説明

テープ貼付装置、保護シートユニット、及び保護シート送り方法

【課題】保護シートを容易に交換することが可能なテープ貼付装置を提供する。
【解決手段】導電テープ36を基板40上に貼り付けるテープ貼付装置10において、導電テープ36を基板40に押圧する貼付ヘッド48と、セパレータ34が積層された導電テープ36を供給する供給リール28と、供給リール28から供給される導電テープ36を案内して、貼付ヘッド48と基板40との間において導電テープ36を第1方向b1へ送る複数のローラ32a〜32gと、供給リール28と同軸に設けられており、導電テープ36が基板40に貼り付けられた後のセパレータ34が巻き取られる巻取リール30と、貼付ヘッド48を保護するための保護シートを第1方向b1と交差する方向である第2方向d1へ送る保護シートユニット22と、保護シートユニット22が着脱可能なベース部16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電テープを基板上に貼り付けるテープ貼付装置に関し、特に、導電テープを貼り付ける貼付ヘッドを保護する保護シートを使用するテープ貼付装置に関する。また、本発明は、保護シートを保持する保護シートユニット、及び保護シートを送るための保護シート送り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示ディスプレイ、プラズマ表示ディスプレイ等は、表示パネル(以下、基板と称す。)と、ICチップ、TCP、COF、FPC等のドライバ用の部品とを備える。部品は、異方性導電テープ(以下、導電テープと称す。)を介して、基板の周縁部近傍に設けられた電極に導電性を確保した状態で接合される。このような表示ディスプレイは、基板の電極上に導電テープを貼り付けるテープ貼付装置と、貼り付けた導電テープ上に部品を載置して仮圧着する装置と、本圧着する装置と、これらの装置を通じて基板を搬送するとともに各装置内で基板を所定位置に配置する基板搬送装置とを備える生産システムにおいて生産される。
【0003】
テープ貼付装置は、導電テープを基板の電極上に貼り付けるために、導電テープを加熱しながら基板に押圧する貼付ヘッドを備える。導電テープには、導電テープ同士の粘着を防ぐためにセパレータが積層されており、貼付ヘッドは、そのセパレータを介して導電テープを押圧する。そのため、導電テープが貼付ヘッドに接触することは少ない。しかし、稀にセパレータからはみ出した導電テープが貼付ヘッドに付着することがある。付着した導電テープが貼付ヘッドで固化すると、導電テープの貼り付け不良の原因となる。
【0004】
従来、導電テープが貼付ヘッドに付着することを防ぐために、導電テープと貼付ヘッドとの間に保護シートを介在させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、貼付ヘッドと、貼付ヘッドの下方で基板の下面を支持するバックアップステージと、接合シート(導電テープ)を第1方向に送る接合シート供給部(導電テープ供給部)と、導電テープと貼付ヘッドとの間に保護シートを介在させて第2方向に送る保護シート供給部とを備える接合膜貼付装置(テープ貼付装置)が記載されており、テープ貼付装置の第1方向の寸法を小さくするために、第1方向と第2方向とが交差するように設けられる。
【0005】
保護シート供給部は、未使用の保護シートを保持する保護シート供給リール(送出部材)と、使用された保護シートを巻き取る保護シート巻取リール(回収部材)とを備える。送出部材は、貼付ヘッド及びバックアップステージより奥側に、回収部材はそれらより手前側に設けられる。
【0006】
保護シートを備えるテープ貼付装置では、送出部材が保持する保護シートを使い切った場合等に保護シートの交換が必要になる。保護シートの交換では、操作者は、使用された保護シートを回収部材から取り外した後に、未使用の保護シートを送出部材に取り付け、その送出部材を貼付ヘッドの奥側に取り付ける。次に操作者は、送出部材が保持する保護シートの端部を持って、貼付ヘッドと導電テープと間を通過させながら保護シートの一端を貼付ヘッドの手前側へ引き出し、その端部を回収部材に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−16523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
未使用の保護シートを保持する送出部材を貼付ヘッドの奥側に取り付ける時、また保護シートの一端を手前に引き出す時には、貼付ヘッドとバックアップステージ又は導電テープとの間の比較的狭い空間を通じた作業となり、非常に手間が掛かる。
【0009】
導電テープが取り付けられている場合には、操作者は導電テープに接触しないように気を配らなければならない。また、貼付ヘッドは、テープ貼付装置の稼働時には通常80〜150℃程度に加熱されるため、操作者は、貼付ヘッドが冷めるまで待つか、あるいは貼付ヘッドに接触しないように気を配りながら作業をしなければならない。
【0010】
このように、従来のテープ貼付装置では、保護シートの交換作業に非常に煩雑なため、作業者の負担が大きいという問題がある。また、保護シートを交換する間はテープ貼付装置を停止させるため、保護シートの交換に長時間要すると、生産効率が低下するという問題もある。
【0011】
近時、表示ディスプレイの大型化が進んでおり、大型の表示ディスプレイを生産するテープ貼付装置には、複数の貼付ヘッドを備えるものがある。このような装置では、貼付ヘッドの数に応じて保護テープの交換に関する操作者への負担が増し、上述の問題はさらに大きくなる。
【0012】
本発明は上述の問題を解決するため、保護シートを容易に交換することが可能なテープ貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題を解決するため、本発明に係るテープ貼付装置の第1の形態は、導電テープを基板上に貼り付けるテープ貼付装置において、導電テープを基板に押圧する貼付ヘッドと、セパレータが積層された導電テープを供給する供給リールと、前記供給リールから供給される導電テープを案内して、前記貼付ヘッドと前記基板との間において導電テープを第1方向へ送るテープ案内部と、前記供給リールと同軸に設けられており、導電テープが基板に貼り付けられた後のセパレータが巻き取られる巻取リールと、前記貼付ヘッドを保護するための保護シートを前記第1方向と交差する方向である第2方向へ送る保護シートユニットと、前記保護シートユニットが着脱可能なベース部とを備える。
【0014】
本発明に係るテープ貼付装置の第2の形態は、第1の形態に係るテープ貼付装置であって、前記ベース部は、保護シートを移動させるための駆動力を提供する保護シート駆動部を有し、前記保護シートユニットは、回収方向に回転することによって、使用された保護シートを回収する回収部材と、前記保護シート駆動部の駆動力を受けて、前記回収部材を前記回収方向にのみ回転させるラッチ機構部と、前記回収部材に回収される保護シートの移動に応じて送出方向に回転することによって、未使用の保護シートを送り出す送出部材と、前記送出方向の前記送出部材の回転を許容するとともに、保護シートに送出方向とは逆の方向へ力が掛かるように前記送出部材を付勢するバックテンション機構部とを備える。
【0015】
本発明に係るテープ貼付装置の第3の形態は、第2の形態に係るテープ貼付装置であって、前記バックテンション機構部は、前記送出部材の回転軸と同軸に固定されており、前記送出方向に向かう鋸歯状の歯を有するバックテンション歯車と、前記バックテンション歯車の歯と係合し、前記送出方向の逆方向に回転させるように付勢されたバックテンション付勢部とを有する。
【0016】
本発明に係るテープ貼付装置の第4の形態は、第2又第3の形態に係るテープ貼付装置であって、前記保護シート駆動部は、一定の範囲内を往復移動する部材であり、前記ラッチ機構部は、前記回収部材の回転軸を中心に回転するように前記回収部材に固定された規正歯車と、前記規正歯車の歯と係合しており、回収方向の逆方向に回転しようとする前記回収部材を係止するとともに、前記回収部材の回収方向の回転を許容する逆回転防止部とを有する。
【0017】
本発明に係るテープ貼付装置の第5の形態は、第4の形態に係るテープ貼付装置であって、前記バックテンション歯車の送り角が、前記規正歯車の送り角より大きい。
【0018】
本発明に係るテープ貼付装置の第6の形態は、第1から第5の形態のいずれかに係るテープ貼付装置であって、テープ貼付装置は、前記供給リールと前記テープ案内部と前記巻取リールとを有し、前記ベース部に着脱可能なテープ保持ユニットを備え、前記ベース部は、前記供給リール及び前記巻取リールを駆動するリール駆動部を有し、前記テープ保持ユニットと前記保護シートユニットとは別体である。
【0019】
本発明に係るテープ貼付装置の第7の形態は、第1から第6の形態のいずれかに係るテープ貼付装置であって、前記保護シートユニットがベース部に取り付けられた場合に、前記保護シートが前記貼付ヘッドに常に接触している。
【0020】
上述の課題を解決するため、本発明に係る保護シートユニットの第1の形態は、貼付ヘッドにより導電テープを基板上に貼り付けるテープ貼付装置に用いられ、当該貼付ヘッドを保護する保護シートを保持する保護シートユニットであって、保護シートを移動させる駆動力を提供する保持シート駆動部を有するベース部に着脱可能な保護シートユニット基部を備え、前記保護シートユニット基部は、前記保護シートユニット基部に設けられており、回収方向に回転することによって、使用された保護シートを回収する回収部材と、保護シート駆動部の駆動力を受けて、前記回収部材を回収方向にのみ回転させるラッチ機構部と、未使用の保護シートを保持し、保護シートを介して前記回収部材の回転に連動して送出方向に回転して、未使用の保護シートを送り出す送出部材と、前記送出部材の送出方向の回転を許容するとともに、送出方向とは逆の方向へ力が掛かるように前記送出部材を付勢するバックテンション機構部とを有する。
【0021】
上述の課題を解決するため、本発明に係る保護シート送り方法の第1の形態は、貼付ヘッドにより導電テープを基板上に貼り付けるテープ貼付装置に用いられ、当該貼付ヘッドを保護する保護シートを保持する保護シートユニットにおいて保護シートを送るための保護シート送り方法であって、前記保護シート保持ユニットを前記テープ貼付装置に取り付け、前記テープ貼付装置に取り付けられた前記保護シート保持ユニットに保護シートを移動させる駆動力を提供し、前記駆動力によって、使用された保護シートを回収するために前記保護シートユニットに備えられた回収部材が回転し、導電テープの送り方向である第1方向と交差する第2方向に並べて前記保護シートユニットに設けられた送出部材が、前記回収部材の回転に連動して送出方向に回転し、前記保護シートユニットに備えられたバックテンション機構部が、前記送出方向とは逆の方向へ力が掛かるように前記送出部材を付勢する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、テープ貼付装置は、ベース部に着脱可能な保護シートユニットを備える。そのため、保護シートユニットをベース部から取り外して、保護シートを交換することができる。これにより、保護シートの交換作業を容易にすることが可能になるとともに、保護シートの交換に要する時間を短縮して、生産効率を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係るテープ貼付装置の概要を示す斜視図である。
【図2】保護シート駆動部及び保護シートユニットを拡大して示す斜視図である。
【図3】保護シート駆動部及び保護シートユニットを左方から見た側面図である。
【図4】保護シートユニット基部の一部を切り欠いて示す、保護シート駆動部及び保護シートユニットの正面図である。
【図5】保護シートユニットの平面図である。
【図6】回収部材、規正歯車及び逆回転防止部の関係を説明するための図である。
【図7】第1の保護シート送り処理において保護シート駆動部が降下した状態を示す図である。
【図8】第1の保護シート送り処理において保護シート駆動部が上昇した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るテープ貼付装置は、基板上にテープ状の異方性導電フィルム(導電テープ)を貼り付ける装置である。テープ貼付装置は通常、テープ貼付装置により貼り付けられた導電テープを仮圧着する仮圧着装置と、仮圧着された導電テープを本圧着する本圧着装置と、これらの装置を通じて基板を搬送するとともに各装置内で基板を所定位置に配置する基板搬送装置とを備える生産システムに備えられる。
【0025】
基板は、例えば、液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネル等の表示パネル等である。基板の周縁近傍には挟ピッチで複数の電極が並べ設けられており、テープ貼付装置は複数の電極を覆うように予め決められた貼付位置に導電テープを貼り付ける。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係るテープ貼付装置10の概要を示す斜視図である。本明細書では、図1に示すように、操作者(OP)を手前とした前後方向(Y方向)、前方から見た左右方向(X方向)、及び鉛直上下方向(Z方向)を用いて説明する。これらの方向は、相対的な位置関係、移動方向等を説明するために用いるだけであり、これによって本発明を限定する趣旨ではない。
【0027】
図1に示すテープ貼付装置10は、装置本体(図示せず)に固定されて左右方向に伸びるベース支持部材12と、ベース支持部材12の下方で装置本体(図示せず)に固定されて左右方向に伸びる下受け支持部材14とを備える。
【0028】
ベース支持部材12には、ベース部16が左右方向(矢印x1が示す方向)及び上下方向(矢印z1が示す方向)に移動可能に設けられる。ベース部16の前面には、テープ保持ユニット18が着脱可能に取り付けられる。また、ベース部16は、その中央近傍から下方に、少なくとも下端が昇降可能な貼付ユニット20を有する。貼付ユニット20には、その下部に保護シートユニット22が着脱可能に取り付けられる。貼付ユニット20は、その下部近傍に保護シートユニット22に駆動力を提供する保護シート駆動部24を有する。保護シート駆動部24の詳細は図2を参照して後に説明する。
【0029】
テープ保持ユニット18は、セパレータ34が積層された導電テープ36を供給し、セパレータ34を回収するユニットであり、後面がベース部16に対向して取り付けられるテープ保持ユニット基部26を有する。テープ保持ユニット基部26の前面には、供給リール28と、巻取リール30と、複数のローラ(32a〜32g等)とが設けられる。
【0030】
供給リール28は、ベース部16に取り付けられたモータ38を駆動源とし、駆動機構を介して伝達される駆動力により回転して、導電テープ36及びセパレータ34を供給する。
【0031】
巻取リール30は、ベース部16に取り付けられたモータ42を駆動源とし、駆動機構を介して伝達される駆動力により回転して、導電テープ36が基板40に貼り付けられた後のセパレータ34を巻き取る。
【0032】
供給リール28と巻取リール30とは、テープ保持ユニット18の上部に同軸に設けられており、いずれもその軸を中心に同一方向に、本実施の形態では右回り(矢印a1及びa2が示す方向)に回転する。
【0033】
複数のローラ(テープ案内部)は、導電テープ36及びセパレータ34を案内する。テープ保持ユニット基部26の左部分に設けられたローラ(32a、32c等)は、供給リール28から貼付ユニット20の下方までセパレータ34が積層された導電テープ36を案内する。テープ保持ユニット基部26の右部分に設けられたローラ(32b、32d〜32g等)は、導電テープ36が貼り付けられた後のセパレータ34を巻取リール30まで案内する。
【0034】
複数のローラは、貼付ユニット20の下方を挟んで対向する第1案内ローラ32aと第2案内ローラ32bとを含む。第1案内ローラ32aと第2案内ローラ32bとは、それぞれ、下端が左右方向に並ぶように貼付ユニット20の左下方及び右下方に配置される。第1及び第2案内ローラ32a,32bの下端にセパレータ34を接触させて案内することによって、導電テープ36及びセパレータ34は、貼付ユニット20と基板40との間で、導電テープ36を下面にして、第1方向としての左方から右方へ向かう方向(矢印b1が示す方向)に送られる。
【0035】
また、複数のローラは適宜、導電テープ36及びセパレータ34を案内する機能以外の機能を備えたローラを含む。例えば、第1調整ローラ32cは、導電テープ36及びセパレータ34の張力を調整する。第2案内ローラ32bは、その右上に狭い間隔で設けられたローラ32dと対をなして左右に移動し、導電テープ36からのセパレータ34の剥離を容易にする剥離ローラとして機能する。駆動ローラ32eは、ピンチローラ32fによりセパレータ34が押しつけられて、セパレータ34を安定的に駆動する。第2調整ローラ32gはセパレータ34の張力を調整する。
【0036】
次に、貼付ユニット20は、貼付ユニット基部44と、ロッド46と、貼付ヘッド48とを有する。
【0037】
貼付ユニット基部44は、ロッド46と貼付ヘッド48とを支持して昇降する(矢印c1参照)。貼付ユニット基部44は、ロッド46に固定されたピストン(図示せず)とそれが上下方向に摺動するシリンダ(図示せず)とを内蔵する。ロッド46は、下端に貼付ヘッド48が固定されており、ピストンに加えられる気体又は液体を媒介とした圧力によって昇降する。貼付ヘッド48は、貼付ユニット基部44又はロッド46の昇降に伴って昇降する(矢印c2が示す方向)。また、貼付ヘッド48は、ヒータ(図示せず)を備える。これによって、貼付ヘッド48の下端が、導電テープ36を基板40に加熱しながら押圧して、導電テープ36を基板40に貼り付ける。
【0038】
保護シートユニット22は、導電テープ36が貼付ヘッド48に付着することを防ぐ保護シート50を貼付ヘッド48の下端の下方に保持するユニットである。保護シートユニット22は、テープ保持ユニット18とは別体に設けられ、図2に拡大して示すように、保護シートユニット基部52が貼付ヘッド48に着脱可能に取り付けられる。
【0039】
保護シートユニット基部52には、図2、図4及び図5に示すように、貼付ヘッド48の下端部よりも前方に配置される筒状の部材である回収部材54と、貼付ヘッド48の下端部よりも後方に配置される筒状又は円柱状の部材である送出部材56とが、それぞれの軸を左右方向に向けて平行に設けられる。
【0040】
回収部材54及び送出部材56には、保護シート50が掛け渡され、これによって、保護シート50は、第2方向としての後方の送出部材56から前方の回収部材54へ向かう方向(矢印d1が示す方向)に適宜送られるとともに、それとは逆の方向の力、すなわち前方から後方へ向かう力(矢印BTが示す方向の力。以下、バックテンションと称す。)を掛けて保持される。
【0041】
このように、貼付ユニット20の下方における導電テープ36の送り方向b1(第1方向)と保護シート50の送り方向d1(第2方向)とが直交しているため、テープ保持ユニット18及びベース部16の第1方向の寸法を小さくすることができる。保護シートユニット22の詳細な構成について、後にさらに説明する。
【0042】
図1を参照すると、下受け支持部材14には、下受け部58が左右方向(矢印x2が示す方向)に移動可能に設けられる。下受け部58は、装置本体から提供される駆動力によって左右に移動し、基板40の貼付位置62に対向する下面を下支えする。
【0043】
なお、供給リール28、巻取リール30、ローラの一部(32b及び32d、32e等)、貼付ユニット基部44、ロッド46等を駆動するための駆動源及びその駆動源により生成される駆動力を伝達する駆動機構は、これまで説明した以外にも適宜、ベース部16等に備えられる。また、ベース部16及び下受け部58のそれぞれを駆動するための駆動源及びそれぞれの駆動源により生成される駆動力を伝達する駆動機構は適宜、装置本体(図示せず)等に備えられる。
【0044】
また、ベース部16、貼付ユニット20、保護シートユニット22、保護シート駆動部24、ローラの一部(32b及び32d、32e等)、下受け部58等の動作、貼付ヘッド48の温度等については、制御部60が予め決められた設定に従って制御する。
【0045】
このような、テープ貼付装置10では、基板搬送装置(図示せず)により基板40がテープ貼付装置10内の所定位置に配置されると、ベース部16と下受け部58とが左右に移動する。これによって、貼付ヘッド48と下受け部58とが、貼付位置62の上下に配置される。その後、基板40の貼付位置62に対向する下面が下受け部58に支持されるとともに、貼付ヘッド48が降下する。貼付ヘッド48の下端が、保護シート50及びセパレータ34を介して導電テープ36を加熱及び押圧して、導電テープ36が基板40の貼付位置62に貼り付けられる。
【0046】
次に、図2〜図6を参照して、保護シート駆動部24及び保護シートユニット22の構成の詳細を説明する。保護シートユニット22は、保護シート50にバックテンションBTを掛けながら、導電テープ36と貼付ヘッド48との間で保護シート50を保持する。また、保護シートユニット22は、保護シート駆動部24が提供する駆動力によって手前方向(矢印d1が示す方向)に保護シート50を送ることができる。
【0047】
まず、保護シート駆動部24は、保護シートユニット22に駆動力を提供できるように貼付ヘッド48に固定されており、本実施の形態では嵌着部64を介して貼付ヘッド48の左方に固定される。嵌着部64は本実施の形態では、貼付ヘッド48の左及び前後の三方側部を囲んで貼付ヘッド48に嵌着し、適宜カシメ、ネジ留め等により貼付ヘッド48に固定される。
【0048】
保護シート駆動部24は間欠的に、例えば導電テープ36を所定回数貼り付ける度に昇降する(矢印e1参照)昇降部材66を有する。昇降部材66は、例えば保護シート駆動部24が有するモータの駆動力(図示せず)によって、所定の範囲内で昇降するロッドである。
【0049】
次に、保護シートユニット22は、貼付ヘッド48の下方を覆う保護シートユニット基部52と、保護シート50が掛け渡される回収部材54及び送出部材56とを有する。
【0050】
保護シートユニット基部52は、前方壁部から上方へ伸びるピン止め部72の孔を介して嵌着部64の穴に嵌合するピン74によって、嵌着部64を介して貼付ヘッド48の所定位置に固定される。また、ピン74を外すことによって、保護シートユニット基部52を貼付ヘッド48から分離することができる。
【0051】
保護シートユニット基部52が固定されると、貼付ヘッド48の下端が、保護シート50に接触して、保護シートユニット基部52の開口部70を通過する(図3及び図4参照)。保護シート50は、貼付ヘッド48に常時接触することになり、貼付ヘッド48と同じ温度で維持される。そのため、貼付ヘッド48が導電テープ36を貼り付ける前に、保護シート50を貼付ヘッド48と同じ温度にまで昇温させる時間を省くことが可能になり、生産効率が上がる。
【0052】
回収部材54は、回収部材54の長軸方向に伸びる回転軸80を有し(図5参照)、回転軸80の両端が保護シートユニット基部52の対向する左右側壁82,84に回転可能に支持される筒状の部材である。保護シートユニット基部52が貼付ヘッド48に取り付けられた場合に、回収部材54の回転軸80は、貼付ヘッド48の下端部よりも前方で左右方向に配置される。
【0053】
回収部材54は、保護シート駆動部24から提供される駆動力によって、回収方向に、本実施の形態では左方から見て左回り(図2の矢印f1が示す方向)に、回転軸80を中心として回転する。これによって、回収部材54は使用済みの保護シート50を回収する。
【0054】
送出部材56は、送出部材56の長軸方向に伸びる回転軸81を有し(図5参照)、回転軸81の両端が保護シートユニット基部52の対向する左右側壁82,84に回転可能に支持される。また、保護シートユニット基部52が貼付ヘッド48に取り付けられた場合に、送出部材56の回転軸81は、貼付ヘッド48の下端部よりも後方に配置される。
【0055】
送出部材56は、回収部材54に回収される保護シート50を介して加えられる回転力によって、送出方向に、本実施の形態では左方から見て左回り(図2の矢印g1が示す方向)に、回転軸81を中心として回転する。これによって、送出部材56が未使用の保護シート50を送り出す。このように、送出部材56が、保護シート駆動部24による回収部材54の回転に保護シート50を介して連動する結果、保護シート50は後方から前方(第2方向)へ移動する。
【0056】
また、送出部材56の回転軸81は、保護シートユニット基部52の左右側壁82,84に設けられた切り欠き部86を通じて、保護シートユニット基部52から取り外すことができる。これによって、送出部材56に未使用の保護シート50を取り付けることが容易になる。
【0057】
保護シートユニット22は、さらに、ラッチ機構部76と、バックテンション機構部78とを有する。ラッチ機構部76は、保護シート駆動部24の駆動力を受けて、回収部材54を回収方向にのみ回転させる機構を構成する。バックテンション機構部78は、送出部材56の送出方向の回転を許容するとともに、保護シート50にバックテンションを掛けて維持する機構を構成する。以下に、ラッチ機構部76及びバックテンション機構部78の詳細について説明する。
【0058】
まず、ラッチ機構部76は、押下部材88と、回転駆動部材90と、規正歯車92と、逆回転防止部94とを有する。押下部材88、回転駆動部材90、規正歯車92、及び逆回転防止部94はいずれも、回収部材54の回転軸80を中心に回転可能である。
【0059】
押下部材88は、2つの細長い第1及び第2板部材96,98の一端部がほぼ直交して結合するL字状の部材であり、保護シートユニット基部52の左側壁82の外側に設けられる。押下部材88は、その結合部分を中心に回転できるように(矢印f3参照)、保護シートユニット基部52に軸支される。
【0060】
第1板部材96の他端部は、押下部材88の中心より後方に配置され、第1板部材96の他端部には、保護シートユニット基部52が貼付ヘッド48に取り付けられた場合に昇降部材66により押下される押下部68が設けられる。すなわち、押下部68は、昇降部材66の下方であって、その降下範囲内に配置され、昇降部材66が降下することによって所定量だけ押し下げられる。
【0061】
また、第1板部材96の中程には、一端が保護シートユニット基部52に固定された第1付勢部材100の他端が取り付けられる。第2板部材98の端部には、一端が保護シートユニット基部52に固定された第2付勢部材102の他端が取り付けられる。第1及び第2付勢部材100,102によって、押下部材88は、押下部68が昇降部材66の下方に位置する基準位置に維持される。
【0062】
従って、昇降部材66が降下して押下部68が押し下げられると、押下部材88は、回収方向に回転し、その後、昇降部材66が上昇すると、押下部材88は、第1及び第2付勢部材100,102の付勢力によって、基準位置に戻る。
【0063】
回転駆動部材90は、図6に示すように、回収部材54の内部に設けられるシャフトである。回転駆動部材90は、押下部材88の回転軸と同軸で、かつ、押下部材88とともに回転(揺動)するように(矢印f5参照)、設けられる。回転駆動部材90は、回収部材54とともにラッチ機構を構成する。このラッチ機構は、回転駆動部材90が回収方向に回転する場合には、回収部材54を回収方向に回転させ、回転駆動部材90が回収方向の逆方向に回転する場合には、回収部材54を回転させない。
【0064】
ラッチ機構には、従来の技術が適宜採用されてよいが、その一例を図6に示す。同図に示すように、回収部材54の内面には、回収方向(矢印f1が示す方向)の逆方向に向かう歯が設けられる。また、回転駆動部材90の表面には、先端部が半径方向に突出しており、基端部を中心に一定の範囲で回転可能な(矢印f6参照)係合爪104が設けられる。係合爪104は、先端部が半径方向に突出するように付勢されている。係合爪104は、回転駆動部材90が回収方向(矢印f1が示す方向)に回転する場合、回収部材54の内面の歯と係合する。これに対して、回転駆動部材90が逆回転する場合、係合爪104は、回収部材54の内面の歯に押されることにより、付勢力に抗して回転駆動部材90の表面に設けられた凹部106に収容される。そのため、回転駆動部材90が逆回転する場合、係合爪104は回収部材54の内面の歯と係合しない。そのため、回収部材54が回転駆動部材90によって回収方向の逆方向に駆動されることはない。なお、回転駆動部材90は、回収部材54とともにラッチ機構を構成するとしたが、ラッチ機構を構成せずに、回収部材54と一体的に構成されてもよい。
【0065】
規正歯車92は、回収部材54に固定された歯車である。押下部68が昇降部材66によって押し下げられると、規正歯車92は送出方向(矢印f2が示す方向)に回転する。押下部68が上昇する際に保護シート50がバックテンションBTによって前方から後方へ戻らないようにするため、規正歯車92は、昇降部材66が1度押下すると少なくとも1ピッチ回転する。好ましくは、規正歯車92は、昇降部材66が1度押下すると5ピッチ程度回転する。
【0066】
逆回転防止部94は、規正歯車92から所定距離離れた基端部を中心に回転可能な部材である(矢印f4参照)。逆回転防止部94は、その先端部が規正歯車92の歯に係合するように、バネ等の付勢部材108により付勢されている。
【0067】
逆回転防止部94の先端は、規正歯車92が送出方向に回転する場合に、規正歯車92の歯の送出方向に向く前面に押されて、付勢力に抗して僅かに回転する。そのため、逆回転防止部94が規正歯車92の送出方向の回転を規制することがなく、規正歯車92は送出方向に回転できる。
【0068】
これに対して、規正歯車92が送出方向の逆方向に回転する場合には、逆回転防止部94の先端は、規正歯車92の歯の背面と互いに押し合う。そのため、規正歯車92は、逆回転防止部94によって係止され、その逆回転が規制される。
【0069】
ここで、規正歯車92の歯の前面とは、各歯が有する2つの面のうち、規正歯車92の送出方向に前を向く面をいい、その反対の面を歯の背面という。歯車の歯の前面及び背面という用語は、以下に同様の意味で用いる。
【0070】
次に、図3を参照して、バックテンション機構部78の詳細について説明する。バックテンション機構部78は、上述のように、送出部材56の送出方向の回転を許容するとともに、保護シート50にバックテンションを掛ける機構を構成し、バックテンション歯車110と、バックテンション付勢部112とを有する。
【0071】
バックテンション歯車110は、送出部材56と同軸で、かつ、送出部材56とともに送出方向(矢印g2が示す方向)に回転するように設けられる。バックテンション歯車110は、送出方向に向かう鋸歯状の歯を有する。バックテンション歯車110の送り角は、規正歯車92の送り角より大きい。
【0072】
ここで、送り角とは、歯車の中心から見た、隣接する歯車間の角度をいう。また、送出方向に向かう鋸歯状の歯とは、各歯の有する全ての面が、バックテンション歯車110の中心軸から見て送出方向に向かう、すなわち、半径方向に伸びるか又は半径方向に対して回転方向に90°未満の角度で傾斜する歯車をいう。
【0073】
バックテンション付勢部112は、バックテンション歯車110の中心より前方に所定距離離れた基端部を中心として回転可能な部材である(矢印g3参照)。バックテンション付勢部112は、先端がバックテンション歯車110の歯の前面に当接しており、また、左方から見て左回りにバネ等の付勢部材114によって付勢されている。これによって、バックテンション歯車110は、左方から見て右回り(送出方向の逆方向)に回転するように付勢される。
【0074】
以上の構成を備えることによって、保護シート50が保護シートユニット基部52に取り付けられると、バックテンション付勢部112がバックテンション歯車110を送出方向の逆方向へ回転させるように付勢する。これによって、保護シート50にはバックテンションBTが掛かる。また、この時、逆回転防止部94が規正歯車92に係合することによって、回収部材54が回収方向とは逆方向に回転することは規制される。そのため、保護シート50が保護シートユニット基部52に取り付けられると、保護シート50はバックテンションBTが掛かったまま維持される。
【0075】
これによって、保護シート50にシワ又はたるみが生じることを防ぐことができる。そのため、保護シート50のシワ又はたるみによって、導電テープ36に伝えられる力又は熱量が不均一になる不具合を防止することが可能になる。また、本実施の形態によれば、コンパクトな保護シートユニット基部52によって、保護シート50にバックテンションを掛けた状態を維持することが可能である。
【0076】
ここから、本実施の形態に係るテープ貼付装置10に関する動作について説明する。
【0077】
(貼り付け処理)
基板搬送装置が、テープ貼付装置10の所定位置に基板40を配置する。貼付ヘッド48及び下受け部58が、左右に移動することによって、基板40の貼付位置62の上下に配置される。下受け部58が基板40の下面を支えるとともに、貼付ヘッド48が降下して導電テープ36を加熱しながら基板40に押圧することによって、導電テープ36が基板40に貼り付けられる。この時、保護シート50が、セパレータ34と貼付ヘッド48との間に介在し、導電テープ36がセパレータ34からはみ出して貼付ヘッド48に付着することを防ぐ。
【0078】
テープ貼付装置10は、順次搬送される基板40の各貼付位置62に対して、導電テープ36の貼り付け処理を順次実行する。
【0079】
(第1の保護シート送り処理:保護シート駆動部24の降下)
貼り付け処理が所定回数、例えば100回実行されると、図7に示すように、保護シート駆動部24が降下する(矢印e2参照)。これによって、押下部68が押し下げられ、押下部材88と回転駆動部材90とが一体的に、押下部材88の基準位置から回収方向に回転する(矢印f7参照)。この回転量は、押下部68が押し下げられる距離に応じた所定の角度である。この時、図6を参照して説明したように、回転駆動部材90の係合爪104が回収部材54の内面の歯と係合するため、回収部材54が回収方向に回転する。これによって、保護シート50には後方から前方へ向かう力が加わり、保護シート50が後方から前方へ移動する。
【0080】
なおこの時、規正歯車92は、逆回転防止部94によって規制されることなく、回収部材54と一体的に回転する(矢印f2参照)。
【0081】
保護シート50に後方から前方へ向かう力が加わることによって、送出部材56及びバックテンション歯車110には送出方向に回転させ力が働く。バックテンション付勢部112は、バックテンション歯車110の歯の前面に押されて、付勢部材114の付勢力に抗して、本実施の形態では左方から見て右回り(矢印g4が示す方向)に回転する。そのため、送出部材56及びバックテンション歯車110が送出方向に回転し、保護シート50は、後方から前方へ移動する。
【0082】
ただし、保護シート駆動部24の第1の降下処理では、バックテンション付勢部112は、バックテンション歯車110の同一の歯に係合したままである。そのため、保護シート50が送出される間、保護シート50にはほぼ一定のバックテンションが掛かる。
【0083】
(第1の保護シート送り処理:保護シート駆動部24の上昇)
保護シート駆動部24は、所定の移動範囲の最下端まで移動した後、図8に示すように、矢印e3が示すように上昇して元の位置に戻る。押下部68に掛かる力がなくなるため、押下部材88に取り付けられた付勢部材100,102の付勢力によって、押下部材88と回転駆動部材90とは一体的に回収方向の逆方向に回転し(矢印f6が示す方向)、押下部材88は基準位置に戻る。この時、回転駆動部材90の係合爪104は回収部材54の内面の歯に押されて凹部106に収容される(図6参照)。そのため、回収方向の逆方向に向けた回転駆動部材90の回転に伴って、回収部材54が回転することはない。
【0084】
また、バックテンション歯車110は、バックテンション付勢部112により送出方向の逆方向に回転させる力(図8の矢印BF2が示す方向の力)により付勢される。そのため、バックテンションBTが掛かる。この力は保護シート50を介して回収部材54に伝達され、回収部材54及び回収部材54に固定された規正歯車92には回収方向の逆方向に回転させる力が働く。しかし、規正歯車92が回収方向の逆方向に回転することは、上述のように逆回転防止部94によって規制される。そのため、回収部材54が回収方向の逆方向に回転することも規制される。従って、保護シート50にバックテンションBTが掛かっても、それによって、回収部材54が回転することはない。その結果、保護シート50は、一定のバックテンションBTが掛かった状態で維持され、保護シート50にシワ又はたるみが生じることが防止できる。
【0085】
(第2の保護シート送り処理:保護シート駆動部24の降下)
貼り付け処理が所定回数、例えば100回実行されると、保護シート駆動部24が降下する。この時の保護シートユニット22の動作は、第1の保護シート送り処理の保護シート駆動部24の降下時における保護シートユニット22の上述した動作と概ね同じである。異なるのは、バックテンション付勢部112が係合するバックテンション歯車110の歯が、隣接する歯に移行することである。バックテンション付勢部112が係合する歯が移行する時、保護シート50に掛かるバックテンションBTが僅かに変動する。
【0086】
(第2の保護シート送り処理:保護シート駆動部24の上昇)
保護シート駆動部24は、所定の移動範囲の最下端まで移動すると、上昇して元の位置に戻る。この時の保護シートユニット22の動作は、第1の保護シート送り処理の保護シート駆動部24の上昇時における保護シートユニット22の上述した動作と同じである。これによって、保護シートユニット22は、図3に示す状態と概ね同じ状態になり、保護シート50は、一定のバックテンションBTが掛かった状態で維持される。この状態で貼り付け処理が実行される。貼り付け処理が所定回数実行されると、上述の第1の保護シート送り処理以降の処理が繰り返される。
【0087】
これまで説明した動作から分かるように、保護シート50が2回送られると、バックテンション付勢部112が係合するバックテンション歯車の歯が1つ移行する。これは、上述の保護シートユニット22の構成で説明したように、バックテンション歯車の送り角が、規正歯車の送り角より大きい範囲で、両送り角を調整することによって実現される。これによって、保護シート50に掛かるバックテンションの変化を小さくすることができる。そのため、保護シート50の送り量を正確に制御することができ、保護シート50を余分に送ることによる無駄を減らすことが可能になる。
【0088】
第1及び第2の保護シート50の送り処理を繰り返すと、送出部材56に保持された保護シート50はやがて全て消費される。送出部材56に保持された未使用の保護シート50を使い切ると、テープ貼付装置10の稼働を一時停止して、保護シート50の交換作業が適宜実行される。本実施の形態の保護シートユニット22における保護シート50の交換作業の具体例について説明する。
【0089】
(保護シート50の交換)
操作者は、ピン74を外し、保護シートユニット22を貼付ヘッド48から取り外す。この時、操作者は、保護シートユニット基部52の前方を基点に後方を貼付ヘッド48から離間させることによって、前方から後方へ向けて下を向くように保護シートユニット基部52を傾斜させた後に手前に引き出す。これによって、貼付ヘッド48の干渉を回避して保護シートユニット基部52を取り外すことができる。
【0090】
回収部材54から使用済みの保護シート50を取り外し、送出部材56に未使用の保護シート50を取り付ける。この時、操作者は、切り欠き部86を通じて送出部材56を適宜取り外して、保護シート50を送出部材56に容易に取り付けることができる。
【0091】
操作者は、保護シート50の一端を回収部材54に取り付ける。具体的には、例えば、回収部材54の表面の長手方向に設けられた溝に保護シート50の一端を挿入した後に、回収部材54を回収方向に数回回転させることによって、保護シート50は回収部材54に取り付けられる。
【0092】
操作者は、貼付ヘッド48との干渉を回避するために、前方より後方が下になるように傾斜させて保護シートユニット基部52を前方から貼付ヘッド48に近づけた後、前方を基点として後方を上に回転させることによって、保護シートユニット基部52を貼付ヘッド48に取り付ける。操作者は、ピン止め部72の孔にピン74を挿入して、保護シートユニット22を貼付ヘッド48に固定する。
【0093】
このように、操作者は保護シートユニット22を貼付ヘッド48から取り外して、使用済みの保護シート50の取り外し及び未使用の保護シート50の取り付けを行うことができる。また、保護シートユニット22の取り付け及び取り外しも、ピン74の付け外しによって容易に行うことができる。そのため、保護シート50の交換を容易に効率よく行うことが可能になる。また、貼付ヘッド48が加熱されていたとしても、操作者が一連の動作において貼付ヘッド48に接触する危険も極めて低く、操作者は交換作業をより安全に行うことが可能になる。
【0094】
また、貼り付け処理によって導電テープ36は消費されるため、導電テープ36の交換も必要になる。導電テープ36の交換は、具体的には、巻取リール30からセパレータ3434を取り外し、セパレータ34が積層された導電テープ36を供給リール28に取り付けて、所定の経路に巻き回すことによって行われる。本実施の形態では、テープ保持ユニット18をベース部16から取り外すことができるため、導電テープ36の交換も容易に行うことができる。
【0095】
さらに、本実施の形態では、テープ保持ユニット18と保護シートユニット22とは別体に構成される。導電テープ36の交換時期と保護シート50の交換時期は異なることが多いが、本実施の形態ではそれぞれを個別に取り外して各交換作業を行うことができる。そのため、導電テープ36及び保護シート50の交換作業をぞれぞれ適切な時期に容易に実行することが可能になる。
【0096】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこの実施の形態に限られない。
【0097】
例えば、実施の形態では、貼付ヘッド48の下方における導電テープ36の送り方向である第1方向は左方から右方へ向かう方向であり、保護シート50の送り方向である第2方向は後方から前方へ向かう方向であるとした。しかし、これらの送り方向は、実施の形態で説明した具体的な送り方向に限定されず、第1方向と第2方向とは互いに交差する方向であればよい。第1及び第2案内ローラ32a,32bは少なくとも保護シートユニット22の第1方向の寸法より大きく離間して配置する必要があるため、第2方向が第1方向と同一である場合、テープ保持ユニット18及びベース部16の第1方向の寸法が大きくなる。第1及び第2方向を交差する方向とすることによって、テープ保持ユニット18及びベース部16の第1方向の寸法を小さくすることができる。
【0098】
例えば、実施の形態では、保護シートユニット22及び保護シート駆動部24が、ベース部16の一部である貼付ヘッド48に取り付けられるとしたが、保護シートユニット22及び保護シート駆動部24が取り付けられるベース部16の具体的な場所はこれに限られない。保護シートユニット22及び保護シート駆動部24は、導電テープ50の貼り付け時に保護シート50が貼付ヘッド48と導電テープ36との間に介在し、また保護シート駆動部24が保護シートユニット22に駆動力を提供できるように、ベース部16に取り付けられればよい。また、保護シート50は、貼付ヘッド48に常時接触していなくてもよい。
【0099】
例えば、実施の形態では、昇降部材66を昇降させる駆動源がモータであるとしたが、ソレノイドのような電磁力又は空圧シリンダ等であってもよい。また、昇降部材66は、適宜設けられた駆動源の駆動力によって所定の範囲内を移動する部材の一例であり、押下部68は、移動する部材と係合して、所定方向へ移動する部材の一例である。
【0100】
例えば、実施の形態では、保護シートユニット基部52は、ピン74によって嵌着部64に分離可能に固定されるとしたが、保護シートユニット基部52はピンに限らず、例えばネジ止め等によってベース部16に分離可能に固定されればよい。
【0101】
例えば、実施の形態では、保護シート50が2回送られると、バックテンション付勢部112が係合するバックテンション歯車の歯が1つ移行するとしたが、これに限られない。バックテンション付勢部112が係合する歯が1つ移行するまでに、保護シート50が複数回送られればよい。このことは、バックテンション歯車の送り角が、規正歯車の送り角より大きい範囲で両送り角を適宜調整することによって実現できる。これによって、実施の形態で説明しように、保護シート50を送る間のバックテンションBTの変化が小さくなり、保護シート50の送り量を正確に制御することができる。そのため、保護シート50を余分に送ることによる無駄を減らすことが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明に係るテープ貼付装置は、導電テープによる貼付ヘッドの汚れを防止する保護シートを有して、導電テープを基板に貼り付ける装置に適用できる。
【符号の説明】
【0103】
10 テープ貼付装置、12 ベース支持部材、14 下受け支持部材、16 ベース部、18 テープ保持ユニット、20 貼付ユニット、22 保護シートユニット、24 保護シート駆動部、26 テープ保持ユニット基部、28 供給リール、32a 第1案内ローラ、32b 第2案内ローラ、34 セパレータ、36 導電テープ、40 基板、42 モータ、44 貼付ユニット基部、48 貼付ヘッド、50 保護シート、52 保護シートユニット基部、54 回収部材、56 送出部材、66 昇降部材、68 押下部、76 ラッチ機構部、78 バックテンション機構部、88 押下部材、90 回転駆動部材、92 規正歯車、94 逆回転防止部、110 バックテンション歯車、112 バックテンション付勢部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電テープを基板上に貼り付けるテープ貼付装置において、
導電テープを基板に押圧する貼付ヘッドと、
セパレータが積層された導電テープを供給する供給リールと、
前記供給リールから供給される導電テープを案内して、前記貼付ヘッドと前記基板との間において導電テープを第1方向へ送るテープ案内部と、
前記供給リールと同軸に設けられており、導電テープが基板に貼り付けられた後のセパレータが巻き取られる巻取リールと、
前記貼付ヘッドを保護するための保護シートを前記第1方向と交差する方向である第2方向へ送る保護シートユニットと、
前記保護シートユニットが着脱可能なベース部とを備える
ことを特徴とするテープ貼付装置。
【請求項2】
前記ベース部は、
保護シートを移動させるための駆動力を提供する保護シート駆動部を有し、
前記保護シートユニットは、
回収方向に回転することによって、使用された保護シートを回収する回収部材と、
前記保護シート駆動部の駆動力を受けて、前記回収部材を前記回収方向にのみ回転させるラッチ機構部と、
前記回収部材に回収される保護シートの移動に応じて送出方向に回転することによって、未使用の保護シートを送り出す送出部材と、
前記送出方向の前記送出部材の回転を許容するとともに、保護シートに送出方向とは逆の方向へ力が掛かるように前記送出部材を付勢するバックテンション機構部とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載のテープ貼付装置。
【請求項3】
前記バックテンション機構部は、
前記送出部材の回転軸と同軸に固定されており、前記送出方向に向かう鋸歯状の歯を有するバックテンション歯車と、
前記バックテンション歯車の歯と係合し、前記送出方向の逆方向に回転させるように付勢されたバックテンション付勢部とを有する
ことを特徴とする請求項2に記載のテープ貼付装置。
【請求項4】
前記保護シート駆動部は、一定の範囲内を往復移動する部材であり、
前記ラッチ機構部は、
前記回収部材の回転軸を中心に回転するように前記回収部材に固定された規正歯車と、
前記規正歯車の歯と係合しており、回収方向の逆方向に回転しようとする前記回収部材を係止するとともに、前記回収部材の回収方向の回転を許容する逆回転防止部とを有する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のテープ貼付装置。
【請求項5】
前記バックテンション歯車の送り角が、前記規正歯車の送り角より大きい
ことを特徴とする請求項4に記載のテープ貼付装置。
【請求項6】
テープ貼付装置は、前記供給リールと前記テープ案内部と前記巻取リールとを有し、前記ベース部に着脱可能なテープ保持ユニットを備え、
前記ベース部は、前記供給リール及び前記巻取リールを駆動するリール駆動部を有し、
前記テープ保持ユニットと前記保護シートユニットとは別体である
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のテープ貼付装置。
【請求項7】
前記保護シートユニットがベース部に取り付けられた場合に、前記保護シートが前記貼付ヘッドに常に接触している
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のテープ貼付装置。
【請求項8】
貼付ヘッドにより導電テープを基板上に貼り付けるテープ貼付装置に用いられ、当該貼付ヘッドを保護する保護シートを保持する保護シートユニットであって、
保護シートを移動させる駆動力を提供する保持シート駆動部を有するベース部に着脱可能な保護シートユニット基部を備え、
前記保護シートユニット基部は、
前記保護シートユニット基部に設けられており、回収方向に回転することによって、使用された保護シートを回収する回収部材と、
保護シート駆動部の駆動力を受けて、前記回収部材を回収方向にのみ回転させるラッチ機構部と、
未使用の保護シートを保持し、保護シートを介して前記回収部材の回転に連動して送出方向に回転して、未使用の保護シートを送り出す送出部材と、
前記送出部材の送出方向の回転を許容するとともに、送出方向とは逆の方向へ力が掛かるように前記送出部材を付勢するバックテンション機構部とを有する
ことを特徴とする保護シートユニット。
【請求項9】
貼付ヘッドにより導電テープを基板上に貼り付けるテープ貼付装置に用いられ、当該貼付ヘッドを保護する保護シートを保持する保護シートユニットにおいて保護シートを送るための保護シート送り方法であって、
前記保護シートユニットを前記テープ貼付装置に取り付け、
前記テープ貼付装置に取り付けられた前記保護シートユニットに保護シートを移動させる駆動力を提供し、
前記駆動力によって、使用された保護シートを回収するために前記保護シートユニットに備えられた回収部材が回転し、
導電テープの送り方向である第1方向と交差する第2方向に並べて前記保護シートユニットに設けられた送出部材が、前記回収部材の回転に連動して送出方向に回転し、
前記保護シートユニットに備えられたバックテンション機構部が、前記送出方向とは逆の方向へ力が掛かるように前記送出部材を付勢する
ことを特徴とする保護シート送り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−176212(P2011−176212A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40309(P2010−40309)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】