説明

チエノピロリルおよびフラノピロリル化合物並びにヒスタミンH4受容体リガンドとしてのそれらの使用

式(I):
【化1】


式中、
【化2】


YはOもしくはSであり、
ZはOもしくはSである、
の特定のチエノピロリルおよびフラノピロリル化合物がアレルギー性鼻炎を含む、ヒスタミンH受容体により仲介される障害および状態を処置もしくは予防するために有用であるものとして開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規の、製薬学的に有効な、縮合複素環式化合物および、ヒスタミンH受容体により仲介される障害および状態を処置もしくは予防するためのそれらの使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒスタミンは最初にホルモンとして同定され(非特許文献1)、それ以来、H受容体を介する炎症性「三重反応」(特許文献2)、H受容体を介する胃酸分泌(非特許文献3)およびH受容体を介する中枢神経系における神経伝達物質の放出(非特許文献4)を含む様々な生理学的過程において主要な役割を果たすことが示されてきた(非特許文献1、2、3、および4を、そして総説に対しては非特許文献5参照)。3種すべてのヒスタミン受容体のサブタイプはG蛋白質結合受容体のスーパーファミリー(superfamily)の1員であることが示された(非特許文献6、7および8参照)。しかし、その受容体が同定されていない、報告されたヒスタミンの更なる機能が存在する。例えば1994年にRaible等はヒスタミンおよびR−α−メチルヒスタミンがヒトの好酸球中でカルシウムの流通を活性化することができることを示した(非特許文献9参照)。これらの反応はH−受容体アンタゴニストのチオペラミドにより阻害された。しかしR−α−メチルヒスタミンはヒスタミンより著しく効力が弱く、それは既知のH受容体のサブタイプの関与と両立しなかった。従って、Raible等は非H、非Hそして非Hである、好酸球に対する新規のヒスタミン受容体の存在を仮定した。もっとも最近には、幾つかのグループ(非特許文献10、11、12、13、14)が第4のヒスタミン受容体のサブタイプのH受容体を同定し、特徴を示した(非特許文献10、11、12、13および14参照)。この受容体はヒスタミンH受容体に約40%の相同性をもつ390アミノ酸の7回膜貫通型G蛋白質結合受容体である。主として脳内に局在するH受容体と異なり、H受容体はMorse等により報告されたように、他の細胞中で好酸球および肥満細胞中により高いレベルで発現される(非特許文献14参照)。
【0003】
炎症性反応を誘発する事例には物理的刺激(外傷を含む)、化学的刺激、感染および外来物質による侵入が含まれる。炎症性反応は疼痛、体温上昇、発赤、腫脹、機能減退もしくはこれらの組み合わせ物を特徴として示す。アレルギー、喘息、慢性閉塞性肺動脈疾患(COPD)、アテローム性動脈硬化症および、リウマチ様関節炎および狼瘡(lupus)を含む自己免疫疾患のような多数の状態が過剰もしくは長期の炎症により特徴として示される。白血球漸増の抑制は重要な治療的価値を提供することができる。炎症性疾患もしくは炎症仲介疾患もしくは状態には、それらに限定はされないが、急性炎症、アレルギー性炎症および慢性炎症が含まれる。
【0004】
肥満細胞の脱顆粒(エキソサイトーシス)は最初にヒスタミンに調整される膨疹および発赤反応を特徴とするかも知れない炎症性反応をもたらす。広範な免疫学的(例えば抗原もしくは抗体)および非免疫学的(例えば、化学的)刺激が肥満細胞の活性化、漸増および脱顆粒を惹起することができる。肥満細胞の活性化はアレルギー性(H)炎症性反応を引き起こし、順次更に炎症性反応に寄与するその他の効果細胞の漸増を惹起する。ヒスタミンH受容体は胃酸分泌を調整し、ヒスタミンH受容体は中枢神経系の神経伝達物質放出に影響を与える。
【0005】
炎症の主題に対する教科書の例には非特許文献15、16、17および18が含まれる(非特許文献15、16、17および18参照)。
【非特許文献1】G.Barger and H.H.Dale,J.Physiol.(London)1910,41:19−59
【非特許文献2】A.S.F.Ash and H.O.Schild,Br.J.Pharmac.Chemother.1966,27:427−439
【非特許文献3】J.W.Black et al.,Nature 1972,236:385−390
【非特許文献4】J.−M.Arrang et al.,Nature 1983,302:832−837
【非特許文献5】S.J.Hill et al.,Pharmacol Rev.1997,49(3):253−278
【非特許文献6】I.Gantz et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1991,88:429−433
【非特許文献7】T.W.Lovenberg et al.,Mol.Pharmacol.1999,55(6):1101−1107
【非特許文献8】M.Yamashita et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1991,88:11515−11519
【非特許文献9】D.G.Raible et al.,Am.J.Respir.Crit.Care Med.1994,149:1506−1511
【非特許文献10】T.Oda et al.,J.Biol.Chem.2000,275(47):36781−36786
【非特許文献11】C.Liu et al.,Mol.Pharmacol.2001,59(3)420−426
【非特許文献12】T.Nguyen et al.,Mol.Pharmacol.2001,59(3):427−433
【非特許文献13】Y.Zhu et al.,Mol.Pharmacol.2001,59(3):434−441
【非特許文献14】K.L.Morse et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.2001,296(3):1058−1066
【非特許文献15】J.I.Gallin and R.Snyderman,Inflammation:Basic Principles and Clinical Correlates,3rd Edition(Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,1999)
【非特許文献16】V.Stvrtinove,J.Jakubovsky and I.Hulin,”Inflammation and Fever”,Pathophysiology Principles of Diseases(Textbook for Medical Students,Academic Press,1995)
【非特許文献17】Cecil et al.,Textbook Of Medicine,18th Edition(W.B.Saunders Company,1988)
【非特許文献18】Steadmans Medical Dictionary
【発明の開示】
【0006】
本発明は
式(I):
【0007】
【化1】

【0008】
式中、
【0009】
【化2】

【0010】
YはOもしくはSであり、
ZはOもしくはSであり、
nは1もしくは2であり、
mは1もしくは2であり、
n+mは2もしくは3であり、
はHもしくはC1−6アルキルであり、
はH、F、Cl、BrもしくはC1−6アルキルであり、
およびRは独立にH、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル(C3−6シクロアルキル)、シアノ、−CF、−(CO)NR、−(CO)OR、−CHNRもしくは−CHORであり、ここでR、RおよびRは独立にH、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、−C1−2アルキル(C3−6シクロアルキル)、ベンジルもしくはフェネチルから選択されるかまたは、RおよびRはそれらが結合されている窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−6アルキルから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに4〜7員複素環式環を形成し、そしてここで前記のあらゆるフェニルもしくはアルキルもしくはシクロアルキル部分は場合によりそして独立にC1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、
およびRは独立にHもしくはC1−6アルキルであり、
は−R、−R、−R−O−Rもしくは−R−N(R)(R)であり、ここでRはH、シアノ、−(C=O)N(R)(R)、−C(=NH)(NH)、C1−10アルキル、C2−8アルケニル、C3−8シクロアルキル、C4−7複素環式基もしくはフェニルであり、ここでC4−7複素環式基は炭素原子で結合され、5もしくは6もしくは7員の環中にO、S、NHもしくはNC1−4アルキルおよび場合により更なるNHもしくはNC1−6アルキルのうちの1個を含み、ここでRはC1−8アルキレンもしくはC2−8アルケニレンであり、ここでRはC2−8アルキレンもしくはC2−8アルケニレンであり、ここでRおよびRはそれぞれ独立にH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C3−6シクロアルキルもしくはフェニルであるかまたは、RおよびRはそれらが結合されている窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−6アルキルから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに4〜7員複素環式環を形成し、そしてここで前記のあらゆるフェニルもしくはアルキルもしくはシクロアルキル部分は場合によりそして独立にC1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されているか、
あるいはまた、Rは隣接するR並びにそれらの結合炭素および窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−6アルキルから選択された0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに、そして場合によりそして独立にC1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換された5、6もしくは7員複素環式環を形成してもよく、
およびRは独立に、H、F、Cl、Br、I、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−C3−6シクロアルキル、−OC3−6シクロアルキル、−OCHPh、−CF、−OCF、−SCF、−(C=O)R、(ここでRはH、C1−4アルキル、−OH、フェニル、ベンジル、フェネチルもしくはC1−6アルコキシである)、−(N−R)(C=O)R(ここでRはHもしくはC1−4アルキルである)、−(N−R)SO1−4アルキル、−(S=(O))−C1−4アルキル(ここでpは0、1もしくは2である)、ニトロ、−SONR(ここでRおよびRは独立にH、C1−4アルキル、フェニル、ベンジルもしくはフェネチルから選択されるかまたは、RおよびRはそれらが結合されている窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−4アルキルから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに4〜7員複素環式環を形成する)、−(C=O)NR、シアノもしくはフェニルであり、ここで前記のあらゆるフェニルもしくはアルキルもしくはシクロアルキル部分は場合によりそして独立に、C1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1個と3個の間の置換基で置換されている、
の化合物およびそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよび製薬学的に許容できる塩およびエステルを含有する製薬学的組成物を特徴としてもち、
但し、
Nに隣接するRがH以外である場合はNに隣接するRはHでなければならず、
は−CHCHOHではなく、そして
核分子が4−フロである場合は、RおよびRが一緒になって架橋部分を形成する場合を除いて、Nに隣接するRおよびRの一方が水素である時はNに隣接するRおよびRの他方はメチルであってはならない、こととする。
【0011】
本発明はまた、これらの化合物を含有する製薬学的組成物および、Hに仲介される疾患および状態、特にH受容体に拮抗することが望ましいものの処置もしくは予防におけるこれらの組成物を使用する方法を特徴として提供する。
【0012】
好ましくは、YはSである。
【0013】
好ましくは、ZはOである。
【0014】
好ましくは、nは1であり、mは1である。
【0015】
好ましくは、RはHもしくはメチルから成る群から選択される。
【0016】
好ましくは、RはHである。
【0017】
好ましくは、RおよびRは独立に、
a)H、
b)−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、
c)シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CHシクロプロピル、−CHシクロペンチル、−CHシクロヘキシル、−CHOシクロプロピル、−CHOシクロペンチル、−CHOシクロヘキシル、
d)シアノ、
e)トリフルオロメチル、
f)−(C=O)NH、−(C=O)NHC1−4アルキル、−(C=O)N(C1−4アルキル)、−(C=O)NHフェニル、−(C=O)ピロリジン−1−イル、−(C=O)イミダゾリジン−1−イル、−(C=O)ピラゾリジン−1−イル、−(C=O)ピペリジン−1−イル、−(C=O)ピペラジン−1−イル、−(C=O)モルホリン−4−イル、−(C=O)チオモルホリン−4−イル、
g)−COOH、−COOCH、−COOCHCH、−COOフェニル、−COOベンジル、
h)−CHNH、−CHNHC1−4アルキル、−CHN(C1−4アルキル)、−CHNHフェニル、−CHNHベンジル、−CHピロリジン−1−イル、、−CHイミダゾリジン−1−イル、−CHピラゾリジン−1−イル、−CHピペリジン−1−イル、−CHピペラジン−1−イル、−CHモルホリン−4−イル、−CHチオモルホリン−4−イル、
i)−CHOH、−CHCHOH、−CHCHCHOH、−CHOCH、−CHOCHCH、−CHOCHCHCH、−CHOCH(CH、−CHO−n−ブチル、−CHO−i−ブチル、−CHO−t−ブチル、−CHOフェニル、−CHOベンジルおよび−CHOCHシクロペンチル、
から成る群から選択される。
【0018】
もっとも好ましくは、RおよびRは独立にHもしくは−CHである。
【0019】
好ましくは、RおよびRは独立にHおよびメチルから成る群から選択される。
【0020】
もっとも好ましくは、RおよびRはHである。
【0021】
好ましくは、R
a)H、−CHCHCHOH、
b)シアノ、
c)−(C=O)NH、−(C=O)NHC1−4アルキル、−(C=O)N(C1−4アルキル)、−(C=O)NHフェニル、−(C=O)ピロリジン−1−イル、−(C=O)イミダゾリジン−1−イル、−(C=O)ピラゾリジン−1−イル、−(C=O)ピペリジン−1−イル、−(C=O)ピペラジン−1−イル、−(C=O)モルホリン−4−イル、−(C=O)チオモルホリン−4−イル、−CH(C=O)NH、−CH(C=O)NHC1−4アルキル、−CH(C=O)N(C1−4アルキル)、−CH(C=O)NHフェニル、−CH(C=O)ピロリジン−1−イル、−CH(C=O)イミダゾリジン−1−イル、−CH(C=O)ピラゾリジン−1−イル、−CH(C=O)ピペリジン−1−イル、−CH(C=O)ピペラジン−1−イル、−CH(C=O)モルホリン−4−イル、−CH(C=O)チオモルホリン−4−イル、−CHCHO(C=O)NH、−CHCHO(C=O)NHC1−4アルキル、−CHCHO(C=O)N(C1−4アルキル)、−CHCHO(C=O)NHフェニル、−CHCHO(C=O)ピロリジン−1−イル、−CHCHO(C=O)イミダゾリジン−1−イル、−CHCHO(C=O)ピラゾリジン−1−イル、−CHCHO(C=O)ピペリジン−1−イル、−CHCHO(C=O)ピペラジン−1−イル、−CHCHO(C=O)モルホリン−4−イル、−CHCHO(C=O)チオモルホリン−4−イル、
d)−C(=NH)(NH)、−CHC(=NH)(NH)、
e)−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、−CHCHOCH、−CHCHOCHCH、−CHCHOCHCHCH、−CHCHOCH(CH、−CHCHO−n−ブチル、−CHCHO−i−ブチル、−CHCHO−t−ブチル、
f)−CHCH=CH
g)シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CHシクロプロピル、−CHシクロペンチル、−CHシクロヘキシル、−CHCHOシクロプロピル、−CHCHOシクロペンチル、−CHCHOシクロヘキシル、
h)ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、−CHピロリジニル、−CHイミダゾリジニル、−CHピラゾリジニル、−CHピペリジニル、−CHピペラジニル、−CHモルホリニル、−CHチオモルホリニル、
i)−CHCHNH、−CHCHNHC1−4アルキル、−CHCHN(C1−4アルキル)、−CHCHNHフェニル、−CHCHピロリジン−1−イル、−CHCHイミダゾリジン−1−イル、−CHCHピラゾリジン−1−イル、−CHCHピペリジン−1−イル、−CHCHピペラジン−1−イル、−CHCHモルホリン−4−イル、−CHCHチオモルホリン−4−イル、
j)フェニル、ベンジル、フェネチルおよびベンジルオキシメチル、
から成る群から選択される。
【0022】
もっとも好ましくは、RはHおよび−CHから成る群から選択される。
【0023】
好ましいRはそれらの結合の炭素および窒素のみならずまた隣接するRと一緒になって、ピロリジン−1,2−イル、イミダゾリジン−1,2−イル、イミダゾリジン−1,5−イル、ピラゾリジン−1,5−イル、ピペリジン−1,2−イル、ピペラジン−1,2−イル、モルホリン−4,5−イルおよびチオモルホリン−4,5−イルである。
【0024】
もっとも好ましいRはそれらの結合の炭素および窒素のみならずまた隣接するRと一緒になって、ピロリジン−1,2−イルおよびピペリジン−1,2−イルである。
【0025】
好ましくは、RおよびRは独立に、H、−F、−Cl、−Br、−I、−CH、−HCH、−OCH、−OCHCH、−OCH(CH、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−Oシクロペンチル、−Oシクロヘキシル、−CF、−OCF、−SCF、−COOH、−COOCH、−COOCHCH、−C(O)CH、−NHCOCH、−NCHCOCH、−NHSOCH、−NCHSOCH、−SOCH、−SOCH、−NO、−SONH、−SONHCH、−SON(CH、−C(O)NH、−C(O)N(CH、−C(O)NH(CH)、−CNおよびフェニルから成る群から選択される。
【0026】
もっとも好ましくは、RおよびRは独立に水素、メチル、クロロおよびブロモから成る群から選択される。更に、RおよびRの一方もしくは双方が水素ではないことがもっとも好ましい。
【0027】
「製薬学的に許容できるその塩およびエステル」は薬剤師に明白であると考えらえる本発明の化合物の塩およびエステル形態、すなわち無毒で、本発明の前記化合物の薬物動態特性に好都合に影響を与えると考えられるものを表わす。好都合な薬物動態特性を有する化合物、すなわち無毒で、十分なおいしさ、吸収、分配、代謝および排泄をもたらすような薬物動態特性を有する化合物は薬剤師には明白であると考えられる。選択においても重要な、より実際的なその他の因子は原料の価格、結晶化の容易性、収率、安定性、吸湿性および生成されるバルク薬物の流動性である。更に、炭酸塩の許容できる塩にはナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムが含まれる。適したカチオン塩の例には臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、塩化水素酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ヒドロエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、蓚酸塩、パモ酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シクロヘキサンスルファミン酸塩およびサッカリン酸塩が含まれる。適したエステルの例には1もしくは複数のカルボキシル置換基がp−メトキシベンジルオキシカルボニル、2,4,6−トリメチルベンジルオキシカルボニル、9−アンスリルオキシカルボニル、CHSCHCOO−、テトラヒドロフル−2−イルオキシカルボニル、テトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニル、フル−2−ウルオキシカルボニル、ベンゾイルメトキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、4−ピリジルメトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2,2,2−トリブロモエトキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニル、トリフェニルメトキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、2−ベンジルオキシフェニルオキシカルボニル、4−メチルチオフェニルオキシカルボニルもしくはテトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニル、で置換されているエステルが含まれる。
【0028】
但し書きは少なくとも1種の化合物中に各但し書きの規定を満す作用を見いだすことができない事実に基づく。
【0029】
式Iの好ましい化合物は:
【0030】
【化3】

【0031】
から成る群から選択される化合物である。
【0032】
式Iの更なる好ましい化合物は:
【0033】
【化4】

【0034】
から成る群から選択される化合物である。
【0035】
式Iの更なる好ましい化合物は:
【0036】
【化5】

【0037】
から成る群から選択される化合物である。
【0038】
YがSであり、
実施例番号 化合物
26 (2,3−ジメチル−6−チエノ[2,3−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン、
27 (2−クロロ−3−メチル−6−チエノ[2,3−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン、
28 (3−クロロ−2−メチル−6−チエノ[2,3−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン、
29 (2−ブロモ−6−チエノ[2,3−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン、
30 (3−ブロモ−6−チエノ[2,3−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン、
31 (4−メチル−ピペラジン−1−イル)−(2−フェニル−6−チエノ[2,3−b]ピロル−5−イル)−メタノン、
32 [2−(4−クロロ−フェニル−)−6−チエノ[2,3−b]ピロル−5−イル]−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン、
33 (3−ブロモ−4−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(3,4−ジメチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン、
34 (3,4−ジメチル−ピペラジン−1−イル)−(3−メチル−4−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)、
35 (2−ブロモ−3−メチル−4−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン、
36 (3−ブロモ−2−クロロ−4−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン、
37 (2,3−ジクロロ−4−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(3−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン、
38 (4−メチル−ピペラジン−1−イル)−(2−フェニル−4−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)および
39 (4−メチル−ピペラジン−1−イル)−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−4−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル]−メタノン、
から成る群から選択される、更にまだ好ましい化合物はスキーム1〜4に概説される合成法に従って調製される。
【0039】
次の用語は以下に、そして本明細書全体のそれらの使用により定義される。
【0040】
「アルキル」にはラジカル基を形成するために少なくとも1個の水素を除去された直鎖および分枝鎖の炭化水素が含まれる。アルキル基にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、1−メチルプロピル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等が含まれる。アルキルはシクロアルキルを含まない。
【0041】
「アルケニル」には少なくとも1個の炭素−炭素二重結合(sp)をもつ前記のような直鎖および分枝鎖の炭化水素基が含まれる。アルケニルにはエテニル(もしくはビニル)、プロプ−1−エニル、プロプ−2−エニル(もしくはアリル)、イソプロペニル(もしくは1−メチルビニル)、ブト−1−エニル、ブト−2−エニル、ブタジエニル、ペンテニル、ヘキサ−2,4−ジエニル、等が含まれる。アルケニルはシクロアルケニルを含まない。
【0042】
「アルコキシ」は分子の残りにアルキル基を結合する末端酸素をもつ直鎖もしくは分枝鎖アルキル基を含む。アルコキシにはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ等が含まれる。「アミノアルキル」、「チオアルキル」および「スルホニルアルキル」はNH(もしくはNR)、SおよびSOそれぞれとアルコキシの末端酸素原子を置換しているアルコキシに類似する。
【0043】
「シクロアルキル」にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、等が含まれる。
【0044】
「ハロ」にはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードが含まれ、好ましくは、フルオロもしくはクロロである。
【0045】
「患者」もしくは「被験者」には関連疾患もしくは状態と関連した観察、実験、処置もしくは予防の必要な、ヒトおよび動物(イヌ、ネコ、ウマ、ラット、ウサギ、マウス、非ヒト霊長類)のような哺乳動物が含まれる。好ましくは、患者はヒトである。
【0046】
「組成物」には、明記された量の明記された成分の組み合わせ物から直接もしくは間接にもたらされるあらゆる生成物のみならずまた、明記された量の明記された成分を含んで成る生成物が含まれる。
【0047】
前記の化合物は当該技術の範囲内のそして/もしくは下記のスキームおよび実施例に記載される方法に従って調製することができる。本明細書の様々な化合物を得るために、適当に保護されたもしくは保護されない、反応スキームをとおして最終的に所望される置換基を担持する出発物質を使用することができる。あるいはまた、最終的に所望される置換基の代わりに、反応スキームをとおして担持され、所望の置換基と適当に置換されることができる適切な基を使用することが必要かも知れない。
【0048】
【化6】

【0049】
スキーム1において、下記の注意および付記が開示される。塩基および適当なアルキル化剤との処理によりE1もしくはC1から様々なRを得ることができる。Rがハロである時は、それは適当なハロゲン化剤によるE1およびC1の処理により得ることができる。Rがアルキルである場合は、それはA1のアルデヒドをケトンで置換することにより得ることができる。Pはアルキル、アリールもしくはベンジルであることができる。適した塩基にはNaOEt、LDA、NaH、DBU等が含まれる。B1のC1への転化は80〜200℃の範囲の特有の温度で熱分解性である。B1のC1への転化に適した溶媒はキシレン、クメン、ジフェニルエーテル等である。酸性もしくは塩基性加水分解は脱保護をもたらすであろう。Pがベンジルである場合は、水素化分解もまた、脱保護に有用である。D1のE1への転化に典型的なカップリング試薬にはEDCl、HBTU等が含まれる。D1のE1への転化に典型的な塩素化剤にはオキサリルクロリドおよびチオニルクロリドが含まれる。XはCl、N−ブロモスクシンイミド、TAS−F、Br、N−クロロスクシンイミド等のようなハロゲン化剤である。
【0050】
【化7】

【0051】
スキーム2において、下記の注意および付記が開示されている。塩基および適当なアルキル化剤との処理によりE2もしくはC2から様々なRを得ることができる。Rがハロである時は、それは適当なハロゲン化剤とのE2およびC2の処理により得ることができる。Rがアルキルである場合は、それはA2のアルデヒドをケトンで置換することにより得ることができる。Pはアルキル、アリールもしくはベンジルであることができる。適した塩基にはNaOEt、LDA、NaH、DBU等が含まれる。B2のC2への転化は80〜200℃の範囲の特有の温度で熱分解性である。B2のC2への転化に適した溶媒はキシレン、クメン、ジフェニルエーテル等である。酸性もしくは塩基性加水分解は脱保護をもたらすであろう。Pがベンジルである場合は、水素化分解もまた、脱保護に有用である。D2のE2への転化に典型的なカップリング試薬にはEDCl、HBTU等が含まれる。D2のE2への転化に典型的な塩素化剤にはオキサリルクロリドおよびチオニルクロリドが含まれる。XはCl、N−ブロモスクシンイミド、TAS−F、Br、N−クロロスクシンイミド等のようなハロゲン化剤である。
【0052】
【化8】

【0053】
スキーム3において、下記の注意および付記が開示されている。XはCl、N−ブロモスクシンイミド、TAS−F、Br、N−クロロスクシンイミド等のようなハロゲン化剤である。
【0054】
【化9】

【0055】
スキーム4に下記の注意および付記が開示されている。典型的な塩基にはn−BuLi、LDA、t−BuLi、KHMDSが含まれる。
【0056】
幾つかの白血球および肥満細胞を含む免疫性細胞中のH受容体の発現は免疫学的および炎症性障害(アレルギー性、慢性もしくは急性炎症のような)の領域における治療的介入の重要な標的としてその地位を不動のものとしている。特にH受容体リガンドは様々な哺乳動物の疾患状態の処置もしくは予防に有用であることが期待される。
【0057】
従って、本発明に従うと、開示化合物、H受容体のアンタゴニストおよび組成物は下記の状態および疾患:炎症性障害、喘息、乾癬、リウマチ様関節炎、潰瘍性大腸炎、クローン氏病、炎症性大腸疾患、多発性硬化症、アレルギー性障害、アレルギー性鼻炎、皮膚科学的障害、自己免疫疾患、リンパ性障害、アテローム性動脈硬化症および免疫不全障害、の処置および予防と関連した症状の緩和に有用である。開示化合物はまた、化学療法もしくは掻痒皮膚の処置における補助剤として有用である。
【0058】
本発明のアスペクトには(a)式(I)の化合物または本明細書に記載されたような1もしくは複数の好ましい化合物および製薬学的に許容できる担体を含んで成る製薬学的組成物、(b)(1)式(I)の化合物および製薬学的に許容できる担体を含んで成る製薬学的組成物並びに(2)H−仲介疾患もしくは状態の処置もしくは予防のための前記の組成物の投与のための指示書を含んで成る包装薬剤、が含まれる。
【0059】
本発明はまた、製薬学的に有効量の、式(I)の化合物およびその他の開示されたもしくは好ましい化合物を含んで成る組成物を患者に投与することを含んで成る、患者のH−仲介状態を処置する方法を提供する。例えば、本発明は製薬学的に有効なH−拮抗量の、式(I)の化合物を含んで成る組成物を患者に投与することを含んで成る、患者のH仲介状態を処置する方法を特徴とする。
【0060】
アンタゴニストの効果はまたインバースアゴニストによりもたらすことができる。インバースアゴニズムは構成的活性(constitutive activity)を示す受容体を積極的に打ち消す化合物の特性を表わす。本質的作用はヒトH受容体を過剰発現するように強制された細胞中に同定することができる。本質的作用はcAMPレベルを調べるかもしくは、フォルスコリン(forskolin)のようなcAMP−刺激剤での処理後、cAMPレベルに感受性のリポーター遺伝子を測定することにより測定することができる。H受容体を過剰発現する細胞は非発現細胞よりもフォルスコリン処理後により低いcAMPレベルを示すであろう。Hアゴニストとして働く化合物はH−発現細胞中で用量依存的にフォルスコリン−刺激cAMPレベルを低下させるであろう。インバースHアゴニストとして働く化合物は用量依存的にH−発現細胞のcAMPレベルを刺激するであろう。Hアンタゴニストとして働く化合物はHアゴニスト−に誘導されたcAMPの阻害を抑制するかもしくは、Hアゴニストに誘導されたcAMPの増加を逆転させるであろう。
【0061】
本発明の更なる態様には哺乳動物のヒスタミンH受容体機能の阻害剤、炎症またはインビボもしくはインビトロの炎症性反応の阻害剤、哺乳動物のヒスタミンH受容体蛋白質の発現の調節剤、インビボもしくはインビトロの多形核白血球活性化阻害剤または以上の組み合わせ物である開示化合物、並びに開示化合物の使用を含んで成る対応する処置、予防および診断の方法、が含まれる。
【0062】
当業者は既知の方法に従って、年令、体重、全身の健康、処置を要する症状のタイプおよび他の投薬の存在のようなファクターを考慮して、患者に対する適切な用量を決定することができるであろう。概括的に、有効量は0.01mgと1000mg/体重1kg/1日の間、好ましくは0.5mgと300mg/体重1kg/1日の間、であり、1日量は通常の体重の成人被験者に対し、10mgと5000mgの間であろう。カプセル、錠剤もしくはその他の調製物(液剤およびフィルムコート錠のような)は0.5mgと200mgの間、例えば1、3、5、10、15、25、35、50mg、60mgおよび100mgであることができ、開示された方法に従って投与することができる。
【0063】
投与単位形態には錠剤、カプセル、ピル、末剤、顆粒、経口水溶液および非水性溶液、懸濁液並びに個々の用量に準分割されるようになっている容器中に包装された非経口溶液が含まれる。投与単位形態はまた、皮下移植片のような制御放出調製物を含む様々な投与法のために適応させることができる。投与法には経口、直腸内、非経口(静脈、筋肉内、皮下)、クモ膜下槽内、膣内、腹腔内、膀胱内、局所(滴剤、末剤、軟膏、ゲル剤もしくはクリーム剤)および吸入による(舌下もしくは鼻腔内噴霧)方法が含まれる。
【0064】
非経口調製物には製薬学的に許容できる水溶液もしくは非水性溶液、分散物、懸濁液、エマルション、およびそれらの調製のための滅菌粉末が含まれる。担体の例には、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、植物油および、エチルオレエートのような注射可能な有機エステルが含まれる。レシチンのような被膜、界面活性剤の使用もしくは適当な粉末度を維持することにより、流動性を維持することができる。固形投与形態のための担体には(a)充填剤もしくは増量剤、(b)結合剤、(c)湿潤剤、(d)崩壊剤、(e)溶液遅延剤、(f)吸収促進剤、(g)吸着剤、(h)潤滑剤、(i)緩衝剤および(j)噴射剤が含まれる。
【0065】
組成物はまた保存剤、湿潤剤、乳化剤および調剤用剤のような補助剤、パラベン、クロロブタノール、フェノールおよびソルビン酸のような抗微生物剤、糖もしくは塩化ナトリウムのような等張剤、アルミナムモノステアレートおよびゼラチンのような吸収遅延剤並びに吸収促進剤を含むことができる。
[実施例]
一般的合成法
方法A:エチルアジドアセテートによるアルデヒドの環付加
アルデヒドA1、A2もしくはA3(1当量)およびエチルアジドアセテート(4当量)の溶液をNaOEt(4当量)の溶液(0.15MのEtOH中)に0℃で滴下した。反応混合物を0℃で1時間、そして室温で更に1時間撹拌した。次に反応混合物を飽和NHCl水溶液中に注入し、エーテルで抽出した。合わせた有機物を乾燥し(NaSO)真空濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると所望のアクリレートを与えた。生成されたアクリレートの溶液(0.2Mのキシレン中)を145℃で10〜60分間加熱し、次に室温に放置冷却した。キシレン溶液を更に冷却して生成物の結晶化を誘導するかもしくはシリカゲルクロマトグラフィーに直接かけて所望の環付加生成物を得た。
方法B:エステル加水分解
エチルエステル(1当量、方法Aからの)およびLiOH(5当量)の溶液(0.2M)(THF/MeOH/HO(3:1:1)中)を65℃で1晩加熱し、室温に冷却し、2NのHClで酸性にし、EtOAcで抽出した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥し、濃縮すると所望の粗酸を与え、それを更なる精製をせずに次の段階に採り入れた。
方法C:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸(EDCl)を使用するアミド形成
酸(1当量、方法Bからの)、アミン(1.5当量)およびEDCl(2.0当量)の混合物(0.2MのCHCl中)を室温で1晩撹拌し、次にCHClと飽和NaHCO水溶液間で分配した。有機層を分離し、HOで洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮した。粗生成物を更にシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。
方法D:アシルクロリド中間体を介するアミド形成
酸(1当量、方法Bからの)の混合物(0.5MのCHCl中)を0℃でオキサリルクロリド(1.2当量)、次にDMF1〜2滴で処理した。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、次に室温に緩徐に暖め、更なる1時間撹拌した。すべての揮発物を除去すると粗アシルクロリドを与えた。生成されたアシルクロリドをアミン(5.0当量)(0.2MのCHCl中)で処理し、室温で3時間撹拌させた。反応混合物をCHClと飽和NaHCO水溶液間で分配した。有機層を分離し、HOで洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮した。粗生成物を更にシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
一般的分析法
NMRスペクトルはBrukerのモデルDPX400(400MHz)もしくはDPX500(500MHzz)分光器のいずれか上で得た。下記の1H NMRデータのフォーマットは:テトラメチルシラン基準(多重性、Hzにおけるカップリング定数J、積分性)のppm下方領域の化学シフトである。
【0066】
質量スペクトルは示された正モードもしくは負モードのいずれかの電子スプレーイオン化(ESI)を使用して、Helett Packard(Agilent)シリーズ1100MSD上で得た。分子式に対する「計算質量」は化合物のモノアイソトピック質量である。
シリカゲルカラムクロマトグラフィー:
通常相のカラムクロマトグラフィーを下記の市販の、前以て包装されたカラム:ISCORedisep(SiO、10g、12g、35g、40gもしくは120g)のうちの1種を使用しISCO Foxy200システムを使用して、実施した。
【実施例1】
【0067】
【化10】

【0068】
(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−(6−チエノ[2,3−b]ピロル−5−イル)−メタノン
A.6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル
チオフェン−3−カルボアルデヒド(2.24g、20ミリモル)を方法Aに従って環付加させると白色固体として主題化合物(1.2g、31%)を与えた。TLC(シリカ、20%EtOAc/ヘキサン):Rf=0.50.H NMR(CDCl,400MHz):10.30(br s、1H),7.10(d,J=1.9Hz,1H),6.96(d,J=5.4Hz,1H),6.87(d,J=5.4Hz,1H),4.39(q,J=7.1Hz,2H),1.38(t,J=7.1Hz,3H)。
B.6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−カルボン酸
6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル(835mg、4.3ミリモル)を方法Bに従って加水分解すると淡黄色の固体として粗酸を与えた。H NMR(CDOD,400MHz):7.02(s,1H),6.96(s,1H),6.95(s,1H)。
C.(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−(6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−イル)−メタノン
6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−カルボン酸(60mg、0.35ミリモル)を方法Cに従ってN−メチルピペラジンとカップリングさせると淡黄色の固体として主題化合物(44mg、50%)を与えた。TLC(シリカ、10%MeOH/CHCl):R=0.4.MS(電子スプレー):C1215OSについて計算された正確な質量,249.09;検出 m/z,250.1[M+H]H NMR(CDOD,400MHz,TFA塩):6.97(s,1H),6.96(s,1H),6.85(s,1H),4.20−3.10(m,8H),2.96(s,3H)。
【実施例2】
【0069】
【化11】

【0070】
(ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル)−(6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−イル)−メタノン
6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−カルボン酸(60mg、0.35ミリモル)を方法Cに従ってオクタヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジンとカップリングさせると、淡黄色の固体として主題化合物(34mg、35%)を与えた。TLC(シリカ、20%MeOH/CHCl):R=0.4.MS(電子スプレー):C1417OSについて計算された正確な質量,275.11;検出 m/z,276.2[M+H]H NMR(CDCl,400MHz):11.1(br s,1H),6.96(d,J=5.4Hz,1H),6.87(d,J=5.4Hz,1H),6.71(d,J=1.9Hz,1H),4.84(d,J=12.2Hz,1H),4.70(d,J=12.2Hz,1H),3.30−2.90(m,4H),2.30−1.40(m,7H)。
【実施例3】
【0071】
【化12】

【0072】
(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
A.2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル
6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル(580mg、3.0ミリモル)の溶液(6mLの酢酸および6mLのCHCl中)を3回分の(3 portions)N−クロロスクシンイミド(総量415mg、3.15ミリモル)を0℃で2時間にわたり処理した。反応混合物を室温に緩徐に暖め、1晩撹拌した。次にCHClを除去し、残留物を4NのNaOHで塩基性にし、EtOAcで抽出した。合わせた有機物を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、5〜10%EtOAc/ヘキサン)により白色固体600mg(88%)を与えた。TLC(シリカ、20%EtOAc/ヘキサン):Rf=0.5.H NMR(CDCl,400MHz):10.5(br s,1H),6.97(d,J=2.0Hz,1H),6.85(s,1H),4.39(q,J=7.2Hz,2H),1.35(t,J=7.2Hz,3H)。
B.(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル(102mg、0.45ミリモル)を加水分解し(方法B)、N−メチルピペラジンとカップリングさせると(方法D)オフホワイトの固体として主題化合物(2段階で102mg、80%)を与えた。TLC(シリカ、10%MeOH/CHCl):R=0.4.MS(電子スプレー)::C1214ClNOSについて計算された正確な質量,283.05;検出 m/z,284.1[M+H]H NMR(CDCl,400MHz):10.5(br s,1H),6.87(s,1H),6.61(d,J=1.8Hz,1H),3.92(t,J=5.1Hz,4H),2.50(t,J=5.1Hz,4H),2.35(s,3H)。
【実施例4】
【0073】
【化13】

【0074】
(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−イル)−(ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル)−メタノン
2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル(102mg、0.45ミリモル)を加水分解し(方法B)、次にオクタヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジンとカップリングさせると(方法D)オフホワイトの固体として主題化合物(2段階で108mg、78%)を与えた。TLC(シリカ、10%MeOH/CHCl):R=0.35.MS(電子スプレー):C1416ClNOSについて計算された正確な質量,309.07;検出 m/z,310.1[M+H]H NMR(CDCl,400MHz):11.1(br s,1H),6.86(s,1H),6.62(s,1H),4.79(d,J=11.8Hz,1H),4.67(d,J=11.8Hz,1H),3.30−2.90(m,4H),2.30−1.40(m,7H)。
【実施例5】
【0075】
【化14】

【0076】
(2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−イル)−ピペラジン−1−イル−メタノン
2−クロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル(102mg、0.45ミリモル)を加水分解し(方法B)、次にピペラジンとカップリングさせると(方法D)オフホワイトの固体として主題化合物(2段階で42mg、35%)を与えた。TLC(シリカ、10%MeOH/CHCl):R=0.15.MS(電子スプレー):C1112ClNOSについて計算された正確な質量,269.04;検出 m/z,270.1[M+H]H NMR(CDCl,400MHz):10.5(br s,1H),6.87(s,1H),6.61(s,1H),3.87(t,J=4.8Hz,4H),2.96(t,J=5.2Hz,4H)。
【実施例6】
【0077】
【化15】

【0078】
(4H−フロ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
A.4H−フロ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル
フラン−2−カルボアルデヒド(1.92g、20ミリモル)を方法Aに従って環付加させると白色固体として主題化合物(1.97g、55%)を与えた。TLC(シリカ、20%EtOAc/ヘキサン):Rf=0.50.H NMR(CDCl,400MHz):8.95(br s,1H),7.51(d,J=2.2Hz,1H),6.81−6.80(m,1H),6.46−6.45(m,1H),4.35(q,J=7.1Hz,2H),1.38(t,J=7.1Hz,3H)。
B.(4H−フロ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
4H−フロ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル(200mg、1.12ミリモル)を加水分解し(方法B)、N−メチルピペラジンとカップリングさせると(方法D)オフホワイトの固体として主題化合物(2段階で185mg、71%)を与えた。TLC(シリカ、10%MeOH/CHCl):R=0.4.MS(電子スプレー):C1215について計算された正確な質量,233.12;検出 m/z,234.2[M+H]H NMR(CDCl,400MHz):10.3(br s,1H),7.43(d,J=2.2Hz,1H),6.43−6.42(m,2H),3.90(t,J=5.0Hz,4H),2.47(t,J=5.1Hz,4H),2.32(s,3H)。
【実施例7】
【0079】
【化16】

【0080】
(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−(4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−メタノン
A.4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル
0℃に冷却したチオフェン−2−カルボアルデヒド(1.10mL、11.7ミリモル)およびエチルアジドアセテート(1.4mL、11.7ミリモル)の溶液(35mLのEtOH中)にNaOEt(1.0g、14.7ミリモル)を一度に添加した。混合物を14時間放置して室温にさせ、次に水(400mL)中に注入し、CHCl(3×50mL)で抽出した。合わせた有機物を水および生理食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮した。残留物をキシレン(10mL)中に取り、生成された溶液を1時間還流した。溶液を冷却し、次にシリカゲル上に直接充填し、精製すると(35gSiO、10〜20%EtOAc/ヘキサン)黄色がかった固体0.12g(5%)を与えた。H NMR(400MHz,CDCl):9.06(br s,1H),7.33(d,J=5.3Hz,1H),7.15−7.14(m,1H),6.96(dd,J=5.3,0.8Hz,1H),4.37(q,J=7.3Hz,2H),1.39(t,J=7.3Hz,3H),13C NMR(100MHz,CDCl):161.3,140.9,129.2,126.9,124.6,110.9,107.3,60.4,14.2。
B.(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−(4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−メタノン
4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル(98.5mg、0.50ミリモル)の溶液(3mLの湿ったTHF中)にLiOH(129mg、3ミリモル)を添加した。この混合物を室温で3日間撹拌した。反応混合物を水(50mL)で希釈し、1MのHClを添加してpHを約3に調整した。次にこの混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機物をNaSO上で乾燥した。溶媒を除去すると遊離酸73.4mg(87%)をもたらし、それを更に精製せずにカップリング事象に使用した。酸(73.4mg、0.44ミリモル)をTHF(3mL)中に取り、CDI(87.1mg、0.54ミリモル)を一度に添加した。反応混合物を1時間撹拌した。次にこの混合物に1−メチルピペラジン(70μL)を添加し、混合物を更に6時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水、NaHCO(水溶液)、そして次に生理食塩水で洗浄し、次にカラムクロマトグラフィー(10gSiO、1〜8%MeOH(2MのNH)/CHCl)により精製すると主題化合物55.6mg(51%)をもたらした。H NMR(400MHz,CDCl):9.26(br s,1H),7.26(d,J=5.3Hz,1H),6.97(dd,J=5.3,0.8Hz,1H),6.75−6.74(m,1H),4.07−3.88(m,4H),2.68−2.48(m,4H),2.43(br s,3H),MS(電子スプレー):C1215OSについて計算された正確な質量,249.09;検出 m/z,250.1[M+H]
【実施例8】
【0081】
【化17】

【0082】
ピペラジン−1−イル−(4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−メタノン
4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸(50mg、0.30ミリモル)を方法Dに従ってピペラジンとカップリングさせるとオフホワイトの固体として主題化合物(25mg、35%)を与えた。TLC(シリカ、10%MeOH/CHCl):R=0.15.MS(電子スプレー):C1113OSについて計算された正確な質量,235.08;検出 m/z,236.1[M+H]H NMR(CDOD,400MHz):7.33(d,J=5.3Hz,1H),6.98(dd,J=5.2,0.7Hz,1H),6.89(d,J=0.6Hz,1H),4.08(t,J=5.3Hz,4H),3.50−3.20(m,4H)。
【実施例9】
【0083】
【化18】

【0084】
(3−メチル−ピペラジン−1−イル)−(4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−メタノン
4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸(50mg、0.30ミリモル)を方法Dに従って2−メチルピペラジンとカップリングさせるとオフホワイトの固体として主題化合物(58mg、78%)を与えた。TLC(シリカ、10%MeOH/CHCl):R=0.15.MS(電子スプレー):C1215OSについて計算された正確な質量,249.09;検出 m/z,250.1[M+H]H NMR(CDOD,400MHz):7.33(d,J=5.3Hz,1H),6.98(d,J=5.3Hz,1H),6.88(s,1H),4.62−4.56(m,2H),3.50−3.20(m,5H),1.36(d,J=6.6Hz,3H)。
【実施例10】
【0085】
【化19】

【0086】
(2−クロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
A.2−クロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル
5−クロロ−チオフェン−2−カルボアルデヒド(2.92g、20ミリモル)を方法Aに従って環付加すると白色固体として主題化合物(2.8g、61%)を与えた。TLLC(シリカ、20%EtOAc/ヘキサン):R=0.48.H NMR(CDCl,400MHz):9.10(br s,1H),7.04(dd,J=1.9,0.7Hz,1H),6.89(d,J=0.7Hz,1H),4.37(q,J=7.2Hz,2H),1.39(t,J=7.2Hz,3H)。
B.(2−クロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
2−クロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル(230mg、1.0ミリモル)を加水分解し(方法B)次にN−メチルピペラジンとカップリングさせると(方法C)オフホワイトの固体として主題化合物(2段階で128mg、45%)を与えた。TLC(シリカ、10%MeOH/CHCl):R=0.4.(電子スプレー):C1214ClNOSについて計算された正確な質量,283.05;検出 m/z,284.1[M+H]H NMR(CDCl,400MHz):10.1(br s,1H),6.88(s,1H),6.64(d,J=1.4Hz,1H),3.91(t,J=4.4Hz,4H),2.49(t,J=5.1Hz,4H),2.35(s,3H)。
【実施例11】
【0087】
【化20】

【0088】
(2−クロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル)−メタノン
(2−クロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル(230mg、1.0ミリモル)を加水分解し(方法B)、次にオクタヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジンとカップリングさせると(方法C)オフホワイトの固体として主題化合物(2段階で93mg、30%)を与えた。TLC(シリカ、10%MeOH/CHCl):R=0.4.(電子スプレー):C1416ClNOSについて計算された正確な質量,309.07;検出 m/z,310.1[M+H]H NMR(CDCl,400MHz):10.9(br s,1H),6.86(s,1H),6.64(d,J=1.4Hz,1H),4.77(d,J=12.2Hz,1H),4.65(d,J=12.7Hz,1H),3.30−2.90(m,4H),2.30−1.40(m,7H)。
【実施例12】
【0089】
【化21】

【0090】
(3−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
A.3−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル
4−ブロモチオフェン−2−カルボアルデヒド(3.8g、20ミリモル)を方法Aに従って環付加すると白色固体として主題化合物(1.2g、22%)を与えた。TLC(シリカ、20%EtOAc/ヘキサン):R=0.48.H NMR(CDCl,400MHz):9.58(br s,1H),7.20(s,1H),7.15(d,J=1.5Hz,1H),4.41(q,J=7.2Hz,2H),1.39(t,J=7.2Hz,3H)。
B.(3−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
3−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル(67mg、0.24ミリモル)を加水分解し(方法B)、次にN−メチルピペラジンとカップリングさせると(方法D)オフホワイトの固体として主題化合物(2段階で65mg、82%)を与えた。TLC(シリカ、10%MeOH/CHCl):R=0.4.(電子スプレー):C1214BrNOSについて計算された正確な質量,327.00;検出 m/z,328.0[M+H]H NMR(CDCl,400MHz):9.95(br s,1H),7.11(s,1H),6.73(d,J=1.8Hz,1H),3.91(t,J=5.1Hz,4H),2.49(t,J=5.1Hz,4H),2.34(s,3H)。
【実施例13】
【0091】
【化22】

【0092】
(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−(3−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−メタノン
A.4−メチル−チオフェン−2−カルボアルデヒド
3−メチルチオフェン(6.76mL、70ミリモル)の溶液(70mLのエーテル中)を僅かな還流が維持されるような速度でn−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、28.6mL、71.4ミリモル)で処理した。反応混合物を15分間還流加熱し、次にDMF(7.0mL、91ミリモル)(30mLのエーテル中)を添加した。4時間撹拌後、反応物を飽和NHCl水溶液(200mL)の添加によりクエンチした。有機層を分離し、生理食塩水、次にHOで洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、5〜10%EtOAc/ヘキサン)により4−メチル−チオフェン−2−カルボアルデヒドおよび3−メチル−チオフェン−2−カルボアルデヒドの混合物(4.4:1、8.1g、92%)を淡黄色の油として与えた。TLC(シリカ、10%EtOAc/ヘキサン):R=0.55.4−メチル−チオフェン−2−カルボアルデヒドに対して:H NMR(CDCl,400MHz):9.95(s,1H),7.58(d,J=1.2Hz,1H),7.37−7.35(m,1H),2.32(s,3H)。3−メチル−チオフェン−2−カルボアルデヒドに対して:H NMR(CDCl,400MHz):10.02(s,1H),7.64(d,J=4.6Hz,1H),6.97(d,J=4.6Hz,1H),2.58(s,3H)。
B.3−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル
4−メチル−チオフェン−2−カルボアルデヒドおよび3−メチル−チオフェン−2−カルボアルデヒドの混合物(2.84g、22.5ミリモル)を方法Aに従って環付加させると白色固体として主題化合物(2.5g、65%)を与えた。TLC(シリカ、20%EtOAc/ヘキサン):R=0.45.H NMR(CDCl,400MHz):9.95(br s,1H),7.12(d,J=1.9Hz,1H),6.90(d,J=1.2Hz,1H),4.39(q,J=7.2Hz,2H),2.35(s,3H),1.39(t,J=7.2Hz,3H)。
C.(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−(3−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−メタノン
3−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル(200mg、0.96ミリモル)を加水分解し(方法B)、次にN−メチルピペラジンとカップリングさせると(方法D)オフホワイト固体として主題化合物(2段階で197mg、78%)を与えた。TLC(シリカ、10%MeOH/CHCl):R=0.4.(電子スプレー):C1317OSについて計算された正確な質量,263.11;検出 m/z,264.1[M+H]H NMR(CDCl,400MHz):11.10(br s,1H),6.76(d,J=1.2Hz,1H),6.69(d,J=2.0Hz,1H),3.94−3.90(m,4H),2.47(tmJ=5.1Hz,4H),2.33(s,3H),2.25(s,3H)。
【実施例14】
【0093】
【化23】

【0094】
(2−メチル−4H−フロ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
A.2−メチル−4H−フロ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル
5−メチル−フラン−2−カルボアルデヒド(2.2g、20ミリモル)を方法Aに従って環付加すると白色固体として主題化合物(2.89g、75%)を与えた。TLC(シリカ、10%EtOAc/ヘキサン):R=0.4.H NMR(CDCl,400MHz):9.50(br s,1H),6.73(s,1H),6.04(s,1H),4.35(q,J=7.2Hz,2H),2.37(s,3H),1.35(t,J=7.2Hz,3H)。
B.(2−メチル−4H−フロ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
2−メチル−4H−フロ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル(200mg、1.04ミリモル)を加水分解し(方法B)、次にN−メチルピペラジンとカップリングさせると(方法D)白色固体として主題化合物(2段階で208mg、81%)を与えた。TLC(シリカ、10%MeOH/CHCl):R=0.35.(電子スプレー):C1317について計算された正確な質量,247.13;検出 m/z,248.2[M+H]H NMR(CDCl,400MHz):9.85(br s,1H),6.36(s,1H),6.07(s,1H),3.87(t,J=5.0Hz,4H),2.47(t,J=5.2Hz,4H),2.39(s,3H),2.33(s,3H)。
【実施例15】
【0095】
【化24】

【0096】
(2,3−ジメチル−4H−フロ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
A.2,3−ジメチル−4H−フロ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル
4,5−ジメチル−フラン−2−カルボアルデヒド(2.2g、18ミリモル)を方法Aに従って環付加するとオフホワイトの固体として主題化合物(1.76g、48%)を与えた。TLC(シリカ、10%EtOAc/ヘキサン):R=0.35.H NMR(CDCl,400MHz):8.95(br s,1H),6.69(d,J=1.7Hz,1H),4.32(q,J=7.2Hz,2H),2.33(s,3H),2.08(s,3H),1.37(t,J=7.2Hz,3H)。
B.(2,3−ジメチル−4H−フロ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
2,3−ジメチル−4H−フロ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル(200mg、0.97ミリモル)を加水分解し(方法B)、次にN−メチルピペラジンとカップリングさせると(方法D)オフホワイトの固体として主題化合物(2段階で190mg、75%)を与えた。TLC(シリカ、10%MeOH/CHCl):R=0.35.(電子スプレー):C1419について計算された正確な質量,261.15;検出 m/z,261.8[M+H]H NMR(CDCl,400MHz):9.95(br s,1H),6.32(d,J=1.8Hz,1H),3.88(t,J=5.0Hz,4H),2.47(t,J=5.1Hz,4H),2.33(s,3H),2.31(s,3H),2.06(s,3H)。
【実施例16】
【0097】
【化25】

【0098】
(2,3−ジメチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
A.2,3−シメチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル
4,5−ジメチル−チオフェン−2−カルボアルデヒド(2.0g、14ミリモル)を方法Aに従って環付加すると白色固体として主題化合物(160mg、5%)を与えた。TLC(シリカ、10%EtOAc/ヘキサン):R=0.40.H NMR(CDCl,400MHz):9.50(br s,1H),7.05(d,J=1.9Hz,1H),4.36(q,J=7.2Hz,2H),2.41(s,3H),2.22(s,3H),1.38(t,J=7.2Jz,3H)。
B.(2,3−ジメチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
2,3−ジメチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−カルボン酸エチルエステル(68mg、0.30ミリモル)を加水分解し(方法B)、次にN−メチルピペラジンとカップリングさせると(方法D)オフホワイトの固体として主題化合物(2段階で67mg、80%)を与えた。TLC(シリカ、10%MeOH/CHCl):R=0.35.(電子スプレー):C1419OSについて計算された正確な質量,277.12;検出 m/z,278.1[M+H]H NMR(CDCl,400MHz):10.95(br s,1H),6.63(d,J=1.9Hz,1H),3.92(t,J=4.5Hz,4H),2.46(t,J=5.0Hz,4H),2.36(s,3H),2.33(s,3H),2.13(s,3H)。
[実施例17〜25]
【0099】
以下の化合物をスキーム1〜4中に概説された合成法に従って調製した:
実施例番号 化合物
17 (2,3−ジクロロ−6H−チエノ[2,3−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン、
18 (2−メチル−4H−フロ[3,2−b]ピロル−5−イル)−ピペラジン−1−イル−メタノン、
19 (3−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−ピペラジン−1−イル−メタノン、
20 (3−ブロモ−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(3−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン、
21 (3−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−ピペラジン−1−イル−メタノン、
22 (3−メチル−ピペラジン−1−イル)−(3−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−メタノン
23 (2−クロロ−3−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン、
24 (2−クロロ−3−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−ピペラジン−1−イル−メタノン、および
25 (2,3−ジクロロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロル−5−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン。
【0100】
生物学的実施例
組換えヒトヒスタミンH受容体に対する結合アッセイ
SK−N−MC細胞もしくはCOS7細胞をpH4Rで一時的にトランスフェクトし、150cmの組織培養皿中で生長させた。細胞を生理食塩水で洗浄し、細胞スクレーパーでスクレープし、遠心分離(1000rpm、5分)により回収した。細胞膜を高速で10秒間ポリトロン組織ホモジナイザーで20mMトリス−HCl中で細胞ペレットのホモジナイズにより調製した。ホモジネートを4℃で1000rpmで5分間遠心分離した。次に上澄み液を回収し、4℃で20,000×gで25分間遠心分離した。最終ペレットを50mMのトリス−HCl中に再懸濁させた。細胞膜を過剰ヒスタミン(10000nM)の存在下もしくは不在下でH−ヒスタミン(5〜70nM)とともにインキュベートした。インキュベートは室温で45分間実施した。膜をWhatman GF/Cフィルター上の急速濾過により回収し、氷冷50mMトリスHClで4回洗浄した。次にフィルターを乾燥し、燐光発生物質(scintillant)と混合して、放射能を計測した。ヒトヒスタミンH受容体を発現するSK−N−MCもしくはCOS7細胞を使用して、他の化合物の結合親和性および様々な濃度の阻害剤もしくは試験化合物の存在下で前記の反応物をインキュベートすることにより、H−リガンド結合を置き換えるそれらの性能を測定した。H−ヒスタミンを使用する競合結合研究に対しては、Y.−C.ChengおよびW.H.Prusoffに従って(Biochem.Pharmacol.1973,22(23):3099−3108)、実験的に決定された5nMのK値および5nMのリガンド濃度に基づいてKi値を計算した:
=(IC50)/(1+([L]/K))。
【0101】
【表1】

【0102】
肥満細胞走化性アッセイ
粘膜上皮中の肥満細胞の蓄積はアレルギー性鼻炎および喘息の周知の特徴である。8μmの孔径のTranswell(Costar,Cambridge,MA)を室温で2時間、100ng/mLのヒトフィブロネクチン(Sigma)100μLで被覆した。フィブロネクチン除去後、10μMのヒスタミンの存在下で5%BSAを含むRPMI600μLを下室に添加した。様々なヒスタミン受容体(HR)アンタゴニストを試験するために、10μMおよび/もしくは1μMの試験化合物溶液を上室および下室に添加した。肥満細胞(2×10/ウェル)を上室に添加した。皿を37℃で3時間インキュベートした。Transwellを除去し、下室中の細胞をフロー血球計測計を使用して60秒間計測した。
【0103】
【表2】

【0104】
発現の細胞タイプの分布
RNAを製造業者の指導書に従ってRNeasyキット(Qiagen,Valencia,CA)を使用して異なる細胞から調製した。RNA試料(5μg)をRNAゲル上で走行させ、次にナイロンブロット(Hybond,Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)に1晩移動させた。ブロットを68℃で30分間ExpressHyb溶液(CLONTECH)で前以てハイブリッド形成させた。H受容体DNAをRediprime IIキット(Amersham Pharmacia Biotech)を使用して標識した。ブロットを68℃で2時間ハイブリッド形成させ、次に室温で40分間第1の洗浄(23 SSCおよび0.05%SDS)、次に50℃で40分間第2段階の洗浄(0.13 SSCおよび0.1%SDS)を実施した。ブロットを2枚の強化スクリーンとともに−70℃で1晩X−線フィルムに露出させた。
結果
Northern Blotの結果はH受容体が骨髄採取肥満細胞(BMMC)、腹腔内肥満細胞および好酸球上に発現されることを示す。これらの有効な結果は発刊文献(例えば、背景技術の節のOda等、Nguyen等およびMorse等)と一致する。しかし、好酸球により発現された、H受容体の明らかに測定可能でないレベルの所見のようなNorthern Blotの実験の否定的結果は前記の文献の所見と幾らか異なる。これは使用された異なる方法により説明することができる。罹患組織中の肥満細胞および好酸球の蓄積はアレルギー性鼻炎および喘息の主要な特徴の1つである。H受容体の発現はこれらの細胞タイプに限定されるので、H受容体の信号発信はヒスタミンに反応する肥満細胞および好酸球の侵入を仲介するようである。更なる研究もまた、これらの問題点を明らかにすることができる。以下の表はNorthern BlotによるH発現の細胞タイプの分布を報告する。
【0105】
【表3】

【0106】
ヒスタミンH受容体アンタゴニストによる好酸球の形状変化の抑制
アレルギー反応の部位における好酸球蓄積はアレルギー性鼻炎および喘息の周知の特徴である。この実施例はヒスタミンH受容体アンタゴニストがヒスタミンに反応するヒトの好酸球の形状変化反応を抑制することができることを示す。形状変化は好酸球の走化性に先駆ける細胞の特徴である。
方法
ヒトの顆粒球をフィコール勾配によりヒト血液から単離した。赤血球細胞を室温で5〜7分間5〜10×Qiagen分解バッファーにより分解した。顆粒球を回収し、FACSバッファーで1回洗浄した。細胞を反応バッファー中に2×10細胞/mLの密度に再懸濁させた。特定のヒスタミン受容体アンタゴニストによる抑制を試験するために、90μLの細胞懸濁液(〜2×10細胞)を10μMの様々な試験化合物溶液の1種とともにインキュベートした。30分後、11μLの様々な濃度のヒスタミンの1種を添加した。10分後、細胞を氷に移し、氷冷固定バッファー(2%ホルムアルデヒド)250μLで1分間固定した。ゲート付き自己発光前方散乱アッセイ(GAFS)(Byan et al.,Am.J.Crit.Care Med.2002,165:1602−1609)を使用して形状変化を定量した。
結果−ヒスタミンはH受容体により好酸球の形状変化を仲介する
好酸球の形状の変化は走化性に先行する細胞骨格のためであり、従って走化性の指標である。下表中のデータはヒスタミンが好酸球中に用量−依存性の形状変化を誘導することを示す。ヒスタミン受容体(HR)アンタゴニストは、どのヒスタミン受容体が形状変化に寄与するかを探索するために使用した。ヒスタミンH受容体に特異なアンタゴニスト(ジフェンヒドラミン)もしくはH受容体に特異なアンタゴニスト(ラナチジン)はヒスタミン誘導形状変化を変更しなかった。しかし、二重H/Hアンタゴニスト(チオペラミド)および特異的ヒスタミンH受容体アンタゴニスト((5−クロロ−1H−インドール−2−イル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン、K=5nM)はそれぞれ1.5および0.27μMのIC50を伴ってヒスタミン誘導の好酸球の形状変化を阻害した。
【0107】
【表4】

【0108】
ヒスタミンH受容体アンタゴニストによる好酸球走化性の抑制
アレルギー性反応部位の好酸球蓄積はアレルギー性鼻炎および喘息の周知の特徴である。好酸球は標準法によりヒト血液から精製される。走化性アッセイは室温で2時間100ng/mLのヒトフィブロネクチン(Sigma)100μLで被覆された孔径5μmのTranswell(Costar,cambridge,MA)を使用して実施される。フィブロネクチンの除去後、ヒスタミンの存在下で(1.25〜20μMの範囲)5%BSAを含むRPMI600μLを下室に添加する。様々なヒスタミン受容体アンタゴニストを試験するために、試験化合物10μMを上室および下室に添加することができる。好酸球を上室に添加して、そこでヒスタミンもしくは走化性因子を下室に添加するであろう。プレートを37℃で3時間インキュベートする。Transwellを除去し、下室内の細胞数をフロー血球計測装置を使用して60秒間計測することもしくはGiemsa染色を使用することにより定量することができる。
ヒスタミンH受容体アンタゴニストによるマウスにおけるザイモサン誘導腹膜炎の抑制
ヒスタミンH受容体アンタゴニストはサッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)の細胞壁上の不溶性多糖類成分であるザイモサンにより誘導される腹膜炎を抑制することができることが示された。これはマウスに腹膜炎を誘発するために一般に使用され、肥満細胞依存性に働くように見える。本発明の化合物は抗炎症剤としてのそれらの使用を示すためにこのようなモデルにおいて試験することができる。0時間において、マウスに皮下もしくは腹腔内のいずれかで化合物もしくはPBSを投与される。15分後に、各マウスは1mgのザイモサンA(Sigma)を腹腔内投与される。マウスを4時間後に殺し、腹腔を3mMのEDTAを含むPBS3mLで洗浄する。洗浄液のアリコート(100μL)を採り、Turk溶液(3%酢酸中0.01%結晶バイオレット)中に1:10に希釈することにより、移動した白血球数を決定する。次に試料を渦巻き撹拌し、染色した細胞液10μLをNeubauer血液計数計中に入れる。光学顕微鏡(Olympus B061)を使用して別の細胞計数を実施する。それらの色彩的特徴並びにそれらの核および細胞質の外観を考慮すると、多形核白血球(PMN;>95%好酸球)を容易に同定することができる。ザイモサンによる処理は炎症性反応を表わす好酸球数を増加する。H受容体アンタゴニストによる処理はこの増加を抑制するであろう。
喘息およびアレルギー性鼻炎の動物モデルにおけるH受容体アンタゴニストによる肥満細胞の走化性の抑制
アレルギー性炎症に反応して肥満細胞が蓄積することおよびこれをH受容体アンタゴニストにより阻害することができるという観察を試験するために動物モデルを使用するであろう。本発明の化合物をアレルギー性鼻炎もしくは喘息の処置としてのそれらの使用を示すためにこのモデルにおいて試験することができる。マウスを第0日および第14日目にオボアルブミン/Alum(0.2mlのAl(OH)中10μg;2%)の腹腔内注入により感作させる。21〜23日目に、マウスはPBSもしくはオボアルブミンを投与され、24日目の最後の投与後に殺される。気管の切片を切除し、ホルマリン中に固定する。気管のパラフィン包埋および縦の切開、次にトルイジンブルーによる肥満細胞の染色を実施する。あるいはまた、気管を凍結切片のためにOCT中で凍結し、肥満細胞をIgE染色により同定する。肥満細胞を各気管切片内のそれらの位置に応じて、粘膜下もしくは上皮下として定量する。アレルゲンに対する露出は上皮下肥満細胞数を増加するにちがいなく、この効果はH受容体アンタゴニストにより阻害されるであろう。
【0109】
本発明の特徴物および利点は当業者には明白である。要約、詳細な説明、背景、実施例および特許請求の範囲を含む本開示に基づき、当業者は様々な条件および利用に変更および翻案を実施することができるであろう。本明細書に記載された刊行物はそれらの全体の引用により取り入れられている。これらの他の態様もまた、本発明の範囲内に入る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
【化2】

YはOもしくはSであり、
ZはOもしくはSであり、
nは1もしくは2であり、
mは1もしくは2であり、
n+mは2もしくは3であり、
はHもしくはC1−6アルキルであり、
はH、F、Cl、BrもしくはC1−6アルキルであり、
およびRは独立にH、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル(C3−6シクロアルキル)、シアノ、−CF、−(CO)NR、−(CO)OR、−CHNRもしくは−CHORであり、ここでR、RおよびRは独立にH、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、−C1−2アルキル(C3−6シクロアルキル)、ベンジルもしくはフェネチルから選択されるかまたは、RおよびRはそれらが結合されている窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−6アルキルから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに4〜7員複素環式環を形成し、そしてここで前記のあらゆるフェニルもしくはアルキルもしくはシクロアルキル部分は場合によりそして独立にC1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、
およびRは独立にHもしくはC1−6アルキルであり、
は−R、−R、−R−O−Rもしくは−R−N(R)(R)であり、ここでRはH、シアノ、−(C=O)N(R)(R)、−C(=NH)(NH)、C1−10アルキル、C2−8アルケニル、C3−8シクロアルキル、C4−7複素環式基もしくはフェニルであり、ここでC4−7複素環式基は炭素原子で結合され、5もしくは6もしくは7員の環中にO、S、NHもしくはNC1−4アルキルおよび場合により更なるNHもしくはNC1−6アルキルのうちの1個を含み、ここでRはC1−8アルキレンもしくはC2−8アルケニレンであり、ここでRはC2−8アルキレンもしくはC2−8アルケニレンであり、ここでRおよびRはそれぞれ独立にH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C3−6シクロアルキルもしくはフェニルであるかまたは、RおよびRはそれらが結合されている窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−6アルキルから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに4〜7員複素環式環を形成し、そしてここで前記のあらゆるフェニルもしくはアルキルもしくはシクロアルキル部分は場合によりそして独立にC1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されているか、
あるいはまた、Rは隣接するR並びにそれらの結合炭素および窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−6アルキルから選択された0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに、そして場合によりそして独立にC1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換された5、6もしくは7員複素環式環を形成してもよく、
およびRは独立に、H、F、Cl、Br、I、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−C3−6シクロアルキル、−OC3−6シクロアルキル、−OCHPh、−CF、−OCF、−SCF、−(C=O)R、(ここでRはH、C1−4アルキル、−OH、フェニル、ベンジル、フェネチルもしくはC1−6アルコキシである)、−(N−R)(C=O)R(ここでRはHもしくはC1−4アルキルである)、−(N−R)SO1−4アルキル、−(S=(O))−C1−4アルキル(ここでpは0、1もしくは2である)、ニトロ、−SONR(ここでRおよびRは独立にH、C1−4アルキル、フェニル、ベンジルもしくはフェネチルから選択されるかまたは、RおよびRはそれらが結合されている窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−4アルキルから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに4〜7員複素環式環を形成する)、−(C=O)NR、シアノもしくはフェニルであり、ここで前記のあらゆるフェニルもしくはアルキルもしくはシクロアルキル部分は場合によりそして独立に、C1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されている]
の化合物およびそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよび製薬学的に許容できる塩およびエステル、
但し、
Nに隣接するRがH以外である場合はNに隣接するRはHでなければならず、
は−CHCHOHではなく、そして
核分子が4−フロである場合は、RおよびRが一緒になって架橋部分を形成する場合を除いて、Nに隣接するRおよびRの一方が水素である時はNに隣接するRおよびRの他方はメチルであってはならない、こととする。
【請求項2】
式(I):
【化3】

[式中、
【化4】

YはOもしくはSであり、
ZはOもしくはSであり、
nは1もしくは2であり、
mは1もしくは2であり、
n+mは2もしくは3であり、
はHもしくはC1−6アルキルであり、
はH、F、Cl、BrもしくはC1−6アルキルであり、
およびRは独立にH、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル(C3−6シクロアルキル)、シアノ、−CF、−(CO)NR、−(CO)OR、−CHNRもしくは−CHORであり、ここでR、RおよびRは独立にH、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、−C1−2アルキル(C3−6シクロアルキル)、ベンジルもしくはフェネチルから選択されるかまたは、RおよびRはそれらが結合されている窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−6アルキルから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに4〜7員複素環式環を形成し、そしてここで前記のあらゆるフェニルもしくはアルキルもしくはシクロアルキル部分は場合によりそして独立にC1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、
およびRは独立にHもしくはC1−6アルキルであり、
は−R、−R、−R−O−Rもしくは−R−N(R)(R)であり、ここでRはH、シアノ、−(C=O)N(R)(R)、−C(=NH)(NH)、C1−10アルキル、C2−8アルケニル、C3−8シクロアルキル、C4−7複素環式基もしくはフェニルであり、ここでC4−7複素環式基は炭素原子で結合され、5もしくは6もしくは7員の環中にO、S、NHもしくはNC1−4アルキルおよび場合により更なるNHもしくはNC1−6アルキルのうちの1個を含み、ここでRはC1−8アルキレンもしくはC2−8アルケニレンであり、ここでRはC2−8アルキレンもしくはC2−8アルケニレンであり、ここでRおよびRはそれぞれ独立にH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C3−6シクロアルキルもしくはフェニルであるかまたは、RおよびRはそれらが結合されている窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−6アルキルから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに4〜7員複素環式環を形成し、そしてここで前記のあらゆるフェニルもしくはアルキルもしくはシクロアルキル部分は場合によりそして独立にC1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されているか、
あるいはまた、Rは隣接するR並びにそれらの結合炭素および窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−6アルキルから選択された0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに、そして場合によりそして独立にC1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換された5、6もしくは7員複素環式環を形成してもよく、
およびRは独立に、H、F、Cl、Br、I、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−C3−6シクロアルキル、−OC3−6シクロアルキル、−OCHPh、−CF、−OCF、−SCF、−(C=O)R、(ここでRはH、C1−4アルキル、−OH、フェニル、ベンジル、フェネチルもしくはC1−6アルコキシである)、−(N−R)(C=O)R(ここでRはHもしくはC1−4アルキルである)、−(N−R)SO1−4アルキル、−(S=(O))−C1−4アルキル(ここでpは0、1もしくは2である)、ニトロ、−SONR(ここでRおよびRは独立にH、C1−4アルキル、フェニル、ベンジルもしくはフェネチルから選択されるかまたは、RおよびRはそれらが結合されている窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−4アルキルから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに4〜7員複素環式環を形成する)、−(C=O)NR、シアノもしくはフェニルであり、ここで前記のあらゆるフェニルもしくはアルキルもしくはシクロアルキル部分は場合によりそして独立に、C1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されている]
の化合物およびそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよび製薬学的に許容できる塩およびエステルを含有する製薬学的組成物、
但し、
Nに隣接するRがH以外である場合はNに隣接するRはHでなければならず、
は−CHCHOHではなく、そして
核分子が4−フロである場合は、RおよびRが一緒になって架橋部分を形成する場合を除いて、Nに隣接するRおよびRの一方が水素である時はNに隣接するRおよびRの他方はメチルであってはならない、こととする。
【請求項3】
有効量の、式(I):
【化5】

[式中、
【化6】

YはOもしくはSであり、
ZはOもしくはSであり、
nは1もしくは2であり、
mは1もしくは2であり、
n+mは2もしくは3であり、
はHもしくはC1−6アルキルであり、
はH、F、Cl、BrもしくはC1−6アルキルであり、
およびRは独立にH、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルキル(C3−6シクロアルキル)、シアノ、−CF、−(CO)NR、−(CO)OR、−CHNRもしくは−CHORであり、ここでR、RおよびRは独立にH、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、−C1−2アルキル(C3−6シクロアルキル)、ベンジルもしくはフェネチルから選択されるかまたは、RおよびRはそれらが結合されている窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−6アルキルから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに4〜7員複素環式環を形成し、そしてここで前記のあらゆるフェニルもしくはアルキルもしくはシクロアルキル部分は場合によりそして独立にC1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されており、
およびRは独立にHもしくはC1−6アルキルであり、
は−R、−R、−R−O−Rもしくは−R−N(R)(R)であり、ここでRはH、シアノ、−(C=O)N(R)(R)、−C(=NH)(NH)、C1−10アルキル、C2−8アルケニル、C3−8シクロアルキル、C4−7複素環式基もしくはフェニルであり、ここでC4−7複素環式基は炭素原子で結合され、5もしくは6もしくは7員の環中にO、S、NHもしくはNC1−4アルキルおよび場合により更なるNHもしくはNC1−6アルキルのうちの1個を含み、ここでRはC1−8アルキレンもしくはC2−8アルケニレンであり、ここでRはC2−8アルキレンもしくはC2−8アルケニレンであり、ここでRおよびRはそれぞれ独立にH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C3−6シクロアルキルもしくはフェニルであるかまたは、RおよびRはそれらが結合されている窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−6アルキルから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに4〜7員複素環式環を形成し、そしてここで前記のあらゆるフェニルもしくはアルキルもしくはシクロアルキル部分は場合によりそして独立にC1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されているか、
あるいはまた、Rは隣接するR並びにそれらの結合炭素および窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−6アルキルから選択された0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに、そして場合によりそして独立にC1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換された5、6もしくは7員複素環式環を形成してもよく、
およびRは独立に、H、F、Cl、Br、I、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−C3−6シクロアルキル、−OC3−6シクロアルキル、−OCHPh、−CF、−OCF、−SCF、−(C=O)R(ここでRはH、C1−4アルキル、−OH、フェニル、ベンジル、フェネチルもしくはC1−6アルコキシである)、−(N−R)(C=O)R(ここでRはHもしくはC1−4アルキルである)、−(N−R)SO1−4アルキル、−(S=(O))−C1−4アルキル(ここでpは0、1もしくは2である)、ニトロ、−SONR(ここでRおよびRは独立にH、C1−4アルキル、フェニル、ベンジルもしくはフェネチルから選択されるかまたは、RおよびRはそれらが結合されている窒素と一緒になって、O、S、NHもしくはNC1−4アルキルから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子とともに4〜7員複素環式環を形成する)、−(C=O)NR、シアノもしくはフェニルであり、ここで前記のあらゆるフェニルもしくはアルキルもしくはシクロアルキル部分は場合によりそして独立に、C1−3アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノおよびC1−3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されている]
の化合物およびそのエナンチオマー、ジアステレオマーおよび製薬学的に許容できる塩およびエステルを含有する製薬学的組成物を、処置もしくは予防の必要な患者に投与する段階を含んで成る、H−仲介疾患および状態の処置もしくは予防法、
但し、
Nに隣接するRがH以外である場合はNに隣接するRはHでなければならず、
は−CHCHOHではなく、そして
核分子が4−フロである場合は、RおよびRが一緒になって架橋部分を形成する場合を除いて、Nに隣接するRおよびRの一方が水素である時はNに隣接するRおよびRの他方はメチルであってはならない、こととする。

【公表番号】特表2006−500394(P2006−500394A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−534722(P2004−534722)
【出願日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2003/028017
【国際公開番号】WO2004/022537
【国際公開日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】