説明

チューブ容器セット

【課題】複数剤式からなる毛髪処理剤をそれぞれ別々のチューブ容器に収容するチューブ容器セットにおいて、目的の配合比率で薬剤を容易に吐出させることができるチューブ容器セットを提供する。
【解決手段】チューブ容器セット11は、異なる配合比で混合される染毛第1剤と染毛第2剤からなる毛髪処理剤がそれぞれ充填される第1チューブ容器12及び第2チューブ容器13から構成されるとともに、該各チューブ容器はそれぞれ薬剤を収容する収容体と該収容体を挟持することにより前記薬剤が吐出される吐出口から構成されている。第1チューブ容器12と第2チューブ容器13は、それぞれ筒状に構成されるとともに各収容体の断面積の比が混合時における配合比と略同一に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数剤式の毛髪処理剤をそれぞれ別々に収容する複数のチューブ容器から構成されるチューブ容器セットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の薬剤を混合することにより効果を発揮する毛髪処理剤が知られている。そのような毛髪処理剤としては、例えば、酸化染料、アルカリ剤を含有する染色キャリア物質と過酸化水素等の酸化剤から構成される毛髪を染色する酸化染毛剤が知られている。かかる酸化染毛剤は、例えば酸化染料とアルカリ剤が配合される染毛第1剤と酸化剤が配合される染毛第2剤等の複数の薬剤式として構成され、使用直前にそれらの薬剤が混合されることにより発色するよう構成されている。このような場合、収容するチューブ容器は、染毛第1剤と染毛第2剤の性質の違いにより又はそれぞれの薬剤に対する耐腐食性の違いにより、染毛第1剤と染毛第2剤を別個のチューブ容器に分けて保存していた。複数のチューブ容器に保存される酸化染毛剤は、通常混合比率を容易に且つ正確に合わせるために同一形状のチューブ容器に充填されるとともに1:1の配合割合で混合される。
【0003】
従来より、例えば特許文献1に記載されるように各薬剤を等量ずつより正確に吐出させるためのチューブ容器セットが知られている。かかるチューブ容器セットは、同一形状の2つのチューブ容器を隣接一体的に構成するとともに収容部の端部を同一長さで挟持することにより同一量の薬剤を吐出させるために環状部材が取り付けられている。このように、配合比が1:1(等量)で混合される毛髪処理剤は、各収容容器を同一形状にさえすえば、挟持量を同一にすることにより容易に1:1の配合比で吐出させることができた。
【特許文献1】特開平11−147548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の1:1混合型のチューブ容器セットは、各薬剤を混合すると各成分濃度が必然的に1/2となる。従来より知られている酸化剤、損傷抑制成分等のトリートメント成分の中には、保存安定性等の観点よりアルカリ剤又は酸化剤に共存させることができない成分も含まれる。そのため、それらの成分は各薬剤調合時に高濃度であっても染毛混合時に濃度が1/2となるため、高濃度で染毛混合物中に配合することができないという問題があった。
【0005】
その一方、上記のような1:1混合型の酸化染毛剤は、例えば染毛力を向上させる等の目的で酸化剤が配合される染毛第2剤の吐出量を増やすことによって染毛混合物中における染毛第2剤の配合比を上げる(変更する)場合に容易に対応することができない問題があった。つまり、チューブ構造から構成される容器に充填される2剤式の酸化染毛剤において、購入者が目視のみで吐出された薬剤を正確に例えば1:2、1:3の比率で吐出されたと判断することは容易ではなかった。
【0006】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、複数剤式からなる毛髪処理剤をそれぞれ別々のチューブ容器に収容するチューブ容器セットにおいて、目的の配合比率で薬剤を容易に吐出させることができるチューブ容器セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明のチューブ容器セットは、混合時に配合比率の異なる複数の薬剤からなる毛髪処理剤が各薬剤ごとに収容される複数のチューブ容器から構成されるとともに、該チューブ容器はそれぞれ前記薬剤を収容する収容部と該収容部を挟持することにより前記薬剤が吐出される吐出部から構成されているチューブ容器セットにおいて、前記複数のチューブ容器は、それぞれ筒状に構成され、各収容部の断面積の比が各薬剤の混合時における配合比と略同一に構成されている。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のチューブ容器セットにおいて、前記収容部は、それぞれ塑性変形性を有する材料で構成されている。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のチューブ容器セットにおいて、前記複数のチューブ容器は、それぞれの収容部の長手方向の長さが略同一に構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数剤式からなる毛髪処理剤をそれぞれ別々のチューブ容器に収容するチューブ容器セットにおいて、目的の配合比率で薬剤を容易に吐出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のチューブ容器セットを染毛剤組成物用のチューブ容器セットに具現化した一実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
図1,2に示されるように本実施形態の染毛剤組成物用のチューブ容器セット(以下、「チューブ容器セット」という)11は、染毛剤組成物を構成する染毛剤第1剤(以下、染毛第1剤という)及び染毛剤第2剤(以下、染毛第2剤という)がそれぞれ充填される第1チューブ容器12及び第2チューブ容器13とにより構成される。第1チューブ容器12は染毛第1剤を内部に充填するとともに円筒体より作成される収容部としての第1収容体12aより構成される。該第1収容体12aは一方の開口端部に縮径された縮径筒12bが連設されるとともに該縮径筒12bの開口部に染毛第1剤を外部に吐出する吐出部としての第1吐出口12cが設けられる(図2(a)参照)。縮径筒12bは外周面に雄ねじが刻まれるとともに該雄ねじと螺合する雌ねじが内周面に刻まれている蓋体14と接続可能に構成されている。第1吐出口12cは不使用時においては縮径筒12bに蓋体14が螺合接続することにより封鎖されている。
【0011】
一方、他方の開口端部は染毛第1剤を第1収容体12a内に充填するための導入口12dが設けられている。該導入口12dは染毛第1剤が第1収容体12a内に充填された後、上下方向から挟持圧着されることにより平面加工されるとともにさらに平面方向に折り曲げ加工されることにより又は熱融着されることにより封止される。かかる構成により、第1チューブ容器12は第1収容体12aが挟持されることにより第1収容体12a内の染毛第1剤が第1吐出口12cより外部に吐出されるよう構成されている。
【0012】
第1チューブ容器12の第1収容体12aは、例えば、基材として塑性変形性を有する金属製チューブの内側を樹脂によりコーティングすることによって作製される。金属製チューブを構成する材料としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅、ニッケル等が挙げられる。金属製チューブの厚みは5〜20μmが好ましい。この厚みが5μmよりも薄いと、挟持折曲げ箇所において、亀裂・貫通孔等を生じさせるおそれがある。一方、20μmよりも厚いと、薬剤を挟持吐出させる作業が困難となる。金属製チューブの内側にコーティングされる樹脂は、単層構造でも又は二層以上に積層される複層構造であってもよい。樹脂としては、エポキシフェノール樹脂、エポキシユリア樹脂、エポキシアミノ樹脂、エポキシアミン樹脂及びフッ素樹脂が挙げられる。その他、第1チューブ容器12の第1収容体12aは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アルミニウム、ポリエチレンが順次積層される構成、ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンが積層される構成等を採用することができる。第1チューブ容器12はアルカリ性液剤への耐性を十分に備えており、酸化染料及びアルカリ剤を含む染毛第1剤を収容しても腐食するおそれはない。
【0013】
第2チューブ容器13は染毛第2剤を内部に充填するとともに円筒体より作成される収容部としての第2収容体13aより構成される。本実施形態において第2収容体13aは第1収容体12aと長手方向の長さが略同一に構成されるとともに第2収容体13aの内径R2は第1収容体12aの内径R1に対し大きくなるように構成されている。つまり、第1収容体12aの断面積と第2収容体13aの断面積の比は第2収容体13aの断面積の方が大きくなるように構成されている。第1収容体12aの断面積と第2収容体13aの断面積の比は、好ましくは1:1.1〜4である。
【0014】
第2チューブ容器13のその他の構成は第1チューブ容器12と同様に構成される。一方の開口端部に縮径された縮径筒13bが連設されるとともに該縮径筒13bの開口部に染毛第2剤を外部に吐出する吐出部としての第2吐出口13cが設けられている(図2(b)参照)。第2吐出口13cは縮径筒13bと螺合により接続される蓋体15により接続封鎖可能に構成されている。
【0015】
一方、他方の開口端部は染毛第2剤を第2収容体13a内に充填するための導入口13dが設けられている。該導入口13dは第1チューブ容器12と同様に折り曲げ加工又は熱融着されることにより封止される。かかる構成により、第2チューブ容器13は第2収容体13aが挟持されることにより第2収容体13a内の染毛第2剤が第2吐出口13cより外部に吐出されるよう構成されている。
【0016】
第2チューブ容器13の第2収容体13aは、例えば、第1チューブ容器12と同様に塑性変形性を有する金属製チューブの内側に、合成樹脂製のチューブを嵌合することにより形成される。合成樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン・酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)、ポリアクリルニトリル、PET、ポリプロピレン(PP)、ビニール、ナイロン等を挙げることができる。その他、第2チューブ容器13の第2収容体13aは、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリエチレンを積層することにより形成してもよく、第1チューブ容器12と同様に塑性変形性を有する金属製フィルムの内側に合成樹脂製フィルムを積層してなるシート材によって形成してもよく、またポリエチレンで形成してもよい。
【0017】
上述したように第1チューブ容器12及び第2チューブ容器13にそれぞれ充填される染毛剤組成物は、第1チューブ容器12に充填される染毛第1剤及び第2チューブ容器13に充填される染毛第2剤とから構成される。染毛第1剤は酸化染料、アルカリ剤等から構成されるとともに染毛第2剤は酸化剤等から構成されている。
【0018】
<染毛第1剤>
酸化染料は、染毛第2剤に配合される酸化剤による酸化重合によって発色可能な化合物を示し、具体的には、主要中間体及びカプラーに分類される。主要中間体の具体例としては、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール及びそれらの塩類から選ばれる少なくとも一種が好ましい。これらの主要中間体は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0019】
カプラーとしては、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、N,N−ジエチル−m−アミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン及びそれらの塩類から選ばれる少なくとも一種が好ましい。これらのカプラーは単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0020】
その他、「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料及び酸化染料以外の染料として直接染料等を適宜、配合することもできる。
アルカリ剤としては、アンモニア、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールから選ばれる1種又は2種以上が用いられる。染毛第1剤のpHは8〜11に調整される。
【0021】
その他、水、水溶性高分子化合物、界面活性剤、油性成分等を適宜配合することができる。
水は、各成分の可溶化剤として配合される。水溶性高分子化合物は、染毛第1剤に適度な粘度を与える増粘剤として配合される。水溶性高分子化合物としては、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、セルロース誘導体、架橋ポリアクリル酸、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム等が挙げられる。
【0022】
油性成分は、毛髪にうるおい感を付与するという観点から、配合されることが好ましい。油性成分としては、油脂類、ロウ類、高級アルコール、炭化水素類、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、シリコーン類等が用いられる。
【0023】
界面活性剤は、乳化剤又は可溶化剤として染毛第1剤の安定性を保持するために配合される。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0024】
さらに、その他の成分としてソルビトール、マルトース等の糖類、多価アルコール、パラベン等の防腐剤、EDTA−2Na等のキレート剤、フェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等の安定剤、リン酸、クエン酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸等のpH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を配合してもよい。
【0025】
<染毛第2剤>
この染毛第2剤には酸化剤が含有される。また、この染毛第2剤にはその他の成分として酸化染毛剤の染毛第2剤に通常用いられる成分が含有される。
【0026】
酸化剤は、酸化染料を酸化重合させるとともに、毛髪に含まれるメラニンを脱色させるために配合される。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。これらの酸化剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの酸化剤の中でも、メラニンの脱色力に優れることから、好ましくは過酸化水素である。
【0027】
この染毛第2剤には、上記染毛第1剤に記載のその他の成分を適宜配合することができる。また、酸化剤として過酸化水素を配合した場合、過酸化水素の分解を抑制するために、安定化剤を配合することが好ましい。安定化剤の具体例としては、尿素、フェナセチン、スズ酸ナトリウム、エチレングリコールフェニルエーテル、8−オキシキノリン、リン酸等が挙げられる。
【0028】
この染毛第1剤及び染毛第2剤の各剤型は、水溶液、分散液、乳化液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等特に限定されない。
また、染毛第1剤と染毛第2剤の粘度は、1000〜100000ミリパスカル秒(mPa・s)の範囲が好ましく、5000〜50000mPa・sの範囲がより好ましい。この粘度が1000mPa・s未満であると、各チューブ容器の収容体を絞ることなく薬剤が外部にこぼれ出るおそれがあり好ましくない。一方、100000mPa・sを超えると、各チューブ容器からそれぞれ吐出させるのが困難となるとともに、延びが悪く、髪への付着性も悪いため髪全体に均一に塗布することが困難となる。また、染毛第1剤と染毛第2剤の混合性も悪くなる。なお、染毛第1剤と染毛第2剤が混合された際の染毛混合物の剤型は、液状、クリーム状、ゲル状、フォーム状等特に限定されない。
【0029】
次に、上記のように構成されたチューブ容器セット11の作用を説明する。
本実施形態の染毛剤組成物は、染毛第1剤及び染毛第2剤を混合調製した際に染毛第2剤を染毛第2剤より多い割合で配合する染毛混合物を得ることが可能となる。まず、染毛第1剤と染毛第2剤はそれぞれが含有される第1チューブ容器12及び第2チューブ容器13の端部から挟持されることにより各吐出口からトレイ等の混合容器上に吐出される。そのとき図2(a)(b)に示されるように第1収容体12aの端部から絞り込まれる量(挟持長さL1)と第2収容体13aの端部から絞り込まれる量(挟持長さL2)を同一にする。
【0030】
本実施形態のチューブ容器セット11において、第1収容体12aの断面積と第2収容体13aの断面積の比が、例えば1:4である場合、高さ(チューブの長手方向の長さ)が同一であるとき、体積比も1:4となる。つまり、挟持長さL1と挟持長さL2の長さを同一にすることにより、第1チューブ容器12及び第2チューブ容器13からそれぞれ吐出される染毛第1剤と染毛第2剤の吐出量は1:4となる。また例えば、第1収容体12aの断面積と第2収容体13aの断面積の比が1:1.5である場合、挟持長さL1と挟持長さL2を同一とすることにより染毛第1剤及び染毛第2剤の吐出量の比は1:1.5となる。また例えば、第1収容体12aの断面積と第2収容体13aの断面積の比が1:2である場合、挟持長さL1と挟持長さL2を同一とすることにより染毛第1剤及び染毛第2剤の吐出量の比は1:2となる。なお、図2に示されるように第1収容体12aの導入口12d側の端部から挟持されることによりその端部は平面状になるため、第1収容体12aの側面形状は略三角形状に構成される。しかしながら、かかる構成においても依然として挟持量(L1,L2)を同一にすることにより第1チューブ容器12及び第2チューブ容器13から吐出される薬剤の吐出量の比と第1収容体12a及び第2収容体13aの断面積の比との同一性は維持される。
【0031】
そして、第1チューブ容器12及び第2チューブ容器13からそれぞれ吐出された染毛第1剤及び染毛第2剤はトレイ上で混合されることにより毛髪に塗布可能な染毛混合物が得られる。
【0032】
本実施形態のチューブ容器セット11によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、特定の配合比(例えば1:4)で混合される染毛第1剤と染毛第2剤をそれぞれ第1チューブ容器12及び第2チューブ容器13に充填して構成されるチューブ容器セット11において、第1収容体12aと第2収容体13aの断面積の比を薬剤の配合比(例えば1:4)と同一に構成した。したがって、各チューブ容器から薬剤を搾り出す際、挟持量(L1、L2)を略同一にすれば目的の配合比で染毛第1剤と染毛第2剤を容易に吐出させることができる。つまり、使用者は各薬剤の配合比を何ら考慮に入れることなく、挟持量を略同一にさえすれば目的の配合比で薬剤を正確に吐出させることができる。
【0033】
(2)また、各チューブ容器を並べて比較することにより各チューブ容器の挟持量を略同一にすることが可能であるため、各チューブ容器の表面に目盛り等を付す等の印刷処理を施す必要がない。
【0034】
(3)また、複数の薬剤(例えば2剤式の染毛剤組成物)を1:1の配合比で混合する必要がない。つまり、各薬剤が混合された染毛混合物中において、例えば染毛第2剤(酸化剤)の配合量を高めることができる。それにより染色性の向上を図ることができる。また、酸化剤のみならず例えばアルカリ剤が配合される染毛第1剤に共存させることができない他の成分又は共存させることが好ましくない他の成分を染毛第2剤に配合するとともに収容体の内径(断面積)を所望の比に設計することにより染毛混合物中において染毛第2剤の配合比を上昇させることも可能となる。
【0035】
逆に、染毛第2剤に共存させることができない他の成分又は共存させることが好ましくない他の成分を染毛第1剤に配合するとともに収容体の内径(断面積)を所望の比に設計することにより染毛混合物中において染毛第1剤の配合比を上昇させることも可能となる。
【0036】
(4)本実施形態では、第1収容体12aと第2収容体13aは、それぞれ塑性変形性を有する金属製チューブより構成した。したがって、各収容体が挟持された場合、その形状が維持されるため挟持量の正確性をより向上させることができる。また、チューブ容器の形状を外観から把握することによりチューブ容器内の薬剤の残量を容易に推認することができる。
【0037】
(5)本実施形態では、第1収容体12aと第2収容体13aの長手方向の長さを略同一に構成した。したがって、配合比の異なる複数の薬剤を包装箱等の収容ケースに効率よく配置、収容させることができる。また、薬剤の吐出時、挟持部分の長さの比較作業が行いやすいので、挟持量の正確性を一層向上させることができる。
【0038】
尚、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・上記実施形態では、染毛第1剤及び染毛第2剤から構成される染毛剤組成物を第1チューブ容器12及び第2チューブ容器13にそれぞれ充填することによりチューブ容器セット11を構成した。しかしながら、チューブ容器セット11を構成するチューブの数は特に限定されず、3つ以上の複数で構成されていてもよい。例えば、酸化染料を配合する染毛第1剤、アルカリ剤を配合する染毛第2剤及び酸化剤を配合する染毛第3剤からなる染毛剤組成物をそれぞれ充填する3つのチューブ容器から構成してもよい。
【0039】
・また、チューブ容器セット11に充填される薬剤は染毛剤組成物に限定されない。複数剤式で構成されるとともに使用時に混合処理を伴う毛髪処理剤であれば適用することができる。例えば、アルカリ剤、酸化剤等から構成される脱色剤、還元剤、溶媒等から構成される脱染剤、2剤式以上で構成されるシャンプー、リンス、トリートメント剤、パーマネントウェーブ剤等の毛髪処理剤が挙げられる。
【0040】
・図3に示されるように、リング状の環状部材16を用いて薬剤を吐出させるよう構成してもよい。環状部材16は収容体が挟持平板状にされた構成において、その断面形状と略同一に構成されることによりその端部より挿通可能に構成されている。かかる構成により端部より収容体内の薬剤を吐出側へ十分に押し出すことができるため、薬剤の配合比率の正確性を一層向上させることができるとともに吐出作業を容易に行うことができる。
【0041】
・上記実施形態において、第1チューブ容器12と第2チューブ容器13の各収容体における断面積の比として、1:1.5、1:2、1:4を例示した。しかしながら、それらの比に限定されるものではなく配合比率の異なるものであればいかなる比率であってもよい。
【0042】
・上記実施形態において、第1チューブ容器12と第2チューブ容器13の各収容体の断面積の比(例えば1:4)と第1チューブ容器12と第2チューブ容器13にそれぞれ充填される染毛第1剤と染毛第2剤の配合比(1:4)を同一に構成した。しかしながら、全く同一の場合のみならず、目的の薬剤効能を発揮可能な略同一の範囲内であってもよい。
【0043】
・上記実施形態において、第1収容体12a及び第2収容体13aを円筒状に(円筒体より)構成した。しかしながら、各収容体の構成は円筒形状に限定されるものではなく、断面形状が楕円、多角形等の形状であってもよい。また、各収容体の断面形状は断面積の比が目的の薬剤の配合比と略同一であれば、同一であっても異なっていてもよい。
【0044】
・上記実施形態において、第1収容体12a及び第2収容体13aの長手方向の長さを略同一に構成した。しかしながら、第1収容体12a及び第2収容体13aの長手方向の長さが異なっていてもよい。かかる構成においても挟持量(挟持長さ)を第1収容体12aと第2収容体13a間で同一にすることにより各収容体の断面積の比(目的の薬剤の配合比)で各薬剤を吐出させることができる。
【0045】
・上記実施形態において、収容体の導入口側の端部から挟持させることにより、薬剤を吐出させた。しかしながら、収容体の長手方向中央部から絞ることにより薬剤を吐出させてもよい。かかる構成においても、挟持長さ(絞り量)を同一にすることにより各断面積比(目的の薬剤の配合比)で各薬剤を吐出させることができる。
【0046】
・上記実施形態において、収容体を構成する塑性変形性を有する材料として金属を例示した。しかしながら、塑性変形性を有する材料として合成樹脂等を使用してもよい。尚、塑性変形性を有する材料とは荷重を加えることにより生ずる変形又は応力が、弾性限界を超え、荷重を取り除いても元に戻らなくなる性質を有する材料をいう。また、塑性変形性を有する材料でなくてもよく、吐出口に逆止弁を設けるか、あるいは内容物を高粘度にすることにより、塑性変形性を有する材料と同等の効果を得ることができる。
【0047】
・上記実施形態において、各収容体の外周面に挟持吐出量を測るための目盛りを付してもよい。かかる構成により挟持量の正確性を一層向上させることができる。
・上記実施形態において、第1収容体12a及び第2収容体13aをチューブ容器とした。しかしながら、第1収容体12a及び第2収容体13aはパウチ容器としてもよい。パウチ容器とは、例えば1枚のシートを半折り又は2枚のシートを用いて周辺部をヒートシールして密閉したものをいう。袋状のもの、直方体状で自立可能なもの(スタンディングタイプともいう)も含む。シートとしては、基材層とアルミニウム箔(バリア層)とヒートシール層とをドライラミネート法により得られる積層体からなるシートが挙げられる。
【0048】
基材層としては、具体的には、延伸ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂等からなる延伸フィルム等が好ましく用いられる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。また、ナイロン樹脂としては、ポリアミド樹脂が挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。基材層は、積層化して2層以上の複層としてもよい。
【0049】
バリア層は、基材層又はヒートシール層を形成するフィルムにシリカ、アルミナ又はアルミニウムを真空蒸着、化学蒸着等の方法を用いて蒸着して形成してもよい。また、バリア性を有するフィルムを積層してもよい。積層体のヒートシール層は、ヒートシール機能を有する樹脂であればよく、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、酸変性ポリエチレン、アイオノマー、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を用いることができる。
【0050】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)前記複数のチューブ容器は各収容部の長手方向の挟持量を略同一にしながら各薬剤が吐出されることにより使用されるチューブ容器セットの使用方法。したがって、この(a)に記載の発明によれば、各薬剤の吐出量の比を各収容体の断面積の比と略同一にすることができる。つまり、目的の配合比率で薬剤を容易且つ正確に吐出させることができる。
【0051】
(b)前記複数の薬剤から構成される毛髪処理剤は、酸化染料及びアルカリ剤を含有する染毛第1剤並びに酸化剤を含有する染毛第2剤から構成される染毛剤組成物であるチューブ容器セット。従って、この(b)に記載の発明によれば、一方の配合比を高めることにより染毛性を高める等の効果を得ることも可能となる。
【0052】
(c)前記染毛第2剤が配合されるチューブ容器の断面積を前記染毛第1剤が配合されるチューブ容器の断面積よりも大きく構成した前記チューブ容器セット。従って、この(c)に記載の発明によれば、各チューブ容器の挟持量を同一にした場合、酸化剤が配合される染毛第2剤の配合量を染毛混合物中において高めることができる。つまり、染色性の向上を容易に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態のチューブ容器セットの斜視図。
【図2】本実施形態のチューブ容器セットの側面図。(a)第1チューブ容器の挟持吐出時の側面図。(b)第2チューブ容器の挟持吐出時の側面図。
【図3】本実施形態で使用されるチューブ容器の吐出方法の一実施形態を示す図。
【符号の説明】
【0054】
11…チューブ容器セット、12…第1チューブ容器、12a…第1収容体、12c…第1吐出口、13…第2チューブ容器、13a…第2収容体、13c…第2吐出口、R1,R2…収容体の内径、L1,L2…挟持長さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合時に配合比率の異なる複数の薬剤からなる毛髪処理剤が各薬剤ごとに収容される複数のチューブ容器から構成されるとともに、該チューブ容器はそれぞれ前記薬剤を収容する収容部と該収容部を挟持することにより前記薬剤が吐出される吐出部から構成されているチューブ容器セットにおいて、
前記複数のチューブ容器は、それぞれ筒状に構成されるとともに各収容部の断面積の比が各薬剤の混合時における配合比と略同一に構成されているチューブ容器セット。
【請求項2】
前記収容部は、それぞれ塑性変形性を有する材料で構成されている請求項1に記載のチューブ容器セット。
【請求項3】
前記複数のチューブ容器は、それぞれの収容部の長手方向の長さが略同一に構成されている請求項1又は請求項2に記載のチューブ容器セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−297108(P2007−297108A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127520(P2006−127520)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】