説明

チェンジャー装置

【課題】収納できるメディア数を最大限に取りつつ、チェンジャー装置から離れた場所からでもメディア移送手段の動作が確認できるようにする。
【解決手段】メディアを収納する複数のホルダを有するメディア収納棚214と、メディア収納棚に対してメディアを取り出し及び収納するメディア移送手段222−225と、メディア移送手段に配置され前面窓211に光を照射する発光手段213と、前面窓に配置した拡散手段212とを備え、複数のホルダ間には前後方向に見通せる空間が設けられており、発光手段213がこの空間を通して拡散手段212に対して光を照射することで拡散手段212が発光してメディア移送手段の位置や動作を視認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディアをメディア収納棚から記録再生装置に移送するチェンジャー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メディア収納棚に保管されている各種メディア(記録媒体)を記録再生手段に移送するメディア移送手段を備えたチェンジャー装置が使用されてきた。図6に、従来のチェンジャー装置の斜視図を示す(特許文献1参照)。図6のような従来のチェンジャー装置において、キャビネット101は、チェンジャー装置の外装を構成する筐体である。キャビネット101の前面は、内部が視認できるように前面窓106が設けられている。BIN103、104はメディア収納棚であり、複数のメディアを前記キャビネット内に保管するための棚である。メディア移送手段102は、左右上下前後にスライド移動及び回転し、BIN103、104に対してメディアを取り出し及び収納し、またBIN103、104と記録再生手段105との間でメディアを移送する。
【0003】
図7は、従来のメディア収納棚の斜視図を示す。各種メディア111(記録媒体)を一つ収めることが出来るホルダ112を複数積み重ね、並べることによりBINが構成される。図6のように、キャビネット101前面の後ろ側にBIN104が配置され、さらにその後ろにメディア移送手段102が配置されている場合には、メディア移送手段102の動作をユーザが確認することができない。
【0004】
そこでそのような場合には図8のように、キャビネット側面に側面窓121を設けて内部を視認できるようにするか、BIN104に未使用範囲122を設け、前面窓106から未使用範囲122を通して内部を視認できるようにしていた。また、キャビネット101内に鏡を設け前面窓から鏡越しにメディア移送手段の動作を確認できるようにした物もある(特許文献2参照)。
【特許文献1】実開平1−35545号公報
【特許文献2】特開平9−55075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のチェンジャー装置では、キャビネット横の窓が他の装置等の構造物でふさがれた場合はメディア移送手段の視認ができないという課題があった。
【0006】
また、BINに未使用範囲を設けた場合は内部視認はできるものの収納巻数が減ってしまうという課題を有していた。チェンジャー装置の場合、単位体積当たりの収納巻数が選定の重要項目であるため、内部視認の為に収納巻数を減らす方法は望ましくない。
【0007】
また、鏡を配置する方法は、メディア移送手段に対し鏡が十分大きい場合や、メディア移送手段とBINが近い場合は有効であるが、鏡が小さい物しか配置できない場合やメディア移送手段のストロークが長い場合は、写った虚像が小さく解りにくいものとなるという課題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑み、収納できるメディア数を最大限に取りつつ、チェンジャー装置から離れた場所からでもメディア移送手段の動作が確認できる事により、ユーザに安心感を与えられるチェンジャー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明のチェンジャー装置は、外箱を構成し前面に前面窓を有するキャビネットと、メディアを収納する複数のホルダを有するメディア収納棚と、少なくともキャビネット内を移動しメディアを保持する保持機構を有しメディア収納棚に対してメディアを取り出し及び収納するメディア移送手段と、メディア移送手段に配置され前面窓に光を照射する発光手段と、前面窓に配置した拡散手段とを備え、複数のホルダ間には前後方向に見通せる空間が設けられており、メディア移送手段が移動中及び停止中に発光手段が空間を通して拡散手段に対して光を照射する構成としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のチェンジャー装置によれば、移送手段の動作が直接視認できないまたは困難な場合でも、メディア移送手段に取り付けた発光手段から発した光が、メディア収納棚(BIN)の開口部からキャビネットの前面窓に設けられた拡散手段に届き、拡散手段が発光する事によりメディア移送手段の位置や動作を視認することができる。透明な窓に光を照射した場合は、真正面からは光は視認できるものの斜め横からは視認できないが、本発明のように拡散手段を配置することにより、窓に当たった光が散乱することで発光するので斜めからでもメディア移送手段の動きや位置を視認することができ、そのことによりユーザに安心感を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1におけるチェンジャー装置の斜視図を示す。外装を構成するキャビネット221の前面には前面窓211と拡散手段212が設けられている。前面窓211は透明な部材で構成されており、無色、有色は問わない。また、その材料としてはアクリル等のプラスチック材料やガラスを用いることが出来る。前面窓211の裏面には、拡散手段212が貼り付けられている。
【0012】
拡散手段212は、光が照射されるとそこで光が拡散されるような半透明の部材である。拡散手段212は、乳白色のプラスチック板が最適であるが、表面に微細な凹凸を均一に形成させたつや消し仕上げのシート等、光が拡散手段212に届いたときに光が拡散されて拡散手段自体が光っているように見える物ならなんでもよい。拡散手段212は、前面窓211の表面に貼り付けるようにしてもよい。また、前面窓211と拡散手段212は一体に形成されていてもよい。例えばすりガラスなども適しているし、前述乳白色のプラスチック板を前面窓と拡散手段を兼ねたものとして配置してもよい。
【0013】
キャビネット221内には、前後方向に対向するように2つのメディア収納棚としてのBIN214を配置する。BIN214は図1のように前後に二面配置してもよいし、前側に一面のみ配置してもよい。
【0014】
メディア移送手段は、被収納物としてのメディアを左右方向に移送する左右方向移送手段222、メディアを上下方向に移送する上下方向移送手段223、メディアをBIN214や記録再生手段226に対して取り出したり挿入するためにメディアを前後方向に移送する前後移送手段225を有している。また、メディア移送手段は、BINが前後2面配置されている場合には、メディアを回転させる回転移送手段224をさらに有している。この場合、前後移送手段225は回転移送手段224上に配置され、前後移送手段225を回転させることにより前後のBINにアクセスできるようにする。前後移送手段225にはメディアを保持する機構が備わっている。
【0015】
発光手段としての光源213は、メディア移送手段のうち、移送するメディアと共に上下左右および前後に移動しかつ回転しない部分で、キャビネット前面に向けて設置される。本実施の形態においては、光源213は左右移送手段上の上下移送手段223上に配置する。光源213を前後移送手段225または、回転移送手段224上に配置すると前後2面配置されているどちらかのBINのメディアにアクセスしたとき反転動作が行われるため、前面窓211及び拡散手段212と反対側に光を照射してしまうため本発明の効果は得られない。メディア移送手段は、ほとんどの場合メディア201をBIN214に対して挿入した位置で停止、すなわち一定の間隔で収納された任意のメディア201の正面付近で停止している。したがって、LED213は、メディア移送手段のこのような停止位置を考慮して、隙間205と軸線を同一になるようにするのが最適である。より具体的には、メディア移送手段の前後移送手段225がBIN214にメディア201を挿入した位置で停止したときに、LED213が隙間205の正面に来るように、メディア移送手段上のLED213の取り付け位置を決定する。このようにLED213を配置することで、メディア移送手段の停止中もLED213の光量が減光することなく拡散手段212が効率よく発光する。なお、このメディア移送手段222〜225は、BIN214からメディアを取り出し上下左右前後にスライド、あるいは回転し記録再生装置226にメディアを搬送し、自動装填し、記録再生装置226がメディアを記録再生可能な状態にする。また、その逆の搬送も行う。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態1におけるBIN214の斜視図である。BIN214は、メディア201を収納する左右に分割された棚部材202と、棚部材202を固定する棚固定部材203とを有している。左右の棚部材202の対向する一対のコの字状の凹部204が、一つのメディアを収納するホルダ207を構成する。少なくとも上下に隣接するホルダ207の間には、メディア201をそれらのホルダ207に収納した状態においても隙間205が存在する。また、棚固定部材203には、光が通過できるように図のように隙間205と対向する位置にそれぞれ開口部206を設けておく。このような構成により、BIN214には、各ホルダ間に前後方向に反対側を見通せる空間が設けられていることになり、その結果、メディア移送手段に配置した光源213からの光がBIN214の後部から前部に向けて通過する。
【0017】
図3は、本発明の実施の形態1における前面窓とBINと光源の関係図である。光源213は、発せられる光が212拡散手段に当たったときにこれを発光させることのできる光量が必要である。光源213としては、レンズ付きのLEDを一つまたは複数個並べて取り付けるのが最適である。光源213にて発光した光は、BIN214に届き、光はの一部は隙間205および開口部206を通り抜け、拡散手段212に届く。この光によって拡散手段212が発光する。拡散手段212上で光が当たって発光する形状は、BIN214に設けた隙間205及び開口部206の形状によるので、これを丸穴や多角形の穴等にすると見栄えが変わる。
【0018】
かかる構成によれば、メディア移送手段が移動したときにBINの開口部から光が通過して拡散手段に届き、光が拡散発光することにより、ユーザがメディア移送手段の位置や動作を視認することができる。
<実施の形態2>
図4は、本発明の実施の形態2におけるチェンジャー装置の斜視図である。実施の形態1ではキャビネット内に記録再生手段を備えた構成としていたが、本実施の形態では記録再生手段を外付けとした構成としている。コンベア231は、キャビネット221の外部からメディアの出し入れを行う。
【0019】
したがって、メディア移送手段は、BINからメディアを取り出し上下左右前後にスライド、あるいは回転しコンベア231にメディアを搬送して外部記録再生手段(図示せず)に送り出し、外部記録再生手段がメディアを記録再生可能な状態にする。また、その逆の搬送も行う。
【0020】
かかる構成によっても実施の形態1と同様に、メディア移送手段が移動したときにBINの開口部から光が通過して拡散手段に届き、光が拡散発光することにより、ユーザがメディア移送手段の位置や動作を視認することができる。
<実施の形態3>
図5は、本発明の実施形態3における発光手段の斜視図である。実施の形態1及び2において、発光手段の構成だけを変更したものが本実施の形態である。発光手段の構成としては、発光部材としてのLED241〜244をマトリクス状に配置し移動方向や停止状態によって点灯させるLEDやその発光パターンを変更させれば、動作視認の効果が上がる。例えばメディア移送手段が右斜め上や、左斜め下に移動する場合には241,242を点灯させる。上下移動ならば、241,243のようにする。また、前後移動中には、LEDを点滅させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明のチェンジャー装置によれば、移送手段の動作が直接視認できないまたは困難な場合でも、拡散手段が発光することで動作を視認できるので、各種容器を収納する倉庫等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1におけるチェンジャー装置の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1におけるBINの斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における前面窓とBINと光源の関係図
【図4】本発明の実施の形態2におけるチェンジャー装置の斜視図
【図5】本発明の実施の形態3における光発光手段の斜視図
【図6】従来のチェンジャー装置における斜視図
【図7】従来のメディア収納棚の斜視図
【図8】従来のチェンジャー装置の窓形状を示した斜視図
【符号の説明】
【0023】
101・・・キャビネット
102・・・メディア移送装置
103・・・メディア収納棚
104・・・メディア収納棚
105・・・記録再生装置
106・・・前面窓
111・・・メディア
112・・・メディア収納棚
121・・・側面窓
122・・・BINの未使用範囲
201・・・メディア
202・・・棚部材
203・・・棚固定部材
204・・・凹部
205・・・隙間
206・・・開口部
207・・・ホルダ
211・・・前面窓
212・・・拡散手段
213・・・光源
214・・・BIN
221・・・キャビネット
222・・・左右方向移送手段
223・・・上下方向移送手段
224・・・回転移送手段
225・・・前後移送手段
226・・・記録再生手段
231・・・コンベア
241・・・LED
242・・・LED
243・・・LED
244・・・LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱を構成し前面に前面窓を有するキャビネットと、
メディアを収納する複数のホルダを有するメディア収納棚と、
少なくとも前記キャビネット内を移動し前記メディアを保持する保持機構を有し前記メディア収納棚に対して前記メディアを取り出し及び収納するメディア移送手段と、
前記メディア移送手段に配置され前記前面窓に光を照射する発光手段と、
前記前面窓に配置され照射された光を拡散する拡散手段とを備え、
前記複数のホルダ間には前後方向に見通せる空間が設けられており、
前記メディア移送手段が移動中及び停止中に前記発光手段が前記空間を通して前記拡散手段に対して光を照射するチェンジャー装置。
【請求項2】
前記発光手段は複数の発光部材を有し、
前記メディア移送手段の移動及び停止状態に基づいて発光させる発光部材及び発光パターンのうち少なくとも一方を変化させる請求項1記載のチェンジャー装置。
【請求項3】
前記メディアを記録及び再生する記録再生手段をさらに有し、
前記メディア移送手段は、前記メディア収納棚と前記記録再生手段との間で前記メディアを移送する請求項1及び2のいずれかに記載のチェンジャー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−92716(P2006−92716A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239348(P2005−239348)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】