説明

テトラミン化合物および有機EL素子

【課題】高温駆動時における発光安定性が要求される有機EL素子用のテトラミン化合物、該化合物を含有する有機EL素子、及び該化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるテトラミン化合物を使用する。


(式中、R1、R2及びR3は同一でも異なってもよく水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、nは3または4を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を有し、各種の表示装置として広範囲に利用される発光素子であって、低い印加電圧で高輝度、かつ安定性にも優れた有機EL素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は自己発光性素子であるため、液晶素子にくらべて明るく、鮮明な表示が可能であり、さらに、広視野角、高速応答性といった有用な特徴を有しているため、古くから多くの研究者によって研究されてきた。
【0003】
当初、有機材料を用いた有機電界発光素子は、実用的なレベルからは遠いものであったが、1987年にイーストマン・コダック社のC.W.Tangらによって開発された、各種の役割を各材料に分担した積層構造素子によりその特性が飛躍的に進歩した。彼らは蒸着膜の構造が安定で電子を輸送することのできる蛍光体と、正孔を輸送することのできる有機物とを積層し、両方のキャリヤーを蛍光体中に注入して発光させることに成功した。これによって有機電界発光素子の発光効率が向上し、10V以下の電圧で1000cd/m以上の高輝度が得られるようになった(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。その後多くの研究者によってその特性向上のための研究が行なわれ、現在では短時間の発光では10000cd/m以上のより高輝度な発光特性が得られている。
【0004】
現在では、有機EL素子は実用化され、携帯電話、カーオーディオ等のディスプレイとして利用されており、さらに大型化や使用範囲の拡大が期待されている。しかし、まだ、解決を要する問題点は多く、そのひとつとして挙げられるのが、高温環境下で駆動した場合の耐熱性である。現在、正孔輸送材料として広く使用されているα−NPDでは、耐熱性に問題があり、使用時に熱を発する大型のディスプレイや高耐久性の要求される車載用途等の高温環境下での使用は不可能とされている(例えば、非特許文献1参照)。このため、現在の一般的な素子構成において、素子の熱安定性を決定付けるのは、正孔輸送材料の熱安定性であると言われている。これは、有機EL素子に使用されている各層の材料に着目すると、有機アミン系材料が主体である正孔輸送材料は、熱安定性の点ではどうしても不利なためである。そのため、正孔輸送材料の熱安定性を改善することが、素子の熱安定性の改善につながるものと考えられる。ここでいう、一般的な素子構成とは、図1に示すものを指す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】公開平8−48656号公報
【特許文献2】特許第3194657号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】M&BE、vol.11、No.1(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、正孔輸送材料の熱安定性について着目し、蒸着膜の熱安定性に深く関与している化合物のガラス転移点を重要な項目として捉え材料検討を行った。ガラス転移点とは、物質がアモルファス状態で存在可能な上限の温度であり、蒸着膜の膜安定性を決める重要な物性値である。理論的には、ガラス転移点が高いほど素子の熱安定性は高いといえる。また、分子構造の面からも着目し、複数のフェニル基でジアミン化合物を連結することにより、分子構造に特長を与え、アモルファス状態の安定性の改善を試みた。
【0008】
本発明の目的は、高温駆動時における発光安定性に優れた正孔輸送層を有する有機EL素子を提供することにある。
また、この正孔輸送層に使用される材料として、優れた化合物を提供することにある。
このような正孔輸送材料の具備しなければならない条件としては、(1)優れた正孔輸送能力を持つこと、(2)熱的に安定で、アモルファス状態が安定であること、(3)薄膜を形成できること、(4)電気的、化学的に安定であること、(5)蒸着時に分解しないこと、を挙げることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明者らはEL素子を種々試作し、新たに合成した正孔輸送材料の評価を鋭意行なった結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表されるテトラミン化合物に関する。
【0010】
【化1】

【0011】
式中、R1、R2及びR3は同一でも異なってもよく水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、nは3または4を表す。
【0012】
また、本発明は下記一般式(1)で表される有機EL素子用材料に関する。
【0013】
【化2】

【0014】
式中、R1、R2及びR3は同一でも異なってもよく水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、nは3または4を表す。
【0015】
また、本発明は下記一般式(1)で表されるテトラミン化合物を含有する有機EL素子に関する。
【0016】
【化3】

【0017】
式中、R1、R2及びR3は同一でも異なってもよく水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、nは3または4を表す。
【0018】
さらに本発明は、下記一般式(A)で表されるトリフェニルジアミノビフェニル化合物と、下記一般式(B)で表されるジハロゲン化合物との縮合反応を行う工程からなる、下記一般式(1)で表されるテトラミン化合物の製造方法である。
【0019】
【化4】

【0020】
式中、R1、R2及びR3は同一でも異なってもよく水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表す。
【0021】
【化5】

【0022】
式中、Xはハロゲン原子を表し、nは3または4を表す。
【0023】
【化6】

【0024】
式中、R1、R2及びR3は同一でも異なってもよく水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、nは3または4を表す。
【0025】
本発明は別法として、下記一般式(C)で表されるジアミノ化合物と下記一般式(D)で表されるハロゲン化合物との縮合反応を行い、縮合生成物を加水分解後、さらに下記一般式(E)で表されるハロゲン化合物との縮合反応を行うことからなる、下記一般式(2)で表されるテトラミン化合物の製造方法も提供する。
【0026】
【化7】

【0027】
式中、R4は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表し、nは3または4を表す。
【0028】
【化8】

【0029】
式中、R1は水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、R5は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表し、Xはハロゲン原子を表す。
【0030】
【化9】

【0031】
式中、R2は水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、Xはハロゲン原子を表す。
【0032】
【化10】

【0033】
式中、R1及びR2は同一でも異なってもよく水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、nは3または4を表す。
【0034】
本発明は、上記のような正孔輸送材料を使用した結果、それらが優れた正孔輸送能力を有しているばかりでなく、良好な薄膜を形成し、さらに熱的にも安定であり、従来の正孔輸送材料を使用した場合に比べ、高温環境下での寿命が顕著に向上した。この結果、優れた発光安定性を有する有機EL素子が実現できることが明らかになった。
【0035】
以上のように、本発明は、正孔輸送層の材料として、複数のフェニル基で連結したテトラミン化合物を用いた有機EL素子であり、本発明の材料を用いることにより、従来の有機EL素子の最も大きな問題点であった高温駆動時における発光安定性を格段に改良することができ、有機EL素子の使用範囲を格段に広げることができる。例えば、室内照明や有機半導体レーザー、高耐久性の要求される車載用途等の高温環境下での用途への展開も可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、典型的EL素子構成を示した図である。
【図2】図2は、HTM−1のIRチャート図である。
【図3】図3は、HTM−2のIRチャート図である。
【図4】図4は、HTM−3のIRチャート図である。
【図5】図5は、HTM−4のIRチャート図である。
【図6】図6は、HTM−5のIRチャート図である。
【図7】図7は、HTM−6のIRチャート図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の正孔輸送材料であるテトラミン化合物は、新規な化合物であり、これは、相当するトリフェニルジアミノビフェニル化合物とジハロゲン化合物との縮合反応、または相当するジアミン化合物のN,N’−ジアシル体と相当するN−(4’−ハロゲン化ビフェニリル)−N−アシルアニリン化合物との縮合反応による生成物を加水分解した後、相当するハロゲン化アリール化合物と縮合反応することにより合成することができる。これら縮合反応はウルマン反応として知られる製造方法である。
【0038】
これらの化合物の同定は、NMR分析、元素分析、IR分析により行なった。精製はカラムクロマトによる精製、吸着材による吸着精製、溶媒による再結晶や晶析法により行い、純度を99.8%以上とした。純度の確認は、高速液体クロマトグラフィー、TLCスキャナーにより行なった。物性値として、DSC測定(Tg)、TG−DTA測定(分解点)、融点測定を行った。融点、分解点は正孔輸送層の熱安定性の指標となり、ガラス転移点(Tg)はガラス状態の安定性の指標となる。
【0039】
ガラス転移点(Tg)は、試料粉体5mgをアルミプレスセルに秤量し、窒素ガスを150mL/minで流しながら、SHI製のDSC装置にセットし毎分10℃で400℃まで昇温して試料を熔解した後、毎分−40℃で−50℃まで冷却し、毎分10℃で350℃まで再昇温させた時の吸熱変化より、ガラス転移点(Tg)を求めた。分解点は、試料粉体5mgを白金セルに秤量し、窒素ガスを150mL/minで流しながら、SHI製のTG−DTA装置にセットし、毎分10℃で800℃まで昇温し、得られたチャートより急激な減量が始まる温度を分解点とした。融点は、メトラー製の融点測定管ME−18552の管底に試料粉体を10mmの長さになるように詰めて、メトラー製の融点測定器FP−62を用い、毎分1℃で昇温して、得られた値を融点とした。
【0040】
本発明者らは化合物の置換基を種々に変えて材料を合成した。その結果、融点、分解点、ガラス転移点の大きさが置換基により変化し、いくつかの置換基の場合には、融点、分解点、ガラス転移点(Tg)が高い材料を得ることができた。具体的な化合物例を表1−1及び1−2に示す。さらに、実施例としていくつかの代表的な合成実施例を示すが、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
一般式(1)で表される、3つあるいは4つのフェニル基で連結したテトラミン化合物は、高いガラス転移点(Tg)を有し、高温駆動時の素子寿命に良好なる改善効果を与えた。さらに、無置換のアリール基を導入した材料においては更なる有効な効果を確認した。
【0044】
本発明の有機EL素子構造としては、基板上に陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び陰極を順次積層してなるもの、あるいは基板上に陽極、正孔輸送層、電子輸送層及び陰極を順次積層してなり正孔輸送層および電子輸送層のいずれか一方が発光機能を有する(発光層を兼ねる)ものが挙げられる。また、ITO電極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極バッファー層、アルミニウム電極からなるものが挙げられる。
【0045】
また、本発明による正孔輸送材料としては、一般式(1)で表されるテトラミン化合物の1種のみを用いることもできるが、2種類以上を共蒸着などで成膜して混合状態で用いることができる。さらに、本発明の正孔輸送材料を従来の正孔輸送材料であるTPAC(1,1−ビス[4−[N,N−ジ(p−トリル)アミノ]]シクロヘキサン)やTPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)ベンジジン)との共蒸着によって使用することができる。2種類以上を共蒸着して用いることにより、その結晶化を起こしにくくできる場合がある。さらに、本発明の正孔輸送層は発光層を兼ねることができる。具体的には、正孔輸送材料と正孔ブロッキング性の高い電子輸送材料とを組み合わせることにより、正孔輸送層を発光層として用いることができる。
【0046】
また、本発明の電子輸送層は発光層を兼ねることができる。本発明の電子輸送層兼発光層としてはアルミキノリン3量体のほか、発光層の材料として各種の希土類錯体、オキサゾール誘導体、ポリパラフェニレンビニレンなどを用いることができる。
また、発光層にキナクリドン、クマリン、ルブレン等のドーパントと呼ばれている発光材を添加することにより、さらに高性能のEL素子を作製することができる。
正孔注入層としては銅フタロシアニンが挙げられる。陰極バッファー層としてはフッ化リチウムが挙げられる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例を参照して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0048】
<正孔輸送材料の合成>
[実施例1]
(HTM−1の合成)
アセトアニリド20.3g(0.15モル)と4,4’−ジョードビフェニル73.1g(0.18モル)、無水炭酸カリウム22.1g(0.16モル)、銅粉2.16g(0.034モル)、n−ドデカン35mlを混合し、190〜205℃で10時間反応させた。反応生成物をトルエン200mlで抽出し、不溶分を濾別除去後、濾液を濃縮乾固した。得られた固形物をカラムクロマトにより精製(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/酢酸エチル=6/1)して、N−(4’−ヨードビフェニリル)アセトアニリド40.2g(収率64.8%)を得た。融点は135.0〜136.0℃であった。
【0049】
N−(4’−ヨードビフェニリル)アセトアニリド13.2g(0.032モル)、N,N−ジフェニルアミン6.60g(0.039モル)、無水炭酸カリウム5.53g(0.040モル)及び銅粉0.45g(0.007モル)、n−ドデカン10mlを混合し、200〜212℃で15時間反応させた。反応生成物をトルエン100mlで抽出し、不溶分を濾別除去後、濾液を濃縮してオイル状物を得た。オイル状物をイソアミルアルコール60mlに溶解し、水1ml、85%水酸化カリウム2.64g(0.040モル)を加え、130℃で加水分解した。水蒸気蒸留でイソアミルアルコールを留去後、トルエン250mlで抽出し、水洗、乾燥して濃縮した。濃縮物はカラムクロマトにより精製(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=1/2)して、N,N,N’−トリフェニルー4,4’−ジアミノビフェニル10.5g(収率72.2%)を得た。融点は167.5〜168.5℃であった。
【0050】
N,N,N’−トリフェニルー4,4’−ジアミノビフェニル8.80g(0.021モル)、4,4”−ジョード−p−テルフェニル5.00g(0.01モル)、無水炭酸カリウム3.90g(0.028モル)、銅粉0.32g(0.005モル)、重亜硫酸ナトリウム0.30g(0.03モル)、n−ドデカン10mlを混合し、195〜210℃で30時間反応させた。反応生成物をトルエン450mlで抽出し、不溶分を濾別除去後、濾液を濃縮した。濃縮液にメタノール60mlを加えて晶析し、吸引ろ過を行い粗結晶を得た。粗結晶をトルエン50mlで還流溶解後、45℃まで放冷した。酢酸エチル100mlを滴下し、晶析を行い、結晶を得た。N,N’−ビス(4−ジフェニルアミノビフェニル−4’−イル)−N,N’−ジフェニル−4,4”−ジアミノ−p−テルフェニルは、得量5.73g、収率53.0%、HPLC純度97.7%であった。結晶は、カラムクロマトにより精製(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=1/1)して、N,N’−ビス(4−ジフェニルアミノビフェニル−4’−イル)−N,N’−ジフェニル−4,4”−ジアミノ−p−テルフェニル4.75g(HPLC純度100.0%、カラム精製収率84.8%)を得た。融点は、164.8℃であった。NMR分析、元素分析、IR分析により生成物の同定を行なった。元素分析値は以下の通りである。炭素:測定値88.92%(理論値89.11%)、水素:測定値5.78%(理論値5.56%)、窒素:測定値5.07%(理論値5.33%)。NMR分析の結果は以下の通りであった。7.629ppm(4H)、7.545−7.449ppm(12H)、7.313−6.987ppm(42H)。
【0051】
[実施例2]
(HTM−2の合成)
N−(4’−ヨードビフェニリル)アセトアニリド16.5g(0.040モル)、N−(4−ビフェニリル)−アニリン11.8g(0.048モル)、無水炭酸カリウム8.3g(0.060モル)及び銅粉0.1g(0.002モル)、n−ドデカン10mlを混合し、200〜212℃で15時間反応させた。反応生成物をトルエン200mlで抽出し、不溶分を濾別除去後、濾液を濃縮してオイル状物を得た。オイル状物はイソアミルアルコール60mlに溶解し、水4ml、85%水酸化カリウム4.00g(0.060モル)を加え、130℃で加水分解した。水蒸気蒸留でイソアミルアルコールを留去後、トルエン250mlで抽出し、水洗、乾燥して濃縮した。濃縮物はカラムクロマトにより精製(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=1/2)して、N−(4−ビフェニリル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル15.2g(収率77.8%、HPLC純度97.0%)を得た。融点は126.6〜127.4℃であった。
【0052】
N−(4−ビフェニリル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル11.08g(0.022モル)、4,4”−ジョード−p−テルフェニル5.00g(0.01モル)、無水炭酸カリウム4.14g(0.030モル)、銅粉0.32g(0.005モル)、n−ドデカン10mlを混合し、195〜210℃で30時間反応させた。反応生成物をトルエン400mlで抽出し、不溶分を濾別除去後、濾液を濃縮した。濃縮液にメタノール60mlを加えて晶析し、吸引ろ過を行い粗結晶を得た。粗結晶をトルエン50mlで還流溶解後、45℃まで放冷した。酢酸エチル100mlを滴下し、晶析を行い、結晶を得た。N,N’−ビス[4−(4−ビフェニリル−フェニルアミノ)ビフェニル−4’−イル]−N,N’−ジフェニル−4,4”−ジアミノ−p−テルフェニルは、得量7.91g、収率65.7%、HPLC純度96.6%であった。
【0053】
結晶は、カラムクロマトにより精製(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=1/1)して、N,N’−ビス[4−(4−ビフェニリル−フェニルアミノ)ビフェニル−4’−イル]−N,N’−ジフェニル−4,4”−ジアミノ−p−テルフェニル4.30g(HPLC純度100.0%、カラム精製収率56.3%)を得た。融点は、189.3℃であった。NMR分析、元素分析、IR測定により生成物の同定を行なった。元素分析値は以下の通りである。炭素:測定値89.98%(理論値89.82%)、水素:測定値5.61%(理論値5.53%)、窒素:測定値4.35%(理論値4.66%)。NMR分析の結果は以下の通りであった。7.637ppm(4H)、7.594−7.388ppm(24H)、7.328−7.160ppm(34H)、7.073−7.025ppm(4H)。
【0054】
[実施例3]
(HTM−3の合成)
N−(4’−ヨードビフェニリル)−アセトアニリド20.70g(0.050モル)、4−tert−ブチルジフェニルアミン13.50g(0.060モル)、無水炭酸カリウム10.40g(0.075モル)及び銅粉0.20g(0.003モル)、n−ドデカン10mlを混合し、200〜212℃で15時間反応させた。反応生成物をトルエン200mlで抽出し、不溶分を濾別除去後、濾液を濃縮してオイル状物を得た。オイル状物はイソアミルアルコール80mlに溶解し、水5ml、85%水酸化カリウム5.00g(0.075モル)を加え、130℃で加水分解した。水蒸気蒸留でイソアミルアルコールを留去後、トルエン250mlで抽出し、有機層を水洗、乾燥して濃縮した。濃縮物はカラムクロマトにより精製(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=1/2)して、N−(4−tert−ブチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル18.8g(収率73.5%、HPLC純度98.0%)を得た。融点は125.6〜126.6℃であった。
【0055】
N−(4−tert−ブチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル11.50g(0.022モル)、4,4”−ジョード−p−テルフェニル5.00g(0.01モル)、無水炭酸カリウム4.14g(0.030モル)、銅粉0.32g(0.005モル)、n−ドデカン10mlを混合し、195〜210℃で30時間反応させた。反応生成物をトルエン400mlで抽出し、不溶分を濾別除去後、濾液を濃縮した。濃縮後にメタノール60mlを加えて晶析し、吸引ろ過を行い粗結晶を得た。粗結晶をトルエン50mlで還流溶解後、45℃まで放冷した。酢酸エチル100mlを滴下し、晶析を行い、結晶を得た。N,N’−ビス[4−(4−tert−ブチルジフェニルアミノ)ビフェニル−4’−イル]−N,N’−ジフェニル−4,4”−ジアミノ−p−テルフェニルは、得量6.70g、収率57.5%、HPLC純度95.6%であった。
【0056】
結晶は、カラムクロマトにより精製(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=1/2)して、N,N’−ビス[4−(4−tert−ブチルジフェニルアミノ)ビフェニル−4’−イル]−N,N’−ジフェニル−4,4”−ジアミノ−p−テルフェニル4.00g(HPLC純度99.9%、カラム精製収率62.5%)を得た。融点は、209.5℃であった。NMR分析、元素分析、IR測定により生成物の同定を行なった。元素分析値は以下の通りである。炭素:測定値88.96%(理論値88.77%)、水素:測定値6.65%(理論値6.41%)、窒素:測定値4.57%(理論値4.82%)。NMR分析の結果は以下の通りであった。7.629ppm(4H)、7.545−7.425ppm(12H)、7.283−7.033ppm(40H)、1.317ppm(18H)。
【0057】
[実施例4]
(HTM−4の合成)
N,N,N’−トリフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル8.10g(0.019モル)、4,4’’’−ジョード−p−クアテルフェニル4.00g(0.008モル)、無水炭酸カリウム3.90g(0.028モル)、銅粉0.32g(0.005モル)、重亜硫酸ナトリウム0.30g(0.03モル)、n−ドデカン10mlを混合し、195〜210℃で30時間反応させた。反応生成物をトルエン450mlで抽出し、不溶分を濾別除去後、濾液を濃縮した。濃縮物にメタノール60mlを加えて晶析し、吸引ろ過を行い粗結晶を得た。粗結晶をトルエン50mlで還流溶解後、45℃まで放冷した。酢酸エチル100mlを滴下し、晶析を行い、結晶を得た。N,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノビフェニル−4−イル)−N,N’−ジフェニル−4,4’’’−ジアミノ−p−クアテルフェニルは、得量5.08g、収率56.4%、HPLC純度97.5%であった。
【0058】
結晶は、カラムクロマトにより精製(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=2/3)して、N,N’−ビス(4−ジフェニルアミノビフェニル−4’−イル)−N,N’−ジフェニル−4,4’’’−ジアミノ−p−クアテルフェニル3.28g(HPLC純度99.8%、カラム精製収率66.0%)を得た。融点は、173.1℃であった。NMR分析、元素分析、IR測定により生成物の同定を行なった。元素分析値は以下の通りである。炭素:測定値89.23%(理論値89.49%)、水素:測定値5.70%(理論値5.54%)、窒素:測定値4.76%(理論値4.97%)。NMR分析の結果は以下の通りであった。7.719−7.639ppm(8H)、7.555−7.437ppm(12H)、7.319−6.989ppm(42H)。
【0059】
[実施例5]
(HTM−5の合成)
N−(4’−ヨードビフェニリル)−アセトアニリド20.70g(0.050モル)、N、N−ビス(ビフェニル−4−イル)アミン19.95g(0.060モル)、無水炭酸カリウム10.40g(0.075モル)及び銅粉0.20g(0.003モル)、n−ドデカン10mlを混合し、200〜212℃で15時間反応させた。反応生成物をトルエン200mlで抽出し、不溶分を濾別除去後、濾液を濃縮して粗結晶を得た。粗結晶をイソアミルアルコール80mlに溶解し、水5ml、85%水酸化カリウム5.00g(0.075モル)を加え、130℃で加水分解した。水蒸気蒸留でイソアミルアルコールを留去後、トルエン250mlで抽出し、有機層を水洗、乾燥して濃縮した。濃縮物はカラムクロマトにより精製(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=1/2)して、N、N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N’−フェニル−4,4’−ジアミノビフェニル24.2g(収率69.9%、HPLC純度98.0%)を得た。融点は、145.8〜146.0℃であった。
【0060】
N、N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N’−フェニル−4,4’−ジアミノビフェニル12.68g(0.022モル)、4,4”−ジョード−p−テルフェニル5.00g(0.01モル)、無水炭酸カリウム4.14g(0.030モル)、銅粉0.32g(0.005モル)、n−ドデカン10mlを混合し、195〜210℃で30時間反応させた。反応生成物をトルエン800mlで抽出し、不溶分を濾別除去後、濾液を濃縮した。濃縮後にメタノール100mlを加えて晶析し、吸引ろ過を行い粗結晶を得た。粗結晶をトルエン300mlで還流溶解後、45℃まで放冷した。酢酸エチル300mlを滴下し、晶析を行い、結晶を得た。N,N’−ビス[4−{ビス(ビフェニル−4−イル)アミノ}ビフェニル−4’−イル]−N,N’−ジフェニル−4,4”−ジアミノ−p−テルフェニルは、得量9.43g、収率65.9%、HPLC純度94.7%であった。
【0061】
結晶は、カラムクロマトにより精製(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=1/2)して、N,N’−ビス[4−{ビス(ビフェニル−4−イル)アミノ}ビフェニル−4’−イル]−N,N’−ジフェニル−4,4”−ジアミノ−p−テルフェニル5.47g(HPLC純度100.0%、カラム精製収率61.3%)を得た。融点は、204.5℃であった。NMR分析、元素分析、IR測定により生成物の同定を行なった。元素分析値は以下の通りである。炭素:測定値90.22%(理論値90.37%)、水素:測定値5.73%(理論値5.50%)、窒素:測定値4.05%(理論値4.13%)。NMR分析の結果は以下の通りであった。7.637−7.396ppm(40H)、7.336−7.172ppm(32H)、7.081−7.029ppm(2H)。
【0062】
[実施例6]
(HTM−6の合成)
N−(4’−ヨードビフェニリル)−アセトアニリド20.70g(0.050モル)、N、N−ビス(4−tert−ブチルフェニル)アミン16.88g(0.060モル)、無水炭酸カリウム10.40g(0.075モル)及び銅粉0.20g(0.003モル)、n−ドデカン10mlを混合し、200〜212℃で15時間反応させた。反応生成物をトルエン200mlで抽出し、不溶分を濾別除去後、濾液を濃縮してオイル状物を得た。オイル状物はイソアミルアルコール80mlに溶解し、水5ml、85%水酸化カリウム5.00g(0.075モル)を加え、130℃で加水分解した。水蒸気蒸留でイソアミルアルコールを留去後、トルエン250mlで抽出し、有機層を水洗、乾燥して濃縮した。濃縮物はカラムクロマトにより精製(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=1/2)して、N、N−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−N’−フェニル−4,4’−ジアミノビフェニル20.21g(収率75.5%、HPLC純度98.0%)を得た。融点は、161.1〜162.0℃であった。
【0063】
N、N−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−N’−フェニル−4,4’−ジアミノビフェニル11.78g(0.022モル)、4,4”−ジョード−p−テルフェニル5.00g(0.01モル)、無水炭酸カリウム4.14g(0.030モル)、銅粉0.32g(0.005モル)、n−ドデカン10mlを混合し、195〜210℃で30時間反応させた。反応生成物をトルエン400mlで抽出し、不溶分を濾別除去後、濾液を濃縮した。濃縮後にメタノール60mlを加えて晶析し、吸引ろ過を行い粗結晶を得た。粗結晶をトルエン50mlで還流溶解後、45℃まで放冷した。酢酸エチル100mlを滴下し、晶析を行い、結晶を得た。N,N’−ビス[{ビス(4−tert−ブチルフェニル)アミノ}ビフェニル−4’−イル]−N,N’−ジフェニル−4,4”−ジアミノ−p−テルフェニルは、得量8.22g、収率61.1%、HPLC純度94.8%であった。
【0064】
結晶は、カラムクロマトにより精製(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン/n−ヘキサン=1/2)して、N,N’−ビス[{ビス(4−tert−ブチルフェニル)アミノ}ビフェニル−4’−イル]−N,N’−ジフェニル−4,4”−ジアミノ−p−テルフェニル4.98g(HPLC純度100.0%、カラム精製収率60.6%)を得た。融点は、215.0℃であった。NMR分析、元素分析、IR測定により生成物の同定を行なった。元素分析値は以下の通りである。炭素:測定値88.56%(理論値88.50%)、水素:測定値7.18%(理論値7.11%)、窒素:測定値4.31%(理論値4.39%)。NMR分析の結果は以下の通りであった。7.623ppm(4H)、7.538−7.407pm(12H)、7.275−7.035ppm(38H)、1.313ppm(36H)。
【0065】
次に、合成実施例にて合成した各化合物についての物性値をまとめて表2に示した。
【0066】
【表3】


【0067】
<EL素子の作製および特性評価>
以下の実施例においては、上記実施例で合成した各化合物について実際にEL素子として評価し、素子の発光特性、発光特性の安定性、保存安定性を検討した。EL素子は、図1に示すように、ガラス基板1上に透明陽極2としてITO電極をあらかじめ形成したものの上に、正孔注入層3、正孔輸送層4、電子輸送層兼発光層5、陰極バッファー層6、陰極(アルミニウム電極)7の順に蒸着して作製した。ITO電極成膜済みのガラス基板をUV&オゾン処理にて表面を洗浄した。これを、蒸着機内にセットした。続いて、正孔注入材、正孔輸送材、電子輸送性発光材、バッファー層、陰極、として、それぞれ、精製した銅フタロシアニン、本発明の正孔輸送材、精製したアルミキノリン3量体、フッ化リチウム、アルミニウムを蒸着装置にセットした。蒸着は、水晶振動子によって膜厚をモニターし、蒸着速度2.00Å/secで行った。正孔注入層25nm、正孔輸送層35nm、電子輸送性発光層50nm、バッファー層1nm、陰極は蒸着速度4.00Å/secで150nmまで蒸着した。これらの蒸着はいずれも真空を破らずに連続して行なった。素子作製後、直ちに乾燥窒素中で電極の取り出しを行ない、引続き特性測定を行なった。
【0068】
得られた素子の発光特性は100mA/cmの電流を印加した場合の発光輝度で定義した。また高温駆動時における発光安定性は、正孔輸送材の膜特性による差異が直接的に比較できるように、封止処理を行なわない素子を用いて比較した。100℃の高温環境下において、素子が1000cd/mの発光輝度を示した初期電圧を連続して印加して、発光輝度の低下と電流値の変化を測定した。
【0069】
[実施例7]
正孔輸送材としてHTM−1(R1、R2、R3=H、n=3、融点=164.8℃、Tg=151.0℃)を使用し、UV&オゾン処理にて洗浄したITO電極、正孔注入材として精製した銅フタロシアニン、電子輸送性発光材として精製したアルミキノリン3量体、バッファー層としてフッ化リチウム、陰極としてアルミニウムを蒸着装置にセットした。蒸着は、水晶振動子によって膜厚をモニターし、蒸着速度2.00Å/secで行った。正孔注入層25nm、正孔輸送層35nm、電子輸送層兼発光層50nm、バッファー層1nm、陰極は蒸着速度4.00Å/secで150nmまで蒸着した。これらの蒸着はいずれも真空を破らずに連続して行なった。素子作製後、直ちに乾燥窒素中で電極の取り出しを行ない、ペリチェ素子に貼り付けて100℃まで加温し、100℃を保ったまま特性評価をおこなった。初期輝度1000cd/mを示した電圧は6.0Vであった。この素子は安定化後に11.6mAで最大輝度1099cd/mを示した。 その後、5時間後には462cd/m、8時間後には321cd/m、12時間後には214cd/mへと輝度低下した。12時間後における駆動電流は2.2mAであった。
【0070】
[比較例1]
比較のために正孔輸送材として、現在正孔輸送材料の主流となっている、N、N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(以下、α−NPD)で表される化合物を使用して、実施例7と同じ条件でEL素子を作製し、同様の方法でその特性を調べた。この素子は5.0Vで初期輝度1000cd/mを示した。この素子は安定化後に10.6mAで最大輝度1089cd/mを示した。この素子は実施例7の素子よりも駆動電圧が低いのにもかかわらず、5時間後の発光輝度は426cd/m、8時間後は282cd/m、12時間後は184cd/mと、より大きな輝度低下が認められた。また12時間後における駆動電流は2.8mAで、実施例7の素子よりも電流効率が低下していた。
【0071】
【化11】

【0072】
[実施例8]
実施例7と同様の方法でそれぞれ、HTM−2(R1=フェニル基、R2、R3=H、n=3、融点=189.3℃、Tg=154.5℃)、HTM−3(R1=tert−ブチル基、R2、R3=H、n=3、融点=200.5℃、Tg=158.1℃)、HTM−4(R1、R2、R3=H、n=4、融点=173.1℃、Tg=156.5℃)、HTM−5(R1、R2=フェニル基、R3=H、n=3、融点=204.5℃、Tg=173.3℃)、HTM−6(R1、R2=4−tert−ブチルフェニル基、R3=H、n=3、融点=215.0℃、Tg=181.0℃)を正孔輸送材として使用したEL素子を作製し、その特性を評価した。結果を表3に示した。なお、上記複数のフェニル基で連結したテトラミン化合物HTM−1〜HTM−6の、R1及びR2の置換位置はすべてp−位である。
【0073】
【表4】

【0074】
[実施例9]
また、実施例8にて作成した素子において100℃高温下に保存した場合の素子概観の変化を観察した。結果を表4に示した。
α−NPDが24時間の保存で、素子が白濁化するのに対し、本発明において合成した化合物は、いずれも、透明性を維持し、高温環境下での優れたアモルファス膜の安定性を示した。
【0075】
【表5】

【0076】
以上のことより、本発明において合成した、複数のフェニル基で連結したテトラミン化合物を正孔輸送材として作製した素子は、熱安定性において優れていることが分かる。
【0077】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2003年12月26日出願の日本特許出願(特願2003−434432)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0078】
図中の符号、1はガラス基板、2は透明陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は電子輸送層兼発光層、6はバッファー層、7は陰極である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
従来の有機EL素子の最も大きな問題点であった、高温駆動時における発光安定性が要求される有機EL素子の材料として、本発明の材料は好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるテトラミン化合物:
【化1】


式中、R1、R2及びR3は同一でも異なってもよく水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、nは3または4を表す。
【請求項2】
下記一般式(1)で表される有機EL素子用材料:
【化2】


式中、R1、R2及びR3は同一でも異なってもよく水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、nは3または4を表す。
【請求項3】
下記一般式(1)で表されるテトラミン化合物を含有する有機EL素子:
【化3】


式中、R1、R2及びR3は同一でも異なってもよく水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、nは3または4を表す。
【請求項4】
基板上に陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び陰極を順次積層してなる、あるいは基板上に陽極、正孔輸送層、電子輸送層及び陰極を順次積層してなり正孔輸送層および電子輸送層のいずれかが発光機能を有する請求項3記載の有機EL素子。
【請求項5】
前記正孔輸送層が、一般式(1)で表されるテトラミン化合物と少なくとも1種の他の正孔輸送材料を含む請求項4記載の有機EL素子。
【請求項6】
基板上に陽極、正孔輸送層、電子輸送層及び陰極を順次積層した構成を有し、前記電子輸送層が発光機能を有する請求項4あるいは請求項5に記載の有機EL素子。
【請求項7】
基板上に陽極、正孔輸送層、電子輸送層及び陰極を順次積層した構成を有し、前記正孔輸送層が発光機能を有する請求項4あるいは請求項5に記載の有機EL素子。
【請求項8】
下記一般式(A)で表されるトリフェニルジアミノビフェニル化合物と、下記一般式(B)で表されるジハロゲン化合物との縮合反応を行う工程からなる、下記一般式(1)で表されるテトラミン化合物の製造方法:
【化4】


式中、R1、R2及びR3は同一でも異なってもよく水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、nは3または4を表す;
【化5】


式中、Xはハロゲン原子を表し、nは3または4を表す;
【化6】


式中、R1、R2及びR3は同一でも異なってもよく水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、nは3または4を表す。
【請求項9】
下記一般式(C)で表されるジアミノ化合物と下記一般式(D)で表されるハロゲン化合物との縮合反応を行い、縮合生成物を加水分解後、さらに下記一般式(E)で表されるハロゲン化合物との縮合反応を行うことからなる、下記一般式(2)で表されるテトラミン化合物の製造方法:
【化7】


式中、R4は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表し、nは3または4を表す;
【化8】


式中、R1は水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、R5は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表し、Xはハロゲン原子を表す;
【化9】


式中、R2は水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、Xはハロゲン原子を表す;
【化10】


式中、R1及びR2は同一でも異なってもよく水素原子、炭素数が4〜8の3級アルキル基、無置換のアリール基または炭素数が4〜8の3級アルキル基で置換されたアリール基を表し、nは3または4を表す。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−79833(P2011−79833A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238131(P2010−238131)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【分割の表示】特願2005−516726(P2005−516726)の分割
【原出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000005315)保土谷化学工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】