説明

ディスクロータの状態監視装置

【課題】ディスクブレーキ機構を構成するディスクロータの状態を精度よく監視することができるディスクロータの状態監視装置を提供すること。
【解決手段】状態監視装置20の電子制御ユニット21は、ディスクロータ11、ブレーキキャリパ12及び摩擦パッド13のうちの少なくとも一つに発生する振動であって、ロータ11の冷却用フィン11bの存在数に対応する振動を検知する。そして、ユニット21は、検知した振動の振幅の大きさのうち、振動の発生条件が同一である振動の振幅の大きさを選択して取得し、この取得した振幅の大きさと所定の関係にあるロータ11の摩擦摺動部11a及びフィン11bの減肉量を推定する。推定した減肉量が所定量以上であれば、ユニット21は報知ユニット26を利用して、運転者に摺動部11a及びフィン11bの減肉に進行を報知するとともに、ロータ11の交換を促す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたディスクブレーキ機構を構成するディスクロータの状態を監視するディスクロータの状態監視装置に関し、特に、ディスクロータの肉厚変化の状態を監視するディスクロータの状態監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、下記特許文献1に示されているようなブレーキ振動検知装置は知られている。この従来のブレーキ振動検知装置は、振動センサの検出信号のゲインを車速、制動トルクもしくはディスクロータの温度に応じて補正し、その補正後のゲインを用いてブレーキ振動の発生を検知するようになっている。そして、このように、振動ゲインの変動パラメータに応じて振動ゲインを補正し、補正後の振動ゲインを用いてブレーキ振動検知を行うことで、より的確に偏摩耗に伴う共振現象によるブレーキ振動を検知できるようになっている。
【0003】
又、従来から、例えば、下記特許文献2に示されているようなブレーキ振動検知装置も知られている。この従来のブレーキ振動検知装置においては、ブレーキ振動成分を含む検出信号として車輪速度センサの検出信号を用いるようになっている。そして、車輪の回転一次もしくは回転二次の周波数域の中でもブレーキ振動成分の信号強度が最も大きくなる車速(回転一次もしくは回転二次の周波数域が存在しているステアリング系の共振周波数付近と一致する車速)の時を待ち構えて、車輪の回転一次もしくは回転二次の周波数域におけるブレーキ振動成分の信号強度を検出し、その信号強度からブレーキ振動の検知を行うようになっている。これにより、ブレーキ振動成分の信号強度が大きくなるところを狙ってブレーキ振動の検知を行うことができ、より正確に偏摩耗に伴う共振現象によるブレーキ振動を検知できるようになっている。
【0004】
又、従来から、例えば、下記特許文献3に示されているようなディスクロータ状態検出装置も知られている。この従来のディスクロータ状態検出装置は、ディスクロータに設けられたフィンの間隔を検出する間隔検出部と、フィンの間隔からフィンの劣化状態を判別する制御部と、判別されたフィンの劣化状態を報知する報知部とを備えている。そして、この従来のディスクロータ状態検出装置においては、ディスクロータに設けられたフィンが錆や摩耗により経時変化し、隣り合うフィンの間隔が変化した場合、この間隔を間隔検出部により検出することで、フィンの劣化状態を判別するようになっている。
【0005】
更に、従来から、例えば、下記特許文献4に示されているようなブレーキディスクの状態検出装置も知られている。この従来のブレーキディスクの状態検出装置は、表面に摩擦材を押圧させて車輪の回転を制動するためのブレーキディスクの周方向における温度分布を検出する温度分布検出手段と備えている。ブレーキディスクにおいては、摩耗量が小さい(厚い)場合は摩擦材が強く押し当てられるため温度変化が大きく、摩耗量が大きい(薄い)場合は摩擦材が強く押し当てられないため温度変化が小さい。そして、従来のブレーキディスクの状態検出装置においては、前記温度変化の傾向に基づき、ブレーキディスクの周方向における温度分布を検出することによって、より微小な偏摩耗を検出できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−264610号公報
【特許文献2】特開2006−264611号公報
【特許文献3】特開2007−132472号公報
【特許文献4】特開2008−57677号公報
【発明の概要】
【0007】
ところで、上記特許文献1及び特許文献2に示された従来のブレーキ振動検知装置においては、例えば、ディスクロータ自身の振れや車輪を介して入力される外乱等の影響による振動と偏摩耗に伴う共振現象によるブレーキ振動とを区別して検知することが極めて難しい。又、上記特許文献3に示されたディスクロータ状態検出装置及び特許文献4に示されたブレーキディスクの状態検出装置においては、例えば、制動する際の車速や外気温、乗車人数(車重)等の車両の走行状況(走行環境)の影響を受けやすい。このため、制動が繰り返されることに伴って変化するディスクロータの摩擦摺動部の肉厚の減少や、錆の発生に伴う冷却用フィンの肉厚の減少を精度よく検出することが難しく、その結果、例えば、ディスクロータの交換時期を正確に把握してユーザにディスクロータの交換を適切なタイミングにより報知する(促す)ことが難しくなる。
【0008】
本発明は、上記した問題に対処するためになされたものであり、その目的は、ディスクブレーキ機構を構成するディスクロータの状態を精度よく監視することができるディスクロータの状態監視装置を提供することにある。
【0009】
上記目的を達成するための本発明によるディスクロータの状態監視装置は、周方向に複数配置された冷却用フィンを有するディスクロータと、このディスクロータに形成された摩擦摺動部に対して摩擦パッドを摩擦摺動可能に支持するブレーキキャリパとを備えたディスクブレーキ機構に適用されて、ディスクロータの状態を監視するものである。このため、本発明によるディスクロータの状態監視装置の特徴は、振動検知手段と、振幅取得手段と、振幅補正手段と、振幅判定手段と、情報報知手段とを備えることにある。
【0010】
前記振動検知手段は、前記ディスクロータに形成された摩擦摺動部と前記摩擦パッドとの摩擦摺動に伴って、前記ディスクロータ、前記ブレーキキャリパ及び前記摩擦パッドのうちの少なくとも一つに発生する振動であって、前記ディスクロータが有する冷却用フィンの存在数に対応する振動を検知する。前記振幅取得手段は、前記振動検知手段によって検知された前記振動の振幅の大きさのうち、所定の条件下で発生して前記ディスクロータに形成された摩擦摺動部及び前記冷却フィンにおける肉厚の減少量と所定の関係にある振幅の大きさを取得する。前記振幅補正手段は、前記振幅取得手段によって取得された前記振幅の大きさを、前記ディスクロータに形成された摩擦摺動部と摩擦摺動している前記摩擦パッドの状態変化に関連するパラメータを用いて補正する。前記振幅判定手段は、前記振幅補正手段によって補正された前記振幅の大きさが予め設定された所定の振幅の大きさ以上であるか否かを判定する。前記情報報知手段は、前記振幅判定手段によって前記振幅の大きさが前記所定の振幅の大きさ以上であると判定されると、前記ディスクロータの状態に関する情報を報知する。
【0011】
この場合、更に、前記振動検知手段によって検知された前記振動の振幅の大きさ及びこの振動の発生した条件を検索可能かつ更新可能に記憶する記憶手段を備え、前記振幅取得手段は、前記振動検知手段によって検知されて前記記憶手段に記憶された前記振動の振幅の大きさのうち、前記記憶された前記振動の発生した条件が前記所定の条件下に含まれる振幅の大きさを選択して取得するとよい。
【0012】
又、これらの場合、前記振幅補正手段が前記補正に用いる前記パラメータは、前記摩擦摺動に伴って前記ディスクロータに形成された摩擦摺動部及び前記摩擦パッドのうちの少なくとも一方の温度変化に関連するパラメータであるとよい。そして、この場合、前記パラメータは、例えば、車両に乗車する人数に応じて変化するパラメータであるとよい。
【0013】
又、これらの場合、前記振幅判定手段が前記判定に用いる前記予め設定された所定の振幅の大きさは、前記ディスクブレーキ機構による制動機能を確保するために前記ディスクロータに形成された摩擦摺動部及び前記冷却用フィンの肉厚に許容される肉厚の減少量の限度に基づいて設定されるとよい。
【0014】
又、これらの場合、前記情報報知手段は、前記ディスクロータの状態に関する情報に加えて、前記ディスクロータの交換を促す情報をも報知するとよい。
【0015】
更に、これらの場合、前記振動検知手段は、前記ディスクロータ、前記ブレーキキャリパ及び前記摩擦パッドのうちの少なくとも一つに発生している振動の状態に関連する物理量の変動を取得して、前記ディスクロータが有する冷却用フィンの存在数に対応する振動を検知するとよい。そして、この場合、前記振動検知手段が取得する物理量の変動は、例えば、前記摩擦パッドを前記ディスクロータの摩擦摺動部と摩擦摺動させるために前記ブレーキキャリパに供給されるブレーキ液圧の変動、前記摩擦パッドを前記ディスクロータの摩擦摺動部と摩擦摺動させたときの前記ディスクロータの回転トルクの変動、前記摩擦パッドを前記ディスクロータの摩擦摺動部と摩擦摺動させたときの前記ブレーキキャリパの加速度の変動、前記摩擦パッドを前記ディスクロータの摩擦摺動部と摩擦摺動させたときの前記摩擦摺動部及び前記摩擦パッドのうちの少なくとも一方のひずみの変動、及び、前記摩擦パッドを前記ディスクロータの摩擦摺動部と摩擦摺動させたときに前記ディスクロータから発生する音の変動のうちの少なくとも一つであるとよい。
【0016】
これらによれば、ディスクロータの状態監視装置は、ディスクロータ、ブレーキキャリパ及び摩擦パッドのうちの少なくとも一つに発生している振動の状態に関連する物理量の変動に基づき、ディスクロータが有する冷却用フィンの存在する部分と存在しない部分とでディスクロータの摩擦摺動部及び冷却用フィンの肉厚(板厚)が摩耗や錆の進行に伴って不均一となることにより、冷却用フィンの存在数に対応する固有の振動が発生する現象を捉えて振動を検知することができる。ここで、ディスクロータの状態監視装置は、ブレーキキャリパに供給するブレーキ液圧の変動、ディスクロータの回転トルクの変動、ブレーキキャリパの加速度の変動、摩擦摺動部及び摩擦パッドのうちの少なくとも一方のひずみの変動、及び、ディスクロータから発生する音の変動のうちの少なくとも一つの物理量の変動を採用することができる。
【0017】
また、ディスクロータの状態監視装置は、冷却用フィンの存在数に対応する固有の振動が発生する現象に従い、ディスクロータの摩擦摺動部及び冷却用フィンの肉厚(板厚)が摩耗や錆の進行に伴って不均一となるほど大きくなる振動の振幅の大きさのうち、所定の条件下に含まれる条件により発生した振動の振幅の大きさを選択して取得することができる。ここで、ディスクロータの状態監視装置は、記憶手段に検索可能かつ更新可能に記憶されている(すなわち、データベース化されている)固有の振動の振幅の大きさのうち、所定の条件下に含まれる条件により発生した振動の振幅の大きさを選択して取得することができる。ここで、所定の条件としては、例えば、ブレーキ液圧、車両の減速度、車速、外気温及び走行場所のうちの少なくとも一つを採用することができる。
【0018】
また、ディスクロータの状態監視装置は、取得した振幅の大きさを、ディスクロータに形成された摩擦摺動部と摩擦摺動している摩擦パッドの状態変化に関連するパラメータ、より具体的には、摩擦摺動に伴って摩擦摺動部及び摩擦パッドのうちの少なくとも一方の温度変化に関連するパラメータ(例えば、車両に乗車する人数に応じて変化する車重等)を用いて補正することができる。これにより、ディスクロータの状態監視装置は、この補正した振幅の大きさに基づいて、この振幅の大きさと所定の関係にあるディスクロータに形成された摩擦摺動部及び冷却フィンにおける肉厚の減少量を精度よく推定(特定)することができる。
【0019】
そして、ディスクロータの状態監視装置は、補正した振幅の大きさ(すなわち、精度よく推定される肉厚の減少量)が、ディスクブレーキ機構による制動機能を確保するために摩擦摺動部及び冷却用フィンの肉厚に許容される肉厚の減少量の限度に基づいて設定した所定の振幅の大きさ以上となっているときには、ディスクロータの状態に関する情報、及び、必要に応じてディスクロータの交換を促す情報を報知することができる。
【0020】
従って、ディスクロータの状態監視装置は、ディスクロータが有する冷却用フィンの存在する部分と存在しない部分とでディスクロータの摩擦摺動部及び冷却用フィンの肉厚(板厚)が摩耗や錆の進行に伴って不均一となることにより、冷却用フィンの存在数に対応する固有の振動を用いて、ディスクロータの状態を監視することができる。これにより、例えば、ディスクロータ自身の振れや車輪を介して入力される外乱等の影響、あるいは、制動する際の車速や外気温、乗車人数(車重)等の車両の走行状況(走行環境)の影響を適切に勘案して排除することができ、制動が繰り返されることに伴って変化するディスクロータの摩擦摺動部の肉厚の減少量や錆の発生に伴う冷却用フィンの肉厚の減少量を精度よく推定して特定することができる。その結果、ディスクロータの状態監視装置は、ディスクロータの交換時期を正確に把握することができ、運転者であるユーザにディスクロータの交換を適切なタイミングにより報知する(促す)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係り、ディスクブレーキ機構を構成するディスクロータの状態を監視するディスクロータの状態監視装置の概略図である。
【図2】図1のディスクブレーキ機構を構成するディスクロータ、ブレーキキャリパ及び摩擦パッドの構造を説明するために拡大して示した一部断面概略図である。
【図3】図2のディスクロータの構造を詳細に説明するための一部断面概略図である。
【図4】図1の電子制御ユニットによって実行されるディスクロータ状態監視プログラムを示すフローチャートである。
【図5】ディスクロータの摩擦摺動部及び冷却用フィンの肉厚の減少量(減肉量)の推定を説明するためのグラフである。
【図6】摩擦パッドの温度変化に依存して検出される振動の振幅の変化を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るディスクロータの状態監視装置(以下、単に「本装置」とも称呼する。)について図面を参照しながら説明する。図1は、本装置が適用されるディスクブレーキ機構10の構成を概略的に示すブロック図である。なお、車両に搭載されるディスクブレーキ機構10自体の構成及び作動は周知であり、本発明に直接関係しないため、その詳細な説明を省略し、以下に簡単に説明しておく。
【0023】
ディスクブレーキ機構10は、図2に示すように、所謂、浮動式のディスクブレーキ機構であり、車輪Wと一体的に車軸の回転軸心回りに回転するディスクロータ11と、車体側に固定された図示を省略するマウンティングブラケットによってディスクロータ11の回転軸線方向に沿って移動自在に支持されたブレーキキャリパ12とを備えている。
【0024】
ディスクロータ11は、図示しないサスペンション装置を構成するナックルに対してベアリングを介して回転可能に支持されていて、車輪Wと一体的に回転するものである。そして、ディスクロータ11は、図2及び図3に示すように、その外周部にて、後述するブレーキキャリパ12に組み付けられる摩擦パッド13と摩擦摺動する摩擦摺動部11aと、摩擦摺動部11aを形成する2枚のディスク間に設けられて放熱性を確保するための冷却用フィン11bとを備えている。すなわち、ディスクロータ11は、所謂、ベンチレーティッドディスクである。ここで、冷却用フィン11bは、ディスクロータ11の周方向に沿ってほぼ等間隔にN個(例えば、30〜60個程度)設けられている。
【0025】
ブレーキキャリパ12は、図2及び図3に示すように、ディスクロータ11を跨ぐように断面略U字形状を成しており、運転者によるブレーキペダルB(図1参照)の踏み込み操作すなわちブレーキ操作に応じて調圧されたブレーキ液がマスタシリンダMを介して供給されるシリンダ部12aと、このシリンダ部12aとディスクロータ11を介して対向する位置に配置される爪部12bと、シリンダ部12aと爪部12bとを連結する連結部12cとから構成されている。又、ブレーキキャリパ12は、シリンダ部12a内に収容されて、運転者によるブレーキ操作に伴って供給されるブレーキ液によって進退するピストン12dを備えている。
【0026】
更に、ブレーキキャリパ12には、ディスクロータ11の2つの摩擦摺動部11aにそれぞれ対向する一対の摩擦パッド13が組み付けられている。摩擦パッド13は、それぞれ、ブレーキキャリパ12のシリンダ部12a側と爪部12b側とに配置されている。そして、例えば、一対の摩擦パッド13のうちのシリンダ部12a側に配置される摩擦パッド13においてはピストン12dの進退に応じてディスクロータ11の摩擦摺動部11aに向けて変位し、爪部12b側に配置される摩擦パッド13においては前記他側(シリンダ部12a側)の摩擦パッド13の進退に対応してディスクロータ11の摩擦摺動部11aに向けて変位するようになっている。
【0027】
次に、本発明に係る本装置20の構成を説明する。本装置20は、図1に示すように、電子制御ユニット21を備えている。電子制御ユニット21は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするものである。そして、電子制御ユニット21は、後述するプログラムを含む各種プログラムを実行し、ディスクブレーキ機構10のディスクロータ11の状態、より詳しくは、ディスクロータ11を形成する摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの肉厚変化の状態を推定して監視し、監視した状態に応じた情報を運転者に報知するものである。このため、本実施形態においては、電子制御ユニット21には、図1に示すように、ブレーキ液圧検出センサ22、車輪速度センサ23、車速センサ24及び着座荷重センサ25が接続されている。
【0028】
振動検知手段としてのブレーキ液圧検出センサ22は、ブレーキキャリパ12のシリンダ部12aに供給されているブレーキ液の圧力を表すブレーキ液圧Pbを検出し、この検出して取得したブレーキ液圧Pbを表す信号を電子制御ユニット21に出力するようになっている。車輪速度センサ23は、車両の各車輪W(図1においては1輪のみ図示)にそれぞれ設けられて、対応する車輪Wの車輪速度Wvを検出し、この検出して取得した車輪速度Wvを表す信号を電子制御ユニット21に出力するようになっている。車速センサ24は、車両の車速Vを検出し、この検出して取得した車速Vを表す信号を電子制御ユニット21に出力するようになっている。着座荷重センサ25は、図示を省略するが、車両に設けられた各シート(椅子)に設けられていて、シート(椅子)に着座した乗員の体重を荷重Kとして検出し、この検出して取得した荷重Kを表す信号を電子制御ユニット21に出力するようになっている。
【0029】
又、本装置20は、図1に示すように、報知ユニット26、記憶ユニット27及びナビゲーションユニット28を備えている。報知ユニット26は、表示機構(例えば、液晶ディスプレイやランプ等)や音声出力機構(例えば、スピーカ等)を備えており、ユーザである運転者(又は、車両の乗員)に対して、電子制御ユニット21によって判定されたディスクロータ11の状態に関する情報を画像や光の点灯(点滅)又は音声によって報知する。記憶ユニット27は、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶媒体及び同記憶媒体のドライブ装置を含むものであり、電子制御ユニット21が本装置20の作動を統括的に制御するために必要な各種プログラム及び各種データを予めあるいは更新可能に記憶している。又、記憶ユニット27は、所定記憶位置にて、車両の走行ごとに後述するタイヤ回転N次の振動の振幅の大きさを、例えば、走行ごとの振幅の平均値として、更新可能かつ検索可能にデータベース化して記憶している。ナビゲーションユニット28は、車両の現在地を検出するためにGPS(Global Positioning System)信号検出センサ等を備えており、記憶ユニット27に予め記憶されている各種データあるいは図示を省略する外部通信ユニットを利用して外部から取得した各種データ(道路データや天候データ等)を利用して、運転者(又、同乗者)によって指定された目的地までの経路を探索し、同探索した経路を報知ユニット26を利用して案内する。
【0030】
次に、上記のように構成された本装置20の作動について詳細に説明する。本装置20の電子制御ユニット21は、車両に搭載されたディスクブレーキ機構10を構成するディスクロータ11の状態、具体的には、ディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの肉厚変化(減少)の状態を精度よく推定して特定する。そして、電子制御ユニット21は、この推定して特定した状態に基づいてディスクロータ11の肉厚の減少量を監視し、必要に応じて車両の運転者にディスクロータ11の交換を報知して促す。このため、電子制御ユニット21は、図4に示すディスクロータ状態監視プログラムを実行する。以下、このディスクロータ状態監視プログラムを具体的に説明する。
【0031】
電子制御ユニット21は、例えば、車両の運転者によって図示を省略するイグニッションスイッチ(あるいは、起動スイッチ)がオン状態とされると、図4のフローチャートにより示すディスクロータ状態監視プログラムの実行をステップS10にて開始する。そして、電子制御ユニット21は、続くステップS11にて、ディスクブレーキ機構10のディスクロータ11に発生している振動(以下、この振動を「ブレーキ振動」と称呼する。)の状態に関連する物理量(以下、この物理量を「ブレーキ振動状態を表す物理量」とも称呼する。)を取得するとともに、車輪W(タイヤ)の回転数を取得する。
【0032】
具体的に説明すると、本実施形態においては、電子制御ユニット11は、ブレーキ液圧検出センサ22が出力した信号を継続して入力しており、所定の時間間隔内に入力した信号によって表されるブレーキ液圧Pbをブレーキ振動状態を表す物理量として取得する。この場合、ブレーキ液圧Pbは、後述するように、運転者によるブレーキペダルBのブレーキ操作状態や車両の走行状況(走行環境)によって変動する振幅を有する波形として取得される。又、電子制御ユニット21は、車輪速度センサ23が出力した信号を継続して入力しており、ブレーキ液圧Pbの取得に合わせて所定の時間間隔内に入力した信号によって表される車輪速度Wvを単位時間当たりの回転数に変換して車輪Wすなわちタイヤの回転数nとして取得する。そして、電子制御ユニット21は、ブレーキ振動状態を表す物理量であるブレーキ液圧Pb及びタイヤの回転数nを取得すると、ステップS12に進む。
【0033】
ステップS12においては、電子制御ユニット21は、ディスクブレーキ機構10のディスクロータ11が有する冷却用フィン11bの存在数Nに対応する振動としてのタイヤ回転N次の振動が発生しているか否かを判定する。以下、このタイヤ回転N次の振動の判定を詳細に説明する。運転者がブレーキペダルBを踏み込んでブレーキ操作すると、マスタシリンダMを介してブレーキキャリパ12のシリンダ部12aに対して、ブレーキ液圧Pbに調圧されたブレーキ液が供給される。このように調圧されたブレーキ液が供給されると、シリンダ部12a内に収容されているピストン12dが摩擦パッド13を押圧し、摩擦パッド13がディスクロータ11の摩擦摺動部11aと摩擦摺動する。これにより、ディスクロータ11の回転が摩擦力によって制動され、その結果、ディスクロータ11と一体的に回転している車輪W(タイヤ)と路面との間に制動力が発生する。
【0034】
ここで、ディスクロータ11においては、図2に示したように、2枚のディスクによって摩擦摺動部11aが形成され、この2枚の摩擦摺動部11aはディスクロータ11の周方向にてほぼ等間隔に配置されたN個の冷却用フィン11bを挟持している。このため、上述した運転者によるブレーキ操作に伴い、ディスクロータ11の摩擦摺動部11aが摩擦パッド13によって挟持されて摩擦摺動が生じるとき、摩擦摺動部11aにおいては、その周方向にて、冷却用フィン11bが存在している部分と存在していない部分とでは若干ながら剛性に差が生じることになる。具体的に、冷却用フィン11bが存在している部分においては摩擦パッド13が摩擦摺動部11aを挟持したときの剛性は高くなり、冷却用フィン11bが存在していない部分においては摩擦パッド13が摩擦摺動部11aを挟持したときの剛性は冷却用フィン11bが存在して部分の剛性に比して若干小さくなる。
【0035】
従って、運転者によるブレーキ操作に伴って、車輪W(タイヤ)と一体的に回転しているディスクロータ11の摩擦摺動部11aと摩擦パッド13との間に摩擦摺動が生じると、上述したような周方向における冷却用フィン11bの存在有無に応じた剛性の差に起因して摩擦パッド13が周期的に進退動する、より詳しくは、車輪W(タイヤ)の1回転あたり冷却用フィン11bの存在数Nと一致するN次の振動が摩擦パッド13が生じるようになる。そして、このような摩擦パッド13のN次の振動は、ブレーキキャリパ12のピストン12d及びシリンダ部12aを介してブレーキ液に伝達される。その結果、ブレーキ液圧検出センサ22が検出するブレーキ液圧PbにN次の振動、すなわち、ディスクロータが有する冷却用フィンの存在数に対応する振動であるタイヤ回転N次の振動が生じる。
【0036】
ところで、このタイヤ回転N次の振動は、ディスクロータ11の摩擦摺動部11aの周方向における剛性差に依存する、言い換えれば、ディスクロータ11の摩擦摺動部11aを形成する2枚のディスクの肉厚(板厚)に依存するものである。すなわち、摩擦摺動部11aの肉厚(板厚)が大きい状況、具体的に、摩擦摺動部11aの摩耗や錆の発生が進行しておらず肉厚の減少量(以下、肉厚の減少量を「減肉量」とも称呼する。)が小さい状況では、摩擦摺動部11aの剛性が大きいために周方向にて冷却用フィン11bの有無によるうねりが生じにくく、その結果、摩擦パッド13に生じるN次の振動が小さくなってタイヤ回転N次の振動は小さい、あるいは、タイヤ回転N次の振動が生じない。一方、摩擦摺動部11aの肉厚(板厚)が小さい状況、具体的に、摩擦摺動部11aの摩耗や錆の発生が進行しており肉厚の減少量(減肉量)が大きい状況では、摩擦摺動部11aの剛性が相対的に小さくなるために周方向にて冷却用フィン11bの有無によるうねりが生じ易く、その結果、摩擦パッド13に生じるN次の振動が大きくなってタイヤ回転N次の振動が大きくなる。
【0037】
又、一般に、ディスクロータ11の摩擦摺動部11aにおいては、摩擦パッド13との摩擦摺動に伴って、その表面に皮膜が形成される。そして、この皮膜の形成し易さ、言い換えれば、摩擦摺動部11aの表面に対する皮膜の付き易さは、冷却用フィン11bが存在する部分と存在しない部分とで異なる剛性差に依存する。このため、車輪W(タイヤ)と一体的に回転するディスクロータ11の摩擦摺動部11aに対して摩擦パッド13が摩擦摺動する場合、摩擦摺動部11aの表面に皮膜が形成された部分とされていない部分、すなわち、冷却用フィン11bが存在する部分と存在しない部分とで摩擦係数が異なる(変化する)ことになる。従って、摩擦摺動部11aに対して摩擦パッド13が押圧されて摩擦摺動すると、上述したような周方向における冷却用フィン11bの有無に応じた摩擦係数の差に起因して、摩擦パッド13が周期的に振動する、より詳しくは、車輪W(タイヤ)の1回転あたり冷却用フィン11bの存在数Nと一致するN次の振動が摩擦パッド13に生じるようになる。そして、この場合においても、このような摩擦パッド13のN次の振動がブレーキキャリパ12のピストン12d及びシリンダ部12aを介してブレーキ液に伝達される。その結果、ブレーキ液圧検出センサ22が検出するブレーキ液圧Pbにタイヤ回転N次の振動が生じる。
【0038】
従って、電子制御ユニット21は、前記ステップS11にて取得したブレーキ液圧Pbに周期的な変動、すなわち、ディスクロータ11に設けられた冷却用フィン11bの存在数Nと一致する(対応する)タイヤ回転N次の振動が生じていれば、「Yes」と判定してステップS13に進む。一方、取得したブレーキ液圧Pbにタイヤ回転N次の振動が生じていなければ、電子制御ユニット21は、タイヤ回転N次の振動が生じるまで繰り返し「No」と判定し、ステップS11を繰り返し実行する。
【0039】
ステップS13においては、電子制御ユニット21は、ディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bに関し、摩耗や錆の発生に伴う肉厚(板厚)の減少量、すなわち、摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの減肉量を推定する。以下、この減肉量の推定を詳細に説明する。
【0040】
上述したように、ディスクロータ11の摩擦摺動部11aを形成する2枚のディスクの肉厚(板厚)が、例えば、摩耗や錆の発生によって減少(減肉)すると、周方向にてうねりが生じ易くなってタイヤ回転N次の振動が大きくなる関係となる。又、冷却用フィン11bの肉厚(板厚)が、例えば、錆の発生によって減少すると、摩擦摺動部11aの周方向におけるうねりがより生じ易くなってタイヤ回転N次の振動が大きくなる関係となる。従って、電子制御ユニット21は、例えば、車両の走行ごとにタイヤ回転N次の振動についてその振幅の大きさ(好ましくは、走行ごとの振幅の平均値)を記憶ユニット27の所定記憶位置にデータベース化して記憶するようになっている。そして、電子制御ユニット21は、記憶している振幅の大きさと現在の振幅の大きさとを比較して変化を監視することにより、振幅の大きさと所定の関係(例えば、比例関係等)にあるディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの減肉量を将来に渡って推定することができる。
【0041】
ところが、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさは、車両の走行状況(走行環境等)が異なれば容易に変化する。従って、電子制御ユニット21が、単に記憶ユニット27の所定記憶位置に記憶しているタイヤ回転N次の振動の振幅の大きさの変化を監視することにより、この振幅の大きさの変化からディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの減肉量を推定しようとすると、車両の走行状況(走行環境等)が異なる、すなわち、タイヤ回転N次の振動の発生条件が異なり、その結果、推定される減肉量の誤差が大きくなる可能性がある。このため、電子制御ユニット21は、タイヤ回転N次の振動の発生条件を統一する(同一の発生条件下で振幅の大きさを監視する)とともに、異なる条件下では振幅を補正することにより、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさと所定の関係(例えば、比例関係)にある減肉量を精度よく推定する。
【0042】
このため、電子制御ユニット21は、前記ステップS11に取得したブレーキ液圧Pb及びタイヤの回転数n(すなわち、車輪Wの車輪速度Wv)に加えて、車速センサ24及び着座荷重センサ25からの信号を入力して、車速V及び荷重Kをそれぞれ取得する。そして、電子制御ユニット21は、まず、車両の走行ごとに記憶ユニット27の所定記憶位置に検索可能に記憶しているタイヤ回転N次の振動について、この振動の発生条件ごとに分けて振幅の変化を監視する。具体的に、本実施形態においては、電子制御ユニット21は、運転者のブレーキ操作に伴ってブレーキペダルを介して入力されたブレーキ液圧、車両の減速度、車速、外気温及び走行場所を、所定の条件であるタイヤ回転N次の振動の発生条件として判定する。
【0043】
すなわち、電子制御ユニット21は、ブレーキ液圧検出センサ22から取得した運転者のブレーキ操作に伴って入力されたブレーキ液圧Pbが同一である(より詳しくは、ブレーキ液圧Pbが同一圧力域に含まれる)か否か、車速センサ24から取得した車速Vが低下しているときの時間変化を表す減速度dV/dtが同一である(より詳しくは、減速度dV/dtが同一減速度域に含まれる)か否か、車速センサ24から取得した車速Vが同一である(より詳しくは、車速Vが同一車速域に含まれる)か否か、ナビゲーションユニット28によって取得された外気温Tが同一である(より詳しくは、外気温Tが同一温度域に含まれる)か否か、ナビゲーションユニット28によって取得された車両の走行場所Pが同一である(より詳しくは、走行場所Pが同一地域に含まれる)か否かをそれぞれ判定する。なお、電子制御ユニット21は、車両の走行ごとにタイヤ回転N次の振動の振幅の大きさを記憶ユニット27の所定記憶位置に記憶するときには、上述した発生条件であるブレーキ液圧Pb、減速度dV/dt、車速V、外気温T及び走行場所Pをそれぞれ振幅の大きさに関連付けて記憶するようになっている。
【0044】
そして、電子制御ユニット21は、記憶ユニット27の所定記憶位置に記憶しているタイヤ回転N次の振動の振幅のうち、図5に概略的に示すように、上述した発生条件である(すなわち、所定の条件に含まれる)ブレーキ液圧Pb、減速度dV/dt、車速V、外気温T及び走行場所Pが同一となる振幅(図5においては黒塗りの丸印により示す)を選択して取得し、この取得した振幅の大きさの変化を監視する。
【0045】
又、電子制御ユニット21は、上記取得した振幅の大きさを、ディスクロータ11の摩擦摺動部11aと摩擦摺動している摩擦パッド13の状態変化に関連するパラメータを用いて補正する。具体的に、このパラメータは、摩擦摺動によって変化する摩擦摺動部11a及び摩擦パッド13のうちの少なくとも一方、より詳しくは、摩擦パッド13の温度変化に関連するパラメータである。以下、摩擦パッド13の温度変化に関連するパラメータを用いて上記取得した振幅の大きさを補正することについて説明する。
【0046】
タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさについては、上述したように、ディスクロータ11の摩擦摺動部11aの肉厚(板厚)の減少及び冷却用フィン11bの肉厚(板厚)の減少、すなわち、摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの減肉量が大きくなるほど増大する傾向にある。そして、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさは、上述したように、摩擦パッド13の周期的な進退動がブレーキ液に伝達された後ブレーキ液圧検出センサ22によって検出されるブレーキ液圧Pbの周期的な変動に伴う振幅の大きさとして検出される。
【0047】
ところで、一般に、摩擦パッド13に用いられる摩擦材は、良好な制動特性を得るために、摩擦摺動部11aを形成する2枚のディスクよりも柔らかく、又、温度上昇に伴って柔らかくなる傾向を有する。従って、ディスクブレーキ機構10が冷温状態にあるとき、すなわち、ディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び摩擦パッド13の温度が低温であるときには、摩擦パッド13の摩擦材が比較的硬い状態で摩擦摺動部11aに接触する。このため、摩擦摺動部11aと摩擦摺動している摩擦パッド13においては、摩擦摺動部11aの周方向におけるうねりに伴って周期的に進退動し易く、その結果、図6に概略的に示すように、ブレーキ液圧Pbの周期的な変化に伴う振幅の大きさ、すなわち、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさが相対的に大きくなる。一方、例えば、運転者によるブレーキ操作の繰り返しによって、ディスクブレーキ機構10が高温状態にあるとき、すなわち、ディスクロータ11の摩擦摺動部11a又は摩擦パッド13の温度が高温であるときには、摩擦パッド13の摩擦材が軟らかくなる。このため、摩擦摺動部11aと摩擦摺動している摩擦パッド13においては、摩擦材が摩擦摺動部11aの周方向におけるうねりを吸収してしまうことによって周期的に進退動しにくく、その結果、図6に概略的に示すように、ブレーキ液圧Pbの周期的な変化に伴う振幅の大きさ、すなわち、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさが相対的に小さくなる。すなわち、ディスクブレーキ機構10が高温状態であるときには、ディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの減肉量がある程度大きくなっていても、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさが相対的に小さくなるため、精度よく推定できない可能性がある。
【0048】
ここで、ディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び摩擦パッド13の温度は、互いの摩擦摺動状態に依存して変化するものであり、より具体的には、車両を制動するために必要な制動力の大きさ、すなわち、摩擦摺動によって発生させる摩擦力の大きさに依存して摩擦力が大きくなるほど温度が上昇する側に変化する。そして、車両を制動するために必要な制動力の大きさは、車両の乗車人数が多くなるほど、言い換えれば、車両の車重が大きくなるほど大きな制動力が必要となる。そこで、電子制御ユニット21は、ディスクロータ11の摩擦摺動部11aと摩擦摺動している摩擦パッド13の状態変化に関連するパラメータ、言い換えれば、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさに影響を及ぼす要素として、着座荷重センサ25からの信号に基づく乗車人数について、現在車両に乗車している人数、言い換えれば、荷重Kを用いた車重の変化をパラメータとして勘案して上記取得した振幅の大きさを補正する。
【0049】
具体的に、例えば、車両に運転者のみが乗車している場合と複数人が乗車している場合とでは、それぞれの着座荷重センサ25によって検出されて合計される荷重Kが異なる、すなわち、車両の車重が異なるため、同じ目標減速度によって車両を制動する場合であっても必要な制動力が異なる。このため、ディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び摩擦パッド13の温度変化の傾向も必要な制動力に応じて異なる。従って、電子制御ユニット21は、例えば、着座荷重センサ25によって検出される荷重Kを用いて予め設定されている相関式に従い、ディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び摩擦パッド13の温度変化の影響を勘案して排除するように、例えば、単位重量当たりの制動に伴う温度変化を加味した振幅の大きさとして上記取得した振幅の大きさを補正する。
【0050】
これにより、電子制御ユニット21は、車両の走行状況(走行環境)や車両の走行に伴って入力される外乱等の影響を排除し、更に、ディスクロータ11の摩擦摺動部11aと摩擦摺動している摩擦パッド13の乗車人数に応じた状態変化(温度変化)の影響を排除して、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさの変化を監視することができる。従って、電子制御ユニット21は、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさと所定の関係(例えば、比例関係)にあるディスクロータ11の摩擦摺動部11aの肉厚(板厚)及び冷却用フィン11bの肉厚(板厚)についての減肉量を精度よく推定して特定することができる。そして、電子制御ユニット21は、減肉量を推定すると、ステップS14に進む。
【0051】
ステップS14においては、電子制御ユニット21は、前記ステップS13にて推定したディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの減肉量が後述するように予め設定された所定量以上となっているか否かを判定する。すなわち、電子制御ユニット21は、前記推定した減肉量(言い換えれば、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさ)が所定量以上(予め設定された所定の振幅の大きさ以上)となっていれば、「Yes」と判定してステップS15に進む。ここで、電子制御ユニット21は、図5に示すように、ディスクブレーキ機構10による制動機能を確保するためにディスクロータ11(より具体的には、摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11b)の肉厚(板厚)に許容される肉厚の減少量(減肉量)の限度となる時期を推定し、この減肉量の限度となる時期から一定期間だけ前における肉厚の減少量(減肉量)を所定量として設定する。
【0052】
一方、前記推定した減肉量(言い換えれば、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさ)が未だ所定量未満(予め設定された所定の振幅の大きさ未満)であれば、電子制御ユニット21は「No」と判定してステップS11に戻り、前記ステップS11以降の各ステップ処理を実行する。すなわち、前記ステップS13にて推定した減肉量が所定量未満である場合には、例えば、摩擦摺動部11aの摩耗が進行していない、あるいは、冷却用フィン11bの錆が進行していないため、ディスクブレーキ機構10による制動機能上全く問題がなくディスクロータ11を交換する必要がない。このため、電子制御ユニット21は、前記推定した減肉量が所定量以上となるまで、ステップS14にて「No」「No」判定を繰り返す。
【0053】
ステップS15においては、電子制御ユニット21は、報知ユニット26を利用し、ディスクロータ11の状態に関する情報として摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの少なくとも一方の摩耗や錆が進行していることを運転者に報知するとともに、ディスクロータ11の交換を促す。具体的に、電子制御ユニット21は、運転者に対し、報知ユニット26の表示機構によってディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの状態すなわち推定した減肉量を画像等で表示してディスクロータ11の交換を促したり、推定した減肉量に応じてインジケータを点灯させてディスクロータ11の交換を促したり、報知ユニット26の音声出力機構によってディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの減肉量に関するメッセージやディスクロータ11の交換を促すメッセージを音声出力したりする。従って、運転者は、適切なタイミングにより、例えば、ディーラや修理工場等に車両を預け入れて点検を受けることができる。又、減肉限度を精度よく推定することができるため、制動機能上問題ないディスクロータ11の交換を抑制することができ、無駄を排除することができる。
【0054】
このように、運転者に対してディスクロータ11の状態に関する情報及びディスクロータ11の交換の必要性を報知すると、電子制御ユニット21はステップS16に進み、ディスクロータ状態監視プログラムの実行を終了する。なお、前記ステップS15にて運転者に対してディスクロータ11の状態に関する情報及びディスクロータ11の交換の必要性を報知した後において、電子制御ユニット21は、次回以降に運転者が車両を走行させる場合には、報知ユニット26を利用して、ディスクロータ11の状態に関する情報及びディスクロータ11の交換の必要性を再度報知することができる。これにより、電子制御ユニット21は、速やかにディーラや修理工場等に車両を預け入れるように、効果的に運転者を促すことができる。
【0055】
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、ディスクロータの状態監視装置20は、ディスクロータ11が有する冷却用フィン11bの存在する部分と存在しない部分とでディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの肉厚(板厚)が摩耗や錆の進行に伴って不均一となることにより、冷却用フィン11bの存在数Nに対応する固有の振動であるタイヤ回転N次の振動を用いて、ディスクロータ11の状態を監視することができる。これにより、例えば、ディスクロータ11自身の振れや車輪W(タイヤ)を介して入力される外乱等の影響、あるいは、車両を制動する際の車速Vや外気温T、乗車人数(荷重Kすなわち車重)等の車両の走行状況(走行環境)の影響を適切に勘案して排除することができ、制動が繰り返されることに伴って変化するディスクロータ11の摩擦摺動部11bの肉厚の減少量や錆の発生に伴う冷却用フィン11bの肉厚の減少量を精度よく推定して特定することができる。その結果、ディスクロータの状態監視装置20は、ディスクロータ11の交換時期を正確に把握することができ、運転者であるユーザにディスクロータ11の交換を適切なタイミングにより報知する(促す)ことができる。
【0056】
上記実施形態においては、電子制御ユニット21が、ディスクロータ状態監視プログラムのステップS13にて、ディスクロータ11の摩擦摺動部11aと摩擦摺動している摩擦パッド13の状態変化に関連するパラメータとして、着座荷重センサ25によって検出された荷重Kすなわち車両の乗車人数(車両の車重)を採用し、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさを補正するように実施した。この場合、ディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び摩擦パッド13のうちの少なくとも一方の温度変化に関連するパラメータについて、電子制御ユニット21が、例えば、放射温度計等の非接触計測装置を用いた直接的な検出、あるいは、ブレーキ液圧Pbや減速度dV/dt、ディスクロータ11及び摩擦パッド13の熱容量等を用いて算出される発熱量に基づく間接的な検出によって決定して、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさを補正するように実施することも可能である。
【0057】
具体的に、電子制御ユニット21は、上述したディスクロータ状態監視プログラムにおける前記ステップS13にて、上述したように決定されたディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び摩擦パッド13の温度(より具体的には、表面温度)をパラメータとして、タイヤ回転N次の振動の振幅を補正する。
【0058】
すなわち、電子制御ユニット21は、上述した実施形態と同様に、記憶ユニット27の所定記憶位置に記憶しているタイヤ回転N次の振動の振幅の大きさのうち、図5に概略的に示したように、上述した発生条件であるブレーキ液圧Pb、減速度dV/dt、車速V、外気温T及び走行場所Pが同一となる振幅(図5の黒塗りの丸印により示す)を選択して取得し、この取得した振幅の大きさの変化を監視する。そして、電子制御ユニット21は、ディスクロータ11の摩擦摺動部11aと摩擦摺動している摩擦パッド13の状態変化に関連するパラメータ、言い換えれば、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさに影響を及ぼす要素として、上述した乗車人数に代えて又は加えてディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び摩擦パッド13の表面温度を勘案して上記取得した振幅の大きさを補正する。
【0059】
具体的には、電子制御ユニット21は、例えば、上述したように検出された摩擦摺動部11a及び摩擦パッド13の表面温度を用いて予め設定されている相関式に従い、例えば、単位温度当たりの振幅の大きさとして上記取得した振幅の大きさを補正する。これにより、電子制御ユニット21は、車両の走行状況(走行環境)や車両の走行に伴って入力される外乱等の影響を排除することに加え、温度に依存して摩擦パッド13の摩擦材が振動を吸収してしまうことの影響を排除して、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさの変化を監視することができる。従って、電子制御ユニット21は、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさと所定の関係(例えば、比例関係)にあるディスクロータ11の摩擦摺動部11aの肉厚(板厚)及び冷却用フィン11bの肉厚(板厚)についての減肉量を精度よく推定することができる。
【0060】
このように、この変形例によれば、タイヤ回転N次の振動の振幅の大きさを適切にかつ確実に補正することができため、精度よくディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの減肉量を推定することができる。従って、この変形例によっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。又、摩擦摺動部11a及び摩擦パッド13の表面温度を検出して利用することにより、例えば、上記実施形態において設けた着座荷重センサ25を省略することが可能となる。これにより、本装置20の構成を簡略化することができる。
【0061】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態及び変形例においては、振動検知手段として、ブレーキ液圧検出センサ22を採用し、同センサ22によって検出されるブレーキ液圧Pbの周期的な時間変化に伴う振幅の大きさをタイヤ回転N次の振動の振幅とするように実施した。この場合、ディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの減肉量の大きさに関連するタイヤ回転N次の振動を検出可能であれば、如何なる「ブレーキ振動状態を表す物理量」を採用してもよい。例えば、ブレーキ液圧Pbの周期的な変動を検出することに代えて、又は、加えて、制動時におけるディスクロータ11の回転トルクの変動を検出するトルクセンサや、制動時におけるブレーキキャリパ12のディスクロータ11の回転方向における加速度の変動を検出する加速度センサ、あるいは、ディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び摩擦パッド13のうちの少なくとも一方のひずみの変動を検出するひずみゲージやレーザ変位計、摩擦摺動部11aの周方向のうねりに伴ってディスクロータ11の制動時に発生する音の変動を検出するマイク等を振動検知手段として採用して実施することも可能である。これらの場合においても、それぞれ検出されて電子制御ユニット21が取得する「ブレーキ振動状態を表す物理量」の周期的な変動に基づく振幅の大きさをタイヤ回転N次の振動の振幅とすることができるため、上記実施形態及び変形例と同様の効果が期待できる。
【0063】
又、上記実施形態及び変形例においては、前記ディスクロータ状態監視プログラムの前記ステップS15にて、電子制御ユニット21が報知ユニット26を利用し、ディスクロータ11の状態に関する情報として摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの少なくとも一方の摩耗や錆が進行していることを運転者に報知するとともに、ディスクロータ11の交換を促すように実施した。すなわち、上記実施形態及び変形例においては、電子制御ユニット21は、前記ステップS14にて推定した減肉量が所定量以上となると、摩耗や錆が進行していることとディスクロータ11の交換を促すことを同時期に報知するように実施した。この場合、例えば、前記ステップS14にて推定した減肉量が所定量以上となると、電子制御ユニット21が、まず、摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの少なくとも一方の摩耗や錆が進行していることを運転者に報知する。そして、報知後、更に摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの少なくとも一方の摩耗や錆が進行している場合に、ディスクロータ11の交換を促すように実施することも可能である。これによれば、運転者は、まず、ディスクロータ11の状態を把握しておくことができ、その後に交換を促す報知を受けることができるため、余裕を持ってディーラや修理工場等に車両を預け入れて点検を受けることができる。
【0064】
更に、上記実施形態及び変形例においては、記憶ユニット27の所定記憶位置に、車両の走行ごとにタイヤ回転N次の振動の振幅の大きさが、例えば、走行ごとの振幅の平均値として、更新可能かつ検索可能にデータベース化して記憶されるようにした。又、記憶ユニット27の所定記憶位置には、タイヤ回転N次の振動の発生条件が関連付けられて記憶されるようにした。このため、各車両の記憶ユニット27に記憶されているタイヤ回転N次の振動の振幅の大きさ及びタイヤ回転N次の振動の発生条件を、例えば、外部に取り出して回収したり、あるいは、外部に設けられたサーバコンピュータに送信して回収したりすることが可能である。そして、このように各車両から回収されて収集されたタイヤ回転N次の振動の振幅の大きさ及びタイヤ回転N次の振動の発生条件は、例えば、他の車両で利用したり、今後の車両の開発に役立てることもできる。この場合であっても、精度よくディスクロータ11の摩擦摺動部11a及び冷却用フィン11bの減肉量を推定することができるため、車両開発において極めて有益な情報として利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
10…ディスクブレーキ機構、11…ディスクロータ、11a…摩擦摺動部、11b…冷却用フィン、12…キャリパ、12a…シリンダ部、12b…爪部、12c…連結部、12d…ピストン、13…摩擦パッド、20…ディスクロータの状態監視装置、21…電子制御ユニット、22…ブレーキ液圧検出センサ、23…車輪速度センサ、24…車速センサ、25…着座荷重センサ、26…報知ユニット、27…記憶ユニット、28…ナビゲーションユニット、W…車輪(タイヤ)、B…ブレーキペダル、M…マスタシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に複数配置された冷却用フィンを有するディスクロータと、このディスクロータに形成された摩擦摺動部に対して摩擦パッドを摩擦摺動可能に支持するブレーキキャリパとを備えたディスクブレーキ機構に適用されて、前記ディスクロータの状態を監視するディスクロータの状態監視装置であって、
前記ディスクロータに形成された摩擦摺動部と前記摩擦パッドとの摩擦摺動に伴って、前記ディスクロータ、前記ブレーキキャリパ及び前記摩擦パッドのうちの少なくとも一つに発生する振動であって、前記ディスクロータが有する冷却用フィンの存在数に対応する振動を検知する振動検知手段と、
前記振動検知手段によって検知された前記振動の振幅の大きさのうち、所定の条件下で発生して前記ディスクロータに形成された摩擦摺動部及び前記冷却フィンにおける肉厚の減少量と所定の関係にある振幅の大きさを取得する振幅取得手段と、
前記振幅取得手段によって取得された前記振幅の大きさを、前記ディスクロータに形成された摩擦摺動部と摩擦摺動している前記摩擦パッドの状態変化に関連するパラメータを用いて補正する振幅補正手段と、
前記振幅補正手段によって補正された前記振幅の大きさが予め設定された所定の振幅の大きさ以上であるか否かを判定する振幅判定手段と、
前記振幅判定手段によって前記振幅の大きさが前記所定の振幅の大きさ以上であると判定されると、前記ディスクロータの状態に関する情報を報知する情報報知手段とを備えたことを特徴とするディスクロータの状態監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載したディスクロータの状態監視装置において、更に、
前記振動検知手段によって検知された前記振動の振幅の大きさ及びこの振動の発生した条件を検索可能かつ更新可能に記憶する記憶手段を備え、
前記振幅取得手段は、
前記振動検知手段によって検知されて前記記憶手段に記憶された前記振動の振幅の大きさのうち、前記記憶された前記振動の発生した条件が前記所定の条件下に含まれる振幅の大きさを選択して取得することを特徴とするディスクロータの状態監視装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載したディスクロータの状態監視装置において、
前記振幅補正手段が前記補正に用いる前記パラメータは、
前記摩擦摺動に伴って前記ディスクロータに形成された摩擦摺動部及び前記摩擦パッドのうちの少なくとも一方の温度変化に関連するパラメータであることを特徴とするディスクロータの状態監視装置。
【請求項4】
請求項3に記載したディスクロータの状態監視装置において、
前記パラメータは、車両に乗車する人数に応じて変化するパラメータであることを特徴とするディスクロータの状態監視装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか一つに記載したディスクロータの状態監視装置において、
前記振幅判定手段が前記判定に用いる前記予め設定された所定の振幅の大きさは、
前記ディスクブレーキ機構による制動機能を確保するために前記ディスクロータに形成された摩擦摺動部及び前記冷却用フィンの肉厚に許容される肉厚の減少量の限度に基づいて設定されることを特徴とするディスクロータの状態監視装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか一つに記載したディスクロータの状態監視装置において、
前記情報報知手段は、
前記ディスクロータの状態に関する情報に加えて、前記ディスクロータの交換を促す情報をも報知することを特徴とするディスクロータの状態監視装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか一つに記載したディスクロータの状態監視装置において、
前記振動検知手段は、
前記ディスクロータ、前記ブレーキキャリパ及び前記摩擦パッドのうちの少なくとも一つに発生している振動の状態に関連する物理量の変動を取得して、前記ディスクロータが有する冷却用フィンの存在数に対応する振動を検知することを特徴とするディスクロータの状態監視装置。
【請求項8】
請求項7に記載したディスクロータの状態監視装置において、
前記振動検知手段が取得する物理量の変動は、
前記摩擦パッドを前記ディスクロータの摩擦摺動部と摩擦摺動させるために前記ブレーキキャリパに供給されるブレーキ液圧の変動、前記摩擦パッドを前記ディスクロータの摩擦摺動部と摩擦摺動させたときの前記ディスクロータの回転トルクの変動、前記摩擦パッドを前記ディスクロータの摩擦摺動部と摩擦摺動させたときの前記ブレーキキャリパの加速度の変動、前記摩擦パッドを前記ディスクロータの摩擦摺動部と摩擦摺動させたときの前記摩擦摺動部及び前記摩擦パッドのうちの少なくとも一方のひずみの変動、及び、前記摩擦パッドを前記ディスクロータの摩擦摺動部と摩擦摺動させたときに前記ディスクロータから発生する音の変動のうちの少なくとも一つであることを特徴とするディスクロータの状態監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−35432(P2013−35432A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173545(P2011−173545)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】