チューブの締結構造
【課題】 少ない部品点数で、組付け作業性に優れ、かつ外力によって容易に外れることがないチューブとパイプの締結構造を提供する。
【解決手段】 コネクタ3は、チューブ1が挿入保持される第1,2係合筒部(31,32)と、両係合筒部の中間に位置する中間フランジ部33からなる。上記第1,2係合筒部には軸方向に延びる第1,2切欠き窓(311,321)が設けられ、該第1,2切欠き窓の前記中間フランジ部33と反対側の端部から突設されるとともにチューブのコネクタ係合部11と上記パイプの外周部に形成された係合突部21に各々係合する第1,2係合片(312,322)が設けられる。ガスケット4は円筒部41と該円筒部の一端に設けられるとともに上記チューブのガスケット保持部12の端面に当接するフランジ部42からなり、上記第1切欠き窓311は、チューブ1とパイプ2が締結された状態で上記ガスケットのフランジ部42が目視できるように中間フランジ部33近傍まで延びている。
【解決手段】 コネクタ3は、チューブ1が挿入保持される第1,2係合筒部(31,32)と、両係合筒部の中間に位置する中間フランジ部33からなる。上記第1,2係合筒部には軸方向に延びる第1,2切欠き窓(311,321)が設けられ、該第1,2切欠き窓の前記中間フランジ部33と反対側の端部から突設されるとともにチューブのコネクタ係合部11と上記パイプの外周部に形成された係合突部21に各々係合する第1,2係合片(312,322)が設けられる。ガスケット4は円筒部41と該円筒部の一端に設けられるとともに上記チューブのガスケット保持部12の端面に当接するフランジ部42からなり、上記第1切欠き窓311は、チューブ1とパイプ2が締結された状態で上記ガスケットのフランジ部42が目視できるように中間フランジ部33近傍まで延びている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブをコネクタによりパイプに接続するチューブ締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の締結構造として、特許文献1の技術が知られている。図4は従来のコネクタを示す断面図である。図4において、コネクタP5の第1室P53をチューブP4のハウジングhに被せ、該ハウジングhの開放端をフランジ部P52に当接させ、該第1室P53内に突出した固定片P532をハウジングの外周面に設けられた取付用係合部(膨出部)P36に係合させて、コネクタP5をハウジングhに固定する。そして、第2室P54及び上記フランジ部P52の内側を通してパイプP51の端部を上記ハウジングh内に挿入し、このパイプP51の外周面に設けられたロック用係合部P42に上記各ロック片P543の先端部を係合させて他のパイプP51をロックすることにより、チューブP4とパイプP51とを互いに連結固定するものである。
【0003】
しかし、OリングP33が、膨出部36の内部に配置されているため、連結時にパイプP51とチューブP4との間にOリングP33が噛み込まれたり、ねじり応力が残留することでOリングP33の耐久性に問題があった。また、OリングP33は組付け状態では外部から確認できないため、Oリングの欠品による組付け不良を簡単に目視検査することが困難であった。
【特許文献1】特開2001−108176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の技術の問題点を解決するものであり、外力によって容易に外れることがなく、かつ簡単な構成の締結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明は
チューブと、該チューブに組み付けられパイプを前記チューブに接続するためのコネクタとを備えた締結構造において、
上記コネクタは、ほぼ円筒形状であり上記チューブが挿入保持される第1係合筒部と、上記パイプが挿入保持される第2係合筒部と両係合筒部の中間に位置する中間フランジ部からなり、
上記第1係合筒部には軸方向に伸びる第1切欠き窓が設けられ、該第1切欠き窓の前記中間フランジ部と反対側の端部から突設されるとともにチューブに設けられたコネクタ係合部に係合する第1係合片が設けられ、前記第2係合筒部には軸方向に伸びる第2切欠き窓が設けられ、該第2切欠き窓の前記中間フランジ部と反対側の端部から突設されるとともに上記パイプの外周部に形成された係合突部に係合する第2係合片が設けられ、
上記チューブの端部には、上記チューブと上記パイプとを液密シールするガスケットが挿入されるガスケット保持部が形成されており、
上記ガスケットは円筒部と該円筒部の一端に設けられるとともに上記チューブのガスケット保持部の端面に当接するフランジ部からなり、
上記第1切欠き窓は、チューブとパイプが締結された状態で上記ガスケットのフランジ部が目視できるように上記中間フランジ部近傍まで伸びていること、
を特徴とする。
【0006】
本発明の締結構造によると、第1切欠き窓がコネクタの中間フランジ部近傍まで開口されているので、締結状態においてガスケットのフランジ部が第1切欠き窓から目視でき、欠品による不良を外部から検査することができる。
【0007】
また、ガスケットのフランジ部がチューブのガスケット保持部端面に当接して配置されているので、チューブをパイプに装着する際に、ガスケットがチューブの奥方にズレることがなく、装着作業性に優れるとともにガスケットの噛み込みを防止できる。
【0008】
また、第1,2係合片は各々第1,2切欠き窓の中間フランジ部と反対側の端部から突設形成されているので、第1,2係合片の軸方向に沿って抜け方向の力を受け止めることができ、高い抜け強度を確保できる。
【0009】
また、好適な態様として、ガスケットのフランジ部は、チューブとパイプが締結された状態で上記ガスケット保持部の端面とコネクタの中間フランジ部の間で弾性圧縮された状態で保持されている構成をとることができる。この構成により、チューブ端末部の切断寸法のバラツキを吸収して確実にコネクタとチューブの係合を行うことができるとともに、チューブとパイプの軸方向の移動を規制することがで、コネクタのガタツキを防止できる。
【0010】
また、第2切欠き窓は、チューブとパイプが締結された状態で上記パイプの係合突部が目視できるように上記中間フランジ部近傍まで伸びている構成をとることができる。この構成により、作業者はチューブをパイプに装着する際、装着完了位置において第2切欠き窓からパイプの係合突部を目視できるようになっているため、装着完了を外部から容易に確認することができる。
【0011】
また、第1切欠き窓と上記第2切欠き窓とは、同一軸線上に沿って配置されている構成をとることができる。この構成により、作業者はチューブをパイプに装着する際、装着完了位置において第1、2切欠き窓から各々ガスケットのフランジ部とパイプの係合突部を同じ目線で同時に確認できるようになっているため、装着完了を外部から一層容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。
(1) 締結構造の概略
本実施例にかかる締結構造は、例えば、自動車の燃料タンク内に配置される燃料経路に好適に用いることができる。図1は本発明の一実施例にかかる締結構造により燃料タンク5にチューブ1を接続した接続構造体を説明する側面図、図2はその断面図である。図1および図2において、接続構造体は、コネクタ3と、チューブ1とチューブ1内に挿入されパイプ2に対してシールするガスケット4とを備えている。チューブ1は、係合片312とチューブ1のコネクタ係合部11を介してコネクタ3の他方に接続される。パイプ2は、その外周部にビード(係合突部)21が突設され、そのビード21の先端側のパイプ外周面がシール面になっており、係合片322とビード21を介して接続される。
(2) 締結構造各部の構成
以下、締結構造の各部の構成について説明する。(図−1,2参照)
(2)−1 チューブ1
チューブ1は、流体の通路を形成する蛇腹部13と、ガスケット4を内部に保持するガスケット保持部12と、前記蛇腹部13とガスケット保持部のストレート部121の境界部にコネクタ3の係合爪312Bと係合する段部111が形成されており、この段部111がコネクタ係合部11として機能するようになっている。チューブ1はコルゲータにより一体的に押出しブロー成形で連続形成したものを切断して製造することができ、生産性に優れている。ストレート部121の内周面122に、ガスケット4の円筒部41が保持され、図2に示すパイプ2のシール面との間をシールする。
(2)−2 パイプ2
パイプ2は燃料タンク5から突出して形成されており、樹脂タンクであれば射出成形品をタンク表面に熱溶着することで、鉄製タンクであれば金属パイプを溶接することで接続されている。その外周面にはコネクタ3の第2係合片322と係合する係合突部(ビード)21が形成されている。
(2)−3 コネクタ3
コネクタ3は、チューブ1を接続するための第1係合筒部31と、パイプ2を接続するための第2係合筒部32と、第1,2係合筒部を区画する中間フランジ部33とを備え、これらが円筒状に、樹脂で一体に射出成形されている。第1係合筒部31は第2係合筒部32より大径に形成されている。第1係合筒部31には、4個の第1切欠き窓311が周方向に等間隔に、かつ、中間フランジ部32近傍まで開口形成されており、各切欠き窓の中間フランジ部33と対向する側の端部には第1係合片312が径方向内側に向かって一体的に突設されている。この第1係合片312は切欠き窓311内に片持ち状態で突設された弾性変形可能なアーム部312Aと、アーム部312Aの先端に向かって山形に形成された係合爪312Bからなり、該係合爪312Bはチューブ側の段部111と係合できるようになっている。第2係合筒部32には、4個の第2切欠き窓321が周方向に等間隔に、かつ、中間フランジ部32近傍まで開口4個形成されており、各切欠き窓の中間フランジ部33と対向する側の端部には第2係合片322が一体的に径方向内側に向かって突設されている。この第2係合片322は第1係合片と同様に弾性変形可能なアーム部322Aとパイプ側の係合突部21と係合する係合爪322Bからなる。
【0013】
上記第1,2係合筒部は各々中間フランジ部32近傍まで開口形成されており、第1,2切欠き窓は互いに同一軸線上に配置されている。
(2)−4 ガスケット4
ガスケット4は、円筒形状をなしており、シール部を構成する円筒部41と、この円筒部41の一方の端部に径方向外方に向けて一体形成されたフランジ部42からなる。円筒部41は更に複数のシール部411と各シール部411を連結する連結部412から構成されている。このシール部411はチューブ1のガスケット保持部の内周面122とパイプ2のビード21より先端側のパイプ外周面との間に圧縮状態で介在している。このガスケットのシール部411は円筒部41の軸方向に等間隔で4個のリング状の膨出部を形成することで容易に製造できる。即ち、各シール部411が連結部412で連結された状態になっているので、NBR等のゴム材料により一体的に加硫成形することができる。
(3) 接続作業
次に、接続作業について図−2,3を基に説明する。図3はチューブ1とパイプ2を接続する一連の接続作業を説明する説明図である。図3に示すように、まず、チューブ1の一方端であるガスケット保持部122にガスケット4を挿入する。この時、ガスケット4のフランジ部42がガスケット保持部121の端面123に当接するまで挿入することでガスケット4のシール部411を所定の位置に位置決めすることができる。この状態では、ガスケット4のフランジ部42と反対側のシール部411はチューブ1の段部111と間隔を空けて仮止めされている。
【0014】
次に、コネクタ3の第1係合筒部31内にガスケット4を組付けたチューブ1を挿入して行くと、第1係合片31は弾性変形を伴ってチューブ1のストレート部121の外周面に沿って移動し、図2に示すように係合爪312Bがチューブ1のコネクタ係合部11(段部111)と係合して抜け止め固定される。この時、ガスケット4のフランジ部42はチューブ1の端面123とコネクタ3の中間フランジ部33の間で圧縮変形されるように構成されているので、ストレート部121の長さ寸法のバラツキを吸収して、コネクタ3をチューブ1にガタツキを生じることなく組付けることができる。
【0015】
また、第1係合筒部31の第1切欠き窓311は中間フランジ部33まで開口しているので、作業者は装着完了後においても外部から第1切欠き窓311を通してガスケット1のフランジ部42を目視することができる。従って、欠品による不良を効果的に防止することができる。
【0016】
そして、このような組み付けされたコネクタ3付きチューブ1は、組付ラインにて、燃料タンク5のパイプ2に第2係合筒部を外挿することで組み付けられる。すなわち、第2係合片322の係合爪322Bは、第2係合片322のアーム部322Bを半径方向へ撓ませることによりパイプ2の外周部に形成されたビード21を乗り越えて、ビード部21と係合して抜止めされた状態にて一体的に組み付けられ、ガスケット4のシール部411は径方向に圧縮されてチューブ1の内周面122とパイプ2の外周面とを液密シールする。
【0017】
この時、ガスケット4はパイプ2の摩擦抵抗によりチューブ1の奥方へ引き込まれようとするが、フランジ部42がチューブ1の端面123により保持されているので、ガスケット4が奥方へ移動してシール部411が噛み込まれることがない。また、シール部411は連結部412で連結されているので、挿入によるシール部411の捩れを、スペーサを用いることなく防止することができる。
(4) 締結構造の作用効果
上記実施例の構成により、上述した効果のほか、以下の効果を奏する。
(4)−1 第1,2係合片(312,322)は各々第1,2切欠き窓(311,321)の中間フランジ部33と反対側の端部から径方向内側に傾斜して突設形成されているので、第1,2係合片(312,322)の軸方向に沿って抜け方向の力を受け止めることができ、高い抜け強度を確保できる。
(4)−2 第2切欠き窓321は、チューブ1とパイプ2が締結された状態でパイプ2の係合突部21が目視できるように中間フランジ部33近傍まで伸びている構成により、作業者はチューブ1をパイプ2に装着する際、装着完了位置において第2切欠き窓321からパイプの係合突部21を目視できるようになっているため、装着完了を外部から容易に確認することができる。
(4)−3 第1,2切欠き窓(311,321)は、同一軸線上に沿って配置されていることにより、作業者はチューブをパイプに装着する際、装着完了位置において第1、2切欠き窓(311,321)から各々ガスケットのフランジ部33とパイプの係合突部21を同じ目線で同時に確認できるようになっているため、装着完了を外部から一層容易に確認することができる。
(4)−4 第1,2切欠き窓(311,321)に第1,2係合片(31,32)を設ける構成は、射出により簡単に成形することができるので、コストダウンを実現することができる。また、軸方向と平行な位置に沿って配置する構成をとっているので、型抜きが容易であり、しかも型構造を簡単にできる。
(4)−7 本発明の締結構造は、コネクタ3とガスケット4の2部品であるので、部品点数も少なく、組付作業性に優れる。
【0018】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0019】
たとえば、ガスケット4のフランジ部43は全周に亘って形成する必要はなく、部分的に形成してもよい。これにより、軸方向の弾性変形量を大きくすることができ、チューブ1のストレート部121の寸法バラツキを一層吸収しやすくなる。
【0020】
また、第1,2切欠き窓(311,321)は各々少なくとも2個設ければよい。特に対向する位置に一対設けることでコネクタ3の成形金型を簡便な構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例にかかる締結構造により燃料タンク5にチューブ1を接続した接続構造体を説明する側面図である。
【図2】図−1の断面図である。
【図3】チューブ1とパイプ2を接続する一連の接続作業を説明する説明図である。
【図4】従来技術の締結構造を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1...チューブ
11...コネクタ係合部
111...段差
12...ガスケット保持部
121...ストレート部
122...内周面
123...端面
13...蛇腹部
2...パイプ
21...係合突部(ビード)
3...コネクタ
31...第1係合筒部
311...第1切欠き窓
312...係合片
312A...アーム部
312B...係合爪
32...第2係合筒部
321...第2切欠き窓
322...係合片
322A...アーム部
322B...係合爪
4...ガスケット
41...円筒部
411...シール部
412...連結部
42...フランジ部
5...燃料タンク
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブをコネクタによりパイプに接続するチューブ締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の締結構造として、特許文献1の技術が知られている。図4は従来のコネクタを示す断面図である。図4において、コネクタP5の第1室P53をチューブP4のハウジングhに被せ、該ハウジングhの開放端をフランジ部P52に当接させ、該第1室P53内に突出した固定片P532をハウジングの外周面に設けられた取付用係合部(膨出部)P36に係合させて、コネクタP5をハウジングhに固定する。そして、第2室P54及び上記フランジ部P52の内側を通してパイプP51の端部を上記ハウジングh内に挿入し、このパイプP51の外周面に設けられたロック用係合部P42に上記各ロック片P543の先端部を係合させて他のパイプP51をロックすることにより、チューブP4とパイプP51とを互いに連結固定するものである。
【0003】
しかし、OリングP33が、膨出部36の内部に配置されているため、連結時にパイプP51とチューブP4との間にOリングP33が噛み込まれたり、ねじり応力が残留することでOリングP33の耐久性に問題があった。また、OリングP33は組付け状態では外部から確認できないため、Oリングの欠品による組付け不良を簡単に目視検査することが困難であった。
【特許文献1】特開2001−108176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の技術の問題点を解決するものであり、外力によって容易に外れることがなく、かつ簡単な構成の締結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明は
チューブと、該チューブに組み付けられパイプを前記チューブに接続するためのコネクタとを備えた締結構造において、
上記コネクタは、ほぼ円筒形状であり上記チューブが挿入保持される第1係合筒部と、上記パイプが挿入保持される第2係合筒部と両係合筒部の中間に位置する中間フランジ部からなり、
上記第1係合筒部には軸方向に伸びる第1切欠き窓が設けられ、該第1切欠き窓の前記中間フランジ部と反対側の端部から突設されるとともにチューブに設けられたコネクタ係合部に係合する第1係合片が設けられ、前記第2係合筒部には軸方向に伸びる第2切欠き窓が設けられ、該第2切欠き窓の前記中間フランジ部と反対側の端部から突設されるとともに上記パイプの外周部に形成された係合突部に係合する第2係合片が設けられ、
上記チューブの端部には、上記チューブと上記パイプとを液密シールするガスケットが挿入されるガスケット保持部が形成されており、
上記ガスケットは円筒部と該円筒部の一端に設けられるとともに上記チューブのガスケット保持部の端面に当接するフランジ部からなり、
上記第1切欠き窓は、チューブとパイプが締結された状態で上記ガスケットのフランジ部が目視できるように上記中間フランジ部近傍まで伸びていること、
を特徴とする。
【0006】
本発明の締結構造によると、第1切欠き窓がコネクタの中間フランジ部近傍まで開口されているので、締結状態においてガスケットのフランジ部が第1切欠き窓から目視でき、欠品による不良を外部から検査することができる。
【0007】
また、ガスケットのフランジ部がチューブのガスケット保持部端面に当接して配置されているので、チューブをパイプに装着する際に、ガスケットがチューブの奥方にズレることがなく、装着作業性に優れるとともにガスケットの噛み込みを防止できる。
【0008】
また、第1,2係合片は各々第1,2切欠き窓の中間フランジ部と反対側の端部から突設形成されているので、第1,2係合片の軸方向に沿って抜け方向の力を受け止めることができ、高い抜け強度を確保できる。
【0009】
また、好適な態様として、ガスケットのフランジ部は、チューブとパイプが締結された状態で上記ガスケット保持部の端面とコネクタの中間フランジ部の間で弾性圧縮された状態で保持されている構成をとることができる。この構成により、チューブ端末部の切断寸法のバラツキを吸収して確実にコネクタとチューブの係合を行うことができるとともに、チューブとパイプの軸方向の移動を規制することがで、コネクタのガタツキを防止できる。
【0010】
また、第2切欠き窓は、チューブとパイプが締結された状態で上記パイプの係合突部が目視できるように上記中間フランジ部近傍まで伸びている構成をとることができる。この構成により、作業者はチューブをパイプに装着する際、装着完了位置において第2切欠き窓からパイプの係合突部を目視できるようになっているため、装着完了を外部から容易に確認することができる。
【0011】
また、第1切欠き窓と上記第2切欠き窓とは、同一軸線上に沿って配置されている構成をとることができる。この構成により、作業者はチューブをパイプに装着する際、装着完了位置において第1、2切欠き窓から各々ガスケットのフランジ部とパイプの係合突部を同じ目線で同時に確認できるようになっているため、装着完了を外部から一層容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。
(1) 締結構造の概略
本実施例にかかる締結構造は、例えば、自動車の燃料タンク内に配置される燃料経路に好適に用いることができる。図1は本発明の一実施例にかかる締結構造により燃料タンク5にチューブ1を接続した接続構造体を説明する側面図、図2はその断面図である。図1および図2において、接続構造体は、コネクタ3と、チューブ1とチューブ1内に挿入されパイプ2に対してシールするガスケット4とを備えている。チューブ1は、係合片312とチューブ1のコネクタ係合部11を介してコネクタ3の他方に接続される。パイプ2は、その外周部にビード(係合突部)21が突設され、そのビード21の先端側のパイプ外周面がシール面になっており、係合片322とビード21を介して接続される。
(2) 締結構造各部の構成
以下、締結構造の各部の構成について説明する。(図−1,2参照)
(2)−1 チューブ1
チューブ1は、流体の通路を形成する蛇腹部13と、ガスケット4を内部に保持するガスケット保持部12と、前記蛇腹部13とガスケット保持部のストレート部121の境界部にコネクタ3の係合爪312Bと係合する段部111が形成されており、この段部111がコネクタ係合部11として機能するようになっている。チューブ1はコルゲータにより一体的に押出しブロー成形で連続形成したものを切断して製造することができ、生産性に優れている。ストレート部121の内周面122に、ガスケット4の円筒部41が保持され、図2に示すパイプ2のシール面との間をシールする。
(2)−2 パイプ2
パイプ2は燃料タンク5から突出して形成されており、樹脂タンクであれば射出成形品をタンク表面に熱溶着することで、鉄製タンクであれば金属パイプを溶接することで接続されている。その外周面にはコネクタ3の第2係合片322と係合する係合突部(ビード)21が形成されている。
(2)−3 コネクタ3
コネクタ3は、チューブ1を接続するための第1係合筒部31と、パイプ2を接続するための第2係合筒部32と、第1,2係合筒部を区画する中間フランジ部33とを備え、これらが円筒状に、樹脂で一体に射出成形されている。第1係合筒部31は第2係合筒部32より大径に形成されている。第1係合筒部31には、4個の第1切欠き窓311が周方向に等間隔に、かつ、中間フランジ部32近傍まで開口形成されており、各切欠き窓の中間フランジ部33と対向する側の端部には第1係合片312が径方向内側に向かって一体的に突設されている。この第1係合片312は切欠き窓311内に片持ち状態で突設された弾性変形可能なアーム部312Aと、アーム部312Aの先端に向かって山形に形成された係合爪312Bからなり、該係合爪312Bはチューブ側の段部111と係合できるようになっている。第2係合筒部32には、4個の第2切欠き窓321が周方向に等間隔に、かつ、中間フランジ部32近傍まで開口4個形成されており、各切欠き窓の中間フランジ部33と対向する側の端部には第2係合片322が一体的に径方向内側に向かって突設されている。この第2係合片322は第1係合片と同様に弾性変形可能なアーム部322Aとパイプ側の係合突部21と係合する係合爪322Bからなる。
【0013】
上記第1,2係合筒部は各々中間フランジ部32近傍まで開口形成されており、第1,2切欠き窓は互いに同一軸線上に配置されている。
(2)−4 ガスケット4
ガスケット4は、円筒形状をなしており、シール部を構成する円筒部41と、この円筒部41の一方の端部に径方向外方に向けて一体形成されたフランジ部42からなる。円筒部41は更に複数のシール部411と各シール部411を連結する連結部412から構成されている。このシール部411はチューブ1のガスケット保持部の内周面122とパイプ2のビード21より先端側のパイプ外周面との間に圧縮状態で介在している。このガスケットのシール部411は円筒部41の軸方向に等間隔で4個のリング状の膨出部を形成することで容易に製造できる。即ち、各シール部411が連結部412で連結された状態になっているので、NBR等のゴム材料により一体的に加硫成形することができる。
(3) 接続作業
次に、接続作業について図−2,3を基に説明する。図3はチューブ1とパイプ2を接続する一連の接続作業を説明する説明図である。図3に示すように、まず、チューブ1の一方端であるガスケット保持部122にガスケット4を挿入する。この時、ガスケット4のフランジ部42がガスケット保持部121の端面123に当接するまで挿入することでガスケット4のシール部411を所定の位置に位置決めすることができる。この状態では、ガスケット4のフランジ部42と反対側のシール部411はチューブ1の段部111と間隔を空けて仮止めされている。
【0014】
次に、コネクタ3の第1係合筒部31内にガスケット4を組付けたチューブ1を挿入して行くと、第1係合片31は弾性変形を伴ってチューブ1のストレート部121の外周面に沿って移動し、図2に示すように係合爪312Bがチューブ1のコネクタ係合部11(段部111)と係合して抜け止め固定される。この時、ガスケット4のフランジ部42はチューブ1の端面123とコネクタ3の中間フランジ部33の間で圧縮変形されるように構成されているので、ストレート部121の長さ寸法のバラツキを吸収して、コネクタ3をチューブ1にガタツキを生じることなく組付けることができる。
【0015】
また、第1係合筒部31の第1切欠き窓311は中間フランジ部33まで開口しているので、作業者は装着完了後においても外部から第1切欠き窓311を通してガスケット1のフランジ部42を目視することができる。従って、欠品による不良を効果的に防止することができる。
【0016】
そして、このような組み付けされたコネクタ3付きチューブ1は、組付ラインにて、燃料タンク5のパイプ2に第2係合筒部を外挿することで組み付けられる。すなわち、第2係合片322の係合爪322Bは、第2係合片322のアーム部322Bを半径方向へ撓ませることによりパイプ2の外周部に形成されたビード21を乗り越えて、ビード部21と係合して抜止めされた状態にて一体的に組み付けられ、ガスケット4のシール部411は径方向に圧縮されてチューブ1の内周面122とパイプ2の外周面とを液密シールする。
【0017】
この時、ガスケット4はパイプ2の摩擦抵抗によりチューブ1の奥方へ引き込まれようとするが、フランジ部42がチューブ1の端面123により保持されているので、ガスケット4が奥方へ移動してシール部411が噛み込まれることがない。また、シール部411は連結部412で連結されているので、挿入によるシール部411の捩れを、スペーサを用いることなく防止することができる。
(4) 締結構造の作用効果
上記実施例の構成により、上述した効果のほか、以下の効果を奏する。
(4)−1 第1,2係合片(312,322)は各々第1,2切欠き窓(311,321)の中間フランジ部33と反対側の端部から径方向内側に傾斜して突設形成されているので、第1,2係合片(312,322)の軸方向に沿って抜け方向の力を受け止めることができ、高い抜け強度を確保できる。
(4)−2 第2切欠き窓321は、チューブ1とパイプ2が締結された状態でパイプ2の係合突部21が目視できるように中間フランジ部33近傍まで伸びている構成により、作業者はチューブ1をパイプ2に装着する際、装着完了位置において第2切欠き窓321からパイプの係合突部21を目視できるようになっているため、装着完了を外部から容易に確認することができる。
(4)−3 第1,2切欠き窓(311,321)は、同一軸線上に沿って配置されていることにより、作業者はチューブをパイプに装着する際、装着完了位置において第1、2切欠き窓(311,321)から各々ガスケットのフランジ部33とパイプの係合突部21を同じ目線で同時に確認できるようになっているため、装着完了を外部から一層容易に確認することができる。
(4)−4 第1,2切欠き窓(311,321)に第1,2係合片(31,32)を設ける構成は、射出により簡単に成形することができるので、コストダウンを実現することができる。また、軸方向と平行な位置に沿って配置する構成をとっているので、型抜きが容易であり、しかも型構造を簡単にできる。
(4)−7 本発明の締結構造は、コネクタ3とガスケット4の2部品であるので、部品点数も少なく、組付作業性に優れる。
【0018】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0019】
たとえば、ガスケット4のフランジ部43は全周に亘って形成する必要はなく、部分的に形成してもよい。これにより、軸方向の弾性変形量を大きくすることができ、チューブ1のストレート部121の寸法バラツキを一層吸収しやすくなる。
【0020】
また、第1,2切欠き窓(311,321)は各々少なくとも2個設ければよい。特に対向する位置に一対設けることでコネクタ3の成形金型を簡便な構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例にかかる締結構造により燃料タンク5にチューブ1を接続した接続構造体を説明する側面図である。
【図2】図−1の断面図である。
【図3】チューブ1とパイプ2を接続する一連の接続作業を説明する説明図である。
【図4】従来技術の締結構造を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1...チューブ
11...コネクタ係合部
111...段差
12...ガスケット保持部
121...ストレート部
122...内周面
123...端面
13...蛇腹部
2...パイプ
21...係合突部(ビード)
3...コネクタ
31...第1係合筒部
311...第1切欠き窓
312...係合片
312A...アーム部
312B...係合爪
32...第2係合筒部
321...第2切欠き窓
322...係合片
322A...アーム部
322B...係合爪
4...ガスケット
41...円筒部
411...シール部
412...連結部
42...フランジ部
5...燃料タンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ(1)と、該チューブ(1)に組み付けられパイプ(2)を前記チューブ(1)に接続するためのコネクタ(3)とを備えた締結構造において、
上記コネクタ(3)は、ほぼ円筒形状であり上記チューブ(1)が挿入保持される第1係合筒部(31)と、上記パイプ(2)が挿入保持される第2係合筒部(32)と、両係合筒部の中間に位置する中間フランジ部(33)からなり、
上記第1係合筒部(31)には軸方向に伸びる第1切欠き窓(311)が設けられ、該第1切欠き窓(311)の前記中間フランジ部(33)と反対側の端部から突設されるとともにチューブに設けられたコネクタ係合部(11)に係合する第1係合片(312)が設けられ、前記第2係合筒部(32)には軸方向に伸びる第2切欠き窓(321)が設けられ、該第2切欠き窓(321)の前記中間フランジ部(33)と反対側の端部から突設されるとともに上記パイプ(2)の外周部に形成された係合突部(21)に係合する第2係合片(322)が設けられ、
上記チューブ(1)の端部には、上記チューブ(1)と上記パイプ(2)とを液密シールするガスケット(4)が挿入保持されるガスケット保持部(12)が形成されており、
上記ガスケット(4)は円筒部(41)と該円筒部の一端に設けられるとともに上記チューブのガスケット保持部(12)の端面(123)に当接するフランジ部(42)からなり、
上記第1切欠き窓(311)は、上記チューブ(1)と上記パイプ(2)が締結された状態で上記ガスケットのフランジ部(42)が目視できるように上記中間フランジ部(33)近傍まで伸びていること、
を特徴とするチューブの締結構造。
【請求項2】
請求項1に記載の締結構造において、
上記ガスケットのフランジ部(42)は、チューブ(1)とパイプ(2)が締結された状態で上記ガスケット保持部の端面(123)とコネクタの中間フランジ部(33)の間で弾性圧縮された状態で保持されているチューブの締結構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の締結構造において、
上記第2切欠き窓(321)は、チューブ(1)とパイプ(2)が締結された状態で上記パイプの係合突部(21)が目視できるように上記中間フランジ部(33)近傍まで伸びているチューブの締結構造。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタにおいて、
上記第1切欠き窓(311)と上記第2切欠き窓(321)とは、同一軸線上に沿って配置されているチューブの締結構造。
【請求項1】
チューブ(1)と、該チューブ(1)に組み付けられパイプ(2)を前記チューブ(1)に接続するためのコネクタ(3)とを備えた締結構造において、
上記コネクタ(3)は、ほぼ円筒形状であり上記チューブ(1)が挿入保持される第1係合筒部(31)と、上記パイプ(2)が挿入保持される第2係合筒部(32)と、両係合筒部の中間に位置する中間フランジ部(33)からなり、
上記第1係合筒部(31)には軸方向に伸びる第1切欠き窓(311)が設けられ、該第1切欠き窓(311)の前記中間フランジ部(33)と反対側の端部から突設されるとともにチューブに設けられたコネクタ係合部(11)に係合する第1係合片(312)が設けられ、前記第2係合筒部(32)には軸方向に伸びる第2切欠き窓(321)が設けられ、該第2切欠き窓(321)の前記中間フランジ部(33)と反対側の端部から突設されるとともに上記パイプ(2)の外周部に形成された係合突部(21)に係合する第2係合片(322)が設けられ、
上記チューブ(1)の端部には、上記チューブ(1)と上記パイプ(2)とを液密シールするガスケット(4)が挿入保持されるガスケット保持部(12)が形成されており、
上記ガスケット(4)は円筒部(41)と該円筒部の一端に設けられるとともに上記チューブのガスケット保持部(12)の端面(123)に当接するフランジ部(42)からなり、
上記第1切欠き窓(311)は、上記チューブ(1)と上記パイプ(2)が締結された状態で上記ガスケットのフランジ部(42)が目視できるように上記中間フランジ部(33)近傍まで伸びていること、
を特徴とするチューブの締結構造。
【請求項2】
請求項1に記載の締結構造において、
上記ガスケットのフランジ部(42)は、チューブ(1)とパイプ(2)が締結された状態で上記ガスケット保持部の端面(123)とコネクタの中間フランジ部(33)の間で弾性圧縮された状態で保持されているチューブの締結構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の締結構造において、
上記第2切欠き窓(321)は、チューブ(1)とパイプ(2)が締結された状態で上記パイプの係合突部(21)が目視できるように上記中間フランジ部(33)近傍まで伸びているチューブの締結構造。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタにおいて、
上記第1切欠き窓(311)と上記第2切欠き窓(321)とは、同一軸線上に沿って配置されているチューブの締結構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2006−64019(P2006−64019A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244721(P2004−244721)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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