説明

チーグラー・ナッタ触媒の形態を調節する方法

制御された粒径および分布を示すチーグラー・ナッタ触媒を製造する方法を開示する。この方法は、可溶マグネシウム含有触媒前駆体の濃度が低くなるにつれて触媒成分の平均粒径が大きくなりかつ粒径分布が広くなるように可溶マグネシウム含有触媒前駆体の濃度を調節するか或は沈澱剤の濃度が高くなるにつれて触媒成分の平均粒径が大きくなりかつ粒径分布が広がるように沈澱剤の濃度を調節することで、可溶マグネシウム含有触媒前駆体が入っている触媒合成溶液から沈澱させる触媒成分の沈澱を修正することを含んで成る。この新規な触媒成分を用いて好ましい特性を有する重合体を製造することができかつそれを用いて好ましい特性を有する最終使用製品を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合体に関する。より詳細には、本発明は、重合体の製造に有用なチーグラー・ナッタ触媒を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン(またアルケンとも呼ばれる)は、二重結合で一緒に連結している炭素原子を分子が1対以上有する不飽和炭化水素である。オレフィンに重合工程を受けさせると、それはポリオレフィン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンなどに変化し得る。一般に用いられる1つの重合工程は、オレフィン単量体をチーグラー・ナッタ型触媒系と接触させることを伴う。いろいろなチーグラー・ナッタ型ポリオレフィン用触媒、それらの一般的製造方法およびその後の使用は重合技術分野で良く知られている。そのような系は、典型的に、チーグラー・ナッタ型重合用触媒成分、共触媒および電子供与体化合物を含有している可能性がある。チーグラー・ナッタ型重合用触媒成分は、遷移金属、例えばチタン、クロムまたはバナジウムなどのハロゲン化物と金属の水素化物および/または金属アルキル(これは典型的には有機アルミニウム化合物である)から誘導された錯体であり得る。そのような触媒成分は一般にアルキルアルミニウムと錯体を形成しているマグネシウム化合物に担持されているハロゲン化チタンで構成されている。主にプロピレンおよびエチレンの重合の目的で考案された触媒および触媒系に関して発行された特許が当業者に数多く知られている。そのような触媒系の例が例えば特許文献1、2、3、4、5、6、7、8および9(これらは引用することによって本明細書に完全に組み入れられる)に示されている。
【0003】
通常のチーグラー・ナッタ触媒は、式MR[式中、Mは遷移金属化合物であり、Rはハロゲンまたはヒドロカルボキシルでありそしてxは前記遷移金属の原子価である]で一般に表される遷移金属化合物を含有して成る。Mは典型的にIVからVII族の金属、例えばチタン、クロムまたはバナジウムなどから選択され、そしてRは塩素、臭素またはアルコキシ基である。一般的遷移金属化合物はTiCl、TiBr、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(OC13Cl、Ti(OCBrおよびTi(OC1225)Clであり得る。
【0004】
チーグラー・ナッタ触媒は一般に担体、例えば固体状結晶性担体などに付着させた状態で提供され得る。そのような担体は、通常のチーグラー・ナッタ触媒に含まれる成分のいずれとも化学的に反応しない不活性な固体であり得る。その担体はしばしばマグネシウム化合物である。当該触媒成分用担体源を与える目的で使用可能なマグネシウム化合物の例は、マグネシウムのハロゲン化物、ジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムのハロゲン化物、マグネシウムのオキシハロゲン化物、ジアルキルマグネシウム、マグネシウムの酸化物、マグネシウムの水酸化物およびマグネシウムのカルボン酸塩であり得る。
【0005】
当該重合用触媒が示す特性によって、その触媒を用いて生じさせる重合体の特性が影響を受け得る。例えば、重合体の形態は典型的に触媒の形態に依存する。良好な重合体形態には、粒径および形状が均一なことおよびかさ密度が受け入れられることが含まれる。その上、いろいろな理由、例えば移送または再循環ラインの詰まりを回避することなどの理由で、非常に小さい重合体粒子(即ち微細物)の数を最小限にするのも好ましい。また、重合反応槽内に塊および糸状物が生じないように非常に大きな粒子も制限する必要がある。
【0006】
このように、触媒の形態を改良および/または調節、例えばひいては重合体の形態を改良することができれば、それは当該技術分野にとって好ましいことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,107,413号
【特許文献2】米国特許第4,294,721号
【特許文献3】米国特許第4,439,540号
【特許文献4】米国特許第4,114,319号
【特許文献5】米国特許第4,220,554号
【特許文献6】米国特許第4,460,701号
【特許文献7】米国特許第4,562,173号
【特許文献8】米国特許第5,066,738号
【特許文献9】米国特許第6,174,971号
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明が詳細に理解されるように、以下の好適な態様の詳細な説明を添付図と協力させて参照すべきである。
【図1】図1は、粒径分布を反応中の時間点の関数として示すグラフである。
【発明の要約】
【0009】
本発明は、1つの面において、制御された粒径および分布を示すチーグラー・ナッタ触媒を製造する方法であり、この方法は、(1)触媒合成溶液に入っている可溶触媒前駆体の濃度が低くなるにつれて触媒成分の平均粒径が大きくなりかつ粒径分布が広がり得るように可溶触媒前駆体の濃度を調節するか或は(2)触媒合成溶液に入っている沈澱剤の濃度が高くなるにつれて触媒成分の平均粒径が大きくなりかつ粒径分布が広がり得るように沈澱剤の濃度を調節することで、可溶触媒前駆体と沈澱剤が入っている触媒合成溶液から沈澱させる触媒成分の沈澱を修正することを含んで成る。
【0010】
別の面において、本発明は、本明細書の上に記述した如き可溶触媒前駆体、沈澱剤または両方の濃度を調節することで生じさせた触媒成分である。
【0011】
更に別の面において、本発明は、本発明の触媒成分を用いて調製した重合体である。
【0012】
更に別の面において、本発明は、本発明の触媒成分を用いて調製した重合体から製造された最終使用製品である。
【0013】
本発明を用いると、製造規模に関係なく向上した触媒一貫性が得られかつまた触媒の形態を所望の重合体形態に合わせることも可能になり、それによってまた前記重合体を用いて製造される最終使用製品の特性にも影響を与えることができる。
【発明の詳細な説明】
【0014】
添付請求項の各々で個別の発明を定義し、それは、侵害の目的で、本請求項に明記するいろいろな要素または制限の相当物を包含すると理解する。以下に“発明”を言及する場合、その文脈に応じて、ある場合には、それら全部が特定の具体的態様のみを言及するものであり得る。他の場合として、“発明”の言及は、必ずしも全部ではないが本請求項の中の1つ以上に示した主題事項を指すものであると理解する。ここに、本発明の各々を以下により詳細(具体的態様、変形および実施例を包含する)に記述するが、本発明をそのような態様にも変形にも実施例にも限定するものでなく、それらは、本特許に示す情報を入手可能な情報および技術と組み合わせた時に通常の当業者が本発明を製造および使用することができるように含めたものであり得る。
【0015】
1つの態様として、本発明は、好ましく生じさせるべき触媒成分を沈澱させている時に粒径および粒径分布の予測可能な修飾または選択を達成することができるように可溶触媒前駆体および/または沈澱剤の濃度を操作することを伴う。一般に、可溶触媒前駆体の濃度と触媒成分の粒径および粒径分布の間に反比例関係が存在しかつ沈澱剤の濃度と触媒成分の粒径および粒径分布の間に正比例関係が存在し得ることを見いだした。
【0016】
本触媒の調製は一般に少なくとも下記の3段階を含んで成るとして記述可能である:(1)ジアルコキサイドを金属ジアルキルとアルコールの反応生成物として生じさせ、(2)可溶触媒前駆体を金属ジアルコキサイドとハロゲン化/チタン化剤の反応生成物として生じさせ、そして(3)最終的固体状触媒成分を前記可溶触媒前駆体と沈澱剤の反応生成物として沈澱させる。そのような沈澱剤は、いくつかの態様では、また、ハロゲン化/チタン化剤であってもよい。当業者に公知のように、本発明を実施する時にまた追加的段階を含めることも可能であり、例えば追加的ハロゲン化/チタン化段階などを含めることも可能であるが、この挙げた3段階が通常用いる段階であると考えてもよく、各段階の実施を異なる場所または製造施設で実施することも可能である。
【0017】
前記金属ジアルキルには、IIA族の金属のジアルキルが含まれ得る。そのような金属ジアルキルは、例えばマグネシウムジアルキルなどであってもよい。適切な非限定例には、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム(BEM)などが含まれる。1つの態様では、ブチルエチルマグネシウムを用いてもよい。
【0018】
前記アルコールは、1つの態様として、式ROHに従う如何なる化合物であってもよく、かつ本明細書の上に記述した如き反応を実施した時に所望の金属ジアルコキサイドをもたらすアルコールを用いてもよい。前記式中のRは、炭素原子数が2から20のアルキル基であり得る。適切なアルコールの非限定例には、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、2−メチル−ペンタノール、2−エチルヘキサノールなどが含まれる。直鎖もしくは分枝のいずれであってもほとんど全てのアルコールを用いることができると考えているが、特別な態様では、分枝度がより高いアルコール、例えば2−エチル−1−ヘキサノール(また2−エチルヘキサノールとも呼ぶ)などを用いることができる。
【0019】
当該金属ジアルキルを基準にしたアルコールの量は、所望の金属アルコキサイドがもたらされることを条件として幅広い範囲に渡って多様であり得る。例えば、用いる金属ジアルキルに対するアルコールの濃度を約0.01から約10当量にしてもよい。いくつかの態様では、約0.5から約6当量の範囲の濃度を用いてもよく、他の態様では、約1から約3当量の範囲の濃度を選択してもよい。
【0020】
選択した金属ジアルキルを溶液に添加する時に遭遇する可能性のある問題は、その溶液の粘度が劇的に高くなることであり得る。そのような好ましくなく高い粘度は、その溶液に個々のアルキル金属分子の間の会合を崩壊させる働きをするアルミニウムアルキル、例えばトリエチルアルミニウム(TEAl)などを添加することで低くすることができる。従って、いくつかの態様では、そのようなアルキルアルミニウムをアルキルアルミニウムと金属の比率が0.001:1から1:1であるように入れるのが好ましい可能性がある。他の態様では、その比率を0.01:1から0.5:1にしてもよく、更に他の態様では、その比率を0.03:1から0.2:1にしてもよい。加うるに、電子供与体、例えばエーテル、例えばジイソアミルエーテル(DIAE)などを用いることで当該アルキル金属の粘度を更に下げることも可能である。電子供与体と金属の典型的な比率は0:1から10:1の範囲であり、それを0.1:1から1:1の範囲にしてもよい。
【0021】
本発明を実施する時にジアルキル金属とアルコールの反応で生じさせる金属ジアルコキサイドは、一般式Mg(OR[式中、Rは原子数が1から20のヒドロカルビルもしくは置換ヒドロカルビルであり得る]で表されるマグネシウム化合物であってもよい。1つの態様における金属ジアルコキサイドは非還元性であり得る。使用可能な金属ジアルコキサイド種の非限定例には、マグネシウムジ(2−エチルヘキソキサイド)が含まれ、かつアルキルマグネシウム化合物[MgR(ここで、RおよびRは各々独立して炭素原子数が1から10のアルキル基のいずれかであり得る)、即ち金属ジアルキル]とアルコール(ROH)とアルミニウムアルキル(AlR)[ここで、Rは炭素原子数が1から10のアルキル基のいずれかであり得る]を反応させることで他のIIA族の金属のジアルコキサイドを生じさせることも可能である。適切なマグネシウムジアルキル化合物には、例えばジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウムおよびブチルエチルマグネシウム(BEM)などが含まれる。前記MgR化合物はBEMであり得、その反応生成物は、マグネシウムジアルコキサイドに加えて、RHおよびRHとして示される生成物であることもあり得、それらはそれぞれブタンおよびエタンであり得る。
【0022】
前記一般的反応スキームの2番目の段階として、前記金属ジアルコキサイドをハロゲン化剤と反応させることで可溶触媒前駆体を生じさせることができる。この段階は1回または数回に分けて達成可能である。そのような場合、いくつかの態様では、式ClARに従う化合物をハロゲン化剤として選択してもよい。前記式中のAは、1個のクロライドをアルコキサイドと交換する能力を有する非還元性で好酸性の化合物であってもよく、Rはヒドロカルビルもしくは置換ヒドロカルビルであってもよく、そしてxはA−1の原子価であり得る。Aの例には、チタン、ケイ素、アルミニウム、炭素、錫およびゲルマニウムが含まれ、いくつかの態様では、チタンまたはケイ素が含まれ、その場合のxは3であり得る。チタンを含める場合、そのような作用剤をハロゲン化/チタン化剤と呼ぶこともあり得る。Rの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよび炭素原子数が2から6の類似物が含まれる。使用可能なハロゲン化/チタン化剤の非限定例は、ClTi(OiPr)およびハロゲン化剤としてのClSi(Me)[ここで、MeはメチルでありそしてiPrはイソプロピルである]であり得る。
【0023】
ハロゲン化は一般的に不活性雰囲気下の炭化水素溶媒中で実施可能である。適切な溶媒の非限定例には、トルエン、ヘプタン、ヘキサン、オクタンなどが含まれる。このハロゲン化段階では、いくつかの態様として、金属アルコキサイドとハロゲン化剤のモル比を約6:1から約1:3の範囲内にし、他の態様では約3:1から1:2の範囲内にし、更に他の態様では約2:1から1:2の範囲内にし、更に他の態様では約1:1にしてもよい。
【0024】
ハロゲン化は、約0℃から約100℃の温度で実施可能であり、反応時間は約0.5か
ら約24時間の範囲であり得る。他の態様では、約20℃から約90℃の温度を用いてもよく、そして反応時間を約1時間から約4時間の範囲にしてもよい。
【0025】
そのようなハロゲン化、本ケースでは塩素化を実施すると、結果として、可溶触媒前駆体である反応生成物がもたらされ、いくつかの態様では、それの組成は不確実である。いくつかの態様において、そのような生成物はある程度ハロゲン化された金属化合物であり、それは式XMg(OR)[式中、Xはハロゲンであり得、そしてRは既に定義した如き炭素原子数が2から20のアルキル基であり得る]に従い得る。例えば、そのような生成物は付加体であり得、それを本明細書では会合錯体に相当するとして定義する。そのような1つの付加体または錯体は、例えばMg(O−2−EtHex)、ClTi(OPr)などであり得、ここで、EtHexはエチルヘキソキサイドである。本発明では、また、一般式ClTi(OR[式中、Rは直鎖もしくは分枝CからC20アルキルもしくはアルキル部分である]で表される化合物のいずれかをそのような生成物として用いることも可能である。その可溶触媒前駆体は、それらの会合の成分または性質に関係なく、実質的に可溶であり得、これを本明細書では触媒合成溶液中の溶解度が少なくとも約90重量パーセント、好ましい態様では約95重量パーセント以上であるとして定義する。
【0026】
その可溶触媒前駆体を生じさせた後、所望の最終的固体状触媒成分を沈澱させる目的でハロゲン化/チタン化剤を用いてもよい。このように、そのような作用剤をこれが示す効果が理由で他のハロゲン化剤からより明瞭に区別する目的で本明細書では“沈澱剤”と呼ぶが、それらの中のいくつかはチタンを含有する可能性があり、従ってチタン化剤と金属ジアルコキサイドの反応で可溶触媒前駆体を生じさせる時に使用可能なチタン化剤として二重に作用し得る。いくつかの態様として、そのような沈澱剤は2種類の四置換チタン化合物[この4個の置換基全部が同じでありかつこれらの置換基がハライドであってもよいか、或は別の態様として、炭素原子数が2から10のアルコキサイドまたはフェノキサイドであってもよい]の混合物、例えばTiClとTi(OBu)[ここで、Buはブチルである]の混合物などであってもよい。他の態様における沈澱剤は単一の化合物であってもよい。
【0027】
混合物を選択する場合、いくつかの態様では、ハロゲン化チタンと有機チタン酸塩の組み合わせを選択してもよい。例えば、TiClとTi(OBu)の混合物を用いてもよい。いくつかの好ましい態様では、Ti(OBu)ClとTi(OBu)Clの混合物を沈澱剤として選択してもよい。TiClとTi(OBu)の混合物を選択する場合、これらの成分の比率は例えば0.5:1から6:1の範囲に渡って多様であり得、いくつかの態様では約2:1から3:1の範囲に渡って多様であり得る。
【0028】
本発明の方法の沈澱段階を前記可溶触媒前駆体または沈澱剤のいずれかまたは両方の濃度を調整して調節することによって、結果としてもたらされる固体状触媒成分が示す形態を調整するに有効な手段を得る。触媒合成溶液に入っている可溶触媒前駆体の濃度を低くすると結果としてもたらされる触媒成分の平均粒径が大きくなり得ることを見いだした。逆に、前記沈澱剤の濃度を高くすることでも本質的に同じ効果が得られる。可溶触媒前駆体が沈澱反応によって触媒成分にますます変化するにつれてそれの濃度が明確かつ自動的に低下するが、例えば希釈剤の量を多くすることなどで意図してそれの濃度を低くすることで、生じる触媒成分の形態を調節することも可能である。追加的または別法として、沈澱剤の濃度を例えば沈澱剤の添加量を単に多くすることなどで意図して高くすることでも同様な調節効果を得ることができる。
【0029】
その用いる沈澱剤の量は、前記溶液から固体状生成物を沈澱させるに充分な量であってもよい。沈澱剤の濃度を高くすることで本発明に従う調節を行う方が好ましい場合には、
一般に、沈澱剤の量をチタンとマグネシウム含有成分中の金属の比率を基にして約0.5:1から約6:1、典型的には約2:1から約5:1の範囲になるような量にしてもよく、約2.5:1から約3.5:1の範囲になるような量にしてもよい。しかしながら、沈澱剤の濃度を変えることなく、むしろ可溶触媒前駆体の濃度のみを変えることで本発明を実施するのが好ましい場合には、態様に、沈澱剤を約0.5:1から約5:1、典型的には約1:1から約4:1の濃度で用いることを含め、それの範囲を約1.5:1から約2.5:1の範囲にしてもよい。そのような沈澱剤の濃度パーセントは、この上に示した比率に一致する如何なる濃度パーセントであってもよいが、いくつかの態様では、その沈澱剤の濃度パーセントを約12パーセントにする。
【0030】
本明細書の上に示したように、可溶触媒前駆体の濃度は沈澱物が生じるにつれて低下し得る。それにも拘らず、また、触媒合成溶液に入れる希釈剤の量を多くしてそれの濃度を低くすることでも触媒成分の形態を修飾することができる。
【0031】
可溶触媒前駆体の濃度を変える方が好ましい場合には、いくつかの態様では、出発濃度、即ち沈澱剤を添加する直前に使用する可溶触媒前駆体の濃度を約40重量パーセント未満、他の態様では約5重量パーセント未満にするのが好ましい可能性がある。他の態様では、前記出発濃度を約30パーセント未満または約20パーセント未満にする。更に他の態様では、それを約15パーセント未満にする。
【0032】
そのような修正、即ち可溶触媒前駆体の濃度低下または沈澱剤の濃度上昇のいずれもが示す全体的効果は、生じる微細物の量がより少なくなると解釈され、このことはオレフィン重合中の性能が向上する一因になり得る。また、粒径分布も幅広くなる可能性がある、即ちガウス分布グラフが全体として右側にシフトする。そのようなシフトの結果としてまた本触媒がオレフィン重合中に示す性能が向上し、その結果として、重合体の形態の好ましい改善が達成され得る。それによってまた触媒製造で用いる生産規模に関係なくそれの形態の一貫性も改善される。
【0033】
いくつかの態様では、そのような沈澱を室温で起こさせてもよい。次に、当業者に公知の適切な回収技術のいずれかを用いて固体状触媒成分を回収した後、好ましくは室温/周囲温度の溶媒、例えばヘキサンなどで洗浄してもよい。一般的には、その固体状触媒成分の洗浄を[Ti]が約100ミリモル/L未満になり得るまで行ってもよい。本発明における[Ti]は、第二世代のチーグラー触媒として働き得るチタン種のいずれかを表し、それは本明細書に記述する如き反応生成物の一部ではないチタン種を含有して成る可能性がある。次に、いくつかの態様では、その結果としてもたらされた触媒成分に必要ならば追加的ハロゲン化/チタン化段階を受けさせることで代替および/または追加的触媒生成物を生じさせてもよい。各ハロゲン化/チタン化段階の後、固体状生成物の洗浄を[Ti]が所望量未満、例えば約100ミリモル/L未満、約50ミリモル/L未満または約20ミリモル/L未満などになり得るまで実施してもよい。その最終的ハロゲン化/チタン化段階の後、それが本質的に沈澱段階であるか或はそれの後の段階であり得るかに拘わらず、生成物の洗浄を[Ti]が所望量未満、例えば約20ミリモル/L未満、約10ミリモル/L未満または約1.0ミリモル/L未満になり得るまで実施してもよい。如何なる理論でも範囲を限定することを望むものでないが、[Ti]の量を低くすることは第二世代のチーグラー種として働き得るチタンの量が少なくなることで向上した触媒結果がもたらされるに役立ち得ると考えている。[Ti]の量を低くすることは、向上した触媒結果を得ようとする時、当該重合体が示す分子量分布をより狭くしようとする時などに1つの要因になり得ると考えている。
【0034】
沈澱段階後にハロゲン化/チタン化剤を用いるのが好ましい可能性がある場合には、ハロゲン化チタン、例えば四塩化チタン(TiCl)などを選択してもよい。その場合に
は、そのようなハロゲン化/チタン化剤をスラリーに添加してもよい。この添加はしばしば周囲/室温で実施可能であるが、また、それを他の温度および圧力下で条件を変えて実施することも可能である。そのような追加的作用剤の量をマグネシウムに対するチタンの比率が約0.1から5.0当量、いくつかの態様では好ましくは約2.0、他の態様では約0.25から約4、更に他の態様では約0.3から約3当量、更に他の態様では約0.4から約2.0当量になるような量にしてもよい。1つの好ましい態様では、沈澱段階後に用いるハロゲン化/チタン化剤の量を約0.45から約1.5当量にしてもよい。
【0035】
場合により、また、電子供与体も可溶触媒前駆体を生じさせるハロゲン化/チタン化中、(固体状)触媒成分を生じさせる沈澱中または代替触媒成分を生じさせるための後のハロゲン化/チタン化中に用いることも可能である。ポリオレフィン触媒の製造で用いるに有用な電子供与体は当該技術分野で良く知られており、適切な触媒をもたらすであろう適切な電子供与体のいずれも使用可能である。電子供与体(またルイス塩基としても知られる)は、典型的に電子対を当該触媒に供与する能力を有する酸素、窒素、燐または硫黄の有機化合物であり得る。
【0036】
そのような電子供与体は単官能性または多官能性化合物であり得、脂肪族もしくは芳香族カルボン酸およびそれらのアルキルエステル、脂肪族または環式エーテル、ケトン、ビニルエステル、アクリル誘導体、特にアクリル酸アルキルまたはメタアクリル酸アルキルおよびシランの中から選択可能である。適切な電子供与体の一例はフタル酸ジ−n−ブチルであり得る。適切な電子供与体の一般例は、一般式RSi(OR’)で表されるアルキルシリルアルコキサイド、例えばメチルシリルトリエトキサイド[MeSi(OEt)][ここで、RおよびR’は炭素原子数が1−5のアルキルであり得、これらは同じまたは異なってもよい]などであり得る。
【0037】
内部電子供与体を触媒合成中に用いてもよく、かつ外部電子供与体または立体選択性調節剤(SCA)を用いて重合時の触媒を活性化させてもよい。内部電子供与体をハロゲン化またはハロゲン化/チタン化段階中に起こさせる触媒生成反応で用いてもよい。通常の担体型チーグラー・ナッタ触媒成分を製造しようとする時に内部電子供与体として用いるに適した化合物には、エーテル、ジエーテル、ケトン、ラクトン、窒素、燐および/または硫黄原子を有する電子供与体化合物および特定種のエステルが含まれる。特に、フタル酸のエステル、例えばフタル酸ジイソブチル、ジオクチル、ジフェニルおよびベンジルブチルなど、マロン酸のエステル、例えばマロン酸ジイソブチルおよびジエチルなど、ピバリン酸アルキルおよびアリール、マレイン酸アルキル、シクロアルキルおよびアリール、アルキルおよびアリールカーボネート、例えばジイソブチル、エチルフェニルおよびジフェニルカーボネートなど、およびこはく酸エステル、例えばこはく酸モノおよびジエチルなどが適切であり得る。
【0038】
本発明に従う触媒を生じさせようとする時に使用可能な外部電子供与体には、有機シラン化合物、例えば一般式SiR(OR’)4−m[式中、Rはアルキル、シクロアルキル、アリールおよびビニル基から成る群より選択可能であり、R’はアルキル基であり得、そしてmは、RとR’が同じであり得る場合には0−3であってもよく、そして更に、mが0、1または2であり得る場合のR’基は同じまたは異なってもよく、そしてmが2または3であり得る場合のR基は同じまたは異なってもよい]で表されるアルコキシシランなどが含まれる。
【0039】
本発明で用いるに有用な外部電子供与体は、下記の式:
【0040】
【化1】

【0041】
[式中、RおよびRは、両方とも、ケイ素と結合している第一、第二もしくは第三炭素原子を含有するアルキルまたはシクロアルキル基であり得、RとRは同じまたは異なってもよく、そしてRおよびRはアルキルまたはアリール基であり得る]
で表されるシラン化合物から選択可能である。Rはメチル、イソプロピル、イソペンチル、シクロヘキシルまたはt−ブチルであってもよく、RおよびRはメチル、エチル、プロピルまたはブチル基であってもよく、これらは必ずしも同じではなく、そしてRもまたメチル、イソプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはt−ブチルであってもよい。具体的な外部電子供与体は、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDS)、ジイソプロピルジメトキシシラン(DIDS)、シクロヘキシルイソプロピルジメトキシシラン(CIDS)、ジシクロペンチルジメトキシシラン(CPDS)およびジ−t−ブチルジメトキシシラン(DTDS)であり得る。
【0042】
本明細書の上に記述したようにして製造した触媒成分を有機金属触媒成分(“予活性化剤”)と一緒にすることで、オレフィンの重合で用いるに適した予活性化触媒系を生じさせる。本発明の触媒成分と一緒に使用可能な予活性化剤は典型的に有機金属化合物、例えばアルミニウムアルキル、水素化アルミニウムアルキル、リチウムアルミニウムアルキル、亜鉛アルキル、マグネシウムアルキルなどであり得る。いくつかの態様では有機アルミニウム化合物を用いてもよい。それを選択する場合、それは式AlR[式中、少なくとも1個のRは炭素原子数が1−8のアルキルまたはハライドであってもよく、かつ各Rは同じまたは異なってもよい]で表されるアルミニウムアルキルであってもよい。そのような予活性化剤である有機アルミニウムはトリアルキルアルミニウム、例えばトリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEAl)および/またはトリイソブチルアルミニウム(TIBAl)であってもよい。アルミニウムとチタンの比率を好ましくは約0.1:1から2:1の範囲にしてもよく、典型的には0.25:1から1.2:1にしてもよい。
【0043】
本発明の触媒成分は、いずれかの種類のアルファオレフィンをホモ重合もしくは共重合させようとする時の工程のいずれかで使用可能である。例えば、本触媒はエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、4−メチルペンテンおよび炭素原子数が少なくとも2の他のアルファアルケンおよびまたそれらの混合物に触媒作用を及ぼそうとする時に有用である。前記単量体の重合体は好ましい特性、例えばより幅広い分子量分布および多頂分布、例えば二頂性および三頂性などを示す可能性がある。本発明の触媒成分を用いてエチレンを重合させてポリエチレンを生じさせることができる。
【0044】
本発明に関連していろいろな重合工程、例えば単一および/または多ループ工程、バッチ工程、およびループ型反応槽を伴わない連続工程などを用いてもよい。本発明が利用可能な多ループ工程の例は、1番目のループで結果としてもたらされるポリオレフィンの分子量の方が2番目のループの重合反応で生じさせるポリオレフィンよりも低くなるように重合反応を起こさせ、それによって、結果としてより幅広い分子量分布および/または二頂性を示す樹脂を生じさせる2ループ装置であり得る。別法として、本発明が利用可能な多ループ工程の別の例は、1番目のループで結果としてもたらされるポリオレフィンの分子量の方が2番目のループの重合反応で生じさせるポリオレフィンよりも高くなるように
重合反応を起こさせ、それによって、結果としてより幅広い分子量分布および/または二頂性を示す樹脂を生じさせる2ループ装置であり得る。
【0045】
そのような重合工程は、例えば塊状、スラリーまたは気相工程などであってもよい。本発明の触媒成分をスラリー相重合で用いてもよい。重合条件(例えば温度および圧力)は、重合工程で用いる装置の種類ばかりでなく用いる重合工程の種類に依存し得るが、当該技術分野で公知である。一般的には、温度を約50から約110℃の範囲内にしそして圧力を約10から約800psiの範囲内にする。
【0046】
本発明の態様の結果としてもたらされる触媒が示す活性は、少なくともある程度ではあるが、重合工程および条件、例えば用いる装置および反応温度などに依存し得る。例えば、エチレンを重合させてポリエチレンを生じさせる態様で本触媒成分が示す活性は一般に触媒1g当たり少なくとも5,000gのPEであり得るが、触媒1g当たり50,000g以上のPEの活性、いくつかの態様では触媒1g当たり100,000g以上のPEの活性を示す可能性がある。
【0047】
本発明の触媒成分を用いて重合を実施する時、オレフィン単量体を反応条件下で液体であってもよい非反応性の熱伝導剤であり得る希釈剤に入れて重合反応ゾーンの中に導入してもよい。そのような希釈剤の例はヘキサンおよびイソブタンであり得る。エチレンと別のアルファ−オレフィン、例えばブテンまたはヘキセンなどの共重合を実施しようとする場合には、その2番目のアルファ−オレフィンを約0.01から約20モルパーセントの濃度で存在させてもよく、特定の好ましい態様ではそれを約0.02から約10モルパーセントにしてもよい。
【0048】
いくつかの態様において、本発明の触媒成分を用いて生じさせた重合体が示す分子量分布(MWD)は少なくとも約4.5、他の態様では少なくとも約6.0である。そのような重合体はまた向上した綿毛状物形態も示す可能性がある。
【0049】
このように、本重合体は比較的大きな粒径および比較的均一な粒径分布を示す可能性があり、存在する可能性のあるいわゆる微細物(直径が約125ミクロン未満の粒子)の濃度は比較的低く、例えば約2重量パーセント未満、いくつかの態様では約1重量パーセント未満などであり得る。また、粉末かさ密度の改善も示し得る。いくつかの態様におけるかさ密度値は約0.25g/cc以上、他の態様では約0.35g/cc以上、更に他の態様では約0.40g/cc.以上であり得る。
【0050】
本発明のポリオレフィンは、好ましくは、いろいろな用途、例えば幅広い範囲の製品をもたらす押出し加工などで用いるに適し得る。そのような押出し加工には、例えばブローンフィルム押出し加工、キャストフィルム押出し加工、スリットテープ押出し加工、ブロー成形、パイプ押出し加工および発泡シート押出し加工などが含まれる。そのような工程には単層押出し加工または多層共押出し加工が含まれ得る。最終使用用途には、例えばフィルム、繊維、パイプ、織物材料、女性衛生製品、食品包装材、買物袋、定格圧力パイプなどが含まれ得る。
【0051】
以下の実施例は本発明をより詳細に例示する目的で示すものである。このように、それらは単に例示を意図し、決して本発明の範囲を制限するとして解釈されるべきでない。当業者は、本発明の範囲を変えることなく記述した如き発明に対して修飾を行うことができることを理解するであろう。例えば、本触媒成分を調製する時の個々の出発材料または本触媒成分を用いることができる重合における個々の出発材料、中間体生成物、それを用いて生じさせる触媒成分、反応および工程変項、例えば供給速度、工程温度、圧力および他の条件などの選択を本明細書に明らかには記述しなかったが、それでもそれらは本明細書
の一般的説明の範囲内であり、本明細書および添付請求項の両方の意図した範囲内に入る。
【実施例】
【0052】
本実施例に、沈澱剤の濃度を高くした時の触媒成分の粒径およびそれらの分布に対する効果を示す。
【0053】
1.0LのBuchi反応槽を約100℃より若干高い温度で強力に窒素パージしながら12時間以上焼いた。250mLの炭酸飲料容器の中に20.6重量パーセントのブチルエチルマグネシウム(0.11のAl重量パーセント)を53.64g入れて、ヘキサンで総体積が200mLになるまで希釈した。その無色透明な溶液をカニューレでBuchi反応槽に移した。次に、前記炭酸飲料容器を100mLのヘキサンで濯いで、それを前記反応槽に加えた。撹拌を200rpmで開始した。
【0054】
100mLのメスシリンダーに混ぜ物無し2−エチルヘキサノールを26.90g入れた後、ヘキサンで総体積が50mLになるまで希釈した。その無色透明な溶液をカニューレで前記Buchi反応槽の中の溶液に23分かけて移した。その溶液の温度が24.1℃から34.5℃まで上昇した。その結果として生じた溶液は粘性のある無色透明な溶液であった。添加が終了した時点で前記メスシリンダーを約35mLのヘキサンで濯いでそれを前記反応槽の中に入れ、そしてその内容物、即ちマグネシウムアルコキサイドを1時間撹拌した。
【0055】
250mLの炭酸飲料容器の中に1.0MのClTi(OiPr)をハロゲン化/チタン化剤として77.50g入れた(約100mLの体積)。その若干黄色の透明な液体をカニューレで前記Buchiに移した。その添加時間は24分間であり、出発温度は24.5℃でありそして最大温度は26.3℃であった。添加量が5mLになった時点でフレーク状の粒子が生じたが、それは急速に再溶解した。添加量が約50mLになった時点で溶液が再び不透明になった。添加終了時の溶液はいくらか粘性のある無色透明な溶液であった。添加後に前記炭酸飲料容器を約15mLのヘキサンで濯いで、それを前記Buchiに入れた。反応物を1時間撹拌した。
【0056】
500mLのメスシリンダーに30重量パーセントの2TiCl/Ti(OBu)混合物を沈澱剤として239.9g入れた(約310mLの体積)。その灰色がかったオレンジ色の液体をカニューレで前記反応物に64分かけて移した。初期温度は24.5℃でありそして最大温度は26.3℃であった。添加中にサンプルを以下の表1に従う添加時点で採取してもよい。サンプリング過程中の各時間点毎に沈澱剤の添加を停止する。
【0057】
【表1】

【0058】
触媒がヘキサンに入っているスラリーのサンプルを8個採取してMalvern粒径分布分析にかけた。サンプルの色は多様である。初期の沈澱物サンプルは白色であったが、後期のサンプルは黄色である。
【0059】
添加終了時に前記メスシリンダーを20mLのヘキサンで濯いで、それを反応槽に入れた後、その溶液を1時間撹拌する。その時点で触媒スラリーを沈降させる。15分後に上澄み液を傾斜法で除去して処分する。黄色がかった白色の沈澱物が迅速かつ完全に沈降する。その溶液にヘキサンを約200mL加える。その内容物を5分間撹拌した後、撹拌を止めて、触媒スラリーを沈降させる。15分後に上澄み液を除去する。ヘキサンを更に200mL加えた後、その内容物を5分間撹拌する。洗浄を1回行った後にスラリーのサンプルを採取する。残存する触媒をメタノールで失活させる。
【0060】
各濃度毎に採取したサンプル(A−H)および最終的スラリーサンプル(I)が示した粒径および分布データを沈澱剤の量に関係させて表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
沈澱剤の濃度を高くするにつれて平均粒径が大きくなりかつまた粒径分布も広くなるこ
とが表2および図1に示したデータから分かるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御された粒径および分布を示すチーグラー・ナッタ触媒を製造する方法であって、
(1)触媒合成溶液に入っている可溶触媒前駆体の濃度が低くなるにつれて触媒成分の平均粒径が大きくなりかつ粒径分布が広がるように可溶触媒前駆体の濃度を調節し、そして/または
(2)触媒合成溶液に入っている沈澱剤の濃度が高くなるにつれて触媒成分の平均粒径が大きくなりかつ粒径分布が広がるように沈澱剤の濃度を調節する、
ことで、可溶触媒前駆体と沈澱剤が入っている触媒合成溶液から沈澱させる触媒成分の沈澱を修正することを含んで成る方法。
【請求項2】
(1)前記可溶触媒前駆体の濃度を調節することで触媒成分の沈澱の修正を実施する請求項1記載の方法。
【請求項3】
(2)前記沈澱剤の濃度を調節することで触媒成分の沈澱の修正を実施する請求項1記載の方法。
【請求項4】
(1)前記可溶触媒前駆体および(2)前記沈澱剤の両方の濃度を調節することで触媒成分の沈澱の修正を実施する請求項1記載の方法。
【請求項5】
希釈剤の濃度を高くすることで前記可溶触媒前駆体の濃度を低くする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記可溶触媒前駆体の出発濃度を約40重量パーセント未満の濃度に維持する請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記可溶触媒前駆体の出発濃度を約30重量パーセント未満の濃度に維持する請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記可溶触媒前駆体の出発濃度を約20重量パーセント未満の濃度に維持する請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記可溶触媒前駆体の出発濃度を約15重量パーセント未満の濃度に維持する請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記可溶触媒前駆体の出発濃度を約5重量パーセント未満の濃度に維持する請求項6記載の方法。
【請求項11】
沈澱剤をより多く添加することで前記沈澱剤の濃度を高くする請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記沈澱剤の濃度をTiと金属の比率が約0.5:1から6:1であるような濃度まで高くする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記沈澱剤の濃度をTiと金属の比率が約2:1から5:1であるような濃度まで高くする請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記沈澱剤の濃度をTiと金属の比率が約2.5:1から3.5:1であるような濃度まで高くする請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記触媒成分の調製をブチルエチルマグネシウムと2−エチルヘキサノールを反応させ
てマグネシウムジアルコキサイドを生じさせた後に前記マグネシウムジアルコキサイドをClTi(OPr)と反応させて可溶触媒前駆体を生じさせそして次に前記可溶触媒前駆体をTi(OBu)Cl/Ti(OBu)Cl混合物と反応させて固体状触媒成分を生じさせることで実施する請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記沈澱剤を添加するに先立って前記可溶触媒成分の出発濃度を約15重量%未満にするか或は前記沈澱剤の濃度を約12重量%以上にする請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記沈澱剤を添加するに先立って前記可溶触媒成分の出発濃度を約15重量%未満にしかつ前記沈澱剤の濃度を約12重量%以上にする請求項1記載の方法。
【請求項18】
請求項1記載の方法で製造されたチーグラー・ナッタ触媒成分。
【請求項19】
請求項18記載の触媒成分を用いて製造された重合体。
【請求項20】
請求項19記載の重合体から製造された最終使用製品。
【請求項21】
フィルム、繊維、パイプ、織物材料、女性衛生製品、食品包装材、買物袋、定格圧力パイプなどから成る群より選択される請求項20記載の最終使用製品。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−533775(P2010−533775A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517090(P2010−517090)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/069863
【国際公開番号】WO2009/012174
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】