ダンパー装置
【課題】 建築構造用および木造構造用骨組みの剛性や強度を向上でき、施工が容易であり、等価減衰定数が大きく、エネルギー吸収効果が高く、剛性・耐力・減衰量・変形能力などに関する設計の自由度が高く、また材料および機能面からメンテナンスフリーなダンパー装置を提供する。
【解決手段】 内筒状剛性部材13の外周側に同内筒状剛性部材13を囲繞するように外筒状剛性部材12を配置するとともに、内外の前記剛性部材12・13間に粘弾性エネルギー吸収体14を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造1−1を備えたダンパー装置1である。
【解決手段】 内筒状剛性部材13の外周側に同内筒状剛性部材13を囲繞するように外筒状剛性部材12を配置するとともに、内外の前記剛性部材12・13間に粘弾性エネルギー吸収体14を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造1−1を備えたダンパー装置1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として建築構造用および土木構造用骨組みの振動低減用に使用するほか、産業用機械、建造物などの設置状態における振動の吸収緩和部材ならびに自動車、家電製品などの振動の吸収部品としても適用可能なダンパー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記構造用骨組みの振動低減には、従来、主として、骨組みの部材間にブレースや方杖を取り付けることによって、上記骨組みの剛性や強度を高めて、振動の低減を図っていた。しかし、従来のブレースや方杖は強度抵抗型の部材で、剛性や強度を向上する機能は備えているが、エネルギーを吸収する機能には乏しく、たとえば地震、強風による揺れや振動、および走行する車両の近傍で生じる家屋や建造物などの振動を低減する等価減衰定数(Heq)についてはブレースの場合で10%程度であり、地震などで発生する振動エネルギーを十分に吸収しきれない。また、ブレースに対し圧縮力が作用すると、図22に示すように、座屈が生じるおそれがある。
【0003】
さらに、従来より、車両自体や機械設備自体の振動低減やその他の振動エネルギー吸収にオイルダンパーが用いられているが、このオイルダンパーはオイルダンパーが介設される部材両端間の振動速度がゼロ、つまり停止状態の場合には、耐力が発生しないという問題がある。しかも、オイルダンパーは図23に示すような構造が一般的であるため、エネルギーを吸収するためには十分に長いストロークを確保する必要があるため、適用範囲が制限される。また、オイルダンパーは速度や温度に対して影響を受け易いうえに、油圧の調整や油漏れのほか、ごみや埃の侵入防止のための対策およびメンテナンスが必要であり、さらに製作には精密な加工が要求される。
【0004】
また、摩擦ダンパーについても、摩擦面の摩耗・腐食やごみ・埃の侵入防止対策が必要なうえ、摩擦面の種類によっては、振動数依存性をもつものや比較的早期に焼き付きが生じるものがある。そして、従来の一般的なオイルダンパー、摩擦ダンパーおよび鋼材ダンパーなどのダンパーは、等価減衰定数(Heq)は約20〜25%であり、地震発生時などに振動エネルギーを十分に吸収できないおそれがある。
【0005】
上述したようなブレースや方杖などの部材は、地震時に骨組みに作用するエネルギーを吸収する振動減衰性能を持っていないか、持っていても低いため、設計強度を越えるような大地震の発生時には筋かい等の部材が最初に降伏し、破断あるいは損傷に至る。そして前記部材が一旦破断あるいは損傷した後は同部材による住宅全体としての本来の強度増大効果は望めない。したがって、設計強度を越えるような大地震に対して十分な耐震性能を確保することができないだけでなく、たとえ住宅全体が崩壊しなかったとしても、破断あるいは損傷した補強用部材を交換しない限り、住宅全体を元の強度に復元させることができない。
【0006】
そこで、復元機能を有し、地震時などにおいて振動減衰性能を発揮させられる制振ダンパーや仕口ダンパーが提案されている(たとえば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2000−110399号公報(段落0011〜0015及び図1〜図3)
【特許文献2】特開2003−247269号公報(段落0016〜0025及び図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のオイルダンパーや摩擦ダンパーおよび上記特許文献1,2に記載のものでは、等価減衰定数が比較的小さく、地震発生時などに振動エネルギーを十分に吸収できないおそれがあること、構造が複雑で、製作に手間がかかるほか、特にオイルダンパーの場合は大きなストロークを要するので、コンパクトな製品が難しいことなど、それぞれ改良の余地がある。
【0008】
この発明は上述の点に鑑みなされたもので、建築構造用および木造構造用骨組みの剛性や強度を向上でき、施工が容易であり、等価減衰定数が大きく、エネルギー吸収効果が高く、剛性・耐力・減衰量・変形能力などに関する設計の自由度が高く、また材料および機能面からメンテナンスがフリーなダンパー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明に係るダンパー装置は、内筒状剛性部材の外周側に同内筒状剛性部材を囲繞するように外筒状剛性部材を配置するとともに、内外の前記剛性部材間に粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記の構成を有する本発明のダンパー装置によれば、内外の筒状剛性部材とエネルギー吸収体との三部材で最小限構成され、軸状物であり、長さを用途に応じて任意に調整できる。そして、内筒状剛性部材と外筒状剛性部材とを建築構造物用骨組みの地震時などに相対変位の生じそうな部材間に取り付けることにより骨組みの強度を高めるとともに、内外の剛性部材間で相対的な圧縮力と引っ張り力が作用したときにエネルギー吸収体が吸収緩和して振動等を減衰させる。特に、エネルギー吸収体の粘弾性度を調整することが可能なため、使用する建築物の骨組みや壁部の強度に容易に応じさせられる。また、たとえば請求項5に記載のように、柱と土台および基礎との間で外筒状剛性部材の側面を柱の側面に固定する一方、内筒状剛性部材内を貫通するボルトにより頭部を内筒状剛性部材の上端に係止させ、ボルトの下端側を土台に螺着し、さらにその下端を貫通して基礎に固着することにより、ホールドダウン金物の一部として使用する場合には、地震時に土台からの柱の抜けを阻止するとともに、柱の抜け動作の繰り返しによる振動に対しエネルギー吸収体が伸縮して吸収緩和する。
【0011】
請求項2に記載のように、前記内筒状剛性部材を中心に外周側を順に囲繞するように口径を段階的に大きくした複数の外筒状剛性部材を配置するとともに、内外の前記各剛性部材間に粘弾性エネルギー吸収体を介在させてそれぞれ相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えることができる。
【0012】
このように構成すれば、最内外の剛性部材に二重あるいは三重の複数重におけるエネルギー吸収体が伸縮することで、より大きなエネルギーを吸収緩和させられる。
【0013】
請求項3のように、前記内筒状剛性部材の長さを前記外筒状剛性部材に比べて長寸にし、内筒状剛性部材の外周側に同内筒状剛性部材を囲繞するように2本の外筒状剛性部材を長手方向に間隔をあけ配置するとともに、内外の前記剛性部材間にそれぞれ粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたり、あるいは
請求項4のように、前記外筒状剛性部材の長さを前記内筒状剛性部材に比べて長寸にし、前記外筒状剛性部材の内周側に同内筒状剛性部材が囲繞されるように2本の内筒状剛性部材を長手方向に間隔をあけ配置するとともに、内外の前記剛性部材間にそれぞれ粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたりすることができる。
【0014】
これらのように構成すれば、内筒状剛性部材あるいは外筒状剛性部材を共通にし、両端の外筒状あるいは内筒状の剛性部材のエネルギー吸収体の柔軟度を変化させ、両端でエネルギー吸収量を用途に応じて異ならせることができる。もちろん、両端のエネルギー吸収量を同一にすることもできる。
【0015】
請求項5に記載のように、内筒状剛性部材の外周側に同内筒状剛性部材を囲繞するように外筒状剛性部材を配置するとともに、内外の前記剛性部材間に粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなる2組のエネルギー吸収ユニット構造を備え、
2組とも内筒状剛性部材に対し外筒状剛性部材を張り出させ、張り出した外筒状剛性部材同士を相対向させて中空又は中実接続部材で接続するか、
2組とも外筒状剛性部材に対し内筒状剛性部材を張り出させ、張り出した内筒状剛性部材同士を相対向させて中空又は中実接続部材で接続するか、又は
1組は内筒状剛性部材に対し外筒状剛性部材を張り出させ、もう1組は外筒状剛性部材に対し内筒状剛性部材を張り出させ、張り出した内筒状剛性部材を張り出した外筒状剛性部材内に相対向させて挿入して中空又は中実接続部材で接続するか、のいずれかにすることができる。
【0016】
これらのように構成すれば、請求項3又は4記載のダンパー装置と同様に、用途に応じて両端でエネルギー吸収量を異ならせたり、同一にしたりすることができるほか、ダンパー装置の長尺化を図ることができる。
【0017】
請求項6記載のように、前記内筒状剛性部材と前記外筒状剛性部材との内外の筒状壁間に跨る延伸性プラグを、前記エネルギー吸収体に対し軸方向に直交する方向に貫通させて設けることができる。
【0018】
このように構成すれば、エネルギー吸収体と延伸性プラグとの2種類のエネルギー吸収体を選択して組み合わせることができ、建築物構造や木造構造に適合した強度とエネルギー吸収力の両方をダンパー装置に持たせることができ、また延伸性プラグは、通常、エネルギー吸収体に対し必要な個数を挿入して取り付けるので、強度とエネルギー吸収力の調整が容易に行える。
【0019】
請求項7に記載のように、前記粘弾性エネルギー吸収体を、高減衰ゴム又はポリウレタンゴムの粘弾性体からなるゴムや樹脂にて構成することができる。
【0020】
このように構成することにより、たとえば、未加硫ゴムを内外の剛性部材間に充填した状態で加硫することにて一体に接着したり樹脂材料を充填して発泡させて一体に接着するなど、広範囲の用途に使用できる。
【0021】
請求項8に記載のように、前記延伸性プラグに円柱体、略円柱体又は棒状体からなり、鉛、錫、アルミ又は亜鉛・アルミ合金の金属製部材、ゴムあるいは樹脂を用いることができる。
【0022】
このように構成することにより、請求項6にも記載のように、内外の剛性部材間をエネルギー吸収体にて加硫するなどして一体に接着した状態で、使用する建築物構造や木造構造の要求される補強度に応じて外筒状剛性部材の外側から必要な数だけ孔を開けて延伸性プラグを挿入し取り付けることができる。
【0023】
請求項9に記載のように、前記エネルギー吸収ユニット構造にて、前記建築物の柱脚と土台との間又は横架材と柱頭との間に装着されるホールドダウン金物の一部を構成することができる。
【0024】
請求項10に記載のように、前記エネルギー吸収ユニット構造にて、建築物における梁と桁との間に装着される羽子板金物の一部を構成することができる。
【0025】
請求項11に記載のように、前記エネルギー吸収ユニット構造にて、横架材と土台との間に装着されるブレース又は方杖部材の一部を構成することができる。
【0026】
請求項12に記載のように、前記エネルギー吸収ユニット構造にて、建築物用ターンバックルの一部を構成することができる。
【0027】
請求項9〜請求項12のいずれかのダンパー装置も、建築物の骨組みにおけるたとえば柱脚と土台との間の強度を高めて従来のホールドダウン金物のように柱の抜けを防止する機能だけでなく、地震発生時などに柱脚と土台間で生じる振動を吸収緩和して低減する減衰機能を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように構成したから、本発明に係るダンパー装置は、構造が簡単でコンパクトであり、建築構造用および木造構造用骨組みなどの部材間の取付位置に応じて長さを任意に調整でき、また剛性部材とエネルギー吸収体の材質を適宜選択することで用途に応じて剛性や強度を向上でき、施工が容易であるうえに、等価減衰定数が大きく、エネルギー吸収効果が高く、また材料および機能面から一般的な油圧ダンパー装置やエアダンパー装置に比べてメンテナンスがフリーで取り扱いが容易である。すなわち、
・構造物の耐震性の向上が図れる、・構造が簡単であるので安価に製造可能、・埃の侵入がなく油漏れもなくメンテナンスがフリーで信頼性に富む、・新築住宅だけでなく既存の住宅にも容易に適用可能、・重要建造物などの伝統的な建築物へも適用可能であるなど種々の優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係るダンパー装置について実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施の形態)
本例は、円筒体からなる第1の実施形態に係るダンパー装置の例である。
【0030】
図1(a)(b)に示すように、ダンパー装置1は、外側に位置する円筒形状の外筒剛性部材(以下、外筒部材という)12と、この外筒部材12の内側に位置する円筒状の内筒剛性部材(以下、内筒部材という)13とが、それらの間に位置する円筒形状のエネルギー吸収体14を介して相対変位可能に一体的に結合された、一つのエネルギー吸収ユニット構造(体)1−1からなる。なお、このダンパー装置1は、たとえば小規模な戸建て木造住宅の骨組み(構造物)を構成する2つの要素(図示せず)に跨がるように外筒部材12および内筒部材13の各端部をそれぞれ結合して用いられる。
【0031】
エネルギー吸収体14は、小振動のエネルギーを吸収する低弾性(G=0.001〜0.25N/mm2)で高減衰性能(等価減衰定数Heq=20〜40%)を発揮するポリウレタンゴムが使用され、小振動のエネルギーを吸収する。
【0032】
外筒部材12、内筒部材13およびエネルギー吸収体14は、同心状に配置され、外筒部材12と内筒部材13とは、エネルギー吸収体14にて許容される範囲内で相対変位可能である。
【0033】
外筒部材12および内筒部材13には、本例では骨組みを構成する木材よりも剛性の高い鋼管が使用され、エネルギー吸収体14によってユニット構造体1−1の全体剛性が木造骨組みの強度に近くなるように調整される。なお、内筒部材13内にはボルトナット等の留め具を嵌挿したり、内筒部材13内の中空部を埋めて中実部材にすることもできる。また、外筒部材12および内筒部材13の一端に止め環(図示せず)を一体に取り付け、骨組みの各要素に容易に取り付けられるようにすることができる。
(第2実施の形態)
図2は四角筒状体からなる第2実施形態のダンパー装置2を示す断面図である。ダンパー装置2は、外側に位置する四角筒形状の外筒部材22と、この外筒部材22の内側に位置する四角筒状の内筒部材23とが、それらの間に位置する四角筒形状のエネルギー吸収体24を介して一体に結合された、一つのエネルギー吸収ユニット構造(体)1−2で構成される。その他の構成および用途、使用態様については、上記実施形態1と共通するので説明を省略する。
(第3実施の形態)
本例は、円筒体の第3に実施形態に係るハイブリッド型ダンパー装置の例である。
【0034】
図3(a)(b)に示すように、ダンパー装置3は、円筒状の外筒部材32の内部の中央に円筒状の内筒部材33が設けられ、それらの間に位置する円筒形状のエネルギー吸収体34を介して一体に結合された、エネルギー吸収ユニット構造(体)1−3の1つで構成される。本例の場合、外筒部材32と内筒部材33との内外円筒状壁32a・33a間に跨る円柱体状の延伸性プラグ35の一対を、エネルギー吸収体34に対し軸方向に直交する方向に貫通させて相対向して設けている。エネルギー吸収体34は第1実施例のダンパー装置1と同様に、低弾性(G=0.001〜0.25N/mm2)で高減衰性能(等価減衰定数Heq=20〜40%)を発揮するポリウレタンゴムが使用されるが、延伸性プラグ35にはトリガー特性が必要なため、ポリウレタンゴムよりも1.1倍〜20倍程度高剛性で減衰性能が高い(等価減衰定数Heq=10〜40%)もの、本例では亜鉛・アルミ合金が使用され、中〜大振動のエネルギを吸収するのに効果を発揮する。また、本例で使用した亜鉛・アルミ合金のように、延伸性プラグ35に高い減衰能力があればさらに好ましい。
(第4・5実施の形態)
図4および図5は四角筒状体からなる第4・第5実施形態のダンパー装置を示す断面図である。ダンパー装置4は、図4に示すように外側に位置する四角筒形状の外筒部材42と、この外筒部材42の内側に位置する四角筒状の内筒部材43とが、それらの間に位置する四角筒形状のエネルギー吸収体44を介して一体に結合された、一つのエネルギー吸収ユニット構造(体)1−4で構成されるが、外筒部材42と内筒部材43との内外円筒状壁間に跨る四角柱体状の延伸性プラグ45の一対を、エネルギー吸収体44に対し断面で長手方向に貫通させて相対向して設けている。その他の構成および用途、使用態様については、上記実施形態3と共通するので説明を省略する。
【0035】
またダンパー装置5は、図5に示すように外側に位置する四角筒形状の外筒部材52と、この外筒部材52の内側に位置する四角筒状の内筒部材53とが、それらの間に位置する四角筒形状のエネルギー吸収体54を介して一体に結合された、エネルギー吸収ユニット構造(体)1−5の1つで構成されるが、本例の場合、内筒部材53内にH形鋼56を挿入するとともに、内筒部材53内にエネルギー吸収体55を充填している。そして、外筒部材52と内筒部材53との内外円筒状壁に跨りかつ貫通してH形鋼56に至る丸棒状の延伸性プラグ57の一対を、エネルギー吸収体54・55に対し断面で長手方向に貫通させて相対向して設けている。その他の構成および用途、使用態様については、上記実施例3と共通するので説明を省略する。
(第6・第7実施の形態)
図6および図7は円筒体からなる第6・第7実施形態のハイブリッド型ダンパー装置である。
【0036】
ダンパー装置6は、図6に示すように円筒状の外筒部材62の内部の中央に長尺で円筒状の内筒部材63が設けられ、それらの間に両者の中間の長さ又は外筒部材62と同じ長さで円筒状の中間筒剛性部材64(以下、中間筒部材という)が設けられ、外筒部材62と中間筒部材64の間に位置する円筒形状のエネルギー吸収体65、中間筒部材64と内筒部材63との間に位置するエネルギー吸収体66を介して一体に結合された一つのエネルギー吸収ユニット構造(体)1−6で構成される。本例の場合、外筒部材62と内筒部材63との内外円筒状壁間に中間筒部材64の円筒状壁を貫通して跨る円柱体状の延伸性プラグ67の一対を、内外のエネルギー吸収体65・66に対し軸方向に直交する方向に貫通させて相対向して設けている。外側のエネルギー吸収体65には、第1実施形態のダンパー装置1と同様に、低弾性(G=0.001〜0.25N/mm2)で高減衰性能(等価減衰定数Heq=20〜40%)を発揮するポリウレタンゴムが使用されるが、内側のエネルギー吸収体66には、高い弾性範囲(G=0.20〜2.0N/mm2)をもちエネルギー吸収体65よりも1.1倍〜20倍程度高剛性で減衰能力が高い(Heq=20〜40%)高減衰ゴム(HDR)が使用され、中振動のエネルギーを吸収するのに効果を発揮する。また、延伸性プラグ67にはトリガー特性が必要なため、ポリウレタンゴムよりも1.1倍〜20倍程度高剛性で減衰性能が高い(等価減衰定数Heq=10〜40%)もの、本例では鉛が使用され、大振動のエネルギーを吸収するのに効果を発揮する。また、外筒部材62,中間筒部材64および内筒部材63はそれぞれ相対変位可能に配置されている。
【0037】
ダンパー装置7は、図7に示すように円筒状の外筒部材72の内部の中央に長尺で円筒状の内筒部材73が設けられ、それらの間に最短長さで円筒状の中間筒部材74が設けられ、外筒部材72と中間筒部材74の間に位置する円筒形状の内側エネルギー吸収体75、中間筒部材74と内筒部材73との間に位置する円筒形状の外側エネルギー吸収体76を介して一体に結合された、エネルギー吸収ユニット構造(体)1−7の1つで構成される。本例の場合、外筒部材72と中間筒部材74との間の外側エネルギー吸収体76、中間筒部材64と内筒部材73との間の内側エネルギー吸収体75をそれぞれ貫通し、円柱体状の延伸性プラグ77および延伸性プラグ78の一対ずつを軸方向に位置をずらせたうえ相対向して設けている。外側のエネルギー吸収体75には、第1実施形態のダンパー装置1と同様に、低弾性(G=0.001〜0.25N/mm2)で高減衰性能(等価減衰定数Heq=20〜40%)を発揮するポリウレタンゴムが使用されるが、内側のエネルギー吸収体76には、高い弾性範囲(G=0.20〜2.0N/mm2)で減衰能力が高い(Heq=20〜40%)高減衰ゴム(HDR)が使用され、中〜大振動のエネルギーを吸収するのに効果を発揮する。また、延伸性プラグ77・78にはトリガー特性が必要なため、ポリウレタンゴムよりも1.1倍〜20倍程度高剛性で減衰性能が高い(等価減衰定数Heq=10〜40%)もの、本例では鉛が使用され、大振動のエネルギーを吸収するのに効果を発揮する。また、外筒部材72,中間筒部材74および内筒部材73はそれぞれ相対変位可能に配置されている。
(第8実施の形態)
本例は、円筒体の長尺型ダンパー装置の例である。
【0038】
第8実施形態のダンパー装置8は、図8に示すように長尺で円筒状の外筒部材(剛性部材)82の内部の中央に、軸方向の中央部に間隔をあけ一対の円筒状の内筒部材83(剛性部材)が設けられ、外筒部材82と内筒部材83の間に位置する円筒形状のエネルギー吸収体84を介して一体に結合されるエネルギー吸収ユニット構造体1−8の1つで、構成される。本例の場合、外筒部材82と内筒部材83との間の上下のエネルギー吸収体84には、第1実施例のダンパー装置1と同様に、低弾性(G=0.001〜0.25N/mm2)で高減衰性能(等価減衰定数Heq=20〜40%)を発揮するポリウレタンゴムをそれぞれ使用するが、用途によっては、一方、たとえば下側のエネルギー吸収体84に上側のエネルギー吸収体84よりも高い弾性範囲(G=0.20〜2.0N/mm2)で減衰能力が高い(Heq=20〜40%)高減衰ゴム(HDR)を使用し、中〜大振動のエネルギーを吸収するのに効果を発揮させることができる。
(第9実施の形態)
第9実施形態の長尺型ダンパー装置9は、図9に示すように長尺の内側円柱部材93の上下両側に一対の円筒状の外筒部材92を軸方向の中央部に間隔をあけ、上下の外筒部材92と内側円柱部材93の間に位置する円筒形状のエネルギー吸収体94・95を介して一体に結合される、エネルギー吸収ユニット構造(体)1−9の1つで構成される。本例の場合、第8実施形態のダンパー装置8と同様に、外筒部材92と内側円柱部材93との間の上下のエネルギー吸収体94・95には、低弾性(G=0.001〜0.25N/mm2)で高減衰性能(等価減衰定数Heq=20〜40%)を発揮するポリウレタンゴムをそれぞれ使用するが、用途によっては、一方、たとえば下側のエネルギー吸収体95に上側のエネルギー吸収体94よりも高い弾性範囲(G=0.20〜2.0N/mm2)で減衰能力が高い(Heq=20〜40%)高減衰ゴム(HDR)を使用し、中〜大振動のエネルギーを吸収するのに効果を発揮させることができる。
(第10〜第12実施の形態)
図10に示す第10実施形態の長尺型ダンパー装置18は、図1のエネルギー吸収ユニット構造体1−1の外筒部材12を内筒部材13よりも延長して中間のエネルギー吸収体14(内筒部材13の一端)よりも突出させ、2組のユニット構造体1−1’の外筒部材12の突出部側を相対向させ軸方向にわずかに間隔をあけて配置し連結部材15により2組の外筒部材12を一体に接続して長尺にした構成からなる。
【0039】
図11に示す第11実施形態のダンパー装置19は、2組のユニット構造体1−1’を同一方向に向けて配置し、外筒部材12の突出部側内に内筒部材13の突出部側を挿入し連結部材16により外筒部材12と内筒部材13とを一体に接続して長尺にした構成からなる。
【0040】
図12に示す第12実施形態の長尺型ダンパー装置20は、2組のユニット構造体1−1’の内筒部材12の突出側を相対向させ両端面を突き合わせるように配置し連結部材17により2組の外筒部材12を一体に接続して長尺にした構成からなる。
【0041】
そして、図10〜図12に示す各ダンパー装置18〜20は、用途に応じて上下のエネルギー吸収体14に弾性率および減衰能力の共通のものを使用したり、異なるものを使用したりできる。
(実施例1)
図13はダンパー装置の第1実施例を示す斜視図で,(a)は外筒部材、(b)は内筒部材、(c)は鉛プラグを表している。図14はダンパー装置の組立状態を示す縦断面図、図15はダンパー装置の圧縮−引っ張り試験結果を示す線図である。
【0042】
外筒部材32は外径50ψ、内径40ψ、長さ100mmの金属製パイプで、内筒部材33は外径30ψ、内径20ψ、長さ100mmの金属製パイプで、鉛プラグ35は外径20ψ、長さ15mmの円柱体からなる。外筒部材32内に同心円状に内筒部材33を配置し、両者間の環状隙間にエネルギー吸収体34としての高減衰ゴム(HDR)を介装した状態で、加硫させることで一体に接着させてエネルギー吸収ユニット構造(体)1−3’を形成している。この状態で、ユニット構造(体)1−3’の長さ方向の中間位置に一対の挿入孔(口径略20mm)36を相対向して穿設し、一対の鉛プラグ35を挿入孔36に嵌挿した構造からなる。
【0043】
外筒部材32の一端と反対側の内筒部材33の一端とに軸方向に平行に、引っ張り力と圧縮力とをそれぞれ応力値で0〜12.5kN/mm2を作用させたところ、図15に示すように0〜55mm伸長し、0〜55mm圧縮された。この変位制御試験(±55mm変位時の荷重を測定)の結果より、等価剛性(Keq)=2.6kN/mm、等価減衰定数(Heq)=33.8%が得られた。
【0044】
普通のオイルダンパーの等価減衰定数(Heq)=20〜25%程度に比べて高い減衰性能があり、かつ速度に依存しなかった。また、オイルダンパーのような油圧の調整や油漏れ、ごみ・埃対策などのメンテナンスがほとんど不要である。しかも、本例のエネルギー吸収ユニット構造体31では、エネルギー吸収体34の弾性率・断面積・厚み、鉛プラグ35の断面積・長さ・個数などを変えることにより自由なダンパー装置の設計が容易になることが確認された。
(実施例2)
図16は本例のエネルギー吸収ユニット構造体1−1を備えたホールドダウン金物の実施例の使用態様を示すもので,(a)は側面視縦断面図、(b)は正面図、(c)は平面図を表している。本例のホールドダウン金物101は、図16に示すように、木造建造物の土台Eと柱脚Fとの間に取り付けられるものである。外筒部材12の一側面に厚板状ブラケット102を介して長方形状の鉄板103が一体に溶接され、鉄板103には複数の止めねじ用挿通孔103aが設けられ、止めねじ107にて柱脚Fの一側面に固定されている。内筒部材13内にはアンカーボルト104が貫通して挿入され、アンカーボルト104の上端部にストッパー兼用のナット105が螺着され、内筒部材13の上端に当接されている。また内筒部材13の下端にもストッパー兼用のナット106が当接している。アンカーボルト104の下部は土台E内にねじ込まれ、土台Eの下の布基礎E’に対し一体的に接続されている。
【0045】
以上のように構成された本実施例のホールダウン金物101によれば、地震時などに土台Eからの柱脚Fの抜けをホールダウン金物101が単に防止し、耐震性を向上するだけでなく、柱脚Fと土台E間で生じる振動をエネルギー吸収体14が吸収緩和し、低減する。
(実施例3)
図17はエネルギー吸収ユニット構造体1−1を備えた羽子板金物を示す一部を断面で表した平面図である。図16のホールダウン金物101とほぼ同一の構造の羽子板金物111の鉄板112を、図17に示すように梁Gの上面に複数の止めねじ113にて固定している。また、ねじ杆114を桁を水平に貫通させ、突出部にナット115を螺合して締め付けることにより、桁Hの側面に当接させて固定している。このナット115の締め付け効果によって、桁が収縮した場合にもナット115の緩みを防ぐ効果がある。その他の構成は上記ホールダウン金物101と共通しているので、共通の部材は同一の符号を用いて示し、説明を省略する。本実施例の羽子板金物による振動低減作用についても、ホールダウン金物の場合と共通するので、説明を省略する。
(実施例4)
図18は2組のエネルギー吸収ユニット構造(体)1−1を備えたターンバックルの実施例を示す使用態様例の、一部を断面で表した正面図である。
【0046】
相対向して一直線状に配置したエネルギー吸収ユニット構造(体)1−1をスリーブ状のバックル胴122内に、軸方向に間隔をあけて嵌挿し、バックル胴122から直交する方向に留め具123を内筒部材13に跨って貫通して一体回転可能に固定している。また両側の各内筒部材13内周面に雌ねじを刻設し、フックボルト124の他端側雄ねじ部分をそれぞれ回転可能に螺合させている。建築物構造用骨組みの方形枠J内の相対向する隅角部に三角形状のブラケット125を嵌め込んで溶接等で一体に取り付け、各フックボルト124端のフックをブラケット125の止め孔に係止させて対角線上にターンバックル121を取り付けている。この状態で、バックル胴122を一方向に回転させることにより、両側のフックボルト124の雄ねじ部に螺合する一対の内筒部材13内周面の雌ねじ部が両側のフックボルト124を相互に接近させる方向に締め付けられ、ターンバックル121は緊張状態になる。このとき、内外筒部材12・13間のエネルギー吸収体14はやや引っ張り状態になる。本例の場合、エネルギー吸収体14にはたとえば高減衰ゴム(HDR)が使用される。地震発生時などには、方形枠Jの変形をターンバックル121が防止すると同時に、方形枠Jを含む骨組みの振動をエネルギー吸収体14が伸縮して吸収緩和し、低減する。
(実施例5)
図19はエネルギー吸収ユニット構造(体)1−4’(1−4の変形例)を備えたブレース又は方杖の実施例を示す使用態様例の、一部を断面で表した正面図である。
【0047】
本実施例にブレース(又は方杖)131はエネルギー吸収ユニット構造1−4’を備えており、四角筒形の外筒部材42内の両端部分に、上記エネルギー吸収ユニット構造1−4の内筒部材44に代えて分厚い板状内側部材46を使用し、外筒部材42の両端部分内に挿入してその一部を外方へ突出させ、両者間をエネルギー吸収体44にて一体に加硫接着し、両端部分の軸方向の中間位置に直交する方向に板状の鉛プラグ45を外筒部材42の相対向する筒壁間に跨って貫通させて構成している。本例のブレース(又は方杖)131は、図19に示すように横架材Fと柱Kの間にそれぞれ三角形状ブラケット135を介在させて止め具136により略対角線上に取り付けている。エネルギー吸収体44には、高い弾性範囲(G=0.20〜2.0N/mm2)で減衰能力が高い(Heq=20〜40%)高減衰ゴム(HDR)が使用され、小〜中振動のエネルギを吸収するのに効果を発揮する一方、鉛プラグ45にはトリガー特性が必要なため、ポリウレタンゴムよりも1.1倍〜20倍程度高剛性で減衰性能が高い(等価減衰定数Heq=10〜40%)鉛が使用されているため、大振動のエネルギーが作用すると変形して大振動を吸収するのに効果を発揮する。
【0048】
このように構成されたブレース(又は方杖)131によれば、地震発生時などに引っ張り力だけでなく圧縮力が作用しても対応することができ、振動をエネルギー吸収体と鉛プラグ45の種類の異なる2つのエネルギー吸収体が効率よく吸収緩和して低減する。
(実施例6)
図20はエネルギー吸収ユニット構造体1−1を備えた複数個のダンパー装置1を機械設備や建築物の上下振動の除振装置と使用した実施例を表している。図20に示すように本実施例では、短寸の外筒部材12内に短寸(たとえば外筒部材12と同寸法)の内筒部材13を外筒部材14内の底端から一定距離離間し、軸方向に両部材が相対移動可能な状態でエネルギー吸収体14を両者間に介在させて一体に接着した構造からなるダンパー装置1’で、基礎B上に内筒部材13の突出側を上向きにし、機械設備Aの少なくとも四隅角部に設置し、機械設備Aを弾性支持する。これにより、上下振動を低減する除振装置として使用できる。
(実施例7・8)
図21は機械設備や建築物の水平振動の除振(免震)装置として使用した実施例を表している。
【0049】
図21(a)ではダンパー装置8(図8参照)を使用し、基礎B上にコロCを介して機械設備Aを水平移動可能に載置し、この状態で機械設備Aから垂下したブラケット86と同ブラケットから所定距離をあけて間隔を基礎B上に突設したブラケット87との間に、両側の内筒部材83の端部を取り付け介設している。
【0050】
また、図21(b)ではダンパー装置1’と同一構造で内筒部材13の外径が異なるものを使用し、基礎Bに設けた凹所D内に車輪E付き機械設備Aを水平移動可能に配置し、凹所D内の対向する側壁と機械設備Aとの間に複数のダンパー装置1’を左右に対向して介設している。これらにより、各機械設備Aは主に水平方向の振動が、ダンパー装置1’あるいはダンパー装置8のエネルギー吸収体14(84)の伸縮により吸収緩和され、低減される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態である円筒体のダンパー装置を示し、(a)は中央縦断面図、(b)は図1(a)のA−A線における断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態である四角筒体のダンパーを示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態である円筒体のハイブリッド型ダンパー装置を示し、(a)は中央縦断面図、(b)は図1(a)のA−A線における断面図である。
【図4】本発明に係る四角筒状体からなる第4の実施の形態のダンパー装置を示す断面図である。
【図5】本発明に係る四角筒状体からなる第5の実施の形態のダンパー装置を示す断面図である。
【図6】本発明に係る円筒体からなる第6の実施の形態のハイブリッド型ダンパー装置を示す断面図である。
【図7】本発明に係る円筒体からなる第7の実施の形態のハイブリッド型ダンパー装置を示す断面図である。
【図8】本発明に係る第8の実施の形態の円筒体の長尺型ダンパー装置を示す断面図である。
【図9】本発明に係る第9の実施の形態の長尺型ダンパー装置を示す断面図である。
【図10】本発明に係る第10の実施の形態の長尺型ダンパー装置を示す断面図である。
【図11】本発明に係る第11の実施の形態の円筒体の長尺型ダンパー装置を示す断面図である。
【図12】本発明に係る第12の実施の形態の長尺型ダンパー装置を示す断面図である。
【図13】本発明に係るダンパー装置の第1実施例を示す斜視図で,(a)は外筒部材、(b)は内筒部材、(c)は鉛プラグを表している。
【図14】本発明に係るダンパー装置の組立状態を示す縦断面図である。
【図15】図14に示すダンパー装置の圧縮−引っ張り試験結果を示す線図である。
【図16】本例のエネルギー吸収ユニット構造体1−1を備えたホールドダウン金物の実施例の使用態様を示すもので,(a)は側面視縦断面図、(b)は正面図、(c)は平面図を表している。
【図17】エネルギー吸収ユニット構造体1−1を備えた羽子板金物を示す一部を断面で表した平面図である。
【図18】本発明に係る2組のエネルギー吸収ユニット構造体1−1を備えたターンバックルの実施例を示す使用態様例の、一部を断面で表した正面図である。
【図19】本発明に係るエネルギー吸収ユニット構造体1−4’を備えたブレース又は方杖の実施例を示す使用態様例の、一部を断面で表した正面図である。
【図20】本発明に係るエネルギー吸収ユニット構造体1−1を備えた複数個のダンパー装置1を機械設備や建築物の上下振動の除振装置と使用した実施例を示す正面図である。
【図21】図21(a)・(b)はそれぞれ本発明に係る機械設備や建築物の水平振動の除振(免震)装置として使用した実施例を示す正面図である。
【図22】従来の一般的なブレースに対し圧縮力と引っ張り力を作用させた時の変形を示す線図である。
【図23】従来の一般的なオイルダンパー機構を概念的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1・1’〜10・18〜21 ダンパー装置
1−1〜1−4 エネルギー吸収ユニット構造(体)
12・22・32・42・52・62・72・82・92 外筒部材(内筒状剛性部材)
13・23・33・43・53・63・73・83・93 内筒部材(外筒状剛性部材)
14・24・34・44・54・64・74・84・94 エネルギー吸収体
65 中間筒部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として建築構造用および土木構造用骨組みの振動低減用に使用するほか、産業用機械、建造物などの設置状態における振動の吸収緩和部材ならびに自動車、家電製品などの振動の吸収部品としても適用可能なダンパー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記構造用骨組みの振動低減には、従来、主として、骨組みの部材間にブレースや方杖を取り付けることによって、上記骨組みの剛性や強度を高めて、振動の低減を図っていた。しかし、従来のブレースや方杖は強度抵抗型の部材で、剛性や強度を向上する機能は備えているが、エネルギーを吸収する機能には乏しく、たとえば地震、強風による揺れや振動、および走行する車両の近傍で生じる家屋や建造物などの振動を低減する等価減衰定数(Heq)についてはブレースの場合で10%程度であり、地震などで発生する振動エネルギーを十分に吸収しきれない。また、ブレースに対し圧縮力が作用すると、図22に示すように、座屈が生じるおそれがある。
【0003】
さらに、従来より、車両自体や機械設備自体の振動低減やその他の振動エネルギー吸収にオイルダンパーが用いられているが、このオイルダンパーはオイルダンパーが介設される部材両端間の振動速度がゼロ、つまり停止状態の場合には、耐力が発生しないという問題がある。しかも、オイルダンパーは図23に示すような構造が一般的であるため、エネルギーを吸収するためには十分に長いストロークを確保する必要があるため、適用範囲が制限される。また、オイルダンパーは速度や温度に対して影響を受け易いうえに、油圧の調整や油漏れのほか、ごみや埃の侵入防止のための対策およびメンテナンスが必要であり、さらに製作には精密な加工が要求される。
【0004】
また、摩擦ダンパーについても、摩擦面の摩耗・腐食やごみ・埃の侵入防止対策が必要なうえ、摩擦面の種類によっては、振動数依存性をもつものや比較的早期に焼き付きが生じるものがある。そして、従来の一般的なオイルダンパー、摩擦ダンパーおよび鋼材ダンパーなどのダンパーは、等価減衰定数(Heq)は約20〜25%であり、地震発生時などに振動エネルギーを十分に吸収できないおそれがある。
【0005】
上述したようなブレースや方杖などの部材は、地震時に骨組みに作用するエネルギーを吸収する振動減衰性能を持っていないか、持っていても低いため、設計強度を越えるような大地震の発生時には筋かい等の部材が最初に降伏し、破断あるいは損傷に至る。そして前記部材が一旦破断あるいは損傷した後は同部材による住宅全体としての本来の強度増大効果は望めない。したがって、設計強度を越えるような大地震に対して十分な耐震性能を確保することができないだけでなく、たとえ住宅全体が崩壊しなかったとしても、破断あるいは損傷した補強用部材を交換しない限り、住宅全体を元の強度に復元させることができない。
【0006】
そこで、復元機能を有し、地震時などにおいて振動減衰性能を発揮させられる制振ダンパーや仕口ダンパーが提案されている(たとえば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2000−110399号公報(段落0011〜0015及び図1〜図3)
【特許文献2】特開2003−247269号公報(段落0016〜0025及び図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のオイルダンパーや摩擦ダンパーおよび上記特許文献1,2に記載のものでは、等価減衰定数が比較的小さく、地震発生時などに振動エネルギーを十分に吸収できないおそれがあること、構造が複雑で、製作に手間がかかるほか、特にオイルダンパーの場合は大きなストロークを要するので、コンパクトな製品が難しいことなど、それぞれ改良の余地がある。
【0008】
この発明は上述の点に鑑みなされたもので、建築構造用および木造構造用骨組みの剛性や強度を向上でき、施工が容易であり、等価減衰定数が大きく、エネルギー吸収効果が高く、剛性・耐力・減衰量・変形能力などに関する設計の自由度が高く、また材料および機能面からメンテナンスがフリーなダンパー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明に係るダンパー装置は、内筒状剛性部材の外周側に同内筒状剛性部材を囲繞するように外筒状剛性部材を配置するとともに、内外の前記剛性部材間に粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記の構成を有する本発明のダンパー装置によれば、内外の筒状剛性部材とエネルギー吸収体との三部材で最小限構成され、軸状物であり、長さを用途に応じて任意に調整できる。そして、内筒状剛性部材と外筒状剛性部材とを建築構造物用骨組みの地震時などに相対変位の生じそうな部材間に取り付けることにより骨組みの強度を高めるとともに、内外の剛性部材間で相対的な圧縮力と引っ張り力が作用したときにエネルギー吸収体が吸収緩和して振動等を減衰させる。特に、エネルギー吸収体の粘弾性度を調整することが可能なため、使用する建築物の骨組みや壁部の強度に容易に応じさせられる。また、たとえば請求項5に記載のように、柱と土台および基礎との間で外筒状剛性部材の側面を柱の側面に固定する一方、内筒状剛性部材内を貫通するボルトにより頭部を内筒状剛性部材の上端に係止させ、ボルトの下端側を土台に螺着し、さらにその下端を貫通して基礎に固着することにより、ホールドダウン金物の一部として使用する場合には、地震時に土台からの柱の抜けを阻止するとともに、柱の抜け動作の繰り返しによる振動に対しエネルギー吸収体が伸縮して吸収緩和する。
【0011】
請求項2に記載のように、前記内筒状剛性部材を中心に外周側を順に囲繞するように口径を段階的に大きくした複数の外筒状剛性部材を配置するとともに、内外の前記各剛性部材間に粘弾性エネルギー吸収体を介在させてそれぞれ相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えることができる。
【0012】
このように構成すれば、最内外の剛性部材に二重あるいは三重の複数重におけるエネルギー吸収体が伸縮することで、より大きなエネルギーを吸収緩和させられる。
【0013】
請求項3のように、前記内筒状剛性部材の長さを前記外筒状剛性部材に比べて長寸にし、内筒状剛性部材の外周側に同内筒状剛性部材を囲繞するように2本の外筒状剛性部材を長手方向に間隔をあけ配置するとともに、内外の前記剛性部材間にそれぞれ粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたり、あるいは
請求項4のように、前記外筒状剛性部材の長さを前記内筒状剛性部材に比べて長寸にし、前記外筒状剛性部材の内周側に同内筒状剛性部材が囲繞されるように2本の内筒状剛性部材を長手方向に間隔をあけ配置するとともに、内外の前記剛性部材間にそれぞれ粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたりすることができる。
【0014】
これらのように構成すれば、内筒状剛性部材あるいは外筒状剛性部材を共通にし、両端の外筒状あるいは内筒状の剛性部材のエネルギー吸収体の柔軟度を変化させ、両端でエネルギー吸収量を用途に応じて異ならせることができる。もちろん、両端のエネルギー吸収量を同一にすることもできる。
【0015】
請求項5に記載のように、内筒状剛性部材の外周側に同内筒状剛性部材を囲繞するように外筒状剛性部材を配置するとともに、内外の前記剛性部材間に粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなる2組のエネルギー吸収ユニット構造を備え、
2組とも内筒状剛性部材に対し外筒状剛性部材を張り出させ、張り出した外筒状剛性部材同士を相対向させて中空又は中実接続部材で接続するか、
2組とも外筒状剛性部材に対し内筒状剛性部材を張り出させ、張り出した内筒状剛性部材同士を相対向させて中空又は中実接続部材で接続するか、又は
1組は内筒状剛性部材に対し外筒状剛性部材を張り出させ、もう1組は外筒状剛性部材に対し内筒状剛性部材を張り出させ、張り出した内筒状剛性部材を張り出した外筒状剛性部材内に相対向させて挿入して中空又は中実接続部材で接続するか、のいずれかにすることができる。
【0016】
これらのように構成すれば、請求項3又は4記載のダンパー装置と同様に、用途に応じて両端でエネルギー吸収量を異ならせたり、同一にしたりすることができるほか、ダンパー装置の長尺化を図ることができる。
【0017】
請求項6記載のように、前記内筒状剛性部材と前記外筒状剛性部材との内外の筒状壁間に跨る延伸性プラグを、前記エネルギー吸収体に対し軸方向に直交する方向に貫通させて設けることができる。
【0018】
このように構成すれば、エネルギー吸収体と延伸性プラグとの2種類のエネルギー吸収体を選択して組み合わせることができ、建築物構造や木造構造に適合した強度とエネルギー吸収力の両方をダンパー装置に持たせることができ、また延伸性プラグは、通常、エネルギー吸収体に対し必要な個数を挿入して取り付けるので、強度とエネルギー吸収力の調整が容易に行える。
【0019】
請求項7に記載のように、前記粘弾性エネルギー吸収体を、高減衰ゴム又はポリウレタンゴムの粘弾性体からなるゴムや樹脂にて構成することができる。
【0020】
このように構成することにより、たとえば、未加硫ゴムを内外の剛性部材間に充填した状態で加硫することにて一体に接着したり樹脂材料を充填して発泡させて一体に接着するなど、広範囲の用途に使用できる。
【0021】
請求項8に記載のように、前記延伸性プラグに円柱体、略円柱体又は棒状体からなり、鉛、錫、アルミ又は亜鉛・アルミ合金の金属製部材、ゴムあるいは樹脂を用いることができる。
【0022】
このように構成することにより、請求項6にも記載のように、内外の剛性部材間をエネルギー吸収体にて加硫するなどして一体に接着した状態で、使用する建築物構造や木造構造の要求される補強度に応じて外筒状剛性部材の外側から必要な数だけ孔を開けて延伸性プラグを挿入し取り付けることができる。
【0023】
請求項9に記載のように、前記エネルギー吸収ユニット構造にて、前記建築物の柱脚と土台との間又は横架材と柱頭との間に装着されるホールドダウン金物の一部を構成することができる。
【0024】
請求項10に記載のように、前記エネルギー吸収ユニット構造にて、建築物における梁と桁との間に装着される羽子板金物の一部を構成することができる。
【0025】
請求項11に記載のように、前記エネルギー吸収ユニット構造にて、横架材と土台との間に装着されるブレース又は方杖部材の一部を構成することができる。
【0026】
請求項12に記載のように、前記エネルギー吸収ユニット構造にて、建築物用ターンバックルの一部を構成することができる。
【0027】
請求項9〜請求項12のいずれかのダンパー装置も、建築物の骨組みにおけるたとえば柱脚と土台との間の強度を高めて従来のホールドダウン金物のように柱の抜けを防止する機能だけでなく、地震発生時などに柱脚と土台間で生じる振動を吸収緩和して低減する減衰機能を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように構成したから、本発明に係るダンパー装置は、構造が簡単でコンパクトであり、建築構造用および木造構造用骨組みなどの部材間の取付位置に応じて長さを任意に調整でき、また剛性部材とエネルギー吸収体の材質を適宜選択することで用途に応じて剛性や強度を向上でき、施工が容易であるうえに、等価減衰定数が大きく、エネルギー吸収効果が高く、また材料および機能面から一般的な油圧ダンパー装置やエアダンパー装置に比べてメンテナンスがフリーで取り扱いが容易である。すなわち、
・構造物の耐震性の向上が図れる、・構造が簡単であるので安価に製造可能、・埃の侵入がなく油漏れもなくメンテナンスがフリーで信頼性に富む、・新築住宅だけでなく既存の住宅にも容易に適用可能、・重要建造物などの伝統的な建築物へも適用可能であるなど種々の優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係るダンパー装置について実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施の形態)
本例は、円筒体からなる第1の実施形態に係るダンパー装置の例である。
【0030】
図1(a)(b)に示すように、ダンパー装置1は、外側に位置する円筒形状の外筒剛性部材(以下、外筒部材という)12と、この外筒部材12の内側に位置する円筒状の内筒剛性部材(以下、内筒部材という)13とが、それらの間に位置する円筒形状のエネルギー吸収体14を介して相対変位可能に一体的に結合された、一つのエネルギー吸収ユニット構造(体)1−1からなる。なお、このダンパー装置1は、たとえば小規模な戸建て木造住宅の骨組み(構造物)を構成する2つの要素(図示せず)に跨がるように外筒部材12および内筒部材13の各端部をそれぞれ結合して用いられる。
【0031】
エネルギー吸収体14は、小振動のエネルギーを吸収する低弾性(G=0.001〜0.25N/mm2)で高減衰性能(等価減衰定数Heq=20〜40%)を発揮するポリウレタンゴムが使用され、小振動のエネルギーを吸収する。
【0032】
外筒部材12、内筒部材13およびエネルギー吸収体14は、同心状に配置され、外筒部材12と内筒部材13とは、エネルギー吸収体14にて許容される範囲内で相対変位可能である。
【0033】
外筒部材12および内筒部材13には、本例では骨組みを構成する木材よりも剛性の高い鋼管が使用され、エネルギー吸収体14によってユニット構造体1−1の全体剛性が木造骨組みの強度に近くなるように調整される。なお、内筒部材13内にはボルトナット等の留め具を嵌挿したり、内筒部材13内の中空部を埋めて中実部材にすることもできる。また、外筒部材12および内筒部材13の一端に止め環(図示せず)を一体に取り付け、骨組みの各要素に容易に取り付けられるようにすることができる。
(第2実施の形態)
図2は四角筒状体からなる第2実施形態のダンパー装置2を示す断面図である。ダンパー装置2は、外側に位置する四角筒形状の外筒部材22と、この外筒部材22の内側に位置する四角筒状の内筒部材23とが、それらの間に位置する四角筒形状のエネルギー吸収体24を介して一体に結合された、一つのエネルギー吸収ユニット構造(体)1−2で構成される。その他の構成および用途、使用態様については、上記実施形態1と共通するので説明を省略する。
(第3実施の形態)
本例は、円筒体の第3に実施形態に係るハイブリッド型ダンパー装置の例である。
【0034】
図3(a)(b)に示すように、ダンパー装置3は、円筒状の外筒部材32の内部の中央に円筒状の内筒部材33が設けられ、それらの間に位置する円筒形状のエネルギー吸収体34を介して一体に結合された、エネルギー吸収ユニット構造(体)1−3の1つで構成される。本例の場合、外筒部材32と内筒部材33との内外円筒状壁32a・33a間に跨る円柱体状の延伸性プラグ35の一対を、エネルギー吸収体34に対し軸方向に直交する方向に貫通させて相対向して設けている。エネルギー吸収体34は第1実施例のダンパー装置1と同様に、低弾性(G=0.001〜0.25N/mm2)で高減衰性能(等価減衰定数Heq=20〜40%)を発揮するポリウレタンゴムが使用されるが、延伸性プラグ35にはトリガー特性が必要なため、ポリウレタンゴムよりも1.1倍〜20倍程度高剛性で減衰性能が高い(等価減衰定数Heq=10〜40%)もの、本例では亜鉛・アルミ合金が使用され、中〜大振動のエネルギを吸収するのに効果を発揮する。また、本例で使用した亜鉛・アルミ合金のように、延伸性プラグ35に高い減衰能力があればさらに好ましい。
(第4・5実施の形態)
図4および図5は四角筒状体からなる第4・第5実施形態のダンパー装置を示す断面図である。ダンパー装置4は、図4に示すように外側に位置する四角筒形状の外筒部材42と、この外筒部材42の内側に位置する四角筒状の内筒部材43とが、それらの間に位置する四角筒形状のエネルギー吸収体44を介して一体に結合された、一つのエネルギー吸収ユニット構造(体)1−4で構成されるが、外筒部材42と内筒部材43との内外円筒状壁間に跨る四角柱体状の延伸性プラグ45の一対を、エネルギー吸収体44に対し断面で長手方向に貫通させて相対向して設けている。その他の構成および用途、使用態様については、上記実施形態3と共通するので説明を省略する。
【0035】
またダンパー装置5は、図5に示すように外側に位置する四角筒形状の外筒部材52と、この外筒部材52の内側に位置する四角筒状の内筒部材53とが、それらの間に位置する四角筒形状のエネルギー吸収体54を介して一体に結合された、エネルギー吸収ユニット構造(体)1−5の1つで構成されるが、本例の場合、内筒部材53内にH形鋼56を挿入するとともに、内筒部材53内にエネルギー吸収体55を充填している。そして、外筒部材52と内筒部材53との内外円筒状壁に跨りかつ貫通してH形鋼56に至る丸棒状の延伸性プラグ57の一対を、エネルギー吸収体54・55に対し断面で長手方向に貫通させて相対向して設けている。その他の構成および用途、使用態様については、上記実施例3と共通するので説明を省略する。
(第6・第7実施の形態)
図6および図7は円筒体からなる第6・第7実施形態のハイブリッド型ダンパー装置である。
【0036】
ダンパー装置6は、図6に示すように円筒状の外筒部材62の内部の中央に長尺で円筒状の内筒部材63が設けられ、それらの間に両者の中間の長さ又は外筒部材62と同じ長さで円筒状の中間筒剛性部材64(以下、中間筒部材という)が設けられ、外筒部材62と中間筒部材64の間に位置する円筒形状のエネルギー吸収体65、中間筒部材64と内筒部材63との間に位置するエネルギー吸収体66を介して一体に結合された一つのエネルギー吸収ユニット構造(体)1−6で構成される。本例の場合、外筒部材62と内筒部材63との内外円筒状壁間に中間筒部材64の円筒状壁を貫通して跨る円柱体状の延伸性プラグ67の一対を、内外のエネルギー吸収体65・66に対し軸方向に直交する方向に貫通させて相対向して設けている。外側のエネルギー吸収体65には、第1実施形態のダンパー装置1と同様に、低弾性(G=0.001〜0.25N/mm2)で高減衰性能(等価減衰定数Heq=20〜40%)を発揮するポリウレタンゴムが使用されるが、内側のエネルギー吸収体66には、高い弾性範囲(G=0.20〜2.0N/mm2)をもちエネルギー吸収体65よりも1.1倍〜20倍程度高剛性で減衰能力が高い(Heq=20〜40%)高減衰ゴム(HDR)が使用され、中振動のエネルギーを吸収するのに効果を発揮する。また、延伸性プラグ67にはトリガー特性が必要なため、ポリウレタンゴムよりも1.1倍〜20倍程度高剛性で減衰性能が高い(等価減衰定数Heq=10〜40%)もの、本例では鉛が使用され、大振動のエネルギーを吸収するのに効果を発揮する。また、外筒部材62,中間筒部材64および内筒部材63はそれぞれ相対変位可能に配置されている。
【0037】
ダンパー装置7は、図7に示すように円筒状の外筒部材72の内部の中央に長尺で円筒状の内筒部材73が設けられ、それらの間に最短長さで円筒状の中間筒部材74が設けられ、外筒部材72と中間筒部材74の間に位置する円筒形状の内側エネルギー吸収体75、中間筒部材74と内筒部材73との間に位置する円筒形状の外側エネルギー吸収体76を介して一体に結合された、エネルギー吸収ユニット構造(体)1−7の1つで構成される。本例の場合、外筒部材72と中間筒部材74との間の外側エネルギー吸収体76、中間筒部材64と内筒部材73との間の内側エネルギー吸収体75をそれぞれ貫通し、円柱体状の延伸性プラグ77および延伸性プラグ78の一対ずつを軸方向に位置をずらせたうえ相対向して設けている。外側のエネルギー吸収体75には、第1実施形態のダンパー装置1と同様に、低弾性(G=0.001〜0.25N/mm2)で高減衰性能(等価減衰定数Heq=20〜40%)を発揮するポリウレタンゴムが使用されるが、内側のエネルギー吸収体76には、高い弾性範囲(G=0.20〜2.0N/mm2)で減衰能力が高い(Heq=20〜40%)高減衰ゴム(HDR)が使用され、中〜大振動のエネルギーを吸収するのに効果を発揮する。また、延伸性プラグ77・78にはトリガー特性が必要なため、ポリウレタンゴムよりも1.1倍〜20倍程度高剛性で減衰性能が高い(等価減衰定数Heq=10〜40%)もの、本例では鉛が使用され、大振動のエネルギーを吸収するのに効果を発揮する。また、外筒部材72,中間筒部材74および内筒部材73はそれぞれ相対変位可能に配置されている。
(第8実施の形態)
本例は、円筒体の長尺型ダンパー装置の例である。
【0038】
第8実施形態のダンパー装置8は、図8に示すように長尺で円筒状の外筒部材(剛性部材)82の内部の中央に、軸方向の中央部に間隔をあけ一対の円筒状の内筒部材83(剛性部材)が設けられ、外筒部材82と内筒部材83の間に位置する円筒形状のエネルギー吸収体84を介して一体に結合されるエネルギー吸収ユニット構造体1−8の1つで、構成される。本例の場合、外筒部材82と内筒部材83との間の上下のエネルギー吸収体84には、第1実施例のダンパー装置1と同様に、低弾性(G=0.001〜0.25N/mm2)で高減衰性能(等価減衰定数Heq=20〜40%)を発揮するポリウレタンゴムをそれぞれ使用するが、用途によっては、一方、たとえば下側のエネルギー吸収体84に上側のエネルギー吸収体84よりも高い弾性範囲(G=0.20〜2.0N/mm2)で減衰能力が高い(Heq=20〜40%)高減衰ゴム(HDR)を使用し、中〜大振動のエネルギーを吸収するのに効果を発揮させることができる。
(第9実施の形態)
第9実施形態の長尺型ダンパー装置9は、図9に示すように長尺の内側円柱部材93の上下両側に一対の円筒状の外筒部材92を軸方向の中央部に間隔をあけ、上下の外筒部材92と内側円柱部材93の間に位置する円筒形状のエネルギー吸収体94・95を介して一体に結合される、エネルギー吸収ユニット構造(体)1−9の1つで構成される。本例の場合、第8実施形態のダンパー装置8と同様に、外筒部材92と内側円柱部材93との間の上下のエネルギー吸収体94・95には、低弾性(G=0.001〜0.25N/mm2)で高減衰性能(等価減衰定数Heq=20〜40%)を発揮するポリウレタンゴムをそれぞれ使用するが、用途によっては、一方、たとえば下側のエネルギー吸収体95に上側のエネルギー吸収体94よりも高い弾性範囲(G=0.20〜2.0N/mm2)で減衰能力が高い(Heq=20〜40%)高減衰ゴム(HDR)を使用し、中〜大振動のエネルギーを吸収するのに効果を発揮させることができる。
(第10〜第12実施の形態)
図10に示す第10実施形態の長尺型ダンパー装置18は、図1のエネルギー吸収ユニット構造体1−1の外筒部材12を内筒部材13よりも延長して中間のエネルギー吸収体14(内筒部材13の一端)よりも突出させ、2組のユニット構造体1−1’の外筒部材12の突出部側を相対向させ軸方向にわずかに間隔をあけて配置し連結部材15により2組の外筒部材12を一体に接続して長尺にした構成からなる。
【0039】
図11に示す第11実施形態のダンパー装置19は、2組のユニット構造体1−1’を同一方向に向けて配置し、外筒部材12の突出部側内に内筒部材13の突出部側を挿入し連結部材16により外筒部材12と内筒部材13とを一体に接続して長尺にした構成からなる。
【0040】
図12に示す第12実施形態の長尺型ダンパー装置20は、2組のユニット構造体1−1’の内筒部材12の突出側を相対向させ両端面を突き合わせるように配置し連結部材17により2組の外筒部材12を一体に接続して長尺にした構成からなる。
【0041】
そして、図10〜図12に示す各ダンパー装置18〜20は、用途に応じて上下のエネルギー吸収体14に弾性率および減衰能力の共通のものを使用したり、異なるものを使用したりできる。
(実施例1)
図13はダンパー装置の第1実施例を示す斜視図で,(a)は外筒部材、(b)は内筒部材、(c)は鉛プラグを表している。図14はダンパー装置の組立状態を示す縦断面図、図15はダンパー装置の圧縮−引っ張り試験結果を示す線図である。
【0042】
外筒部材32は外径50ψ、内径40ψ、長さ100mmの金属製パイプで、内筒部材33は外径30ψ、内径20ψ、長さ100mmの金属製パイプで、鉛プラグ35は外径20ψ、長さ15mmの円柱体からなる。外筒部材32内に同心円状に内筒部材33を配置し、両者間の環状隙間にエネルギー吸収体34としての高減衰ゴム(HDR)を介装した状態で、加硫させることで一体に接着させてエネルギー吸収ユニット構造(体)1−3’を形成している。この状態で、ユニット構造(体)1−3’の長さ方向の中間位置に一対の挿入孔(口径略20mm)36を相対向して穿設し、一対の鉛プラグ35を挿入孔36に嵌挿した構造からなる。
【0043】
外筒部材32の一端と反対側の内筒部材33の一端とに軸方向に平行に、引っ張り力と圧縮力とをそれぞれ応力値で0〜12.5kN/mm2を作用させたところ、図15に示すように0〜55mm伸長し、0〜55mm圧縮された。この変位制御試験(±55mm変位時の荷重を測定)の結果より、等価剛性(Keq)=2.6kN/mm、等価減衰定数(Heq)=33.8%が得られた。
【0044】
普通のオイルダンパーの等価減衰定数(Heq)=20〜25%程度に比べて高い減衰性能があり、かつ速度に依存しなかった。また、オイルダンパーのような油圧の調整や油漏れ、ごみ・埃対策などのメンテナンスがほとんど不要である。しかも、本例のエネルギー吸収ユニット構造体31では、エネルギー吸収体34の弾性率・断面積・厚み、鉛プラグ35の断面積・長さ・個数などを変えることにより自由なダンパー装置の設計が容易になることが確認された。
(実施例2)
図16は本例のエネルギー吸収ユニット構造体1−1を備えたホールドダウン金物の実施例の使用態様を示すもので,(a)は側面視縦断面図、(b)は正面図、(c)は平面図を表している。本例のホールドダウン金物101は、図16に示すように、木造建造物の土台Eと柱脚Fとの間に取り付けられるものである。外筒部材12の一側面に厚板状ブラケット102を介して長方形状の鉄板103が一体に溶接され、鉄板103には複数の止めねじ用挿通孔103aが設けられ、止めねじ107にて柱脚Fの一側面に固定されている。内筒部材13内にはアンカーボルト104が貫通して挿入され、アンカーボルト104の上端部にストッパー兼用のナット105が螺着され、内筒部材13の上端に当接されている。また内筒部材13の下端にもストッパー兼用のナット106が当接している。アンカーボルト104の下部は土台E内にねじ込まれ、土台Eの下の布基礎E’に対し一体的に接続されている。
【0045】
以上のように構成された本実施例のホールダウン金物101によれば、地震時などに土台Eからの柱脚Fの抜けをホールダウン金物101が単に防止し、耐震性を向上するだけでなく、柱脚Fと土台E間で生じる振動をエネルギー吸収体14が吸収緩和し、低減する。
(実施例3)
図17はエネルギー吸収ユニット構造体1−1を備えた羽子板金物を示す一部を断面で表した平面図である。図16のホールダウン金物101とほぼ同一の構造の羽子板金物111の鉄板112を、図17に示すように梁Gの上面に複数の止めねじ113にて固定している。また、ねじ杆114を桁を水平に貫通させ、突出部にナット115を螺合して締め付けることにより、桁Hの側面に当接させて固定している。このナット115の締め付け効果によって、桁が収縮した場合にもナット115の緩みを防ぐ効果がある。その他の構成は上記ホールダウン金物101と共通しているので、共通の部材は同一の符号を用いて示し、説明を省略する。本実施例の羽子板金物による振動低減作用についても、ホールダウン金物の場合と共通するので、説明を省略する。
(実施例4)
図18は2組のエネルギー吸収ユニット構造(体)1−1を備えたターンバックルの実施例を示す使用態様例の、一部を断面で表した正面図である。
【0046】
相対向して一直線状に配置したエネルギー吸収ユニット構造(体)1−1をスリーブ状のバックル胴122内に、軸方向に間隔をあけて嵌挿し、バックル胴122から直交する方向に留め具123を内筒部材13に跨って貫通して一体回転可能に固定している。また両側の各内筒部材13内周面に雌ねじを刻設し、フックボルト124の他端側雄ねじ部分をそれぞれ回転可能に螺合させている。建築物構造用骨組みの方形枠J内の相対向する隅角部に三角形状のブラケット125を嵌め込んで溶接等で一体に取り付け、各フックボルト124端のフックをブラケット125の止め孔に係止させて対角線上にターンバックル121を取り付けている。この状態で、バックル胴122を一方向に回転させることにより、両側のフックボルト124の雄ねじ部に螺合する一対の内筒部材13内周面の雌ねじ部が両側のフックボルト124を相互に接近させる方向に締め付けられ、ターンバックル121は緊張状態になる。このとき、内外筒部材12・13間のエネルギー吸収体14はやや引っ張り状態になる。本例の場合、エネルギー吸収体14にはたとえば高減衰ゴム(HDR)が使用される。地震発生時などには、方形枠Jの変形をターンバックル121が防止すると同時に、方形枠Jを含む骨組みの振動をエネルギー吸収体14が伸縮して吸収緩和し、低減する。
(実施例5)
図19はエネルギー吸収ユニット構造(体)1−4’(1−4の変形例)を備えたブレース又は方杖の実施例を示す使用態様例の、一部を断面で表した正面図である。
【0047】
本実施例にブレース(又は方杖)131はエネルギー吸収ユニット構造1−4’を備えており、四角筒形の外筒部材42内の両端部分に、上記エネルギー吸収ユニット構造1−4の内筒部材44に代えて分厚い板状内側部材46を使用し、外筒部材42の両端部分内に挿入してその一部を外方へ突出させ、両者間をエネルギー吸収体44にて一体に加硫接着し、両端部分の軸方向の中間位置に直交する方向に板状の鉛プラグ45を外筒部材42の相対向する筒壁間に跨って貫通させて構成している。本例のブレース(又は方杖)131は、図19に示すように横架材Fと柱Kの間にそれぞれ三角形状ブラケット135を介在させて止め具136により略対角線上に取り付けている。エネルギー吸収体44には、高い弾性範囲(G=0.20〜2.0N/mm2)で減衰能力が高い(Heq=20〜40%)高減衰ゴム(HDR)が使用され、小〜中振動のエネルギを吸収するのに効果を発揮する一方、鉛プラグ45にはトリガー特性が必要なため、ポリウレタンゴムよりも1.1倍〜20倍程度高剛性で減衰性能が高い(等価減衰定数Heq=10〜40%)鉛が使用されているため、大振動のエネルギーが作用すると変形して大振動を吸収するのに効果を発揮する。
【0048】
このように構成されたブレース(又は方杖)131によれば、地震発生時などに引っ張り力だけでなく圧縮力が作用しても対応することができ、振動をエネルギー吸収体と鉛プラグ45の種類の異なる2つのエネルギー吸収体が効率よく吸収緩和して低減する。
(実施例6)
図20はエネルギー吸収ユニット構造体1−1を備えた複数個のダンパー装置1を機械設備や建築物の上下振動の除振装置と使用した実施例を表している。図20に示すように本実施例では、短寸の外筒部材12内に短寸(たとえば外筒部材12と同寸法)の内筒部材13を外筒部材14内の底端から一定距離離間し、軸方向に両部材が相対移動可能な状態でエネルギー吸収体14を両者間に介在させて一体に接着した構造からなるダンパー装置1’で、基礎B上に内筒部材13の突出側を上向きにし、機械設備Aの少なくとも四隅角部に設置し、機械設備Aを弾性支持する。これにより、上下振動を低減する除振装置として使用できる。
(実施例7・8)
図21は機械設備や建築物の水平振動の除振(免震)装置として使用した実施例を表している。
【0049】
図21(a)ではダンパー装置8(図8参照)を使用し、基礎B上にコロCを介して機械設備Aを水平移動可能に載置し、この状態で機械設備Aから垂下したブラケット86と同ブラケットから所定距離をあけて間隔を基礎B上に突設したブラケット87との間に、両側の内筒部材83の端部を取り付け介設している。
【0050】
また、図21(b)ではダンパー装置1’と同一構造で内筒部材13の外径が異なるものを使用し、基礎Bに設けた凹所D内に車輪E付き機械設備Aを水平移動可能に配置し、凹所D内の対向する側壁と機械設備Aとの間に複数のダンパー装置1’を左右に対向して介設している。これらにより、各機械設備Aは主に水平方向の振動が、ダンパー装置1’あるいはダンパー装置8のエネルギー吸収体14(84)の伸縮により吸収緩和され、低減される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態である円筒体のダンパー装置を示し、(a)は中央縦断面図、(b)は図1(a)のA−A線における断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態である四角筒体のダンパーを示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態である円筒体のハイブリッド型ダンパー装置を示し、(a)は中央縦断面図、(b)は図1(a)のA−A線における断面図である。
【図4】本発明に係る四角筒状体からなる第4の実施の形態のダンパー装置を示す断面図である。
【図5】本発明に係る四角筒状体からなる第5の実施の形態のダンパー装置を示す断面図である。
【図6】本発明に係る円筒体からなる第6の実施の形態のハイブリッド型ダンパー装置を示す断面図である。
【図7】本発明に係る円筒体からなる第7の実施の形態のハイブリッド型ダンパー装置を示す断面図である。
【図8】本発明に係る第8の実施の形態の円筒体の長尺型ダンパー装置を示す断面図である。
【図9】本発明に係る第9の実施の形態の長尺型ダンパー装置を示す断面図である。
【図10】本発明に係る第10の実施の形態の長尺型ダンパー装置を示す断面図である。
【図11】本発明に係る第11の実施の形態の円筒体の長尺型ダンパー装置を示す断面図である。
【図12】本発明に係る第12の実施の形態の長尺型ダンパー装置を示す断面図である。
【図13】本発明に係るダンパー装置の第1実施例を示す斜視図で,(a)は外筒部材、(b)は内筒部材、(c)は鉛プラグを表している。
【図14】本発明に係るダンパー装置の組立状態を示す縦断面図である。
【図15】図14に示すダンパー装置の圧縮−引っ張り試験結果を示す線図である。
【図16】本例のエネルギー吸収ユニット構造体1−1を備えたホールドダウン金物の実施例の使用態様を示すもので,(a)は側面視縦断面図、(b)は正面図、(c)は平面図を表している。
【図17】エネルギー吸収ユニット構造体1−1を備えた羽子板金物を示す一部を断面で表した平面図である。
【図18】本発明に係る2組のエネルギー吸収ユニット構造体1−1を備えたターンバックルの実施例を示す使用態様例の、一部を断面で表した正面図である。
【図19】本発明に係るエネルギー吸収ユニット構造体1−4’を備えたブレース又は方杖の実施例を示す使用態様例の、一部を断面で表した正面図である。
【図20】本発明に係るエネルギー吸収ユニット構造体1−1を備えた複数個のダンパー装置1を機械設備や建築物の上下振動の除振装置と使用した実施例を示す正面図である。
【図21】図21(a)・(b)はそれぞれ本発明に係る機械設備や建築物の水平振動の除振(免震)装置として使用した実施例を示す正面図である。
【図22】従来の一般的なブレースに対し圧縮力と引っ張り力を作用させた時の変形を示す線図である。
【図23】従来の一般的なオイルダンパー機構を概念的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1・1’〜10・18〜21 ダンパー装置
1−1〜1−4 エネルギー吸収ユニット構造(体)
12・22・32・42・52・62・72・82・92 外筒部材(内筒状剛性部材)
13・23・33・43・53・63・73・83・93 内筒部材(外筒状剛性部材)
14・24・34・44・54・64・74・84・94 エネルギー吸収体
65 中間筒部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒状剛性部材の外周側に同内筒状剛性部材を囲繞するように外筒状剛性部材を配置するとともに、内外の前記剛性部材間に粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたことを特徴とするダンパー装置。
【請求項2】
前記内筒状剛性部材を中心に外周側を順に囲繞するように口径を段階的に大きくした複数の外筒状剛性部材を配置するとともに、内外の前記各剛性部材間に粘弾性エネルギー吸収体を介在させてそれぞれ相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたことを特徴とする請求項1記載のダンパー装置。
【請求項3】
前記内筒状剛性部材の長さを前記外筒状剛性部材に比べて長寸にし、内筒状剛性部材の外周側に同内筒状剛性部材を囲繞するように2本の内筒状剛性部材を長手方向に間隔をあけ配置するとともに、内外の前記剛性部材間にそれぞれ粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたことを特徴とする請求項1記載のダンパー装置。
【請求項4】
前記外筒状剛性部材の長さを前記内筒状剛性部材に比べて長寸にし、前記外筒状剛性部材の内周側に同内筒状剛性部材が囲繞されるように2本の外筒状剛性部材を長手方向に間隔をあけ配置するとともに、内外の前記剛性部材間にそれぞれ粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたことを特徴とする請求項1記載のダンパー装置。
【請求項5】
内筒状剛性部材の外周側に同内筒状剛性部材を囲繞するように外筒状剛性部材を配置するとともに、内外の前記剛性部材間に粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなる2組のエネルギー吸収ユニット構造を備え、
2組とも内筒状剛性部材に対し外筒状剛性部材を張り出させ、張り出した外筒状剛性部材同士を相対向させて中空又は中実接続部材で接続するか、
2組とも外筒状剛性部材に対し内筒状剛性部材を張り出させ、張り出した内筒状剛性部材同士を相対向させて中空又は中実接続部材で接続するか、又は
1組は内筒状剛性部材に対し外筒状剛性部材を張り出させ、もう1組は外筒状剛性部材に対し内筒状剛性部材を張り出させ、張り出した内筒状剛性部材を張り出した外筒状剛性部材内に相対向させて挿入して中空又は中実接続部材で接続するか、したことを特徴とする請求項1記載のダンパー装置。
【請求項6】
前記内筒状剛性部材と前記外筒状剛性部材との内外の筒状壁間に跨る延伸性プラグを、前記エネルギー吸収体に対し軸方向に直交する方向に貫通させて設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のダンパー装置。
【請求項7】
前記粘弾性エネルギー吸収体が、高減衰ゴム又はウレタンの粘弾性体からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のダンパー装置。
【請求項8】
前記延伸性プラグが円柱体、略円柱体又は棒状体で、鉛、錫、アルミ又は亜鉛・アルミ合金の金属製部材、ゴムあるいは樹脂からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載のダンパー装置。
【請求項9】
前記エネルギー吸収ユニット構造が、建築物の柱脚と土台との間又は横架材と柱頭との間に取り付けられるホールドダウン金物の一部を構成することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のダンパー装置。
【請求項10】
前記エネルギー吸収ユニット構造が、建築物における梁と桁との間に取り付けられる羽子板金物の一部を構成することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のダンパー装置。
【請求項11】
前記エネルギー吸収ユニット構造にて、横架材と土台との間に取り付けられるブレース又は方杖部材の一部を構成することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のダンパー装置。
【請求項12】
前記エネルギー吸収ユニット構造にて、建築物用ターンバックルの一部を構成することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のダンパー装置。
【請求項1】
内筒状剛性部材の外周側に同内筒状剛性部材を囲繞するように外筒状剛性部材を配置するとともに、内外の前記剛性部材間に粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたことを特徴とするダンパー装置。
【請求項2】
前記内筒状剛性部材を中心に外周側を順に囲繞するように口径を段階的に大きくした複数の外筒状剛性部材を配置するとともに、内外の前記各剛性部材間に粘弾性エネルギー吸収体を介在させてそれぞれ相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたことを特徴とする請求項1記載のダンパー装置。
【請求項3】
前記内筒状剛性部材の長さを前記外筒状剛性部材に比べて長寸にし、内筒状剛性部材の外周側に同内筒状剛性部材を囲繞するように2本の内筒状剛性部材を長手方向に間隔をあけ配置するとともに、内外の前記剛性部材間にそれぞれ粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたことを特徴とする請求項1記載のダンパー装置。
【請求項4】
前記外筒状剛性部材の長さを前記内筒状剛性部材に比べて長寸にし、前記外筒状剛性部材の内周側に同内筒状剛性部材が囲繞されるように2本の外筒状剛性部材を長手方向に間隔をあけ配置するとともに、内外の前記剛性部材間にそれぞれ粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたことを特徴とする請求項1記載のダンパー装置。
【請求項5】
内筒状剛性部材の外周側に同内筒状剛性部材を囲繞するように外筒状剛性部材を配置するとともに、内外の前記剛性部材間に粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなる2組のエネルギー吸収ユニット構造を備え、
2組とも内筒状剛性部材に対し外筒状剛性部材を張り出させ、張り出した外筒状剛性部材同士を相対向させて中空又は中実接続部材で接続するか、
2組とも外筒状剛性部材に対し内筒状剛性部材を張り出させ、張り出した内筒状剛性部材同士を相対向させて中空又は中実接続部材で接続するか、又は
1組は内筒状剛性部材に対し外筒状剛性部材を張り出させ、もう1組は外筒状剛性部材に対し内筒状剛性部材を張り出させ、張り出した内筒状剛性部材を張り出した外筒状剛性部材内に相対向させて挿入して中空又は中実接続部材で接続するか、したことを特徴とする請求項1記載のダンパー装置。
【請求項6】
前記内筒状剛性部材と前記外筒状剛性部材との内外の筒状壁間に跨る延伸性プラグを、前記エネルギー吸収体に対し軸方向に直交する方向に貫通させて設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のダンパー装置。
【請求項7】
前記粘弾性エネルギー吸収体が、高減衰ゴム又はウレタンの粘弾性体からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のダンパー装置。
【請求項8】
前記延伸性プラグが円柱体、略円柱体又は棒状体で、鉛、錫、アルミ又は亜鉛・アルミ合金の金属製部材、ゴムあるいは樹脂からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載のダンパー装置。
【請求項9】
前記エネルギー吸収ユニット構造が、建築物の柱脚と土台との間又は横架材と柱頭との間に取り付けられるホールドダウン金物の一部を構成することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のダンパー装置。
【請求項10】
前記エネルギー吸収ユニット構造が、建築物における梁と桁との間に取り付けられる羽子板金物の一部を構成することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のダンパー装置。
【請求項11】
前記エネルギー吸収ユニット構造にて、横架材と土台との間に取り付けられるブレース又は方杖部材の一部を構成することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のダンパー装置。
【請求項12】
前記エネルギー吸収ユニット構造にて、建築物用ターンバックルの一部を構成することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のダンパー装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2007−278411(P2007−278411A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106507(P2006−106507)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(501267357)独立行政法人建築研究所 (28)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(501267357)独立行政法人建築研究所 (28)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]