説明

チュアブルな徐放性製剤

(a)活性成分;(b)ゼイン;(c)ろう様物質、及び(d)バルキング剤又は球状化剤を含む、錠剤又は多微粒子形態の徐放性組成物を提供する。本組成物は、チュアブル性及び/又は食味マスキング特性がある。また、このような組成物を含む経口投薬形態、及びこのような組成物を調製し使用する方法、及び投薬形態を提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する相互参照】
【0001】
この出願は、35U.S.C.§119(e)の下で、米国特許仮出願第61/094,363号(2008年9月4日出願)の利益を主張する。前記仮出願は、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
《背景》
技術分野
この開示は、チュアブルな徐放性組成物及び投薬形態並びにそのような組成物及び投薬形態を製造する方法及び使用する方法に関する。
【0003】
関連技術の説明
チュアブルな医薬投薬形態は、医薬組成物を噛み砕いてより小さい断片にした後でさえ、特定の医薬放出及び味覚特性を保持する医薬組成物と定義される。チュアブルな医薬投薬形態は、コンパニオンアニマルの動物薬の適用に対して特に興味あるものである。何故なら、前記患者(例えば、イヌ、ネコ、及びウマなど)は、経口的に与えられる任意の投薬形態を噛む傾向があるからである。ヒトの医薬においては、チュアブルな投薬形態は、もとのままの錠剤又はカプセル剤を嚥下するのに困難性を有する若い患者又は高齢の患者にとって好ましいものである。
【0004】
多くの医薬又は医薬活性成分は、半減期の短い医薬及び持続的な血漿濃度を必要とする医薬を含めて、持続放出のような特有の放出動力学を必要とする。徐放性製剤は、複数回の1日投薬を回避するために及び患者の医薬服用遵守の欠如又は低下を回避するために開発されている。そのような製剤はまた、慢性的医薬治療の状態にある患者に対しても、より好ましく適用される。
【0005】
錠剤は、圧倒的に最も好評な徐放性投薬形態である。一般に、徐放性錠剤は、二つの方法で製造されてきた。すなわちマトリックス錠及びコート錠である。マトリックス錠においては、医薬は通常、高分子ゲル化剤と混合される。このゲル化剤は、水と接触して、厚いゲル層を形成することができ、それが、ゆっくりした浸食作用を受けながら医薬の拡散を減速させるのである。拡散と浸食作用の両方ともに、医薬放出に寄与する。コート錠は、そのコアからの医薬放出を制御するのに、コーティング中の小さい孔に依存する。
【0006】
既存の徐放性錠剤組成物は、マトリックス錠であろうとコート錠であろうと、医薬放出制御のためには、無傷の完全なマトリックス又はコーティングに頼っているので、チュアブルな製剤としては適していない。噛むことにより、マトリックス又はコーティングの完全な状態が容易に破壊され、制御されない医薬バースト又は過量摂取並びにしばしば受け入れがたい味覚という結果をもたらすであろう。ネコなどのある種の動物は、極端に味覚に敏感であり、好ましくない味覚を有する任意の投薬形態を自発的に受け入れることはないであろう。従って、今なお、噛まれた後又は断片化された後でも徐放性能力及び特定の味覚マスキング特性をよりよく保持している徐放性錠剤を開発する必要性が存在する。
【0007】
嚥下制限を有する患畜又はヒト患者への経口投与のためのその他の一般的投薬形態は、非常に多数の医薬含有粒子を含む多微粒子であり、その医薬含有粒子の全体が目的とする治療的有用な医薬用量を表すものである。多微粒子製剤は、散剤、顆粒剤、ペレット剤、ミクロスフェア、ミニスフェア、ビーズレット、及びサシェ剤などの別の用語により表すことができる。それは、(1)経口投与される乾燥粉末で、液体とともに嚥下されるもの、(2)液体中に分散され、次いで嚥下されるもの、又は(3)カプセルに入れられるもの、として投与することができる。第1及び第2の投与方法については、大量の粒子を投与することができる。例えば、5〜10グラムの球形ペレット剤を水中に懸濁して、ヒト患者が容易に嚥下することができる。ウマなどの動物に対しては、多微粒子製剤を餌と容易に混合することができ、受け入れられる味覚であれば、容易に自発的摂取が可能である。
【0008】
多くの活性成分は、1日2回、好ましくは1日1回、さらにより好ましくは2〜3日おきに1回などの徐放性動力学又は持続放出を必要とする。そのような場合には、いわゆる徐放性多微粒子製剤が使用される。周知の徐放性多微粒子製剤は、ほとんど排他的に、医薬放出に対するバリアを与える厚いコーティングシステム、すなわち「徐放性コーティング」に依存するものである。これは、錠剤に比べて小さい粒子の表面積が非常に増加することによる。この大きい表面積増加及び速やかな溶出は、バリアコーティングを持たない徐放性粒子又は球体を不可能なものにしてきた(米国特許出願公開第2006/0153908号明細書、米国特許第5,188,841号、第6,699,506号、第6,897,205号、及び第6,436,438号明細書を参照のこと)。徐放性コーティングは、多微粒子製剤形態をチュアブルな投薬形態として使用することができないようにする。なぜなら、噛むことにより、コーティングが破壊され、結果的に医薬バースト及び味覚不良をもたらすからである。従って、徐放性及び特定の味覚マスキング特性を維持しながら、一定の咀嚼に耐え得る新規な多微粒子組成物に対する必要性が存在する。
【0009】
《概要》
本開示は、医薬活性成分のための、特に短い半減期を有する医薬活性成分のための、錠剤及び多微粒子投薬形態にあるチュアブルな徐放性医薬組成物並びにそのような医薬組成物を製造する方法及び使用する方法を提供する。
【0010】
医薬組成物は、徐放性バリアコーティングを必要としない活性成分の徐放性を提供する。そのような本開示の組成物は、錠剤の形態又は多微粒子投薬形態にあることができ、前記組成物が噛まれてより小さい断片に断片化される場合でさえ、活性成分の徐放性を保持することができる。そのような特性は、そのままの錠剤を嚥下するのに困難性を有する若い患者又は高齢の患者に医薬を投与するのを容易にし、チュアブルな投薬形態の方を好む患畜に投与するのを容易にする。例示的組成物としては、請求項1〜24に記載の組成物が挙げられる。
【0011】
特定の実施態様においては、本開示の錠剤組成物は、より小さい断片に壊された後でさえ、活性成分の最小初期バーストを伴う徐放性特性(例えば、インビトロの溶出試験において最初の1〜5分間で丁度5%の大きさ)を有する。そのような特徴により、チュアブル錠製剤を製造し、なおかつ徐放性特性を維持することが可能となる。例示的組成物としては、請求項21に記載の組成物が挙げられる。
【0012】
その他の実施態様においては、本開示の多微粒子組成物は、驚くべきことに、トラマドールのようなある種の極端に苦い医薬に対して高水準の味覚マスキング特性を与えたのである。しかも、そのような組成物は、最も敏感で食べ物の好き嫌いの激しい動物とみなされ、恐らく、自発的医薬投与に関しては治療するのに最も困難な患者であるネコにより、うまく受け入れられて自発的に経口摂取された。例示的組成物としては、請求項18〜24に記載の組成物が挙げられる。
【0013】
更にその他の実施態様においては、本開示の多微粒子組成物は、驚くべきことに、高度に水溶性の医薬に対して、コーティングなしでさえ、徐放性特性を与えたのである。例示的組成物としては、請求項11〜18に記載の組成物を挙げることができる。
【0014】
別の観点においては、本開示は、本明細書に与えられるチュアブルな徐放性多微粒子組成物を含む最終的な投薬形態を提供する。
【0015】
別の観点においては、本開示は、押し出し又は湿式造粒プロセスにより、粒状物、押出物、ヌードル、非球形ペレット剤、又は球形ペレット剤の形態で、本明細書に与えられる多微粒子組成物を製造する方法を提供する。例示的方法としては、請求項26〜30に記載する方法が挙げられる。
【0016】
本開示の組成物は、組成物中の活性成分がそれに対して有効である様々な疾患又は障害を治療又は予防するのに有用である(例えば、失禁又はうっ血を治療すること、食欲を抑制すること、痛みを軽減すること、及び慢性疾患又は食事性欠乏症を治療又は予防すること)。例示的方法としては、請求項31〜33に記載の方法が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】CYSTOLAMINE(商標)カプセル剤(75mg)と比較した、異なる2つのゼイン濃度における、75mgフェニルプロパノールアミン(PPA)HCl徐放性錠剤のインビトロでの溶出プロファイルを示す。
【図2】実施例3により製造した、グルコサミンHCl、コンドロイチン、ESTER−C(商標)、及び硫酸マンガンを含有する全錠剤及び4分割錠剤のインビトロでの放出プロファイル。
【図3】マルチビタミン及びミネラルを含有する徐放性顆粒剤(SRG)(ロット番号30−17−29)からリボフラビンのインビトロでの溶出(原料との比較)(n=1)。
【図4】異なる2つの溶出媒体中での、マルチビタミン及びミネラルを含有するSRGからリボフラビンのインビトロでの溶出(n=1)。
【図5】マルチビタミン及びミネラルを含有するSRG(バッチ番号30−17−88)で作った全錠剤及び4分割錠剤からリボフラビンのインビトロでの放出(n=5)。
【図6】マルチビタミン及びミネラルを含有するSRG(バッチ番号30−17−88A)で作った全錠剤からナイアシンアミドのインビトロでの放出(n=1)。
【図7】1.2mm及び4.0mm AQUA ZEIN(商標)ヌードルからグルコサミンHClのインビトロでの溶出。
【図8】1.2mm AQUA ZEIN(商標)ヌードルで作ったチュアブル錠からグルコサミンHClのインビトロでの溶出。
【図9】実施例6に記載の溶出方法Aによる、コーティングしたトラマドール含有ペレット剤F−26及びF−29のインビトロでの初期トラマドール放出プロファイル。
【図10】実施例6に記載の溶出方法Bによる、コーティングしたトラマドール含有ペレット剤F−26及びF−29のインビトロトラマドール放出プロファイル。
【図11】4mmグルコサミン含有AQUA ZEIN(商標)ペレット剤のインビトロでの溶出。
【図12】実施例8により製造したトラマドール含有ビーズレットからトラマドールのインビトロでの溶出。
【図13】実施例9により製造したトラマドール含有顆粒剤からトラマドールのインビトロでの溶出。
【図14】実施例9により製造したトラマドール含有顆粒剤のインビトロでの初期溶出。
【図15】10、20、50及び75mgフェニルプロパノールアミン(PPA)HCl徐放性錠剤(全錠剤(A)及び4分割錠剤(B))のインビトロでの溶出プロファイル。
【詳細な説明】
【0018】
本開示は、医薬活性成分、特に半減期が短い医薬活性成分の徐放のためのチュアブル医薬組成物、並びにこのような医薬組成物を調製及び使用する方法を提供する。
【0019】
別途指摘しない限り、いずれのパーセンテージも、錠剤の総重量に対する、又はペレット剤の総重量に対する組成物の総重量の、重量対重量(w/w)である。
【0020】
本開示で使用する場合、「約」という用語は、指定した値の90%〜110%の範囲内の任意の値を指す。例えば約40℃は、36℃〜44℃の任意の温度を指す。
【0021】
本開示で使用する場合、本明細書で引用する任意の数値範囲は、範囲内の任意の整数並びに、適用可能な場合には(例えば濃度)、その分数、例えば整数の10分の1及び100分の1などを含むことが理解されるべきである(別途指摘しない限り)。
【0022】
I.組成物
一態様において、本開示は、(a)(i)活性成分、(ii)主徐放剤、(iii)ろう様物質、及び(iv)バルキング剤(bulking agent)又は球状化剤(spheronizing agent)を含むか、から本質的になるか、又はからなる;(b)錠剤又は多微粒子の形態である;及び(c)錠剤又は多微粒子上に徐放性バリアコーティングの存在を必要としない活性成分の徐放を提供する;組成物を提供する。ある実施形態において、本明細書で提供する組成物は、それらが咀嚼又は断片化されてより小型の断片になったときでも、活性成分の徐放性を維持する。ある実施形態において、本開示の組成物は、活性成分の最小限の初期バーストを有し、食味マスキング製剤(例えばペレット剤又は錠剤)を作製可能にする。
【0023】
A.活性成分
組成物中の活性成分は、任意の医薬活性成分(すなわち有益な製薬的、治療的、栄養的、又は化粧的効果を備えた、ハーブ抽出物などの化合物又は組成物)であり得る。
【0024】
ある実施形態において、活性成分はフェニルプロパノールアミン又はその薬学的に許容可能な塩(例えばフェニルプロパノールアミン塩酸塩)である。フェニルプロパノールアミンはヒトにおいて、うっ血除去薬として、及び食欲抑制薬としても使用されてきた。獣医学では、フェニルプロパノールアミンは犬の尿失禁を制御するのに使用される。
【0025】
ある実施形態において、活性成分は、鎮痛薬又はその薬学的に許容可能な塩、例えばアセトアミノフェン、中枢作用性鎮痛剤、アヘン剤、麻酔薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、及びサリチル酸塩であり得る。ある実施形態において、活性成分は、2つ以上の鎮痛薬又はその薬学的に許容可能な塩の組合せである。ある実施形態において、鎮痛薬はトラマドール又はその薬学的に許容可能な塩(例えばトラマドールHCl)である。
【0026】
本組成物において活性成分として使用され得る例示的なNSAIDは、アスピリン、カプロフェン、デラコキシブ、エトドラク、フィロコキシブ、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、フルリプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク(kietorolac)、メフェナム酸、メロキシカム、ナプロキセン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、ロフェコキシブ、スリンダク、テポキサリン、バルデコキシブ、及びベダプロフェンを含むが、これらに限定されない。
【0027】
ある実施形態において、活性成分は、ダイエタリーサプリメント又は栄養補助食品、例えばビタミン(例えばビタミンC及びB複合体)、マルチビタミン(すなわち複数のビタミンの混合物、例えば2つ以上の脂溶性ビタミンの混合物、2つ以上の水溶性ビタミンの混合物、並びに1つ以上の脂溶性ビタミン及び1つ以上の水溶性ビタミンの混合物)、ミネラル、ハーブ又は他の植物、アミノ酸、タンパク質(例えばImmuSyn及びMicrolatinを含むミルクプロテイン濃縮物)、抗酸化剤(例えばグレープシード抽出物及びマリアアザミ)、抗炎症剤(例えばブロメライン)、カロテノイド(例えばリコピン及びルテイン)、フラボノイド(例えばケルセチン及びルチン)、プレバイオティクス(例えばアラビノガラクタン−水溶性ポリラッカライド及び、フラクトオリゴ)、減量剤(例えばガルシニアカンボジア)、及び他の栄養物質又はその構成要素である。ある実施形態において、ダイエタリーサプリメント又は栄養補助食品は、グルコサミン又はその薬学的に許容可能な塩(例えばグルコサミン塩酸塩)である。ある実施形態において、ダイエタリーサプリメント又は栄養補助食品は、コンドロイチン硫酸塩である。ある実施形態において、活性成分は、2つ以上のダイエタリーサプリメント又は栄養補助食品の組合せである。例えば、活性成分はグルコサミン塩酸塩及びコンドロイチン硫酸塩の組合せであり得る。
【0028】
ある実施形態において、活性成分は、抗感染剤もしくは抗菌剤又はその薬学的に許容可能な塩、例えば抗生剤(β−ラクタム抗生剤(例えばアモキシシリン、アンピシリン、セフチオフル)、リンコサミド(例えばクリンダマイシン)、アミノグリコシド、セファロスポリン、マクロライド、ケトライド、ペニシリン、キノロン、スルホンアミド、テトラサイクリン(例えばドキシサイクリン)、シクロセリン、バンコマイシン、リネゾリド、オキサゾリジノン、ピリメタミン、アトバコン、チゲサイクリン、グリシルサイクリンを含む)、駆虫薬、抗真菌薬、抗マラリア剤、原虫駆除剤、抗らい菌薬、抗結核薬、及び抗寄生虫薬である。ある実施形態において、抗感染剤は、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、エリスロマイシン、テリスロマイシン、シプロフロキサシン、アモキシシリン及びクラブラン酸カリウムの組合せ、又はその薬学的に許容可能な塩である。ある実施形態において、活性成分は、2つ以上の抗感染剤もしくは抗菌剤又はその薬学的に許容可能な塩の組合せである。
【0029】
ある実施形態において、活性成分は、甲状腺機能低下を治療するのに有用なレボチロキシンナトリウム及び甲状腺機能亢進を治療するのに有用なメチマゾールを含む、甲状腺剤又は甲状腺調節剤である。
【0030】
ある実施形態において、行動調節薬、例えば抗不安剤及び抗うつ薬である。例示的な行動調節薬は、ブスピロン塩酸塩、フルオキセチン塩酸塩、パロキセチン、アミトリプチリン塩酸塩、クロミプラミン塩酸塩、ドキセピン、及びイミピラミン塩酸塩を含むが、これらに限定されない。
【0031】
ある実施形態において、活性成分は抗糖尿病薬である。例示的な抗糖尿病薬は、グリピジド、メトホルミン、アカルボース、及びグリベンクラミドを含むが、これらに限定されない。
【0032】
ある実施形態において、活性成分はリン酸塩結合化合物である。例示的な化合物は、セベラマー塩酸塩、アルミニウム炭酸塩、及び水酸化アルミニウムを含むが、これらに限定されない。
【0033】
ある実施形態において、活性成分は、抗ウイルス剤又はその薬学的に許容可能な塩、例えばアバカビル、アシクロビル、ガンシクロビル、ラミブジン(lammivudine)、ネルフィナビル、リトナビル、バラシクロビル、及びジドブジンである。ある実施形態において、活性成分は、2つ以上の抗ウイルス剤又はその薬学的に許容可能な塩の組合せである。
【0034】
ある実施形態において、活性成分は制酸薬、例えばナトリウム制酸薬(例えば「第3リン酸ナトリウム」とも呼ばれる、リン酸3ナトリウム)、カルシウム制酸薬(例えば炭酸カルシウム)、アルミニウム制酸薬(例えば水酸化アルミニウム)、マグネシウム制酸薬(例えば水酸化マグネシウム)、及びその組合せである。ある実施形態において、制酸薬は水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸3ナトリウム(「第3リン酸ナトリウム」とも呼ばれる)又はこれらの化合物の2つ又はすべての組合せである。ある実施形態において、制酸薬は、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムの組合せ、又は1:3、1:2、1:1、2:1、もしくは3:1の重量比のリン酸3ナトリウム及び水酸化マグネシウムの組合せである。
【0035】
ある実施形態において、活性成分は、昆虫成長制御剤(IGR)又はその薬学的に許容可能な塩、例えばメトプレン、キノプレン、ヒドロプレン、ジフルベンズロン、又はピリプロキシフェンである。ある実施形態において、活性成分は、2つ以上の昆虫成長制御剤又はその薬学的に許容可能な塩の組合せである。
【0036】
ある実施形態において、活性成分は、抗酸化剤又はその薬学的に許容可能な塩、例えばアスコルビン酸、ブロメライン、グレープシード抽出物、マリアアザミ、ローズヒップ、アルファリポ酸、ベータカロテン、リコピン、ルテイン及びアルファトコフェロールである。ある実施形態において、活性成分は、2つ以上の抗酸化剤又はその薬学的に許容可能な塩の組合せである。
【0037】
医薬活性成分の「薬学的に許容可能な塩」は、過度の毒性、刺激、及びアレルギー反応などを伴わずにヒト及び下級動物の組織と接触して使用するのに好適であり、医薬活性成分の所望の使用に有効である、正常な医学的判断の範囲内の、医薬活性成分の塩(酸添加塩を含む)を指す。
【0038】
ある実施形態において、活性成分は高用量医薬活性成分である。「高用量」の医薬活性成分は、約1mg/kg体重又はそれ以上の1日用量にて成人ヒト患者又はアダルト非ヒト動物対象(例えばイヌ、ネコ、ウマ、ブタなど)に経口投与される医薬活性成分を指す。ある実施形態において、本開示の医薬活性成分は、成人ヒト又はアダルト非ヒト対象に対して約2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、又は50mg/kg体重又はそれ以上の1日用量を有する。ある実施形態において、本開示の医薬活性成分は、成人ヒト又はアダルト非ヒト対象に対して約100、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、又は1000mg/kg体重又はそれ以上の1日用量を有する。ある実施形態において、活性成分は約200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、又は1g/用量にて、1日2回、1日1回又は治療レジメンに付き1回、投与されねばならない活性成分である。
【0039】
高用量の例示的な医薬活性成分は、トラマドール(例えばトラマドールHCl)(100mg/用量又はそれ以上)、アシクロビル(200mg/用量)、アセトアミノフェン(300mg/用量)、メトホルミン(例えばメトホルミンHCl)(500mg/用量)、ガバペンチン(100〜800mg/用量)、グルコサミン、グルコサミン硫酸塩、及びグルコサミンHCl(500mg/用量)を含む。
【0040】
ある実施形態において、活性成分は短い半減期を有する。「短い半減期の」医薬活性成分は、約12時間又はそれ未満の医薬活性成分を指す。ある実施形態において、本開示の医薬活性成分は、ヒト(例えば成人ヒト患者)又は非ヒト対象(例えばイヌ、ネコ、ウマ、ブタなど)において約11、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2時間又はそれ未満の半減期を有する。一般に、短い半減期の医薬活性成分は、1日を通じて有効な血中濃度レベルを維持するために、その即時放出形態で1日に2回以上摂取することが要求される。
【0041】
ある実施形態において、活性成分は水に不溶性、やや溶解性、難溶解性、溶解性、自由溶解性、又はきわめて溶解性である。これらの用語は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PAの最新版で定義されている。
【0042】
ある実施形態において、活性成分は、組成物の総重量の少なくとも約0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%、55%、又は60%の量で存在する。ある実施形態において、活性成分は組成物の総重量の最大で約65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%の量で存在する。ある実施形態において活性成分は、組成物の総量に対してw/wで、約0.1%〜約95%、例えば約1%〜約90%、約1%〜約80%、約1%〜約70%、約1%〜約60%、約1%〜約50%、約1%〜約40%、約1%〜約30%、約1%〜約20%、約1%〜約10%、約2%〜約50%、約3%〜約25%、約0.5%〜約20%、約10%〜約60%、約10%〜約50%、約10%〜約40%、約10%〜約30%、約10%〜約20%、約20%〜約60%、約20%〜約50%、約20%〜約40%、約20%〜約30%、約30%〜約60%、約30%〜約50%、約30%〜約40%、約40%〜約60%、約40%〜約50%、約25%〜約75%、約50%〜約80%、約5%〜約30%、約0.5%〜約20%の範囲に、又は上記の最小量のいずれか1つと上記の最大量のいずれか1つとの間のその他の範囲に存在する。
【0043】
ある実施形態において、組成物は、第2の医薬活性成分を更に含み得る。ある実施形態において、第2の医薬活性成分は、高用量及び/又は短い半減期であり得る。例えばある実施形態において、活性成分は、グルコサミン塩酸塩及びコンドロイチン硫酸塩;トラマドール塩酸塩及びグルコサミン塩酸塩;グルコサミンHCl、コンドロイチン、アスコルビン酸カルシウム、及び硫酸マンガン;又はトラマドール塩酸塩及びアセトアミノフェンを含み得る。
【0044】
ある実施形態において、他の医薬活性成分は、医薬組成物中で第1の医薬活性成分と同じ又は同様の製薬的効果を有し得る。例えば本開示の医薬組成物は、トラマドール及び別の鎮痛剤を含み得る。ある実施形態において、第2の医薬活性成分は、第1の医薬活性成分と同じ又は同様の製薬的効果を有し得る。例えば本開示の医薬組成物は、グルコサミン、コンドロイチン、硫酸マンガン及びアスコルビン酸カルシウムを含み得る。
【0045】
ある実施形態において、医薬組成物はトラマドール及び別の鎮痛剤を含む。ある実施形態において、医薬組成物はトラマドール及びオピオイド鎮痛薬を含む。ある他の実施形態において、医薬組成物はトラマドール及び非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を含む。
【0046】
B.主徐放剤
本開示の組成物は、活性成分、ろう様物質、及びバルキング剤又は球状化剤と共に錠剤又は多微粒子を形成することと、活性成分の徐放を提供することとが可能である薬学的に許容可能な物質である、主徐放剤も含む。
【0047】
「主徐放剤」は本明細書で使用する場合、水溶性ポリマー、例えばゼイン及びエチルセルロースの水溶液又は分散液を指す。例示的な主徐放剤は、AQUA ZEIN(商標)、AQUA COAT(商標)、及びSURELEASE(商標)を含むが、これらに限定されない。AQUA ZEIN(商標)は、ゼインの水性分散液である。ゼインは、トウモロコシから誘導された不溶性タンパク質である。AQUA ZEIN(商標)において、ゼインは、アンモニア及びプロピレングリコールを使用して水溶性にされる。AQUA COAT(商標)及びSURELEASE(商標)は、水性エチルセルロース分散液である。エチルセルロースは、水に不溶性であり、AQUA COAT(商標)及びSURELEASE(商標)中でアンモニア及び/又は界面活性剤によって、水に溶解性又は分散性にされる。ある実施形態において、主徐放剤は、高密度AQUA ZEIN(商標)(すなわちAQUA ZEIN(商標)に追加のゼインを溶解することなどにより、市販のAQUA ZEIN(商標)よりもより高いゼイン濃度を有する、ゼインの水性分散液)を含む。主徐放剤は、有機溶媒中に固体ポリマー又はポリマーの溶液を含まない。
【0048】
ある実施形態において、主徐放剤は最初に活性成分と混合される。このような混合物は続いて、ろう様物質、及びバルキング剤又は球状化剤と混合されて湿潤顆粒剤を形成し、顆粒剤は次に乾燥され、ろう様物質の融点を超える温度まで加熱されて、チュアブル徐放性食味マスキング多微粒子組成物が形成される。
【0049】
他の実施形態において、得られた徐放性食味マスキング多微粒子組成物は、錠剤マトリクスに更に埋め込まれて、チュアブル錠を形成する。
【0050】
いずれの理論にも拘束されることを望むものではないが、チュアブル特性、徐放性特性及び食味マスキング特性を提供するために、本開示の組成物には2つの機構が関与していると考えられる。第1の機構は、主徐放剤による活性成分の不溶性固体マトリクス(「コア」)の形成に基づく。主徐放剤は、コア中に活性成分を埋め込むことによって、活性成分を「シール」する。しかし不溶性固体マトリクスコア単独では、チュアブル投薬形に十分な徐放性特性又は食味マスキング特性を有さないように思われる。それゆえ第2の機構が、おそらくコアの周囲にバリアを形成することにより、及び疎水性材料によってコアの亀裂及び割れ目をシールすることによって、追加の徐放性特性又は食味マスキング特性を提供する、ろう様物質を使用することによって加えられる。この「二重シール」プロセスは、組成物が咀嚼又は壊されて、より小型の断片になった後にも、驚くべきほどに高度の徐放性及び食味マスキング(task-masking)特性を生じる。
【0051】
二重シールプロセスによる本開示の錠剤又は多微粒子組成物は、チュアブル投薬として十分な食味マスキング特性を提供せず、ネコによる自発的消費のために受け入れられなかった、主徐放剤又はろう様物質が個別に使用される場合の組成物とは異なる。明瞭にするために、本開示の主徐放剤は、コーティング材料として使用されないか、又はコーティング材料としてのみ使用されるが、AQUA ZEIN(商標)、AQUA COAT(商標)、及びSURELEASE(商標)は伝統的にコーティング材料として使用されている。
【0052】
ある実施形態において、主徐放剤は、組成物中に、組成物の総重量の約0.5%〜約30%、約0.5%〜約20%、約0.5%〜約10%、例えば約1%〜約25%、約1%〜約20%、約1%〜約15%、約1%〜約10%、約1%〜約8%、約1%〜約5%、及び約2%〜約5%の量で存在する。ある実施形態において、主徐放剤は、組成物の総重量の約1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%又は7%の量で存在する。
【0053】
C.ろう様物質
「ろう様物質」は本明細書で使用する場合、40oCを超える融点を有し、水にごくわずかに溶解性か、実際には不溶性か、又は不溶性であり(例えば約1:5000(w/w)以下の水溶性を有する)、脂肪アルコール並びに飽和及び不飽和脂肪酸のエステル、飽和及び不飽和脂肪酸グリセリド(モノ−、ジ−又はトリグリセリド)、水素化脂質、水素化植物油、コレステロール、炭化水素、炭化水素主鎖を有する疎水性ポリマー、炭化水素主鎖を有する親水性ポリマー、又は上に挙げた化合物の1つ以上の組合せからなる、通常の周囲温度(すなわち20〜25℃)にて可塑性(すなわち展性)である天然、半合成又は合成材料を指す。
【0054】
ろう様物質は本明細書で使用する場合、一般に公知のろう、例えば動物及び昆虫ろう(例えばみつろう、中国ろう、シェラックろう、鯨ろう、ラノリンろう)、植物ろう(例えばヤマモモろう、カンデリラろう、カルナウバろう、ヒマシろう、アフリカハネガヤろう、和ろう、ホホバ油、ウリキュリろう、米ぬかろう)、鉱ろう(例えばセレシンろう、亜炭及び褐炭から抽出したモンタンろう、オゾケライト、ピートろう)、石油ろう(例えばパラフィンろう、微結晶性ろう)、及び合成ろう(例えばポリエチレンろう、フィッシャー・トロプシュろう、化学修飾ろう(例えばエステル化又はけん化ろう)、置換アミドろう、及び重合α−オレフィン)を含む。ある実施形態において、ろうは、エチレングリコール及び2つの脂肪酸のエステルである。
【0055】
ある実施形態において、ろう様物質は熱可塑性であり、40℃〜120℃の間の任意の値を含む、40℃を超えて(例えば45℃を超えて)120℃以下(例えば110℃以下)の融点を有する。ある実施形態において、ろう様物質は、40℃〜120℃の、例えば50℃〜100℃の、任意の2つの値によって形成された範囲内に融点を有する。ある実施形態において、ろう様物質は、水素化植物油、例えば水素化綿実油、部分水素化綿実油、水素化ダイズ油、部分水素化ダイズ油、及びステアリルアルコールである。
【0056】
ある他の実施形態において、ろう様物質は、植物ろう、例えばヤマモモろう、カンデリラろう、カルナウバろう、ヒマシろう、アフリカハネガヤろう、和ろう、ホホバ油、ウリキュリろう、米ぬかろうである。
【0057】
ある実施形態において、ろう様物質は組成物中に、組成物の総重量の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、又は20%の量で存在する。ある実施形態において、ろう様物質は、組成物の総重量の最大限で約30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、又は80%の量で存在する。ある実施形態において、ろう様物質は、組成物の総量に対してw/wで、約1%〜約80%、例えば約10%〜約80%、約1%〜約70%、約1%〜約35%、約1%〜約15%、約5%〜約55%、約15%〜約35%、約20%〜約80%、約40%〜約65%、約20%〜約70%、約40%〜約60%の範囲に、又は上記の最小量のいずれか1つと上記の最大量のいずれか1つとの間の任意の範囲に存在する。
【0058】
D.バルキング剤又は球状化剤
「バルキング剤」は本明細書で使用する場合、個々の用量のかさを錠剤圧縮に好適なサイズまで増加させる薬剤を指す。ある実施形態において、バルキング剤は、活性成分、主徐放剤、及びろう様物質と共に、次に造粒又は押出しされ、さらに圧縮されて錠剤とされ得る、凝集性可塑性塊を形成することができる。
【0059】
「球状化剤」とは本明細書で使用する場合、活性成分及びろう様物質と共に、次に球形にされて球形ペレット剤を生成し得るか、又は断片化されて非球形ペレット剤を形成し得る凝集性可塑性塊を形成する薬剤を指す。
【0060】
ある実施形態において、バルキング剤又は球状化剤は、微結晶性セルロース、例えば商品名「AVICEL(商標)」で販売されている製品である。他の例示的なバルキング剤又は球状化剤は、デンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、及びアルファ化デンプン(例えばアルファ化コーンスターチ)を含む。ある実施形態において、バルキング剤又は球状化剤は、微結晶性セルロース及びアルファ化デンプンの組合せである。
【0061】
さらなる例示的なバルキング剤又は球状化剤は、粉糖、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、マンニトール、カオリン、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、ソルビトールなどを含む。
【0062】
ある実施形態において、バルキング剤又は球状化剤(例えば、微結晶性セルロース又は微結晶性セルロース及びアルファ化デンプンの組合せ)は組成物中に、組成物の総重量の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、又は25%の量で存在する。ある実施形態において、バルキング剤又は球状化剤は、組成物の総重量の最大限で約50%、55%、60%、65%、70%、75%、又は80%の量で存在する。ある実施形態において、バルキング剤又は球状化剤は、組成物の総量に対してw/wで、約5%〜約70%、例えば、約5%〜約25%、約10%〜約40%、約10%〜約50%、約15%〜約35%、約15%〜約45%、約15%〜約65%、約20%〜約55%、約20%〜約60%、約25%〜約55%、約30%〜約50%の範囲に、又は上記の最小量のいずれか1つと上記の最大量のいずれか1つとの間の任意の範囲に存在する。
【0063】
E.徐放
本開示の組成物は、活性成分の徐放を提供する。
【0064】
「徐放」という用語は本開示を説明するのに使用する場合、即時放出投薬形からの活性成分の放出よりも低速な、活性成分の放出を指す。用語は、「低速放出」、「制御放出」、又は「長時間放出」と互換的に使用され得る。組成物の徐放性特性は通例、インビトロ溶出法によって測定され、インビボ血中濃度−時間プロフィール(すなわち薬物動態プロフィール)によって確認される。
【0065】
「即時放出投薬形」という用語は、活性成分の少なくとも75%が、インビボ投与後1時間半以内に又は当分野で公知である若しくは本明細書で提供されるようなインビトロ溶出アッセイにおいて、放出又は溶出される放出形を指す。
【0066】
ある実施形態において、本開示の医薬組成物は活性成分をほぼ直線状の方式で、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、18、20、22、又は24時間にわたって放出する。医薬活性成分は、薬剤の放出速度が規定の期間の間に20%を超えて変化しない場合、「ほぼ直線状の」方式で規定の期間にわたって放出される。
【0067】
ある実施形態において、組成物は、本明細書で提供する標準USPバスケット法によって測定される、以下のインビトロ溶出速度を有する:4時間後に放出される活性成分が約10%〜約60%;8時間後に放出される活性成分が約25%〜約75%、及び12時間後に放出される活性成分が約30%〜約90%。
【0068】
ある実施形態において、組成物は、本明細書で提供する標準USPバスケット法によって測定される、以下のインビトロ溶出速度を有する:4時間後に放出される活性成分が約20%〜約50%;8時間後に放出される活性成分が約35%〜約65%、及び12時間後に放出される活性成分が約40%〜約80%。
【0069】
ある実施形態において、組成物は、2時間後に放出される活性成分が最大限で約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、若しくは90%である、4時間後に放出される活性成分が最大限で20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、若しくは90%である、6時間後に放出される活性成分が最大限で30%、40%、50%、60%、70%、80%、若しくは90%である、8時間後に放出される活性成分の最大限で40%、50%、60%、70%、80%、若しくは90%である、10時間後に放出される活性成分が最大限で50%、60%、70%、80%、若しくは90%である、又は12時間後に放出される活性成分が最大限で60%、70%、80%、若しくは90%である、標準USPバスケット法により測定されたインビトロ溶出速度を有する。
【0070】
「初期バースト」という用語は、水性媒体(例えば、唾液又は胃液)への露出直後の投薬形態からの(例えば、薬物負荷の10%を超える)活性成分の非制御送出又は急速放出を指す。バーストは、チュアブル組成物の徐放及び/又は食味マスキングの目的を無効にするため望ましくない。
【0071】
ある実施形態において、本開示の組成物は、インビトロ溶出アッセイ(例えば、標準USPバスケット法)で最初の1〜5分の間に、活性成分の最小限の、例えば約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%以下の初期のバーストを有する。このような特徴により、食味が不快な活性成分(例えばトラマドール、イブプロフェン、セタミノフェン、及びあるビタミン)にとって、及び若年ヒト患者にとって又は患畜、例えばネコにとって、特に所望されている食味マスキング製剤を作製することができる。
【0072】
ある実施形態において、本開示の組成物はチュアブルである。「チュアブル」、又は「耐咀嚼性」などは、錠剤又は多微粒子組成物が、4個以上の小型断片(例えば4個以上の等しい断片)に断片化される場合に、その徐放性特性及び食味マスキング特性を維持する能力を指す。
【0073】
組成物が本明細書で提供する標準USPバスケット法によって測定される、以下のインビトロ溶出速度:4時間後に放出される活性成分が約10%〜約60%;8時間後に放出される活性成分が約25%〜約75%、及び12時間後に放出される活性成分が約30%〜約90%を有する、ある実施形態において、組成物は、錠剤又はペレット剤が4つの等しい断片に断片化されるときに、上のインビトロ溶出速度を維持する。
【0074】
組成物が本明細書で提供する標準USPバスケット法によって測定される、以下のインビトロ溶出速度:4時間後に放出される活性成分が約20%〜約50%;8時間後に放出される活性成分が約35%〜約65%、及び12時間後に放出される活性成分が約40%〜約80%を有する、ある実施形態において、組成物は、錠剤又はペレット剤が4つの等しい断片に断片化されるときに、上のインビトロ溶出速度を維持する。
【0075】
ある実施形態において、最初の2、4、6、8、10、又は12時間の間の錠剤形又は多微粒子形(例えばペレット形)の組成物の本明細書で提供する標準USPバスケット法によって測定される平均インビトロ溶出速度は、錠剤又はペレット剤が4つの等しい断片に断片化されるときに、約100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%又は10%を超えて増加しない。
【0076】
ある実施形態において、本開示の組成物は、その必要がある患者に即時放出製剤の等価1日用量で経口投与されるときに、1日標準用量(すなわち製剤の薬局方による製品説明に従った1日用量又は製剤の規制当局(例えば、米国食品医薬品局)によって承認された用量)で投与される即時放出製剤の血漿濃度と少なくともほぼ同じ、又は約1.5、2、3、4、若しくは5倍の、その最小有効濃度以上の血漿濃度でその活性成分を一定期間にわたって提供する。
【0077】
F.物理的形態−多微粒子
ある実施形態において、本開示の組成物は、多微粒子、すなわち複数単位投薬形態を構成する別個の粒子の形態である。多微粒子は例えば、ペレット剤(例えば球形又は非球形ペレット剤)及び顆粒剤を含む。
【0078】
「ペレット剤」という用語は、押出プロセスによって生成された、ほぼ均一な形状及びサイズを有する小型粒子を指す。「小型粒子」は、その直径、長さ、高さ、又は幅などが最大限で10mm(例えば最大限で2、3、4、5、6、7、8、又は9mm)である粒子を指す。小型粒子は、最小粒子の直径、長さ、高さ、幅などが粒子の平均直径、長さ、高さ、幅などの少なくとも約半分である場合、及び最大粒子の直径、長さ、高さ、幅などが粒子の平均直径、長さ、高さ、又は幅などの最大限で約2倍である場合、ほぼ均一のサイズを有する。
【0079】
ある実施形態において、本開示の組成物は、球形ペレット剤の形態である。「球形ペレット剤」という用語は、円形又はほぼ円形形状であり(すなわち小型スフェアの形状を有する又は小型スフェアの形状に接近する)、一般に押出及び球形化プロセスによって作製される、ビーズ、ビードレット、球形粒子、又は回転楕円体などを指す。
【0080】
ある実施形態において、本開示による球形ペレット剤の平均サイズ(すなわち平均直径)は、約0.1mm〜約3mmの任意の2つの値によって成る任意の範囲を含めて、約0.1mm〜約3mmであり得る。
【0081】
ある実施形態において、本開示の組成物は、非球形ペレット剤(すなわち球形ペレット剤以外の形態)、例えば円筒形ペレット剤の形態であり得る。ある実施形態において、円筒形ペレット剤の高さは、円筒直径とほぼ同じ高さから約2〜3倍の高さであり得る。ある実施形態において、平均円筒直径は約0.1mm〜約3mmである。「非球形ペレット剤」という用語は、押出物又はヌードルも指し、押出プロセスによって一般にヌードレットが作製される。
【0082】
「顆粒剤」という用語は、造粒プロセスによるほぼ均一な形状及びサイズを有さない小型粒子を指す。顆粒剤は一般に、ペレット剤よりもサイズ又は形状が均一でない。ある実施形態において、本開示の組成物は、顆粒剤の形態であり得る。
【0083】
G.追加の成分及びコーティング
場合により、本開示の組成物(例えば錠剤の形態)は、結合剤、抗酸化剤、着色料、潤滑剤、流動促進剤、及び香味剤を含む、1つ以上の薬学的に許容可能な不活性成分を含み得る。
【0084】
好適な結合剤は、水溶性ヒドロキシアルキルセルロース、例えばポビドン、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、セルロースガム、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びナトリウムカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ゼラチン、デンプン、又は非水溶性ポリマー、例えばアルファ化デンプン(例えばSTARCH1500(商標)(カラコン製)、アクリルポリマー若しくはコポリマー、又はアルキルセルロース、例えばエチルセルロースを含む。
【0085】
好適な抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ビタミンE又はパルミチン酸アスコルビルを含む。
【0086】
好適な着色料は、任意のFD&C顔料、染料又はレーキから選択され得る。
【0087】
潤滑剤も、多様な理由で本開示の組成物に包含され得る。潤滑剤は、圧縮及び排出中の粉末と金型の壁との間の摩擦を低減する。これにより粉末が錠剤パンチに粘着するのが防止され、錠剤パンチなどからのその排出を容易にする。好適な潤滑剤の例は、タルク、ステアリン酸、植物油、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどを含む。
【0088】
流動促進剤も本開示の組成物に包含され得る。流動促進剤は、粉末の流動特徴を改善する。好適な流動促進剤の例は、タルク、二酸化ケイ素、及びコーンスターチを含む。
【0089】
本開示の組成物に包含され得る他の賦形剤は、保存料又は製薬業界で普通に使用されるその他の賦形剤を含む。
【0090】
ある実施形態において、これらの他の成分は錠剤又は多微粒子中に、錠剤の総重量の、最大限で約50%、40%、30%、20%、10%、又は5%存在し得る。
【0091】
ある実施形態において、本開示の組成物は、追加の薬物放出制御、外観、水分保護又は食味若しくは香味の改善のために、場合によりコーティングされる。
【0092】
「徐放性バリアコーティング」という用語は、投薬形態の活性成分の放出を実質的に低速化する、投薬形態(例えば錠剤)上のコーティングを指す。さらに詳細には、投薬形態上の徐放性バリアコーティングは、(本明細書で開示する方法によって測定した)最初の2時間以内の活性成分のインビトロ溶出速度を少なくとも約50%低下させる。
【0093】
好適な徐放性コーティング材料は、非水溶性ろう、ろう様物質、及びポリマー、例えば水素化植物油(例えば水素化綿実油)、ポリメタクリレート(例えばEUDRAGIT(商標)ポリマー)又は非水溶性セルロース、例えばアルキルセルロース(例えばエチルセルロース)を含む。
【0094】
H.例示的な製剤
別途提供されない限り、本小節に記載する例示的製剤は、詳細に上述した活性成分の1つ以上、任意の主徐放剤(例えばAQUA ZEIN(商標))、任意のろう様物質(例えば水素化植物油及び植物ろう、特に水素化綿実油及びカルナウバろう)、及び任意のバルキング剤若しくは球状化剤(例えば微結晶性セルロース又は微結晶性セルロース及びアルファ化デンプンの混合物)を含み得る。さらにこのような例示的製剤は、錠剤又は多微粒子形態であり、錠剤又は多微粒子表面に徐放性バリアコーティングが存在する必要なしに、活性成分の徐放を提供する(例えば2時間後に放出された最大限で90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、若しくは5%の、標準USPバスケット法によって測定された活性成分のインビトロ溶出率を有し、又は「E.徐放」という名称の上の小節に特に記載された、本明細書で提供する徐放性特徴の1つ以上を満足する)。
【0095】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の多微粒子組成物は:(a)約1重量%〜約70重量%の活性成分;(b)1重量%〜30重量%の主徐放剤;(c)約10重量%〜約80重量%のろう様物質、及び(d)約5重量%〜約70重量%のバルキング剤又は球状化剤を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0096】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約1重量%〜約30重量%の活性成分;(b)1重量%〜20重量%の主徐放剤;(c)約5重量%〜約60重量%のろう様物質、及び(d)約5重量%〜約60重量%のバルキング剤又は球状化剤を含むか、から本質的になるか、又はからなる。ある実施形態において、組成物は、錠剤形態であり、約10〜50%の打錠成分及び/又はコーティング成分をさらに含む。
【0097】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約1重量%〜約80重量%の活性成分;(b)1重量%〜30重量%の主徐放剤;(c)約1重量%〜約70重量%のろう様物質、及び(d)約5重量%〜約50重量%のバルキング剤又は球状化剤を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0098】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約3重量%〜約25重量%の活性成分;(b)1重量%〜15重量%の主徐放剤;(c)約5重量%〜約55重量%のろう様物質、及び(d)約15重量%〜約45重量%のバルキング剤又は球状化剤を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0099】
ある実施形態において錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約1重量%〜約80重量%の活性成分;(b)1重量%〜30重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約1重量%〜約70重量%の水素化植物油又は植物ろう、及び(d)約5重量%〜約50重量%の微結晶性セルロース、アルファ化デンプン又は微結晶性セルロースとアルファ化デンプンとの混合物を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0100】
ある実施形態において錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約3重量%〜約25重量%の活性成分;(b)1重量%〜15重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約5重量%〜約55重量%の水素化植物油又は植物ろう、及び(d)約15重量%〜約45重量%の微結晶性セルロース、アルファ化デンプン又は微結晶性セルロースとアルファ化デンプンとの混合物を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0101】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約0.5重量%〜約20重量%のフェニルプロパノールアミン塩酸塩;(b)0.5重量%〜10重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約20重量%〜約80重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油及びカルナウバろう)、(d)約10重量%〜約40重量%の微結晶性セルロース、及び(e)約5重量%〜約25重量%のアルファ化デンプンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0102】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約1重量%〜約10重量%のフェニルプロパノールアミン塩酸塩;(b)1重量%〜5重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約40重量%〜約65重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油及びカルナウバろう)、(d)約15重量%〜約35重量%の微結晶性セルロース、及び(e)約10重量%〜約20重量%のアルファ化デンプンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0103】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約25重量%〜約75重量%のグルコサミンHCl、コンドロイチン、アスコルビン酸カルシウム、硫酸マンガン又はその混合物;(b)約1重量%〜約15重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約15重量%〜約35重量%の水素化植物油又は植物ろう;(d)約5重量%〜約20重量%の微結晶性セルロース、及び約5重量%〜約10重量%のアルファ化デンプンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0104】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約1重量%〜約50重量%のマルチビタミン及びミネラル;(b)約1重量%〜約20重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約1重量%〜約20重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油又はカルナウバろう)、及び(d)約10重量%〜約50重量%の微結晶性セルロースを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0105】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約5重量%〜約30重量%のトラマドールHCl;(b)約1重量%〜約25重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン、(c)約5重量%〜約50重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油又はカルナウバろう)、及び(d)約15重量%〜約60重量%の微結晶性セルロースを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0106】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約4又は5重量%のフェニルプロパノールアミン塩酸塩;(b)約2.5重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約50重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油及びカルナウバろう)、(d)約24重量%の微結晶性セルロース、及び(e)約14重量%のアルファ化デンプンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0107】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約4重量%のフェニルプロパノールアミン塩酸塩;(b)約5重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約48重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油及びカルナウバろう)、(d)約24重量%の微結晶性セルロース、及び(e)約14重量%のアルファ化デンプンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0108】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約1重量%のフェニルプロパノールアミン塩酸塩;(b)約2.5重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約49重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油及びカルナウバろう)、(d)約27重量%の微結晶性セルロース、及び(e)約14重量%のアルファ化デンプンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0109】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約22.50重量%のグルコサミンHCl、約10.10重量%のコンドロイチン硫酸塩、約1.12%のアスコルビン酸カルシウム、及び約0.28%の硫酸マンガン;(b)約10.20重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約27.43重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油及びカルナウバろう)、(d)約14.69重量%の微結晶性セルロース、並びに(e)約7.68重量%のアルファ化デンプンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0110】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約15重量%〜約30重量%のグルコサミンHCl、約5重量%〜約15重量%のコンドロイチン硫酸塩、約0.5重量%〜約2重量%のアスコルビン酸カルシウム、及び約0.1重量%〜約0.5重量%の硫酸マンガン;(b)約5重量%〜約15重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約20重量%〜約35重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油及びカルナウバろう)、(d)約10重量%〜約20重量%の微結晶性セルロース、並びに(e)約5重量%〜約10重量%のアルファ化デンプンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0111】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約63.7重量%のグルコサミンHCl;(b)約2重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約20重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油及びカルナウバろう)、(d)約8.8重量%の微結晶性セルロース、並びに(e)約5.9重量%のアルファ化デンプンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0112】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約60重量%〜約70重量%のグルコサミンHCl;(b)約1重量%〜約2重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約15重量%〜約25重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油及びカルナウバろう)、(d)約5重量%〜約15重量%の微結晶性セルロース、並びに(e)約3重量%〜約10重量%のアルファ化デンプンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0113】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約28重量%のグルコサミンHCl;(b)約2重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約20重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油及びカルナウバろう)、(d)約8.8重量%の微結晶性セルロース、並びに(e)約5.9重量%のアルファ化デンプンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0114】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約20重量%〜約35重量%のグルコサミンHCl;(b)約1重量%〜約5重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約15重量%〜約25重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油及びカルナウバろう)、(d)約5重量%〜15重量%の微結晶性セルロース、並びに(e)約3重量%〜約10重量%のアルファ化デンプンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0115】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約70重量%のマルチビタミン及びミネラル;(b)約4重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約6.4重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油又はカルナウバろう)、及び(d)約15重量%の微結晶性セルロースを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0116】
ある実施形態において、錠剤又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約60重量%〜約80重量%のマルチビタミン及びミネラル;(b)約1重量%〜約15重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約3重量%〜約25重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油及びカルナウバろう)、並びに(d)約10重量%〜約60重量%の微結晶性セルロースを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0117】
ある実施形態において、コート錠又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約10重量%のトラマドールHCl;(b)約5重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約50重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油及びカルナウバろう)(ここで約45.2重量%の水素化植物油又は植物ろうは、錠剤又は多微粒子の表面にコーティングとして存在して、約4.8重量%の水素化植物油又は植物ろうは、錠剤又は多微粒子のコアに存在する)、(d)約27.75重量%の微結晶性セルロース、及び(e)約2.5重量%のアルファ化デンプンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。ある実施形態において、コート錠又は多微粒子は、コーティング中に約4.8%の香味料(例えばポーク・レバー・フレーバー又はツナフレーバー)を更に含む。
【0118】
ある実施形態において、コート錠又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(a)約5重量%〜約15重量%のトラマドールHCl;(b)約1重量%〜約10重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約40重量%〜約60重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油及びカルナウバろう)(ここで35重量%〜約55重量%の水素化植物油又は植物ろうは、錠剤又は多微粒子の表面にコーティングとして存在して、約3重量%〜約6重量%の水素化植物油又は植物ろうは、錠剤又は多微粒子のコアに存在する)、(d)約20重量%〜約35重量%の微結晶性セルロース、及び(e)約1重量%〜約5重量のアルファ化デンプンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。ある実施形態において、コート錠又は多微粒子は、コーティング中に約3%〜約10%の香味料(例えばポーク・レバー・フレーバー又はツナフレーバー)を更に含む。
【0119】
ある実施形態において、コート錠又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(1)コア中の、(a)約20.5重量%のトラマドールHCl;(b)約25.5重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約30.9重量%のカルナウバろう、及び(d)約23.1重量%の微結晶性セルロース;並びに(2)コーティング中の、水素化植物油(例えば水素化綿実油)(ここでコーティングは、コート錠又は多微粒子の約40重量%である)を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0120】
ある実施形態において、コート錠又は多微粒子形態の本開示の組成物は:(1)コア中の、(a)約10重量%〜約30重量%のトラマドールHCl;(b)約20重量%〜約30重量%の、ゼイン水性分散液からのゼイン;(c)約20重量%〜約40重量%の水素化植物油又は植物ろう(例えば水素化綿実油及びカルナウバろう)、及び(d)約20重量%〜約30重量%の微結晶性セルロース;並びに(2)コーティング中の、水素化植物油(例えば水素化綿実油)(ここでコーティングは、コート錠又は多微粒子の約30重量%〜約50重量%である)を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0121】
II.投薬形態
別の態様において、本明細書で開示する組成物を含む経口投薬形態が提供される。
【0122】
「経口投薬形態」という用語は、活性成分の所望の用量を達成するために、経口摂取によって、活性成分の所望の量を一括して送達するデバイスを指す。通例、経口投薬形態は、経口懸濁剤用の粉剤、単位用量パケット若しくはサシェ、錠剤、又はカプセル剤である。
【0123】
ある実施形態において、本開示のペレット剤は、ビヒクルと混合されて、スクリュー・キャップ・ボトルなどの容器で包装され得る。投薬の前に、混合物は水又は別の液体を添加され、振とうされて、「経口懸濁剤」を形成する。本経口懸濁剤において、活性成分を含有するペレット剤は、(a)ビヒクルに完全に懸濁され得るか、又は(b)ビヒクルに部分的に懸濁され、ビヒクルに部分的に溶解し得る。
【0124】
ある実施形態において、本開示の多微粒子組成物を飼料に混合又は添加して、患畜に自発的に食べさせることができる。
【0125】
「ビヒクル」という用語は、ペレット剤の懸濁を促進して、経口懸濁剤の食味を改善するためにひとまとめにされた、薬学的に許容可能な成分の混合物を指す。本発明で有用なビヒクルは、懸濁化剤、固結防止剤、充填剤、甘味料、香味料、着色料、及び/又は潤滑剤を含有し得る。
【0126】
懸濁化剤又は増粘剤の例は、キサンタンガム、デンプン、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸、シリカゲル、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、及び二酸化チタンを含む。
【0127】
固結防止剤又は充填剤の例は、コロイド状二酸化ケイ素及びラクトースを含む。
【0128】
当分野で周知の賦形剤を含む他の従来の賦形剤は、本発明の組成物に使用され得る。一般に賦形剤、例えば顔料、潤滑剤、甘味料、及び香味料などは、慣例の目的のために、組成物の特性に悪影響を及ぼさない通例の量で使用され得る。
【0129】
ある実施形態において、投薬形態はボトル、パケット、パウチ、サシェ、又はカプセルに包装され得る。
【0130】
ある実施形態において、投薬形態は、用量当り少なくとも約10、20、50、100、200、250、300、400、500、600、700、750、800、若しくは900mg、又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10グラムの用量で活性成分を含む。
【0131】
ある実施形態において、本開示は、フェニルプロパノールアミン塩酸塩の有効量を含む単位投薬形態を提供する。ある実施形態において、このような投薬形態は、単位当り約25mg〜約150mgのフェニルプロパノールアミン塩酸塩、例えば単位当り約50mg〜約100mgの、又は単位当り約75mgのフェニルプロパノールアミン塩酸塩を含有し得る。
【0132】
ある実施形態において、投薬形態は単回用量使用のためである。「単回用量」は、本明細書で使用する場合、治療の全過程で活性成分の1回用量のみを投与することを指す。
【0133】
ある実施形態において、投薬形態はその必要がある患者への経口投与時に、活性成分の最低有効濃度又はそれ以上の、患者における活性成分の血漿濃度を少なくとも約2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、24、36、48、72、96、120、144、又は168時間にわたって提供する。
【0134】
ある実施形態において、投薬形態はその必要がある患者への経口投与時に、活性成分の最低有効濃度又はそれ以上の、患者における活性成分の血漿濃度を、標準用量で投与される即時放出製剤の少なくとも約2、3、4、又は5倍である一定期間にわたって提供する。
【0135】
ある実施形態において、投薬形態は、1日1回若しくは2回、2、3、4、5、6、7日に1回、1週間、2週間、3週間、若しくは4週間に1回、又は治療に付き1回、又はそれ以下での、その必要がある患者への投与に好適である。
【0136】
III.組成物の作製方法
別の態様において、本開示は、本明細書に記載する組成物及び投薬形態を作製する方法を提供する。
【0137】
例えば一態様において、本開示は、(i)活性成分、(ii)主徐放剤、(iii)ろう様物質、及び(iv)バルキング剤又は球状化剤を含む、チュアブル徐放性多微粒子組成物を作製する方法を提供し、方法は:(a)活性成分を主徐放剤と混合して、コアを形成する工程;(b)工程(a)のコアをろう様物質、バルキング剤又は球状化剤、及び液体(例えば水又は製薬的溶媒)と混合する工程;(c)工程(b)の混合物を粒状にし、又は押出して、顆粒剤又は押出物を得る工程、(d)顆粒剤又は押出物を乾燥する工程、(e)乾燥顆粒剤又は押出物をろう様物質の融点を超える温度に加熱する工程、並びに(f)顆粒剤を分粒し、又は押出物を断片化して、非球形ペレット剤を形成する工程を含む。
【0138】
ある実施形態において、(i)活性成分、(ii)主徐放剤、(iii)ろう様物質、及び(iv)バルキング剤又は球状化剤、方法は:(a)活性成分を主徐放剤と混合して、コアを形成する工程;(b)コアをろう様物質、バルキング剤又は球状化剤、及び液体(例えば水又は製薬的溶媒)と混合する工程;(c)押出して、押出物を得る工程、(d)押出物を球形にして、球形ペレット剤を形成する工程、(e)球形ペレット剤を乾燥する工程、並びに(f)乾燥ペレット剤をろう様物質の融点を超える温度に加熱する工程を含む。
【0139】
ある実施形態において、乾燥顆粒剤、非球形ペレット剤、又は球形ペレット剤はカプセル中にさらに充填される。
【0140】
ある実施形態において、乾燥顆粒剤、非球形ペレット剤、又は球形ペレット剤は、本明細書で提供されるコーティング組成物、例えばろう様物質を含むコーティング組成物によってさらにコーティングされる。
【0141】
ある実施形態において、乾燥顆粒剤、非球形ペレット剤、又は球形ペレット剤は、他の打錠成分とさらに混合され、圧縮されて錠剤となる。ある実施形態において、錠剤は、本明細書で提供されるコーティング組成物、例えばろう様物質を含むコーティング組成物によってさらにコーティングされる。
【0142】
上のプロセスから作製された湿潤顆粒剤、押出物又は球形ペレット剤若しくは非球形ペレット剤は乾燥されて、ろう様物質の融点を超える温度に加熱され得る。乾燥/加熱プロセスは、2つの連続工程で適用され得る。第1の乾燥段階は主として、水を除去して、顆粒剤/押出物/ペレット剤を十分に硬化させて、第2の加熱段階におけるより厳しい加熱を可能にすることである。より低い温度(例えば、ろう様物質の融点より低い約40℃、又は周囲温度、すなわち約20℃〜約25℃)は、通常、乾燥には十分であり、活性成分の安定のために好ましい。第1段階の乾燥時間は、バッチサイズ、使用する乾燥器の効率、及び乾燥温度に応じて、10分から数時間又はそれ以上で変化し得る。乾燥の第1段階の終点は、第1の乾燥段階の後の顆粒剤、押出物、又はペレット剤の総重量に対する含水率(すなわち水分レベル)が約10%以下である。
【0143】
第2の乾燥段階は、含水率を約5%以下(例えば約2%)以下にさらに低下する。ある実施形態において、第2の乾燥段階は、ろう様物質の融点よりも約10℃〜約20℃高い温度にて(例えば約60℃〜約75℃にて)行われ、強結合水を除去する。第2の乾燥段階の乾燥時間は、バッチサイズ及び乾燥器の効率に応じて、例えば15分から数時間又はそれ以上で変化し得る。顆粒剤/押出物/ペレット剤の変形若しくは凝集又は活性成分若しくは他の成分の熱分解を引き起こさない限り、なおさらに高い温度が適用され得る。第2段階は、含水率を約5%以下に低下することに加えて、さらなる徐放性特性又は食味マスキング特性を提供する。
【0144】
いずれの理論にも拘束されることを望むものではないが、熱アニーリングに似た第2の乾燥段階は、ろう様物質の部分溶融を引き起こして、乾燥多微粒子組成物(すなわち顆粒剤、押出物、球形ペレット剤、又は非球形ペレット剤)に存在し得る任意の亀裂、孔又は割れ目をシールすると考えられる。
【0145】
ある実施形態において、乾燥プロセスは、温度が時間指定プログラムにて、ほぼ室温からろう様物質の融点の約10℃〜約20℃高い温度まで上昇する、1つの連続ステップである。ある実施形態において、顆粒剤、押出物、球形ペレット剤、又は非球形ペレット剤の乾燥及び加熱は、流動床プロセス、対流乾燥炉又はマイクロ波乾燥炉において行われ得る。
【0146】
ある実施形態において、乾燥プロセスは、顆粒剤、押出物、球形ペレット剤、又は非球形ペレット剤をろう様物質の融点より低い温度にて、得られる押出物の水分レベルが1%以下となるまでさらに乾燥させる第3の工程を含む。本第3の工程は、別個の工程であり得るか、又は第1若しくは第2の乾燥工程と組合せて1つの連続工程となり得る。
【0147】
ある実施形態において、ろう様物質の融点よりも高い温度での乾燥が好ましいにも関わらず、これは必須ではない。したがって他のある実施形態において、湿潤顆粒剤、押出物、球形ペレット剤、又は非球形ペレット剤は、ろう様物質の溶融温度よりも低い温度でのみ乾燥され得る。
【0148】
ある実施形態において、上の押出プロセスによって製造された乾燥顆粒剤、押出物、球形ペレット剤、又は非球形ペレット剤は、コーティング組成物によってさらにコーティングされる。このようなコーティング組成物は、ろう様物質、主徐放剤、香味料、着色料又はその組合せを含み得る。
【0149】
IV.組成物及び投薬形態の使用方法
一態様において、本開示は、本明細書に記載する医薬組成物及び投薬形態を使用する方法を提供する。このような医薬組成物及び投薬形態は、組成物中の医薬活性成分が治療又は予防に好適である疾患又は障害を治療又は予防する(すなわち疾患又は障害のリスクを低下する)ために使用され得る。
【0150】
疾患又は障害は、これらに限定されるわけではないが、失禁、うっ血、甲状腺機能低下、甲状腺機能亢進、不安、うつ病及び他の行動障害、疼痛、炎症、感染、糖尿病、高リン血症、慢性疾患、及び食事障害を含む。
【0151】
ある実施形態において、本開示は、フェニルプロパノールアミン又はその薬学的に許容可能な塩(例えばフェニルプロパノールアミン塩酸塩)の有効量を含む本明細書に記載するような医薬組成物又は投薬形態を、その必要がある患畜に経口投与することを含む、動物の失禁を治療する方法を提供する。
【0152】
ある実施形態において、本開示は、フェニルプロパノールアミン又はその薬学的に許容可能な塩(例えばフェニルプロパノールアミン塩酸塩)の有効量を含む本明細書に記載するような医薬組成物又は投薬形態を、その必要がある患者に経口投与することを含む、うっ血を治療する方法を提供する。
【0153】
ある実施形態において、本開示は、フェニルプロパノールアミン又はその薬学的に許容可能な塩(例えばフェニルプロパノールアミン塩酸塩)の有効量を含む本明細書に記載するような医薬組成物又は投薬形態を、その必要がある患者に経口投与することを含む、食欲を抑制する方法を提供する。
【0154】
ある実施形態において、本開示は、レボチロキシンナトリウムの有効量を含む本明細書に記載するような医薬組成物又は投薬形態を、その必要がある患者に経口投与することを含む、甲状腺機能低下を治療する方法を提供する。
【0155】
ある実施形態において、本開示は、メチマゾールの有効量を含む本明細書に記載するような医薬組成物又は投薬形態を、その必要がある患者に経口投与することを含む、甲状腺機能亢進を治療する方法を提供する。
【0156】
ある実施形態において、本開示は、抗不安剤、抗うつ薬又は行動調節薬の有効量を含む本明細書に記載するような医薬組成物又は投薬形態を、その必要がある患者に経口投与することを含む、不安、うつ病又は別の行動障害を治療する方法を提供する。ある実施形態において、抗不安剤、抗うつ薬、又行動調節薬は、ブスピロン塩酸塩、フルオキセチン塩酸塩、パロキセチン、アミトリプチリン塩酸塩、クロミプラミン塩酸塩、ドキセピン、又はイミプラミン(imiproamine)塩酸塩である。
【0157】
ある実施形態において、本開示は、トラマドール又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含む本明細書に記載するような医薬組成物又は投薬形態を、その必要がある患者に経口投与することを含む、疼痛を低減する方法を提供する。
【0158】
ある実施形態において、本開示は、非ステロイド性抗炎症薬の有効量を含む本明細書に記載するような医薬組成物又は投薬形態を、その必要がある患者に経口投与することを含む、炎症を治療する方法を提供する。ある実施形態において、非ステロイド性抗炎症薬は、カルプロフェン、デラコキシブ、エトドラク、フィロコキシブ、ケトプロフェン、メロキシカム、ピロキシカム、又はテポキサリンである。
【0159】
ある実施形態において、本開示は、抗糖尿病薬の有効量を含む本明細書に記載するような医薬組成物又は投薬形態を、その必要がある患者に経口投与することを含む、糖尿病を治療する方法を提供する。ある実施形態において、抗糖尿病剤は、グリピジド、メトホルミン塩酸塩、アカルボース、又はグリベンクラミドである。
【0160】
ある実施形態において、本開示は、リン酸結合性化合物の有効量を含む本明細書に記載するような医薬組成物又は投薬形態を、その必要がある患者に経口投与することを含む、高リン血症を治療する方法を提供する。ある実施形態において、リン酸結合性化合物は、セベラマー塩酸塩、アルミニウム炭酸塩、又は水酸化アルミニウムである。
【0161】
ある実施形態において、本開示は、栄養補助食品の有効量を含む本明細書に記載するような医薬組成物又は投薬形態を、その必要がある患者に経口投与することを含む、慢性疾患を治療又は予防する方法を提供する。ある実施形態において、栄養補助食品は、グルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸塩、ビタミン、ミルクタンパク質濃縮物、抗酸化剤、抗炎症剤、フラボノイド、プレバイオティクス、減量剤、マルチビタミン、又はミネラルである。
【0162】
ある実施形態において、本開示は、栄養補助食品の有効量を含む本明細書に記載するような医薬組成物又は投薬形態を、その必要がある患者に経口投与することを含む、食事障害を治療又は予防する方法を提供する。ある実施形態において、栄養補助食品は、グルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸塩、ビタミン若しくはマルチビタミン、ミネラル、ミルクタンパク質濃縮物、抗酸化剤、抗炎症剤、フラボノイド、プレバイオティクス、減量剤、又はその組合せである。
【0163】
疾患又は障害の治療又は予防が必要な患者は、ヒト患者(例えば成人ヒト患者)及び非ヒト患者(例えばイヌ、ネコ、ウマ、及び他のペット又は家畜)の両方を含む。
【0164】
「有効量」は、疾患又は障害を治療又は予防するのに有効な製薬活性剤の量を指す。このような量は、当分野で公知の適切な方法によって決定され得る。例えば本開示の医薬組成物中の1つ又は複数の鎮痛薬(例えばトラマドール及びアセトアミノフェン)の十分量は、米国特許出願公開第20050089558号,Collier et al.,Br.J.Pharmacol.32:295,1968;D’Amour et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.72:74,1941;及びHargreaves et al.,Pain 32:77,1988に記載されている方法などの、鎮痛薬を測定する各種の方法を使用して決定され得る。
【0165】
以下の実施例は、限定としてではなく、例証として提供される。
【実施例】
【0166】
《実施例1:押出しによるフェニルプロパノールアミン(PPA)チュアブル徐放性錠剤の製造》
フェニルプロパノールアミン75mgをそれぞれ含有するチュアブル徐放性錠剤は、以下に記載する方法に従って作製した。前記チュアブル錠のインビトロ溶出プロフィールを、市販製品であるCYSTOLAMINE(商標)カプセル(1カプセル当りPPA75mgも含有)と比較した。
物質
【表1A】

組成物
試験1−実験用処方
A.2.5%ゼインを含有するヌードル形状押出物(「ヌードル」)
【表1B】

B.5%を含有するヌードル
【表1C】

C.錠剤
【表1D】

試験2−プロトタイプ処方
A.2.5%AQUA ZEIN(商標)を含むヌードル
【表1E】

B.錠剤
【表1F】

製造手順
ヌードル:
低剪断ミキサーを使用してAQUA ZEIN(商標)をPPAと混合してから、AVICEL PH102、デンプン及び綿実油とブレンドした。水を添加して、約40%の含水率をとして湿塊物質(ドウ)を作製した。ドウを押出機の1.2mmドームスクリーンに通過させることによって、押出物(湿潤ヌードル)を作製した。湿潤ヌードルを周囲温度にて一晩乾燥させてから、乾燥炉で60〜70℃にて水分レベルが≦5%になるまで加熱した。流動床乾燥器を使用して、水分レベルが≦1%になるまでヌードルの乾燥を続けた。
錠剤:
乾燥したヌードルを断片化して、10メッシュスクリーンふるいを強制的に通過させた。分粒したヌードルは、Vブレンダを使用して5%ポーク・レバー・フレーバーと混合してから、1%ステアリン酸マグネシウムによって潤滑した。錠剤を硬度>20Kpを有する目標重量まで圧縮した。
分析試験
HPLCアッセイ:
錠剤又はヌードル試料の効力の分析は、以下の操作条件でRP−HPLCを使用して行った:
【表1G】

インビトロ溶出:
USP溶出装置を以下の条件で使用して、チュアブル徐放性錠剤のインビトロ溶出を試験した。
【表1H】

結果
ゼインの各種のレベルにおける、塩酸塩としてのPPA75mg強度を含有するチュアブル徐放性錠剤のインビトロ溶出プロフィールを表1に示す。咀嚼された錠剤をシミュレートするために、4断片に切断された錠剤のプロフィールも含まれていた。2.5%ゼインを含有する錠剤は、未処置錠剤及び4断片に切断された錠剤のどちらも、5%ゼインを含有する錠剤よりも低い溶出速度を示した。どちらの製剤も24時間以内にPPAを完全に放出した。これに対して、市販製品のCYSTOLAMINE(商標)は、最初の12時間以内にPPAを完全に放出した。
【0167】
《実施例2:湿式造粒によるフェニルプロパノールアミン(PPA)チュアブル徐放性錠剤の製造》
フェニルプロパノールアミンHCLを含有する(例えば5重量%)チュアブル徐放性錠剤は、高剪断湿式造粒プロセスによって製造され得る。
組成
【表2A】


製造プロセス
湿式造粒:
1.低剪断混合ボウル内でPPA塩酸塩をAQUA ZEIN(商標)に溶解させる。
2.Vブレンダを使用して、微結晶性セルロース、アルファ化デンプン及び水素化綿実油を10分間ブレンドする。
3.ブレンドを混合ボウルに添加する。
4.混合する間に、水を徐々に添加して、含水率が約40%の湿潤顆粒剤を作製する。
5.No.14メッシュのふるいを通過させることによって、湿潤顆粒剤を分粒する。
6.分粒した顆粒剤を周囲温度にて一晩空気乾燥させる。
7.水分レベルが<5%になるまで、60〜70℃の乾燥炉でさらに乾燥させる。
8.流動床乾燥器を使用して、水分レベルが<1%になるまで乾燥を続ける。
9.顆粒剤を10メッシュふるいに通過させて解砕する。
10.分粒した顆粒剤をVブレンダに移し、ポーク・レバー・フレーバーを添加して、次に5分間混合する。
11.ステアリン酸マグネシウムを添加して、次に3分間混合する。
12.最終ブレンドを硬度>20Kpの目標重量まで圧縮して錠剤とする。
結果
10mg、20mg、50mg及び75mg錠剤のインビトロ溶出プロフィールは、錠剤全体又は4分割錠剤(図15A及び15B)において見られるように、相互に同程度であった。錠剤は、錠剤全体として長時間放出プロフィール(≧24時間)を、又は4等分に切断された後に徐放性プロフィール(≧12時間)を提供した。
【0168】
《実施例3:グルコサミンHCl、コンドロイチン硫酸塩、アスコルビン酸カルシウム及び硫酸マンガンを含有するチュアブル徐放性錠製剤》
本試験は、グルコサミンHCl、コンドロイチン、ESTER−C(商標)、及び硫酸マンガンを含有するチュアブル徐放性錠製剤を開発することであった。錠剤は、重量2gであり、円形形状であり、グルコサミンHCl、コンドロイチン、ESTER−C(商標)、及び硫酸マンガンを含有し、動物、例えばイヌへの投与に好適である。ESTER−C(商標)は、主としてアスコルビン酸カルシウム、少量のビタミンC代謝産物のデヒドロアスコルビン酸塩(酸化アスコルビン酸)、トレオン酸カルシウム、並びにわずかなレベルのキシロン酸塩及びリキソン酸塩を含有する。湿式造粒プロセスは、低剪断造粒を使用して開発した。AQUA ZEIN(商標)及び水素化綿実油を使用した。この未コーティング非崩壊性錠剤は、錠剤全体として約24時間で、4分割された錠剤として約12時間でグルコサミンを放出する。イヌ受容性を高めるために、ポーク・レバー・フレーバーを含ませた。
組成
【表3A】

製造プロセス
湿式造粒:
1.AQUA ZEIN(商標)を混合ボウルに移し、無水ゼインを添加する。高剪断ミキサーを使用して、無水ゼイン粉末がAQUA ZEIN(商標)に完全に溶解するまで混合する。
2.グルコサミンHCl粉末を添加して、完全に溶解するまで撹拌する。
3.AVICEL PH102、デンプン及び水素化綿実油をVブレンダでブレンドして、混合ボウルに移して混合する。
4.コンドロイチン硫酸塩を添加して混合する。
5.混合して造粒する。
乾燥:
1.湿潤顆粒剤を60℃の対流乾燥炉で約18時間乾燥させる。
2.含水率(%LOD)を測定する;顆粒剤が粉砕できるように十分に乾燥するようにする。必要ならばより長い時間乾燥する。目標LOD<10%。
3.部分乾燥した顆粒剤を、109Gスクリーンを用いてコーミルに通過させる。
4.粉砕した顆粒剤を流動床乾燥器で乾燥させる。40℃にて2時間、次に60℃にて2時間、次に75℃にてさらに60分間乾燥させる。%LOD<1%まで流動床乾燥器で75℃にて乾燥を続ける。
5.079G及び050Gスクリーンを用いてコーミルによって粉砕する。
6.14メッシュスクリーンを通過させる。
ブレンド:
1.粉砕した顆粒剤を秤量する。
2.Vブレンダ内でESTER−C(商標)及び硫酸マンガンと合せて混合する。
3.ポーク・レバー・フレーバーを添加して混合する。
4.ステアリン酸マグネシウムを添加して混合する。
打錠:
1.0.6875円形工具を用いて、目標重量2000mg、硬度>20Kpまで圧縮して錠剤とする。
結果
AQUA ZEIN(商標)と水素化綿実油の組合せによって、チュアブル錠におけるグルコサミンの徐放が得られた(錠剤全体として24時間、4分割錠として12時間超、図2)。濃縮AQUA ZEIN(商標)を使用する湿式造粒プロセスは、これらの錠剤の製造に好適な顆粒剤を製造するために適していることが判明した。
【0169】
《実施例4:ビタミン及びミネラルを含有するチュアブル徐放性錠剤》
本試験は、複数のビタミン及びミネラルのための徐放性(SR)チュアブル錠製剤(F−11)を開発することであった。製剤は、ミネラル、脂溶性ビタミン及び水溶性ビタミンを含む3つの群から選択される25種類のビタミン及びミネラル成分を含有していた。
目標生成物プロフィールによって、錠剤が小型の断片に咀嚼された後に、その活性構成要素を徐放性方式で放出することが必要とされた。このようなSR特徴は、水溶性ビタミンが消化管(gastrointestinal track)の幅広い部分から吸収され得るので、水溶性ビタミンについて特に興味深かった。SRチュアブル錠の製剤開発はそれゆえ、2つの水溶性ビタミン(リボフラビン及びナイアシンアミド)の放出に集中した。AQUA ZEIN(商標)及びカルナウバろうを使用してSRマトリクスが形成され、これらの2つの水溶性ビタミンを捕捉されて、インビトロ徐放性溶出が達成された。
いずれの有機溶媒も使用せずにSRマトリクス中に活性成分を包含するために、高剪断造粒機を用いる湿式造粒プロセスが開発された。本プロセスによって徐放性顆粒剤が得られ、顆粒剤は次に圧縮されて、あるチュアブル特徴を備えた錠剤とされた。このような錠剤は、咀嚼された形及び無処置の形の両方で徐放性特性を示した。
組成
F−11製剤中の活性成分は3つの群の活性混合物:鉱物、脂溶性ビタミン及び水溶性ビタミンから構成された。これらの混合物は、外部供給者からある固定組成での「プレミックス」として入手した。第1及び第2の群(ミネラル及び脂溶性ビタミン、例えばビタミンA、D3、及びE)はプレミックス1で提供され、水溶性ビタミン(例えばナイアシン及びリボフラビン)はプレミックス2に含まれていた。徐放性顆粒剤は、以下の組成を有する:
【表4A】

フレーバ含有率0重量%、2重量%及び5重量%のSRチュアブル錠組成をそれぞれ表4B、4C及び4Dに示す。
【表4B】

【表4C】

【表4D】

製造手順
混合及び高剪断造粒:
1.AQUA ZEIN(商標)及び無水ゼイン粉末を高剪断造粒機の2L混合ボウルに添加する。インペラを作動させて、ゼインをAQUA ZEIN(商標)中に混合して、溶解を助ける。目視できる固体粒子を一切含まない均質な液体が得られるまで混合する。
2.プレミックス2の粉末を添加して、それをゼイン溶液中に混合して溶解させる。
3.カルナウバろう及び約70%のAVICEL PH102をボウルに添加する。
4.インペラ及びチョッパを用いて混合を開始する。
5.顆粒剤/ペレット剤のサイズの目視できる変化、微細粉末がなくなるまで混合を続ける。
6.残りのAVICEL PH102をボウルに添加して混合する。
乾燥:
1.生成物を乾燥トレイ上に移す。湿潤顆粒剤/ペレット剤を空気循環式乾燥炉に入れる。約40℃にて一晩(〜18時間)乾燥させる。
2.No.10スクリーンによって粒子をふるい、通過した粒子を収集する。シーブに保持された粒子は、コーミルを使用してサイズを縮小する。
3.粉砕してふるいにかけた顆粒剤を合せて、40℃にてさらに1〜2日間乾燥を続ける。
4.顆粒剤の含水率が3%以下になったときに、乾燥炉の温度を約75℃まで上昇させる。顆粒剤を75℃にて2〜3時間乾燥させる。含水率は約1〜2重量%であるべきである。
分粒及びブレンド:
1.乾燥させた顆粒剤(SRG)をNo.18スクリーンに通過させて、通過した部分を収集する。より大型の粒子をコーミルで処理する。
2.スクリーン処理したSRG顆粒剤すべてを合せる。秤量して、Vブレンダ内に移す。
3.SRGの重量に従ってプレミックス1及びフレーバの重量を調整して、どちらもVブレンダに添加する。10分間混合する。
4.SRGの重量に従ってステアリン酸マグネシウムの重量を調整して、ブレンダに添加する。2分間混合する。
打錠:
1.ブレンドした粉末を圧縮して、総重量がF11aでは1520mg、F11bでは1551mg又はF11c/d/eでは1600mgの錠剤とする。目標硬度6〜10Kp。
結果
SRGのインビトロ溶出
SRG試料のインビトロ溶出プロフィールを図3に示す。純リボフラビン及びプレミックス2も比較のために試験を行った。インビトロ溶出プロフィールによって、SRGが未製剤原材料よりも低速の放出を有することが示された。
2つの溶出媒体(DI水及び酵素を含まない人工胃液(SGF))を用いたSRGのインビトロ溶出プロフィールを図4に示す。
F−11錠剤のインビトロ溶出
ロット30−17−88を製造して、各種のフレーバを添加した(サブロット30−17−88a〜30−17−88e)。錠剤全体及び4分割錠の両方としての、これらのフレーバ付き錠剤の溶出プロフィールを図5に示す。すべての錠剤は、24時間よりも長い放出時間を示した。4つに切断された(4分割)錠剤の放出プロフィールが低速であるのは、錠剤が壊された後でも損なわれずに残存するSRGによって、リボフラビンの放出が主に制御されることを示している。したがってこれらの錠剤は、小型の断片に咀嚼された後に、水溶性ビタミンの低速放出を提供することが期待できる。
ナイアシンアミドの放出も監視された。バッチ30−17−88aのナイアシンアミドのインビトロ放出プロフィールを図6に示す。
上の結果により、ゼイン及びカルナウバろうを放出制御剤として使用するF−11製剤が目標としたインビトロ溶出プロフィールを達成し、錠剤全体又は4分割錠として、リボフラビン及びナイアシンアミドの両方が、最小限のバーストを伴う24時間インビトロ溶出を達成したことが示された。
【0170】
《実施例5:グルコサミンHClを含有する徐放性チュアブル錠》
本試験は、グルコサミンのためのチュアブル徐放性錠剤を開発することであった。
試験A−チュアブル錠用の1.2mmグルコサミンSRヌードル製剤の開発
組成
【表5A】

製造プロセス
実施例1に似たプロセスに従った。
結果
実施例7に従って製造した1.2mmAQUA ZEIN(商標)ヌードル、4mmAQUA ZEIN(商標)からのグルコサミンHClのインビトロ溶出を図7に示す。1.2mmAQUA ZEIN(商標)ヌードルは、長時間溶出プロフィールを示し、最初の2時間で約35%が放出した。1.2mmヌードルは比較的硬質であり、チュアブル錠中への包含に十分に適していると思われる。4mmAQUA ZEIN(商標)ヌードルも許容される溶出プロフィールを示した。
試験B−1.2mmグルコサミンSRヌードル製剤からのチュアブル錠の製造
組成
【表5B】

製造
1.グルコサミンヌードル及びブランクヌードルを10メッシュふるいに通過させる。
2.グルコサミンヌードル及びブランクヌードルをVブレンダ内に秤量して、30分間混合する。
3.レバーフレーバ及びステアリン酸マグネシウムを添加して、2分間混合する。
4.「2000mg円形工具」を使用して、最大硬度まで圧縮して錠剤とする
5.粉末の流動性を観測する。
6.錠剤重量、硬度及び破砕性を記録する。
7.溶出について試験を行う。
結果
F12を用いて作製したグルコサミン徐放性チュアブル錠のインビトロ溶出によって、最初の2時間における放出が50%未満の徐放が示された(図8)。
【0171】
《実施例6:食味マスキング徐放性トラマドール塩酸塩ペレット剤製剤》
本試験は、トラマドールHClを含有する食味マスキング徐放性ペレット剤製剤を開発することであった。ミニペレット剤は、直径約0.87mm及び平均長約2.5〜3mmの小型円筒状ロッド(「ミニペレット剤」)であった。ミニペレット剤投薬形態が選択されたのは、ミニペレット剤が重量又は体積によって所与の用量を容易に計量され、動物(例えばネコ)試料と混合して、鎮痛効果のための動物による自発的な消費を可能にできるためであった。ある動物(例えばネコ)の試料に対するきわめて高い感受性及び選択性のために、ミニペレット製剤を開発する主な目的の1つは、動物試料と混合した後に、動物がミニペレット剤を自発的に摂取するようにトラマドールの苦味をマスキングすることであった。さらに、徐放性特性は、ミニペレット剤が1日1回の投薬を提供する徐放性特性も、投薬の利便性及び服薬遵守の向上にとって所望であった。
2つの主要な手法を使用して、高水溶性トラマドールHClの苦味をマスキングした。第1の工程は、非崩壊性コアペレットを形成することであり、第2の工程は、薬物放出をさらに減少させるためにコアペレット剤にろう様物質の層をコーティングすること及び同時にコーティングにフレーバを添加することを含んでいた。
2つの最終製剤(F−26及びF−29)の試験をネコに対して行って、ネコに受容されることが見出され、すなわちすべての試験ネコが製剤を自発的に消費した。F−29は、その優れたインビトロ放出特性に基づいて、さらなる開発のためのプロトタイプ製剤として選択された。
組成
表6A〜6Dは、F−26及びF−29の組成を与える。共通のコアペレット剤を製造して、次にF−26ではポーク・レバー・フレーバーを、又はF−29ではツナフレーバーを含有する追加の水素化綿実油によってコーティングした。
【表6A】

【表6B】

製造プロセス:
コアペレット剤
1.AQUA ZEIN(商標)を混合ボウル中に移し、トラマドールHClを徐々に添加して、混合することによってこれを完全に溶解させる。
2.Vブレンダを使用して、AVICEL PH102、STARCH1500及び水素化綿実油(HCSO)を5分間ブレンドする。
3.ブレンドを混合ボウルに徐々に添加して、目標含水率約35%の均質なドウが得られるまで混合する。
4.ドウを0.8mmスクリーンで2回押出す。
5.湿潤ヌードル(押出物)を60℃の乾燥炉に一晩入れて、水分を約5.5%まで除去する。
6.050Gふるいを用いて作動しているコーミルによって、乾燥ヌードルを破断してコアペレット剤とする
7.ペレットを流動床乾燥器で40℃にて10分間、75℃にて40分間さらに乾燥させて、水分レベルを1%未満とする。
8.ペレットを#45メッシュスクリーンによってふるいにかけて、微細粉末を除去する。損なわれていないペレット剤(コアペレット剤)を収集する。
コアペレット剤
1.HCSOを約75℃の油浴で溶融させる。
2.ステンレス鋼混合ボウルを温風によって約55℃(+/−3)まで加熱する。
3.コアペレット剤をボウルに添加して、撹拌する。ペレット剤床温度は約50℃である。
4.ペレット剤床温度が安定したら、シリンジポンプを用いて溶融HCSOをら細い流れとしてペレット剤床に撹拌しなが添加する。
5.ろう添加を停止して、場合により10分間撹拌する。必要に応じて混合速度を上昇させて、凝集を防止して、コーティングを均質に分布させる。
6.HCSOの総量を添加した後、フレーバを添加して、5分間撹拌を続けた。
7.熱源を遮断して、ペレットが触れたときにもはや「濡れて」いなくなるまで、ペレットの混合を続ける。
8.コーティングしたペレットを#10メッシュスクリーンを通じてふるいにかける。大型の塊を除去する。
9.コーティングしたペレットを#35メッシュスクリーンを通じてふるいにかける。微細粉末を除去する。
インビトロ放出方法
2つのインビトロ放出方法を開発して使用した。方法Aは、ペレット剤からのトラマドールの初期のバーストを迅速に比較するために使用した。
【表6C】

最終製剤F−26及びF−29については、標準溶出方法を開発して使用した(方法B)。本方法は、標準USP溶出装置を使用して、初期バースト放出及び徐放プロフィールの両方を比較することを目的とする。
【表6D】

結果
方法AによるF−26及びF−29のインビトロ放出を図9に示す。F−26及びF−29のどちらも、食味マスキングにとって重要であると考えられる、抑制された初期バーストを最初の5分間に示した。
方法Bによって得られた結果は、最初の5分間にF−29では強いバーストが検出されなかった方法A(図10)による結果と比較して、最初の1時間に同様の相対放出速度を示した。加えてF−29は、標準USP溶出試験方法で徐放性特徴を示した。
上の結果は、F−29ミニペレット剤製剤が、市販ブランドのセミモイストフードと混合された後に、ネコが良好に受容する(自発的に食べる)ように思われたことを示す。このことは、非崩壊性コア及びHCSOコーティングが、トラマドールの食味をマスキングするというその目的を実現したことを示唆している。標準USP溶出方法による低速のインビトロ放出プロフィールは、鎮痛薬作用のインビトロ徐放又は長期の持続時間が期待され得ることを示す。
【0172】
《実施例7:4mm径グルコサミンHCl徐放性ペレット剤》
本試験は、動物、特にウマへの投与のための、製剤及びグルコサミン4mm径徐放性ペレット(「ヌードル」又は「ヌードレット」)を作製するプロセスを開発することであった。
組成
【表7A】

【表7B】

製造プロセス
1.グルコサミンHClを混合ボウル中に移し、ミキサーを5分間作動させて、均質な粉末ブレンドを得る。混合しながら、AQUA ZEIN(商標)を徐々に添加する。
2.AVICEL PH102及びSTARCH1500を混合ボウルに移し、2分間混合する。
3.ステロテックスを混合ボウルに移し、2分間混合する。
4.脱イオン水を混合ボウルに添加し、約5〜10分間混合して、均質な湿潤ドウを得る。ドウの含水率は、水分残量によって26重量%〜30重量%と決定されるべきである。
5.ドウを押出機に連続供給して、4mmドームシーブを通じて押出す。
6.押出物(「ヌードル」)をプラスチックトレーに収集する。
7.ペレットを周囲の外気に触れる区域に16〜24時間配置する。
8.ペレットを乾燥炉に移し、10〜12時間にわたって温度を40℃に設定した。
9.2時間にわたって温度を60℃に上昇させる。
10.ペレットを流動床乾燥器に移す。
11.乾燥器温度を75℃に設定し、十分な気流を向けてペレットを流動化させる。ペレットを60〜90分間乾燥させる。
12.ペレットの水分を湿度計によって測定する。
13.水分が≦1重量%になったときに乾燥を中止する。
14.乾燥したペレットを防湿容器に収集する。
結果
インビトロ溶出試験は、4mm径グルコサミンHCl SRペレット剤製剤が、最初の2時間でトラマドールの50%以下を、24時間以内に80%未満を放出したことを示している(図11)。
【0173】
《実施例8:高剪断造粒プロセスによるトラマドールビードレットの製造》
本試験は、高剪断造粒プロセスによってビードレットを製造することであった。
組成
【表8A】

【表8B】

製造プロセス
造粒工程
1.トラマドール及びAQUA ZEIN(商標)を造粒機の混合ボウルに添加し、混合してトラマドールをAQUA ZEIN(商標)に溶解させる。
2.AVICEL PH102、カルナウバろう、及び無水ゼインを混合ボウルに添加する。
3.インペラ及びチョッパによって混合して、場合により停止してボウルの底面及び側面から粉末をこすり落とす。
4.顆粒剤/ペレット剤のサイズの目視できる変化、微細粉末がなくなるまで混合を続ける。
乾燥:
1.顆粒剤を乾燥トレイ上に移す。湿潤顆粒剤/ペレット剤を空気循環式乾燥炉に入れる。約40℃にて一晩(〜18時間)乾燥させる。
2.#10スクリーンによって粒子をふるい、通過した粒子を収集する。シーブに保持された粒子は、コーミルを使用してサイズを縮小する。
3.粉砕してふるいにかけた顆粒剤を合せて、40℃にてさらに1〜2日間乾燥を続ける。
4.顆粒剤の含水率が3%以下になったときに、乾燥炉の温度を約75℃まで上昇させる。顆粒剤を75℃にて2〜3時間乾燥させる。
分級
1.乾燥させた顆粒剤#18スクリーンに通過させて、通過した部分を収集する。より大型の粒子をコーミルで処理する。
2.スクリーン処理した顆粒剤すべてを合せる。
コーティング
1.顆粒剤をコーティングパンに移し、回転を開始する。
2.溶融HCSOを粒子にゆっくり添加して、均等に広げ、過剰な濡れを避ける。
3.場合によりHCSOの添加を中止して、顆粒剤を冷却して、表面HCSOを固化させる。
4.すべてのHCSOを添加した後に、回転を10〜20分間続けて、HCSOを固化させる。
5.コーティングした粒子は、解砕するために#14(1.4mm)スクリーンを、微粒子を除去するために#30スクリーン(0.59mm)を通過させる。
結果
インビトロ溶出試験は、未コーティング顆粒剤が12〜24時間にわたって徐放を示したが(図13)、初期バースト(3分間)が高かった(図14、ロット30−18−3)を示した。コーティングされた顆粒剤は、はるかに低下した初期バーストを示した(図14、ロット30−18−13及び30−18−14、2つの粒径)。
【0174】
上述の各種の実施形態を組合せて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書で言及する、及び/又は出願データシートに挙げる米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許文献はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。実施形態の態様は、各種の特許、出願及び文献の概念を使用してまたさらなる実施形態を提供するために必要な場合に、修正することができる。
【0175】
これら及び他の変更は、上で詳説した記載に照らして実施形態に対して行うことができる。一般に、以下の請求項では、使用された用語は、明細書及び請求項で開示された特定の実施形態に特許請求の範囲を限定するとして解釈されるべきではないが、このような請求項に権利付与される均等物の全範囲に沿って、考えられるすべての実施形態を含むとして解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は開示によって限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約1重量%〜約80重量%の活性成分;
(b)ゼイン水性分散液からの約1重量%〜約20重量%のゼイン;
(c)約1重量%〜約70重量%のろう様物質;及び
(d)約10重量%〜約50重量%の微結晶性セルロース、アルファ化デンプン、又は微結晶性セルロースとアルファ化デンプンとの混合物を含む組成物であって、
(i)組成物が、多微粒子又は錠剤の形態であり、(ii)組成物が、2時間後に放出される活性成分が多くとも約90%である標準USPバスケット法により測定されるインビトロでの活性成分溶出速度を有し、且つ(iii)インビトロでの活性成分溶出速度が、錠剤又は多微粒子上に徐放性バリアコーティングの存在を必要としない、前記組成物。
【請求項2】
錠剤が4断片に壊されるとき、組成物が、2時間後に放出される活性成分が多くとも約90%である標準USPバスケット法により測定されるインビトロでの活性成分溶出速度を維持する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物が:
4時間後に放出される活性成分が約10%〜約60%;
8時間後に放出される活性成分が約25%〜約75%;及び
12時間後に放出される活性成分が約30%〜約90%
である標準USPバスケット法により測定されるインビトロでの活性成分溶出速度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
錠剤又は多微粒子が4断片に壊されるとき、組成物が:
4時間後に放出される活性成分が約10%〜約60%;
8時間後に放出される活性成分が約25%〜約75%;及び
12時間後に放出される活性成分が約30%〜約90%
である標準USPバスケット法により測定されるインビトロでの活性成分溶出速度を維持する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
組成物が多微粒子の形態である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が錠剤の形態である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ろう様物質が水素化植物油又はカルナウバろうである、請求項1又は請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
(a)約3重量%〜約25重量%の活性成分;
(b)ゼイン水性分散液からの約1重量%〜約15重量%のゼイン;
(c)約5重量%〜約55重量%のろう様物質;及び
(d)約15重量%〜約45重量%の微結晶性セルロース、アルファ化デンプン、又は微結晶性セルロースとアルファ化デンプンとの混合物
を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
活性成分が12時間未満の半減期を有する医薬である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
活性成分がフェニルプロパノールアミン塩酸塩である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(a)約0.5重量%〜約20重量%のフェニルプロパノールアミン塩酸塩;
(b)ゼイン水性分散液からの約0.5重量%〜約10重量%のゼイン;
(c)約20重量%〜約80重量%の水素化植物油;
(d)約10重量%〜約40重量%の微結晶性セルロース;及び
(e)約5重量%〜約25重量%のアルファ化デンプン
を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
活性成分がグルコサミンHClを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
(a)約25重量%〜約75重量%のグルコサミンHCl、
(b)ゼイン水性分散液からの約1重量%〜約15重量%のゼイン、
(c)約15重量%〜約35重量%の水素化植物油、
(d)約5重量%〜約20重量%の微結晶性セルロース、及び
(e)約5重量%〜約10重量%のアルファ化デンプン
を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
更に、コンドロイチン、アスコルビン酸カルシウム、硫酸マンガン、又はその混合物を含む、請求項12又は請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
活性成分がマルチビタミン及びミネラルを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
(a)約50重量%〜約80重量%のマルチビタミン及びミネラル、
(b)ゼイン水性分散液からの約1重量%〜約10重量%のゼイン、
(c)約1重量%〜約15重量%の水素化植物油又はカルナウバろう、及び
(d)約5重量%〜約25重量%の微結晶性セルロース
を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
活性成分がトラマドールHClである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
(a)約5重量%〜約30重量%のトラマドールHCl、
(b)ゼイン水性分散液からの約1重量%〜約30重量%のゼイン、
(c)約5重量%〜約50重量%の水素化植物油又はカルナウバろう、及び
(d)約15重量%〜約60重量%の微結晶性セルロース、アルファ化デンプン、又は微結晶性セルロースとアルファ化デンプンとの混合物
を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
錠剤又は多微粒子がコーティングされる、請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
錠剤又は多微粒子が水素化植物油又はカルナウバろうを含むコーティング組成物でコーティングされる、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
多くとも約5%の活性成分が標準USPバスケット法により測定される最初の1〜5分間で放出される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
更に、1以上の不活性成分を含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
不活性成分が結合剤、酸化防止剤、着色剤、香味剤又は滑沢剤である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
1以上の不活性成分が全濃度約0.01重量%〜約5.0重量%で存在する、請求項22又は請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物を含む投薬形態。
【請求項26】
請求項1〜5及び7〜24のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって、
(a)活性成分をゼイン水性分散液からのゼインと混合して、コアを形成する工程、
(b)工程(a)のコアをろう様物質、微結晶性セルロース、場合によりアルファ化デンプン、及び液体と混合する工程、
(c)工程(b)の混合物を粒状にし、又は押し出して、顆粒剤又は押出物を得る工程、
(d)顆粒剤又は押出物を乾燥する工程、
(e)工程(d)の乾燥顆粒剤又は押出物をろう様物質の融点を超える温度に加熱する工程、並びに
(f)工程(e)の顆粒剤を分粒し、又は工程(e)の押出物を断片化して、非球形ペレット剤を形成する工程
を含む、前記方法。
【請求項27】
請求項1〜5及び7〜24のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって、
(a)活性成分をゼイン水性分散液からのゼインと混合して、コアを形成する工程、
(b)工程(a)のコアをろう様物質、微結晶性セルロース、場合によりアルファ化デンプン、及び液体と混合する工程、
(c)工程(b)の混合物を押し出して、押出物を得る工程、
(d)押出物を球形にして、球形ペレット剤を形成する工程、
(e)球形ペレット剤を乾燥する工程、並びに
(f)工程(e)の球形ペレット剤をろう様物質の融点を超える温度に加熱する工程
を含む、前記方法。
【請求項28】
更に、粒状物、非球形ペレット剤又は球形ペレット剤を、ろう様物質を含むコーティング組成物でコーティングする工程を含む、請求項26又は請求項27に記載の方法。
【請求項29】
更に、
(g)粒状物、非球形ペレット剤又は球形ペレット剤を1以上の不活性成分と混合する工程、及び
(h)工程(g)の混合物を圧縮して、錠剤とする工程
を含む、請求項26又は請求項27に記載の方法。
【請求項30】
更に、錠剤を、ろう様物質を含むコーティング組成物でコーティングする工程を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
動物の失禁又はうっ血を治療するか、あるいは動物の食欲を抑制する方法であって、フェニルプロパノールアミン塩酸塩の有効量を含む請求項10又は請求項11に記載の組成物を、それが必要な患畜に経口投与することを含む、前記方法。
【請求項32】
痛みを軽減する方法であって、組成物がトラマドール又は薬学的に許容可能な塩の有効量を含む、請求項17〜24のいずれか一項に記載の組成物を、それが必要な患者に経口投与することを含む、前記方法。
【請求項33】
慢性疾患又は食事性欠乏症を治療又は予防する方法であって、組成物がグルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸塩、ビタミン、ミネラル、又はその混合物の有効量を含む、請求項13〜16のいずれか一項に記載の組成物を、それが必要な患者に経口投与することを含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【公表番号】特表2012−502061(P2012−502061A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526247(P2011−526247)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/056103
【国際公開番号】WO2010/028290
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(502307324)ファーナム・カンパニーズ・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】