説明

チェン構造

【課題】チェンの歯飛び防止機構の取付け及び位置調整を容易に行なうことができると共に、その耐久性を向上させることができるチェン構造を提供する。
【解決手段】円周部にピン10を有するスプロケット4と、このスプロケット4の外周部に巻き掛けられ前記ピン10に係合する凹部14を有するチェン12と、前記凹部14が前記ピン10との係合から外れるのを防止する歯飛び防止機構44を備えたチェン構造40において、前記歯飛び防止機構44は、前記スプロケット4の半径方向の前記チェン12より外側に配置され、前記チェン12の幅方向と平行にかつチェン12に近接して配置された歯飛び防止部材44aを一つだけ有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば汚泥掻寄機等に用いられる、チェンの歯飛び防止機能を備えたチェン構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のチェン構造としては、例えば図4、図5に示すような、駆動スプロケット4、チェン12とアタッチメント20を有する、汚泥掻寄機用のチェン構造2があった。
【0003】
この従来のチェン構造2の駆動スプロケット4は、図4に示すように、その軸方向において互いに対向するように互いに離れて配置された一対の円板状の側板部5,6と、その軸方向の両端面が側板部5と6の互いに対向する側の面に固定されると共に、その外形寸法が一対の側板部5,6の外形寸法よりも小さく形成された、高さの低い円柱状の本体部8を有するようになっていた。
【0004】
そして、図4に示すように、駆動スプロケット4には、その軸方向の両端部が側板部5と6の間に掛け渡されるように、丸棒状のチェン係合部材10(ピン)が取付けられていた。このチェン係合部材10は、図5に示すように、駆動スプロケット4の側板部5と6の外周近傍の円周上において、円周方向に一定ピッチ間隔ずつ互いに離れて複数取付けられるようになっていた。
【0005】
このような駆動スプロケット4は、図5に示すようなチェン12のセグメント16に半円状に凹んで形成されている係合凹部14に、そのチェン係合部材10が係合すると共に、その軸孔4aに嵌合してキー15により互いの相対回転を禁止された回転軸18を介して、不図示のモータ等の駆動装置により駆動されて図中時計回り方向に回転するようになっていた。
【0006】
そして、この駆動スプロケット4が回転することにより、駆動スプロケット4のチェン係合部材10にセグメント16の係合凹部14が係合しているチェン12は、そのセグメント16それぞれをその進行方向(図5中の右進行方向)に回転するように駆動されて、チェン12全体がその長さ方向に沿って移動するようになっていたので、このチェン構造2はいわゆるノッチ式のチェン構造を構成していた。
【0007】
図4に示すように、従来の汚泥掻寄機用のチェン構造2のアタッチメント20は、その下端部20aが、チェン12のセグメント16の外側面16aの幅方向(図中左右方向)の中央部に、固定されるようになっていた。このアタッチメント20は、チェン12の長さ方向に一定間隔ごとに離れて複数配置されるようになっていた。
【0008】
図4及び図5に示すように、このアタッチメント20の下端部20aは、板状に形成されたその上端部20bの幅方向(図4中左右方向)の長さ寸法よりも、その幅方向の長さ寸法が小さくなっていて、このアタッチメント20の下端部20aはL字状に折曲って形成されていた。
【0009】
また、アタッチメント20の上端部20bの、その下端部20aがL字状に折曲っている方向とは反対側の、図5中右側の面にはその四隅部に、取付部材20cが1つずつ設けられていた。
【0010】
そして、従来の汚泥掻寄機用のチェン構造2は、図5中紙面に垂直方向に互いに離れた位置に、上記のような駆動スプロケット4、チェン12及びアタッチメント20等と同様の、別の駆動スプロケット4、チェン12及びアタッチメント20等が互いに対向するように配置されていた。
【0011】
これらの一対の駆動スプロケット4は、同じ回転軸18に締結されるようになっているために、回転軸18を介して互いに同期して回転するようになっており、これらの駆動スプロケット4に巻き掛けられた一対のチェン12もまた、互いに同期して移動するようになっていた。
【0012】
そして、一対のアタッチメント20は、それぞれの取付部材20cを介して、それぞれの上端部20a間にわたって掛け渡される不図示の板状のフライトを一体的に固定するようになっていた。
【0013】
このため、一対のアタッチメント20の上端部20aにその両端部が固定された不図示のフライトは、一対のチェン12の長さ方向の移動と共に、自からの長さと直交する方向に移動するようになっており、この動作により下水処理場や浄水場等の沈殿沈殿槽において、沈殿した汚泥等を一方の側に掻き寄せるようになっていた(例えば、特許文献1参照)。
【0014】
このような従来のチェン構造2のスプロケット4、チェン12及びフライト等は、水中で使用されるため、軽量かつ耐食性に優れている合成樹脂材により形成されるのが一般的であった。
【0015】
しかしながら、合成樹脂材により形成されたスプロケット4、チェン12及びフライト等を水中に配置した場合に、それらの部材は軽量であるために浮力が生じて浮きやすく、またチェン12は、そのセグメント16の係合凹部14において、駆動スプロケット4のチェン係合部材10に係合しているだけなので、それらの係合が外れてしまう(歯飛びの)おそれがあった。
【0016】
このため、従来のチェン構造2は、図4に示すように、スプロケット4の幅方向(図中左右方向)の両側に、スプロケット4から離れた位置に固定された一対の歯飛び防止機構22,24が設けられるようになっていた(例えば、特許文献2参照)。
【0017】
図6(b)に示すように、歯飛び防止機構22は、図中上下方向に長さを有する四角柱状に形成され、その下端部に互いに間隔をおいて離れた2つの貫通孔22cが形成された取付け部材22aと、取付け部材22aの上端部側面に取付けられた歯飛び防止構造22bが一体的に形成されていた。
【0018】
この歯飛び防止機構22の歯飛び防止構造22bは、図6(a)から(c)に示すように、円弧部を有する板状に形成され、その一方の面に取付け部材22aの上端部側面が取付けられた側板部22eと、この側板部22eの円弧部に沿うように折り曲げられて、その内側の円弧面の幅方向(図6(b)中左右方向)の一端側が、側板部22eの円弧面の上に固定された曲面天板部22f(歯飛び防止部材)とが一体的に構成されるようになっていた。
【0019】
このため、歯飛び防止機構22の歯飛び防止構造22bは、図6(b)に示すように、曲面天板部22fの内側の円弧面の幅方向において、側板部22eに固定された部分以外の部分に円弧状の歯飛び防止面22dが形成されるようになっていた。
【0020】
この歯飛び防止機構22の曲面天板部22fの歯飛び防止面22dは、図5に示すように、チェン12が歯飛びを発生させないで正常に移動した際に、そのセグメント16の外側面16aの両端部が描く軌跡と同様の形状に形成され、かつその軌跡の形状に近接した位置に配置されていた。
【0021】
また、図4及び図5に示すように、チェン構造2のスプロケット4の下方には、その長さ方向の一端部が不図示の汚泥沈殿槽の壁面に固定された固定部材26が配置されていた。この固定部材26は、スプロケット4の軸線方向と平行方向に長さを有すると共に、断面がコの字状に形成されており、互いに間隔をおいて離れた複数の貫通孔26aが形成されるようになっていた。
【0022】
そして、図5に示すように、チェン構造2の歯飛び防止機構22は、その取付け部材22aの下端部が固定部材26のコの字状に開口した側とは反対側の面が接触した状態で、ボルト28がそれらの貫通孔22c,貫通孔26aを挿通して、ボルト28の先端部にナット30が締結されることにより、その取付け部材22aの下端部が固定部材26に一体的に固定されて、支持されるようになっていた。
【0023】
このとき、図4に示すように、チェン構造2の歯飛び防止機構22は、その取付け部材22aがスプロケット4の左方に立設して、その歯飛び防止構造22bの曲面天板部22fが、チェン12のセグメント16両端部の外側面16aより外側で、チェン12の幅方向の図中左方端部側から右方端部側に伸びて、チェン12の外側面16aの幅方向の図中左端部のみを、歯飛び防止面22dが非接触で覆うよう配置されるようになっていた。
【0024】
また、図7(a)から(c)に示す歯飛び防止機構24は、図6(a)から(c)に示す歯飛び防止機構22と対称形状に(鏡写しに)なるよう形成されていた。
【0025】
すなわち、図7(a)から(c)に示すように、歯飛び防止機構24は、図6(a)から(c)に示す歯飛び防止機構22の取付け部材22a、歯飛び防止構造22b、貫通孔22c、歯飛び防止面22d、側板部22e及び曲面天板部22fにそれぞれ対応する対称形状の、取付け部材24a、歯飛び防止構造24b、貫通孔24c、歯飛び防止面24d、側板部24e及び曲面天板部24fを備えるようになっていた。
【0026】
そして、図5に示すように、チェン構造2の歯飛び防止機構24は、その取付け部材24aの下端部が、歯飛び防止機構22の取付け部材22aと同様に、固定部材26に一体的に固定されるようになっていた。
【0027】
このとき、図4に示すように、チェン構造2の歯飛び防止機構24は、その取付け部材24aがスプロケット4の右方に立設して、その歯飛び防止構造24bの曲面天板部24fが、チェン12のセグメント16の外側面16aより外側で、チェン12の幅方向の図中右方端部側から左方端部側に伸びて、チェン12の外側面16aの幅方向の図中右端部のみを歯飛び防止面24dが非接触で覆うよう配置されるようになっていた。
【0028】
このため、従来の汚泥掻寄機用チェン構造2は、チェン12の係合凹部14が駆動スプロケット4のチェン係合部材10から外れてチェン12が浮き上がろうとすると、チェン12のセグメント16の外側面16aの幅方向両方の端部を覆う、曲面天板部22f,24fの歯飛び防止面22d,24dがそれぞれ接触してチェン12が浮き上がるのを防止するため、歯飛びが生じるのを防止することができるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特許第3969210号公報
【特許文献2】特許第4245186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
しかしながら、上記従来の汚泥掻寄機用のチェン構造2は、互いに別々の部材であり、それぞれ個別に固定部材26に固定された歯飛び防止機構22,24の曲面天板部22f,24fが、チェン12の幅方向の両端部それぞれの側から中央部側に伸びて、歯飛び防止面22d,24dがチェン12幅方向の両方の端部を覆うようになっていたために、以下のような問題があった。
【0031】
すなわち、歯飛び防止機構22の歯飛び防止面22dの高さ位置と、歯飛び防止機構24の歯飛び防止面24dの高さ位置とが、図4に示すような互いに同一の位置に配置されておらず、互いの高さ位置がずれている場合には、チェン12の幅方向の一端部側が上方に浮き上がった状態でチェン12が移動するので、チェン12が偏って摩耗してその寿命が短くなったり、チェン12やアタッチメント20が歯飛び防止機構22や24に干渉して各部品が壊れたり、チェン構造自体が損傷してしまうおそれがあるという問題があった。
【0032】
このような問題を生じないように、歯飛び防止機構22の歯飛び防止面22dの高さ位置と、歯飛び防止機構24の歯飛び防止面24dの高さ位置を同一にする必要があるが、それらの高さ位置を同一にするためには、各々の取付け部材24a,26aの下端部と固定部材26を締結しているボルト28とナット30を緩めて、歯飛び防止機構22,24の位置を上下に調整した後に、再度ボルト28の先端部にナット30を締結するという一連の作業を、互いの高さ位置が同一になるまで繰り返し行なうことが必要となっていた。
【0033】
このため、歯飛び防止機構22の歯飛び防止面22dの高さ位置と、歯飛び防止機構24の歯飛び防止面24dの高さ位置を同一にする位置調整の作業は、多大な労力、時間や費用が掛かるという問題があった。
【0034】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、
チェンの歯飛び防止機構の取付け及び位置調整を容易に行なうことができると共に、その耐久性を向上させることができるチェン構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0035】
上記課題を解決するために、本発明によるチェン構造は、
円周部にピンを有するスプロケットと、このスプロケットの外周部に巻き掛けられ前記ピンに係合する凹部を有するチェンと、前記凹部が前記ピンとの係合から外れるのを防止する歯飛び防止機構を備えたチェン構造において、
前記歯飛び防止機構は、前記スプロケットの半径方向の前記チェンより外側に配置され、前記チェンの幅方向と平行にかつチェンに近接して配置された歯飛び防止部材を一つだけ有するようにしたことを特徴とするものである。
【0036】
また、本発明によるチェン構造は、
前記歯飛び防止部材は、この基端部が前記スプロケットの幅方向外側の離れた位置に固定され、この基端部から前記チェンの幅方向に伸びた先端が少なくとも前記チェンの幅の中心位置を越えた位置まで伸びるように形成されたことを特徴とするものである。
【0037】
また、本発明によるチェン構造は、
前記チェンの幅方向の、前記歯飛び防止部材の先端側の端部側に片寄らせた位置に、フライト取付け用アタッチメントを設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0038】
このような本発明のチェン構造によれば、
円周部にピンを有するスプロケットと、このスプロケットの外周部に巻き掛けられ前記ピンに係合する凹部を有するチェンと、前記凹部が前記ピンとの係合から外れるのを防止する歯飛び防止機構を備えたチェン構造において、
前記歯飛び防止機構は、前記スプロケットの半径方向の前記チェンより外側に配置され、前記チェンの幅方向と平行にかつチェンに近接して配置された歯飛び防止部材を一つだけ有するようにしたことにより、
チェンの歯飛び防止機構の取付け及び位置調整を容易に行なうことができると共に、チェン構造の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施の形態に係る汚泥掻寄機用のチェン構造40を示す正面図である。
【図2】図1に示すチェン構造40において、歯飛び防止機構44がチェン12を覆う部分にアタッチメント20が来た状態を示す側面図である。
【図3】図1に示す歯飛び防止機構44を示す図であって、図3(a)はその左側面図、図3(b)はその正面図、図3(c)はその右側面図である。
【図4】従来の汚泥掻寄機用のチェン構造2を示す正面図である。
【図5】図4に示すチェン構造2において、一対の歯飛び防止機構22,24がチェン12を覆う部分にアタッチメント20が来た状態を示す側面図である。
【図6】図4に示す歯飛び防止機構22を示す図であって、図6(a)はその左側面図、図6(b)はその正面図、図6(c)はその右側面図である。
【図7】図4に示す歯飛び防止機構24を示す図であって、図7(a)はその左側面図、図7(b)はその正面図、図7(c)はその右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係るチェン構造を実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
【0041】
図1から図3は、本発明の一実施の形態に係る汚泥掻寄機用のチェン構造40について説明するために参照する図である。これらの図に示すチェン構造40は、前記従来のチェン構造2と同様の部分には同じ符号を付して説明し、従来と同様の構成についての重複する説明は一部を除き省略するものとする。
【0042】
前記従来のチェン構造2においては、図4に示すように、アタッチメント20の下端部20aが、チェン12のセグメント16の外側面16aの幅方向(図中左右方向)の中央部に固定されるようになっていたのに対して、本実施の形態に係るチェン構造40は、図1に示すように、アタッチメント20の下端部20aが、チェン12のセグメント16の幅方向の中央部から、セグメント16の幅方向右端部に固定されるようになっている。
【0043】
また、前記従来のチェン構造2においては、図4に示すように、チェン12の幅方向の両方の端部を共に覆う曲面天板部22f,24fを有する、歯飛び防止機構22,24の取付け部材22a,24aが、チェン12の幅方向の両外側に配置されるようになっていたのに対して、本実施の形態に係るチェン構造40は、図1に示すように、チェン12の幅方向の図中左端部の外側から伸びてきて、チェン12の幅方向の中心線Cを超えた範囲までを覆う曲面天板部44f(歯飛び防止部材)を有する歯飛び防止機構44の取付け部材44aが、チェン12の幅方向の図中左端部の外側のみに配置されるようになっている。
【0044】
そして、本実施の形態における歯飛び防止機構44は、図3(a)から(c)に示すように、その歯飛び防止構造44bの曲面天板部44fの内側の、歯飛び防止面44dの幅方向の長さ寸法が、図6(a)から(c)に示す前記従来のチェン構造2における歯飛び防止機構22の、歯飛び防止構造22bの曲面天板部22fの内側の、歯飛び防止面22dの幅方向の長さ寸法Wに対して、図3(b)に示すように、長さ寸法WよりLだけ大きく形成されている以外は、前記従来のチェン構造2における歯飛び防止機構22と同じ形状になっている。
【0045】
すなわち、図1に示すように、本実施の形態に係るチェン構造40は、図6(a)から(c)に示す従来の歯飛び防止機構22の取付け部材22a及び歯飛び防止構造22bとそれぞれ同様の形状の、図3(a)から(c)に示す取付け部材44a及び歯飛び防止構造44bを有する歯飛び防止機構44が用いられている。
【0046】
そして、図2に示すように、チェン構造40の歯飛び防止機構44は、その取付け部材44aの下端部が、従来の歯飛び防止機構22の取付け部材22aの下端部と同様に、固定部材26に一体的に固定されるようになっている。
【0047】
このとき、図1に示すように、チェン構造40の歯飛び防止機構44は、その取付け部材44aがスプロケット4の左方に立設して、その歯飛び防止構造44bの曲面天板部44fが、チェン12のセグメント16の外側面16aの上方に、チェン12の幅方向の図中左方端部側から右方端部側の、チェン12の幅方向の中心線Cを超えた位置まで伸びて、チェン12の幅方向の中心線Cを超えた範囲までを歯飛び防止面44dが非接触で覆うように配置されている。
【0048】
このため、本実施の形態に係るチェン構造40は、チェン12のセグメント16の係合凹部14が、駆動スプロケット4のチェン係合部材10から外れてチェン12が浮き上がろうとすると、チェン12の外側面16aの両端部が、曲面天板部44fの歯飛び防止面44dに接触してチェン12が浮き上がるのを防止するため、歯飛びが生じるのを防止することができるようになっている。
【0049】
また、本実施の形態に係るチェン構造40は、図1に示すように、その歯飛び防止機構44の、歯飛び防止構造44bの曲面天板部44fが、チェン12の幅方向の左端部側の外側から伸びて、チェン12の幅方向の中心線Cを超えた位置まで到達して、チェン12の幅方向の左端部側からその幅方向の中心線Cを超えた範囲までを非接触で覆うようになっているため、歯飛び防止機構44の曲面天板部44fの先端部は、浮き上がろうとするチェン12の幅方向の中央部を抑えることができる。
【0050】
このため歯飛び防止機構44の曲面天板部44fは、チェン12の幅方向の片側が上方に浮き上がることを防止することができるようになっている。
【0051】
また、本実施の形態に係るチェン構造40では、曲面天板部44fがチェン12の幅方向の中心位置を越えて設けられているので、その先端がアタッチメント20の下端部20aと干渉しないようにするため、アタッチメント20の下端部20aは前記従来のチェン構造2のようにチェン12の幅方向の中心位置ではなくて、チェン12の幅方向の図1中右端部に設けられている。
【0052】
また、本実施の形態に係るチェン構造40は、前記従来のチェン構造2のように一対の歯飛び防止機構22,24を配置する必要はなく、1つの歯飛び防止機構44を配置すればよいので、その取付けを容易に行なうことができ、その取付けにかかる労力や時間、費用を低減することができる。
【0053】
また、本実施の形態に係るチェン構造40は、前記従来のチェン構造2のように歯飛び防止機構22と24の高さ位置を互いに同じになるよう位置調整する必要はなく、1つの歯飛び防止機構44だけを位置調整すればよいので、その位置調整を容易に行なうことができ、その位置調整に係る労力や時間、費用を低減することができる。
【0054】
また、部品が少くてよいので部品が互いに干渉するのを防止することができるので、それぞれの部品、ひいてはチェン構造40の耐久性を向上させることができる。
【0055】
以上に説明したように、本実施の形態に係るチェン構造40によれば、チェンの歯飛び防止機構44の取付け及び位置調整を容易に行なうことができると共に、チェン構造40の耐久性を向上させることができる。
【0056】
なお、前記本発明の一実施の形態に係るチェン構造40においては、アタッチメント20の下端部20aが、チェン12の幅方向の、取付け部材44aが配置された側の端部と反対側の端部に設けられていたが、歯飛び防止機構44とは対称形状の別の歯飛び防止機構を用いて、前記実施の形態の取付け部材44aに相当する取付け部材を、前記実施の形態における取付け部材44aが配置されていた側とは反対側に配置して、アタッチメント20の下端部20aが、チェン12の幅方向の、前記実施の形態における取付け部材44aが配置されていた側の端部にのみ配置するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
2 チェン構造
4 駆動スプロケット
4a 軸孔
5,6 側板部
8 本体部
10 チェン係合部材
12 チェン
14 係合凹部
15 キー
16 セグメント
16a 外側面
18 回転軸
20 アタッチメント
20a 下端部
20b 上端部
20c 取付部材
22,24 歯飛び防止機構
22a,24a 取付け部材
22b,24b 歯飛び防止構造
22c,24c 貫通孔
22d,24d 歯飛び防止面
22e,24e 側板部
22f,24f 曲面天板部(歯飛び防止部材)
26 固定部材
26a 貫通孔
28 ボルト
30 ナット
40 チェン構造
42 アタッチメント
44 歯飛び防止機構
44a 取付け部材
44b 歯飛び防止構造
44c 貫通孔
44d 歯飛び防止面
44e 側板部
44f 曲面天板部(歯飛び防止部材)
C 中心線
L,W 長さ寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周部にピンを有するスプロケットと、このスプロケットの外周部に巻き掛けられ前記ピンに係合する凹部を有するチェンと、前記凹部が前記ピンとの係合から外れるのを防止する歯飛び防止機構を備えたチェン構造において、
前記歯飛び防止機構は、前記スプロケットの半径方向の前記チェンより外側に配置され、前記チェンの幅方向と平行にかつチェンに近接して配置された歯飛び防止部材を一つだけ有するようにした
ことを特徴とするチェン構造。
【請求項2】
前記歯飛び防止部材は、この基端部が前記スプロケットの幅方向外側の離れた位置に固定され、この基端部から前記チェンの幅方向に伸びた先端が少なくとも前記チェンの幅の中心位置を越えた位置まで伸びるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載のチェン構造。
【請求項3】
前記チェンの幅方向の、前記歯飛び防止部材の先端側の端部側に片寄らせた位置に、フライト取付け用アタッチメントを設けたことを特徴とする請求項2に記載のチェン構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−207742(P2012−207742A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74766(P2011−74766)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【Fターム(参考)】