説明

ディスクドライブ

【課題】記録ディスクの引き込み完了の検出を簡単な構造により実現する。
【解決手段】各ローディングアーム21の回動をラックプレート31の左右方向の移動に変換し、ラックプレート31の移動をセレクトプレート37の前後方向の移動に変換し、イジェクトアーム41の支軸42の位置を、直径8cmの記録ディスク1の挿入時と直径12cmの記録ディスク2の挿入時とで変更する。これにより、直径8cmの記録ディスク1の引き込み完了検出と、直径12cmの記録ディスク2の引き込み完了検出とを等しい挙動で実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばDVDドライブ、CD(Compact Disc)ドライブなどのディスクドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
DVD、CD、ブルーレイディスク、磁気ディスクなどの記録ディスクに対し、情報の読み取りまたは記録を行うディスクドライブは、ディスクプレーヤ、ディスクレコーダ、オーディオシステム、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーションシステムなど様々な装置に用いられている。
【0003】
ディスクドライブには、一般的な光ディスクドライブのように、記録ディスクを着脱することができるタイプと、一般的なハードディスクドライブのように、記録ディスクを着脱することができないタイプがある。さらに、記録ディスクを着脱することができるタイプのディスクドライブには、記録ディスクの着脱方式に関し、スロットイン方式、ドロアー方式、トレー方式などがある。
【0004】
スロットイン方式のディスクドライブの中には、ローディング時にはローディングアームを用いて記録ディスクをディスクドライブ内へ引き込み、イジェクト時には、イジェクトアームを用いて記録ディスクをディスクドライブの外側に向けて押し出す構造を備えたものがある。
【0005】
このようなタイプのディスクドライブのローディング時の動作は例えば次の通りである。ユーザーが記録ディスクをディスクスロットに挿入すると、記録ディスクの周縁が各ローディングアームの先端部に設けられたローラーに接触し、これによりローディングアームが押され、ローディングアームがわずかに回動する。これをきっかけにモーターが始動し、ローラーが回転を始める。そして、ローラーの回転により、記録ディスクがディスクドライブ内に引き込まれる。記録ディスクが引き込まれるに従って、ローディングアームがさらに回動し、ローディングアームが開いていく。記録ディスクが引き込み完了位置に近づくと、ディスクドライブの奥(内部後ろ側)に設けられたイジェクトアームの先端部に記録ディスクが接触し、これによりイジェクトアームが押され、イジェクトアームが回動する。記録ディスクが引き込み完了位置、すなわちターンテーブル上のクランプ位置に到達すると、イジェクトアームが所定角度回動し、これにより記録ディスクが引き込み完了位置に到達したことが検出される。この検出に基づいて記録ディスクがクランプされる。そして、クランプ動作完了時に、ローディングアームおよびイジェクトアームが記録ディスクの周縁から離れる。この後モーターが停止し、ローラーの回転が止まる。これにより、記録ディスクはターンテーブル上で高速回転可能な状態になる。
【0006】
また、このようなタイプのディスクドライブのイジェクト動作は、例えば次の通りである。ディスクドライブ内にクランプされた記録ディスクをイジェクト(排出)する旨の指示が発せられると、モーターが始動し、ローラーが回転を始める。そして、クランプが解除され、イジェクトアームとローディングアームが記録ディスクの周縁に接触する。さらに、イジェクトアームが記録ディスクをディスクスロットに向けて押し出す。そして、ローラーの回転により、記録ディスクがディスクスロットを通じてディスクドライブの外側に向けて搬送される。記録ディスクが搬送されるに従って、ローディングアームが回動し、ローディングアームが閉じていく。記録ディスクがディスクスロット近傍の適切な停止位置に到達すると、モーターが停止し、ローラーの回転が止まる。これにより、記録ディスクは、ディスクスロット近傍の適切な位置に停止する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、1個のディスクドライブにおいて、互いに直径の異なる複数種類の記録ディスクを取り扱う場合、記録ディスクの引き込み完了の検出を実現するための構造が複雑になるおそれがある。
【0008】
例えば、上述したように、記録ディスクが引き込み完了位置に到達したことを、イジェクトアームの回動角を用いて検出する場合には、イジェクトアームの支軸がディスクドライブのシャーシに固定されているとすると、記録ディスクの直径の相違により、記録ディスクが引き込み完了位置に到達したときのイジェクトアームの回動角が異なってしまう。このため、記録ディスクの直径の相違に応じてイジェクトアームの回動角の検出方法を変更するなどの必要が生じるおそれがあり、この結果、記録ディスクの引き込み完了検出の構造が複雑化するおそれがある。
【0009】
記録ディスクの引き込み完了検出の構造が複雑になると、ディスクドライブの小型化、薄型化、軽量化または製造コストの削減が困難になるおそれがある。
【0010】
本発明は上記に例示したような問題点に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、記録ディスクの引き込み完了検出を簡単な構造により実現することができるディスクドライブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1に記載のディスクドライブは、互いに直径の異なる複数種類の記録ディスクに対して情報の読み取りまたは記録を行うディスクドライブであって、基板と、前記基板に回動可能に支持され、前記記録ディスクの周縁を狭持し、前記記録ディスクの搬送を行う一対の搬送アームと、前記基板に左右方向に移動可能に支持された第1移動部材と、前記搬送アームの回動を前記第1移動部材の左右方向の移動に変換する第1動き変換機構と、前記基板に前後方向に移動可能に支持された第2移動部材と、前記第1移動部材の左右方向の移動を前記第2移動部材の前後方向の移動に変換する第2動き変換機構と、前記第2移動部材に支持され、前記第2移動部材の移動に伴って前後方向に移動し、前記記録ディスクの引き込み完了を検出する引き込み検出手段とを備え、前記引き込み検出手段は、前記第2移動部材が前側に位置するときには、前記複数種類の記録ディスクのうちの小径の記録ディスクの引き込み完了を検出し、一方、前記第2移動部材が後ろ側に位置するときには、前記複数種類の記録ディスクのうちの大径の記録ディスクの引き込み完了を検出する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
(ディスクドライブの全体的な構成および動作)
図1は、本発明のディスクドライブの実施形態を示している。図1中のディスクドライブ10は、例えばDVD、CD、ブルーレイディスクなどの記録ディスクに対し、情報の読み取りまたは記録を行う装置である。ディスクドライブ10は、記録ディスクを着脱することができるタイプであり、また、記録ディスクの着脱方式についてスロットイン方式を採用している。
【0014】
ディスクドライブ10は、互いに直径の異なる複数種類の記録ディスクに対して情報の読み取りまたは記録を行うことができる。例えば、直径が8cmの記録ディスク1(図2参照)と直径が12cmの記録ディスク2(図7参照)との双方に対して情報の読み取りまたは記録を行うことができる。
【0015】
図1に示すように、ディスクドライブ10の外殻は、シャーシ11およびフロントカバー12により構成されている。
【0016】
シャーシ11は例えば金属材料により形成され、底板を有し、必要に応じて側板、天井板を有している。
【0017】
フロントカバー12は例えば樹脂材料により形成されている。フロントカバー12にはディスクスロット13が形成されている。ディスクスロット13は、記録ディスクのローディングおよびイジェクトを行うときに記録ディスクを通過させる溝である。
【0018】
なお、以下の説明では、図1中の矢示X方向を左右方向といい、矢示Y方向を前後方向といい、矢示Z方向を上下方向という。
【0019】
図2は、ディスクドライブ10の内部を示している。図2に示すように、ディスクドライブ10は、一対のローディングアーム21、21、ラックプレート31、セレクトプレート37、イジェクトアーム41、トリガープレート46、第1シフトバー51、第2シフトバー55、トラバースメカ61、モーター65、ピニオン66、スイッチユニット69および制御回路75などを備えている。
【0020】
ローディングアーム21、21は、ディスクドライブ10前側のディスクスロット13近傍の位置に左右対称に配置されている。各ローディングアーム21は、支軸22を介してシャーシ11上に回動可能に支持されている。各ローディングアーム21は例えば樹脂材料または金属材料により形成されている。
【0021】
各ローディングアーム21の先端部上面にはローラー23が回転可能に取り付けられている。ローラー23はモーター65により回転する。左側のローラー23は記録ディスクの左側周縁と接触する。右側のローラー23は記録ディスクの右側周縁と接触する。
【0022】
ローディングアーム21、21は、ローラー23、23を介して記録ディスクを狭持し、記録ディスクの搬送を行う。ローディングアーム21、21は、記録ディスクの前進または後退に従って回動し、これによりローディングアーム21、21の先端側が開閉する。
【0023】
各ローディングアーム21の軸部下面にはギア24が固定されている。左側のギア24はピニオン25を介してラックプレート31の左側のラック部31Aに噛み合っている。右側のギア24はラックプレート31の右側のラック部31Bに直接噛み合っている。これらのギア24、ピニオン25およびラック部31A、31Bは、各ローディングアーム21の回動をラックプレート31の左右方向の移動に変換する。具体的には、各ローディングアーム21が開くときの各ローディングアーム21の回動をラックプレート31の左方向の移動に変換し、各ローディングアーム21が閉じるときの各ローディングアーム21の回動をラックプレート31の右方向の移動に変換する。
【0024】
ラックプレート31は、ディスクドライブ10前側のディスクスロット13近傍に位置し、シャーシ11とローディングアーム21、21との間に配置されている。ラックプレート31は、シャーシ11に左右方向に移動可能に支持されている。ラックプレート31は例えば金属材料により形成されている。ラックプレート31には一対のラック部31A、31Bが形成されている。
【0025】
また、ラックプレート31の右側後部にはスイッチングエッジ32が形成されている。スイッチングエッジ32は左右方向に直線状に伸張している。ラックプレート31の左右方向の移動によりスイッチングエッジ32が左右方向に移動すると、スイッチングエッジ32と第1スイッチ71の切り替えレバーとの接触の有無が変わり、これにより第1スイッチ71のオン、オフが切り替わる。また、ラックプレート31の左右方向の移動によりスイッチングエッジ32が左右方向に移動すると、スイッチングエッジ32と第2スイッチ72の切り替えレバーとの接触の有無が変わり、これにより第2スイッチ72のオン、オフが切り替わる。
【0026】
また、ラックプレート31の左側後部にはセレクトカム溝33が形成されている。セレクトカム溝33内にはセレクトプレート37のセレクトピン38が挿入されている。また、ラックプレート31の左側後部には2個の退避制御溝、すなわち第1退避制御溝34および第2退避制御溝35が形成されている。ラックプレート31が左方向に移動し、かつ第1シフトバー51が前方向に移動したときに、第1シフトバー51の退避制御ピン53が退避制御溝34、35のいずれかに進入する。
【0027】
セレクトプレート37は、ディスクドライブ10左側に配置されている。セレクトプレート37は、シャーシ11に固定されたモーターブランケット(図示せず)に前後方向に移動可能に支持されている。これにより、セレクトプレート37はシャーシ11に対し前後方向に移動可能である。セレクトプレート37は例えば金属材料により形成されている。ディスクドライブ10の左側には、いくつかの部材が上下方向に重なり合っている。セレクトプレート37は、概ね、ラックプレート31、トリガープレート46および第2シフトバー55の下方に位置し、ピニオン66の上方に位置する。
【0028】
セレクトプレート37の前側上面にはセレクトピン38が設けられている。セレクトピン38の一端側は上向きに伸び、ラックプレート31のセレクトカム溝33に挿入され、他端側はセレクトプレート37に固定されている。セレクトピン38およびセレクトカム溝33は、ラックプレート31の左右方向の移動をセレクトプレート37の前後方向の移動に変換する。具体的には、セレクトピン38およびセレクトカム溝33は、ラックプレート31の左方向の移動をセレクトプレート37の後ろ方向の移動に変換し、ラックプレート31の右方向の移動をセレクトプレート37の前方向の移動に変換する。
【0029】
また、セレクトプレート37の後ろ側上面には、イジェクトアーム41の回動を規制するストッパー39が設けられている。ストッパー39の上端側は上向きに伸び、下端側はセレクトプレート37に形成された貫通溝91(図12または図13参照)内を通過して、図示しないモーターブランケットに固定されている。
【0030】
イジェクトアーム41は、ローディング時には一端側が記録ディスクの後ろ側周縁に接触することにより記録ディスクの引き込み完了を検出し、イジェクト時には一端側が記録ディスクの後ろ側周縁を押すことにより記録ディスクを前方向に移動させる。イジェクトアーム41は、セレクトプレート37の後部上面上に回動可能に支持されている。イジェクトアーム41は例えば金属材料または樹脂材料により形成されている。イジェクトアーム41は支軸42を中心に回動する。イジェクトアーム41の支軸42はセレクトプレート37の前後方向の移動に伴って前後方向に移動する。イジェクトアーム41の一端側上面には接触部材43が取り付けられている。接触部材43は記録ディスクの周縁と接触する。
【0031】
また、イジェクトアーム41の他端側には押動制御部44が形成されている。押動制御部44は、イジェクトアーム41が後ろ方向に回動すると前方向に移動し、トリガープレート46のトリガーピン47を押し、これによりトリガープレート46を前方向に押し動かす。
【0032】
トリガープレート46は、セレクトプレート37の後部上方に位置し、シャーシ11に固定されたモーターブランケット(図示せず)に前後方向に移動可能に取り付けられている。トリガープレート46は例えば金属材料により形成されている。トリガープレート46は、セレクトプレート37上方でセレクトプレート37に対して前後方向に移動することができる。また、トリガープレート46は、セレクトプレート37に支軸42を介して回動可能に取り付けられたイジェクトアーム41とコイルばね49を介して接続されている。このため、トリガープレート46はセレクトプレート37の前後方向の移動に伴って、イジェクトアーム41といっしょに前後方向に移動する。
【0033】
トリガープレート46は、セレクトプレート37およびイジェクトアーム41の上方に覆い被さるように配置されている。もっとも、トリガープレート46の前側右縁部に形成されたラック部46Aは、トリガープレート46からセレクトプレート37の右縁近傍を降りてセレクトプレート37の下方に潜り込んでいる。ラック部46Aは、トリガープレート46が前進したときに、セレクトプレート37の下方に配置されたピニオン66と噛み合う。
【0034】
トリガープレート46の後ろ側下面にはトリガーピン47が設けられている。トリガーピン47の一端側は下向きに伸び、他端側はトリガープレート46の下面に固定されている。トリガーピン47の一端側は、イジェクトアーム41の押動制御部44と接触可能な位置まで伸びている。
【0035】
また、トリガープレート46の前側右縁部には第1伝達ピン48が設けられている。伝達ピン48の一端側は右方向に伸び、第1シフトバー51の伝達溝51Aに挿入されている。伝達ピン48の他端側はトリガープレート46の右縁部に固定されている。
【0036】
イジェクトアーム41とトリガープレート46との間にはコイルばね49が取り付けられている。コイルばね49は、イジェクトアーム41の他端側を前方向に引っ張っている。
【0037】
第1シフトバー51は、シャーシ11上に前後方向に移動可能に支持されている。シフトバー51は例えば樹脂材料により形成され、例えば金属プレートであるラックプレート31やセレクトプレート37よりも肉厚である。
【0038】
第1シフトバー51の左側側面には伝達溝51Aが形成されている。伝達溝51Aは、前後方向にシャーシの底板に対しほぼ平行に伸張している。伝達溝51Aにはトリガープレート46の伝達ピン48が挿入されている。また、シフトバー51の前側上面には第2伝達ピン52が設けられている。伝達ピン52の一端側は上方に伸び、第2シフトバー55の伝達スロット55Aに挿入されており、他端側はシフトバー51の上面に固定されている。また、第1シフトバー51の前側上面には退避制御ピン53が設けられている。退避制御ピン53の一端側はラックプレート31の退避制御溝34、35と接触可能な位置まで上方に伸び、他端側はシフトバー51の上面に固定されている。退避制御ピン53は、ラックプレート31が左方向に移動し、かつ第1シフトバー51が前方向に移動したときに、ラックプレート31の退避制御溝34、35のいずれかに進入する。退避制御ピン53および退避制御溝34、35は、クランプ時に、ローディングの過程で左方向に移動したラックプレート31をさらに左方向に移動させる。
【0039】
第2シフトバー55は、シャーシ11上に左右方向に移動可能に支持されている。シフトバー55は例えば樹脂材料により形成され、例えば金属プレートであるラックプレート31やセレクトプレート37よりも肉厚である。
【0040】
第2シフトバー55の左側端部には伝達スロット55Aが形成されている。伝達スロット55Aには第1シフトバー51の第2伝達ピン52が挿入されている。また、第2シフトバー55の後ろ側側面には昇降溝55Bが形成されている。昇降溝55Bは、シフトバー55の左右方向の移動によりトラバースメカ61を昇降させるためのカム溝であり、右端が低位置にあり、左端が高位置にある。昇降溝55Bにはトラバースメカ61に取り付けられた昇降ピン64が挿入されている。
【0041】
また、第2シフトバー55の右側端部にはスイッチングスティック56が形成されている。スイッチングスティック56は左右方向に直線状に伸張している。シフトバー55の左右方向の移動によりスイッチングスティック56が左右方向に移動すると、スイッチングスティック56と第3スイッチ73の切り替えレバーとの接触の有無が変わり、これにより第3スイッチ73のオン、オフが切り替わる。
【0042】
トラバースメカ61には、ターンテーブル62および光ピックアップ63などが設けられている。モーター65は、ピニオン66を回転駆動すると共に、各ローディングアーム21のローラー23を回転駆動する。ピニオン66は、セレクトプレート37の下方に配置されている。上述したようにセレクトプレート37およびトリガープレート46は前後方向に移動するが、ピニオン66の軸は不動である。ピニオン66は、クランプ動作時にモーター65の動力をトリガープレート46に伝達し、第2シフトバー55、第1シフトバー51、トラバースメカ61などを移動させる。
【0043】
なお、トリガープレート46、第1シフトバー51、第2シフトバー55、昇降ピン64、モーター65、ピニオン66、ターンテーブル62、ターンテーブル62に対向するようにターンテーブル62の上方に設けられたクランパー(図示せず)などによりクランプ機構が構成されている。
【0044】
スイッチユニット69は、ディスクドライブ10の右側に配置されている。スイッチユニット69はスイッチ基板70、第1スイッチ71、第2スイッチ72、第3スイッチ73および配線を備えている。スイッチ71ないし73および配線は、スイッチ基板70上に設けられている。
【0045】
各スイッチ71、72、73には切り替えレバーが設けられている。切り替えレバーを押し込むとスイッチがオンになる。切り替えレバーを離すと切り替えレバーが自動的に起きあがり、スイッチがオフになる。第1スイッチ71および第2スイッチ72の切り替えレバーは、ラックプレート31のスイッチングエッジ32が接触することにより押し込まれる。すなわち、第1スイッチ71および第2スイッチ72は、スイッチングエッジ32との接触の有無により、オン、オフが切り替わる。一方、第3スイッチ73の切り替えレバーは、第2シフトバー55のスイッチングスティック56が接触することにより押し込まれる。すなわち、第3スイッチ73は、スイッチングスティック56との接触の有無により、オン、オフが切り替わる。
【0046】
制御回路75は、スイッチ71ないし73のオン・オフ状態などに基づいて、ローディング時、クランプ時およびイジェクト時におけるモーター65の駆動を制御する。具体的には、制御回路75は、スイッチ71ないし73からそれぞれ出力される出力信号を受け取る。そして、制御回路75は、モーター65を駆動するための駆動信号をモーター65に出力する。
【0047】
さらに、制御回路75には、ディスク識別回路76が含まれている。ディスク識別回路76は、記録ディスクの位置がクランプ位置であるときの第2スイッチ72のオン・オフ状態を用いて、この記録ディスクの種類を識別する。ディスク識別回路76は、記録ディスクの種類の識別結果を示す識別信号を出力する。この識別信号は制御回路75においてモーター65の駆動制御に用いられる。
【0048】
直径8cmの記録ディスク1がディスクドライブ10に挿入されたとき、ディスクドライブ10は例えば次のように動作する。
【0049】
図3に示すように、記録ディスク1がディスクドライブ10に挿入されると、記録ディスク1の周縁が各ローディングアーム21のローラー23に接触し、各ローディングアーム21を後ろ方向に押す。これにより、各ローディングアーム21が開く。各ローディングアーム21が開くと、ギア24、ピニオン25およびラック部31A、31Bの噛合により、ラックプレート31が左方向に移動する。ラックプレート31が移動すると、スイッチングエッジ32が第1スイッチ71の切り替えレバーから離れ、第1スイッチ71がオンからオフに切り替わる。これに応じて制御回路75はモーター65の駆動を開始させる。これにより、各ローディングアーム21のローラー23が回転を始め、ローラー23の回転により記録ディスク1がディスクドライブ10の内部へ引き込まれる。
【0050】
記録ディスク1が引き込まれ、記録ディスク1が後ろ方向に搬送されるにしたがって、各ローディングアーム21がさらに開き、ラックプレート31が左方向にさらに移動する。やがて記録ディスク1の後ろ側周縁がイジェクトアーム41の接触部材43に接触し、イジェクトアーム41の一端側を後退させる。イジェクトアーム41の一端側が後退すると、イジェクトアーム41の他端側が前進し、イジェクトアーム41の押動制御部44がトリガーピン47を押し、トリガープレート46を前進させる。
【0051】
図4に示すように、記録ディスク1がクランプ位置まで搬送され、これによりイジェクトアーム41の一端側が所定の位置まで後退すると、押動制御部44の前進によりトリガープレート46が所定の位置まで前進する。トリガープレート46が所定の位置まで前進すると、トリガープレート46のラック部46Aがピニオン66と噛み合う。ピニオン66は、モーター65が駆動している間は常に回転している。トリガープレート46のラック部46Aがピニオン66と噛み合うと、ピニオン66の回転により、トリガープレート46がさらに前進する。すなわち、トリガープレート46のラック部46Aがピニオン66と噛み合った瞬間、トリガープレート46を前進させる動力源が、押動制御部44の押圧力からピニオン66の回転に切り替わる。
【0052】
図5に示すように、トリガープレート46が前進し、トリガープレート46の伝達ピン48が第1シフトバー51の伝達溝51A中のストッパー(例えば伝達溝51A前端内壁)に当たると、第1シフトバー51も前進する。第1シフトバー51が前進すると、第1シフトバー51の伝達ピン52により第2シフトバー55が右方向に移動する。第2シフトバー55が右方向に移動すると、スイッチングスティック56も右方向に移動する。これにより、スイッチングスティック56の右端が第3スイッチ73の切り替えレバーに接触し、第3スイッチ73がオフからオンに切り替わる。第3スイッチ73がオフからオンに切り替わると、制御回路75はモーター65の駆動を停止する。これにより、各ローディングアーム21のローラー23の回転およびピニオン66の回転が止まる。
【0053】
また、第2シフトバー55が右方向に移動すると、第2シフトバー55の昇降溝55Bに挿入された昇降ピン64が持ち上がり、これに伴ってトラバースメカ61が上昇する。これにより、記録ディスク1がターンテーブル62とターンテーブル62の上方に配置されたクランパー(図示せず)との間にクランプされる。
【0054】
また、このとき、第1シフトバー51の前進により、第1シフトバー51の退避制御ピン53がラックプレート31の第1退避制御溝34に進入する。そして、退避制御ピン53が第1退避制御溝34の傾斜縁を押すことにより、ラックプレート31が左方向にさらに移動する。これにより、各ローディングアーム21がさらに開き、各ローディングアーム21のローラー23が記録ディスク1の周縁から離れ、各ローディングアーム21のローラー23と記録ディスク1の周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
【0055】
さらに、退避制御ピン53の第1退避制御溝34への進入によりラックプレート31が左方向に移動すると、セレクトプレート37のセレクトピン38がセレクトカム溝33の左右方向中央付近に形成された傾斜溝部の一部によりわずかに後ろ方向に押され、セレクトプレート37が小さく後退する。セレクトプレート37が小さく後退すると、イジェクトアーム41の支軸42も小さく後退する。このとき、イジェクトアーム41の他端側は、トリガープレート46の前進により伸張したコイルばね49により引っ張られている。このため、イジェクトアーム41は反時計回りに回動し、イジェクトアーム41の一端側が後退し、イジェクトアーム41の接触部材43が記録ディスク1の周縁から離れる。これにより、イジェクトアーム41の接触部材43と記録ディスク1の周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
【0056】
図5に示すように、記録ディスク1のクランプが完了し、イジェクトアーム41および各ローディングアーム21の退避が完了すると、図示しないスピンドルモーター65が駆動を開始し、ターンテーブル62が回転し、記録ディスク1が回転する。そして、光ピックアップ63により記録ディスク1に対し、情報の読み取りまたは記録が行われる。
【0057】
記録ディスク1に対する情報の読み取りまたは書き込みが終了し、記録ディスク1をイジェクトする旨の指示が与えられたときには、この指示に応じてモーター65が始動する。このときのモーター65の回転方向は、ローディング時とは逆の方向である。そして、ピニオン66が逆回転を始め、これにより、第1シフトバー51およびトリガープレート46が後退する。さらに、第2シフトバー55が左方向に移動し、スイッチングスティック56が左方向に移動し、スイッチングスティック56が第3スイッチ73の切り替えレバーから離れ、第3スイッチ73がオンからオフに切り替わる。さらに、トラバースメカ61が下降する。さらに、第1シフトバー51の退避制御ピン53がラックプレート31の第1退避制御溝34から退出し、ラックプレート31が図示しないばねの力により右方向に移動する。これにより各ローディングアーム21が閉じ、各ローディングアーム21のローラー23が記録ディスク1の周縁に接触する。さらに、トリガープレート46の後退により、イジェクトアーム41が時計回りに回動し、イジェクトアーム41の一端側が前進し、接触部材43が記録ディスク1の周縁に接触する。また、モーター65の回転開始により各ローラー23が逆回転を開始する。
【0058】
そして、記録ディスク1は、イジェクトアーム41の接触部材43により押され、さらに各ローディングアーム21のローラー23の逆回転により前方向に搬送される。
【0059】
図6に示すように、記録ディスク1が前方向に搬送されるにしたがって、各ローディングアーム21の先端側が閉じ、ラックプレート31が右方向に移動する。そして、ラックプレート31のスイッチングエッジ32が第1スイッチ71の切り替えレバーに接触し、第1スイッチ71がオフからオンに切り替わる。第1スイッチ71がオフからオンに切り替わると、制御回路75はモーター65の駆動を停止させる。これにより、各ローディングアーム21のローラー23の回転が停止し、記録ディスク1がイジェクト完了位置に停止する。
【0060】
イジェクト完了位置は、例えば、いずれの記録ディスクにおいても、その表面面積のおよそ5分の3ないし4分の3程度に相当する部分がディスクスロット13から外に露出し、残りの部分がディスクドライブ10内に留まるような位置であることが望ましい。これにより、イジェクト時に、記録ディスクがディスクスロット13から外へ脱落するのを防止することができ、かつ、ユーザーがイジェクトされた記録ディスクを手で取り出しやすくすることができる。
【0061】
その後、イジェクト完了位置に停止している記録ディスク1をユーザーがディスクドライブ10内に再び押し込むと、これにより各ローディングアーム21が開き、ラックプレート31が左方向に移動し、第1スイッチ71がオンからオフに切り替わり、モーター65の駆動が開始される。これにより、各ローディングアーム21のローラー23の回転が始まり、記録ディスク1がディスクドライブ10内に再び引き込まれる。
【0062】
直径12cmの記録ディスク2がディスクドライブ10に挿入されたとき、ディスクドライブ10は例えば次のように動作する。
【0063】
図7に示すように、記録ディスク2がディスクドライブ10に挿入されると、記録ディスク2の周縁が各ローディングアーム21のローラー23に接触し、各ローディングアーム21を後ろ方向に押す。これにより各ローディングアーム21が開く。各ローディングアーム21が開くと、ギア24、ピニオン25およびラック部31A、31Bの噛合により、ラックプレート31が左方向に移動する。ラックプレート31が移動すると、スイッチングエッジ32が第1スイッチ71の切り替えレバーから離れ、第1スイッチ71がオンからオフに切り替わる。これにより、制御回路75はモーター65の駆動を開始させる。これにより、各ローディングアーム21のローラー23が回転を始め、ローラー23の回転により記録ディスク2がディスクドライブ10の内部へ引き込まれる。
【0064】
図8に示すように、記録ディスク2が引き込まれ、記録ディスク2が後ろ方向に搬送されるにしたがって、ローディングアーム21がさらに開き、ラックプレート31が左方向にさらに移動する。そして、スイッチングエッジ32が第2スイッチ72の切り替えレバーから離れ、第2スイッチ72がオンからオフに切り替わる。制御回路75は、このときの第2スイッチ72の切り替わりにより動作を変更せず、それゆえ、モーター65は回転を続け、記録ディスク2の搬送が続く。
【0065】
直径12cmの記録ディスク2が搬送されるときのローディングアーム21、21の開きは、直径8cmの記録ディスク1が搬送されるときのローディングアーム21、21の開きよりも大きい。この結果、直径12cmの記録ディスク2が搬送されるときのラックプレート31の移動量は、直径8cmの記録ディスク1が搬送されるときのラックプレート31の移動量よりも大きい。このようにラックプレート31が左方向に大きく移動すると、ラックプレート31のセレクトカム溝33に挿入されているセレクトピン38が、セレクトカム溝33の左右方向中央付近に形成された傾斜溝部の全部により後ろ方向に大きく押され、セレクトプレート37が大きく後退する。これにより、イジェクトアーム41の支軸42が大きく後退し、トリガープレート46も大きく後退する。
【0066】
記録ディスク2の搬送が続くと、やがて記録ディスク2の後ろ側周縁がイジェクトアーム41の接触部材43に接触し、イジェクトアーム41の一端側を後退させる。イジェクトアーム41の一端側が後退すると、イジェクトアーム41の他端側が前進し、イジェクトアーム41の押動制御部44がトリガーピン47を押し、トリガープレート46を前進させる。
【0067】
図9に示すように、記録ディスク2がクランプ位置まで搬送され、これによりイジェクトアーム41の一端側が所定の位置まで後退すると、押動制御部44の前進によりトリガープレート46が所定の位置まで前進する。トリガープレート46が所定の位置まで前進すると、トリガープレート46のラック部46Aがピニオン66と噛み合う。トリガープレート46のラック部46Aがピニオン66と噛み合うと、ピニオン66の回転により、トリガープレート46がさらに前進する。
【0068】
図10に示すように、トリガープレート46が前進し、トリガープレート46の伝達ピン48が例えば第1シフトバー51の伝達溝51Aの前端内壁に当たると、第1シフトバー51も前進する。第1シフトバー51が前進すると、第1シフトバー51の伝達ピン52により第2シフトバー55が右方向に移動する。第2シフトバー55が右方向に移動すると、スイッチングスティック56も右方向に移動する。これにより、スイッチングスティック56の右端が第3スイッチ73の切り替えレバーに接触し、第3スイッチ73がオフからオンに切り替わる。第3スイッチ73がオフからオンに切り替わると、制御回路75はモーター65の駆動を停止する。これにより、各ローディングアーム21のローラー23の回転およびピニオン66の回転が止まる。
【0069】
また、第2シフトバー55が右方向に移動すると、第2シフトバー55の昇降溝55Bに挿入された昇降ピン64が持ち上がり、これに伴ってトラバースメカ61が上昇する。これにより、記録ディスク2がターンテーブル62とターンテーブル62の上方に配置されたクランパー(図示せず)との間にクランプされる。
【0070】
また、このとき、第1シフトバー51の前進により、第1シフトバー51の退避制御ピン53がラックプレート31の第2退避制御溝35に進入する。そして、退避制御ピン53が第2退避制御溝35の傾斜縁を押すことにより、ラックプレート31が左方向にさらに移動する。これにより、各ローディングアーム21がさらに開き、各ローディングアーム21のローラー23が記録ディスク2の周縁から離れ、各ローディングアーム21のローラー23と記録ディスク2の周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
【0071】
さらに、退避制御ピン53の第2退避制御溝35への進入によりラックプレート31が左方向に移動すると、セレクトプレート37のセレクトピン38が、セレクトカム溝33の右端部に形成された溝部により後ろ方向にわずかに押され、セレクトプレート37が小さく後退する。セレクトプレート37が小さく後退すると、イジェクトアーム41の支軸42も小さく後退する。このとき、イジェクトアーム41の他端側は、トリガープレート46の前進により伸張したコイルばね49により引っ張られている。このため、イジェクトアーム41は反時計回りに回動し、イジェクトアーム41の一端側が後退し、イジェクトアーム41の接触部材43が記録ディスク2の周縁から離れる。これにより、イジェクトアーム41の接触部材43と記録ディスク2の周縁との間に適切なクリアランスが確保される。
【0072】
図10に示すように、記録ディスク2のクランプが完了し、イジェクトアーム41および各ローディングアーム21の退避が完了すると、図示しないスピンドルモーター65が駆動を開始し、ターンテーブル62が回転し、記録ディスク2が回転する。そして、光ピックアップ63により記録ディスク2に対し、情報の読み取りまたは記録が行われる。
【0073】
記録ディスク2に対する情報の読み取りまたは書き込みが終了し、記録ディスク2をイジェクトする旨の指示が与えられたときには、この指示に応じてモーター65が始動する。このときのモーター65の回転方向は、ローディング時とは逆の方向である。そして、ピニオン66が逆回転を始め、これにより、第1シフトバー51およびトリガープレート46が後退する。さらに、第2シフトバー55が左方向に移動し、スイッチングスティック56が左方向に移動し、スイッチングスティック56が第3スイッチ73の切り替えレバーから離れ、第3スイッチ73がオンからオフに切り替わる。さらに、トラバースメカ61が下降する。さらに、第1シフトバー51の退避制御ピン53がラックプレート31の第2退避制御溝35から退出し、ラックプレート31が図示しないばねの力により右方向に移動する。これにより各ローディングアーム21が閉じ、各ローディングアーム21のローラー23が記録ディスク2の周縁に接触する。さらに、トリガープレート46の後退により、イジェクトアーム41が時計回りに回動し、イジェクトアーム41の一端側が前進し、接触部材43が記録ディスク2の周縁に接触する。また、モーター65の回転開始により各ローラー23が逆回転を開始する。
【0074】
そして、記録ディスク2は、イジェクトアーム41による押され、さらに各ローディングアーム21のローラー23の逆回転により前方向に搬送される。
【0075】
図11に示すように、記録ディスク2が前方向に搬送されるにしたがって、各ローディングアーム21の先端側が閉じ、ラックプレート31が右方向に移動する。そして、ラックプレート31のスイッチングエッジ32が第2スイッチ72の切り替えレバーに接触し、第2スイッチ72がオフからオンに切り替わる。第2スイッチ72がオフからオンに切り替わると、制御回路75はモーター65の駆動を停止させる。これにより、各ローディングアーム21のローラー23の回転が停止し、記録ディスク2がイジェクト完了位置に停止する。
【0076】
その後、イジェクト完了位置に停止している記録ディスク2をユーザーがディスクドライブ10内に再び押し込むと、これにより各ローディングアーム21が開き、ラックプレート31が左方向に移動し、第2スイッチ72がオンからオフに切り替わり、モーター65の駆動が開始される。これにより、各ローディングアーム21のローラー23の回転により、記録ディスク2がディスクドライブ10内に再び引き込まれる。
【0077】
(引き込み完了の検出)
図12は、直径8cmの記録ディスク1が引き込み完了位置に到達したときのラックプレート31、セレクトプレート37、イジェクトアーム41およびトリガープレート46などの状態を拡大して示している。図13は、直径12cmの記録ディスク2が引き込み完了位置に到達したときのラックプレート31、セレクトプレート37、イジェクトアーム41およびトリガープレート46などの状態を拡大して示している。以下、図12および図13を参照しながら、イジェクトアーム41およびトリガープレート46などによる記録ディスクの引き込み完了検出について説明する。
【0078】
まず、イジェクトアーム41およびトリガープレート46による引き込み完了検出の基本的動作について説明する。イジェクトアーム41およびトリガープレート46による引き込み完了検出の基本的動作は、ディスクドライブ10に挿入された記録ディスクが直径8cmの記録ディスク1であると直径12cmの記録ディスク2であると同じである。そこで、直径8cmの記録ディスク1がディスクドライブ10に挿入された場合を例にあげ、イジェクトアーム41およびトリガープレート46による引き込み完了検出の基本的動作について説明する。
【0079】
図12に示すように、記録ディスク1のローディング時において、記録ディスク1が各ローディングアーム21によって搬送され、記録ディスク1がクランプ位置、すなわち引き込み完了位置に到達したとき、記録ディスク1の周縁に接触しているイジェクトアーム41の先端部(イジェクトアームの一端側に取り付けられた接触部材43)は、記録ディスク1に押されて位置P1まで後退する。このとき、イジェクトアーム41の先端部に対し支軸42を挟んで反対側に位置する押動制御部44が位置P2まで前進する。これにより、トリガープレート46のトリガーピン47が押動制御部44に前方向に押され、この結果、トリガープレート46のラック部46Aとピニオン66との間に噛み合いが生じる。そして、ラック部46Aとピニオン66との間に噛み合いが生じたことをきっかけにして、クランプ動作が開始される。すなわち、第1シフトバー51の前進、第2シフトバー55の右方向の移動、トラバースメカ61の上昇などが開始される(図4ないし図5参照)。
【0080】
このように、イジェクトアーム41は、引き込み完了位置まで搬送された記録ディスク1の周縁に接触して反時計回りに所定角度回動することにより、記録ディスク1の引き込み完了を検出する。
【0081】
また、トリガープレート46は、イジェクトアーム41の押動制御部44によって前方向に所定距離押し動かされ、所定の位置でラック部46Aをピニオン66に噛み合わせることにより、イジェクトアーム41の所定角度の回動を検出する。これにより、トリガープレート46は、イジェクトアーム41による引き込み完了の検出結果に基づいて、クランプ動作開始のきっかけを作り出す。
【0082】
次に、上述した、イジェクトアーム41およびトリガープレート46による引き込み完了検出の基本的動作を、直径8cmの記録ディスク1と直径12cmの記録ディスク2とに対し、同等に行わせるための構成およびその動作について説明する。
【0083】
図12に示すように、ラックプレート31の左側後部に形成されたセレクトカム溝33は、前後方向における位置が互いに異なる2個の溝部33A、33Bを有している。
【0084】
直径8cmの記録ディスク1が引き込み完了位置に搬送されるまでの間における各ローディングアーム21の最大回動角は、直径12cmの記録ディスク2が引き込み完了位置に搬送されるまでの間における各ローディングアーム21の最大回動角よりも小さい。それゆえ、直径8cmの記録ディスク1が引き込み完了位置に搬送されるまでの間におけるラックプレート31の左方向の移動量は、直径12cmの記録ディスク2が引き込み完了位置に搬送されるまでの間におけるラックプレート31の左方向の移動量よりも少ない。したがって、直径8cmの記録ディスク1が引き込み完了位置に搬送されるまでの間、セレクトプレート37のセレクトピン38は、セレクトカム溝33の溝部33A内に位置したままであり、この間にセレクトピン38がセレクトカム溝の溝部33B内に移動することはない。つまり、直径8cmの記録ディスク1が引き込み完了位置に搬送されるまでの間におけるラックプレート31の移動量を考慮して、この間にセレクトピン38がセレクトカム溝33の溝部33B内に移動することがないようにセレクトカム溝33の形状などが設定されている。
【0085】
直径8cmの記録ディスク1が引き込み完了位置に搬送されるまでの間、セレクトピン38はセレクトカム溝33の溝部33A内に位置したままなので、この間、セレクトプレート37は、図12に示すように前側に位置した状態を維持する。この結果、直径8cmの記録ディスク1が引き込み完了位置に搬送されるまでの間、イジェクトアーム41の支軸42は位置P3に停滞している。
【0086】
イジェクトアーム41の支軸42が位置P3にある状態で、直径8cmの記録ディスク1が引き込み完了位置に到達すると、図12に示すように、イジェクトアーム41の先端部が位置P1になり、押動制御部44が位置P2になる。これにより、上述したように直径8cmの記録ディスク1の引き込み完了が検出される。
【0087】
一方、図13に示すように、直径12cmの記録ディスク2が引き込み完了位置に搬送されたときの各ローディングアーム21の回動角は、直径8cmの記録ディスク1が引き込み完了位置に搬送されるまでの間における各ローディングアーム21の最大回動角よりも大きい。それゆえ、直径12cmの記録ディスク2が引き込み完了位置に搬送されたときのラックプレート31の左方向の移動量は、直径8cmの記録ディスク1が引き込み完了位置に搬送されるまでの間におけるラックプレート31の左方向の移動量よりも多い。したがって、直径12cmの記録ディスク2が引き込み完了位置に搬送されたとき、セレクトプレート37のセレクトピン38は、セレクトカム溝33の溝部33A内から溝部33B内に移動している。つまり、直径12cmの記録ディスク2が引き込み完了位置に搬送されたときのラックプレート31の移動量を考慮して、このときにセレクトピン38がセレクトカム溝33の溝部33B内に移動するようにセレクトカム溝33の形状などが設定されている。
【0088】
直径12cmの記録ディスク2が引き込み完了位置に搬送されたとき、セレクトピン38はセレクトカム溝33の溝部33B内に位置するので、このとき、セレクトプレート37は、図13に示すように後ろ側に移動している。すなわち、セレクトピン38がセレクトカム溝33の溝部33A内から溝部33B内に移動することにより、セレクトピン38がセレクトカム溝33に押され、セレクトプレート37が後ろ方向に所定距離移動する。この結果、直径12cmの記録ディスク2が引き込み完了位置に搬送されたとき、イジェクトアーム41の支軸42は位置P3から位置P5に後退している。
【0089】
イジェクトアーム41の支軸42が位置P5に後退した状態で、直径12cmの記録ディスク2が引き込み完了位置に到達すると、図13に示すように、イジェクトアーム41の先端部が位置P6まで後退する。これに連動して、イジェクトアーム41の押動制御部44が位置P2まで前進し、トリガープレート46を所定距離前進させ、ラック部46とピニオン66との噛み合いを生じさせる。このようにして、直径12cmの記録ディスク2の引き込み完了が検出される。
【0090】
ここで、着目すべき点は、直径8cmの記録ディスク1が挿入されたときでも、直径12cmの記録ディスク2が挿入されたときでも、押動制御部44が位置P2に到達したことをもって、それぞれの記録ディスクの引き込み完了検出が等しく実現している点である。すなわち、直径8cmの記録ディスク1が挿入されたときには、セレクトプレート37を前側に配置し、イジェクトアーム41の支軸42を位置P3に配置し、記録ディスク1の引き込み完了を検出する。一方、直径12cmの記録ディスク2が挿入されたときには、セレクトプレート37を後ろ側に移動させ、イジェクトアーム41の支軸42を位置P5に移動させ、記録ディスク2の引き込み完了を検出する。直径8cmの記録ディスク1が挿入されたときと直径12cmの記録ディスク2が挿入されたときとで、支軸を位置P3と位置P5との間で移動させることにより、記録ディスクの直径の相違にかかわらず、引き込み完了検出時の押動制御部44の位置は位置P2である。それゆえ、記録ディスクの直径の相違にかかわらず、引き込み完了検出時のトリガープレート46の挙動(つまりラック部46部とピニオン66との間の噛み合いを生じさせるための動き)は同じである。
【0091】
以上説明した通り、ディスクドライブ10では、各ローディングアーム21の回動をラックプレート31の左右方向の移動に変換し、ラックプレート31の移動をセレクトプレート37の前後方向の移動に変換し、イジェクトアーム41の支軸42の位置を、直径8cmの記録ディスク1の挿入時は位置P3とし、直径12cmの記録ディスク2の挿入時は位置P5とする。これにより、直径8cmの記録ディスク1の引き込み完了検出と、直径12cmの記録ディスク2の引き込み完了検出とを、同等の検出方法、同等の構造および同等の動作で実現することができ、それゆえ、直径の異なる2種類の記録ディスクの引き込み完了検出を、単一の検出方法、単一の構造および一通りの動作で実現することができる。
【0092】
したがって、互いに直径の異なる記録ディスクの引き込み完了検出を簡単な構造により実現することができる。よって、ディスクドライブの部品点数の削減、小型化、薄型化、軽量化および製造コストの削減を実現することができる。
【0093】
なお、上述した説明では、互いに直径が異なる2種類の記録ディスク1、2を取り扱うディスクドライブを例にあげたが、本発明はこれに限られない。本発明は、互いに直径の異なる3種類以上の記録ディスクを取り扱うディスクドライブにも適用することができる。この場合には、それぞれ前後方向における位置が異なる3種類以上の溝部を有するセレクトカム溝をラックプレートに形成し、イジェクトアームの支軸を3個以上の位置に移動させるようにする。
【0094】
また、上述した実施形態では、セレクトカム溝33をラックプレート31に形成し、セレクトピン38をセレクトプレート37に設ける場合を例にあげたが、本発明はこれに限られない。セレクトカム溝をセレクトプレートに形成し、セレクトピンをラックプレートに設けてよい。
【0095】
また、上述した実施形態では、セレクトカム溝33およびセレクトピン38により、ラックプレート31の左右方向の移動をセレクトプレート37の前後方向の移動に変換する場合を例にあげたが、本発明はこれに限られない。例えば、ラックプレート31の左右方向の移動をセレクトプレート37の前後方向の移動に変換する機構を、ラックおよびピニオンにより構成してもよい。
【0096】
また、上述した実施形態では、イジェクトアーム41を用いて記録ディスク1、2の引き込み完了検出を行う場合を例にあげたが、本発明はこれに限られない。例えば、セレクトプレート37上に記録ディスクの後ろ側周縁の位置などを検出するセンサを固定し、ディスクドライブに挿入された記録ディスクの直径に応じてセレクトプレート37を前後方向に移動させることにより、センサを前後方向に移動させてもよい。
【0097】
また、上述したディスクドライブ10において、シャーシ11が基板の具体例であり、ローディングアーム21が搬送アームの具体例であり、ラックプレート31が第1移動部材の具体例であり、ギア24、ピニオン25およびラック部31A、31Bが第1動き変換機構の具体例である。また、セレクトプレート37が第2移動部材の具体例であり、セレクトカム溝33およびセレクトピン38が第2動き変換機構の具体例であり、イジェクトアーム41およびトリガープレート46が引き込み検出手段の具体例である。また、イジェクトアーム41は検出アームの具体例であり、トリガープレート46は、回動検出手段の具体例である。
【0098】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うディスクドライブもまた本発明の技術思想に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明のディスクドライブの実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1中のディスクドライブの内部を示す平面図である。
【図3】小径の記録ディスクが挿入されたときのディスクドライブの内部を示す平面図である。
【図4】小径の記録ディスクがクランプ位置に搬送されたときのディスクドライブの内部を示す平面図である。
【図5】小径の記録ディスクがクランプされたときのディスクドライブの内部を示す平面図である。
【図6】小径の記録ディスクがイジェクト完了位置で停止したときのディスクドライブの内部を示す平面図である。
【図7】大径の記録ディスクが挿入されたときのディスクドライブの内部を示す平面図である。
【図8】大径の記録ディスクの搬送途中におけるディスクドライブの内部を示す平面図である。
【図9】大径の記録ディスクがクランプ位置に搬送されたときのディスクドライブの内部を示す平面図である。
【図10】大径の記録ディスクがクランプされたときのディスクドライブの内部を示す平面図である。
【図11】大径の記録ディスクがイジェクト完了位置で停止したときのディスクドライブの内部を示す平面図である。
【図12】直径8cmの記録ディスクが引き込み完了位置に到達したときのラックプレート、セレクトプレート、イジェクトアームおよびトリガープレートなどを示す拡大平面図である。
【図13】直径12cmの記録ディスクが引き込み完了位置に到達したときのラックプレート、セレクトプレート、イジェクトアームおよびトリガープレートなどを示す拡大平面図である。
【符号の説明】
【0100】
10 ディスクドライブ
11 シャーシ
21 ローディングアーム
24 ギア
25 ピニオン
31 ラックプレート
31A、31B ラック部
33 セレクトカム溝
33A、33B 溝部
37 セレクトプレート
38 セレクトピン
41 イジェクトアーム
42 支軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直径の異なる複数種類の記録ディスクに対して情報の読み取りまたは記録を行うディスクドライブであって、
基板と、
前記基板に回動可能に支持され、前記記録ディスクの周縁を狭持し、前記記録ディスクの搬送を行う一対の搬送アームと、
前記基板に左右方向に移動可能に支持された第1移動部材と、
前記搬送アームの回動を前記第1移動部材の左右方向の移動に変換する第1動き変換機構と、
前記基板に前後方向に移動可能に支持された第2移動部材と、
前記第1移動部材の左右方向の移動を前記第2移動部材の前後方向の移動に変換する第2動き変換機構と、
前記第2移動部材に支持され、前記第2移動部材の移動に伴って前後方向に移動し、前記記録ディスクの引き込み完了を検出する引き込み検出手段とを備え、
前記引き込み検出手段は、前記第2移動部材が前側に位置するときには、前記複数種類の記録ディスクのうちの小径の記録ディスクの引き込み完了を検出し、前記第2移動部材が後ろ側に位置するときには、前記複数種類の記録ディスクのうちの大径の記録ディスクの引き込み完了を検出することを特徴とするディスクドライブ。
【請求項2】
前記第1動き変換機構は、
前記一対の搬送アームにそれぞれ固定された一対のギアと、
前記第1移動部材の左右方向一方側に設けられ、前記一対のギアのうちの前記左右方向一方側に配置されたギアとピニオンを介して噛み合う第1ラック部と、
前記第1移動部材の左右方向他方側に設けられ、前記一対のギアのうちの前記左右方向他方側に配置されたギアと噛み合う第2ラック部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ。
【請求項3】
前記第2動き変換機構は、
前後方向において位置が互いに異なる複数の溝部を有するカム溝と、
一端側が前記カム溝に挿入されるピンとを備え、
前記カム溝は前記第1移動部材に設けられ前記ピンの他端側は前記第2移動部材に固定され、または、前記カム溝は前記第2移動部材に設けられ前記ピンの他端側は前記第1移動部材に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ。
【請求項4】
前記引き込み完了検出手段は、
前記第2移動部材に回動可能に支持され、先端部が前記搬送アームにより引き込み完了位置まで搬送された前記記録ディスクの周縁に接触し、この接触によって回動する検出アームと、
前記検出アームの回動を検出する回動検出手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ。
【請求項5】
前記検出アームは、イジェクト時に前記引き込み完了位置にある前記記録ディスクを押し出すイジェクトアームであることを特徴とする請求項4に記載のディスクドライブ。
【請求項6】
前記引き込み完了検出手段による前記記録ディスクの引き込み完了の検出をきっかけとして、前記記録ディスクのクランプ動作を開始するクランプ機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−102937(P2007−102937A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292403(P2005−292403)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】