説明

チャンバの他の部品のエロージョンを最小限に留めつつ、プラズマ閉じ込めリングの迅速な洗浄を行うための装置、システムおよび方法

プラズマエッチングチャンバの他のコンポーネントのエロージョンを最小限に留めながら、プラズマ閉じ込めリングから迅速にポリマーフィルムを除去するために使用される装置が開示される。装置は、センターアセンブリと、電極板と、閉じ込めリングスタックと、第1のプラズマ源と、第2のプラズマ源とを含む。電極板は、その外周に沿ってチャネルが画定されているセンターアセンブリの表面に貼付される。チャネル内に、センターアセンブリの外周に沿って第1のプラズマ源が配置され、第1のプラズマ源は、閉じ込めリングスタックの内周表面にプラズマを向けるように構成される。第1のプラズマ源から離れて位置する第2のプラズマ源は、エッチングチャンバ内の基板に対する処理作業を実施するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
集積回路やメモリセルなどのような半導体デバイスの製作において、半導体ウエハ(「ウエハ」)上の機能を画定するために一連の製造作業が行われる。ウエハは、シリコン基板上に画定されたマルチレベル構造の形態をなす集積回路デバイスを含む。基板レベルでは、拡散領域を有するトランジスタデバイスが形成される。次のレベルでは、相互接続メタライジングラインがパターニングされ、トランジスタデバイスと電気的に接続されて所望の集積回路デバイスを画定する。また、パターニングされた導電層が、誘電体によって他の導電層から絶縁される。
【0002】
プラズマ処理の間、閉じ込めリングまたは平行なリングの組が、プラズマエッチングチャンバを取り囲み、プラズマがエッチングチャンバを超えてより大きな真空チャンバへと広がることを防止する。一般に、これらのリングは、プラズマの拡散を防ぎながら、真空チャンバにガスを流入させるように設計される。この構成は、フィルムの選択的エッチングまたはフィルムの堆積のために必要となり得る、プラズマ重合化学との関連において使用されることが多い。そのようなポリマーは、炭化水素、フルオロカーボン、および/またはヒドロフルオロカーボンを成分とし得、また窒素、酸素、ケイ素、アルミニウム、モリブデン、チタン、タンタル、銅、コバルト、またはタングステンをも含み得る。プラズマエッチングチャンバの表面上へのポリマーフィルムの堆積が、一部の場合には望まれ得、また他の場合には有害となり得る。にもかわらず、生産サイクルを通して安定した不変の反応器条件を維持するために、各プラズマエッチング作業後にエッチングチャンバ表面からポリマーフィルムを除去することが、しばしば必要となる。
【0003】
これらのフィルムを除去する従来の方法は、ウエハが存在しないときにエッチングチャンバ内で、その場(in−situ)洗浄プラズマを照射することを含む。しかしながら、閉じ込めリングからポリマーフィルムを除去することは、しばしば問題を伴なう。閉じ込めリング上へのポリマー堆積の大部分が、それらのリングの内径表面に見られることは周知である。一般的には、その場洗浄に必要な時間の長さは、閉じ込めリングからのポリマーフィルムの比較的効率の悪い除去速度によって決定される。反応器内の他のポリマー被覆表面は、それよりも著しく短いその場洗浄プラズマへの曝露によって、完全に洗浄され得る。閉じ込めリングの比較的効率の悪い洗浄の結果として、洗浄プロセスの時間は所望の時間よりも長くなり得、それは、プラズマエッチングチャンバの処理量を減少させ、最終的には集積回路デバイス生産のコストおよびサイクル時間を増加させることになる。問題をさらに複雑化するものとして、その場洗浄はしばしば、静電チャックや上部電極パネルのような高価なプラズマエッチングチャンバ部品の、早期のエロージョンをもたらす。
【0004】
上記に鑑み、プラズマエッチングチャンバの他のコンポーネントのエロージョンを最小限に留めながら、プラズマ閉じ込めリングからポリマーフィルムを除去するうえで効果的な、迅速なその場洗浄の方法、装置、またはシステムが必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概略的には、本発明は、プラズマエッチングチャンバの他のコンポーネントのエロージョンを最小限に留めながら、プラズマ閉じ込めリングから迅速にポリマーフィルムを除去するための、改善された装置、方法、およびシステムを提供することによって、上述の必要性を満たす。本発明は、装置、方法、およびシステムを含む、多数の様式で実装され得ることが理解されるべきである。本発明のいくつかの創意に富んだ実施形態が、以下に記載される。
【0006】
一実施形態において、プラズマエッチングチャンバの他のコンポーネントのエロージョンを最小限に留めながら、プラズマ閉じ込めリングから迅速にポリマーフィルムを除去するために使用される装置が、開示される。装置は、センターアセンブリと、電極板と、閉じ込めリングスタックと、第1のプラズマ源と、第2のプラズマ源とを含む。電極板は、その外周に沿って画定されたチャネルを有するセンターアセンブリの、表面に貼付される。チャネル内に、センターアセンブリの外周に沿って、第1のプラズマ源が配置され、第1のプラズマ源は、閉じ込めリングスタックの内周表面にプラズマを向けるように構成される。第1のプラズマ源から離れて配置される第2のプラズマ源は、エッチングチャンバ内の基板に対する処理作業を実施するように構成される。
【0007】
別の実施形態において、プラズマチャンバ内の閉じ込めリングスタックを洗浄するための方法が開示される。閉じ込めリングスタックはプラズマチャンバ内のウエハサポートに対して実質的に直角方向に移動され、その結果として、リングスタックの内周表面が、第1のプラズマ源からある距離だけ離れて位置する。第1のプラズマ源は、第2のプラズマ源から離れて位置する。プラズマガスがチャンバに供給され、第1のプラズマ源を使用して、第1の量のプラズマが、閉じ込めリングスタックの内周表面に供給される。
【0008】
さらに別の実施形態において、プラズマエッチングチャンバの他のコンポーネントのエロージョンを最小限に留めながら、プラズマ閉じ込めリングから迅速にポリマーフィルムを除去するために使用される、異なる装置が開示される。装置は、センターアセンブリと、電極板と、複数の閉じ込めリングと、加熱コンポーネントと、第1のプラズマ源と、第2のプラズマ源とを含む。電極板は、その外周に沿って画定されたチャネルを有するセンターアセンブリの、表面に貼付される。チャネル内に、センターアセンブリの外周に沿って、第1のプラズマ源が配置され、第1のプラズマ源は、複数の閉じ込めリングの内周表面にプラズマを向けるように構成される。加熱要素は、閉じ込めリングに近接して配置され、リングの内周表面に熱を供給するように構成される。第2のプラズマ源は、第1のプラズマ源から離れて位置し、エッチングチャンバ内の基板に対する処理作業を実施するように構成される。
【0009】
本発明は、添付の図面を併用して、以下の詳細な説明によって容易に理解される。同じ参照番号は同じ構造要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】図1Aは、本発明の一実施形態によるプラズマエッチングチャンバの、様々な機能コンポーネントの上面図である。
【図1B】図1Bは、本発明の一実施形態による、閉じ込めリングスタックが非上昇位置にあるときの、プラズマエッチングチャンバの断面側面図である。
【図1C】図1Cは、本発明の一実施形態による、上昇位置にある閉じ込めリングスタックに隣接して位置する専用誘導結合プラズマ源を有する、プラズマエッチングチャンバの断面側面図である。
【図1D】図1Dは、本発明の一実施形態による、上昇位置にある閉じ込めリングスタックに隣接して位置する専用誘導結合プラズマ源を有する、プラズマエッチングチャンバの断面側面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態による、上昇位置にある閉じ込めリングスタックに隣接して位置する専用微小中空陰極アレイプラズマ源を有する、プラズマエッチングチャンバの断面側面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態による、上昇位置にある閉じ込めリングスタックに隣接して位置する専用誘導結合プラズマ源を有する、プラズマエッチングチャンバの断面側面図である。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施形態による、上昇位置にある閉じ込めリングスタックに隣接して位置する専用誘導結合プラズマ源に結合された加熱コンポーネントを有する、プラズマエッチングチャンバの側面図である。
【図4B】図4Bは、本発明の一実施形態による、同時エッチングチャンバ洗浄モードで操作中の、プラズマエッチングチャンバの側面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による、プラズマチャンバの複数の閉じ込めリングを洗浄するための方法の、流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
プラズマエッチングチャンバの他のコンポーネントのエロージョンを最小限に留めながら、プラズマ閉じ込めリングから迅速にポリマーフィルムを除去するための方法、装置、およびシステムに関する発明が記載される。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細の一部または全てがなくても実施され得ることが、当業者に明らかである。他の場合において、本発明を不必要に不明瞭にしないために、周知の処理作業は詳細には記載されない。
【0012】
本明細書で使用される場合に、半導体は任意のシリコンベースの材料で作製され得る。一実施形態において、基板は半導体ウエハであり、それは、シリコンの結晶のような、半導体材料の薄いスライスであり、その上に、様々な材料の拡散および堆積によって超小型回路が構築される。本書では、半導体基板および半導体ウエハという用語は、交換可能に使用される。本明細書において、実施形態によって開示されるものは、本質的に、プラズマエッチングチャンバの閉じ込めリングのその場洗浄のための方法、装置、およびシステムである。本明細書で定義される場合に、閉じ込めリングのその場洗浄とは、チャンバからリングを取り外すことを必要とせずに、プラズマエッチングチャンバ内で生じるリングの洗浄を指す。
【0013】
図1Aは、本発明の一実施形態によるプラズマエッチングチャンバの、様々な機能コンポーネントの上面図を示す。本実施形態において、プラズマエッチングチャンバ100は、チャンバ壁層102と、閉じ込めリング層104と、洗浄プラズマ源層108とを含む、一連の同心円層として示されている。洗浄プラズマ源層108は、閉じ込めリング層104の内周表面に隣接して位置し、閉じ込めリングの内周表面からのポリマーの不純物の除去を達成するために、洗浄プラズマ106を閉じ込めリング層104の内周表面に向けるように構成される。
【0014】
一実施形態において、洗浄プラズマ源は、誘導結合電極である。別の実施形態において、プラズマ源は、微小中空陰極アレイである。さらに別の実施形態において、プラズマ源は、容量結合電極である。洗浄プラズマ106は、プラズマ源が閉じ込めリング層104の全ての内周表面を洗浄プラズマに対して曝露するように配置され得、かつ閉じ込めリング層104の内周表面からポリマーフィルムを除去するために十分な量の洗浄プラズマ106を送達し得る限りにおいて、任意の種類のプラズマ源によって供給され得ることが、理解されるべきである。
【0015】
引き続き図1Aを参照すると、一実施形態において、閉じ込めリング層104は単一のプラズマリングから成る。別の実施形態において、閉じ込めリング層104は、その間にギャップを介して互いの上に重ねられた複数のリングから成る。
【0016】
図1Bは、本発明の一実施形態による、閉じ込めリングのスタックが非上昇位置にあるときの、プラズマエッチングチャンバの断面側面図を示す。この図では、チャンバの中心軸105からチャンバ壁102にわたる、プラズマエッチングチャンバの半径方向の断面図が示されている。プラズマチャンバの上部側には、上方の電極板112の上面と結合したセンターアセンブリ103がある。チャンバ壁102に面するセンターアセンブリ103の外表面に沿って、チャネルが画定されている。チャネル内には、閉じ込めリングスタックの内周表面に近接した領域内に洗浄プラズマ106を照射するように構成された、誘導結合プラズマ源109(すなわち、コイルおよび筐体)が配置されている。プラズマチャンバの基部には、静電チャック(ESC)110が配置され、それは、下部電極板111の上面と結合している。上部電極と下部電極112との間の空間は、主エッチングチャンバ101であり、ここで基板のプラズマエッチング作業が行われる。上部電極112および下部電極111は、主エッチングチャンバ101内にプラズマを照射し、ESC110上に置かれた基板をエッチングするように構成される。
【0017】
本明細書で示されるように、閉じ込めリングのスタック116は、プラズマエッチング作業中には一般的である非上昇位置に示されている。一実施形態において、複数のロッド(図示せず)が、下部電極板111と実質的に直角方向に閉じ込めリングを貫通して挿入される。ロッドは、プラズマエッチング作業の終わりにスタック116が誘導結合プラズマ源109に実質的に隣接するように、電動式駆動部(図示せず)と協同して閉じ込めリングのスタック116を上昇するように構成される、ガイドレールとして機能する。リング駆動システムは、現在利用可能な任意の駆動システムであり得る。
【0018】
一実施形態において、誘導結合プラズマ源109の出力設定は、約100ワットから約2000ワットまでの間である。別の実施形態において、出力設定は約400ワットと1500ワットの間である。さらに別の実施形態において、出力設定は約800ワットと1200ワットの間である。しかしながら、得られる洗浄プラズマ106が、リングまたはエッチングチャンバの他のコンポーネント(例えば、ESC110、電極111〜112、など)にダメージを与えることなく、閉じ込めリング116の内周表面からポリマーの不純物を除去し得る限りにおいて、誘導結合プラズマ源109は本質的に任意の出力設定に設定され得ることが、理解されるべきである。
【0019】
図1Cは、本発明の一実施形態による、上昇位置にある閉じ込めリングのスタックに隣接して位置する専用誘導結合プラズマ源を有する、プラズマエッチングチャンバの断面側面図である。本明細書において示されるように、チャンバの中心軸105からチャンバ壁102にわたる、プラズマエッチングチャンバの半径方向の断面図が示されている。プラズマチャンバの上部側には、上方の電極板112の上面と結合したセンターアセンブリ103がある。チャンバ壁102に面するセンターアセンブリ103の外表面に沿って、チャネルが画定されている。チャネル内には、リングのスタック116の内周表面に対して洗浄プラズマ106を向けるように構成された、誘導結合プラズマ源109(すなわちコイルおよび筐体)が配置されている。この図(すなわち図1C)では、誘導結合プラズマ源109がチャネルの基部に沿って配置されるように描かれているが、これは、プラズマ源109がチャネル内に配置され得る様式を制限することを意味しないことが、理解されるべきである。プラズマ源109が閉じ込めリングの内周表面を実質的に洗浄するために十分な量のプラズマを向けるように構成され得る限りにおいて、誘導結合プラズマ源109は、チャネル内の任意の構成、位置、または配向にも配置され得る。プラズマチャンバの基部に、静電チャック(ESC)110が配置され、それは、下部電極板111の上面と結合している。上述のように、上部電極と下部電極111との間の空間は、主エッチングチャンバ空間101であり、ここで基板のプラズマエッチング作業が行われる。上部電極112および下部電極111は、エッチングチャンバ101内にプラズマを照射し、ESC110上に置かれた基板をエッチングするように構成される。
【0020】
本実施形態において、閉じ込めリングのスタック116は上昇位置にある状態で示され、その位置において、専用誘導結合プラズマ源109がリングのスタック116の内周表面に対して洗浄プラズマ106を向け、それらの表面上の任意の不純物の集積(例えば、ポリマーなど)を実質的に除去するように構成される。一実施形態において、リング116の内周表面と誘導結合プラズマ源109(すなわち、コイルおよび筐体)の外表面との間の距離は、約0.5ミリメートル(mm)と約15mmとの間である。別の実施形態において、距離は約1mmと約10mmとの間である。さらに別の実施形態において、距離は約2mmと約5mmとの間である。閉じ込めリング116の内周表面と結合誘導プラズマ源109の外表面との間の距離は、リング116の温度、誘導結合プラズマ源109が配置されるチャネル内で維持される圧力、および誘導結合プラズマ源109の出力設定を含む、複数の要因と関連することが理解されるべきである。誘導結合プラズマ源109がリング116にダメージを与えることなくリング116上に堆積したポリマー不純物を除去する限りにおいて、誘導結合プラズマ源109の外表面とリング116の内周表面との間に維持される距離は、本質的に任意の値に設定され得る。一実施形態において、リング116の温度は、約25℃から約500℃までの間に維持される。別の実施形態において、リング116の温度は、約100℃から400℃までの間に設定される。さらに別の実施形態において、リング116の温度は、270℃と330℃との間に設定される。
【0021】
一般に、閉じ込めリング116からのポリマー不純物の除去速度は、リング116の温度に依存する。リング116が保持される温度が高いほど、リング116からの不純物除去速度は速くなる。設定がプラズマエッチングチャンバの様々なコンポーネント(例えば、ESC110、電極111〜112、など)にダメージを与えず、適正な不純物除去速度が達成される限りにおいて、リング116の温度は任意の値に設定され得ることが理解されるべきである。
【0022】
一実施形態において、誘導結合プラズマ源109の外表面と閉じ込めリング116の内周表面との間の空間の圧力設定は、約1ミリトルと1トルとの間に維持される。別の実施形態において、空間の圧力設定は、5ミリトルと100ミリトルとの間に設定される。さらに別の実施形態において、空間の圧力設定は、10ミリトルと50ミリトルとの間に設定される。誘導結合プラズマ源109によって照射される洗浄プラズマ106の密度が、閉じ込めリング116の表面からポリマー不純物を適正に除去するために十分である限りにおいて、圧力は任意の値に設定され得ることが理解されるべきである。
【0023】
図1Dは、本発明の一実施形態による、上昇位置にある閉じ込めリングのスタックに隣接して配置された専用誘導結合プラズマ源を有する、プラズマエッチングチャンバの断面側面図である。この図では、チャンバの中心軸105からチャンバ壁102にわたる、プラズマエッチングチャンバの半径方向の断面図が示されている。プラズマチャンバの上部側には、上方の電極板112の上面と結合したセンターアセンブリ103がある。チャンバ壁102に面するセンターアセンブリ103の外表面に沿ってチャネルが画定されている。チャネル内には誘導結合プラズマ源109が配置されている。センターアセンブリ103の上面を通ってチャネル内に画定された空間内に達する、ガス送達ライン118が示されている。ガス送達ライン118は、誘導結合プラズマ源109による洗浄プラズマ106の照射中に、空間にフィードガスを送達するように構成される。プラズマチャンバの基部には、下部電極板111の上面と結合した静電チャック(ESC)110が配置される。
【0024】
一実施形態において、フィードガスは、チャネル内に画定された空間に供給される前に、約100℃と約500℃との間の温度に加熱される。加熱されたガスは、閉じ込めリング116の内周表面の温度を増加させ、洗浄プラズマ106によって達成される全体的な不純物除去速度を改善する。一般に、チャネル内の空間は、加熱されたプラズマガスによって閉じ込めリング116の内周表面が十分に加熱されるように、実質的に気密性を有しなければならない。プラズマガス送達ライン118によって送達されるフィードガスの例は、O、O、HO、H、CO、CO、N、NH、H、CF、C、NF、SF、F、XeF、He、Ne、Ar、Kr、Xe、およびそれらの組み合わせを含む。しかしながら、閉じ込めリング116の内周表面からポリマー不純物を適正に除去し得る洗浄プラズマ106が生成される限りにおいて、本質的に任意の種類のフィードガスが、ガスライン118によって送達され得ることが理解されるべきである。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態による、上昇位置にある閉じ込めリングのスタックに隣接して配置された専用微小中空陰極アレイプラズマ源を有する、プラズマエッチングチャンバの断面側面図である。この図では、チャンバの中心軸105からチャンバ壁102にわたる、プラズマエッチングチャンバの半径方向の断面図が示されている。プラズマチャンバの上部側には、上方の電極板112の上面と結合したセンターアセンブリ103がある。チャンバ壁102に面するセンターアセンブリ103の外表面に沿ってチャネルが画定されている。チャネル内には、閉じ込めリングのスタック116の内周表面に向けて洗浄プラズマ106を照射するように構成される、微小中空陰極アレイプラズマ源202が配置されている。プラズマチャンバの基部には、下部電極板111の上面と結合した静電チャック(ESC)110が配置される。上部電極112と下部電極111との間の空間が、主エッチングチャンバ101であり、ここで基板のプラズマエッチング作業が行われる。上部電極112および下部電極111は、エッチングチャンバ101内にプラズマを照射して、ESC110上に配置された基板をエッチングするように構成される。
【0026】
本実施形態において、洗浄プラズマ106が、閉じ込めリングのスタック116の内周表面上の任意の不純物(例えば、ポリマー、など)の集積を実質的に除去するために照射される。一実施形態において、内周リング116と微小中空陰極アレイプラズマ源202との間の距離は、約0.5ミリメートル(mm)と約10mmとの間である。別の実施形態において、距離は約1mmと約5mmとの間である。さらに別の実施形態において、距離は約1mmと約2mmとの間である。微小中空陰極アレイプラズマ源202が、リング116にダメージを与えることなくリング116上に堆積したポリマー不純物を除去するように構成され得る限りにおいて、微小中空陰極アレイプラズマ源202とリング116の内周表面との間に維持される距離は、本質的に任意の値に設定され得ることが理解されるべきである。
【0027】
さらに図2に関して、一実施形態においては、ガス送達ラインが、センターアセンブリ103の上面を通ってチャネル内に画定された空間内に達する。ガス送達ラインは、微小中空陰極アレイプラズマ源202による洗浄プラズマ106の作業中に、空間にガスを送達するように構成される。フィードガスは、特定の閉じ込めリング116洗浄作業の要件に依存して選択的に、加熱されるかまたは室温で送達され得る。
【0028】
一実施形態において、微小中空陰極アレイプラズマ源202は、閉じ込めリングのスタック116の内周表面に面して位置するプラズマ源の、表面上に実質的に均一に配列された複数の微小中空陰極空洞を有するように構成される。一実施形態において、空洞は、約100ミクロンと約5000ミクロンとの間の内径を有する。別の実施形態において、空洞は、約500ミクロンから約3000ミクロンまでの間の内径を有する。さらに別の実施形態において、空洞は、約500ミクロンと約2000ミクロンとの間の内径を有する。空洞の内径の選択は、微小中空陰極アレイプラズマ源202と閉じ込めリング116との間に画定される空間内の、プラズマ作動圧力と関連することが理解されるべきである。一般に、空洞の内径が小さいほど、微小中空陰極アレイプラズマ源202が同じ不純物除去速度を達成する洗浄プラズマ106を維持するために、必要とされる圧力は高くなる。
【0029】
引き続き図2を参照すると、一実施形態において、微小中空陰極アレイプラズマ源202と閉じ込めリング116との間に画定される空間内の圧力は、約100ミリトルと約100トルとの間である。別の実施形態において、空間内の圧力は、約400ミリトルと約10トルとの間である。さらに別の実施形態において、空間内の圧力は、約500ミリトルと3トルの間である。一実施形態において、微小中空陰極アレイプラズマ源202の表面に沿って配列された、複数の微小中空陰極空洞に対する電位設定は、約−10ボルトと約−2000ボルトとの間の値を有する。別の実施形態において、電位設定は、約−50ボルトと約−500ボルトとの間の値を有する。さらに別の実施形態において、電位設定は、約−100ボルトと−300ボルトとの間の値を有する。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態による、上昇位置にある閉じ込めリングのスタックに隣接して配置された専用誘導結合プラズマ源を有する、プラズマエッチングチャンバの断面側面図である。この図では、チャンバの中心軸105からチャンバ壁102にわたる、プラズマエッチングチャンバの半径方向の断面図が示されている。プラズマチャンバの上部側には、上方の電極板112の上面と結合したセンターアセンブリ103がある。チャンバ壁102に面するセンターアセンブリ103の外表面に沿ってチャネルが画定されている。チャネル内には、閉じ込めリングのスタック116の内周表面に対して洗浄プラズマ106を向けるように構成される、誘導結合プラズマ源109が配置されている。センターアセンブリ103の上面を通ってチャネル内に画定された空間内に達する、ガス送達ライン118が示されている。ガス送達ライン118は、誘導結合プラズマ源109による洗浄プラズマ106の照射中に、空間にガスを送達するように構成される。
【0031】
さらに、本実施形態において、遮蔽物302が、チャンバ壁102に結合され、フィードガスが個々の閉じ込めリングの間のギャップから漏出することを防ぐために、閉じ込めリングのスタック116の外表面に対して実質的に気密性シールを提供するように構成される。遮蔽物302は、材料が洗浄プラズマ106と反応して汚染副生成物を生成しない限りにおいて、本質的に任意の材料で作製され得ることが理解されるべきである。
【0032】
図4Aは、本発明の一実施形態による、上昇位置にある閉じ込めリングのスタックに隣接して配置された、専用誘導結合プラズマ源に結合された加熱コンポーネントを有する、プラズマエッチングチャンバの側面図である。本実施形態では、チャンバの中心軸105からチャンバ壁102にわたる、プラズマエッチングチャンバの半径方向の断面図が示されている。プラズマチャンバの上部側には、上方の電極板112の上面と結合したセンターアセンブリ103がある。チャンバ壁102に面するセンターアセンブリ103の外表面に沿ってチャネルが画定されている。チャネル内には、センターアセンブリ103と誘導結合プラズマ源109との間に位置する加熱コンポーネント402が配置されている。加熱コンポーネント402は、上述のように約25℃から約500℃までの間の所定の温度範囲にまで、閉じ込めリングのスタック116を加熱するように構成される。誘導結合プラズマ源109は、閉じ込めリングのスタック116の内周表面に対して洗浄プラズマ106を向けるように構成される。
【0033】
一実施形態において、加熱コンポーネント402は、石英加熱ランプのような放射加熱デバイスである。しかしながら、閉じ込めリングスタック116の内周表面からポリマー不純物を除去するための洗浄プラズマエッチング作業中に、加熱コンポーネント402が閉じ込めリング116の適正な加熱を提供し得る限りにおいて、コンポーネント402は、任意の加熱デバイスの種類であり得ることが理解されるべきである。別の実施形態において、加熱コンポーネント402は、閉じ込めリング116との輻射熱結合を有する抵抗加熱器である。
【0034】
引き続き図4Aに関して、一実施形態においては、加熱コンポーネント402は、閉じ込めリングスタック116とプラズマエッチングチャンバ壁102との間に配置される。加熱コンポーネント402は、プラズマエッチングチャンバ壁102に結合され、誘導結合プラズマ源109が、ポリマー不純物の除去を達成するために閉じ込めリングスタック116の内周表面に対して洗浄プラズマ106を向けると、閉じ込めリングスタック116の放射加熱を提供するように構成される。加熱コンポーネント402がリングのスタック116を約25℃から約500℃までの間の温度に加熱するように作動し得る限りにおいて、加熱コンポーネント402は、本質的にプラズマエッチングチャンバ内の任意の位置に配置され得ることが理解されるべきである。
【0035】
図4Bは、本発明の一実施形態による、同時エッチングチャンバ洗浄モードで作動中の、プラズマエッチングチャンバの側面図である。本実施形態では、チャンバの中心軸105からチャンバ壁102にわたる、プラズマエッチングチャンバの半径方向の断面図が示されている。プラズマチャンバの上部側には、上方の電極板112の上面と結合したセンターアセンブリ103がある。チャンバ壁102に面するセンターアセンブリ103の外表面に沿ってチャネルが画定されている。チャネル内には、センターアセンブリと誘導結合プラズマ源109との間に位置する加熱コンポーネント402が配置されている。
【0036】
示されるように、主エッチングチャンバ101および閉じ込めリング116からポリマー不純物を除去するために同時エッチング作業を実施する、プラズマエッチングチャンバが図示されている。エッチングチャンバを洗浄するための洗浄プラズマ106は、上方に位置する電極112およびESC110の下方に位置する電極111を使用して照射され、一方で閉じ込めリング116を洗浄するための洗浄プラズマ106は、誘導結合プラズマ源109によって生成される。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態による、プラズマチャンバ内の複数の閉じ込めリングを洗浄するための方法の流れ図を示す。本方法において利用される装置の図は、図1A〜図1Dに示されている。方法500は、操作502で始まり、ここで、閉じ込めリングが移動され、その結果として、リングの内周表面が第1のプラズマ源からある距離を置いて位置する。第1のプラズマ源は、閉じ込めリングが第2のプラズマ源から上昇または下降した位置にあるときに、プラズマ源が閉じ込めリングの内周表面の方向にプラズマを向けるように、配置される。一実施形態において、第1のプラズマ源は誘導結合プラズマ源であり、プラズマ源と閉じ込めリングスタックとの間の距離は、約0.5mmと約15mmとの間である。別の実施形態において、第1のプラズマ源は微小中空陰極アレイプラズマ源であり、プラズマ源と閉じ込めリングスタックとの間の距離は、約0.5mmと約10mmとの間である。
【0038】
第1のプラズマ源および第2のプラズマ源の位置を上述の説明に関連付けると、第1のプラズマ源は、チャンバ壁に面するセンターアセンブリの外表面に沿って画定されるチャネルの中に位置し、一方で、第2のプラズマ源は、主エッチングチャンバのの中の電極板と関連する。次に、方法は、操作504に移り、ここで、フィードガスがプラズマエッチングチャンバに供給される。プラズマエッチングガスの例は、O、O、HO、H、CO、CO、N、NH、H、CF、C、NF、SF、F、XeF、He、Ne、Ar、Kr、Xe、およびそれらの組み合わせを含む。
【0039】
次いで方法は、操作506に進み、ここで、第1のプラズマ源を使用して、ある量のプラズマが、閉じ込めリングの内周表面に供給される。一実施形態において、プラズマ源は、約5e9cm−3から約5e12cm−3までの間の洗浄プラズマのプラズマ密度を送達するように構成される、誘導結合プラズマ源である。別の実施形態において、プラズマ源は、約5e9cm−3から約5e12cm−3までの間の洗浄プラズマのプラズマ密度を送達するように構成される、微小中空陰極アレイプラズマ源である。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態が、本明細書において詳細に説明されてきたが、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明は多くの他の具体的な形態で具現化され得ることが、当業者によって理解されるべきである。それ故に、本実施例および実施形態は、限定的ではなく例示的なものとみなされるべきであり、本発明は、その中で示された詳細に限定されるべきではなく、添付の請求項の範囲内で修正および実践され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センターアセンブリと、
該センターアセンブリの表面に貼付された電極板であって、該センターアセンブリの外周に沿ってチャネルが画定される、電極板と、
該チャネル内に、該センターアセンブリの該外周に沿って配置される第1のプラズマ源であって、閉じ込めリングスタックの内周表面にプラズマを向けるように構成される、第1のプラズマ源と、
エッチングチャンバ内の基板に対する処理作業を実施するように構成される第2のプラズマ源であって、該第1のプラズマ源から離れて位置する、第2のプラズマ源と、
を備える、エッチングチャンバ。
【請求項2】
前記第1のプラズマ源は、前記プラズマを送達するための電圧を供給するように構成された複数の螺旋型誘導コイルを含む、誘導結合プラズマデバイスである、請求項1に記載のエッチングチャンバ。
【請求項3】
前記第1のプラズマ源は、複数の中空陰極ユニットを含む中空陰極アレイである、請求項1に記載のエッチングチャンバ。
【請求項4】
前記複数の中空陰極ユニットは、約0.01センチメートル(cm)から約0.5cmまでの間の直径の開口を有する、請求項3に記載の装置エッチングチャンバ。
【請求項5】
前記第1のプラズマ源は容量性の源である、請求項1に記載の、プラズマチャンバ内の複数のプラズマリングを洗浄するための装置。
【請求項6】
前記センターアセンブリを通って前記チャネルにまで延在するガス源ラインであって、該チャネルにガスを供給するように構成される、ガス源ラインをさらに備える、請求項1に記載のエッチングチャンバ。
【請求項7】
前記ガスは、前記チャネルへの導入に先立って加熱される、請求項6に記載のエッチングチャンバ。
【請求項8】
前記閉じ込めリングスタックは、該閉じ込めリングスタックの前記内周表面が、前記第1のプラズマ源から約0.5ミリメートル(mm)から約15mmまでの間となるように配置される、請求項1に記載のエッチングチャンバ。
【請求項9】
センターアセンブリと、
該センターアセンブリの表面に貼付された電極板であって、該センターアセンブリの外周に沿ってチャネルが画定される、電極板と、
該チャネル内に、該センターアセンブリの該外周に沿って配置されるように構成される第1のプラズマ源であって、複数の閉じ込めリングの内周表面にプラズマを送達するように構成される、第1のプラズマ源と、
該複数の閉じ込めリングの該内周表面に熱を供給するように構成される加熱要素と、
エッチングチャンバ内の基板に対する処理作業を行うように構成される第2のプラズマ源であって、該第1のプラズマ源から離れて位置する、第2のプラズマ源と、
を備える、エッチングチャンバ。
【請求項10】
前記複数のリングの外周表面に近接して配置され、かつ実質的に気密性のシールを提供するように構成される、遮蔽コンポーネントをさらに備える、請求項9に記載のエッチングチャンバ。
【請求項11】
前記加熱要素は、対流加熱コンポーネントまたは輻射加熱要素のうちの1つである、請求項9に記載のエッチングチャンバ。
【請求項12】
前記加熱要素は、前記チャネル内に、前記センターアセンブリの前記外周に沿って配置される、請求項9に記載のエッチングチャンバ。
【請求項13】
前記センターアセンブリを通って前記チャネルにまで延在するガス源ラインであって、該チャネルにガスを供給するように構成される、ガス源ラインをさらに備える、請求項9に記載のエッチングチャンバ。
【請求項14】
閉じ込めリングスタックの内周表面が第1のプラズマ源からある距離を置いて位置するように、該閉じ込めリングスタックを移動するステップであって、該第1のプラズマ源は第2のプラズマ源から離れて位置する、ステップと、
フィードガスを供給するステップと、
該第1のプラズマ源を使用して、第1の量のプラズマを、該閉じ込めリングスタックの該内周表面に供給するステップと、
を包含する、プラズマチャンバ内の閉じ込めリングスタックを洗浄するための方法。
【請求項15】
前記閉じ込めリングスタックの前記内周表面を、約摂氏20度(℃)から約500℃までの間の温度に加熱するステップをさらに包含する、請求項14に記載のプラズマチャンバ内の閉じ込めリングスタックを洗浄するための方法。
【請求項16】
前記距離は、約0.5ミリメートル(mm)から約15mmまでの間である、請求項14に記載のプラズマチャンバ内の閉じ込めリングスタックを洗浄するための方法。
【請求項17】
前記第2のプラズマ源を使用して、第2の量のプラズマを、前記プラズマチャンバに供給するステップであって、該第2の量のプラズマは該プラズマチャンバから不純物を実質的に除去するように構成される、ステップをさらに含む、請求項14に記載のプラズマチャンバ内の閉じ込めリングスタックを洗浄するための方法。
【請求項18】
前記第1の量のプラズマおよび前記第2の量のプラズマは、約100ワットから約2000ワットまでの間である、請求項17に記載のプラズマチャンバ内の閉じ込めリングスタックを洗浄するための方法。
【請求項19】
前記閉じ込めリングスタックの前記内周表面と前記第1のプラズマ源との間に画定された空間の圧力を、約1ミリトルから約5トルまでの間へと増加するステップをさらに含む、請求項14に記載のプラズマチャンバ内の閉じ込めリングスタックを洗浄するための方法。
【請求項20】
前記第1のプラズマ源は、誘導結合プラズマデバイス、中空陰極アレイ、および誘導結合電極からなる群のうちから選択される、請求項14に記載のプラズマチャンバ内の閉じ込めリングスタックを洗浄するための方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−542003(P2009−542003A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516624(P2009−516624)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/070265
【国際公開番号】WO2007/149694
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(598161761)ラム リサーチ コーポレイション (19)
【Fターム(参考)】