説明

テーマパークにて使用する入場券媒体および入退場システム

【課題】自動改札機等の高価な装置を採用せずに安価かつトラブルが少なく信頼性のあるシステムを構築する。一般入場者自らがリーダにかざすシステムとすることで入場処理にかかる時間が短くする。また会場係員を少なくする。
【解決手段】IC素子を含むRFタグを内蔵し、IC素子のID情報が券1枚ごとに異なった番号であり、感熱発色層または感光発色層が塗布または印刷された入場券媒体を用い、入場の際、一般入場者自身が入場券を直接かざすRFタグリーダユニットを用意する。
またRFタグリーダユニットより通信回線を介してRFID情報管理サーバへアクセスすることでサーバ内にて入場券情報の管理ができ、テーマパークへの入退場をすることができるテーマパーク内のRFID情報管理システムが構築でき、安価かつ一般入場者がスムーズに利用できるRFID情報管理入退場システムを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入場券に内蔵されたIC素子のID情報を認証することで、入場者の入退場を管理するRFID情報管理システムを採用している遊園地、イベント会場、テーマパークにおいて、その入場券が使用済み券であることが、人間の眼で見てわかるための入場券への表示方法およびそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、価値の高いイベント会場、遊園地、テーマパーク等で使用される入場券には、偽造防止のためIC素子等のRFタグを内蔵している入場券を使用する場合が増えている。個々のIC素子を含んだ入場券を使用するためRFID情報管理サーバでは入場済みであることを管理することは可能であるが、入場券媒体自身が使用されたかについて人間の眼で見てわからないと金券ショップ、インターネット等で再販されてしまう恐れがある。入場済みである入場券を人が眼で見てわかる方法といえば、駅改札にある自動改札機に入場券を投入し穿孔する、会場アテンダントが入場券に切り掛けを入れるまたは半券をちぎる、入場済みのスタンプを押すなどで対応している。
【0003】
媒体側にマークを付ける事例としては、ICカードに使用済みのマークを印字するものとして特開2000−194804号公報をはじめ多数が公開されている。
【0004】
また、媒体側に対し穿孔を与える事例として、特開2002−260028号公報に示されている。本事例はゲートシステムにおいて認証後、媒体側の共振タグの破壊を目的とし穿孔を与えるものである。
【0005】
また、公知の技術としては愛知万博の入場券システムがあげられる。本システムは入場券に非接触IC素子を内蔵した入場券を採用したにもかかわらず、一般入場者自身がRFタグリーダユニットにかざすタイプのゲートは採用されなかった。一般入場者がかざすタイプのゲートを採用した場合、入場券のID情報を管理するRFID情報管理サーバとしては入場済みフラグが立ちシステム上は成立し、ゲートにて入場済み券を不正に使用された際、アラーム等を上げ係員に知らせることができる。
【0006】
しかしながら入場券媒体自身に何も印をつけない、つまり使用前と使用後で人の眼で見て何ら変わらない場合、金券ショップやインターネット等で再販される恐れがあるとの指摘があり、入場券媒体側に穿孔し人の眼で見て入場済みとわかる手段が必須となった。ゆえに鉄道改札機タイプのゲートを採用し、一般入場者が入場券を投入、入場券にパンチ穴を穿孔する方法を採用している。
【0007】
【特許文献1】特開2000−194804号公報
【特許文献2】特開2002−260028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
RFID情報管理サーバで、入場券に内蔵されているIC素子のIDの認証が済み、入場済みである入場券を人が眼で見てわかる手段といえば、駅改札にある自動改札機に入場券を投入しパンチ穴を開けるなどをする。また、会場アテンダントが入場券に切り掛けを入れる、半券をちぎる、入場済みのスタンプを押すなど考えられる。
【0009】
まず自動改札機を採用した場合の課題について説明する。第一に自動改札機自体が大変高価であり、コストがかかるシステムとなってしまう。さらに自動改札機は複雑なメカ機構を有する装置であるため、環境条件によっては入場券の詰まりやパンチ機構の異常等が発生する可能性がある。同様にエレキ的なトラブルも発生することも考えられる。万が一トラブルが発生した場合は、その都度、装置を停止させ、遠隔より専用保守員がかけつけ対応しなければならない。トラブル要因の解明に時間がかかってしまい、装置を長時間停止させた時は入場待ちの渋滞となり、クレームの要因となりかねない。
【0010】
また、入場券媒体を低コストに抑えようと考えた場合、紙媒体を使用するのが一般的である。紙媒体を使用した時、雨や湿度等の環境条件により媒体自身が変形し、そのような媒体を自動改札機のような複雑なメカに搬送させた場合、入場券の詰まり等のトラブル要因が増える。変形を抑えることを考えると媒体の材質をプラスチック等の硬いものにしなければならないが、コスト面から有効な手段とは言えない。
【0011】
また、後者に記述した会場アテンダントが入場券に切り掛けを入れる、半券をちぎる等の手段では、一日数十万人の来場者がある博覧会や人気のテーマパーク等では入場をさばききれず、この場合こそ頻繁に入場待ちの渋滞をおこしてしまう。また莫大な人件費も必要となってくる。
【0012】
ICカードに使用済みのマークを印字するものとしては特開2000−194804号公報をはじめ多数が公開されているが、自動改札機等の複雑なメカ機構に投入しなければならない構造のもので、一般入場者自身がRFタグリーダユニットにかざすタイプのゲートでは実現できないものと考える。
【0013】
また、特開2002−260028号公報に媒体側に穿孔を与える技術が示されているが、媒体側の共振タグの破壊を目的とし穿孔を与えるものであり、媒体自身を見て使用済みや入場済みなど目視で確認する目的のものではない。また破壊手段も具体的に記載はなく、入場券を自動改札機等の複雑なメカ機構に投入する以外に実現は考えがたく、前者と同様、一般入場者がRFタグリーダユニットにかざすタイプのシステムでは実現ができない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、IC素子を含むRFタグを内蔵し、IC素子のID情報が券1枚ごとに異なった番号であり、感熱発色層、感光発色層にて入場済みの文字、印が塗布または印刷されている入場券と、
その入場券の真偽判定のため、入場者自身がかざす認証を装置で、IC素子を含むRFタグを読取るリーダ機能と、熱を発生させるまたは紫外線を発光し入場者が入場券をかざした後、入場済みであることを入場券媒体側に表示を目的とする感熱部、露光部と、
IDの認証完了および入場券の感光、露光が完了したことを知らせるためのスピーカ、または表示部とを具備したRFタグリーダユニットと、
RFタグリーダユニットとRFID情報管理サーバとを通信回線を介して、その入退場の管理するRFID情報管理システムを構築する。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明では、従来のシステムにあった自動改札機等の高価な装置を採用しないため安価かつトラブルが少なく信頼性のあるシステムを構築できること、一般入場者自らがリーダにかざすシステムとなることで入場処理にかかる時間が短くなること、また会場係員を少なくできることなどの効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
近年、遊園地、イベント会場、テーマパーク等の入場券は、偽造防止のため超小型IC素子とアンテナで構成されるRFタグを内蔵させたものが増えてきている。本発明のシステムは前記入場券を用い、テーマパーク等への入退場の管理が行なえるものである。
【0017】
図1は前記入場券を用いたテーマパーク1のシステムの全体概略図である。
【0018】
テーマパーク1内にはIC素子のID情報を管理するRFID情報管理サーバ5、複数のエリアに複数台設置された入場ゲート2,3が光ファイバ、LAN等の通信回線4で接続されている。
【0019】
次に図2を用いて本システムにて使用する入場券媒体11を説明する。
【0020】
入場券媒体11には超小型IC素子とアンテナで構成されるRFタグ13を内蔵されている。IC素子のID情報はRFID管理サーバで管理するためROMタイプのもので構わない。媒体の材質としては特に任意であるが、コストを考えた場合紙媒体が一般的である。雨等の水対策として親油性材質のコーティングをほどこし、IC素子のみ破壊されないように考えておく。後述する本発明の入場ゲートは、一般入場者自身がタッチするタイプである。従来にあった駅にある自動改札機に投入するタイプではなく、つまり媒体を複雑なメカ機構に搬送させないため、媒体が多少折れたり曲がったりしても入場券が詰まるなどの問題は発生しないため紙媒体で十分である。
【0021】
さらに入場券媒体には入場した際、入場した証拠を示すための文字または印として感熱発色層または感光発色層12を塗布または印刷しておく。
【0022】
感熱材料としては、電子供与性無色染料と電子受容性化合物との反応を利用したもの、ジアゾニウム塩とカプラーとの反応を利用したものなどが広く知られている。また感光材料としては、ハロゲン化銀を利用したものが一般的である。
【0023】
次に図3、図4を用いて本発明の入場ゲートの詳細について説明する。
【0024】
図3は本発明の入場ゲートの概略を示したもの、また図4はRFタグリーダユニット22の詳細を示したものである。
【0025】
本入場ゲートには一般入場者自身が自ら入場券をかざすためのRFタグリーダユニット22が据え付けられており、一般入場者が整列して入場できるような外観21となっている。RFタグリーダユニット22には入場券のRFタグを読取るためのRFタグリーダ23、入場券に印刷または塗布されている感熱発色剤、感光露光剤を感熱、露光させ変色させるための感熱部、感光部24からなる。また入場券のIDが認証したこと、感熱、感光が成立したことを知らせるためのスピーカ25、同様に入場券のIDが認証したこと、感熱、感光が完了したことを知らせるための表示パネル26からなる。さらに一般入場者が入場券をかざす位置を間違えなくするためのガイド27が備え付けられている。
【実施例1】
【0026】
次に一般入場者が直接RFタグリーダユニット22に入場券11をかざし入場する方法について説明する。
【0027】
一般入場者はまず、RFタグ内蔵入場券11を入場ゲート5のRFタグリーダユニット22にかざす。RFタグリーダユニット22には一般入場者が入場券11をかざしやすくするため、ガイド27が設けてある。RFタグリーダ部23で読取った入場券のID情報は通信回線4を介してRFID情報管理サーバ5に送られ、RFID情報管理サーバ5は受け取ったIDの認証をおこなう。
【0028】
入場可能なIDであった場合、RFID情報管理サーバ5はID情報と入場可能である旨の情報をRFタグリーダユニット22に対し返信する。次にRFタグリーダユニットは入場券媒体11に印刷または塗布されている感熱発色剤、感光露光剤12からなる使用済み等の文字、印を感熱、露光させるため、感熱部、感光照射部24より熱または紫外線を照射する。入場券媒体11の感熱発色剤、感光露光剤12が発色する十分な時間、かざされたことを確認した上、入場を許可する電子音または録音された音声がスピーカ25より発せられ、利用者はテーマパークに入場が可能となり、会場内の人気エリア、アトラクション等に足を運ぶこととなる。同様に表示パネル26に入場を許可する表示をすれば、一般入場者はより判りやすい。
【0029】
また、RFID情報管理サーバ5にて使用済み券、不正券等と判定された場合、RFID情報管理サーバ5はRFタグリーダユニット22に対し、ID情報と入場不可である情報を返信する。この時、感熱部、感光照射部24から熱または紫外線を照射されない。また電子音または録音された音声でスピーカ25から入場不可であることが案内される。同様に表示パネル26に入場を許可しない旨表示する。
【0030】
さらに入場ゲート11には必要に応じて、入場可能である時に開くフラップ等を用意してもよい。
【0031】
RFID情報管理サーバ5におけるID情報の管理は、それぞれのID情報に対し、1つまたは決められた複数のアドレス内にその情報が格納される。データ内にはIC素子のID情報、入場券シリアル番号、入場券種、アトラクション会場予約情報などが登録される。入場ゲート2,3より読取られたID情報は、RFID情報管理サーバ5に送られその内容の確認が行われるが、あらかじめそのID情報とアドレスとをRFID情報管理サーバ5のプログラムによりリンクしておけば早いレスポンスが期待できる。RFID情報管理サーバ5内の全ての情報をソートして内容を確認するのではない。そうすることにより、1日に数万人の入場者を見込む大きなテーマパーク等でもスムーズな対応ができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
利用価値が高く、1日に数万人から数十万人の入場者を見込む大きなイベント会場、テーマパーク等で利用される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の管理システムを使用するテーマパークの概略見取り図。
【図2】RFタグが内蔵され、感熱部または感光部が塗布または印刷された入場券媒体。
【図3】本システムにて使用する入場ゲートの概略図。
【図4】本システムにて使用するRFタグリーダユニットの詳細図。
【符号の説明】
【0034】
1…テーマパーク会場、2…エリアAに設置された入場ゲート、3…エリアBに設置された入場ゲート、4…テーマパーク会場内の通信回線、5…RFID情報管理サーバ、11…RFタグが内蔵され、感熱部または感光部が塗布または印刷された入場券媒体、12…感熱または感光により表示される文字または印、13…RFタグ、21…入場ゲート外観、22…RFタグリーダユニット、23…RFタグリーダ部、24…感熱部または感光照射部、25…スピーカ、26…表示パネル、27…入場券をかざしやすくするためのガイド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IC素子を含むRFタグを内蔵し、IC素子のID情報が券1枚ごとに異なった番号である入場券を用い、入場者がテーマパークへの入退場をすることができるテーマパーク内のRFID情報管理システムにおいて、
一般入場者自身が入場ゲートに設置されているRFタグリーダユニットに入場券をかざしてテーマパークへ入退場することでき、入場券がRFタグリーダユニットにかざされた際、入場券にあらかじめ塗布または印刷された感熱発色層または感光発色層が変色し、その入場券が使用されたこと、入場済みであることが人間の眼で見てわかるための入場券への表示手段。
【請求項2】
請求項1のRFID入場管理システムにおいて、
IC素子のID情報を読取るためのRFタグリーダユニットに感熱部または感光露光部が設けてあり、一般入場者自身が入場のためRFタグリーダユニットに入場券をかざした際、かざされた入場券に対して入場券媒体側に塗布または印刷された感熱発色層または感光発色層を発色させるためのRFタグリーダユニット。
【請求項3】
請求項1のRFID入場管理システムにおいて、
IC素子のID情報を読取れなかった場合、入場券側の感熱発色層または感光発色層を発色させるために必要な時間かざされなかった場合、RFタグリーダユニットに内蔵されたスピーカより電子音または録音された音声にて、または同様にRFタグリーダユニットに内蔵された表示パネルにて入場不可であることを入場者へ伝える手段を備えているRFタグリーダユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−156661(P2007−156661A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−348622(P2005−348622)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】