハイブリッドタイプICカードの製造方法。
【請求項8】
電磁波の集中および/または増幅装置(18)の製造過程が、カード本体(22)に、カード本体の窪みの下に配置される金属製薄板を組み入れることにあることを特徴とする、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
電磁波の集中および/または増幅装置(18)の製造過程が、カード本体(22)に、巻きがカード本体の窪み(23)の下に配置されるアンテナを組み入れることにあること特徴とする、請求項7に記載の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−522919(P2010−522919A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500322(P2010−500322)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000435
【国際公開番号】WO2008/142245
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(509174565)
【氏名又は名称原語表記】SMART PACKAGING SOLUTIONS (SPS)
【Fターム(参考)】