説明

ディスクプレーヤ

【課題】 ピックアップの移動、ディスクトレイの移動、及びディスクトレイとターン
テーブルの相対高さ変更を、単一のモータと簡素な機構で実現することができ、動作信頼
性も高いディスクプレーヤを提供する。
【解決手段】 ピックアップ移動モータ40がピックアップ30を一方の移動限界に向
かって移動させる過程で、中継ギヤ50が後段ギヤ列45を前段ギヤ列41に連結する。
ピックアップ30が移動限界に達した後も第1スライダ32は前進を続け、ロック部材7
0を姿勢変換させる。これにより第2スライダ60のスライド、ターンテーブル31から
ディスクトレイ80へのディスクの移し替え、ディスクトレイ80のディスク取り出し位
置への移動といった動作が連鎖的に発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスクからのデータ読み出しやディスクへのデータ書き込みを行うディスク
プレーヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクプレーヤは3種類の動力を必要とする。その1はディスクの回転用であり、そ
の2はデータ読み出しやデータ書き込みを行うピックアップの移動用であり、その3はデ
ィスクの出し入れを行うディスクトレイの移動用である。これらの動力をまかなうのに、
動力毎に1個ずつ、計3個のモータを使用するのではコストが高くつく。そこで、ディス
ク回転用モータの動力を利用してディスクトレイを移動させたり、ピックアップ移動用モ
ータの動力を利用してディスクトレイを移動させるといった、モータの兼用化がしばしば
試みられる。特許文献1、2には、ピックアップ移動用モータによりディスクトレイの移
動も行うようにしたディスクプレーヤの例が記載されている。
【特許文献1】実開平1−64129号公報(全文、図1、2)
【特許文献2】特開平11−39764号公報(第4−8頁、図1−16)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ディスクプレーヤにおいて、外部から取り込んだディスクはディスクトレイからターン
テーブルに移し替える。また用済みのディスクを取り出すときは、ターンテーブルとチャ
ックによりクランプされていたディスクをディスクトレイに移し替える。このため、ディ
スクトレイとターンテーブルは、少なくとも一方の高さを変えられるようにして、互いの
高さレベルを変える必要がある。特許文献2に記載されたディスクプレーヤは、ピックア
ップの移動とディスクトレイの移動に加え、ディスクトレイとターンテーブルの相対高さ
変更の動きまでを単一のモータで実現している。しかしながらそのために用いられる連係
機構の構造はきわめて複雑であり、部品コストや組立工数の面で有利とは言い難い。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、ピックアップの移動、ディスクトレイの
移動、及びディスクトレイとターンテーブルの相対高さ変更を、単一のモータと簡素な機
構で実現することができ、動作信頼性も高いディスクプレーヤを提供することを目的とす
る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、上下動可能なデッキに支持されたター
ンテーブルと、前記ターンテーブルに搭載されたディスクの半径方向に移動し、回転する
ディスクに対しデータ読み出し又はデータ書き込みを行うピックアップと、前記ターンテ
ーブルにディスクを搭載するディスク搭載位置と、ディスクの出し入れを行うディスク取
り出し位置との間を移動するディスクトレイと、前記ピックアップに相対移動可能に装着
された第1スライダと、前記ピックアップに設けられた第1ラックと、前記第1スライダ
に設けられた第2ラックと、前記第1ラック及び第2ラックに前段ギヤ列を介して動力を
伝えるピックアップ移動モータと、前記前段ギヤ列とこれに続く後段ギヤ列の間にあって
、通常は前段ギヤ列と後段ギヤ列を連結しない連結解除位置にあり、前記ピックアップが
前記一方の移動限界に達するのに対応して、前段ギヤ列に後段ギヤ列を連結する連結位置
に移動する中継ギヤと、前記中継ギヤを支持するスイングアームと、前記スイングアーム
を、前記中継ギヤが前記連結解除位置に位置するよう付勢するとともに、前記ピックアッ
プが一方の移動限界に向かって移動する過程でその移動経路中に突出する一端が押される
ことにより、前記中継ギヤが前記連結位置に移動するようスイングアームを変位させるね
じりコイルばねと、前記後段ギヤ列にかみ合う第3ラックを有し、前記ピックアップ及び
ディスクトレイのスライド方向と直交する方向にスライドする第2スライダと、前記第2
スライダと前記デッキとの間に設けられた第1カム機構と、前記第2スライダと前記ディ
スクトレイとの間に設けられた第2カム機構と、前記ディスクトレイに設けられた第4ラ
ックと、前記第1スライダを受け止める第1アームと、前記第2スライダに係合する第2
アームとを備え、第1スライダにより姿勢変換せしめられることにより第1スライダを拘
束し且つ第2スライダを変位させるとともに、変位した第2スライダと第2アームとの係
合によりその姿勢変換状態が維持されるロック部材と、前記ピックアップと第1スライダ
との間に設けられ、第1スライダを前記ロック部材の存在する方向と逆の方向に付勢する
ばねとを備え、前記ディスクトレイがディスク搭載位置にあるときに前記ピックアップを
一方の移動限界まで移動させ、前記中継ギヤを介して前記後段ギヤ列を前記前段ギヤ列に
連結した後、前記ピックアップ移動モータをさらに駆動することにより、前記第1スライ
ダがピックアップに対し相対移動して前記ロック部材を姿勢変換させ、この姿勢変換がも
たらした前記第2スライダの変位により第2スライダが前記後段ギヤ列に連結し、前段ギ
ヤ列から動力を得た後段ギヤ列が第2スライダをスライドさせることにより前記第1カム
機構が前記デッキを押し下げてディスク支持の役割を前記ターンテーブルから前記ディス
クトレイに移し、また前記第2カム機構が前記ディスクトレイを前方に変位させて後段ギ
ヤ列に前記第4ラックを連結させ、もって前記ディスクトレイのディスク取り出し位置へ
の移動が開始されるようにしたディスクプレーヤを提供する。
【0006】
この構成によれば、ピックアップの動きが中継ギヤを介しての前段ギヤ列と後段ギヤ列
との連結及びロック部材による第2スライダの変位をもたらし、この第2スライダの変位
が第2スライダと後段ギヤ列との連結をもたらし、後段ギヤ列と第2スライダとの連結が
第2スライダのさらなるスライドをもたらし、第2スライダのスライドは第1カム機構を
介してターンテーブルを支持するデッキの下降をもたらし、同じく第2スライダのスライ
ドは第2カム機構を介してディスクトレイと後段ギヤ列との連結をもたらし、このディス
クトレイと後段ギヤ列との連結によりディスクトレイのディスクトレイへの移動が開始さ
れるといった具合に、動作が次々に連鎖して一連の動作が遂行される。しかもその動作は
、前段ギヤ列と後段ギヤ列を連結する中継ギヤと、第1スライダの動きにより第2スライ
ダを変位させるロック部材という、二つの部品を要とする比較的簡素な機構により実現さ
れる。
【0007】
また、ピックアップと前段ギヤ列との連結、第1スライダと前段ギヤ列との連結、第2
スライダと後段ギヤ列との連結、及びディスクトレイと後段ギヤ列との連結にいずれもラ
ックを用いており、ラック・ピニオンという簡明な運動伝達機構を利用して動作の信頼性
を高めることができる。
【0008】
また、ピックアップと第1スライダとの間には、第1スライダをロック部材の存在する
方向と逆の方向に付勢するばねを設けたから、ばねのたわみにより、ピックアップが移動
限界に留まる傍らで第1スライダをピックアップに対し相対移動させることができる。
【0009】
またロック部材は、第1スライダを受け止める第1アームと、第2スライダに係合する
第2アームとを備え、第1スライダにより姿勢変換せしめられることにより第1スライダ
を拘束し且つ第2スライダを変位させるとともに、変位した第2スライダと第2アームと
の係合によりその姿勢変換状態が維持されるものであるから、ロック部材を姿勢変換させ
た第1スライダは姿勢変換したロック部材によりそのまま拘束され続け、ディスクプレー
ヤの動作が逆転したときに所定タイミングで釈放されることになる。
【0010】
また、中継ギヤはスイングアームの先端に支持され、このスイングアームはねじりコイ
ルばねにより中継ギヤを前記連結解除位置に置くよう付勢されるものであり、ピックアッ
プが一方の移動限界に向かって移動する過程でその移動経路中に突出するねじりコイルば
ねの一端が押されることにより、スイングアームが回動して中継ギヤが前記連結位置に移
動するものであり、通常は中継ギヤを連結解除位置に置くねじりコイルばねそのものをも
って中継ギヤを連結位置に移動させるから、部品点数の節減を図ることができる。
【0011】
請求項2の発明は、上下動可能なデッキに支持されたターンテーブルと、前記ターンテ
ーブルに搭載されたディスクの半径方向に移動し、回転するディスクに対しデータ読み出
し又はデータ書き込みを行うピックアップと、前記ターンテーブルにディスクを搭載する
ディスク搭載位置と、ディスクの出し入れを行うディスク取り出し位置との間を移動する
ディスクトレイと、前段ギヤ列を介して前記ピックアップを移動させるピックアップ移動
モータと、前記ピックアップに相対移動可能に装着され、ピックアップが一方の移動限界
に達した後も、前記前段ギヤ列を通じて伝えられる動力により前進を続ける第1スライダ
と、前記前段ギヤ列とこれに続く後段ギヤ列の間にあって、通常は前段ギヤ列と後段ギヤ
列を連結しない連結解除位置にあり、前記ピックアップが前記一方の移動限界に達するの
に応答して、前段ギヤ列に後段ギヤ列を連結する連結位置に移動する中継ギヤと、前記後
段ギヤ列により、前記ピックアップ及びディスクトレイのスライド方向と直交する方向に
スライドせしめられるとともに、前記デッキとの間に第1カム機構、前記ディスクトレイ
との間に第2カム機構を形成した第2スライダと、前記第1スライダと第2スライダの間
に介在し、前進してきた第1スライダによって姿勢変換せしめられ、第2スライダを変位
させる運動中継手段と、前記後段ギヤ列からの動力を前記ディスクトレイに伝える運動伝
達機構とを備え、前記ディスクトレイがディスク搭載位置にあるときに前記ピックアップ
を一方の移動限界まで移動させ、前記中継ギヤを介して前記後段ギヤ列を前記前段ギヤ列
に連結した後、前記ピックアップ移動モータをさらに駆動することにより、前記第1スラ
イダがピックアップに対し相対移動して前記運動中継手段を姿勢変換させ、この姿勢変換
がもたらした前記第2スライダの変位により第2スライダが前記後段ギヤ列に連結し、前
段ギヤ列から動力を得た後段ギヤ列が第2スライダをスライドさせることにより前記第1
カム機構が前記デッキを押し下げてディスク支持の役割を前記ターンテーブルから前記デ
ィスクトレイに移し、また前記第2カム機構が前記ディスクトレイを前方に変位させて後
段ギヤ列とディスクトレイとの間の前記運動伝達機構を介する連結を成立させ、もってデ
ィスクトレイのディスク取り出し位置への移動が開始されるようにしたディスクプレーヤ
を提供する。
【0012】
この構成によれば、ピックアップの動きが前段ギヤ列と後段ギヤ列との連結及び運動中
継手段による第2スライダの変位をもたらし、この第2スライダの変位が第2スライダと
後段ギヤ列との連結をもたらし、後段ギヤ列と第2スライダとの連結が第2スライダのさ
らなるスライドをもたらし、第2スライダのスライドは第1カム機構を介してターンテー
ブルを支持するデッキの下降をもたらし、同じく第2スライダのスライドは第2カム機構
を介してディスクトレイと後段ギヤ列との連結をもたらし、このディスクトレイと後段ギ
ヤ列との連結によりディスクトレイのディスクトレイへの移動が開始されるといった具合
に、動作が次々に連鎖して一連の動作が遂行される。しかもその動作は、前段ギヤ列と後
段ギヤ列を連結する中継ギヤと、第1スライダの動きにより第2スライダを変位させる運
動中継手段という、二つの部品を要とする比較的簡素な機構により実現される。
【0013】
請求項3の発明では、請求項2のディスクプレーヤにおいて、前記ピックアップには前
記前段ギヤ列にかみ合う第1ラックが設けられ、前記第1スライダには同じく前段ギヤ列
にかみ合う第2ラックが設けられ、前記第2スライダには前記後段ギヤ列にかみ合う第3
ラックが設けられ、前記ディスクトレイには同じく後段ギヤ列にかみ合う第4ラックが設
けられるものとする。
【0014】
この構成によれば、ラック・ピニオンという簡明な運動伝達機構を利用して動作の信頼
性を高めることができる。
【0015】
請求項4の発明では、請求項2のディスクプレーヤにおいて、前記ピックアップと第1
スライダとの間には、第1スライダを前記運動中継手段の存在する方向と逆の方向に付勢
するばねが設けられている。
【0016】
この構成によれば、ばねのたわみにより、ピックアップが移動限界に留まる傍らで第1
スライダをピックアップに対し相対移動させることができる。
【0017】
請求項5の発明では、請求項2のディスクプレーヤにおいて、前記運動中継手段は、前
記第1スライダを受け止める第1アームと、前記第2スライダに係合する第2アームとを
備え、第1スライダにより姿勢変換せしめられることにより第1スライダを拘束し且つ第
2スライダを変位させるとともに、変位した第2スライダと第2アームとの係合によりそ
の姿勢変換状態が維持される。
【0018】
この構成によれば、運動中継手段を姿勢変換させた第1スライダは姿勢変換した運動中
継手段によりそのまま拘束され続け、ディスクプレーヤの動作が逆転したときに所定タイ
ミングで釈放されることになる。
【0019】
請求項6の発明では、請求項2のディスクプレーヤにおいて、前記中継ギヤはスイング
アームの先端に支持され、このスイングアームはねじりコイルばねにより中継ギヤを前記
連結解除位置に置くよう付勢されるものであり、前記ピックアップが一方の移動限界に向
かって移動する過程でその移動経路中に突出する前記ねじりコイルばねの一端が押される
ことにより、スイングアームが回動して中継ギヤが前記連結位置に移動する。
【0020】
この構成によれば、通常は中継ギヤを連結解除位置に置くねじりコイルばねそのものを
もって中継ギヤを連結位置に移動させるから、部品点数の節減を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、ピックアップの動きが前段ギヤ列と後段ギヤ列との連結
及び運動中継手段による第2スライダの変位をもたらし、この第2スライダの変位が第2
スライダと後段ギヤ列との連結をもたらし、後段ギヤ列と第2スライダとの連結が第2ス
ライダのさらなるスライドをもたらし、第2スライダのスライドは第1カム機構を介して
ターンテーブルを支持するデッキの下降をもたらし、同じく第2スライダのスライドは第
2カム機構を介してディスクトレイと後段ギヤ列との連結をもたらし、このディスクトレ
イと後段ギヤ列との連結によりディスクトレイのディスクトレイへの移動が開始されると
いった具合に、動作が次々に連鎖して一連の動作が遂行される。しかもその動作は、前段
ギヤ列と後段ギヤ列を連結する中継ギヤと、第1スライダの動きにより第2スライダを変
位させる運動中継手段という、二つの部品を要とする比較的簡素な機構により実現される
ものであり、電気的な制御要素が不要で、制御のタイミングをとる必要もない。また機構
が簡素なだけ動作信頼性が高く、部品コストや組立工数の低減というメリットも享受でき
る。
【0022】
本発明の機構は、ギヤ、ラック・ピニオン、カム機構、ばねといった単純な構成要素を
主体として組み立てられ、堅牢である。また第2スライダに2種類のカム機構を設けたり
、中継ギヤを連結解除位置に付勢するねじりコイルばねを中継ギヤを連結位置に移動させ
るのにも用いるなど、構成部品を複数の用途に用いることにより、部品点数の節減を図る
ことができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。図1はディスクプレーヤ
の全体構成を示す斜視図である。ディスクプレーヤ1は、平面形状四辺形の合成樹脂製フ
レーム10と、フレーム10の中に支持される板金製デッキ20を組立の基盤として構成
される。図1において手前側がディスクプレーヤ1の正面にあたり、向こう側がディスク
プレーヤ1の背面にあたる。ディスクプレーヤ1は電子機器の筐体に組み込まれるもので
あり、フレーム10の側面には筐体内部にねじ止め固定するための脚部11が左右それぞ
れ2個ずつ形成されている。
【0024】
デッキ20はフレーム10に対し、背面側を回動支点とし、正面側を回動端とする形で
上下動できるように取り付けられており、ターンテーブル及びこれを回転させるスピンド
ルモータと、ピックアップ及びこれを移動させるモータを支持する。他方フレーム10は
、ディスクトレイと、デッキ20を上下動させるスライダを支持する。続いて図2−5の
斜視図に加え、図6−11の動作説明図と、図12の部分拡大平面図も参照しつつ、機構
の詳細について説明する。なお図6−11においては、上下に重なった部品の中で下側に
なった部品を示すため、上側の部品については破線でその存在のみ示すといった処理が適
宜施されている。
【0025】
図2にはフレーム10を取り去ってデッキ20とこれを上下動させるスライダだけにし
たものを向かって右上方から見た状態が示されている。図3は図2の構成要素を向かって
右下方から見た状態が示されている。図4には図3からさらにスライダを取り去った状態
が示されている。図5には図4の構成要素を向かって左上方から見た状態が示されている

【0026】
デッキ20は平面形状四辺形であり、そのほぼ中央には平面形状四辺形の開口部21が
形成されている。開口部21の左右両側には互いに平行なガイドバー22が固定されてい
る。このガイドバー22に、図6に示すピックアップ30がスライド自在に支持される。
なお「ピックアップ」とは、光学ピックアップ素子やこれを取り付けるベースなどからな
る組立品のことである。開口部21の手前側には、ターンテーブル31(図6参照)を回
転させるスピンドルモータの軸を通す軸穴23が形成される。スピンドルモータはデッキ
20の下面に取り付けられるものであるが、図示は省略する。
【0027】
デッキ20には、向かって右側の部分に、ピックアップ30及び後述するディスクトレ
イを駆動するための動力要素が集中して配置されている。動力の根源となるのはデッキ2
0の下面に取り付けられたピックアップ移動モータ40である。ピックアップ移動モータ
40の軸はデッキ20の上面に突出し、ここに第1ピニオン42が固定されている。デッ
キ20に支持された第1ギヤ43がピニオン42にかみ合う。第1ギヤ43の下面には第
2ピニオン44(図6参照)が固定ないし一体成形されている。第1ピニオン42から第
2ピニオン44までが前段ギヤ列41を構成する。
【0028】
前段ギヤ列41は、ピックアップ30及びこれに相対移動可能に支持された第1スライ
ダ32(図6参照)に動力を伝える。ピックアップ30にはその右側面部に張出部材33
が固定されており、この張出部材33の右側面に形成された第1ラック34が第2ピニオ
ン44にかみ合う。第1スライダ32は張出部材33の上面に相対的にスライド可能に取
り付けられており、この第1スライダ32の右側面に形成された第2ラック35が第2ピ
ニオン44にかみ合う。第1ラック34及び第2ラック35の延びる方向、及び第1スラ
イダ32の張出部材33に対するスライド方向はピックアップ30のスライド方向と平行
である。
【0029】
第1スライダ32及び張出部材33にはそれぞれ第1スライダ32のスライド方向に細
長く延びる窓が形成される。これらの窓は上下に重なり合うものであり、その中に圧縮コ
イルばね36が挿入される。圧縮コイルばね36は、その一端を第1スライダ32の窓の
背面側の端に係合し、他端を張出部材33の窓の正面側の端に係合して、第1スライダ3
2と張出部材33とに互いに反対方向の力を与えている。言い換えれば、ピックアップ3
0を基準に考えた場合、第1スライダ32はピックアップ30の背面側に付勢されている
。さらに言い換えれば、第1スライダ32は後述するロック部材の存在する方向と逆の方
向に付勢されている。
【0030】
第1スライダ32の正面側の端には、歯車の歯を前後に間隔を置いて2個並べた形のフ
ック部37が形成されている。第1スライダ32は圧縮コイルばね36を伸縮させつつ張
出部材33に対しスライドできるものであり、そのスライドが機構動作に深い意味を持つ
。これをわかりやすく説明するため、図6−11の動作説明図には、左側に配置した一点
鎖線の枠囲みの中に第1スライダ32と張出部材33を左右に展開する形で示してある。
【0031】
ピックアップ30にはターンテーブル31の側面に当たるストッパローラ38が取り付
けられている。ストッパローラ38がターンテーブル31に当たることにより、ピックア
ップ30の前進方向における移動限界が形成される。なおピックアップ30の後退に関し
ては、ピックアップ移動モータ40に付属するエンコーダでピックアップ移動モータ40
の回転を監視し、所定の回転位置でピックアップ移動モータ40を停止させることにより
移動限界が形成される。
【0032】
前段ギヤ列41には後段ギヤ列45が組み合わせられる。後段ギヤ列41は、デッキ2
0に支持された第2ギヤ46と、フレーム10に支持された第3ピニオン47により構成
される。第2ギヤ46と第3ピニオン47とは、デッキ20の傾きに関わらずかみ合いを
保つ必要があり、そのため両者ともに歯丈の高い、深いかみ合いが得られる歯車形状とな
っており、且つ第3ピニオン47は垂直方向にも長い。なお第3ピニオン47が垂直方向
に長いのは、後述するディスクトレイのラックをその上端部にかみ合わせるからでもある

【0033】
後段ギヤ列45と前段ギヤ列41とは間隔が開いており、必要があるときのみ中継ギヤ
50がこれらを連結する。中継ギヤ50は第2ギヤ46と同軸に支持されたスイングアー
ム51の先端に支持される。中継ギヤ50の上面には第4ピニオン52が固定ないし一体
成形される。第4ピニオン52は第2ギヤ46にかみ合う。中継ギヤ50は第4ピニオン
52によって第2ギヤ46との連結を維持しつつ、スイングアーム51の旋回により第2
ギヤ46の外周を周回する。すなわち第2ギヤ46を太陽歯車に見立てれば、中継ギヤ5
0は遊星歯車という形になる。
【0034】
スイングアーム51は、その取付軸(第2ギヤ46の取付軸でもある)まわりに装着さ
れたねじりコイルばね53により、通常は図6に示す位置に付勢されている。この位置で
は、第4ピニオン52こそ第2ギヤ46にかみ合っているものの、中継ギヤ50は第2ピ
ニオン44から離れており、前段ギヤ列41から動力を受け取る態勢にない。すなわち中
継ギヤ50は前段ギヤ列41と後段ギヤ列45を連結しない連結解除位置にある。
【0035】
ねじりコイルばね53は左右両側に線材端を突出させている。右側の線材端はフレーム
10に設けた係合部12に係合する。左側の線材端は、スイングアーム51に係合したう
えで、ピックアップ30の移動経路中に突出する。実施形態の場合、左側の線材端は張出
部材33の移動経路中に突出しており、張出部材33が正面側に移動するとその前端で押
されることになる。左側の線材端は、スイングアーム51を図6において時計方向に押す
だけでなく、反時計方向に押すこともできるような形でスイングアーム51に係合してい
る。
【0036】
フレーム10の正面側の辺には第2スライダ60が取り付けられる。第2スライダ60
は図において左右方向、すなわちピックアップ30のスライド方向と直交する方向に、高
さを変えないでスライドする。第2スライダ60は上部が水平板部60aとなっており、
その下面に垂直板部60bが形成されている。水平板部60aの右端には第3ラック61
が形成されている。第3ラック61は後段ギヤ列45のピニオン47にかみ合うが、常に
かみ合う訳ではない。どの時点でかみ合うかについては後で説明する。
【0037】
垂直板部60bには、左側が高く、右側が低くなるカム溝63が2個、左右に並ぶ形で
形成されている。カム溝63はデッキ20の正面側の端から突出するカムフォロワ64を
受け入れる。このカム溝63とカムフォロワ64の組み合わせが第1カム機構62を構成
する。カム溝63の右端は、カムフォロワ64の先端に設けられた正方形の頭部を通すた
め、溝の寸法が拡大されている。なお第1カム機構62の動作をわかりやすく説明するた
め、図6−11の動作説明図において、下方に配置した一点鎖線の枠囲みの中に第1カム
機構62の正面図を示してある。
【0038】
水平板部60aの上面には、垂直軸まわりに回転するカムローラ66が左右に並ぶ形で
装着されている。カムローラ66はディスクトレイの下面に形成されたカム溝67に係合
する。このカムローラ66とカム溝67の組み合わせが第2カム機構65を構成する。
【0039】
第1スライダ32と第2スライダ60の間には、第1スライダ32の前後方向の動きを
第2スライダ60の左右方向の動きに変換する運動中継手段が配置される。実施形態では
、フレーム10に支持されたロック部材70が運動中継手段を構成する。ロック部材70
は垂直軸まわりに回動可能で、第1スライダ32を受け止める第1アーム71(図12参
照)と、第2スライダ60に係合する第2アーム72を備える。第1アーム71と第2ア
ーム72は異なる方向に突出しており、ロック部材70はベルクランクの作用をする。
【0040】
第1アーム71の先端には、第1スライダ32のフック部37と同様に、歯車の歯を前
後に間隔を置いて2個並べた形の係合部71aが形成されている。係合部71aはフック
部37に係合し、フック部37を拘束する。第2ギヤ46と第3ピニオン47の関係と同
様、フック部37と係合部71aとはデッキ20の傾きに関わらず係合を保つ必要がある
ので、係合部71aは垂直方向に所定の長さを有する形になっている。
【0041】
第2アーム72の先端には歯車の歯を1個だけ置いた形の係合部72aが形成されてい
る。この係合部72aは第2スライダ60の垂直板部60bの背面側に形成された水平突
条73に係合する。水平突条73の左端には凹部74が形成されており、この凹部74は
図6の状態において第2アーム72の係合部72aを受け入れる。
【0042】
なおロック部材70は、その下端に扇状部75を有する(図12参照)。この扇状部7
5は、第3ピニオン47の下面に係合してロック部材70の浮き上がりを抑える役割を果
たす。
【0043】
デッキ20を覆うようにディスクトレイ80が配置される(図6参照)。ディスクトレ
イ80はフレーム10に支持され、高さを変えないで前後方向にスライドする。ディスク
トレイ80の下面には前述のカム溝67の他、第3ピニオン47にかみ合う第4ラック8
1が形成されている。第3ラック61と同様、第4ラック81も第3ピニオン47に常に
かみ合う訳ではない。どの時点でかみ合うかについては後で説明する。
【0044】
ディスクトレイ80のほぼ中央には、ターンテーブル31の通り抜けと、ピックアップ
30によるディスク面の走査を可能にする開口部82が形成される。なおディスクトレイ
80の上方にはターンテーブル31と協働してディスクをクランプするチャックが配置さ
れるが、これは図示しない。
【0045】
続いてディスクプレーヤ1の動作につき説明する。ディスクトレイ80は、図6に示す
ディスク搭載位置と、図11に示すディスク取り出し位置との間を移動する。ディスク搭
載位置においては、ディスクトレイ80が運んできたディスクをターンテーブル31に搭
載し、また作業済みのディスクをターンテーブル31からディスクトレイ80に移し替え
る作業が行われる。ディスクプレーヤ1からディスクトレイ80が突き出すディスク取り
出し位置では、ディスクをディスクトレイ80から取り出したり、ディスクトレイ80に
ディスクを載せたりする作業が行われる。ここでは、図6においてターンテーブル31に
ディスクが搭載されているという想定のもと、説明を開始する。
【0046】
図6の状態では、中継ギヤ50は第2ピニオン44から離れ、後段ギヤ列45は前段ギ
ヤ列41に連結していない。第2スライダ60はスライドストロークの右端位置にあり、
第3ラック61は第3ピニオン47から離れている。
【0047】
図6において、ピックアップ移動モータ40を駆動すると、ピックアップ30はガイド
バー22に沿ってディスクの半径方向に移動し、ターンテーブル31によって回転せしめ
られるディスクに対しデータ読み出し又はデータ書き込みを行う。この時のピックアップ
30の移動は、ディスクのデータ記録領域をはみ出さない範囲で行われる。
【0048】
ディスクを取り出すときには、ターンテーブル31の回転を止め、ピックアップ30を
ディスクのデータ記録領域を超えて前進させる。図7はストッパローラ38がターンテー
ブル31の側面に当たった状態を示しており、ピックアップ30はそれ以上前進しない。
第1ラック34はストッパローラ38がターンテーブル31に当たる直前に第2ピニオン
44から離れるが、第2ラック35と第2ピニオン44とのかみ合いがまだ続いており、
第1スライダ32が圧縮コイルばね36を介してピックアップ30を押す形になるため、
第1ラック34と第2ピニオン44のかみ合いが終了しているにも関わらず、ピックアッ
プ30はターンテーブル31に押し付けられるものである。
【0049】
前述のように、張出部材33の移動経路中にはねじりコイルばね53の左側の線材端が
突出している。ピックアップ30が前進方向の移動限界に向かって移動する過程で、張出
部材33がねじりコイルばね53の左側の線材端に当たってこれを押す。左側の線材端は
図において反時計方向に回動し、これに伴いスイングアーム51も反時計方向に回動する
。すると第4ピニオン52が第2ギヤ46の外周を転がり、中継ギヤ50が第2ピニオン
44にかみ合う。これをもって後段ギヤ列45は前段ギヤ列41に連結されたことになる

【0050】
前段ギヤ列41に連結されたことを受けて、後段ギヤ列45と第3ピニオン47は回転
を開始する。しかしこの時点ではまだ、第3ラック61と第4ラック81は第3ピニオン
47にかみ合っていないので、第3ピニオン47の回転は特に何の作用ももたらさない。
【0051】
図7の状態からピックアップ移動モータ40がさらに回転を続けると、第1スライダ3
2は圧縮コイルばね36を押し縮めつつ前進する。前進の最終段階で、第1スライダ32
はロック部材70の第1アーム71の先端に接触し、ロック部材70を時計方向に回動さ
せる。すなわちロック部材70を姿勢変換させる。第1アーム71は第1スライダ32を
受け止めて、歯車のようにフック37にかみ合って行く。第1アーム71とフック37の
かみ合いにより、ロック部材70は第1スライダ32を拘束する形になる。これが図8に
示す状態である。
【0052】
ロック部材70は姿勢変換することにより第2アーム72で第2スライダ60を押し、
第2スライダ60を図の左方に変位させる。すると図8に示すように第3ラック61が第
3ピニオン47にかみ合う。第3ピニオン47は後段ギヤ列45から動力を得て時計方向
に回転しているので、第2スライダ60は図の左方にスライドを開始する。
【0053】
第2スライダ60が左方にスライドすると、第1カム機構62のカムフォロワはカム溝
63に対し相対的に右方に移動する。すなわちカム溝63の傾斜に従ってカムフォロワ6
4は下がって行く。カムフォロワ64が下がればそれが取り付けられているデッキ20の
前端部も下がり、デッキ20は後端を支点として傾く。これによりターンテーブル31の
高さも下がり、ターンテーブル31に支持されていたディスクはディスクトレイ80に乗
り移る。
【0054】
第2スライダ60が左方にスライドする間、ロック部材70は、第2アーム72が第2
スライダ60の水平突条73に乗り上げることにより、姿勢変換後の姿勢を保ち続ける(
図12参照)。従って第1スライダ32はロック部材70により拘束され続け、中継ギヤ
50は前段ギヤ列41と後段ギヤ列47の連結を維持し続ける。
【0055】
第2スライダ60が左方へのスライドを続けると、第2カム機構65のカムローラ66
がカム溝67の左端に至る。カム溝67の左端には傾斜部が設けられており、この傾斜部
にカムローラ66が当たるとカム溝67に前方への分力が生じる。これによりディスクト
レイ80は前方に変位し、第4ラック81が第3ピニオン47にかみ合う。これが図10
の状態である。この時点で第3ラック61は第3ピニオン47から離れる。
【0056】
第4ラック81が第3ピニオン47にかみ合うことにより、ディスクトレイ80には前
段ギヤ列41、中継ギヤ50、後段ギヤ列45、及び第3ピニオン47を介してピックア
ップ移動モータ40の動力が伝わる。この時点ではディスクはディスクトレイ80に完全
に乗り移っており、ディスクトレイ80はディスクを搭載した状態でディスク取り出し位
置に前進する。これが図11の状態である。
【0057】
ディスクトレイ80がディスク取り出し位置に到着すると、図示しないリミットスイッ
チの働きでピックアップ移動モータ40は回転を停止する。ディスクトレイ80の前進も
停止する。ここでディスクトレイ80からディスクを取り出すことができる。
【0058】
ディスク取り出し後、図示しないスイッチを操作してディスクトレイ80を引っ込める
。新たなディスクを搭載した状態で引っ込めることも、ディスクは搭載しないで引っ込め
ることもあるが、ここでは新たなディスクを搭載した状態で引っ込めるものとして説明す
る。
【0059】
ディスクトレイ引き込み操作用のスイッチを操作すると、ピックアップ移動モータ40
が今までとは逆方向に回転する。第3ピニオン47も今までと逆方向に回転し、ディスク
トレイ80は後退する。
【0060】
後退するディスクトレイ80はやがてディスク搭載位置に至る。ディスクがターンテー
ブル31の上に来たあたりでカム溝67の斜面部がカムローラ66に当たり、カムローラ
66に右方への分力を与える。これにより第2スライダ60が右方に変位し、第3ピニオ
ン47から離れていた第3ラック61が再び第3ラック47にかみあう。第3ラック61
と入れ替わる形で、第4ラック81は第3ピニオン47から離れる。
【0061】
第3ラック61が第3ピニオン47にかみ合うことにより、第2スライダ60は右方へ
のスライドを開始する。カム溝63がカムフォロワ64に対し相対的に右方に移動するこ
とになり、カムフォロワ64はカム溝63の傾斜に沿って持ち上げられる。デッキ20も
傾きを戻す。ターンテーブル31は新たなディスクをすくい上げ、上方のチャック(図示
せず)との間でそのディスクをクランプすることになる。
【0062】
第2スライダ60が右方にスライドを続けるうちに、ロック部材70の第2アーム72
が水平突条73の左端の凹部74に落ち込む。これによりロック部材70は反時計方向に
回動し、第1スライダ32を釈放する。第2スライダ60があと少し右方にスライドした
ところで第3ラック61が第3ピニオン47から外れ、第2スライダ60はスライドを停
止する。
【0063】
ロック部材70から釈放された第1スライダ32は圧縮コイルばね36の弾発力で後退
し、第2ラック35を第2ピニオン44にかみ合わせる。第2ピニオン44は第1スライ
ダ32を後退させ始める。第1スライダ32が後退を始めると、圧縮コイルばね36によ
って前方に押されなくなったピックアップ30も第1ラック34を第2ピニオン44にか
み合わせる。これにより、第1スライダ32とピックアップ30は揃って後退することに
なる。
【0064】
ピックアップ30がディスクのデータ記録領域に入る少し手前で張出部33がねじりコ
イルばね53から離れる。これによりねじりコイルばね53の左方の線材端は時計方向に
回動し、これに伴いスイングアーム51も時計方向に回動する。すると中継ギヤ50は第
2ピニオン44から離れて図6の位置に移動し、前段ギヤ列41と後段ギヤ列45は連結
解除状態となる。
【0065】
以後ピックアップ移動モータ40はピックアップ30と第1スライダ32だけを前段ギ
ヤ列41で動かし、データ読み出し又はデータ書き込みを行わせることができる。中継ギ
ヤ50及び後段ギヤ列45はピックアップ移動モータ40から切り離されており、回転し
ないので、これらのギヤが余計な振動を生じて騒音レベルを上昇させたり、読み出しある
いは書き込みに影響を与えたりすることはない。
【0066】
以上本発明の実施形態につき説明したが、発明の主旨を逸脱しない範囲でさらに種々
の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、水平に出入りするディスクトレイを備えたディスクプレーヤに利用可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】ディスクプレーヤの全体構成を示す斜視図
【図2】フレームを取り去った状態の斜視図
【図3】図2の構成要素を向かって右上方から見た状態の斜視図
【図4】図3からスライダを取り去った状態の斜視図
【図5】図4の構成要素を向かって左上方から見た斜視図
【図6】第1の動作説明図
【図7】第2の動作説明図
【図8】第3の動作説明図
【図9】第4の動作説明図
【図10】第5の動作説明図
【図11】第6の動作説明図
【図12】部分拡大平面図
【符号の説明】
【0069】
1 ディスクプレーヤ
10 フレーム
20 デッキ
30 ピックアップ
31 ターンテーブル
32 第1スライダ
34 第1ラック
35 第2ラック
36 圧縮コイルばね
37 フック
40 ピックアップ移動モータ
41 前段ギヤ列
45 後段ギヤ列
50 中継ギヤ
51 スイングアーム
53 ねじりコイルばね
60 第2スライダ
61 第3ラック
62 第1カム機構
65 第2カム機構
70 ロック部材
71 第1アーム
72 第2アーム
80 ディスクトレイ
81 第4ラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下動可能なデッキに支持されたターンテーブルと、
前記ターンテーブルに搭載されたディスクの半径方向に移動し、回転するディスクに対
しデータ読み出し又はデータ書き込みを行うピックアップと、
前記ターンテーブルにディスクを搭載するディスク搭載位置と、ディスクの出し入れを
行うディスク取り出し位置との間を移動するディスクトレイと、
前記ピックアップに相対移動可能に装着された第1スライダと、
前記ピックアップに設けられた第1ラックと、
前記第1スライダに設けられた第2ラックと、
前記第1ラック及び第2ラックに前段ギヤ列を介して動力を伝えるピックアップ移動モ
ータと、
前記前段ギヤ列とこれに続く後段ギヤ列の間にあって、通常は前段ギヤ列と後段ギヤ列
を連結しない連結解除位置にあり、前記ピックアップが前記一方の移動限界に達するのに
対応して、前段ギヤ列に後段ギヤ列を連結する連結位置に移動する中継ギヤと、
前記中継ギヤを支持するスイングアームと、
前記スイングアームを、前記中継ギヤが前記連結解除位置に位置するよう付勢するとと
もに、前記ピックアップが一方の移動限界に向かって移動する過程でその移動経路中に突
出する一端が押されることにより、前記中継ギヤが前記連結位置に移動するようスイング
アームを変位させるねじりコイルばねと、
前記後段ギヤ列にかみ合う第3ラックを有し、前記ピックアップ及びディスクトレイの
スライド方向と直交する方向にスライドする第2スライダと、
前記第2スライダと前記デッキとの間に設けられた第1カム機構と、
前記第2スライダと前記ディスクトレイとの間に設けられた第2カム機構と、
前記ディスクトレイに設けられた第4ラックと、
前記第1スライダを受け止める第1アームと、前記第2スライダに係合する第2アーム
とを備え、第1スライダにより姿勢変換せしめられることにより第1スライダを拘束し且
つ第2スライダを変位させるとともに、変位した第2スライダと第2アームとの係合によ
りその姿勢変換状態が維持されるロック部材と、
前記ピックアップと第1スライダとの間に設けられ、第1スライダを前記ロック部材の
存在する方向と逆の方向に付勢するばねとを備え、
前記ディスクトレイがディスク搭載位置にあるときに前記ピックアップを一方の移動限
界まで移動させ、前記中継ギヤを介して前記後段ギヤ列を前記前段ギヤ列に連結した後、
前記ピックアップ移動モータをさらに駆動することにより、前記第1スライダがピックア
ップに対し相対移動して前記ロック部材を姿勢変換させ、この姿勢変換がもたらした前記
第2スライダの変位により第2スライダが前記後段ギヤ列に連結し、前段ギヤ列から動力
を得た後段ギヤ列が第2スライダをスライドさせることにより前記第1カム機構が前記デ
ッキを押し下げてディスク支持の役割を前記ターンテーブルから前記ディスクトレイに移
し、また前記第2カム機構が前記ディスクトレイを前方に変位させて後段ギヤ列に前記第
4ラックを連結させ、もって前記ディスクトレイのディスク取り出し位置への移動が開始
されることを特徴とするディスクプレーヤ。
【請求項2】
上下動可能なデッキに支持されたターンテーブルと、
前記ターンテーブルに搭載されたディスクの半径方向に移動し、回転するディスクに対
しデータ読み出し又はデータ書き込みを行うピックアップと、
前記ターンテーブルにディスクを搭載するディスク搭載位置と、ディスクの出し入れを
行うディスク取り出し位置との間を移動するディスクトレイと、
前段ギヤ列を介して前記ピックアップを移動させるピックアップ移動モータと、
前記ピックアップに相対移動可能に装着され、ピックアップが一方の移動限界に達した
後も、前記前段ギヤ列を通じて伝えられる動力により前進を続ける第1スライダと、
前記前段ギヤ列とこれに続く後段ギヤ列の間にあって、通常は前段ギヤ列と後段ギヤ列
を連結しない連結解除位置にあり、前記ピックアップが前記一方の移動限界に達するのに
応答して、前段ギヤ列に後段ギヤ列を連結する連結位置に移動する中継ギヤと、
前記後段ギヤ列により、前記ピックアップ及びディスクトレイのスライド方向と直交す
る方向にスライドせしめられるとともに、前記デッキとの間に第1カム機構、前記ディス
クトレイとの間に第2カム機構を形成した第2スライダと、
前記第1スライダと第2スライダの間に介在し、前進してきた第1スライダによって姿
勢変換せしめられ、第2スライダを変位させる運動中継手段と、
前記後段ギヤ列からの動力を前記ディスクトレイに伝える運動伝達機構とを備え、
前記ディスクトレイがディスク搭載位置にあるときに前記ピックアップを一方の移動限
界まで移動させ、前記中継ギヤを介して前記後段ギヤ列を前記前段ギヤ列に連結した後、
前記ピックアップ移動モータをさらに駆動することにより、前記第1スライダがピックア
ップに対し相対移動して前記運動中継手段を姿勢変換させ、この姿勢変換がもたらした前
記第2スライダの変位により第2スライダが前記後段ギヤ列に連結し、前段ギヤ列から動
力を得た後段ギヤ列が第2スライダをスライドさせることにより前記第1カム機構が前記
デッキを押し下げてディスク支持の役割を前記ターンテーブルから前記ディスクトレイに
移し、また前記第2カム機構が前記ディスクトレイを前方に変位させて後段ギヤ列とディ
スクトレイとの間の前記運動伝達機構を介する連結を成立させ、もってディスクトレイの
ディスク取り出し位置への移動が開始されることを特徴とするディスクプレーヤ。
【請求項3】
前記ピックアップには前記前段ギヤ列にかみ合う第1ラックが設けられ、前記第1スラ
イダには同じく前段ギヤ列にかみ合う第2ラックが設けられ、前記第2スライダには前記
後段ギヤ列にかみ合う第3ラックが設けられ、前記ディスクトレイには同じく後段ギヤ列
にかみ合う第4ラックが設けられることを特徴とする請求項2に記載のディスクプレーヤ

【請求項4】
前記ピックアップと第1スライダとの間には、第1スライダを前記運動中継手段の存在
する方向と逆の方向に付勢するばねが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の
ディスクプレーヤ。
【請求項5】
前記運動中継手段は、前記第1スライダを受け止める第1アームと、前記第2スライダ
に係合する第2アームとを備え、第1スライダにより姿勢変換せしめられることにより第
1スライダを拘束し且つ第2スライダを変位させるとともに、変位した第2スライダと第
2アームとの係合によりその姿勢変換状態が維持されることを特徴とする請求項2に記載
のディスクプレーヤ。
【請求項6】
前記中継ギヤはスイングアームの先端に支持され、このスイングアームはねじりコイル
ばねにより中継ギヤを前記連結解除位置に置くよう付勢されるものであり、前記ピックア
ップが一方の移動限界に向かって移動する過程でその移動経路中に突出する前記ねじりコ
イルばねの一端が押されることにより、スイングアームが回動して中継ギヤが前記連結位
置に移動することを特徴とする請求項2に記載のディスクプレーヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−12304(P2006−12304A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188661(P2004−188661)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】