説明

テープ打ち抜き装置

【課題】安定した状態でテープを走行させて打ち抜いて電子部品実装フィルムを得ることができるテープ打ち抜き装置を提供する。
【解決手段】長尺状のテープ1からCOF4を打ち抜くものであり、テープ1を供給する供給リール12と、供給リール12から垂れ下がったテープ1を引き上げる引き上げロール16と、テープ1を間欠走行させるスプロケット18と、垂れ下がったテープ1の最下点から引き上げロール16の間に配され、且つ、ほぼ垂直方向に走行するテープ1からCOF4を打ち抜く打ち抜き用金型24とを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置などに用いられる電子部品実装フィルムを打ち抜くテープ打ち抜き装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の液晶表示装置においては、アレイ基板等に実装されるICについては、TAB(Tape Automated Bonding)、TCP(Tape Carrier Package)、COF(Chip On Film)等の電子部品実装フィルムが用いられている。
【0003】
この電子部品実装フィルムは、長尺状のテープに予めIC等のチップが所定間隔毎に取り付けられ、これを打ち抜き装置によって打ち抜いて製造している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−291102公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のテープ打ち抜き装置において、電子部品実装フィルムを打ち抜くべきテープを一対の固定ロールの間に水平に位置させられる。
【0005】
ところで、最近の液晶表示装置においては、TCPに代えて、よりICチップの狭ピッチ化やシュリンクが可能で折り曲げが容易なCOFが主流になりつつある。ところが、COFはTCPに比べテープが薄いため、打ち抜き後のテープの変形等がより顕著になり、テープの搬送が困難になるという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、安定した状態でテープを走行させて打ち抜いて電子部品実装フィルムを得ることができるテープ打ち抜き装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ICチップなどの電子部品が所定間隔毎に取り付けられた長尺状のテープから電子部品実装フィルムを打ち抜くテープ打ち抜き装置であって、前記テープを供給する供給リールと、前記供給リールから垂れ下がった前記テープを引き上げる引き上げロールと、前記テープを間欠走行させるスプロケットと、前記垂れ下がったテープの最下点から前記引き上げロールの間に配され、かつ、略垂直方向に走行する前記テープから前記電子部品実装フィルムを打ち抜く打ち抜き用金型と、を有することを特徴とするテープ打ち抜き装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、垂れ下がったテープの自重によるテープテンションが打ち抜き時に掛かるだけであるため、常に一定の低テープテンションとなり、打ち抜いた電子部品実装フィルムに変形等が起こらない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態のテープ打ち抜き装置10について図1と図2に基づいて説明する。
【0010】
図1は、電子部品実装用フィルムキャリアテープ(以下、単にテープという)1の平面図である。このテープ1は、所定間隔毎にICチップ2が取り付けられ、また、テープ1の両端にはそれぞれ搬送用のスプロケットホール3が所定間隔毎に開口している。そして、テープ打ち抜き装置10によって矩形の点線の部分を打ち抜くことにより、COF4が形成される。
【0011】
図2は、テープ打ち抜き装置10の説明図である。
【0012】
上記で説明したテープ1が、長尺状のスペーサ5と共に供給リール12に巻き付けられている。この供給リール12に巻き付けられたテープ1とスペーサ5は、下方に供給され、スペーサ5だけがスペーサ巻き取りロール14に巻き取られる。一方、垂れ下がったテープ1は、20〜30cm垂れ下がった後に引き上げロール16によって引き上げられ、また、この引き上げロール16によってほぼ水平方向に方向転換され、駆動用スプロケット18を経て巻き取りロール20に至る。
【0013】
駆動用スプロケット18は、モータ22によって駆動され、テープ1を間欠的に走行させる。この駆動用スプロケット18は、テープ1の両端にあるスプロケットホール3に噛み合ってテープ1を走行させる。
【0014】
垂れ下がったテープ1の最下点の位置と、引き上げロール16との間には打ち抜き用金型24が設けられている。この打ち抜き用金型24は打ち抜き台26と打ち抜き刃28とを有し、ほぼ垂直に走行するテープ1を打ち抜き台26によって受けた状態で、打ち抜き刃28で打ち抜きCOF4を得る。また、このテープ1の最下点から打ち抜き台26の間にはテープ1を案内する案内ロール30が設けられている。
【0015】
また、打ち抜き用金型24によって打ち抜かれたCOF4を吸着して、水平なテーブル32に搬送する吸着装置34が設けられている。
【0016】
さらに、テープ1の最下点付近には、上限センサ36、停止センサ38、下限センサ40が設けられている。各センサ36,38,40は、それぞれ発光部と受光部とよりなり、受光部が発光部からの光を受光するか遮光されているかでテープ1の位置を検出する。各センサ36,38,40の役割については後から説明する。
【0017】
次に、テープ打ち抜き装置10の動作状態について説明する。
【0018】
第1の工程では、供給リール12からテープ1を供給し、停止センサ38がそのテープ1を検出するまで供給リール12を回転させる。尚、この場合にテープ1を供給し過ぎて、下限センサ40の受光部が遮光された場合には、駆動用スプロケット18を回転させて垂れ下がったテープ1を少しだけ引き上げる。
【0019】
第2工程においては、駆動用スプロケット18を回転させて、打ち抜き台26の打ち抜き孔の中央部にテープ1のICチップ2が位置するようにして停止させる。
【0020】
第3工程においては、引き上げロール16と案内ロール30を図2においては右側に移動させ、テープ1が打ち抜き台26に密着するようにする。
【0021】
第4工程においては、打ち抜き台26に密着したテープ1を打ち抜き刃28によって打ち抜き、COF4を得る。なお、打ち抜いた後の残りのテープ1は巻き取りロール20に巻き取られる。
【0022】
第5工程においては、打ち抜かれたCOF4を吸着装置34によって真空吸着する。
【0023】
第6工程においては、COF4を真空吸着した吸着装置34を反時計回りに回転させ、水平なテーブル32の上にCOF4を載置し(図2の点線の状態)、吸着装置34の真空吸着を解除する。一方、テーブル32によってCOF4を真空吸着し固定する。
【0024】
第7工程においては、テーブル32に吸着されたCOF4を液晶表示装置のアレイ基板に貼り付けるために搬送用ロボットで搬送する。
【0025】
第8工程においては、第1工程から第7工程を繰り返し、上限センサ36の受光部が発光部からの光を受けるまでその繰り返しを行う。即ち、停止センサ38から上限センサ36の距離の分だけ、供給リール12を回転させないで駆動用スプロケット18のみを間欠的に回転させてテープ1を引き上げCOF4を順番に打ち抜いていく。
【0026】
第9工程においては、上限センサ36の受光部が光を受光した場合には、垂れ下がったテープ1が上限センサ36の位置より上方になったとして、再び供給リール12を回転させてテープ1を供給し、停止センサ38までテープ1を垂れ下がるようにする。以下、上記各工程を繰り返す。
【0027】
上記構成のテープ打ち抜き装置10においては、打ち抜き用金型24によってCOF4を打ち抜く場合に、テープ1は、その自重によって垂れ下がり、テープテンションはその自重によって決まるため、低く、かつ、安定したいテープテンションでテープ1の搬送を行うことが可能である。この場合に、テープ1が打ち抜かれるまで、案内ロール30にも接触せず、非接触でCOF4を打ち抜くことができるため、ICチップ2等に不良が発生したりすることがない。また、低いテープテンションで、かつ、同じテープテンションでCOF4が打ち抜かれるため、COF4が変形したりすることがなく、不良等が発生しない。
【0028】
本発明は上記実施形態に限らず、その主旨を逸脱しない限り種々に変更することができる。
【0029】
例えば、上記実施形態では電子部品実装フィルムとしてCOFを打ち抜く場合について説明したが、これに限らずTABやTCP等においても同様に本発明は用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態を示すテープの平面図である。
【図2】同じくテープ打ち抜き装置の説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 テープ
2 ICチップ
3 スプロケットホール
4 COF
5 スペーサ
10 テープ打ち抜き装置
12 供給リール
14 スペーサ巻き取りロール
16 引き上げロール
18 駆動用スプロケット
20 巻き取りロール
22 モータ
24 打ち抜き部
26 打ち抜き台
28 打ち抜き刃
30 案内ロール
32 テーブル
34 吸着装置
36 上限センサ
38 停止センサ
40 下限センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップなどの電子部品が所定間隔毎に取り付けられた長尺状のテープから電子部品実装フィルムを打ち抜くテープ打ち抜き装置であって、
前記テープを供給する供給リールと、
前記供給リールから垂れ下がった前記テープを引き上げる引き上げロールと、
前記テープを間欠走行させるスプロケットと、
前記垂れ下がったテープの最下点から前記引き上げロールの間に配され、かつ、略垂直方向に走行する前記テープから前記電子部品実装フィルムを打ち抜く打ち抜き用金型と、
を有する
ことを特徴とするテープ打ち抜き装置。
【請求項2】
前記打ち抜き用金型と前記垂れ下がったテープの最下点との間に、前記略垂直方向に走行するテープを案内する案内ロールを有する
ことを特徴とする請求項1記載のテープ打ち抜き装置。
【請求項3】
前記打ち抜き用金型は、
前記略垂直方向に走行するテープを受ける打ち抜き台と、
前記打ち抜き台に対し略水平方向に移動して、前記打ち抜き台に位置する前記テープから前記電子部品実装フィルムを打ち抜く打ち抜き刃と、
を有し、
前記引き上げロールと前記案内ロールは、前記打ち抜き刃と同期して略水平方向に移動する
ことを特徴とする請求項2記載のテープ打ち抜き装置。
【請求項4】
前記垂れ下がったテープの最下点を検出する最下点検出手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載のテープ打ち抜き装置。
【請求項5】
前記打ち抜かれた電子部品実装フィルムを吸着して水平なテーブル上に移動させる吸着手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載のテープ打ち抜き装置。
【請求項6】
前記電子部品実装フィルムがCOFである
ことを特徴とする請求項1記載のテープ打ち抜き装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−214385(P2007−214385A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32999(P2006−32999)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】