説明

テレビジョン

【課題】画面上のノイズを抑制する。
【解決手段】チューナを介して受信した放送に含まれる映像信号に基づく映像表示を表示パネルに実行させるテレビジョンであって、上記映像信号の周波数をカウントし、当該カウントした周波数と、上記表示パネルを駆動するために予め設定されている駆動周波数との差が所定の数値範囲内である場合、当該予め設定されている駆動周波数を、当該数値範囲外の異なる駆動周波数へ変更して上記表示パネルを駆動させる周波数制御手段を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョンに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョンにおいては、チューナを介して受信した放送に含まれる映像信号に基づく映像表示を、表示パネルを所定の駆動周波数で駆動して実行する。
【0003】
ここで関連技術として、垂直又は水平周波数の変化を検出し、当該変化に応じたゲートオン電圧を出力する液晶表示装置の駆動方法が知られている(特許文献1参照。)。また、画像信号を光源信号と同期する同期信号に変換して液晶パネルを駆動する構成が知られている(特許文献2参照。)。また、調光信号のパルス幅変調周波数と垂直同期信号の周波数とを比較し、パルス幅変調周波数を任意に設定する液晶表示装置が知られている(特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004‐86146号公報
【特許文献2】特開2007‐225849号公報
【特許文献3】特開平10‐213789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、入力した映像信号が持つ周波数と、テレビジョンの表示パネルを駆動するためにタイミングコントローラに設定されている駆動周波数(1分間に表示パネルにフレームを表示する回数)との間に、僅かなずれがある場合、この僅かなずれに起因して周波数の干渉が起こり、表示パネル上に画質を劣化させるノイズが表れることがある。上記文献では、このような原因で発生するノイズへの対策は採られていなかった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、表示画面に表れるノイズを抑制することが可能なテレビジョンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様の一つは、チューナを介して受信した放送に含まれる映像信号に基づく映像表示を表示パネルに実行させるテレビジョンであって、上記映像信号の周波数をカウントし、当該カウントした周波数と、上記表示パネルを駆動するために予め設定されている駆動周波数との差が所定の数値範囲内である場合、当該予め設定されている駆動周波数を、当該数値範囲外の異なる駆動周波数へ変更して上記表示パネルを駆動させる周波数制御手段を備える構成としてある。
【0008】
当該構成によれば、入力した映像信号の周波数と表示パネルを駆動するために予め設定されている駆動周波数との差が所定の数値範囲内であるほどに近い場合、当該予め設定されている駆動周波数を、当該数値範囲外の異なる駆動周波数へ変更して上記表示パネルを駆動させる。そのため、入力した映像信号が持つ周波数と表示パネルの駆動周波数との間に僅かなずれが存在することに起因するノイズの発生を確実に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】テレビジョンの要部を概略的に示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態として、上記数値範囲は、上記映像信号の周波数と上記予め設定されている駆動周波数とが互いに干渉してノイズを発生させるほど近似していることを示す数値範囲であるとしてもよい。
また、本発明の実施形態として、上記周波数制御手段は、上記予め設定されている駆動周波数を変更する場合は、映像信号の周波数から10Hz以上異なる値へ変更する構成としてもよい。
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態にかかるテレビジョン10の要部を概略的に示したブロック図である。テレビジョン10においては、RFチューナ11が、高周波(RF)信号としてのデジタルテレビジョン放送信号をアンテナ18を介して受信する。RFチューナ11は、受信した放送信号を中間周波(IF)信号に周波数変換する。放送信号から周波数変換されたIF信号はデモジュレータ12に出力される。
【0012】
デモジュレータ12は、入力された信号をA/D変換するとともに、変換後のデジタル信号からトランスポートストリーム(TS)を抽出する。またデモジュレータ12は、TSのスクランブルを解除する処理を行なう。スクランブルが解除されたTSは、複数のトランスポートパケットが多重化された状態であり、各トランスポートパケットには映像信号や音声信号が格納されている。デモジュレータ12は、そのときユーザによってリモコン装置等を介して選局されているチャンネルに対応する映像信号(および音声信号)をTSから抽出する。
【0013】
TSから抽出された映像信号(および音声信号)はMPEG規格に従って符号化(エンコード)された状態であるため、MPEGデコーダ13は映像信号(および音声信号)をMPEG規格に従って復号化(デコード)する。MPEGデコーダ13は、復号化した映像信号をスケーラ14に出力する。スケーラ14は、入力された映像信号に対して、液晶パネル16(表示パネル)の画素数に応じたスケーリング処理(解像度変換処理)や、色補正処理、エッジ強調処理などの各種画像処理を必要に応じて実行し、1画面分の画像を表したデータであるフレームを生成する。タイミングコントローラ(T‐CON)15は、入力したフレームをフレームメモリ(図示せず)に一時的に保存しつつ、当該保存したフレームに対応する駆動信号を所定のタイミングで液晶パネル16に出力することにより、画素の配列により構成された液晶パネル16の各画素を駆動して液晶パネル16に映像を表示させる。
【0014】
このときT‐CON15は、マイクロコンピュータ等で構成された周波数コントローラ17によって予め設定されている垂直周波数(駆動周波数)に従った数のフレームを1秒間に液晶パネル16に表示させる。この駆動周波数は、例えば、50Hzや60Hzなどである。周波数コントローラ17は、周波数制御手段に該当する。
【0015】
図示は省略しているが、テレビジョン10は上述した構成以外にも上記デコードされた音声信号に基づく音声出力を行うための音声信号回路やスピーカ、テレビジョン10の各部に駆動用電源を供給するための電源回路など、TVとして一般的な構成を備える。
【0016】
周波数コントローラ17は、上記映像信号(例えば、MPEGデコーダ13がスケーラ14に出力した映像信号)の周波数をカウントする。ここで言う映像信号の周波数とは、例えば、映像信号のフレームレートである。周波数コントローラ17は、カウントした周波数と、液晶パネル16を駆動するために予め設定している上記駆動周波数との差が所定の数値範囲内であるか否か判定する。例えば、上記駆動周波数が50Hzに設定されており、映像信号の周波数も50Hzに設定されているとする。しかしながら、実際にこれらの周波数が完全に一致することは殆ど無く、上記カウントした結果は、50Hzから僅かなずれ(例えば、0.1Hz程度のずれ)があったりする。そのため、周波数コントローラ17は、上記カウントした周波数が、液晶パネル16を駆動するために予め設定している上記駆動周波数を中心とした所定の数値範囲に属しているか否か判定し、属している場合には、上記駆動周波数を、当該数値範囲外の異なる駆動周波数へ変更し、変更後の駆動周波数により、T‐CON15に液晶パネル16を駆動させる。
【0017】
上記数値範囲は、映像信号の周波数と上記駆動周波数とが互いに干渉してノイズを発生させるほど近似していることを示す数値範囲である。周波数コントローラ17は、例えば、上記駆動周波数が50Hzである場合、上記カウントした結果が49.5Hz〜50.5Hzの範囲に属していれば、カウントした周波数と上記駆動周波数との差が所定の数値範囲内であると判定し、上記駆動周波数を例えば60Hzに変更する。また、周波数コントローラ17は、例えば、上記駆動周波数が60Hzである場合、上記カウントした結果が59.5Hz〜60.5Hzの範囲に属していれば、カウントした周波数と上記駆動周波数との差が所定の数値範囲内であると判定し、上記駆動周波数を例えば50Hzに変更する。このように上記予め設定されている駆動周波数を変更する場合は、映像信号の周波数から10Hz以上異なる値へ変更することが望ましい態様の一つであると言える。10Hz程度離れていれば、上述したような干渉によるノイズは発生しないと言えるからである。
【0018】
このように本実施形態によれば、テレビジョン10では、入力した映像信号の周波数と液晶パネル16を駆動するために予め設定されている駆動周波数とが所定の数値範囲内に収まるほどに近くかつ不一致である場合(現実に完全一致することは無いと考えられる。)、当該予め設定されている駆動周波数を、当該数値範囲外の異なる駆動周波数へ変更して液晶パネル16を駆動させる。そのため、入力した映像信号が持つ周波数と液晶パネル10の駆動周波数との間に僅かなずれが存在することに起因して画面上に発生し得るノイズを、確実に抑えることができる。
【符号の説明】
【0019】
10…テレビジョン、11…RFチューナ、12…デモジュレータ、13…MPEGデコーダ、14…スケーラ、15…T‐CON、16…液晶パネル、17…周波数コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューナを介して受信した放送に含まれる映像信号に基づく映像表示を表示パネルに実行させるテレビジョンであって、
上記映像信号の周波数をカウントし、当該カウントした周波数と、上記表示パネルを駆動するために予め設定されている駆動周波数との差が所定の数値範囲内である場合、当該予め設定されている駆動周波数を、当該数値範囲外の異なる駆動周波数へ変更して上記表示パネルを駆動させる周波数制御手段を備えることを特徴とするテレビジョン。
【請求項2】
上記数値範囲は、上記映像信号の周波数と上記予め設定されている駆動周波数とが互いに干渉してノイズを発生させるほど近似していることを示す数値範囲であることを特徴とする請求項1に記載のテレビジョン。
【請求項3】
上記周波数制御手段は、上記予め設定されている駆動周波数を変更する場合は、映像信号の周波数から10Hz以上異なる値へ変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のテレビジョン。

【図1】
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【公開番号】特開2012−253720(P2012−253720A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127158(P2011−127158)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】