説明

テレビドアホン装置

【課題】自動で判別される逆光モード時において最適な輝度レベルとなるようにカメラにて撮像される映像信号の露光・逆光補正を行い、出画映像の視認性を高める。
【解決手段】OPD回路115にて検波される映像信号の輝度検波値及びヒストグラム算出回路116にて算出される映像信号の輝度ヒストグラム検波値とメモリ124に記憶されている閾値とを露光制御回路123にて比較してカメラ11の逆光モードを自動で判別する逆光モード時において、最適な輝度レベルとなるようにシャッタ112及びCDS/AGC回路113をそれぞれ露光制御するとともに、メモリに記憶されている逆光モードの制御条件で輝度補正回路120及びクロマ補正回路122をそれぞれ制御する。また、カメラの逆光モードを判別するために参照される閾値を跨ぐ所定の輝度範囲を、カメラの逆光モード又は非逆光モードとして判別しないための不感帯域として設け、メモリに記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子機のカメラにて撮像される被写体の映像を親機のモニタに出画するテレビドアホン装置に係り、特に、カメラの逆光モード時における最適な露光制御及び画像補正処理を自動で行い、出画映像の視認性を高めたテレビドアホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カメラにて被写体の映像を逆光モードで撮像すると、背景と比較して被写体が暗くなり、被写体である人物の顔部を明確に見分けることが困難となるため、その映像を出画するモニタでの視認性が低下していた。
【0003】
そこで、アイリス制御等により被写体を明るくするための補正処理機能を有するカメラ付きドアホン子機が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−115755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、背景技術に記載した特許文献1のカメラ付きドアホン子機が有する補正処理機能によれば、元々暗い被写体の輝度レベルを強制的に上げているため、被写体よりも明るい背景の輝度レベルは、最大レベル、すなわち、白に近くなり、このように補正処理された映像信号をモニタで出画すると、当該モニタの自動輝度制御機能によって画面全体が適正な明るさに調整されて被写体と背景とのコントラストが小さくなり、明るい部分から暗い部分までコントラスト階調がなく、メリハリのない画質、所謂、ぼやけた画質となる難点があった。
【0006】
また、特許文献1のカメラ付きドアホン子機によれば、逆光モードによる発色性の減衰を補正できない難点があった。
【0007】
さらに、特許文献1のカメラ付きドアホン子機によれば、アイリス(オートアイリス)を制御するための特別な回路が必要となり、その構成が複雑で高価となるため、例えば、テレビドアホン等に備えられる小型カメラに適用することが実用的でなかった。
【0008】
本発明は、これらの難点を解消するためになされたもので、自動で判別される逆光モード時において最適な輝度レベルとなるようにカメラにて撮像される映像信号の露光・逆光補正を行い、コントラスト階調を広くして明暗幅を持たせるとともに、逆光により減衰した発色性を補正して画質を向上させることにより、出画映像の視認性を高めたテレビドアホン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるテレビドアホン装置は、被写体の映像を撮像するためのカメラを有する子機と、子機のカメラにて撮像された映像を出画するためのモニタを有する親機とを備えるテレビドアホン装置である。カメラは、被写体から入射される光線を光電変換するための撮像素子と、撮像素子への入射量を可変するためのシャッタ手段と、撮像素子にて光電変換された電気信号をデジタル信号処理して被写体の映像信号を生成し、映像信号のゲインを調整するための信号生成・増幅手段と、撮像素子が有する撮像画面の光源の周囲に設けられる所定の検波枠内において映像信号の輝度レベルを検波するための検波手段と、検波枠内のヒストグラムを算出するためのヒストグラム算出手段と、検波手段による輝度検波値及びヒストグラム算出手段による輝度ヒストグラム検波値をもとにカメラの逆光モードを判別し、シャッタ手段の絞り量及び信号生成・増幅手段のゲインをそれぞれ制御してカメラの露光量を可変するための露光制御手段と、輝度検波値及び輝度ヒストグラム検波値にそれぞれ対応させてカメラが逆光モードであると判別するために予め設定された閾値を記憶する記憶手段とを備えている。露光制御手段は、逆光モード時において最適な輝度レベルとなるようにシャッタ手段及び信号生成・増幅手段をそれぞれ制御するものである。
【0010】
また、本発明の第2の態様であるテレビドアホン装置は、本発明の第1の態様において、信号生成・増幅手段にてゲインが調整された映像信号についてγ補正や色飽和度等の画像補正を行うための補正手段を備えている。記憶手段には、カメラの逆光モード又は非逆光モードの相違に対応させて異なる補正手段への制御条件と、閾値を跨ぐ所定の輝度範囲を逆光モード又は非逆光モードとして判別しない不感帯域とが記憶されている。露光制御手段は、補正手段への逆光モードの制御条件による制御中において、検波手段による輝度検波値が記憶手段に記憶される不感帯域内である場合、逆光モードの制御条件を維持するものである。
【0011】
また、本発明の第3の態様であるテレビドアホン装置は、本発明の第2の態様において、露光制御手段は、検波手段による輝度検波値が記憶手段に記憶される不感帯域外となった場合、補正手段への制御条件を逆光モードから非逆光モードに切換えるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のテレビドアホン装置によれば、子機のカメラにて撮像される映像信号の輝度検波値及び輝度ヒストグラム検波値にそれぞれ対応させて自動で逆光モードが判別される逆光モード時において、最適な輝度レベルとなるような露光制御を及び当該逆光モードの制御条件による輝度・クロマ補正処理を行うことにより、コントラスト階調を広くして明暗幅を持たせることができるばかりでなく、逆光により減衰した発色性を補正して画質を向上させることにより、親機のモニタにおける出画映像の視認性を高めることができる。
【0013】
また、本発明のテレビドアホン装置によれば、カメラの逆光モードを判別するために参照される閾値を跨ぐ所定の輝度範囲をカメラの逆光モード又は非逆光モードとして判別しないための不感帯域を設けることにより、輝度検波値の変化が少ないのにも関わらずカメラの逆光モード又は非逆光モードが変化した場合であっても、誤ったモード判別を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施例によるテレビドアホン装置の全体構成を示すシステム説明図である。
【図2】図2は、本発明の実施例によるテレビドアホン装置において、子機のカメラが有する映像撮像・補正処理機能の具体的な構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の実施例によるテレビドアホン装置の動作遷移を示すフローチャート図である。
【図4】図4は、本発明の実施例によるテレビドアホン装置において、カメラの逆光モードの制御条件による制御中において参照される不感帯域を示す説明図である。
【図5】図5(A)、(B)は、本発明の実施例によるテレビドアホン装置において、輝度信号及びクロマ信号のγ補正の遷移特性を示すグラフ図であり、図5(C)は、輝度信号のヒストグラム特性を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のテレビドアホン装置を適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施例によるテレビドアホン装置の全体構成を示すシステム説明図である。このテレビドアホン装置は、住戸外の例えば、住戸玄関に設置される子機1と、住戸内に設置され、伝送路Lを経由して子機1に接続される親機2とで構成されている。
【0017】
同図に示す子機1には、子機操作部10、カメラ11、子機マイク12及び子機スピーカ13が備えられている。
【0018】
この子機1において、子機操作部10は、住戸外の例えば、住戸玄関に居る来訪者が住戸内に在室中の居住者を呼出すために所定の操作(呼出操作)を行うものであり、例えば、呼出ボタンにて構成されている。
【0019】
カメラ11は、前述の呼出時における呼出操作を行った来訪者の映像や自子機が設置される住戸外の周囲近傍の監視映像を撮像するためのものである。
【0020】
子機マイク12及び子機スピーカ13は、来訪者が居住者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)を入出力するものである。
【0021】
また、同図に示す親機2には、モニタ20、親機マイク21、親機スピーカ22及び親機操作部23が備えられている。
【0022】
この親機2において、モニタ20は、子機1のカメラ11にて撮像された映像を出画するためのものであり、例えば、LCD、有機ELディスプレイ等の各種の出画表示媒体にて構成されている。なお、モニタ20には、来訪者による子機1からの呼出時において、その旨の文字メッセージや絵データ等を表示することもできる。
【0023】
親機マイク21及び親機スピーカ22は、居住者が来訪者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)を入出力するものである。なお、親機スピーカ22は、来訪者による子機1からの呼出時において、その旨の呼出音や音声メッセージ等を出力することもできる。
【0024】
親機操作部23は、来訪者による子機1からの呼出時において居住者が応答し、親機マイク21及び親機スピーカ22の使用による通話を開始するための応答操作と、前述の通話を終了するための終話操作と、住戸外の周囲近傍の監視する監視時において子機1のカメラ11及びモニタ20をそれぞれ起動させるためのモニタ監視操作等を行うものであり、例えば、通話ボタンやモニタボタンにて構成されている。
【0025】
次に、子機1のカメラ11が有する映像撮像・補正処理機能の具体的な構成について、図2のブロック図を参照して説明する。
【0026】
図2に示す子機1のカメラ11には、レンズ110、撮像素子111、シャッタ112、CDS/AGC回路113、A/D変換回路114、OPD回路115、ヒストグラム算出回路116、原色分離回路117、ホワイトバランス(WB)回路118、輝度プロセス回路119、輝度補正回路120、クロマプロセス回路121、クロマ補正回路122、露光(AE)制御回路123、メモリ124、ホワイトバランス制御回路125、加算回路126及びエンコーダ・ゲイン回路127が備えられている。なお、レンズ110、撮像素子111、シャッタ112を除くカメラ11の構成各部113〜127については、制御ICとして設けることができる。
【0027】
このカメラ11において、レンズ110は、被写体からの光線が入射されるものである。
【0028】
撮像素子111は、レンズ110を通過した光線を受光し、撮像画素毎に結像される光線の光量に対応した電荷を電気信号に光電変換するためのものであり、例えば、CCD、CMOS等の各種のセンサ媒体にて構成されている。
【0029】
シャッタ112は、レンズ110を通過した光線の撮像素子111への入射量を可変するためのものである。
【0030】
CDS/AGC回路113は、撮像素子111の出力データである電気信号について、CDSにて例えば、相関二重サンプリング処理を行い、ノイズを除去した後、オートゲインコントロール(AGC)にてゲインを調整するためのものである。
【0031】
A/D変換回路114は、CDS/AGC回路113の出力データであるアナログ形式の電気信号をデジタル信号にデジタル処理し、被写体の映像信号を生成するためのものである。
【0032】
OPD回路115は、撮像素子111が有する撮像画面の光源の周囲に設けられる所定の検波枠内においてA/D変換回路114の出力データである映像信号の輝度レベルを重み付け演算で検波し、その積分値を輝度検波値として生成するためのものである。
【0033】
ヒストグラム算出回路116は、前述の所定の検波枠内においてA/D変換回路114の出力データである映像信号を構成するR(赤)、G(緑)、B(青)の各原色信号の例えば、輝度(低輝度、中輝度、高輝度)領域毎のヒストグラムを算出し、その積分値を輝度ヒストグラム検波値として生成するためのものである。
【0034】
原色分離回路117は、A/D変換回路114の出力データである映像信号からR、G、Bの各原色信号を分離するためのものである。
【0035】
ホワイトバランス回路118は、原色分離回路117の出力データであるR、G、Bの各原色信号に対応する増幅手段(図示せず。)によってゲインを調整することでホワイトバランスを行い、色飽和度を補正するものである。
【0036】
輝度プロセス回路119は、ホワイトバランス回路118の出力データをもとに映像信号の隣り合う画素に対応する当該映像信号同士を加算することにより、輝度信号を生成するためのものである。
【0037】
輝度補正回路120は、輝度プロセス回路119の出力データである輝度信号についてγ補正を行うためのものである。ここで、輝度信号のγ特性としては、例えば、図5(A)のグラフ図に示すように、カメラ11の入力信号に対応させて出力信号の信号レベルを設定するにあたって、この補正カーブ上の変曲点を変化させることにより、入力信号の信号レベルの低い部分から高い部分に対応させて出力信号の信号レベルを可変することができ、輝度の明暗差であるコントラスト階調を広く持たせてダイナミックレンジを確保するものである。
【0038】
クロマプロセス回路121は、ホワイトバランス回路118の出力データであるR、G、Bの原色信号毎に所定の色補正処理、例えば、マスキング処理を行い、その色補正済みのクロマ信号を生成するためのものである。
【0039】
クロマ補正回路122は、クロマプロセス回路121の出力データであるクロマ信号についてγ補正を行うためのものである。ここで、クロマ信号のγ特性としては、例えば、図5(B)のグラフ図に示すように、カメラ11の入力信号に対応させて出力信号の信号レベルを設定するにあたって、この補正カーブ上の変曲点を変化させることにより、入力信号の信号レベルの低い部分から高い部分に対応させて出力信号の信号レベルを可変することができ、色の明暗差を加えるものである。
【0040】
露光制御回路123は、OPD回路115の出力データである輝度検波値及びヒストグラム算出回路116の出力データである輝度ヒストグラム検波値をもとにカメラ11の逆光モードを判別し、シャッタ112の絞り量及びCDS/AGC回路113によるゲインをそれぞれ制御して当該カメラの露光量を可変するとともに、輝度補正回路120及びクロマ補正回路122によるγ特性を可変するためのものである。
【0041】
メモリ124は、OPD回路115の出力データである輝度検波値及びヒストグラム算出回路116の出力データである輝度ヒストグラム検波値に対応させて、カメラ11が逆光モードであると判別するために予め設定された閾値(以下、輝度レベル閾値、輝度ヒストグラム閾値という。)と、カメラ11の逆光モード又は非逆光モードの相違に対応させて異なる輝度補正回路120及びクロマ補正回路122への制御条件(以下、逆光モード制御条件、非逆光モード制御条件という。)と、輝度レベル閾値を跨ぐ所定の輝度範囲をカメラ11の逆光モード又は非逆光モードとして判別しないための図4の説明図に示す不感帯域と、がそれぞれ記憶されており、例えば、RAM、EEPROM等の各種の記憶媒体にて構成されている。
【0042】
なお、メモリ124に記憶される逆光モード制御条件及び非逆光モード制御条件はそれぞれ、カメラ11を有する子機1が設置される周囲環境やカメラ11の撮像時刻等の相違に対応して複数設けられており、パーソナルコンピュータ等の外部機器を使用することで書換えが容易なものである。
【0043】
ホワイトバランス制御回路125は、ヒストグラム算出回路116の出力データである輝度ヒストグラム検波値をもとに、ホワイトバランス回路118を制御するためのものである。
【0044】
加算回路126は、輝度補正回路120の出力データである輝度信号とクロマ補正回路122の出力データであるクロマ信号とを加算して複合映像信号を生成するためのものである。
【0045】
エンコーダ・ゲイン回路127は、加算回路126の出力データである複合映像信号について、NTSC又はPAL等の所定の信号規格に沿う例えば、テレビジョン信号に変換した後、FM変調・増幅するためのものである。
【0046】
このように構成された本発明の実施例によるテレビドアホン装置において、以下、具体的な動作について、図3のフローチャート図を参照して説明する。
【0047】
図1に示す子機1の子機操作部10が来訪者により呼出操作されると、この操作を検出した親機2の親機スピーカ22から呼出音や音声メッセージ等が出力されるとともに、モニタ20及び子機1のカメラ11がそれぞれ能動となる(ステップST1)。
【0048】
ここで、図2に示す子機1のカメラ11によれば、撮像素子111は、レンズ110を通過した被写体である来訪者からの光線を受光し、光電変換された電気信号を生成する。この電気信号は、CDS/AGC回路113を経由して一定のレベルでゲインが調整された後、A/D変換回路114に送出される
A/D変換回路114は、CDS/AGC回路113の出力データをデジタル処理し、被写体の映像信号を生成してOPD回路115及び原色分離回路117にそれぞれ送出する。
【0049】
OPD回路115は、A/D変換回路114の出力データをもとに、撮像素子111が有する撮像画面の光源の周囲に設けられる所定の検波枠内において映像信号の輝度レベルをフレーム毎に重み付けで検波し、その積分値を輝度検波値として露光制御回路123に送出する。また、ヒストグラム算出回路116は、同様な所定の検波枠内において映像信号を構成する各原色信号(R、G、B)のヒストグラムを算出し、その積分値を輝度ヒストグラム検波値として露光制御回路123及びホワイトバランス制御回路125にそれぞれ送出する。なお、ヒストグラム算出回路116にてその検波値が算出される輝度ヒストグラム検波の波形は、図5(C)に表され、明るさ(横軸方向)のレベルが小さい、すなわち、暗いほど、ピーク検出されるピクセル(縦軸方向)の数も大きくなる性質を有している。
【0050】
原色分離回路117は、A/D変換回路114の出力データをもとにR、G、Bの原色信号毎に分離し、ホワイトバランス制御回路125により制御されるホワイトバランス回路118を経由してホワイトバランスが得られ、色飽和度が補正された当該原色信号を、輝度プロセス回路119及びクロマプロセス回路121にそれぞれ送出する。
【0051】
露光制御回路123は、メモリ124に記憶されている閾値であって、カメラ11が逆光モードであると判別するための輝度レベル閾値及び輝度ヒストグラム検波閾値と比較して、OPD回路115の出力データである輝度検波値とヒストグラム算出回路116の出力データである輝度ヒストグラム検波値とがそれぞれ大きい場合、カメラ11の逆光モードであると判別する(ステップST2)。この露光制御回路123は、カメラ11にて撮像される映像信号の輝度が最適な輝度レベルとなる、すなわち、前述の輝度検波値及び輝度ヒストグラム検波値がそれぞれ輝度レベル閾値及び輝度ヒストグラム検波閾値となるようにシャッタ112の絞り量及びCDS/AGC回路113によるゲインをそれぞれ制御(露光制御)するとともに(ステップST3)、この逆光モードに対応させてメモリ124に記憶されている逆光モード制御条件で輝度補正回路120及びクロマ補正回路122をそれぞれ制御する(ステップST4)。
【0052】
前述までの制御により、輝度補正回路120は、輝度プロセス回路119を経由して生成される輝度信号について例えば、入力信号の信号レベルが低い側、すなわち、暗い部分について出力信号を下げ(図5(A)を参照。)、入力信号の信号レベルが低い黒系をより暗くして暗部部分のコントラスト階調を広げたメリハリのある補正処理を行い、ダイナミックレンジを確保することができる。
【0053】
一方、クロマ補正回路122は、クロマプロセス回路121を経由して生成されるクロマ信号について例えば、入力信号の信号レベルが高い部分は黄色等の明るい発色で、出力信号の信号レベルを下げれば黒に近づき色を暗くする一方、その信号レベルを上げれば白に近づき明るくなるような色の補正処理を行い、明暗差を加えることができる。
【0054】
また、カメラ11にて撮像される映像信号の輝度が最適な輝度レベルとなるようなシャッタ112の絞り量及びCDS/AGC回路113のゲインを調整する制御と、輝度補正回路120及びクロマ補正回路122への逆光モード制御条件による制御とが継続中において(ステップST3、ST4)、露光制御回路123は、OPD回路115の出力データである輝度検波値を監視しており、この輝度検波値が図4に示すように、輝度レベル閾値を跨ぐ所定の輝度範囲であってカメラ11の逆光モード又は非逆光モードとして判別しない不感帯域内に存在している場合には、輝度補正回路120及びクロマ補正回路122への逆光モード制御条件による制御を維持することができる(ステップST5、ST7)。このような制御によれば、輝度検波値の変化が少ないのにも関わらず、カメラ11の逆光モード又は非逆光モードが変化した場合であっても、露光制御回路123による誤ったモード判別を防止することができる。
【0055】
一方、前述の継続動作中において、OPD回路115の出力データである輝度検波値が図4に示すように不感帯域内から出て不感帯域外に存在している場合、露光制御回路123は、カメラ11が逆光モードから非逆光モードに遷移したことを判別し、シャッタ112の絞り量及びCDS/AGC回路113のゲインを調整する制御をそれぞれ停止するとともに、メモリ124に記憶されている非逆光モード制御条件で輝度補正回路120及びクロマ補正回路122をそれぞれ制御することができる(ステップST6、ST7)。
【0056】
さらに、前述のようなカメラ11の逆光モード又は非逆光モードの当該モードの相違により異なる制御条件で制御された輝度補正回路120の出力データ及びクロマ補正回路122の出力データは、加算回路126、エンコーダ・ゲイン回路127を経由して信号処理され、図1に示す伝送路Lを経由して親機2に伝送されることにより、モニタ20に出画される映像は、カメラ11の逆光モード又は非逆光モードの当該モードの相違を問わずしてコントラスト階調が広くなり明暗幅を持たせることができるばかりでなく、逆光により減衰した発色性が補正されて画質が向上するため、出画映像の視認性が高められる。
【0057】
したがって、親機2のモニタ20の出画映像をもとに来訪者を確認する居住者にとっては、その視認性が高められた状態で親機操作部23の使用による応答操作が可能となり、呼出応答時の利便性が高められ、視認性が高められた来訪者の映像を確認しながら通話を成立させることができる。
【0058】
なお、本発明のテレビドアホン装置においては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成の当該装置であっても採用できるということはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0059】
1……子機
11……カメラ
111……撮像素子
112……シャッタ(シャッタ手段)
113……CDS/AGC回路(信号生成・増幅手段)
115……OPD回路(検波手段)
116……ヒストグラム算出回路(ヒストグラム算出手段)
120……輝度補正回路(補正手段)
122……クロマ補正回路(補正手段)
123……露光制御回路(露光制御手段)
124……メモリ(記憶手段)
2……親機
20……モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の映像を撮像するためのカメラを有する子機と、前記子機のカメラにて撮像された映像を出画するためのモニタを有する親機とを備えるテレビドアホン装置であって、
前記カメラは、
前記被写体から入射される光線を光電変換するための撮像素子と、
前記撮像素子への入射量を可変するためのシャッタ手段と、
前記撮像素子にて光電変換された電気信号をデジタル信号処理して前記被写体の映像信号を生成し、前記映像信号のゲインを調整するための信号生成・増幅手段と、
前記撮像素子が有する撮像画面の光源の周囲に設けられる所定の検波枠内において前記映像信号の輝度レベルを検波するための検波手段と、
前記検波枠内のヒストグラムを算出するためのヒストグラム算出手段と、
前記検波手段による輝度検波値及び前記ヒストグラム算出手段による輝度ヒストグラム検波値をもとに前記カメラの逆光モードを判別し、前記シャッタ手段の絞り量及び前記信号生成・増幅手段のゲインをそれぞれ制御して前記カメラの露光量を可変するための露光制御手段と、
前記輝度検波値及び前記輝度ヒストグラム検波値にそれぞれ対応させて前記カメラが逆光モードであると判別するために予め設定された閾値を記憶する記憶手段とを備え、
前記露光制御手段は、逆光モード時において最適な輝度レベルとなるように前記シャッタ手段及び前記信号生成・増幅手段をそれぞれ制御することを特徴とするテレビドアホン装置。
【請求項2】
前記信号生成・増幅手段にてゲインが調整された映像信号についてγ補正や色飽和度等の画像補正を行うための補正手段を備え、
前記記憶手段には、前記カメラの逆光モード又は非逆光モードの相違に対応させて異なる前記補正手段への制御条件と、前記閾値を跨ぐ所定の輝度範囲を前記逆光モード又は前記非逆光モードとして判別しない不感帯域とが記憶され、
前記露光制御手段は、前記補正手段への逆光モードの制御条件による制御中において、前記検波手段による輝度検波値が前記記憶手段に記憶される不感帯域内である場合、前記逆光モードの制御条件を維持することを特徴とする請求項1記載のテレビドアホン装置。
【請求項3】
前記露光制御手段は、前記検波手段による輝度検波値が前記記憶手段に記憶される不感帯域外となった場合、前記補正手段への制御条件を前記逆光モードから前記非逆光モードに切換えることを特徴とする請求項2記載のテレビドアホン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−74816(P2012−74816A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216750(P2010−216750)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】