説明

テレビジョン装置および電子機器

【課題】圧接端子が圧接されるパッドの表面上にメッキ処理によらずに設けられた被覆層を有したテレビジョン装置および電子機器を得る。
【解決手段】実施形態にかかるテレビジョン装置にあっては、基板と、パッドと、受容部と、被覆層と、電気部品と、を備える。パッドは、基板の表面上に設けられる。受容部には、パッド上に配置された導電材が流動性を有した状態で流れ込む。被覆層は、少なくともパッドの表面を覆った状態で固化された導電材によって構成され、導電材が受容部に流れ込むことで形成される。電気部品は、被覆層上に圧接された圧接端子を有する。また、パッドは、流動する前の導電材がセットされるセット領域と、当該セット領域より外側に平面状に拡張された拡張領域と、を有し、受容部は、拡張領域である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、テレビジョン装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板の表面上に設けられたパッド上に電気部品の圧接端子が圧接された構成を有したテレビジョン装置等の電子機器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−109692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器では、パッドの表面上にメッキによる表面処理が施される場合がある。しかしながら、パッドの表面上にメッキによる表面処理を施すと、製造工程が増えて製造に手間がかかるとともに、製造コストの増大にもつながりかねない。
【0005】
そこで、本発明の実施形態は、一例としては、圧接端子が圧接されるパッドの表面上にメッキ処理によらずに設けられた被覆層を有したテレビジョン装置および電子機器を得ることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態にかかるテレビジョン装置にあっては、基板と、パッドと、受容部と、被覆層と、電気部品と、を備える。パッドは、基板の表面上に設けられる。受容部には、パッド上に配置された導電材が流動性を有した状態で流れ込む。被覆層は、少なくともパッドの表面を覆った状態で固化された導電材によって構成され、導電材が受容部に流れ込むことで形成される。電気部品は、被覆層上に圧接された圧接端子を有する。また、パッドは、流動する前の導電材がセットされるセット領域と、当該セット領域より外側に平面状に拡張された拡張領域と、を有し、受容部は、拡張領域である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1実施形態にかかる電子機器としてのテレビジョン装置の正面図である。
【図2】図2は、第1実施形態にかかるテレビジョン装置に含まれる基板および電気部品の一部を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、図2の被覆層を構成する導電材がセットされた状態を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、図2の被覆層を構成する導電材が流動して受容部に流れ込み被覆層が形成された状態を模式的に示す断面図である。
【図5】図5は、第1実施形態の第1変形例にかかるテレビジョン装置に含まれるパッドを示す平面図である。
【図6】図6は、第1実施形態の第2変形例にかかるテレビジョン装置に含まれるパッドを示す平面図である。
【図7】図7は、第1実施形態の第3変形例にかかるテレビジョン装置に含まれるパッドを示す平面図である。
【図8】図8は、第1実施形態の第4変形例にかかるテレビジョン装置に含まれるパッドを示す平面図である。
【図9】図9は、図8のパッドに導電材がセットされた状態を示す平面図である。
【図10】図10は、図9の導電材が受容部に流れ込む様子を模式的に示す平面図である。
【図11】図11は、図8のパッド上に被覆層が形成された状態を示す平面図である。
【図12】図12は、第1実施形態の第5変形例にかかるテレビジョン装置に含まれるパッドを示す平面図である。
【図13】図13は、図12のパッドおよび基板の断面図である。
【図14】図14は、第1実施形態の第6変形例にかかるテレビジョン装置に含まれるパッドを示す平面図である。
【図15】図15は、第1実施形態の第7変形例にかかるテレビジョン装置に含まれる基板および電気部品の一部を模式的に示す断面図である。
【図16】図16は、第1実施形態の第8変形例にかかるテレビジョン装置に含まれるパッドを示す平面図である。
【図17】図17は、図16のXVII−XVII断面図である。
【図18】図18は、第2実施形態にかかる電子機器としてのパーソナルコンピュータの斜視図である。
【図19】図19は、第3実施形態にかかる電子機器としてのコネクタを模式的に示す平面図であって、(a)は第一の部品と第二の部品とを接続する前の状態を示す図、(b)は第一の部品と第二の部品とを接続した後の状態を示す図である。
【図20】図20は、第4実施形態にかかる電子機器としてのコネクタの第一の部品を示す斜視図である。
【図21】図21は、第4実施形態にかかる電子機器としてのコネクタの第二の部品の一部を模式的に示す断面図である。
【図22】図22は、第4実施形態にかかる電子機器としてのコネクタの一部を模式的に示す断面図である。
【図23】図23は、第5実施形態にかかる電子機器としての磁気ディスク装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に示す複数の実施形態および実施例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0009】
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態にかかる電子機器1は、テレビジョン装置として構成され、前方から見た正面視(前面に対する平面視)で、長方形状の外観を呈している。この電子機器1は、筐体2と、筐体2の前面2aに設けられた開口部2bから前方に露出する表示画面3aを有した表示装置(ディスプレイ)としてのディスプレイパネル3(例えばLCD(Liquid Crystal Display)等)と、図示しない電子部品等が実装された基板4と、を備えている。ディスプレイパネル3および基板4は、筐体2に、図示しないねじ等によって固定されている。
【0010】
ディスプレイパネル3は、前後方向(図1の紙面に垂直な方向)に薄い扁平な直方体状に形成されている。ディスプレイパネル3は、基板4に実装された電子部品等で構成された制御回路に含まれる映像信号処理回路(いずれも図示せず)から映像信号を受け取り、その前面側の表示画面3aに、静止画や動画等の映像を表示させる。テレビジョン装置としての電子機器1の制御回路は、映像信号処理回路の他、いずれも図示しないチューナ部や、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)信号処理部、AV(Audio Video)入力端子、リモコン信号受信部、制御部、セレクタ、オンスクリーンディスプレイインタフェース、記憶部(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等)、音声信号処理回路等を有している。基板4は、筐体2内のディスプレイパネル3の後方に収容されている。また、電子機器1は、音声出力用のアンプやスピーカ等(図示せず)も内蔵している。
【0011】
図2に示すように、筐体2の内部には、例えばプリント配線板として構成される基板4と、基板4の表面4a上に配置された電気部品5とが、含まれている。電気部品5は、表面4a上に形成されたパッド6に圧接される圧接端子5aを有している。電気部品5は、圧接端子5aとパッド6とが相互に接触する部分とは別の部分で、基板4や筐体2等に対して係合あるいは結合され、圧接端子5aとパッド6との間には、押圧力が作用している。
【0012】
パッド6は、基板4の表面4a上に設けられた銅箔等からなる外層6aを有している。パッド6は、基板4の表面4aに対する平面視(図2の上方からの視線)では、例えば長方形状や、長円状、楕円状に形成される。なお、パッド6は、基板4の表面4aや、裏面4c、あるいは基板4の内部等に設けられて回路の一部をなす導体部(図示せず)に電気的に接続されている。
【0013】
また、基板4には、パッド6内に開口する凹部としての貫通孔4bが設けられている。また、貫通孔4bの基板4の裏面4c側の開口の周囲には、銅箔等からなる外層6bが設けられている。そして、貫通孔4bの内周面上には、表面4a側の外層6aおよび裏面4c側の外層6bの双方に電気的に接続された導体からなる内周部6cが設けられている。すなわち、内周部6cは、本実施形態では、所謂スルーホールビアとして設けられている。この内周部6cは、例えばメッキ処理等によって設けられる。
【0014】
パッド6の表面上は、導電材7の比較的薄い被膜としての被覆層8によって被覆されている。導電材7は、一例としては、熱可塑性を有するはんだ合金(はんだペースト)である。ここで、図3,4を参照して、被覆層8の形成方法について説明する。
【0015】
まず、図3に示すように、パッド6上に、熱可塑性の導電材7(一例としてははんだペースト)がセットされる。具体的には、例えば、パッド6の外層6aの全域上に、貫通孔4bを塞ぐ状態で、一定の厚さで、導電材7が載置される。なお、本実施形態では、導電材7は、セット時には、流動性は有していない。
【0016】
次に、電子部品等(図示せず)を基板4上にはんだ付けにより表面実装するためのリフロー工程において、基板4が加熱されると、熱可塑性を有する導電材7としてのはんだペーストは溶融する。すると、重力や、外層6aおよび内周部6cと溶融して流動性を有した導電材7との間で作用する分子間力等によって、図4に示すように、導電材7は、受容部9に含まれる凹部としての貫通孔4b内に流れ込む。こうして、外層6a上に、平坦化された薄膜状の被覆層8が形成される。なお、導電材7の量や、貫通孔4bおよび内周部6cの内径等は、図4に示すように、貫通孔4b内に流れ込んだ導電材7が基板4の裏面4c側に到達したり漏出したりしないよう、適宜に設定される。リフロー工程後、基板4が冷却されることで、導電材7は、図4の状態のまま、すなわち、パッド6を覆った状態で固化され、図2,4に示す被覆層8が形成される。
【0017】
本実施形態によれば、メッキ処理によらず、パッド6の表面を覆う導電材7によって構成された比較的薄い被膜としての被覆層8を得ることができる。よって、パッド6の表面上にメッキ処理を実施することによる製造の手間の増大や製造コストの増大を、抑制することができる。
【0018】
また、単に導電材7をパッド6上に配置して被覆層8を形成しただけでは、被覆層8を薄く形成しにくい。さらに、導電材7は液体の状態では、その表面張力によってパッド6の表面上で球面状に膨らむため、そのまま固化させた場合、場所による被覆層8の厚さ(高さ)のばらつきが大きくなりやすい。しかも、パッド6の中央部で被覆層8が高くなるため、圧接端子5aがパッド6の外に移動しやすくなってしまう。この点、本実施形態によれば、導電材7を受容部9に流し込むことで、比較的薄い被膜としての被覆層8を設けることができ、さらに、厚さのばらつきを抑制しやすくなる。なお、本実施形態にかかる導電材7の被覆層8は、パッド6と電気部品5の端子とを溶融接合することを目的とするものではなく、電気部品5の圧接端子5aの接触対象としてのパッド6の表面に、例えばパッド6の信頼性や耐久性を高めるために、導電材7による被覆層を形成することを主たる目的としている。
【0019】
また、本実施形態では、受容部9に凹部(一例として本実施形態では貫通孔4b)を含めたため、流動性を有する導電材7を受容部9により確実に流し込んで、被覆層8をより薄く形成しやすくなる。なお、パッド6上で流動する導電材7の濡れ広がりを考慮した場合、回路との接続部位は、基板4の内部(すなわち内周部6c等)あるいは基板4の裏面4c側(すなわち外層6b等)であるのが好適である。
【0020】
<第1変形例>
図5に示す第1変形例では、パッド6Aは平面視で長方形状に形成され、その長手方向の一端側に、受容部9Aに含まれる凹部としての貫通孔4bが、開口している。そして、本変形例では、貫通孔4bの反対側の領域が流動する前の導電材7(図3参照)のセット領域Stであるとともに、当該領域が圧接端子5a(図2参照)の当接領域Ctとなっている。このような構成によっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本変形例では、当接領域Ctを、パッド6A上の被覆層8の比較的平坦な部分に形成することができるため、製造誤差等により圧接端子5aのパッド6A上の被覆層8に対する基板4の面内方向(表面4aに沿う方向)のばらつきが比較的大きい場合等に有利である。
【0021】
<第2変形例>
図6に示す第2変形例では、パッド6Bは、受容部9Bに含まれる凹部としての貫通孔4bの周囲に形成される環状部分6dと、当該環状部分6dから基板4の表面4a上を外方に向けて突出する突出部分6eと、を有している。そして、本変形例では、突出部分6eが、流動する前の導電材7(図3参照)のセット領域Stであるとともに、圧接端子5a(図2参照)の当接領域Ctである。ここで、突出部分6eは、環状部分6dから径外方向に向かうにつれて細くなっている。すなわち、本変形例では、突出部分6eに、セット領域Stの一部である突出部分6eの先端側の領域から受容部9B側に向けて幅が広がる拡幅領域Swが含まれている。このように、拡幅領域Swを設けることで、導電材7がセット領域Stから受容部9Bに向けて流動しやすくなって、被覆層8の厚みが場所によってばらつくのを抑制することができる場合がある。
【0022】
<第3変形例>
図7に示す第3変形例では、パッド6Cは、セット領域Stならびに受容部9Cともに、平板状に構成されている。すなわち、本変形例では、パッド6Cは、受容部9Cとして、凹部を有さず、セット領域Stの外側に平面状に拡張された拡張領域Spを有する。このように、受容部9Cを、拡張領域Spとして構成することで、貫通孔を形成する場合に比べて、製造の手間の増大や製造コストの増大を、抑制することができる。なお、本変形例でも、パッド6Cは、セット領域Stから受容部9Cとしての拡張領域Spに向けて幅が広がる拡幅領域Swを有している。
【0023】
<第4変形例>
図8〜図11に示す第4変形例では、パッド6Dは、図8に示すように、受容部9Dに含まれる凹部としての貫通孔4bの周囲に形成される環状部分6dと、当該環状部分6dから基板4の表面4a上を外方に向けて突出する突出部分6eと、を有している。突出部分6eには、矩形状部分6fと、環状部分6dと矩形状部分6fとを接続する帯状部分6gとが含まれている。本変形例では、図9に示すように、パッド6Dの全域上に、熱可塑性の導電材7(一例としてははんだペースト)がセットされる。すなわち、本実施形態では、パッド6Dの全体がセット領域Stとなっている。そして、図10中に矢印で示すように、リフロー工程で溶融した導電材7は、貫通孔4b内へ流れ込む。このとき、本変形例では、図8に示すように、帯状部分6gの幅W3が、受容部9Dとしての環状部分6dの幅W1およびセット領域Stの一部である矩形状部分6fの幅W2より狭い。すなわち、狭窄領域Acに相当する帯状部分6gが導電材7の流動抵抗となって、導電材7が受容部9Dからセット領域Stの一部である矩形状部分6f側へ流出(逆流)するのが抑制される。このように、狭窄領域Acによって導電材7の逆流を抑制することで、被覆層8の厚さのばらつきを抑制できる場合がある。その後、基板4が冷却され、図11に示すように、パッド6Dの全域上に、貫通孔4bが塞がれる状態で、導電材7の比較的薄い被膜としての被覆層8が形成される。なお、図示しないが、本変形例で狭窄領域Acとなっている帯状部分6gの幅を、受容部9Dから遠い側から近づくにつれて漸増するように設定することができる。この場合、帯状部分6gは、狭窄領域Acおよび拡幅領域Swとして機能することになり、被覆層8の厚みが場所によってばらつくのを抑制しやすくなる。
【0024】
<第5変形例>
図12,13に示す第5変形例では、平面視で長方形状のパッド6Eの中央部に、受容部9Eに含まれる凹部としての貫通孔4bが開口している。本変形例では、パッド6Eの全域上に、導電材7がセットされ、リフロー工程で加熱されて流動した導電材7(図3参照)は、貫通孔4b内に流れ込み、パッド6E上に導電材7の比較的薄い被膜としての被覆層8が形成される。ここで、本変形例では、導電材7が凹部としての貫通孔4b内に流れ込んだ部分の上面6hが、圧接端子5a(図2参照)の当接領域Ctである。このため、貫通孔4bの直径は比較的大きく設定されている。この場合、上面6hは、導電材7の流動時の表面張力により、中央部を最深部とする凹面状に形成される。したがって、圧接端子5aを、当接領域Ctの中央部へ案内することができる。なお、上面6hの基板4の表面4aと垂直な断面での曲率半径は、圧接端子5aの先端部分の同断面での曲率半径より大きく設定するのが好適である。
【0025】
<第6変形例>
図14に示す第6変形例では、複数のパッド6Fが、電気部品5Fの複数の圧接端子5a(図2参照)に対応して設けられている。複数のパッド6Fは、平面視で矩形状の電気部品5Fの周縁の相互に対向する一対の長辺5b,5bのそれぞれに沿って、列状に配置されている。各パッド6Fは、細長く形成され、各パッド6Fの長手方向一端側に、受容部9Fに含まれる凹部としての貫通孔4bが形成されている。また、パッド6Fの長手方向他端側となる当接領域Ctは、電気部品5Fの各圧接端子5aに対向する位置で、長辺5bに沿って一列に並べて配置されている。また、受容部9Fの形成された前記長手方向一端側のパッド6Fの幅は、当接領域Ctとなる前記長手方向他端側の幅より大きい。そして、パッド6Fの各列では、受容部9Fが各列の幅方向(図14の上下方向)の一方側に配置されたパッド6Fと、他方側に配置されたパッド6Fとが、交互に配置されている。このような構成および配置により、パッド6Fの幅の広い領域(本変形例では、受容部9Fが設けられた側)が列に沿って並んで幅の広い領域同士が隣接して配置されるのが、抑制されている。したがって、パッド6F上に形成される被覆層8同士が短絡するのを抑制しやすくなる。また、被覆層8同士の短絡を抑制しながら、パッド6Fの配置密度をより高められるという効果や、受容部9Fに含まれる凹部としての貫通孔4bの径をより大きくしやすいという効果が得られる。
【0026】
<第7変形例>
図15に示す第7変形例では、パッド6Gが、常温で流動性を有した導電材7G(例えば導電性接着剤等)によって形成された被覆層8Gで覆われている。比較的粘度の低い導電材7Gは、パッド6Gの表面に沿って濡れ広がり、乾燥して固化され、比較的薄い被膜としての被覆層8Gが形成される。この導電材7Gによっても、上記第1実施形態や、第1〜第6変形例と同様の構成とすることができ、同様の効果を得ることができる。
【0027】
<第8変形例>
図16,17に示す第8変形例では、パッド6Hが、相互に間隔をあけて分割された複数の小パッド部6i,6jを含み、被覆層8が複数の小パッド部6i,6j上に分割して配置されている。これら小パッド部6i,6jの群は、基板4の裏面あるいは内部等を介して電気的に接続されており、一つのパッド6Hとして機能する。また、本変形例では、一例として、パッド6Hが、矩形状の比較的大きな小パッド部6iと、当該小パッド部6iの周囲を取り囲むように配置された比較的小さな小パッド部6jとを、含んでいる。
【0028】
本変形例によれば、図17に示すように、小パッド部6i,6j上に形成される被覆層8の個々は、曲面上に膨出するものの、パッド6Hを複数の小パッド部6i,6jに細分化した分、小パッド部6i,6j間に凹部Cpが形成されるため、当該凹部Cpに圧接端子5a(図2参照)を陥入させることができる。したがって、小パッド部6iが係止機構として機能し、圧接端子5aがパッド6Hの外に移動しにくいという効果が得られる。本変形例によっても、メッキ処理によらず、パッド6Hの表面を覆う導電材7によって構成された比較的薄い被膜としての被覆層8を得ることができる。よって、パッド6Hの表面上にメッキ処理を実施することによる製造の手間の増大や製造コストの増大を、抑制することができる。
【0029】
<第2実施形態>
図18に示すように、本実施形態にかかる電子機器10は、所謂ノート型のパーソナルコンピュータとして構成されており、矩形状の扁平な第一の本体部12と、矩形状の扁平な第二の本体部13と、を備えている。これら第一の本体部12および第二の本体部13は、ヒンジ機構14を介して、回動軸Ax回りに図18に示す展開状態と図示しない折り畳み状態との間で相対回動可能に、接続されている。
【0030】
第一の本体部12には、筐体12aの外面としての前面12b側に露出する状態で、入力操作部としてのキーボード15や、ポインティングデバイス16、クリックボタン17等が設けられている。一方、第二の本体部13には、筐体13aの外面としての前面13b側に露出する状態で、表示装置(部品)としてのディスプレイパネル18が設けられている。ディスプレイパネル18は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)として構成される。そして、電子機器10の展開状態では、キーボード15や、ポインティングデバイス16、クリックボタン17、ディスプレイパネル18の表示画面18a等が露出して、ユーザが使用可能な状態となる。一方、折り畳み状態では、前面12b,13b同士が相互に近接した状態で対向して、キーボード15や、ポインティングデバイス16、クリックボタン17、ディスプレイパネル18等が、筐体12a,13aによって隠された状態となる。なお、図11では、キーボード15のキー15aは一部のみ図示されている。
【0031】
そして、第1実施形態または第1〜第8変形例で示したのと同様の基板11が、第一の本体部12の筐体12aまたは第二の本体部13の筐体13a内に(本実施形態では、筐体12a内のみに)収容されている。
【0032】
ディスプレイパネル18は、基板11に実装された電子部品等で構成された制御回路(いずれも図示せず)から表示信号を受け取り、静止画や動画等の映像を表示する。また、電子機器10の制御回路は、制御部、記憶部(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等)、インタフェース回路、各種コントローラ等を有している。また、電子機器10は、音声出力用のスピーカ等(図示せず)も内蔵している。
【0033】
そして、基板11には、図示しないが、上記第1実施形態または第1〜第8変形例で示した被覆層を有したパッド、ならびに当該パッドに圧接される圧接端子を備えた電気部品を設けることができる。したがって、本実施形態にかかる電子機器10にあっても、上記第1実施形態ならびに上記第1〜第8変形例によって得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0034】
<第3実施形態>
図19に示すように、本実施形態にかかる電子機器20としてのコネクタは、第一の部品としての第一の基板21と、第二の部品としての第二の基板22と、を備えている。第一の基板21には、複数のパッド23が形成され、第二の基板22の圧接端子24aが、押し付けられる。本実施形態では、第二の部品としての第二の基板22が電気部品に相当する。
【0035】
ここで、本実施形態にかかるパッド23は、詳細には図示しないが、上記第1実施形態または第1〜第8変形例で示したものと同様の被覆層を有したパッド23として構成することができる。したがって、本実施形態にかかる電子機器20にあっても、上記第1実施形態ならびに上記第1〜第8変形例によって得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0036】
<第4実施形態>
図20〜22に示すように、本実施形態にかかる電子機器30としてのコネクタは、第一の部品としての基板31と、第二の部品としての雌コネクタ32と、を備えている。基板31には、複数のパッド33が形成され、雌コネクタ32の圧接端子34aが、押し付けられる。本実施形態では、第二の部品としての雌コネクタ32が電気部品に相当する。
【0037】
図20に示すように、基板31上には、細長く伸びる複数のパッド33が、その長手方向と直交する方向に間隔をあけて配置されている。各パッド33上には、上記第1実施形態ならびに第1〜第8変形例と同様の手法により、導電材7からなる被覆層8が形成することができる。なお、図20の例では、被覆層8は比較的薄く平坦に形成されている。
【0038】
また、図20に示すように、複数のパッド33間には、基板31の上方に突出する隔壁35が設けられている。図20の例では、隔壁35は、一定の幅かつ高さで、パッド33の長手方向に沿って細長く伸びている。
【0039】
一方、図21に示すように、雌コネクタ32には、基板31を受け容れる凹部32aが形成されている。この凹部32aの上部には、各パッド33に接触する圧接端子34aが設けられている。圧接端子34aは、凹部32aに挿入された基板31のパッド33上に、弾性的に押圧される。
【0040】
図22に示すように、凹部32aに基板31が挿入された状態で、基板31に設けられた隔壁35は、凹部32a内の空間を、パッド33毎に、複数の小室に区分する。被覆層8を構成する導電材7が金属を含む場合、当該金属の結晶によるウィスカ(ひげ)が発生する場合がある。この点、本実施形態では、隔壁35が設けられているため、ウィスカによってパッド33同士が短絡するのを抑制しやすくなる。
【0041】
<第5実施形態>
図23に示すように、本実施形態にかかる電子機器は、磁気ディスク装置40として構成されている。磁気ディスク装置40は、磁気ディスク(図示せず)等の部品を収容する扁平な直方体状の筐体41と、筐体41にねじ42等の締結具によって取り付けられた基板(プリント基板)43と、を有している。
【0042】
また、基板43は、筐体41の上壁部41a上に配置されている。基板43と上壁部41aとの間には、フィルム状の絶縁シート(図示せず)が挟まれている。そして、本実施形態では、基板43の図23の視線での裏面、すなわち上壁部41aに対向する基板43の裏面(図示せず)が、複数の電子部品等が実装される実装面となっている。基板43の表面および裏面には、配線パターン(図示せず)が設けられている。なお、もちろん、基板43の表面にも電子部品を実装することができる。
【0043】
基板43には、図示しないが、上記各実施形態または各変形例で示した被覆層を有したパッド、ならびに当該パッドに圧接される圧接端子を備えた電気部品を設けることができる。したがって、本実施形態にかかる電子機器としての磁気ディスク装置40にあっても、上記各実施形態ならびに上記各変形例によって得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0044】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、テレビジョン装置やノート型のパーソナルコンピュータ以外の電子機器としても実施することができる。また、基板や、電気部品、パッド、受容部、被覆層、圧接端子、凹部、セット領域、拡張領域、狭窄領域、拡幅領域、当接領域、小パッド部、隔壁等のスペック(構造や、形状、大きさ、長さ、深さ、厚さ、断面積、重量、数、材質、配置、位置等)は、適宜に変更して実施することができる。一例として、凹部は、貫通孔ではなく有底孔として設けることができる。また、受容部は、凹部と拡張領域との双方を有することができる。また、圧接端子は、平坦な接触面が形成された端子であってもよい。また、パッドの平面形状は、種々に変形することができる。また、隔壁は、電気部品側に設けることができる。
【0045】
上記実施形態および上記変形例によれば、圧接端子が圧接されるパッドの表面上にメッキ処理によらずに被覆層を設けることが可能なテレビジョン装置および電子機器を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1,10,20,30,40…電子機器、4,21,31,43…基板、4a…表面、4b…貫通孔(凹部)、5…電気部品、5a…圧接端子、6,6A〜6H…パッド、6h…上面、6i,6j…小パッド部、8,8G…被覆層、9,9A〜9F…受容部、Ac…狭窄領域、Ct…当接領域、Sp…拡張領域、St…セット領域、Sw…拡幅領域、W1,W2,W3…幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の表面上に設けられたパッドと、
前記パッド上に配置された導電材が流動性を有した状態で流れ込んだ受容部と、
少なくとも前記パッドの表面を覆った状態で固化された前記導電材によって構成され、前記導電材が前記受容部に流れ込むことで形成された被覆層と、
前記被覆層上に圧接された圧接端子を有した電気部品と、
を備え、
前記パッドが、流動する前の前記導電材がセットされるセット領域と、当該セット領域より外側に平面状に拡張された拡張領域と、を有し、
前記受容部が、前記拡張領域である、テレビジョン装置。
【請求項2】
基板と、
前記基板の表面上に設けられたパッドと、
前記パッド上に配置された導電材が流動性を有した状態で流れ込んだ受容部と、
少なくとも前記パッドの表面を覆った状態で固化された前記導電材によって構成され、前記導電材が前記受容部に流れ込むことで形成された被覆層と、
前記被覆層上に圧接された圧接端子を有した電気部品と、
を備え、
前記パッドが、前記受容部と流動する前の前記導電材がセットされるセット領域との間に、狭窄領域を有した、テレビジョン装置。
【請求項3】
基板と、
前記基板の表面上に設けられたパッドと、
前記パッド上に配置された導電材が流動性を有した状態で流れ込んだ受容部と、
少なくとも前記パッドの表面を覆った状態で固化された前記導電材によって構成され、前記導電材が前記受容部に流れ込むことで形成された被覆層と、
前記被覆層上に圧接された圧接端子を有した電気部品と、
を備え、
前記パッドが、前記受容部と流動する前の前記導電材がセットされるセット領域との間に、前記セット領域から前記受容部に向けて幅が広がる拡幅領域を有した、テレビジョン装置。
【請求項4】
流動性を有した状態の導電材が置かれた第一領域とこの第一領域から外側に拡張された形状を有し前記導電材が流れ込んだ第二領域とを有したパッドと、
前記パッドを覆った状態で固化された前記導電材により構成された覆層と、
を含む基板と、
前記覆層に接した端子を有した部品と、
を備えたテレビジョン装置。
【請求項5】
前記第二領域が、前記パッドあるいは前記基板に設けられた凹部を含む、請求項4に記載のテレビジョン装置。
【請求項6】
前記覆層のうち前記導電材が前記凹部内に流れ込んだ部分上に、前記端子が押し付けられた、請求項4に記載のテレビジョン装置。
【請求項7】
前記基板の面では、複数の前記パッドが間隔をあけて配置され、
前記部品または前記基板が、相互に隣接する前記複数のパッド間に位置された隔壁を有した、請求項4に記載のテレビジョン装置。
【請求項8】
筐体と、
前記筐体に収容され、部品が実装された基板と、
を備え、
前記基板は、
第一領域とこの第一領域から外側に拡張された形状を有した第二領域とを含むパッドと、前記第一領域に置かれるとともに該第一領域から一部が第二領域に流れ込んだ状態で固化されて、前記パッドを覆った導電性の覆層と、
を有し、
前記部品は、前記覆層に接した端子を有した、電子機器。
【請求項9】
筐体と、
前記筐体に収容され、第一領域とこの第一領域から拡張された形状を有した第二領域とを含むパッドと、前記第一領域から一部が第二領域に流れ込んだ状態で固化されて前記パッドを覆った導電性の覆層と、を含む基板と、
前記覆層に接した端子を有した部品と、
を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−15507(P2012−15507A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138601(P2011−138601)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【分割の表示】特願2010−149033(P2010−149033)の分割
【原出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】