説明

テレビドアホンシステム

【課題】来訪者及び背景が撮像されている映像から来訪者のみを切り出して補正することで、背景に左右されることのない明瞭な来訪者の映像を居室親機に表示することを可能としたテレビドアホン装置を提供する。
【解決手段】玄関などに設置され、来訪者の映像を映し出すカメラを有し、当該来訪者と通話するための玄関子機と、玄関子機から伝送される映像信号を表示すると共に、来訪者と通話するための居室親機とから構成されるテレビドアホンシステムであって、居室親機は、玄関子機のカメラで撮像した映像から人物を検出して抜き出す人物抜き出し回路と、人物抜き出し回路で抜き出した来訪者の映像のみを独立に記憶する人物抜き出しバッファと、人物抜き出しバッファに記憶された来訪者の映像に対して補正をおこなう映像処理部を備えたことを特徴とするテレビドアホンシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテレビドアホンシステム係り、特に来訪者の識別を確実におこなうことができるテレビドアホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種のテレビドアホンシステムは玄関などに設置された玄関子機の呼出ボタンを来訪者が操作することにより、その玄関子機のカメラで撮像された来訪者やその周辺の映像を居室親機に送信し、それを確認した居住者が応答操作をおこなうことで、来訪者の映像を確認しながら居住者と通話するができるものであった。また、逆光で来訪者が確認しにくい場合には逆光補正ボタンを操作することで見やすい映像に補正することができるものであった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−236478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のテレビドアホンシステムは、来訪者のいる位置がカメラから離れていて小さく撮像されてしまい、居住者に視認しにくい映像になってしまったり、逆光状態で逆光補正しても映像全体を補正対象とするため、あまり改善がなされないため来訪者の判別がしにくくなってしまうこともあった。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑み、来訪者及び背景が撮像されている映像から来訪者のみを切り出して補正することで、背景に左右されることのない明瞭な来訪者の映像を居室親機に表示することを可能としたテレビドアホン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、玄関などに設置され、来訪者の映像を映し出すカメラを有し、当該来訪者と通話するための玄関子機と、玄関子機から伝送される映像信号を表示すると共に、来訪者と通話するための居室親機とから構成されるテレビドアホンシステムであって、居室親機は、玄関子機のカメラで撮像した映像から人物を検出して抜き出す人物抜き出し回路と、人物抜き出し回路で抜き出した来訪者の映像のみを独立に記憶する人物抜き出しバッファと、人物抜き出しバッファに記憶された来訪者の映像に対して補正をおこなう映像処理部を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のテレビドアホン装置において、映像処理部は、来訪者の映像を所定の倍率でズーム処理するズーム処理回路、来訪者をパンチルト処理するパンチルト処理回路、来訪者を録画する録画処理回路、来訪者の映像の逆光状態を補正する逆光補正回路、来訪者の映像の歪みを補正する歪み補正処理回路のうち少なくとも一つを実行するものであることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のテレビドアホン装置において、居室親機は、玄関子機からの呼び出し時には、カメラで撮像した映像をモニタに出画し、ズーム操作したとき人物抜き出しバッファで記憶した来訪者の映像のみをズーム処理回路で所定の倍率でズーム処理し、人物抜き出し回路で抜き出された以外の背景画像にズーム処理した来訪者の映像を合成する映像合成回路を備え、ズーム操作したときに擬似的に立体像として表示されることを特徴とする請求項2記載のテレビドアホンシステム。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、居室親機の映像処理部は、玄関子機のカメラで撮像された映像のうち来訪者のみを切り出して、その切り出した来訪者の映像に対して補正をするためカメラで撮像した全体映像を補正するよりも明瞭な来訪者の映像を表示させることができる。
請求項2の発明よれば、ズーム処理、パンチルト処理、録画処理、逆光補正、歪み補正等、様々な補正をおこなうことができる。
請求項3の発明によれば、居住者は来訪者の映像を擬似的に立体像として捉えることができるので臨場感ある映像で確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施例におけるテレビドアホンシステムのシステム構成図である。
【図2】図2は、本発明の実施例における居室親機の映像処理部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
本発明のテレビドアホンシステムは、図1のシステム構成図に示すように玄関子機1、居室親機2が接続されており、玄関子機1には、来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタン11、来訪者が居住者と通話するための子機マイク12及び子機スピーカ13、来訪者や周辺の映像を撮像するカメラ14とを有している。
また、居室親機2は、玄関子機1のカメラ14で撮像された映像を出画するモニタ21、来訪者と通話するための親機マイク22及び親機スピーカ23、来訪者からの呼び出しに応答するための通話/終話操作ボタン24、待受け時に玄関子機1のカメラ14を動作させるためのモニタボタン25、玄関子機1のカメラ14で撮像した映像を各種補正するための補正操作ボタン27から構成されている。
【0011】
また、居室親機2は、内部回路として映像処理部26を有しており、図2のブロック図に示すように、玄関子機1のカメラ14で撮像された映像を受信する映像入力回路261、当該映像を一時記憶するビデオバッファ262、ビデオバッファ262の映像から来訪者のみを抜き出す人物抜き出し回路263、人物抜き出し回路263で抜き出された来訪者の映像を一時記憶する人物抜き出しバッファ264、人物抜き出しバッファ264の映像を各種補正する、ズーム処理回路265、パンチルト処理回路266、録画処理回路267、逆光補正処理回路268、歪み補正処理回路269、補正した映像を合成する映像合成回路270、映像合成回路270で合成された映像をモニタ21に出画する映像出力回路271から構成されている。
【0012】
このように構成されたテレビドアホンシステムについて、以下、動作を説明する。
来訪者が居住者を呼び出すために玄関子機1の呼出ボタン11を押下すると、呼出信号が居室親機2へ送信され、これを検出した居室親機は、親機スピーカ23から呼出音を鳴動させる。以上の動作及び、居住者が通話/終話操作ボタン24を操作して玄関子機1の子機マイク12及び子機スピーカ13と親機マイク22及び親機スピーカ23との間で通話する点については従来と同様であるため、説明を省略し、本実施例では、当該呼出を受けた居室親機2から玄関子機1のカメラ14を駆動させて映像を取得し、取得した映像を居室親機2の映像処理部26で補正する点について説明する。
玄関子機1のカメラ14で撮像した映像は、居室親機2に送信され、居室親機2では映像処理部26に入力される。映像処理部26では映像入力回路261で受信して、ビデオバッファ262に一時記憶させる。
人物抜き出し回路263は、ビデオバッファ262に記憶された映像から来訪者を検出して抜き出す。本抜き出し処理は、例えば、特開2001−005977号公報の技術等を用いておこなわれる。
人物抜き出し回路263で抜き出された来訪者のみの映像は、人物抜き出しバッファ264に一時記憶される。また、当該人物抜き出しバッファに記憶された来訪者の映像は、例えば、以下のような処理をおこなう。
【0013】
居住者が居室親機2の補正操作ボタン27のうち、逆光補正ボタンを操作すると、人物抜き出しバッファ264に一時記憶された来訪者の画像を読み出して逆光補正をおこなう。なお、この逆光補正処理回路268が、人物抜き出しバッファ264に記憶された来訪者映像のみに逆光補正処理を施すため全画面を処理するよりも補正効果が得られる。
また、居住者が居室親機2の補正操作ボタン27のうち、歪み補正処理ボタンを操作すると、人物抜き出しバッファ264に一時記憶された来訪者の画像を読み出して歪みを補正する。なお、この歪み補正処理回路269が、人物抜き出しバッファ264に記憶された来訪者映像のみに歪み補正処理を施すため全画面を処理するよりも補正効果が得られる。
この他、補正操作ボタン27のうちズームボタン、パンチルトボタン、録画ボタンを操作した場合においても、所定の倍率でズームし、所定の角度でパンチルトし、来訪者映像だけ録画処理することが、映像処理部26のズーム処理回路265、パンチルト処理回路266、録画処理回路267でおこなわれる。
【0014】
動作の一例として、次のように動作すると居住者は来訪者の映像を臨場感ある映像として確認することができる。すなわち、来訪者が居住者を呼び出すために玄関子機1の呼出ボタン11を操作すると、上述の通り、玄関子機で撮像された映像が居室親機2に送信され、ビデオバッファ262に一時記憶される。呼出状態では、当該ビデオバッファに記憶された映像をそのまま映像出力回路270から出力させてモニタ21に出力する。
【0015】
これを確認した居住者が、補正操作ボタン27のうちズームボタンを操作すると、人物抜き出し回路263がビデオバッファ262に記憶された映像から来訪者を検出して抜き出す。上述のとおり人物抜き出し回路263で抜き出された来訪者のみの映像は、人物抜き出しバッファ264に一時記憶されるとともに、この映像を所定の倍率でズームする。そして、ズーム処理された来訪者の映像とズーム処理されていない背景画像とを映像合成回路270で合成処理して映像出力回路271を介してモニタ21に出力させる。
これにより、居住者は擬似的に立体像として表示されたように見えるので臨場感ある映像を確認することができる。
【0016】
また、上記実施例において、居室親機2の前面側ハウジング内に、人物抜き出し回路263及び人物抜き出しバッファ264の各部を動作可能な有効状態と動作を不要とする無効状態に設定する設定部を有してもよい。
無効に設定された場合は、映像処理部26のズーム処理回路265、パンチルト処理回路266、録画処理回路267、逆光補正処理回路268、歪み補正処理回路269は、全てビデオバッファ262の全体映像に対して補正されることとなる。
【符号の説明】
【0017】
1・・・ 玄関子機
11・・・ 呼出ボタン
12・・・ 子機マイク
13・・・ 子機スピーカ
14・・・ カメラ
2・・・ 居室親機
21・・・ モニタ
22・・・ 親機マイク
23・・・ 親機スピーカ
26・・・ 映像処理部26

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関などに設置され、来訪者の映像を映し出すカメラを有し、当該来訪者と通話するための玄関子機と、玄関子機から伝送される映像信号を表示すると共に、前記来訪者と通話するための居室親機とから構成されるテレビドアホンシステムであって、
前記居室親機は、前記玄関子機のカメラで撮像した映像から人物を検出して抜き出す人物抜き出し回路と、前記人物抜き出し回路で抜き出した来訪者の映像のみを独立に記憶する人物抜き出しバッファと、前記人物抜き出しバッファに記憶された来訪者の映像に対して補正をおこなう映像処理部を備えたことを特徴とするテレビドアホンシステム。
【請求項2】
前記映像処理部は、前記来訪者の映像を所定の倍率でズーム処理するズーム処理回路、前記来訪者をパンチルト処理するパンチルト処理回路、前記来訪者を録画する録画処理回路、前記来訪者の映像の逆光状態を補正する逆光補正回路、来訪者の映像の歪みを補正する歪み補正処理回路のうち少なくとも一つを実行するものであることを特徴とする請求項1記載のテレビドアホンシステム。
【請求項3】
前記居室親機は、前記玄関子機からの呼び出し時には、前記カメラで撮像した映像をモニタに出画し、ズーム操作したとき前記人物抜き出しバッファで記憶した来訪者の映像のみを前記ズーム処理回路で所定の倍率でズーム処理し、前記人物抜き出し回路で抜き出された以外の背景画像に前記ズーム処理した来訪者の映像を合成する映像合成回路を備え、
前記ズーム操作したときに擬似的に立体像として表示されることを特徴とする請求項2記載のテレビドアホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−95027(P2012−95027A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239592(P2010−239592)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】