テーパ付き縦溝流路を有する縦溝流路付き濾過媒体を形成する方法および装置
縦溝流路付き濾過媒体を形成する方法が提供される。方法は、縦溝流路の繰り返しパターンを有する縦溝流路付き濾過媒体を形成する工程を含み、縦溝流路の繰り返しパターンの少なくとも1つの縦溝流路は、隣接する同じ側のピーク間に縦溝流路周期で少なくとも1つの稜部を含み、縦溝流路は、テーパの付けられた断面積を示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、Donaldson Company,Inc.(米国国内企業)(米国以外の全指定国の出願人)およびTed A.Moe(米国人であって、米国のみを指定国とする出願人)、Gregory J.Fesenmaier(米国人であって、米国のみを指定国とする出願人)、Gary J.Rocklitz(米国人であって、米国のみを指定国とする出願人)、Ming Ouyang(米国人であって、米国のみを指定国とする出願人)、およびAnitha Mathew(米国人であって、米国のみを指定国とする出願人)の名において、2010年8月3日にPCT国際特許出願として出願されており;2009年8月3日出願の米国仮特許出願第61/231,009号の優先権を主張し、その内容を参照により本願明細書に援用する。
【0002】
本発明は、縦溝流路付き濾過媒体、片面フェーサ媒体(single facer media)、および濾過媒体パックを形成する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
空気および液体などの流体流は、気相汚染物質および液体および固体粒子などの汚染物質を流体流に含んで運ぶ。多くの場合、流体流から汚染物質の一部または全てを濾過することが望ましい。例えば、自動車両のエンジンまたは発電装置への空気流、ガスタービンシステムへの空気流およびガス流、様々な燃焼炉への空気流およびガス流、ならびに熱交換器(例えば暖房および空調)への空気流およびガス流は、多くの場合濾過すべき粒子状汚染物質を運ぶ。エンジンの潤滑系統、液圧系統、冷却系統および燃料系統における液体流はまた、濾過すべき汚染物質を運び得る。そのような系統にとっては、選択した汚染物質を流体から除去する(または流体中でのそのレベルを低減させる)ことが好ましい。
【0004】
汚染物質を削減するために様々な流体フィルタ(ガスまたは液体フィルタ)が開発されている。しかしながら、一般に、継続的に改善が模索されている。いくつかの実装例において優れた実績を有する流体フィルタの一例は、Z型媒体を含むフィルタである。Z型媒体は一般に、流体が媒体要素の第1の面上の縦溝流路に入って媒体要素の第2の面の縦溝流路から出る、縦溝流路付き濾過媒体要素のタイプを指す。一般に、Z型媒体の面は、媒体の両面に設けられる。一部の実施形態では、流体は、一方の面上の開放縦溝流路から入って他方の面上の開放縦溝流路から出る(微粒子濾過のためなど)。第1の面と第2の面との間のある点で、流体は、濾過のために一方の縦溝流路から別の縦溝流路に移る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Z型媒体用の既存の縦溝流路設計、ならびに縦溝流路を作製する装置は多くの実装例に好適であるが、依然として改善が望まれており、それが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、縦溝流路付き濾過媒体、片面フェーサ媒体、および濾過媒体パックを形成する方法および装置に関する。縦溝流路付き濾過媒体は空気濾過媒体として提供でき、かつ隣接する同じ側のピーク間に縦溝流路周期で設けられた少なくとも1つの稜部を備える、縦溝流路付きシートを有する縦溝流路の繰り返しパターンを含むことができる。縦溝流路繰り返しパターンは、隣接する同じ側のピーク間に少なくとも2つの稜部、少なくとも3つ稜部、少なくとも4つの稜部、またはそれ以上の稜部を含むことができる。濾過媒体の例示的な形態は、Z型媒体と特徴付けることができる。
【0007】
典型的な実装例では、縦溝流路は、縦溝流路の断面積が縦溝流路の長さに沿って可変であるようにテーパ付けされる。概して、テーパ付き濾過媒体は、媒体の第1の端部から媒体の第2の端部までサイズが減少する第1の組の縦溝流路と、媒体の第1の端部から媒体の第2の端部までサイズが増大する第2の組の縦溝流路とを示す。テーパ付き濾過媒体としてはまた、媒体の第1の端部から媒体の中間点までサイズが減少しかつ媒体の中間点から媒体の第2の端部まで実質的に一定のサイズを有する第1の組の縦溝流路を示し得る。第2の組の縦溝流路は、媒体の第2の端部から媒体の中間点までサイズが増大し、その後媒体の中間点から媒体の第1の端部まで実質的に一定のサイズを有し得る。そのような構成では、フィルタの上流および下流の双方でフィルタ開放部を最大にできるので、フィルタ全体にわたる総圧力低下を小さくできる。
【0008】
本発明による縦溝流路付き濾過媒体の形成方法も提供される。方法は、縦溝流路の繰り返しパターンを有する媒体を提供するために濾過媒体に溝付けを行うことを含む。一般に、縦溝流路の繰り返しパターンの少なくとも1つの縦溝流路が、隣接する同じ側のピーク間に縦溝流路周期で少なくとも1つの稜部を含む。縦溝流路の繰り返しパターンは、隣接する同じ側のピーク間に縦溝流路周期で設けられた少なくとも2つの稜部を有する少なくとも1つの縦溝流路を含むことができる。稜部は、隣接するピーク間に設けることができる。「稜部」とは、縦溝流路のピーク間にある、異なる傾斜にされた媒体部分間の交線を指す。「稜部」への言及は、縦溝流路のピークを含まない。
【0009】
縦溝流路付き濾過媒体の形成方法は、濾過媒体を、第1のロールおよび第2のロールによって形成されたかみ合い部に供給し、縦溝流路付き濾過媒体を形成する工程を含むことができる。第1のロールは複数の第1のロール突起および複数の第1のロール凹部を含むことができ、第1のロールは交互に第1のロール突起と第1のロール凹部を提供する。概して、第1のロール突起の少なくとも1つは、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む。一部の実施形態では、第1のロール突起の少なくとも1つは、媒体緩和域によって分離された少なくとも3つの媒体接触域を含む。
【0010】
第2のロールは複数の第2のロール凹部および第2のロール突起を含み、第2のロールは交互に第2のロール凹部と第2のロール突起を提供する。第2のロール凹部の少なくとも1つは、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む。概して、第2のロール凹部の少なくとも1つは、媒体緩和域によって分離された少なくとも3つの媒体接触域を含む。例示的な実施形態では、第1のロール突起の全ておよび第2のロール凹部の全てが、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含み、好ましくは媒体緩和域によって分離された少なくとも3つの媒体接触域を含む。
【0011】
片面フェーサ媒体の形成方法を本発明に従って提供する。方法は、縦溝流路付き濾過媒体を対面シートに取り付けて(例えば付着する)、片面フェーサ媒体を形成することを含む。
【0012】
濾過媒体パックの形成方法を本発明に従って提供する。濾過媒体パックの形成方法は、片面フェーサ媒体からロール状の濾過媒体パックを形成することを含むことができる。ロール状の濾過媒体パックは、シリンダー状、長楕円(obround)、またはレーストラック形状で提供し得る。濾過媒体パックの形成方法は、片面フェーサ媒体から積層濾過媒体パックを形成することを含むことができる。積層濾過媒体パックの形成には、複数の片面フェーサ媒体シートを積み重ねることを含む。
【0013】
縦溝流路付き濾過媒体を形成する装置を本発明に従って提供する。本発明の媒体および媒体パックを形成する装置は、かみ合い部をもたらすように配置された第1のロールおよび第2のロールを含むことができ、かみ合い部は、かみ合い部に供給される濾過媒体に溝付けを行い、濾過媒体に縦溝流路の繰り返しパターンがもたらす。第1のロールは複数の第1のロール突起および複数の第1のロール凹部を含み、第1のロールは交互に第1のロール突起と第1のロール凹部を提供する。第1のロール突起の少なくとも1つは、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む。第2のロールは複数の第2のロール凹部および複数の第2のロール突起を含み、第2のロールは交互に第2のロール凹部と第2のロール突起を提供する。第2のロール凹部の少なくとも1つは、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む。
【0014】
(下記のように)A縦溝流路およびB縦溝流路を形成するのに使用される波形形成プロセスなどの従来の波形付け加工プロセスでは、波形ロールは、比較的対称的であるとみなし得る。比較的対称的なロールは、一方のロール(例えば上部ロール)が、他方のロール(例えば底部ロール)の歯および凹部と同様の歯および凹部を有するロールである。従来の波形形成プロセスにおけるロールは対称的であるため、得られる縦溝流路は全体的に対称的である。非対称的なロールを提供することによって、得られる濾過媒体の性能を変更できる。
【0015】
一部の実装例では、本発明は、コイニングロールおよび受けロールを使用する。いくつかの実装例では、2つのロールは、コイニング機能および受け取り機能の双方を果たすように、二重の機能を有することができることを理解されたい。これにより、(下記のように)両ロールがニップを有することによって、より複雑な縦溝流路の形状を形成することが可能となる。コイニングロールおよび受けロールは、突起または歯および凹部の構造に関して非対称的であるとみなし得る。コイニングロールおよび受けロールは周期長に関して対称的であるとみなし得るが、突起および凹部の構造は2つのロールで異なり、それゆえ、ロールは非対称的であるとみなし得る。様々な実施形態では、波形ロールは、得られる媒体が媒体の長さに沿って実質的に等しい弧長を有するように構成される。そのような構成は、製造中に媒体にかかる歪みを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来技術による例示的なz型濾過媒体の断片的、概略的な斜視図である。
【図2】図1に示す従来技術の媒体の一部分の概略的な拡大断面図である。
【図3】様々な波形媒体構成の概略図である。
【図4a】本発明の例示的な実装例に従って作製された媒体の部分の概略的な拡大断面図である。
【図4b】本発明の例示的な実装例に従って作製された媒体の部分の概略的な拡大断面図である。
【図4c】本発明の例示的な実装例に従って作製された媒体の部分の概略的な拡大断面図である。
【図5】例示的な装置を使用する本発明による縦溝流路付き媒体の作製工程を示す線図である。
【図6】本発明による縦溝流路付き媒体を形成するコイニングロール(コイニングホイールとも呼ぶ)の断面図である。
【図7】図6に示すコイニングロールの一部分の部分的な拡大断面図である。
【図8】図7に示すコイニングロールの一部分の部分的な拡大断面図である。
【図9】本発明による縦溝流路付き媒体を形成するコイニングロールの断面図である。
【図10】図9に示す受けロール(受けホイールとも呼ぶ)の一部分の部分的な拡大断面図である。
【図11】図10に示す受けロールの一部分の部分的な拡大断面図である。
【図12】本発明による縦溝流路付き媒体の形成を示すかみ合い部の部分的な拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
縦溝流路付き濾過媒体、片面フェーサ媒体、および濾過媒体パックを形成する方法および装置が提供される。縦溝流路付き濾過媒体を単独で使用して、または面シートなどの別の縦溝流路付き濾過媒体と組み合わせて使用して濾過媒体パックを形成できる。さらに、縦溝流路付き濾過媒体および片面フェーサ媒体をそれぞれ使用して濾過媒体パックを形成できる。縦溝流路付き濾過媒体を使用してガス状物質または液体物質を濾過できる。例示的なガス状物質は空気を含み、例示的な液体物質は水、油、燃料、および圧流体を含む。本発明の方法および装置によって提供され得る濾過媒体の形態は、2007年2月2日出願の米国仮特許出願第60/899,311号明細書および2007年6月26日出願の同第60/937,162号明細書で説明されているものを含む。両出願とも、それらの全体を参照により本書に援用する。
【0018】
本発明の方法および装置によって準備された縦溝流路付き濾過媒体は、従来技術の縦溝流路付き濾過媒体を改良したものであるとみなし得る。縦溝流路のピークは一般に、マスキングを減らす、半径の小さい(sharp radius)または限定された先端によって特徴付けられる。本書では、マスキングは、媒体全体にあまり圧力差のない媒体シート間の近接領域を指す。概して、マスキングは、別の媒体シートにごく近接したまたは接触した媒体の個所に生じる。このようにごく近接することは、その個所で媒体を通過する流れに対して抵抗を生じ得る。その結果、マスキングされた媒体は濾過媒体の濾過性能に有益ではない。
【0019】
従って、濾過に利用可能な濾過媒体量を増やすためにマスキングを減らすことが望ましい。マスキングを減らすことによって、濾過媒体パックのダスト保持容量を増やし、所与の圧力低下に対して濾過媒体を通る流体処理量を増やし、および/または流体の所与の流量全体に対して濾過媒体パックの圧力低下を小さくする。
【0020】
本発明に従って作製された媒体は、縦溝流路が縦溝流路の長さに沿った縦溝流路の断面領域にテーパが付けられている場合でも、縦溝流路のピークの先端において実質的に一定の半径を有することが多い。それゆえ、縦溝流路のテーパ付けを可能とし、それゆえ縦溝流路の断面積を変化させた、本発明に従って作製された縦溝流路の幾何学的形状はまた、縦溝流路の長さのほとんどまたは全てに沿って同じ半径を維持することが望ましい。
【0021】
ある実施形態では、濾過媒体は、媒体パックの上流側と下流側に異なる形状および異なる開放体積を有する縦溝流路で構成され、その特徴は、テーパ付きの縦溝流路を有する媒体を形成することによって達成できる。上流側と下流側で異なる開放体積を有する媒体は、体積非対称性である媒体と称す。一部の実施形態では、体積非対称性は、汚染物質の保持、流れおよび濾過を促すことができる。体積非対称性は、特に、浅い媒体パックを有するフィルタ構成における性能を改善するのに有益とし得る。
【0022】
媒体に見られる縦溝流路は、一般に、高さ(J、例えば図5aに示す)よりも大きい幅(D1、例えば図4aに示す)を有する。この幅対高さのアスペクト比は(D1/J)として特徴付けることができる。幅対高さのアスペクト比D1/Jは一般に、偶発的な変動を除いて縦溝流路の長さに沿って変動しない。ほとんどの実装例では、幅対高さのアスペクト比は少なくとも約2.0であり、一般的に少なくとも2.1であり、より典型的には少なくとも2.2であり、多くの場合は少なくとも2.3であり、および任意選択で少なくとも3.0である。いくつかの実装例では、幅対高さの比は2.4超である。一般的に好適なD1/J比は10未満であり、より典型的には8未満であり、および多くの場合6未満である。好適なD1/J比は1超であり、多くの場合1.5超であり、通常2超である。他の好適なD1/J比は、例示的な実装例では、4超、6超、または8超である。それゆえ、好適な範囲は、これらに限定されないが、D1/J比が2〜10、4〜8、および5〜7である。しかしながら、いくつかの実装例では、D1/J比が極端に低い縦溝流路を使用することができる(ただし、そのような縦溝流路は一般的に製造がより困難である)。例えば、D1/J比1.0未満、0.75未満、および.50未満が可能である(例えば図4c参照)。いくつかの実装例では、非常に高いまたは非常に低いD1/J値を有する縦溝流路は、1.15〜2.0の値に近いD1/Jを有する縦溝流路よりも性能が良好である。
【0023】
縦溝流路の三次元構造は、流体が流れるための媒体の上流および下流の開放体積、ならびに汚染物質(ダストなど)の堆積用空間を規定する。一部の実施形態では、濾過媒体は、媒体の一方の側の開放体積部が媒体の他方の側の開放体積よりも大きいように、媒体体積の非対称性を示す。これらの体積部は媒体パックの上流面から下流面へ延在し得る。
【0024】
本書では、媒体体積の非対称性は、一般的に、縦溝流路のピークで囲まれた大きな媒体体積対小さな媒体体積の媒体の体積比を測定する。全てではないがいくつかの実装例では、大きな媒体体積は上流の開放媒体体積に対応し、小さな媒体体積は下流の開放媒体体積に対応する(使用中、開放体積部には汚染物質、ダストなどを堆積させる)。いくつかの実装例では、媒体は、媒体体積の非対称性に1%超、3%超、5%超、または10%超を示す。例示的な媒体構成は、媒体体積の非対称性が15%超、20%超、50%超、75%超、100%超、150%超、および200%超を示す。好適な媒体体積の非対称性の範囲は、例えば、1%〜300%、5%〜200%;50%〜200%;100%〜200%;および100%〜150%を含む。
【0025】
媒体体積の非対称性に加えて、媒体は、媒体の断面に基づいて計算される媒体の断面積の非対称性も示す縦溝流路を有し得る。断面積の非対称性は、媒体体積の非対称性において差をもたらすことが多いが、断面積は、媒体の各側の総体積が等しい累積効果を有するように縦溝流路の長さに沿って変化し得るため、これはいつも当てはまるわけではないことを理解されたい。本発明の場合は、断面積の非対称性は、縦溝流路がテーパ付きの断面積を有するように縦溝流路の長さに沿って変化し得る。
【0026】
断面積の差異は、縦溝流路設計の幾何学的形状によって制御できる。縦溝流路に沿って稜部が存在すること、その数および形状が、断面積の非対称性の程度に著しい影響を与えることが多く、それを決定することが多い。断面積に差異をもたらす縦溝流路の幾何学的形状は、縦溝流路を流れる流れ特性に著しい影響を与え得る。縦溝流路の相対的な断面積の変化は、一般に、その領域における媒体パックの上流および下流部分の断面積の変化をもたらす。本発明は、フィルタ性能を改善するために媒体体積の非対称性および断面積の非対称性のカスタマイズを可能にする。
【0027】
一部の実施形態では、媒体は、媒体の一方の側の断面積が同じ媒体の反対側よりも少なくとも1%大きいように、断面積の非対称性を有する。媒体にわたる断面積の差異は3%超、5%超、または10%超であることが多い。例示的な媒体構成は、15%超、20%超、50%超、75%超、100%超、150%超、および200%超の媒体の断面積の非対称性を示す。好適な媒体の断面積の非対称性の範囲は、例えば、1%〜300%、5%〜200%;50%〜200%;100%〜200%;および100%〜150%である。
【0028】
縦溝流路付き濾過媒体
縦溝流路付き濾過媒体を使用して様々な流体フィルタ構成を提供できる。1つの周知の方法はz型フィルタ構成としてである。本書では、用語「z型フィルタ構成」または「z型フィルタ媒体」は、波形にされた、折り畳まれた、ひだの付けられた、または他の方法で形成されたフィルタ縦溝流路の各々を使用して、流体が媒体を流れるための長手方向のフィルタ縦溝流路を画成するフィルタ要素の構成を指すことを意味する;流体は、フィルタ要素の流入端部と流出端部との間(または流出入面間)の縦溝流路に沿って流れる。z型フィルタ媒体のフィルタ要素のいくつかの例は、米国特許第5,820,646号明細書;同第5,772,883号明細書;同第5,902,364号明細書;同第5,792,247号明細書;同第5,895,574号明細書;同第6,210,469号明細書;同第6,190,432号明細書;同第6,350,296号明細書;同第6,179,890号明細書;同第6,235,195号明細書;意匠特許第399,944号明細書;意匠特許第428,128号明細書;意匠特許第396,098号明細書;意匠特許第398,046号明細書;および、意匠特許第437,401号明細書に提供されている;これらの引用文献の各々を本願明細書に援用する。
【0029】
1つのタイプのz型フィルタ媒体は、媒体構成を形成するために接合された2つの媒体構成部品を使用する。2つの構成部品は:(1)縦溝流路付き(例えば波形)媒体シート;および(2)対面媒体シートである。対面媒体シートは一般に非波形であるが、2005年8月25日公開の国際公開第2005/077487号パンフレット(本願明細書に援用する)で説明されているように、例えば縦溝流路方向に対して垂直に波形とし得る。あるいは、対面シートは縦溝流路付き(例えば波形)媒体シートとすることができ、縦溝流路または波形は、縦溝流路付き媒体シートと整列していても、それに対して角度をなしていてもよい。対面媒体シートは縦溝流路付きまたは波形とし得るが、縦溝流路付きではないまたは波形ではない形態で設けることができる。そのような形態は平坦なシートを含み得る。対面媒体シートが縦溝流路付きではない場合、非縦溝流路付き媒体シートまたは非縦溝流路付きシートと呼ぶことができる。
【0030】
媒体構成を形成するために接合された2つの媒体構成部品(縦溝流路付き媒体シートおよび対面媒体シート)を使用するz型フィルタ媒体のタイプは、「片面フェーサ媒体」または「片面がフェーサ処理された媒体(single faced media)」と呼ぶことができる。あるz型フィルタ媒体の配置では、片面フェーサ媒体(縦溝流路付き媒体シートおよび対面媒体シート)を一緒に使用して、平行する流入用縦溝流路と流出用縦溝流路を有する媒体を画成できる。他の配置では、流入用縦溝流路と流出用縦溝流路は、例えば、テーパ付き縦溝流路を有する媒体要素の部分の選択に依存して、非平行とし得る。
【0031】
場合によっては、縦溝流路付きシートおよび非縦溝流路付きシートを一緒に固定してから、コイル状にしてz型フィルタ媒体構成を形成する。そのような配置は、例えば、米国特許第6,235,195号明細書および米国特許第6,179,890号明細書(それぞれを本願明細書に援用する)に説明されている。他のある配置では、平坦な媒体に固定された縦溝流路付き媒体のいくつかの非コイル状セクションが、互いに積み重ねられて、フィルタ構成を形成する。この例は、米国特許第5,820,646号明細書(本願明細書に援用する)の図11に記載されている。概して、z型フィルタ媒体がコイル状にされている配置はコイル状配置と呼ぶことができ、z型フィルタ媒体が積み重ねられている配置は積層配置と呼ぶことができる。フィルタ要素を、コイル状配置または積層配置を有するように設けることができる。
【0032】
一般に、コイル状媒体パックを形成するために、縦溝流路付きシート/対面シートの組み合わせ(例えば、片面フェーサ媒体)をそれ自体の周りにコイル状に巻くことは、対面シートを外方に向けることで行う。コイル巻きのいくつかの技術は、2004年9月30日公開の国際公開第2004/082795号パンフレット(本願明細書に援用する)に記載されている。その結果、得られるコイル状配置は一般的に、媒体パックの外面として、対面シートの一部分を有する。
【0033】
媒体の構造を指すために本書で使用する用語「波形」は、2つのコルゲーションローラの間に、すなわち、2つのローラ間のニップまたはかみ合い部に媒体を通すことから得られる縦溝流路構造を指すことを意味し、ローラの各々は、得られる媒体に波形の影響を及ぼすのに適切な表面特徴を有する。用語「波形」は、コルゲーションローラ間のかみ合い部に媒体を通すことを伴わない技術によって形成された縦溝流路を指すことを意味しない。しかしながら、用語「波形」は、例えば2004年1月22日公開の国際公開第04/007054号パンフレット(本願明細書に援用する)に記載された折り畳み技術によって、波形成形後に媒体がさらに修正または変形される場合にも適用されることを意味する。
【0034】
波形媒体は、縦溝流路付き媒体の特定の形態である。縦溝流路付き媒体は、(例えば、波形を付けるまたは折り畳むまたはひだを付けることによって形成された)個別の縦溝流路が媒体全体に延在する媒体である。縦溝流路付き媒体は、所望の縦溝流路形状を提供する任意の技術によって準備できる。波形付け加工は、特定のサイズを有する縦溝流路を形成するのに有用な技術とし得る。縦溝流路の高さを高くしたい場合(高さはピーク間における高低差(elevation)である)、波形付け加工技術は実用的ではなく、媒体を折り畳むかまたはひだを付けることが望ましいであろう。概して、媒体のひだ加工は、媒体を折り畳む結果もたらすことができる。媒体を折り畳んでひだをもたらす例示的な技術は、印付け(scoring)しかつ圧力を使用して折り畳むことを含む。
【0035】
z型フィルタ媒体を使用するフィルタ要素またはフィルタカートリッジ構成は、「直線的な流れ構成」またはその変形と呼ぶことがある。概して、この文献で意味することは、実用的なフィルタ要素が一般的に流入端部(または面)および流出端部(または面)を有し、フィルタカートリッジに流入してフィルタカートリッジから流出する流れが全体的に同じ直線的な方向であることである。用語「直線的な流れ構成」は、この定義では、対面媒体の最も外側の巻きを通って媒体パックから排出される空気の流れを無視する。場合によっては、流入端部および流出端部の各々は全体的に平坦または平面的にでき、それら2つは互いに平行である。しかしながら、一部の適用ではこれからの変形、例えば非平面的な面も可能である。さらに、流入面および流出面の特徴は、流入面と流出面が平行であることを要求していないことである。流入面および流出面は、所望であれば、互いに平行に設けることができる。あるいは、流入面および流出面は、面が平行とならないように、互いに角度をなして設けることができる。加えて、非平面的な面は非平行面とみなし得る。
【0036】
直線的な流れ構成は、例えば、米国特許第6,039,778号明細書に示すタイプのシリンダー状のひだの付けられたフィルタカートリッジと対照的であり、ここでは、流れが、実用的なカートリッジを通過する際に一般的にかなり曲がる。すなわち、米国特許第6,039,778号明細書のフィルタでは、前方流システムにおいて、流れは、シリンダー状側からシリンダー状フィルタカートリッジに入り、その後曲がって端面から出る。逆流システムにおいては、流れは、実用的なシリンダー状カートリッジに端面から入り、その後曲がってシリンダー状フィルタカートリッジの側から出る。そのような逆流システムの例は米国特許第5,613,992号明細書に示される。
【0037】
フィルタ要素またはフィルタカートリッジは、実用的なフィルタ要素またはフィルタカートリッジと称すことができる。この関係において、用語「実用的な」は、対応する空気清浄器から周期的に取り外されて交換されるフィルタカートリッジを含む媒体を指すことを意味する。実用的なフィルタ要素またはフィルタカートリッジを含む空気清浄器は、フィルタ要素またはフィルタカートリッジを取り外して交換できるように構成する。概して、空気清浄器はハウジングとアクセスカバーとを含むことができ、アクセスカバーは、使用済みフィルタ要素の取り外し、および新しいまたは清浄な(再生)フィルタ要素への交換ができるようにする。
【0038】
概して、媒体の一方の側(または面)に流入する濾過されていない空気が、媒体を離れる濾過済みの空気流の一部として媒体の他方の側(または面)から流出することを抑止する、適切な縦溝流路閉鎖配置を提供することが望ましい。多くの配置では、z型フィルタ媒体構成は、流入用縦溝流路および流出用縦溝流路のネットワークを形成するように構成され、流入用縦溝流路は、流入面に隣接する領域で開口しており、かつ流出面に隣接する領域で閉鎖している;流出用縦溝流路は、流入面に隣接して閉鎖しており、かつ流出面に隣接して開放している。しかしながら、代替的なz型フィルタ媒体配置も可能であり(例えばBaldwin Filters,Inc.の2006年5月4日公開の米国特許出願公開第2006/0091084A1号明細書参照)、同様に、対向する流出入面間に延在する縦溝流路を含み、濾過されていない空気が媒体パックを流れないようにするシール構造を備える。本発明による多くのz型フィルタ構成では、接着剤またはシーラントを使用して縦溝流路を閉鎖し、適切なシール構造を提供して、濾過されていない空気が媒体の一方の側から媒体の他方の側へ流れないようにすることができる。縦溝流路を閉鎖する技術として、プラグ、媒体の折り目付け、または媒体の押し潰しを使用し、濾過されていない空気が媒体の一方の側(面)から媒体の他方の側(面)へ流れないようにできる。
【0039】
図1を参照すると、z型フィルタ媒体として使用できる例示的なタイプの媒体1が示されている。媒体1は従来技術の媒体を示しているものの、媒体1の説明に値する用語の多くは、同様に本発明による媒体の部分を説明できる。媒体1は、縦溝流路付き(この例では波形)シート3および対面シート4から形成される。概して、縦溝流路付き波形シート3は、縦溝流路または波形7の規則的な湾曲した波パターンを有すると、本書では概して特徴付けられるタイプのものである。この関係において、用語「波パターン」は、谷7bと山7aが交互になっている縦溝流路または波形パターンを指すことを意味する。この関係において、用語「規則的な」は、山と谷の対(7a、7b)が、全体的に同じ繰り返しの波形(または縦溝流路)形状およびサイズで交互になっていることを指すことを意味する(また、一般に規則的な構成では、各谷7bは実質的に各山7aの逆である)。
【0040】
それゆえ、用語「規則的な」は、波形(または縦溝流路)パターンが山と谷とを含み、縦溝流路の長さの少なくともほとんどに沿って波形のサイズおよび形状に実質的な修正がなく、各対(隣接する谷と山とを含む)が繰り返されていることを示すことを意味する。この関係において、用語「実質的な」は、縦溝流路付きシート3を形成する媒体シートが可撓性であることによるわずかな変動とは対照的に、波形もしくは縦溝流路付きシートを形成するために使用されるプロセスまたは形状における変更から生じる修正を指す。
【0041】
繰り返しパターンの特徴付けに関して、任意の所与のフィルタ構成において、同じ数の山と谷が存在することを必ずしも意味しない。媒体1は、例えば、山と谷を含む1つの対間で、または山と谷を含む1つの対に部分的に沿って終端し得る(例えば、図1では、断片的に示す媒体2は、8個の完全な山7aと7個の完全な谷7bを含む)。同様に、対向する縦溝流路端部(山および谷の端部)は、互いに異なっていてもよい。そのような端部における変動は、特に述べない限り、これらの定義では無視される。すなわち、縦溝流路の端部における変動は、上述の定義によって網羅される。
【0042】
縦溝流路付き濾過媒体、特に例示的な媒体1に照らして、谷7bおよび山7aをピークとして特徴付けることができる。すなわち、山7aの最高点をピークとして特徴付け、谷7bの最低点をピークとして特徴付けることができる。縦溝流路付きシート3と対面シート4との組み合わせを片面フェーサ媒体5と呼ぶことができる。谷7bに形成されたピークを、片面フェーサ媒体5の対面シート4の方に向いているために内側ピークと呼ぶことができる。山7aに形成されたピークを、片面フェーサ媒体5を形成する対面シート3から外方に向いているために外側ピークと特徴付けることができる。片面フェーサ媒体5では、縦溝流路付きシート3は、7bに、対面シート4の方に向く繰り返しの内側ピークと、山7aに、対面シート4から外方に向く繰り返しの外側ピークとを含む。
【0043】
本書では、用語「規則的な」はまた、「テーパ付け」されていない縦溝流路パターンを特徴付ける。概して、規則的な縦溝流路パターンはまた、テーパ付き縦溝流路構成から区別できる直線的な縦溝流路パターンを指すことができる。図1の従来技術のフェーサ媒体5とは対照的に、本発明の媒体は、一般にテーパ付き縦溝流路構成を示す。
【0044】
概して、テーパとは、縦溝流路の長さに沿った、縦溝流路の開放領域のサイズの減少または増大を称す。概して、テーパ付き濾過媒体は、媒体の第1の端部から媒体の第2の端部までサイズが減少する第1の組の縦溝流路と、媒体の第1の端部から媒体の第2の端部までサイズが増大する第2の組の縦溝流路とを示すことができる。テーパ付き濾過媒体はまた、媒体の第1の端部から媒体の中間点までサイズが減少しかつ媒体の中間点から媒体の第2の端部までは実質的に一定のサイズを有する第1の組の縦溝流路を示すことができる。第2の組の縦溝流路は、媒体の第2の端部から媒体の中間点までサイズが増大し、その後媒体の中間点から媒体の第1の端部まで実質的に一定のサイズを有することができる。そのような構成では、フィルタ開口部をフィルタの上流および下流の双方で最大にできるため、フィルタにわたる総圧力低下を小さくすることができる。
【0045】
Z型媒体との関連では、一般的に2つのタイプの「非対称性」がある。非対称性の1つのタイプは面積非対称性と称し、非対称性の別のタイプは体積非対称性と称す。概して、面積非対称性は縦溝流路断面積における非対称性と称し、テーパ付き縦溝流路において示すことができる。例えば、面積非対称性は、縦溝流路の長さに沿ったある個所での縦溝流路の面積が縦溝流路の長さに沿った別の個所での縦溝流路の面積とは異なる場合に存在する。テーパ付き縦溝流路は、媒体パックの第1の個所(例えば端部)から第2の個所(例えば反対側の端部)までサイズが減少する、または媒体パックの第1の個所(例えば端部)から第2の個所(例えば反対側の端部)までサイズが増大するため、面積非対称性となる。この非対称性(例えば面積非対称性)は、テーパを付けることによって生じる非対称性のタイプであり、その結果、このタイプの非対称性を有する媒体は、非規則的と称す。
【0046】
別のタイプの非対称性は体積非対称性と称すことができ、以下詳細に説明する。体積非対称性は、フィルタ媒体パック内の汚染側体積と清浄側体積との差を指す。体積非対称性を示す媒体パックは、波パターンが規則的である場合、規則的と特徴付けられ、波パターンが非規則的である場合、非規則的と特徴付けられることができる。
【0047】
Z型媒体は、接着剤またはシーラントのプラグを設ける以外の技法によって、濾過されていない空気の通過に対して縦溝流路の少なくとも一部分が閉鎖される個所に設けることができる。例えば、縦溝流路の端部を折り畳んでまたは押し潰して閉鎖することができる。縦溝流路を閉鎖するための規則的かつ一貫性のある折り畳みパターンを提供する1つの技法は、ダーツ付け(darting)と称すことができる。ダーツ付けされた縦溝流路またはダーツ付けは一般的に縦溝流路の閉鎖と称し、ここでは、押し潰しによってではなく、縦溝流路を折り畳み、規則的な折り畳みパターンを形成し、縦溝流路を対面シートの方へ倒して閉鎖することによって閉鎖が生じる。ダーツ付けは一般的に、縦溝流路の折り畳み部分によって縦溝流路の端部を閉鎖し、その結果縦溝流路の閉鎖を全体的に一貫性がありかつ制御されるようにするための系統的な手法を暗示する。例えば、米国特許出願公開第2006 0163150A1号明細書には、縦溝流路の端部においてダーツ付けされた構成を有する縦溝流路が開示されている。特に、閉鎖部は、縦溝流路の先端部に刻み目を付け、その後刻み目を付けた縦溝流路の先端部を対面シートの方へ折り畳むことによって設けることができる。ダーツ付けされた構成は、例えば、封止をもたらすために必要なシーラント量の減少、封止の有効性の安全性を高めること、および縦溝流路のダーツ付けされた端部にわたる所望の流れパターンを含め、利点を提供できる。Z型媒体は、ダーツ付けされた端部を含む縦溝流路を含むことができ、米国特許出願公開第2006 0163150A1号明細書の全開示を本願明細書に援用する。縦溝流路の端部にダーツまたは縦溝流路閉鎖部が存在することで、媒体を非規則的にはしないことを理解されたい。「非規則的」の定義では、縦溝流路閉鎖部が存在するか否かを考慮しない。すなわち、縦溝流路を規則的であるとみなすかまたは非規則的であるとみなすかは、閉鎖部ではなく縦溝流路に依存する。
【0048】
「湾曲」とみなされないほど十分に半径が小さいピークを提供することが望ましいことがある。半径は0.25mm未満、または0.20mm未満とし得る。マスキングを減らすために、刃先によってピークを提供することが望ましいことがある。ピークに刃先をあてがうことは、媒体を形成するのに使用される装置、媒体自体、および媒体がさらされる条件によって限定され得る。例えば、媒体を切断したり引き裂いたりしないことが望ましい。従って、刃先によって媒体が切断されたり引き裂かれたりする場合には、刃先を使用してピークを形成することは望ましくないことがある。さらに、媒体は、切断したり引き裂いたりせずに十分に非湾曲性のピークを提供するために軽すぎたり重すぎたりすることがある。さらに、加工中の空気の湿度は、媒体を損傷させることなくピークを形成する際に、ぴったり合った半径を形成するのを助けるために、高めることができる。
【0049】
図1に示す波形シート3の場合の特定の規則的な湾曲した波パターンの追加的な特徴は、縦溝流路の長さ7のほとんどに沿った各谷7bと隣接する各山7aとの間のほぼ中点30が、曲率が反転する移行領域に配置されていることである。例えば、裏面または面3aを見ると(図1)、谷7bは凹状領域であり、山7aは凸状領域である。当然ながら、前面または面3bの方から見ると、面3aの谷7bは山を形成し;面3aの山7aは谷を形成する。場合によっては、領域30は、点ではなく直線セグメントとすることができ、曲率はセグメント30の端部において反転する。領域30が直線セグメントとして設けられる場合、図1に示す波パターンは、例えば、山7aにおける曲線、領域30における直線セグメント、および谷7bにおける曲線の繰り返しパターンのために、「円弧−直線−円弧」の波パターンと特徴付けることができる。
【0050】
図1を参照しかつ上述のように、媒体2は第1および第2の対向縁部8および9を有する。図示の例では、媒体2がコイル状にされて媒体パックを形成している場合、概して縁部9は媒体パックの流入端部を、縁部8は流出端部を形成するが、一部の適用では逆の向きも可能である。
【0051】
図示の例では、隣接縁部8には、この例ではシーラントビード10の形態のシーラントが設けられ、縦溝流路付きシート3と対面シート4を共に封止する。ビード10は、「片面フェーサ」ビードと称すこともある。なぜなら、片面フェーサ媒体5を形成する波形シート3と対面シート4との間のビードであるためである。シーラントビード10は、縁部8に隣接する閉鎖された個別の縦溝流路11を、そこからの空気の通過に対して封止する。
【0052】
図示の例では、隣接縁部9には、この例ではシーラントビード14の形態のシーラントが設けられる。シーラントビード14は一般的に縁部9に隣接する縦溝流路15を閉鎖して、濾過されていない流体がそこを通過しないようにする。ビード14は一般に、媒体2がそれ自体の周りでコイル状にされるときに、波形シート3が内側に向くようにして適用される。それゆえ、ビード14は対面シート4の裏面17と縦溝流路付きシート3の側18との間に封止を形成する。ビード14は、一般に条片2がコイル状媒体パックにコイル巻きにされるときに適用されるため、「巻回ビード」と称すこともある。媒体2が、コイル状にされる代わりに条片に切断されて積み重ねられる場合、ビード14は「積層ビード」とし得る。
【0053】
図1を参照すると、媒体1を例えばコイル巻きまたは積み重ねによって媒体パックに組み込むと、以下の通り動作し得る。まず、矢印12の方向の空気が、端部9に隣接する開放縦溝流路11に流入する。ビード10によって端部8が閉鎖されているために、空気は、矢印13に示すように媒体を通過する。次いで空気は、媒体パックの端部8に隣接する縦溝流路15の開放端部15aを通過することによって、媒体パックから流出する。当然ながら、動作は、反対方向の空気の流れによって行うこともできる。
【0054】
より大まかに言えば、z型フィルタ媒体パックは、対面フィルタ媒体に固定された縦溝流路付きフィルタ媒体を含むと特徴付けられ、かつ、第1の流出入面と第2の流出入面との間に延在する縦溝流路の媒体パックに構成することができる。シーラントまたはシール構造は媒体パック内に設けられ、第1の上流の流出入面または縁部において縦溝流路に流入する空気が、媒体の通過による濾過が行われずに、媒体パックの下流の流出入面または縁部から流出できないことを保証するようにする。あるいは、z型フィルタ媒体パックは、一般にシーラント配置または他の配置によって、流入面と流出面との間を通過する、濾過されていない空気に対して閉鎖される。この追加的な代替的な特徴付けは、縦溝流路の第1の部分は、濾過されていない空気が縦溝流路の第1の部分に流入しないように閉鎖または封止され、縦溝流路の第2の部分は、濾過されていない空気が媒体パックから流出しないように閉鎖または封止されるので、流出入面の一方から入りかつ他方の流出入面から出る空気は、媒体を通過して空気が濾過される。
【0055】
本書で図1に示す特定の配置の場合、平行の波形7a、7bは、縁部8から縁部9まで媒体全体にわたって概して直線である。直線の縦溝流路または波形は、選択した個所、特に縁部において変形できるまたは折り畳むことができる。閉鎖のための縦溝流路端部の修正は一般的に、「規則的」、「湾曲」および「波パターン」の上述の定義において無視されている。
【0056】
概して、フィルタ媒体は比較的可撓性のある材料、一般に(セルロース繊維、合成繊維またはそれら双方の)不織繊維性材料であり、樹脂を含有することが多く、追加的な材料で処理されることがある。それゆえ、媒体へ好ましくない損傷を与えることなく、様々な縦溝流路(例えば波形)パターンに一致または構成できる。また、同様に媒体へ好ましくない損傷を与えることなく、容易にコイル状にまたは他の構成にして使用できる。当然ながら、使用中に必要な縦溝流路(例えば波形)構成を維持する性質を帯びている必要がある。
【0057】
波形または縦溝流路形成プロセスでは、非弾性変形が媒体に生じる。これは、媒体がその元の形に戻らないようにする。しかしながら、張力が解かれると、縦溝流路または波形は跳ね返り、生じた伸長および屈曲の一部分のみの状態を戻す傾向がある。対面シートは、縦溝流路付き(または波形)シートのこの跳ね返りを抑止するために、縦溝流路付きシートに留められることがある。
【0058】
また、媒体は樹脂を含有することができる。波形形成プロセス中に、媒体は樹脂のガラス転移点超まで加熱できる。樹脂が冷えると、縦溝流路の形状を維持するのを助ける。
【0059】
縦溝流路付きシート3、対面シート4またはそれら双方の媒体は、例えば米国特許第6,955,775号明細書、同第6,673,136号明細書、および同第7,270,693号明細書(本願明細書に援用する)によれば、それらの片面または両面に細繊維材料を備えることができる。概して、細繊維は、ポリマー細繊維(マイクロファイバーおよびナノファイバー)と称すことができ、媒体に提供されて濾過性能を高めることができる。媒体に細繊維が存在することによって、重量が軽いまたは厚みが薄い媒体を提供する一方で、所望の濾過特性を獲得することが可能となり得るまたは望ましいとし得る。従って、媒体に細繊維が存在することによって、濾過特性を高めること、より薄い媒体が使用できること、またはそれら双方を提供できる。細繊維として特徴付けられる繊維の直径は約0.001マイクロメートル〜約10マイクロメートル、約0.005マイクロメートル〜約5マイクロメートル、または約0.01マイクロメートル〜約0.5マイクロメートルとし得る。ナノファイバーは、直径が200ナノメートルすなわち0.2マイクロメートル未満の繊維を指す。マイクロファイバーは直径が0.2マイクロメートル超であるが、10マイクロメートル以下の繊維を指す。細繊維を形成するために使用できる例示的な材料は、ポリ塩化ビニリデン、様々なナイロン、例えばナイロン6、ナイロン4,6、ナイロン6,6、ナイロン6,10およびそれらのコポリマーなどを含むポリビニルアルコールポリマーおよびコポリマー、ポリ塩化ビニル、PVDC、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、PMMA、PVDF、ポリアミド、およびそれらの混合物を含む。
【0060】
さらに図1を参照すると、符号20で、縦溝流路付きシート3と対面シート4との間に配置されそれら2つを固定する仮付けビードを示す。仮付けビード20は例えば接着剤の不連続線とし得る。仮付けビードはまた媒体シートが溶接される点ともし得る。
【0061】
上記から、図示の例示的な縦溝流路付きシート3は一般に、対面シートに、それらが隣接するピークに沿って、連続的には固定されていないことが明らかである。それゆえ、空気は、媒体を通過することなく、隣接する流入用縦溝流路間を、および交互に隣接する流出用縦溝流路間を流れることができる。しかしながら、流入面から縦溝流路に流入した、濾過されていない空気は、濾過機能のある媒体の少なくとも一方のシートを通過せずには流出面を通って縦溝流路から流出できない。
【0062】
ここで図2に注意を向けると、縦溝流路付き(この例では規則的な湾曲した波パターン)シート43と、非波形の平坦な対面シート44とを使用するz型フィルタ媒体構成40を示している。点50と点51との間の距離D1は、所与の縦溝流路53の真下にある領域52における平坦な媒体44の延在部を規定する。点50および51は、縦溝流路付きシート43の内側ピーク46および48の中心点として設けられる。さらに、点45は縦溝流路付きシート43の外側ピーク49の中心点と特徴付けることができる。距離D1は、媒体構成40の周期長または間隔を規定する。長さD2は、同じ距離D1にわたる縦溝流路53のアーチ状の媒体の長さを規定し、それは当然ながら、縦溝流路53の形状ゆえにD1よりも長い。
【0063】
縦溝流路高さJは、対面シート44から縦溝流路付きシート43の最高点までの距離である。あるいは、縦溝流路高さJは、縦溝流路付きシート43の隣接するピーク57と58との間の外部高低差である。縦溝流路高さJは縦溝流路付きシート43の厚さを考慮する。ピーク57は内側ピークと称すことができ、ピーク58は外側ピークと称すことができる。距離D1、D2、およびJは、図2に示す特定の縦溝流路付き媒体の配置に適用されるが、これらの距離は、D1が所与の縦溝流路の真下の縦溝流路の周期長または平坦な媒体の距離を指し、D2が低いピークから低いピークまでの縦溝流路付き媒体の長さを指し、およびJが縦溝流路高さを指す縦溝流路付き媒体の他の構成にも適用できる。
【0064】
別の測定値はコード長(CL)と称すことができる。コード長は、低いピーク57の中心点50から高いピーク58の中心点45までの直線距離を指す。コード長(CL)はさらに、隣接するピークの中心点間の直線距離と表現できる。媒体の厚さ、および特定の距離の測定を始めるまたは終える個所を決定することは、媒体の厚さが距離の値に影響を及ぼすため、距離の値に影響を及ぼすことがあることを理解されたい。例えば、コード長(CL)は、距離が内側ピークの底部から外側ピークの底部まで測定されるか、または距離が内側ピークの底部から外側ピークの頂部まで測定されるかに依存して、異なる値を有し得る。この距離の差は、媒体の厚さがどのように距離の測定に影響し得るかの例である。媒体の厚さの影響を最小限にするために、コード長の測定は、媒体内の中心点から判断される。
【0065】
コード長CLと媒体長さD2との関係を媒体−コード百分率として特徴付けることができる。媒体−コード百分率は以下の式:
【数1】
に従って決定できる。
【0066】
段ボール業界では、様々な標準縦溝流路を規定している。これらは、例えば、標準E縦溝流路、標準X縦溝流路、標準B縦溝流路、標準C縦溝流路、および標準A縦溝流路が含まれる。図3は、以下の表1と組み合わせて、これらの縦溝流路の定義を提供する。
【0067】
本開示の譲受人であるDonaldson Company,Inc.(DCI)は、様々なz型フィルタ配置において標準Aおよび標準Bの縦溝流路の変形を使用してきた。DCIの標準B縦溝流路の媒体−コード百分率は約3.6%とし得る。DCIの標準A縦溝流路の媒体−コード百分率は約6.3とし得る。図2に、標準B縦溝流路を縦溝流路付きシート43として使用するz型フィルタ媒体構成40を示す。
【0068】
【表1】
【0069】
概して、段ボール箱業界の標準縦溝流路構成は、波形媒体の波形の形状またはおおよその波形の形状を規定するために使用されてきた。濾過媒体の性能の改善は、濾過機能を高める縦溝流路構成または構造を提供することにより達成できる。段ボール箱紙ボード業界では、縦溝流路のサイズまたは波形の幾何学的形状は、荷の扱いに好適な構造を提供するように選択された。段ボール箱業界における縦溝流路の幾何学的形状は標準A縦溝流路またはB縦溝流路構成を発展させた。そのような縦溝流路構成は荷の扱いに望ましいとし得る一方で、濾過性能は、縦溝流路の幾何学的形状を変更することによって高めることができる。濾過性能を改善するための技術には、概して濾過性能を改善し、かつ選択された濾過条件下で濾過性能を改善する幾何学的形状および構成を選択することを含む。濾過性能を改善するために変更できる例示的な縦溝流路の幾何学的形状および構成は、縦溝流路のマスキング、縦溝流路の形状、縦溝流路の幅と高さの比、および縦溝流路の非対称性を含む。縦溝流路の幾何学的形状および構成の選択の幅が広いことを考慮して、フィルタ要素は、濾過性能を改善するために、様々な縦溝流路の幾何学的形状および構成を考慮して所望のフィルタ要素の幾何学的形状および構成で構成できる。
【0070】
濾過性能は、濾過に利用可能な濾過媒体の量を増やすことによって高めることができる。濾過に利用可能な濾過媒体の量を増やす技術は、マスキングを減らす、縦溝流路の幅と高さの比を調整する、縦溝流路密度を高める、縦溝流路の形状を調整する、およびプラグの長さを短くすることを含む。濾過に利用可能な濾過媒体の量を増やすためのこれらの技術は、所望通りに個別にまたは組み合わせて使用することができる。これらの技術の各々を詳細に説明する。
【0071】
マスキングを減らすことは、濾過に利用可能な媒体の表面積を増やすための技術であるとみなすことができる。Z型媒体との関連で、マスキングとは、縦溝流路付きシートと対面シートとの間の近接領域を指し、そこでは実質的な圧力差がなく、濾過媒体の使用時にその個所で有用な濾過媒体を欠くことになる。概して、マスキングは、別の媒体シートに近接する媒体の個所であって、その個所において媒体を通る流れに対し抵抗を生じる当該個所によって特徴付けられることが多い。その結果、マスキングされた媒体は、濾過媒体の濾過性能を著しく高めるのには有用ではない。従って、マスキングを減らして濾過に利用可能な濾過媒体の量を増やすこと、それにより濾過媒体の能力を高めること、濾過媒体の処理量を増やすこと、濾過媒体の圧力低下を小さくすること、またはこれらの一部または全てが望ましい。
【0072】
図2に示す、ピークにおいて半径の大きいパターンで配置された縦溝流路付きシートの場合、一般的に濾過に利用できない縦溝流路付きシートと対面シートの接触域に近接する濾過媒体の領域は比較的大きい。マスキングは、縦溝流路付きシートと対面シートとが接触半径を小さくする(接触点を鋭くする)ことによって、小さくできる。マスキングは一般的に圧力下にあるとき(例えば、空気濾過中)の媒体の撓みを考慮に入れる。比較的大きな半径は、より多くの縦溝流路付き媒体を対面シートの方へ撓ませ、それによりマスキングを増やす。鋭い接触点(例えば、小さな半径を有するピーク)を提供することによって、マスキングを減らすことができる。
【0073】
縦溝流路付きシートと対面シートとの間の接触の半径を減らす試みがなされている。例えば、Winterらへの米国特許第6,953,124号明細書を参照されたい。図1に示す湾曲した波パターンなどの湾曲した波パターンは、一般的に、ピークにおける半径が少なくとも0.25mm、典型的には3mm以下の縦溝流路付きシートを提供する。比較的鋭い接触点は、0.25mm未満の半径を有するピークにおける接触点と特徴付けることができる。約0.20mm未満の半径を有する比較的鋭い接触点を提供できる。加えて、マスキングは、半径が約0.15mm未満、好ましくは約0.10mm未満のピークを提供することによって、減らすことができる。ピークは、半径がないまたは実質的に半径が約0mmであるように提供できる。ピークにおいて比較的鋭い接触点を示す縦溝流路付き媒体を提供する例示的な技術は、比較的鋭い縁部を提供するのに十分なように縦溝流路付き媒体のコイニング、曲げ、折り畳み、または折り目付けを行うことを含む。鋭い縁部を提供する能力は、媒体自体の組成、および曲げ、折り畳み、または折り目をもたらすのに使用される加工装置を含め、いくつもの要因に依存することを理解されたい。概して、比較的鋭い接触点を提供する能力は、媒体の重量、および媒体が引き裂きまたは切断に抵抗する繊維を含有するかどうかに依存する。概して、コイニング、曲げ、折り畳み、または折り目付けを行う際中に濾過媒体を切断しないようにすることが望ましい。
【0074】
ピーク(内側ピークまたは外側ピーク)の半径を小さくしてマスキングを減らすことが望ましいが、マスキングを減らすために全てのピークの半径を小さくする必要はない。媒体の設計に応じて、マスキングを減らすために半径の小さい外側ピークまたは半径の小さい内側ピークを提供する、または半径の小さい外側ピークおよび内側ピークの双方を提供することで十分とし得る。
【0075】
濾過に利用可能な媒体の表面積を増やす別の技術は、濾過に利用可能な空間体積へより多くの媒体を入れることを含む。例えば、濾過に利用可能な濾過媒体の量を、縦溝流路の幅と高さの比を調整することによって増やすことができる。正三角形を形成する縦溝流路を有する媒体の例が、米国特許第6,953,124号明細書の図2に示されている。理論的な正三角形の縦溝流路の形状は、段ボール箱紙ボード業界では荷を扱うために望ましいとし得るが、理論的な正三角形とは異なる縦溝流路の形状を選択することによって濾過性能を高めることができる。この現象の考えられる説明の1つは、他と比べて周期長もしくは間隔D1が大きいもしくは小さい、または縦溝流路高さJが大きいもしくは小さい他の縦溝流路設計と比べて、理論的な正三角形の形状は、濾過に利用可能な最小媒体量をもたらす。さらに、当然のことながら、媒体は可撓性であるため、濾過中などに圧力にさらされると媒体は撓み得る。その結果、媒体の撓みはマスキングを増やす可能性があり、このタイプのマスキングが、理論的な正三角形形状の縦溝流路の場合に、より顕著な効果をもたらし得ることが予測される。
【0076】
濾過に利用可能な媒体の表面積を増やす一技術は、縦溝流路の幅と高さの比を選択することによる。縦溝流路の幅と高さの比は、縦溝流路周期長D1対縦溝流路高さJの比である。縦溝流路の幅と高さの比は以下の式:
【数2】
で表すことができる
【0077】
縦溝流路周期長D1および縦溝流路高さJなどの測定距離は、各端部における縦溝流路の長さの20%を除く縦溝流路の長さに沿った濾過媒体の平均値と特徴付けることができる。距離D1およびJは、シーラントの存在または閉鎖技術のため縦溝流路の端部が一般に変形しているため、縦溝流路の端部から離れて測定し得る。縦溝流路閉鎖部において計算された縦溝流路の幅と高さの比は、必ずしも、濾過中の縦溝流路の、縦溝流路の幅と高さの比を表すわけではない。従って、縦溝流路の幅と高さの比の測定値は、縦溝流路が端部でまたは端部付近で閉鎖する際の縦溝流路閉鎖部の影響を除外するために、縦溝流路の端部付近の縦溝流路の長さの最後20%を除いた、縦溝流路の長さ全体の平均値として提供され得る。「規則的」な媒体とは、縦溝流路周期長D1および縦溝流路高さJが縦溝流路の長さに沿って比較的一定であることが予期される。比較的一定とは、縦溝流路の幅と高さの比が、縦溝流路閉鎖部設計が幅と高さの比に影響を与え得る各端部における20%の長さを除いて、縦溝流路の長さにわたって約10%内で変動し得ることを意味する。加えて、テーパ付き縦溝流路を有する媒体などの「非規則的」な媒体の場合、縦溝流路の幅と高さの比は縦溝流路の長さにわたって変化し得るまたはほぼ同じままとし得る。理論的な正三角形形状から離れて縦溝流路の形状を調整することによって、濾過に利用可能な所与の体積における媒体量を増やすことができる。従って、縦溝流路の幅と高さの比が少なくとも約2.2、少なくとも約2.5、少なくとも約2.7、または少なくとも約3.0の縦溝流路は、濾過に利用可能な媒体の表面積を増やすことができる。加えて、幅と高さの比が約0.45未満、約0.40未満、約0.37未満、または約0.33未満の縦溝流路設計を提供することによって、濾過に利用可能な媒体面積を増やすことができる。概して、正三角形形状を有する理論的な縦溝流路は、縦溝流路の幅と高さの比が約1.6を示す。
【0078】
濾過に利用可能な濾過媒体の量を増やす別の技術は、媒体パックの縦溝流路の密度を高くすることを含む。縦溝流路の密度は、濾過媒体パックにおける濾過媒体の断面積当たりの縦溝流路数を指す。縦溝流路の密度は、縦溝流路高さJ、縦溝流路周期D1、および媒体厚さTを含め、いくつもの要因に依存する。縦溝流路の密度は、媒体パックの縦溝流路の密度または片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度と特徴付けることができる。フィルタ要素用の媒体パックの縦溝流路の密度(ρ)を計算する式は:
【数3】
である。
【0079】
フィルタ要素の縦溝流路の密度は、フィルタ要素の断面積において開放しているチャネルおよび閉鎖しているチャネルを含めチャネル数を集計し、それを、チャネル数が決定された個所のフィルタ要素の断面積の2倍で割ることによって計算できる。概して、縦溝流路の密度は、流入面から流出面までまたはその反対方向にフィルタ要素の長さにわたって比較的一定のままであることが予測される。Z型媒体の断面積は、媒体(巻かれたまたは積み重ねられた)の断面積を指し、必ずしもフィルタ要素の断面積ではないことを理解されたい。フィルタ要素は、ハウジングを係合するためのシースまたはシールを有して、媒体の断面積よりも断面積が大きいフィルタ要素を提供してもよい。さらに、媒体の断面積は実効面積を指す。すなわち、媒体がコアまたはマンドレルの周りに巻かれている場合、コアまたはマンドレルの断面積はZ型媒体パックの断面積の一部ではない。
【0080】
片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度(ρ)を計算するための代替的な式は:
【数4】
である。
【0081】
縦溝流路の密度の式では、Jは縦溝流路高さであり、D1は縦溝流路周期長であり、およびTは縦溝流路付きシートの厚さである。この代替的な式は、片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度を計算するための式と称すことができる。片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度は、片面フェーサ媒体の構成に基づいて決定される。その一方、媒体パックの縦溝流路の密度は、組み立てられた媒体パックに基づいて決定される。
【0082】
理論的に、媒体パックの縦溝流路の密度および片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度は、同様の結果をもたらす必要がある。しかしながら、媒体パックの縦溝流路の密度および片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度が異なる結果をもたらすように、媒体パックを構成し得ることも可能である。
【0083】
図2および図3に示し表1で特徴付けられる標準B縦溝流路は、縦溝流路の密度(媒体パックの縦溝流路の密度および片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度)が約34縦溝流路/インチ2のコイル状濾過媒体を提供する。標準B縦溝流路媒体から形成された媒体パックは、約34縦溝流路/インチ2の縦溝流路の平均密度を有すると特徴付けることができる。縦溝流路の密度(媒体パックの縦溝流路の密度または片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度のどちらで表現されるかに関わらず)は、特に明記しない限り、媒体パックの縦溝流路の平均密度であるとみなし得る。それゆえ、縦溝流路の密度は、時には縦溝流路の密度と、またある時には縦溝流路の平均密度と称すことがある。概して、縦溝流路の平均密度を高くすることは、標準B縦溝流路媒体の縦溝流路の密度よりも高い縦溝流路の密度を有する媒体パックを提供することを指す。例えば、高い縦溝流路の密度は、35.0縦溝流路/インチ2超の縦溝流路の密度を有する媒体パックを指すことができる。媒体パックは、約36縦溝流路/インチ2超、約38縦溝流路/インチ2超、約40縦溝流路/インチ2超、45縦溝流路/インチ2超、または約50縦溝流路/インチ2超の縦溝流路の密度を有して設けられ得る。媒体パックは、圧力低下を小さくするまたはそこを通る流れ抵抗を少なくするために低い縦溝流路の密度(標準B媒体と比較して)を有して設けることができる。例えば、媒体パックは、約34縦溝流路/インチ2未満、30縦溝流路/インチ2未満、または約25縦溝流路/インチ2未満の媒体パックの縦溝流路の密度を有して設けることができる。
【0084】
概して、高い縦溝流路の密度を有する媒体を提供することは、媒体の体積内で媒体の表面積を増やす傾向があり、それゆえ、濾過媒体の耐荷力を高める傾向がある。従って、媒体の縦溝流路の密度を高めることは、媒体の耐荷力を高める効果を有し得る。しかしながら、媒体の縦溝流路の密度を高めることは、他の要因は一定のままであると仮定すると、媒体による圧力低下を大きくする効果も有し得る。
【0085】
濾過媒体の縦溝流路の密度を高めることは、縦溝流路高さ(J)または縦溝流路周期長(D1)、またはそれら双方を小さくする効果を有し得る。その結果、縦溝流路のサイズ(縦溝流路のサイズは縦溝流路の断面積を指す)は、縦溝流路の密度が高くなるにつれて小さくなる傾向がある。縦溝流路のサイズが小さいことは、常にではないが、濾過媒体の圧力低下が大きくなる効果を有する。概して、媒体の圧力低下とは、媒体の第2の面で測定された圧力に対する媒体の第1の面において判断された圧力差を指し、第1の面および第2の面は、一般的に縦溝流路の対向端部に設けられる。縦溝流路の密度が比較的高い一方で所望の圧力低下を保持する濾過媒体を提供するために、縦溝流路の長さを減らすことができる。
【0086】
縦溝流路の長さは、濾過媒体の第1の面から濾過媒体の第2の面までの距離を指す。燃焼機関用の空気の濾過に有用な濾過媒体の場合、短い縦溝流路は、縦溝流路の長さが約5インチ未満(例えば、約1インチ〜約5インチ、または約2インチ〜約4インチ)の縦溝流路と特徴付けることができる。中間の長さの縦溝流路は、長さが約5インチ〜約8インチの縦溝流路と特徴付けることができる。長い縦溝流路は、縦溝流路の長さが約8インチ超(例えば、約8インチ〜約12インチ)の縦溝流路と特徴付けることができる。
【0087】
媒体パック内で濾過に利用可能な濾過媒体の量を増やすための別の技術は、表1で説明したもののような標準的な縦溝流路付き媒体設計と比較して、濾過に利用可能な濾過媒体の量が増える縦溝流路付き媒体構成を選択することを含む。濾過に利用可能な濾過媒体の量を増やす縦溝流路付き媒体設計を提供する一技術は、隣接するピーク間に稜部を形成することによるものである。上述のように、縦溝流路付き媒体ピークは、縦溝流路付き媒体が対面シートに付着されて片面フェーサ媒体を形成している場合には、ピークが対面シートの方に向いているかまたは対面シートから外方に向いているかに依存して内側ピークまたは外側ピークと特徴付けることができる。対面シートがない場合には、内側ピークおよび外側ピークは、所望の向きに依存して選択できる。しかしながら、内側ピークは縦溝流路付き濾過媒体の一方の側にあり、外側ピークは縦溝流路付き濾過媒体の他方の側に設けられていることに留意されたい。
【0088】
図4a〜図4cは、濾過性能を高めるための例示的な縦溝流路の形状を有する媒体の部分を示す。図4aに関しては、媒体110は、対面シート111と113との間に縦溝流路付きシート112を含む;図4bに関しては、媒体120は、対面シート121と123との間に縦溝流路付きシート122を含む;および図4cに関しては、媒体140は対面シート141と143との間に縦溝流路付きシート142を含む。縦溝流路付きシート112と対面シート113の組み合わせは片面フェーサ媒体117と称すことができ、縦溝流路付きシート122と対面シート123の組み合わせは片面フェーサ媒体137と称すことができ、および縦溝流路付きシート142と対面シート143の組み合わせは片面フェーサ媒体147と称すことができる。片面フェーサ媒体117、137、または147がコイル状であるまたは積み重ねられている場合、対面シート111、121、または141は、積層媒体の場合には別の片面フェーサ媒体から、またはコイル状媒体の場合には同じ片面フェーサ媒体から提供できる。
【0089】
図4a〜図4cの媒体110、120、および140は、空気などの流体を清浄にするためのフィルタ要素を提供するように配置できる。フィルタ要素はコイル状要素または積層要素として配置できる。コイル状要素は一般的に、縦溝流路付き媒体シートおよび対面媒体シートを含み、コイル状構成を提供するために巻かれている。コイル状構成は、円形、長楕円、またはレーストラック状と特徴付けられる形状を有して提供できる。積層構成は一般的に、対面媒体シートに付着された縦溝流路付き媒体シートを含む媒体の交互の層を含む。概して、対面媒体シートに付着された縦溝流路付き媒体シートは片面フェーサ媒体と称すことができる。図4aに示す媒体110は、小接触および低歪み形状の縦溝流路付きシートの断面形状を示すために、媒体を横切って取った断面図である。断面形状は、縦溝流路の長さに沿って延在するように提供できることを理解されたい。さらに、縦溝流路は、媒体がZ型媒体の役目を果たすように封止できる。所望であれば、封止は、接着剤またはシーラント材料として提供することができる。
【0090】
図4aでは、距離D1は、内側ピーク114の中心点から内側ピーク116の中心点まで測定される。あるいは、距離D1は、外側ピーク115の中心点から外側ピーク119の中心点まで測定できる。縦溝流路付き媒体110は、各周期長D1にまたは媒体長さD2に沿って2つの稜部118を有するものとして示す。稜部118は、縦溝流路の長さの少なくとも一部分に沿って延在するように設けられる。概して、各稜部118は、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分118aと縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分118bとがつながっている全体的な領域と特徴付けることができる。稜部(例えば、非ピーク稜部)は、異なる傾斜の媒体部分間の交線とみなすことができる。稜部は、その個所での媒体の変形の結果、形成され得る。媒体は、圧力を媒体に加える結果、稜部で変形され得る。圧力を媒体に加える技術をコイニングと呼ぶことができる。
【0091】
例示的な縦溝流路付きシート112では、図4aにおいて、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分118aは、外側ピーク115と稜部118との間に延在する縦溝流路付き媒体の部分として示す。この比較的平坦な部分の傾斜角度は、例えば平坦なシートに対して0〜90°の角度であるように、異なる実装例で変動し得る。外側ピーク115から稜部118への縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分118aの平均角度は、45°未満と特徴付けることができ、かつ、対面シート113に対して約30°未満で設けることができる。縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分118bは、内側ピーク116から稜部118まで延在する媒体の部分と特徴付けることができる。概して、内側ピーク116と稜部118との間に延在すると特徴付けられた縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分118bの角度は、45°超とでき、かつ、対面シート113に対して約60°超とできる。稜部118を生じるのは、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分118aと縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分118bとの間の角度に差があるからである。縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分118aの角度および縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分118bの角度は、媒体のセクション(例えば縦溝流路付き媒体118aまたは縦溝流路付き媒体118b)の終点を形成する点間の角度として、および対面シート113から測定される角度として決定され得ることを理解されたい。さらに、特定の角度への言及は図示のためであり、稜部118を形成する媒体の部分は、上記で特定した角度とは異なる角度を有し得る。
【0092】
稜部118は、縦溝流路付き媒体12を形成する際中の、縦溝流路付きシート112の長さに沿ったコイニング、折り目付け、曲げ、または折り畳みの結果として、設けることができる。縦溝流路付き媒体112を形成する工程中、稜部118を設定する工程を取ることが望ましいかもしれないが、必須ではない。例えば、稜部118は、熱処理または水分処理またはそれらの組み合わせによって設定できる。加えて、稜部118は、稜部を設定する追加的な工程がなくても、稜部を形成するための折り目付け、曲げ、または折り畳みの結果として、存在し得る。さらに、稜部118の特徴付けは、縦溝流路付きシート外側ピーク115または119および縦溝流路付きシート内側ピーク116または114と混同されない。全体的に平坦な部分118aおよび全体的に傾きが急な部分118bの特徴付けは、稜部の存在を特徴付ける手段として意図される。概して、平坦な部分118aおよび傾きが急な部分118bは曲線を示すことが予測される。すなわち、平坦な部分118aおよび傾きが急な部分118bは、特に濾過中に空気などの流体が媒体を流れるため、完全に平面的ではないことが予測される。それにもかかわらず、対面シートに対する媒体の角度は、稜部118の存在を決定する、媒体の部分に対して測定できる。
【0093】
図4aに示す媒体の形状は、小接触形状と称すことができる。概して、小接触形状は、縦溝流路付きシート112と対面シート111との間の比較的小さい接触面積を指す。稜部118が存在することによって、ピーク115および119におけるマスキングを小さくすることを助ける。稜部118は、縦溝流路付きシート112を形成する結果として存在し、その結果、ピーク115および119において媒体にかかる内部応力を低減させる。稜部118が存在しなければ、縦溝流路付きシート112がピーク115および119に大きな半径を形成し、それにより、マスキングを増やすようなレベルの内部張力を縦溝流路付きシート112に生じさせてしまうであろう。その結果、稜部118の存在は、稜部のない場合にピークを拡張または平らにさせてしまう縦溝流路付きシート112の張力を、ある程度まで緩和する結果、隣接するピーク間(例えばピーク115と114との間)に存在する媒体量を増やすのを助け、かつ、ピーク(例えばピーク115)の半径を減らすのを助ける。
【0094】
稜部118が存在することは目視によって検出できる。小接触形状が存在することは、縦溝流路付き媒体の端部を見ることからは特に明白とはならないが、フィルタ要素を切り込むと、縦溝流路の長さに沿って延在する稜部の存在を見ることができる。さらに、稜部が存在することは、技術的には、フィルタ要素にはダストを多く含むので、縦溝流路付きシートを対面シートから剥がして、縦溝流路付き媒体の稜部に対応する稜部を有するダストの固まりを露わにすることによって確認できる。概して、ダストの固まりの稜部は、平均角度を有するダスト表面の、異なる平均角度を有するダスト表面の別の部分と交差する一部分を反映する。ダスト表面の固まりの2つの部分の交差部が稜部を形成する。縦溝流路を満たすように媒体に入れて縦溝流路内にダストの固まりをもたらすために使用できるダストは、ISO Fine testダストと特徴付けることができる。
【0095】
ここで図4aをさらに参照すると、縦溝流路付きシート112は距離D2にわたって2つの稜部118を含み、距離D2は、縦溝流路付きシート112の、ピーク114の中心点からピーク116の中心点までの長さを指し、稜部は、ピーク114、115、116、または119ではない。ピーク114および116を内側ピークと称すことができるが、それらは、隣接する第1の側のピーク(または隣接する第2の側のピーク)と称すこともできる。ピーク115および119を外側ピークと称すことができるが、それらは、隣接する第2の側のピーク(または、第1または第2の選択がピーク114および116に対してなされた選択と反対である限り、隣接する第1の側のピーク)と称すこともできる。ピークが対面シートの方に向いている場合には、ピークを対面シートピークとさらに特徴付けることもできる。対面シートがない場合には、ピークを単にピーク、同じ側のピーク、隣接する第1の側のピーク、または隣接する第2の側のピークと称すことができる。概して、「隣接する同じ側のピーク」とは、周期を規定するのに使用できるピークを指す。「同じ側」の特徴付けのない「隣接するピーク」とは、隣同士であるが、異なる方向を向いているピークを指す(例えば、ピーク114および115)。ピークのこの特徴付けは、図面に示す媒体のような縦溝流路付き媒体の説明に便利である。
【0096】
縦溝流路付きシート112を、各長さD2に沿って2つの稜部118を有するものとして設けることができるが、縦溝流路付きシート112は、所望であれば、各周期長D2に沿って単一の稜部を有するものとして設けることができ、かつ、周期のいくつかが少なくとも1つの稜部を示し、いくつかの周期が2つの稜部を示し、いくつかの周期には稜部がない、またはそれらのいずれかの組み合わせである構成を有するものとして設けることができる。
【0097】
縦溝流路付きシートは、縦溝流路パターンを繰り返すプロセスによって作製される際、縦溝流路の繰り返しパターンを有すると特徴付けることができる。縦溝流路の繰り返しパターンは、媒体の長さ(例えば、流れ方向において)を横切って、縦溝流路のパターンが繰り返されることを意味する。例えば、全ての縦溝流路が、隣接するピーク間に稜部を有してもよい。全ての縦溝流路が、隣接するピーク間に2つの稜部を有するパターンがあるかもしれない。さらに、いくつかの縦溝流路の隣接するピーク間には稜部があるが、他の縦溝流路の隣接するピーク間には稜部がないパターンがあるかもしれない。例えば、周期は、単一の稜部または2つの稜部を有してもよく、それに続く周期は稜部がなくても、または単一の稜部、または2つの稜部を有してもよく、それに続く縦溝流路は、稜部がなくても、または単一の稜部、または2つの稜部を有してもよいなどである。ある点で、パターンはそれ自体を繰り返す。しかしながら、稜部または2つの稜部が全ての隣接するピーク間に存在することは必須ではない。本発明の利益は、縦溝流路の繰り返しパターンを提供することによって得ることができ、その繰り返しパターン内において、少なくとも1つの稜部が、隣接するピーク間に存在する。好ましくは、図4aに示すように、パターンは、隣接する同じ側ピーク間に2つの稜部を含む。
【0098】
稜部の存在の特徴付けは、縦溝流路の長さに沿って稜部が存在することを意味すると理解されたい。概して、稜部は、所望の性能を備えて得られる媒体を提供するのに十分な長さだけ縦溝流路に沿って設けることができる。稜部は縦溝流路の全長に延在してもよいが、例えば、縦溝流路の端部における影響の結果、稜部は縦溝流路の全長には延在しない可能性もある。例示的な影響としては、縦溝流路閉鎖部(例えばダーツ付け)および縦溝流路の端部でのプラグの存在を含む。好ましくは、稜部は、縦溝流路の長さの少なくとも20%延在する。例として、稜部は、縦溝流路の長さの少なくとも30%、縦溝流路の長さの少なくとも40%、縦溝流路の長さの少なくとも50%、縦溝流路の長さの少なくとも60%、または縦溝流路の長さの少なくとも80%延在できる。縦溝流路の端部は、ある方法で閉鎖してもよく、閉鎖の結果、正面から媒体パックを見る際に稜部の存在を検出しても、しなくてもよい。従って、縦溝流路の長さに沿って延在するときの稜部の存在の特徴付けは、稜部が縦溝流路の全長に沿って延在する必要があるということを意味しない。さらに、稜部は縦溝流路の端部において検出されなくてもよい。
【0099】
図4aの縦溝流路付きシート112の縦溝流路は、媒体に沿ったある点から第2の点までテーパを付けるように設計できる。概して、このテーパが縦溝流路のピーク115および119における半径を実質的に保つことが望ましい。
【0100】
ここで図4bを参照すると、縦溝流路付き媒体120は、対面シート121と123との間に設けられた縦溝流路付きシート122を含む。縦溝流路付きシート122は、隣接するピーク124と125との間に少なくとも2つの稜部128および129を含む。長さD2に沿って、媒体122は、4つの稜部128および129を含む。媒体の単一の周期長は4つの稜部を含むことができる。稜部128および129は、対面媒体ピークと称すことができるピーク124、125、または126ではないことを理解されたい。媒体122は、隣接するピーク間(例えば、ピーク125と126との間)に2つの稜部128および129があるように設けることができる。ここでも、繰り返しパターンがもたらされ得る。図4bに示す繰り返しパターンでは、各隣接ピーク間に2つの稜部があり、各周期には4つの稜部が設けられている。代替的な繰り返しパターンでは、繰り返しパターンが、パターンのどこかの隣接するピーク間に少なくとも1つの稜部が発生することを含む限り、隣接するピーク間に任意の数(例えば、0、1つまたは2つ)の稜部があってよい。図4bに示す好ましい実施形態では、各隣接ピーク間に2つの稜部がある。
【0101】
稜部128は、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分128aと縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分128bとがつながっている領域として特徴付けることができる。概して、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分128aは、45°未満、好ましくは約30°未満の傾斜角度を有すると特徴付けることができ、角度は、稜部128と稜部129との間で測定される。縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分128bは、45°超、好ましくは約60°超の角度を有すると特徴付けることができ、角度はピーク126から稜部128までの間で測定できる。稜部129は、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分129aと縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分129bとの間の交差部により、設けることができる。概して、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分129aは、稜部128から稜部129まで延在する媒体の部分の角度に対応する。概して、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分129aは、45°未満、好ましくは約30°未満の傾斜角度を有すると特徴付けることができる。縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分129bは、稜部129とピーク125との間に延在する縦溝流路付き媒体の部分と特徴付けることができ、稜部129とピーク125との間の角度を有すると特徴付けることができる。概して、縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分129bは、45°超、好ましくは約60°超の角度を有すると特徴付けることができる。
【0102】
図4bの縦溝流路付きシート122の縦溝流路は、媒体に沿ったある点から第2の点までテーパが付けられているように設計できる。概して、このテーパが縦溝流路のピーク125における半径を実質的に保つことが望ましい。例えば、媒体が先細になるにつれ、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分128aおよび129aを効果的に上下移動する一方、テーパ付き縦溝流路を形成するために比較的傾きが急な部分128bが長くなったり短くなったりすることによって、この半径を保つことができる。傾きが急な部分128bがそのように短くなることによって、縦溝流路の断面積が変わる一方、縦溝流路幅D1を保持し、かつ鋭いピーク125を保持する。
【0103】
ここで図4cを参照すると、縦溝流路付き媒体140は、対面シート141と143との間に設けられた縦溝流路付きシート142を含む。縦溝流路付きシート142は、内側ピーク144と外側ピーク145との間に少なくとも2つの稜部148および149を含む。長さD2に沿って、媒体140は4つの稜部148および149を含む。媒体の単一の周期長は4つの稜部を含むことができる。稜部148および149はピーク144および145ではないことに理解されたい。媒体140は、隣接するピーク間(例えばピーク144と145との間)に2つの稜部148および149があるように設けることができる。加えて、縦溝流路付きシート140は、他の隣接するピーク間に、1つの稜部、2つの稜部がある、または稜部がないように設けることができる。各隣接ピーク間に2つの稜部があることは必須ではない。隣接するピーク間で稜部が交互に存在するまたは予め定められた間隔で設けられることが望まれる場合には、ピーク間に稜部がないこともある。概して、縦溝流路のパターンは、縦溝流路のパターンを繰り返し、および隣接するピーク間に稜部が存在するように設けることができる。
【0104】
稜部148および149は、縦溝流路付きシートの比較的平坦な部分と縦溝流路付きシートの比較的傾きが急な部分とがつながっている領域として特徴付けることができる。稜部148の場合、縦溝流路付きシートの比較的平坦な部分148aは縦溝流路付きシートの比較的傾きが急な部分148bにつながる。稜部149の場合、縦溝流路付きシートの比較的平坦な部分149aは縦溝流路付きシートの比較的傾きが急な部分149bにつながる。縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分は、対面シート143に対して媒体のその部分で測定する場合、45°超、好ましくは約60°超の角度を有すると特徴付けることができる。比較的平坦な部分は、対面シート143に対する媒体のその部分では45°未満、好ましくは約30°未満の傾斜角度を有すると特徴付けることができる。
【0105】
図4cの縦溝流路付きシート142の縦溝流路は、媒体に沿ったある点から第2の点までテーパが付けられるように設計できる。概して、このテーパが縦溝流路のピーク145における半径を実質的に保つことが望ましい。例えば、テーパ付き縦溝流路を形成するために縦溝流路付き媒体の部分148bおよび149bが効果的に横に動く(内側および外側に)ことによって、この半径を保つことができる。そのような動きは、縦溝流路の断面積を変える一方、縦溝流路幅D1を保持し、かつピーク145を保持する。それゆえ、比較的平坦な部分149aは縦溝流路に沿って長くなったり短くなったりし、傾きが急な部分148bおよび149bの長さは内側および外側に(図4bでは左および右に)動く。上述のように、いくつかの実装例では、縦溝流路の断面積が減少するにつれ、ピークに沿った傾斜した平坦な部分が内側および下方に動くことに留意されたい。
【0106】
縦溝流路付きシート142は、縦溝流路付きシート122と比較して準備により都合がよいとみなし得る。なぜなら、縦溝流路付きシート142のラップ角(wrap angle)が縦溝流路付きシート122のラップ角よりも小さいためである。概して、ラップ角は、溝付け工程中に媒体の回転をもたらす角度の総和を指す。縦溝流路付き媒体142の場合、縦溝流路付き媒体122と比較して媒体は溝付け中にあまり回転されない。その結果、縦溝流路付きシート142を形成する溝付けによって、媒体の必要な引張強度は縦溝流路付きシート122と比較して低い。この小さいラップ角は、テーパ付き媒体では特に重要であり、図4Cの縦溝流路付きシート142にテーパを付けることに特に好適とし得る。
【0107】
ピークからピークまで比較的対称的であるとして縦溝流路付きシート112、122、および142を示す。すなわち、媒体112、122、および142では、縦溝流路は、隣接するピーク間に同数の稜部を有するものとして繰り返される。隣接するピークは、縦溝流路付き媒体の長さに沿って隣同士のピークを指す。例えば、縦溝流路付き媒体112では、ピーク114および115は隣接するピークとみなされ、およびピーク114および116は隣接する同じ側のピークとみなすことができる。しかしながら、媒体の周期は、隣接するピーク間に同数の稜部を有する必要はなく、媒体は、このようにして非対称的であると特徴付けることができる。すなわち、媒体は、周期の一方の半分に稜部を有し、かつ周期の他方の半分には稜部がないように形成できる。
【0108】
縦溝流路付き媒体の隣接するピーク間に単一の稜部または複数の稜部を設けることによって、距離D2を、標準AおよびB縦溝流路のような従来技術の媒体と比べて長くすることができる。1つの稜部または複数の稜部が存在する結果、例えば、標準A縦溝流路およびB縦溝流路と比較して媒体をより濾過に利用可能にする濾過媒体を提供することが可能である。媒体−コード百分率の前述の測定を使用して、隣接するピーク間に設けられた媒体の量を特徴付けることができる。長さD2は、縦溝流路付きシート112、122、および142の周期の縦溝流路付きシート112、122、および142の長さと規定する。縦溝流路付きシート112の場合、距離D2は、低いピーク114から低いピーク116までの縦溝流路付きシートの長さである。この距離は2つの稜部118を含む。縦溝流路付きシート122の場合、長さD2は、低いピーク124から低いピーク126までの縦溝流路付きシート122の距離である。この距離は少なくとも4つの稜部128および129を含む。隣接するピーク間に1つ以上の折り目を設ける結果、隣接するピーク間の濾過媒体が増えることは、媒体−コード百分率によって特徴付けることができる。上述のように、標準B縦溝流路および標準A縦溝流路の媒体−コード百分率は、それぞれ約3.6%および約6.3%である。概して、図4aに示す縦溝流路設計のような小接触縦溝流路は、約6.2%〜約8.2%の媒体−コード百分率を示すことができる。図4bおよび図4cに示す縦溝流路設計のような低歪み縦溝流路は、約7.0%〜約16%の媒体−コード百分率をもたらすことができる。
【0109】
稜部(例えば、118、128、および129)を設ける別の利点は、これらの稜部が媒体にかかる応力を減らして、ピークにおけるマスキング面積を小さくすることである。概して、溝付けプロセス中に稜部が形成されないと、媒体におけるより大きな張力または復元力で、ピークに、より大きいレベルのマスキングを与える原因となり得る。濾過媒体の溝付け中に濾過媒体に稜部を導入することによって、マスキングを減らすためにピークに比較的小さい半径を形成しかつそれを維持するのを助けることが容易となる。
【0110】
ここで図5を参照すると、縦溝流路付き媒体および片面フェーサ媒体を形成する例示的なプロセスを参照符号198で示す概略図によって説明する。この概略図では、媒体200は、縦溝流路付き媒体202を形成するために溝付けされる。縦溝流路付き媒体202は対面媒体204と組み合わされて片面フェーサ媒体203を形成できる。
【0111】
媒体200は案内ロール208を通り、ステアリングユニット210によって所望のまたは正しい位置に導かれる。媒体200を所望の温度まで加熱するために加熱器212を設けることができる。概して、溝付けプロセスの結果生じるクラッキングを回避するために、媒体200を加熱することが望ましいとし得る。加熱器を用いることは必須ではないことを理解されたい。加えて、ユニットを使用して、媒体200の水分の湿度を制御できる。湿度制御ユニットは、加熱器212の代わりにまたはそれと組み合わせて使用できる。加熱器212は、媒体200を約120°F〜約150°F温度まで加熱するために設け得る。
【0112】
媒体200は溝付けロール220に入り、縦溝流路付き媒体202をもたらす。溝付けロール220は、第1のロール222および第2のロール224を含む。第1のロール222は、コイニングロールを指し、第2のロール224は受けロールを指すことができる。溝付けロール220の一部として第1の圧力ロール226および第2の圧力ロール228をさらに含む。図示の溝付けロール220の向きでは、コイニングロール222は上部ロールと、受けロール224を底部ロールと称すことができる。当然ながら、所望によりこの向きを逆にできる。媒体200が、コイニングロール222と受けロール224との間のかみ合い部230に入ると、媒体200は変形されて、所望の形状の縦溝流路のパターンを有する縦溝流路付き媒体202をもたらす。図示の溝付けロール220の配置では、媒体200は流れ方向に移動し、コイニングロール222および受けロール224は横方向に延在して、縦溝流路が横方向に延在するようにする。横方向は、流れ方向に垂直な方向を指す。媒体200に沿った矢印は流れ方向を指す。図示の溝付けロール220は、横方向に延在する縦溝流路をもたらすが、縦溝流路が流れ方向に延在するような代替的な配置を提供できることを理解されたい。
【0113】
対面媒体204は案内ロール240に沿って移動する。ステアリングユニット242は対面媒体204を第1の圧力ロール226上に進める。仮付けビード付与装置244において仮付けビードが対面媒体204に付与され、およびシーリングビード付与装置246においてシーリングビードが対面媒体204に付与される。縦溝流路付き媒体202および対面媒体204は、第1の圧力ロール226が受けロール224に係合する個所で結合される。第2の圧力ローラ228は、縦溝流路付き媒体202を対面媒体204に対して保持するように提供される。得られる片面フェーサ媒体203を使用してフィルタ媒体構成を提供できる。
【0114】
ここで図6〜図8を参照すると、第1のロールまたはコイニングロールを参照符号250で示す。コイニングロール250は、図5に示す溝付けロール220においてコイニングロール222として使用できる。第1のロール250は軸252の周りで回転し、かつ、受けロールまたはホイール224と組み合わされる際に濾過媒体に溝付けを行う外面または外周254を含む。コイニングロール222は内面256を含むことができ、その内面上にコイニングロール222を装着できる。外面254は複数のコイニングロール突起258を含む。図6には、コイニングロール250の外周に延在するコイニングロール突起258の一部分のみを示す。コイニングロール250は、外面または外周254の周りで離間した約30〜約650個のコイニングロール突起258を含むことができる。コイニングロール250に設けられたコイニングロール突起258の数は、コイニングロールの直径および所望のピッチすなわち各コイニングロール突起間のピークからピークまでの距離に依存して決定できることを理解されたい。例えば、コイニングロールの最小直径は約4.5インチ、および最大直径は約40インチとし得る。
【0115】
図7および図8にコイニングロール突起258の詳細を示す。図示のコイニングロール突起258は3つの媒体接触域260を含み、それらは、かみ合い部230に入る媒体と係合するように設けられている。コイニングロール突起258を、3つの媒体接触域260を有するものとして示すが、少なくとも1つの実施形態では、コイニングロール突起は、2つの媒体接触域を有するものとして設ける。図示の通り、媒体接触域260のうちの1つはピーク接触域262と称し、媒体接触域260のうちの2つは第1および第2の稜部接触域264および266と称すことができる。ピーク接触域262は、ピーク115を形成するために提供でき、第1および第2の稜部接触域264および266は、図4aに示す縦溝流路付き媒体のための稜部118を提供できる。いくつかの実装例では、媒体接触域260は第1のローラおよび第2のローラの双方に存在し得る。
【0116】
ピーク接触域262と第1の稜部接触域264との間に第1の媒体緩和域270を設けることができ、ピーク接触域260と第2の稜部接触域266との間に第2の媒体緩和域272を設けることができる。概して、第1および第2の媒体緩和域270、272は、媒体の厚さよりも大きいコイニングロール突起間の距離によって規定される。第1の媒体緩和域270および第2の媒体緩和域272は、媒体がピーク接触域262と第1および第2の稜部接触域264および266との間で自由に動けるようにする。媒体緩和域を設けることによって濾過媒体が動くことが可能になり、それにより媒体における応力を緩和する。ロールが回転しかつ媒体がかみ合い部230に供給されると、濾過媒体は、媒体緩和域が存在する結果、張力を解く状態にさらされるのを回避でき、かつ引き裂きを回避できる。
【0117】
媒体接触域260は、媒体に係合して回転させるために設けられるが、半径が小さすぎて媒体を切断してはいけない。概して、媒体接触域の半径は少なくとも約0.01インチとし得る。接触域の半径は、縦溝流路高さJの約3分の1程度とし得る。概して、媒体に折り目を設ける、曲げる、または折り畳むことが望ましいが、溝付けの結果媒体を切断することは望ましくない。媒体接触域260の半径の上限は、媒体を所望の程度回転させられない媒体接触域をもたらして媒体が元の平坦な形状を再び形成する半径と特徴付けることができる。第1のロールと第2のロールとの間のかみ合い部に供給される結果媒体が変形されることが望ましい。
【0118】
媒体接触域が大きすぎる(半径が大きすぎる)場合、所望の縦溝流路付きシートが得られないかもしれない。媒体接触域260はニップと称すことができる。媒体緩和域は間隙と称すことができる。概して、濾過媒体が媒体緩和域において動くことができ、媒体接触域260との接触によって媒体を回転させることにより生じる媒体への応力を軽減または緩和することが望ましい。緩和域または間隙の全体的な長さは、媒体接触域間またはニップ間の距離である。一実施形態では、緩和域は縦溝流路の弧長の少なくとも約25%超である。
【0119】
コイニングロール250は、縦溝流路突起258間に設けられた一連のコイニングロール凹部276を含む。概して、コイニングロール凹部276は、図4に示す媒体にピーク114および116を形成できるようにする。コイニングロール凹部276はコイニングロール突起258の各々の間に形成できる。加えて、コイニングロール凹部276は、媒体を受け取るまたはそれと接触する底部接触域278を含む。概して、底部接触域278から第1の稜部接触域264まで延在するロールの領域は、第1の媒体緩和域280と称することができ、底部凹部域278から第2の稜部接触域266まで延在するロールの領域は、第2の媒体緩和域282と称することができる。概して、第1の媒体緩和域280および第2の媒体緩和域282は、媒体がこれらの領域で運動の自由度を有するように設けられる。
【0120】
ここで図9〜図11を参照すると、第2のロールまたは受けロールを参照符号290で示す。受けロール290は、図5の溝付けロール220に示す受けロール224とし得る。受けロール290は軸292の周りで回転し、かつ外面または外周294および内面297を含む。受けロール290は内面297によって支持される。外面294は複数の受けロール凹部296および受けロール突起298を含む。概して、受けロール290は、交互に受けロール凹部296と受けロール突起298とを有する外面294を含む。
【0121】
受けロール凹部296は接触域300を含む。接触域300はピーク接触域302および第1および第2の稜部接触域304および306と称すことができる。第1の媒体緩和域308は、ピーク接触域302と第1の稜部接触域304との間に延在させて設けることができる。第2の媒体緩和域310は、第1のピーク接触域302と第2の稜部接触域306との間に延在させて設けることができる。媒体緩和域308および310は、縦溝流路形成プロセス中に媒体が移動できるように設けられる。受けロール突起298は媒体接触域320を含む。加えて、受けロール290は、第1の稜部接触域304と媒体接触域320との間に延在させて設けられた第1の媒体緩和322と、第2の稜部接触域306と媒体接触域320との間に延在させて設けられた第2の媒体緩和域324とを含む。
【0122】
従来の波形形成プロセスでは、各ロールまたはホイールが歯と凹部とを有し、一方のホイールの歯が他方のホイールの凹部に係合し、その逆の場合も同じである2つのロールまたはホイール間のかみ合い部へ基材が入る結果、基材は波形である。従来の波形形成プロセスにおけるロールまたはホイールの歯および凹部は比較的対称的であるため、比較的対称的な波形を生じ得る。その一方、ロール250および290は、対称的ではない歯および凹部を有するとみなすことができる。
【0123】
コイニングロール250は、歯の形態とみなし得るコイニングロール突起258と、凹部の形態とみなし得るコイニングロール凹部276とを有する。同様に、受けロール290は、凹部のタイプとみなし得る受けロール凹部296と、歯のタイプとみなし得る受けロール突起298とを有する。動作中、コイニングロール突起258は受けロール凹部298に係合し、かつ受けロール突起298はコイニングロール凹部276に係合する。図12に、コイニングロール250と受けロール290とが濾過媒体310に係合して縦溝流路付き濾過媒体312を形成するこの動作を示す。
【0124】
A縦溝流路およびB縦溝流路を形成するのに使用される波形形成プロセスなどの従来の波形付け加工プロセスでは、波形ロールは比較的対称的であるとみなし得る。比較的対称的なロールは、一方のロール(例えば上部ロール)が、他方のロール(例えば底部ロール)の歯および凹部と同様の歯および凹部を有するロールである。従来の波形形成プロセスでのロールは対称的であるため、得られる縦溝流路は全体的に対称的である。非対称的なロールを提供することによって、得られる濾過媒体の性能を高めることができる。コイニングロール250および受けロール290を、突起または歯および凹部の構造に関して非対称的であるとみなすことができる。コイニングロール250および受けロール290を周期長に関して対称的であるとみなすことができるが、突起および凹部の構造は2つのロールで異なり、それゆえ、ロールは非対称的であるとみなすことができる。様々な実施形態では、波形ロールは、得られる媒体が媒体の長さに沿って実質的に等しい弧長を有するように構成される。そのような構成は製造中に媒体にかかる歪みを減らすことができる。
【0125】
用語「コイニングロール」および「受けロール」は比較的任意であることを理解されたい。コイニングロールと受けロールの組み合わせによって、縦溝流路の長さの少なくとも一部分に沿って稜部を提供する。従って、稜部または折り目または曲げを形成するために濾過媒体の反対側の濾過媒体に係合する媒体接触域を備える両ロールを提供することによって、ロールが協力して濾過媒体に縦溝流路の繰り返しパターンを形成する。さらに、コイニングロールとしてロールを特徴付けることによって、濾過媒体に稜部、曲げ、または折り目を形成するために、他方のロール(例えば受けロール)が、コイニングロールの凹部に係合する突起を有する可能性を除外することは意味しない。例えば、複数の第1のロール突起を有すると第1のロールを特徴付けることは、第1のロール突起がロールの全長に延在することを意味しない。ロールのある長さにのみ延在する第1のロール突起を有することが望ましいかもしれない。さらに、第1のロール凹部、第2のロール突起、および第2のロール凹部のいずれかが、ロールの全長よりも短いロールの一部分に延在してもよい。例として、突起および凹部は、縦溝流路の長さの少なくとも30%、縦溝流路の長さの少なくとも50%、縦溝流路の長さの少なくとも60%、縦溝流路の長さの少なくとも80%、または縦溝流路の全長に対応するロールの長さに延在してもよい。
【0126】
上述の説明は、本発明による製造および使用の十分な説明をもたらす。本発明の多くの実施形態は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされるため、本発明は添付の特許請求の範囲に属する。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、Donaldson Company,Inc.(米国国内企業)(米国以外の全指定国の出願人)およびTed A.Moe(米国人であって、米国のみを指定国とする出願人)、Gregory J.Fesenmaier(米国人であって、米国のみを指定国とする出願人)、Gary J.Rocklitz(米国人であって、米国のみを指定国とする出願人)、Ming Ouyang(米国人であって、米国のみを指定国とする出願人)、およびAnitha Mathew(米国人であって、米国のみを指定国とする出願人)の名において、2010年8月3日にPCT国際特許出願として出願されており;2009年8月3日出願の米国仮特許出願第61/231,009号の優先権を主張し、その内容を参照により本願明細書に援用する。
【0002】
本発明は、縦溝流路付き濾過媒体、片面フェーサ媒体(single facer media)、および濾過媒体パックを形成する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
空気および液体などの流体流は、気相汚染物質および液体および固体粒子などの汚染物質を流体流に含んで運ぶ。多くの場合、流体流から汚染物質の一部または全てを濾過することが望ましい。例えば、自動車両のエンジンまたは発電装置への空気流、ガスタービンシステムへの空気流およびガス流、様々な燃焼炉への空気流およびガス流、ならびに熱交換器(例えば暖房および空調)への空気流およびガス流は、多くの場合濾過すべき粒子状汚染物質を運ぶ。エンジンの潤滑系統、液圧系統、冷却系統および燃料系統における液体流はまた、濾過すべき汚染物質を運び得る。そのような系統にとっては、選択した汚染物質を流体から除去する(または流体中でのそのレベルを低減させる)ことが好ましい。
【0004】
汚染物質を削減するために様々な流体フィルタ(ガスまたは液体フィルタ)が開発されている。しかしながら、一般に、継続的に改善が模索されている。いくつかの実装例において優れた実績を有する流体フィルタの一例は、Z型媒体を含むフィルタである。Z型媒体は一般に、流体が媒体要素の第1の面上の縦溝流路に入って媒体要素の第2の面の縦溝流路から出る、縦溝流路付き濾過媒体要素のタイプを指す。一般に、Z型媒体の面は、媒体の両面に設けられる。一部の実施形態では、流体は、一方の面上の開放縦溝流路から入って他方の面上の開放縦溝流路から出る(微粒子濾過のためなど)。第1の面と第2の面との間のある点で、流体は、濾過のために一方の縦溝流路から別の縦溝流路に移る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Z型媒体用の既存の縦溝流路設計、ならびに縦溝流路を作製する装置は多くの実装例に好適であるが、依然として改善が望まれており、それが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、縦溝流路付き濾過媒体、片面フェーサ媒体、および濾過媒体パックを形成する方法および装置に関する。縦溝流路付き濾過媒体は空気濾過媒体として提供でき、かつ隣接する同じ側のピーク間に縦溝流路周期で設けられた少なくとも1つの稜部を備える、縦溝流路付きシートを有する縦溝流路の繰り返しパターンを含むことができる。縦溝流路繰り返しパターンは、隣接する同じ側のピーク間に少なくとも2つの稜部、少なくとも3つ稜部、少なくとも4つの稜部、またはそれ以上の稜部を含むことができる。濾過媒体の例示的な形態は、Z型媒体と特徴付けることができる。
【0007】
典型的な実装例では、縦溝流路は、縦溝流路の断面積が縦溝流路の長さに沿って可変であるようにテーパ付けされる。概して、テーパ付き濾過媒体は、媒体の第1の端部から媒体の第2の端部までサイズが減少する第1の組の縦溝流路と、媒体の第1の端部から媒体の第2の端部までサイズが増大する第2の組の縦溝流路とを示す。テーパ付き濾過媒体としてはまた、媒体の第1の端部から媒体の中間点までサイズが減少しかつ媒体の中間点から媒体の第2の端部まで実質的に一定のサイズを有する第1の組の縦溝流路を示し得る。第2の組の縦溝流路は、媒体の第2の端部から媒体の中間点までサイズが増大し、その後媒体の中間点から媒体の第1の端部まで実質的に一定のサイズを有し得る。そのような構成では、フィルタの上流および下流の双方でフィルタ開放部を最大にできるので、フィルタ全体にわたる総圧力低下を小さくできる。
【0008】
本発明による縦溝流路付き濾過媒体の形成方法も提供される。方法は、縦溝流路の繰り返しパターンを有する媒体を提供するために濾過媒体に溝付けを行うことを含む。一般に、縦溝流路の繰り返しパターンの少なくとも1つの縦溝流路が、隣接する同じ側のピーク間に縦溝流路周期で少なくとも1つの稜部を含む。縦溝流路の繰り返しパターンは、隣接する同じ側のピーク間に縦溝流路周期で設けられた少なくとも2つの稜部を有する少なくとも1つの縦溝流路を含むことができる。稜部は、隣接するピーク間に設けることができる。「稜部」とは、縦溝流路のピーク間にある、異なる傾斜にされた媒体部分間の交線を指す。「稜部」への言及は、縦溝流路のピークを含まない。
【0009】
縦溝流路付き濾過媒体の形成方法は、濾過媒体を、第1のロールおよび第2のロールによって形成されたかみ合い部に供給し、縦溝流路付き濾過媒体を形成する工程を含むことができる。第1のロールは複数の第1のロール突起および複数の第1のロール凹部を含むことができ、第1のロールは交互に第1のロール突起と第1のロール凹部を提供する。概して、第1のロール突起の少なくとも1つは、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む。一部の実施形態では、第1のロール突起の少なくとも1つは、媒体緩和域によって分離された少なくとも3つの媒体接触域を含む。
【0010】
第2のロールは複数の第2のロール凹部および第2のロール突起を含み、第2のロールは交互に第2のロール凹部と第2のロール突起を提供する。第2のロール凹部の少なくとも1つは、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む。概して、第2のロール凹部の少なくとも1つは、媒体緩和域によって分離された少なくとも3つの媒体接触域を含む。例示的な実施形態では、第1のロール突起の全ておよび第2のロール凹部の全てが、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含み、好ましくは媒体緩和域によって分離された少なくとも3つの媒体接触域を含む。
【0011】
片面フェーサ媒体の形成方法を本発明に従って提供する。方法は、縦溝流路付き濾過媒体を対面シートに取り付けて(例えば付着する)、片面フェーサ媒体を形成することを含む。
【0012】
濾過媒体パックの形成方法を本発明に従って提供する。濾過媒体パックの形成方法は、片面フェーサ媒体からロール状の濾過媒体パックを形成することを含むことができる。ロール状の濾過媒体パックは、シリンダー状、長楕円(obround)、またはレーストラック形状で提供し得る。濾過媒体パックの形成方法は、片面フェーサ媒体から積層濾過媒体パックを形成することを含むことができる。積層濾過媒体パックの形成には、複数の片面フェーサ媒体シートを積み重ねることを含む。
【0013】
縦溝流路付き濾過媒体を形成する装置を本発明に従って提供する。本発明の媒体および媒体パックを形成する装置は、かみ合い部をもたらすように配置された第1のロールおよび第2のロールを含むことができ、かみ合い部は、かみ合い部に供給される濾過媒体に溝付けを行い、濾過媒体に縦溝流路の繰り返しパターンがもたらす。第1のロールは複数の第1のロール突起および複数の第1のロール凹部を含み、第1のロールは交互に第1のロール突起と第1のロール凹部を提供する。第1のロール突起の少なくとも1つは、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む。第2のロールは複数の第2のロール凹部および複数の第2のロール突起を含み、第2のロールは交互に第2のロール凹部と第2のロール突起を提供する。第2のロール凹部の少なくとも1つは、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む。
【0014】
(下記のように)A縦溝流路およびB縦溝流路を形成するのに使用される波形形成プロセスなどの従来の波形付け加工プロセスでは、波形ロールは、比較的対称的であるとみなし得る。比較的対称的なロールは、一方のロール(例えば上部ロール)が、他方のロール(例えば底部ロール)の歯および凹部と同様の歯および凹部を有するロールである。従来の波形形成プロセスにおけるロールは対称的であるため、得られる縦溝流路は全体的に対称的である。非対称的なロールを提供することによって、得られる濾過媒体の性能を変更できる。
【0015】
一部の実装例では、本発明は、コイニングロールおよび受けロールを使用する。いくつかの実装例では、2つのロールは、コイニング機能および受け取り機能の双方を果たすように、二重の機能を有することができることを理解されたい。これにより、(下記のように)両ロールがニップを有することによって、より複雑な縦溝流路の形状を形成することが可能となる。コイニングロールおよび受けロールは、突起または歯および凹部の構造に関して非対称的であるとみなし得る。コイニングロールおよび受けロールは周期長に関して対称的であるとみなし得るが、突起および凹部の構造は2つのロールで異なり、それゆえ、ロールは非対称的であるとみなし得る。様々な実施形態では、波形ロールは、得られる媒体が媒体の長さに沿って実質的に等しい弧長を有するように構成される。そのような構成は、製造中に媒体にかかる歪みを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来技術による例示的なz型濾過媒体の断片的、概略的な斜視図である。
【図2】図1に示す従来技術の媒体の一部分の概略的な拡大断面図である。
【図3】様々な波形媒体構成の概略図である。
【図4a】本発明の例示的な実装例に従って作製された媒体の部分の概略的な拡大断面図である。
【図4b】本発明の例示的な実装例に従って作製された媒体の部分の概略的な拡大断面図である。
【図4c】本発明の例示的な実装例に従って作製された媒体の部分の概略的な拡大断面図である。
【図5】例示的な装置を使用する本発明による縦溝流路付き媒体の作製工程を示す線図である。
【図6】本発明による縦溝流路付き媒体を形成するコイニングロール(コイニングホイールとも呼ぶ)の断面図である。
【図7】図6に示すコイニングロールの一部分の部分的な拡大断面図である。
【図8】図7に示すコイニングロールの一部分の部分的な拡大断面図である。
【図9】本発明による縦溝流路付き媒体を形成するコイニングロールの断面図である。
【図10】図9に示す受けロール(受けホイールとも呼ぶ)の一部分の部分的な拡大断面図である。
【図11】図10に示す受けロールの一部分の部分的な拡大断面図である。
【図12】本発明による縦溝流路付き媒体の形成を示すかみ合い部の部分的な拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
縦溝流路付き濾過媒体、片面フェーサ媒体、および濾過媒体パックを形成する方法および装置が提供される。縦溝流路付き濾過媒体を単独で使用して、または面シートなどの別の縦溝流路付き濾過媒体と組み合わせて使用して濾過媒体パックを形成できる。さらに、縦溝流路付き濾過媒体および片面フェーサ媒体をそれぞれ使用して濾過媒体パックを形成できる。縦溝流路付き濾過媒体を使用してガス状物質または液体物質を濾過できる。例示的なガス状物質は空気を含み、例示的な液体物質は水、油、燃料、および圧流体を含む。本発明の方法および装置によって提供され得る濾過媒体の形態は、2007年2月2日出願の米国仮特許出願第60/899,311号明細書および2007年6月26日出願の同第60/937,162号明細書で説明されているものを含む。両出願とも、それらの全体を参照により本書に援用する。
【0018】
本発明の方法および装置によって準備された縦溝流路付き濾過媒体は、従来技術の縦溝流路付き濾過媒体を改良したものであるとみなし得る。縦溝流路のピークは一般に、マスキングを減らす、半径の小さい(sharp radius)または限定された先端によって特徴付けられる。本書では、マスキングは、媒体全体にあまり圧力差のない媒体シート間の近接領域を指す。概して、マスキングは、別の媒体シートにごく近接したまたは接触した媒体の個所に生じる。このようにごく近接することは、その個所で媒体を通過する流れに対して抵抗を生じ得る。その結果、マスキングされた媒体は濾過媒体の濾過性能に有益ではない。
【0019】
従って、濾過に利用可能な濾過媒体量を増やすためにマスキングを減らすことが望ましい。マスキングを減らすことによって、濾過媒体パックのダスト保持容量を増やし、所与の圧力低下に対して濾過媒体を通る流体処理量を増やし、および/または流体の所与の流量全体に対して濾過媒体パックの圧力低下を小さくする。
【0020】
本発明に従って作製された媒体は、縦溝流路が縦溝流路の長さに沿った縦溝流路の断面領域にテーパが付けられている場合でも、縦溝流路のピークの先端において実質的に一定の半径を有することが多い。それゆえ、縦溝流路のテーパ付けを可能とし、それゆえ縦溝流路の断面積を変化させた、本発明に従って作製された縦溝流路の幾何学的形状はまた、縦溝流路の長さのほとんどまたは全てに沿って同じ半径を維持することが望ましい。
【0021】
ある実施形態では、濾過媒体は、媒体パックの上流側と下流側に異なる形状および異なる開放体積を有する縦溝流路で構成され、その特徴は、テーパ付きの縦溝流路を有する媒体を形成することによって達成できる。上流側と下流側で異なる開放体積を有する媒体は、体積非対称性である媒体と称す。一部の実施形態では、体積非対称性は、汚染物質の保持、流れおよび濾過を促すことができる。体積非対称性は、特に、浅い媒体パックを有するフィルタ構成における性能を改善するのに有益とし得る。
【0022】
媒体に見られる縦溝流路は、一般に、高さ(J、例えば図5aに示す)よりも大きい幅(D1、例えば図4aに示す)を有する。この幅対高さのアスペクト比は(D1/J)として特徴付けることができる。幅対高さのアスペクト比D1/Jは一般に、偶発的な変動を除いて縦溝流路の長さに沿って変動しない。ほとんどの実装例では、幅対高さのアスペクト比は少なくとも約2.0であり、一般的に少なくとも2.1であり、より典型的には少なくとも2.2であり、多くの場合は少なくとも2.3であり、および任意選択で少なくとも3.0である。いくつかの実装例では、幅対高さの比は2.4超である。一般的に好適なD1/J比は10未満であり、より典型的には8未満であり、および多くの場合6未満である。好適なD1/J比は1超であり、多くの場合1.5超であり、通常2超である。他の好適なD1/J比は、例示的な実装例では、4超、6超、または8超である。それゆえ、好適な範囲は、これらに限定されないが、D1/J比が2〜10、4〜8、および5〜7である。しかしながら、いくつかの実装例では、D1/J比が極端に低い縦溝流路を使用することができる(ただし、そのような縦溝流路は一般的に製造がより困難である)。例えば、D1/J比1.0未満、0.75未満、および.50未満が可能である(例えば図4c参照)。いくつかの実装例では、非常に高いまたは非常に低いD1/J値を有する縦溝流路は、1.15〜2.0の値に近いD1/Jを有する縦溝流路よりも性能が良好である。
【0023】
縦溝流路の三次元構造は、流体が流れるための媒体の上流および下流の開放体積、ならびに汚染物質(ダストなど)の堆積用空間を規定する。一部の実施形態では、濾過媒体は、媒体の一方の側の開放体積部が媒体の他方の側の開放体積よりも大きいように、媒体体積の非対称性を示す。これらの体積部は媒体パックの上流面から下流面へ延在し得る。
【0024】
本書では、媒体体積の非対称性は、一般的に、縦溝流路のピークで囲まれた大きな媒体体積対小さな媒体体積の媒体の体積比を測定する。全てではないがいくつかの実装例では、大きな媒体体積は上流の開放媒体体積に対応し、小さな媒体体積は下流の開放媒体体積に対応する(使用中、開放体積部には汚染物質、ダストなどを堆積させる)。いくつかの実装例では、媒体は、媒体体積の非対称性に1%超、3%超、5%超、または10%超を示す。例示的な媒体構成は、媒体体積の非対称性が15%超、20%超、50%超、75%超、100%超、150%超、および200%超を示す。好適な媒体体積の非対称性の範囲は、例えば、1%〜300%、5%〜200%;50%〜200%;100%〜200%;および100%〜150%を含む。
【0025】
媒体体積の非対称性に加えて、媒体は、媒体の断面に基づいて計算される媒体の断面積の非対称性も示す縦溝流路を有し得る。断面積の非対称性は、媒体体積の非対称性において差をもたらすことが多いが、断面積は、媒体の各側の総体積が等しい累積効果を有するように縦溝流路の長さに沿って変化し得るため、これはいつも当てはまるわけではないことを理解されたい。本発明の場合は、断面積の非対称性は、縦溝流路がテーパ付きの断面積を有するように縦溝流路の長さに沿って変化し得る。
【0026】
断面積の差異は、縦溝流路設計の幾何学的形状によって制御できる。縦溝流路に沿って稜部が存在すること、その数および形状が、断面積の非対称性の程度に著しい影響を与えることが多く、それを決定することが多い。断面積に差異をもたらす縦溝流路の幾何学的形状は、縦溝流路を流れる流れ特性に著しい影響を与え得る。縦溝流路の相対的な断面積の変化は、一般に、その領域における媒体パックの上流および下流部分の断面積の変化をもたらす。本発明は、フィルタ性能を改善するために媒体体積の非対称性および断面積の非対称性のカスタマイズを可能にする。
【0027】
一部の実施形態では、媒体は、媒体の一方の側の断面積が同じ媒体の反対側よりも少なくとも1%大きいように、断面積の非対称性を有する。媒体にわたる断面積の差異は3%超、5%超、または10%超であることが多い。例示的な媒体構成は、15%超、20%超、50%超、75%超、100%超、150%超、および200%超の媒体の断面積の非対称性を示す。好適な媒体の断面積の非対称性の範囲は、例えば、1%〜300%、5%〜200%;50%〜200%;100%〜200%;および100%〜150%である。
【0028】
縦溝流路付き濾過媒体
縦溝流路付き濾過媒体を使用して様々な流体フィルタ構成を提供できる。1つの周知の方法はz型フィルタ構成としてである。本書では、用語「z型フィルタ構成」または「z型フィルタ媒体」は、波形にされた、折り畳まれた、ひだの付けられた、または他の方法で形成されたフィルタ縦溝流路の各々を使用して、流体が媒体を流れるための長手方向のフィルタ縦溝流路を画成するフィルタ要素の構成を指すことを意味する;流体は、フィルタ要素の流入端部と流出端部との間(または流出入面間)の縦溝流路に沿って流れる。z型フィルタ媒体のフィルタ要素のいくつかの例は、米国特許第5,820,646号明細書;同第5,772,883号明細書;同第5,902,364号明細書;同第5,792,247号明細書;同第5,895,574号明細書;同第6,210,469号明細書;同第6,190,432号明細書;同第6,350,296号明細書;同第6,179,890号明細書;同第6,235,195号明細書;意匠特許第399,944号明細書;意匠特許第428,128号明細書;意匠特許第396,098号明細書;意匠特許第398,046号明細書;および、意匠特許第437,401号明細書に提供されている;これらの引用文献の各々を本願明細書に援用する。
【0029】
1つのタイプのz型フィルタ媒体は、媒体構成を形成するために接合された2つの媒体構成部品を使用する。2つの構成部品は:(1)縦溝流路付き(例えば波形)媒体シート;および(2)対面媒体シートである。対面媒体シートは一般に非波形であるが、2005年8月25日公開の国際公開第2005/077487号パンフレット(本願明細書に援用する)で説明されているように、例えば縦溝流路方向に対して垂直に波形とし得る。あるいは、対面シートは縦溝流路付き(例えば波形)媒体シートとすることができ、縦溝流路または波形は、縦溝流路付き媒体シートと整列していても、それに対して角度をなしていてもよい。対面媒体シートは縦溝流路付きまたは波形とし得るが、縦溝流路付きではないまたは波形ではない形態で設けることができる。そのような形態は平坦なシートを含み得る。対面媒体シートが縦溝流路付きではない場合、非縦溝流路付き媒体シートまたは非縦溝流路付きシートと呼ぶことができる。
【0030】
媒体構成を形成するために接合された2つの媒体構成部品(縦溝流路付き媒体シートおよび対面媒体シート)を使用するz型フィルタ媒体のタイプは、「片面フェーサ媒体」または「片面がフェーサ処理された媒体(single faced media)」と呼ぶことができる。あるz型フィルタ媒体の配置では、片面フェーサ媒体(縦溝流路付き媒体シートおよび対面媒体シート)を一緒に使用して、平行する流入用縦溝流路と流出用縦溝流路を有する媒体を画成できる。他の配置では、流入用縦溝流路と流出用縦溝流路は、例えば、テーパ付き縦溝流路を有する媒体要素の部分の選択に依存して、非平行とし得る。
【0031】
場合によっては、縦溝流路付きシートおよび非縦溝流路付きシートを一緒に固定してから、コイル状にしてz型フィルタ媒体構成を形成する。そのような配置は、例えば、米国特許第6,235,195号明細書および米国特許第6,179,890号明細書(それぞれを本願明細書に援用する)に説明されている。他のある配置では、平坦な媒体に固定された縦溝流路付き媒体のいくつかの非コイル状セクションが、互いに積み重ねられて、フィルタ構成を形成する。この例は、米国特許第5,820,646号明細書(本願明細書に援用する)の図11に記載されている。概して、z型フィルタ媒体がコイル状にされている配置はコイル状配置と呼ぶことができ、z型フィルタ媒体が積み重ねられている配置は積層配置と呼ぶことができる。フィルタ要素を、コイル状配置または積層配置を有するように設けることができる。
【0032】
一般に、コイル状媒体パックを形成するために、縦溝流路付きシート/対面シートの組み合わせ(例えば、片面フェーサ媒体)をそれ自体の周りにコイル状に巻くことは、対面シートを外方に向けることで行う。コイル巻きのいくつかの技術は、2004年9月30日公開の国際公開第2004/082795号パンフレット(本願明細書に援用する)に記載されている。その結果、得られるコイル状配置は一般的に、媒体パックの外面として、対面シートの一部分を有する。
【0033】
媒体の構造を指すために本書で使用する用語「波形」は、2つのコルゲーションローラの間に、すなわち、2つのローラ間のニップまたはかみ合い部に媒体を通すことから得られる縦溝流路構造を指すことを意味し、ローラの各々は、得られる媒体に波形の影響を及ぼすのに適切な表面特徴を有する。用語「波形」は、コルゲーションローラ間のかみ合い部に媒体を通すことを伴わない技術によって形成された縦溝流路を指すことを意味しない。しかしながら、用語「波形」は、例えば2004年1月22日公開の国際公開第04/007054号パンフレット(本願明細書に援用する)に記載された折り畳み技術によって、波形成形後に媒体がさらに修正または変形される場合にも適用されることを意味する。
【0034】
波形媒体は、縦溝流路付き媒体の特定の形態である。縦溝流路付き媒体は、(例えば、波形を付けるまたは折り畳むまたはひだを付けることによって形成された)個別の縦溝流路が媒体全体に延在する媒体である。縦溝流路付き媒体は、所望の縦溝流路形状を提供する任意の技術によって準備できる。波形付け加工は、特定のサイズを有する縦溝流路を形成するのに有用な技術とし得る。縦溝流路の高さを高くしたい場合(高さはピーク間における高低差(elevation)である)、波形付け加工技術は実用的ではなく、媒体を折り畳むかまたはひだを付けることが望ましいであろう。概して、媒体のひだ加工は、媒体を折り畳む結果もたらすことができる。媒体を折り畳んでひだをもたらす例示的な技術は、印付け(scoring)しかつ圧力を使用して折り畳むことを含む。
【0035】
z型フィルタ媒体を使用するフィルタ要素またはフィルタカートリッジ構成は、「直線的な流れ構成」またはその変形と呼ぶことがある。概して、この文献で意味することは、実用的なフィルタ要素が一般的に流入端部(または面)および流出端部(または面)を有し、フィルタカートリッジに流入してフィルタカートリッジから流出する流れが全体的に同じ直線的な方向であることである。用語「直線的な流れ構成」は、この定義では、対面媒体の最も外側の巻きを通って媒体パックから排出される空気の流れを無視する。場合によっては、流入端部および流出端部の各々は全体的に平坦または平面的にでき、それら2つは互いに平行である。しかしながら、一部の適用ではこれからの変形、例えば非平面的な面も可能である。さらに、流入面および流出面の特徴は、流入面と流出面が平行であることを要求していないことである。流入面および流出面は、所望であれば、互いに平行に設けることができる。あるいは、流入面および流出面は、面が平行とならないように、互いに角度をなして設けることができる。加えて、非平面的な面は非平行面とみなし得る。
【0036】
直線的な流れ構成は、例えば、米国特許第6,039,778号明細書に示すタイプのシリンダー状のひだの付けられたフィルタカートリッジと対照的であり、ここでは、流れが、実用的なカートリッジを通過する際に一般的にかなり曲がる。すなわち、米国特許第6,039,778号明細書のフィルタでは、前方流システムにおいて、流れは、シリンダー状側からシリンダー状フィルタカートリッジに入り、その後曲がって端面から出る。逆流システムにおいては、流れは、実用的なシリンダー状カートリッジに端面から入り、その後曲がってシリンダー状フィルタカートリッジの側から出る。そのような逆流システムの例は米国特許第5,613,992号明細書に示される。
【0037】
フィルタ要素またはフィルタカートリッジは、実用的なフィルタ要素またはフィルタカートリッジと称すことができる。この関係において、用語「実用的な」は、対応する空気清浄器から周期的に取り外されて交換されるフィルタカートリッジを含む媒体を指すことを意味する。実用的なフィルタ要素またはフィルタカートリッジを含む空気清浄器は、フィルタ要素またはフィルタカートリッジを取り外して交換できるように構成する。概して、空気清浄器はハウジングとアクセスカバーとを含むことができ、アクセスカバーは、使用済みフィルタ要素の取り外し、および新しいまたは清浄な(再生)フィルタ要素への交換ができるようにする。
【0038】
概して、媒体の一方の側(または面)に流入する濾過されていない空気が、媒体を離れる濾過済みの空気流の一部として媒体の他方の側(または面)から流出することを抑止する、適切な縦溝流路閉鎖配置を提供することが望ましい。多くの配置では、z型フィルタ媒体構成は、流入用縦溝流路および流出用縦溝流路のネットワークを形成するように構成され、流入用縦溝流路は、流入面に隣接する領域で開口しており、かつ流出面に隣接する領域で閉鎖している;流出用縦溝流路は、流入面に隣接して閉鎖しており、かつ流出面に隣接して開放している。しかしながら、代替的なz型フィルタ媒体配置も可能であり(例えばBaldwin Filters,Inc.の2006年5月4日公開の米国特許出願公開第2006/0091084A1号明細書参照)、同様に、対向する流出入面間に延在する縦溝流路を含み、濾過されていない空気が媒体パックを流れないようにするシール構造を備える。本発明による多くのz型フィルタ構成では、接着剤またはシーラントを使用して縦溝流路を閉鎖し、適切なシール構造を提供して、濾過されていない空気が媒体の一方の側から媒体の他方の側へ流れないようにすることができる。縦溝流路を閉鎖する技術として、プラグ、媒体の折り目付け、または媒体の押し潰しを使用し、濾過されていない空気が媒体の一方の側(面)から媒体の他方の側(面)へ流れないようにできる。
【0039】
図1を参照すると、z型フィルタ媒体として使用できる例示的なタイプの媒体1が示されている。媒体1は従来技術の媒体を示しているものの、媒体1の説明に値する用語の多くは、同様に本発明による媒体の部分を説明できる。媒体1は、縦溝流路付き(この例では波形)シート3および対面シート4から形成される。概して、縦溝流路付き波形シート3は、縦溝流路または波形7の規則的な湾曲した波パターンを有すると、本書では概して特徴付けられるタイプのものである。この関係において、用語「波パターン」は、谷7bと山7aが交互になっている縦溝流路または波形パターンを指すことを意味する。この関係において、用語「規則的な」は、山と谷の対(7a、7b)が、全体的に同じ繰り返しの波形(または縦溝流路)形状およびサイズで交互になっていることを指すことを意味する(また、一般に規則的な構成では、各谷7bは実質的に各山7aの逆である)。
【0040】
それゆえ、用語「規則的な」は、波形(または縦溝流路)パターンが山と谷とを含み、縦溝流路の長さの少なくともほとんどに沿って波形のサイズおよび形状に実質的な修正がなく、各対(隣接する谷と山とを含む)が繰り返されていることを示すことを意味する。この関係において、用語「実質的な」は、縦溝流路付きシート3を形成する媒体シートが可撓性であることによるわずかな変動とは対照的に、波形もしくは縦溝流路付きシートを形成するために使用されるプロセスまたは形状における変更から生じる修正を指す。
【0041】
繰り返しパターンの特徴付けに関して、任意の所与のフィルタ構成において、同じ数の山と谷が存在することを必ずしも意味しない。媒体1は、例えば、山と谷を含む1つの対間で、または山と谷を含む1つの対に部分的に沿って終端し得る(例えば、図1では、断片的に示す媒体2は、8個の完全な山7aと7個の完全な谷7bを含む)。同様に、対向する縦溝流路端部(山および谷の端部)は、互いに異なっていてもよい。そのような端部における変動は、特に述べない限り、これらの定義では無視される。すなわち、縦溝流路の端部における変動は、上述の定義によって網羅される。
【0042】
縦溝流路付き濾過媒体、特に例示的な媒体1に照らして、谷7bおよび山7aをピークとして特徴付けることができる。すなわち、山7aの最高点をピークとして特徴付け、谷7bの最低点をピークとして特徴付けることができる。縦溝流路付きシート3と対面シート4との組み合わせを片面フェーサ媒体5と呼ぶことができる。谷7bに形成されたピークを、片面フェーサ媒体5の対面シート4の方に向いているために内側ピークと呼ぶことができる。山7aに形成されたピークを、片面フェーサ媒体5を形成する対面シート3から外方に向いているために外側ピークと特徴付けることができる。片面フェーサ媒体5では、縦溝流路付きシート3は、7bに、対面シート4の方に向く繰り返しの内側ピークと、山7aに、対面シート4から外方に向く繰り返しの外側ピークとを含む。
【0043】
本書では、用語「規則的な」はまた、「テーパ付け」されていない縦溝流路パターンを特徴付ける。概して、規則的な縦溝流路パターンはまた、テーパ付き縦溝流路構成から区別できる直線的な縦溝流路パターンを指すことができる。図1の従来技術のフェーサ媒体5とは対照的に、本発明の媒体は、一般にテーパ付き縦溝流路構成を示す。
【0044】
概して、テーパとは、縦溝流路の長さに沿った、縦溝流路の開放領域のサイズの減少または増大を称す。概して、テーパ付き濾過媒体は、媒体の第1の端部から媒体の第2の端部までサイズが減少する第1の組の縦溝流路と、媒体の第1の端部から媒体の第2の端部までサイズが増大する第2の組の縦溝流路とを示すことができる。テーパ付き濾過媒体はまた、媒体の第1の端部から媒体の中間点までサイズが減少しかつ媒体の中間点から媒体の第2の端部までは実質的に一定のサイズを有する第1の組の縦溝流路を示すことができる。第2の組の縦溝流路は、媒体の第2の端部から媒体の中間点までサイズが増大し、その後媒体の中間点から媒体の第1の端部まで実質的に一定のサイズを有することができる。そのような構成では、フィルタ開口部をフィルタの上流および下流の双方で最大にできるため、フィルタにわたる総圧力低下を小さくすることができる。
【0045】
Z型媒体との関連では、一般的に2つのタイプの「非対称性」がある。非対称性の1つのタイプは面積非対称性と称し、非対称性の別のタイプは体積非対称性と称す。概して、面積非対称性は縦溝流路断面積における非対称性と称し、テーパ付き縦溝流路において示すことができる。例えば、面積非対称性は、縦溝流路の長さに沿ったある個所での縦溝流路の面積が縦溝流路の長さに沿った別の個所での縦溝流路の面積とは異なる場合に存在する。テーパ付き縦溝流路は、媒体パックの第1の個所(例えば端部)から第2の個所(例えば反対側の端部)までサイズが減少する、または媒体パックの第1の個所(例えば端部)から第2の個所(例えば反対側の端部)までサイズが増大するため、面積非対称性となる。この非対称性(例えば面積非対称性)は、テーパを付けることによって生じる非対称性のタイプであり、その結果、このタイプの非対称性を有する媒体は、非規則的と称す。
【0046】
別のタイプの非対称性は体積非対称性と称すことができ、以下詳細に説明する。体積非対称性は、フィルタ媒体パック内の汚染側体積と清浄側体積との差を指す。体積非対称性を示す媒体パックは、波パターンが規則的である場合、規則的と特徴付けられ、波パターンが非規則的である場合、非規則的と特徴付けられることができる。
【0047】
Z型媒体は、接着剤またはシーラントのプラグを設ける以外の技法によって、濾過されていない空気の通過に対して縦溝流路の少なくとも一部分が閉鎖される個所に設けることができる。例えば、縦溝流路の端部を折り畳んでまたは押し潰して閉鎖することができる。縦溝流路を閉鎖するための規則的かつ一貫性のある折り畳みパターンを提供する1つの技法は、ダーツ付け(darting)と称すことができる。ダーツ付けされた縦溝流路またはダーツ付けは一般的に縦溝流路の閉鎖と称し、ここでは、押し潰しによってではなく、縦溝流路を折り畳み、規則的な折り畳みパターンを形成し、縦溝流路を対面シートの方へ倒して閉鎖することによって閉鎖が生じる。ダーツ付けは一般的に、縦溝流路の折り畳み部分によって縦溝流路の端部を閉鎖し、その結果縦溝流路の閉鎖を全体的に一貫性がありかつ制御されるようにするための系統的な手法を暗示する。例えば、米国特許出願公開第2006 0163150A1号明細書には、縦溝流路の端部においてダーツ付けされた構成を有する縦溝流路が開示されている。特に、閉鎖部は、縦溝流路の先端部に刻み目を付け、その後刻み目を付けた縦溝流路の先端部を対面シートの方へ折り畳むことによって設けることができる。ダーツ付けされた構成は、例えば、封止をもたらすために必要なシーラント量の減少、封止の有効性の安全性を高めること、および縦溝流路のダーツ付けされた端部にわたる所望の流れパターンを含め、利点を提供できる。Z型媒体は、ダーツ付けされた端部を含む縦溝流路を含むことができ、米国特許出願公開第2006 0163150A1号明細書の全開示を本願明細書に援用する。縦溝流路の端部にダーツまたは縦溝流路閉鎖部が存在することで、媒体を非規則的にはしないことを理解されたい。「非規則的」の定義では、縦溝流路閉鎖部が存在するか否かを考慮しない。すなわち、縦溝流路を規則的であるとみなすかまたは非規則的であるとみなすかは、閉鎖部ではなく縦溝流路に依存する。
【0048】
「湾曲」とみなされないほど十分に半径が小さいピークを提供することが望ましいことがある。半径は0.25mm未満、または0.20mm未満とし得る。マスキングを減らすために、刃先によってピークを提供することが望ましいことがある。ピークに刃先をあてがうことは、媒体を形成するのに使用される装置、媒体自体、および媒体がさらされる条件によって限定され得る。例えば、媒体を切断したり引き裂いたりしないことが望ましい。従って、刃先によって媒体が切断されたり引き裂かれたりする場合には、刃先を使用してピークを形成することは望ましくないことがある。さらに、媒体は、切断したり引き裂いたりせずに十分に非湾曲性のピークを提供するために軽すぎたり重すぎたりすることがある。さらに、加工中の空気の湿度は、媒体を損傷させることなくピークを形成する際に、ぴったり合った半径を形成するのを助けるために、高めることができる。
【0049】
図1に示す波形シート3の場合の特定の規則的な湾曲した波パターンの追加的な特徴は、縦溝流路の長さ7のほとんどに沿った各谷7bと隣接する各山7aとの間のほぼ中点30が、曲率が反転する移行領域に配置されていることである。例えば、裏面または面3aを見ると(図1)、谷7bは凹状領域であり、山7aは凸状領域である。当然ながら、前面または面3bの方から見ると、面3aの谷7bは山を形成し;面3aの山7aは谷を形成する。場合によっては、領域30は、点ではなく直線セグメントとすることができ、曲率はセグメント30の端部において反転する。領域30が直線セグメントとして設けられる場合、図1に示す波パターンは、例えば、山7aにおける曲線、領域30における直線セグメント、および谷7bにおける曲線の繰り返しパターンのために、「円弧−直線−円弧」の波パターンと特徴付けることができる。
【0050】
図1を参照しかつ上述のように、媒体2は第1および第2の対向縁部8および9を有する。図示の例では、媒体2がコイル状にされて媒体パックを形成している場合、概して縁部9は媒体パックの流入端部を、縁部8は流出端部を形成するが、一部の適用では逆の向きも可能である。
【0051】
図示の例では、隣接縁部8には、この例ではシーラントビード10の形態のシーラントが設けられ、縦溝流路付きシート3と対面シート4を共に封止する。ビード10は、「片面フェーサ」ビードと称すこともある。なぜなら、片面フェーサ媒体5を形成する波形シート3と対面シート4との間のビードであるためである。シーラントビード10は、縁部8に隣接する閉鎖された個別の縦溝流路11を、そこからの空気の通過に対して封止する。
【0052】
図示の例では、隣接縁部9には、この例ではシーラントビード14の形態のシーラントが設けられる。シーラントビード14は一般的に縁部9に隣接する縦溝流路15を閉鎖して、濾過されていない流体がそこを通過しないようにする。ビード14は一般に、媒体2がそれ自体の周りでコイル状にされるときに、波形シート3が内側に向くようにして適用される。それゆえ、ビード14は対面シート4の裏面17と縦溝流路付きシート3の側18との間に封止を形成する。ビード14は、一般に条片2がコイル状媒体パックにコイル巻きにされるときに適用されるため、「巻回ビード」と称すこともある。媒体2が、コイル状にされる代わりに条片に切断されて積み重ねられる場合、ビード14は「積層ビード」とし得る。
【0053】
図1を参照すると、媒体1を例えばコイル巻きまたは積み重ねによって媒体パックに組み込むと、以下の通り動作し得る。まず、矢印12の方向の空気が、端部9に隣接する開放縦溝流路11に流入する。ビード10によって端部8が閉鎖されているために、空気は、矢印13に示すように媒体を通過する。次いで空気は、媒体パックの端部8に隣接する縦溝流路15の開放端部15aを通過することによって、媒体パックから流出する。当然ながら、動作は、反対方向の空気の流れによって行うこともできる。
【0054】
より大まかに言えば、z型フィルタ媒体パックは、対面フィルタ媒体に固定された縦溝流路付きフィルタ媒体を含むと特徴付けられ、かつ、第1の流出入面と第2の流出入面との間に延在する縦溝流路の媒体パックに構成することができる。シーラントまたはシール構造は媒体パック内に設けられ、第1の上流の流出入面または縁部において縦溝流路に流入する空気が、媒体の通過による濾過が行われずに、媒体パックの下流の流出入面または縁部から流出できないことを保証するようにする。あるいは、z型フィルタ媒体パックは、一般にシーラント配置または他の配置によって、流入面と流出面との間を通過する、濾過されていない空気に対して閉鎖される。この追加的な代替的な特徴付けは、縦溝流路の第1の部分は、濾過されていない空気が縦溝流路の第1の部分に流入しないように閉鎖または封止され、縦溝流路の第2の部分は、濾過されていない空気が媒体パックから流出しないように閉鎖または封止されるので、流出入面の一方から入りかつ他方の流出入面から出る空気は、媒体を通過して空気が濾過される。
【0055】
本書で図1に示す特定の配置の場合、平行の波形7a、7bは、縁部8から縁部9まで媒体全体にわたって概して直線である。直線の縦溝流路または波形は、選択した個所、特に縁部において変形できるまたは折り畳むことができる。閉鎖のための縦溝流路端部の修正は一般的に、「規則的」、「湾曲」および「波パターン」の上述の定義において無視されている。
【0056】
概して、フィルタ媒体は比較的可撓性のある材料、一般に(セルロース繊維、合成繊維またはそれら双方の)不織繊維性材料であり、樹脂を含有することが多く、追加的な材料で処理されることがある。それゆえ、媒体へ好ましくない損傷を与えることなく、様々な縦溝流路(例えば波形)パターンに一致または構成できる。また、同様に媒体へ好ましくない損傷を与えることなく、容易にコイル状にまたは他の構成にして使用できる。当然ながら、使用中に必要な縦溝流路(例えば波形)構成を維持する性質を帯びている必要がある。
【0057】
波形または縦溝流路形成プロセスでは、非弾性変形が媒体に生じる。これは、媒体がその元の形に戻らないようにする。しかしながら、張力が解かれると、縦溝流路または波形は跳ね返り、生じた伸長および屈曲の一部分のみの状態を戻す傾向がある。対面シートは、縦溝流路付き(または波形)シートのこの跳ね返りを抑止するために、縦溝流路付きシートに留められることがある。
【0058】
また、媒体は樹脂を含有することができる。波形形成プロセス中に、媒体は樹脂のガラス転移点超まで加熱できる。樹脂が冷えると、縦溝流路の形状を維持するのを助ける。
【0059】
縦溝流路付きシート3、対面シート4またはそれら双方の媒体は、例えば米国特許第6,955,775号明細書、同第6,673,136号明細書、および同第7,270,693号明細書(本願明細書に援用する)によれば、それらの片面または両面に細繊維材料を備えることができる。概して、細繊維は、ポリマー細繊維(マイクロファイバーおよびナノファイバー)と称すことができ、媒体に提供されて濾過性能を高めることができる。媒体に細繊維が存在することによって、重量が軽いまたは厚みが薄い媒体を提供する一方で、所望の濾過特性を獲得することが可能となり得るまたは望ましいとし得る。従って、媒体に細繊維が存在することによって、濾過特性を高めること、より薄い媒体が使用できること、またはそれら双方を提供できる。細繊維として特徴付けられる繊維の直径は約0.001マイクロメートル〜約10マイクロメートル、約0.005マイクロメートル〜約5マイクロメートル、または約0.01マイクロメートル〜約0.5マイクロメートルとし得る。ナノファイバーは、直径が200ナノメートルすなわち0.2マイクロメートル未満の繊維を指す。マイクロファイバーは直径が0.2マイクロメートル超であるが、10マイクロメートル以下の繊維を指す。細繊維を形成するために使用できる例示的な材料は、ポリ塩化ビニリデン、様々なナイロン、例えばナイロン6、ナイロン4,6、ナイロン6,6、ナイロン6,10およびそれらのコポリマーなどを含むポリビニルアルコールポリマーおよびコポリマー、ポリ塩化ビニル、PVDC、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、PMMA、PVDF、ポリアミド、およびそれらの混合物を含む。
【0060】
さらに図1を参照すると、符号20で、縦溝流路付きシート3と対面シート4との間に配置されそれら2つを固定する仮付けビードを示す。仮付けビード20は例えば接着剤の不連続線とし得る。仮付けビードはまた媒体シートが溶接される点ともし得る。
【0061】
上記から、図示の例示的な縦溝流路付きシート3は一般に、対面シートに、それらが隣接するピークに沿って、連続的には固定されていないことが明らかである。それゆえ、空気は、媒体を通過することなく、隣接する流入用縦溝流路間を、および交互に隣接する流出用縦溝流路間を流れることができる。しかしながら、流入面から縦溝流路に流入した、濾過されていない空気は、濾過機能のある媒体の少なくとも一方のシートを通過せずには流出面を通って縦溝流路から流出できない。
【0062】
ここで図2に注意を向けると、縦溝流路付き(この例では規則的な湾曲した波パターン)シート43と、非波形の平坦な対面シート44とを使用するz型フィルタ媒体構成40を示している。点50と点51との間の距離D1は、所与の縦溝流路53の真下にある領域52における平坦な媒体44の延在部を規定する。点50および51は、縦溝流路付きシート43の内側ピーク46および48の中心点として設けられる。さらに、点45は縦溝流路付きシート43の外側ピーク49の中心点と特徴付けることができる。距離D1は、媒体構成40の周期長または間隔を規定する。長さD2は、同じ距離D1にわたる縦溝流路53のアーチ状の媒体の長さを規定し、それは当然ながら、縦溝流路53の形状ゆえにD1よりも長い。
【0063】
縦溝流路高さJは、対面シート44から縦溝流路付きシート43の最高点までの距離である。あるいは、縦溝流路高さJは、縦溝流路付きシート43の隣接するピーク57と58との間の外部高低差である。縦溝流路高さJは縦溝流路付きシート43の厚さを考慮する。ピーク57は内側ピークと称すことができ、ピーク58は外側ピークと称すことができる。距離D1、D2、およびJは、図2に示す特定の縦溝流路付き媒体の配置に適用されるが、これらの距離は、D1が所与の縦溝流路の真下の縦溝流路の周期長または平坦な媒体の距離を指し、D2が低いピークから低いピークまでの縦溝流路付き媒体の長さを指し、およびJが縦溝流路高さを指す縦溝流路付き媒体の他の構成にも適用できる。
【0064】
別の測定値はコード長(CL)と称すことができる。コード長は、低いピーク57の中心点50から高いピーク58の中心点45までの直線距離を指す。コード長(CL)はさらに、隣接するピークの中心点間の直線距離と表現できる。媒体の厚さ、および特定の距離の測定を始めるまたは終える個所を決定することは、媒体の厚さが距離の値に影響を及ぼすため、距離の値に影響を及ぼすことがあることを理解されたい。例えば、コード長(CL)は、距離が内側ピークの底部から外側ピークの底部まで測定されるか、または距離が内側ピークの底部から外側ピークの頂部まで測定されるかに依存して、異なる値を有し得る。この距離の差は、媒体の厚さがどのように距離の測定に影響し得るかの例である。媒体の厚さの影響を最小限にするために、コード長の測定は、媒体内の中心点から判断される。
【0065】
コード長CLと媒体長さD2との関係を媒体−コード百分率として特徴付けることができる。媒体−コード百分率は以下の式:
【数1】
に従って決定できる。
【0066】
段ボール業界では、様々な標準縦溝流路を規定している。これらは、例えば、標準E縦溝流路、標準X縦溝流路、標準B縦溝流路、標準C縦溝流路、および標準A縦溝流路が含まれる。図3は、以下の表1と組み合わせて、これらの縦溝流路の定義を提供する。
【0067】
本開示の譲受人であるDonaldson Company,Inc.(DCI)は、様々なz型フィルタ配置において標準Aおよび標準Bの縦溝流路の変形を使用してきた。DCIの標準B縦溝流路の媒体−コード百分率は約3.6%とし得る。DCIの標準A縦溝流路の媒体−コード百分率は約6.3とし得る。図2に、標準B縦溝流路を縦溝流路付きシート43として使用するz型フィルタ媒体構成40を示す。
【0068】
【表1】
【0069】
概して、段ボール箱業界の標準縦溝流路構成は、波形媒体の波形の形状またはおおよその波形の形状を規定するために使用されてきた。濾過媒体の性能の改善は、濾過機能を高める縦溝流路構成または構造を提供することにより達成できる。段ボール箱紙ボード業界では、縦溝流路のサイズまたは波形の幾何学的形状は、荷の扱いに好適な構造を提供するように選択された。段ボール箱業界における縦溝流路の幾何学的形状は標準A縦溝流路またはB縦溝流路構成を発展させた。そのような縦溝流路構成は荷の扱いに望ましいとし得る一方で、濾過性能は、縦溝流路の幾何学的形状を変更することによって高めることができる。濾過性能を改善するための技術には、概して濾過性能を改善し、かつ選択された濾過条件下で濾過性能を改善する幾何学的形状および構成を選択することを含む。濾過性能を改善するために変更できる例示的な縦溝流路の幾何学的形状および構成は、縦溝流路のマスキング、縦溝流路の形状、縦溝流路の幅と高さの比、および縦溝流路の非対称性を含む。縦溝流路の幾何学的形状および構成の選択の幅が広いことを考慮して、フィルタ要素は、濾過性能を改善するために、様々な縦溝流路の幾何学的形状および構成を考慮して所望のフィルタ要素の幾何学的形状および構成で構成できる。
【0070】
濾過性能は、濾過に利用可能な濾過媒体の量を増やすことによって高めることができる。濾過に利用可能な濾過媒体の量を増やす技術は、マスキングを減らす、縦溝流路の幅と高さの比を調整する、縦溝流路密度を高める、縦溝流路の形状を調整する、およびプラグの長さを短くすることを含む。濾過に利用可能な濾過媒体の量を増やすためのこれらの技術は、所望通りに個別にまたは組み合わせて使用することができる。これらの技術の各々を詳細に説明する。
【0071】
マスキングを減らすことは、濾過に利用可能な媒体の表面積を増やすための技術であるとみなすことができる。Z型媒体との関連で、マスキングとは、縦溝流路付きシートと対面シートとの間の近接領域を指し、そこでは実質的な圧力差がなく、濾過媒体の使用時にその個所で有用な濾過媒体を欠くことになる。概して、マスキングは、別の媒体シートに近接する媒体の個所であって、その個所において媒体を通る流れに対し抵抗を生じる当該個所によって特徴付けられることが多い。その結果、マスキングされた媒体は、濾過媒体の濾過性能を著しく高めるのには有用ではない。従って、マスキングを減らして濾過に利用可能な濾過媒体の量を増やすこと、それにより濾過媒体の能力を高めること、濾過媒体の処理量を増やすこと、濾過媒体の圧力低下を小さくすること、またはこれらの一部または全てが望ましい。
【0072】
図2に示す、ピークにおいて半径の大きいパターンで配置された縦溝流路付きシートの場合、一般的に濾過に利用できない縦溝流路付きシートと対面シートの接触域に近接する濾過媒体の領域は比較的大きい。マスキングは、縦溝流路付きシートと対面シートとが接触半径を小さくする(接触点を鋭くする)ことによって、小さくできる。マスキングは一般的に圧力下にあるとき(例えば、空気濾過中)の媒体の撓みを考慮に入れる。比較的大きな半径は、より多くの縦溝流路付き媒体を対面シートの方へ撓ませ、それによりマスキングを増やす。鋭い接触点(例えば、小さな半径を有するピーク)を提供することによって、マスキングを減らすことができる。
【0073】
縦溝流路付きシートと対面シートとの間の接触の半径を減らす試みがなされている。例えば、Winterらへの米国特許第6,953,124号明細書を参照されたい。図1に示す湾曲した波パターンなどの湾曲した波パターンは、一般的に、ピークにおける半径が少なくとも0.25mm、典型的には3mm以下の縦溝流路付きシートを提供する。比較的鋭い接触点は、0.25mm未満の半径を有するピークにおける接触点と特徴付けることができる。約0.20mm未満の半径を有する比較的鋭い接触点を提供できる。加えて、マスキングは、半径が約0.15mm未満、好ましくは約0.10mm未満のピークを提供することによって、減らすことができる。ピークは、半径がないまたは実質的に半径が約0mmであるように提供できる。ピークにおいて比較的鋭い接触点を示す縦溝流路付き媒体を提供する例示的な技術は、比較的鋭い縁部を提供するのに十分なように縦溝流路付き媒体のコイニング、曲げ、折り畳み、または折り目付けを行うことを含む。鋭い縁部を提供する能力は、媒体自体の組成、および曲げ、折り畳み、または折り目をもたらすのに使用される加工装置を含め、いくつもの要因に依存することを理解されたい。概して、比較的鋭い接触点を提供する能力は、媒体の重量、および媒体が引き裂きまたは切断に抵抗する繊維を含有するかどうかに依存する。概して、コイニング、曲げ、折り畳み、または折り目付けを行う際中に濾過媒体を切断しないようにすることが望ましい。
【0074】
ピーク(内側ピークまたは外側ピーク)の半径を小さくしてマスキングを減らすことが望ましいが、マスキングを減らすために全てのピークの半径を小さくする必要はない。媒体の設計に応じて、マスキングを減らすために半径の小さい外側ピークまたは半径の小さい内側ピークを提供する、または半径の小さい外側ピークおよび内側ピークの双方を提供することで十分とし得る。
【0075】
濾過に利用可能な媒体の表面積を増やす別の技術は、濾過に利用可能な空間体積へより多くの媒体を入れることを含む。例えば、濾過に利用可能な濾過媒体の量を、縦溝流路の幅と高さの比を調整することによって増やすことができる。正三角形を形成する縦溝流路を有する媒体の例が、米国特許第6,953,124号明細書の図2に示されている。理論的な正三角形の縦溝流路の形状は、段ボール箱紙ボード業界では荷を扱うために望ましいとし得るが、理論的な正三角形とは異なる縦溝流路の形状を選択することによって濾過性能を高めることができる。この現象の考えられる説明の1つは、他と比べて周期長もしくは間隔D1が大きいもしくは小さい、または縦溝流路高さJが大きいもしくは小さい他の縦溝流路設計と比べて、理論的な正三角形の形状は、濾過に利用可能な最小媒体量をもたらす。さらに、当然のことながら、媒体は可撓性であるため、濾過中などに圧力にさらされると媒体は撓み得る。その結果、媒体の撓みはマスキングを増やす可能性があり、このタイプのマスキングが、理論的な正三角形形状の縦溝流路の場合に、より顕著な効果をもたらし得ることが予測される。
【0076】
濾過に利用可能な媒体の表面積を増やす一技術は、縦溝流路の幅と高さの比を選択することによる。縦溝流路の幅と高さの比は、縦溝流路周期長D1対縦溝流路高さJの比である。縦溝流路の幅と高さの比は以下の式:
【数2】
で表すことができる
【0077】
縦溝流路周期長D1および縦溝流路高さJなどの測定距離は、各端部における縦溝流路の長さの20%を除く縦溝流路の長さに沿った濾過媒体の平均値と特徴付けることができる。距離D1およびJは、シーラントの存在または閉鎖技術のため縦溝流路の端部が一般に変形しているため、縦溝流路の端部から離れて測定し得る。縦溝流路閉鎖部において計算された縦溝流路の幅と高さの比は、必ずしも、濾過中の縦溝流路の、縦溝流路の幅と高さの比を表すわけではない。従って、縦溝流路の幅と高さの比の測定値は、縦溝流路が端部でまたは端部付近で閉鎖する際の縦溝流路閉鎖部の影響を除外するために、縦溝流路の端部付近の縦溝流路の長さの最後20%を除いた、縦溝流路の長さ全体の平均値として提供され得る。「規則的」な媒体とは、縦溝流路周期長D1および縦溝流路高さJが縦溝流路の長さに沿って比較的一定であることが予期される。比較的一定とは、縦溝流路の幅と高さの比が、縦溝流路閉鎖部設計が幅と高さの比に影響を与え得る各端部における20%の長さを除いて、縦溝流路の長さにわたって約10%内で変動し得ることを意味する。加えて、テーパ付き縦溝流路を有する媒体などの「非規則的」な媒体の場合、縦溝流路の幅と高さの比は縦溝流路の長さにわたって変化し得るまたはほぼ同じままとし得る。理論的な正三角形形状から離れて縦溝流路の形状を調整することによって、濾過に利用可能な所与の体積における媒体量を増やすことができる。従って、縦溝流路の幅と高さの比が少なくとも約2.2、少なくとも約2.5、少なくとも約2.7、または少なくとも約3.0の縦溝流路は、濾過に利用可能な媒体の表面積を増やすことができる。加えて、幅と高さの比が約0.45未満、約0.40未満、約0.37未満、または約0.33未満の縦溝流路設計を提供することによって、濾過に利用可能な媒体面積を増やすことができる。概して、正三角形形状を有する理論的な縦溝流路は、縦溝流路の幅と高さの比が約1.6を示す。
【0078】
濾過に利用可能な濾過媒体の量を増やす別の技術は、媒体パックの縦溝流路の密度を高くすることを含む。縦溝流路の密度は、濾過媒体パックにおける濾過媒体の断面積当たりの縦溝流路数を指す。縦溝流路の密度は、縦溝流路高さJ、縦溝流路周期D1、および媒体厚さTを含め、いくつもの要因に依存する。縦溝流路の密度は、媒体パックの縦溝流路の密度または片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度と特徴付けることができる。フィルタ要素用の媒体パックの縦溝流路の密度(ρ)を計算する式は:
【数3】
である。
【0079】
フィルタ要素の縦溝流路の密度は、フィルタ要素の断面積において開放しているチャネルおよび閉鎖しているチャネルを含めチャネル数を集計し、それを、チャネル数が決定された個所のフィルタ要素の断面積の2倍で割ることによって計算できる。概して、縦溝流路の密度は、流入面から流出面までまたはその反対方向にフィルタ要素の長さにわたって比較的一定のままであることが予測される。Z型媒体の断面積は、媒体(巻かれたまたは積み重ねられた)の断面積を指し、必ずしもフィルタ要素の断面積ではないことを理解されたい。フィルタ要素は、ハウジングを係合するためのシースまたはシールを有して、媒体の断面積よりも断面積が大きいフィルタ要素を提供してもよい。さらに、媒体の断面積は実効面積を指す。すなわち、媒体がコアまたはマンドレルの周りに巻かれている場合、コアまたはマンドレルの断面積はZ型媒体パックの断面積の一部ではない。
【0080】
片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度(ρ)を計算するための代替的な式は:
【数4】
である。
【0081】
縦溝流路の密度の式では、Jは縦溝流路高さであり、D1は縦溝流路周期長であり、およびTは縦溝流路付きシートの厚さである。この代替的な式は、片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度を計算するための式と称すことができる。片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度は、片面フェーサ媒体の構成に基づいて決定される。その一方、媒体パックの縦溝流路の密度は、組み立てられた媒体パックに基づいて決定される。
【0082】
理論的に、媒体パックの縦溝流路の密度および片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度は、同様の結果をもたらす必要がある。しかしながら、媒体パックの縦溝流路の密度および片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度が異なる結果をもたらすように、媒体パックを構成し得ることも可能である。
【0083】
図2および図3に示し表1で特徴付けられる標準B縦溝流路は、縦溝流路の密度(媒体パックの縦溝流路の密度および片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度)が約34縦溝流路/インチ2のコイル状濾過媒体を提供する。標準B縦溝流路媒体から形成された媒体パックは、約34縦溝流路/インチ2の縦溝流路の平均密度を有すると特徴付けることができる。縦溝流路の密度(媒体パックの縦溝流路の密度または片面フェーサ媒体の縦溝流路の密度のどちらで表現されるかに関わらず)は、特に明記しない限り、媒体パックの縦溝流路の平均密度であるとみなし得る。それゆえ、縦溝流路の密度は、時には縦溝流路の密度と、またある時には縦溝流路の平均密度と称すことがある。概して、縦溝流路の平均密度を高くすることは、標準B縦溝流路媒体の縦溝流路の密度よりも高い縦溝流路の密度を有する媒体パックを提供することを指す。例えば、高い縦溝流路の密度は、35.0縦溝流路/インチ2超の縦溝流路の密度を有する媒体パックを指すことができる。媒体パックは、約36縦溝流路/インチ2超、約38縦溝流路/インチ2超、約40縦溝流路/インチ2超、45縦溝流路/インチ2超、または約50縦溝流路/インチ2超の縦溝流路の密度を有して設けられ得る。媒体パックは、圧力低下を小さくするまたはそこを通る流れ抵抗を少なくするために低い縦溝流路の密度(標準B媒体と比較して)を有して設けることができる。例えば、媒体パックは、約34縦溝流路/インチ2未満、30縦溝流路/インチ2未満、または約25縦溝流路/インチ2未満の媒体パックの縦溝流路の密度を有して設けることができる。
【0084】
概して、高い縦溝流路の密度を有する媒体を提供することは、媒体の体積内で媒体の表面積を増やす傾向があり、それゆえ、濾過媒体の耐荷力を高める傾向がある。従って、媒体の縦溝流路の密度を高めることは、媒体の耐荷力を高める効果を有し得る。しかしながら、媒体の縦溝流路の密度を高めることは、他の要因は一定のままであると仮定すると、媒体による圧力低下を大きくする効果も有し得る。
【0085】
濾過媒体の縦溝流路の密度を高めることは、縦溝流路高さ(J)または縦溝流路周期長(D1)、またはそれら双方を小さくする効果を有し得る。その結果、縦溝流路のサイズ(縦溝流路のサイズは縦溝流路の断面積を指す)は、縦溝流路の密度が高くなるにつれて小さくなる傾向がある。縦溝流路のサイズが小さいことは、常にではないが、濾過媒体の圧力低下が大きくなる効果を有する。概して、媒体の圧力低下とは、媒体の第2の面で測定された圧力に対する媒体の第1の面において判断された圧力差を指し、第1の面および第2の面は、一般的に縦溝流路の対向端部に設けられる。縦溝流路の密度が比較的高い一方で所望の圧力低下を保持する濾過媒体を提供するために、縦溝流路の長さを減らすことができる。
【0086】
縦溝流路の長さは、濾過媒体の第1の面から濾過媒体の第2の面までの距離を指す。燃焼機関用の空気の濾過に有用な濾過媒体の場合、短い縦溝流路は、縦溝流路の長さが約5インチ未満(例えば、約1インチ〜約5インチ、または約2インチ〜約4インチ)の縦溝流路と特徴付けることができる。中間の長さの縦溝流路は、長さが約5インチ〜約8インチの縦溝流路と特徴付けることができる。長い縦溝流路は、縦溝流路の長さが約8インチ超(例えば、約8インチ〜約12インチ)の縦溝流路と特徴付けることができる。
【0087】
媒体パック内で濾過に利用可能な濾過媒体の量を増やすための別の技術は、表1で説明したもののような標準的な縦溝流路付き媒体設計と比較して、濾過に利用可能な濾過媒体の量が増える縦溝流路付き媒体構成を選択することを含む。濾過に利用可能な濾過媒体の量を増やす縦溝流路付き媒体設計を提供する一技術は、隣接するピーク間に稜部を形成することによるものである。上述のように、縦溝流路付き媒体ピークは、縦溝流路付き媒体が対面シートに付着されて片面フェーサ媒体を形成している場合には、ピークが対面シートの方に向いているかまたは対面シートから外方に向いているかに依存して内側ピークまたは外側ピークと特徴付けることができる。対面シートがない場合には、内側ピークおよび外側ピークは、所望の向きに依存して選択できる。しかしながら、内側ピークは縦溝流路付き濾過媒体の一方の側にあり、外側ピークは縦溝流路付き濾過媒体の他方の側に設けられていることに留意されたい。
【0088】
図4a〜図4cは、濾過性能を高めるための例示的な縦溝流路の形状を有する媒体の部分を示す。図4aに関しては、媒体110は、対面シート111と113との間に縦溝流路付きシート112を含む;図4bに関しては、媒体120は、対面シート121と123との間に縦溝流路付きシート122を含む;および図4cに関しては、媒体140は対面シート141と143との間に縦溝流路付きシート142を含む。縦溝流路付きシート112と対面シート113の組み合わせは片面フェーサ媒体117と称すことができ、縦溝流路付きシート122と対面シート123の組み合わせは片面フェーサ媒体137と称すことができ、および縦溝流路付きシート142と対面シート143の組み合わせは片面フェーサ媒体147と称すことができる。片面フェーサ媒体117、137、または147がコイル状であるまたは積み重ねられている場合、対面シート111、121、または141は、積層媒体の場合には別の片面フェーサ媒体から、またはコイル状媒体の場合には同じ片面フェーサ媒体から提供できる。
【0089】
図4a〜図4cの媒体110、120、および140は、空気などの流体を清浄にするためのフィルタ要素を提供するように配置できる。フィルタ要素はコイル状要素または積層要素として配置できる。コイル状要素は一般的に、縦溝流路付き媒体シートおよび対面媒体シートを含み、コイル状構成を提供するために巻かれている。コイル状構成は、円形、長楕円、またはレーストラック状と特徴付けられる形状を有して提供できる。積層構成は一般的に、対面媒体シートに付着された縦溝流路付き媒体シートを含む媒体の交互の層を含む。概して、対面媒体シートに付着された縦溝流路付き媒体シートは片面フェーサ媒体と称すことができる。図4aに示す媒体110は、小接触および低歪み形状の縦溝流路付きシートの断面形状を示すために、媒体を横切って取った断面図である。断面形状は、縦溝流路の長さに沿って延在するように提供できることを理解されたい。さらに、縦溝流路は、媒体がZ型媒体の役目を果たすように封止できる。所望であれば、封止は、接着剤またはシーラント材料として提供することができる。
【0090】
図4aでは、距離D1は、内側ピーク114の中心点から内側ピーク116の中心点まで測定される。あるいは、距離D1は、外側ピーク115の中心点から外側ピーク119の中心点まで測定できる。縦溝流路付き媒体110は、各周期長D1にまたは媒体長さD2に沿って2つの稜部118を有するものとして示す。稜部118は、縦溝流路の長さの少なくとも一部分に沿って延在するように設けられる。概して、各稜部118は、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分118aと縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分118bとがつながっている全体的な領域と特徴付けることができる。稜部(例えば、非ピーク稜部)は、異なる傾斜の媒体部分間の交線とみなすことができる。稜部は、その個所での媒体の変形の結果、形成され得る。媒体は、圧力を媒体に加える結果、稜部で変形され得る。圧力を媒体に加える技術をコイニングと呼ぶことができる。
【0091】
例示的な縦溝流路付きシート112では、図4aにおいて、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分118aは、外側ピーク115と稜部118との間に延在する縦溝流路付き媒体の部分として示す。この比較的平坦な部分の傾斜角度は、例えば平坦なシートに対して0〜90°の角度であるように、異なる実装例で変動し得る。外側ピーク115から稜部118への縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分118aの平均角度は、45°未満と特徴付けることができ、かつ、対面シート113に対して約30°未満で設けることができる。縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分118bは、内側ピーク116から稜部118まで延在する媒体の部分と特徴付けることができる。概して、内側ピーク116と稜部118との間に延在すると特徴付けられた縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分118bの角度は、45°超とでき、かつ、対面シート113に対して約60°超とできる。稜部118を生じるのは、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分118aと縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分118bとの間の角度に差があるからである。縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分118aの角度および縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分118bの角度は、媒体のセクション(例えば縦溝流路付き媒体118aまたは縦溝流路付き媒体118b)の終点を形成する点間の角度として、および対面シート113から測定される角度として決定され得ることを理解されたい。さらに、特定の角度への言及は図示のためであり、稜部118を形成する媒体の部分は、上記で特定した角度とは異なる角度を有し得る。
【0092】
稜部118は、縦溝流路付き媒体12を形成する際中の、縦溝流路付きシート112の長さに沿ったコイニング、折り目付け、曲げ、または折り畳みの結果として、設けることができる。縦溝流路付き媒体112を形成する工程中、稜部118を設定する工程を取ることが望ましいかもしれないが、必須ではない。例えば、稜部118は、熱処理または水分処理またはそれらの組み合わせによって設定できる。加えて、稜部118は、稜部を設定する追加的な工程がなくても、稜部を形成するための折り目付け、曲げ、または折り畳みの結果として、存在し得る。さらに、稜部118の特徴付けは、縦溝流路付きシート外側ピーク115または119および縦溝流路付きシート内側ピーク116または114と混同されない。全体的に平坦な部分118aおよび全体的に傾きが急な部分118bの特徴付けは、稜部の存在を特徴付ける手段として意図される。概して、平坦な部分118aおよび傾きが急な部分118bは曲線を示すことが予測される。すなわち、平坦な部分118aおよび傾きが急な部分118bは、特に濾過中に空気などの流体が媒体を流れるため、完全に平面的ではないことが予測される。それにもかかわらず、対面シートに対する媒体の角度は、稜部118の存在を決定する、媒体の部分に対して測定できる。
【0093】
図4aに示す媒体の形状は、小接触形状と称すことができる。概して、小接触形状は、縦溝流路付きシート112と対面シート111との間の比較的小さい接触面積を指す。稜部118が存在することによって、ピーク115および119におけるマスキングを小さくすることを助ける。稜部118は、縦溝流路付きシート112を形成する結果として存在し、その結果、ピーク115および119において媒体にかかる内部応力を低減させる。稜部118が存在しなければ、縦溝流路付きシート112がピーク115および119に大きな半径を形成し、それにより、マスキングを増やすようなレベルの内部張力を縦溝流路付きシート112に生じさせてしまうであろう。その結果、稜部118の存在は、稜部のない場合にピークを拡張または平らにさせてしまう縦溝流路付きシート112の張力を、ある程度まで緩和する結果、隣接するピーク間(例えばピーク115と114との間)に存在する媒体量を増やすのを助け、かつ、ピーク(例えばピーク115)の半径を減らすのを助ける。
【0094】
稜部118が存在することは目視によって検出できる。小接触形状が存在することは、縦溝流路付き媒体の端部を見ることからは特に明白とはならないが、フィルタ要素を切り込むと、縦溝流路の長さに沿って延在する稜部の存在を見ることができる。さらに、稜部が存在することは、技術的には、フィルタ要素にはダストを多く含むので、縦溝流路付きシートを対面シートから剥がして、縦溝流路付き媒体の稜部に対応する稜部を有するダストの固まりを露わにすることによって確認できる。概して、ダストの固まりの稜部は、平均角度を有するダスト表面の、異なる平均角度を有するダスト表面の別の部分と交差する一部分を反映する。ダスト表面の固まりの2つの部分の交差部が稜部を形成する。縦溝流路を満たすように媒体に入れて縦溝流路内にダストの固まりをもたらすために使用できるダストは、ISO Fine testダストと特徴付けることができる。
【0095】
ここで図4aをさらに参照すると、縦溝流路付きシート112は距離D2にわたって2つの稜部118を含み、距離D2は、縦溝流路付きシート112の、ピーク114の中心点からピーク116の中心点までの長さを指し、稜部は、ピーク114、115、116、または119ではない。ピーク114および116を内側ピークと称すことができるが、それらは、隣接する第1の側のピーク(または隣接する第2の側のピーク)と称すこともできる。ピーク115および119を外側ピークと称すことができるが、それらは、隣接する第2の側のピーク(または、第1または第2の選択がピーク114および116に対してなされた選択と反対である限り、隣接する第1の側のピーク)と称すこともできる。ピークが対面シートの方に向いている場合には、ピークを対面シートピークとさらに特徴付けることもできる。対面シートがない場合には、ピークを単にピーク、同じ側のピーク、隣接する第1の側のピーク、または隣接する第2の側のピークと称すことができる。概して、「隣接する同じ側のピーク」とは、周期を規定するのに使用できるピークを指す。「同じ側」の特徴付けのない「隣接するピーク」とは、隣同士であるが、異なる方向を向いているピークを指す(例えば、ピーク114および115)。ピークのこの特徴付けは、図面に示す媒体のような縦溝流路付き媒体の説明に便利である。
【0096】
縦溝流路付きシート112を、各長さD2に沿って2つの稜部118を有するものとして設けることができるが、縦溝流路付きシート112は、所望であれば、各周期長D2に沿って単一の稜部を有するものとして設けることができ、かつ、周期のいくつかが少なくとも1つの稜部を示し、いくつかの周期が2つの稜部を示し、いくつかの周期には稜部がない、またはそれらのいずれかの組み合わせである構成を有するものとして設けることができる。
【0097】
縦溝流路付きシートは、縦溝流路パターンを繰り返すプロセスによって作製される際、縦溝流路の繰り返しパターンを有すると特徴付けることができる。縦溝流路の繰り返しパターンは、媒体の長さ(例えば、流れ方向において)を横切って、縦溝流路のパターンが繰り返されることを意味する。例えば、全ての縦溝流路が、隣接するピーク間に稜部を有してもよい。全ての縦溝流路が、隣接するピーク間に2つの稜部を有するパターンがあるかもしれない。さらに、いくつかの縦溝流路の隣接するピーク間には稜部があるが、他の縦溝流路の隣接するピーク間には稜部がないパターンがあるかもしれない。例えば、周期は、単一の稜部または2つの稜部を有してもよく、それに続く周期は稜部がなくても、または単一の稜部、または2つの稜部を有してもよく、それに続く縦溝流路は、稜部がなくても、または単一の稜部、または2つの稜部を有してもよいなどである。ある点で、パターンはそれ自体を繰り返す。しかしながら、稜部または2つの稜部が全ての隣接するピーク間に存在することは必須ではない。本発明の利益は、縦溝流路の繰り返しパターンを提供することによって得ることができ、その繰り返しパターン内において、少なくとも1つの稜部が、隣接するピーク間に存在する。好ましくは、図4aに示すように、パターンは、隣接する同じ側ピーク間に2つの稜部を含む。
【0098】
稜部の存在の特徴付けは、縦溝流路の長さに沿って稜部が存在することを意味すると理解されたい。概して、稜部は、所望の性能を備えて得られる媒体を提供するのに十分な長さだけ縦溝流路に沿って設けることができる。稜部は縦溝流路の全長に延在してもよいが、例えば、縦溝流路の端部における影響の結果、稜部は縦溝流路の全長には延在しない可能性もある。例示的な影響としては、縦溝流路閉鎖部(例えばダーツ付け)および縦溝流路の端部でのプラグの存在を含む。好ましくは、稜部は、縦溝流路の長さの少なくとも20%延在する。例として、稜部は、縦溝流路の長さの少なくとも30%、縦溝流路の長さの少なくとも40%、縦溝流路の長さの少なくとも50%、縦溝流路の長さの少なくとも60%、または縦溝流路の長さの少なくとも80%延在できる。縦溝流路の端部は、ある方法で閉鎖してもよく、閉鎖の結果、正面から媒体パックを見る際に稜部の存在を検出しても、しなくてもよい。従って、縦溝流路の長さに沿って延在するときの稜部の存在の特徴付けは、稜部が縦溝流路の全長に沿って延在する必要があるということを意味しない。さらに、稜部は縦溝流路の端部において検出されなくてもよい。
【0099】
図4aの縦溝流路付きシート112の縦溝流路は、媒体に沿ったある点から第2の点までテーパを付けるように設計できる。概して、このテーパが縦溝流路のピーク115および119における半径を実質的に保つことが望ましい。
【0100】
ここで図4bを参照すると、縦溝流路付き媒体120は、対面シート121と123との間に設けられた縦溝流路付きシート122を含む。縦溝流路付きシート122は、隣接するピーク124と125との間に少なくとも2つの稜部128および129を含む。長さD2に沿って、媒体122は、4つの稜部128および129を含む。媒体の単一の周期長は4つの稜部を含むことができる。稜部128および129は、対面媒体ピークと称すことができるピーク124、125、または126ではないことを理解されたい。媒体122は、隣接するピーク間(例えば、ピーク125と126との間)に2つの稜部128および129があるように設けることができる。ここでも、繰り返しパターンがもたらされ得る。図4bに示す繰り返しパターンでは、各隣接ピーク間に2つの稜部があり、各周期には4つの稜部が設けられている。代替的な繰り返しパターンでは、繰り返しパターンが、パターンのどこかの隣接するピーク間に少なくとも1つの稜部が発生することを含む限り、隣接するピーク間に任意の数(例えば、0、1つまたは2つ)の稜部があってよい。図4bに示す好ましい実施形態では、各隣接ピーク間に2つの稜部がある。
【0101】
稜部128は、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分128aと縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分128bとがつながっている領域として特徴付けることができる。概して、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分128aは、45°未満、好ましくは約30°未満の傾斜角度を有すると特徴付けることができ、角度は、稜部128と稜部129との間で測定される。縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分128bは、45°超、好ましくは約60°超の角度を有すると特徴付けることができ、角度はピーク126から稜部128までの間で測定できる。稜部129は、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分129aと縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分129bとの間の交差部により、設けることができる。概して、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分129aは、稜部128から稜部129まで延在する媒体の部分の角度に対応する。概して、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分129aは、45°未満、好ましくは約30°未満の傾斜角度を有すると特徴付けることができる。縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分129bは、稜部129とピーク125との間に延在する縦溝流路付き媒体の部分と特徴付けることができ、稜部129とピーク125との間の角度を有すると特徴付けることができる。概して、縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分129bは、45°超、好ましくは約60°超の角度を有すると特徴付けることができる。
【0102】
図4bの縦溝流路付きシート122の縦溝流路は、媒体に沿ったある点から第2の点までテーパが付けられているように設計できる。概して、このテーパが縦溝流路のピーク125における半径を実質的に保つことが望ましい。例えば、媒体が先細になるにつれ、縦溝流路付き媒体の比較的平坦な部分128aおよび129aを効果的に上下移動する一方、テーパ付き縦溝流路を形成するために比較的傾きが急な部分128bが長くなったり短くなったりすることによって、この半径を保つことができる。傾きが急な部分128bがそのように短くなることによって、縦溝流路の断面積が変わる一方、縦溝流路幅D1を保持し、かつ鋭いピーク125を保持する。
【0103】
ここで図4cを参照すると、縦溝流路付き媒体140は、対面シート141と143との間に設けられた縦溝流路付きシート142を含む。縦溝流路付きシート142は、内側ピーク144と外側ピーク145との間に少なくとも2つの稜部148および149を含む。長さD2に沿って、媒体140は4つの稜部148および149を含む。媒体の単一の周期長は4つの稜部を含むことができる。稜部148および149はピーク144および145ではないことに理解されたい。媒体140は、隣接するピーク間(例えばピーク144と145との間)に2つの稜部148および149があるように設けることができる。加えて、縦溝流路付きシート140は、他の隣接するピーク間に、1つの稜部、2つの稜部がある、または稜部がないように設けることができる。各隣接ピーク間に2つの稜部があることは必須ではない。隣接するピーク間で稜部が交互に存在するまたは予め定められた間隔で設けられることが望まれる場合には、ピーク間に稜部がないこともある。概して、縦溝流路のパターンは、縦溝流路のパターンを繰り返し、および隣接するピーク間に稜部が存在するように設けることができる。
【0104】
稜部148および149は、縦溝流路付きシートの比較的平坦な部分と縦溝流路付きシートの比較的傾きが急な部分とがつながっている領域として特徴付けることができる。稜部148の場合、縦溝流路付きシートの比較的平坦な部分148aは縦溝流路付きシートの比較的傾きが急な部分148bにつながる。稜部149の場合、縦溝流路付きシートの比較的平坦な部分149aは縦溝流路付きシートの比較的傾きが急な部分149bにつながる。縦溝流路付き媒体の比較的傾きが急な部分は、対面シート143に対して媒体のその部分で測定する場合、45°超、好ましくは約60°超の角度を有すると特徴付けることができる。比較的平坦な部分は、対面シート143に対する媒体のその部分では45°未満、好ましくは約30°未満の傾斜角度を有すると特徴付けることができる。
【0105】
図4cの縦溝流路付きシート142の縦溝流路は、媒体に沿ったある点から第2の点までテーパが付けられるように設計できる。概して、このテーパが縦溝流路のピーク145における半径を実質的に保つことが望ましい。例えば、テーパ付き縦溝流路を形成するために縦溝流路付き媒体の部分148bおよび149bが効果的に横に動く(内側および外側に)ことによって、この半径を保つことができる。そのような動きは、縦溝流路の断面積を変える一方、縦溝流路幅D1を保持し、かつピーク145を保持する。それゆえ、比較的平坦な部分149aは縦溝流路に沿って長くなったり短くなったりし、傾きが急な部分148bおよび149bの長さは内側および外側に(図4bでは左および右に)動く。上述のように、いくつかの実装例では、縦溝流路の断面積が減少するにつれ、ピークに沿った傾斜した平坦な部分が内側および下方に動くことに留意されたい。
【0106】
縦溝流路付きシート142は、縦溝流路付きシート122と比較して準備により都合がよいとみなし得る。なぜなら、縦溝流路付きシート142のラップ角(wrap angle)が縦溝流路付きシート122のラップ角よりも小さいためである。概して、ラップ角は、溝付け工程中に媒体の回転をもたらす角度の総和を指す。縦溝流路付き媒体142の場合、縦溝流路付き媒体122と比較して媒体は溝付け中にあまり回転されない。その結果、縦溝流路付きシート142を形成する溝付けによって、媒体の必要な引張強度は縦溝流路付きシート122と比較して低い。この小さいラップ角は、テーパ付き媒体では特に重要であり、図4Cの縦溝流路付きシート142にテーパを付けることに特に好適とし得る。
【0107】
ピークからピークまで比較的対称的であるとして縦溝流路付きシート112、122、および142を示す。すなわち、媒体112、122、および142では、縦溝流路は、隣接するピーク間に同数の稜部を有するものとして繰り返される。隣接するピークは、縦溝流路付き媒体の長さに沿って隣同士のピークを指す。例えば、縦溝流路付き媒体112では、ピーク114および115は隣接するピークとみなされ、およびピーク114および116は隣接する同じ側のピークとみなすことができる。しかしながら、媒体の周期は、隣接するピーク間に同数の稜部を有する必要はなく、媒体は、このようにして非対称的であると特徴付けることができる。すなわち、媒体は、周期の一方の半分に稜部を有し、かつ周期の他方の半分には稜部がないように形成できる。
【0108】
縦溝流路付き媒体の隣接するピーク間に単一の稜部または複数の稜部を設けることによって、距離D2を、標準AおよびB縦溝流路のような従来技術の媒体と比べて長くすることができる。1つの稜部または複数の稜部が存在する結果、例えば、標準A縦溝流路およびB縦溝流路と比較して媒体をより濾過に利用可能にする濾過媒体を提供することが可能である。媒体−コード百分率の前述の測定を使用して、隣接するピーク間に設けられた媒体の量を特徴付けることができる。長さD2は、縦溝流路付きシート112、122、および142の周期の縦溝流路付きシート112、122、および142の長さと規定する。縦溝流路付きシート112の場合、距離D2は、低いピーク114から低いピーク116までの縦溝流路付きシートの長さである。この距離は2つの稜部118を含む。縦溝流路付きシート122の場合、長さD2は、低いピーク124から低いピーク126までの縦溝流路付きシート122の距離である。この距離は少なくとも4つの稜部128および129を含む。隣接するピーク間に1つ以上の折り目を設ける結果、隣接するピーク間の濾過媒体が増えることは、媒体−コード百分率によって特徴付けることができる。上述のように、標準B縦溝流路および標準A縦溝流路の媒体−コード百分率は、それぞれ約3.6%および約6.3%である。概して、図4aに示す縦溝流路設計のような小接触縦溝流路は、約6.2%〜約8.2%の媒体−コード百分率を示すことができる。図4bおよび図4cに示す縦溝流路設計のような低歪み縦溝流路は、約7.0%〜約16%の媒体−コード百分率をもたらすことができる。
【0109】
稜部(例えば、118、128、および129)を設ける別の利点は、これらの稜部が媒体にかかる応力を減らして、ピークにおけるマスキング面積を小さくすることである。概して、溝付けプロセス中に稜部が形成されないと、媒体におけるより大きな張力または復元力で、ピークに、より大きいレベルのマスキングを与える原因となり得る。濾過媒体の溝付け中に濾過媒体に稜部を導入することによって、マスキングを減らすためにピークに比較的小さい半径を形成しかつそれを維持するのを助けることが容易となる。
【0110】
ここで図5を参照すると、縦溝流路付き媒体および片面フェーサ媒体を形成する例示的なプロセスを参照符号198で示す概略図によって説明する。この概略図では、媒体200は、縦溝流路付き媒体202を形成するために溝付けされる。縦溝流路付き媒体202は対面媒体204と組み合わされて片面フェーサ媒体203を形成できる。
【0111】
媒体200は案内ロール208を通り、ステアリングユニット210によって所望のまたは正しい位置に導かれる。媒体200を所望の温度まで加熱するために加熱器212を設けることができる。概して、溝付けプロセスの結果生じるクラッキングを回避するために、媒体200を加熱することが望ましいとし得る。加熱器を用いることは必須ではないことを理解されたい。加えて、ユニットを使用して、媒体200の水分の湿度を制御できる。湿度制御ユニットは、加熱器212の代わりにまたはそれと組み合わせて使用できる。加熱器212は、媒体200を約120°F〜約150°F温度まで加熱するために設け得る。
【0112】
媒体200は溝付けロール220に入り、縦溝流路付き媒体202をもたらす。溝付けロール220は、第1のロール222および第2のロール224を含む。第1のロール222は、コイニングロールを指し、第2のロール224は受けロールを指すことができる。溝付けロール220の一部として第1の圧力ロール226および第2の圧力ロール228をさらに含む。図示の溝付けロール220の向きでは、コイニングロール222は上部ロールと、受けロール224を底部ロールと称すことができる。当然ながら、所望によりこの向きを逆にできる。媒体200が、コイニングロール222と受けロール224との間のかみ合い部230に入ると、媒体200は変形されて、所望の形状の縦溝流路のパターンを有する縦溝流路付き媒体202をもたらす。図示の溝付けロール220の配置では、媒体200は流れ方向に移動し、コイニングロール222および受けロール224は横方向に延在して、縦溝流路が横方向に延在するようにする。横方向は、流れ方向に垂直な方向を指す。媒体200に沿った矢印は流れ方向を指す。図示の溝付けロール220は、横方向に延在する縦溝流路をもたらすが、縦溝流路が流れ方向に延在するような代替的な配置を提供できることを理解されたい。
【0113】
対面媒体204は案内ロール240に沿って移動する。ステアリングユニット242は対面媒体204を第1の圧力ロール226上に進める。仮付けビード付与装置244において仮付けビードが対面媒体204に付与され、およびシーリングビード付与装置246においてシーリングビードが対面媒体204に付与される。縦溝流路付き媒体202および対面媒体204は、第1の圧力ロール226が受けロール224に係合する個所で結合される。第2の圧力ローラ228は、縦溝流路付き媒体202を対面媒体204に対して保持するように提供される。得られる片面フェーサ媒体203を使用してフィルタ媒体構成を提供できる。
【0114】
ここで図6〜図8を参照すると、第1のロールまたはコイニングロールを参照符号250で示す。コイニングロール250は、図5に示す溝付けロール220においてコイニングロール222として使用できる。第1のロール250は軸252の周りで回転し、かつ、受けロールまたはホイール224と組み合わされる際に濾過媒体に溝付けを行う外面または外周254を含む。コイニングロール222は内面256を含むことができ、その内面上にコイニングロール222を装着できる。外面254は複数のコイニングロール突起258を含む。図6には、コイニングロール250の外周に延在するコイニングロール突起258の一部分のみを示す。コイニングロール250は、外面または外周254の周りで離間した約30〜約650個のコイニングロール突起258を含むことができる。コイニングロール250に設けられたコイニングロール突起258の数は、コイニングロールの直径および所望のピッチすなわち各コイニングロール突起間のピークからピークまでの距離に依存して決定できることを理解されたい。例えば、コイニングロールの最小直径は約4.5インチ、および最大直径は約40インチとし得る。
【0115】
図7および図8にコイニングロール突起258の詳細を示す。図示のコイニングロール突起258は3つの媒体接触域260を含み、それらは、かみ合い部230に入る媒体と係合するように設けられている。コイニングロール突起258を、3つの媒体接触域260を有するものとして示すが、少なくとも1つの実施形態では、コイニングロール突起は、2つの媒体接触域を有するものとして設ける。図示の通り、媒体接触域260のうちの1つはピーク接触域262と称し、媒体接触域260のうちの2つは第1および第2の稜部接触域264および266と称すことができる。ピーク接触域262は、ピーク115を形成するために提供でき、第1および第2の稜部接触域264および266は、図4aに示す縦溝流路付き媒体のための稜部118を提供できる。いくつかの実装例では、媒体接触域260は第1のローラおよび第2のローラの双方に存在し得る。
【0116】
ピーク接触域262と第1の稜部接触域264との間に第1の媒体緩和域270を設けることができ、ピーク接触域260と第2の稜部接触域266との間に第2の媒体緩和域272を設けることができる。概して、第1および第2の媒体緩和域270、272は、媒体の厚さよりも大きいコイニングロール突起間の距離によって規定される。第1の媒体緩和域270および第2の媒体緩和域272は、媒体がピーク接触域262と第1および第2の稜部接触域264および266との間で自由に動けるようにする。媒体緩和域を設けることによって濾過媒体が動くことが可能になり、それにより媒体における応力を緩和する。ロールが回転しかつ媒体がかみ合い部230に供給されると、濾過媒体は、媒体緩和域が存在する結果、張力を解く状態にさらされるのを回避でき、かつ引き裂きを回避できる。
【0117】
媒体接触域260は、媒体に係合して回転させるために設けられるが、半径が小さすぎて媒体を切断してはいけない。概して、媒体接触域の半径は少なくとも約0.01インチとし得る。接触域の半径は、縦溝流路高さJの約3分の1程度とし得る。概して、媒体に折り目を設ける、曲げる、または折り畳むことが望ましいが、溝付けの結果媒体を切断することは望ましくない。媒体接触域260の半径の上限は、媒体を所望の程度回転させられない媒体接触域をもたらして媒体が元の平坦な形状を再び形成する半径と特徴付けることができる。第1のロールと第2のロールとの間のかみ合い部に供給される結果媒体が変形されることが望ましい。
【0118】
媒体接触域が大きすぎる(半径が大きすぎる)場合、所望の縦溝流路付きシートが得られないかもしれない。媒体接触域260はニップと称すことができる。媒体緩和域は間隙と称すことができる。概して、濾過媒体が媒体緩和域において動くことができ、媒体接触域260との接触によって媒体を回転させることにより生じる媒体への応力を軽減または緩和することが望ましい。緩和域または間隙の全体的な長さは、媒体接触域間またはニップ間の距離である。一実施形態では、緩和域は縦溝流路の弧長の少なくとも約25%超である。
【0119】
コイニングロール250は、縦溝流路突起258間に設けられた一連のコイニングロール凹部276を含む。概して、コイニングロール凹部276は、図4に示す媒体にピーク114および116を形成できるようにする。コイニングロール凹部276はコイニングロール突起258の各々の間に形成できる。加えて、コイニングロール凹部276は、媒体を受け取るまたはそれと接触する底部接触域278を含む。概して、底部接触域278から第1の稜部接触域264まで延在するロールの領域は、第1の媒体緩和域280と称することができ、底部凹部域278から第2の稜部接触域266まで延在するロールの領域は、第2の媒体緩和域282と称することができる。概して、第1の媒体緩和域280および第2の媒体緩和域282は、媒体がこれらの領域で運動の自由度を有するように設けられる。
【0120】
ここで図9〜図11を参照すると、第2のロールまたは受けロールを参照符号290で示す。受けロール290は、図5の溝付けロール220に示す受けロール224とし得る。受けロール290は軸292の周りで回転し、かつ外面または外周294および内面297を含む。受けロール290は内面297によって支持される。外面294は複数の受けロール凹部296および受けロール突起298を含む。概して、受けロール290は、交互に受けロール凹部296と受けロール突起298とを有する外面294を含む。
【0121】
受けロール凹部296は接触域300を含む。接触域300はピーク接触域302および第1および第2の稜部接触域304および306と称すことができる。第1の媒体緩和域308は、ピーク接触域302と第1の稜部接触域304との間に延在させて設けることができる。第2の媒体緩和域310は、第1のピーク接触域302と第2の稜部接触域306との間に延在させて設けることができる。媒体緩和域308および310は、縦溝流路形成プロセス中に媒体が移動できるように設けられる。受けロール突起298は媒体接触域320を含む。加えて、受けロール290は、第1の稜部接触域304と媒体接触域320との間に延在させて設けられた第1の媒体緩和322と、第2の稜部接触域306と媒体接触域320との間に延在させて設けられた第2の媒体緩和域324とを含む。
【0122】
従来の波形形成プロセスでは、各ロールまたはホイールが歯と凹部とを有し、一方のホイールの歯が他方のホイールの凹部に係合し、その逆の場合も同じである2つのロールまたはホイール間のかみ合い部へ基材が入る結果、基材は波形である。従来の波形形成プロセスにおけるロールまたはホイールの歯および凹部は比較的対称的であるため、比較的対称的な波形を生じ得る。その一方、ロール250および290は、対称的ではない歯および凹部を有するとみなすことができる。
【0123】
コイニングロール250は、歯の形態とみなし得るコイニングロール突起258と、凹部の形態とみなし得るコイニングロール凹部276とを有する。同様に、受けロール290は、凹部のタイプとみなし得る受けロール凹部296と、歯のタイプとみなし得る受けロール突起298とを有する。動作中、コイニングロール突起258は受けロール凹部298に係合し、かつ受けロール突起298はコイニングロール凹部276に係合する。図12に、コイニングロール250と受けロール290とが濾過媒体310に係合して縦溝流路付き濾過媒体312を形成するこの動作を示す。
【0124】
A縦溝流路およびB縦溝流路を形成するのに使用される波形形成プロセスなどの従来の波形付け加工プロセスでは、波形ロールは比較的対称的であるとみなし得る。比較的対称的なロールは、一方のロール(例えば上部ロール)が、他方のロール(例えば底部ロール)の歯および凹部と同様の歯および凹部を有するロールである。従来の波形形成プロセスでのロールは対称的であるため、得られる縦溝流路は全体的に対称的である。非対称的なロールを提供することによって、得られる濾過媒体の性能を高めることができる。コイニングロール250および受けロール290を、突起または歯および凹部の構造に関して非対称的であるとみなすことができる。コイニングロール250および受けロール290を周期長に関して対称的であるとみなすことができるが、突起および凹部の構造は2つのロールで異なり、それゆえ、ロールは非対称的であるとみなすことができる。様々な実施形態では、波形ロールは、得られる媒体が媒体の長さに沿って実質的に等しい弧長を有するように構成される。そのような構成は製造中に媒体にかかる歪みを減らすことができる。
【0125】
用語「コイニングロール」および「受けロール」は比較的任意であることを理解されたい。コイニングロールと受けロールの組み合わせによって、縦溝流路の長さの少なくとも一部分に沿って稜部を提供する。従って、稜部または折り目または曲げを形成するために濾過媒体の反対側の濾過媒体に係合する媒体接触域を備える両ロールを提供することによって、ロールが協力して濾過媒体に縦溝流路の繰り返しパターンを形成する。さらに、コイニングロールとしてロールを特徴付けることによって、濾過媒体に稜部、曲げ、または折り目を形成するために、他方のロール(例えば受けロール)が、コイニングロールの凹部に係合する突起を有する可能性を除外することは意味しない。例えば、複数の第1のロール突起を有すると第1のロールを特徴付けることは、第1のロール突起がロールの全長に延在することを意味しない。ロールのある長さにのみ延在する第1のロール突起を有することが望ましいかもしれない。さらに、第1のロール凹部、第2のロール突起、および第2のロール凹部のいずれかが、ロールの全長よりも短いロールの一部分に延在してもよい。例として、突起および凹部は、縦溝流路の長さの少なくとも30%、縦溝流路の長さの少なくとも50%、縦溝流路の長さの少なくとも60%、縦溝流路の長さの少なくとも80%、または縦溝流路の全長に対応するロールの長さに延在してもよい。
【0126】
上述の説明は、本発明による製造および使用の十分な説明をもたらす。本発明の多くの実施形態は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされるため、本発明は添付の特許請求の範囲に属する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦溝流路付き濾過媒体の形成方法であって、
縦溝流路の繰り返しパターンを有する縦溝流路付き濾過媒体を提供するために濾過媒体に溝付けを行う工程であって、縦溝流路の前記繰り返しパターンは、隣接する同じ側のピーク間に縦溝流路周期で設けられた少なくとも1つの稜部を有する少なくとも1つの縦溝流路を含む工程;
を含み、
前記縦溝流路の少なくとも1つは、その長さに沿って断面積が変わる、方法。
【請求項2】
縦溝流路の前記繰り返しパターンが、隣接する同じ側のピーク間に縦溝流路周期で設けられた少なくとも2つの稜部を有する少なくとも1つの縦溝流路を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセスが、前記濾過媒体を、第1のロールと第2のロールとの間に形成されたかみ合い部に供給して、前記縦溝流路付き濾過媒体を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のロールが複数の第1のロール突起および複数の第1のロール凹部を含み、前記第1のロールが交互に第1のロール突起と第1のロール凹部を提供し、前記第1のロール突起の少なくとも1つが、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のロールが複数の第1のロール突起および複数の第1のロール凹部を含み、前記第1のロールが交互に第1のロール突起と第1のロール凹部を提供し、前記第1のロール突起の少なくとも1つが、媒体緩和域によって互いに分離された少なくとも3つの媒体接触域を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
縦溝流路の前記繰り返しパターンが、前記媒体の長さに沿って実質的に等しい弧長をもたらすように配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のロールが複数の第2のロール凹部および複数の第2のロール突起を含み、前記第2のロールが交互に第2のロール凹部と第2のロール突起を提供し、前記第2のロール凹部の少なくとも1つが、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記濾過媒体の稜部が、第1のロール突起の媒体接触域と第2のロール凹部の媒体接触域との間で圧縮される結果もたらされる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のロールが複数の第2のロール凹部および複数の第2のロール突起を含み、前記第2のロールが交互に第2のロール凹部と第2のロール突起を提供し、前記第2のロール凹部の少なくとも1つが、媒体緩和域によって互いに分離された少なくとも3つの媒体接触域を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記縦溝流路付き濾過媒体をフェーサ媒体と組み合わせて片面フェーサ媒体を提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(a)複数の第1のロール突起と複数の第1のロール凹部とを含む第1のロールであって、前記第1のロールが交互に第1のロール突起と第1のロール凹部を提供し、前記第1のロール突起の少なくとも1つが、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む、第1のロール;および
(b)複数の第2のロール凹部と第2のロール突起とを含む第2のロールであって、前記第2のロールが交互に第2のロール凹部と第2のロール突起を提供し、前記第2のロール凹部の少なくとも1つが、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む、第2のロール
を含む、縦溝流路付き媒体を形成する装置であって、
前記凹部および突起が、前記装置を使用して形成された縦溝流路付き媒体の長さに沿って実質的に等しい弧長をもたらすように配置される、装置。
【請求項12】
前記第1のロールおよび前記第2のロールが、第1のロール突起の媒体接触域と第2のロール凹部の媒体接触域との間で濾過媒体を圧縮するように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のロールが、媒体緩和域によって分離された少なくとも3つの媒体接触域をそれぞれ含む複数の第1のロール突起を含み、および前記第2のロールが、媒体緩和域によって分離された少なくとも3つの媒体接触域をそれぞれ含む複数の第2のロール凹部を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
(a)複数の第1のロール突起と第1のロール凹部とを含み、交互に第1のロール突起と第1のロール凹部を提供する第1のロール;
(b)複数の第2のロール凹部と第2のロール突起とを含み、交互に第2のロール凹部と第2のロール突起を提供する第2のロール;
を含む、縦溝流路付き媒体を形成する装置であって、
(c)前記第1のロール突起、前記第1のロール凹部、前記第2のロール凹部、および前記第2のロール突起が、相互作用するように構成されてかみ合い部をもたらし、濾過媒体が前記かみ合い部を通過する際に、前記かみ合い部が、前記濾過媒体に縦溝流路の繰り返しパターンをもたらし、縦溝流路の前記繰り返しパターンは、テーパの付けられた断面積を示すことを含む、装置。
【請求項15】
前記第1のロール突起、前記第1のロール凹部、前記第2のロール凹部、および前記第2のロール突起が、相互作用するように構成されてかみ合い部をもたらし、濾過媒体が前記かみ合い部を通過する際に、前記かみ合い部が、前記濾過媒体に縦溝流路の繰り返しパターンをもたらし、縦溝流路の前記繰り返しパターンが、隣接する同じ側のピーク間に縦溝流路周期で設けられた少なくとも2つの稜部を有する少なくとも1つの縦溝流路を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項1】
縦溝流路付き濾過媒体の形成方法であって、
縦溝流路の繰り返しパターンを有する縦溝流路付き濾過媒体を提供するために濾過媒体に溝付けを行う工程であって、縦溝流路の前記繰り返しパターンは、隣接する同じ側のピーク間に縦溝流路周期で設けられた少なくとも1つの稜部を有する少なくとも1つの縦溝流路を含む工程;
を含み、
前記縦溝流路の少なくとも1つは、その長さに沿って断面積が変わる、方法。
【請求項2】
縦溝流路の前記繰り返しパターンが、隣接する同じ側のピーク間に縦溝流路周期で設けられた少なくとも2つの稜部を有する少なくとも1つの縦溝流路を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセスが、前記濾過媒体を、第1のロールと第2のロールとの間に形成されたかみ合い部に供給して、前記縦溝流路付き濾過媒体を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のロールが複数の第1のロール突起および複数の第1のロール凹部を含み、前記第1のロールが交互に第1のロール突起と第1のロール凹部を提供し、前記第1のロール突起の少なくとも1つが、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のロールが複数の第1のロール突起および複数の第1のロール凹部を含み、前記第1のロールが交互に第1のロール突起と第1のロール凹部を提供し、前記第1のロール突起の少なくとも1つが、媒体緩和域によって互いに分離された少なくとも3つの媒体接触域を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
縦溝流路の前記繰り返しパターンが、前記媒体の長さに沿って実質的に等しい弧長をもたらすように配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のロールが複数の第2のロール凹部および複数の第2のロール突起を含み、前記第2のロールが交互に第2のロール凹部と第2のロール突起を提供し、前記第2のロール凹部の少なくとも1つが、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記濾過媒体の稜部が、第1のロール突起の媒体接触域と第2のロール凹部の媒体接触域との間で圧縮される結果もたらされる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のロールが複数の第2のロール凹部および複数の第2のロール突起を含み、前記第2のロールが交互に第2のロール凹部と第2のロール突起を提供し、前記第2のロール凹部の少なくとも1つが、媒体緩和域によって互いに分離された少なくとも3つの媒体接触域を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記縦溝流路付き濾過媒体をフェーサ媒体と組み合わせて片面フェーサ媒体を提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(a)複数の第1のロール突起と複数の第1のロール凹部とを含む第1のロールであって、前記第1のロールが交互に第1のロール突起と第1のロール凹部を提供し、前記第1のロール突起の少なくとも1つが、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む、第1のロール;および
(b)複数の第2のロール凹部と第2のロール突起とを含む第2のロールであって、前記第2のロールが交互に第2のロール凹部と第2のロール突起を提供し、前記第2のロール凹部の少なくとも1つが、媒体緩和域によって分離された少なくとも2つの媒体接触域を含む、第2のロール
を含む、縦溝流路付き媒体を形成する装置であって、
前記凹部および突起が、前記装置を使用して形成された縦溝流路付き媒体の長さに沿って実質的に等しい弧長をもたらすように配置される、装置。
【請求項12】
前記第1のロールおよび前記第2のロールが、第1のロール突起の媒体接触域と第2のロール凹部の媒体接触域との間で濾過媒体を圧縮するように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のロールが、媒体緩和域によって分離された少なくとも3つの媒体接触域をそれぞれ含む複数の第1のロール突起を含み、および前記第2のロールが、媒体緩和域によって分離された少なくとも3つの媒体接触域をそれぞれ含む複数の第2のロール凹部を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
(a)複数の第1のロール突起と第1のロール凹部とを含み、交互に第1のロール突起と第1のロール凹部を提供する第1のロール;
(b)複数の第2のロール凹部と第2のロール突起とを含み、交互に第2のロール凹部と第2のロール突起を提供する第2のロール;
を含む、縦溝流路付き媒体を形成する装置であって、
(c)前記第1のロール突起、前記第1のロール凹部、前記第2のロール凹部、および前記第2のロール突起が、相互作用するように構成されてかみ合い部をもたらし、濾過媒体が前記かみ合い部を通過する際に、前記かみ合い部が、前記濾過媒体に縦溝流路の繰り返しパターンをもたらし、縦溝流路の前記繰り返しパターンは、テーパの付けられた断面積を示すことを含む、装置。
【請求項15】
前記第1のロール突起、前記第1のロール凹部、前記第2のロール凹部、および前記第2のロール突起が、相互作用するように構成されてかみ合い部をもたらし、濾過媒体が前記かみ合い部を通過する際に、前記かみ合い部が、前記濾過媒体に縦溝流路の繰り返しパターンをもたらし、縦溝流路の前記繰り返しパターンが、隣接する同じ側のピーク間に縦溝流路周期で設けられた少なくとも2つの稜部を有する少なくとも1つの縦溝流路を含む、請求項14に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−500863(P2013−500863A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523711(P2012−523711)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/044286
【国際公開番号】WO2011/017352
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/044286
【国際公開番号】WO2011/017352
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]