説明

ツインタービン式ターボチャージャー。

【課題】高いトルクや高い出力、また、排気ガス対策を両立させることができるツインタービン式ターボチャージャーを提供する。
【解決手段】コンプレッサインペラを包むコンプレッサハウジングと、コンプレッサハウジングの一方側部に、第一ベアリングハウジンクを介して第一タービンインペラを包む第一タービンハウジングが配置されて結合し、また、コンプレッサハウジングの他方側部に、第二ベアリングハウジングを介して第二タービンインペラを包む第二タービンハウジングが配置されて結合し、各部が一体化して構成され、そして、コンプレッサインペラと、コンプレッサインペラを挟んだ両側部に位置する第一タービンインペラ及び前記第二タービンインペラが、回転軸上のそれぞれの定位置に配置・固定され、回転軸が、第一ベアリングハウジングと前記第二ベアリングハウジングにおける軸受・シール機構よって支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのトルクや出力を増強する目的で、排気ガスを利用してタービンブレードを回転させ、タービンブレードと同軸上に配置・固定されたコンプレサーインペラを回転させることによって、シリンダー内に空気を過給するターボチャージャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のターボチャージャーは、特に、エンジンの低中速回転域において、タービンハウジング内のタービンインペラを充分に回転させるだけの絶対的排気ガス量や排気ガス圧が少なく、よって、タービンブレードやコンプレサーインペラの小径化や軽量化を図ることで対処していた。
【発明の概要】

【発明が解決しようとしている課題】
【0003】
しかし、タービンブレードやコンプレサーインペラの小径化は、エンジンの高速回転域において、排気ガスがタービンハウジンンインペラを通過しにくい状態になるなど、出力が頭打ちになる傾向がある。
また、近年、燃費向上や排気ガス対策のために、小排気量化したエンジンを採用する傾向にあるが、小排気量化したエンジンにも高いトルクや高い出力は要求されている。
【0004】
本発明は、上述した要求を繿みてなされたもので、高いトルクや高い出力、また、排気ガス対策を両立させることができるターボチャージャーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、請求項1の発明に係るツインタービン式ターボチャージャーは、コンプレッサインペラを包み、空気の吸込み部分及び吐出部分より構成されるコンプレッサハウジングと、該コンプレッサハウジングの一方側部に、第一ベアリングハウジングを介して第一タービンインペラを包み排気ガスの導入部分及び吐出部分より構成される第一タービンハウジングが配置されて結合し、また、該コンプレッサハウジングの他方側部に、第二ベアリングハウジングを介して第二タービンインペラを包み排気ガスの導入部分及び吐出部分より構成される第二タービンハウジングが配置されて結合し、前記各部が一体化して構成され、そして、前記コンプレッサインペラと、該コンプレッサインペラを挟んだ両側部に位置する前記第一タービンインペラ及び前記第二タービンインペラが、回転軸上のそれぞれの定位置に配置・固定され、前記回転軸が、前記第一ベアリングハウジングと前記第二ベアリングハウジングにおける軸受・シール機構よって支持されていることを特徴とする。
【0006】
上述の目的を達成するため、請求項2の発明に係るツインタービン式ターボチャージャーは、上記請求項1の構成に加えて、第二タービンインペラの径を始め、第二タービンハウジングにおける排気ガスの導入量や吐出量等、各仕様に対して、第一タービンインペラの径を始め、第一タービンハウジングにおける排気ガスの導入量や吐出量等、各仕様の大型化を図ったことを特徴とする。
【0007】
上述の目的を達成するため、請求項3の発明に係るエンジンの排気系は、エンジンが低中速回転域においては、エンジンから排出された全ての排気ガスが、ツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングへ供給される排気ガス通路と、前記第一タービンハウジングのタービンインペラを通過した排気ガスが、第二タービンハウジングへ供給される排気ガス通路を構成し、また、予め、設定した切換え時期に至った時には、エンジンから排出された排気ガスが二分割され、前記ツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングと第二タービンハウジングそれぞれに直接供給される排気ガス通路を構成することを特徴とする。
【0008】
上述の目的を達成するため、請求項4の発明に係るエンジンの排気系は、上記請求項3の構成に加えて、エンジンから排出された排気ガスを第一排気管と第二排気管に分割し、前記第一排気管及び第二排気管がそれぞれ1本に集合され隣り合わせて配管された部分に、前記第一排気管と第二排気管を連通する第一連通孔と、前記第一連通孔を開状態又は閉状態に切換える第一切換え弁を設け、そして、前記第一排気管が、ツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングの排気ガス導入部分に至って連通して固定され、前記第二排気管が、ツインタービン式ターボチャージャーにおける第二タービンハウジングの排気ガス導入部分に至って連通して固定され、さらに、前記第一タービンハウジングの排気ガス吐出部分に連通して固定された第三排気管と、前記第ニ排気管と前記第三排気管が隣り合わせて配管された部分に、前記第二排気管と前記第三排気管を連通する第二連通孔と、前記第二連通孔を開状態又は閉状態に切換える第二切換え弁を設けたことを特徴とする。
【0009】
上述の目的を達成するため、請求項5の発明に係るエンジンの排気系は、エンジンが低中速回転域においては、エンジンから排出された二分の一の排気ガスが、一方のツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングへ供給される排気ガス通路と、前記第一タービンハウジングのタービンインペラを通過した排気ガスが、第二タービンハウジングへ供給される排気ガス通路を構成し、さらに、エンジンから排出された二分の一の排気ガスが、他方のツインタービン式ターボチャージャーにおける第三タービンハウジングへ供給される排気ガス通路と、前記第三タービンハウジングのタービンインペラを通過した排気ガスが、第四タービンハウジングへ供給される排気ガス通路を構成し、また、そして、予め、設定した切換え時期に至った時には、エンジンから排出された二分の一の排気ガスが、一方のツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングと第二タービンハウジングそれぞれへ直接供給される排気ガス通路と、エンジンから排出された二分の一の排気ガスが、他方のツインタービン式ターボチャージャーにおける第三タービンハウジングと第四タービンハウジングそれぞれへ直接供給される排気ガス通路を構成することを特徴とする。
【0010】
上述の目的を達成するため、請求項6の発明に係るエンジンの排気系は、上記請求項5の構成に加えて、エンジンを一方群と他方群に分け、一方群のエンジンから排出された排気ガスを第一排気管と第二排気管に分割し、前記第一排気管及び第二排気管がそれぞれ1本に集合され隣り合わせて配管された部分に、前記第一排気管と第二排気管を連通する第一連通孔と、前記第一連通孔を開状態又は閉状態に切換える第一切換え弁を設け、そして、前記第一排気管が、一方群用のツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングの排気ガス導入部分に至って連通して固定され、前記第二排気管が、一方群用のツインタービン式ターボチャージャーにおける第二タービンハウジングの排気ガス導入部分に至って連通して固定され、さらに、前記第一タービンハウジングの排気ガス吐出部分に連通して固定された第五排気管と、前記第二排気管と前記第五排気管が隣り合わせて配管された部分に、前記第二排気管と前記第五排気管を連通する第二連通孔と、前記第二連通孔を開状態又は閉状態に切換える第二切換え弁を設け、また、他方群のエンジンから排出された排気ガスを第三排気管と第四排気管に分割し、前記第三排気管及び第四排気管がそれぞれ1本に集合され隣り合わせて配管された部分に、前記第三排気管と第四排気管を連通する第三連通孔と、前記第三連通孔を開状態又は閉状態に切換える第三切換え弁を設け、そして、前記第三排気管が、他方群用のツインタービン式ターボチャージャーにおける第三タービンハウジングの排気ガス導入部分に至って連通して固定され、前記第四排気管が、他方群用のツインタービン式ターボチャージャーにおける第四タービンハウジングの排気ガス導入部分に至って連通して固定され、さらに、前記第三タービンハウジングの排気ガス吐出部分に連通して固定された第六排気管と、前記第四排気管と前記第六排気管が隣り合わせて配管された部分に、前記第六排気管と前記第四排気管を連通する第四連通孔と、前記第二連通孔を開状態又は閉状態に切換える第四切換え弁を設けたことを特徴とする。
【0011】
上述の目的を達成するため、請求項7の発明に係るエンジンの排気系は、エンジンから排出された排気ガスを第一排気管と第二排気管に二分割し、第一排気管が、ツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングに連通する排気ガス通路を構成し、第二排気管が、ツインタービン式ターボチャージャーにおける第二タービンハウジングに連通する排気ガス通路を構成したことを特徴とする。
【0012】
上述の目的を達成するため、請求項8の発明に係るエンジンの排気系は、エンジンを一方群と他方群に分け、一方群のエンジンから排出された排気ガスが二分割され、一方群用のツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングと第二タービンハウジングそれぞれに連通する排気ガス通路を構成し、他方群のエンジンから排出された排気ガスが二分割され、他方群用のツインタービン式ターボチャージャーにおける第三タービンハウジングと第四タービンハウジングそれぞれに連通する排気ガス通路を構成したことを特徴とする。
【0013】
上述の目的を達成するため、請求項9の発明に係るエンジンの排気系は、上記請求項4の構成に加えて、一気筒当り二本の排気管を有すエンジンと一基のツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせた場合に対して、第一排気管が、各気筒におけるいずれか一方の各排気管と、そのいずれか一方の各排気管を1本に集合した排気管によって構成され、第二排気管が、各気筒におけるいずれか他方の各排気管と、そのいずれか他方の各排気管を1本に集合した排気管によって構成されていることを特徴とする。
【0014】
上述の目的を達成するため、請求項10の発明に係るエンジンの排気系は、上記請求項6の構成に加えて、一気筒当り二本の排気管を有すエンジンと二基のツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせた場合に対して、第一排気管が、一方群の各気筒におけるいずれか一方の各排気管と、そのいずれか一方の各排気管を1本に集合した排気管によって構成され、第二排気管が、一方群の各気筒におけるいずれが他方の各排気管と、そのいずれか他方の各排気管を1本に集合した排気管によって構成され、さらに、第三排気管が、他方群の各気筒におけるいずれか一方の各排気管と、そのいずれか一方の各排気管を1本に集合した排気管によって構成され、第四排気管が、他方群の各気筒におけるいずれか他方の各排気管と、そのいずれか他方の各排気管を1本に集合した排気管によって構成されていることを特徴とする。
【0015】
上述の目的を達成するため、請求項11の発明に係るエンジンの排気系は、エンジンから排出された全ての排気ガスを、始めに第一タービンハウジングに供給する排気管Aと、その第一タービンハウジングの排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを第二タービンハウジングに供給する排気管B、また、第二タービンハウジングの排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを大気側へ導く排気管Cによって排気系が構成され、さらに、前記排気管Bにおいては、第二タービンハウジングの排気ガス導入部分に至る手前で第二タービンハウジングの排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを直接大気側へ導く排気管Dと分割され、その分岐部に前記排気管Bと排気管Dを連通する連通孔Aを設け、その連通孔Aを開閉する切換え弁Aを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明におけるツインタービン式ターボチャージャーは、上述のように構成したので以下に記載されるような効果を奏する。
本発明におけるツインタービン式ターボチャージャーは、コンプレッサインペラを包み、空気の吸込み部分及び吐出部分より構成される一基のコンプレッサハウジングに対し、タービンインペラを包み排気ガスの導入部分及び吐出部分より構成されるタービンハウジングを二基有す構成のため、従来型のシングル式ターボチャージャーに比べ、タービンハウジングは小型で軽量化でき、また、タービンインペラのサイズも小径化され軽量化できる。
よって、タービンインペラの小径化・軽量化は、タービンインペラの慣性力の低減を図れ、本発明におけるツインタービン式ターボチャージャーのレスポンスは、従来型のシングル式ターボチャージャーのレスポンスに比べて向上させることができる。
【0017】
また、両ベアリングハウジングは、コンプレッサハウジングを挟んだ両側部にそれぞれ配置されているため、両ベアリングハウジングにおける各軸受・シール機構の間隔は、従来型のシングル式ターボチャージャーのベアリングハウジングにおける軸受・シール機構と比べ、回転軸方向に幅広く設定されるため、高速回転する回転軸をバランスよく支持することができる。
【0018】
さらに、各タービンハウジングのタービンインペラは、回転軸に背中合わせ状態で配置・固定されているため、回転軸に加わるガス圧力や振動等による軸方向の力の発生が限定され、スラストベアリングへの負荷を軽減し、スラストベアリングの耐久力を高めるとともに、タービンインペラとタービンハウジング間の隙間を狭めて設定でき、隙間から漏れる空気量を減じることによってターボの過給効率を向上させることができる。
【0019】
そして、請求項1記載の発明におけるツインタービン式ターボチャージャーと請求項3及び4に記載の発明におけるエンジンの排気系を組み合わせることによって、エンジンが低中速回転域のときには、第一切換え弁を開き、第一連通孔を連通させ第一排気管と第二排気管を集合させて、すべての気筒から排出された排気ガスを第一タービンハウジングの第一タービンインペラへ供給する排気ガス通路を構成することで、第一排気管側が導く排気ガスと第二排気管が導く排気ガスを第一タービンハウジングの第一タービンインペラに供給することができる。
【0020】
よって、従来型のシングル式ターボチャージャーにおける一基のタービンハウジングと比べ、二基備えた各タービンハウジングは小型化され、また、タービンインペラのサイズも小径・軽量化されているため、小径・軽量化され慣性力の低減した第一タービンインペラは勢い良く回転上昇し、同時に、第二切換え弁を開き、第二連通孔を連通させ、第一タービンハウジングの第一タービンインペラを回転させた後の、まだエネルギーを有す排気ガスを第二タービンインペラに供給する排気ガス通路が構成されるので、第一タービンインペラ及び第二タービンインペラ、さらに、同一の回転軸上に配置・固定されたコンプレッサインペラは回転上昇しやすい状態となって勢い良く回転上昇し、エンジンスタート時から低中速回転域にかけて、過給効果を高めることができる。
【0021】
さらに、すべての気筒から排出された排気ガスが第一タービンハウジングの第一タービンインペラへ供給され、そして、予め、設定した切換え時期に至った時には、第一切換え弁によって、第一排気管と第二排気管を連通する第一連通孔を閉状態にして第一排気管と第二排気管の連通を遮断し、第一排気管が、第一タービンハウジングの排気ガス導入部分に連通する排気ガス通路を構成するので、第一排気管が導く排気ガスを第一タービンインペラのみに供給し、また、第二切換え弁によって、第二排気管と第三排気管を連通する第二連通孔を閉状態にして第二排気管と第三排気管の連通を遮断し、第二排気管が、第二タービンハウジングの排気ガス導入部分と直接連通する排気ガス通路を構成するので、第二排気管が導く排気ガスを第二タービンインペラのみに供給する。
【0022】
よって、高速回転域に至っても各タービンインペラを通過する排気ガスが詰まらず流れるために、第一タービンインペラ及び第二タービンインペラ、さらに、同一の回転軸上に配置・固定されたコンプレッサインペラは回転上昇しやすい状態となって勢い良く回転上昇し、高速回転域に至っても過給効果を高めることができ、エンジンの低中速回転域から高速回転域まで、全回転域に亘って過給効果を高めることができる。
【0023】
また、請求項2記載の発明におけるエンジンの排気系は、第二タービンインペラの径を始め、第二タービンハウジングにおける排気ガスの導入量や吐出量等の各仕様に対して、第一タービンインペラの径を始め、第一タービンハウジングにおける排気ガスの導入量や吐出量等の各仕様を大型化したことによって、切換え時期を高速回転域側に設定することができ、高回転域を常用するエンジンに対応することができる。
【0024】
そして、2気筒エンジンや直列4気筒エンジン、直列6気筒エンジン、V型6気筒エンジン等に一基のツインタービン式ターボチャージャーと上述した構成の排気系を組み合わせた場合においても、同様な効果を得ることができる。
【0025】
さらに、請求項5及び6に記載の発明におけるエンジンの排気系は、直列4気筒エンジンをV型に配列したV型8気筒エンジンとツインタービン式ターボチャージャーを二基組み合わせた場合においては、V型8気筒エンジンを一方群と他方群に分け、一方群のバンクと他方群のバンクに、直列4気筒エンジンの場合と同様な排気系をそれぞれ備えることにより、直列4気筒エンジンと同様な効果を得ることが出来る。
【0026】
また、直列6気筒エンジンとツインタービン式ターボチャージャーを二基組み合わせた場合においても、上述したV型8気筒エンジンと同様に、直列6気筒エンジンを一方群と他方群に分け、一方群のバンクと他方群のバンクに、直列4気筒エンジンの場合と同様な排気系をそれぞれ備えることにより、直列4気筒エンジンと同様な効果を得ることが出来る。
【0027】
そして、請求項7及び8に記載の発明におけるエンジンの排気系は、第一排気管と第二排気管を連通する第一連通孔や、前記第一連通孔を開状態又は閉状態に切換える第一切換え弁を始め、第一タービンハウジングの排気ガス吐出部分と連通する第三排気管、第二排気管に第三排気管を連通させる第二連通孔、また、前記第二連通孔を開状態又は閉状態に切換える第二切換え弁等、各部品を省略することによってコストダウンや、排気系の簡素化による軽量化等を図ることができ、さらに、タービンハウジングの小型化・軽量化や、タービンインペラのサイズの小径化・軽量化による効果を得ることが出来る。
【0028】
請求項9に記載の発明におけるエンジンの排気系は、一気筒当り二本の排気管を有すエンジンとツインタービン式ターボチャージャー一基を組み合わせた場合、第一排気管が、各気筒におけるいずれか一方の各排気管と、そのいずれか一方の各排気管を1本に集合した排気管によって構成され、第二排気管が、各気筒におけるいずれか他方の各排気管と、そのいずれか他方の各排気管を1本に集合した排気管によって構成され、前記第一排気管が、ツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングの排気ガス吐出部分と連通し、前記第二排気管が、ツインタービン式ターボチャージャーにおける第二タービンハウジングの排気ガス吐出部分と連通して構成されているので、偶数気筒型のエンジンのみならず、直列3気筒や直列5気筒のような奇数気筒型のエンジンまで、エンジンから排出された排気ガスを二等分割することができるとともに、一基のツインタービン式ターボチャージャーで対応することができる。
【0029】
そして、エンジンが低中速回転域においては、すべての気筒から排出された排気ガス全量を第一タービンハウジングの第一タービンインペラのみに供給するために、小径・軽量化され慣性力の低減した第一タービンインペラは勢い良く回転上昇し、同時に、第一タービンハウジングの第一タービンインペラを回転させた後の、まだ、エネルギーを有す排気ガスが第二タービンインペラに供給され、前記第一タービンインペラ及び第二タービンインペラ、さらに、同軸上に配置・固定されたコンプレッサインペラは回転上昇しやすくなって勢い良く回転上昇し、エンジンスタート時から低中速回転域にかけて、過給効果を高めることができる。
【0030】
さらに、予め、設定された切換え時期になった時、各気筒から排出された排気ガスを二等分割し、二等分割された一方の排気ガスを集合させた第一排気管が、第一タービンハウジングの第一タービンインペラに供給し、また、二等分割された他方の排気ガスを集合させた第二排気管が、第二タービンハウジングの第二タービンインペラに供給する。
【0031】
よって、第一タービンインペラや第二タービンインペラへ供給される排気ガスは、排出された排気ガスを気筒単位で二等分割した場合に比べ、その間隔を半分に短縮することができ、狭い等間隔で排気ガスを連続的に供給することができるため、第一タービンインペラと第二タービンインペラ、さらに、同軸上に配置・固定したコンプレッサハウジングのコンプレッサインペラをスムーズに勢い良く回転上昇させ、過給効果を高めることができる。
【0032】
さらに、請求項10に記載の発明におけるエンジンの排気系は、直列6気筒で、一気筒当り二本の排気管を有すエンジンと二基のツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせた場合においては、エンジンを一方群と他方群に分け、例えば、縦型配置の直列6気筒エンジンでは、前方の一方群のバンクと後方の他方群の各バンクそれぞれに一基のツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせることによって、直列6気筒エンジンのような長いエンジンに対応することもでき、また、各排気管が短縮されることによって、排気ガス圧や排気温度の低下を軽減することができる。
【0033】
また、請求項11に記載の発明におけるエンジンの排気系は、エンジンから排出された全ての排気ガスを、始めに第一タービンハウジングに供給する排気管Aと、その第一タービンハウジングの排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを第二タービンハウジングに供給する排気管B、また、第二タービンハウジングの排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを大気側へ導く排気管Cによって排気系が構成され、さらに、前記排気管Bにおいては、第二タービンハウジングの排気ガス導入部分に至る手前で第二タービンハウジングの排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを直接大気側へ導く排気管Dと分割され、その分岐部に前記排気管Bと排気管Dを連通する連通孔Aを設け、その連通孔Aを開閉する切換え弁Aを設けた排気系によって、低中速回転域において、高速回転域に対応する仕様に設定した第一タービンインペラを、第一タービンハウジングの排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを第二タービンハウジングに供給することによって、排気ガスを供給された第二タービンインペラが回転上昇し、第一タービンインペラの回転上昇を補助するため、過給効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】 本発明におけるツインタービン式ターボチャージャー一基と本発明におけるエンジンの排気系を直列4気筒型エンジンに組み合わせた場合の一実施例を示す外観該略図。
【図2】 本発明におけるツインタービン式ターボチャージャー一基と本発明におけるエンジンの排気系を直列6気筒型エンジンに組み合わせた場合の一実施例を示す外観該略図。
【図3】 本発明におけるツインタービン式ターボチャージャー一基と本発明におけるエンジンの排気系を両側面排気のV型6気筒エンジンに組み合わせた場合の一実施例を示す外観該略図。
【図4】 本発明におけるツインタービン式ターボチャージャー一基と本発明におけるエンジンの排気系をVバンク側排気のV型6気筒エンジンに組み合わせた場合の一実施例を示す外観該略図。
【図5】 本発明におけるツインタービン式ターボチャージャー二基と本発明におけるエンジンの排気系をV型8気筒エンジンに組み合わせた場合の一実施例で、エンジンの一方群を示す外観該略図。
【図6】 本発明におけるツインタービン式ターボチャージャー一基と本発明におけるエンジンの排気系を直列4気筒型エンジンに組み合わせた場合の一実施例を示す外観該略図。
【図7】 本発明におけるツインタービン式ターボチャージャー一基と本発明におけるエンジンの排気系を直列6気筒型エンジンに組み合わせた場合の一実施例を示す外観該略図。
【図8】 本発明におけるツインタービン式ターボチャージャー一基と本発明におけるエンジンの排気系を直列4気筒型エンジンに組み合わせた場合の一実施例を示す外観該略図。
【図9】 本発明におけるツインタービン式ターボチャージャー一基と本発明におけるエンジンの排気系を直列4気筒型エンジンに組み合わせた場合の一実施例を示す外観該略図。
【図10】 本発明におけるツインタービン式ターボチャージャー一基と本発明におけるエンジンの排気系を直列3気筒型エンジンに組み合わせた場合の一実施例を示す外観該略図。
【図11】 本発明におけるツインタービン式ターボチャージャー一基と本発明におけるエンジンの排気系を直列4気筒型エンジンに組み合わせた場合の一実施例を示す外観該略図。
【符号の説明】
1、21、36、42、60、66、71、94 ツインタービン式ターボチャージャー
2、33、65、88 コンプレッサインペラ
3、87 コンプレッサハウジング
4 第一ベアリングハウジング
5、31、85、92 第一タービンインペラ
6、23、39、45、52、68、70、76、82,93 第一タービンハウジング
7 第二ベアリングハウジング
8、32、86、90 第二タービンインペラ
9、25、40、46、54、62、64、77、84、91 第二タービンハウジング
10 回転軸
11 コンプレッサハウジングに設けた空気室
12、22、37、43、51、61、67、74 第一排気管
13、24、38、44、53、63、69、75 第二排気管
14、26、55 第一連通孔
15、27、56 第一切換え弁
16、28 第三排気管
17、29、58 第二連通孔
18、30、59 第二切換え弁
19 第四排気管
50 一方群用のツインタービン式ターボチャージャー
57 第五排気管
72、79 排気マニホールド
73、78 共通マニホールド部
80a〜80f 排気管
81 一方排気管
83 他方排気管
【発明を実施するための形態】
【0035】
図面1は、本発明におけるツインタービン式ターボチャージャー1をエンジンの排気系に組み合わせた一実施例を示す該略図であり、直列4気筒エンジンと組み合わせた場合で説明する。
ツインタービン式ターボチャージャー1は、コンプレッサインペラ2を包み、空気の吸込み部分及び吐出部分より構成される一基のコンプレッサハウジング3と、該コンプレッサハウジング3の一方側部に、第一ベアリングハウジング4を介して第一タービンインペラ5を包み排気ガスの導入部分及び吐出部分より構成される第一タービンハウジング6が配置されて結合し、また、該コンプレッサハウジング3の他方側部に、第二ベアリングハウジング7を介して第二タービンインペラ8を包み排気ガスの導入部分及び吐出部分より構成される第二タービンハウジング9が配置されて結合し、前記各部が一体化してツインタービン式ターボチャージャー1を構成している。
【0036】
よって、前記第一タービンハウジング6及び第二タービンハウジング9は、従来型のシングルタービン式ターボチャージャーにおけるタービンハウジングと比べ、小型・軽量化され、また、前記第一タービンインペラ5及び第二タービンインペラ8も同様にサイズの小径化・軽量化されている。
ターボチャージャーの加速しにくさをはかる慣性能率は、タービンインペラ直径の5乗に比例するため、タービンインペラを小径化・軽量化することは、タービンインペラの慣性力の低減を図れ、ターボチャージャーのレスポンスを向上させる。
【0037】
図面1における実施例では、第一タービンインペラ5及び該第一タービンインペラ5を包んだ第一タービンハウジング6と、第二タービンインペラ8及び該第二タービンインペラ8を包んだ第二タービンハウジング9は、両タービンインペラの径を始め、両タービンハウジングにおける排気ガスの吸込み量や吐出量等、各仕様の同一化を図り、両者の性能を統一した。
【0038】
また、第一タービンインペラ5と第二タービンインペラ8は、エンジンが低中速回転域のときには、第一タービンインペラ5のみにエンジンから排出された全ての排気ガスが供給され、そして、予め、設定した切換え時期に至った時には、エンジンから排出された排気ガスが二分割され、第一タービンインペラ5と第二タービンインペラ8それぞれに供給される。
よって、排気ガス供給が切換るとき、エンジン出力がスムーズに移行するように、第一タービンハウジング6の排気ガスの導入部分及び吐出部分や第一タービンインペラ5の径、また、第二タービンハウジング9の排気ガスの導入部分及び吐出部分や第二タービンインペラ8の径等、各仕様を設定する。
【0039】
そして、前記コンプレッサインペラ2と、該コンプレッサインペラ2を挟んで両側部に位置する前記第一タービンインペラ5及び第二タービンインペラ8は、回転軸10上のそれぞれ定位置に配置・固定され、前記第一タービンインペラ5及び第二タービンインペラ8は、エンジンから排出された排気ガスが流れ込んだ時、同方向に回転して前記コンプレッサインペラ2を同方向に回転させ、前記コンプレッサインペラ2は、外気を吸入してエンジンの吸気側へ過給する。
また、前記回転軸10が、前記第一ベアリングハウジング4と前記第二ベアリングハウジング7における軸受・シール機構よって支持され、前記軸受・シール機構は、外部より油を循環させ各部の潤滑や冷却を図っている。
【0040】
前記コンプレッサハウジング3は、前記コンプレッサインペラ2が、コンプレッサインペラ2における空気吸込み口の全方向から空気を充分に吸込めるように、コンプレッサハウジング3外部から吸引した空気がコンプレッサインペラ2の回転方向に従って流れ込み、さらに、コンプレッサハウジング3の空気の吸込み口を取り囲むように設けた空気室11へ供給されるように構成されている。
【0041】
なお、前記第一タービンハウジング6、第一ベアリングハウジング4、コンプレッサハウジング3、第二ベアリングハウジング7、第二タービンハウジング9の各部を一体化する固定方法は、両者間をボルトナットで締結する方法や、嵌合させる方法、さらに、G・カップリングで締結する方法等、各種固定方法が考えられ、固定方法は、適宜・選択する。
【0042】
上述したベアリングハウジング4及びベアリングハウジング7は、従来型のベアリングハウジング同様、スラストベアリング・スラストカラー・スラストブッシュ・フローティングメタル等で構成されたフローティングメタル式や、ボールベアリング・オイルフィルムダンパー等で構成されたボールベアリング式等によって回転軸10を支持する方法が考えられる。
例えば、双方のベアリングハウジング4及びベアリングハウジング7を、フローティングメタル式又はボールベアリング式等で支持する方法や、双方のベアリングハウジング4及びベアリングハウジング7において、一方をフローティングメタル式で、また、他方をボールベアリング式で支持する方法も考えられる。
よって、回転軸10を支持する方法は、ターボチャージャーを取り付けるエンジンの用途やコスト等を鑑みて各種支持方法から適宜・選択する。
【0043】
そして、ベアリングハウジング4とベアリングハウジング7の位置は、コンプレッサハウジング3を挟んだ両側にそれぞれ配置されているため、両ベアリングハウジング4及びベアリングハウジング7における各軸受・シール機構の間隔は、従来型のシングル式ターボチャージャーのベアリングハウジングにおける軸受・シール機構と比べ、回転軸10方向に幅広いため、高速回転する回転軸10をバランスよく支持することができ、さらに、各タービンハウジングのタービンインペラは、回転軸に背中合わせ状態で配置・固定されているため、回転軸に加わる空気圧力、ガス圧力や振動による軸方向の力の発生を制限し、各軸受・シール機構への負荷を軽減し、耐久力を高められる。
よって、第一タービンハウジング6と第一タービンインペラ5間の隙間や、第二タービンハウジング9と第二タービンインペラ8間の隙間を狭められ、隙間から漏れる空気量を減じターボの効率を向上させることができる。
【0044】
12は、直列4気筒エンジンにおける2番目気筒と3番目気筒の各排気管を1本に集合した第一排気管であり、13は、1番目気筒と4番目気筒の各排気管を1本に集合した第二排気管で、排気系統を別々にすることで排気干渉を防いでいる。
前記第一排気管12が、第一タービンハウジング6の排気ガス導入部分に連通して固定され、また、前記第二排気管13が、第二タービンハウジング9の排気ガス導入部分に連通して固定されている。
【0045】
なお、本実施例における直列4気筒エンジンは、点火順序を1−3−4−2に設定した場合で、よって、排気干渉を防ぐために、2番目気筒と3番目気筒の各排気管を1本に集合して第一排気管12とし、1番目気筒と4番目気筒の各排気管を1本に集合して第二排気管13とした。
また、多気筒エンジンにおける点火順序は、色々な点火順序が考えられ、本発明におけるツインタービン式ターボチャージャーと組み合わせる場合には、各タービンハウジングに対して、排気干渉を防いで排気ガスを効率よく分割して供給するように、各排気管を集合させることは勿論である。
【0046】
本実施例では、予め、設定した切換え時期に至った時、各排気弁が開くと同時に一気に排出する排気ガスを、第一タービンインペラ5と第二タービンインペラ8へ等しく導くために、第一排気管12と第二排気管13の長さや太さを始め、1番目気筒から4番目気筒まで、各排気管の長さや太さ、さらに、2番目気筒と3番目気筒の各排気管が1本に集合する位置と1番目気筒と4番目気筒の各排気管が1本に集合する位置等を等しく設定した。
【0047】
そして、前記第一排気管12及び第二排気管13がそれぞれ1本に集合し、各排気管内を流れる排気ガス流が同方向となる並列状に配管されたA−A´部分に、第一排気管12と第二排気管13を連通する第一連通孔14を設け、さらに、前記第一連通孔14を開状態又は閉状態に切り換える第一切換え弁15を設けた。
【0048】
また、本実施例における前記第一切換え弁15は、前記第一連通孔14を開状態に切換えて全開状態になったとき、図1のように、第二排気管13側の排気ガス流に対してあるθ角度傾斜した位置で停止続けることによって、第二排気管13内を流れる排気ガスが、第一排気管12内を流れる排気ガスにスムーズに流れ込むようにした。
【0049】
前記第一切換え弁15は、エンジンの回転域に対応して吸気管内の負圧力やソレノイド、モーター等の駆動力によって駆動され、第一連通孔14を開状態又は閉状態のいずれかに切換える。
さらに、前記第一切換え弁15と、後述する第二連通孔17を開状態又は閉状態に切換える第二切換え弁18とは、機械的や電気的に連動されている。
【0050】
16は、第一タービンハウジング6の排気ガス吐出部分と連通する第三排気管で、予め、設定した切換え時期に至った時、第一タービンハウジング6から排出された排気ガスを大気側へ導くが、さらに第三排気管16は、途中の位置で、1番シリンダーと4番シリンダーの各排気管が1本に集合した第二排気管13と並列状に配管され、その位置に、エンジンが低中速回転域のときに、第二排気管13と第三排気管16が連通する第二連通孔17が設けられ、さらに、前記第二連通孔17を開状態又は閉状態に切換える第二切換え弁18を設けた。
【0051】
前記第二連通孔17と第二切換え弁18は、エンジンが低中速回転域のとき、図1のように、第二切換え弁18が第ニ連通孔17を開状態となる位置で停止続け、第二排気管13と第三排気管16を連通することによって、第一タービンハウジング6から排出された排気ガスが、第三排気管16を経由して第二排気管13側に流れ込み、第二タービンハウジング9に供給されて第二タービンインペラ8を回転させる。
さらに、予め、設定した切換え時期に至った時、第二切換え弁18が第二連通孔17を閉じる位置で停止続け、第一タービンハウジング5から排出した排気ガスを大気側へ導く。
【0052】
前記第二連通孔17の配置位置も上述した前記第一連通孔14の配置位置と同様に、第三排気管16内を流れる排気ガスがスムーズに第二排気管13内に流れ込むように、第二排気管13及び第三排気管16がそれぞれ1本に集合し、各排気管内を流れる排気ガス流が同方向となる位置で並列状に配管された位置に設定した。
【0053】
19は、第二タービンハウジング9の排気ガス吐出部分と連通する第四排気管で、第二タービンハウジング9から排出した排気ガスを大気側へ導く。
【0054】
また、図1における第一排気管12や第二排気管13、さらに第三排気管16等の各排気管は、あくまでも構成を説明する上での概略的な形状を示すものであり、エンジンから第一タービンハウジング6や第二タービンハウジング9における各排気ガス導入部分間は、できる限り短く、また、排気ガスがスムーズに流れるように設計することが望ましい。
【0055】
さらに、第一排気管12や第二排気管13がそれぞれ1本に集合し並列状に配管されたA−A´部分は、図1の図面上では左右に並列状に配管されているが、図1の配管構成に限らず、要は、第一排気管12と第二排気管13の両管内を流れる排気ガスをスムーズに合流させることが目的であり、よって、上記目的を達成することができれば、他の配管構成を採用することも充分に考えられる。
そして、ツインタービン式ターボチャージャーにおける他の主要な構成部品としては、排気ガスの一部をタービン手前からバイパスさせるための弁を作動させるアクチュエータ等によって構成されている。
【0056】
つぎに、本実施例における作動について説明する。
まず、エンジンスタート時から低中速回転域にかけては、図1のように、第一切換え弁15が第一連通孔14を開状態に保つとともに、1番目気筒と4番目気筒の各排気管を1本に集合した第二排気管13と第二タービンハウジング9間の連通を遮断する位置で停止続ける。
さらに、第二切換え弁18も、第二連通孔17を開状態に保つとともに、第一タービンハウジング6の排気ガス吐出部分と連通する第三排気管16の大気側への排気通路を遮断する位置で停止続ける。
【0057】
よって、1番目気筒と4番目気筒の各排気管を1本に集合した第二排気管13と、2番目気筒と3番目気筒の各排気管を1本に集合した第一排気管12が集合することになり、1番目気筒と4番目気筒を集合した第二排気管13内を流れる排気ガスが、第一連通孔14を通過して2番目気筒と3番目気筒を集合した第一排気管12内を流れる排気ガスに流れ込み、1番目気筒から4番目気筒まで、すべての気筒から排出された排気ガスが、第一タービンハウジング6のみに供給され第一タービンインペラ5を回転させる。
【0058】
さらに、開状態となった第二連通孔17から、第一タービンハウジング6の第一タービンインペラ5を回転させた後の、まだ、エネルギーを有す排気ガスが、回転軸10上に配置・固定された第二タービンハウジング9に供給されるため、第一タービンインペラ5によって回転する第二タービンインペラ8はさらに回転しやすい状態になる。
第二タービンインペラ8を通過した排気ガスは第四排気管19から大気側へ排出される。
【0059】
結果的に、従来のタービンハウジングやタービンインペラと比べて、小径・軽量化され慣性力が低減した第一タービンハウジング6の第一タービンインペラ5は、すべての気筒から排出された排気ガス全量が供給されるため、勢い良く回転上昇し、同時に、第一タービンハウジング6の第一タービンインペラ5を回転させた後の、まだエネルギーを有す排気ガスが第二タービンインペラ8に流れ込み、第二タービンインペラ8をさらに回転しやすい状態にするため、第一タービンインペラ5及び第二タービンインペラ8、さらに、回転軸10上に配置・固定されたコンプレッサインペラ2は回転上昇しやすくなって勢い良く回転上昇し、エンジンスタート時から低中速回転域にかけて、過給効果を高めることができる。
【0060】
そして、予め、設定した切換え時期に至った時に、今度は、第一切換え弁15が、第一連通孔14を閉状態に保つとともに、1番目気筒と4番目気筒の各排気管を1本に集合した第二排気管13と第二タービンハウジング7間を開放する位置で停止続ける。
同時に、第二切換え弁18も、第二連通孔17を閉状態に保つとともに、第一タービンハウジング6の排気ガス吐出部分と連通する第三排気管16が大気側へ開放される位置で停止続ける。
【0061】
よって、1番目気筒と4番目気筒の各排気管を1本に集合した第二排気管13は、第二タービンハウジング9の排気ガス導入部分と連通し、1番目気筒と4番目気筒から排出された排気ガスを、第二タービンハウジング9内の第二タービンインペラ8へ供給し、第二タービンインペラ8を回転させた後、第四排気管19から大気側へ排出される。
さらに、2番目気筒と3番目気筒の各排気管を1本に集合した第一排気管12は、エンジンスタート時から低中速回転域と同様に、引き続き2番目気筒と3番目気筒から排出された排気ガスを、第一タービンハウジング6のタービンインペラ5に供給し続け、第一タービンインペラ5を回転させた後、第三排気管16から大気側へ排出される。
【0062】
結果的に、従来のタービンハウジングやタービンインペラと比べて、小径・軽量化され、慣性力の低減を図った第一タービンハウジング6の第一タービンインペラ5と第二タービンハウジング9の第二タービンインペラ8は、それぞれ2気筒分の排気ガスが供給され続け、排気ガスが詰まりにくい状態で勢い良く回転上昇し、第一タービンインペラ5及び第二タービンインペラ8、さらに、同一の回転軸10上に配置・固定されたコンプレッサインペラ2は回転上昇しやすくなって勢い良く回転上昇し、高速回転域においても、引き続き過給効果を高めることができ、エンジンの低中速回転域から高速回転域まで、全回転域にわたって過給効果を高めることができる。
【0063】
以上、直列4気筒エンジンとツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせた場合の構成と作動について説明した。
【0064】
上述した実施例では、直列4気筒エンジンの排気系に一基のツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせたが、他の型式のエンジンの排気系にツインタービン式ターボチャージャーを一基又は複数基組み合わせることも可能であり、以下に説明する。
説明上、何例かは、図1を参照して説明する。
【0065】
2気筒エンジンの排気系に一基のツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせた場合では、図1を参照して説明すると、図1における2番目気筒と3番目気筒から排出された排気ガスを第一タービンハウジング6へ導く第一排気管12を2気筒エンジンにおける一方の気筒の排気管とし、1番目気筒と4番目気筒から排出された排気ガスを第二タービンハウジング9へ導く第二排気管13を2気筒エンジンにおける他方の気筒の排気管とした。
【0066】
そして、前記一方の気筒の排気管を、ツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングの排気ガス導入部分に連通させて固定し、前記他方の気筒の排気管を、ツインタービン式ターボチャージャーにおける第二タービンハウジングの排気ガス導入部分に連通させて固定した。
【0067】
さらに、図1における第一排気管12と第二排気管13を連通する連通孔14や、前記連通孔14を開状態又は閉状態に切換える第一切換え弁15を始め、第一タービンハウジング6の排気ガス吐出部分と連通する第三排気管16、第二排気管13に第三排気管16を連通させる連通孔17、前記連通孔17を開状態又は閉状態に切換える第二切換え弁18等を備えることによって、上述した直列4気筒エンジンと同様な効果を得ることが出来る。
【0068】
そして、図2の実施例のように、直列6気筒エンジンの排気系に一基のツインタービン式ターボチャージャー21を組み合わせた場合では、1気筒目から3気筒目まで各気筒から排出された排気ガスを集合した第一排気管22と第一タービンハウジング23間を連通させて固定し、4気筒目から6気筒目まで各気筒から排出された排気ガスを集合した第二排気管24と第二タービンハウジング25間を連通させて固定する。
【0069】
以下、前記第一排気管22と第二排気管24を連通する第一連通孔26や、前記第一連通孔26を開状態又は閉状態に切換える第一切換え弁27を始め、第一タービンハウジング23の排気ガス吐出部分と連通する第三排気管28、第二排気管24に第三排気管28を連通させる第二連通孔29や、前記第二連通孔29を開状態又は閉状態に切換える第二切換え弁30等を備えて構成されている。
以上の構成により、上述した直列4気筒エンジンと同様な効果を得ることが出来る。
【0070】
ただし、エンジンが低中速回転域においては、1気筒目から6気筒目まですべての気筒から排出された排気ガス全量が、第一タービンハウジング23の第一タービンインペラ31に供給されるため、排気干渉が生じる。
よって、エンジンが低中速回転域に、排気干渉における過給効果の低下を許容でき、エンジンが高速回転域に至ったとき、排気干渉が生ぜず、タービンインペラのサイズの小型・軽量化による慣性力の低減による過給効果の高まりを目的とするエンジンであれば採用するとよい。
【0071】
また、1気筒目から3気筒目の排気系を集合した第一排気管22や、4気筒目から6気筒目の排気系を集合した第二排気管24の全長は、従来型のシングル式ターボチャージャー一基を組み合わせた場合と比べ、短縮させることができ、排気ガスの圧力低下や温度低下を低減させることができる。
【0072】
これは、直列6気筒エンジンをV型に配列したV型12気筒のエンジンの場合も同様で、上述した直列6気筒エンジンと同様な構成を各バンクにそれぞれ採用することによって、エンジンが低中速回転域においては、排気干渉による過給効果の低下が生じ、排気干渉による過給効果の低下が見られるが、予め、設定した切換え時期に至った時には、排気干渉が生ぜず、タービンインペラのサイズの小型・軽量化による慣性力の低減による過給効果の高まりを目的とするエンジンであれば採用するとよい。
【0073】
さらに、V型6気筒エンジンの排気系に一基のツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせた実施例も考えられ、図3の実施例では、V型6気筒エンジン35の両側面から排出された排気ガスを、エンジン後方又は前方に配置したツインタービン式ターボチャージャー36に供給する。
【0074】
そして、ツインタービン式ターボチャージャー36の配置は、ツインタービン式ターボチャージャー36の回転軸中心B−B´が、V型6気筒エンジン35のクランクシャフト中心C−C´と直交するとともに、第一タービンハウジング39と第ニタービンハウジング40の配置・位置を、クランクシャフト中心C−C´を挟んで対称する位置に設定すると、V型6気筒エンジン両側から排出された排気ガスを導く第一排気管37と第二排気管38が、クランクシャフト中心C−C´を挟んで対称形状に形成される。
よって、両バンクから排出された排気ガスを同様な流れ方で第一タービンハウジング39と第ニタービンハウジング40それぞれに供給することができる。
【0075】
さらに、図4では、V型6気筒エンジンにおけるVバンク側を排気系に、Vバンク両側を吸気系に設定したエンジン41に一基のツインタービン式ターボチャージャー42を組み合わせた場合の実施例で、Vバンク側から排出された排気ガスを、エンジン後方又は前方に配置したツインタービン式ターボチャージャー42に供給する。
【0076】
また、ツインタービン式ターボチャージャー42の配置位置は、上述した図3のV型6気筒エンジン35の場合と同様に、第一排気管43と第二排気管44が、クランクシャフト中心線C−C´を挟んで対称形状に形成されると、両バンクから排出された排気ガスを同様な流れ方で第一タービンハウジング45と第ニタービンハウジング46それぞれに供給することができる。
【0077】
上述した図3の実施例や図4の実施例では、V型6気筒エンジンをV型8気筒エンジンや、さらなる多気筒型のエンジンに置き換えた実施例や水平対抗型エンジンに置き換えた実施例も考えられる。
【0078】
上述した各実施例では、直列4気筒エンジンを始め、2気筒エンジンや直列6気筒エンジン、V型6気筒エンジン等と一基のツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせたが、V型エンジンのように、エンジンの各バンクに一基ずつツインタービン式ターボチャージャーを採用すると各排気管を効率良く取り回すことができ、効果的に過給効率を高めることができる。
【0079】
例えば、直列4気筒エンジンをV型に配列したV型8気筒エンジンと二基のツインタービン式ターボチャージャーとの組み合わせでは、直列4気筒エンジンの場合と同様な排気系と一基のツインタービン式ターボチャージャーを各バンクの排気系にそれぞれ備えることにより、直列4気筒エンジンと同様な効果を得ることが出来る。
【0080】
図5では、V型8気筒エンジンを一方群と他方群に分け、エンジン一方群のバンクに一方群用のツインタービン式ターボチャージャー50を組み合わせ、各バンク四気筒のうち、二気筒分を集合させた第一排気管51と一方群用のツインタービン式ターボチャージャー50における第一タービンハウジング52の排気ガス導入部分に連通して固定し、他の二気筒分を集合させた第二排気管53と一方群用のツインタービン式ターボチャージャー50における第二タービンハウジング54の排気ガス導入部分に連通して固定した。
【0081】
また、前記第一排気管51と第二排気管53を連通する連通孔55や、前記連通孔55を開状態又は閉状態に切換える第一切換え弁56を始め、第一タービンハウジング52の排気ガス吐出部分と連通する第五排気管57、さらに、第二排気管53に第五排気管57を連通させる連通孔58、前記連通孔58を開状態又は閉状態に切換える第二切換え弁59等を一方のバンクの排気系に備えた。
【0082】
そして、他方群のバンクも上述した一方群のバンクと同様に、他方群のバンクに他方群用のツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせ、各バンク四気筒のうち、二気筒分を集合させた第三排気管と他方群用のツインタービン式ターボチャージャーにおける第三タービンハウジングの排気ガス導入部分に連通して固定し、他の二気筒分を集合させた第四排気管と他方群用のツインタービン式ターボチャージャーにおける第四タービンハウジングの排気ガス導入部分に連通して固定した。
【0083】
さらに、V型8気筒エンジンの他方群のバンクも上述した一方群のバンクと同様に、前記第三排気管と第四排気管を連通する第三連通孔や、前記第三連通孔を開状態又は閉状態に切換える第三切換え弁を始め、第三タービンハウジングの排気ガス吐出部分と連通する第六排気管、さらに、第四排気管に第六排気管を連通させる第四連通孔、前記第四連通孔を開状態又は閉状態に切換える第四切換え弁等を他方のバンクの排気系に備えることによって、上述した直列4気筒エンジンと同様な効果を得ることが出来る。
【0084】
なお、他方群のバンクにおける排気構成においては、エンジンのクランク軸を挟んで、上述した一方群のバンクと対称した排気構成となっており、よって、図面は省略した。
また、V型8気筒エンジンにおける点火順序に関しても、幾つかが考えられ、図5における第一排気管51と第二排気管53においても各気筒の中から適宜・選択して決定する。
【0085】
そして、上述した各実施例では、図1における、第一排気管12と第二排気管13を連通する第一連通孔14や、前記第一連通孔14を開状態又は閉状態に切換える第一切換え弁15を始め、第一タービンハウジング6の排気ガス吐出部分と連通する第三排気管16、第二排気管13に第三排気管16を連通させる第二連通孔17、また、前記第二連通孔17を開状態又は閉状態に切換える第二切換え弁18等を備えて構成されているが、これらを省略した実施例も考えられ、前記各部品を省略することによってコストダウンや、排気系の簡素化による軽量化等を図ることができる。
【0086】
例えば、図6では、直列4気筒エンジンの排気系に一基のツインタービン式ターボチャージャー60を組み合わせた実施例で、2気筒目と3気筒目の各排気系を集合させた第一排気管61を第一タービンハウジング62と常時連通させ、1気筒目と4気筒目の各排気系を集合させた第二排気管63を第二タービンハウジング64と常時連通させ、ツインタービン式ターボチャージャー50のコンプレッサインペラ65を回転させる。
【0087】
さらに、図7では、直列6気筒エンジンの排気系に一基のツインタービン式ターボチャージャー66を組み合わせた実施例で、1気筒目から3気筒目の各排気系を集合した第一排気管67が第一タービンハウジング68と常時連通させ、4気筒目から6気筒目の各排気系を集合した第二排気管69が第二タービンハウジング70と常時連通するように構成されている。
【0088】
図6の実施例や、図7の実施例では、各タービンハウジングの小型化や、各タービンインペラのサイズの小型・軽量化を図ったツインタービン式ターボチャージャーと組み合わせることによって、慣性力が低減し、ターボチャージャーのレスポンスの向上と過給効果を高めることができ、図7の直列6気筒エンジンとの組み合わせの場合では、排気ガス干渉を防ぐこともでき、各部品を省略することによるコストダウンや、排気系の簡素化による軽量化等を図ることもできる。
【0089】
そして、図面8のように、排気ガス干渉を特別に考慮しない排気マニホールドも考えられ、図面8の実施例では、直列4気筒エンジンにツインタービン式ターボチャージャー71を組み合わせた場合の排気マニホールド72で、各気筒の排気弁から排出された全ての排気ガスを受け入れる共通マニホールド部73と、その共通マニホールド部73で受け入れた排気ガスを、第一排気管74と第二排気管75に二分割し、さらに、前記第一排気管74が第一タービンハウジング76の排気ガス導入部分に連通して固定し、前記第ニ排気管75が第二タービンハウジング77の排気ガス導入部分に連通して固定されている。
【0090】
図8の実施例では、図6の実施例や図7の実施例のように、各タービンハウジングの小型化や、各タービンインペラのサイズの小型・軽量化を図ったツインタービン式ターボチャージャーと組み合わせることによって、慣性力が低減し、ターボチャージャーのレスポンスの向上と過給効果を高めることができ、また、エンジンとツインタービン式ターボチャージャー間の長さを短縮することによって、排気マニホールド全体をコンパクトに設計することもできる。
【0091】
また、図8の排気マニホールド72は、直列4気筒エンジンに組み合わせているが、直列6気筒エンジンや直列8気筒エンジン等、直列の多気筒型エンジンにも採用することができ、直列8気筒エンジンでは、1気筒目から4気筒目を一方群として一基のツインタービン式ターボチャージャーと組み合わせ、5気筒目から8気筒目を他方群として一基のツインタービン式ターボチャージャーと組み合わせてもよい。
【0092】
そして、図面8のような排気マニホールド72や、後述する図9における排気マニホールド部79は、例えば、3気筒型や5気筒型のエンジンのように、奇数気筒型のエンジンに組み合わせるとよい。
【0093】
さらに、図8の実施例においても、図1における、第一排気管12と第二排気管13を連通する連通孔14や、前記連通孔14を開状態又は閉状態に切換える第一切換え弁15を始め、第一タービンハウジング6の排気ガス吐出部分と連通する第三排気管16や、第二排気管13に第三排気管16を連通させる連通孔17、前記連通孔17を開状態又は閉状態に切換える第二切換え弁18等を省略した構成としたが、図9のように、図8の実施例に対して、図1における第一排気管12と第二排気管13を連通する連通孔14や、前記連通孔14を開状態又は閉状態に切換える第一切換え弁15を始め、第一タービンハウジング6の排気ガス吐出部分と連通する第三排気管16や、第二排気管13に第三排気管16を連通させる連通孔17、前記連通孔17を開状態又は閉状態に切換える第二切換え弁18等をそれぞれ備えて構成の実施例も考えられ、組み合わされるエンジンの用途やコスト等を考慮し、適宜・選択する。
【0094】
また、3気筒や5気筒エンジンのような奇数気筒型のエンジンとツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせる場合には、上述した図面8の排気マニホールド72や、図9の排気マニホールド部79を採用する方法が考えられるが、図10の3気筒エンジンの排気系に一基のツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせた実施例では、一気筒当り二本の排気弁を有し、その各排気弁に独立した専用の排気管80a〜80fを備えたエンジンの場合、各気筒におけるいずれか一方の排気管80a、80c、80eを集合させた一方排気管81と第一タービンハウジング82の排気ガス導入部分を連通させて固定し、さらに、各気筒におけるいずれか他方の排気管81b、81d、81fを集合させた他方排気管83と第二タービンハウジング84の排気ガス導入部分を連通させて固定した。
【0095】
この実施例では、奇数気筒型エンジンのみならず、直列2気筒や直列4気筒エンジンのような偶数気筒型エンジンから排出される排気ガスも二等分割することができ、エンジンが低中速回転域においては、すべての気筒から排出された排気ガス全量が第一タービンハウジング82の第一タービンインペラ85に供給され、そして、予め、設定した切換え時期に至った時には、すべての各気筒から排出された排気ガスが二等分割され、第一タービンハウジング82の第一タービンインペラ85と第二タービンハウジング84の第二タービンインペラ86にそれぞれ供給される。
【0096】
よって、第一タービンインペラ85と第二タービンインペラ86に供給される排気ガス間隔は、図1における実施例の場合と比べ、半分に短縮され、第一タービンインペラ85と第二タービンインペラ86に対して、常に狭い等間隔で排気ガスを連続的に供給することができ、第一タービンインペラ85と第二タービンインペラ86、さらに、同軸上に配置・固定したコンプレッサハウジング87のコンプレッサインペラ88をスムーズに回転上昇させることができる。
【0097】
また、直列6気筒エンジンやV型12気筒エンジンで、一気筒当り二つの排気ポートが備わった場合では、排気干渉を防ぐため、直列6気筒エンジンでは二基のツインタービン式ターボチャージャーと組み合わせ、V型12気筒エンジンでは、各バンクに二基づつ合計四基のツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせることによって、排気干渉を防ぐとともに、各タービンインペラに対して、常に狭い等間隔で排気ガスを連続的に供給することにより、各タービンインペラと、さらに、同軸上に配置・固定した各コンプレッサハウジングのコンプレッサインペラを勢い良く回転上昇させ、広い回転域で高トルク・高出力を得ることができる。
【0098】
上述した図10の実施例においても、図1における、第一排気管12と第二排気管13を連通する連通孔14、前記連通孔14を開状態又は閉状態に切替える第一切替え弁15を始め、第一タービンハウジング5の排気ガス吐出部分と連通する第三排気管16、第二排気管13に第三排気管16を連通させる連通孔17や、前記連通孔17を開状態又は閉状態に切替える第二切替え弁18等を備えた構成と、それらを省略した構成の実施例も考えられ、組み合わされるエンジンの用途やコスト等を考慮し、適宜・選択する。
【0099】
図10の実施例では、一方排気管81が、図面上の各気筒左側の一方の排気管80a、80c、80eを集合させ、また、他方排気管83が、図面上の各気筒右側の他方の排気管80b、80d、80fを集合させたが、各気筒におけるいずれか一方の排気管を集合させることが目的であり、よって、各気筒の左側と右側を組み合わせた、80b、80c、80eを集合させて一方排気管とし、80a、80d、80fを集合させて他方排気管とすることも可能である。
【0100】
また、上記実施例では、一気筒当り二本の排気弁イ及びロを有し、その各排気弁に独立した排気管0a〜80fが備わったエンジンで説明したが、この限りではなく、一気筒当り二本の排気弁イ及びロを有すが、排気ポートが共通の場合は、その排気ポートから排出される排気ガスをニ分割するように、一気筒当り二本の排気管を設け、両排気管のいずれか一方を集合させた一方排気管といずれか他方を集合させた他方排気管をツインタービン式ターボチャージャーの各タービンハウジングにそれぞれ連通させ固定する実施例も考えられる。
この実施例では、一気筒当り一本の排気弁で1本の排気ポートを有すエンジンに対しても適用することができる。
【0101】
さらに、一気筒当り一本の排気弁を有し、排気ポートを二つ設けたエンジンにツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせた場合にも、一気筒当り二本の排気管を設け、その排気管のいずれか一方を集合させた一方排気管といずれか他方を集合させた他方排気管をツインタービン式ターボチャージャーの各タービンハウジングにそれぞれ連通させ固定する実施例も考えられる。
【0102】
図10の実施例では、3気筒エンジンの排気系に一基のツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせたが、この組み合わせに限らず、3気筒や5気筒の奇数列エンジンに対して、一基のコンプレッサハウジングと一基のタービンハウジングからなる従来型のシングル式ターボチャージャーを二基組み合わせた構成も考えられる。
【0103】
そして、図1における実施例では、第一タービンインペラ5を包んだ第一タービンハウジング6と、第二タービンインペラ8を包んだ第二タービンハウジング9は、両タービンインペラの径を始め、両タービンハウジングにおける寸法や排気ガスの導入部分及び吐出部分等、各仕様を同一化し、両者の性能を統一した場合において説明した。
しかし、これに限らず、切換え時期を、さらに高速回転域側に求めるエンジンも考えられる。
【0104】
そこで、第二タービンインペラ8の径を始め、第二タービンハウジング9における排気ガスの導入量や吐出量等の各仕様に対して、第一タービンインペラ5の径を始め、第一タービンハウジング6における排気ガスの導入量や吐出量等、各仕様の大型化を図り、切換え時期を高速回転域側に設定可能としたツインタービン式ターボチャージャーが考えられる。
【0105】
ただし、タービンハウジングの大型化やタービンインペラの大径化を図った一方の第一タービンハウジング6や第一タービンインペラ5に対して、他方の第二タービンハウジング9や第二タービンインペラ8は、切換え時期を過ぎ、さらにエンジンが高速回転域側に至ったとき、排気ガスの抜けが悪化して詰まり始め、第二タービンインペラ8が損傷することも考えられる。
【0106】
そこで、他方の第二タービンハウジング9や第二タービンインペラ8の限界に合わせ、排気ガスの一部を第二タービンハウジング9手前側でバイパスさせるバイパス回路を設けておき、他方の第二タービンハウジング9や第二タービンインペラ8側が限界に達した時点で、アクチュエータ等でバイパス回路中に設けたバルブを作動させてバイパス回路を開き、排気ガス圧を調整する機能を備えておくとよい。
【0107】
また、上述した、第二タービンインペラ8の径を始め、第二タービンハウジング9における排気ガスの導入量や吐出量等の各仕様に対して、第一タービンインペラ5の径を始め、第一タービンハウジング6における排気ガスの導入量や吐出量等、各仕様の大型化を図り、切換え時期を高速回転域側に設定可能としたツインタービン式ターボチャージャーにおいても、図1における、第一排気管12と第二排気管13を連通する連通孔14、前記連通孔14を開状態又は閉状態に切替える第一切替え弁15を始め、第一タービンハウジング5の排気ガス吐出部分と連通する第三排気管16、第二排気管13に第三排気管16を連通させる連通孔17や、前記連通孔17を開状態又は閉状態に切替える第二切替え弁18等を備えた構成と、それらを省略した構成の実施例も考えられ、組み合わされるエンジンの用途やコスト等を考慮し、適宜・選択する。
【0108】
さらに、図11は、第二タービンインペラ90の径を始め、第二タービンハウジング91における排気ガスの導入量や吐出量等の各仕様に対して、第一タービンインペラ92の径を始め、第一タービンハウジング93における排気ガスの導入量や吐出量等、各仕様の大型化を図ったツインタービン式ターボチャージャー94において、第一タービンハウジング93と第一タービンインペラ92を高速回転域に対応した仕様に設定し、また、第二タービンハウジング91と第二タービンインペラ90を、特に低中速回転域において、第一タービンインペラ92の回転上昇を補助する仕様に設定した。
【0109】
そして、エンジン回転中に、エンジンから排出された全ての排気ガスを、始めに第一タービンハウジング93に供給する排気管Aと、その第一タービンハウジング93の排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを第二タービンハウジング91に供給する排気管B、また、第二タービンハウジング91の排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを大気側へ導く排気管Cによって排気系が構成され、さらに、前記排気管Bにおいては、第二タービンハウジング91の排気ガス導入部分に至る手前で第二タービンハウジング91の排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを直接大気側へ導く排気管Dと分割され、その分岐部に前記排気管Bと排気管Dを連通する連通孔Aを設け、その連通孔Aを開閉する切換え弁Aを設けた。
【0110】
上記構成による排気系によって、エンジンから排出された全ての排気ガスは第一タービンハウジング93に供給され、第一タービンハウジング93の第一タービンインペラ92を回転させる。
しかし、低中速回転域においては、高速回転域に対応する仕様に設定した第一タービンインペラ92の回転上昇力は弱い。そこで、切換え弁Aによって分岐部に設けた連通孔Aを閉状態にして排気管Bと排気管Dの連通を遮断し、第一タービンハウジング93の排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを第二タービンハウジング91に供給した。
【0111】
結果的に、低中速回転域においては、排気ガスを供給された第二タービンインペラ90が第一タービンインペラ92の回転上昇を補助するため、過給効果を高めることができる。
そして、高速回転域に至ったときには、図11のように、切換え弁Aによって分岐部に設けた連通孔Aを開状態にして排気管Bと排気管Dを連通し、第一タービンハウジング93の排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを、排気管Dから直接大気側へ排出し、高速回転域に対応した第一タービンハウジング93の第一タービンインペラ92によって過給効果を高めることができる。
【0112】
ただし、高速回転域に至ったとき、切換え弁Aによって分岐部に設けた連通孔Aを開状態にして排気管Bと排気管Dを連通させ、第一タービンハウジング93の排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを第二タービンハウジング91に供給せず、排気管Dから直接大気側へ排出したが、この限りではなく、排気管Bと第二タービンハウジング91をある割合で連通させ、第二タービンハウジング91の第二タービンインペラ90に供給する排気ガス量が供給限界となる手前付近まで排気ガスを供給することによって、第二タービンインペラ90が第一タービンインペラ92の回転上昇を補助することができる。
これは、高速回転域に至らない中速回転域においても同様である。
【0113】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサインペラを包み、空気の吸込み部分及び吐出部分より構成されるコンプレッサハウジングと、該コンプレッサハウジングの一方側部に、第一ベアリングハウジングを介して第一タービンインペラを包み排気ガスの導入部分及び吐出部分より構成される第一タービンハウジングが配置されて結合し、また、該コンプレッサハウジングの他方側部に、第二ベアリングハウジングを介して第二タービンインペラを包み排気ガスの導入部分及び吐出部分より構成される第二タービンハウジングが配置されて結合し、前記各部が一体化して構成され、そして、前記コンプレッサインペラと、該コンプレッサインペラを挟んだ両側部に位置する前記第一タービンインペラ及び前記第二タービンインペラが、回転軸上のそれぞれの定位置に配置・固定され、前記回転軸が、前記第一ベアリングハウジングと前記第二ベアリングハウジングにおける軸受・シール機構よって支持されていることを特徴とするツインタービン式ターボチャージャー。
【請求項2】
第二タービンインペラの径を始め、第二タービンハウジングにおける排気ガスの導入量や吐出量等の各仕様に対して、第一タービンインペラの径を始め、第一タービンハウジングにおける排気ガスの導入量や吐出量等、各仕様の大型化を図ったことを特徴とする請求項1記載のツインタービン式ターボチャージャー。
【請求項3】
エンジンが低中速回転域においては、エンジンから排出された全ての排気ガスが、ツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングへ供給される排気ガス通路と、前記第一タービンハウジングのタービンインペラを通過した排気ガスが、第二タービンハウジングへ供給される排気ガス通路を構成し、また、予め、設定された切換え時期になった時には、エンジンから排出された排気ガスが二分割され、前記ツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングと第二タービンハウジングそれぞれに直接供給される排気ガス通路を構成することを特徴とするエンジンの排気系。
【請求項4】
エンジンから排出された排気ガスを第一排気管と第二排気管に分割し、前記第一排気管及び第二排気管がそれぞれ1本に集合され隣り合わせて配管された部分に、前記第一排気管と第二排気管を連通する第一連通孔と、前記第一連通孔を開状態又は閉状態に切換える第一切換え弁を設け、そして、前記第一排気管が、ツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングの排気ガス導入部分に至って連通して固定され、前記第二排気管が、ツインタービン式ターボチャージャーにおける第二タービンハウジングの排気ガス導入部分に至って連通して固定され、さらに、前記第一タービンハウジングの排気ガス吐出部分に連通して固定された第三排気管と、前記第ニ排気管と前記第三排気管が隣り合わせて配管された部分に、前記第二排気管と前記第三排気管を連通する第二連通孔と、前記第二連通孔を開状態又は閉状態に切換える第二切換え弁を設けたことを特徴とする請求項3記載のエンジンの排気系。
【請求項5】
エンジンが低中速回転域においては、エンジンから排出された二分の一の排気ガスが、一方のツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングへ供給される排気ガス通路と、前記第一タービンハウジングのタービンインペラを通過した排気ガスが、第二タービンハウジングへ供給される排気ガス通路を構成し、さらに、エンジンから排出された二分の一の排気ガスが、他方のツインタービン式ターボチャージャーにおける第三タービンハウジングへ供給される排気ガス通路と、前記第三タービンハウジングのタービンインペラを通過した排気ガスが、第四タービンハウジングへ供給される排気ガス通路を構成し、また、そして、予め、設定された切換え時期になった時には、エンジンから排出された二分の一の排気ガスが、一方のツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングと第二タービンハウジングへ直接供給される排気ガス通路と、エンジンから排出された二分の一の排気ガスが、他方のツインタービン式ターボチャージャーにおける第三タービンハウジングと第四タービンハウジングへ直接供給される排気ガス通路を構成することを特徴とするエンジンの排気系。
【請求項6】
エンジンを一方群と他方群に分け、一方群のエンジンから排出された排気ガスを第一排気管と第二排気管に分割し、前記第一排気管及び第二排気管がそれぞれ1本に集合され隣り合わせて配管された部分に、前記第一排気管と第二排気管を連通する第一連通孔と、前記第一連通孔を開状態又は閉状態に切換える第一切換え弁を設け、そして、前記第一排気管が、一方群用のツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングの排気ガス導入部分に至って連通して固定され、前記第二排気管が、一方群用のツインタービン式ターボチャージャーにおける第二タービンハウジングの排気ガス導入部分に至って連通して固定され、さらに、前記第一タービンハウジングの排気ガス吐出部分に連通して固定された第五排気管と、前記第二排気管と前記第五排気管が隣り合わせて配管された部分に、前記第二排気管と前記第五排気管を連通する第二連通孔と、前記第二連通孔を開状態又は閉状態に切換える第二切換え弁を設け、また、他方群のエンジンから排出された排気ガスを第三排気管と第四排気管に分割し、前記第三排気管及び第四排気管がそれぞれ1本に集合され隣り合わせて配管された部分に、前記第三排気管と第四排気管を連通する第三連通孔と、前記第三連通孔を開状態又は閉状態に切換える第三切換え弁を設け、そして、前記第三排気管が、他方群用のツインタービン式ターボチャージャーにおける第三タービンハウジングの排気ガス導入部分に至って連通して固定され、前記第四排気管が、他方群用のツインタービン式ターボチャージャーにおける第四タービンハウジングの排気ガス導入部分に至って連通して固定され、さらに、前記第三タービンハウジングの排気ガス吐出部分に連通して固定された第六排気管と、前記第四排気管と前記第六排気管が隣り合わせて配管された部分に、前記第六排気管と前記第四排気管を連通する第四連通孔と、前記第二連通孔を開状態又は閉状態に切換える第四切換え弁を設けたことを特徴とする請求項5記載のエンジンの排気系。
【請求項7】
エンジンから排出された排気ガスを第一排気管と第二排気管に二分割し、第一排気管が、ツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングに連通する排気ガス通路を構成し、第二排気管が、ツインタービン式ターボチャージャーにおける第二タービンハウジングに連通する排気ガス通路を構成したことを特徴とするエンジンの排気系。
【請求項8】
エンジンを一方群と他方群に分け、一方群のエンジンから排出された排気ガスが二分割され、一方群用のツインタービン式ターボチャージャーにおける第一タービンハウジングと第二タービンハウジングそれぞれに連通する排気ガス通路を構成し、他方群のエンジンから排出された排気ガスが二分割され、他方群用のツインタービン式ターボチャージャーにおける第三タービンハウジングと第四タービンハウジングそれぞれに連通する排気ガス通路を構成したことを特徴とするエンジンの排気系。
【請求項9】
一気筒当り二本の排気管を有すエンジンと一基のツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせた場合に対し、第一排気管が、各気筒におけるいずれか一方の各排気管と、そのいずれか一方の各排気管を1本に集合した排気管によって構成され、第二排気管が、各気筒におけるいずれか他方の各排気管と、そのいずれか他方の各排気管を1本に集合した排気管によって構成されていることを特徴とする請求項4記載のエンジンの排気系。
【請求項10】
一気筒当り二本の排気管を有すエンジンと二基のツインタービン式ターボチャージャーを組み合わせた場合に対し、第一排気管が、一方群の各気筒におけるいずれか一方の各排気管と、そのいずれか一方の各排気管を1本に集合した排気管によって構成され、第二排気管が、一方群の各気筒におけるいずれか他方の各排気管と、そのいずれか他方の各排気管を1本に集合した排気管によって構成され、さらに、第三排気管が、他方群の各気筒におけるいずれか一方の各排気管と、そのいずれか一方の各排気管を1本に集合した排気管によって構成され、第四排気管が、他方群の各気筒におけるいずれか他方の各排気管と、そのいずれか他方の各排気管を1本に集合した排気管によって構成されていることを特徴とする請求項6記載のエンジンの排気系。
【請求項11】
エンジンから排出された全ての排気ガスを、始めに第一タービンハウジングに供給する排気管Aと、その第一タービンハウジングの排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを第二タービンハウジングに供給する排気管B、また、第二タービンハウジングの排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを大気側へ導く排気管Cによって排気系が構成され、さらに、前記排気管Bにおいては、第二タービンハウジングの排気ガス導入部分に至る手前で第二タービンハウジングの排気ガス吐出部分から排出された排気ガスを直接大気側へ導く排気管Dと分割され、その分岐部に前記排気管Bと排気管Dを連通する連通孔Aを設け、その連通孔Aを開閉する切換え弁Aを設けたことを特徴とするエンジンの排気系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−47508(P2013−47508A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201135(P2011−201135)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(592005641)
【Fターム(参考)】