チューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法及び頭部閉鎖膜
【課題】 頭部閉鎖膜の肉厚に偏肉が生じることを防止した頭部閉鎖膜の製造方法
【解決手段】 予備成形体に成形する予備成形工程と、予備成形体をさらに絞り加工して頭部閉鎖膜を製造する閉鎖膜成形工程とからなることを特徴とするチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法。
【解決手段】 予備成形体に成形する予備成形工程と、予備成形体をさらに絞り加工して頭部閉鎖膜を製造する閉鎖膜成形工程とからなることを特徴とするチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、チューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法及び頭部閉鎖膜に関し、さらに詳しくは、外周面に皺が偏って形成されることにより、頭部閉鎖膜の肉厚に偏肉が生じることを防止した頭部閉鎖膜の製造方法及び頭部閉鎖膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法として、金属製の板材から絞り加工により成形されるチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法として、図11〜図13に示すような製造方法がある。この従来の製造方法は、図11に示すように、金属製の板材50を、閉鎖膜成形用下型51及び成形用下パンチ52の上に載置し、閉鎖膜成形用上型53及び成形用上パンチ54を下降して上型と下型で挟持し、かつ円盤状の金属性の板材50をカッピングして打ち抜き、次ぎに、図12に示すように、円盤状の金属製の板材50の中心部付近を、成形用下パンチ52と成形用上パンチ54で挟持し、閉鎖膜成形用上型53を下降して、絞り加工し、頭部閉鎖膜58の円筒部56を、除々に下方に延伸するものである。このような成形において、絞り加工の初期には、皺の発生を許すように頭部閉鎖膜58を挟持し、次第にその挟持圧力を増加し、最終的に成形持に発生した皺を押圧して重積形状に形成する。最後に下降する閉鎖膜成形用上型53と閉鎖膜成形用下型54とで、頭部閉鎖膜58の傘部57を成形し、図14及び図15に示すように、頭部閉鎖膜58を成形するものである。そして、このようなチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法としては、特許文献1がある。
【特許文献1】特許第3275150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法においては、図15(図14のA−A線端面図)に示すように、金属製の板材50を一気に絞り加工を施すため、図15のX部位のように、皺が多く集中する部位と、Y部位のように皺がまったく存在しない部位とに分離するという欠点があり、頭部閉鎖膜58の外周面の肉厚が、偏った皺により偏肉を生じるという欠点がある。そして、チューブ容器の口部内周面に、この頭部閉鎖膜58を接着すると、接着性にバラつきが生じるという欠点がある。さらに、頭部閉鎖膜58の外周面が美麗に成形されないという欠点がある。
この発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、チューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法及び頭部閉鎖膜に関し、外周面に皺が偏って形成されることにより、頭部閉鎖膜の肉厚に偏肉が生じるのを防止し、チューブ容器の口肩部の内周面への接着性の向上を図った、頭部閉鎖膜の製造方法及び頭部閉鎖膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明の解決手段は、予備成形体に成形する予備成形工程と、予備成形体をさらに絞り加工して頭部閉鎖膜を製造する閉鎖膜成形工程とからなることを特徴とするチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法である。予備成形体を予め成形し、予備成形体の外周面に、波形状又は折曲形状の外周面を成形することにより、後の絞り加工において、
外周面を絞った場合、外周面に皺が偏って形成されるのを防止することができる。
【0005】
請求項2記載の発明の解決手段は、金属製の板材を、予備成形体用下型の上に載置し、予備成形体用上型を下降して上型と下型で予備成形体を成形し、次ぎにこの予備成形体を閉鎖膜成形用下型の上に載置し、閉鎖膜成形用上型を下降して上型と下型で頭部閉鎖膜を成形することを特徴とすることを特徴とするチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法である。同様に、予備成形工程とその後の閉鎖膜成形工程とを別工程としたから、金属製の板材を一気に絞り加工する場合に比べ、絞り加工後外周面に均等に皺が形成される。したがって、成形された頭部閉鎖膜の肉厚がほぼ均一に形成され、成形された頭部閉鎖膜の肉厚に偏肉を生じるのを防止できる。
【0006】
請求項3記載の発明の解決手段は、前記予備成形体が、截頭円錐形状であり、波形状又は折曲形状の外周面を有することを特徴とするチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法である。絞り加工の際に、波形状又は折曲形状の折線に沿って、外周面に均等に皺が形成される。
【0007】
請求項4記載の発明の解決手段は、金属製の板材の少なくとも一面に、単層又は多層の合成樹脂層を積層したことを特徴とするチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法である。ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン又はエチレン−ビニルアルコール共重合体等の合成樹脂の被覆により、頭部閉鎖膜がチューブ容器に接着されて、アルカリ性等の内容物がチューブ容器内に充填された場合、この内容物によって、頭部閉鎖膜の表面が腐食するのを防止することができる。
【0008】
請求項5記載の発明の解決手段は、前記頭部閉鎖膜の製造方法によって造られた頭部閉鎖膜である。本発明に係る製造方法によって造られた頭部閉鎖膜を、チューブ容器の口肩部内面に接着した場合、接着性が向上し、チューブ容器の使用中に頭部閉鎖膜が剥がれ落ちる等の欠点を防止できる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、チューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法及び頭部閉鎖膜において、外周面に皺が偏って形成されるのを防止することができる効果を有する。したがって、チューブ容器の頭部内に頭部閉鎖膜を接着した場合、頭部閉鎖膜の接着力にばら付きが生じない効果を有する。そして、チューブ容器の口肩部の内周面への接着性の向上を図ることができ、頭部閉鎖膜の外周が美麗である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
きる。
【実施例1】
【0011】
図1は、この発明に係る実施例1を示す図面である。1はアルミニウム等の金属製の板材である。図1の1aの部位に、図2に示すような予備成形体2が成形される。予備成形体2は、図4(a)に示すように、外周面に形成される複数の波形状2aと、隣り合う波形状2a間に形成される線部2bとから構成されている。又実施例2は、図3及び図4(b)に示すように、金属製の板材から予備成形体12を成形する別の実施例である。予備成形体12は、複数の折曲頂部12aと折曲底部12bから構成され、断面が連続する二等辺三角形を呈している。これらの図4(a)の波形状又は図4(b)の折曲形状の他、外周面を均等に折り曲げることができる他の形状を選択できることはいうまでもない。
なお、金属製の板材から成形体(予備成形体2又は頭部閉鎖膜20)の切り離しは、予備成形体2の成形直前若しくは成形直後に行われてもよく、或いは頭部閉鎖膜2の成形直前若しくは成形終了後に行われてもよい。
【0012】
図5及び図6は、実施例1において金属製の板材1を、予備成形体用下型13の上面14上に載置し、次ぎに図6に示すように、予備成形体用上型15を下降し、下型13と上型15により予備成形体2を成形するものである。予備成形体用上型15を下降して上型15と下型13で予備成形体2を挟持することにより成形が行われる。そして、予備成形体用下型13の上部には、上面に波形状の雄型13aが形成され、かつ予備成形体用上型15の下面には、波形状の雌型15aが形成されている。次ぎに成形されたこの予備成形体2を、図7及び図8に示すように、成形用下パンチ18と成形用上パンチ19で挟持し、次に閉鎖膜成形用上型17を下降して、上型17と下型16により、絞り加工により頭部閉鎖膜20を成形するものである。予備成形工程とその後の閉鎖膜成形工程とを別工程に分離したから、従来の金属製の板材を、最初から一気に絞り加工する場合に比べ、外周面に均等に皺が形成されるので、皺が偏って形成されるのを防止できる。したがって、頭部閉鎖膜の肉厚に偏肉が生じるのを防止でき、成形された頭部閉鎖膜の外周は美麗という特徴がある。
【0013】
図9は、本発明に係る製造方法によって製造された頭部閉鎖膜を示した拡大断面図である。図10は、本発明に係る製造方法によって製造された、図9の頭部閉鎖膜のB−B線端面図を示す。本発明に係る製造方法で製造された頭部閉鎖膜20の外周面には、図10に示すように、皺23が全周囲にわたってほぼ均一に皺が形成される。金属製の板材1を予備成形することにより、波形状又は折曲形状の線部2b、12bが形成され、外周面に均等に皺ができるように、折れ曲がり易い動機付けがされるため、次ぎの絞り加工工程において、予備成形体2に絞り加工を施した場合、頭部閉鎖膜20の円筒部21及び傘状部22に、均一な皺23を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の活用例として、チューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法に、広く活用することができる。本発明により成形された頭部閉鎖膜は、偏肉がないので、チューブ容器の口部に接着する場合、接着力に斑が生じない。したがって、チューブ容器内面への接着力を強くでき、チューブ容器の使用中に頭部閉鎖膜が剥がれる等の虞がなく、接着性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る製造方法に用いられる金属製の板材を示す斜視図。
【図2】本発明に係る実施例1の予備成形体を示す斜視図。
【図3】本発明に係る実施例2の予備成形体を示す斜視図。
【図4】本発明に係る予備成形体の横端面図(a)及び(b)。
【図5】本発明に係る製造方法に用いられる予備成形用上型及び下型で、予備成形体を成形している状態を示す断面図。
【図6】本発明に係る製造方法に用いられる予備成形用上型及び下型で、予備成形体を成形している状態を示す断面図。
【図7】本発明に係る製造方法で造られた予備成形体を、成形用下パンチ及び閉鎖膜成形用下型の上に載置する状態を示す斜視図。
【図8】本発明に係る製造方法で造られた予備成形体に、絞り加工を施して頭部閉鎖膜を成形している断面図。
【図9】本発明に係る製造方法で造られた頭部閉鎖膜の縦断面図。
【図10】図9のB−B線端面図。
【図11】従来の頭部閉鎖膜の製造方法を示す断面。
【図12】従来の頭部閉鎖膜の製造方法を示す断面。
【図13】従来の頭部閉鎖膜の製造方法を示す断面。
【図14】従来の頭部閉鎖膜の縦断面図。
【図15】従来の頭部閉鎖膜の横端面図。
【符号の説明】
【0016】
1 金属製の板材
2、12 予備成形体
2a 波形状
12a折曲頂部
12b折曲底部
13 予備成形体用下型
15 予備成形体用上型
20 頭部閉鎖膜
【技術分野】
【0001】
この発明は、チューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法及び頭部閉鎖膜に関し、さらに詳しくは、外周面に皺が偏って形成されることにより、頭部閉鎖膜の肉厚に偏肉が生じることを防止した頭部閉鎖膜の製造方法及び頭部閉鎖膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法として、金属製の板材から絞り加工により成形されるチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法として、図11〜図13に示すような製造方法がある。この従来の製造方法は、図11に示すように、金属製の板材50を、閉鎖膜成形用下型51及び成形用下パンチ52の上に載置し、閉鎖膜成形用上型53及び成形用上パンチ54を下降して上型と下型で挟持し、かつ円盤状の金属性の板材50をカッピングして打ち抜き、次ぎに、図12に示すように、円盤状の金属製の板材50の中心部付近を、成形用下パンチ52と成形用上パンチ54で挟持し、閉鎖膜成形用上型53を下降して、絞り加工し、頭部閉鎖膜58の円筒部56を、除々に下方に延伸するものである。このような成形において、絞り加工の初期には、皺の発生を許すように頭部閉鎖膜58を挟持し、次第にその挟持圧力を増加し、最終的に成形持に発生した皺を押圧して重積形状に形成する。最後に下降する閉鎖膜成形用上型53と閉鎖膜成形用下型54とで、頭部閉鎖膜58の傘部57を成形し、図14及び図15に示すように、頭部閉鎖膜58を成形するものである。そして、このようなチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法としては、特許文献1がある。
【特許文献1】特許第3275150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法においては、図15(図14のA−A線端面図)に示すように、金属製の板材50を一気に絞り加工を施すため、図15のX部位のように、皺が多く集中する部位と、Y部位のように皺がまったく存在しない部位とに分離するという欠点があり、頭部閉鎖膜58の外周面の肉厚が、偏った皺により偏肉を生じるという欠点がある。そして、チューブ容器の口部内周面に、この頭部閉鎖膜58を接着すると、接着性にバラつきが生じるという欠点がある。さらに、頭部閉鎖膜58の外周面が美麗に成形されないという欠点がある。
この発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、チューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法及び頭部閉鎖膜に関し、外周面に皺が偏って形成されることにより、頭部閉鎖膜の肉厚に偏肉が生じるのを防止し、チューブ容器の口肩部の内周面への接着性の向上を図った、頭部閉鎖膜の製造方法及び頭部閉鎖膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明の解決手段は、予備成形体に成形する予備成形工程と、予備成形体をさらに絞り加工して頭部閉鎖膜を製造する閉鎖膜成形工程とからなることを特徴とするチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法である。予備成形体を予め成形し、予備成形体の外周面に、波形状又は折曲形状の外周面を成形することにより、後の絞り加工において、
外周面を絞った場合、外周面に皺が偏って形成されるのを防止することができる。
【0005】
請求項2記載の発明の解決手段は、金属製の板材を、予備成形体用下型の上に載置し、予備成形体用上型を下降して上型と下型で予備成形体を成形し、次ぎにこの予備成形体を閉鎖膜成形用下型の上に載置し、閉鎖膜成形用上型を下降して上型と下型で頭部閉鎖膜を成形することを特徴とすることを特徴とするチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法である。同様に、予備成形工程とその後の閉鎖膜成形工程とを別工程としたから、金属製の板材を一気に絞り加工する場合に比べ、絞り加工後外周面に均等に皺が形成される。したがって、成形された頭部閉鎖膜の肉厚がほぼ均一に形成され、成形された頭部閉鎖膜の肉厚に偏肉を生じるのを防止できる。
【0006】
請求項3記載の発明の解決手段は、前記予備成形体が、截頭円錐形状であり、波形状又は折曲形状の外周面を有することを特徴とするチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法である。絞り加工の際に、波形状又は折曲形状の折線に沿って、外周面に均等に皺が形成される。
【0007】
請求項4記載の発明の解決手段は、金属製の板材の少なくとも一面に、単層又は多層の合成樹脂層を積層したことを特徴とするチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法である。ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン又はエチレン−ビニルアルコール共重合体等の合成樹脂の被覆により、頭部閉鎖膜がチューブ容器に接着されて、アルカリ性等の内容物がチューブ容器内に充填された場合、この内容物によって、頭部閉鎖膜の表面が腐食するのを防止することができる。
【0008】
請求項5記載の発明の解決手段は、前記頭部閉鎖膜の製造方法によって造られた頭部閉鎖膜である。本発明に係る製造方法によって造られた頭部閉鎖膜を、チューブ容器の口肩部内面に接着した場合、接着性が向上し、チューブ容器の使用中に頭部閉鎖膜が剥がれ落ちる等の欠点を防止できる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、チューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法及び頭部閉鎖膜において、外周面に皺が偏って形成されるのを防止することができる効果を有する。したがって、チューブ容器の頭部内に頭部閉鎖膜を接着した場合、頭部閉鎖膜の接着力にばら付きが生じない効果を有する。そして、チューブ容器の口肩部の内周面への接着性の向上を図ることができ、頭部閉鎖膜の外周が美麗である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
きる。
【実施例1】
【0011】
図1は、この発明に係る実施例1を示す図面である。1はアルミニウム等の金属製の板材である。図1の1aの部位に、図2に示すような予備成形体2が成形される。予備成形体2は、図4(a)に示すように、外周面に形成される複数の波形状2aと、隣り合う波形状2a間に形成される線部2bとから構成されている。又実施例2は、図3及び図4(b)に示すように、金属製の板材から予備成形体12を成形する別の実施例である。予備成形体12は、複数の折曲頂部12aと折曲底部12bから構成され、断面が連続する二等辺三角形を呈している。これらの図4(a)の波形状又は図4(b)の折曲形状の他、外周面を均等に折り曲げることができる他の形状を選択できることはいうまでもない。
なお、金属製の板材から成形体(予備成形体2又は頭部閉鎖膜20)の切り離しは、予備成形体2の成形直前若しくは成形直後に行われてもよく、或いは頭部閉鎖膜2の成形直前若しくは成形終了後に行われてもよい。
【0012】
図5及び図6は、実施例1において金属製の板材1を、予備成形体用下型13の上面14上に載置し、次ぎに図6に示すように、予備成形体用上型15を下降し、下型13と上型15により予備成形体2を成形するものである。予備成形体用上型15を下降して上型15と下型13で予備成形体2を挟持することにより成形が行われる。そして、予備成形体用下型13の上部には、上面に波形状の雄型13aが形成され、かつ予備成形体用上型15の下面には、波形状の雌型15aが形成されている。次ぎに成形されたこの予備成形体2を、図7及び図8に示すように、成形用下パンチ18と成形用上パンチ19で挟持し、次に閉鎖膜成形用上型17を下降して、上型17と下型16により、絞り加工により頭部閉鎖膜20を成形するものである。予備成形工程とその後の閉鎖膜成形工程とを別工程に分離したから、従来の金属製の板材を、最初から一気に絞り加工する場合に比べ、外周面に均等に皺が形成されるので、皺が偏って形成されるのを防止できる。したがって、頭部閉鎖膜の肉厚に偏肉が生じるのを防止でき、成形された頭部閉鎖膜の外周は美麗という特徴がある。
【0013】
図9は、本発明に係る製造方法によって製造された頭部閉鎖膜を示した拡大断面図である。図10は、本発明に係る製造方法によって製造された、図9の頭部閉鎖膜のB−B線端面図を示す。本発明に係る製造方法で製造された頭部閉鎖膜20の外周面には、図10に示すように、皺23が全周囲にわたってほぼ均一に皺が形成される。金属製の板材1を予備成形することにより、波形状又は折曲形状の線部2b、12bが形成され、外周面に均等に皺ができるように、折れ曲がり易い動機付けがされるため、次ぎの絞り加工工程において、予備成形体2に絞り加工を施した場合、頭部閉鎖膜20の円筒部21及び傘状部22に、均一な皺23を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の活用例として、チューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法に、広く活用することができる。本発明により成形された頭部閉鎖膜は、偏肉がないので、チューブ容器の口部に接着する場合、接着力に斑が生じない。したがって、チューブ容器内面への接着力を強くでき、チューブ容器の使用中に頭部閉鎖膜が剥がれる等の虞がなく、接着性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る製造方法に用いられる金属製の板材を示す斜視図。
【図2】本発明に係る実施例1の予備成形体を示す斜視図。
【図3】本発明に係る実施例2の予備成形体を示す斜視図。
【図4】本発明に係る予備成形体の横端面図(a)及び(b)。
【図5】本発明に係る製造方法に用いられる予備成形用上型及び下型で、予備成形体を成形している状態を示す断面図。
【図6】本発明に係る製造方法に用いられる予備成形用上型及び下型で、予備成形体を成形している状態を示す断面図。
【図7】本発明に係る製造方法で造られた予備成形体を、成形用下パンチ及び閉鎖膜成形用下型の上に載置する状態を示す斜視図。
【図8】本発明に係る製造方法で造られた予備成形体に、絞り加工を施して頭部閉鎖膜を成形している断面図。
【図9】本発明に係る製造方法で造られた頭部閉鎖膜の縦断面図。
【図10】図9のB−B線端面図。
【図11】従来の頭部閉鎖膜の製造方法を示す断面。
【図12】従来の頭部閉鎖膜の製造方法を示す断面。
【図13】従来の頭部閉鎖膜の製造方法を示す断面。
【図14】従来の頭部閉鎖膜の縦断面図。
【図15】従来の頭部閉鎖膜の横端面図。
【符号の説明】
【0016】
1 金属製の板材
2、12 予備成形体
2a 波形状
12a折曲頂部
12b折曲底部
13 予備成形体用下型
15 予備成形体用上型
20 頭部閉鎖膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備成形体に成形する予備成形工程と、該予備成形体をさらに絞り加工して頭部閉鎖膜を製造する閉鎖膜成形工程とからなることを特徴とするチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法。
【請求項2】
金属製の板材を、予備成形体用下型の上に載置し、予備成形体用上型を下降して上型と下型で予備成形体を成形し、次ぎに該予備成形体を閉鎖膜成形用下型の上に載置し、閉鎖膜成形用上型を下降して上型と下型で、絞り加工により頭部閉鎖膜を成形することを特徴とすることを特徴とするチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法。
【請求項3】
前記予備成形体が、截頭円錐形状であり、波形状又は折曲形状の外周面を有することを特徴とする請求項1又は2記載のチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法。
【請求項4】
前記金属製の板材の少なくとも一面に、単層又は多層の合成樹脂層を積層したことを特徴とする請求項1〜3記載のチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4記載の頭部閉鎖膜の製造方法によって造られた頭部閉鎖膜。
【請求項1】
予備成形体に成形する予備成形工程と、該予備成形体をさらに絞り加工して頭部閉鎖膜を製造する閉鎖膜成形工程とからなることを特徴とするチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法。
【請求項2】
金属製の板材を、予備成形体用下型の上に載置し、予備成形体用上型を下降して上型と下型で予備成形体を成形し、次ぎに該予備成形体を閉鎖膜成形用下型の上に載置し、閉鎖膜成形用上型を下降して上型と下型で、絞り加工により頭部閉鎖膜を成形することを特徴とすることを特徴とするチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法。
【請求項3】
前記予備成形体が、截頭円錐形状であり、波形状又は折曲形状の外周面を有することを特徴とする請求項1又は2記載のチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法。
【請求項4】
前記金属製の板材の少なくとも一面に、単層又は多層の合成樹脂層を積層したことを特徴とする請求項1〜3記載のチューブ容器の頭部閉鎖膜の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4記載の頭部閉鎖膜の製造方法によって造られた頭部閉鎖膜。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−61859(P2007−61859A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−250972(P2005−250972)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】
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