説明

チャネル状態情報を制御するための方法

【課題】全体の無線電気通信ネットワークの利用可能な帯域幅の重大な部分を必要とすることなく、チャネル状況の報告を可能にする。
【解決手段】第1の電気通信デバイス20〜20によって第2の電気通信デバイス10へ転送されるチャネル状態情報を制御するための方法において、第1の電気通信デバイスは、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報を求め、第2の電気通信デバイスによって実行される以下のステップ、第1の電気通信デバイスがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数を求めるステップと、求められた個数を第1の電気通信デバイスへ転送するステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、電気通信システムに関し、詳細には、第1の電気通信デバイスによって第2の電気通信デバイスへ転送されるチャネル状態情報を制御するための方法及びデバイスに関する。
【0002】
近年、空間領域及び周波数領域における効率的な送信方式が、高データレート無線電気通信の高まる要求を満たすために研究されてきた。空間領域では、送信機側及び受信機側の双方で複数のアンテナを使用する多入力多出力(MIMO)システムが、スペクトル効率の潜在的な増加を利用するために注目を得てきた。
【0003】
MIMOシステムを使用するいくつかの送信方式では、データストリームを送信する電気通信デバイスは、自身とデータストリームの転送先の電気通信デバイスとの間に存在するチャネル状況について或る知識を有する。電気通信デバイスは、そのチャネル状況に応じて電気通信デバイスへ転送される信号を方向付けて、システムの全体性能を改善する。
【0004】
実際には、アップリンクチャネルとダウンリンクチャネルとの間のチャネル応答が、たとえば、時分割多重システムでレシプロカルである場合、チャネル状況は、次の方法に従って得られる。すなわち、基地局のような電気通信デバイスが、移動端末のような別の電気通信デバイスへパイロット信号を転送し、移動端末がパイロット信号を受信し、一例として、チャネル状況を表すチャネル行列の形で受信パイロット信号からチャネル応答を求め、パイロット信号を送信した基地局へ転送しなければならない信号を方向付けるために、求められた行列を使用する。
【0005】
求められたチャネル行列の係数は、基地局のアンテナと移動端末のアンテナとの間の複素伝搬利得である。
【0006】
複素伝搬利得のいくつかは、基地局のいくつかのアンテナと移動端末のいくつかのアンテナとの間に存在する不十分なチャネル伝搬状況を反映する。
【0007】
重大な個数の移動端末が、求められたチャネル行列のすべての係数を基地局に報告する場合、これらの係数の転送には、全体の無線電気通信ネットワークの利用可能な帯域幅の重大な部分が必要とされ、基地局は、これらのすべての係数を取り扱うために重大な計算手段を有する必要がある。
【0008】
他のチャネル状況の測定値も求めることができる。チャネル状況は、一例として、移動端末によって測定される信号対干渉雑音比である。
【0009】
重大な個数の移動端末がすべての信号対干渉雑音比を報告する場合、これらのデータの転送には、全体の無線電気通信ネットワークの利用可能な帯域幅の重大な部分が必要とされ、基地局は、これらのすべての係数を取り扱うために重大な計算手段を有する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/181739号明細書(第1頁4段落〜6段落、第2頁16段落〜17段落、第4頁38段落〜39段落、第6頁65段落〜第7頁67段落)
【特許文献2】国際公開第2004/073200号パンフレット(第1頁32行〜第3頁20行、第4頁20行目〜30行、第7頁27行〜第8頁22行、第9頁21行〜第11頁2行、第13頁24行目〜第14頁9行、図3、図7)
【特許文献3】米国特許第6473467号明細書(第8欄53行〜第10欄19行、第18欄9行〜第19欄18行、第22欄24行〜30行、第13欄11行〜21行)
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/161282号明細書(第1頁10段落〜第2頁13段落、第3頁31段落〜35段落、第8頁100段落〜第9頁103段落)
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/002468号明細書(第1頁3段落〜第2頁14段落、第3頁34段落〜第4頁41段落、第7頁71段落、第17頁202段落〜第18頁220段落)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、全体の無線電気通信ネットワークの利用可能な帯域幅の重大な部分を必要とすることなく、チャネル状況の報告を可能にする方法及びデバイスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明は、第1の電気通信デバイスによって第2の電気通信デバイスへ転送されるチャネル状態情報を制御するための方法であって、第1の電気通信デバイスは、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報を求める方法において、方法は、第2の電気通信デバイスによって実行される、以下のステップ:
第1の電気通信デバイスがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数を求めるステップと、
求められた個数を第1の電気通信デバイスへ転送するステップと
を含むことを特徴とする、チャネル状態情報を制御するための方法に関する。
【0013】
本発明は、第1の電気通信デバイスによって第2の電気通信デバイスへ転送されるチャネル状態情報を制御するためのデバイスであって、第1の電気通信デバイスは、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報を求めるデバイスにおいて、制御するためのデバイスは、第2の電気通信デバイスに含まれ、且つ、制御するためのデバイスは、
第1の電気通信デバイスがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数を求めるための手段と、
求められた個数を第1の電気通信デバイスへ転送するための手段と
を備えることを特徴とする、チャネル状態情報を制御するためのデバイスにも関する。
【0014】
したがって、第2の電気通信デバイスは、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の量を制御することができる。
【0015】
特定の特徴によれば、第1の電気通信デバイスが報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数は、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す求められた情報の個数よりも少ない。
【0016】
したがって、全体の無線電気通信ネットワークの利用可能な帯域幅のうち、チャネル状態情報を受信するのに使用される部分は削減される。
【0017】
特定の特徴によれば、第2の電気通信デバイスは、求められた個数と等しい個数のパイロット信号を第1の電気通信デバイスに割り当てる。
【0018】
したがって、利用可能なパイロット信号は効率的に使用される。
【0019】
特定の特徴によれば、第2の電気通信デバイスは、第1の電気通信デバイスからチャネル状態情報を受信し、受信されたチャネル状態情報に従って、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間における少なくとも1つのデータ群を表す信号の転送を制御する。
【0020】
したがって、ネットワークの資源を効率的な方法で割り当てることが可能である。
【0021】
特定の特徴によれば、第2の電気通信デバイスは、第2の電気通信デバイスにリンクされる第1の電気通信デバイスの個数を求める。
【0022】
第1の電気通信デバイスは、当該第1の電気通信デバイスが、第2の電気通信デバイスへ信号を転送でき、且つ、第2の電気通信デバイスから信号を受信できる場合に、第2の電気通信デバイスにリンクされている。
【0023】
特定の特徴によれば、第1の電気通信デバイスがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数は、第2の電気通信デバイスにリンクされている第1の電気通信デバイスの個数に従って求められる。
【0024】
したがって、第2の電気通信デバイスは、第1の電気通信間で公平にネットワークの資源を割り当てる。
【0025】
特定の特徴によれば、第2の電気通信デバイスは、各第1の電気通信デバイスが備えるアンテナの個数を受信し、第1の電気通信デバイスが備えるアンテナの個数に従って、各第1の電気通信デバイスがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数を求める。
【0026】
したがって、第2の電気通信デバイスは、第1の電気通信デバイスの通信能力に従って、第1の電気通信間にネットワークの資源を割り当てる。
【0027】
特定の特徴によれば、第2の電気通信デバイスは、各第1の電気通信デバイスから、第1の電気通信デバイスそれぞれのデータレートに関する要件を受信し、且つ、各第1の電気通信デバイスがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数を、データレートに関する要件に従って求める。
【0028】
したがって、第2の電気通信デバイスは、第1の電気通信デバイスの通信ニーズに従って、第1の電気通信間にネットワークの資源を割り当てる。
【0029】
特定の特徴によれば、第2の電気通信デバイスは、各第1の電気通信デバイスから、第1の電気通信デバイスそれぞれの応答遅延に関する要件を受信し、且つ、各第1の電気通信デバイスがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数は、応答遅延に関する要件に従って求められる。
【0030】
したがって、第2の電気通信デバイスは、第1の電気通信デバイスの通信ニーズに従って、第1の電気通信間にネットワークの資源を割り当てる。
【0031】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明は、第1の電気通信デバイスによって第2の電気通信デバイスへチャネル状態情報を転送するための方法であって、第1の電気通信デバイスは、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報を求める、方法において、方法は、第1の電気通信デバイスによって実行される、以下のステップ:
第1の電気通信デバイスがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数を、第2の電気通信デバイスから受信するステップと、
第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の受信された個数を含むチャネル状態情報を求めるステップと、
チャネル状態情報を第2の電気通信デバイスへ転送するステップと
を含むことを特徴とする、チャネル状態情報を転送するための方法に関する。
【0032】
本発明は、第2の電気通信デバイスへチャネル状態情報を転送する第1の電気通信デバイスであって、第1の電気通信デバイスは、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報を求める、第1の電気通信デバイスにおいて、第1の電気通信デバイスは、
第1の電気通信デバイスがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数を、第2の電気通信デバイスから受信するための手段と、
第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の受信された個数を含むチャネル状態情報を求めるための手段と、
チャネル状態情報を第2の電気通信デバイスへ転送するための手段と
を備えることを特徴とする、第1の電気通信デバイスにも関する。
【0033】
したがって、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の量は削減される。
【0034】
特定の特徴によれば、第1の電気通信デバイスは複数のアンテナを備え、第2の電気通信デバイスは複数のアンテナを備え、且つ、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報は、第1の電気通信デバイスのアンテナの1つと第2の電気通信デバイスのアンテナの1つとの間の伝搬利得である。
【0035】
したがって、第2の電気通信デバイスは、第1の電気通信デバイスによって求められる伝搬利得についての通知を受ける。
【0036】
特定の特徴によれば、伝搬利得は、ダウンリンクチャネル行列の係数であり、チャネル状態情報に含まれる、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す測定された情報は、ダウンリンクチャネル行列の特異値分解を実行することによって求められる。
【0037】
したがって、第2の電気通信デバイスは、ダウンリンクにおいて第1の電気通信デバイスにより求められる伝搬利得についての通知を受ける。
【0038】
特定の特徴によれば、伝搬利得は、アップリンクチャネル行列の係数であり、チャネル状態情報に含まれる、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す求められた情報は、アップリンクチャネル行列の特異値分解を実行することによって求められる。
【0039】
したがって、第2の電気通信デバイスは、アップリンクチャネルにおいて第1の電気通信デバイスにより求められる伝搬利得についての通知を受ける。
【0040】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明は、プログラマブルデバイス内に直接ロードすることができるコンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがプログラマブルデバイスで実行されると、本発明による方法のステップを実施するための命令又はコード部を含む、コンピュータプログラムに関する。
【0041】
このコンピュータプログラムに関する特徴及び利点は、本発明による方法及びデバイスに関係して上述したものと同じであるので、それらの特徴及び利点は、ここでは繰り返さないことにする。
【0042】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明は、第1の電気通信デバイスから第2の電気通信デバイスへ転送される信号であって、信号は、第1の電気通信デバイスが第2の電気通信デバイスにチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数を含むことを特徴とする信号に関する。
【0043】
この信号に関する特徴及び利点は、本発明による方法及びデバイスに関係して上述したものと同じであるので、それらの特徴及び利点は、ここでは繰り返さないことにする。
【0044】
本発明の特徴は、一例である実施の形態の以下の説明を読むことによってより明らかになる。上記説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による無線ネットワークのアーキテクチャを表す図である。
【図2】本発明による、第1の電気通信デバイスのアーキテクチャを表す図である。
【図3a】第1の電気通信デバイスの第1の実現モードによる、チャネルインターフェースのアーキテクチャを表す図である。
【図3b】第1の電気通信デバイスの第2の実現モードによる、チャネルインターフェースのアーキテクチャを表す図である。
【図3c】第1の電気通信デバイスの第3の実現モードによる、チャネルインターフェースのアーキテクチャを表す図である。
【図4】本発明による、第2の電気通信デバイスのアーキテクチャを表す図である。
【図5】第2の電気通信デバイスの第1の実現モードによる、第2の電気通信デバイスによって実行されるアルゴリズムである。
【図6】第2の電気通信デバイスの第2の実現モードによる、第2の電気通信デバイスによって実行されるアルゴリズムである。
【図7】第2の電気通信デバイスの第3の実現モードによる、第2の電気通信デバイスによって実行されるアルゴリズムである。
【図8】第2の電気通信デバイスの第4の実現モードによる、第2の電気通信デバイスによって実行されるアルゴリズムである。
【図9】第1の電気通信デバイスの第1の実現モードによる、第1の電気通信デバイスによって実行されるアルゴリズムである。
【図10】第1の電気通信デバイスの第2の実現モードによる、第1の電気通信デバイスによって実行されるアルゴリズムである。
【図11】第1の電気通信デバイスの第3の実現モードによる、第1の電気通信デバイスによって実行されるアルゴリズムである。
【図12】第1の電気通信デバイスの第3の実現モードによる、第1の電気通信デバイスによって転送されるチャネル状態情報の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、本発明による無線ネットワークのアーキテクチャを表す図である。
【0047】
図1の無線ネットワークでは、少なくとも1つで、好ましくは複数の第1の電気通信デバイス201又は20Kが、無線ネットワーク15を通じ、あるアップリンクチャネル及びあるダウンリンクチャネルを使用して第2の電気通信デバイス10にリンクされている。
【0048】
限定ではなく好ましくは、第2の電気通信デバイス10は、無線ネットワーク15の基地局又はノードである。第1の電気通信デバイス201〜20Kは、移動電話、携帯情報端末、又はパーソナルコンピュータのような端末である。
【0049】
電気通信ネットワーク15は、時分割複信方式(TDD)又は周波数分割複信方式(FDD)を使用する無線電気通信システムである。
【0050】
TDD方式では、アップリンクチャネル及びダウンリンクチャネルで転送される信号は、同じ周波数帯域の異なる期間に二重化される。無線ネットワーク15内で転送される信号は、同じ周波数スペクトルを共有する。電気通信ネットワーク15のアップリンクチャネルとダウンリンクチャネルとの間のチャネル応答はレシプロカルである。
【0051】
「レシプロカル」とは、ダウンリンクチャネルの状況がダウンリンク行列によって表される場合に、アップリンクチャネルの状況が、ダウンリンク行列の転置行列であるアップリンク行列によって表すことができることを意味する。
【0052】
FDD方式では、アップリンクチャネル及びダウンリンクチャネルで転送される信号は、異なる周波数帯域に二重化される。スペクトルは、異なる周波数帯域に分割され、アップリンク信号及びダウンリンク信号は、同時に送信される。電気通信ネットワーク15のアップリンクチャネルとダウンリンクチャネルとの間のチャネル応答は、完全にレシプロカルではない。
【0053】
第2の電気通信デバイス10は、ダウンリンクチャネルを通じて、最大でN個のデータ群を表す信号又はパイロット信号を第1の電気通信デバイス201〜20Kへ同時に転送し、第1の電気通信デバイス201〜20Kは、アップリンクチャネルを通じて第2の電気通信デバイス10へ信号を転送する。
【0054】
第1の電気通信デバイス201〜20Kによって転送される信号は、1つのデータ群を表す信号又はパイロット信号である。
【0055】
データ群は、一例として、少なくともヘッダフィールド及びペイロードフィールドによって構成されるフレームである。ペイロードフィールドは、通話又はビデオ転送等に関係するデータのような従来のデータを含む。
【0056】
パイロット信号は、電気通信デバイスによって知られている所定のシンボルシーケンスである。パイロット信号は、限定ではなく一例として、ウォルシュアダマール(Walsh Hadamard)シーケンスである。
【0057】
第1の電気通信デバイス20の第1の実現モードによれば、第1の電気通信デバイス201〜20Kによって転送されたパイロット信号には、ダウンリンク線形変換によって乗算される。これらの転送されたパイロット信号は、その後、チャネル状態情報を含む。
【0058】
第1の電気通信デバイス20の第2の実現モードによれば、第1の電気通信デバイス201〜20Kによって転送されたパイロット信号には、アップリンク線形変換によって乗算される。これらの転送されたパイロット信号は、その後、チャネル状態情報を含む。
【0059】
第1の電気通信デバイス20の第3の実現モードによれば、チャネル状態情報は、ビット情報の形に転送される。
【0060】
第2の電気通信デバイス10は、BSAnt1〜BSAntNで示すN個のアンテナを有する。第2の電気通信デバイス10は、好ましくは、以下で開示するように、各第1の電気通信デバイス20により転送されたチャネル状態情報に従って、各第1の電気通信デバイス201〜20Kへ転送される信号の空間的方向を制御する。
【0061】
より正確には、第2の電気通信デバイス10が、ダウンリンクチャネルを通じて、所与の第1の電気通信デバイス20kへデータ群を表す信号を送信する時、それらの信号は、ビームフォーミングを行うために最大でN回複製される。すなわち、送信信号の空間的方向を制御する。
【0062】
図1のBF1で示す楕円は、第2の電気通信デバイス10によって第1の電気通信デバイス201へ転送される、アンテナBSAnt1〜BSAntNによる放射信号のパターンを示している。
【0063】
図1のBFKで示す楕円は、第2の電気通信デバイス10によって第1の電気通信デバイス20Kへ転送される、アンテナBSAnt1〜BSAntNによる放射信号のパターンを示している。
【0064】
第1の電気通信デバイス201〜20Kは、MS1Ant1〜MS1AntM1及びMSKAnt1〜MSKAntMkでそれぞれ示すMk個のアンテナを有する。ここで、アンテナの個数Mkは、各第1の電気通信デバイス20kに応じて、k=1〜Kについて変化し得ることに留意しなければならない。各第1の電気通信デバイス201〜20Kは、以下で開示するように、第2の電気通信デバイス10へ転送される信号の空間的方向を制御する。
【0065】
各第1の電気通信デバイス201〜20Kは、ビームフォーミングを行うために、第2の電気通信デバイス10へ転送される信号をMk回複製し、且つ、複製された信号を係数によって重み付けすることにより、信号の空間的方向を制御する。すなわち、各第1の電気通信デバイス201〜20Kは、送信信号の空間的方向を制御する。
【0066】
図1のBF1で示す楕円は、第1の電気通信デバイス201によって第2の電気通信デバイス10へ転送される、アンテナMS1Ant1〜MS1AntM1による放射信号のパターンを示している。
【0067】
図1のBFKで示す楕円は、第1の電気通信デバイス20Kによって第2の電気通信デバイス10へ転送される、アンテナMSKAnt1〜MSKAntMKによる放射信号のパターンを示している。
【0068】
第1の電気通信デバイス20の第3の実現モードによれば、各第1の電気通信デバイス201〜20Kは、ビームフォーミングを行うために第2の電気通信デバイス10から受信される信号の空間的方向を制御する。すなわち、各第1の電気通信デバイス201〜20Kは、受信信号の空間的方向を制御する。
【0069】
第2の電気通信デバイス10は、各第1の電気通信デバイス20kについて、各第1の電気通信デバイス20kが両デバイス間のチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数を求める。
【0070】
各第1の電気通信デバイス20kは、第1の電気通信デバイスがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数を、第2の電気通信デバイス10から受信する。
【0071】
図2は、本発明による第1の電気通信デバイスのアーキテクチャを表す図である。
【0072】
第1の電気通信デバイス20、一例として、kが1とKとの間に含まれる第1の電気通信デバイス20kは、たとえば、バス201によって互いに接続されるコンポーネントと、図9、図10又は図11に開示するようなアルゴリズムに関係するプログラムによって制御されるプロセッサ200とに基づくアーキテクチャを有する。
【0073】
ここで、第1の電気通信デバイス20は、一変形では、1つ又は数個の専用集積回路の形で実施され、これらの専用集積回路は、以下で開示するようなプロセッサ200によって実行されるオペレーションと同じオペレーションを実行することに留意しなければならない。
【0074】
バス201は、読み出し専用メモリROM202、ランダムアクセスメモリRAM203、及びチャネルインターフェース205にプロセッサ200をリンクする。
【0075】
読み出し専用メモリROM202は、図9、図10又は図11に開示するようなアルゴリズムに関係するプログラムの命令を含む。これらの命令は、第1の電気通信デバイス20kに電源が投入される時に、ランダムアクセスメモリRAM203へ転送される。
【0076】
RAMメモリ203は、変数を収容するレジスタと、図9、図10又は図11に開示するようなアルゴリズムに関係するプログラムの命令とを含む。
【0077】
チャネルインターフェース205は、第2の電気通信デバイス10への信号の転送及び/又は第2の電気通信デバイス10からの信号の受信を可能にする。
【0078】
チャネルインターフェース205を図3a、図3b、及び図3cを参照して詳細に説明することにする。
【0079】
図3aは、第1の電気通信デバイスの第1の実現モードによるチャネルインターフェースのアーキテクチャを表す図である。
【0080】
第1の電気通信デバイスの第1の実現モードによれば、チャネルインターフェース205は、MIMOチャネル行列推定モジュール305を備える。
【0081】
MIMOチャネル行列推定モジュール305は、Mk*1の信号xk(p)=HDL,ks(p)+zk(p)を受信する。ここで、s(p)=[s1(p),…,sN(p)]Tは、第2の電気通信デバイス10によって転送されたp番目のパイロットシンボルを表す信号であり、zk(p)は、第1の電気通信デバイス20kにおけるMk*1の干渉雑音ベクトルであり、HDL,kは、第2の電気通信デバイス10と第1の電気通信デバイス20kとの間のMk*NのダウンリンクMIMOチャネル行列である。
【0082】
MIMOチャネル行列推定モジュール305は、行列HDL,kを推定する。
【0083】
m=1〜Mkであり、n=1〜Nである、行列HDL,kの各要素(m,n)は、第2の電気通信デバイス10のn番目のアンテナ及び第1の電気通信デバイス20kのm番目のアンテナからの複素伝搬利得を表す。
【0084】
チャネルインターフェース205は、ダウンリンク線形変換モジュール310を備える。ダウンリンク線形変換モジュール310は、m0*Mkの行列VTDLを使用して信号ベクトルxk(p)の線形変換を実行するための手段を備える。
【0085】
この場合、この線形変換は、m0*1の出力ベクトル
x’(p)=VTDLx(p)
x’(p)=VTDLDL,ks(p)+zk(p)’
を与える。ここで、
【0086】
【数1】

【0087】
であり、zk(p)’=VTDLk(p)である。
【0088】
ダウンリンク線形変換行列VTDLの次元は、第1の電気通信デバイス20kがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数に従って定義される。
【0089】
また、ダウンリンク線形変換行列VTDLは、以下で開示するように、第1の電気通信デバイス20kが、出力x’(p)において良好なチャネル状況を有するように定義される。
【0090】
ダウンリンク線形変換モジュール310は、第1の電気通信デバイスによって受信された信号に対して線形変換を実行する。ダウンリンク線形変換モジュール310は、第1の電気通信デバイス20kによって第2の電気通信デバイス10へ転送されたm0個のパイロット信号に対して線形変換を実行する。その後、m0個のパイロット信号はチャネル状態情報を含む。
【0091】
限定ではなく好ましくは、チャネルインターフェース205は、アップリンク方向制御モジュール315を備える。アップリンク方向制御モジュール315は、ビームフォーミングを行うために、第2の電気通信デバイス10へ転送される信号をMk回複製し、且つ、複製された信号を係数によって重み付けすることにより、信号の空間的方向を制御する。すなわち、アップリンク方向制御モジュール315は、送信信号の空間的方向を制御する。
【0092】
図3bは、第1の電気通信デバイスの第2の実現モードによるチャネルインターフェースのアーキテクチャを表す図である。
【0093】
第1の電気通信デバイスの第2の実現モードによれば、チャネルインターフェース205は、MIMOチャネル行列推定モジュール320を備える。
【0094】
MIMOチャネル行列推定モジュール320は、第1の電気通信デバイス20kと第2の電気通信デバイス10との間のN*MkのアップリンクMIMOチャネル行列である行列HUL,kも推定する。
【0095】
m=1〜Mkであり、n=1〜Nである、行列HUL,kの各要素(n,m)は、第1の電気通信デバイス20kのm番目のアンテナ及び第2の電気通信デバイス10のn番目のアンテナからの複素伝搬利得を表す。
【0096】
好ましくは、行列HUL,kは、HTDL,kに等しい。ここで、[・]Tは、[・]の転置を示す。
【0097】
チャネルインターフェース205は、アップリンク線形変換モジュール325を備える。アップリンク線形変換モジュール325は、Mk×m0の線形変換行列VULをr(p)=VULr(p)’として使用して、m0個の信号r’(p)=[r’1(p),…,r’m0(p)]TのMk×1の信号ベクトルr(p)への線形変換を実行するための手段を備える。
【0098】
アップリンク線形変換行列VULの次元は、第1の電気通信デバイス20kがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数に従って定義される。
【0099】
以下で開示するように、アップリンク線形変換行列VULも、良好なチャネル状況が第1の電気通信デバイス20kと第2の電気通信デバイス10との間で維持されるように定義される。
【0100】
アップリンク線形変換モジュール325は、第1の電気通信デバイスによって転送されるデータ群を表す信号に対して線形変換を実行する。アップリンク線形変換モジュール305は、第1の電気通信デバイス20kによって第2の電気通信デバイス10へ転送されるm0個のパイロット信号に対して線形変換を実行する。その後、それらのパイロット信号はチャネル状態情報を含む。
【0101】
限定ではなく好ましくは、チャネルインターフェース205は、アップリンク方向制御モジュール335を備える。アップリンク方向制御モジュール335は、ビームフォーミングを行うために、第2の電気通信デバイス10へ転送される信号をMk回複製し、且つ、複製された信号を係数によって重み付けすることにより、信号の空間的方向を制御する。すなわち、アップリンク方向制御モジュール335は、送信信号の空間的方向を制御する。
【0102】
図3cは、第1の電気通信デバイスの第3の実現モードによるチャネルインターフェースのアーキテクチャを表す図である。
【0103】
第1の電気通信デバイスの第3の実現モードによれば、チャネルインターフェース205は、チャネル推定モジュール340を備える。
【0104】
第2の電気通信デバイス10は、N*1の定数の異なる重みw1,…,wNに基づく一定のNの送信ビームフォーミングを使用してN個のパイロット信号s(p)=[s1(p),…,sN(p)]Tを転送する。第1の電気通信デバイス20kは、W=[w1,…,wN]であるMk*1の信号ベクトルxk(p)=HDL,kWs(p)+zk(p)を受信する。
【0105】
チャネルインターフェース205は、ダウンリンク方向制御モジュール345を備える。ダウンリンク方向制御モジュール345は、第2の電気通信デバイス10から受信される信号の空間的方向を制御する。
【0106】
ダウンリンク方向制御モジュール345は、各信号s1(p),…,sN(p)についてダウンリンクビームフォーミングを行う。
【0107】
ダウンリンク方向制御モジュール345は、ダウンリンクビームフォーミングを行うために、n=1〜NであるN個の重みvknを使用する。
【0108】
好ましくは、n番目の信号の重みvknは、最小平均二乗誤差(MMSE)重みvkn=Φ-1nによって与えられる。ここで、
【0109】
【数2】

【0110】
であり、p0は、各パイロット信号のシンボルの個数であり、[]Hは、複素共役転置を示し、[]*は、複素共役を示す。
【0111】
ダウンリンク方向制御モジュール345の出力から、チャネル推定モジュール340は、各信号s1(p),…,sN(p)のダウンリンクチャネル品質を測定する。限定ではなく好ましくは、ダウンリンクチャネル品質は、各信号s1(p)〜sN(p)についてそれぞれ求められた信号対干渉雑音比γ1〜γNである。
【0112】
限定ではなく好ましくは、チャネルインターフェース205は、アップリンク方向制御モジュール350を備える。アップリンク方向制御モジュール350は、ビームフォーミングを行うために、第2の電気通信デバイス10へ転送される信号をMk回複製し、複製された信号を係数によって重み付けすることにより、信号の空間的方向を制御する。すなわち、アップリンク方向制御モジュール350は、送信信号の空間的方向を制御する。
【0113】
図4は、本発明による第2の電気通信デバイスのアーキテクチャを表す図である。
【0114】
第2の電気通信デバイス10は、たとえば、バス401によって互いに接続されるコンポーネントと、図5〜図8に開示するようなアルゴリズムに関係するプログラムによって制御されるプロセッサ400とに基づくアーキテクチャを有する。
【0115】
ここで、第2の電気通信デバイス10は、一変形では、1つ又は数個の専用集積回路の形で実施されることが留意されなければならない。これらの専用集積回路は、以下で開示するようなプロセッサ400によって実行されるオペレーションと同じオペレーションを実行する。
【0116】
バス401は、読み出し専用メモリROM402、ランダムアクセスメモリRAM403、及びチャネルインターフェース405にプロセッサ400をリンクする。
【0117】
読み出し専用メモリROM402は、図5〜図8に開示するようなアルゴリズムに関係するプログラムの命令を含む。これらの命令は、第2の電気通信デバイス10に電源が投入された時に、ランダムアクセスメモリRAM403に転送される。
【0118】
RAMメモリ403は、変数を収容するレジスタと、図5〜図8に開示するようなアルゴリズムに関係するプログラムの命令とを含む。
【0119】
本発明によれば、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20kのそれぞれについて、第1の電気通信デバイス20kのそれぞれがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数を求める。
【0120】
本発明によれば、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス201〜20Kのそれぞれについて、少なくとも第1の電気通信デバイス201〜20Kのそれぞれによって転送されたチャネル状態情報から、第1の電気通信デバイス20kのそれぞれがデータ群を受信するのに使用する変調符号化方式を決定することができる。プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20によって転送されたチャネル状態情報に従って、どの第1の電気通信デバイス20へデータ群を表す信号を送信しなければならないかを決定することができる。プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス201〜20Kのそれぞれについて、少なくとも第1の電気通信デバイス20kのそれぞれによって転送されたチャネル状態情報から、第1の電気通信デバイス20kのそれぞれがデータ群若しくはパイロット信号を転送するのに使用する変調符号化方式を決定し、且つ/又は、どの第1の電気通信デバイス20が、第2の電気通信デバイス10へデータ群を表す信号を転送しなければならないかを決定する。
【0121】
限定はなく好ましくは、チャネルインターフェース405は、図4には図示していないダウンリンク方向制御モジュールを備える。ダウンリンク方向制御モジュールは、ビームフォーミングを行うために、第1の電気通信デバイス201〜20Kのそれぞれへ転送される信号をN回複製し、複製された信号を係数によって重み付けすることにより、信号の空間的方向を制御する。すなわち、送信信号の空間的方向を制御する。
【0122】
図5は、第2の電気通信デバイスの第1の実現モードによる第2の電気通信デバイスによって実行されるアルゴリズムである。
【0123】
本アルゴリズムは、新たな第1の電気通信デバイス20が第2の電気通信デバイス10によって検出されるごとに、且つ/又は、周期的に実行される。
【0124】
ステップS500において、第2の電気通信デバイス10のプロセッサ400は、アップリンクチャネルを通じて各第1の電気通信デバイス201〜20Kから、各第1の電気通信デバイス201〜20Kが有するアンテナの個数を表す情報を受信する。同じステップにおいて、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20の個数Kを求める。
【0125】
プロセッサ400は、アンテナの個数M1〜MK及びKをRAMメモリ403に記憶する。
【0126】
次のステップS501において、プロセッサ400は、変数m0(1)〜m0(K)の値を1に初期化する。
【0127】
次のステップS502において、プロセッサ400は、1≦k’≦Kである変数k’を選択する。好ましくは、プロセッサ400は、k’をランダムに選択する。
【0128】
次のステップS503において、プロセッサ400は、変数m0(1)〜m0(K)の合計が、第2の電気通信デバイス10が使用できる利用可能なパイロット信号の総数Cのよりも小さいか否かをチェックする。
【0129】
ここで、K≦Cであることに留意しなければならない。
【0130】
変数m0(1)〜m0(K)の合計が、利用可能なパイロット信号の総数Cと等しい場合、プロセッサ400はステップS525に移動する。
【0131】
変数m0(1)〜m0(K)の合計が、利用可能なパイロット信号の総数Cよりも小さい場合、プロセッサ400はステップS504に移動する。
【0132】
ステップS504において、プロセッサ400は、変数kを、変数k’の値に設定する。
【0133】
次のステップS505において、プロセッサ400は、変数m0(k)が、第1の電気通信デバイス20kのアンテナの個数MKと等しいか否かをチェックする。
【0134】
変数m0(k)が、第1の電気通信デバイス20kのアンテナの個数MKと等しい場合、プロセッサ400はステップS507に移動する。
【0135】
変数m0(k)が、第1の電気通信デバイス20kのアンテナの個数MKと等しくない場合、プロセッサ400はステップS506に移動する。
【0136】
ステップS506において、プロセッサ400は、変数m0(k)の値を一例として1だけ(as example of one)インクリメントし、ステップS507に移動する。
【0137】
次のステップS507において、プロセッサ400は、変数m0(1)〜m0(K)の合計が、第2の電気通信デバイス10が有する利用可能なパイロット信号の総数Cよりも小さいか否かをチェックする。
【0138】
変数m0(1)〜m0(K)の合計が、利用可能なパイロット信号の総数Cと等しい場合、プロセッサ400はステップS525に移動する。
【0139】
変数m0(1)〜m0(K)の合計が、利用可能なパイロット信号の総数Cよりも小さい場合、プロセッサ400はステップS508に移動する。
【0140】
ステップS508において、プロセッサ400は、kの値がKと等しいか否かをチェックする。
【0141】
kの値がKと等しくない場合、プロセッサ400はステップS509に移動し、変数kの値を1つだけインクリメントし、ステップS505に戻る。
【0142】
kの値がKと等しい場合、プロセッサ400はステップS515に移動する。
【0143】
ステップS515において、プロセッサ400は、変数kの値を1に設定する。
【0144】
次のステップS515において、プロセッサ400は、変数m0(k)が第1の電気通信デバイス20kのアンテナの個数MKと等しいか否かをチェックする。
【0145】
変数m0(k)が第1の電気通信デバイス20kのアンテナの個数MKと等しい場合、プロセッサ400はステップS518に移動する。
【0146】
変数m0(k)が第1の電気通信デバイス20kのアンテナの個数MKと等しくない場合、プロセッサ400はステップS517に移動する。
【0147】
ステップS517において、プロセッサ400は、変数m0(k)の値を一例として1だけインクリメントし、ステップS518に移動する。
【0148】
次のステップS518において、プロセッサ400は、変数m0(1)〜m0(K)の合計が、第2の電気通信デバイス10が有する利用可能なパイロット信号の総数Cよりも小さいか否かをチェックする。
【0149】
変数m0(1)〜m0(K)の合計が、利用可能なパイロット信号の総数Cと等しい場合、プロセッサ400はステップS525に移動する。
【0150】
変数m0(1)〜m0(K)の合計が、利用可能なパイロット信号の総数Cよりも小さい場合、プロセッサ400はステップS519に移動する。
【0151】
ステップS519において、プロセッサ400は、kの値がk’−1と等しいか否かをチェックする。
【0152】
kの値がk’−1と等しくない場合、プロセッサ400はステップS520に移動し、変数kの値を1つだけインクリメントし、ステップS516に戻る。
【0153】
kの値がk’−1と等しい場合、プロセッサ400はステップS502に戻る。
【0154】
ステップS525において、プロセッサ400は、k=1〜Kについて、変数m0(k)の値を対応する第1の電気通信デバイス20kへ転送することを指令する。
【0155】
各第1の電気通信デバイス20kについて、変数m0(k)は、第1の電気通信デバイス20kがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数である。
【0156】
次のステップS526において、第2の電気通信デバイス10のプロセッサ400は、k=1〜Kである第1の電気通信デバイス20kの少なくとも一部へのパイロット信号の転送を指令する。
【0157】
次に、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20kの少なくとも一部にそれぞれm0(k)と等しい個数のパイロット信号を割り当てる。
【0158】
次のステップS527において、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20の少なくとも一部によって転送されたチャネル状態情報の受信を検出する。
【0159】
チャネル状態情報は、パイロット信号の形又はビット情報の形で受信される。
【0160】
次のステップS528において、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20の少なくとも一部から受信されたチャネル状態情報に従って、k=1〜Kであるどの第1の電気通信デバイス20kへデータ群を転送しなければならないかを決定する。また、プロセッサ400は、各第1の電気通信デバイス20kがデータ群の受信又はデータ群の転送に使用する変調符号化方式も決定する。
【0161】
図6は、第2の電気通信デバイスの第2の実現モードによる第2の電気通信デバイスによって実行されるアルゴリズムである。
【0162】
本アルゴリズムは、新たな第1の電気通信デバイス20が第2の電気通信デバイス10によって検出されるごとに、且つ/又は、周期的に実行される。
【0163】
ステップS600において、第2の電気通信デバイス10のプロセッサ400は、アップリンクチャネルを通じて、第1の電気通信デバイス201〜20Kのそれぞれから、第1の電気通信デバイス201〜20Kのそれぞれが有するアンテナの個数を表す情報と、それらの第1の電気通信デバイスそれぞれのデータレートに関する要件DR(k)とを受信する。同じステップにおいて、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20の個数Kを求める。
【0164】
プロセッサ400は、アンテナの個数M1〜MK、データレートに関する要件DR(1)〜DR(K)、及びKをRAMメモリ403に記憶する。
【0165】
次のステップS601において、プロセッサ400は、変数m0(1)〜m0(K)の値を1に初期化する。
【0166】
次のステップS602において、プロセッサ400は、対応するMkよりも小さな変数m0(k)を含むリストを形成する。
【0167】
次のステップS603において、プロセッサ400は、形成されたリストが空であるか否かをチェックする。
【0168】
リストが空である場合、プロセッサ400はステップS607に移動する。
【0169】
リストが空でない場合、プロセッサ400はステップS604に移動する。
【0170】
ステップS604において、プロセッサ400は、リストにおいて、DR(k)/m0(k)の最大の値に対応する変数m0(k)を選択する。
【0171】
次のステップS605において、プロセッサ400は、選択された変数m0(k)の値を一例として1だけインクリメントし、ステップS606に移動する。
【0172】
次のステップS606において、プロセッサ400は、変数m0(1)〜m0(K)の合計が、第2の電気通信デバイス10が使用できる利用可能なパイロット信号の総数Cよりも小さいか否かをチェックする。ここで、K≦Cである。
【0173】
変数m0(1)〜m0(K)の合計が、利用可能なパイロット信号の総数Cと等しい場合、プロセッサ400はステップS607に移動する。
【0174】
変数m0(1)〜m0(K)の合計が、利用可能なパイロット信号の総数Cよりも小さい場合、プロセッサ400はステップS602に移動する。
【0175】
ステップS607において、プロセッサ400は、k=1〜Kについて、変数m0(k)の値を対応する第1の電気通信デバイス20kへ転送することを指令する。
【0176】
各第1の電気通信デバイス20kについて、変数m0(k)は、第1の電気通信デバイス20kがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数である。
【0177】
次のステップS608において、第2の電気通信デバイス10のプロセッサ400は、k=1〜Kである第1の電気通信デバイス20kの少なくとも一部へのパイロット信号の転送を指令する。
【0178】
次に、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20kの少なくとも一部にそれぞれm0(k)と等しい個数のパイロット信号を割り当てる。
【0179】
次のステップS609において、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20の少なくとも一部によって転送されたチャネル状態情報の受信を検出する。
【0180】
チャネル状態情報は、パイロット信号の形又はデータ群に含まれるビット情報の形で受信される。
【0181】
次のステップS610において、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20の少なくとも一部から受信されたチャネル状態情報に従って、k=1〜Kであるどの第1の電気通信デバイス20kへデータ群を転送しなければならないかを決定する。
【0182】
また、プロセッサ400は、各第1の電気通信デバイス20kがデータ群の受信又はデータ群の転送に使用する変調符号化方式も決定する。
【0183】
図7は、第2の電気通信デバイスの第3の実現モードによる、第2の電気通信デバイスによって実行されるアルゴリズムである。
【0184】
本アルゴリズムは、新たな第1の電気通信デバイス20が第2の電気通信デバイス10によって検出されるごとに、且つ/又は、周期的に実行される。
【0185】
ステップS700において、第2の電気通信デバイス10のプロセッサ400は、アップリンクチャネルを通じて、第1の電気通信デバイス201〜20Kのそれぞれから、第1の電気通信デバイス201〜20Kのそれぞれが有するアンテナの個数を表す情報と、それらの第1の電気通信デバイスそれぞれの応答遅延に関する要件DT(k)とを受信する。同じステップにおいて、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20の個数Kを求める。
【0186】
プロセッサ400は、アンテナの個数M1〜MK、応答遅延に関する要件DT(1)〜DT(K)、及びKをRAMメモリ403に記憶する。
【0187】
次のステップS701において、プロセッサ400は、変数m0(1)〜m0(K)の値を1に初期化する。
【0188】
次のステップS702において、プロセッサ400は、対応するMkよりも小さな変数m0(k)を含むリストを形成する。
【0189】
次のステップS703において、プロセッサ400は、形成されたリストが空であるか否かをチェックする。
【0190】
リストが空である場合、プロセッサ400はステップS707に移動する。
【0191】
リストが空でない場合、プロセッサ400はステップS704に移動する。
【0192】
ステップS704において、プロセッサ400は、リストにおいて、DT(k)*m0(k)の最小値に対応する変数m0(k)を選択する。
【0193】
次のステップS705において、プロセッサ400は、選択された変数m0(k)の値を一例として1だけインクリメントし、ステップS706に移動する。
【0194】
次のステップS706において、プロセッサ400は、変数m0(1)〜m0(K)の合計が、第2の電気通信デバイス10が使用できる利用可能なパイロット信号の総数Cよりも小さいか否かをチェックする。ここで、K≦Cである。
【0195】
変数m0(1)〜m0(K)の合計が、利用可能なパイロット信号の総数Cと等しい場合、プロセッサ400はステップS707に移動する。
【0196】
変数m0(1)〜m0(K)の合計が、利用可能なパイロット信号の総数Cよりも小さい場合、プロセッサ400はステップS702に移動する。
【0197】
ステップS707において、プロセッサ400は、k=1〜Kについて、変数m0(k)の値を対応する第1の電気通信デバイス20kへ転送することを指令する。
【0198】
各第1の電気通信デバイス20kについて、変数m0(k)は、第1の電気通信デバイス20kがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数である。
【0199】
次のステップS708において、第2の電気通信デバイス10のプロセッサ400は、k=1〜Kである第1の電気通信デバイス20kの少なくとも一部へのパイロット信号の転送を指令する。
【0200】
次に、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20kの少なくとも一部にそれぞれm0(k)と等しい個数のパイロット信号を割り当てる。
【0201】
次のステップS709において、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20の少なくとも一部によって転送されたチャネル状態情報の受信を検出する。
【0202】
チャネル状態情報は、パイロット信号の形又はデータ群に含まれるビット情報の形で受信される。
【0203】
次のステップS710において、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20の少なくとも一部から受信されたチャネル状態情報に従って、k=1〜Kであるどの第1の電気通信デバイス20kへデータ群を転送しなければならないかを決定する。
【0204】
また、プロセッサ400は、各第1の電気通信デバイス20kがデータ群の受信又はデータ群の転送に使用する変調符号化方式も決定する。
【0205】
図8は、第2の電気通信デバイスの第4の実現モードによる、第2の電気通信デバイスによって実行されるアルゴリズムである。
【0206】
本アルゴリズムは、新たな第1の電気通信デバイス20が第2の電気通信デバイス10によって検出されるごとに、且つ/又は、周期的に実行される。
【0207】
ステップS800において、第2の電気通信デバイス10のプロセッサ400は、アップリンクチャネルを通じて、第1の電気通信デバイス201〜20Kのそれぞれから、第1の電気通信デバイス201〜20Kのそれぞれが有するアンテナの個数を表す情報を受信する。同じステップにおいて、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20の個数Kを求める。
【0208】
プロセッサ400は、アンテナの個数M1〜MK及びKをRAMメモリ403に記憶する。
【0209】
次のステップS801において、プロセッサ400は、変数m0(1)〜m0(K)の値を1に初期化する。
【0210】
次のステップS802において、プロセッサ400は、対応するMkよりも小さな変数m0(k)を含むリストを形成する。
【0211】
次のステップS803において、プロセッサ400は、形成されたリストが空であるか否かをチェックする。
【0212】
リストが空である場合、プロセッサ400はステップS807に移動する。
【0213】
リストが空でない場合、プロセッサ400はステップS804に移動する。
【0214】
ステップS804において、プロセッサ400は、リストにおいて、Mk/m0(k)の最大の値に対応する変数m0(k)を選択する。
【0215】
次のステップS805において、プロセッサ400は、選択された変数m0(k)の値を一例として1だけインクリメントし、ステップS806に移動する。
【0216】
次のステップS806において、プロセッサ400は、変数m0(1)〜m0(K)の合計が、第2の電気通信デバイス10が使用できる利用可能なパイロット信号の総数Cよりも小さいか否かをチェックする。ここで、K≦Cである。
【0217】
変数m0(1)〜m0(K)の合計が、利用可能なパイロット信号の総数Cと等しい場合、プロセッサ400はステップS807に移動する。
【0218】
変数m0(1)〜m0(K)の合計が、利用可能なパイロット信号の総数Cよりも小さい場合、プロセッサ400はステップS802に移動する。
【0219】
ステップS807において、プロセッサ400は、k=1〜Kについて、変数m0(k)の値を対応する第1の電気通信デバイス20kへ転送することを指令する。
【0220】
各第1の電気通信デバイス20kについて、変数m0(k)は、第1の電気通信デバイス20kがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数である。
【0221】
次のステップS808において、第2の電気通信デバイス10のプロセッサ400は、k=1〜Kである第1の電気通信デバイス20kの少なくとも一部へのパイロット信号の転送を指令する。
【0222】
次に、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20kの少なくとも一部にそれぞれm0(k)と等しい個数のパイロット信号を割り当てる。
【0223】
次のステップS809において、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20の少なくとも一部によって転送されたチャネル状態情報の受信を検出する。
【0224】
チャネル状態情報は、パイロット信号の形又はデータ群に含まれるビット情報の形で受信される。
【0225】
次のステップS810において、プロセッサ400は、第1の電気通信デバイス20の少なくとも一部から受信されたチャネル状態情報に従って、k=1〜Kであるどの第1の電気通信デバイス20kへデータ群を転送しなければならないかを決定する。
【0226】
また、プロセッサ400は、各第1の電気通信デバイス20kがデータ群の受信又はデータ群の転送に使用する変調符号化方式も決定する。
【0227】
ここで、第2の電気通信デバイスの第1の実現モード、第2の実現モード、第3の実現モード、及び第4の実現モードは、一変形では、第1の電気通信デバイス20の個数及び/若しくは第1の電気通信デバイス20が有するアンテナの個数に従って、且つ/又は、データレート及び/若しくは応答遅延に関する要件に従って、m0(k)を求めるために組み合わせられることに留意しなければならない。
【0228】
各第1の電気通信デバイスについて、第1の電気通信デバイスがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数を、第1の電気通信デバイス20の個数及び/若しくは第1の電気通信デバイス20が有するアンテナの個数に従って、且つ/又は、チャネル局情報の報告についてのデータレート及び/若しくは応答遅延に関する要件に従って変更することにより、無線電気通信ネットワークの利用可能な資源がどの環境でも効率的に使用される。
【0229】
図9は、第1の電気通信デバイスの第1の実現モードによる、第1の電気通信デバイスによって実行されるアルゴリズムである。
【0230】
本アルゴリズムは、第1の電気通信デバイス201〜20Kのそれぞれによって実行される。本アルゴリズムが、第1の電気通信デバイス20kによって実行される場合が開示される。
【0231】
ステップS900において、一例として第1の電気通信デバイス20kのプロセッサ200は、変数m0(k)を含むデータ群の、チャネルインターフェース205を通じた受信を検出する。変数m0(k)は、第1の電気通信デバイス20kがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数である。
【0232】
変数m0(k)は、第2の電気通信デバイスの第1の実現モード又は第2の実現モード又は第3の実現モード又は第4の実現モードに従って求められる。
【0233】
ステップS901において、第1の電気通信デバイス20kは、チャネルインターフェース205を通じてパイロット信号xk(p)=HDL,ks(p)+zk(p)を受信する。
【0234】
次のステップS902において、MIMOチャネル行列推定モジュール305が、受信パイロット信号から行列HDL,kを推定する。
【0235】
次のステップS903において、第1の電気通信デバイス20kのプロセッサ200は、HTDL,k=UΛQHの特異値分解を行う。ここで、U=[u1,…,uN]は、N*Nのユニタリ行列であり、
【0236】
【数3】

【0237】
は、Mk*Mkのユニタリ行列であり、[]Hは、複素共役転置を示し、λ1≧…≧λd≧0であるΛ=diag[λ1,λ2,…,λd]は、d=min{Mk,N}である特異値のN*Mkの対角行列である。
【0238】
次のステップS904において、プロセッサ200は、最も大きいm0(k)個の特異値を選択する。一例として、第1の電気通信デバイス20kが3つのアンテナを有し、且つ、受信されたm0(k)が2に等しい場合、最も大きい2つの特異値のみが選択される。
【0239】
ここで、m0(k)個の特異値は、第2の電気通信デバイス10と第1の電気通信デバイス20kとの間のダウンリンクMIMOチャネル行列HDL,kから選択されることに留意しなければならない。
【0240】
次のステップS905において、プロセッサ200は、ダウンリンク線形変換行列VDLを求める。
【0241】
第1の電気通信デバイス20kは、
【0242】
【数4】

【0243】
としてVDLを求める。ここで、
【0244】
【数5】

【0245】
は、選択された特異値に対応するベクトルである。
【0246】
次に、仮想ダウンリンクMIMOチャネル
【0247】
【数6】

【0248】
が、
【0249】
【数7】

【0250】
として表される。
【0251】
次に、異なる形では、HTDL,k=UΛQHは、H*DL,kTDL,k=QΛ2Hに変換することができる。ここで、[]*は複素共役を示す。ここで我々は
【0252】
【数8】

【0253】
を得る。
【0254】
1,…,qm0(k)は、H*DL,kTDL,kの選択された固有ベクトルであるので、VDLは、
【0255】
【数9】

【0256】
によって与えられる。ここで、em〈・〉は、m番目に大きな固有値に対応する〈・〉の固有ベクトルを示す。
【0257】
ここで、電気通信システムが、時分割複信方式HTDL,k=HUL,kを使用する場合、第1の電気通信デバイス20kは、アップリンク線形変換行列VDLによって乗算されたm0(k)個のパイロット信号r’(p)を送信することに留意しなければならない。
【0258】
第2の電気通信デバイス10における受信信号は、xBS(p)=HUL,kDLr’(p)+zBS(p)によって表されるので、第2の電気通信デバイス10は、xBS(p)から、(HUL,kDLT=VTDLUL,kを取得することができる。ここで、HUL,kは、第1の電気通信デバイス20kと第2の電気通信デバイス10との間のN*MkのアップリンクMIMOチャネル行列である。
【0259】
m=1〜Mkであり、n=1〜Nである、行列HUL,kの各要素(n,m)は、第1の電気通信デバイス20kのm番目のアンテナ及び第2の電気通信デバイス10のn番目のアンテナからの複素伝搬利得を表す。
【0260】
同じステップにおいて、プロセッサ200は、求められた行列VDLをダウンリンク線形変換モジュール310へ転送する。ダウンリンク線形変換モジュール310は、m0(k)*Mkの行列VTDLを使用して信号ベクトルxk(p)の線形変換を実行するために、求められた行列VDLを使用する。
【0261】
次のステップS906において、プロセッサ200は、x’(p)を考慮してダウンリンクチャネルのチャネル状態情報を求める。
【0262】
本発明の特定の特徴によれば、チャネル状態情報は、m0(k)*Nの仮想ダウンリンクMIMOチャネル行列
【0263】
【数10】

【0264】
である。
【0265】
次のステップS907において、プロセッサ200は、アップリンクチャネルを通じて、求められたチャネル状態情報の第2の電気通信デバイス10への転送を指令する。
【0266】
好ましくは、チャネル状態情報は、ダウンリンク線形変換行列VDLによって乗算されたm0(k)個のパイロット信号を転送することによって報告される。第1の電気通信デバイスによって転送された信号には、電気通信デバイスのアンテナ間の伝搬利得も乗算されるので、第2の電気通信デバイス10におけるチャネル応答は、HUL,kDL=(VTDLUL,kTによって与えられる。
【0267】
したがって、第2の電気通信デバイス10は、m0(k)個の受信パイロット信号から仮想ダウンリンクMIMOチャネル
【0268】
【数11】

【0269】
の知識を取得する。
【0270】
ここで、チャネル状態情報は、情報ビットの形でも報告できることに留意しなければならない。
【0271】
次に、プロセッサ200はステップS900に戻る。
【0272】
図10は、第1の電気通信デバイスの第2の実現モードによる、第1の電気通信デバイスによって実行されるアルゴリズムである。
【0273】
本アルゴリズムは、第1の電気通信デバイス201〜20kのそれぞれによって実行される。本アルゴリズムが、第1の電気通信デバイス20kによって実行される場合が開示される。
【0274】
ステップS100において、一例として第1の電気通信デバイス20kのプロセッサ200は、変数m0(k)を含むデータ群の、チャネルインターフェース205を通じた受信を検出する。変数m0(k)は、第1の電気通信デバイス20kがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数である。
【0275】
変数m0(k)は、第2の電気通信デバイスの第1の実現モード又は第2の実現モード又は第3の実現モード又は第4の実現モードに従って求められる。
【0276】
ステップS101において、第1の電気通信デバイス20kは、チャネルインターフェース205を通じてパイロット信号xk(p)=HDL,ks(p)+zk(p)を受信する。
【0277】
次のステップS102において、MIMOチャネル行列推定モジュール320が、アップリンクチャネル行列HUL,kを推定する。
【0278】
TDD方式では、電気通信ネットワーク15のアップリンクチャネルとダウンリンクチャネルとの間のチャネル応答としてのHUL,k=HTDL,kはレシプロカルである。
【0279】
FDD方式では、電気通信ネットワーク15のアップリンクチャネルとダウンリンクチャネルとの間のチャネル応答は、完全にレシプロカルではない。しかしながら、アップリンクチャネル及びダウンリンクチャネルは、特に大きな利得を有するチャネルでは、類似の特性を有するので、HUL,k=HTDL,kも考慮することができる。
【0280】
次のステップS103において、第1の電気通信デバイス20kのプロセッサ200は、HUL,k=UUΛUUHの特異値分解を行う。ここで、UU=[uU1,…,uUN]は、N*Nのユニタリ行列であり、QU=[qU1,…,qUMk]は、Mk*Mkのユニタリ行列であり、λU1≧…≧λUd≧0であるΛU=diag[λU1,λU2,…,λUd]は、d=min{Mk,N}である実数の特異値のN*Mkの対角行列である。
【0281】
次のステップS104において、プロセッサ200は最も大きいm0(k)個の特異値を選択する。
【0282】
0(k)個の特異値は、第1の電気通信デバイス20kと第2の電気通信デバイス10との間のアップリンクMIMOチャネル行列HUL,kから選択されることにも留意しなければならない。
【0283】
次のステップS105において、プロセッサ200は線形変換行列VULを求める。
【0284】
第1の電気通信デバイス20kは、
【0285】
【数12】

【0286】
としてVULを求める。
【0287】
仮想アップリンクMIMOチャネル
【0288】
【数13】

【0289】
は、この場合、
【0290】
【数14】

【0291】
として表される。
【0292】
DLについて開示したのと同じように、VULは、
【0293】
【数15】

【0294】
によって与えられる。ここで、em〈・〉は、m番目に大きな固有値に対応する〈・〉の固有ベクトルを示す。
【0295】
次のステップS105において、プロセッサ200は、求められた行列VULをアップリンク線形変換モジュール325へ転送する。アップリンク線形変換モジュール325は、r(p)=VULr(p)’として線形変換行列VULを使用して、m0(k)個の信号r’(p)=[r’1(p),…,r’m0(k)(p)]Tの信号ベクトルr(p)への線形変換を実行するために、求められた行列VULを使用する。
【0296】
次のステップS107において、プロセッサ200は、求められたチャネル状態情報をアップリンクチャネルを通じて第2の電気通信デバイス10へ転送することを指令する。
【0297】
好ましくは、チャネル状態情報は、p0個のシンボルr’(1),…,r’(p0)から成るm0(k)個のパイロット信号をチャネルインターフェース205を通じて第2の電気通信デバイス10へ転送することによって報告される。
【0298】
次に、プロセッサ200はステップS100に戻る。
【0299】
図11は、第1の電気通信デバイスの第3の実現モードによる、第1の電気通信デバイスによって実行されるアルゴリズムである。
【0300】
本アルゴリズムは、各第1の電気通信デバイス201〜20Kによって実行される。本アルゴリズムが、第1の電気通信デバイス20kによって実行される場合が開示される。
【0301】
ステップS110において、一例として第1の電気通信デバイス20kのプロセッサ200は、変数m0(k)を含むデータ群の、チャネルインターフェース205を通じた受信を検出する。変数m0(k)は、第1の電気通信デバイス20kがチャネル状態情報として報告しなければならない、第1の電気通信デバイスと第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報の個数である。
【0302】
変数m0(k)は、第2の電気通信デバイスの第1の実現モード又は第2の実現モード又は第3の実現モード又は第4の実現モードに従って求められる。
【0303】
ステップS111において、第1の電気通信デバイス20kは、チャネルインターフェース205を通じてパイロット信号を受信する。
【0304】
第2の電気通信デバイス10は、N*1の定数の異なる重みw1,…,wNに基づく一定のNの送信ビームフォーミングを使用してN個のパイロット信号s(p)=[s1(p),…,sN(p)]Tを転送する。
【0305】
第1の電気通信デバイス20kは、W=[w1,…,wN]であるMk*1の信号ベクトルxk(p)=HDL,kWs(p)+zk(p)を受信する。
【0306】
ダウンリンク方向制御モジュール345は、各信号s1(p),…,sN(p)についてダウンリンクビームフォーミングを行う。
【0307】
ダウンリンク方向制御モジュール345は、ダウンリンクビームフォーミングを行うために、n=1〜NであるN個の重みvknを使用する。
【0308】
好ましくは、n番目の信号の重みvknは、vkn=Φ-1nによって与えられる。ここで、
【0309】
【数16】

【0310】
である。
【0311】
次のステップS112において、プロセッサ200は、各信号s1(p),…,sN(p)について推定されたダウンリンクチャネル品質を転送するように、チャネルインターフェース205のチャネル推定モジュール340に指令する。
【0312】
ダウンリンク方向制御モジュール345の出力から、チャネル推定モジュール340は、各信号s1(p),…,sN(p)のダウンリンクチャネル品質を測定する。限定ではなく好ましくは、ダウンリンクチャネル品質は、各信号s1(p)〜sN(p)について出力vTk1k(p),…,vTkNk(p)においてそれぞれ求められた信号対干渉雑音比γ1〜γNである。
【0313】
次のステップS113において、プロセッサ200は、N個の信号対干渉雑音比γ1〜γNの中で最も大きいm0(k)個の信号対干渉雑音比を選択する。
【0314】
次のステップS114において、プロセッサ200は、選択された最も大きいm0(k)個の信号対干渉雑音比をチャネル状態情報として第2の電気通信デバイス10へアップリンクチャネルを通じて転送することを指令する。
【0315】
図12は、第1の電気通信デバイスの第3の実現モードによる、第1の電気通信デバイスによって転送されるチャネル状態情報の一例である。
【0316】
チャネル状態情報は、CQI(1)〜CQI(3)によって表される最も大きいm0(k)個(本例ではm0(k)=3)の信号対干渉雑音比と、選択された最も大きい信号対干渉雑音比に対応するビームフォーマの識別子n1〜n3とから成る。
【0317】
チャネル状態情報は、1つのデータ群で転送される。
【0318】
他の多くの技法を本発明に使用することもできる。
【0319】
一例として、すでに説明したように、第1の電気通信デバイス20kは、その第1の電気通信デバイスのアンテナと第2の電気通信デバイスのアンテナとの間の伝搬利得を求める。
【0320】
第1の電気通信デバイス20kは、ダウンリンクチャネル行列
【0321】
【数17】

【0322】
を形成する。ここで、m=1〜Mkであるhmは、1*Nのベクトルである。
【0323】
第1の電気通信デバイス20kは、その第1の電気通信デバイスのアンテナのそれぞれについて、伝播利得群を形成し、群の中で最も高いノルムを有するものを決定する。
【0324】
第1の電気通信デバイスは、決定された伝播利得の中で、最も高いm0(k)個のノルムを有する1つ又は複数の群を、決定された伝播利得のサブセットとして選択する。
【0325】
第1の電気通信デバイス20kは、‖h1‖,…,‖hMk‖の中で最も大きいm0(k)個の値‖hm‖を有するm0(k)個のアンテナを自身のMk個のアンテナの中から選択する。
【0326】
たとえば、第1の電気通信デバイス20kは4つのアンテナを有し、m0(k)=2であり、‖h1‖及び‖h3‖は‖h2‖及び‖h4‖よりも高い。
【0327】
ダウンリンク線形変換行列VDLは、この場合、
【0328】
【数18】

【0329】
に等しい。
【0330】
したがって、
【0331】
【数19】

【0332】
したがって、仮想MIMOダウンリンクチャネルは、最も高い伝搬利得‖h1‖及び‖h3‖のみを含む。
【0333】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムにおいて、第1の電気通信デバイスによって第2の電気通信デバイスへ送信されるチャネル状態情報を制御するための方法であって、
前記通信システムは、複数の前記第1の電気通信デバイスと、前記第2の電気通信デバイスとを含み、
前記第1の電気通信デバイスは、前記第1の電気通信デバイスと前記第2の電気通信デバイスとの間で転送される信号の品質を表す情報を求め、
前記方法は、
前記第1の電気通信デバイスと前記第2の電気通信デバイスとの間で転送される前記信号の前記品質を表す情報の、量に関する個別制御用パラメータを、前記第2の電気通信デバイスが設定するステップと、
設定された前記個別制御用パラメータを、前記第2の電気通信デバイスが前記第1の電気通信デバイスに送信するステップと、
送信された前記個別制御用パラメータを、前記第1の電気通信デバイスが前記第2の電気通信デバイスから受信するステップと、
前記第1の電気通信デバイスと前記第2の電気通信デバイスとの間で転送される前記信号の前記品質を表す情報を、前記個別制御用パラメータに基づいて、前記第1の電気通信デバイスが求めるステップと、
前記第1の電気通信デバイスと前記第2の電気通信デバイスとの間で転送される前記信号の前記品質を表す情報を含む、チャネル状態情報を、前記第1の電気通信デバイスが前記第2の電気通信デバイスへ送信するステップと
を含む、チャネル状態情報を制御するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−188499(P2011−188499A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−73086(P2011−73086)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【分割の表示】特願2007−164263(P2007−164263)の分割
【原出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】