説明

チューブ

【課題】薄肉な構造であって、耐圧力性、耐キンク性及び滑り性を兼ね備えたチューブを提供する。
【解決手段】チューブは、熱可塑性樹脂からなる内層1と、内層1の外周に形成された金属製の編組からなる補強層2と、内層1及び補強層2を被覆するとともに、少なくとも外表面をフッ素樹脂で形成した外層被覆体とを備え、内層1、補強層2及び外層被覆体を一体化させたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の耐圧性と耐キンク性(耐折れ性)とを有するチューブに関し、例えば、自動車燃料配管用ホースが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この自動車燃料配管用ホースは、内層と、その内層の外周に形成された中間層と、その中間層の外周に形成された外層とを備えている。この自動車燃料配管用ホースは、内層がフッ素樹脂によって形成され、中間層がナイロンエラストマーによって形成され、外層が金属製ワイヤーのブレード編みによって形成されている。
【0004】
一方、柔軟性に富み、スムースな湾曲形状により施工時の作業性を向上させるホースとして、樹脂ホースが知られている(特許文献2参照)。この樹脂ホースは、配管に用いられる樹脂ホースであって、弾性を有するチューブと、そのチューブの外周に繊維糸が編組された繊維補強層と、その繊維補強層の外周に金属硬線が編組された金属硬線補強層と、その金属硬線補強層の外周に被覆された被覆層とを備えている。
【0005】
また、耐キンク性に優れるとともに、柔軟性、耐圧、耐久性にも優れたホースとして、耐キンク性ホースが知られている(特許文献3参照)。この耐キンク性ホースは、内側層と、補強層と、外側層とを備え、内側層がゴム材からなり、補強層が繊維補強層とその繊維補強層の外面側に形成される金属補強層とを有している。
【0006】
また、優れた耐透水性と柔軟性を併せ持つホースとして、例えば、耐透水性・柔軟性ホースが知られている(特許文献4参照)。この耐透水性・柔軟性ホースは、内管の外周に、外管(ポリウレタン又はポリオレフィン)が被覆されており、外管の外側又は内部に繊維のブレードが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−286036号公報
【特許文献2】特開平11−257552号公報
【特許文献3】特開2004−144180号公報
【特許文献4】特開2009−977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された自動車燃料配管用ホースは、外層が金属ワイヤーのブレード編みによって形成されているため、外層表面の滑り性が悪くなってしまうという問題がある。
【0009】
また、特許文献2及び3に記載されたホースに関するものは、繊維補強層の外面側に金属線補強層を備える構造であるため、耐圧力性、耐キンク性に優れるものの、薄肉な構造になりにくく、滑り性があまり良くないという問題がある。
【0010】
また、特許文献4に記載された耐透水性・柔軟性ホースに関するものは、ブレードを構成する繊維として、有機繊維と金属繊維が開示されている。しかしながら、外管の外側に金属繊維のブレードを設けると、滑り性が悪くなってしまう。また、外管の内側に金属繊維のブレードを設けても、外管がポリウレタン又はポリオレフィンで形成されているため、滑り性を損なうといった問題がある。
【0011】
従って、本発明の目的は、薄肉な構造であって、耐圧力性、耐キンク性及び滑り性を兼ね備えたチューブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[1]熱可塑性樹脂からなる内層と、前記内層の外周に形成された金属製の編組からなる補強層と、前記内層及び前記補強層を被覆するとともに、少なくとも外表面をフッ素樹脂で形成した外層被覆体とを備え、前記内層、前記補強層及び前記外層被覆体を一体化させたチューブ。
【0013】
[2]前記外層被覆体は、前記内層の外周に形成され、フッ素樹脂からなる最外層により構成された上記[1]に記載のチューブ。
【0014】
[3]前記外層被覆体は、前記内層及び前記補強層を被覆する熱可塑性樹脂からなる外層と、前記外層の外周に形成されたフッ素樹脂からなる最外層とを備え、前記内層、前記補強層及び前記外層を一体化させた上記[1]に記載のチューブ。
【0015】
[4]前記外層は、硬度が順次変化する複数の熱可塑性樹脂層から構成された硬度変化外層である上記[1]に記載のチューブ。
【0016】
[5]前記内層の内周に形成されたフッ素樹脂からなる最内層を、更に備えた上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のチューブ。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、薄肉な構造であって、耐圧力性、耐キンク性に及び滑り性を兼ね備えたチューブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係るチューブの概略の構成を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施の形態に係るチューブの概略の構成を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の第3の実施の形態に係るチューブの概略の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態及び実施例について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0020】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るチューブの概略の構成を示す断面図である。
【0021】
第1の実施の形態に係るチューブ10は、熱可塑性樹脂からなる内層1と、内層1の外周に形成された金属製の編組からなる補強層2と、内層1及び補強層2を被覆するとともに、少なくとも外表面をフッ素樹脂で形成した外層被覆体とを備え、内層1、補強層2及び外層被覆体を一体化させて構成される。ここで、「一体化」とは、内層1と外層被覆体とが補強層2の編組の網目を介して密着固定され、補強層2の編組の動きを固定することを意味する。
【0022】
内層1は、チューブ10の内側を構成しており、内層樹脂として、例えば、ナイロン(登録商標)やフッ素樹脂のような熱可塑性樹脂が使用されている。内層1は、例えば、銀メッキ銅線の芯線にナイロン(登録商標)によって押出形成されたり、又は所定の溶媒に所定の濃度で熱可塑性樹脂を溶かしたコーティング液中に銀メッキ銅線の芯線を浸漬し、所定の速度で引き上げることにより形成される。
【0023】
補強層2は、例えば、白金(Pt)、ステンレス、タングステン(W)又はチタン合金等の金属線を使用して、内層1上に所定のピッチで編組を連続で施すことにより形成される。また、補強層2は、同一方向の横巻きや右巻き・左巻き等、巻き方向を変えながら素線を巻きつけても良く、また、巻きピッチに特に限定はない。
【0024】
本実施の形態では、最外層3が、外層被覆体に該当する。すなわち、最外層3は、フッ素樹脂から形成され、内層1、補強層2及び最外層3が一体化される。
【0025】
内層1、補強層2及び最外層3の詳細については、実施例において詳述する。
【0026】
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態に係るチューブ10によれば、内層1、補強層2及び最外層3を一体化させているので、薄肉な構造で、耐圧力が高く、耐キンク性にも優れたチューブを形成することができる。また、最外層3は、フッ素樹脂によって形成されているので、外表面が滑り性と耐薬品性に優れる。
【0027】
[第2の実施の形態]
図2は、本発明の第2の実施の形態に係るチューブの概略の構成を示す断面図である。
【0028】
第2の実施の形態に係るチューブ20は、内層1及び補強層2を被覆する熱可塑性樹脂からなる外層5と、外層5の外周に形成されたフッ素樹脂からなる最外層3と、内層1の内周に形成されたフッ素樹脂からなる最内層4とを備え、内層1、補強層2及び外層5を一体化させて構成される。
【0029】
本実施の形態では、外層5及び最外層3が、外層被覆体に該当する。
【0030】
最内層4及び外層5の詳細については、実施例において詳述する。
【0031】
(第2の実施の形態の効果)
第2の実施の形態に係るチューブ20によれば、内層1、補強層2及び外層5を一体化させているので、薄肉な構造で、耐圧力が高く、耐キンク性にも優れたチューブを形成することができる。また、最外層3と最内層4は、フッ素樹脂によって形成されているので、外表面が滑り性と耐薬品性に優れるとともに、チューブ20の内表面も耐薬品性に優れるため、チューブ20は、燃料や薬品を供給するチューブに使用して好適である。
【0032】
[第3の実施の形態]
図3は、本発明の第3の実施の形態に係るチューブの概略の構成を示す断面図である。
【0033】
第3の実施の形態に係るチューブ30は、第2の実施の形態における外層5が、硬度が順次変化する複数の熱可塑性樹脂層から構成された硬度変化外層6として構成され、硬度変化外層6の外周に最外層3を形成している。なお、本実施の形態は、第2の実施の形態の最内層4は設けられていない。
【0034】
本実施の形態では、硬度変化外層6及び最外層3が、外層被覆体に該当する。すなわち、硬度変化外層6が内層1及び補強層2を被覆することにより、内層1、補強層2及び硬度変化外層6が一体化される。
【0035】
硬度変化外層6は、例えば、一方を基端として基端から先端に向けて、硬度が順に軟らかくなるように変化する複数の熱可塑性樹脂層から構成されている。
【0036】
これにより、チューブ30は、チューブの長さ方向の一部(先端部)に硬度変化外層6による可撓性を備えることができ、適切な硬度を選択することにより、ユーザの所望する可撓性を可撓性変化部としてチューブ30に持たせることができる。
【0037】
硬度変化外層6の詳細については、実施例において詳述する。
【0038】
(第3の実施の形態の効果)
第3の実施の形態に係るチューブ30によれば、外層5が、硬度が順次変化する複数の熱可塑性樹脂層から構成された硬度変化外層6で形成されているので、長さ方向の一部に可撓性を備えることができる。また、内層1、補強層2及び硬度変化外層6を一体化させているので、チューブ30は、薄肉な構造で、耐圧力が高く、また耐キンク性にも優れたチューブを形成することができる。
【0039】
なお、第3の実施の形態に係るチューブ30は、第2の実施の形態に係るチューブ20の最内層4を適用することができる。
【実施例1】
【0040】
実施例1は、図1に示す第1の実施の形態に対応する実施例である。
【0041】
内層1は、外径1.8mmの銀メッキ銅線上に、例えば、ナイロン12(ダイセル・エボニック(株)ダイアミド(登録商標))を、0.1mm厚で押出形成によって被覆されることにより形成される。
【0042】
補強層2は、例えば、外径0.05mmのステンレス(SUS304H)線を用いて、2本持ちで16打ちピッチ2.5mmで、編組が施されている。
【0043】
最外層3は、内層1及び補強層2に、例えば、接着性フッ素樹脂(ダイキン工業(株)ネオフロン(登録商標)EFEP)を、0.1mm厚で押出形成することにより形成される。そして、チューブ10は、長さが1.5mで定尺切断され、銀メッキ銅線を抜き取ることにより成形体を得る。
【0044】
なお、チューブ10は、銀メッキ銅線を複数配置して内層を形成することにより、多穴チューブとしても良い。
【実施例2】
【0045】
実施例2は、図1に示す第1の実施の形態に対応する他の実施例である。
【0046】
内層1は、外径1.8mmの銀メッキ銅線上に、例えば、フッ素樹脂(三井・デュポンフロロケミカル(株)テフロン(登録商標)PTFE)を、0.1mm厚で押出形成によって被覆され、焼結されることにより形成される。
【0047】
補強層2は、例えば、外径0.06mmのステンレス(SUS304H)線を用いて、2本持ちで24打ちピッチ3.0mmで、編組が施されている。
【0048】
最外層3は、内層1及び補強層2に、例えば、フッ素樹脂(旭硝子(株)フルオンPTFE)のディスパージョン液をディップコーティングにより0.03mm厚で被覆され、焼結されることにより形成される。そして、チューブ10は、長さが1.5mで定尺切断され、銀メッキ銅線を抜き取ることにより成形体を得る。
【0049】
なお、内層1として使用されたフッ素樹脂は、PTFEに限定されるものではなく、耐熱温度、滑り性といった要求特性に応じて、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)やプルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)などから選択することができる。
【実施例3】
【0050】
実施例3は、図2に示す第2の実施の形態に対応する実施例である。
【0051】
最内層4は、外径1.8mmの銀メッキ銅線上に、例えば、フッ素樹脂(ダイキン工業(株)ネオフロンPFA)を、0.05mm厚で押出形成によって被覆されることにより形成される。
【0052】
内層1は、ケミカルエッチングによって最内層4を脱フッ素処理した後に、ポリエステルエラストマー(TPEE)(東レ・デュポン(株)ハイトレル(登録商標))を、0.05mm厚で押出成形によって被覆されることにより形成される。
【0053】
補強層2は、例えば、外径0.05mmのステンレス(SUS304H)線を用いて、2本持ちで16打ちピッチ2.5mmで、編組が施されている。
【0054】
外層5は、内層1及び補強層2に、例えば、ポリエステルエラストマー(TPEE)(東レ・デュポン(株)ハイトレル)を、0.05mm厚で押出形成することにより形成される。
【0055】
最外層3は、外層5に、例えば、接着性フッ素樹脂(ダイキン工業(株)ネオフロンEFEP)を、0.05mm厚で押出形成することにより形成される。そして、チューブ20は、長さが1.5mで定尺切断され、銀メッキ銅線を抜き取ることにより成形体を得る。
【0056】
なお、チューブ20は、銀メッキ銅線を複数配置して内層を形成することにより、多穴チューブとしても良い。
【実施例4】
【0057】
実施例4は、図3に示す第3の実施の形態に対応する実施例である。
【0058】
内層1は、外径1.8mmの銀メッキ銅線上に、例えば、フッ素樹脂(三井・デュポンフロロケミカル(株)テフロンPTFE)を、0.1mm厚で押出形成によって被覆され、焼結されることにより形成される。また、内層1は、表面が化学エッチング等により、脱フッ素処理されている。
【0059】
補強層2は、例えば、外径0.05mmのステンレス(SUS304H)線を用いて、2本持ちで24打ちピッチ2.5mmで、編組が施されている。
【0060】
硬度変化外層6は、内層1及び補強層2に、例えば、基端部に樹脂硬度75Dのナイロン12(ダイセル・エボニック(株)ダイアミド(登録商標))、さらに先端部に向けて樹脂硬度72Dと63Dと40Dの順にナイロンエラストマー(PAE)(アルケマ(株)PEBAX(登録商標))チューブ(内径2.22mm肉厚0.05mm)が、其々、1000mm、100mm、300mm、100mmの長さで配置されることにより形成される。
【0061】
最外層3は、硬度変化外層6の上に、接着性フッ素樹脂(ダイキン工業(株)ネオフロンEFEP)チューブ(内径2.35mm肉厚0.05mm)が配置されることにより形成される。最外層3は、熱収縮チューブが被せられ加熱される。最外層3は、加熱によって硬度変化外層6と溶融一体化する。
【0062】
チューブ30は、熱収縮チューブが剥ぎ取られて、長さが1.5mで定尺切断され、銀メッキ銅線を抜き取ることにより成形体を得る。
【0063】
なお、内層1で用いたフッ素樹脂は、テフロンPTEEに限定されるものではなく、耐熱温度、滑り性といった要求特性に応じて、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)やプルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)などから選択することができる。また、最外層3のフッ素樹脂は、比較的低融点であり、その熱溶融時においても外層の熱可塑性樹脂へダメージを与えないものが望ましく、必要に応じてチューブ内面にケミカルエッチング等の脱フッ素処理を行っても良い。
【0064】
なお、チューブ30は、銀メッキ銅線を複数配置して内層を形成することにより、多穴チューブとしても良い。また、内層1及び補強層2上にフッ素樹脂で硬度変化外層を構成し、それを最外層3としても良い。
【0065】
また、本実施例では、ナイロンエラストマー(PAE)(アルケマ(株)PEBAX)チューブの樹脂硬度が、72Dと63Dと40Dのように順に軟らかくなるように選択されていたが、硬度はこれに限定されるものではなく、ユーザの所望する可撓性に応じて、硬度を順に選択することができる。
【0066】
また、本実施例では、硬度変化外層6が配置された部分を可撓性変化部として、可撓性を備えることができ、使用されたナイロンエラストマー(PAE)(アルケマ(株)PEBAX)チューブの其々の長さや配置される部分は、本実施例に限定されるものではない。
【0067】
[比較例1]
例えば、外径1.8mmの銀メッキ銅線上に、フッ素樹脂(三井・デュポンフロロケミカル(株)テフロンFEP)が外径2.4mm厚で押出形成によって被覆され、長さが1.5mで定尺切断される。そして、銀メッキ銅線を抜き取ることによりチューブの成形体を得る。
【0068】
[比較例2]
例えば、外径1.8mmの銀メッキ銅線上に、ナイロンエラストマー(PAE)(アルケマ(株)PEBAX)を、0.1mm厚で押出形成によって被覆されることにより内層が形成される。形成された内層上に、外径0.05mmのステンレス(SUS304H)線を用いて、2本持ちで24打ちピッチ3.0mmで、編組が施される。更に、形成された内層上に、ナイロンエラストマー(PAE)(アルケマ(株)PEBAX)を、0.1mm厚で押出形成によって被覆されることにより最外層が形成される。これにより、長さが1.5mで定尺切断し、銀メッキ銅線を抜き取ることによりチューブの成形体を得る。
【0069】
【表1】

【0070】
表1は、破壊圧力、耐薬品性、滑り性、可撓性及び耐キンク性について、実施例1乃至4と比較例1及び2とを、比較した結果である。
【0071】
破壊圧力は、例えば、チューブを1mに切断し、片端を2つ折りにして固定する。固定されていないチューブの方に、圧力ゲージ付きの送水ポンプを接続し、チューブに注水を行い、加圧する。そして、チューブが変形或いは破壊したときの圧力を読み取る。破壊圧力は、読み取った圧力を基に相対比較を行い、実施例と比較例の優劣を判断する。
【0072】
また、耐キンク性は、例えば、チューブを200mmに切断し、切断されたチューブの両端末を持ち円を作る。この円の直径を小さくしていき、座屈したときの直径を計測し、相対比較を行うことにより、実施例と比較例の優劣を判断する。
【0073】
また、耐薬品性は、例えば、チューブの内面・外面に薬品に耐性があるか否かで判断し、チューブの内面・外面に殆どの薬品の耐性がある場合と、内面と外面のいずれかに殆どの薬品に耐性がある場合と、内面・外面とも酸やアルカリ等の薬品に対して耐性がない場合と、内面・外面とも耐薬品性が良くない場合の4つに分けて相対的に分類する。
【0074】
また、滑り性は、例えば、動摩擦係数を用いて滑り性を判断することができ、所定の滑り性の動摩擦係数の範囲によって滑り性の範囲を4つに分けて分類することができる。
【0075】
また、可撓性は、例えば、チューブを構成している表面の硬度(シェアーD硬度)を比較することにより4つに分けて分類することができる。
【0076】
表1の比較の結果から、第1の実施の形態に係る実施例1は、外表面の耐薬品性・滑り性・耐圧力・耐キンク性に優れたチューブである。第1の実施の形態に係る実施例2は、耐圧力・耐キンク性・耐薬品性に優れたチューブである。第2の実施の形態に係る実施例3は、耐圧力・耐キンク性・可撓性・耐薬品性・滑り性に優れたチューブである。第3の実施の形態に係る実施例4は、耐圧力・耐キンク性・可撓性・耐薬品性・滑り性に優れたチューブである。
【0077】
以上、本発明に係るチューブを上記の実施の形態及び実施例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、液薬を移送する配管チューブや、シリンダー等の作動用配管チューブ等に利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1…内層、2…補強層、3…最外層、4…最内層、5…外層、6…硬度変化外層、10,20,30…チューブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる内層と、
前記内層の外周に形成された金属製の編組からなる補強層と、
前記内層及び前記補強層を被覆するとともに、少なくとも外表面をフッ素樹脂で形成した外層被覆体とを備え、
前記内層、前記補強層及び前記外層被覆体を一体化させたチューブ。
【請求項2】
前記外層被覆体は、前記内層の外周に形成され、フッ素樹脂からなる最外層により構成された請求項1に記載のチューブ。
【請求項3】
前記外層被覆体は、前記内層及び前記補強層を被覆する熱可塑性樹脂からなる外層と、前記外層の外周に形成されたフッ素樹脂からなる最外層とを備え、前記内層、前記補強層及び前記外層を一体化させた請求項1に記載のチューブ。
【請求項4】
前記外層は、硬度が順次変化する複数の熱可塑性樹脂層から構成された硬度変化外層である請求項3に記載のチューブ。
【請求項5】
前記内層の内周に形成されたフッ素樹脂からなる最内層を、
更に備えた請求項1乃至4のいずれか1項に記載のチューブ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−92901(P2012−92901A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240681(P2010−240681)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(591004146)平河ヒューテック株式会社 (18)
【Fターム(参考)】