説明

テールピース台車及び連続ベルトコンベアの延長方法

【課題】連続ベルトコンベアを少ない人数で効率良く延長することが可能なテールピース台車及び連続ベルトコンベアの延長方法を提供する。
【解決手段】テールピース台車1は、テールピース部4を載置するための架台5と、延長用枠部材10を所定の位置へ搬送するための搬送装置11と、を備える。延長用枠部材10は、フレーム15と、キャリアローラ16と、リターンローラ17と、から構成されていて、予めトンネル2外で組み立てられている。搬送装置11は、延長用枠部材10を上下方向に移動させるための昇降台20と、架台5上を走行するための走行部21と、を備えている。延長用枠部材10を載置した搬送装置11を架台5上を移動させて、延長用枠部材10を戻り側ベルト9aと送り側ベルト9bとの間の空間Sに配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトを延長することが可能な連続ベルトコンベアのテールピース部が載置されたテールピース台車及びその連続ベルトコンベアの延長方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トンネル工事現場において、地山の掘削により生じる土砂を排出する土砂排出設備の一つとして、連続ベルトコンベアが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、トンネル内の切羽付近に設置され、ベルトを折り返すためのテールピース部と、このテールピース部をトンネルの掘削進度に合わせて前進させるためのテールピース台車と、ベルトを複数回折り返して収納するカセット部と、を備えた連続ベルトコンベアが開示されている。これは、トンネルの掘削進度に合わせてテールピース部を前進させるとともに、カセット部からベルトを繰り出し、新たなベルトコンベア枠を追加して、連続ベルトコンベアを延長するものである。ベルトコンベア枠の追加は、その構成部品であるフレーム、キャリアローラ、リターンローラ等をテールピース台車まで運搬し、テールピース台車上で連続ベルトコンベアに予め決められた順番で取り付けることにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−176692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の連続ベルトコンベアでは、上述したように新たに追加するベルトコンベア枠をテールピース台車上で組み立てるため、次のような問題点があった。
(1)ベルトコンベア枠を組み立てるための足場が狭く、各構成部品を整然と並べるスペースが無いので、作業効率が悪い。
(2)組み立て作業中にフレーム等の部品を支持するための設備が無く、クレーンでこれらの部品を所望の場所まで搬送する等、運搬作業や組み立て作業の大半をクレーンと人力で行う必要があるため、作業効率が悪い。
(3)作業の大半を人力で行うことにより、多くの作業員が必要となり、連続ベルトコンベアの延長作業をトンネル掘削に伴う付帯作業と並行して行うことができない。このため、工期が長くなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、連続ベルトコンベアを少ない人数で効率良く延長することが可能なテールピース台車及び連続ベルトコンベアの延長方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、連続ベルトコンベアのテールピース部を載置したテールピース台車であって、
前記テールピース部を載置するための架台と、
前記連続ベルトコンベアを延長する際に、ベルトコンベア本体に新たに取り付けるための延長用枠部材を支持しつつ、当該延長用枠部材を前記連続ベルトコンベアの送り側ベルトと戻り側ベルトとの間へ搬送するための搬送装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、延長用枠部材を支持しつつ、延長用枠部材を送り側ベルトと戻り側ベルトとの間へ搬送するための搬送装置を備えているため、延長用枠部材を短時間で所定の場所へ搬送することができる。また、搬送装置を用いることにより、少ない人数で搬送作業を行うことができる。これにより、他の作業員は別の作業を行うことができるので、工期を短縮することができる。さらに、予めテールピース台車へ搬送して保管しておいた延長用枠部材を取り付けることができるので、延長用枠部材を取り付け現場にて組み立てることが不要となり、取り付け作業を短時間で効率良く行うことができる。
【0009】
また、本発明において、前記搬送装置は、前記架台上を移動可能な走行部と、前記走行部の端部に、略鉛直に接続されたガイド部と、前記ガイド部に沿って移動可能で、前記延長用枠部材を昇降するための昇降台と、を備えることとすれば、延長用枠部材を所定の位置に精度良く配置することができるので、ベルトコンベア本体への取り付けが容易となり、作業効率が向上する。
【0010】
また、本発明において、前記架台上に設置され、前記延長用枠部材をストックするためのストック用台と、前記ストック用台に載置された前記延長用枠部材を吊り下げながら、前記搬送装置へ搬送するための吊り装置と、を更に備えることとしても良い。
【0011】
本発明によれば、延長用枠部材をテールピース台車にストックすることができるので、連続ベルトコンベアを延長する際に、延長用枠部材をテールピース台車まで搬送する手間が省ける。
また、ストックした延長用枠部材を移動させるための吊り装置を備えているので、クレーン車やユニック車が不必要となる。これにより、従来はクレーン車等が設置されていて使用できなかったスペースを利用して他の作業を行うことができるため、工期を短縮することができる。
【0012】
また、本発明は、連続ベルトコンベアのテールピース部を載置するための架台と、前記連続ベルトコンベアを延長する際に、ベルトコンベア本体に新たに取り付けるための延長用枠部材を支持しつつ、当該延長用枠部材を前記連続ベルトコンベアの送り側ベルトと戻り側ベルトとの間へ搬送するための搬送装置と、を備えるテールピース台車を用いた連続ベルトコンベアの延長方法において、
前記テールピース部を、前記連続ベルトコンベアを延長する方向へ移動させて、前記延長用枠部材を新たに取り付けるための空間を確保する移動工程と、
前記搬送装置に前記延長用枠部材を載置する載置工程と、
前記搬送装置にて前記延長用枠部材を搬送して、前記延長用枠部材を前記空間に配置する配置工程と、
前記延長用枠部材と前記ベルトコンベア本体とを接続する接続工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、延長用枠部材を搬送装置で搬送するので、人力で搬送する場合に比べて、少ない人数で効率良く搬送することができる。また、他の作業員は別の作業を行うことができるので、工期を短縮することができる。
さらに、予めテールピース台車へ搬送して保管しておいた延長用枠部材を取り付けることができるので、延長用枠部材を取り付け現場にて組み立てることが不要となり、取り付け作業を短時間で効率良く行うことができる。
【0014】
本発明において、前記延長用枠部材を前記テールピース台車上に予めストックしておくこととすれば、連続ベルトコンベアを延長する際に、延長用枠部材を構成する部品を個別に運搬する手間が省ける。
【0015】
本発明において、前記移動工程、前記載置工程、前記配置工程及び前記接続工程の少なくともいずれかを、トンネル掘削に伴う付帯作業と並行して当該トンネル坑内で行うこととすれば、工期を大幅に短縮することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、連続ベルトコンベアを少ない人数で効率良く延長することが可能なテールピース台車及び連続ベルトコンベアの延長方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係るテールピース台車の側面図である。
【図2】本実施形態に係るテールピース台車の正断面図である。
【図3】延長用枠部材の平面図である。
【図4】延長用枠部材の側面図である。
【図5】テールピース部を前進させて送り側ベルトと戻り側ベルトとの間に空間を形成した状態を示す側面図である。
【図6】テールピース部を前進させて送り側ベルトと戻り側ベルトとの間に空間を形成した状態を示す正断面図である。
【図7】搬送装置を張り出しブラケット上に移動させた状態を示す正断面図である。
【図8】延長用枠部材を吊り装置で吊り下げた状態を示す正断面図である。
【図9】延長用枠部材を搬送装置の昇降台上に載置する状態を示す側面図である。
【図10】延長用枠部材を搬送装置の昇降台上に載置する状態を示す正断面図である。
【図11】延長用枠部材を送り側ベルトと戻り側ベルトとの間に配置した状態を示す側面図である。
【図12】延長用枠部材を送り側ベルトと戻り側ベルトとの間に配置した状態を示す正断面図である。
【図13】搬送装置の昇降台を上昇させて、延長用枠部材を所定の高さ位置に設置した状態を示す側面図である。
【図14】搬送装置の昇降台を上昇させて、延長用枠部材を所定の高さ位置に設置した状態を示す正断面図である。
【図15】昇降台を降下させてベルトを回転可能な状態にした側面図である。
【図16】昇降台を降下させてベルトを回転可能な状態にした正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
図1及び図2は、それぞれ本実施形態に係るテールピース台車1をトンネル2内に設置した状態を示す側面図及び正断面図である。
図1及び図2に示すように、テールピース台車1は、連続ベルトコンベア3のテールピース部4を載置するための架台5と、架台5を走行させるための無限軌道車6と、連続ベルトコンベア3を延長する際に、ベルトコンベア本体8に新たに取り付けられる延長用枠部材10を所定の位置へ搬送するための搬送装置11と、延長用枠部材10をストックするためのストック用台12と、ストック用台12に載置された延長用枠部材10を吊り下げながら、搬送装置11へ移動させるための吊り装置13と、架台5の側方に突出して、一時的に作業スペースを拡げるための張り出しブラケット14と、を備える。
【0020】
架台5は、トンネル2の軸方向(以下、トンネル軸方向という。)に延設された板状の鋼板等からなり、この上面にテールピース部4、搬送装置11及びストック用台12が設置されている。
なお、連続ベルトコンベア3の周りには、多くの各種設備が設置されているが、本発明の説明上、不要であるため、図示を省略している。
【0021】
無限軌道車6は、例えば、自走可能なクローラーを用いる。なお、本実施形態においては、クローラーを用いたが、これに限定されるものではなく、架台5を前後進させることができるものであれば他の機構を用いても良く、例えば、レール上を車輪で走行させても良い。
【0022】
図3及び図4は、それぞれ延長用枠部材10の平面図及び側面図である。
図3及び図4に示すように、延長用枠部材10は、左右一対のフレーム15と、フレーム15に固着した軸受ユニットに軸支され、ベルト9を支持するためのキャリアローラ16と、フレーム15に固着した軸受部材に軸支され、ベルト9同士の接触を防止するためのリターンローラ17と、から構成されており、予めトンネル2外で組み立てられている。
【0023】
フレーム15の両端には、ボルトを挿通させるための穴18が設けられており、既設のベルトコンベア本体8の枠19(図1参照)にボルト・ナットにて接続される。
【0024】
本実施形態では、このように組み立てられた状態の延長用枠部材10のフレーム15をベルトコンベア本体8の枠19に接続するだけなので、短時間で取り付け作業を行うことができる。
【0025】
また、延長用枠部材10は、ストック用台12(図2参照)に載置されている。ストック用台12は、連続ベルトコンベア3よりも上方に設置され、複数の延長用枠部材10を上下に重ねた状態でストックすることができる。
【0026】
また、搬送装置11は、延長用枠部材10を取り付け位置へ搬送するためのものであり、図1及び図2に示すように、架台5上を移動するための走行部21と、走行部21の端部に、略鉛直に接続されたガイド部33と、ガイド部33に沿って移動可能で、延長用枠部材10を昇降するための昇降台20と、回転させることにより昇降台20を昇降可能なハンドル34と、を備えており、搬送装置11は、側方が開いた縦断面コの字型の形状を有する。
【0027】
したがって、ハンドル34を回転させて昇降台20をガイド部33に沿って昇降させることにより、ストック用台12から吊り装置13で昇降台20上に載置された延長用枠部材10を、ベルトコンベア本体8の枠19の高さ位置に設置することができる。
【0028】
また、走行部21は、コの字型の底辺を構成し、側縁部にガイド部33が立設された基板21aと、架台5の上面に敷設された一対のレール22上を走行するための車輪21bと、車輪21bが取り付けられた基板21cと、基板21cの上面に敷設された一対のレール21dと、基板21aに取り付けられ、一対のレール21d上を走行するための車輪21eと、から構成されている。
【0029】
一対のレール22は、架台5の上面に、トンネル軸方向に対して直交する方向(以下、トンネル幅方向という。)に敷設されており、図2中の左側の端部には、車輪21bの脱落を防止するとともに、延長用枠部材10の水平方向の位置決めの役割を果たすストッパー24が取り付けられている。
【0030】
また、一対のレール21dは、基板21cの上面に、トンネル軸方向に敷設されており、両端部には、車輪21eの脱落を防止するためのストッパー(図示しない)が取り付けられている。
【0031】
上述したように、搬送装置11は縦断面がコの字型の形状を有しているので、この搬送装置11をレール22に沿ってトンネル幅方向に移動させることにより、昇降台20上の延長用枠部材10を戻り側ベルト9aと送り側ベルト9bとの間に側方から差し込み、走行部21を戻り側ベルト9aの下側に配置することができる。また、レール22上を車輪21bで移動するため、延長用枠部材10のトンネル幅方向の位置を微調整することができる。
【0032】
さらに、搬送装置11をレール21dに沿ってトンネル軸方向に移動させることにより、戻り側ベルト9aと送り側ベルト9bとの間に配置された延長用枠部材10をトンネル軸方向に移動させることができる。また、レール21d上を車輪21eで移動するため、延長用枠部材10のトンネル軸方向の位置を微調整することができる。
【0033】
張り出しブラケット14は、後述する図7に示すように、架台5の壁32と反対側の側面29に蝶番25で取り付けられた板状の鋼板26と、上記側面29に蝶番27で取り付けられ、鋼板26を支持するためのブラケット28と、鋼板26の上面に敷設された一対のレール30と、から構成されている。この張り出しブラケット14は、鋼板26を上方に回動させて側方に張り出した状態にし、ブラケット28を回動させて側方に張り出して、鋼板26の下面をブラケット28で支持すると、鋼板26の上面の高さが架台5の上面の高さと同一になるように配置されている。
【0034】
この鋼板26の上面に敷設されたレール30は、架台5の上面に敷設されたレール22の延長線上に配置されている。このため、搬送装置11は張り出しブラケット14上までレール30及びレール22上を走行して移動することができる。
【0035】
また、図7中のレール30の右側の端部には、搬送装置11の車輪21bの脱落を防止するためのストッパー31が取り付けられている。
【0036】
なお、鋼板26及びブラケット28は、使用時以外は、図2に示すように、側面29に沿う状態にされている。
【0037】
次に、上述した構成からなるテールピース台車1を用いた連続ベルトコンベア3の延長方法について、作業手順に従って説明する。
【0038】
連続ベルトコンベア3を延長する際には、新たな延長用枠部材10を取り付けるための空間を確保するために、まず、テールピース部4を前進させる(移動工程)。
【0039】
図5及び図6は、それぞれテールピース部4を前進させて戻り側ベルト9aと送り側ベルト9bとの間に空間Sを形成した状態を示す側面図及び正断面図である。
図5及び図6に示すように、無限軌道車6により、テールピース部4を切羽側に前進させて、戻り側ベルト9aと送り側ベルト9bとの間に、新たな延長用枠部材10を取り付けるための空間Sを確保する。テールピース部4を前進させる距離は、追加する延長用枠部材10のフレーム15の長さよりもわずかに大きくする。
【0040】
次に、図7に示すように、張り出しブラケット14をトンネル2の壁32と反対側に張り出して、搬送装置11を架台5上から張り出しブラケット14上へレール22及びレール30上を走行して移動させる。
【0041】
次に、図8に示すように、ストック用台12にストックされている延長用枠部材10を吊り装置13で吊り下げて、張り出しブラケット14の上方へ移動させる。
【0042】
次に、図9及び図10に示すように、延長用枠部材10を降下させて搬送装置11の昇降台20上に載置する(載置工程)。
【0043】
次に、図11及び図12に示すように、搬送装置11をトンネル幅方向の左側へ移動させて、延長用枠部材10を上記空間Sに配置する(配置工程)。このとき、レール22に設けられたストッパー24に車輪21bを当接させることにより、延長用枠部材10はトンネル幅方向の所定の位置に配置される。
【0044】
なお、延長用枠部材10を上記空間Sに配置する際に、延長用枠部材10及び昇降台20が戻り側ベルト9aや送り側ベルト9bに接触しないように、昇降台20を昇降させて高さを調整する。
【0045】
また、上述したように、延長用枠部材10を載置した状態で昇降台20を戻り側ベルト9aと送り側ベルト9bとの間に差し込むことを考慮して、予め延長用枠部材10を昇降台20に載置する際に、昇降台20の高さを戻り側ベルト9aの高さよりもやや高くなるように調整しておくことが望ましい。この調整を行っておくことにより、張り出しブラケット14上から連続ベルトコンベア3へ向かって搬送装置11を移動させる際に、昇降台20を昇降させること無く、そのまま横移動させるだけで延長用枠部材10を戻り側ベルト9aと送り側ベルト9bとの間に差し込むことができるので、短時間で効率良く移動させることができる。
【0046】
次に、図13及び図14に示すように、昇降台20を上昇させて、延長用枠部材10のフレーム15をベルトコンベア本体8の枠19に接続可能な高さまで上昇させる。
【0047】
次に、搬送装置11をトンネル軸方向へ前後させて、延長用枠部材10のフレーム15の穴18の位置を、既設のベルトコンベア本体8の枠19の穴の位置と一致させることにより、延長用枠部材10はトンネル軸方向の所定の位置に配置される。
【0048】
そして、延長用枠部材10のフレーム15の両端部をベルトコンベア本体8の枠19にボルト等で接続する(接続工程)。
【0049】
延長用枠部材10は、すでに組み立てられているので、フレーム15を接続するだけで良い。また、張り出しブラケット14を下方へ回動させて元の状態に戻す。
【0050】
最後に、図15及び図16に示すように、延長用枠部材10を支持していた昇降台20を、ベルト9が回転しても戻り側ベルト9a及び送り側ベルト9bに接触しない高さまで降下させる(降下工程)。
【0051】
以上の工程により、上記空間Sに延長用枠部材10を設置して、連続ベルトコンベア3を延長することができる。なお、連続ベルトコンベア3を延長した分のベルト9は、坑口側に設置されたベルト収納用のカセット部(図示しない)から繰り出される。
【0052】
以上説明した本実施形態におけるテールピース台車1によれば、縦断面形状がコの字型で側方が開いた搬送装置11を備えているため、延長用枠部材10を戻り側ベルト9aと送り側ベルト9bとの間の上記空間Sへ短時間で効率良く搬送することができる。また、搬送装置11を用いることにより、少ない人数で搬送作業を行うことができる。これにより、他の作業員は別の作業を行うことができるので、工期を短縮することができる。
【0053】
また、搬送装置11は、昇降台20と、走行部21と、ガイド部33と、を備えているため、架台5上をトンネル幅方向、トンネル軸方向、及び上下方向に移動することができる。これにより、延長用枠部材10を所定の位置に精度良く配置することができるので、ベルトコンベア本体8への取り付けが容易となり、作業効率が向上する。
【0054】
また、複数の延長用枠部材10をテールピース台車1上に予めストックすることができるので、連続ベルトコンベア3を延長する際に、延長用枠部材10をテールピース台車1まで運搬する手間が省ける。さらに、ストックした延長用枠部材10を移動させるための吊り装置13を備えているので、クレーン車やユニック車が不必要となる。これにより、従来はクレーン車等が設置されていて使用できなかったスペースを利用して他の作業を行うことができる。
【0055】
延長用枠部材10は予め組み立てられているので、テールピース台車1へ延長用枠部材10を構成する部品を個別に運搬する手間が省ける。また、短時間でベルトコンベア本体8に接続することができる。
【0056】
なお、移動工程、載置工程、配置工程及び接続工程の少なくともいずれかを、トンネル2掘削に伴う付帯作業と並行して行うこととすれば、工程を大幅に短縮することができる。
【0057】
なお、本実施形態においては、走行部21は、レール22、30上を走行させる機構としたが、これに限定されるものではなく、移動可能な機構であれば良く、例えば、タイヤで走行させても良い。
【符号の説明】
【0058】
1 テールピース台車
2 トンネル
3 連続ベルトコンベア
4 テールピース部
5 架台
6 無限軌道車
8 ベルトコンベア本体
9 ベルト
9a 戻り側ベルト
9b 送り側ベルト
10 延長用枠部材
11 搬送装置
12 ストック用台
13 吊り装置
14 張り出しブラケット
15 フレーム
16 キャリアローラ
17 リターンローラ
18 穴
19 枠
20 昇降台
21 走行部
21a 基板
21b 車輪
21c 基板
21d レール
21e 車輪
22 レール
24 ストッパー
25 蝶番
26 鋼板
27 蝶番
28 ブラケット
29 側面
30 レール
31 ストッパー
32 壁
33 ガイド部
34 ハンドル
S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続ベルトコンベアのテールピース部を載置したテールピース台車であって、
前記テールピース部を載置するための架台と、
前記連続ベルトコンベアを延長する際に、ベルトコンベア本体に新たに取り付けるための延長用枠部材を支持しつつ、当該延長用枠部材を前記連続ベルトコンベアの送り側ベルトと戻り側ベルトとの間へ搬送するための搬送装置と、を備えることを特徴とするテールピース台車。
【請求項2】
前記搬送装置は、
前記架台上を移動可能な走行部と、
前記走行部の端部に、略鉛直に接続されたガイド部と、
前記ガイド部に沿って移動可能で、前記延長用枠部材を昇降するための昇降台と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のテールピース台車。
【請求項3】
前記架台上に設置され、前記延長用枠部材をストックするためのストック用台と、
前記ストック用台に載置された前記延長用枠部材を吊り下げながら、前記搬送装置へ搬送するための吊り装置と、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のテールピース台車。
【請求項4】
連続ベルトコンベアのテールピース部を載置するための架台と、前記連続ベルトコンベアを延長する際に、ベルトコンベア本体に新たに取り付けるための延長用枠部材を支持しつつ、当該延長用枠部材を前記連続ベルトコンベアの送り側ベルトと戻り側ベルトとの間へ搬送するための搬送装置と、を備えるテールピース台車を用いた連続ベルトコンベアの延長方法において、
前記テールピース部を、前記連続ベルトコンベアを延長する方向へ移動させて、前記延長用枠部材を新たに取り付けるための空間を確保する移動工程と、
前記搬送装置に前記延長用枠部材を載置する載置工程と、
前記搬送装置にて前記延長用枠部材を搬送して、前記延長用枠部材を前記空間に配置する配置工程と、
前記延長用枠部材と前記ベルトコンベア本体とを接続する接続工程と、を備えることを特徴とする連続ベルトコンベアの延長方法。
【請求項5】
前記延長用枠部材を前記テールピース台車上に予めストックしておくことを特徴とする請求項4に記載の連続ベルトコンベアの延長方法。
【請求項6】
前記移動工程、前記載置工程、前記配置工程及び前記接続工程の少なくともいずれかを、トンネル掘削に伴う付帯作業と並行して当該トンネル坑内で行うことを特徴とする請求項4に記載の連続ベルトコンベアの延長方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−47209(P2011−47209A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197081(P2009−197081)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】