説明

テレビ放送期間において番組逸脱期間を検出する方法及びシステム

【課題】簡素化されたコマーシャル検出方法を提供する。
【解決手段】方法は、テレビ放送の主音声番組を受信し、副音声番組を受信し、主音声番組と副音声番組を主音声チャンネルと副音声チャンネルに変換し、主音声チャンネルと副音声チャンネルの類似値を候補期間内に計算し、算出された類似値に基づいて候補期間が番組逸脱時間であるか否かを判断するステップからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテレビ放送に関し、特にテレビ放送期間において番組逸脱期間を検出する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
50年代中期テレビ放送が開始されて以来、アメリカを含めた世界各地では、テレビ鑑賞が日常生活の一部となり、ニュースや映画をテレビで鑑賞することをレクリエーションとする習慣が定着してきた。北アメリカの地上波放送は最初に無料だったが、その後、コマーシャル(CM)放送で利益を得る放送局が増え、現在に至っては広告主が特定番組のスポンサーとなって自社のCMを番組の合間に放送することが主流である。
【0003】
CMは番組の欠かせない部分である。その製作手法や内容は時代に伴って変化するが、商品を宣伝する目的は変わらない。CM放送の頻度と時間は近年になってますます増加している。これは広告主にとっては好ましい現象であるが、視聴者の立場から見れば、視聴の対象はCMでなく番組自体であることは言うまでもない。
【0004】
したがって、テレビ番組の放送期間にCMを検出する技術が必要である。これに関してさまざまな提案がなされたが、いずれも技術が複雑である。例えば、シーン変化の頻度や、音声信号周期の持続程度や、映像信号の重複率を検出することでCMを判断する方法などがある。
【0005】
図1を参照する。図1は従来のCM検出ユニットを表す説明図である。特許文献1によるCM検出ユニットは、番組の無音区間とシーンの変換点をCM検出の基準として、候補区間にCM特徴の有無をCM特徴検出器で判断する。図1に示すように、検出ユニットは複数の素子(例えば映像信号、音声信号、多重化信号)からなり、構造が複雑である。
【0006】
したがって、上記技術の構造を簡素化して検出時間を短縮させ、いつでもどこでも簡単で有効にCMを検出する方法が求められている。
【特許文献1】米国特許第6459735号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記従来の問題を解決できるコマーシャル検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はテレビ放送期間において番組逸脱時間を検出する方法を提供する。該テレビ放送は主音声番組と副音声番組からなる。該方法は、主音声番組を受信し、副音声番組を受信し、主音声番組と副音声番組を主音声チャンネルと副音声チャンネルに変換し、候補期間内の主音声チャンネルと副音声チャンネルの類似値を計算し、計算された類似値に基づいて候補期間が番組逸脱時間であるかを判断するステップからなる。
【0009】
本発明は更に、テレビ放送期間において番組逸脱時間を検出するシステムを提供する。該テレビ放送は主音声番組と副音声番組からなる。該システムは、テレビ放送の主音声番組と副音声番組を受信して主音声チャンネルと副音声チャンネルに変換するチューナーと、主音声チャンネルと副音声チャンネルに結合され、候補期間内の主音声チャンネルと副音声チャンネルの類似値を計算するコンパレータと、コンパレータに結合され、計算された類似値に基づいて候補期間が番組逸脱期間であるかを判断する決定ユニットとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明は候補期間内に主音声チャンネルと副音声チャンネルの類似値を計算し、両チャンネルの異同を判断することで放送中のものが番組か否かを判断する。この方法はCMやその他番組に割り込んだ内容を簡単かつ有効に検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
かかる装置の特徴を詳述するために、具体的な実施例を挙げ、図を参照にして以下に説明する。
【0012】
本明細書及び特許請求の範囲は本発明の構成素子について特定の用語を用いるが、周知のとおり、当業者は本明細書と特許請求の範囲と異なる用語で同一の素子を呼称することが可能である。したがって、本明細書及び特許請求の範囲は用語で素子を特定するのでなく、専ら機能を区別の基準とする。なお、本明細書及び特許請求の範囲に記される「含む」、「備える」という用語は限定的に捉えるべきでなく、例示された素子に限らないと解すべきである。また、「結合」とはいかなる直接・間接の電気的接続を指し、第一装置と第二装置が結合されるとは、第一装置と第二装置が直接に接続されるか、または他の装置や接続手段を介して電気的に接続されることを意味する。
【0013】
本発明は、番組逸脱期間を簡単で有効に検出することを目的とする。番組逸脱期間とは、CMやその他対象番組以外の放送(ニュース速報、緊急通報、放送事故など)がなされる期間を指す。本発明は、主音声チャンネルと副音声チャンネル間の差に基づいて番組逸脱時間を検出する。
【0014】
図2を参照する。図2はテレビ番組信号のアナログ音声ストリームのスペクトル200を示す。音声スペクトル200は、テレビ番組視聴時に音声信号とともに視聴者側の受信機に送信され、その中には主音声番組210が含まれている。主音声番組210は対象番組の会話内容を含む。番組は通常、現地の言語で進行されるため、主音声番組210としてはFM(周波数変調)方式で放送される1チャンネルのモノラル放送が多い。また、音声スペクトル200にAM(振幅変調)方式で放送される左右2チャンネルからなるステレオチャンネル220が含まれることも可能である。スペクトルには更に、主音声番組210と異なる音声チャンネルを提供する副音声番組230が含まれる。副音声番組230の内容は主音声番組210の会話内容を他言語で述べたものが一般であるが、それ以外の可能性もある。
【0015】
本発明は主音声番組210と副音声番組230(副音声番組がある場合)の有無に基づいて番組逸脱期間を検出する。音声多重放送の番組を視聴するとき、主音声番組210と副音声番組230はチューナーで受信され、更に復調装置で主音声チャンネルと副音声チャンネルに分けられる(主音声チャンネルと副音声チャンネルは一般に左チャンネルと右チャンネルとされる)。番組逸脱期間では、副音声番組230は一般に存在しないため、副音声チャンネルと主音声チャンネルは同一か極めて類似したものである。それに対して、番組放送期間では、主音声チャンネルと副音声チャンネルはだいぶ異なる。例えば、主音声チャンネルは第一言語の会話であり、副音声チャンネルは第一言語と異なる第二言語の会話であることがありうる。CMは第二言語で放送されることが少ないため、番組逸脱期間には一般に副音声番組230が存在していない。したがって、主音声チャンネルと副音声チャンネルの使用言語が同じであることを、番組逸脱期間の特徴とすることができる。
【0016】
主音声チャンネルと副音声チャンネルの異同判断は以上のほか、両チャンネルの関連性、周波数域の差、または放送内容の文字変換結果に頼ることもできる。注意すべきは、以上は主音声チャンネルと副音声チャネル放送内容の異同判断に用いる基準を例示したに過ぎず、本発明を限定するものではない。主音声チャンネルと副音声チャンネルを区別できるその他の特徴を本発明の基準とすることも可能である。
【0017】
図3を参照する。図3は主音声番組と副音声番組が放送されるテレビ番組放送期間から番組逸脱期間を検出するシステム300のブロック図である。システム300はチューナー310と、コンパレータ320と、決定ユニット330を含み、その動作方法については下記を参照する。
【0018】
チューナー310はテレビ番組RF(無線周波数)信号302を受信し、信号を所要形式に変換して視聴者が選んだチャンネルに出力する。チャンネル選定後、チューナー310は信号を復調するうえで、復調信号を主音声チャンネル312と副音声チャンネル314に分ける。主音声チャンネルと副音声チャンネルは同時に放送されるか、または時間や位相の遅れをもって放送される。
【0019】
コンパレータ320は主音声チャンネル312と副音声チャンネル314を受信し、候補期間内に主音声番組312と副音声番組314の類似値322を計算するうえ、両チャンネル間の関連性、使用言語、または周波数範囲に基づいて類似値322を判断する。ここで候補期間とは類似値322を計算するためにサンプルとして抽出された時間枠であり、その長さは、例えばサンプリング密度に基づいて調整することが可能である。
【0020】
決定ユニット330はコンパレータ320に結合され、上記類似値322に基づいて候補期間が番組逸脱時間であるか否かを判断する。判断方法は類似値の基準によって異なる。例えば、主音声チャンネル312と副音声チャンネル314の使用言語で異同を判断すれば、両チャンネルの使用言語が一致した場合に候補期間が番組逸脱時間であると判断する。
【0021】
また、主音声チャンネル312と副音声チャンネル314の類似性について周波数の範囲で異同を判断すれば、主音声チャンネル312の周波数範囲がと副音声チャンネル314の周波数範囲の所定の範囲内である場合に、候補期間が番組逸脱時間であると判断する。
【0022】
また、主音声チャンネル312と副音声チャンネル314の放送内容が一致した(同じ会話内容)場合に、候補期間が番組逸脱時間であると判断する。
【0023】
図4を参照する。図4は主音声チャンネルと副音声チャンネルからなるテレビ番組から番組逸脱期間を検出する本発明による方法400を示す。下記方法は順次実行する必要がなく、ステップの間に他のステップを挟んで実行することも可能である。

ステップ410:主音声番組を受信して主音声チャンネルを生成する。
【0024】
ステップ420:副音声番組を受信して副音声チャンネルを生成する。
【0025】
ステップ430:候補期間内の主音声チャンネルと副音声チャンネルの類似値を計算する。
【0026】
ステップ440:計算された類似値に基づいて候補期間が番組逸脱期間であるか否かを判断する。

以上のとおり、本発明は候補期間内に主音声チャンネルと副音声チャンネルの類似値を計算し、両チャンネルの異同を判断することで放送中のものが番組か否かを判断する。この方法はCMやその他番組に割り込んだ内容を簡単かつ有効に検出できる。
【0027】
以上は本発明に好ましい実施例であって、本発明の実施の範囲を限定するものではない。よって、当業者のなし得る修正、もしくは変更であって、本発明の精神の下においてなされ、本発明に対して均等の効果を有するものは、いずれも本発明の特許請求の範囲に属するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は主音声チャンネルと副音声チャンネルの異同に基づいてCMの有無を判断する。かかる技術は実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来のCM検出ユニットを表す説明図である。
【図2】テレビ番組信号のアナログ音声ストリームスペクトルを表す説明図である。
【図3】主音声番組と副音声番組が放送されるテレビ番組放送期間から番組逸脱期間を検出するシステムのブロック図である。
【図4】主音声チャンネルと副音声チャンネルからなるテレビ番組から番組逸脱期間を検出する本発明による方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
11 無音閾値判断ユニット
12 デジタル/アナログ変換器
13 無音区間検出器
14 遅延ユニット
15 シーン変換検出器
16 CM候補区間検出器
200 音声ストリームスペクトル
210 主音声番組
220 ステレオチャンネル
230 副音声番組
300 システム
302 RFテレビ番組信号
310 チューナー
312 主音声チャンネル
314 副音声チャンネル
320 コンパレータ
322 類似値
330 決定ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビ放送期間において番組逸脱時間を検出する方法であって、該テレビ放送は主音声番組と副音声番組からなり、該方法は、
主音声番組を受信し、
副音声番組を受信し、
主音声番組と副音声番組を主音声チャンネルと副音声チャンネルに変換し、
候補期間内の主音声チャンネルと副音声チャンネルの類似値を計算し、
算出された類似値に基づいて候補期間が番組逸脱時間であるかを判断するステップからなることを特徴とする番組逸脱期間の検出方法。
【請求項2】
前記主音声チャンネルと副音声チャンネルの類似値は、主音声チャンネルと副音声チャンネルの関連性に基づいて計算されることを特徴とする請求項1記載の番組逸脱期間の検出方法。
【請求項3】
前記主音声チャンネルと副音声チャンネルの類似値は、主音声チャンネルと副音声チャンネルの使用言語に基づいて計算されることを特徴とする請求項1記載の番組逸脱期間の検出方法。
【請求項4】
前記主音声チャンネルと副音声チャンネルの使用言語が一致した場合、候補期間が番組逸脱期間に対応することを特徴とする請求項3記載の番組逸脱期間の検出方法。
【請求項5】
前記主音声チャンネルと副音声チャンネルの類似値は、主音声チャンネルと副音声チャンネルの周波数範囲に基づいて計算されることを特徴とする請求項1記載の番組逸脱期間の検出方法。
【請求項6】
前記主音声チャンネルの周波数範囲が副音声チャンネルの周波数範囲の所定の範囲内である場合、候補期間が番組逸脱期間に対応することを特徴とする請求項5記載の番組逸脱期間の検出方法。
【請求項7】
前記主音声番組と副音声番組は同時に受信されることを特徴とする請求項1記載の番組離脱期間の検出方法。
【請求項8】
前記主音声チャンネルと副音声チャンネルが一致した場合、候補期間が番組逸脱期間に対応することを特徴とする請求項1記載の番組離脱期間の検出方法。
【請求項9】
前記番組逸脱期間はコマーシャル(CM)放送であることを特徴とする請求項1記載の番組離脱期間の検出方法。
【請求項10】
テレビ放送期間において番組逸脱時間を検出するシステムであって、該テレビ放送は主音声番組と副音声番組からなり、該システムは、
テレビ放送の主音声番組と副音声番組を受信して該番組を主音声チャンネルと副音声チャンネルに変換するチューナーと、
主音声チャンネルと副音声チャンネルに結合され、候補期間内の主音声チャンネルと副音声チャンネルの類似値を計算するコンパレータと、
該コンパレータに結合され、計算された類似値に基づいて候補期間が番組逸脱期間であるかを判断する決定ユニットとを含むことを特徴とする番組逸脱時間の検出システム。
【請求項11】
前記コンパレータは、主音声チャンネルと副音声チャンネルの関連性に基づいて主音声チャンネルと副音声チャンネルの類似値を計算することを特徴とする請求項10記載の番組逸脱期間の検出システム。
【請求項12】
前記コンパレータは、主音声チャンネルと副音声チャンネルの使用言語に基づいて主音声チャンネルと副音声チャンネルの類似値を計算することを特徴とする請求項10記載の番組逸脱期間の検出システム。
【請求項13】
前記決定ユニットは、主音声チャンネルと副音声チャンネルの使用言語が一致した場合に、候補期間が番組逸脱期間に対応すると判断することを特徴とする請求項12記載の番組逸脱期間の検出システム。
【請求項14】
前記コンパレータは、主音声チャンネルと副音声チャンネルの周波数範囲に基づいて主音声チャンネルと副音声チャンネルの類似値を計算することを特徴とする請求項10記載の番組逸脱期間の検出システム。
【請求項15】
前記決定ユニットは、主音声チャンネルの周波数範囲が副音声チャンネルの周波数範囲の所定の範囲内である場合に、候補期間が番組逸脱期間に対応すると判断することを特徴とする請求項14記載の番組逸脱期間の検出システム。
【請求項16】
前記チューナーが主音声チャンネルと副音声チャンネルを同時に生成することを特徴とする請求項10記載の番組逸脱期間の検出システム。
【請求項17】
前記決定ユニットは、主音声チャンネルと副音声チャンネルが一致した場合に、候補期間が番組逸脱期間に対応すると判断することを特徴とする請求項10記載の番組逸脱期間の検出システム。
【請求項18】
前記番組逸脱期間はコマーシャル(CM)放送であることを特徴とする請求項10記載の番組逸脱期間の検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−61254(P2008−61254A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228174(P2007−228174)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(500067499)聯發科技股▲ふん▼有限公司 (7)
【Fターム(参考)】