説明

テープカセット

【課題】印字テープのテープ幅方向への移動を適切に規制することが可能なテープカセットを提供することを目的とする。
【解決手段】テープカセットの下ケース31bのアーム部34を構成する部分では、アーム下部前面35bと分離壁33との間にフィルムテープ59の搬送経路が形成され、分離壁33とアーム背面37との間にインクリボン60の搬送経路が形成される。分離壁33の左端部の上端部および下端部には、テープ幅方向への移動を規制する第1上部規制部81a、第1下部規制部81bと、フィルムテープ59の印字面側への移動を規制し、フィルムテープ59の搬送経路をヘッド挿入部39側に屈曲させ、開口34aから外部へ排出案内する第1印字面側規制部81cとが設けられている。第1上部規制部81aの上部には突起部81dが設けられ、上ケース31aの対応する位置には、突起部81dが嵌合する嵌合穴81hが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ印字装置に着脱自在なテープカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テープ印字装置のカセット装着部に着脱自在に構成されたテープカセットが知られている。このようなテープカセットは、通常、上ケースと下ケースとからなる箱状のカセットケースに、印字媒体である印字テープおよび印字のためのインクリボンが収納された構成を有する。
【0003】
印字が行われる場合、テープカセットはテープ印字装置のカセット装着部に装着され、印字テープは、所定の搬送経路に沿って搬送される。具体的には、印字テープは、まずテープロールから引き出され、テープ印字装置の印字ヘッドによってインクリボンを介して印字が行われた後、テープ印字装置外部に排出される。搬送途上では、通常、印字テープのテープ幅方向への移動は、上ケースの上面と下ケースの下面によって規制される。また、上ケースおよび下ケースに印字テープのテープ幅方向への移動を規制する案内規制片がそれぞれ設けられたテープカセットが知られている(例えば、特許文献1)。さらに、下ケースに、印字後に両面粘着テープが接着された印字テープを通過させるテープ押えが設けられたテープカセットが知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−314866号公報
【特許文献2】実開平5−16342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上ケースと下ケースから構成されるカセットケースは、上ケースの下ケースへの圧入が足りないために、上ケースが下ケースに対して正規の位置で接合されていない状態(いわゆる浮いた状態)となる場合がある。また、上ケースおよび下ケースにそれぞれ寸法誤差があると、上ケースと下ケースが接合されることにより、それらの誤差が累積され、誤差が大きくなってしまう場合がある。
【0006】
いずれの場合も、上ケースの上面と下ケースの下面によってテープ幅方向への移動規制を行うテープカセットや、特許文献1に記載のテープカセットでは、上面と下面との距離、または上ケースと下ケースの案内規制片のテープ幅方向の距離が、正規の距離よりも広くなってしまい、規制が不十分となる虞がある。その結果、印字テープがテープ幅方向に蛇行して、印字ヘッドによる上下方向の印字中心位置と印字テープのテープ幅方向中心位置とがずれてしまい、良好な印字結果が得られない問題が生じうる。また、特許文献2に記載のテープカセットは、テープ押えによって両面粘着テープが接着された後の印字テープは規制案内できるが、それまでの搬送経路上では上記と同様の問題が生じる虞がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、印字テープのテープ幅方向への移動を適切に規制することが可能なテープカセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のテープカセットは、印字ヘッドを備えたテープ印字装置に着脱可能なテープカセットであって、上面を有する上ケースと、下面および前記下面から上方へ垂直に伸びる外壁である下外壁を有する下ケースとからなるカセットケースと、前記カセットケース内に回転自在に収納された、印字媒体であるテープが巻回されたテープロールと、前記カセットケースを上下方向に貫通する空間であって、前記テープカセットが前記テープ印字装置に装着された場合に前記印字ヘッドが挿入されるヘッド挿入部と、前記下ケースの前記下外壁の一部である第1壁部と、前記第1壁部と前記ヘッド挿入部との間に設けられた、前記下面から上方へ垂直に伸びる壁である第2壁部とを有し、前記テープロールから引き出された前記印字テープを前記第1壁部と前記第2壁部との間で案内するガイド部とを備え、前記第2壁部は、前記印字テープのテープ幅方向への移動を規制する第1幅方向規制部材と、前記印字テープの印字面側への移動を規制し、前記印字テープの搬送経路を前記ヘッド挿入部側に曲折させ、前記ガイド部外へ排出案内する第1印字面側規制部材を備え、前記第1幅方向規制部材は、上部に嵌合部を備え、前記上ケースは、前記上ケースと前記下ケースが接合された場合に前記第1幅方向規制部材に設けられた前記嵌合部に対応する位置に、前記第1幅方向規制部材の前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を備えている。
【0009】
請求項2に係る発明のテープカセットでは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記第1印字面側規制部材は、前記印字テープの前記印字面に接触して前記印字テープの前記搬送経路を前記ヘッド挿入部側に曲折させる部分である案内部を有し、前記案内部は、前記テープ幅方向の中心部が前記第1壁部側に突出していることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明のテープカセットでは、請求項1または2に記載の発明の構成に加え、前記第1幅方向規制部材の前記嵌合部は、凸部、凹部、および穴のいずれかであり、前記上ケースの被嵌合部は、前記凸部に嵌合する凹部、前記凸部に嵌合する穴、前記凹部に嵌合する凸部、および前記穴に嵌合する凸部のいずれかであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明のテープカセットは、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記カセットケース内に回転自在に収納された、前記テープへの印字に使用されるインクリボンが巻回されたリボンロールをさらに備え、前記ガイド部は、前記第2壁部と前記ヘッド挿入部との間に設けられた、前記下面から上方へ垂直に伸びる壁である第3壁部をさらに備え、前記テープロールから引き出された前記印字テープを前記第1壁部と前記第2壁部との間で案内するとともに、前記リボンロールから引き出された前記インクリボンを前記第2壁部と前記第3壁部との間で案内することを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明のテープカセットは、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記ガイド部から排出された前記印字テープを前記印字テープの搬送方向下流側に案内するガイド部材と、前記下ケースにおいて、前記ガイド部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられ、前記印字テープの前記テープ幅方向両側への移動を規制する第2幅方向規制部材と、前記下ケースにおいて、前記ガイド部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられ、前記印字テープの前記印字面側への移動を規制する第2印字面側規制部材を備え、前記第2幅方向規制部材は、上部に嵌合部をさらに備え、前記上ケースは、前記上ケースと前記下ケースが接合された場合に前記第2幅方向規制部材に設けられた前記嵌合部に対応する位置に、前記第2幅方向規制部材の前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明のテープカセットは、請求項5に記載の発明の構成に加え、前記カセットケース内に回転自在に収納された、前記テープへの印字に使用されるインクリボンが巻回されたリボンロールをさらに備え、前記第1壁部と前記第2壁部との間で案内され、前記ガイド部から排出された前記印字テープと前記インクリボンとを分離する分離部材をさらに備え、前記第2幅方向規制部材は、前記下ケースにおいて、前記分離部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられ、前記第2印字面側規制部材は、前記下ケースにおいて、前記分離部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられたことを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明のテープカセットでは、請求項5または6に記載の発明の構成に加え、前記第2印字面側規制部材は、前記テープ幅方向の上端部および下端部に設けられた、前記印字テープの前記搬送経路側に突出する突出部を有し、前記第2印字面側規制部材の前記突出部のみが前記印字テープの前記印字面側に接触することを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明のテープカセットでは、請求項5乃至7のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記第2幅方向規制部材の前記嵌合部は、凸部、凹部、および穴のいずれかであり、前記上ケースの被嵌合部は、前記凸部に嵌合する凹部、前記凸部に嵌合する穴、前記凹部に嵌合する凸部、および前記穴に嵌合する凸部のいずれかであることを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明のテープカセットは、請求項1乃至8のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記ヘッド挿入部に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられた、前記テープロールから前記印字テープを引き出して搬送するテープ搬送ローラと、前記下ケースにおいて、前記テープ搬送ローラに対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられた、前記印字テープの前記テープ幅方向への移動を規制する第3幅方向規制部材をさらに備え、前記第3幅方向規制部材は、上部に嵌合部を備え、前記上ケースは、前記上ケースと前記下ケースが接合された場合に前記第3幅方向規制部材に設けられた前記嵌合部に対応する位置に、前記第3幅方向規制部材の前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項10に係る発明のテープカセットでは、請求項9に記載の発明の構成に加え、前記テープ搬送ローラは、前記テープ幅方向における下方部が、前記テープカセットが前記テープ印字装置に装着された場合、前記テープ搬送ローラに挿入されて前記テープ搬送ローラを回転駆動する前記テープ印字装置の駆動カムに係合する形状を有することを特徴とする。
【0018】
請求項11に係る発明のテープカセットでは、請求項9または10に記載の発明の構成に加え、前記第3幅方向規制部材の前記嵌合部は、凸部、凹部、および穴のいずれかであり、前記上ケースの被嵌合部は、前記凸部に嵌合する凹部、前記凸部に嵌合する穴、前記凹部に嵌合する凸部、および前記穴に嵌合する凸部のいずれかであることを特徴とする。
【0019】
請求項12に係る発明のテープカセットは、印字ヘッドを備えたテープ印字装置に着脱可能なテープカセットであって、上面を有する上ケースと、下面および前記下面から上方へ垂直に伸びる外壁である下外壁を有する下ケースとからなるカセットケースと、記カセットケース内に回転自在に収納された、印字媒体であるテープが巻回されたテープロールと、記カセットケースを上下方向に貫通する空間であって、前記テープカセットが前記テープ印字装置に装着された場合に前記印字ヘッドが挿入されるヘッド挿入部と、前記下ケースの前記下外壁の一部である第1壁部と、前記第1壁部と前記ヘッド挿入部との間に設けられた、前記下面から上方へ垂直に伸びる壁である第2壁部とを有し、前記テープロールから引き出された前記印字テープを案内するガイド部と、前記ガイド部から排出された前記印字テープを前記印字テープの搬送方向下流側に案内するガイド部材と、前記下ケースにおいて、前記ガイド部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられ、前記印字テープの前記テープ幅方向両側への移動を規制する幅方向規制部材と、前記下ケースにおいて、前記ガイド部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられ、前記印字テープの前記印字面側への移動を規制する印字面側規制部材を備え、前記幅方向規制部材は、上部に嵌合部を備え、前記上ケースは、前記上ケースと前記下ケースが接合された場合に前記幅方向規制部材に設けられた前記嵌合部に対応する位置に、前記幅方向規制部材の前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項13に係る発明のテープカセットは、請求項12に記載の発明の構成に加え、前記カセットケース内に回転自在に収納された、前記テープへの印字に使用されるインクリボンが巻回されたリボンロールと、前記第1壁部と前記第2壁部との間で案内され、前記ガイド部から排出された前記印字テープと前記インクリボンとを分離する分離部材をさらに備え、前記幅方向規制部材は、前記下ケースにおいて、前記分離部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられ、前記印字面側規制部材は、前記下ケースにおいて、前記分離部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられたことを特徴とする。
【0021】
請求項14に係る発明のテープカセットでは、請求項12または13に記載の発明の構成に加え、前記印字面側規制部材は、前記テープ幅方向の上端部および下端部に設けられた、前記印字テープの前記搬送経路側に突出する突出部を有し、前記印字面側規制部材の前記突出部のみが前記印字テープの前記印字面側に接触することを特徴とする。
【0022】
請求項15に係る発明のテープカセットでは、請求項12乃至14のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記幅方向規制部材の前記嵌合部は、凸部、凹部、および穴のいずれかであり、前記上ケースの被嵌合部は、前記凸部に嵌合する凹部、前記凸部に嵌合する穴、前記凹部に嵌合する凸部、および前記穴に嵌合する凸部のいずれかであることを特徴とする。
【0023】
請求項16に係る発明のテープカセットは、印字ヘッドを備えたテープ印字装置に着脱可能なテープカセットであって、上面を有する上ケースと、下面および前記下面から上方へ垂直に伸びる外壁である下外壁を有する下ケースとからなるカセットケースと、前記カセットケース内に回転自在に収納された、印字媒体であるテープが巻回されたテープロールと、前記カセットケースを上下方向に貫通する空間であって、前記テープカセットが前記テープ印字装置に装着された場合に前記印字ヘッドが挿入されるヘッド挿入部と、前記下ケースの前記下外壁の一部である第1壁部と、前記第1壁部と前記ヘッド挿入部との間に設けられた、前記下面から上方へ垂直に伸びる壁である第2壁部とを有し、前記テープロールから引き出された前記印字テープを案内するガイド部と、前記ヘッド挿入部に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられた、前記テープロールから前記印字テープを引き出して搬送するテープ搬送ローラと、前記下ケースにおいて、前記テープ搬送ローラに対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられた、前記印字テープの前記テープ幅方向への移動を規制する幅方向規制部材を備え、前記幅方向規制部材は、上部に嵌合部を備え、前記上ケースは、前記上ケースと前記下ケースが接合された場合に前記幅方向規制部材に設けられた前記嵌合部に対応する位置に、前記幅方向規制部材の前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を備えている。
【0024】
請求項17に係る発明のテープカセットでは、請求項16に記載の発明の構成に加え、前記幅方向規制部材の前記嵌合部は、凸部、凹部、および穴のいずれかであり、前記上ケースの被嵌合部は、前記凸部に嵌合する凹部、前記凸部に嵌合する穴、前記凹部に嵌合する凸部、および前記穴に嵌合する凸部のいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に係る発明のテープカセットは、テープロールから引き出された印字テープを第1壁部と第2壁部との間で案内するガイド部を下ケースに備えており、第2壁部は、印字テープのテープ幅方向への移動を規制する第1幅方向規制部材と、印字テープの印字面側への移動を規制する第1印字面側規制部材とを備えている。そして、第1幅方向規制部材は、上部に嵌合部を備え、上ケースは、上ケースと下ケースが接合された場合に嵌合部に対応する位置に、嵌合部と嵌合する被嵌合部を備えている。このように、下ケースのみに印字テープのテープ幅方向および印字面側への移動を規制する構成を設けたことにより、上ケースと下ケースとの圧入状態にかかわらず、これらの部材の寸法精度が保証され、印字テープのテープ幅方向および印字面側への移動を適切に規制することができる。したがって印字ヘッドによる上下方向の印字中心位置と印字テープのテープ幅方向中心位置を精度よく合わせることができる。また、従来からテープカセットが有する第2壁部に第1幅方向規制部材と第1印字面側規制部材とを設けたため、スペースを無駄に消費することがない。さらに、第1幅方向規制部材に、上ケースの被嵌合部と嵌合する嵌合部を設けたことにより、印字テープのテープ幅方向および印字面側への移動を規制する位置で確実に上ケースと下ケースとを固定することができる。
【0026】
請求項2に係る発明のテープカセットでは、印字テープの印字面に接触して印字テープの搬送経路をヘッド挿入部側に曲折させる案内部は、テープ幅方向の中心部が第1壁部側、すなわちヘッド挿入部とは反対側に突出している。したがって、印字テープの張力が、テープ幅方向の中心部に集中するため、請求項1に記載の発明の効果に加え、印字テープの走行を安定させることができる。
【0027】
請求項3に係る発明のテープカセットでは、第1幅方向規制部材の嵌合部は、凸部、凹部、および穴のいずれかであり、上ケースの被嵌合部は、凸部に嵌合する凹部、凸部に嵌合する穴、凹部に嵌合する凸部、および穴に嵌合する凸部のいずれかである。したがって、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、簡便な構成で、印字テープのテープ幅方向および印字面側への移動を規制する位置で確実に上ケースと下ケースとを固定することができる。
【0028】
請求項4に係る発明のテープカセットでは、下ケースに設けられたガイド部は、第1壁部、第2壁部、および第2壁部とヘッド挿入部との間に設けられた第3壁部の3つの壁部を有する。そして、テープロールから引き出された印字テープは、ガイド部の第1壁部と第2壁部との間で案内され、リボンロールから引き出されたインクリボンは、第2壁部と第2壁部とヘッド挿入部の間に設けられた第3壁部との間で案内される。したがって、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加え、第2壁部によって、印字テープとインクリボンを互いに干渉することなく分離して搬送でき、且つ、第2壁部に設けられた第1幅方向規制部材と第1印字面側規制部材とによって、印字テープのテープ幅方向および印字面側への移動を適切に規制することができる。
【0029】
請求項5に係る発明のテープカセットの下ケースは、ガイド部から排出された印字テープを案内するガイド部材に対して印字テープの搬送方向下流側に、印字テープのテープ幅方向への移動を規制する第2幅方向規制部材と、印字テープの印字面側への移動を規制する第2印字面側規制部材とを備えている。そして、第2幅方向規制部材は、上部に嵌合部を備え、上ケースは、上ケースと下ケースが接合された場合に嵌合部に対応する位置に、嵌合部と嵌合する被嵌合部を備えている。したがって、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加え、上ケースと下ケースとの圧入状態にかかわらず、ガイド部から排出された後の印字テープのテープ幅方向および印字面側への移動を適切に規制することができる。さらに、印字テープのテープ幅方向および印字面側への移動を規制する位置で確実に上ケースと下ケースとを固定することができる。
【0030】
請求項6に係る発明のテープカセットの下ケースは、ガイド部から排出された印字テープとインクリボンを分離する分離部材をさらに備えており、第2幅方向規制部材および第2印字面側規制部材は、分離部材に対して印字テープの搬送方向下流側に設けられている。したがって、請求項5に記載の発明の効果に加え、上ケースと下ケースとの圧入状態にかかわらず、インクリボンと分離された後の印字テープのテープ幅方向および印字面側への移動を適切に規制することができる。
【0031】
請求項7に係る発明のテープカセットでは、第2印字面側規制部材には、テープ幅方向の上端部および下端部に印字テープの搬送経路側に突出する突出部が設けられており、この突出部のみが印字テープの印字面側に接触する。したがって、請求項5または6に記載の発明の効果に加え、印字テープの印字が行われた部分に接触する部位を最小限とすることができ、印字品質を損なう可能性を低減することができる。
【0032】
請求項8に係る発明のテープカセットでは、第2幅方向規制部材の嵌合部は、凸部、凹部、および穴のいずれかであり、上ケースの被嵌合部は、凸部に嵌合する凹部、凸部に嵌合する穴、凹部に嵌合する凸部、および穴に嵌合する凸部のいずれかである。したがって、請求項5乃至7のいずれかに記載の発明の効果に加え、簡便な構成で、印字テープのテープ幅方向への移動を規制する位置で確実に上ケースと下ケースとを固定することができる。
【0033】
請求項9に係る発明のテープカセットの下ケースは、テープロールから印字テープを引き出して搬送するテープ搬送ローラに対して印字テープの搬送方向下流側に、印字テープのテープ幅方向への移動を規制する第3幅方向規制部材を備えている。そして、第3幅方向規制部材は、上部に嵌合部を備え、上ケースは、上ケースと下ケースが接合された場合に嵌合部に対応する位置に、嵌合部と嵌合する被嵌合部を備えている。したがって、請求項1乃至8のいずれかに記載の発明の効果に加え、上ケースと下ケースとの圧入状態にかかわらず、テープ搬送ローラの駆動により印字テープがテープ幅方向にずれやすい位置で、印字テープのテープ幅方向への移動を適切に規制することができる。また、印字テープのテープ幅方向への移動を規制する位置で確実に上ケースと下ケースとを固定することができる。
【0034】
請求項10に係る発明のテープカセットでは、テープ搬送ローラは、テープ幅方向における下方部が、テープ搬送ローラに挿入されてテープ搬送ローラを回転駆動する駆動カムに係合する形状を有する。このような構成を有するテープカセットは、テープ搬送ローラは、テープ幅方向の下方部において回転駆動されるため、テープ搬送ローラを上方に押し上げる力の成分が生じ、上ケースが押し上げられやすい。したがって、下ケースに第3幅方向規制部材を一体的に設けることにより、請求項9に記載の発明の効果に加え、安定して印字テープのテープ幅方向への移動を規制することができる。
【0035】
請求項11に係る発明のテープカセットでは、第3幅方向規制部材の嵌合部は、凸部、凹部、および穴のいずれかであり、上ケースの被嵌合部は、凸部に嵌合する凹部、凸部に嵌合する穴、凹部に嵌合する凸部、および穴に嵌合する凸部のいずれかである。したがって、請求項9または10に記載の発明の効果に加え、簡便な構成で、印字テープのテープ幅方向への移動を規制する位置で確実に上ケースと下ケースとを固定することができる。
【0036】
請求項12に係る発明のテープカセットの下ケースは、テープロールから引き出された印字テープを案内するガイド部と、ガイド部から排出された印字テープを案内するガイド部材に対して印字テープの搬送方向下流側に設けられた、印字テープのテープ幅方向への移動を規制する幅方向規制部材と、印字テープの印字面側への移動を規制する印字面側規制部材とを備えている。そして、幅方向規制部材は、上部に嵌合部を備え、上ケースは、上ケースと下ケースが接合された場合に嵌合部に対応する位置に、嵌合部と嵌合する被嵌合部を備えている。したがって、上ケースと下ケースとの圧入状態にかかわらず、ガイド部から排出された後の印字テープのテープ幅方向および印字面側への移動を適切に規制することができる。また、印字テープのテープ幅方向への移動を規制する位置で確実に上ケースと下ケースとを固定することができる。
【0037】
請求項13に係る発明のテープカセットは、ガイド部から排出された印字テープとインクリボンを分離する分離部材をさらに備えており、幅方向規制部材および印字面側規制部材は、分離部材に対して印字テープの搬送方向下流側に設けられている。したがって、請求項12に記載の発明の効果に加え、上ケースと下ケースとの圧入状態にかかわらず、インクリボンと分離された後の印字テープのテープ幅方向および印字面側への移動を適切に規制することができる。
【0038】
請求項14に係る発明のテープカセットでは、印字面側規制部材には、テープ幅方向の上端部および下端部に印字テープの搬送経路側に突出する突出部が設けられており、この突出部のみが印字テープの印字面側に接触する。したがって、請求項12または13に記載の発明の効果に加え、印字テープの印字が行われた部分に接触する部位を最小限とすることができ、印字品質を損なう可能性を低減することができる。
【0039】
請求項15に係る発明のテープカセットでは、幅方向規制部材の嵌合部は、凸部、凹部、および穴のいずれかであり、上ケースの被嵌合部は、凸部に嵌合する凹部、凸部に嵌合する穴、凹部に嵌合する凸部、および穴に嵌合する凸部のいずれかである。したがって、請求項12乃至14のいずれかに記載の発明の効果に加え、簡便な構成で、印字テープのテープ幅方向への移動を規制する位置で確実に上ケースと下ケースとを固定することができる。
【0040】
請求項16に係る発明のテープカセットの下ケースは、テープロールから印字テープを引き出して搬送するテープ搬送ローラに対して印字テープの搬送方向下流側に設けられた、印字テープのテープ幅方向への移動を規制する幅方向規制部材を備えている。そして、幅方向規制部材は、上部に嵌合部を備え、上ケースは、上ケースと下ケースが接合された場合に嵌合部に対応する位置に、嵌合部と嵌合する被嵌合部を備えている。したがって、上ケースと下ケースとの圧入状態にかかわらず、テープ搬送ローラの駆動により印字テープがテープ幅方向にずれやすい位置で、印字テープのテープ幅方向への移動を適切に規制することができる。また、印字テープのテープ幅方向への移動を規制する位置で確実に上ケースと下ケースとを固定することができる。
【0041】
請求項17に係る発明のテープカセットでは、幅方向規制部材の嵌合部は、凸部、凹部、および穴のいずれかであり、上ケースの被嵌合部は、凸部に嵌合する凹部、凸部に嵌合する穴、凹部に嵌合する凸部、および穴に嵌合する凸部のいずれかである。したがって、請求項16に記載の発明の効果に加え、簡便な構成で、印字テープのテープ幅方向への移動を規制する位置で確実に上ケースと下ケースとを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】カセットカバー6が閉じられた状態にあるテープ印字装置1の斜視図である。
【図2】第1の実施形態における、テープカセット30およびカセット装着部8を説明するための斜視図である。
【図3】第1の実施形態における、上ケース31aを取り外した状態のテープカセット30が装着されたカセット装着部8の平面図である。
【図4】第1の実施形態における、上ケース31aを取り外した状態のテープカセット30が装着されたカセット装着部8の別の平面図である。
【図5】ヘッドホルダ74の平面図である。
【図6】ヘッドホルダ74の正面図である。
【図7】ヘッドホルダ74の左側面図である。
【図8】図3のI−I線における矢視方向断面図を反時計周りに90度回転した図である。
【図9】アーム部34の構成を示す分解斜視図である。
【図10】第1規制部81および対応する上ケース31a部分の側面断面図である。
【図11】第1の実施形態のテープカセット30を底面30b側から見た斜視図である。
【図12】テープ駆動軸100がテープ搬送ローラ46に挿入された状態を示すテープカセット30の正面断面図である。
【図13】支持孔64a、64b近傍の構成を示す分解斜視図である。
【図14】第2規制部82および対応する上ケース31a部分の側面断面図である。
【図15】第3規制部83および対応する上ケース31a部分の側面断面図である。
【図16】第1の実施形態のテープカセット30の正面図である。
【図17】ヘッドホルダ74に装着された第1の実施形態のテープカセット30を正面側から見た説明図である。
【図18】ヘッドホルダ74に装着された第1の実施形態のテープカセット30を左側面側から見た説明図である。
【図19】ヘッドホルダ74に装着された第1の実施形態のテープカセット30を正面側から見た説明図である。
【図20】ヘッドホルダ74に装着された第1の実施形態のテープカセット30を左側面側から見た説明図である。
【図21】金型400の斜視図である。
【図22】金型400が抜かれる前の下ケース31bの第1規制部81部分の側面断面図である。
【図23】金型400が抜かれる前の下ケース31bの第1規制部81近傍の平面図である。
【図24】金型400が抜かれた下ケース31bを示す斜視図である。
【図25】第2の実施形態における、上ケース31aを取り外した状態のテープカセット30が装着されたカセット装着部8の平面図である。
【図26】第3の実施形態における、テープカセット30およびカセット装着部8を説明するための斜視図である。
【図27】第3の実施形態における、上ケース31aを取り外した状態のテープカセット30が装着されたカセット装着部8の平面図である。
【図28】第3の実施形態のテープカセット30を底面30b側から見た斜視図である。
【図29】ヘッドホルダ74に装着された第3の実施形態のテープカセット30を正面側から見た説明図である。
【図30】変形例の第1規制部81および対応する上ケース31a部分の側面断面図である。
【図31】別の変形例の第1規制部81および対応する上ケース31a部分の側面断面図である。
【図32】別の変形例の第1規制部81および対応する上ケース31a部分の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0044】
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係るテープ印字装置1およびテープカセット30について、図1〜図24を参照して以下に後述する。本実施形態の説明では、図1の左下側をテープ印字装置1の前側とし、図1の右上側をテープ印字装置1の後側とし、図1の右下側をテープ印字装置1の右側とし、図1の左上側をテープ印字装置1の左側とする。また、図2の右下側をテープカセット30の前側とし、図2の左上側をテープカセット30の後側とし、図2の右上側をテープカセット30の右側とし、図2の左下側をテープカセット30の左側とする。
【0045】
なお、以下の説明で使用される図2、図3等において、カセット装着部8の周囲を形成する壁が図示されている場合、これらの図はあくまでも模式図であるため、図中に示す壁は、実際よりも厚く描かれている。また、図2等のテープカセット30とカセット装着部8とを示す斜視図に図示されているギヤ91、93、94、97、98、101を含むギヤ群は、実際には、キャビティ8aの底面により覆い隠されているが、これらのギヤ群を説明する必要上、これらの図には、キャビティ8aの底面は図示されていない。また、図3、図4等において、カセット装着部8に装着された状態で図示されているテープカセット30は、上ケース31aが取り外された状態のものである。さらに、図11等、テープカセット30の底面30b側から見た斜視図については、説明の便宜上、テープ搬送ローラ46等の図示は省略されている。これらの点については、他の実施形態の説明に使用される図も同様である。
【0046】
はじめに、第1の実施形態に係るテープ印字装置1の概略構成について説明する。第1の実施形態に係るテープ印字装置1は、印字面にラミネートが施されたラミネートテープを作成するテープ印字装置である。図1に示すように、テープ印字装置1は、平面視長方形状の本体カバー2を備えている。本体カバー2の前側には、文字、記号及び数字等の文字キーや、種々の機能キー等を含むキーボード3が配設されている。キーボード3の後側には、入力した文字や記号を表示可能なディスプレイ5が設けられている。ディスプレイ5の後側には、テープカセット30(図2参照)の交換時に開閉されるカセットカバー6が設けられている。また、図示は省略するが、本体カバー2の左側面後方には、印字済みのテープを外部に排出するための排出スリットが設けられており、カセットカバー6の左側面には、カセットカバー6を閉じた状態で排出スリットを外部に露出させる排出窓が形成されている
【0047】
次に、図2〜図8を参照して、カセットカバー6に対応する本体カバー2の内部構造について説明する。図2に示すように、カセットカバー6に対応する本体カバー2の内部には、テープカセット30が着脱自在な領域であるカセット装着部8が設けられている。カセット装着部8は、テープカセット30が装着された場合に後述するカセットケース31の底面30bの形状と略対応するように凹設され、平面である底面を有するキャビティ8aと、キャビティ8aの外縁から水平に延びる平面部であるカセット支持部8bとを有する。カセット支持部8bの平面視形状は、テープカセット30の平面視形状に略対応して、左右方向に長い長方形である。カセット支持部8bは、カセット装着部8に装着されたテープカセット30の角部32aの下面に対向する部位である。
【0048】
カセット支持部8bの2箇所には、2つの位置決めピン102、103が設けられている。より具体的には、キャビティ8aの左側に位置決めピン102が、キャビティ8aの右側に位置決めピン103が、それぞれ設けられている。位置決めピン102および103は、テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合に、テープカセット30の角部32aの下面に形成された2つの凹部であるピン孔62および63(図11参照)がそれぞれ対応する位置に設けられている。各位置決めピン102、103は、テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合にピン孔62、63に挿入され、テープカセット30の周縁部の左右位置でテープカセット30を下方から支持する。
【0049】
カセット装着部8には、テープカセット30からテープを引き出して搬送する搬送機構や、テープの表面に文字等を印字する印字機構等が設けられている。図2に示すように、カセット装着部8の前側には、発熱体(図示せず)を備えるサーマルヘッド10を搭載したヘッドホルダ74が固設されている。カセット装着部8の外側(図2では右上側)には、ステッピングモータであるテープ送りモータ23が配設されている。テープ送りモータ23の駆動軸の下端には駆動ギヤ91が固着されており、駆動ギヤ91は開口を介してギヤ93に噛合され、ギヤ93はギヤ94に噛合されている。ギヤ94の上面には、後述するリボン巻取スプール44(図3参照)の回転駆動を行うリボン巻取軸95が立設されている。
【0050】
さらに、ギヤ94にはギヤ97が噛合され、ギヤ97にはギヤ98が噛合され、ギヤ98にはギヤ101が噛合されている。ギヤ101の上面には、後述するテープ搬送ローラ46の回転駆動を行う略円柱状のテープ駆動軸100が立設されている。テープ駆動軸100には、その軸体の下方部に、基端側から先端側に向けて延びる複数のカム部材100aが、平面視で放射状をなすように外周側に設けられている。
【0051】
テープカセット30がカセット装着部8に装着された状態でテープ送りモータ23が反時計回り方向に回転駆動されると、駆動ギヤ91、ギヤ93、ギヤ94を介して、リボン巻取軸95が反時計回り方向に回転駆動される。リボン巻取軸95は、リボン巻取軸95が嵌挿されたリボン巻取スプール44を回転駆動させる。さらに、ギヤ94の回転は、ギヤ97、ギヤ98、ギヤ101を介してテープ駆動軸100に伝達されて、テープ駆動軸100が時計回り方向に回転駆動される。テープ駆動軸100は、テープ駆動軸100が嵌挿されたテープ搬送ローラ46を回転駆動させる。
【0052】
図3および図4に示すように、ヘッドホルダ74の前側には、アーム状のプラテンホルダ12が軸支部12aを中心に揺動可能に軸支されている。プラテンホルダ12の先端側には、サーマルヘッド10に相対して接離可能に設けられたプラテンローラ15と、テープ駆動軸100が嵌挿されるテープ搬送ローラ46に相対して接離可能に設けられた可動搬送ローラ14とが共に回転可能に軸支されている。
【0053】
プラテンホルダ12には、カセットカバー6の開閉に連動して左右方向に移動する図示しないリリースレバーが連結されている。カセットカバー6が開放されると、リリースレバーが右方向に移動して、プラテンホルダ12が図3に示す待機位置に向けて移動する。図3に示す待機位置では、プラテンホルダ12がカセット装着部8から離間する方向に移動するので、テープカセット30をカセット装着部8に着脱することができる。なお、プラテンホルダ12は、図示しない巻きバネにより常に待機位置に弾性付勢されている。
【0054】
一方、カセットカバー6が閉鎖されると、リリースレバーが左方向に移動して、プラテンホルダ12が図4に示す印字位置に向けて移動する。図4に示す印字位置では、プラテンホルダ12がカセット装着部8に近接する方向に移動する。そして、カセット装着部8にテープカセット30が装着されていれば、プラテンローラ15がフィルムテープ59とインクリボン60とを介してサーマルヘッド10を押圧するとともに、可動搬送ローラ14が両面粘着テープ58とフィルムテープ59とを介してテープ搬送ローラ46を押圧する。これにより、図4に示す印字位置では、カセット装着部8に装着されたテープカセット30を使用して印字を行うことが可能となる。なお、両面粘着テープ58、フィルムテープ59およびインクリボン60の詳細は、後述する。
【0055】
また、図3に示すように、テープカセット30のテープ排出口49からテープ印字装置1の排出スリット(図示せず)までの間には、印字済テープ50が搬送される搬送経路が設けられている。この搬送経路には、印字済テープ50を所定位置で切断するカット機構17が設けられている。カット機構17は、固定刃18と、固定刃18に対向して前後方向(図3に示す上下方向)に移動可能に支持された移動刃19と、で構成されている。なお、移動刃19は、図示しないカッターモータによって前後方向に移動される。
【0056】
ここで、図3および図5〜図7を参照して、ヘッドホルダ74の詳細な構成について説明する。図5〜図7に示すように、ヘッドホルダ74は、1枚の板状部材から形成されており、キャビティ8aの底面(図示せず)の下方に固定された台座部74cと、台座部74cから略垂直に屈曲され、上方へ延びるヘッド固着部74dを備えている。ヘッド固着部74dは、テープ印字装置1の左右方向に沿って配置されている。カセット装着部8におけるヘッドホルダ74の配置位置は、テープカセット30が装着された場合に、後述するヘッド挿入部39に対向する位置である。ただし、ヘッドホルダ74の右端部は、ヘッド挿入部39の右端部よりも右側に延びている。サーマルヘッド10は、ヘッド固着部74dの前面に固着されている(図2参照)。
【0057】
ヘッド固着部74dには、テープカセット30がテープ印字装置1に装着された場合にテープカセット30を下方から支持する上流側支持部74aおよび下流側支持部74b(以下、総称してヘッド支持部74a、74bという)が設けられている。図6に示すように、上流側支持部74aは、ヘッド固着部74dの右端部を正面視でL字型に切り欠くことにより所定の高さ位置に形成された段差部である。図5および図7に示すように、下流側支持部74bは、ヘッド固着部74dの左端部の所定の高さ位置からヘッド固着部74dに対して略垂直に屈曲して延びる側面視長方形状の延設片である。つまり、上流側支持部74aと下流側支持部74bとは、平面視で互いに略直交する方向に延びている。上流側支持部74aと下流側支持部74bは、それぞれ、サーマルヘッド10に対してテープ搬送方向上流側と下流側とでテープカセット30を支持する。なお、ヘッド支持部74a、74bによるテープカセット30の支持については、後で詳述する。
【0058】
また、図3および図4に示すように、ヘッドホルダ74の後側には、カセットフック75が設けられている。ここで、カセットフック75について、図8を参照して説明する。なお、図8は、図3のI−I線における矢視方向断面図を、わかりやすく表示するために反時計周りに90度回転したものである。カセットフック75は、キャビティ8aの底面(図示せず)から略垂直に上方へ突出する板状の突出部75aを備えている。突出部75aの上端部は、断面視略三角形状を有し、後方(図8では左方向)に突出する爪部75bである。突出部75aは、テープ印字装置1の前後方向(図8の左右方向)の可撓性を有している。爪部75bは、後述するテープカセット30の係止部38(図11参照)の底面30bからの高さに対応して設けられている。テープカセット30は、カセット装着部8に装着された場合、カセットフック75により係止される。この点については、後で詳述する。
【0059】
次に、図2〜図4、図8〜図15を参照して、第1の実施形態に係るテープカセット30の構成について説明する。第1の実施形態に係るテープカセット30は、ラミネートテープを作成するためのテープカセットである。図2に示すように、テープカセット30は、全体としては平面視で丸みを帯びた角部を有する略直方体状(箱型)の筐体であるカセットケース31を有している。カセットケース31は、カセットケース31の底面30bを含む下ケース31bと、カセットケース31の上面30aを含み、下ケース31bの上部に圧入され、固定される上ケース31aとで構成される。以下では、底面30bから上面30aまでの距離を、テープカセット30またはカセットケース31の高さという。
【0060】
カセットケース31は、テープカセット30の種類にかかわらず、同一の幅(上下方向の長さが同一)に形成された角部32aを有する。角部32aは、平面視で直角をなすように外側方向に突出している。ただし、平面視で左下の角部32aでは、テープ排出口49が角に設けられているために、直角はなしていない。角部32aの下面は、テープカセット30がカセット装着部8に装着されたときに、カセット装着部8内において前述したカセット支持部8bに対向する部位である。カセットケース31の上下(高さ)方向において角部32aと同一の位置、且つ、同一の幅でカセットケース31の側面を全周に亘って取り巻く部位(角部32aを含む)を、共通部32という。より詳細には、共通部32は、カセットケース31の上下(高さ)方向における中心線に関して、上下方向に対称に形成された部位である。テープカセット30の高さは、収納するフィルムテープ59や両面粘着テープ58(つまり、印字済テープ50)のテープ幅に応じて異なっている。しかし、共通部32の幅(上下方向の長さ)Tは、印字済テープ50のテープ幅にかかわらず、同一寸法に設定されている。
【0061】
例えば、共通部32の幅Tが12mmである場合、印字済テープ50のテープ幅が大きくなると(例えば、18mm、24mm、36mm)、それに応じてカセットケース31の高さも大きくなるが、共通部32の幅Tは12mmで一定である。なお、印字済テープ50のテープ幅が共通部32の幅T以下である場合は(例えば、6mm、12mm)、カセットケース31の高さ(幅)は、共通部32の幅(12mm)+所定幅(例えば、4mm)である。この場合、カセットケース31の高さは最も小さくなる。
【0062】
図2に示すように、上ケース31aおよび下ケース31bには、それぞれ、後述する第1テープスプール40、第2テープスプール41およびリボン巻取スプール44を回転可能に支持する支持孔65a、66a、67a、および支持孔65b、66b、67b(図11参照)が設けられている。図3および図4に示すように、カセットケース31内には、第1テープスプール40に巻回された両面粘着テープ58、第2テープスプール41に巻回された透明なフィルムテープ59、およびリボンスプール42に巻回されたインクリボン60の3種類のテープロールが収納されている。両面粘着テープ58は一面に剥離紙が貼着された両面テープであり、印字済みのフィルムテープ59の印字面側に貼り合わされる。
【0063】
両面粘着テープ58の剥離紙を外側に向けて巻回した第1テープスプール40は、カセットケース31内の左後方において、支持孔65aおよび65bを介して回転可能に配置されている。フィルムテープ59が巻回された第2テープスプール41は、カセットケース31内の右後方において、支持孔66aおよび66bを介して回転可能に配置されている。さらに、リボンスプール42に巻回されたインクリボン60は、カセットケース31内の右前方において、回転可能に配置されている。
【0064】
カセットケース31内における第1テープスプール40とリボンスプール42との間には、リボンスプール42からインクリボン60を引き出すとともに、文字等の印字にて使用されたインクリボン60を巻き取るリボン巻取スプール44が、支持孔67aおよび67bを介して回転可能に配置されている。なお、リボン巻取スプール44の下部には、リボン巻取スプール44が逆転することで巻き取ったインクリボン60が緩んでしまうのを防止するためのクラッチバネ(図示せず)が取り付けられている。
【0065】
図2に示すように、カセットケース31の前面には、平面視で断面半円状をなす溝部である半円溝34iが、カセットケース31の高さ方向(つまり、上面30aから底面30b)に亘って設けられている。半円溝34iは、テープカセット30がカセット装着部8に装着されたときに、プラテンホルダ12の回転中心である軸支部12aがカセットケース31と干渉しないように設けられた逃がし部である。カセットケース31の前面のうち、半円溝34iから左に延びる部分を、アーム前面35という。アーム前面35と、アーム前面35から後方へ離間した位置に高さ方向に亘って設けられたアーム背面37とで規定される、テープカセット30右側から左方に延びる部位をアーム部34という。アーム前面の左端部近傍には、正面視縦長矩形状の貫通孔である金型逃がし孔850が設けられている。金型逃がし孔850については、後で詳述する。
【0066】
図3および図4に示すように、アーム前面35とアーム背面37との間には、後述する分離壁33が設けられている。また、下ケース31bの右前部のアーム部34の上流側(図3および4では右側)位置には、後述する第1規制部81の第1下部規制部81bと同じ高さ位置に形成された規制片34fを下端部に有するガイドピン34gが設けられている。第2テープスプール41から引き出されたフィルムテープ59は、ガイドピン34gによって左方向に折り返され、アーム前面35と分離壁33との間を案内される。また、リボンスプール42から引き出されたインクリボン60は、アーム背面37と分離壁33との間を案内される。アーム前面35の先端部は後方へ向かって屈曲する傾斜部34bである。傾斜部34bおよびアーム背面37の先端により、開口34aが形成されている。開口34aで重合された状態となったフィルムテープ59とインクリボン60とは、後述する開口部77に向けて排出される。
【0067】
ここで、図9を参照して、アーム部34の詳細な構成について説明する。前述したように、カセットケース31は、上ケース31aと下ケース31とが接合されたものである。以下では、上ケース31aの前面のうち、カセットケース31のアーム前面35に対応する部分を、アーム上部前面35aといい、下ケース31bの前面のうち、カセットケース31のアーム前面35に対応する部分を、アーム下部前面35bという。
【0068】
図9に示すように、下ケース31bにおいてアーム部34を構成する部分は、アーム下部前面35bと、アーム下部前面35bから後方へ離間した位置に底面30bから上方へ立設された分離壁33と、分離壁33からさらに後方に離間した位置に底面30bから上方へ立設され、後述するヘッド挿入部39を規定するアーム背面37とを含む。アーム背面37および分離壁33の底面30bからの高さは略同一であり、インクリボン60のリボン幅と略同一である。一方、アーム下部前面35bは、アーム背面37及び分離壁33よりも低く形成されている。
【0069】
アーム下部前面35bは、左端部に後方へ向かって傾斜する傾斜部34bを有しており、傾斜部34bおよびアーム背面37の左端部により、アーム部34の開口34aが形成される。また、傾斜部34b近傍右側のアーム下部前面35bには、金型逃がし孔850が形成されている。金型逃がし孔850は、アーム下部前面35bの上部から正面視縦長矩形状に切り欠かれた部位であり、下ケース31bに上ケース31aが接合されると、アーム前面35に貫通孔を形成する(図2参照)。金型逃がし孔850は、カセットケース31の前後方向において、後述する分離壁33の第1規制部81に対向する位置にある。金型逃がし孔850は、第1規制部81を形成するために必要な金型の逃がし孔である。
【0070】
また、アーム背面37は、ヘッド挿入部39の右側の周壁面と接続する右端部前側と、開口34aに隣接する左端部前側とに、上下方向に亘って左右方向の中央が僅かに盛り上がったなだらかな膨らみ部を有する。
【0071】
分離壁33は、アーム下部前面35bに対して略平行に延びている。分離壁33の左右方向の長さはアーム下部前面35bよりもやや短く、分離壁33の左端部は、アーム下部前面35bの傾斜部34bよりも右側に位置する。分離壁33は、左端部が他の部分よりも上方へ突出しており、この部分に、分離壁33から前方へ突出する平面視略長方形状の板状突出部を有する。また、左端部の下端にも、底面30b上において分離壁33の壁面に対して略垂直に前方へ突出する平面視長方形状の突出部を有する。以下では、これらの突出部を、それぞれ第1上部規制部81a、第1下部規制部81bという。また、以下では、第1上部規制部81aおよび第1下部規制部81bを総称して、第1幅規制部81a、81bという。詳細は後述するが、第1幅規制部81a、81bは、アーム部34内で、フィルムテープ59のテープ幅方向の移動を規制する部位である。
【0072】
また、分離壁33の右端部は円柱状に形成されており、左端部前側(アーム下部前面35b側)は、上下方向に亘って左右方向の中央が僅かに盛り上がったなだらかな膨らみ部を有する。以下では、分離壁33の左端部に形成された膨らみ部を、第1印字面側規制部81cという。詳細は後述するが、第1印字面側規制部81cは、アーム部34内で、フィルムテープ59の印字面側(具体的には、カセットケース31の後方を向く面)への移動を規制する部位である。
【0073】
以下に、図10を参照して、分離壁33の左端部の詳細な構成について説明する。図10に示すように、第1上部規制部81aの分離壁33からの突出長さよりも、第1下部規制部81bの突出長さの方が大きく、第1下部規制部81bは、アーム下部前面35b(図9参照)に達する長さを有する。なお、実際には、分離壁33、底面30b、およびアーム下部前面35bは一体成型されるので、第1下部規制部81bはアーム下部前面35bの下端に連続している。また、第1印字面側規制部81cは、断面視で上下方向の中心部が僅かに前方(図10では右側)に突出する凸レンズのような形状を有する。つまり、第1印字面側規制部81cの規制面81eは、左右方向においても上下方向においても、中心部が周辺部よりも僅かに盛り上がった構成を有する。
【0074】
さらに、第1上部規制部81aの上部には、突起部81dが設けられている。一方、上ケース31aの上面30aには、下ケース31bとの接合時に突起部81dに対応する位置に、上面30aを貫通する嵌合穴81hが設けられている。よって、上ケース31aと下ケース31bが接合されると、突起部81dが嵌合穴81hに嵌合し、上ケース31aと下ケース31bとが固定される。なお、以下では、分離壁33の左端部に設けられた第1幅規制部81a、81b、第1印字面側規制部81c、および突起部81dを総称して、第1規制部81という。
【0075】
図3および図4に戻って、テープカセット30の構成の説明を続ける。アーム背面37と、アーム背面37から連続して設けられた周壁面とにより囲まれた、テープカセット30を上下方向に貫通する平面視略長方形状の空間は、ヘッド挿入部39である。ヘッド挿入部39は、テープカセット30の前面に設けられた開口部77によってテープカセット30の前面でも外部とつながっている。ヘッド挿入部39には、テープ印字装置1のサーマルヘッド10を支持するヘッドホルダ74が挿入され、アーム部34の開口34aから排出されたフィルムテープ59には、開口部77において、サーマルヘッド10による印字が行われる。
【0076】
カセットケース31のヘッド挿入部39を臨む位置には、テープカセット30がテープ印字装置1に装着される際の上下方向の位置決めに使用される支持受け部が設けられている。本実施形態では、印字媒体であるフィルムテープ59の搬送方向においてサーマルヘッド10の挿入位置(より詳細には印字位置)の上流側には上流側受け部39aが設けられ、下流側には下流側受け部39b(以下、総称してヘッド受け部39a、39bという)が設けられている。ヘッド受け部39a、39bは、テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合、それぞれ、ヘッドホルダ74に設けられたヘッド支持部74a、74bに当接し、ヘッド支持部74a、74bによって下方から支持される部位である。
【0077】
ここで、図11を参照して、ヘッド受け部39a、39bの構成について詳述する。図11に示すように、ヘッド受け部39a、39bは、いずれもカセットケース31の底面30bに形成された凹部である。そして、上流側受け部39aは、底面視でアーム前面35に沿った方向にヘッド挿入部39から凹んだ略長方形状を有し、下流側受け部39bは、底面視でアーム前面35とは直交する方向にヘッド挿入部39から凹んだ略長方形状を有している。つまり、上流側受け部39aと下流側受け部39bとは、互いに直交する方向からヘッド挿入部39を臨む凹部である。
【0078】
テープカセット30の上下方向(高さ方向)におけるヘッド受け部39a、39b(より詳細には、凹部の底面)の位置と、カセットケース31に収納される印刷媒体であるフィルムテープ59の上下方向中心位置との距離は、テープカセット30の種類にかかわらず、つまりテープカセット30の上下方向の高さが異なっていても一定である。つまり、収納するフィルムテープ59や両面粘着テープ58の幅がより広いテープカセット30ほど、底面30bに設けられた凹部であるヘッド受け部39a、39bの深さが深くなる。なお、ヘッド支持部74a、74bによるヘッド受け部39a、39bの支持については、後で詳述する。
【0079】
また、図11に示すように、下ケース31bにおいてヘッド挿入部39を臨む位置であって、且つ、ヘッド挿入部39の長手方向において、上流側受け部39aと下流側受け部39bの間には、平面視略長方形状の凹部である係止部38が設けられている。より詳細には、係止部38は、ヘッド挿入部39の長手方向のほぼ中心位置において、アーム背面37に対向する周壁部に設けられている。図8に示すように、係止部38の後壁38aは、テープ印字装置1のカセットフック75の爪部75bの最も突出した位置に当接する位置の直下まで立設されている。よって、テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合、カセットフック75が後壁38aの上部に係止する。
【0080】
さらに、図11に示すように、角部32aの下面の2箇所に、前述したテープ印字装置1の位置決めピン102、103に対応するピン孔62、63が設けられている。具体的には、カセットケース31の左前部(図11では右下側)に設けられた後述する支持孔64の後方(図13では上方)において、角部32aの下面に設けられた凹部が、位置決めピン102が挿入されるピン孔62である。また、カセットケース31の右端部(図11では左側)の中央部近傍において、角部32aの下面に設けられた凹部が、位置決めピン103が挿入されるピン孔63である。なお、テープカセット30の上下方向(高さ方向)におけるピン孔62、63の位置と、カセットケース31に収納される印刷媒体であるフィルムテープ59の上下方向中心位置との距離は、テープカセット30の種類にかかわらず、つまりテープカセット30の上下方向の高さが異なっていても一定である。
【0081】
図2に示すように、アーム部34の開口34aからテープ排出口49までのフィルムテープ59の搬送方向において、ヘッド挿入部39の下流側には、一対の規制部材36a、36bが設けられている。より詳細には、上ケース31aには規制部材36aが設けられ、下ケース31bには、上ケース31aが下ケース31bと接合された場合、規制部材36aと対向する位置に、規制部材36bが設けられている。規制部材36a、36bは、サーマルヘッド10の下流側にて、アーム部34の開口34aから排出され、サーマルヘッド10により開口部77にて印字が行われた後のフィルムテープ59を上下方向(テープ幅方向)に規制しつつ、さらに搬送方向下流側に案内する。
【0082】
図3および図4に示すように、規制部材36bの後側近傍には、カセットケース31の前後方向に沿って、ヘッド挿入部39の左側に位置する案内壁47が立設されている。案内壁47は、アーム部34の開口34aからフィルムテープ59とともに排出され、サーマルヘッド10により開口部77にて印字に使用された後のインクリボン60を、フィルムテープ59から離間させて、リボン巻取スプール44に向かって案内する。つまり、印字後のフィルムテープ59とインクリボン60とは、案内壁47によって分離される。案内壁47とリボン巻取スプール44との間には、案内壁47に沿って案内される使用済みのインクリボン60と、第1テープスプール40に巻回して支持された両面粘着テープ58とが互いに接触するのを防止するための分離壁48が立設されている。
【0083】
フィルムテープ59の搬送方向において、規制部材36bおよび案内壁47の下流側には、支持孔64a、64b(図11参照)が設けられている。より詳細には、上ケース31aには支持孔64aが設けられ、下ケース31bには支持孔64bが設けられている。この支持孔64a、64bに上下方向に挟まれて、テープ搬送ローラ46が回動可能に軸支されている。テープ搬送ローラ46は、対向する可動搬送ローラ14との協働により、第2テープスプール41からフィルムテープ59を引き出すとともに、第1テープスプール40から両面粘着テープ58を引き出し、フィルムテープ59の印字面に案内して接着させる。
【0084】
ここで、図12を参照して、テープ搬送ローラ46の詳細な構成について説明する。テープ搬送ローラ46は、カセットケース31の高さとほぼ等しい高さを有する円筒状をなす。テープ搬送ローラ46の本体部46eは、支持孔64a,64bよりも径が大きく、その外周面は、印字媒体であるフィルムテープ59と両面粘着テープ58に当接するローラ面46cである。ローラ面46cの上下方向長さ(つまり、テープ搬送ローラ46におけるテープ送り幅)は、フィルムテープ59と両面粘着テープ58のテープ幅と同一に設定されている。テープ搬送ローラ46の本体部46eから上下方向にそれぞれ突出する上端部46aおよび下端部46bは、それぞれ支持孔64a,64bよりも径が若干小さい。なお、テープ搬送ローラ46の内部では、本体部46eを上下方向に貫通する軸孔46dが上端部46aおよび下端部46bを連通させる。
【0085】
カセットケース31の内部では、上端部46aが上ケース31aの上面30aに設けられた支持孔64aに嵌合されるとともに、下端部46bが下ケース31bの底面30bに設けられた支持孔64bに嵌合されている。本体部46eは、上面30aに下方から当接してテープ搬送ローラ46の上方向への移動を規制し、底面30bに上方から当接してテープ搬送ローラ46の下方向への移動を規制する。これにより、テープ搬送ローラ46は、上端部46aおよび下端部46bにて支持されつつ、カセットケース31内で軸線中心に回転自在となる。
【0086】
また、テープ搬送ローラ46の内周面(つまり、軸孔46dを形成する内壁)には、その下端側に複数の係合リブ46fが設けられている。これらの係合リブ46fは、テープ駆動軸100の周囲に形成された複数のカム部材100a(図2参照)に係合する形状を有している。
【0087】
図3および図4に示すように、テープ搬送ローラ46と前述の案内壁47との間には、案内壁47に沿ってリボン巻取スプール44に向けて案内される印字済みのインクリボン60と、テープ搬送ローラ46に沿ってフィルムテープ59に向けて案内される両面粘着テープ58とが互いに接触するのを防ぐ隔離壁43が立設されている。隔離壁43は、平面視で、テープ搬送ローラ46が支持される支持孔64bに沿って、カセットケース31の前後方向に緩やかな弧を描くように配置されている。隔離壁43の支持孔64b(テープ搬送ローラ46)側の面は、搬送途上の両面粘着テープ58が接着するのを防ぐために、平面視でのこぎりの歯状に形成されている。
【0088】
また、フィルムテープ59の搬送方向において、テープ搬送ローラ46の下流側には、テープ排出口49が設けられている。より詳細には、テープ排出口49は、下ケース31bの左側面の前端部であるテープ排出端部44aと、テープ排出端部44aの前側に離間して底面30bから立設された板状部材であるテープ押さえ44bとの間に形成される空間である。印字済テープ50、つまり、テープ搬送ローラ46と可動搬送ローラ14によって両面粘着テープ58と貼り合わせられた印字済みのフィルムテープ59は、テープ排出口49を貫通して、テープ印字装置1の排出スリット(図示せず)に向けて搬送される。
【0089】
ここで、図13〜図15を参照して、隔離壁43の前端部およびテープ排出端部44aに設けられた、フィルムテープ59の移動を規制する構成について説明する。なお、図13は、テープ搬送ローラ46が支持される支持孔64a、64b近傍位置における上ケース31aおよび下ケース31bの構成を示しているが、図を簡略化するため、テープ搬送ローラ46、規制部材36bおよびテープ押さえ44bは図示されていない。
【0090】
まず、図13および図14を参照して、隔離壁43の前端部に設けられるフィルムテープ59のテープ幅方向および印字面側への移動を規制する構成について説明する。図13および図14に示すように、隔離壁43の前端部は、他の部分よりも上方へ突出している。そして、この上方への突出部には、前方へ突出する突出片である第2上部規制部82aが設けられている。第2上部規制部82aは板状部材であり、平面視で先端側に短辺を有する略台形状をなす。第2上部規制部82aの下面の高さ位置は、アーム部34に設けられた第1上部規制部81aの下面の高さ位置と同じである。
【0091】
図13に示すように、下ケース31bの底面30bは、支持孔64bの周囲に、他の部位よりも一段高く形成された段差部30cを有する。段差部30cは、隔離壁43の右縁まで連続している。段差部30cのうち、隔離壁43の前端面下端から下ケース31の外縁までの間の部位を、第2下部規制部82bという。段差部30cの上面の高さ位置は、アーム部34に設けられた第1下部規制部81bの上面の高さ位置と同じである。よって、第2下部規制部82bの上面の高さ位置も、第1下部規制部81bの上面と同じである。詳細は後述するが、第2上部規制部82aおよび第2下部規制部82bは、インクリボン60と分離された後の印字済みフィルムテープ59のテープ幅方向の移動を規制する部位である。以下では、第2上部規制部82aおよび第2下部規制部82bを総称して、第2幅規制部82a、82bという。
【0092】
また、図13および図14に示すように、隔離壁43の前端面には、第2上部規制部82aの下部および第2下部規制部82bの上部に、それぞれ僅かに前方に突出した段差部である第2上部印字面側規制部82eおよび第2下部印字面側規制部82fが設けられている。詳細は後述するが、第2上部印字面側規制部82eおよび第2下部印字面側規制部82fは、印字済みフィルムテープ59の印字面側への移動を規制する部位である。以下では、第2上部印字面側規制部82eおよび第2下部印字面側規制部82fを総称して、第2印字面側規制部82e、82fという。
【0093】
さらに、第2上部規制部82aの上部には、突起部82dが設けられている。一方、上ケース31aの上面30aには、下ケース31bとの接合時に突起部82dに対応する位置に、上面30aを貫通する嵌合穴82hが設けられている。よって、上ケース31aと下ケース31bが接合されると、突起部82dが嵌合穴82hに嵌合し、上ケース31aと下ケース31bとが固定される。なお、以下では、隔離壁43の前端部に設けられた第2幅規制部82a、82b、第2印字面側規制部82e、82f、および突起部82dを総称して、第2規制部82というものとする。
【0094】
次に、図13および図15を参照して、テープ排出端部44aに設けられるフィルムテープ59のテープ幅方向への移動を規制する構成について説明する。図13および図15に示すように、テープ排出端部44aの前端部右側は、他の部分よりも上方へ突出している。そして、この上方への突出部には、前方へ突出する突出片である第3上部規制部83aが設けられている。第3上部規制部83aは、板状部材であり、平面視で先端側に短辺を有する略台形状をなす。第3上部規制部83aの下面の高さ位置は、アーム部34に設けられた第1上部規制部81a、および隔離壁43に設けられた第2上部規制部82aの下面の高さ位置と同じである。
【0095】
前述した支持孔64bの周囲に設けられた段差部30cは、第3上部規制部83aの直下まで延びている。段差部30cのうち、テープ排出端部44aの前端面下端から下ケース31bの外縁までの間の部位を、第3下部規制部83bという。よって、第3下部規制部83bの上面の高さ位置は、第1下部規制部81bおよび第2下部規制部82bの上面と同じである。詳細は後述するが、第3上部規制部83aおよび第3下部規制部83bは、テープ排出口49に挿入される直前で、印字済テープ50のテープ幅方向の移動を規制する。以下では、第3上部規制部83aおよび第3下部規制部83bを総称して、第3幅規制部83a、83bという。
【0096】
さらに、第3上部規制部83aの上部には、突起部83dが設けられている。一方、上ケース31aの上面30aには、下ケース31bとの接合時に突起部83dに対応する位置に、上面30aを貫通する嵌合穴83hが設けられている。よって、上ケース31aと下ケース31bが接合されると、突起部83dが嵌合穴83hに嵌合し、上ケース31aと下ケース31bとが固定される。なお、以下では、テープ排出端部44aに設けられた第3上部規制部83a、第3下部規制部83b、および突起部83dを総称して、第3規制部83というものとする。
【0097】
以上に説明した構成を有する上ケース31aと下ケース31bとが接合されて形成されるテープカセット30の正面図は、図16に示すようになる。図16に示すように、アーム部34内では、下ケース31bの分離壁33(図9参照)に設けられた第1上部規制部81aおよび第1下部規制部81bによって、フィルムテープ59の上端および下端が挟まれた状態となり、テープ幅方向への移動が規制される。そして、第1上部規制部81aから突出する突起部81dが上ケース31aの嵌合穴81hに嵌合されており、上ケース31aと下ケース31bとがこの位置で確実に固定される。
【0098】
また、フィルムテープ59の搬送方向において、上ケース31aと下ケース31bとにそれぞれ設けられた規制部材36a、36bの下流側では、下ケース31bの隔離壁43(図13参照)に設けられた第2上部規制部82aおよび第2下部規制部82bによって、フィルムテープ59の上端および下端が挟まれた状態となり、テープ幅方向への移動が規制される。そして、第2上部規制部82aから突出する突起82dが上ケース31aの嵌合穴82hに嵌合されており、上ケース31aと下ケース31bとがこの位置で確実に固定される。
【0099】
さらに、テープ搬送ローラ46の下流側、テープ排出口49の手前では、下ケース31bのテープ排出端部44a(図13参照)に設けられた第3上部規制部83aおよび第3下部規制部83bによって、フィルムテープ59の上端および下端が挟まれた状態となり、テープ幅方向への移動が規制される。そして、第3上部規制部83aから突出する突起部83dが上ケース31aの嵌合穴83hに嵌合されており、上ケース31aと下ケース31bとがこの位置で確実に固定される。
【0100】
次に、本実施形態のテープカセット30がテープ印字装置1に装着される際の、テープカセット30とテープ印字装置1の作用について説明する。
【0101】
まず、図2、図3、および図17〜図20を参照して、ヘッド支持部74a、74bによるヘッド受け部39a、39bの支持について説明する。なお、図の簡略化のため、図17〜図20では、アーム部34の金型逃がし孔850の図示は省略されている。テープカセット30がカセット装着部8に装着される場合、テープカセット30は、キャビティ8aの底面に対して、テープカセット30の底面30bが対向するように上方から垂直に嵌め込まれる。
【0102】
キャビティ8aの底面(図示せず)からは、図2に示すヘッドホルダ74、リボン巻取軸95およびテープ駆動軸100が突出している。よって、ユーザは、これらにヘッド挿入部39、リボン巻取スプール44、およびテープ搬送ローラ46の軸孔をそれぞれ挿入しながら、テープカセット30を嵌め込む。前述したように、ヘッドホルダ74の右端部と左端部には、それぞれ上流側支持部74aと下流側支持部74bとが設けられている。また、テープカセット30のこれらに対応する位置、具体的には、ヘッド挿入部39の右側および左後側のヘッド挿入部39を臨む位置には、上流側受け部39aと下流側受け部39bとが設けられている。
【0103】
したがって、ユーザがテープカセット30を下方向に押し込むと、図17に示すように、テープカセット30の上流側受け部39aは、ヘッドホルダ74のヘッド固着部74dに設けられた上流側支持部74aに当接し、上流側受け部39aの下方向へのそれ以上の移動が規制される。また、図18に示すように、テープカセット30の下流側受け部39bは、ヘッドホルダ74のヘッド固着部74dに設けられた下流側支持部74bに当接し、下流側支持部74bの下方向へのそれ以上の移動が規制される。そして、テープカセット30は、ヘッド支持部74a、74bによってヘッド受け部39a、39bが下方から支持された状態で維持される。
【0104】
このように、本実施形態のテープカセット30およびテープ印字装置1によれば、印字媒体であるフィルムテープ59に印字を行うサーマルヘッド10に近接した位置で、上下方向の位置決めを正確に行うことができる。そして、サーマルヘッド10による上下方向の印字中心位置とフィルムテープ59のテープ幅方向中心位置を精度よく維持することができる。特に、テープカセット30は、印字媒体であるフィルムテープ59の搬送方向において、サーマルヘッド10の挿入位置、より詳細には印字位置に対して上流側と下流側の両側で支持される。よって、上下方向の位置決めを特に正確に行うことができ、また、サーマルヘッド10による上下方向の印字中心位置とフィルムテープ59のテープ幅方向中心位置を特に精度よく維持することができる。
【0105】
また、図3に示すように、本実施形態のテープカセット30の上流側受け部39aと下流側受け部39bとは、互いに直交する方向からヘッド挿入部39を臨んでいる。いずれも凹部であるヘッド受け部39a、39bに、互いに直交する方向に延びるヘッド支持部74a、74bが挿入されて支持されるので、テープカセット30は、上下方向のみならず、前後方向および左右方向の移動も規制される。これにより、サーマルヘッド10とヘッド挿入部39との適正な位置関係を保持することができる。
【0106】
図17および図18に示すテープカセット30よりも高さが低いテープカセット30がカセット装着部8に装着された場合にも、図19および図20に示すように、ヘッド支持部74a、74bにヘッド受け部39a、39bが当接し、支持される。図19および図20に示すテープカセット30の方が、図17および図18に示すテープカセット30よりも、底面30bに設けられた凹部であるヘッド受け部39a、39bの深さは浅く設定されており、テープカセット30の上下方向(高さ方向)におけるヘッド受け部39a、39bの位置と、カセットケース31に収納された印字媒体であるフィルムテープ59の上下方向中心位置Mとの距離Hはテープカセットの種類に関わらず一定である。
【0107】
このように、テープカセット30の種類にかかわらず、つまりテープカセット30の上下方向の高さが異なっていても距離Hを一定とすることにより、同一のテープ印字装置1で高さの異なる複数種類のテープカセット30を使用することができる。また、ヘッド受け部39a、39bの寸法精度を高めることにより、テープカセット30の加工精度を効率よく管理することができる。また、幅が異なるテープであっても、テープ幅方向の中心が一致する位置で搬送することで、テープ幅方向で中心に一致していないときにテープ幅方向でのテープへの圧力差によって生じる蛇行を防止することができる。
【0108】
次に、図8を参照して、カセットフック75によるテープカセット30の係止について説明する。ユーザによって、テープカセット30がカセット装着部8に嵌め込まれ、下方向に押し込まれると、まず、テープカセット30の底面30bがカセットフック75の爪部75bの上部に当接する。図8に示すように、爪部75bの上部は後方(図8では左側)に向かって傾斜しているので、ユーザがさらに下方向にテープカセット30を押し込むと、底面30bからの押圧により、可撓性を有する突出部75aは前方向(図8では右側)に撓む。
【0109】
ユーザがさらに下方向にテープカセット30を押し込むと、係止部38の後壁38aが爪部75bの最も突出した位置を越えるので、突出部75aは再び元の位置に戻り、図8に示すように、爪部75bが後壁38aの上部を係止する。このとき、テープカセット30はヘッド受け部39a、39bにおいて支持された状態である。このように、カセットフック75によって係止部38を係止することにより、テープ印字装置1に装着された後、テープカセット30が浮き上がる方向、つまり上方への移動を規制することができ、テープの搬送および印字を安定して行うことが可能となる。
【0110】
次に、本実施形態のテープカセット30がテープ印字装置1に装着された後、印字が行われる際の、テープカセット30とテープ印字装置1の作用について説明する。
【0111】
前述したように、テープカセット30が上下方向の適正な位置で位置決めされてカセット装着部8に装着されると、テープ駆動軸100(図2参照)がテープ搬送ローラ46に嵌挿され、リボン巻取軸95(図2参照)がリボン巻取スプール44に嵌挿された状態となる。前述したように、テープ搬送ローラ46の内周面(つまり、軸孔46dを形成する内壁)には、その下端側に複数の係合リブ46fが設けられている(図12参照)。これらの係合リブ46fに、テープ駆動軸100の周囲に形成された複数のカム部材100aが噛合される。
【0112】
その後、カセットカバー6が閉鎖されると、プラテンホルダ12が、図4に示す印字位置に移動して、プラテンローラ15がサーマルヘッド10に相対するとともに、可動搬送ローラ14がテープ搬送ローラ46を押圧する。これにより、テープ印字装置1は、フィルムテープ59への印字を実行することが可能な状態となる。
【0113】
キーボード3に設けられた印刷キーの押下によって印字実行が指示されると、テープ駆動軸100が回転駆動する。図12に示すように、テープ搬送ローラ46に設けられた係合リブ46fにはテープ駆動軸100のカム部材100aが噛合されているため、テープ駆動軸100の回転がテープ搬送ローラ46に伝達される。つまり、テープ駆動軸100の回転に伴って、テープ搬送ローラ46が回転する。そして、テープ搬送ローラ46は、可動搬送ローラ14との協働によって、第2テープスプール41からフィルムテープ59を引き出す。また、リボン巻取軸95を介して回転駆動されるリボン巻取スプール44が、印字スピードと同期してリボンスプール42から未使用のインクリボン60を引き出す。
【0114】
図9に示すように、アーム部34内には、アーム背面37と分離壁33とによってインクリボン60の走行を案内するリボン搬送経路と、アーム前面35および分離壁33によってフィルムテープ59の走行を案内するフィルムテープ搬送経路とが形成されている。アーム部34の右後方に配置されたリボンスプール42から引き出されたインクリボン60は、アーム背面37の右端部に設けられた膨らみ部に当接して左方向に方向変換され、アーム背面37と分離壁33との間を搬送される。このとき、インクリボン60は上ケース31aの上面30aと下ケース31bの下面30bとによりその幅方向に規制を受ける。そして、アーム背面37の左端部の膨らみ部でヘッド挿入部39側への移動を規制されながら、開口34aから開口部77に向けて排出される。
【0115】
第2テープスプール41から引き出されたフィルムテープ59は、前述したガイドピン34gの規制片34fにて下端部が規制されつつガイドピン34gで方向変換され、アーム部34内に搬送される。そして、分離壁33に設けられた第1上部規制部81aと第1下部規制部81bとによって、テープ幅方向への移動が規制されつつアーム部34内を搬送される。
【0116】
また、フィルムテープ59は、分離壁33の円柱状の右端部および第1規制部81の第1印字面側規制部81cにより、印字面側への移動が規制されつつ搬送される。第1印字面側規制部81cは、上下方向に亘って左右方向になだらかな膨らみを有するので、フィルムテープ59はヘッド挿入部39側に屈曲され、インクリボン60と重合された状態となって開口34aから排出される。また、第1印字面側規制部81cは、上下方向の中心部が前方(アーム下部前面35b側)に僅かに盛り上がっているので、フィルムテープ59の張力がテープ幅方向の中心部に集中する。その結果、フィルムテープ59の走行を安定させることができる。
【0117】
第1幅規制部81a、81b、および第1印字面側規制部81cは、下ケース31bのみに形成されているので、上ケース31aと下ケース31bとの圧入状態にかかわらず、これらの部材の寸法精度が保証され、印字媒体であるフィルムテープ59のテープ幅方向および印字面側への移動を、印字直前の段階で適切に規制することができる。したがって、サーマルヘッド10による上下方向の印字中心位置とフィルムテープ59のテープ幅方向中心位置を精度よく合わせることができる。また、従来からテープカセット30に設けられているアーム部34内の分離壁33に設けられているため、スペースを無駄に消費することがない。
【0118】
図4に示すように、インクリボン60と重合されてアーム部34から開口部77へ向けて排出されたフィルムテープ59は、テープ印字装置1のサーマルヘッド10とプラテンローラ15との間に搬送される。この間も、ヘッド受け部39a、39bおよびカセットフック75の作用により、安定した装着状態が保たれる。そして、サーマルヘッド10による上下方向の印字中心位置とフィルムテープ59のテープ幅方向中心位置が精度よく維持された状態で、サーマルヘッド10によって、フィルムテープ59の印字面に対して文字、図形、記号等が印字される。
【0119】
その後、規制部材36a、36bによってフィルムテープ59がさらに下流側に案内される間に、規制部材36a、36bの後方にある案内壁47にて、使用済みのインクリボン60が印字済みのフィルムテープ59から剥がされ、リボン巻取スプール44に巻き取られる。規制部材36a、36bの間を通過した、インクリボン60と分離された印字済みのフィルムテープ59は、隔離壁43の前端部に設けられた第2上部規制部82aおよび第2下部規制部82bによって、テープ幅方向への移動が規制されつつ搬送される。また、隔離壁43の前端面には、第2上部印字面側規制部82eおよび第2下部印字面側規制部82fが設けられているので(図13参照)、フィルムテープ59は、印字面側への移動も規制される。
【0120】
第2幅規制部82a、82b、第2印字面側規制部82e、82fはすべて下ケース31bのみに形成されているので、上ケース31aと下ケース31bとの圧入状態にかかわらず、アーム部34から排出され、インクリボン60と分離された後のフィルムテープ59のテープ幅方向および印字面側への移動を適切に規制することができる。しかも、第2上部印字面側規制部82eおよび第2下部印字面側規制部82fは、前端面の上端と下端にのみ設けられているので、フィルムテープ59の印字が行われた部分に接触する部位を最小限とすることができ、印字品質を損なう可能性を低減することができる。
【0121】
ここで、従来はカセットケースの構造上、第2上部印字面側規制部82eは上ケース31aに設けられ、第2下部印字面側規制部82fは下ケース31bに設けられていた。この場合、第2上部印字面側規制部82eと第2下部印字面側規制部82fとが別部品となり、この2つの印字面側規制部(第2印字面側規制部82e、82f)の位置がずれてしまうと、両印字面側規制部を結んだ線とテープの搬送方向との直角度が確保できなくなり、テープがその搬送方向に正しく搬送されないといった不具合の発生が危惧された。それに対し、本実施形態では2つの印字面側規制部(第2印字面側規制部82e、82f)が下ケース31bに一体的に構成されるので、両印字面側規制部を結んだ線とテープの搬送方向との直角度が確保でき、テープがその搬送方向に正しく案内されるという効果を奏する。
【0122】
一方、第1テープスプール40からは、テープ搬送ローラ46と可動搬送ローラ14との協働によって両面粘着テープ58が引き出される。両面粘着テープ58は、隔離壁43の左側を通過し、テープ搬送ローラ46と可動搬送ローラ14との間にガイドされて巻き込まれながら、印字済みのフィルムテープ59の印字面に重ねられて貼着される。両面粘着テープ58が貼着された印字済みのフィルムテープ59、つまり、印字済テープ50は、さらにテープ排出口49に向かって搬送される。
【0123】
テープ排出口49の手前のテープ排出端部44aには、第3上部規制部83aおよび第3下部規制部83bが設けられている(図13参照)。よって、印字済テープ50は、第3上部規制部83aおよび第3下部規制部83bによってテープ幅方向への移動が規制されつつ、テープ排出口49を通して排出され、カット機構17によって切断される。第3幅規制部83a、83bは下ケース31bのみに形成されているので、上ケース31aと下ケース31bとの圧入状態にかかわらず、テープ搬送ローラ46の駆動により印字済テープ50がテープ幅方向にずれやすい位置で、テープ幅方向への移動を適切に規制することができる。
【0124】
なお、前述したように、テープ搬送ローラ46は、下端部に、テープ駆動軸100のカム部材100aに係合する係合リブ46fを有する。このような構成のテープ搬送ローラ46は、テープ幅方向の下方部において回転駆動されるため、テープ搬送ローラ46を上方に押し上げる力の成分が生じ、特にテープ搬送ローラ46の下流側のテープ排出口49近傍で上ケース31aが押し上げられやすい。したがって、下ケース31bに第3上部規制部83aおよび第3下部規制部83bを一体的に設けることにより、テープ搬送ローラ46の駆動により印字済テープ50がテープ幅方向にずれやすい位置で、テープ幅方向への移動を安定して規制することができる。
【0125】
ところで、従来、印字媒体であるフィルムテープ59のテープ幅方向への移動を規制する部材は、前述の規制部材36a、36b(図2参照)のように、上ケース31aおよび下ケース31bに設けられている。このような場合、樹脂成形により製造される下ケース31bは、成形後に上方向(底面30bに対して垂直方向)に向かって抜かれる金型のみで製造することが可能である。しかしながら、本実施形態のように、第1〜第3規制部81〜83に、印字媒体であるフィルムテープ59のテープ幅方向への移動を規制する規制部(第1幅規制部81a、81b、第2幅規制部82a、82b、および第3幅規制部83a、83b)を水平方向に突出させる場合、この部分では金型を上方向に抜くことができなくなる。したがって、これらの規制部に対応する部分については、成形後に横方向(底面30bに平行)に抜かれる金型が必要となる。
【0126】
以下に、図21〜図24を参照して、アーム部34の分離壁33に設けられる第1規制部81を例として、金型を用いて本実施形態のテープカセット30の下ケース31bを製造する方法について説明する。なお、図21における上下方向を金型400の上下方向とし、右下方向を金型400の前側、左上方向を後側、右上方向を右側、左下方向を左側とする。
【0127】
図21に示すように、第1規制部81の成形に使用される金型400は、略直方体状のベース部401と、ベース部401から後方および上方へ突出する突出部402を有する。ベース部401は、正面視でアーム下部前面35bと同一形状を有する。図22に示すように、突出部402の下端は、分離壁33に設けられる第1下部規制部81bの下ケース31bの底面30bからの高さと同じ高さ位置にある。また、突出部402の上下方向の長さは、第1上部規制部81aと第1下部規制部81bの間の距離に等しい。
【0128】
さらに、突出部402のベース部401から後方への突出長さは、アーム下部前面35bと分離壁33との距離に等しい。なお、前述したように、第1印字面側規制部81cの規制面81eは、左右方向においても上下方向においても、中心部が周辺部よりも僅かに盛り上がった構成を有する。よって、図21および図22に示すように、金型400の突出部402の背面は、規制面81eに対応して、左右方向においても上下方向においても、中心部が周辺部よりも僅かに凹んでいる。また、図23に示すように、突出部402の左右方向の長さは、第1上部規制部81aより僅かに大きく、図示されていないが、第1下部規制部81bと同一である。なお、第2、第3規制部82、83に対応する部分にも、同様に構成された、横方向に抜かれる金型が使用される。
【0129】
下ケース31bの成形時には、金型400が他の部分に対応する金型とともに射出成形機にセットされ、下ケース31bの形状を有するキャビティが形成される。そしてキャビティ内に樹脂が充填された後、固化されることにより、下ケース31bが成形される。その後、図24に示すように、第1幅規制部81の成形に使用される金型400が横方向に抜かれ、その他の金型が上方向へ抜かれることにより、下ケース31bが製造される。このとき、アーム下部前面35bにおいて、樹脂成形時に金型400の突出部402が配置されていた部分にできる間隙が、金型逃がし孔850である。
【0130】
このようにして、横方向に抜かれる金型を用いることにより、下ケース31bのみにフィルムテープ59のテープ幅方向への移動を規制する規制部(第1幅規制部81a、81b、第2幅規制部82a、82b、および第3幅規制部83a、83b)を形成することができる。
【0131】
なお、上方向に抜かれる金型を用いて下ケース31bを成形する場合、下ケース31bの底面30bに対して上方に立設される部位には、金型をスムーズに抜くための傾斜(抜き勾配)が必要となる。このような傾斜が存在すると、フィルムテープ59は、搬送中に傾斜に沿って後傾または前傾してしまい、底面30bに対して垂直方向を維持しながら搬送することが困難である。一方、前述のように横方向に抜かれる型を用いれば、金型を抜くための傾斜は不要となるので、底面30bに対して垂直方向を維持しながらフィルムテープ59を搬送することができる。
【0132】
さらに、横方向に抜かれる型を用いることにより、上下方向において、中心部が周辺部よりも僅かに盛り上がった規制面81eを有する第1印字面側規制部81cや、上端部と下端部に形成される段差である第2印字面側規制部82e、82fを下ケース31bのみに形成することができる。
【0133】
なお、ヘッド受け部74a、74bを設けることにより、第1〜第3規制部81〜83でテープ幅方向に適切な位置に規制されながら搬送されるフィルムテープ59の印字位置の精度を高めることができるが、本実施形態のテープカセット30は、必ずしもヘッド受け部74a、74bを備えている必要はない。
【0134】
また、本実施形態のテープカセット30には、必ずしも第1規制部81〜第3規制部83すべてを設ける必要はない。印字媒体であるフィルムテープ59をテープ幅方向に適切に規制したい位置に応じて、該当する規制部のみを設ける構成としてもよい。例えば、第1規制部81のみを設けてもよいし、第2規制部82のみ、または第3規制部83のみを設けてもよい。または、第1規制部81と第2規制部82、第1規制部81と第3規制部83のように、2つの規制部を設けてもよい。
【0135】
また、第1規制部81の第1印字面側規制部81cの規制面81eは、必ずしも上下方向の中心部が前方へ突出する構成を有していなくてもよい。
【0136】
本実施形態では、第2テープスプール41に巻回されたフィルムテープ59が、本発明の「テープロール」に相当する。下ケース31bのアーム下部前面35bが「第1壁部」に相当し、分離壁33が「第2壁部」に相当し、アーム背面37が「第3壁部」に相当し、下ケース31bのアーム部34を構成する部分が「ガイド部」に相当する。分離壁33に設けられた第1規制部81の第1上部規制部81aおよび第1下部規制部81bが「第1幅方向規制部材」に相当し、第1印字面側規制部81cが「第1印字面側規制部材」および「案内部」に相当する。突起部81dが第1幅方向規制部材の「嵌合部」に相当し、上ケース31aの嵌合穴81hが「被嵌合部」に相当する。
【0137】
規制部材36a、36bが「ガイド部材」に相当し、案内壁47が「分離部材」に相当する。隔離壁43に設けられた第2規制部82の第2上部規制部82aおよび第2下部規制部82bが「第2幅方向規制部材」に相当し、第2上部印字面側規制部82eおよび、第2下部印字面側規制部82fが「第2印字面側規制部材」および「突出部」に相当する。突起部82dが第2幅方向規制部材の「嵌合部」に相当し、上ケース31aの嵌合穴82hが「被嵌合部」に相当する。
【0138】
テープ排出端部44aに設けられた第3規制部83の第3上部規制部83aおよび第3下部規制部83bが「第3幅方向規制部材」に相当する。突起部83dが第3幅方向規制部材の「嵌合部」に相当し、上ケース31aの嵌合穴83hが「被嵌合部」に相当する。
【0139】
<第2の実施形態>
図25を参照して、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態は、テープカセット30には、印字媒体であるフィルムテープ59、フィルムテープ59に接着される両面粘着テープ58、および印字に使用されるインクリボン60が収納されており、アーム部34内に、フィルムテープ59およびインクリボン60の2つの搬送経路が設けられた例である。本実施形態では、テープカセット30に収納されるテープが印字媒体である感熱紙テープ55のみであり、アーム部34内には感熱紙テープ55の搬送経路のみが設けられている例について説明する。
【0140】
また、本実施形態のテープカセット30は、第1の実施形態とは異なり、ヘッドホルダ74のヘッド支持部74a、74bにより支持されるヘッド受け部39a、39b(図3参照)やカセットフック75により係止される係止部38(図11参照)は設けられていない例である。以下では、第1実施形態とは異なる構成を中心に説明し、第1実施形態と同じ構成については、説明を省略する。なお、続く他の実施形態でも、それまでに説明した実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0141】
図25に示すように、本実施形態のテープカセット30は、第1テープスプール40に巻回された感熱紙テープ55のみが、支持孔によって回転可能に支持されてカセットケース31内に収納されている。なお、感熱紙テープ55は、一面に剥離紙が貼着された片面粘着テープである。ただし、感熱紙テープ55は片面粘着テープでなくともよい。印字媒体として感熱紙テープ55を用いる場合には、サーマルヘッド10による印字にはインクリボン60(図3参照)は必要がない。また、本実施形態では、印字後の感熱紙テープ55は両面粘着テープ58(図3参照)と接着されることなく、そのまま排出される。したがって、第1の実施形態ではテープカセット30に収納されていた両面粘着テープ58やインクリボン60は有していない。
【0142】
第1の実施形態では、図3および図9に示すように、アーム部34内には分離壁33が設けられ、アーム前面35と分離壁33との間およびアーム背面37と分離壁33との間に、それぞれ、フィルムテープ59の搬送経路およびインクリボン60の搬送経路が形成されている。本実施形態では、図25に示すように、アーム部34内には、分離壁33は設けられておらず、感熱紙テープ55は、アーム前面35とアーム背面37との間を搬送され、開口34aから開口部77に向けて排出される。
【0143】
本実施形態では、アーム前面35(より詳細にはアーム下部前面35b)は、第1の実施形態と同様の構成を有し、傾斜部34bの近傍右側には、金型逃がし孔850が形成されている。一方、本実施形態のアーム背面37は、第1の実施形態とは異なり、金型逃がし孔850に対向する位置に、第1の実施形態では分離壁33に設けられていた第1規制部81を備えている。
【0144】
具体的には、本実施形態のアーム背面37は、アーム背面37の上端から前方へ突出する第1上部規制部81aと、下端から底面30b上において前方へ突出する第1下部規制部81bを有する。また、左右方向においても上下方向においても、中心部が周辺部よりも僅かに盛り上がった規制面81eを有する第1印字面側規制部81cが設けられている。さらに、第1上部規制部81aの上部には、突起部81dが設けられている。一方、上ケース31aの上面30aには、下ケース31bとの接合時に突起部81dに対応する位置に、嵌合穴81hが設けられている。詳細な構成は、図10に示すのと同様である。
【0145】
本実施形態のテープカセット30の場合、印字が行われる場合には、テープ駆動軸100を介して回転駆動されるテープ搬送ローラ46が、可動搬送ローラ14との協働によって第1テープスプール40から感熱紙テープ55を引き出す。第1テープスプール40から引き出された感熱紙テープ55は、平面視でカセットケース31の右下部に設けられたガイドピン34gにより左方へ方向変換され、下端を規制片34fに規制されながら、アーム部34内に搬送される。
【0146】
アーム部34では、感熱紙テープ55は、図10に示す第1規制部81と同様、アーム背面37に設けられた第1上部規制部81aと第1下部規制部81bとによって、テープ幅方向への移動が規制され、第1印字面側規制部81cにより、印字面側への移動が規制されつつ搬送される。第1印字面側規制部81cは、左右方向になだらかな膨らみを有するので、感熱紙テープ55はヘッド挿入部39側に屈曲され、開口34aから排出される。また、第1印字面側規制部81cは、上下方向の中心部が僅かに盛り上がっているので、感熱紙テープ55の張力がテープ幅方向の中心部に集中する。その結果、感熱紙テープ55の走行を安定させることができる。
【0147】
第1幅規制部81a、81b、および第1印字面側規制部81cは、下ケース31bのみに形成されているので、上ケース31aと下ケース31bとの圧入状態にかかわらず、これらの部材の寸法精度が保証され、印字媒体である感熱紙テープ55のテープ幅方向および印字面側への移動を印字直前の段階で適切に規制することができる。したがって、サーマルヘッド10による上下方向の印字中心位置と感熱紙テープ55のテープ幅方向中心位置を精度よく合わせることができる。また、従来からテープカセット30に設けられているアーム部34のアーム背面37に設けられているため、スペースを無駄に消費することがない。
【0148】
アーム部34の開口34aから排出された感熱紙テープ55は、開口部77に供給されて、サーマルヘッド10とプラテンローラ15との間に搬送される。そして、サーマルヘッド10によって感熱紙テープ55の印字面に対して文字、図形、記号等が印字される。その後、テープ搬送ローラ46と可動搬送ローラ14との協働によって、印字済みの感熱紙テープ55はさらにテープ排出口49に向かって搬送され、カット機構17によって切断される。
【0149】
なお、本実施形態のテープカセット30には、第1実施形態では隔離壁43の前端部に設けられている第2規制部82と、テープ排出端部44aに設けられている第3規制部83は、設けられていないが、これらのうち一方、あるいは両方を設けてもよい。
【0150】
本実施形態では、第1テープスプール40に巻回された感熱紙テープ55が、本発明の「テープロール」に相当する。下ケース31bのアーム下部前面35bが「第1壁部」に相当し、アーム背面37が「第2壁部」に相当し、下ケース31bのアーム部34を構成する部分が「ガイド部」に相当する。分離壁33に設けられた第1規制部81の第1上部規制部81aおよび第1下部規制部81bが「第1幅方向規制部材」に相当し、第1印字面側規制部81cが「第1印字面側規制部材」および「案内部」に相当する。突起部81dが第1幅方向規制部材の「嵌合部」に相当し、上ケース31aの嵌合穴81hが「被嵌合部」に相当する。
【0151】
<第3の実施形態>
図26〜図29を参照して、第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では、テープ印字装置1のヘッドホルダ74に、サーマルヘッド10の挿入位置の上流側と下流側の2箇所に、2つのヘッド支持部74a、74bが設けられている。そして、テープカセット30には、ヘッド支持部74a、74bに対応して、ヘッド挿入部39を臨む2箇所にヘッド受け部39a、39bが設けられている。本実施形態では、ヘッドホルダ74の上流側にのみテープカセット30の支持部が設けられ、テープカセット30にも、ヘッド挿入部39を臨む1箇所にのみ支持受け部が設けられる例を説明する。
【0152】
まず、本実施形態のテープ印字装置1について説明する。図26および図27に示すように、本実施形態のヘッドホルダ74は、テープ印字装置1の左右方向に沿って、カセット装着部8のキャビティ8aの底面から上方に立設された板状部材である。より詳細には、図29に示すように、キャビティ8aの底面に固定された台座部74cと、台座部74cから略垂直に屈曲され、キャビティ8aの底面から上方へ延びるヘッド固着部74dを備えている。キャビティ8aにおけるヘッドホルダ74の配置位置は、テープカセット30が装着された場合に、後述するヘッド挿入部39に対向する位置である。
【0153】
図26に示すように、本実施形態のヘッドホルダ74は、第1の実施形態(図3参照)とは異なり、左右方向の長さはヘッド挿入部39の長手方向(左右方向)の長さより短く、完全にヘッド挿入部39内に収まるサイズである。本実施形態では、ヘッドホルダ74自体には、テープカセット30の上下方向を位置決めし、下方から支持するための支持部は設けられていない。その代わり、図26に示すように、ヘッドホルダ74の右側に隣接して、上流側支持ピン104が設けられている。
【0154】
上流側支持ピン104は、キャビティ8aから上方に立設された円柱状部材であり、テープカセット30がテープ印字装置1に装着された場合に、円柱の上面が後述するテープカセット30の上流側受け部39aに当接し、テープカセット30を下方から支持する。よって、図27に示すように、上流側支持ピン104の直径は、テープカセット30の上流側受け部39aの平面視形状である長方形の短辺よりも僅かに小さい。
【0155】
次に、本実施形態のテープカセット30について説明する。図27に示すように、本実施形態のカセットケース31には、サーマルヘッド10に対してテープ搬送方向上流側のヘッド挿入部39を臨む位置に、底面30bに設けられた凹部である上流側受け部39aが設けられている。一方、下流側には、支持受け部となる凹部は設けられていない。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。すなわち、本実施形態のテープカセット30も、アーム部34の分離壁33に設けられた第1規制部81(図27では、第1幅規制部81a、81bのみ図示)と、隔離壁43の前端部に設けられた第2規制部82(図27では、第2上部規制部82aのみ図示)と、テープ排出端部44aに設けられた第3規制部83(図27では、第3上部規制部83aのみ図示)とを備えている。
【0156】
以下に、本実施形態のテープカセット30がテープ印字装置1に装着される際のテープカセット30とテープ印字装置1の作用について、図26および図29を参照して説明する。なお、図の簡略化のため、図29では、アーム部34の金型逃がし孔850の図示は省略されている。
【0157】
テープカセット30がカセット装着部8に装着される場合、テープカセット30は、キャビティ8aの底面に対して、テープカセット30の底面30bが対向するように上方から垂直に嵌め込まれる。図26に示すように、キャビティ8aの底面から突出するヘッドホルダ74、リボン巻取軸95およびテープ駆動軸100にヘッド挿入部39、リボン巻取スプール44、およびテープ搬送ローラ46の軸孔をそれぞれ挿入しながら、テープカセット30を嵌め込む。ヘッドホルダ74の右側には、前述の上流側支持ピン104が設けられている。また、テープカセット30の対応する位置、具体的には、ヘッド挿入部39の右側のヘッド挿入部39を臨む位置には、上流側受け部39aが設けられている。
【0158】
したがって、ユーザがテープカセット30を下方向に押し込むと、図29に示すように、テープカセット30の上流側受け部39aは、上流側支持ピン104の上面に当接し、上流側受け部39aの下方向へのそれ以上の移動が規制される。そして、テープカセット30は、上流側支持ピン104によって上流側受け部39aが下方から支持された状態で維持される。
【0159】
このように、本実施形態のテープカセット30では、印字媒体であるフィルムテープ59に印字が行われる直前の位置に、上流側受け部39aが設けられている。したがって、サーマルヘッド10による上下方向の印字中心位置とフィルムテープ59のテープ幅方向中心位置との位置合わせに関して最も効率的な位置で、上下方向の位置決めを行うことができる。
【0160】
本実施形態のテープカセット30がテープ印字装置1に装着された後、印字が行われる際の、テープカセット30とテープ印字装置1の作用については、第1の実施形態と同様である。また、本実施形態のテープカセット30も、第1の実施形態と同様、第1〜第3規制部81〜83をすべて備える必要はなく、少なくともいずれか1つを備えていればよい。
【0161】
本実施形態では、第2テープスプール41に巻回されたフィルムテープ59が、本発明の「テープロール」に相当する。下ケース31bのアーム下部前面35bが「第1壁部」に相当し、分離壁33が「第2壁部」に相当し、アーム背面37が「第3壁部」に相当し、下ケース31bのアーム部34を構成する部分が「ガイド部」に相当する。分離壁33に設けられた第1規制部81の第1上部規制部81aおよび第1下部規制部81bが「第1幅方向規制部材」に相当し、第1印字面側規制部81cが「第1印字面側規制部材」および「案内部」に相当する。突起部81dが第1幅方向規制部材の「嵌合部」に相当し、上ケース31aの嵌合穴81hが「被嵌合部」に相当する。
【0162】
規制部材36a、36bが「ガイド部材」に相当し、案内壁47が「分離部材」に相当する。隔離壁43に設けられた第2規制部82の第2上部規制部82aおよび第2下部規制部82bが「第2幅方向規制部材」に相当し、第2上部印字面側規制部82eおよび、第2下部印字面側規制部82fが「第2印字面側規制部材」および「突出部」に相当する。突起部82dが第2幅方向規制部材の「嵌合部」に相当し、上ケース31aの嵌合穴82hが「被嵌合部」に相当する。
【0163】
テープ排出端部44aに設けられた第3規制部83の第3上部規制部83aおよび第3下部規制部83bが「第3幅方向規制部材」に相当する。突起部83dが第3幅方向規制部材の「嵌合部」に相当し、上ケース31aの嵌合穴83hが「被嵌合部」に相当する。
【0164】
なお、本発明のテープカセット30は、前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、前述の実施形態では、第1〜第3規制部81〜83において、第1〜第3上部規制部81a〜83aの上部には、突起部81d〜83dが設けられ、上ケース31aの上面30aには、下ケース31bとの接合時に各突起部81d〜83dに対応する位置に、上面30aを貫通する嵌合穴81h〜83hが設けられている例を説明した。第1〜第3上部規制部81a〜83aの上部に設けられる嵌合部と、上ケース31aにおいて下ケース31bとの接合時に嵌合部に対応する位置に設けられる被嵌合部との間は、互いに嵌合する関係が成立すればよく、必ずしも突起部と嵌合穴である必要はない。
【0165】
以下に、図30〜図32を参照して、第1上部規制部81aの上部に設けられる嵌合部と、上ケース31aにおいて下ケース31bとの接合時に嵌合部に対応する位置に設けられる被嵌合部の構成として、採用可能な組合せを例示する。
【0166】
図30に示す例では、下ケース31bに設けられた第1規制部81において、第1上部規制部81aの上部には、上ケース31aの上面30aの厚みよりも短い突起部81gが形成されている。そして、上ケース31aの上面30aには、下ケース31bとの接合時に突起部81gに対応する位置に、凹部81jが形成されている。よって、上ケース31aと下ケース31bが接合されると、下ケース31bの突起部81gが上ケース31aの凹部81jに嵌合し、上ケース31aと下ケース31bとが固定される。
【0167】
図31に示す例では、下ケース31bに設けられた第1規制部81において、第1上部規制部81aには、貫通孔である嵌合穴81mが形成されている。そして、上ケース31aの上面30aには、下ケース31bとの接合時に嵌合穴81mに対応する位置に、突起部81kが形成されている。よって、上ケース31aと下ケース31bが接合されると、上ケース31aの突起部81kが下ケース31bの嵌合穴81mに嵌合し、上ケース31aと下ケース31bとが固定される。
【0168】
図32に示す例では、下ケース31bに設けられた第1規制部81において、第1上部規制部81aの上部には、凹部81fが形成されている。そして、上ケース31aの上面30aには、下ケース31bとの接合時に凹部81fに対応する位置に、突起部81iが形成されている。よって、上ケース31aと下ケース31bが接合されると、上ケース31aの突起部81iが下ケース31bの凹部81fに嵌合し、上ケース31aと下ケース31bとが固定される。
【0169】
なお、図30〜図32では、第1規制部81を例示して説明したが、同様の組合せを第2規制部82および第3規制部83に採用可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0170】
11 テープ印字装置
8 カセット装着部
10 サーマルヘッド
12 プラテンホルダ
30 テープカセット
30a 上面
30b 底面
31 カセットケース
33 分離壁
34 アーム部
35 アーム前面
35b アーム下部前面
36 規制部材
37 アーム背面
39 ヘッド挿入部
40 第1テープスプール
41 第2テープスプール
42 リボンスプール
46 テープ搬送ローラ
46f 係合リブ
47 案内壁
55 感熱紙テープ
59 フィルムテープ
60 インクリボン
77 開口部
81 第1規制部
81a 第1上部規制部
81b 第1下部規制部
81c 第1印字面側規制部
81d、81g、81k、81i 突起部
81e 規制面
81h、81m 嵌合穴
82 第2規制部
82a 第2上部規制部
82b 第2下部規制部
82d 突起部
82e 第2上部印字面側規制部
82f 第2下部印字面側規制部
82h 嵌合穴
83 第3規制部
83a 第3上部規制部
83b 第3下部規制部
83d 突起部
83h 嵌合穴
100 テープ駆動軸
100a カム部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字ヘッドを備えたテープ印字装置に着脱可能なテープカセットであって、
上面を有する上ケースと、下面および前記下面から上方へ垂直に伸びる外壁である下外壁を有する下ケースとからなるカセットケースと、
前記カセットケース内に回転自在に収納された、印字媒体であるテープが巻回されたテープロールと、
前記カセットケースを上下方向に貫通する空間であって、前記テープカセットが前記テープ印字装置に装着された場合に前記印字ヘッドが挿入されるヘッド挿入部と、
前記下ケースの前記下外壁の一部である第1壁部と、前記第1壁部と前記ヘッド挿入部との間に設けられた、前記下面から上方へ垂直に伸びる壁である第2壁部とを有し、前記テープロールから引き出された前記印字テープを前記第1壁部と前記第2壁部との間で案内するガイド部とを備え、
前記第2壁部は、
前記印字テープのテープ幅方向への移動を規制する第1幅方向規制部材と、
前記印字テープの印字面側への移動を規制し、前記印字テープの搬送経路を前記ヘッド挿入部側に曲折させ、前記ガイド部外へ排出案内する第1印字面側規制部材を備え、
前記第1幅方向規制部材は、上部に嵌合部を備え、
前記上ケースは、前記上ケースと前記下ケースが接合された場合に前記第1幅方向規制部材に設けられた前記嵌合部に対応する位置に、前記第1幅方向規制部材の前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を備えたことを特徴とするテープカセット。
【請求項2】
前記第1印字面側規制部材は、前記印字テープの前記印字面に接触して前記印字テープの前記搬送経路を前記ヘッド挿入部側に曲折させる部分である案内部を有し、前記案内部は、前記テープ幅方向の中心部が前記第1壁部側に突出していることを特徴とする請求項1に記載のテープカセット。
【請求項3】
前記第1幅方向規制部材の前記嵌合部は、凸部、凹部、および穴のいずれかであり、
前記上ケースの被嵌合部は、前記凸部に嵌合する凹部、前記凸部に嵌合する穴、前記凹部に嵌合する凸部、および前記穴に嵌合する凸部のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載のテープカセット。
【請求項4】
前記カセットケース内に回転自在に収納された、前記テープへの印字に使用されるインクリボンが巻回されたリボンロールをさらに備え、
前記ガイド部は、
前記第2壁部と前記ヘッド挿入部との間に設けられた、前記下面から上方へ垂直に伸びる壁である第3壁部をさらに備え、
前記テープロールから引き出された前記印字テープを前記第1壁部と前記第2壁部との間で案内するとともに、前記リボンロールから引き出された前記インクリボンを前記第2壁部と前記第3壁部との間で案内することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のテープカセット。
【請求項5】
前記ガイド部から排出された前記印字テープを前記印字テープの搬送方向下流側に案内するガイド部材と、
前記下ケースにおいて、前記ガイド部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられ、前記印字テープの前記テープ幅方向両側への移動を規制する第2幅方向規制部材と、
前記下ケースにおいて、前記ガイド部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられ、前記印字テープの前記印字面側への移動を規制する第2印字面側規制部材を備え、
前記第2幅方向規制部材は、上部に嵌合部をさらに備え、
前記上ケースは、前記上ケースと前記下ケースが接合された場合に前記第2幅方向規制部材に設けられた前記嵌合部に対応する位置に、前記第2幅方向規制部材の前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のテープカセット。
【請求項6】
前記カセットケース内に回転自在に収納された、前記テープへの印字に使用されるインクリボンが巻回されたリボンロールをさらに備え、
前記第1壁部と前記第2壁部との間で案内され、前記ガイド部から排出された前記印字テープと前記インクリボンとを分離する分離部材をさらに備え、
前記第2幅方向規制部材は、前記下ケースにおいて、前記分離部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられ、
前記第2印字面側規制部材は、前記下ケースにおいて、前記分離部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられたことを特徴とする請求項5に記載のテープカセット。
【請求項7】
前記第2印字面側規制部材は、前記テープ幅方向の上端部および下端部に設けられた、前記印字テープの前記搬送経路側に突出する突出部を有し、前記第2印字面側規制部材の前記突出部のみが前記印字テープの前記印字面側に接触することを特徴とする請求項5または6に記載のテープカセット。
【請求項8】
前記第2幅方向規制部材の前記嵌合部は、凸部、凹部、および穴のいずれかであり、
前記上ケースの被嵌合部は、前記凸部に嵌合する凹部、前記凸部に嵌合する穴、前記凹部に嵌合する凸部、および前記穴に嵌合する凸部のいずれかであることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のテープカセット。
【請求項9】
前記ヘッド挿入部に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられた、前記テープロールから前記印字テープを引き出して搬送するテープ搬送ローラと、
前記下ケースにおいて、前記テープ搬送ローラに対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられた、前記印字テープの前記テープ幅方向への移動を規制する第3幅方向規制部材をさらに備え、
前記第3幅方向規制部材は、上部に嵌合部を備え、
前記上ケースは、前記上ケースと前記下ケースが接合された場合に前記第3幅方向規制部材に設けられた前記嵌合部に対応する位置に、前記第3幅方向規制部材の前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のテープカセット。
【請求項10】
前記テープ搬送ローラは、前記テープ幅方向における下方部が、前記テープカセットが前記テープ印字装置に装着された場合、前記テープ搬送ローラに挿入されて前記テープ搬送ローラを回転駆動する前記テープ印字装置の駆動カムに係合する形状を有することを特徴とする請求項9に記載のテープカセット。
【請求項11】
前記第3幅方向規制部材の前記嵌合部は、凸部、凹部、および穴のいずれかであり、
前記上ケースの被嵌合部は、前記凸部に嵌合する凹部、前記凸部に嵌合する穴、前記凹部に嵌合する凸部、および前記穴に嵌合する凸部のいずれかであることを特徴とする請求項9または10に記載のテープカセット。
【請求項12】
印字ヘッドを備えたテープ印字装置に着脱可能なテープカセットであって、
上面を有する上ケースと、下面および前記下面から上方へ垂直に伸びる外壁である下外壁を有する下ケースとからなるカセットケースと、
前記カセットケース内に回転自在に収納された、印字媒体であるテープが巻回されたテープロールと、
前記カセットケースを上下方向に貫通する空間であって、前記テープカセットが前記テープ印字装置に装着された場合に前記印字ヘッドが挿入されるヘッド挿入部と、
前記下ケースの前記下外壁の一部である第1壁部と、前記第1壁部と前記ヘッド挿入部との間に設けられた、前記下面から上方へ垂直に伸びる壁である第2壁部とを有し、前記テープロールから引き出された前記印字テープを案内するガイド部と、
前記ガイド部から排出された前記印字テープを前記印字テープの搬送方向下流側に案内するガイド部材と、
前記下ケースにおいて、前記ガイド部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられ、前記印字テープの前記テープ幅方向両側への移動を規制する幅方向規制部材と、
前記下ケースにおいて、前記ガイド部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられ、前記印字テープの前記印字面側への移動を規制する印字面側規制部材を備え、
前記幅方向規制部材は、上部に嵌合部を備え、
前記上ケースは、前記上ケースと前記下ケースが接合された場合に前記幅方向規制部材に設けられた前記嵌合部に対応する位置に、前記幅方向規制部材の前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を備えたことを特徴とするテープカセット。
【請求項13】
前記カセットケース内に回転自在に収納された、前記テープへの印字に使用されるインクリボンが巻回されたリボンロールと、
前記第1壁部と前記第2壁部との間で案内され、前記ガイド部から排出された前記印字テープと前記インクリボンとを分離する分離部材をさらに備え、
前記幅方向規制部材は、前記下ケースにおいて、前記分離部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられ、
前記印字面側規制部材は、前記下ケースにおいて、前記分離部材に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられたことを特徴とする請求項12に記載のテープカセット。
【請求項14】
前記印字面側規制部材は、前記テープ幅方向の上端部および下端部に設けられた、前記印字テープの前記搬送経路側に突出する突出部を有し、前記印字面側規制部材の前記突出部のみが前記印字テープの前記印字面側に接触することを特徴とする請求項12または13に記載のテープカセット。
【請求項15】
前記幅方向規制部材の前記嵌合部は、凸部、凹部、および穴のいずれかであり、
前記上ケースの被嵌合部は、前記凸部に嵌合する凹部、前記凸部に嵌合する穴、前記凹部に嵌合する凸部、および前記穴に嵌合する凸部のいずれかであることを特徴とする請求項12乃至14のいずれかに記載のテープカセット。
【請求項16】
印字ヘッドを備えたテープ印字装置に着脱可能なテープカセットであって、
上面を有する上ケースと、下面および前記下面から上方へ垂直に伸びる外壁である下外壁を有する下ケースとからなるカセットケースと、
前記カセットケース内に回転自在に収納された、印字媒体であるテープが巻回されたテープロールと、
前記カセットケースを上下方向に貫通する空間であって、前記テープカセットが前記テープ印字装置に装着された場合に前記印字ヘッドが挿入されるヘッド挿入部と、
前記下ケースの前記下外壁の一部である第1壁部と、前記第1壁部と前記ヘッド挿入部との間に設けられた、前記下面から上方へ垂直に伸びる壁である第2壁部とを有し、前記テープロールから引き出された前記印字テープを案内するガイド部と、
前記ヘッド挿入部に対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられた、前記テープロールから前記印字テープを引き出して搬送するテープ搬送ローラと、
前記下ケースにおいて、前記テープ搬送ローラに対して前記印字テープの前記搬送方向下流側に設けられた、前記印字テープの前記テープ幅方向への移動を規制する幅方向規制部材を備え、
前記幅方向規制部材は、上部に嵌合部を備え、
前記上ケースは、前記上ケースと前記下ケースが接合された場合に前記幅方向規制部材に設けられた前記嵌合部に対応する位置に、前記幅方向規制部材の前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を備えたことを特徴とするテープカセット。
【請求項17】
前記幅方向規制部材の前記嵌合部は、凸部、凹部、および穴のいずれかであり、
前記上ケースの被嵌合部は、前記凸部に嵌合する凹部、前記凸部に嵌合する穴、前記凹部に嵌合する凸部、および前記穴に嵌合する凸部のいずれかであることを特徴とする請求項16に記載のテープカセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2010−234775(P2010−234775A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88241(P2009−88241)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】