説明

チオトロピウム臭化物の無水物

新規無水物。本発明は、チオトロピウム臭化物無水物の新規の形態、チオトロピウム臭化物無水物の調製のためのプロセス、チオトロピウム臭化物無水物を含有する医薬組成物および該組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チオトロピウム臭化物無水物の新規な形態、チオトロピウム臭化物無水物の調製のためのプロセス、チオトロピウム臭化物無水物を含有する医薬組成物、および該組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
EP418716において初めて開示されたチオトロピウム臭化物(1)は、非常に有効なムスカリン性受容体特異的な抗コリン作用薬であり、喘息または、慢性気管支炎および気腫を包含する慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器系疾患の治療に対して現在承認されている。
【0003】
【化1】

【0004】
チオトロピウム臭化物は、低治療用量(マイクログラム)で使用されるので、高い経済的収率だけでなく、格別に高い化学純度および多形純度での生成物の調製を確実にする、チオトロピウム臭化物の商業的調製のための工業用プロセスの開発が特に必要である。
【0005】
多くの医薬の製造プロセスは、有効成分である有機化合物が製造プロセス中、取扱いにくく、最終的な薬剤または投与形態に望ましくない特性を付与する可能性があることにより阻害されている。さらに、製造プロセス全体を通して有効医薬成分の多形を制御することは困難となることがある。
【0006】
1以上の多形または結晶形で有効成分が存在し得る医薬については、有効成分の製造プロセスが、一定レベルの多形純度を有する単一の純粋な結晶多形を与えることを確実にすることが特に重要である。製造プロセスが、異なる多形純度を有する結晶多形を生じたり、および/またはプロセスが多形の相互変換を制御しない場合、有効成分を含有する完成した医薬組成物に、溶解および/またはバイオアベイラビリティにおける深刻な問題が生じ得る。
【0007】
結晶形が多形不純物を含んで作られると、不安定となり、別の多形への著しい相互変換を促進し得る。したがって、このような相互変換を回避するために、非常に高い多形純度を有する結晶形を生産することが極めて重要である。
【0008】
チオトロピウム臭化物の調製のためのプロセスは、EP418716において初めて報告された。WO2002/30928には、チオトロピウム臭化物一水和物が、水中で活性炭の存在下にチオトロピウム臭化物無水物を加熱することによるその調製方法と共に、開示されている。さらに、チオトロピウム臭化物一水和物または溶媒和物からチオトロピウム臭化物無水物を調製する方法がそれ以降にいくつか開示された。
【0009】
US6608055には、チオトロピウム臭化物一水和物を真空下で80〜100℃で加熱することによるチオトロピウム臭化物無水物の調製方法が開示されている。しかし、この方法は、固体を高温で直接加熱することにより、局所的な加熱および一貫性のない結果が生じ得るため、商業的製造には好適でない。
【0010】
US6608055に開示された別の方法は、シリカゲルで24時間保存することにより、チオトロピウム臭化物一水和物をチオトロピウム臭化物無水物に変換することを含む。しかし、この方法は商業的製造には適していない。
【0011】
WO2007/075858に開示された、チオトロピウム臭化物無水物の代替的な調製方法は、チオトロピウム臭化物のメタノール和物、1/2n−ブタノール和物または1/2酢酸和物を160℃の炉内で加熱することを含む。これには、非常に高い温度および出発材料として特定の溶媒和物が必要とされる。
【0012】
US2005/0143410に開示された別の方法は、水中で沸騰させて、フッ化アンモニウムを加えることにより、チオトロピウム臭化物一水和物をチオトロピウム臭化物無水物に変換させるためのプロセスを含む。代替的に、種晶によるメタノールからの結晶化方法が報告されている。
【0013】
US2007/0092453に開示されたさらなる方法は、N,N−ジメチルアセトアミド/水の1:1混合物中50℃で加熱することにより、チオトロピウム臭化物一水和物をチオトロピウム臭化物無水物へと変換することを含む。また、14種類の異なるチオトロピウム臭化物の溶媒和物も報告されている。しかし、US2007/0092453の方法は、溶液中に結晶が出現するまで、1Kpa真空下で大量の高沸点溶媒を室温で蒸発させることを含む。該方法は特に再現可能ではなく、またN,N−ジメチルアセトアミドおよび水は共に高沸点溶媒(それぞれ164℃および100℃)であるため、室温でこれらの溶媒を除去するには高真空が必要となる。したがって、このような量のN,N−ジメチルアセトアミドおよび水を室温で除去することは、事実上、商業規模での生産には非常に困難である。さらに、該プロセスは、出発材料としてチオトロピウム臭化物一水和物に限定される。
【0014】
上記の先行技術の詳細から、チオトロピウム臭化物無水物を調製するための直接的な方法は、文献には報告されていないことがわかる。チオトロピウム臭化物無水物を調製するための上記の報告されたプロセスはすべて、チオトロピウム臭化物無水物を調製するために、出発材料としてチオトロピウム臭化物一水和物またはチオトロピウム臭化物溶媒和物のいずれかの調製を含む。これにより、工程数が増え、全体的な収率が低下してしまう。
【0015】
したがって、出発材料としてチオトロピウム臭化物一水和物またはチオトロピウム臭化物溶媒和物のいずれの調製も含まない、チオトロピウム臭化物無水物を調製するための直接的な方法があると有利であろう。
【0016】
さらに、先行技術に記載されたプロセスは、典型的には高温を必要とするため、不純な生成物が生じ得る。なぜなら、チオトロピウム臭化物は、高温で分解し、不純物としてスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレートを生成することがわかっているためである。したがって、チオトロピウム臭化物無水物は、典型的には0.1〜0.5%のスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート不純物を含有するため、純粋なチオトロピウム臭化物無水物を与えるために付加的な精製工程が必要となる。さらに、先行技術プロセスで形成されたチオトロピウム臭化物無水物は、多形的に純粋ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
呼吸器系疾患の治療のためにチオトロピウム臭化物により得られる重要性を鑑みると、商業的に許容される収率、化学純度、高い多形純度および多形安定性を有するチオトロピウム臭化物結晶形の合成のための、代替的な、比較的簡単で、経済的であり、商業的に実現可能なプロセスの開発が大いに必要とされている。
【0018】
発明者らは、チオトロピウム臭化物は、幅広い溶媒と溶媒和物を形成することがわかった。したがって、溶媒和物を形成する溶媒を用いないチオトロピウム臭化物無水物の直接的な合成および精製方法を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明は、中間物質であるチオトロピウム臭化物溶媒和物またはチオトロピウム臭化物一水和物などのチオトロピウム臭化物水和物を経ることなく直接的に、チオトロピウム臭化物無水物を調製するための効率的で簡単なプロセスを提供する。
【0020】
本発明はまた、チオトロピウム臭化物無水物の化学的に純粋な、多形的に純粋な、また安定した形態を提供する。
【0021】
驚くべきことに、発明者らは、溶媒和物を形成しない溶媒を含む、チオトロピウム臭化物無水物の直接的な調製およびその精製のための方法を開発した。本方法は、特に、反応、精製および乾燥における高温が回避されるため、短時間で、非常に緩やかであり、また商業的規模での製造に便利である。
【0022】
開発されたプロセスは、初めにチオトロピウム臭化物の水和物または溶媒和物を形成して単離するための余分な合成工程を必要とせずに、非常に便利で直接的な経路を用いて、スコピン ジ−(2−チエニル)グリコレートから直接的にチオトロピウム臭化物無水物を調製することを含む。
【0023】
さらに、本方法は、化学的に純粋な、多形的に純粋な、また多形的に安定したチオトロピウム臭化物無水物の新規な結晶形を与える。
【0024】
したがって、本発明の第1の局面は、約8.49、11.38、13.58、14.24、14.74、16.01、17.03、17.93、18.60、19.15、21.80、22.62、22.92、23.29、25.29、25.57、26.23、27.29、28.07、28.61、30.24および31.83±0.2度の2θ角度を有するピークから選択される少なくとも3つのピーク(好ましくは少なくとも4つのピーク、好ましくは少なくとも5つのピーク、好ましくは少なくとも6つのピーク、好ましくは少なくとも7つのピーク、好ましくは少なくとも8つのピーク、好ましくは少なくとも9つのピーク、好ましくは少なくとも10のピーク、好ましくは少なくとも12のピーク、好ましくは少なくとも15のピーク、好ましくは少なくとも20のピーク、好ましくは22のすべてのピーク)を含むXRPDパターンを有する、チオトロピウム臭化物無水物を提供する。好ましくは、本発明の第1の局面は、実質的に図1に示すとおりのXRPDスペクトルを有するチオトロピウム臭化物無水物を提供する。
【0025】
好ましくは、本発明の第1の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物は、約208℃±2℃および約221℃±2℃に吸熱ピークを有するDSCスペクトルを有する。好ましくは、本発明の第1の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物は、実質的に図2に示すとおりのDSCスペクトルを有する。
【0026】
好ましくは、本発明の第1の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物は、実質的に図3に示すとおりのTGAスペクトルを有する。
【0027】
好ましくは、本発明の第1の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物は、5%未満、好ましくは3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満、好ましくは0.5%未満、好ましくは0.2%未満、好ましくは0.1%未満のチオトロピウム臭化物の他の多形(XRPD測定)を含有する。
【0028】
本発明の第2の局面は、
(a) スコピン ジ−(2−チエニル)グリコレートの溶液および第1の有機溶媒を提供する工程と、
(b) 第2の有機溶媒中の臭化メチルの溶液を工程(a)からの混合物に加えるか、またはその逆に加える工程と、
(c) 工程(b)で得られた混合物からチオトロピウム臭化物無水物を単離する工程と、
(d) 単離したチオトロピウム臭化物無水物を乾燥する工程とを含む、
チオトロピウム臭化物無水物の調製のためのプロセスを提供する。
【0029】
好ましくは、第1および第2の有機溶媒は同じでない。
好ましくは、第1の有機溶媒はケトンであり、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルビニルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルtert−ブチルケトンまたはジエチルケトンである。最も好ましくは、第1の有機溶媒はアセトンである。
【0030】
好ましくは、第2の有機溶媒は極性の非プロトン性溶媒であり、好ましくはアセトニトリルである。
【0031】
工程(b)において、第2の有機溶媒中の臭化メチルの溶液を工程(a)からの混合物に加えるか、または代替的に、工程(a)からの混合物を第2の有機溶媒中の臭化メチルの溶液に加える。好ましくは、第2の有機溶媒中の臭化メチルの溶液を工程(a)からの混合物に加える。
【0032】
好ましくは、乾燥温度は約40〜80℃の間であり、より好ましくは約60℃である。
好ましくは、本発明の第2の局面のプロセスは、チオトロピウム臭化物無水物をさらに精製するための追加のプロセスを含む。
【0033】
好ましくは、チオトロピウム臭化物無水物をさらに精製するための追加のプロセスは、
(a) チオトロピウム臭化物無水物の溶液および第3の有機溶媒を提供する工程と、
(b) 工程(a)からの溶液に反溶媒として第4の有機溶媒を加える工程と、
(c) 工程(b)で得られた混合物から精製されたチオトロピウム臭化物無水物を単離する工程と、
(d) 単離された、精製されたチオトロピウム臭化物無水物を乾燥する工程とを含む。
【0034】
好ましくは、第3の有機溶媒は極性の非プロトン性溶媒であり、好ましくはジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドである。好ましくは、第3の有機溶媒はジメチルスルホキシドである。
【0035】
好ましくは、反溶媒として用いられる第4の有機溶媒はケトンであり、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルビニルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルtert−ブチルケトンまたはジエチルケトンである。好ましくは、ケトンはアセトンである。
【0036】
好ましくは、チオトロピウム臭化物無水物をさらに精製するための追加のプロセスで用いられる乾燥温度は、約40〜80℃の間である。好ましくは、乾燥温度は約60℃である。
【0037】
好ましくは、本発明の第2の局面に従うプロセスは、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%の出発材料(スコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート)からの収率で、チオトロピウム臭化物無水物を提供する。
【0038】
本発明の第3の局面は、
(a) チオトロピウム臭化物無水物の溶液および有機溶媒を提供する工程と、
(b) 工程(a)からの溶液に反溶媒としてさらなる有機溶媒を加える工程と、
(c) 工程(b)で得られた混合物から精製されたチオトロピウム臭化物無水物を単離する工程と、
(d) 単離された、精製されたチオトロピウム臭化物無水物を乾燥する工程とを含む、
チオトロピウム臭化物を精製するプロセスを提供する。
【0039】
好ましくは、工程(a)で用いられる有機溶媒は、極性の非プロトン性溶媒であり、好ましくはジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドであり、好ましくはジメチルスルホキシドである。
【0040】
好ましくは、工程(b)で反溶媒として用いられる有機溶媒はケトンであり、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルビニルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルtert−ブチルケトンまたはジエチルケトンである。好ましくは、ケトンはアセトンである。
【0041】
好ましくは、工程(d)で用いられる乾燥温度は、約40〜80℃の間である。好ましくは、乾燥温度は約60℃である。
【0042】
好ましくは、本発明の第3の局面に従うプロセスは、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%の出発材料(粗チオトロピウム臭化物無水物)からの収率で、精製されたチオトロピウム臭化物無水物を提供する。
【0043】
本発明の第4の局面は、0.5%未満、好ましくは0.3%未満、好ましくは0.2%未満、好ましくは0.1%未満、好ましくは0.05%未満、最も好ましくは0.03%未満のスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート不純物(HPLC測定)を含有する、チオトロピウム臭化物無水物を提供する。
【0044】
本発明の第5の局面は、HPLC純度が少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、好ましくは少なくとも99.5%、好ましくは少なくとも99.6%、好ましくは少なくとも99.7%、好ましくは少なくとも99.8%、好ましくは少なくとも99.9%である、チオトロピウム臭化物無水物を提供する。
【0045】
好ましくは、本発明の第2および第3の局面に従うプロセスは、本発明の第1、第4または第5の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物を提供する。
【0046】
本発明の第6の局面は、本発明の第2または第3の局面に従うプロセスにより調製されるチオトロピウム臭化物無水物を提供する。好ましくは、チオトロピウム臭化物無水物は、出発材料(スコピン ジ−(2−チエニル)グリコレートまたはチオトロピウム臭化物)から少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%の収率で調製される。
【0047】
好ましくは、本発明の第4、第5および第6の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物は、約8.49、11.38、13.58、14.24、14.74、16.01、17.03、17.93、18.60、19.15、21.80、22.62、22.92、23.29、25.29、25.57、26.23、27.29、28.07、28.61、30.24および31.83±0.2度の2θ角度を有するピークから選択される少なくとも3つのピーク(好ましくは少なくとも4つのピーク、好ましくは少なくとも5つのピーク、好ましくは少なくとも6つのピーク、好ましくは少なくとも7つのピーク、好ましくは少なくとも8つのピーク、好ましくは少なくとも9つのピーク、好ましくは少なくとも10のピーク、好ましくは少なくとも12のピーク、好ましくは少なくとも15のピーク、好ましくは少なくとも20のピーク、好ましくは22のすべてのピーク)を含むXRPDパターンを有する。好ましくは、本発明の第4、第5および第6の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物は、実質的に図1に示すとおりのXRPDスペクトルを有する。
【0048】
好ましくは、本発明の第4、第5および第6の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物は、約208℃±2℃および約221℃±2℃に吸熱ピークを有するDSCスペクトルを有する。好ましくは、本発明の第4、第5および第6の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物は、実質的に図2に示すとおりのDSCスペクトルを有する。
【0049】
好ましくは、本発明の第4、第5および第6の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物は、実質的に図3に示すとおりのTGAスペクトルを有する。
【0050】
本発明の第1、第4および第5の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物は、本発明の第2または第3の局面に従うプロセスにより調製される。
【0051】
好ましくは、本発明の第1、第5および第6の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物は、0.5%未満、好ましくは0.3%未満、好ましくは0.2%未満、好ましくは0.1%未満、好ましくは0.05%未満、最も好ましくは0.03%未満のスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート不純物(HPLC測度)を含有する。
【0052】
好ましくは、本発明の第1、第4および第6の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物は、HPLC純度が、少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、好ましくは少なくとも99.5%、好ましくは少なくとも99.6%、好ましくは少なくとも99.7%、好ましくは少なくとも99.8%、好ましくは少なくとも99.9%である。
【0053】
好ましくは、本発明の第1、第4、第5および第6の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物は、医学における使用、好ましくは呼吸器系疾患の治療に好適である。好ましくは、呼吸器系疾患は、喘息およびCOPDを含む。好ましくは、COPDは慢性気管支炎および気腫を包含する。
【0054】
本発明の第7の局面は、本発明の第1、第4、第5または第6の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物を含有する医薬組成物を提供する。好ましくは、医薬組成物は、ドライパウダー吸入器(DPI)、水溶液ネブライザーまたは加圧式定量吸入器(pMDI)における使用に好適である。好ましくは、本医薬組成物は、呼吸器系疾患の治療に好適である。好ましくは、呼吸器系疾患は、喘息およびCOPDを含む。好ましくは、COPDは慢性気管支炎および気腫を包含する。
【0055】
本発明の第8の局面は、呼吸器系疾患の治療のための医薬の製造における、本発明の第1、第4、第5および第6の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物の使用または本発明の第7の局面に従う医薬組成物の使用を提供する。好ましくは、呼吸器系疾患は喘息およびCOPDを含む。好ましくは、COPDは慢性気管支炎および気腫を包含する。
【0056】
本発明の第9の局面は、治療上有効な量の本発明の第1、第4、第5もしくは第6の局面に従うチオトロピウム臭化物無水物または治療上有効な量の本発明の第7の局面に従う医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、呼吸器系疾患の治療方法を提供する。好ましくは、呼吸器系疾患は喘息およびCOPDを含む。好ましくは、COPDは慢性気管支炎および気腫を包含する。好ましくは、患者は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に従うチオトロピウム臭化物無水物のXRPDスペクトルを示す図である。
【図2】本発明に従うチオトロピウム臭化物無水物のDSCスペクトルを示す図である。
【図3】本発明に従うチオトロピウム臭化物無水物のTGAスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明は、チオトロピウム臭化物一水和物または溶媒和物を経ずに、スコピン ジ−(2−チエニル)グリコレートから直接的にチオトロピウム臭化物無水物を調製するための方法を提供する。さらに、本発明は、溶媒和物を形成せずにチオトロピウム臭化物無水物を精製するための方法を提供する。
【0059】
本発明の第1の局面に従う新規の無水形態は、図3のTGAスペクトルに示すように、結晶水または結晶溶媒を含有しない。
【0060】
本発明の第2の局面に従う好ましいプロセスは、
(a) スコピン ジ−(2−チエニル)グリコレートの溶液およびアセトンを提供する工程と、
(b) アセトニトリル中の臭化メチルの溶液を工程(a)からの混合物に加える工程と、
(c) 工程(b)で得られた混合物からチオトロピウム臭化物無水物を単離する工程と、
(d) 固体を乾燥する工程とを
含む。
【0061】
好ましくは、完全な反応を確保するために、スコピン ジ−(2−チエニル)グリコレートはアセトン中で十分に溶解されるべきである。好ましくは、これは、アセトンおよびスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレートを25〜30℃で撹拌することにより達成される。大量(たとえば20〜50容量、好ましくは約35容量)のアセトンを用いて、反応混合物を透明に保ち、完全な変換を確保することが好ましい。
【0062】
好ましくは、工程(b)において、アセトニトリル中の臭化メチルの50%w/w溶液が使用され、好ましくは25〜30℃の温度で使用される。好ましくは、約5容量のアセトニトリル中の臭化メチルの50%w/w溶液が用いられる。
【0063】
発明者らはまた、工程(b)において、好ましくは22〜26時間、最も好ましくは約24時間、混合物を撹拌することが、完全な変換を容易にするために、特に有利であることも見出した。
【0064】
工程(c)における、結果として得られたチオトロピウム臭化物無水物の単離は、好ましい実施形態においては、濾過により実施される。さらなる好ましい実施形態においては、単離されたチオトロピウム臭化物無水物は、チオトロピウム臭化物無水物を劣化させない条件で乾燥される。ある好ましい実施形態においては、チオトロピウム臭化物無水物は、好ましくは55〜65℃で、減圧の条件下で乾燥される。最も好ましくは、チオトロピウム臭化物無水物は約60℃で乾燥される。
【0065】
チオトロピウム臭化物無水物は非常に純粋であるが、オプションとして、
(a) チオトロピウム臭化物無水物の溶液およびジメチルスルホキシドを提供する工程と、
(b) 工程(a)からの溶液に反溶媒としてアセトンを加える工程と、
(c) 工程(b)で得られた混合物から精製されたチオトロピウム臭化物無水物を単離する工程と、
(d) 固体を乾燥する工程とによって、
さらに精製することができる。
【0066】
好ましくは、チオトロピウム臭化物無水物は、25〜30℃でジメチルスルホキシドに溶解される。好ましくは、約2容量のジメチルスルホキシドが用いられる。
【0067】
好ましくは、反溶媒、好ましくはアセトンを上記溶液に加えて、固体を析出させる。好ましくは、約20〜30容量のアセトンが用いられ、好ましくは約25容量である。
【0068】
工程(c)における、結果として得られた、精製されたチオトロピウム臭化物無水物の単離は、好ましい実施形態においては、濾過により実施される。さらなる好ましい実施形態においては、単離され精製されたチオトロピウム臭化物無水物は、チオトロピウム臭化物無水物を劣化させない条件で乾燥される。ある好ましい実施形態においては、チオトロピウム臭化物無水物は、好ましくは55〜65℃で、減圧の条件下で乾燥される。最も好ましくは、チオトロピウム臭化物無水物は約60℃で乾燥される。
【0069】
チオトロピウム臭化物無水物の多形は、さらなる精製プロセスの間に変化しない。
ジメチルスルホキシドに溶解し、アセトンで析出させることにより粗チオトロピウム臭化物無水物を精製すると、スコピン ジ−(2−チエニル)グリコレートの濃度が0.1%未満、好ましくは0.05%未満、最も好ましくは0.03%未満(HPLC測度)に低下することが見出された。発明者らは、この特定の溶媒の組合せは、驚くべきことに、チオトロピウム臭化物と溶媒和物を形成しないことを見出した。
【0070】
本発明のさらなる局面に従うと、5%未満のチオトロピウム臭化物の他の多形、好ましくは3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満、好ましくは0.5%未満、好ましくは0.2%未満、最も好ましくは0.1%未満のチオトロピウム臭化物の他の多形(XRPD測定)を含有する、高い多形純度のチオトロピウム臭化物無水物が提供される。
【0071】
本発明に従うチオトロピウム臭化物無水物結晶形は、医薬投与形態または剤形の調製に有利に用いることができる。粒子の形態の場合、本発明に従う結晶形は、安定かつ自由流動性であり、先行技術の形態に関連する不安定性(たとえば、多形変換もしくは化学変換)または取扱困難性のいずれも示さない。したがって、本発明に従う結晶形は、チオトロピウム臭化物の以前に利用可能であった形態を用いて製造される投与形態に表面化し得る、一貫性のない薬剤物質溶解速度などの問題のない医薬組成物の製造に使用することができる。
【0072】
本発明のDPI組成物は、有効成分に加えて、以下の生理学的に許容される賦形剤:単糖類(例えば、グルコースまたはアラビノース)、二糖類(例えば、ラクトース、スクロース、マルトース)、オリゴ糖および多糖(例えば、デキストラン)、多価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩(例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)またはこれらの賦形剤の互いの混合物を、含有する。好ましくは、単糖類または二糖類が使用されるが、ラクトースまたはグルコースの使用が好ましく、特に、それらの水和物の形態での使用が好ましい。本発明の目的で、ラクトースは、特に好ましい賦形剤であるが、ラクトース一水和物が、特に最も好ましい。
【0073】
好ましくは、本発明のpMDIは、HFA134a、HFA227またはそれらの混合物を、推進剤ガスとして使用する。
【0074】
本発明の医薬組成物は、1つ以上の生理学的に許容される賦形剤と混和されて、約0.001〜20%チオトロピウム臭化物を含有することが好ましい。好ましい組成物は、0.01〜10%のチオトロピウム臭化物を含有し、より好ましいのは、0.01〜2%のチオトロピウム臭化物を含有する組成物であり、最も好ましいのは、0.04〜0.8%のチオトロピウム臭化物を含有する組成物である。
【0075】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるものであり、その限定と解釈されるべきではない。
【実施例】
【0076】
ここで用いられる「1容量」または「1vol」という用語は、出発材料1グラムに対して1mlの溶媒が用いられることを意味する。「2容量」または「2vol」および「3容量」または「3vol」などの用語は、それに応じて用いられる。
【0077】
スコピン ジ−(2−チエニル)グリコレートからのチオトロピウム臭化物無水物の調製
スコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート(1eq)を25〜30℃でアセトン(35vol)に溶解し、アセトニトリル中の臭化メチル(50%w/w溶液、5vol)を加えた。混合物を25〜30℃で24時間撹拌し、析出した固体を濾過し、アセトン(5vol)で洗浄した。固体を60℃真空下で乾燥し、白色固体として生成物を与えた。得られた粗チオトロピウム臭化物無水物は、図1、図2および図3にそれぞれ示されるXRPD、DSCおよびTGAスペクトルを有することがわかった。
【0078】
モル収率=95%
HPLC純度=99.5〜99.7%
チオトロピウム臭化物無水物の精製
粗チオトロピウム臭化物無水物(1eq)をDMSO(2vol)中にとり、25〜30℃で1時間撹拌した。アセトン(25vol)を徐々に加え、混合物を0〜5℃に冷やし、0〜5℃で30分間撹拌した。固体を濾過し、アセトン(3vol)で洗浄し、60℃で真空下、12時間乾燥した。得られた精製されたチオトロピウム臭化物無水物は、図1、図2および図3にそれぞれ示されるXRPD、DSCおよびTGAスペクトルを有することがわかった。
【0079】
モル収率=98%
HPLC純度≧99.9%
上記実施例で調製されたチオトロピウム臭化物無水物の粗サンプルおよび精製されたサンプルは、他の形態が全く検出されず、実質的に多形的に純粋であることがわかった(>99.7%多形的に純粋、XRPD測定)。調製された、精製されたチオトロピウム臭化物無水物はまた、他の多形への経時的な変換がなく、化学的および多形的に非常に安定であることがわかった。サンプルの安定性は、サンプルを加速安定性条件(40℃±2℃温度および75%±5%相対湿度)に6カ月間さらすことにより検査した。化学純度(HPLCによる関連物質および純度アッセイにより測定)ならびに多形純度(XRPD、DSCおよびTGAにより測定)は、6カ月間監視され、サンプルは、加速安定性条件下で6カ月後でも化学的および多形的に安定であることがわかった。
【0080】
XRPDは、X線源としてCu Kα1線を用い、検出器としてLynxEyeを用いて、Bruker D8 Advance回折装置で、2θ範囲を3°〜50°とし、ステップサイズを0.05°とし、時間/ステップを1秒として記録した。
【0081】
DSCは、10℃/分の加熱速度で、25℃〜250℃の温度範囲に亘って、Parkin Elmer Pyris 6で記録した。
【0082】
TGAは、10℃/分の加熱速度で、25℃〜250℃の温度範囲に亘って、Parkin Elmer Pyris 1で記録した。
【0083】
本発明が、例示としてのみ、上述されたことが理解されるであろう。実施例は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。さまざまな変形例および実施形態が、以下の請求項によってのみ定義される発明の範囲および精神から逸脱することなしに行なわれ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約8.49、11.38、13.58、14.24、14.74、16.01、17.03、17.93、18.60、19.15、21.80、22.62、22.92、23.29、25.29、25.57、26.23、27.29、28.07、28.61、30.24および31.83±0.2度の2θ角度を有するピークから選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを有する、チオトロピウム臭化物無水物。
【請求項2】
実質的に図1に示すとおりのXRPDスペクトルを有する、請求項1に記載のチオトロピウム臭化物無水物。
【請求項3】
約208℃±2℃および約221℃±2℃に吸熱ピークを有するDSCスペクトルを有する、請求項1または2に記載のチオトロピウム臭化物無水物。
【請求項4】
実質的に図2に示すとおりのDSCスペクトルを有する、請求項1〜3のいずれかに記載のチオトロピウム臭化物無水物。
【請求項5】
実質的に図3に示すとおりのTGAスペクトルを有する、請求項1〜4のいずれかに記載のチオトロピウム臭化物無水物。
【請求項6】
(i) 5%未満のチオトロピウム臭化物のほかの多形、および/または
(ii) 3%未満のチオトロピウム臭化物のほかの多形、および/または
(iii) 2%未満のチオトロピウム臭化物のほかの多形、および/または
(iv) 1%未満のチオトロピウム臭化物のほかの多形、および/または
(v) 0.5%未満のチオトロピウム臭化物のほかの多形、および/または
(vi) 0.2%未満のチオトロピウム臭化物のほかの多形、および/または
(vii) 0.1%未満のチオトロピウム臭化物のほかの多形
を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載のチオトロピウム臭化物無水物。
【請求項7】
(a) スコピン ジ−(2−チエニル)グリコレートの溶液および第1の有機溶媒を提供する工程と、
(b) 第2の有機溶媒中の臭化メチルの溶液を前記工程(a)からの混合物に加えるか、またはその逆に加える工程と、
(c) 前記工程(b)で得られた混合物からチオトロピウム臭化物無水物を単離する工程と、
(d) 単離した前記チオトロピウム臭化物無水物を乾燥する工程とを含む、
チオトロピウム臭化物無水物の調製のためのプロセス。
【請求項8】
前記第1の有機溶媒はケトンである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記ケトンはアセトンである、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記第2の有機溶媒はアセトニトリルである、請求項7〜9のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
乾燥温度は、約40〜80℃の間である、請求項7〜10のいずれかに記載のプロセス。
【請求項12】
乾燥温度は約60℃である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記チオトロピウム臭化物無水物をさらに精製するための追加のプロセスを含む、請求項7〜12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項14】
前記チオトロピウム臭化物をさらに精製するための前記追加のプロセスは、
(a) チオトロピウム臭化物無水物の溶液および第3の有機溶媒を提供する工程と、
(b) 前記工程(a)からの前記溶液に反溶媒として第4の有機溶媒を加える工程と、
(c) 前記工程(b)で得られた混合物から精製されたチオトロピウム臭化物無水物を単離する工程と、
(d) 単離された、前記精製されたチオトロピウム臭化物無水物を乾燥する工程とを含む、
請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記第3の有機溶媒はジメチルスルホキシドである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
反溶媒として用いられる前記第4の有機溶媒はケトンである、請求項14または15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ケトンはアセトンである、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
乾燥温度は約40〜80℃の間である、請求項14〜17のいずれかに記載のプロセス。
【請求項19】
乾燥温度は約60℃である、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
(a) チオトロピウム臭化物無水物の溶液および有機溶媒を提供する工程と、
(b) 前記工程(a)からの前記溶液に反溶媒としてさらなる有機溶媒を加える工程と、
(c) 前記工程(b)で得られた混合物から精製されたチオトロピウム臭化物無水物を単離する工程と、
(d) 単離された、前記精製されたチオトロピウム臭化物無水物を乾燥する工程とを含む、
チオトロピウム臭化物を精製するプロセス。
【請求項21】
前記工程(a)で用いる前記有機溶媒はジメチルスルホキシドである、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記工程(b)で反溶媒として用いる前記有機溶媒はケトンである、請求項20または21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記ケトンはアセトンである、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
乾燥温度は、約40〜80℃の間である、請求項20〜23のいずれかに記載のプロセス。
【請求項25】
乾燥温度は約60℃である、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
0.5%未満のスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート不純物を含有する、チオトロピウム臭化物無水物。
【請求項27】
(i) 0.3%未満のスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート不純物、および/または
(ii) 0.2%未満のスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート不純物、および/または
(iii) 0.1%未満のスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート不純物、および/または
(iv) 0.05%未満のスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート不純物、および/または
(v) 0.03%未満のスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート不純物
を含有する、請求項26に記載のチオトロピウム臭化物無水物。
【請求項28】
HPLC純度が少なくとも98%である、チオトロピウム臭化物無水物。
【請求項29】
HPLC純度が、
(i) 少なくとも99%、および/または
(ii) 少なくとも99.5%、および/または
(iii) 少なくとも99.6%、および/または
(iv) 少なくとも99.7%、および/または
(v) 少なくとも99.8%、および/または
(vi) 少なくとも99.9%
である、請求項28に記載のチオトロピウム臭化物無水物。
【請求項30】
請求項7〜25のいずれかに記載のプロセスにより調製される、チオトロピウム臭化物無水物。
【請求項31】
(i) 約8.49、11.38、13.58、14.24、14.74、16.01、17.03、17.93、18.60、19.15、21.80、22.62、22.92、23.29、25.29、25.57、26.23、27.29、28.07、28.61、30.24および31.83±0.2度の2θ角度を有するピークから選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターン、および/または
(ii) 実質的に図1に示すとおりのXRPDスペクトル、および/または
(iii) 約208℃±2℃および約221℃±2℃に吸熱ピークを有するDSCスペクトル、および/または
(iv) 実質的に図2に示すとおりのDSCスペクトル、および/または
(v) 実質的に図3に示すとおりのTGAスペクトル
を有する、請求項26〜30のいずれかに記載のチオトロピウム臭化物無水物。
【請求項32】
請求項7〜25のいずれかに記載のプロセスにより調製される、請求項1〜6または26〜29のいずれかに記載のチオトロピウム臭化物無水物。
【請求項33】
(i) 0.5%未満のスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート不純物、および/または
(ii) 0.3%未満のスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート不純物、および/または
(iii) 0.2%未満のスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート不純物、および/または
(iv) 0.1%未満のスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート不純物、および/または
(v) 0.05%未満のスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート不純物、および/または
(vi) 0.03%未満のスコピン ジ−(2−チエニル)グリコレート不純物
を含有する、請求項1〜6または28〜30のいずれかに記載のチオトロピウム臭化物無水物。
【請求項34】
HPLC純度が、
(i) 少なくとも98%、および/または
(ii) 少なくとも99%、および/または
(iii) 少なくとも99.5%、および/または
(iv) 少なくとも99.6%、および/または
(v) 少なくとも99.7%、および/または
(vi) 少なくとも99.8%、および/または
(vii) 少なくとも99.9%
である、請求項1〜6または26〜27または30のいずれかに記載のチオトロピウム臭化物無水物。
【請求項35】
(i) 医学における使用、および/または
(ii) 呼吸器系疾患の治療、および/または
(iii) 喘息またはCOPDの治療、および/または
(iv) 慢性気管支炎または気腫の治療
のための、請求項1〜6または26〜30のいずれかに記載のチオトロピウム臭化物無水物。
【請求項36】
請求項1〜6または26〜35のいずれかに記載のチオトロピウム臭化物無水物の調製のための、請求項7〜25のいずれかに記載のプロセス。
【請求項37】
請求項1〜6または26〜35のいずれかに記載のチオトロピウム臭化物無水物を含有する、医薬組成物。
【請求項38】
ドライパウダー吸入器(DPI)、水溶液ネブライザーまたは加圧式定量吸入器(pMDI)における使用のための、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
喘息または、慢性気管支炎および気腫を包含するCOPDなどの呼吸器系疾患の治療のための、請求項37または38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
呼吸器系疾患の治療のための医薬の製造における、請求項1〜6もしくは26〜35のいずれかに記載のチオトロピウム臭化物無水物の使用または請求項37〜39のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項41】
前記呼吸器系疾患は、喘息およびCOPDを含む、請求項41に記載の使用。
【請求項42】
前記COPDは、慢性気管支炎および気腫を包含する、請求項42に記載の使用。
【請求項43】
治療上有効な量の請求項1〜6もしくは26〜35のいずれかに記載のチオトロピウム臭化物無水物または治療上有効な量の請求項37〜39のいずれかに記載の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、呼吸器系疾患の治療方法。
【請求項44】
前記呼吸器系疾患は、喘息およびCOPDを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記COPDは、慢性気管支炎および気腫を包含する、請求項44に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−501041(P2013−501041A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523394(P2012−523394)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051310
【国際公開番号】WO2011/015882
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(508116469)ジェネリクス・(ユーケー)・リミテッド (34)
【Fターム(参考)】