説明

ディスクドライブ装置、プリピット検出方法

【課題】ランドプリピット信号の適正な閾値制御による安定した読取の実現。
【解決手段】ランドプリピットの検出において、プリピット配置構造に応じたmウォブル期間内でのm個の各ウォブル位置毎に、それぞれ設けられたカウンタでプリピット信号の数をカウントする。そして各カウント値から、プリピット信号が表れるウォブル位置を特定し、そのウォブル位置でのプリピット信号のカウント数から、閾値の適否を判定して、閾値を増減制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク等のディスク記録媒体に対して記録又は再生を行うディスクドライブ装置、及びそのプリピット検出方法に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2002−237052号公報
【特許文献2】特開2004−335040号公報
【特許文献3】特開2004−79030号公報
【特許文献4】特開2004−227644号公報
【背景技術】
【0003】
ディスクにデータを記録するには、データトラックを形成するための案内を行う手段が必要になり、このために、プリグルーブとして予め溝(グルーブ)を形成し、そのグルーブもしくはランド(グルーブとグルーブに挟まれる断面台地状の部位)をデータトラックとすることが行われている。
またデータトラック上の所定の位置にデータを記録することができるようにアドレス情報を記録する必要もあるが、このアドレス情報は、グルーブをウォブリング(蛇行)させることで記録されたり、データトラックにプリピットを形成して記録することが行われている。
【0004】
例えばDVD(Digital Versatile Disc)の相変化記録方式の書換型ディスクであるDVD−RWや、有機色素変化方式の追記型ディスクであるDVD−Rでは、図7に示すように、ディスク上のプリフォーマットとしてウォブリンググルーブGが形成されている。また、グルーブGとグルーブGの間のランドLの部分にランドプリピットLPPが形成されている。そして、例えばグルーブGが記録用のトラックとされ、記録マークMはウォブリンググルーブG内に形成される。
この場合、ウォブリンググルーブGによって得られる反射光情報は、ディスクの回転制御や記録用マスタークロックの生成などに用いられる。またランドプリピットLPPは、ビット単位の正確な記録位置の決定やプリアドレスなどのディスクの各種情報の取得に用いられる。即ちディスク上の物理的な位置を示すアドレスはランドプリピットLPPとして記録される。
【0005】
このようなディスクに対応するディスクドライブ装置では、再生中や記録中に例えばランドプリピットLPPとしてディスク上に記録されているアドレスを読み出して、記録/再生動作中のディスク上の位置を確認したり各種の制御を行うことになる。
【0006】
図8はランドプリピットLPPの形成方式を示している。
トラックのウォブリングの8波の区間がフレームとされ、偶数フレームと奇数フレームを合わせた16ウォブルの区間で、1単位のランドプリピット情報が形成される。
そしてランドプリピットLPPは、ウォブルに同期して上記図7のようにランドの切り欠きにより形成されているが、b2、b1、b0ビットの3ウォブル区間による1組のランドプリピットLPPで、アドレスデータとしての1ビットを表現する。
【0007】
図8(a)は偶数フレームにランドプリピット情報が形成される場合であり、偶数フレームの先頭の3ウォブルの区間が、1組のランドプリピットLPPとしてのビットb2,b1,b0とされる。
そしてランドプリピットLPP(の有無)としてのb2,b1,b0が、「1,1,1」、つまり3つのランドプリピットが形成されていればシンク(同期信号)である。またb2,b0の2箇所にランドプリピットLPPが形成されて「1,0,1」であれば、データビット「1」を表し、またb2の箇所にランドプリピットLPPが形成されて「1,0,0」であればデータビット「0」を表すものとされる。
【0008】
また図8(b)は奇数フレームにランドプリピット情報が形成される場合であり、奇数フレームの先頭の3ウォブルの区間が、ランドプリピットLPPとしてのビットb2,b1,b0とされる。
そして奇数フレームの場合、3つのランドプリピットLPP(の有無)としてのb2,b1,b0が、「1,1,0」であればシンク(同期信号)である。また偶数フレームの場合と同様に、「1,0,1」であれば、データビット「1」を表し、また「1,0,0」であればデータビット「0」を表す。
【0009】
図8(c)にビットb2,b1,b0によるシンク及びデータビットをまとめて示した。
なお、16ウォブルの区間においては、偶数フレームと奇数フレームのどちらか一方にランドプリピットLPPが形成されるが、どちらに形成されるかは、ディスク上で或るグルーブトラックの両側に隣り合ってランドプリピットLPPが形成されないように、各16ウォブル区間毎に選定される。
【0010】
このようなランドプリピットLPPの情報は、ディスクからの反射光情報として、いわゆるプッシュプル信号により得ることができる。即ちトラック線方向に対して左右の反射光量の差分情報である。
図9にランドプリピットLPPを検出する従来の回路構成を示す。
ディスクドライブ装置では、ランドプリピット検出に関しては、ディスクからの反射光について、フォトディテクタ60の受光部60A,60Bで反射光の光量を検出する。
この場合、フォトディテクタ60の受光部60A、60Bで光電変換された出力がアンプ61,62でそれぞれ増幅され、プッシュプル信号生成部63に供給される。プッシュプル信号生成部63は、差動増幅器A1、抵抗R11〜R14により構成されている。
即ちプッシュプル信号生成部63の出力として、受光部60A,60Bの受光光量の差分としてのプッシュプル信号P/Pが得られる。
【0011】
このプッシュプル信号P/Pは、図10(a)に示すように、グルーブのウォブリングに応じた低周波成分を有するとともに、ランドプリピットLPPに応じて比較的大きな振幅SLPを有する。この振幅SLPを検出することでランドプリピットLPPの情報を検出できる。
即ち、ランドプリピット検出部50では、閾値発生部52から閾値電圧Vthをコンパレータ51に供給し、このコンパレータ51において、プッシュプル信号P/Pを閾値電圧Vthと比較して2値化する。これによりランドプリピットLPPの検出信号(ランドプリピット信号LPPout)を得ることができる。
このランドプリピット信号LPPoutは、上記したランドプリピットLPPのb2,b1,b0ビットとしての「1」又は「0」の信号である。
従って、図示しない後段のデコード回路において、b2,b1,b0からシンク、又はデータビット「1」「0」を検出していくことで、アドレス情報等を抽出できる。
図10(b)(c)の期間Xとして、プッシュプル信号P/Pと比較電圧Vthを比較して得たランドプリピット信号LPPoutが得られる様子を示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところがランドプリピットLPPは、記録トラックであるグルーブに情報記録が行われた後は、そのグルーブに形成された記録マーク(相変化ピット等)に干渉されて読み出しにくいものとなる。具体的には、記録マークの干渉によって反射率が低下し、プッシュプル信号P/P上でのランドプリピットLPPによる振幅レベルが低下する。
また、プッシュプル信号P/Pには、トラックのウォブリングや隣接トラックからのクロストーク、記録前と記録後の出力振幅の違い、或いはディスクの品質のばらつきなどの影響で振幅変動が生じている。
このため、図10(b)(c)の期間Yのように、閾値電圧Vthが不適切となり、ランドプリピット検出が適切に実行できない事態が発生することがある。
【0013】
そのため、閾値電圧Vthの設定方式としては、この振幅変動による影響を避けるため、記録前と記録後でランドプリピット検出の際の比較閾値を変化させる方式(上記特許文献1)が提案されている。また或るウォブル数単位におけるランドプリピット信号の数から比較閾値を変更する方式(上記特許文献2)も考えられている。
しかしながら、ランドプリピット信号の検出を決定する閾値電圧Vthを正確に制御するのにはまだ不十分であった。
【0014】
図11に、あるウォブル数単位におけるランドプリピット信号数から検出比較器の閾値を変更するようにしたランドプリピット検出部50としての構成例を示す。
プッシュプル信号P/Pが入力されるコンパレータ51には、D/A変換器52の出力が閾値電圧Vthとして与えられる。
この場合、ウォブルカウンタ55にプッシュプル信号P/Pが入力され、ウォブルカウンタ55は、決まったウォブル数の計測を終了すると信号を出力する。
またカウンタ53で、コンパレータ51から出力されるランドプリピット信号LPPoutの数をカウントする。カウンタ53のカウント値は、ウォブルカウンタ55からの信号により、レジスタ54に保持され、閾値制御部56に取り込まれる。つまり所定のウォブル期間のランドプリピット信号LPPoutの数となる。
【0015】
閾値制御部56は、レジスタ54に取り込まれたカウンタ53のカウント結果を元に閾値の制御を行う。制御方法としては、カウント結果がある値以上の場合、閾値電圧Vthが低すぎると考えられるので、閾値電圧Vthを上げる。またある値以下の時、閾値電圧Vthが高すぎると考えられるので、閾値電圧Vthを下げる。即ち閾値制御部56は、閾値電圧Vthとしての値をD/A変換器52に与え、閾値電圧Vthを発生させるが、そのD/A変換器52に与える値をカウント値に応じて可変する。
このようにカウント値に応じて閾値電圧Vthを変化させるのは、図8で示したランドプリピットフォーマットにより、ある期間内に表れるランドプリピット信号数が、或る程度規定されることによる。
そして、ランドプリピット信号が多すぎるときは閾値電圧Vthが低いと判定し、またランドプリピット信号が少なすぎるときは閾値電圧Vthが高いと判定して、それらに応じて閾値電圧Vthを変化させる。
【0016】
しかしながらこの方式では、正確に閾値電圧Vthを制御することは困難である。
これは指標として使用するランドプリピット信号の数が、フォーマット上、一定でなく変化することによる。
例えばウォブル信号フォーマットでは、208ウォブルで1セクターとされるが、すると図8(a)(b)に示した1単位のランドプリピット情報が形成される16ウォブルの区間は、1セクターに13単位存在する。1セクターのは1つのシンクがあるが、他の12単位が全て「0」データであるとすると、1セクターに14個のプリピット信号が存在するはずである。また、1セクターに1つのシンクと12個の「1」データがあるとすると、1セクターに27個のプリピット信号が存在する。
従って1セクター(=208ウォブル)中に現れるランドプリピット信号の数は14個から27個の間で変化する。
このように広い範囲でランドプリピット信号数が変化する中で、そのカウント値から閾値電圧Vthの適否を判断して可変制御することは困難である。
【0017】
そこで本発明では、ランドプリピット信号の数のカウントにより、より正確に閾値電圧Vthの適否を判断して可変制御できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のディスクドライブ装置は、ウォブリングされたグルーブが形成され、上記グルーブとグルーブの間のランドにはアドレス情報がプリピットにより記録されているディスク状記録媒体に対してデータの記録又は再生のためのレーザ出力を行うヘッド部と、上記ヘッド手段により検出される反射光情報から、上記ウォブリング及び上記プリピットを反映した波形となるウォブル信号を生成するウォブル信号生成部と、上記ウォブル信号を閾値と比較してプリピット信号を抽出するプリピット信号抽出部と、上記ウォブル信号に表れるウォブル波形についての、プリピット配置構造に応じたmウォブル期間内での各ウォブル位置毎に、上記プリピット信号抽出部から出力されるプリピット信号をカウントするm個のカウンタと、上記mウォブル期間の整数倍である所定期間における、上記m個のカウンタの各カウント値から、プリピット情報を構成するプリピット信号のビット位置を判定し、m個のカウンタのカウント値のうちで、ビット位置の判定結果に応じて選択した1又は複数のカウント値に基づいて、上記閾値を可変制御する制御部と、上記プリピット信号抽出部から出力されるプリピット信号から、上記プリピットによるアドレス情報を得るアドレスデコード部とを備える。
【0019】
またプリピット情報は、上記mウォブル期間内で、プリピット信号が固定的に配置される第1のビット位置と、プリピット情報値に応じてプリピット信号の有無が異なる第2のビット位置を有するビット構造で構成されるとともに、上記制御部は、上記m個のカウンタのカウント値のうちで、ビット位置の判定結果に応じて、上記第2のビット位置以外のカウント値を選択する。
或いは上記制御部は、上記m個のカウンタのカウント値のうちで、ビット位置の判定結果に応じて、少なくとも上記第1のビット位置のカウント値を選択する。
また上記制御部は、上記m個のカウンタの各カウント値からプリピット情報を構成するプリピット信号のビット位置を判定するまでの期間は、上記m個のカウンタの合計カウント値に基づいて、上記閾値を可変制御する。
また上記mウォブル期間内の特定の期間において、上記プリピット信号抽出部から出力されるプリピット信号の上記アドレスデコーダ部への出力をマスク処理するマスク処理部をさらに備え、上記制御部は、上記m個のカウンタの各カウント値からプリピット情報を構成するプリピット信号のビット位置を判定することに応じて、上記マスク処理部に、マスク処理する上記特定の期間を指示する。
【0020】
本発明のプリピット検出方法は、ウォブリングされたグルーブが形成され、上記グルーブとグルーブの間のランドにはアドレス情報がプリピットにより記録されているディスク状記録媒体から、上記プリピット信号を検出するプリピット検出方法である。そして、上記ディスク状記録媒体から読み出される、上記ウォブリング及び上記プリピットを反映した波形となるウォブル信号を、閾値と比較してプリピット信号を抽出するステップと、上記ウォブル信号に表れるウォブル波形についての、プリピット配置構造に応じたmウォブル期間内でのm個の各ウォブル位置毎に、上記プリピット信号抽出部から出力されるプリピット信号をカウントするステップと、上記mウォブル期間の整数倍である所定期間における、上記m個の各ウォブル位置毎の各カウント値から、プリピット情報を構成するプリピット信号のビット位置を判定し、m個の各ウォブル位置毎の各カウント値のうちで、ビット位置の判定結果に応じて選択した1又は複数のカウント値に基づいて、上記閾値を可変制御するステップとを備える。
【0021】
即ちこれらの本発明は、ディスク状記録媒体にあらかじめアドレス情報として記録されているプリピットの検出において、プリピット配置構造に応じたmウォブル期間内でのm個の各ウォブル位置毎に、それぞれ設けられたカウンタでプリピット信号の数をカウントする。例えば図8のプリピットフォーマットで言えば、m=8とし、8ウォブル期間内における各ウォブル位置に応じて8個のカウンタを設け、それぞれが該当するウォブル位置でのプリピット信号数をカウントする。
すると、8個のカウント値から、プリピット信号が表れるウォブル位置が特定でき、さらに、その中で選択したウォブル位置でのプリピット信号のカウント数から、閾値の適否を正確に判定できる。これは特定のウォブル位置でのカウント値を選択的に用いることで、基準となる本来のカウント値が広くばらつかないようにできるためである。
例えば図8で述べたビットb2に相当するウォブル位置では、プリピット信号が固定的に配置される第1のビット位置となる。またビットb0は、プリピット情報値「0」「1」に応じてプリピット信号の有無が異なる第2のビット位置となる。
ここで例えば第1のビット位置(b2)のみで考えれば、例えば1セクター(208ウォブル)の期間におけるカウント値は「13」となるはずである。すると、第1のビット位置(b2)についてのカウント値を取り出せば、「13」であるか否かで閾値の適否判別ができる。つまり、指標として使用するランドプリピット信号の数が一定であれば、それを基準として閾値の適否判別、及びそれに応じた閾値制御を正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、プリピット検出のための比較閾値の適否を正確に判定し、かつ正確に可変制御することができる。これにより、隣接トラックからのクロストークや、書込前後でのプリピットの反射率の低下等による振幅変動が生じても、十分に正しくランドプリピット信号検出、及びそれによる適正なアドレス検出ができるようになる。
また、プリピット信号を十分に検出できることにより、プリピット信号が正しく読み出されるまでの無駄時間の短縮や、ばらつきの大きいディスク状記録媒体に対しても安定した記録再生を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態のディスクドライブ装置のブロック図である。
【図2】実施の形態のLPP検出部のブロック図である。
【図3】実施の形態の閾値制御処理のフローチャートである。
【図4】実施の形態のb2ビット位置検出前の処理のフローチャートである。
【図5】実施の形態のカウンタのカウント値の説明図である。
【図6】実施の形態のb2ビット位置検出後の処理のフローチャートである。
【図7】ランドプリピットが形成されたディスクの説明図である。
【図8】ランドプリピット信号のフォーマットの説明図である。
【図9】従来のランドプリピット検出のための構成例のブロック図である。
【図10】ランドプリピット検出動作を説明する波形図である。
【図11】従来のランドプリピット検出のための構成例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態として、DVD−R、DVD−RWに対応するディスクドライブ装置(記録再生装置)を例に挙げて説明する。説明は次の順序で行う。
[1.ディスクドライブ装置の構成]
[2.LPP検出部の構成]
[3.閾値制御処理例I]
[4.閾値制御処理例II]
[5.変形例]
【0025】
[1.ディスクドライブ装置の構成]

図1は本例のディスクドライブ装置30の構成を示す。
DVD−R、DVD−RWとしてのディスク100は、ターンテーブル7に積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ6によって一定線速度(CLV)で回転駆動される。そして光学ピックアップ1によってディスク100上のトラック(グルーブトラック)に記録されたピットマークデータやトラックのウォブリング情報、ランドプリピット情報の読み出しがおこなわれる。グルーブとして形成されているトラック上にデータとして記録されるピットはいわゆる色素変化ピット又は相変化ピットである。
【0026】
ピックアップ1内には、レーザ光源となるレーザダイオード4や、反射光を検出するためのフォトディテクタ5、レーザ光の出力端となる対物レンズ2、レーザ光を対物レンズ2を介してディスク記録面に照射し、またその反射光をフォトディテクタ5に導く光学系(図示せず)が形成される。
またレーザダイオード4からの出力光の一部が受光されるモニタ用ディテクタ22も設けられる。
【0027】
対物レンズ2は二軸機構3によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
またピックアップ1全体はスレッド機構8によりディスク半径方向に移動可能とされている。
またピックアップ1におけるレーザダイオード4はレーザドライバ18からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
【0028】
ディスク100からの反射光情報はフォトディテクタ5によって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてマトリクス回路9に供給される。
マトリクス回路9には、フォトディテクタ5としての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当するRF信号、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEなどを生成する。
さらに、ランドプリピット及びグルーブのウォブリングを反映した波形となるウォブル信号として、プッシュプル信号P/Pを生成する。なお、プッシュプル信号はトラッキングエラー信号としても用いることもできる。
【0029】
マトリクス回路9から出力されるRF信号は2値化回路11へ、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEはサーボ回路14へ供給される。またプッシュプル信号P/Pはランドプリピット検出部(LPP検出部)24及びウォブルPLL25へ、それぞれ供給される。
【0030】
プッシュプル信号P/Pは、LPP検出部24で2値化されてランドプリピット信号としてアドレスデコーダ26に供給される。そしてアドレスデコーダ26によってプリフォーマットされているアドレス情報がデコードされる。デコードされたアドレス情報はシステムコントローラ10に供給される。
またプッシュプル信号P/Pからは、ウォブルPLL25におけるPLL動作によりウォブルクロックWCKが生成される。このウォブルクロックWCKは、エンコードクロック発生部25、アドレスデコーダ26、スピンドルサーボ回路23に供給される。
【0031】
マトリクス回路9で得られたRF信号は2値化回路11で2値化されたうえで、エンコード/デコード部12に供給される。
エンコード/デコード部12は、再生時のデコーダとしての機能部位と、記録時のエンコーダとしての機能部位を備える。
再生時にはデコード処理として、ランレングスリミテッドコードの復調処理、エラー訂正処理、デインターリーブ等の処理を行い、再生データを得る。
【0032】
またエンコード/デコード部12は、再生時には、PLL処理によりRF信号に同期した再生クロックを発生させ、その再生クロックに基づいて上記デコード処理を実行する。
再生時においてエンコード/デコード部12は、上記のようにデコードしたデータをバッファメモリ20に蓄積していく。
このディスクドライブ装置30からの再生出力としては、バッファメモリ20にバファリングされているデータが読み出されて転送出力されることになる。
【0033】
インターフェース部13は、外部のホストコンピュータ40と接続され、ホストコンピュータ40との間で記録データ、再生データや、各種コマンド等の通信を行う。
そして再生時においては、デコードされバッファメモリ20に格納された再生データは、インターフェース部13を介してホストコンピュータ40に転送出力されることになる。
なお、ホストコンピュータ40からのリードコマンド、ライトコマンドその他の信号はインターフェース部13を介してシステムコントローラ10に供給される。
【0034】
一方、記録時には、ホストコンピュータ40から記録データが転送されてくるが、その記録データはインターフェース部13からバッファメモリ20に送られてバッファリングされる。
この場合エンコード/デコード部12は、バファリングされた記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加やインターリーブ、サブコード等の付加、ディスク100への記録データとしてのランレングスリミテッドコード変調等のエンコードを実行する。
【0035】
記録時においてエンコード処理のための基準クロックとなるエンコードクロックはエンコードクロック発生部27で発生され、エンコード/デコード部12は、このエンコードクロックを用いてエンコード処理を行う。
エンコードクロック発生部27は、ウォブルPLL25から供給されるウォブルクロックWCK及びLPP検出部24から供給されるランドプリピット信号からエンコードクロックを発生させる。
【0036】
エンコード/デコード部12でのエンコード処理により生成された記録データは、記録パルス発生部21で記録パルス(レーザ駆動パルス)に変換され、レーザードライバ18に送られる。
この記録パルス発生部21では記録補償、すなわち記録層の特性、レーザー光のスポット形状、記録線速度等に対する最適記録パワーの微調整やレーザ駆動パルス波形の調整も行う。
【0037】
レーザドライバ18では供給されたレーザ駆動パルスに基づいたドライブ電流をレーザダイオード4に与え、レーザ発光駆動を行う。これによりディスク100に記録データに応じたピット(色素変化ピット/相変化ピット)が形成されることになる。
【0038】
APC回路(Auto Power Control)19は、モニタ用ディテクタ22の出力によりレーザ出力パワーをモニターしながらレーザーの出力が温度などによらず一定になるように制御する回路部である。レーザー出力の目標値はシステムコントローラ10から与えられ、レーザ出力レベルが、その目標値になるようにレーザドライバ18を制御する。
【0039】
サーボ回路14は、マトリクス回路9からのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEから、フォーカス、トラッキング、スレッドの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
即ちフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに応じてフォーカスドライブ信号FD、トラッキングドライブ信号TDを生成し、二軸ドライバ16に供給する。二軸ドライバ16はピックアップ1における二軸機構3のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップ1、マトリクス回路9、サーボプロセッサ14、二軸ドライバ16、二軸機構3によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
【0040】
またサーボ回路14は、システムコントローラ10からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、二軸ドライバ16に対してジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
【0041】
またサーボ回路14は、トラッキングエラー信号TEの低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ10からのアクセス実行制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッドドライバ15に供給する。スレッドドライバ15はスレッドドライブ信号に応じてスレッド機構8を駆動する。スレッド機構8には、図示しないが、ピックアップ1を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライバ15がスレッドドライブ信号に応じてスレッドモータ8を駆動することで、ピックアップ1の所要のスライド移動が行なわれる。
【0042】
スピンドルサーボ回路23はスピンドルモータ6をCLV回転させる制御を行う。
スピンドルサーボ回路23は、データ記録時には、ウォブルPLLで生成されるウォブルクロックWCKを、現在のスピンドルモータ6の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号SPEを生成する。
またデータ再生時においては、エンコード/デコード部21内のPLLによって生成される再生クロック(デコード処理の基準となるクロック)が、現在のスピンドルモータ6の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号SPEを生成する。
そしてスピンドルサーボ回路23は、スピンドルモータドライバ17に対してスピンドルエラー信号SPEに応じて生成したスピンドルドライブ信号を供給する。スピンドルモータドライバ17はスピンドルドライブ信号に応じて例えば3相駆動信号をスピンドルモータ6に印加し、スピンドルモータ6のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路23は、システムコントローラ10からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータドライバ17によるスピンドルモータ6の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
【0043】
以上のようなサーボ系及び記録再生系の各種動作はマイクロコンピュータによって形成されたシステムコントローラ10により制御される。
システムコントローラ10は、ホストコンピュータ40からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
例えばホストコンピュータ40から、ディスク100に記録されている或るデータの転送を求めるリードコマンドが供給された場合は、まず指示されたアドレスを目的としてシーク動作制御を行う。即ちサーボ回路14に指令を出し、シークコマンドにより指定されたアドレスをターゲットとするピックアップ1のアクセス動作を実行させる。
その後、その指示されたデータ区間のデータをホストコンピュータ40に転送するために必要な動作制御を行う。即ちディスク100からのデータ読出/デコード/バファリング等を行って、要求されたデータを転送する。
【0044】
またホストコンピュータ40から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ10は、まず書き込むべきアドレスにピックアップ1を移動させる。そしてエンコード/デコード部12により、ホストコンピュータ40から転送されてきたデータについて上述したようにエンコード処理を実行させる。
そして上記のように記録パルス発生部21からのレーザ駆動パルスがレーザドライバ18に供給されることで、記録が実行される。
【0045】
このディスクドライブ装置30における再生時の動作と記録時の動作をまとめると以下のようになる。
【0046】
<再生時の動作>
・サーボ動作
ピックアップ1により検出された信号は、マトリクス回路9にてフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEなどのサーボ誤差信号に変換され、サーボ回路14に送られる。サーボ回路14から出たドライブ信号FD、TDはピックアップ1の二軸機構3を駆動し、フォーカスサーボ、トラッキングサーボを行う。
・データ再生
ピックアップ1により検出された信号は、マトリクス回路9にてRF信号に変換され、エンコード/デコード部12に送られる。エンコード/デコード部12ではチャンネルクロックが再生され、チャンネルクロックに基づいてデコードが行われる。デコードされたデータはインターフェイス部13に送られる。
・回転制御
ディスク100の回転は、エンコード/デコード部12にて再生されたチャンネルクロックをスピンドルサーボ回路23に送り制御する。
・アドレス再生
アドレスはRF信号中に含まれており、エンコード/デコード部12にてデコードされシステムコントローラ10に送られる。
但し、シーク時には、ランドプリピットによるアドレスを抽出して目的位置への移動制御が行われる。
・レーザ制御
APC回路19は、システムコントローラ10の指示により、レーザー出力を一定に保つように制御する。
【0047】
<記録時の動作>
・サーボ動作
再生時と同様に行われるが、レーザーパワーの上昇によりゲインが高くならないように、マトリクス回路9もしくはサーボ回路14にて補正される。
・データ記録
インターフェイス部13を通じて取り込まれたデータは、エンコード/デコード部12でECCの付加、並び替え、変調などのチャンネルコーディングが行われる。チャンネルコーディングを受けたデータは、記録パルス発生部21で、ディスク100に適したレーザ駆動パルスに変換され、レーザドライバ18(APC回路19)を通じて、ピックアップ1中のレーザダイオード4に加えられる。
・回転制御
マトリクス回路9より出力されたプッシュプル信号P/Pは、ウォブルPLLでウォブルクロックWCKとされ、スピンドルサーボ回路23に加えられて線速一定(CLV)の回転制御が行われる。
・アドレス再生
マトリクス回路9より出力されたプッシュプル信号P/Pは、LPP検出部24に送られランドプリピット信号が検出される。検出されたランドプリピット信号はアドレスデコーダ26でアドレス値にデコードされ、システムコントローラ10にて読み取られる。
また、ランドプリピット信号はエンコードクロック発生部27にも送られ、そこで、エンコードクロックが再生されエンコード/デコード部12に加えられる。
【0048】
ところで、図1の例は、ホストコンピュータ40に接続されるディスクドライブ装置30としたが、本発明のディスクドライブ装置としてはホストコンピュータ40等と接続されない形態もあり得る。その場合は、操作部や表示部が設けられたり、データ入出力のインターフェース部位の構成が、図1とは異なるものとなる。つまり、ユーザーの操作に応じて記録や再生が行われるとともに、各種データの入出力のための端子部が形成されればよい。
【0049】
[2.LPP検出部の構成]

LPP検出部24では、ディスク100において図7,図8で説明したように設けられているランドプリピットによる信号の検出を行う。
なお、図8で説明したように、ランドプリピット信号は16ウォブルの区間において、偶数フレームか奇数フレームの一方において表れることになる。
そしてプリピット位置としては、フレーム先頭の3ウォブル期間のb2ビット、b1ビット、b0ビットとなる。つまりシンク、データ「0」、データ「1」の別に応じて、各b2〜b0ビットにランドプリピット信号が表れる。
但し、ビットb2は、シンク、データ「0」、データ「1」のいずれであっても、ランドプリピット信号が表れる。つまりビットb2としてのウォブル位置は、プリピット信号が固定的に配置される(第1のビット位置)。
ビットb1については、シンクかデータかによってプリピット信号の有無が決まる。
またビットb0は、データ「0」「1」に応じてプリピット信号の有無が異なる(第2のビット位置)。
【0050】
また、プリピットパターンは、図8(a)(b)のように偶数フレームのパターン3種類と奇数フレームのパターン3種類による6種類のパターンがある。ランドプリピット信号はこの6種類を16ウォブル毎に繰り返すが、隣のトラックのランドプリピットと干渉しないように、偶数フレームのパターンと奇数フレームのパターンが切り替えられている。そのため、ランドプリピットの発生間隔としては、8ウォブル、16ウォブル、24ウォブルの、8の倍数の3種類が発生する事になる。
【0051】
本実施の形態では、このようなプリピット配置構造に応じて、8ウォブル期間内での各ウォブル位置毎に、プリピット信号をカウントし、各ウォブル位置毎の各カウント値により、ビット位置(b2,b1,b0)を判別する。そして、所定のビット位置のカウント値から、閾値の適否判別及び可変制御を行うようにする。
【0052】
図2にLPP検出部24の構成例を示す。
LPP検出部24は、2値化部31、D/A変換器32、ノイズパルス除去部33,マスク処理部34、選択部35、カウンタ部36、レジスタ部37、ウォブルカウンタ38,39、閾値制御部40を備える。
【0053】
図1のマトリクス回路9から供給されるプッシュプル信号P/Pは、LPP検出部24において2値化部31及びウォブルカウンタ38,39に入力される。
2値化部31は例えばコンパレータからなる。2値化部31は、プッシュプル信号P/Pを閾値電圧Vthと比較して、ランドプリピット信号を抽出する(図10参照)。閾値電圧VthはD/A変換器32から与えられる。
【0054】
ノイズパルス除去部33は、2値化部31から出力される比較結果としてのパルス、即ちランドプリピット信号について、明らかなノイズパルスを除去する。通常、ランドプリピットは4T程度以上(Tはチャネルクロック周期)の長さを持つため、例えば2T相当のパルス等は、ノイズパルスとして除去するようにしている。
【0055】
マスク処理部34は、ランドプリピット信号が発生しないことが明らかなウォブル区間について、ランドプリピット信号の出力をマスクする処理を行う。マスクするウォブル区間については制御部40に指示される。
本例の場合、2値化部31で抽出され、ノイズパルス除去部33でのノイズパルス除去及びマスク処理部34でのマスク処理を経て得られるパルス信号が、このLPP検出部24で検出されたランドプリピット信号LPPoutとなる。このランドプリピット信号LPPoutが、図1に示した後段のアドレスデコーダ26に出力されることになる。
【0056】
そして適切なランドプリピット信号LPPoutを出力するには、2値化部31に適切な閾値電圧Vthが供給されていることを要す。またマスク処理部34でのマスク処理も、適切な期間に行われることを要す。そこで、これらを以下の構成で制御するようにしている。
【0057】
一方のウォブルカウンタ38は、入力されるプッシュプル信号P/Pについて、ウォブル数をカウントする。このウォブルカウンタ38は、カウント値1〜8を繰り返しカウントしていくとともに、そのカウント値S1を選択部35及びマスク処理部34に出力する。
特にカウント開始タイミングは規定する必要はない。動作開始から、1ウォブル毎に、1→2→3→・・・→7→8→1→・・・とカウントしていく。
【0058】
また他方のウォブルカウンタ39は、入力されるプッシュプル信号P/Pについて、ウォブル数をカウントし、Nセクター(Nは自然数)に相当するカウント値となったら信号S2を出力する。1セクターは208ウォブルである。例えばN=1とした場合、208ウォブルを計数した時点で信号S2を出力する。信号S2は、カウンタ部36のリセット制御及びレジスタ部37のラッチ制御、さらに閾値制御部40の処理開始制御に用いられる。
なお、ここではNセクター分のカウント値で信号S2を出力するとしているが、信号S2を出力するタイミングは、8ウォブルの整数倍としての特定のカウント値となったときとすればよい。Nセクターのようにセクター単位(N×208)とするのは、8ウォブルの整数倍のカウント値としての一例である。
【0059】
カウンタ部36は、8個のカウンタCT1〜CT8、及び合計カウンタCTsumを備える。8個のカウンタCT1〜CT8は、それぞれノイズパルス除去部33から出力されるランドプリピット信号(2値化部31の比較結果パルス)をカウントする。
選択部35は、ノイズパルス除去部33から出力されるランドプリピット信号(比較結果パルス)を、ウォブルカウンタ38からのカウント値S1によって、各カウンタCT1〜CT8に振り分けて供給する。例えばカウント値S1=1のときはカウンタCT1にランドプリピット信号を供給する。
上記のようにウォブルカウンタ38からのカウント値S1は、1ウォブル期間毎に1〜8の間で変化する。選択部35はこのカウント値S1をカウンタCT1〜CT8の選択指示信号として用い、1ウォブル期間毎に、ノイズパルス除去部33から出力されるランドプリピット信号を、順次カウンタCT1〜CT8に振り分けて供給することになる。
合計カウンタCTsumは、カウンタCT1〜CT8のカウント値の合計値をカウントする。
【0060】
レジスタ部37は、8個のレジスタRg1〜Rg8、及び合計レジスタRgsumを備える。8個のレジスタRg1〜Rg8は、それぞれ信号S2が供給されたタイミングで、8個のカウンタCT1〜CT8のカウント値をラッチして保持する。つまりNセクター期間でのカウンタCT1〜CT8の各カウント値がレジスタRg1〜Rg8に取り込まれる。また合計レジスタRgsumは、同タイミングで、合計カウンタCTsumの値を取り込む。
なお、カウンタCT1〜CT8及び合計カウンタCTsumは、信号S2のタイミングでカウント値がレジスタRg1〜Rg8及び合計レジスタRgsumに取り込まれたら、カウント値がゼロにリセットされるとともに引き続きカウントを続行する。
【0061】
閾値制御部40は、レジスタ部37の各レジスタRg1〜Rg8、Rgsumに取り込まれたカウント結果を元に閾値電圧Vthの制御を行う。
即ち8ウォブル期間の整数倍である所定期間(例えば1セクター分としての208ウォブル期間)における、上記8個のカウンタCT1〜CT8の各カウント値をレジスタRg1〜Rg8の値として確認する。そしてランドプリピット信号のビット位置(b2〜b0)を判定する。そしてレジスタRg1〜Rg8における8個のカウント値のうちで、ビット位置の判定結果に応じて選択した1又は複数のカウント値に基づいて、閾値電圧Vthを可変制御する。
閾値制御部40は、閾値電圧Vthとしての値をD/A変換器32に与え、閾値電圧Vthを発生させるが、そのD/A変換器32に与える値を、選択した1又は複数のカウント値に応じて可変する。即ち閾値電圧Vthが低すぎると判断する場合は、閾値電圧Vthを上げ、また閾値電圧Vthが高すぎると判断する場合は閾値電圧Vthを下げるようにする。
また、閾値制御部40はマスク処理部34に対して、マスク期間の指示を行う。
【0062】
なお、閾値制御部40の具体的な処理は図3以降を用いて述べるが、閾値制御部40は例えばCPUにより構成され、後述する図3,図4,図6の処理を行うソフトウエアが搭載されるものでも良いし、その処理を実現するハードウエア回路により実現してもよい。
【0063】
[3.閾値制御処理例I]

このようなLPP検出部24において行われる閾値制御処理例について図3〜図6を用いて説明する。なお図3,図4,図6は閾値制御部40の処理として示している。
上記のように、カウンタCT1〜CT8には、選択部35により1ウォブル期間毎にランドプリピット信号の供給が順次振り分けられて入力され、入力されるランドプリピット信号のカウントを行っている。
【0064】
閾値制御部40は、ウォブルカウンタ39におけるNセクター分のウォブル数のカウントが行われた時点で、図3の処理をステップF101からF102に進める。即ちウォブルカウンタ39から信号S2が入力されたら、図3の処理を行うことになる。
なお上記のとおり、この時点で、カウンタCT1〜CT8及び合計カウンタCTsumのカウント値は、レジスタRg1〜Rg8及び合計レジスタRgsumに取り込まれることになる。
【0065】
閾値制御部40はステップF102で、b2ビット位置が検出済であるか否かで処理を分岐する。
ウォブルカウンタ38のカウント開始タイミングは特定されていない。そして1ウォブル期間毎にカウンタCT1〜CT8への入力は振り分けられる。このため図8に示すビットb2,b1,b0に相当するウォブルタイミングでの入力は、カウンタCT1〜CT8のうちのどのカウンタに与えられているかは不定である。
但し、ランドプリピット信号フォーマットが8ウォブルの偶数フレーム及び奇数フレームを1つの単位としていることに応じて、8ウォブル期間中の各ウォブル期間でのランドプリピット信号(2値化部31の比較結果パルス)が、カウンタCT1〜CT8に順番に振り分けられるようにしている。このため、カウンタCT1〜CT8のいずれか1つのカウンタCT(x)が、常にb2ビット位置のカウントを行っていることになる。また、次のカウンタCT(x+1)がb1ビット位置でのカウントを、さらに次のカウンタCT(x+2)がb0ビット位置でのカウントを、それぞれ行っていることになる。
【0066】
本例の場合、まず、どのカウンタがb2ビット位置でのカウントを行っているかを判別する処理を行う。そしてビット位置検出後において、正確な閾値電圧Vthの制御を行うが、ビット位置検出が行われるまでは、暫定的な閾値電圧Vthの制御を行うものとしている。
このため、まだb2ビット位置が未確定である時点では、閾値制御部40はステップF102からF103に進む。ステップF103では、図4(a)に示す処理Aとして暫定的な閾値制御を行う。
この場合、図4(a)のステップF201で、閾値制御部40は合計レジスタRgsumの合計カウント値を確認し、この合計カウント値がN×(上限値H1)より大きいか否かを確認する。
合計カウント値がN×(上限値H1)より大きければ、ステップF203に進み、閾値電圧Vthを例えば1段階上げる。つまりD/A変換器32に与えている値を1段階高い値とする。
また合計カウント値がN×(上限値H1)以内であれば、ステップF202に進み、合計カウント値がN×(下限値L1)未満であるか否かを確認する。
合計カウント値がN×(下限値L1)未満であれば、ステップF204に進み、閾値電圧Vthを例えば1段階下げる。つまりD/A変換器32に与えている値を1段階低い値とする。
合計カウント値がN×(上限値H1)以下であり、かつN×(下限値L1)以上であれば、閾値電圧Vthとしては現在の電圧値のままとする。
【0067】
N=1であるとしてこの図4(a)の処理を説明する。つまり1セクターのウォブル数(208ウォブル)毎にウォブルカウンタ39から信号S2が発生されるとする。
この場合、ステップF201の上限値H1及びステップF202の下限値L1とは、208ウォブル期間において存在すべきランドプリピット信号の数の上限値及び下限値である。
図8(a)(b)に示した1単位のランドプリピット情報が形成される16ウォブルの区間は、1セクター(208ウォブル期間)に13単位存在する。従って、1セクターには1つのシンクがあるが、他の12単位が全て「0」データであるとすると、1セクターに14個のランドプリピット信号が存在する。また、1セクターに1つのシンクと12個の「1」データがあるとすると、1セクターに27個のランドプリピット信号が存在する。
従って上限値H1=「27」、下限値L1=「14」となる。
即ちこの図4(a)の処理Aでは、暫定的な閾値制御として、非常に大まかに、1セクター期間でカウントされるプリピット信号数が14〜27となるように、閾値電圧Vthを可変制御するものとなる。
【0068】
次に閾値制御部40は図3のステップF104として、図4(b)に示すb2ビット検出処理を行う。
まず図4(b)のステップF301で、閾値制御部40はカウンタCT1〜CT8のカウント値、つまりレジスタRg1〜Rg8に取り込まれているカウント値の中で、最大のカウント値を検索する。
そして、ステップF302で、最大カウント値として検索されたカウンタCT(x)(レジスタRg(x))の検索結果が、同じカウンタとして所定回数連続したか否かを判別する。
まだ所定回数連続していなければ、図4(b)のb2ビット検出処理を終える。
【0069】
一方、所定回数連続していれば、ステップF303で、最大カウント値のカウンタCT(x)(レジスタRg(x))のカウンタ位置が、b2ビット位置と判定する。
またステップF304で、b2ビット位置の判定に応じて、マスク処理部34にマスクタイミングを指示する。
【0070】
この図4(b)の処理は具体的には次のようになる。
例えば、図3の処理が最初に行われた段階で、そのステップF104で図4(b)のb2ビット検出処理が行われた際に、レジスタRg1〜Rg8に取り込まれたカウンタCT1〜CT8のカウント値が図5のようであったとする。
この場合、ステップF301の検索で、カウント値「13」であるカウンタCT2(レジスタRg2)が最大カウント値のカウンタであると検索される。
しかしながら、まだ1回目の検索であるため、直ぐにはカウンタCT2がb2ビット位置であるとは判断しない。判定をより確実にするためである。
【0071】
その後、信号S2が供給されるたびに、閾値制御部40は図3の処理を行い、その際、ステップF104で図4(b)の処理を同様に行っていく。
そして、所定回数、図5のようなカウント結果が得られており、例えばカウンタCT2が最大カウント数であると検索されることが連続した時点で、ステップF302からF303に進み、その最大カウント数のカウンタCT2をb2ビット位置とするものである。このように所定回数、最大カウント数のカウンタの検索結果が連続することで、そのカウンタが、b2ビット位置におけるランドプリピット信号のカウントを行っているものと判定する。
なお、なるべく早い時点で本来の処理(後述するステップF105の処理B)を開始するためには、ステップF302で判断する所定回数を少なくすればよいが、なるべく正確にb2ビット位置を判定するには、所定回数を多くした方がよい。所定回数の設定は、実際の動作時間や1回の判定精度などを考慮して決められることになる。
【0072】
図4(b)のステップF303で、b2ビット位置を判定した場合、b1,b0ビット位置も決まる。図5に示すように、カウンタCT2がb2ビット位置に対応しているのであれば、カウンタCT3,CT4がそれぞれb1,b0ビット位置に対応することになる。
ここで、図8のランドプリピットフォーマットを考えると、他のカウンタ(この場合、CT1,CT5〜CT8)は、その対応するウォブル位置ではランドプリピット信号はあり得ないため、常にカウント値がゼロであるはずである。換言すれば、カウンタCT1,CT5〜CT8でカウントされるランドプリピット信号(比較結果パルス)が発生された場合、そのパルスは真のランドプリピット信号ではなく、ノイズであると判断できる。
そこで閾値制御部40はステップF304で、当該カウンタCT1,CT5〜CT8に相当するウォブル期間では、マスク処理部34が比較結果パルスの出力をマスクするように、マスク処理部34にマスク期間を指示することになる。
カウンタCT1、CT5〜CT8に相当するウォブル期間とは、ウォブルカウンタ38のカウント値S1が、「1」及び「5」〜「8」となっている期間である。マスク処理部34は、この期間においてパルスをマスクする。つまりその期間に発生した比較結果パルスはノイズであるとして、ランドプリピット信号LPPoutとしては出力しないようにする。つまりマスク処理部34は、カウント値S1が「2」〜「4」の期間においてノイズパルス除去部33から入力された比較結果パルスのみを、ランドプリピット信号LPPoutとして出力する。
【0073】
図4(b)の処理でb2ビット位置に相当するカウンタCT(x)が確定された後は、その後に図3の処理が行われる際は、ステップF102からF105に進むことになる。
ステップF105では、図6(a)に示す処理Bとして、本実施の形態の本来の閾値電圧Vthの制御処理を行う。
【0074】
この場合、閾値制御部40は、図6(a)のステップF401として、レジスタRg1〜Rg8に取り込まれているカウント値のうちで、b0ビット位置を除く合計のカウント値が、N×(上限値H2)より大きいか否かを判定する。つまり、b0ビット位置以外の7個のカウンタのカウント値を選択して合計し、その合計のカウント値について判断する。
b0ビット位置を除く合計のカウント値がN×(上限値H2)より大きければ、ステップF403に進み、閾値電圧Vthを例えば1段階上げる。つまりD/A変換器32に与えている値を1段階高い値とする。
【0075】
またb0ビット位置を除く合計のカウント値がN×(上限値H2)以内であれば、ステップF402に進み、b0ビット位置を除く合計のカウント値がN×(下限値L2)未満であるか否かを確認する。
b0ビット位置を除く合計のカウント値がN×(下限値L2)未満であれば、ステップF404に進み、閾値電圧Vthを例えば1段階下げる。つまりD/A変換器32に与えている値を1段階低い値とする。
b0ビット位置を除く合計のカウント値がN×(上限値H2)以下であり、かつN×(下限値L2)以上であれば、閾値電圧Vthとしては現在の電圧値のままとする。
【0076】
N=1、つまり1セクターのウォブル数(208ウォブル)毎に行われる処理として、この図6(a)の処理を説明する。
この場合、ステップF401の上限値H2及びステップF402の下限値L2とは、208ウォブル期間において、b0ビットを除いて、存在すべきランドプリピット信号の数の上限値及び下限値である。
図8(a)(b)に示した1単位のランドプリピット情報が形成される16ウォブルの区間は、1セクター(208ウォブル期間)に13単位存在する。偶数フレームにランドプリピットが形成される場合も、奇数フレームにランドプリピットが形成される場合も、b2ビットにはランドプリピットが存在するため、少なくとも13個のランドプリピット信号が発生する。また、1セクターのは1つのシンクがあるが、そのシンクが偶数フレームにあっても奇数フレームにあっても、b1ビットに1つランドプリピットが形成される。従って、理論上、1セクター範囲では、b0ビットを除けば、14個のランドプリピット信号が発生することになる。
つまりこの場合、上限値H2=下限値L2=「14」となる。
【0077】
そしてこの図6(a)の処理は、b0ビット位置を除く合計のカウント値を、上限値H2、下限値L2と比較することになる。例えば図5のカウント値の例のようになって、カウンタCT4のカウント値がb0ビットと判定されている場合、カウンタCT1〜CT3及びCT5〜CT8のカウント値の合計を上限値H2、下限値L2である「14」と比較することになる。そして比較結果により、閾値電圧Vthを増減もしくは維持する。
【0078】
この処理の場合、閾値電圧Vthの制御のための基準となる上限値H2、下限値L2は、「14」と固定である。
従って、「14」でなければ閾値電圧Vthが適切でないと明確に判定でき、精密な閾値制御ができることになる。
例えば図4(a)の暫定的な制御処理では、全カウンタの合計カウント値(CTsum=Rgsumの値)が上限値H1=「27」、下限値L1=「14」としての範囲内であるか否かという、非常に大まかな基準で、閾値電圧Vthを可変制御していた。このため、必ずしも正確に閾値電圧Vthの適否が判定された結果に基づく制御とはならない。ところが図6(b)の処理では、上限値H2〜下限値L2の範囲が非常に限定的(この場合「14」のみ)とされることで、比較結果が正しく閾値電圧Vthの適否を示すものとなる。従って、正確な閾値電圧Vthの可変制御ができる。
【0079】
なお、図6(b)の大まかな処理としての閾値制御は、さほど精密ではないが、図6(b)の処理を行うまでの初期状態において、或る程度の範囲に閾値電圧Vthに維持するという意味で、実行する意義はある。
【0080】
以上のように本例では、b2ビット位置に相当するカウント値が判定された以降は、図6(a)の処理によって正確に閾値電圧Vthが制御される。これにより、隣接トラックからのクロストーク、書き込み後のランドプリピット部分の反射率の低下による振幅の減少などによる、プッシュプル信号P/Pの変動が生じても、十分に正確にランドプリピット信号を検出できるようになる。
さらに、マスク処理部34によるマスク処理によって、b2,b1,b0ビット以外のウォブル区間においてランドプリピット信号(比較結果パルス)が発生しても、それはノイズであるとしてマスクされる。
これらのことによって、ランドプリピット信号LPPoutを十分に正しく検出できることにより、アドレスデコーダ26でランドプリピット情報(アドレス情報)が正しく読み出されるまでの無駄時間が短縮される。さらに、ばらつきの大きいディスク100に対しても安定に記録再生することができる。
また、ピックアップ1のばらつきによるランドプリピット検出不能となる事態が減少するのでピックアップ1の歩留まりを改善することができる。
または、ランドプリピット読み取り性能を維持しながら、ランドプリピット信号を生成するためのアナログフロントエンド部を簡略化する事で、システム全体としてコストダウン、省電力化が可能となる。
【0081】
なお、上記説明では、上限値H2=下限値L2=「14」としたが、閾値電圧Vthが正しいと判定する範囲について或る程度の幅を持たせても良い。
上記のように理論的にはb0ビットを除いたランドプリピット信号数は1セクターにつき「14」であるところ、例えば上限値H2=「15」、下限値L2=「13」のように設定して図6(a)の処理を行うようにする。
このようにすると、例えば閾値電圧Vthに起因しない単発的なノイズ等によってカウント値が変化した場合などを含めてあまりに頻繁に閾値電圧Vthが変化してしまうということを避けることができる。
実際に、上限値H2から下限値L2までの幅をどの程度持たせるかは、機器設計において適宜決められればよい。
【0082】
[4.閾値制御処理例II]

続いて他の処理例を閾値制御処理例IIとして説明する。
なお、閾値制御処理例IIは、図3,図4の処理は同様とし、図3のステップF105の処理Bとして、図6(b)の処理を行う例とする。
【0083】
図4(b)の処理でb2ビット位置に相当するカウンタCT(x)が確定された後は、その後に図3の処理が行われる際は、ステップF102からF105に進む。そしてステップF105では、図6(b)に示す処理Bとして、本実施の形態の閾値電圧Vthの制御処理を行う。
【0084】
この場合、閾値制御部40は、図6(b)のステップF401Aとして、レジスタRg1〜Rg8に取り込まれているカウント値のうちで、b2ビット位置のカウント値が、N×(上限値H3)より大きいか否かを判定する。
b2ビット位置のカウント値がN×(上限値H3)より大きければ、ステップF403に進み、閾値電圧Vthを例えば1段階上げる。
またb2ビット位置のカウント値がN×(上限値H3)以内であれば、ステップF402Aに進み、b2ビット位置のカウント値がN×(下限値L3)未満であるか否かを確認する。
b2ビット位置のカウント値がN×(下限値L3)未満であれば、ステップF404に進み、閾値電圧Vthを例えば1段階下げる。
b2ビット位置のカウント値がN×(上限値H2)以下であり、かつN×(下限値L2)以上であれば、閾値電圧Vthとしては現在の電圧値のままとする。
【0085】
N=1、つまり1セクターのウォブル数(208ウォブル)毎に行われる処理として、この図6(b)の処理を説明する。
この場合、ステップF401Aの上限値H3及びステップF402Aの下限値L3とは、208ウォブル期間において、b2ビットにおいて存在すべきランドプリピット信号の数の上限値及び下限値である。
1セクター(208ウォブル期間)には、図8の16ウォブルの区間が13単位存在する。そしてb2ビットには常にランドプリピットが存在するため、208ウォブル期間において、b2ビットにおいて存在すべきランドプリピット信号の数は「13」となる。つまりこの場合、上限値H2=下限値L2=「13」となる。
【0086】
そしてこの図6(b)の処理は、b2ビット位置のカウント値を、上限値H3、下限値L3と比較する。例えば図5のカウント値の例のようになって、カウンタCT2のカウント値がb2ビットと判定されている場合、カウンタCT2のカウント値を選択して、上限値H3、下限値L3である「13」と比較することになる。そして比較結果により、閾値電圧Vthを増減もしくは維持する。
この処理でも、上記図6(a)の処理と同様の効果を得ることができる。
また、この場合も、例えば上限値H3=「14」、下限値L3=「12」のように、上限値から下限値の範囲に幅を持たせて図6(b)の処理を行うようにしてもよい。
また、図6(b)はビットb2位置のカウント値を選択して用いるものとしたが、ビットb2,b1のカウント値を選択して、この2つのカウント値の合計値で上限値、下限値(この場合、上限値、下限値は例えば「14」)と比較するようにしてもよい。
【0087】
[5.変形例]

本発明の実施の形態は、以上の実施の形態の例に限定されず、各種の変形例が考えられる。
上記例では、図4(a)の処理Aを行うために、合計カウンタCTsum、合計レジスタRgsumを設けたが、図4(a)の暫定的な閾値制御を行わないのであれば、合計カウンタCTsum、合計レジスタRgsumは設けなくても良い。
また、実施の形態において上限値、下限値の例は、N=1とした場合で説明したが、N=2(例えば2セクター期間毎の処理)とする場合、設定される上限値、下限値は、上記例の2倍の値になることはいうまでもない。
また、図6(a)(b)のような閾値制御処理におけるステップF403,F404では、比較結果によって1段階づつ閾値電圧Vthを増減するものとしたが、比較の際の差分に応じた増減を行っても良い。例えばカウント数が上限値を大きく越えている場合は、閾値電圧Vthの増加量を多くするなどである。
【0088】
また、図2に示したLPP検出部24の構成は、アナログ回路とデジタル回路を混載した例としているが、入力されるプッシュプル信号P/PをA/D変換器でデジタル化した上で、全てデジタル処理で同様の処理を行う構成としても良い。
【符号の説明】
【0089】
1 ピックアップ、2 対物レンズ、3 二軸機構、4 レーザダイオード、5 フォトディテクタ、6 スピンドルモータ、8 スレッド機構、9 マトリクス回路、10 システムコントローラ、12 エンコード/デコード部、13 インターフェース部、14 サーボ回路、20 バッファメモリ、21 記録パルス発生部、23 スピンドルサーボ回路、24 LPP抽出部、25 ウォブルPLL、26 アドレスデコーダ、27 エンコードクロック発生部、30 ディスクドライブ装置、31 2値化部、32 D/A変換器、33 ノイズパルス除去部、34 マスク処理部、35 選択部、36 カウンタ部、37 レジスタ部、38,39 ウォブルカウンタ、40 閾値制御部、CT1〜CT8 カウンタ、CTsum 合計カウンタ、Rg1〜Rg8 レジスタ、Rgsum 合計レジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォブリングされたグルーブが形成され、上記グルーブとグルーブの間のランドにはアドレス情報がプリピットにより記録されているディスク状記録媒体に対してデータの記録又は再生のためのレーザ出力を行うヘッド部と、
上記ヘッド手段により検出される反射光情報から、上記ウォブリング及び上記プリピットを反映した波形となるウォブル信号を生成するウォブル信号生成部と、
上記ウォブル信号を閾値と比較してプリピット信号を抽出するプリピット信号抽出部と、
上記ウォブル信号に表れるウォブル波形についての、プリピット配置構造に応じたmウォブル期間内での各ウォブル位置毎に、上記プリピット信号抽出部から出力されるプリピット信号をカウントするm個のカウンタと、
上記mウォブル期間の整数倍である所定期間における、上記m個のカウンタの各カウント値から、プリピット情報を構成するプリピット信号のビット位置を判定し、m個のカウンタのカウント値のうちで、ビット位置の判定結果に応じて選択した1又は複数のカウント値に基づいて、上記閾値を可変制御する制御部と、
上記プリピット信号抽出部から出力されるプリピット信号から、上記プリピットによるアドレス情報を得るアドレスデコード部と、
を備えたことを特徴とするディスクドライブ装置。
【請求項2】
プリピット情報は、上記mウォブル期間内で、プリピット信号が固定的に配置される第1のビット位置と、プリピット情報値に応じてプリピット信号の有無が異なる第2のビット位置を有するビット構造で構成されるとともに、
上記制御部は、上記m個のカウンタのカウント値のうちで、ビット位置の判定結果に応じて、上記第2のビット位置以外のカウント値を選択する請求項1に記載のディスクドライブ装置。
【請求項3】
プリピット情報は、上記mウォブル期間内で、プリピット信号が固定的に配置される第1のビット位置と、プリピット情報値に応じてプリピット信号の有無が異なる第2のビット位置を有するビット構造で構成されるとともに、
上記制御部は、上記m個のカウンタのカウント値のうちで、ビット位置の判定結果に応じて、少なくとも上記第1のビット位置のカウント値を選択する請求項1に記載のディスクドライブ装置。
【請求項4】
上記制御部は、上記m個のカウンタの各カウント値からプリピット情報を構成するプリピット信号のビット位置を判定するまでの期間は、上記m個のカウンタの合計カウント値に基づいて、上記閾値を可変制御する請求項1に記載のディスクドライブ装置。
【請求項5】
上記mウォブル期間内の特定の期間において、上記プリピット信号抽出部から出力されるプリピット信号の上記アドレスデコーダ部への出力をマスク処理するマスク処理部をさらに備え、
上記制御部は、上記m個のカウンタの各カウント値からプリピット情報を構成するプリピット信号のビット位置を判定することに応じて、上記マスク処理部に、マスク処理する上記特定の期間を指示する請求項1に記載のディスクドライブ装置。
【請求項6】
ウォブリングされたグルーブが形成され、上記グルーブとグルーブの間のランドにはアドレス情報がプリピットにより記録されているディスク状記録媒体から、上記プリピット信号を検出するプリピット検出方法として、
上記ディスク状記録媒体から読み出される、上記ウォブリング及び上記プリピットを反映した波形となるウォブル信号を、閾値と比較してプリピット信号を抽出するステップと、
上記ウォブル信号に表れるウォブル波形についての、プリピット配置構造に応じたmウォブル期間内でのm個の各ウォブル位置毎に、上記プリピット信号抽出部から出力されるプリピット信号をカウントするステップと、
上記mウォブル期間の整数倍である所定期間における、上記m個の各ウォブル位置毎の各カウント値から、プリピット情報を構成するプリピット信号のビット位置を判定し、m個の各ウォブル位置毎の各カウント値のうちで、ビット位置の判定結果に応じて選択した1又は複数のカウント値に基づいて、上記閾値を可変制御するステップと、
を備えたプリピット検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−182379(P2010−182379A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25590(P2009−25590)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】