説明

テトラヒドロピラン誘導体

本発明は、一般式Iのテトラヒドロピラン誘導体およびその製造方法に関する。
【化】



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラヒドロピラン誘導体およびその合成プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
テトラヒドロピラン誘導体は、化学および製薬において、特に自然および合成芳香物質成分として、薬剤の中でおよび液晶材料の中で、重要な役割を果たす。しかしながら、現在、テトラヒドロピランへの合成アクセスは限られており、通常ピラノース環ユニットを含んでいる炭水化物の誘導体化に限定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的の1つは、テトラヒドロピラン・ユニットを含む複雑な分子の構築用の構成材(synthones)として適したテトラヒドロピラン誘導体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、一般式Iの提供により達成される。
【0005】
【化1】

【0006】
ここで、
11は、H、F、Cl、Br、I、CN,アリール、ヘテロ環式、または1〜15個の炭素原子を有するハロゲン化もしくは無置換のアルキル基を表し、その際、この基の中のCH基の1つまたは2つ以上は、O原子同士が直接結合しないことを条件に、互いに独立して−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−CO−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく;
Aは、
【0007】
【化2】

を表し;
aは0、1または2であり、ここでaが2であるときはAは同一でも異なる意味を表してもよく;
11は、単結合、−CH−CH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH−O−、−O−CH−、−CF−O−または−O−CF−を表し;
Wは、>CH−または>C=を表し;
BおよびDは互いに独立して
【0008】
【化3】

【0009】
を表し;
bおよびdは、互いに独立して0または1であり;
11は、=O、=C(SR12)(SR13)、=CF、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−OH、−SH、−CO−R14、−OSO15、−C(=S12)(−SR13)X、−B(OR16)(OR17)、−BFCat、−Si(OR18)(OR19)(OR20)またはアルキルを表し、ここでアルキルは、1〜15個の炭素原子を有するハロゲン化もしくは無置換のアルキル基を表し、その際、この基の中のCH基の1つまたは2つ以上は、O原子同士が直接結合しないことを条件に、互いに独立して−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−CO−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく;
12およびY13は、互いに独立してHまたはアルキルを表し、ここでアルキルは、1〜15個の炭素原子を有するハロゲン化もしくは無置換のアルキル基を表し、その際、この基の中のCH基の1つまたは2つ以上は、O原子同士が直接結合しないことを条件に、互いに独立して−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−CO−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく;
、LおよびLは、互いに独立してHまたはFを表し;
12およびR13は、互いに独立して、1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基を表すか、または、一緒になって−(CH−ユニット(p=2、3、4、5または6)を形成し、ここでCH基の1、2または3個は少なくとも1つの1〜8の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基で置換されていてもよく;
14は、OH、O−アリール、O−アラルキル、O−アルキル、Cl、Br、アリール、アラルキルまたはアルキルを表し;
15は、アリール、アラルキルまたは1〜15個の炭素原子を有するハロゲン化もしくは無置換のアルキル基を表し、その際、この基の中のCH基の1つまたは2つ以上は、O原子同士が直接結合しないことを条件に、互いに独立して−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−CO−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく;
16およびR17は、H、または1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基を表すか、または、一緒になって−(CH−ユニット(p=2、3、4、5または6)を形成し、ここでCH基の1、2または3個は少なくとも1つの1〜8の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基で置換されていてもよく;
18、R19およびR20は互いに独立して1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基を表し;
Catは、アルカリ金属カチオンまたは4級アンモニウムカチオンであり;そして
は、弱く配位しているアニオンである。
【0010】
ただし、
もしb+d≠0のとき、Wは、>CH−を表し;
もしY11
【0011】
【化4】

【0012】
に結合しているとき、Y11は、=O、=C(SR12)(SR13)または=CFを表すことはなく;
もし、Wが直接
【0013】
【化5】

【0014】
(dは0または1である。)
に結合しているときは、Y11は、−H、−I、−OH、−SH、−CO14、−OSO15、−C(=S12)(SR13)X、−B(OR16)(OR17)、−BFCat、−Si(OR18)(OR19)(OR20)またはアルキル(ここでアルキルは、1〜15個の炭素原子を有するハロゲン化もしくは無置換のアルキル基を表し、その際、この基の中のCH基の1つまたは2つ以上は、O原子同士が直接結合しないことを条件に、互いに独立して−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−CO−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、そしてアルキルはアルコキシを示すことはない。)を表し;
そして
もし、d=1である場合は、Bは
【0015】
【化6】

【0016】
を表すことはない。
【0017】
発明の化合物は、テトラヒドロピラン単位を分子の構造部分として含む例えば芳香物質、薬剤および、特に電気光学デバイスのなかで使用される液晶混合物の成分として使用される、より複雑な化合物の合成の中間化合物として有用である。
【0018】
用語「アルキル」は、−明細書または特許請求の範囲において別に定義されなければ−、飽和および不飽和の非環式(脂肪族)炭化水素基を示し、そのそれぞれは無置換でもハロゲンにより置換されていてよい。
【0019】
「アルキル」は、とりわけ、1〜15好ましくは1、2、3、4、5、6または7個の炭素原子を有する直鎖および分岐飽和アルキル基(アルカニル)、特に直鎖基、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチル、更にオクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシルおよびペンタデシルである。2〜5の炭素原子を有する基が通常好ましい。用語「アルキル」は、さらに、例えば−CF、−CHFまたは−CHFのような、フッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素でモノ−またはポリ−置換された炭化水素基を包含する。好ましい分岐アルキル基は、イソプロピル、2−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−メチルブチル、イソペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシルおよび2−プロピルペンチルである。
【0020】
最も一般的な意味において、用語「アルキル」はまた、とりわけアルケニル基を包含する。即ち、アルキル基の少なくとも1つのCHグループが−CH=CH−で置換され、その−CH=CH−グループは、さらにH−CH=CHとして末端位置にあってもよく、あるいは個々のCHユニットがさらにハロゲンによって置換(例えば−CF=CH−または−CF=CF−のような)されていてもよい。用語「アルキル」はまた、アルキニル基を包含し、即ちアルキル基の少なくとも1つのCHグループが−C≡C−で置換され、その−C≡C−基はH−C≡C−として末端位置にあってもよい。アルケニル基およびアルキニルの基は、互いに独立して、2〜15の炭素原子、好ましくは2、3、4、5、6または7個の炭素原子を有する。アルケニル基は、Eおよび/またはZ異性体の形態であることができるが、一般にそれぞれのE異性体が好ましい。好ましいアルケニル基は、HC=CH−およびCH−CH=CH−およびC−CH=CH−であり、好ましいアルキニル基はHC−C≡C−である。
【0021】
この発明の目的のために、用語「アルキル」はさらに、1または2以上のCH基が、酸素原子が互いに直接結合しないことを条件として、Oに置き換えられている基、即ち、1〜15の好ましくは1、2、3、4、5、6または7個の炭素原子を含み特に好ましくは非分岐のアルコキシおよびオキサアルキル基を包含する。好ましいアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、および−OCHF、−OCHCF、−OCF、−OCHCFあるいは−OCFCFのような、(過)フッ素化アルコキシル基、更にオクトキシ、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシ、テトラデコキシである。好ましい分岐アルコキシは、イソプロポキシ、2−メチルプロポキシ、2−メチルブトキシ、3−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、1−メチルヘプトキシである。好ましいオキサアルキル基は、2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−オキサブチル(=エトキシメチル)、3−オキサブチル、2−,3−または4−オキサペンチル、2−,3−,4または5−オキサヘキシル、2−,3−,4−,5−または6−オキサヘプチル;さらに加えて2−,3−,4−,5−,6−または7−オキサオクチル、2−,3−,4−,5−,6−,7−または8−オキサノニル、2−,3−,4−,5−,6−,7−,8−または9−オキサデシルである。
【0022】
用語「アルキル」はまた、1または2以上のCH基が、−CO−で置換されている基を包含する。これらの基は好ましくは直鎖で2〜7の炭素原子を有する。
【0023】
この発明の目的のために、用語「アルキル」はさらに、好ましくは隣接して、1つのCH基が−O−に置き換えられ、そして1つが−CO−で置き換えられた基を包含する。これらとしては、アシルオキシ基−COO−およびオキシカルボニル基−OCO−が挙げられる。これらの基は好ましくは直鎖で2〜7の炭素原子を有する。従って、それらは、特にアセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、ヘキサノイルオキシメチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、2−アセトキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセトキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピルまたは4−(メトキシカルボニル)ブチルを示す。
【0024】
この発明の目的のために、用語「アルキル」はさらに、1つのCHグループが無置換または置換された−CH=CHで置き換えられ、隣接するCH基がCOまたはCO−OまたはO−COで置き換えられた基を包含し、この基は直鎖または分岐であることができる。これは、好ましくは直鎖の4〜12個の炭素原子を有する。従って、それは、特にアクリロイルオキシメチル、2−アクリロイルオキシエチル、3−アクリロイルオキシプロピル、4−アクリロイルオキシブチル、5−アクリロイルオキシペンチル、6−アクリロイルオキシヘキシル、7−アクリロイルオキシヘプチル、8−アクリロイルオキシオクチル、9−アクリロイルオキシノニル、10−アクリロイルオキシデシル、メタクリロイルオキシメチル、2−メタクリロイルオキシエチル、3−メタクリロイルオキシプロピル、4−メタクリロイルオキシブチル、5−メタクリロイルオキシペンチル、6−メタクリロイルオキシヘキシル、7−メタクリロイルオキシヘプチル、8−メタクリロイルオキシオクチル、9−メタクリロイルオキシノニルを示す。
【0025】
この発明の目的のために、用語「アルキル」はさらに、好ましくは隣接して、1つまたは2以上のCH基が−O−および/または−CO−O−で置き換えられた基を包含し、これらの基は直鎖または分岐であることができる。これらの基は好ましくは分岐しており、3〜12個の炭素原子を有する。従って、それらは特にビスカルボキシメチル、2,2−ビスカルボキシエチル、3,3−ビスカルボキシプロピル、4,4−ビスカルボキシブチル、5,5−ビスカルボキシペンチル、6,6−ビスカルボキシヘキシル、7,7−ビスカルボキシヘプチル、8,8−ビスカルボキシオクチル、9,9−ビスカルボキシノニル、10,10−ビスカルボキシデシル、ビス(メトキシカルボニル)メチル、2,2−ビス(メトキシカルボニル)エチル、3,3−ビス(メトキシカルボニル)プロピル、4,4−ビス(メトキシカルボニル)ブチル、5,5−ビス(メトキシカルボニル)ペンチル、6,6−ビス(メトキシカルボニル)ヘキシル、7,7−ビス(メトキシカルボニル)ヘプチル、8,8−ビス(メトキシカルボニル)オクチル、ビス(エトキシカルボニル)メチル、2,2−ビス(エトキシカルボニル)エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)プロピル、4,4−ビス(エトキシカルボニル)ブチル、5,5−ビス(エトキシカルボニル)ヘキシルを示す。
【0026】
この発明の目的のために、用語「アリール」は、−明細書または特許請求の範囲において別に定義されなければ−、芳香族炭化水素基を包含し、好ましくは6〜18個の炭素原子を有し、それは同一または異なるF、Cl、Br、I、CN、OH、SH、O−アルキル、S−アルキル、COOH、COO−アルキル、アミノ、NOまたはアルキルによって任意にモノ置換またはポリ置換されている。「アリール」は好ましくはフェニルまたはナフチル基をあらわし、それぞれアルキルまたはビフェニル基により4−位が任意に置換されている。
【0027】
本発明の目的のために、用語「ヘテロサイクリル:ヘテロ環式」は、−明細書または特許請求の範囲において別に定義されなければ−、ヘテロ環式の飽和および不飽和、とりわけヘテロ芳香族基を包含し、そのなかで少なくとも1つの環原子は、O、SおよびNからなる群より選ばれるヘテロ原子である。ヘテロ環式基は、任意に同一または異なるF、Cl、Br、I、CN、OH、SH、O−アルキル、S−アルキル、COOH、COO−アルキル、アミノ、NO、アリールまたはアルキルでモノ置換またはポリ置換されていてよい。ヘテロ環式は、好ましくはジオキサニル、フラニル、チエニル、ピラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルおよびピリミジニルである。ヘテロ環式基が、原子、鎖、環またはその他の分子構成構造に対してする結合は、一般にどの環原子を介しても生じることができる。
【0028】
本発明の目的のために、用語「アラルキル」は、−明細書または特許請求の範囲において別に定義されなければ−、例えば、ベンジルまたはフェネチル(フェニル−CH−CH−)のような、アリール構成部分とアルキルブリッジを有する炭化水素基を包含する。特に、アリール構造部分は上記「アリール」に定義したように置換されていてもよい。「アラルキル」は特に好ましくは、ベンジルおよびフェネチルである。本発明の目的のために、「O−アラルキル」基は、アリール−アルキル−O基であり、即ちさらなる原子、さらなる鎖、さらなる環またはその他の分子構成部分に対するブリッジがアルキル−酸素ブリッジで生ずる。O−アラルキルの例としては、−O−ベンジル(−O−CH−フェニル)である。
【0029】
本発明に関連して、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素を表す。
【0030】
本発明の式Iの化合物の中で、Aは1,4−シクロヘキシレン、2,5−テトラヒドロピラニレン、2,5−ジオキサニレンまたは2,5−ピリミジニレンを示し、ここで飽和環は好ましくはトランス結合している。aの意味によって−即ち、0、1または2−、本発明の式Iの化合物中のAは、存在しないか(もしa=0ならば)または1つ存在するか(もしa=1ならば)または2つ存在する(もしa=2ならば)。もし、a=2であれば、Aは同じ2つの意味を有していてもよく、例えば、
【0031】
【化7】

【0032】
であり、または異なる環でもよく、例えば、
【0033】
【化8】

【0034】
である。本発明の好ましい実施形態において、式I中のAは、
【0035】
【化9】

【0036】
を表す。Aは好ましくは、もしZ11が単結合または−CFO−または−OCF−である場合は、1,4−シクロヘキシレンである。さらに、好ましい本発明の実施形態において、本発明の化合物は環Aを含まない;即ちa=0である。
【0037】
本発明の式Iの化合物において、Z11は単結合、−CH−CH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH−O−、−O−CH−、−CF−O−または−O−CF−を表す。Z11としては単結合または−CFO−または−OCF−を表すのが好ましい。特に、Z11が単結合を表し、それでAまたはR11(もしa=0ならば)が直接中心テトラヒドロピラン環に結合しているのが好ましい。
【0038】
本発明の式Iの化合物において、R11は、上記に定義されたようにH、F、Cl、Br、I、CN、アリール、ヘテロ環式またはアルキル基を表す。R11は好ましくは炭素数1〜7の非分岐ハロゲン化または無置換のアルカニル基であり、特にCF−、CF−CF−、CF−CH−、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはヘプチルである。
【0039】
中心テトラヒドロピラン環の置換基、Y12およびY13は、互いに独立して、上に定義されたような、Hまたはアルキル基を表し、好ましくは置換基Y12およびY13の両方が水素を示し、それにより本発明の化合物の中心テトラヒドロピラン環は2,5−二官能化されている。
【0040】
本発明の式Iの化合物において、Wは>CH−または>C=である。もし、Wが>CH−を表すとき、Wは基BまたはDに結合しているか、または単結合を介してY11に結合している。もしWが>C=を表すとき、b=d=0でありそしてWは二重結合を介してY11に結合している。
【0041】
本発明の式Iの化合物において環BおよびDは互いに独立して、
【0042】
【化10】

【0043】
を表し、ここで、もし環Dが存在するときは(もしb=d=1であれば)、環Bは
【0044】
【化11】

【0045】
を表すことはない。係数bおよびdは、互いに独立して0または1であるが、その意味によって、式Iの化合物は好ましくは:
【0046】
【化12】

【0047】
の形態である。
【0048】
もしb=d=0であるならば、Wは好ましくは>C=を表す。もし環BおよびDの1つがL、Lおよび/またはLで任意に置換されていてもよい1,4−フェニレン環であるならば、L、LおよびLのすべてが水素を表すか、またはLおよびLがフッ素を表しLが水素を表すのが好ましい。
【0049】
本発明の式Iの化合物において、もし、Y11がW= >C= に結合しているか、または
【0050】
【化13】

【0051】
に結合している場合、
11は、=O、=C(SR12)(SR13)または=CFを表す。もし、Y11が=C(SR12)(SR13)を表すとき、R12およびR13は、互いに独立して、1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基を表すか、または一緒になって −(CH− ユニットを構成してもよい。ここでp=2、3、4、5または6であり、ここで、これらCHグループの1、2または3個は少なくとも1つの1〜8個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基で置換されていてもよい。R12およびR13の両方が同じ意味を有すること、即ち、例えば両方がエチルまたはn−プロピルを表すか、または一緒になって上に定義された、アルキル基で任意に置換された−(CH−ユニットを形成することが好ましい。R12およびR13は一緒に、特に好ましくは、−CH−CH−CH−または−CH−C(CH−CH−を表す。
【0052】
本発明の式Iの化合物において、もしWが>CH−を表すか、またはY11が単結合を介してBまたはDに結合しているときは、Y11は、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−OH、−SH、−CO−R14、−OSO15、−C(=S12)(−SR13)X、−B(OR16)(OR17)、−BFCat、−Si(OR18)(OR19)(OR20)または上に定義したアルキルを表す。
【0053】
12およびR13はここで、互いに独立して、1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐のアルキル基を表すか、または一緒になって−(CH−ユニットを形成し、ここでp=2、3、4、5または6であり、ここでCHグループの1、2または3個は少なくとも1つの1〜8個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐のアルキル基によって置換されていてもよく;R12およびR13は好ましくは両方とも同じ意味を有すること、即ち、例えば両方ともエチルまたはn−プロピルであるか、または一緒になって上に定義した−(CH−ユニットを形成してもよく、ここでそれは任意にアルキル基で置換されていてもよい。R12およびR13は一緒に、特に好ましくは−CH−CH−CH−または−CH−C(CH−CH−を表す。
【0054】
14は、アリール、アラルキル、アルキル、OH、Cl、Br、O−アリール、O−アラルキルまたはO−アルキル(アルコキシ)を表し、ここで、アリール、アラルキルおよびアルキル基は上に定義したとおりである。R14は、好ましくはOHまたは1〜4個の炭素原子を有する無置換の直鎖もしくは分岐の飽和O−アルキル基(それぞれO−アルカニルまたはアルコキシ)であり、特にO−メチル、O−エチル、O−(n−プロピル)、O−(イソプロピル)、O−(n−ブチル)またはO−(tert−ブチル)、またはO−アラルキル基が好ましく、特にO−ベンジルである。
【0055】
15は、アリール、アラルキルまたは1〜15個の炭素原子を有するハロゲン化または無置換アルキル基を表し、ここでさらに、このアルキル基中の1または2以上のCHグループは、互いに独立して、O原子が互いに直接結合しないようにして−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられてもよい。R15は好ましくはアリール、特にフェニルまたは4−トリルであるか、または1〜4個の炭素原子を有する飽和の無置換または(過)ハロゲン化アルキル基であり、特に、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、CF、n−Cおよびt−Cである。
【0056】
16およびR17は、Hまたは1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐のアルキル基を表すか、一緒になって、−(CH−ユニットを形成する。ここで、p=2、3、4、5または6であり、ここでCHグループの1、2または3個は、少なくとも1つの1〜8個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐のアルキル基で置換されていてもよい。それらは好ましくは両方ともHまたは1〜4個の炭素原子を有する飽和アルキル基、特にメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルまたはtert−ブチルであるか、または一緒になって環ブリッジ、特に−CH−CH−CH−または−CH−C(CH−CH−を形成する。
【0057】
18、R19よびR20は、互いに独立して、1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐のアルキル基を表す。それらは好ましくは、互いに独立して、1〜4個の炭素原子を有する飽和アルキル基、特にメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルまたはtert−ブチルである。特に好ましい実施形態において、R18、R19およびR20はすべて同時にメチルである。
【0058】
Catは、アルカリ金属カチオン、即ちLi、Na、K、RbまたはCs、または4級アンモニウムカチオン、例えばNHまたはN(アルキル)であり、ここでアルキルは上に定義したものであり、4つのアルキル基は同一でも異なってもよい。Catは、好ましくはNa、K、NHまたはテトラメチル−またはテトラn−ブチルアンモニウムカチオンである。
【0059】
は弱配位アニオン、即ち、イオウカチオンに対して比較的弱く結合しているだけの配位子である。Xは、好ましくはBF、CFSO、CSO、PF、SbFまたはAsFである。
【0060】
単結合を介して結合している置換基Y11としては、特に好ましいものは、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−COH(即ち−CO−R14ここでR14=OH)、−C(=S12)(−SR13)XおよびB(OR16)(OR17)であり、特に−Br、−OH、−C(=S12)(−SR13)X、−B(OR16)(OR17)、−BFCatおよび−Si(OR18)(OR19)(OR20)である。もし、Wが直接
【0061】
【化14】

【0062】
(ここで、dは0または1である。)
に結合している場合、Y11は、好ましくは−H、−I、−OH、−SH、−CO14、−OSO15、−C(=S12)(SR13)X、−B(OR16)(OR17)、−BFCat、−Si(OR18)(OR19)(OR20)またはアルキルである。ここで、アルキルは1〜15個の炭素原子を有するハロゲン化または無置換アルキル基を表し、その中で、1または2以上のCHグループは互いに独立して、O原子が互いに直接に結合しないようにして−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−CO−、−CO−O−または−O−CO−に置き換えられていてもよい;そしてアルキルは、アルコキシにはならない。
【0063】
本発明の式Iの好ましい化合物は、次の式の1つによって表されるものである。
【0064】
【化15】

【0065】
【化16】

【0066】
これらの式中、R11、A、a、Z11、Y11、L、L、L、R12、R13およびXは上に示した意味を有する。
【0067】
特に好ましい式Iの化合物は下記のとおりである。
【0068】
【化17】

【0069】
【化18】

【0070】
【化19】

【0071】
【化20】

【0072】
これらの式中、nは1〜7、特に1、2、3、4または5の整数であり、C2n+1は分岐または好ましくは直鎖である。
【0073】
本発明の式Iの化合物は、好ましくはそれ自身文献に公知の方法で合成される(例えば一般的文献、Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie [Methods of Organic
Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart等)。正確にはこのような合成に知られており適した条件が選ばれる。また、ここにはより詳しくは述べないが、それ自身公知の異なる方法によることもできる。
【0074】
本発明の式Iの化合物は、好ましくは次の本発明の製造方法の1つに従って合成することができる。
【0075】
第1の製造方法は、式IAの化合物への製造を与える。
【0076】
【化21】

【0077】
ここで、
Wは、>C=を表し;
11は=O、=C(SR12)(SR13)または=CFを表し;そして
11、A、a、Z11、Y12、Y13、R12およびR13は、式Iに定義されたとおりである。
【0078】
この製造方法は、次の事項を特徴とする。
【0079】
反応工程(A1)において、式IIの化合物:
【0080】
【化22】

【0081】
(式中、R11、A、aおよびZ11は式IAについて定義されたとおりである。)
を、塩基の存在下、式IIIの化合物:
【0082】
【化23】

【0083】
(式中、Y12およびY13は式IAに定義したとおりであり、R31は1〜15個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)
と反応させ、式IVの化合物:
【0084】
【化24】

【0085】
(式中、R11、A、a、Z11、Y12およびY13は式IAに定義したとおりであり、R31は式IIIに定義したとおりである。)
を得て;
続いて反応工程(A2)において、式IVの化合物を、アルデヒド官能の還元およびラクトン化により、化合物IA1:
【0086】
【化25】

【0087】
に転換する。
【0088】
そして、任意に、反応工程(A3)において、化合物IA1を、P(N(R21、P(N(R21(OR22)またはP(N(R21)(OR22(ただし、R21およびR22は、互いに独立して、1〜15個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチルまたはエチルを表す。)の存在下、CFBrとの反応により、化合物IA2:
【0089】
【化26】

【0090】
に転換する。
【0091】
あるいは、任意に反応工程(A3’)において、化合物IA1を、強塩基の存在下、CHG(SR12)(SR13) {式中、GはP(OCH23を表し、ここでR23は1〜5個の炭素原子を有する過フッ化アルキル基、特にCF、CFCFもしくはC、またはSi(CHもしくはSi(CHCH、そしてR12およびR13は、式IAについて定義したとおりである}と反応させて、化合物IA3:
【0092】
【化27】

【0093】
に転換する。
【0094】
式IIおよびIIIの化合物は、文献に知られているか公知技術の合成方法またはその変形を使用して容易に得ることができる。反応工程(A1)は通常室温より上、好ましくは溶媒のリフラックス温度で行われる。適した溶媒は、反応の進行に十分な程度に反応物を溶解するすべての溶媒であり;好ましくは、アセトニトリルおよびプロピオニトリルである。好ましい塩基は、式IIの化合物と中間エナミンを形成するものであり、特にジアルキルアミン類およびトリアルキルシリルジアルキルアミン類、例えばトリメチルシリルジエチルアミンであり;ついで、式IIIの化合物と反応して完了する。反応工程(A2)における式IVの化合物のアルデヒド官能のヒドロキシ官能への還元は、公知の還元剤、例えばナトリウムボロハイドライドを、選んで使用して実施できる。化合物IA1を得る反応工程(A2)を完了するラクトン化は、例えば、触媒量の酸、例えばトルエンスルホン酸を使用して遂行できる。
【0095】
発明の式IA1のラクトンからスタートして、さらに、所望により、それぞれ反応工程(A3)および(A3’)により、式IA2およびIA3の化合物が合成される。化合物IA1のIA2への転換は、CFBrの助けにより、P(N(R21、P(N(R21(OR22)またはP(N(R21)(OR22の存在下(ただし、R21およびR22は、互いに独立して、1〜15個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチルまたはエチルを表す。)、適切な溶媒、例えばTHFおよび/またはジオキサン中で、好ましくは室温にて、実施することができる。反応工程(A3’)は、強塩基、の存在下、好ましくは有機リチウム塩基、例えばn−ブチルリチウム、またはカリウムtert-ブトキシドの存在下、好ましくは例えばTHFなどのエーテル性溶媒の中で、−80℃から室温の間の温度で、実施される。
【0096】
さらに、発明の製造方法は、式IBの化合物への製造を与える。
【0097】
【化28】

【0098】
ここで、Y11は、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−OHまたは−B(OR16)(OR17)を表し、そしてR11、A、a、Z11、Y12、Y13、L、L、L、R16、R17は式Iについて上で定義したとおりである。
【0099】
そしてこの製造方法は、次の事項を特徴とする。
【0100】
反応工程(B1)において、式IA1の化合物:
【0101】
【化29】

【0102】
(式中、R11、A、a、Z11、Y12およびY13は式IBについて上で定義したとおりである。)
を、式Vの化合物:
【0103】
【化30】

【0104】
(式中、L、LおよびLは式IBについて上で定義したとおりであり、MはLi、Cl−Mg、Br−MgまたはI−Mgを表し、そしてQはH、F、Cl、Br、IまたはCNを表す。)
と反応させて、式IB1の化合物:
【0105】
【化31】

【0106】
(式中、R11、A、a、Z11、Y12、Y13、L、LおよびLは式IBについて定義したとおりであり、Qは式Vについて定義したとおりである。)
を生成する。
【0107】
そして、任意に反応工程(B2)において、QがBrである式IB1の化合物を、アルキルリチウム塩基の存在下に、B(OR16)(OR17)(OR24) (ここで、R16、R17およびR24は1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐のアルキル基)、またはHB(OR16)(OR17) (ここで、R16およびR17は、1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐のアルキル基を表すかまたは一緒になって−(CH−ユニットを形成し、ここでp=2、3、4、5または6であり、ここでCHグループの1、2または3個は少なくとも1つの1〜8個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐のアルキル基で置換されていてもよい。)
と反応させ、式IB2の化合物を得る。
【0108】
【化32】

【0109】
そして、任意に反応工程(B3)において、化合物IB2は酸水溶液との反応により、化合物IB3:
【0110】
【化33】

【0111】
に転換される。
【0112】
および/または任意に反応工程(B4)において、化合物IB2または化合物IB3は、アルカリまたは酸溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液または酢酸中で、過酸化水素との反応により化合物IB4:
【0113】
【化34】

【0114】
に転換される。
【0115】
反応工程(B1)に使用される式Vの化合物は、それ自他知られた対応するハロゲン化化合物から、有機リチウム塩基またはグリニヤール法、例えばマグネシウムをの反応、により金属−ハロゲン交換により得ることができる。式V中のMは、好ましくはリチウムである。反応工程(B1)は、好ましくは、例えばジエチルエーテル等のエーテル性溶媒中、−80℃から室温の間の温度で実施される。式IB1の化合物を与えるために、式IA1化合物のカルボニル上への化合物Vの付加の後に中間体として生じるヒドロキシ官能の還元は、例えば、トリアルキルシランおよび3フッ化ホウ素エーテラート等の適切な還元剤を用いて実施される。
【0116】
任意の反応工程 (B2)で使用されるアルキルリチウム塩基は、好ましくは例えばTHF等のエーテル性溶媒またはヘキサン中の好ましくはメチルリチウムまたはn−ブチルリチウムである。リチウム−ハロゲン交換が遂行された後(好ましくは−80℃から室温の間で)、生成物を適当なホウ酸誘導体、例えばトリアルキルボレートを反応させ、式IB2の化合物を生成する。所望により、反応工程(B3)において、対応する式IB3のホウ酸を、酸水溶液例えば2N塩酸を使用してそこから遊離させることもできる。任意の反応工程(B4)−IB2またはIB3からスタートして−において、式IB4に対応するフェノールは、アルカリ水溶液中の過酸化水素(例えば水酸化ナトリウム溶液中30%H)、または酸溶液(例えば酢酸中)を使用して合成することができる。
【0117】
さらに、発明の製造方法は、発明の式ICの化合物への製造を与える。
【0118】
【化35】

【0119】
ここで、Y11は、=O、=C(SR12)(SR13)または=CFを表し、そしてR11、A、a、Z11、Y12、Y13、R12およびR13式Iについて定義したとおりである。
【0120】
この方法は次の事項を特徴とする。
【0121】
反応工程(C1)において、式IB4の化合物:
【0122】
【化36】

【0123】
(式中、R11、A、a、Z11、Y12およびY13は式ICについて上で定義したとおりであり、L、LおよびLはHを表す。)
を、遷移金属触媒の存在下で水素を使用して化合物IC1(即ち、Y11が=Oである化合物IC):
【0124】
【化37】

【0125】
へ転換する。
【0126】
そして、任意の反応工程(C2)において、化合物IC1を、P(N(R21、P(N(R21(OR22)またはP(N(R21)(OR22(ただし、R21およびR22は、互いに独立して、1〜15個の炭素原子を有するアルキル基を表し、特にメチルまたはエチルを表す。)の存在下、CFBrとの反応により,化合物IC2(即ち、Y11が=CFである化合物IC):
【0127】
【化38】

【0128】
へ転換する。
【0129】
あるいは、任意に、反応工程(C2’)において、式IC1の化合物を、強塩基の存在下、CHG(SR12)(SR13) {式中、GはP(OCH23を表し、ここでR23は1〜5個の炭素原子を有する過フッ化アルキル基、特にCF、CFCFもしくはC、またはSi(CHもしくはSi(CHCH、そしてR12およびR13は式ICについて定義したとおりである}と反応させて、化合物IC3(即ち、Y11が=C(SR12)(SR13)である化合物IC):
【0130】
【化39】

【0131】
へ転換する。
【0132】
反応工程(C1)で使用される遷移金属触媒は、通常、水素化反応に使用される触媒であり、例えば炭素担持パラジウムであり、反応条件は、通常このタイプの水素化において使用される条件から選択される(例えば、J. March: Advanced Organic Chemistry; John Wiley & Sons、New York、とりわけ、3rd Edn.、1985、pp. 700−702、5−11を参照)。さらに任意の反応工程 (C2)および(C2’)は本質的に、反応工程(A3)および(A3’)と同様の条件下で実施される。
【0133】
さらに、発明の製造方法は、発明の式IDの化合物への合成に使用される。
【0134】
【化40】

【0135】
ここで、Y11は、−COHまたは−C(=S12)(−SR13)Xを表し、R11、A、a、Z11、Y12、Y13、R12、R13、L、L、LおよびXは式Iについて上に定義したとおりである。
【0136】
そしてこの製造方法は次の事項を特徴とする。
【0137】
反応工程(D1)において、式IB1の化合物:
【0138】
【化41】

【0139】
(式中、R11、A、a、Z11、Y12、Y13、L、LおよびLは式IDについて定義したとおりであり、QはHまたはBrを表す。)
を、まず第1に、有機金属塩基と反応させ、それからCOと反応させ、化合物ID1:
【0140】
【化42】

【0141】
(式中、R11、A、a、Z11、Y12、Y13、L、LおよびLは、式IDについて定義したとおりである。)
を生成する。
【0142】
そして、任意に、工程(D2)において、化合物ID1を、酸HXの存在下、HSR12およびHSR13を用いて、またはHSR1213SHを用いて、化合物ID2:
【0143】
【化43】

【0144】
に転換する。
【0145】
反応工程(D1)で使用される有機金属塩基は、好ましくは有機リチウム塩基、例えばTHFまたはヘキサン中のn−ブチルリチウムであり;メタル化は好ましくは、−40℃および室温の間の温度で実施される。COは中間物質として生成した金属化化合物を除くために使用され、ガス状の二酸化炭素として導入、または好ましくはドライアイスとして添加される。水溶液の処理により所望の安息香酸誘導体ID1が得られる。
【0146】
任意の反応工程(D2)において、使用されるチオール反応薬は、好ましくは酸、例えばトルエンスルホン酸の存在下の、ジチオール、例えば1,3−プロパンチオールまたは2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオールである。
【0147】
さらに発明の製造方法は、発明の式IEの化合物の製造を与える。
【0148】
【化44】

【0149】
ここで、Y11は、−COHまたは−C(=S12)(−SR13)Xを表し、R11、A、a、Z11、Y12、Y13、R12およびR13およびX式Iについて上で定義したとおりである。
【0150】
そしてこの製造方法は、次の事項を特徴とする。
【0151】
反応工程(E1)において、式ID1の化合物:
【0152】
【化45】

【0153】
(式中、R11、A、a、Z11、Y12およびY13は式IEについて上に定義したとおりであり、L、LおよびLはHを表す。)
を、遷移金属触媒の存在下、水素を用いて、化合物IE1:
【0154】
【化46】

【0155】
に転換する。
【0156】
そして任意に、反応工程(E2)において、式IE1の化合物を、酸HXの存在下、HSR12およびHSR13を使用するか、またはHSR1213SHを使用して、化合物IE2:
【0157】
【化47】

【0158】
へ転換する。
【0159】
反応工程(E1)および(E2)の実行の詳細については、反応工程(C1)および(D2)がそれぞれ参照される。
【0160】
当業者は、発明のさらなる化合物が、発明の製造方法の特定の反応工程の適切な採用または繰り返しにより合成できることを認識する。彼らは、さらに専門知識の助けにより、特定の反応の必要性に合わせて、例えば、反応物の正確な量、反応時間、温度、試薬および溶媒の量と選択等の反応パラメータの正確な調節を行うことができる。
【0161】
もし発明の化合物が、光学異性体の形態、例えばエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの形態で、生じるならば、−もしそれらが例えばキラル基R11を有するならば−、これらの化合物は、明細書および特許請求の範囲の範囲に包含される。これらのキラル化合物は、異性体の混合物、好ましくは、ラセミ体の形態、または異性体的に純粋な形態である。異性体的に純粋なまたは異性体的にリッチな発明の化合物は、それ自身公知の慣用の分離方法、例えばキラル相のクロマトグラフまたは分画結晶法、任意にキラル試薬の存在下でまたは特定の非対称合成により得ることができる。
【0162】
発明の化合物は、テトラヒドロピラン環を含む複雑な分子の出発化合物として採用される。従って、例えば式I2、I3、I5、I6、I8、I9、I11、I13またはI15の化合物から出発して、その末端基(Y11)が−CFO−アリール基で置き換えられた対応する化合物を、それ自体文献公知の方法と同様にして得ることができる。このようにして官能化されたテトラヒドロピラン誘導体は、メソーゲン特性を有する。
【0163】
本発明の範囲をこれらに限定する意図なしに、本発明は次の実施例によりさらに説明される。
【実施例】
【0164】
実施例で使用される出発化合物、試薬および溶媒は、別に述べない限り、市販のものである。生成物は、慣用の分析方法、特にGC、HPLC、質量分析スペクトル、H−および19F−NMRスペクトル、DSCおよび偏光顕微鏡により分析される。
【0165】
例1〜7の化合物の合成は、次の合成スキーム1に従った。
【0166】
【化48】

【0167】
<例1:化合物2>
500mmolのペンタ−1−アル()、700mmolのメチルアクリレート、50mmolのトリメチルシリルジエチルアミンおよび300mlのアセトニトリルの混合物を18時間沸騰させ加熱した。混合物を減圧下でエバポレートして、アセトニトリルとシランを除いた。2.5molの氷酢酸を添加し、そして混合物を50℃にて18時間かきまぜた。混合物を2N NaOHの添加により中和し、3Lの飽和NaCl溶液で希釈した。有機相を分離し、飽和NaCl溶液で洗浄しNaSO上で乾燥した、1Lのイソプロパノールおよび引き続いて250mmolのナトリウムボロハイドライドを加え、そして混合物を18時間かき混ぜた。混合物に水による処理を行い、有機相を2回飽和NaCl溶液で洗浄しNaSOを用いて乾燥した。粗アルコールを1Lのトルエンと1gのトルエンスルホン酸と共に反応が完結するまで水分離器の上で沸騰した。溶液を中性になるまで洗浄し、続いて蒸留により精製した。ラクトン()の収率:35%、クルマバソウのような強い臭いを有する液体。沸点:137−138℃(19mbar)。
【0168】
<例2:化合物3>
207mmolのn−ブチルリチウム(15%、ヘキサン中)を、−50℃にて、250mlのジエチルエーテル中の207mmolの1,4−ジブロモベンゼン溶液に滴下した。50mlのジエチルエーテル中の170mmolの溶液を同じ温度で滴下し、そして混合物をさらに30分間かき混ぜ、0℃まで温度が上がるのを許し、水による処理を行った。粗生成物(51g)を400mlのジクロロメタンに溶解し、そして400mmolのトリエチルシランを−75℃にて加えた。400mmolの3フッ化ホウ素エーテラートを滴下した。その間、温度を−70℃より低く維持した。温度が−10℃まであがるのを許し、そして混合物を飽和炭酸水素ナトリウムを用いて加水分解し、水による処理を行った。粗生成物は、トランス/シス異性体を9:1の比で含有していた。生成物をペンタンから−20℃にて再結晶した。化合物の収率:30.6g、61%。融点:43℃。
【0169】
<例3:化合物4>
73mmolのを200mlのTHFに溶解し、−70℃まで冷却した。最初に、73mmolのn−ブチルリチウム(15%、ヘキサン中)を滴下し、続いて73mmolのトリメチルボレートの50mlのTHF溶液を滴下した。混合物を−20℃になるまで温まるのを許し、2N HClの添加によりpH2に調節し、水による処理を行った。粗生成物を熱ヘプタンで溶解して、0℃にて結晶化した。化合物の収率:13.1g、72%。
【0170】
<例4:化合物5>
60mmolの、300mlのトルエン、120mmolのNaOH、50mlの水および30mlの30%Hの混合物を45℃にて2時間かき混ぜた。混合物を10% HClを用いてpH2に調節し、水による処理を行った。粗生成物をヘプタンから再結晶した。化合物の収率:7.1g、52%。
【0171】
<例5:化合物6>
22mmolのを、5バール130℃にて27.5時間100mlのキシレン中で、1.5gの5%Pd/C触媒の存在下で水素化した。混合物を慣用の処理をした。化合物の収率:65%、無色のオイル。
【0172】
<例6:化合物7>
17mmolのn−ブチルリチウム(15%、ヘキサン中)を−70℃にて、75mlTHF中の17mmolの2−トリメチルシリル−1,3−ジチアン溶液に加えた。混合物が4時間をかけて0℃までなるのを許し、そして再度−70℃まで冷却し、25mlのTHF中17mmolのを滴下し、室温になるのを許し、さらに18時間撹拌し、そして水による処理を行った。粗生成物をヘプタンから再結晶した。化合物の収率:40%、無色の結晶。
【0173】
<例7:化合物8>
6.27mmolのトリフルオロメタンスルホン酸を、50mlのジクロロメタン中6.12mmolのの溶液に、−20℃にて滴下した。混合物を30分間で室温になるのを許容し、そして、−70℃に冷却した。それからまず、20mlジクロロメタン中9.1mmolの3,4,5−トリフルオロフェノールおよび10.1mmolのトリエチルアミンを、そして5分後に31mmolのトリエチルアミントリス(ヒドロフルオリド)を加えた。さらに5分後、31.5mmolのDBH(1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン)の懸濁液を少しづつ加え、そして混合物を−70℃にてさらに1時間撹拌した。反応混合物が−10℃になるのを許し、400mlの氷冷NaOH中に注いだ。混合物に水による処理を行い、粗生成物をシリカゲル上(ヘプタン/トルエン 3:2)でクロマトグラフにより精製し、ペンタンから−70℃にて結晶化した。化合物の収率:42%、無色結晶。融点:35℃。透明点:66.3℃。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iの化合物。
【化1】

{式中、
11は、H、F、Cl、Br、I、CN,アリール、ヘテロ環式、または1〜15個の炭素原子を有するハロゲン化もしくは無置換のアルキル基を表し、その際、この基の中のCH基の1つまたは2つ以上は、O原子同士が直接結合しないことを条件に、互いに独立して−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−CO−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく;
Aは、
【化2】

を表し;
aは0、1または2であり;
11は、単結合、−CH−CH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH−O−、−O−CH−、−CF−O−または−O−CF−を表し;
Wは、>CH−または>C=を表し;
BおよびDは互いに独立して
【化3】

を表し;
bおよびdは、互いに独立して0または1であり;
11は、=O、=C(SR12)(SR13)、=CF、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−OH、−SH、−CO−R14、−OSO15、−C(=S12)(−SR13)X、−B(OR16)(OR17)、−BFCat、−Si(OR18)(OR19)(OR20)またはアルキルを表し、ここでアルキルは、1〜15個の炭素原子を有するハロゲン化もしくは無置換のアルキル基を表し、その際、この基の中のCH基の1つまたは2つ以上は、O原子同士が直接結合しないことを条件に、互いに独立して−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−CO−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく;
12およびY13は、互いに独立してHまたはアルキルを表し、ここでアルキルは、1〜15個の炭素原子を有するハロゲン化もしくは無置換のアルキル基を表し、その際、この基の中のCH基の1つまたは2つ以上は、O原子同士が直接結合しないことを条件に、互いに独立して−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−CO−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく;
、LおよびLは、互いに独立してHまたはFを表し;
12およびR13は、互いに独立して、1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基を表すか、または、一緒になって−(CH−ユニット(p=2、3、4、5または6)を形成し、ここでCH基の1、2または3個は少なくとも1つの1〜8の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基で置換されていてもよく;
14は、OH、O−アリール、O−アラルキル、O−アルキル、Cl、Br、アリール、アラルキルまたはアルキルを表し;
15は、アリール、アラルキルまたは1〜15個の炭素原子を有するハロゲン化もしくは無置換のアルキル基を表し、その際、この基の中のCH基の1つまたは2つ以上は、O原子同士が直接結合しないことを条件に、互いに独立して−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−CO−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく;
16およびR17は、H、または1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基を表すか、または、一緒になって−(CH−ユニット(p=2、3、4、5または6)を形成し、ここでCH基の1、2または3個は少なくとも1つの1〜8の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基で置換されていてもよく;
18、R19およびR20は互いに独立して1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基を表し;
Catは、アルカリ金属カチオンまたは4級アンモニウムカチオンであり;そして
は、弱く配位しているアニオンである。
但し、
もしb+d≠0のとき、Wは、>CH−を表し;
もしY11
【化4】

に結合しているとき、Y11は、=O、=C(SR12)(SR13)または=CFを表すことはなく;
もし、Wが直接
【化5】

(dは0または1である。)
に結合しているとき、Y11は、−H、−I、−OH、−SH、−CO14、−OSO15、−C(=S12)(SR13)X、−B(OR16)(OR17)、−BFCat、−Si(OR18)(OR19)(OR20)またはアルキル(ここでアルキルは、1〜15個の炭素原子を有するハロゲン化もしくは無置換のアルキル基を表し、その際、この基の中のCH基の1つまたは2つ以上は、O原子同士が直接結合しないことを条件に、互いに独立して−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−CO−、−CO−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、そしてアルキルはアルコキシを示すことはない。)を表し;
もし、d=1であるときは、Bは
【化6】

を表すことはなく;
そして、
もしaが2であるときは、Aは同じでも異なった意味を表してもよい。}
【請求項2】
Aが
【化7】

を表すこと特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
aが0であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項4】
12およびY13がHであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
11が、単結合、−CFO−または−OCF−であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
11が、1〜7個の炭素原子を有する非分岐のハロゲン化または無置換アルキル基を表すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
11が、=O、=C(SR12)(SR13)または=CFをあらわすことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
11が、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−COH、−C(=S12)(−SR13)X、−B(OR16)(OR17)、−BFCatまたは−Si(OR18)(OR19)(OR20)を表すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
が、BF、CFSO、CSO、PF、SbFまたはAsFを表すことを特徴とする請求項1〜6および8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
bが0、かつdが0であること特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
bが1、かつdが0であること特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
bが1、かつdが1であること特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
式IAの化合物:
【化8】

{式中、
11は、H、F、Cl、Br、I、CN、アリール、ヘテロ環式またはアルキルを表し;
Aは、
【化9】

を表し;
aは0、1または2であり、もしaが2のときはAは同一または異なる意味であってもよく;
11は、単結合、−CH−CH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH−O−、−O−CH−、−CF−O−または−O−CF−を表し;
Wは、>C=を表し;
11は、=O、=C(SR12)(SR13)または=CFを表し;
12およびY13は、互いに独立して、Hまたはアルキルを表し;そして
12およびR13は、互いに独立して、1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基を表すか、または、一緒になって−(CH−ユニット(p=2、3、4、5または6)を形成し、ここでCH基の1、2または3個は少なくとも1つの1〜8の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基で置換されていてもよい。}
の製造方法であって、
反応工程(A1)において、式IIの化合物:
【化10】

(式中、R11、A、aおよびZ11は式IAについて定義されたとおりである。)
を、塩基の存在下、式IIIの化合物:
【化11】

(式中、Y12およびY13は式IAについて上で定義したとおりであり、R31は1〜15個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)
と反応させ、式IVの化合物:
【化12】

(式中、R11、A、a、Z11、Y12およびY13は式IAについて定義したとおりであり、R31は式IIIに定義したとおりである。)
を得て;
続いて反応工程(A2)において、式IVの化合物を、化合物IA1:
【化13】

に転換し;
そして、任意の工程の反応工程(A3)において、化合物IA1を、P(N(R21、P(N(R21(OR22)またはP(N(R21)(OR22(ただし、R21およびR22は、互いに独立して、1〜15個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)の存在下、CFBrとの反応により、化合物IA2:
【化14】

に転換するか;
あるいは、任意の工程の反応工程(A3’)において、化合物IA1を、強塩基の存在下、CHG(SR12)(SR13) {式中、GはP(OCH23を表し、ここでR23は1〜5個の炭素原子を有する過フッ化アルキル基、またはSi(CHもしくはSi(CHCH、そしてR12およびR13は、式IAについて定義したとおりである}と反応させて、化合物IA3:
【化15】

に転換することを特徴とする製造方法。
【請求項14】
式IBの化合物:
【化16】

{式中、
11は、H、F、Cl、Br、I、CN、アリール、ヘテロ環式またはアルキルを表し;
Aは、
【化17】

を表し;
aは0、1または2であり、もしaが2のときはAは同一または異なる意味であってもよく;
11は、単結合、−CH−CH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH−O−、−O−CH−、−CF−O−または−O−CF−を表し;
11は、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−OHまたは−B(OR16)(OR17)を表し;
12およびY13は、互いに独立して、Hまたはアルキルを表し;
、LおよびLは、互いに独立して、HまたはFを表し;そして
16およびR17は、互いに独立してHまたは1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基を表すか、または、一緒になって−(CH−ユニット(p=2、3、4、5または6)を形成し、ここでCH基の1、2または3個は少なくとも1つの1〜8の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基で置換されていてもよい。}
の製造方法であって、
反応工程(B1)において、式IA1の化合物:
【化18】

(式中、R11、A、a、Z11、Y12およびY13は式IBについて上で定義したとおりである。)
を、式Vの化合物:
【化19】

(式中、L、LおよびLは式IBについて上で定義したとおりであり、MはLi、Cl−Mg、Br−MgまたはI−Mgを表し、そしてQはH、F、Cl、Br、IまたはCNを表す。)
と反応させて、式IB1の化合物:
【化20】

(式中、R11、A、a、Z11、Y12、Y13、L、LおよびLは式IBについて定義したとおりであり、Qは式Vについて定義したとおりである。)
を生成し;
そして任意の工程の反応工程(B2)において、QがBrである式IB1の化合物を、アルキルリチウム塩基の存在下に、B(OR16)(OR17)(OR24) (ここで、R16、R17およびR24は1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐のアルキル基)、またはHB(OR16)(OR17) (ここで、R16およびR17は、1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐のアルキル基を表すかまたは一緒になって−(CH−ユニットを形成し、ここでp=2、3、4、5または6であり、ここでCHグループの1、2または3個は少なくとも1つの1〜8個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐のアルキル基で置換されていてもよい。)
と反応させ、式IB2の化合物:
【化21】

を得るか;
または、任意の工程の反応工程(B3)において、化合物IB2を酸水溶液との反応により、化合物IB3:
【化22】

に転換するか;
および/または、任意の工程の反応工程(B4)において、化合物IB2または化合物IB3を、アルカリ性または酸性溶液中で、過酸化水素との反応により化合物IB4:
【化23】

に転換することを特徴とする製造方法。
【請求項15】
一般式ICの化合物:
【化24】

{式中、
11は、H、F、Cl、Br、I、CN、アリール、ヘテロ環式またはアルキルを表し;
Aは、
【化25】

を表し;
aは0、1または2であり、もしaが2のときはAは同一または異なる意味であってもよく;
11は、単結合、−CH−CH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH−O−、−O−CH−、−CF−O−または−O−CF−を表し;
11は、=O、=C(SR12)(SR13)または=CFを表し;
12およびY13は、互いに独立して、Hまたはアルキルを表し;そして
12およびR13は、互いに独立して、1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基を表すか、または、一緒になって−(CH−ユニット(p=2、3、4、5または6)を形成し、ここでCH基の1、2または3個は少なくとも1つの1〜8の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基で置換されていてもよい。}
の製造方法であって、
反応工程(C1)において、式IB4の化合物:
【化26】

(式中、R11、A、a、Z11、Y12およびY13は式ICについて上で定義したとおりであり、L、LおよびLはHを表す。)
を、遷移金属触媒の存在下で水素を使用して化合物IC1:
【化27】

へ転換し;
そして、任意の工程の反応工程(C2)において、化合物IC1を、P(N(R21、P(N(R21(OR22)またはP(N(R21)(OR22(ただし、R21およびR22は、互いに独立して、1〜15個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)の存在下、CFBrとの反応により,化合物IC2:
【化28】

へ転換するか、
または任意の工程の反応工程(C2’)において、式IC1の化合物を、強塩基の存在下、CHG(SR12)(SR13) {式中、GはP(OCH23を表し、ここでR23は1〜5個の炭素原子を有する過フッ化アルキル基、またはSi(CHもしくはSi(CHCH、そしてR12およびR13、式ICについて定義したとおりである}と反応させて、化合物IC3:
【化29】

へ転換することを特徴とする製造方法。
【請求項16】
式IDの化合物:
【化30】

{式中、
11は、H、F、Cl、Br、I、CN、アリール、ヘテロ環式またはアルキルを表し;
Aは、
【化31】

を表し;
aは0、1または2であり、もしaが2のときはAは同一または異なる意味であってもよく;
11は、単結合、−CH−CH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH−O−、−O−CH−、−CF−O−または−O−CF−を表し;
11は、−COHまたは−C(=S12)(−SR13)Xを表し;
12およびY13は、互いに独立して、Hまたはアルキルを表し
、LおよびLは、互いに独立して、HまたはFを表し;
12およびR13は、互いに独立して、1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基を表すか、または、一緒になって−(CH−ユニット(p=2、3、4、5または6)を形成し、ここでCH基の1、2または3個は少なくとも1つの1〜8の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基で置換されていてもよく;そして
は弱く配位しているアニオンである。}
の製造方法であって、
反応工程(D1)において、式IB1の化合物:
【化32】

(式中、R11、A、a、Z11、Y12、Y13、L、LおよびLは式IDについて定義したとおりであり、QはHまたはBrを表す。)
を、有機金属塩基およびCOと反応させ、化合物ID1:
【化33】

(式中、R11、A、a、Z11、Y12、Y13、L、LおよびLは、式IDについて定義したとおりである。)
を生成し;
そして、任意の工程の反応工程(D2)において、化合物ID1を、酸HXの存在下、HSR12およびHSR13を用いて、またはHSR1213SHを用いて、化合物ID2:
【化34】

に転換することを特徴とする製造方法。
【請求項17】
式IEの化合物:
【化35】

{式中、
11は、H、F、Cl、Br、I、CN、アリール、ヘテロ環式またはアルキルを表し;
Aは、
【化36】

を表し;
aは0、1または2であり、もしaが2のときはAは同一または異なる意味であってもよく;
11は、単結合、−CH−CH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH−O−、−O−CH−、−CF−O−または−O−CF−を表し;
11は、−COHまたは−C(=S12)(−SR13)Xを表し;
12およびY13は、互いに独立して、Hまたはアルキルを表し;
12およびR13は、互いに独立して、1〜15個の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基を表すか、または、一緒になって−(CH−ユニット(p=2、3、4、5または6)を形成し、ここでCH基の1、2または3個は少なくとも1つの1〜8の炭素原子を有する非分岐もしくは分岐アルキル基で置換されていてもよく;そして
は弱く配位しているアニオンである。}
の製造方法であって、
反応工程(E1)において、式ID1の化合物:
【化37】

(式中、R11、A、a、Z11、Y12およびY13は式IEについて上に定義したとおりであり、L、LおよびLはHを表す。)
を、遷移金属触媒の存在下、水素を用いて、化合物IE1:
【化38】

に転換し;
そして、任意の工程の反応工程(E2)において、式IE1の化合物を、酸HXの存在下、HSR12およびHSR13を使用するか、またはHSR1213SHを使用して、化合物IE2:
【化39】

へ転換することを特徴とする製造方法。

【公表番号】特表2006−515283(P2006−515283A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554362(P2004−554362)
【出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012812
【国際公開番号】WO2004/048357
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】