説明

チタン合金細長素材曲げ成形装置

【課題】従来より小型で使用熱量が少なく短時間に所望の曲率及び厚さにチタン合金細長素材を湾曲成形できるチタン合金細長素材曲げ成形装置を提供することである。
【解決手段】チタン合金細長素材曲げ成形装置10は:チタン合金細長素材間欠送出機構14と;この送出機構により送り出された素材12の湾曲加工領域の一部を素材送り出し停止中に素材の長手方向と交差する方向から挟持するとともに素材を湾曲可能温度まで加熱する一対の挟持部材16f,16mを含む素材挟持加熱機構16と;そして、この加熱機構に隣接し、湾曲加工領域の一部が湾曲される曲率を有した湾曲加工面18Pを夫々が有し上記湾曲可能温度まで加熱された一対の湾曲成形型部材18f,18mを含み、上記加熱機構から送り出された素材の湾曲加工領域の加熱された一部を素材の送り出し停止中に湾曲加工面により挟持し湾曲加工面に沿わせる素材加熱湾曲加工機構18と;を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、チタン合金細長素材曲げ成形装置に関係している。
【背景技術】
【0002】
航空機製造の技術分野においては、航空機の骨格、例えば胴体や翼のフレーム、や外板は従来アルミニウム合金により作成されてきた。しかしながら近年は、航空機の外板としてアルミニウム合金よりも軽量で高強度の炭素繊維成形材が使用され始めている。
【0003】
炭素繊維成形材の航空機の外板をアルミニウム合金の航空機の骨格と組み合わせて使用する場合、これらの材料間の電位差からアルミニウム合金に腐食(電蝕)が生じ易くなる。このような事態を防止する為に、上記の組み合わせを使用する場合には、炭素繊維成形材の航空機の外板とアルミニウム合金の航空機の骨格との間に、絶縁材を介在させている。このような絶縁材は航空機の部品点数を増加させるとともに航空機の製造工程を煩雑にし、ひいては航空機の製造コストを上昇させている。
【0004】
炭素繊維成形材の航空機の外板と組み合わせて使用する航空機の骨格をチタン合金で製造すれば、これらの材料間の電位差からチタン合金に腐食が生じることはなく、炭素繊維成形材の航空機の外板とチタン合金の航空機の骨格との間に絶縁材を介在させる必要はなくなる。絶縁材を使用しないことにより航空機の部品点数は減少するとともに航空機の製造工程は簡易化し、ひいては航空機の製造コストを低減させる。しかも、チタン合金はアルミニウム合金よりも軽量で高強度である。
【0005】
とはいうものの、チタン合金はヤング率に比較して耐力が高く、室温での延性も小さいので、素材から所望の形状を有した部品を成形することが困難である。そして、需要が少ないこともあって、素材の形状も限られていた。
【0006】
従って、従来、炭素繊維成形材の航空機の外板と組み合わせて使用されるチタン合金の航空機の骨格はチタン合金のブロック状素材又は厚板状素材から所望の形状を削り出すことにより製造されている。このように製造されるチタン合金の航空機の骨格は、材料の無駄が多いとともに削り出しに時間が掛かり、製造コストが高かった。その為に、従来のアルミニウム合金の航空機の骨格に代わりチタン合金の航空機の骨格を使用するのは、例えば軍用航空機のように製造コストの上昇に見合う性能を得ることができる場合のみに限られていて、民間機には殆ど使用されていない。
【0007】
しかしながら、極く近年では、環境負荷軽減や燃料費削減の目的のために、軽量なチタン合金部品を使用する需要が急速に拡大しており、その結果として種々の形状のチタン合金素材が提供されるようになってきた。
【0008】
そのようなチタン合金素材の中には、削り出し成形加工を殆ど行なうことなく実質的に曲げ成形加工のみで航空機の骨格としての所望の形状にすることができる所定の横断面形状を有したチタン合金細長素材が含まれ、このようなチタン合金細長素材は押出型を使用して形成されている。チタン合金細長素材は削り出し成形加工を殆ど行なう必要がないとはいうものの依然として曲げ成形加工は必要としている。
【0009】
チタン合金細長素材を曲げ成形加工する装置は従来から種々研究されている。例えば米国特許第4,011,429号明細書(特許文献1)には、両端部を引っ張りプレスの1対の掴み金具により掴まれているとともに両端部間に電流を流されて加熱されているチタン合金細長素材の中央部を、電流により加熱された型部材の半円形状の型表面に対し押し当て、さらに1対の掴み金具を引っ張ることにより、チタン合金細長素材の中央部を型部材の半円形状の型表面に沿わせる、抵抗加熱引っ張り曲げ成形装置が開示されている。
【0010】
また、米国特許出願公開第US2007/0102493A1号明細書(特許文献2)及び米国特許出願公開第US2007/0261463A1号明細書(特許文献3)の夫々にも、米国特許第4,011,429号明細書(特許文献1)に記載されているのと同様な抵抗加熱引っ張り曲げ成形装置が開示されている。米国特許出願公開第US2007/0102493A1号明細書(特許文献2)及び米国特許出願公開第US2007/0261463A1号明細書(特許文献3)の夫々に記載の抵抗加熱引っ張り曲げ成形装置が米国特許第4,011,429号明細書(特許文献1)に記載されている抵抗加熱引っ張り曲げ成形装置と異なっているのは、抵抗加熱されている部分円形状の型表面を有している型部材が断熱型覆いにより覆われていることである。そして、両端部間に電流を流されて加熱されているチタン合金細長素材の中央部が断熱型覆い中で型部材の抵抗加熱されている部分円形状の型表面に対し押し当てられ、さらにチタン合金細長素材の両端部を掴んでいる1対の掴み金具を引っ張ることにより、チタン合金細長素材の中央部が断熱型覆い中で型部材の半円形状の型表面に沿わせられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,011,429号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第US2007/0102493A1号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第US2007/0261463A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述した3つのチタン合金細長素材曲げ成形装置の夫々においては、比較的大きな型部材の半円形状又は部分円形状の型表面の全体及びチタン合金細長素材の全体を加熱しなければならないし、特許文献2及び3の夫々のチタン合金細長素材曲げ成形装置は比較的大きな型部材を覆う断熱型覆いを必要としている。
【0013】
これら従来のチタン合金細長素材曲げ成形装置においては、比較的大きな型部材の型表面の全体及びチタン合金細長素材の全体を所定の温度で均一に加熱するとともに、曲げ成形加工中も所定の温度に均一に加熱しておく必要があり、そのような加熱に必要な熱量が非常に大きい。そして、これら従来のチタン合金細長素材曲げ成形装置においては、上記熱量は電力を基により作り出されているので、非常に多量の電力を必要としている。
【0014】
しかも、前述した3つのチタン合金細長素材曲げ成形装置の夫々において、型部材の加熱されている半円形状又は部分円形状の型表面に対し加熱されているチタン合金細長素材の両端部を引っ張りながら中央部を押し当て沿わせることによりチタン合金細長素材を型部材の型表面の形状に変形させるには多くの時間を必要としている。さらに、チタン合金細長素材を湾曲させる曲率を変えるには、異なった曲率の型表面を有した別の型部材を準備する必要がある。また、このような従来の曲げ成形加工中には、曲げ成形加工された製品の厚さをその長手方向において変化させることは出来なかった。
【0015】
この発明は上述した事情の下でなされ、この発明の目的は、従来よりも小型で曲げ成形加工の為に必要とする熱量も少なく、従来よりも短時間にある程度の所望の範囲の曲率を有するようチタン合金細長素材を湾曲させることができ、しかも曲げ成形加工された製品の厚さをその長手方向において変化させることが出来る、チタン合金細長素材曲げ成形装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置は:チタン合金細長素材をその長手方向に間欠的に送り出す素材間欠送出機構と;素材間欠送出機構により送り出されたチタン合金細長素材における湾曲加工領域の一部をチタン合金細長素材の送り出し停止中に上記長手方向と交差する方向から挟持する挟持面を夫々が有しているとともにチタン合金細長素材の湾曲可能温度まで加熱されている少なくとも一対の挟持部材を含んでおり、少なくとも一対の挟持部材の挟持面により挟持された湾曲加工領域の一部をチタン合金細長素材の湾曲可能温度まで加熱させる素材挟持加熱機構と;そして、素材挟持加熱機構に隣接し、湾曲加工領域の一部が湾曲される曲率を有した湾曲加工面を夫々が有しているとともに上記湾曲可能温度まで加熱された少なくとも一対の湾曲成形型部材を含んでおり、素材挟持加熱機構から送り出されたチタン合金細長素材の湾曲加工領域の加熱された一部をチタン合金細長素材の送り出し停止中に少なくとも一対の湾曲成形型部材の湾曲加工面により挟持し湾曲加工領域の加熱された一部を湾曲加工面に沿わせる素材加熱湾曲加工機構と;を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
上述した如く構成されたことを特徴としているこの発明に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置では、素材間欠送出機構によりその長手方向に間欠的に送り出されたチタン合金細長素材における湾曲加工領域の一部が、素材挟持加熱機構の少なくとも一対の挟持部材の挟持面により上記長手方向と交差する方向から挟持されることによりチタン合金細長素材の湾曲可能温度まで加熱される。素材挟持加熱機構は、少なくとも一対の挟持部材の挟持面によりチタン合金細長素材における湾曲加工領域の一部を挟持し湾曲可能温度まで加熱するので、小型で曲げ成形加工の為に必要とする熱量も少なくて良い。
【0018】
そして素材挟持加熱機構から送り出されたチタン合金細長素材の湾曲加工領域の加熱された一部は、次に、素材挟持加熱機構に隣接している素材加熱湾曲加工機構の一対の湾曲成形型部材の湾曲加工面により挟持される。一対の湾曲成形型部材は、チタン合金細長素材の湾曲加工領域の加熱された一部を引き続き湾曲可能温度まで加熱している間に湾曲加工面に沿わせる。素材加熱湾曲加工機構は、素材挟持加熱機構の少なくとも一対の挟持部材により前述した如く既に湾曲可能温度まで加熱されているチタン合金細長素材における湾曲加工領域の一部を、一対の湾曲成形型部材の湾曲加工面により挟持することによりチタン合金細長素材における湾曲加工領域の一部の湾曲可能温度を維持している間に湾曲加工面に沿わせるので、小型で曲げ成形加工の為に必要とする熱量も少なくて良い。
【0019】
チタン合金細長素材における湾曲加工領域は、チタン合金細長素材が素材間欠送出機構によりその長手方向に間欠的に送り出されている間に、その一部が素材挟持加熱機構及びそれに隣接した素材加熱湾曲加工機構を通過することにより、順次全体が従来よりも短時間にある程度の所望の範囲の曲率を有するようになる。しかも素材挟持加熱機構の少なくとも一対の挟持部材の挟持面及びそれに隣接した素材加熱湾曲加工機構の少なくとも一対の湾曲成形型部材の湾曲加工面の少なくともいずれか一方により、湾曲可能温度まで加熱されているチタン合金細長素材における湾曲加工領域の一部を挟持する力を変えることにより、曲げ成形加工された製品の厚さをその長手方向において変化させることが出来る。
【0020】
また、素材加熱湾曲加工機構の少なくとも一対の湾曲成形型部材の湾曲加工面はチタン合金細長素材における湾曲加工領域の一部を挟持すればよいので、種々の曲率の湾曲加工面を有した少なくとも一対の湾曲成形型部材を比較的安い費用で準備することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1の(A)は、この発明の一実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置の全体の概略的な平面図であり;そして、 図1の(B)は、図1の(A)中のB−B線に沿った概略的な横断面図である。
【図2】図2は、図1の(A)及び(B)中に図示されているこの発明の一実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置の動作を概略的に示す流れ図である。
【図3】図3の(A),(B),そして(C)は、図1の(A)及び(B)中に図示されているこの発明の一実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置において、成形温度と型保持時間を同じにし素材送りピッチを変えて曲げ成形した場合における曲げ成形後のT字形状横断面のチタン合金細長素材の曲率の異なりを例示する図である。
【図4】図4の(A)及び(B)は、図1の(A)及び(B)中に図示されているこの発明の一実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置において、成形温度と型保持時間を同じにし素材送りピッチを変えて曲げ成形した場合における曲げ成形後のT字形状横断面のチタン合金細長素材のフランジの変形の様子を拡大して例示する平面図である。
【図5】図5の(A)及び(B)は、図1の(A)及び(B)中に図示されているこの発明の一実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置において、成形温度と型保持時間を同じにし素材送りピッチを変えるとともにT字形状横断面のチタン合金細長素材のウエブ部分の挟持力を変えて曲げ成形した場合における曲げ成形後のT字形状横断面のチタン合金細長素材のウエブの変形の様子を拡大して例示する側面図である。
【図6】図6は、図1の(A)及び(B)中に図示されているこの発明の一実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置において、型保持時間のみ同じにし、成形時間と成形温度とを変えて曲げ成形した場合における曲げ成形後に得られたT字形状横断面のチタン合金細長素材の曲率を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図1乃至図6を参照しながら、この発明の一実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置10について説明する。
【0023】
図1の(A)及び(B)中に図示されている、この発明の一実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置10は、所定の長さの直線状で供給されるチタン合金細長素材12を曲げ成形して航空機の骨格、例えば航空機の胴体の曲率半径2.5mの骨格、を作成することを意図している。
【0024】
チタン合金細長素材12は、図1の(B)中に図示されている如きT字形状の横断面を有していて、例えば押出型を使用して形成されている。チタン合金細長素材12は航空機用のチタン合金により作成されていて、このようなチタン合金としては例えばTi―6Al―4V合金が良く知られている。
【0025】
T字形状の横断面を有しているチタン合金細長素材12は、帯板形状のフランジ12aと、フランジ12aの2つの細長い平面の一方の幅の中央から直角に立ち上がっているとともにフランジ12aの長手方向中心線に沿い延出した帯板形状のウエブ12bとを有している。そして、フランジ12a及びウエブ12bの夫々の板厚は2mmであり、またフランジ12aの幅及びウエブ12bの高さの夫々は50mmであり、ウエブ12bの根元においてウエブ12bの2つの細長い平面がフランジ12aの2つの細長い平面の一方と交わる隅は3mmの半径の曲面として成形されている。そして、チタン合金細長素材12は、約2kgの重量を有している。
【0026】
このような横断面形状と寸法とを有するよう押出型成形されたアルミニウム合金細長素材は、航空機の骨格、例えば胴体の骨格の一部、を形作るのに現在実際に使用されている。従って、このようなアルミニウム合金細長素材と同じ横断面形状と寸法とを有するよう押出型成形されたチタン合金細長素材12は、従来のこのようなアルミニウム合金細長素材の代わりに使用されることを意図している。
【0027】
チタン合金細長素材曲げ成形装置10は:前述した如く所定の長さの直線状で供給されたチタン合金細長素材12をその長手方向に間欠的に送り出す素材間欠送出機構14と;素材間欠送出機構14により送り出されたチタン合金細長素材12における湾曲加工領域の一部をチタン合金細長素材12の送り出し停止中に上記長手方向と交差する方向から挟持するととともに湾曲加工領域の一部をチタン合金細長素材12の湾曲可能温度まで加熱させる素材挟持加熱機構16と;素材挟持加熱機構16に隣接し、素材挟持加熱機構から送り出されたチタン合金細長素材の湾曲加工領域の加熱された一部をチタン合金細長素材の送り出し停止中に挟持し湾曲加工領域の加熱された一部を所定の曲率に湾曲加工する素材加熱湾曲加工機構18と;を備えている。
【0028】
チタン合金細長素材曲げ成形装置10はさらに、素材加熱湾曲加工機構18から送り出されたチタン合金細長素材12の湾曲加工領域の湾曲加工された一部の曲率を測定する曲率測定手段20も備えている。
【0029】
チタン合金細長素材曲げ成形装置10の、素材間欠送出機構14,素材挟持加熱機構16,素材加熱湾曲加工機構18,そして曲率測定手段20の夫々の主要な構成部材は共通の支持台22の水平な上面の夫々の所定の位置に配置されて図示しない公知の固定手段により固定されている。
【0030】
図1の(A)中に図示されている如く、支持台22の上面上で、素材間欠送出機構14,素材挟持加熱機構16,そして素材加熱湾曲加工機構18は、素材間欠送出機構14からその長手方向に間欠的に送り出されるチタン合金細長素材12の移動軌跡に沿って配置されており、曲率測定手段20は上記移動軌跡の延長線上で素材加熱湾曲加工機構18において湾曲された後のチタン合金細長素材12の湾曲加工領域が送り出される出口から所定距離離間して配置されている。曲率測定手段20は、例えば光を利用した非接触式の公知の構成である。
【0031】
この実施の形態において、支持台22の上面上にはさらに、素材加熱湾曲加工機構18と曲率測定手段20との間に、素材加熱湾曲加工機構18の出口から送り出された湾曲された後のチタン合金細長素材12の湾曲加工領域を水平に移動可能に支持する公知の水平移動支持機構23が設置されている。公知の水平移動支持機構23は例えばローラコンベアである。
【0032】
上記上面上にはさらに、素材間欠送出機構14と素材挟持加熱機構16との間に、素材挟持加熱機構16において発生した熱が素材間欠送出機構14の動作に影響を与えるのを防止する為の公知の遮熱手段CL、例えばエアーカーテン、が設置されている。遮熱手段CLは、その動作を制御する為の制御手段24、例えば制御プログラムを格納したパーソナルコンピュータ、に接続されていて、制御手段24は支持台22の水平な上面上の所定の位置に載置されている。
【0033】
この実施の形態において、所定の長さの直線状のチタン合金細長素材12は、素材間欠送出機構14に対し、図1の(B)中に図示されている如く支持台12の水平な上面に対しフランジ12の幅方向を垂直に向けウエブ12bの2つの細長い平面を水平にした状態で供給される。
【0034】
素材間欠送出機構14は、このように供給された所定の長さの直線状のチタン合金細長素材12のウエブ12bの2つの細長い平面を選択的に挟持する一対の挟持手段14aを有していて、チタン合金細長素材12をその長手方向に任意の時間間隔で任意の距離を間欠的に送ることが出来るよう例えば公知の単軸ロボットにより構成されている。この実施の形態の素材間欠送出機構14の公知の短軸ロボットは、一対の挟持手段14a、即ち所定の長さの直線状で供給されたチタン合金細長素材12、を1〜200mmの間で任意に設定した距離を245Nの力で一度に送ることが出来、この距離を「素材送りピッチ」といい、誤差は±0.5mmである。
【0035】
素材間欠送出機構14は、その動作を制御する為の公知の制御手段24に接続されている。
【0036】
この実施の形態において、素材挟持加熱機構16は、素材間欠送出機構14により送り出されたチタン合金細長素材12における湾曲加工領域の一部をチタン合金細長素材12の送り出し停止中に上記長手方向と交差する方向から挟持する挟持面16pを夫々が有しているとともにチタン合金細長素材12の湾曲可能温度まで加熱されている少なくとも一対の挟持部材16m,16fを含んでいる。
【0037】
この実施の形態において、素材挟持加熱機構16の一方の挟持部材16fは支持台22の水平な上面の所定の位置に固定されていて、素材間欠送出機構14により送り出されたチタン合金細長素材12における湾曲加工領域の一部のフランジ12aのウエブ12bとは反対側の平面に、図1の(B)中に図示されている如く挟持面16pを接触させている。
【0038】
この実施の形態において、素材挟持加熱機構16の他方の挟持部材16mは支持台22の水平な上面の所定の位置に固定された公知の水平方向移動アクチュエータ16a、例えば油圧ピストン、により所定の範囲で水平方向に移動可能に支持されていて、素材間欠送出機構14により送り出されたチタン合金細長素材12における湾曲加工領域の一部のフランジ12aのウエブ側の平面に対し、図1の(B)中に図示されている如く挟持面16pを接離可能である。この実施の形態において水平方向移動アクチュエータ16aの押圧力は1トンである。
【0039】
この実施の形態において、素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16m,16f中には挟持面16pの近傍に公知の荷重検知手段、例えばロードセル、及び公知の図示しない加熱手段が設けられている。公知の図示しない加熱手段は、例えば公知の温度検知器を伴った電気を使用するカートリッジヒータであり、一対の挟持部材16m,16fの挟持面16pを一様に略300℃〜略800℃の範囲内の任意の温度に加熱し保温することが出来る。即ち、素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16m,16fは、挟持面16pにより挟持したチタン合金細長素材12における湾曲加工領域の一部のフランジ12aをチタン合金細長素材12の湾曲可能温度まで加熱させることが出来る。なお、航空機用チタン合金はその成形加工の為の加熱条件を公知の規格により規定されている。
【0040】
素材挟持加熱機構16の他方の挟持部材16mの為の公知の水平方向移動アクチュエータ16a及び一対の挟持部材16m,16f中の公知の図示しない加熱手段も前述した公知の制御手段24に接続されていて、公知の制御手段24により動作を制御される。
【0041】
さらに一対の挟持部材16m,16f中の公知の荷重検知手段、例えばロードセル、も前述した公知の制御手段24に接続されていて、公知の制御手段24は公知の水平方向移動アクチュエータ16aにより一対の挟持部材16m,16fの挟持面16pを介して挟持したチタン合金細長素材12における湾曲加工領域の一部のフランジ12aに負荷した圧力を知ることが出来る。
【0042】
素材挟持加熱機構16は、少なくとも一対の挟持部材16f,16mの挟持面16pがチタン合金細長素材12の湾曲加工領域の一部のフランジ12aの2つの細長い平面を挟持している間に、素材加熱湾曲加工機構18に隣接して湾曲加工領域の一部のウエブ12bの2つの細長い平面を挟持するウエブ挟持面16wpを有した少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlをさらに備えている。
【0043】
この実施の形態において、素材挟持加熱機構16の一方のウエブ挟持部材16wlは支持台22の水平な上面の所定の位置に固定されていて、素材間欠送出機構14により送り出されたチタン合金細長素材12における湾曲加工領域の一部のウエブ12bの支持台側の細長い平面に、図1の(B)中に図示されている如くウエブ挟持面16wpを接触させている。
【0044】
この実施の形態において、素材挟持加熱機構16の他方のウエブ挟持部材16wuは支持台22の水平な上面の上方の所定の位置に図示しない支持フレームを介して固定された公知の垂直方向移動アクチュエータ16b、例えば油圧ピストン、により所定の範囲で垂直方向に移動可能に支持されていて、素材間欠送出機構14により送り出されたチタン合金細長素材12における湾曲加工領域の一部のウエブ12bの上方を向いている細長い平面に対し、図1の(B)中に図示されている如くウエブ挟持面16wpを接離可能である。この実施の形態において垂直方向移動アクチュエータ16bの押圧力は3トンである。
【0045】
この実施の形態において、素材挟持加熱機構16の少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wl中にもウエブ挟持面16wpの近傍に公知の荷重検知手段、例えばロードセル、及び公知の図示しない加熱手段が設けられている。公知の図示しない加熱手段は、例えば公知の温度検知器を伴った電気を使用するカートリッジヒータであり、一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wpを一様に略300℃〜略800℃の範囲内の任意の温度に加熱し保温することが出来る。即ち、素材挟持加熱機構16の少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlは、ウエブ挟持面16wpにより挟持したチタン合金細長素材12における湾曲加工領域の一部のウエブ12bをチタン合金細長素材12の湾曲可能温度まで加熱させることが出来る。
【0046】
素材挟持加熱機構16の他方のウエブ挟持部材16wuの為の公知の垂直方向移動アクチュエータ16b及び一対のウエブ挟持部材16wu,16wl中の公知の図示しない加熱手段も前述した公知の制御手段24に接続されていて、公知の制御手段24により動作を制御される。
【0047】
さらに一対のウエブ挟持部材16wu,16wl中の公知の荷重検知手段、例えばロードセル、も前述した公知の制御手段24に接続されていて、公知の制御手段24は公知の垂直方向移動アクチュエータ16bにより一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wpを介して挟持したチタン合金細長素材12における湾曲加工領域の一部のウエブ12bに負荷した圧力を知ることが出来る。
【0048】
この実施の形態において、素材挟持加熱機構16に隣接している素材加熱湾曲機構18は、チタン合金細長素材12の湾曲加工領域の一部を所望の曲率、前述した如く例えば2.5mの曲率半径、に湾曲させる為の所望の曲率、例えば0.5mの曲率半径、を有した湾曲加工面18pを夫々が有しているとともに前述した湾曲可能温度まで加熱された少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mを含んでいる。
【0049】
ここでチタン合金細長素材12の湾曲加工領域を湾曲させようとする所望の曲率と一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pの曲率半径とが異なっているのは、一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pにより湾曲成形加工された後のチタン合金細長素材12の湾曲加工領域にはいわゆるスプリングバックが見込まれているからであり、上記曲率半径の差異は湾曲加工される材料や湾曲加工条件により試行錯誤により決定される。
【0050】
この実施の形態において、素材加熱湾曲機構18の一方の湾曲成形型部材18fは支持台22の水平な上面の所定の位置に固定されていて、素材挟持加熱機構16から素材間欠送出機構14により送り出されたチタン合金細長素材12の湾曲加工領域の加熱された一部のフランジ12aのウエブ12bとは反対側の平面に、図1の(B)中に図示されている素材挟持加熱機構16の一方の挟持部材16fの挟持面16pと同様に、湾曲加工面18pを接触させている。
【0051】
この実施の形態において、素材加熱湾曲機構18の他方の湾曲成形型部材18mは支持台22の水平な上面の所定の位置に固定された公知の水平方向移動アクチュエータ18a、例えば油圧ピストン、により所定の範囲で水平方向に移動可能に支持されていて、素材間欠送出機構14により素材挟持加熱機構16から送り出されたチタン合金細長素材12における湾曲加工領域の加熱された一部のフランジ12aのウエブ側の平面に対し、図1の(B)中に図示されている素材挟持加熱機構16の他方の挟持部材16mの挟持面16pと同様に、湾曲加工面18pを接離可能である。この実施の形態において水平方向移動アクチュエータ18aの押圧力は10トンである。
【0052】
この実施の形態において、素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18m,18f中には湾曲加工面18pの近傍に公知の荷重検知手段、例えばロードセル、及び公知の図示しない加熱手段が設けられている。公知の図示しない加熱手段は、例えば公知の温度検知器を伴った電気を使用するカートリッジヒータであり、一対の湾曲加工面18m,18fの湾曲加工面18pを一様に略300℃〜略800℃の範囲内の任意の温度に加熱し保温することが出来る。即ち、素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18m,18fは、湾曲加工面18pにより挟持したチタン合金細長素材12における湾曲加工領域の加熱された一部の温度をチタン合金細長素材12の湾曲可能温度に保持することが出来る。
【0053】
素材加熱湾曲加工機構18の他方の湾曲成形型部材18mの為の公知の水平方向移動アクチュエータ18a及び一対の湾曲成形型部材18m,18f中の公知の図示しない加熱手段も前述した公知の制御手段24に接続されていて、公知の制御手段24により動作を制御される。
【0054】
さらに一対の湾曲成形型部材18m,18f中の公知の荷重検知手段、例えばロードセル、も前述した公知の制御手段24に接続されていて、公知の制御手段24は公知の水平方向移動アクチュエータ18aにより一対の湾曲成形型部材18m,18fの湾曲加工面18pを介して挟持したチタン合金細長素材12における湾曲加工領域の一部のフランジ12aに負荷した圧力を知ることが出来る。
【0055】
曲率測定手段20も前述した公知の制御手段24に接続されていて、曲率測定手段20は素材加熱湾曲加工機構18において湾曲された後に素材加熱湾曲加工機構18の出口から素材間欠送出機構14により水平移動支持機構23上に間欠的に送り出されたチタン合金細長素材12の湾曲加工領域の一部の曲率を測定し、測定結果を制御手段24に送る。
【0056】
次に、図1の(A)及び(B)を参照しながら構成を前述したこの発明の一実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置10において、所定の長さの直線状で素材間欠送出機構14に供給されたチタン合金細長素材12が、素材間欠送出機構14から間欠的に送り出され素材挟持加熱機構16及び素材加熱湾曲加工機構18を通過する間に所望の曲率に湾曲成形加工されるまでの全体の動作の流れの一例を図2の流れ図を参照しながら説明する。
【0057】
チタン合金細長素材曲げ成形装置10の電源スイッチが入れられる前には、素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材14a、素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16f,16m及び少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wl、そして素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mは夫々の初期位置に配置されている。
【0058】
初期位置において素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材14a及び素材挟持加熱機構16の少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlは、そこに供給される所定の長さの直線状のチタン合金細長素材12のウエブ12bの板厚よりも大きく広げられている。初期位置において素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16f,16m及び素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mは、そこに供給される所定の長さの直線状のチタン合金細長素材12のフランジ12aの板厚よりも大きく広げられている。
【0059】
さらに、初期位置の素材間欠送出機構14の少なくとも一対の挟持部材14aは、その移動可能範囲において素材挟持加熱機構16から最も遠い位置に配置されているとともにそこに供給される所定の長さの直線状のチタン合金細長素材12のウエブ12bの板厚よりも大きく広げられている。
【0060】
チタン合金細長素材曲げ成形装置10の電源スイッチが入れられると、制御手段24は、素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16f,16m及び少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlの公知の図示しない加熱手段及び素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18m中の公知の図示しない加熱手段の動作を開始させるとともに、遮熱手段CLの動作を開始させる(ST1)。
【0061】
前述した公知の図示しない加熱手段に組み合わされている公知の温度検知器がチタン合金細長素材12の所定の湾曲可能温度、この実施の形態では600℃〜500℃の範囲、に到達したことを検知する(ST2)と、所定の長さの直線状のチタン合金細長素材12が支持台22の上面上の所定の初期位置に配置される(ST3)。
【0062】
初期位置においてチタン合金細長素材12の長手方向の先端は、素材間欠送出機構14の一対の挟持手段14aの間の隙間及び素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16f,16mの間の隙間を介して素材挟持加熱機構16の少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlの間の隙間の出口(素材加熱湾曲加工機構18との隣接端)に到達される。
【0063】
支持台22の上面上の所定の初期位置への所定の長さの直線状のチタン合金細長素材12の配置は、図示しない公知の細長素材供給装置により自動的に行なうことが出来るし、手動で行なうことも出来る。
【0064】
次に、図1の(B)中に図示されている如く、初期位置のチタン合金細長素材12の先端部分のウエブ12bの2つの細長い平面を素材挟持加熱機構16の少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wpにより所定の低圧力で挟持させ、さらに初期位置のチタン合金細長素材12のフランジ12aの2つの細長い平面を素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16f,16mの挟持面16pにより所定の圧力で挟持させる(ST4)。
【0065】
素材挟持加熱機構16の少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wp及び少なくとも一対の挟持部材16f,16mの挟持面16pはそれらが挟持している初期位置のチタン合金細長素材12の先端部分のウエブ12及びフランジ12aを前述した所定の湾曲可能温度に加熱する。
【0066】
上記挟持の開始から初期位置のチタン合金細長素材12の先端部分が前述した所定の湾曲可能温度に加熱されるまでに十分な所定の時間の経過後に初期位置のチタン合金細長素材12のウエブ12bの2つの細長い平面を素材間欠送出機構14の一対の挟持手段14aにより所定の圧力で挟持させる(ST5)。
【0067】
次に、初期位置のチタン合金細長素材12の先端部分のウエブ12bの2つの細長い平面に対する図1の(B)中に図示されている如き素材挟持加熱機構16の少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wpによる挟持を開放させ、同時に初期位置のチタン合金細長素材12のフランジ12aの2つの細長い平面に対する素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16f,16mの挟持面16pによる挟持を開放させる(ST6)。
【0068】
次に、素材間欠送出機構14の一対の挟持手段14aを所望の距離(素材送りピッチ)だけ素材挟持加熱機構16に向かい移動させる(ST7)。
【0069】
上記所望の距離(素材送りピッチ)は、チタン合金細長素材12において素材挟持加熱機構16の少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wp及び素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16f,16mの挟持面16pにより挟持され前述した所定の湾曲可能温度に加熱された領域の長手方向長さの範囲内で任意の値に設定可能である。
【0070】
この結果として、チタン合金細長素材12の上記加熱領域は、素材挟持加熱機構16に隣接している素材加熱湾曲加工機構18の開放されている少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18Pの相互間の隙間に送り出される。
【0071】
次に、図1の(B)中に図示されている如く、チタン合金細長素材12の前述した先端部分に続く長手方向の一部のウエブ12bの2つの細長い平面を素材挟持加熱機構16の少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wpにより所定の低圧力で挟持させ、さらにチタン合金細長素材12の前述した先端部分に続く長手方向の上記一部のフランジ12aの2つの細長い平面を素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16f,16mの挟持面16pにより所定の圧力で挟持させる(ST8)。
【0072】
即ち、チタン合金細長素材12の前述した先端部分に続く長手方向の一部のフランジ12a及びウエブ12bを、素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16f,16mの挟持面16p及び少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wpを介し前述した所定の湾曲可能温度に加熱し前述した所定の湾曲可能温度に保持する。
【0073】
次に、チタン合金細長素材12のウエブ12bの2つの細長い平面に対する素材間欠送出機構14の一対の挟持手段14aによる挟持を開放させるとともに、一対の挟持手段14aを前述した初期位置に復帰させる(ST9)。
【0074】
次に、チタン合金細長素材12の前述した先端部分に続く長手方向の一部のウエブ12bの2つの細長い平面に対する素材挟持加熱機構16の少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wpによる挟持圧力を所定の低圧力から所定の高圧力に変更する。そしてその間に、図1の(A)中に図示されている如く、チタン合金細長素材12の前述した先端部分のフランジ12aの2つの細長い平面を素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pにより所定の圧力で挟持させ、上記2つの細長い平面を一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pに沿わせる(ST10)。
【0075】
素材挟持加熱機構16の少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wpによるチタン合金細長素材12の前述した先端部分に続く長手方向の一部のウエブ12bの2つの細長い平面に対する前述した所定の高圧力による挟持、及び素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pによるチタン合金細長素材12の前述した先端部分のフランジ12aの2つの細長い平面に対する前述した挟持は、所定の時間、この実施の形態では1分、保持される。
【0076】
この間に、素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pはチタン合金細長素材12の前述した先端部分を前述した所定の湾曲可能温度に加熱し前述した所定の湾曲可能温度に保持しており、従って素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pに挟持されているチタン合金細長素材12の前述した先端部分はクリープ効果を伴って大きな曲げ応力を残留させることなく湾曲成形加工される。
【0077】
しかも、素材挟持加熱機構16の少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wpによるチタン合金細長素材12の前述した先端部分に続く長手方向の一部のウエブ12bの2つの細長い平面に対する前述した所定の高圧力による挟持は、素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18により上述した如く湾曲成形加工されているチタン合金細長素材12の前述した先端部分と前述した先端部分に続く上述した如く湾曲成形加工されていない長手方向の一部との境界においてウエブ12bに座屈を生じさせることを効果的に阻止している。
【0078】
上述した間にはさらに、素材間欠送出機構14の初期位置にある一対の挟持手段14aによるチタン合金細長素材12のウエブ12bの2つの細長い平面に対する挟持が行われる(ST11)。
【0079】
次に、素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16f,16mの挟持面16p及び少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wpによる前述した挟持が開放され、同時に、素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pによる挟持も開放される(ST12)。
【0080】
次に、素材間欠送出機構14の一対の挟持手段14aを前述した初期位置から所望の距離(素材送りピッチ)だけ素材挟持加熱機構16に向かい移動させる(ST13)。
【0081】
この結果として、素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pにより湾曲成形加工されたチタン合金細長素材12の前述した先端部分は一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pの間から公知の水平移動支持機構23上に送り出され、そこで自然冷却されて多少のスプリングバックを生じながら前述した湾曲成形を残す。
【0082】
この実施の形態では、湾曲加工面18pの間から0.5m以上離れた位置で5分間経過するとチタン合金細長素材12の湾曲成形加工された部分の温度は100℃以下になることが確認されている。
【0083】
また上述した結果として、湾曲成形加工されたチタン合金細長素材12の前述した先端部分に続く、素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16f,16mの挟持面16p及び少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wpにより前述した所定の湾曲可能温度に加熱された前述した一部分が、素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pの間の隙間に送り出される。
【0084】
また上述した結果として、チタン合金細長素材12の前述した如く加熱された一部分に続く次の一部分が、素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16f,16mの挟持面16pの間の隙間及び少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wpの間の隙間に導入される。
【0085】
次に、図1の(B)を参照しながら(ST4)において前述したのと同様に、チタン合金細長素材12の前述した如く加熱された一部分に続く次の一部分のウエブ12bの2つの細長い平面を素材挟持加熱機構16の少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wpにより所定の低圧力で挟持させ、さらにチタン合金細長素材12の上記次の一部分のフランジ12aの2つの細長い平面を素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16f,16mの挟持面16pにより所定の圧力で挟持させる(ST14)。
【0086】
次に、チタン合金細長素材12の湾曲整形加工を継続させるかどうかが判断される(ST15)。
【0087】
継続させる場合には、前述した(ST5)から(ST14)までの各工程と同じ工程が、チタン合金細長素材12の先端部分から連続する所望の長さの複数の部分について繰り返される。
【0088】
なお、チタン合金細長素材12から湾曲整形加工して作られる製品に湾曲成形加工しない部分を含ませることも出来る。この場合には、湾曲成形加工しない部分が素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pの間の隙間に送りこまれた時に、素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mは湾曲加工面18pにより湾曲成形加工しない部分を挟持しないよう、固定されている一方の湾曲成形型部材18fに対する移動可能な他方の湾曲成形型部材18mの水平方向移動アクチュエータ18aによる移動が行なわれない。
【0089】
チタン合金細長素材12の湾曲整形加工を継続させない場合には、素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16f,16mの挟持面16p及び少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wpによる前述した挟持が開放され、さらに、素材間欠送出機構14の一対の挟持手段14aによるチタン合金細長素材12のウエブ12bの2つの細長い平面に対する挟持も開放される(ST16)。
【0090】
この後、チタン合金細長素材12は、素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pの間の隙間を介して公知の水平移動支持機構23上に引き出される。
【0091】
なお、この実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置10においては、素材加熱湾曲加工機構18から公知の水平移動支持機構23上に送り出されてきたチタン合金細長素材12の湾曲加工領域の湾曲加工された後の一部の曲率が前述した如く公知の曲率測定手段20により測定され、この測定結果が制御手段24に送られている。
【0092】
制御手段24は、上記測定結果が所定の許容範囲から外れた時に、音,光,又はその両方を使用して警告を発し、チタン合金細長素材曲げ成形装置10の動作を停止させる。
【0093】
上記測定結果が所定の許容範囲から外れた程度に応じて、制御手段24は、素材間欠送出機構14を使用してチタン合金細長素材12を引き戻し、チタン合金細長素材12において湾曲加工された直後の湾曲加工領域の一部を素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pの間の隙間に戻し、素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pにより再度湾曲成形加工することが出来る。
【0094】
その時の上記引き戻しの距離や一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pによる再度の湾曲成形加工に費やす時間や圧力は、チタン合金細長素材12の材質や寸法や所望の曲率により種々に変更可能であり、変更の程度は予め多数の実験を行いその実験結果から求めておくことが出来る。
【0095】
なお、この実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置10の、素材間欠送出機構14,素材挟持加熱機構16,素材加熱湾曲加工機構18,そして曲率測定手段20の夫々の動作は前述した如く公知の制御手段24により制御されるので、チタン合金細長素材曲げ成形装置10は自動運転が可能である。
【0096】
図3の(A),(B),そして(C)には、この実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置10において、素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pによる、相互に同じ材料で同じ寸法のチタン合金細長素材12に対する湾曲加工成形温度及び湾曲成形加工時間を同じ条件、ここでは500℃及び1分間、にし、素材間欠送出機構14を使用してチタン合金細長素材12を間欠的に送る時の素材送りピッチを変えた、ここでは(A)が150mm,(B)が100mm,そして(C)が50mm、場合に得られたチタン合金細長素材12の湾曲加工領域の全体の3つの曲率の違いを概略的に示している。
【0097】
ここからは、湾曲加工成形温度及び湾曲成形加工時間を同じ条件にすると素材送りピッチが長くなるほど、湾曲成形加工後に得られたチタン合金細長素材12の湾曲加工領域の全体の曲率が大きくなることがわかる。
【0098】
図4の(A)及び(B)には、この実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置10において、素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pによる、相互に同じ材料で同じ寸法のチタン合金細長素材12に対する湾曲加工成形温度及び湾曲成形加工時間を同じ条件、ここでは500℃及び1分間、にし、素材間欠送出機構14を使用してチタン合金細長素材12を間欠的に送る時の素材送りピッチを変えた、ここでは(A)が100mm,そして(B)が50mm、場合に得られたチタン合金細長素材12の湾曲加工領域の変形状況の違いを拡大して示している。
【0099】
図4の(A)では湾曲加工領域のフランジ12aが小さな波状のうねりを伴って全体として湾曲していることが示されていて、また図4の(B)では湾曲加工領域のフランジ12aが波状のうねりを伴うことなく全体として滑らかに湾曲していることが示されている。上記うねりは、素材送りピッチが一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pの長さよりも大きかったことにより湾曲加工領域が湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pからはみ出した部分である。
【0100】
図5の(A)及び(B)には、この実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置10において、素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pによる、相互に同じ材料で同じ寸法のチタン合金細長素材12に対する湾曲加工成形温度及び湾曲成形加工時間を同じ条件、ここでは500℃及び1分間、にし、素材間欠送出機構14を使用してチタン合金細長素材12を間欠的に送る時の素材送りピッチを変える、ここでは(A)が150mm,そして(B)が50mm、とともに素材加熱湾曲加工機構18の直前の素材挟持加熱機構16の少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wpによる挟持厚さを変えた、ここでは(A)が低圧力、そして(B)が高圧力、である。
【0101】
図5の(A)では、湾曲成形加工時にフランジ12aの内側となるウエブ12に座屈ZKが生じたことを示しており、図5の(B)では、湾曲成形加工時にフランジ12aの内側となるウエブ12に座屈ZKが生じていないことを示している。
【0102】
図6には、この実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置10において、素材加熱湾曲加工機構18の少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pによる、相互に同じ材料で同じ寸法のチタン合金細長素材12に対する湾曲成形加工時間のみを同じ、ここでは1分間、にし、湾曲加工成形温度及び素材間欠送出機構14を使用してチタン合金細長素材12を間欠的に送る時の素材送りピッチを変えたときにチタン合金細長素材12の湾曲成形加工部分に得られた曲率半径を示している。
【0103】
ここでは、同じ素材送りピッチで湾曲加工成形温度を変えても湾曲成形加工温度と得られた曲率半径との間には明瞭な相関関係は無いように思われた。これは、航空機用チタン合金の湾曲可能温度である300℃以上では、チタン合金細長素材12の耐力が低下しクリープ効果が現れ、特に素材送りピッチが小さい範囲では湾曲成形加工部分の単位長さ当たりの型保持時間が長くなりクリープ効果が十分に現れ、湾曲成形加工後の湾曲成形加工部分のスプリングバックが一定レベルに低下したためであると考えられている。
【0104】
しかし、同じ湾曲加工成形温度で素材送りピッチを変えた場合には、素材送りピッチの増加に伴い湾曲成形加工部分が得られた曲率半径が大きくなるのにはある程度明瞭な相関関係があるように思われた。これは、素材送りピッチが大きくなることにより湾曲成形加工部分の単位長さ当たりの型保持時間が短くなりクリープ効果が十分に現れず、湾曲成形加工部分の湾曲成形加工後のスプリングバックが比較的大きく現れたためであると考えられている。
【0105】
さらに、素材送りピッチが大きくなると、図4の(A)中に図示されている如く、湾曲成形加工部分のフランジ12aに波状のうねりが発生し湾曲成形加工部分は全体として湾曲しているが、その周方向に沿って区分した複数の領域では曲率半径が均一になっていない。このことは、湾曲加工成形温度が500℃で素材送りピッチが100mm以上となる場合に湾曲成形加工部分の湾曲成形加工後の曲率が大きく変動する原因であると考えられている。
【0106】
上述したことからは、曲率測定手段20が測定したチタン合金細長素材12の湾曲加工領域の湾曲加工された一部の曲率を基に、素材間欠送出機構14にチタン合金細長素材12をその長手方向に間欠的に送り出す時の送り出し長さを変えさせれば、上記曲率を所望の値にすることが出来ることを意味している。
【0107】
さらにこの実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置10においては、素材挟持加熱機構16が少なくとも一対の挟持部材16f,16mの挟持面16pによりチタン合金細長素材12の湾曲可能温度まで加熱された湾曲加工領域のフランジ12aの一部を挟持する力、及び素材加熱湾曲加工機構18が少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pによりチタン合金細長素材12の湾曲可能温度まで加熱された湾曲加工領域のフランジ12aの一部を挟持する力の少なくともいずれか一方を変化可能である。
【0108】
このことにより、チタン合金細長素材12の湾曲加工領域のフランジ12aは湾曲成形加工後にその長手方向において板厚の異なる部分を有することが出来るようになる。
【0109】
また、この実施の形態に従ったチタン合金細長素材曲げ成形装置10においては、チタン合金細長素材12の湾曲加工領域の湾曲可能温度への加熱と維持は、素材挟持加熱機構16の少なくとも一対の挟持部材16f,16mの挟持面16p及び少なくとも一対のウエブ挟持部材16wu,16wlのウエブ挟持面16wp、そして素材加熱湾曲加工機構18が少なくとも一対の湾曲成形型部材18f,18mの湾曲加工面18pとの接触によってのみ行なわれ、この間の大気との接触は非常に少ない。従って、チタン合金細長素材12の湾曲加工領域が湾曲成形加工されている間の酸化は実質的に生じない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
この発明に従った、チタン合金細長素材曲げ成形装置は、チタン合金細長素材を所望の曲率に湾曲させるのに使用され、例えば航空機製造の技術分野において航空機の骨格、例えば胴体や翼のフレーム、をチタン合金細長素材から所望の曲率に湾曲させて製造するのに使用できるし、曲げ成形加工された製品の厚さをその長手方向において変化させることも出来る。
【符号の説明】
【0111】
10…チタン合金細長素材曲げ成形装置、12…チタン合金細長素材、12a…フランジ、12b…ウエブ、14…素材間欠送出機構、14a…挟持手段、16…素材挟持加熱機構、16a…水平方向移動アクチュエータ、16b…垂直方向移動アクチュエータ、16f,16m…挟持部材、16p…挟持面、16wu,16wl…ウエブ挟持部材、16wp…ウエブ挟持面、18…素材加熱湾曲加工機構、18a…湾曲加工面、18f、18m…湾曲成形型部材、18p…水平方向移動アクチュエータ、20…曲率測定手段、22…支持台、23…水平移動支持機構、24…制御手段、CL…遮熱手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン合金細長素材をその長手方向に間欠的に送り出す素材間欠送出機構と;
素材間欠送出機構により送り出されたチタン合金細長素材における湾曲加工領域の一部をチタン合金細長素材の送り出し停止中に上記長手方向と交差する方向から挟持する挟持面を夫々が有しているとともにチタン合金細長素材の湾曲可能温度まで加熱されている少なくとも一対の挟持部材を含んでおり、少なくとも一対の挟持部材の挟持面により挟持された湾曲加工領域の一部をチタン合金細長素材の湾曲可能温度まで加熱させる素材挟持加熱機構と;そして、
素材挟持加熱機構に隣接し、湾曲加工領域の一部が湾曲される曲率を有した湾曲加工面を夫々が有しているとともに上記湾曲可能温度まで加熱された少なくとも一対の湾曲成形型部材を含んでおり、素材挟持加熱機構から送り出されたチタン合金細長素材の湾曲加工領域の加熱された一部をチタン合金細長素材の送り出し停止中に少なくとも一対の湾曲成形型部材の湾曲加工面により挟持し湾曲加工領域の加熱された一部を湾曲加工面に沿わせる素材加熱湾曲加工機構と;
を備えたことを特徴とするチタン合金細長素材曲げ成形装置。
【請求項2】
素材間欠送出機構は、チタン合金細長素材をその長手方向に間欠的に送り出す時の送り出し長さを変えることが出来る、ことを特徴とする請求項1に記載のチタン合金細長素材曲げ成形装置。
【請求項3】
素材加熱湾曲加工機構から送り出されたチタン合金細長素材の湾曲加工領域の湾曲加工された一部の曲率を測定する曲率測定手段をさらに備えている、ことを特徴とする請求項2に記載のチタン合金細長素材曲げ成形装置。
【請求項4】
素材間欠送出機構は、曲率測定手段が測定したチタン合金細長素材の湾曲加工領域の湾曲加工された一部の曲率を基に、上記曲率を所望の値にするようチタン合金細長素材をその長手方向に間欠的に送り出す時の送り出し長さを変える、ことを特徴とする請求項3に記載のチタン合金細長素材曲げ成形装置。
【請求項5】
素材挟持加熱機構が少なくとも一対の挟持部材の挟持面によりチタン合金細長素材の湾曲可能温度まで加熱された湾曲加工領域の一部を挟持する力、及び素材加熱湾曲加工機構が少なくとも一対の湾曲成形型部材の湾曲加工面によりチタン合金細長素材の湾曲可能温度まで加熱された湾曲加工領域の一部を挟持する力の少なくともいずれか一方を変化可能である、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のチタン合金細長素材曲げ成形装置。
【請求項6】
チタン合金細長素材は、帯板形状のフランジとフランジの2つの細長い平面の一方の幅の中央から立ち上がっているとともにフランジの長手方向中心線に沿い延出した帯板形状のウエブとを有したT字形状の横断面を有しており、
素材挟持加熱機構の少なくとも一対の挟持部材の挟持面及び素材加熱湾曲加工機構の少なくとも一対の湾曲成形型部材の湾曲加工面は、チタン合金細長素材の湾曲加工領域の一部のフランジの2つの細長い平面を挟持し、
素材挟持加熱機構は、少なくとも一対の挟持部材の挟持面がチタン合金細長素材の湾曲加工領域の一部のフランジの2つの細長い平面を挟持している間に湾曲加工領域の一部のウエブの2つの細長い平面を挟持するウエブ挟持面を有している少なくとも一対のウエブ挟持部材をさらに備えていて、
素材挟持加熱機構の少なくとも一対の挟持部材の挟持面及び少なくとも一対のウエブ挟持部材のウエブ挟持面は、素材加熱湾曲加工機構の少なくとも一対の湾曲成形型部材の湾曲加工面がチタン合金細長素材の湾曲加工領域の一部のフランジの2つの細長い平面を挟持している間にチタン合金細長素材の湾曲加工領域の一部のフランジの2つの細長い平面及びウエブの2つの細長い平面を挟持し、さらに
素材挟持加熱機構の少なくとも一対のウエブ挟持部材は、素材加熱湾曲加工機構の少なくとも一対の湾曲成形型部材の湾曲加工面がチタン合金細長素材の湾曲加工領域の一部のフランジの2つの細長い平面を挟持していない間にウエブ挟持面がウエブの2つの細長い平面を挟持する圧力よりも素材加熱湾曲加工機構の少なくとも一対の湾曲成形型部材の湾曲加工面がチタン合金細長素材の湾曲加工領域の一部のフランジの2つの細長い平面を挟持している間にウエブの2つの細長い平面を挟持する圧力の方を高くしている、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のチタン合金細長素材曲げ成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−264492(P2010−264492A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118699(P2009−118699)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000232645)日本飛行機株式会社 (16)
【出願人】(596179368)株式会社三栄機械 (2)
【Fターム(参考)】