説明

ディスクの誤挿入防止機構

【課題】ディスク装置全体の奥行き寸法を小型化するのに好適で構造も簡単な「ディスクの誤挿入防止機構」を提供すること。
【解決手段】挿入口3aを有する前面板の外表面に一対の回動アーム4,5を軸支し、両回動アーム4,5を逆方向に同期回転するようにギア結合すると共に、両回動アーム4,5をスプリング10によって挿入口3aの閉塞方向へ回動付勢する。一方の回動アーム5の回動支点から離れた先端側に規制突起5dを折曲形成し、プレイ状態等に挿入口3aを斜めに横切る閉塞位置に保持された両回動アーム4,5に向けてディスクDが誤挿入されたとき、該ディスクDにおける挿入方向先端側の周縁部を規制突起5dにオーバーラップさせて当接することにより、ディスクDの挿入力で回動アーム5を閉塞方向へ押し付けて開放方向への回転が阻止されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVD等のディスクに対して情報の再生および/または記録が可能なディスク装置に係り、特に、前面板に設けられた挿入口からディスクを挿入/排出するスロットイン方式のディスク装置に備えられるディスクの誤挿入防止機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ディスク装置の外殻を構成する筐体の前面板にスリット状の挿入口を開設すると共に、この前面板にその外表面に沿って回動可能なシャッタ部材を配設し、ディスクが装置内に装填されているときに挿入口をシャッタ部材で閉塞することにより、装置内に別のディスクが挿入されるのを避けるようにした誤挿入防止機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。前記シャッタ部材は互いに逆方向へ同期回転するようにギア結合された一対の回動アームからなり、これら回動アームはスプリングの弾発力によって閉塞方向へ付勢されている。また、一方の回動アームには先端側を前面板の外表面に弾接させた板ばねが片持ち状に取り付けられており、前面板にはこの回動アームの回動軌跡内に突出するストッパが設けられている。
【0003】
このように概略構成されたディスクの誤挿入防止機構では、ディスクを装置内に装填可能なローディングスタンバイ状態にあるとき、両回動アームはディスク搬送機構等からの駆動力を受けて開放位置まで回転駆動されているため、挿入口はディスクの挿入を許可している。この場合、一方の回動アームは板ばねの弾発力によって前面板の外表面から離間しているため、該回動アームはストッパと当接することなく前面板の外表面に沿って回動できる。一方、ディスクが装置内に装填されてプレイ状態等にあるとき、両回動アームはスプリングの付勢力で挿入口を斜めに横切る閉塞位置に保持されているため、別のディスクを挿入口内に挿入しようとすると、該ディスクの挿入力によって一方の回動アームが板ばねの弾発力に抗して前面板の外表面側に押し付けられる。その結果、この回動アームがストッパに当接してロック状態となるため、装置内に別のディスクが誤挿入されることを回動アームによって防止することができる。また、装置内に装填されたディスクを排出するイジェクト時は、挿入口を斜めに閉塞している両回動アームの裏面にディスクの外周縁を突き当てることにより、ディスクの排出力によって両回動アームがスプリングの弾発力に抗して開放方向へ回動する。
【特許文献1】特開2005−267781号公報(第7−8頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、特許文献1に開示された従来技術によるディスクの誤挿入防止機構は、シャッタ部材である一対の回動アームを前面板の外表面に沿って回動可能に配設したにも拘わらず、これら回動アームによって装置内に別のディスクが誤挿入されることを確実に防止することができるため、シャッタ部材が前面板の外方へ回動して挿入口を開放するフラップ式のものに比べると、ディスク装置全体の奥行き寸法を小型化できるという利点がある。しかしながら、回動アームをその回動軌跡内に突出するストッパに対して選択的に当接させる構成となっているため、回動アームを前面板の外表面に対して接離させるための板ばねが必要となり、この板ばねによって部品コストや組立コストが高騰するという問題があった。また、回動アームの回動に伴って板ばねが自身の弾発力を受けながら前面板の外表面上を摺動するため、板ばねと前面板間の摩擦力によって回動アームの駆動負荷が大きくなったり摩耗粉が発生するという問題もあった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ディスク装置全体の奥行き寸法を小型化するのに好適で構造も簡単なディスクの誤挿入防止機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前面板の外表面に沿って回動可能な回動アームを挿入口に対するシャッタ部材として用いると共に、この回動アームの回動支点から離れた先端側に規制突起を設け、プレイ状態等に挿入口を斜めに横切る閉塞位置に保持された回動アームに向けてディスクが挿入されたとき、該ディスクの挿入方向先端側の周縁部を規制突起にオーバーラップさせて当接することにより、該ディスクの挿入力で回動アームを閉塞方向へ押し付けて開放方向への回転が阻止されるようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるディスクの誤挿入防止機構は、シャッタ部材である回動アームの回動支点から離れた先端側に規制突起を設け、挿入口を斜めに横切る閉塞位置に保持された回動アームに向けてディスクが挿入されたとき、該ディスクの挿入方向先端側の周縁部と規制突起とをオーバーラップさせて両者を当接するようにしたので、前面板の前方に必要とされるシャッタ部材の収納スペースを削減してディスク装置全体の奥行き寸法を小型化した上で、回動アームに規制突起を設けるという極めて簡単な構成によって装置内に別のディスクが誤挿入されるのを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明によるディスクの誤挿入防止機構では、ディスクを挿入および排出するためのスリット状の挿入口が設けられた前面板と、この前面板の外表面に沿って回動可能な回動アームと、この回動アームを一方向へ回動付勢して前記挿入口を斜めに横切る閉塞位置に保持するばね部材と、前記回動アームを前記ばね部材の付勢力に抗して他方向へ回転駆動して前記挿入口から離れた開放位置に保持する駆動手段とを備え、前記回動アームの回動支点から離れた先端側に規制突起を設け、前記挿入口の閉塞位置にある前記回動アームに向けてディスクが挿入されたとき、該ディスクの挿入方向先端側の周縁部に前記規制突起を当接させることにより、該回動アームの開放方向への回転が阻止されるように構成した。
【0009】
このように構成されたディスクの誤挿入防止機構によれば、回動アームがばね部材に付勢されて挿入口を斜めに横切る閉塞位置に保持されているときに、この回動アームに向けてディスクが挿入されると、該ディスクの挿入方向先端側の周縁部と回動アームに設けた規制突起とがオーバーラップして両者が当接することにより、該ディスクの挿入力で回動アームが閉塞方向へ押し付けられて開放方向への回転が阻止されるため、前面板の前方に必要とされるシャッタ部材の収納スペースを削減してディスク装置全体の奥行き寸法を小型化した上で、回動アームに規制突起を設けるという極めて簡単な構成によって装置内に別のディスクが誤挿入されるのを確実に防止することができる。また、回動アームを前面板の外表面に対して接離させる板ばねが不要となるため、回動アームの回動負荷を低減できると共に摩耗粉の発生も抑制できる。
【0010】
上記の構成において、前記回動アームの材料は合成樹脂よりも剛性の高い金属板が良く、この場合、回動アームの一側縁に前面板の外表面に対して起立方向へ突出する折曲湾曲部を形成すると共に、この折曲湾曲部の一部から前記規制突起を突出させることが好ましい。このように構成すると、金属板からなる回動アームの機械的強度を折曲湾曲部によって高めることができると共に、ディスクのイジェクト時に、挿入口内で傾斜している折曲湾曲部の裏面側にディスクの外周縁が当接して回動アームを回動させるため、ディスクの損傷を防止することができる。
【0011】
また、上記の構成において、1つの回動アームを用いて挿入口を開閉するようにしても良いが、回動アームが前面板の外表面に軸支された第1および第2の回動アームからなり、これら2つの回動アームの端部同士を互いに逆方向へ同期回転するようにギア結合すると共に、これら第1および第2の回動アームの少なくとも一方に規制突起を設ける構成にすると、ディスクが挿入口の中心から外れた端部位置から挿入された場合でも、ディスクの誤挿入を確実に防止することができて好ましい。
【実施例】
【0012】
実施例について図面を参照して説明すると、図1はチェンジャ型ディスク装置の要部を示す断面図、図2は回動アームが閉鎖位置にあるときの誤挿入防止機構を示す正面図、図3は回動アームが開放位置にあるときの誤挿入防止機構を示す正面図、図4は誤挿入防止機構の要部を示す斜視図、図5は可変動力部の内部機構を示す裏面図、図6は可変動力部の内部機構を示す平面図、図7はディスクのイジェクト時における誤挿入防止機構の斜視図、図8は開放位置にある回動アームとディスクとの関係を示す要部平面図である。
【0013】
本実施例に係るチェンジャ型ディスク装置は、外形寸法が8cmのディスクD(小径ディスク)と12cmのディスクD(大径ディスク)をそれぞれ再生可能で、かつ、複数枚の大径ディスクDを収納してそのうち1枚のディスクDを選択的に再生可能なスロットイン方式のディスク再生装置である。図1に示すように、このチェンジャ型ディスク装置は、箱形形状の筐体1と該筐体1の前方に配設されたノーズ部材2とを備えており、ノーズ部材2にはディスクDを挿通可能な横長形状の開口2aが開設されている。ノーズ部材2は筐体1の前面板3に固定されており、この前面板3にはノーズ部材2の開口2aに連通するスリット状の挿入口3aが開設されている。これらノーズ部材2と前面板3との間には所定の間隙Sが確保されており、この間隙S内にディスクの誤挿入防止機構が配設されている。
【0014】
図2と図3に示すように、この誤挿入防止機構は、前面板3の外表面に回動可能に支持された第1および第2の回動アーム4,5と、第1の回動アーム4の回転中心軸に同軸配置されたクラッチ板6と、クラッチ板6を介して第1および第2の回動アーム4,5を回転駆動する駆動部材7と、第1および第2の回動アーム4,5を閉塞方向へ回動付勢するスプリング10等を備えている。
【0015】
第1および第2の回動アーム4,5は挿入口3aを開閉するシャッタ部材として機能するもので、いずれも金属板をプレス加工することにより長尺状に形成されている。第1および第2の回動アーム4,5はそれぞれピン11,12を用いて前面板3の外表面に回動可能に支持されており、それぞれの一端部(基端部)に形成された円弧状に連続するギヤ部4a,5aを噛合させることにより、第1および第2の回動アーム4,5はピン11,12を回動支点として互いに逆向きに同期回転するように連結されている。また、第1および第2の回動アーム4,5の長手方向に沿う一側縁には折曲湾曲部4b,5bが形成されており、金属板からなる第1および第2の回動アーム4,5の機械的強度がこれら折曲湾曲部4b,5bによって高められている。これら折曲湾曲部4b,5bは前面板3の外表面に対して起立方向へ突出しており、その折曲部分には滑らかな曲面が形成されている。さらに、第1の回動アーム4には折曲湾曲部4bよりも突出量の大きなガイド突起4dが形成されており、このガイド突起4dは第1の回動アーム4の回動支点(ピン11)に近い方の折曲湾曲部4bの端部から一体的に突出している。一方、第2の回動アーム5には折曲湾曲部5bよりも突出量の大きな規制突起5dが形成されており、この折曲湾曲部5bは第2の回動アーム5の回動支点(ピン12)から遠い方の折曲湾曲部5bの端部から一体的に突出している。そして、このように第1および第2の回動アーム4,5が前面板3の外表面に沿って回動可能であるため、ノーズ部材2と前面板3間に画成される狭い間隙S内に第1および第2の回動アーム4,5を含む誤挿入防止機構を収納することができ、その分、チェンジャ型ディスク装置全体の奥行き寸法が小型化されている。
【0016】
クラッチ板6は第1の回動アーム4の回動支点であるピン11に回転可能に軸支されており、このピン11に捻りコイルばね13が巻装されている。クラッチ板6には作動受部6aとばね受部6bが一体形成されており、捻りコイルばね13の両腕部をこのばね受部6bと第1の回動アーム4に形成されたばね受部4cとに掛止めすることにより、第1の回動アーム4とクラッチ板6は捻りコイルばね13の弾発力によって常時係合する方向へ付勢されている。クラッチ板6の作動受部6aは駆動部材7の突部7aに当接しており、この駆動部材7は後述するガイド体間隔変更機構(可変動力部)を駆動源として前面板3の左右方向(矢印X1−X2方向)へスライド移動するようになっている。
【0017】
スプリング10は前面板3と第2の回動アーム5との間に張架されており、このスプリング10の引張力によって第2の回動アーム5が図2の反時計回り方向(矢印B1方向)へ付勢されると共に、第2の回動アーム5と同期回転する第1の回動アーム4が図2の時計回り方向(矢印A1方向)へ付勢されている。また、第2の回動アーム5の先端に作動部5cが折曲形成されており、前面板3に固定されたプリント基板14には作動部5cによって動作される検出スイッチ15が実装されている。
【0018】
図1および図4〜図6に示すように、筐体1は互いに接合・一体化された上部シャーシ16と下部シャーシ17とで構成されており、前面板3はこれら上部シャーシ16と下部シャーシ17の前面に複数本のネジを用いて固定されている。上部シャーシ16にはディスク搬送機構18やディスク収納部19が配設されており、このディスク搬送機構18によって挿入口3aとプレイ位置間ならびにプレイ位置とディスク収納部19間でディスクDの搬送が行われる。一方、下部シャーシ17には光ピックアップ等を搭載した駆動ユニット(いずれも図示せず)が配設されており、この駆動ユニットはドライブ駆動機構20によって筐体1内の退避位置と駆動位置との間で前後進されるようになっている。なお、図4と図6において上部シャーシ16の天板部は省略されており、図5において上部シャーシ16は天地逆に示されている。
【0019】
ディスク搬送機構18について簡単に説明すると、このディスク搬送機構18はディスクDの搬送方向に対して直交する向きにスライド移動可能な第1および第2のガイド部(図示せず)を備えており、両ガイド部の間隔はモータ21を駆動源として動作されるガイド体間隔変更機構(可変動力部)によって変更可能となっている。上部シャーシ16の天板部の裏面にはモータ21とホイールギヤ22およびスライドアーム23等が配設されており、このスライドアーム23は図4において省略されているが、前述した駆動部材7はスライドアーム23に重ねて配置されている。スライドアーム23に形成したラック部23aはホイールギヤ22に噛合しており、モータ21の回転に伴ってスライドアーム23は矢印X1−X2方向へ移動する。駆動部材7も上部シャーシ16の天板部に矢印X1−X2方向へ移動可能に支持されており、前述したように駆動部材7の突部7aが前面板3を挿通してクラッチ板6の作動受部6aに当接することにより、この駆動部材7は第1および第2の回動アーム4,5の復帰手段であるスプリング10の弾性力により矢印X2方向へ付勢されている。また、駆動部材7には突部7aと対向する位置に受部7bが折曲形成されており、この受部7bはスライドアーム23に形成した作動突起23bに対向している。これにより、モータ21の回転に伴ってスライドアーム23が矢印X1方向の末端位置へ移動したとき、突部7aが作動突起23bに押圧されて駆動部材7が矢印X1方向へ移動する。
【0020】
なお、図示省略されているが、ホイールギヤ22にはガイド体間隔変更機構の構成部材である一対のスライド板(図示省略)が噛合されており、前述した第1および第2のガイド部はこれらスライド板に設けられている。そして、第1のガイド部に溝部を有する複数の搬送プーリP1,P2,P3(図1参照)等を支持し、上部シャーシ16の天板部に配設した別のモータ(図5参照)24から各搬送プーリ群に駆動力を伝達すると共に、第2のガイド部にディスクDの搬送方向へ直線状に延びるガイド溝を有する搬送ガイド体を設けることにより、搬送プーリ群と搬送ガイド体との間に挟持したディスクDに回転駆動力を付与して、該ディスクDを挿入口3aとプレイ位置間やプレイ位置とディスク収納部19間で搬送するようになっている。また、モータ21を駆動源として一対のスライド板をスライド移動させることにより、第1および第2のガイド部の搬送プーリ群と搬送ガイド体とを近接離反させることができるので、小径ディスクDでも大径ディスクDでも搬送することができるようになっている。
【0021】
このように構成されたチェンジャ型ディスク装置において、任意のディスクDを装置内に装填可能なローディングスタンバイ状態にあるとき、ガイド体間隔変更機構の第1および第2のガイド部は最も互いに近接した位置にあり、搬送プーリ群と搬送ガイド体は小径ディスクDの直径よりも狭い間隔で対向している。この場合、ガイド体間隔変更機構の駆動源であるモータ21の回転に伴ってスライドアーム23は矢印X1方向の末端位置へ移動しており、スライドアーム23の作動突起23bが駆動部材7の突部7aを同方向へ押圧するため、駆動部材7は図2の左方向(矢印X1方向)へスライド動作される。その結果、図3に示すように、駆動部材7の突部7aによってクラッチ板6と第1の回動アーム4が反時計回り方向(矢印A2方向)へ回動すると共に、第1の回動アーム4に同期して第2の回動アーム5が時計回り方向(矢印B2方向)へ回動し、検出スイッチ15が第2の回動アーム5の作動部5cによってオン動作される。これにより、第1および第2の回動アーム4,5がいずれも挿入口3aの上方の開放位置へ退避し、挿入口3aが開放状態となってディスクDの挿入が許可されるため、任意のディスクDをノーズ部材2の開口2aから挿入口3aを経て筐体1内へ挿入することができる。
【0022】
なお、このローディングスタンバイ時に第1および第2の回動アーム4,5の自由な回動が阻止された場合、例えばユーザがノーズ部材2の開口2aから指等を差し込んで第1および第2の回動アーム4,5の少なくとも一方を無理に押さえ付けるという悪戯がなされた場合、駆動部材7の突部7aによってクラッチ板6が回動阻止された第1の回動アーム4に対して回転することになる。したがって、駆動部材7からの大きな駆動力が第1の回動アーム4に直接作用することがクラッチ板6の回転によって吸収され、それによって第1および第2の回動アーム4,5の損傷を防止することができる。
【0023】
かかるローディングスタンバイ状態でディスクDが挿入口3aから筐体1内へ挿入されると、モータ21を駆動源として第1および第2のガイド部の間隔がディスクDの搬送に好適な距離に設定されると共に、別のモータ24を駆動源として搬送プーリ群が回転駆動されるため、挿入されたディスクDは第1および第2のガイド部間に挟持されて筐体1の奥部へと搬送されていき、そのままプレイ動作されたりディスク収納部19に収納される。この場合、第1および第2のガイド部の間隔は最も近接した位置から外側へ広げられるため、スライドアーム23が矢印X1方向の末端位置からX2方向へ移動し、それに伴って駆動部材7もX2方向へと移動する。その結果、第1および第2の回動アーム4,5がスプリング10の引張力によって互いに逆方向へ同期回転し、図2に示すように、挿入口3aの一部が第1および第2の回動アーム4,5により斜めに横切られて閉塞される。また、第2の回動アーム5の閉塞方向への回動によって検出スイッチ15がオフ動作されるため、その切替信号に基づいてディスクDが筐体1内に装填されたことが検出される。この閉塞位置で第1および第2の回動アーム4,5は挿入口3aの長手方向に沿う直線に対して正面視で互いに逆向きに傾斜して対向すると共に、第2の回動アーム5の規制突起5dは挿入口3aの下辺近傍に位置しているが、挿入口3a上におけるこれら両回動アーム4,5の折曲湾曲部4b,5b間の距離は小径ディスクDの直径よりも狭い間隔に設定されている。
【0024】
なお、前述したようにローディングスタンバイ状態で第1および第2の回動アーム4,5は挿入口3aの上方の開放位置へ退避しているため、ディスクDをノーズ部材2の開口2aに対してほぼ水平な姿勢で挿入するという通常の挿入動作が行われた場合、該ディスクDは第1および第2の回動アーム4,5に当接することなく挿入口3aから筐体1内へ挿入される。一方、ディスクDを開口2aに対して極端に斜め上向きの姿勢で挿入するという通常と異なる挿入動作が行われた場合、ディスクDは第1および第2の回動アーム4,5に形成された折曲湾曲部4b,5bに向かうことになるが、該ディスクDにおける挿入方向先端側の周縁部上面が第1の回動アーム4に形成したガイド突起4dの下面にガイドされて挿入口3aの方向へ導かれるため、該ディスクDと折曲湾曲部4b,5bのエッジとの当接が回避され、折曲湾曲部4b,5bのエッジによるディスクDの損傷を防止することができる。
【0025】
ディスクDのプレイ動作中またはディスク収納部19とプレイ位置間でのチェンジ動作中においては、上記スライドアーム23がX2方向へ移動した状態に保持され、第1および第2のガイド部は互いに離間した状態となっているため、図2に示すように、第1および第2の回動アーム4,5は挿入口3aを斜めに横切る閉塞位置に維持されている。この状態で、ユーザが別のディスクDをノーズ部材2の開口2a内に挿入すると、図8に示すように、ディスクDにおける挿入方向先端側の周縁部と第2の回動アームの規制突起5dとが平面的にオーバーラップし、該ディスクDの周縁部下面が規制突起5dの上面のエッジ部分に当接するため、ディスクDの挿入力によって第2の回動アーム5が閉塞方向へ押し付けられる。したがって、第2の回動アーム5はディスクDの挿入力によって開放方向への回転が阻止された状態となり、第2の回動アーム5と同期回転する第1の回動アーム4も開放方向への回転が阻止されるため、筐体1内でディスクDの動作中に誤って別のディスクDがノーズ部材2の開口2a内に挿入されたとしても、このディスクDは第1および第2の回動アーム4,5によって挿入口3aを通過することができず、筐体1内に別のディスクDが誤挿入されるのを確実に防止することができる。
【0026】
また、筐体1内に装填されたディスクDを排出するイジェクト時は、搬送プーリ群が挿入時と逆方向に回転駆動されることにより、ディスクDが第1および第2のガイド部間に挟持されて筐体1の手前側へ搬送される。これにより図7に示すように、挿入口3aを閉塞している第1および第2の回動アーム4,5の裏面にディスクDの外周縁が突き当たり、ディスクDの排出力で第1および第2の回動アーム4,5が開放方向(A2,B2方向)へ回動されるため、このディスクDを挿入口3aと開口2aを通ってノーズ部材2の外部に取り出すことができる。このとき、排出方向へ搬送されるディスクDの外周縁は第1および第2の回動アーム4,5の折曲湾曲部4b,5bに突き当たるが、これら折曲湾曲部4b,5bは挿入口3aの長手方向に沿う直線に対して逆向きに傾斜し、かつ、その折曲部分に滑らかな曲面が付けられているため、ディスクDを損傷することなく第1および第2の回動アーム4,5を開放方向へ回動することができる。
【0027】
なお、上記実施例では、同期回転するようにギア結合された第1および第2の回動アーム4,5のうち、一方の第2の回動アーム5にのみ規制突起5dを設けた場合について説明したが、このような規制突起を他方の第1の回動アーム4や第1および第2の回動アーム4,5の両方に設けても良い。また、第1の回動アーム4に設けたガイド突起4dについても同様で、このようなガイド突起を第2の回動アーム5や第1および第2の回動アーム4,5の両方に設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例に係るチェンジャ型ディスク装置の要部を示す断面図である。
【図2】回動アームが閉鎖位置にあるときの誤挿入防止機構を示す正面図である。
【図3】回動アームが開放位置にあるときの誤挿入防止機構を示す正面図である。
【図4】誤挿入防止機構の要部を示す斜視図である。
【図5】可変動力部の内部機構を示す裏面図である。
【図6】可変動力部の内部機構を示す平面図である。
【図7】ディスクのイジェクト時における誤挿入防止機構の斜視図である。
【図8】開放位置にある回動アームとディスクとの関係を示す要部平面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 筐体
2 ノーズ部材
2a 開口
3 前面板
3a 挿入口
4 第1の回動アーム
4a ギヤ部
4b 折曲湾曲部
4d ガイド突起
5 第2の回動アーム
5a ギヤ部
5b 折曲湾曲部
5d 規制突起
7 駆動部材
7a 突部
10 スプリング(ばね部材)
11,12 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを挿入および排出するためのスリット状の挿入口が設けられた前面板と、この前面板の外表面に沿って回動可能な回動アームと、この回動アームを一方向へ回動付勢して前記挿入口を斜めに横切る閉塞位置に保持するばね部材と、前記回動アームを前記ばね部材の付勢力に抗して他方向へ回転駆動して前記挿入口から離れた開放位置に保持する駆動手段とを備え、
前記回動アームの回動支点から離れた先端側に規制突起を設け、前記挿入口の閉塞位置にある前記回動アームに向けてディスクが挿入されたとき、該ディスクの挿入方向先端側の周縁部に前記規制突起を当接させることにより、該回動アームの開放方向への回転が阻止されるように構成したことを特徴とするディスクの誤挿入防止機構。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記回動アームが金属板からなると共に、該回動アームの一側縁に前記前面板の外表面に対して起立方向へ突出する折曲湾曲部を形成し、前記規制突起を前記折曲湾曲部の一部から突出させたことを特徴とするディスクの誤挿入防止機構。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記回動アームが前記前面板の外表面に軸支された第1および第2の回動アームからなり、これら第1および第2の回動アームの端部同士を互いに逆方向へ同期回転するようにギア結合すると共に、これら第1および第2の回動アームの少なくとも一方に前記規制突起を設けたことを特徴とするディスクの誤挿入防止機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−172758(P2007−172758A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−370497(P2005−370497)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】