ディスク成形用金型、外周リング、ディスク基板及びその成形方法
【課題】ディスク基板の外周縁部に隆起部が形成されるのを防止することができ、ディスク基板の品質を向上させることができるようにする。
【解決手段】第1の鏡面盤と、第2の鏡面盤と、第1、第2の鏡面盤のうちの一方の鏡面盤に取り付けられたスタンパ61と、他方の鏡面盤に取り付けられ、内周縁の端面がキャビティ空間Cを形成する外周リングとを有する。外周リングの内周面S2におけるキャビティ空間Cを形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部22が形成される。キャビティ空間Cに充填された成形材料の流動層が、その分径方向外方に向けて伸び、外周縁の近傍の成形材料及び他の部分の成形材料は、ほぼ同じ密度の状態で固化する。
【解決手段】第1の鏡面盤と、第2の鏡面盤と、第1、第2の鏡面盤のうちの一方の鏡面盤に取り付けられたスタンパ61と、他方の鏡面盤に取り付けられ、内周縁の端面がキャビティ空間Cを形成する外周リングとを有する。外周リングの内周面S2におけるキャビティ空間Cを形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部22が形成される。キャビティ空間Cに充填された成形材料の流動層が、その分径方向外方に向けて伸び、外周縁の近傍の成形材料及び他の部分の成形材料は、ほぼ同じ密度の状態で固化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク成形用金型、外周リング、ディスク基板及びその成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、成形機、例えば、ディスク基板を成形するための射出成形機においては、加熱シリンダ内において溶融させられた樹脂をディスク成形用金型内のキャビティ空間に充填し、該キャビティ空間内において樹脂を冷却し、固化させることによってディスク基板を得るようにしている。
【0003】
そのために、前記射出成形機は、固定側の金型組立体及び可動側の金型組立体から成るディスク成形用金型、前記樹脂をキャビティ空間に充填するための射出装置、並びに前記可動側の金型組立体を固定側の金型組立体に対して接離させるための型締装置を備える。そして、該型締装置によって前記可動側の金型組立体を進退させると、ディスク成形用金型の型閉じ、型締め及び型開きが行われ、型締め時に、固定側の金型組立体の円盤プレートと可動側の金型組立体の円盤プレートとの間に前記キャビティ空間が形成される。
【0004】
また、前記射出装置は、加熱シリンダ、該加熱シリンダの前端に取り付けられた射出ノズル、及び前記加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設されたスクリューを備える。
【0005】
そして、計量工程時に、前記スクリューが回転させられ、樹脂が溶融させられてスクリューの前方に溜められ、それに伴って、スクリューが後退させられ、この間に、ディスク成形用金型の型閉じ及び型締めが行われる。続いて、射出工程時に、前記スクリューが前進させられ、スクリューの前方に溜められた樹脂が射出ノズルから射出され、ディスク成形用金型のスプルーを介してキャビティ空間に充填される。そして、冷却工程時に、前記キャビティ空間内の樹脂が冷却され、穴開け加工が行われ、ディスク基板が成形される。続いて、型開きが行われ、前記ディスク基板が取り出される。
【0006】
図2は従来のディスク成形用金型の要部を示す概念図である。
【0007】
図において、12は固定側の金型組立体、32は可動側の金型組立体であり、前記金型組立体12、32によってディスク成形用金型が構成される。また、16、36は円盤プレートである。
【0008】
固定側の金型組立体12においては、円盤プレート16に、ディスク基板B1の、データを書き込むための面、すなわち、情報面に、微細なパターンを形成するためのスタンパ61が取り付けられる。また、可動側の金型組立体32においては、円盤プレート36に外周リングとしてのキャビティリング37が取り付けられ、該キャビティリング37によってキャビティ空間Cの外周縁が形成される。
【0009】
ところで、キャビティ空間Cに充填された樹脂は、キャビティ空間Cの中央に形成された図示されないゲートに供給された後、キャビティ空間C内を径方向外方に向けて流れるようになっているが、このとき、ディスク成形用金型の外周縁が外気に触れているので、樹脂の温度は、キャビティ空間Cの外周縁の近傍において他の部分より低くなり、樹脂の溶融した部分である流動層(コア層)がキャビティ空間Cの外周縁まで十分に伸びず、その結果、外周縁の近傍の樹脂は、密度が高い状態で固化し、他の部分の樹脂は、密度が低い状態で固化してしまう。
【0010】
したがって、その後、型開きが行われ、ディスク基板B1の全体が冷却されると、収縮する量が、キャビティ空間Cの外周縁の近傍において、密度が高い分だけ少なく、他の部分において、密度が低い分だけ多くなり、収縮差が形成される。その結果、ディスク基板B1の周方向に反りが生じ、ディスク基板B1の平面度が低くなり、ディスク基板B1の品質が低下するだけでなく、ディスク基板B1によって製造された製品、例えば、光ディスクの品質が低下してしまう。
【0011】
また、ディスク基板B1の外周縁部がわずかに軸方向に盛り上がり、隆起部(スキージャンプ部)m1が形成されてしまう。そして、ディスク基板B1に反射膜、カバー層(光透過層)等を積層することによってブルーレイディスク等の光ディスクを製造すると、光ディスクに前記隆起部m1に対応する隆起部が形成され、前記光ディスクをAV機器等にセットしてデータ(情報)を読み出したり、書き込んだりしようとするときに、読出ヘッド、記録ヘッド等が隆起部に接触する恐れがある。
【0012】
そして、カバー層をスピンコート法によって積層すると、外周縁部に液溜りが発生し、光ディスクに隆起部が一層形成されてしまう。
【0013】
そこで、キャビティ空間Cの外周縁部においてディスク成形用金型に段差を形成し、スタンパ61を段差に乗せることによってキャビティ空間Cを薄くし、ディスク基板B1の外周縁部が盛り上がるのを防止するようにしたディスク成形用金型が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0014】
また、キャビティリング37を温調することによって、キャビティリング37と円盤プレート36との間の温度差を小さくし、キャビティ空間Cの外周縁の近傍の樹脂の温度が他の部分の温度より低くなるのを防止し、ディスク基板B1の外周縁部に隆起部m1が形成されるのを防止するようにしたディスク成形用金型も提供されている。
【特許文献1】特開2003−11180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前記従来のディスク成形用金型においては、スタンパ61の裏側に段差が当たるので、成形が繰り返されるのに伴って、スタンパ61の裏面が摩耗し、スタンパ61の寿命が短くなってしまう。その結果、ディスク成形用金型の耐久性が低くなってしまう。
【0016】
また、キャビティリング37を温調する場合、ディスク成形用金型のコストが高くなってしまう。
【0017】
本発明は、前記従来のディスク成形用金型の問題点を解決して、ディスク基板の外周縁部に隆起部が形成されるのを防止することができ、ディスク基板の品質を向上させることができ、かつ、ディスク成形用金型の耐久性を向上させることができ、ディスク成形用金型のコストを低くすることができるディスク成形用金型、外周リング、ディスク基板及びその成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そのために、本発明のディスク成形用金型においては、第1の鏡面盤と、該第1の鏡面盤に対して進退自在に配設された第2の鏡面盤と、第1、第2の鏡面盤のうちの一方の鏡面盤に取り付けられたスタンパと、前記一方の鏡面盤と対向させて、他方の鏡面盤に取り付けられ、内周縁の端面がキャビティ空間を形成する外周リングとを有する。
【0019】
そして、該外周リングの内周面における前記キャビティ空間を形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部が形成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ディスク成形用金型においては、第1の鏡面盤と、該第1の鏡面盤に対して進退自在に配設された第2の鏡面盤と、第1、第2の鏡面盤のうちの一方の鏡面盤に取り付けられたスタンパと、前記一方の鏡面盤と対向させて、他方の鏡面盤に取り付けられ、内周縁の端面がキャビティ空間を形成する外周リングとを有する。
【0021】
そして、該外周リングの内周面における前記キャビティ空間を形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部が形成される。
【0022】
この場合、外周リングの内周面におけるキャビティ空間を形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部が形成されるので、キャビティ空間に充填された成形材料の流動層が、その分径方向外方に向けて伸び、外周縁の近傍の成形材料及び他の部分の成形材料は、ほぼ同じ密度の状態で固化する。
【0023】
その結果、ディスク基板の外周縁部に隆起部が形成されるのを防止することができる。また、ディスク基板の周方向における反り量を小さくすることができるので、ディスク基板の平面度が高くなり、ディスク基板の品質を向上させることができる。
【0024】
しかも、ディスク基板の外周縁部に隆起部が形成されるのを防止するために、スタンパの裏側に段差を形成する必要がないので、成形が繰り返されるのに伴って、スタンパの裏面が摩耗することがなく、スタンパの寿命を長くすることができる。その結果、ディスク成形用金型の耐久性を向上させることができる。
【0025】
また、ディスク基板の外周縁部に隆起部が形成されるのを防止するために、外周リングを温調する必要がないので、ディスク成形用金型のコストを低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、成形品としてのディスク基板を成形するディスク成形用金型について説明する。
【0027】
図3は本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の部分断面図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の要部を示す拡大図である。
【0028】
図において、12は、第1の支持盤としての図示されない固定プラテンに、図示されないボルトによって取り付けられた第1の金型としての固定側の金型組立体、32は、第2の支持盤としての図示されない可動プラテンに、図示されないボルトによって取り付けられ、かつ、可動プラテンと共に進退自在に配設された第2の金型としての可動側の金型組立体であり、前記金型組立体12、32によって金型装置及びディスク成形用金型が構成される。
【0029】
前記金型組立体12は、第1の支持プレートとしてのベースプレート15、該ベースプレート15にボルトb1によって取り付けられた第1の鏡面盤としての円盤プレート16、及びロケートリング81に隣接させて配設されたスプルーブッシュ24を備える。該スプルーブッシュ24の前端(金型組立体32側の端部)に、キャビティ空間Cに臨ませてダイ28が形成され、該ダイ28と連通させてスプルー26が形成される。そして、成形材料としての図示されない樹脂(本実施の形態においては、ポリカーボネートが使用される。)は、図示されない射出装置の射出ノズルから射出され、スプルー26を通ってキャビティ空間Cに充填される。
【0030】
なお、前記射出装置は、シリンダ部材としての加熱シリンダ、該加熱シリンダの前端に取り付けられた射出ノズル、及び前記加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設された射出部材としてのスクリューを備える。
【0031】
そして、前記円盤プレート16には、ディスク基板の情報面に凹凸(グループ、ピット等)から成る微細パターンを形成するためのスタンパ61が取り付けられ、前記スプルーブッシュ24の前半部の径方向外方には、前記スタンパ61の内周縁を押さえ、保持するための筒状体としての、かつ、スタンパ押えとしてのインナスタンパホルダ14が配設される。また、前記円盤プレート16の外周縁の近傍に、前記スタンパ61の外周縁を吸引し、保持するための吸引用の流路としての真空流路21が形成され、該真空流路21は、図示されない制御弁等を介して負圧発生源としての図示されない真空ポンプに接続される。したがって、制御弁を開閉することによって真空流路21内に選択的に負圧を形成し、該負圧によってスタンパ61の外周縁が選択的に保持される。すなわち、前記真空流路21は、スタンパ押えとしてのアウタスタンパホルダとして機能する。
【0032】
また、前記円盤プレート16の外周縁に、環状の突当リング18が、図示されないボルトによって取り付けられる。そのために、前記円盤プレート16の外周縁に環状の切欠23が形成され、該切欠23に突当リング18が配設される。
【0033】
そして、前記円盤プレート16及び突当リング18より径方向外方において、第1の包囲リングとしての環状のガイドリング19がボルトb2によって前記ベースプレート15に取り付けられる。
【0034】
また、前記金型組立体32は、ベースプレート82、該ベースプレート82にボルトb3によって取り付けられた第2の支持プレートとしての中間プレート40、該中間プレート40にボルトb4によって取り付けられた第2の鏡面盤としての円盤プレート36、前記ベースプレート82内において可動プラテンに臨ませて配設され、ボルトb5によって中間プレート40に取り付けられたシリンダ83、及び該シリンダ83に沿って進退自在に配設され、前端(金型組立体12側の端部)が前記ダイ28に対応する形状を有する加工部材としてのカットパンチ48を備える。
【0035】
前記シリンダ83内には、前記カットパンチ48の後端において、一体に形成されたフランジ84が進退自在に配設され、該フランジ84の前方に付勢部材としてのカットパンチ戻し用ばね85が配設され、該カットパンチ戻し用ばね85によって前記フランジ84が後方に付勢される。
【0036】
そして、前記円盤プレート36の外周縁部には、円盤プレート36に対して移動自在に、かつ、突当リング18と対向させて、外周リングとしての環状のキャビティリング37が配設され、前記円盤プレート36及びキャビティリング37より径方向外方において、前記ガイドリング19と対向させて、第2の包囲リングとしての環状のガイドリング38がボルトb6によって中間プレート40に取り付けられる。前記キャビティリング37は、付勢部材としてのばね86によって金型組立体12側に向けて付勢され、円盤プレート36に対して移動自在に配設される。
【0037】
また、前記キャビティリング37は、前進限位置において、キャビリング押え87によってそれ以上の前進が規制され、円盤プレート36の前端面(金型組立体12側の端面)よりディスク基板の厚さ分だけ突出させて配設され、型締め時に、前記金型組立体12と対向させて形成された当接面としての前端面S1がスタンパ61及び突当リング18と当接させられるとともに、内周面S2の一部によってキャビティ空間Cの外周縁が構成される。なお、前記円盤プレート36の外周縁には環状の切欠39が形成され、該切欠39の外周面S3とキャビティリング37とが摺動させられる。
【0038】
そして、金型組立体32を金型組立体12に対して接離させるために図示されない型締装置が配設される。該型締装置の型締め用の駆動部としての型締シリンダを駆動し、前記金型組立体32を進退させることによって、ディスク成形用金型の型閉じ、型締め及び型開きを行うことができ、型締め時に、円盤プレート16、36間に前記キャビティ空間Cが形成される。
【0039】
また、型締め時に、穴開け用の駆動部としての図示されない駆動シリンダを駆動することによって前記フランジ84を前進させると、前記カットパンチ48が前進させられ、ダイ28内に進入する。その結果、前記キャビティ空間C内の樹脂に穴開け加工が行われる。
【0040】
前記円盤プレート16、36には、第1、第2の温調用流路88、89が形成され、該各第1、第2の温調用流路88、89に水、油、空気等の温調用の媒体が供給され、円盤プレート16、36が温調され、冷却される。
【0041】
そして、計量工程時に、前記スクリューが回転させられ、樹脂が溶融させられてスクリューの前方に溜められ、それに伴って、スクリューが後退させられ、この間に、ディスク成形用金型の型閉じ及び型締めが行われる。続いて、射出工程時に、前記スクリューが前進させられ、スクリューの前方に溜められた樹脂が射出ノズルから射出され、キャビティ空間Cに充填される。そして、冷却工程時に、前記キャビティ空間C内の樹脂が冷却され、穴開け加工が行われ、ディスク基板が成形される。続いて、型開きが行われ、前記ディスク基板が取り出される。
【0042】
ところで、キャビティ空間Cに充填された樹脂は、キャビティ空間Cの中央に形成された図示されないゲートに供給された後、キャビティ空間C内を径方向外方に向けて流れるようになっているが、このとき、ディスク成形用金型の外周縁が外気に触れていて、冷却されるので、流動層がキャビティ空間Cの外周縁まで十分に伸びない場合、外周縁の近傍の樹脂は、密度が高い状態で固化し、他の部分の樹脂は、密度が低い状態で固化してしまう。
【0043】
したがって、その後、型開きが行われ、ディスク基板の全体が冷却されたときに、キャビティ空間Cの外周縁の近傍と他の部分との間で樹脂の収縮差が生じるが、それに伴って、ディスク基板の外周縁部に隆起部が形成されたり、ディスク基板の周方向に反りが生じたりすると、ディスク基板の平面度が低くなり、ディスク基板によって製造された製品、例えば、光ディスクの品質が低下してしまう。
【0044】
また、ディスク基板に反射膜、カバー層(光透過層)等を積層することによってブルーレイディスク等の光ディスクを製造すると、光ディスクに前記隆起部に対応する隆起部が形成され、前記光ディスクをAV機器等にセットしてデータを読み出したり、書き込んだりしようとするときに、読出ヘッド、記録ヘッド等が隆起部に接触する恐れがある。
【0045】
そして、カバー層をスピンコート法によって積層すると、外周縁部に液溜りが発生し、光ディスクに隆起部が一層形成されてしまう。
【0046】
さらに、ディスク基板に反射膜、中間層、半反射膜、カバー層等を積層して、多層ブルーレイディスク等の光ディスクを製造する場合においては、中間層が中間層用のスタンパに押し付けられて、中間層の表面にも情報面が形成されるようになっているが、中間層が薄いので、中間層における流動層がキャビティ空間Cの外周縁まで十分に伸びず、キャビティ空間Cの外周縁の近傍と他の部分とにおいて、樹脂の収縮差が大きくなり、中間層の平面度も低くなり、光ディスクの品質が一層低下してしまう。
【0047】
そこで、本実施の形態においては、前記キャビティリング37の内周面S2におけるキャビティ空間Cを形成する所定の部位に、所定の深さの凹部22が形成される。
【0048】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるディスク基板の成形状態を示す概念図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の第1の要部分解図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の第2の要部分解図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるディスク基板の要部を示す断面図である。
【0049】
図において、12は固定側の金型組立体、32は可動側の金型組立体、16、36は円盤プレート、37はキャビティリングである。固定側の金型組立体12においては、円盤プレート16に、ディスク基板B1の情報面Saに微細なパターンを形成するためのスタンパ61が取り付けられる。また、可動側の金型組立体32においては、円盤プレート36にキャビティリング37が取り付けられ、該キャビティリング37によってキャビティ空間Cの外周縁が形成される。
【0050】
そして、前記キャビティリング37の内周面S2の所定の部位、本実施の形態においては、型締め時にキャビティ空間Cと対向する部位に、切削加工によって凹部22が形成され、前記内周面S2のスタンパ61側の部分に、キャビティ空間C内に向けて迫り出す突出部f1が形成される。
【0051】
前記凹部22を形成する面は、円盤プレート36側の第1の縁部としての点p1から円盤プレート16側の第2の縁部としての点p2にかけて形成された底面部Sk1、該底面部Sk1より円盤プレート36側に形成された第1の変位部Sk2、及び前記底面部Sk1より金型組立体12側に形成された第2の変位部Sk3を備える。なお、前記点p2はキャビティリング37の前端面S1と内周面S2との交点p10に形成される。
【0052】
前記底面部Sk1は、前記内周面S2と平行に、かつ、ディスク成形用金型及びディスク基板B1の軸方向に延在させて、円盤プレート36側の第1の縁部としての点p3から円盤プレート16側の第2の縁部としての点p4にかけて、一定の深さe1で平面状に形成される。また、第1の変位部Sk2は、前記点p1から点p3にかけて、第2の変位部Sk3は、前記点p2から点p4にかけて、深さが大きくなるように所定の形状で形成される。本実施の形態において、前記第1、第2の変位部Sk2、Sk3は、円弧の形状(アール形状)を有し、点p1、p2における接線は、ディスク基板B1の径方向に延び、点p3、p4における接線は、ディスク基板B1の軸方向に延びる。なお、前記第1、第2の変位部Sk2、Sk3の形状を、所定の関数で、例えば、直線、曲線等によって表すことができる。
【0053】
そして、前記凹部22における底面部Sk1の深さe1は、
50≦e1≦150〔μm〕
にされる。
【0054】
また、第1、第2の変位部Sk2、Sk3の軸方向寸法(変位部長さ)、すなわち、点p1から点p3までの軸方向における距離e2、及び点p2から点p4までの軸方向における距離e3は、
0≦e2≦300〔μm〕
50≦e3≦300〔μm〕
にされる。
【0055】
なお、円盤プレート36における円盤プレート16と対向する前端面S4と点p1とは、軸方向における同じ位置に置くのが望ましいが、図6に示されるように、点p1が前端面S4より軸方向における円盤プレート16側の位置に置かれるのは許容される。この場合、前端面S4から点p1までの軸方向における距離e4は、
0≦e4≦100〔μm〕
にされる。
【0056】
なお、前記ディスク基板B1の厚さδは、
δ≒1.1〔mm〕
にされる。
【0057】
このように、本実施の形態においては、前記キャビティリング37の内周面S2に凹部22が形成されるので、キャビティ空間Cの外周縁が凹部22に対応する分だけ径方向外方に突出することになる。しかも、前記距離e2、e3は十分に短くされるので、凹部22の容積が大きくされ、凹部22内に収容される樹脂の量を多くすることができる。
【0058】
したがって、キャビティ空間Cの外周縁の近傍の樹脂が急激に冷却されるのを防止することができるので、キャビティ空間Cに充填された樹脂の流動層が、その分径方向外方に向けて伸び、外周縁の近傍の樹脂及び他の部分の樹脂は、ほぼ同じ密度の状態で固化する。
【0059】
その結果、その後、型開きが行われ、ディスク基板B1の全体が冷却されるときに、キャビティ空間Cの外周縁の近傍と他の部分とで樹脂が収縮する量が等しくなり、収縮差が形成されなくなるので、ディスク基板B1の外周縁部が軸方向に盛り上がるのを防止することができる。
【0060】
また、ディスク基板B1の外周縁部の情報面Sa側の部分に、第1の変位部Sk2に対応する形状の面取り部q1が、前記情報面Saと反対側、すなわち、非情報面Sb側の部分に、第2の変位部Sk3に対応する形状の面取り部r1が形成される。
【0061】
したがって、ディスク基板B1の外周縁部に隆起部が形成されるのを防止することができるので、光ディスクの品質を高くすることができる。
【0062】
しかも、ディスク基板B1の外周縁部に隆起部が形成されるのを防止するために、スタンパ61の裏側に段差を形成する必要がないので、成形が繰り返されるのに伴って、スタンパ61の裏面が摩耗することがなく、スタンパ61の寿命を長くすることができる。その結果、ディスク成形用金型の耐久性を向上させることができる。
【0063】
また、ディスク基板B1の外周縁部に隆起部が形成されるのを防止するために、キャビティリング37を温調する必要がないので、ディスク成形用金型のコストを低くすることができる。
【0064】
そして、ディスク基板B1に反射膜、カバー層(光透過層)等を積層することによってブルーレイディスク等の光ディスクを製造した場合に、光ディスクをAV機器等にセットしてデータを読み出したり、書き込んだりしようとするときに、読出ヘッド、記録ヘッド等が隆起部に接触することがなくなる。そして、カバー層をスピンコート法によって積層したときに、外周縁部に液溜りが発生しても、光ディスクに隆起部が形成されることはない。
【0065】
また、本実施の形態においては、前記面取り部q1は、第2の変位部Sk3によって形成されるので、前記面取り部q1の高さ、すなわち、面取り部高さe5は、距離e3と等しく、
50≦e5≦300〔μm〕
にされ、前記面取り部q1の幅、すなわち、面取り部幅e6は、深さe1と等しく、
50≦e6≦150〔μm〕
にされ、前記面取り部q1が極めて小さく形成される。したがって、前記情報面Saの半径ri1をその分大きくすることができるので、光ディスクに記録することかできるデータ量を大きくすることができる。
【0066】
また、面取り部q1が形成されていると、カバー層をスピンコート法によって形成しようとする場合に、面取り部q1より所定の距離だけ径方向内側の部分の層厚が小さくなるが、面取り部q1が小さく形成されるので、その分カバー層の層厚を確保することができる。
【0067】
さらに、本実施の形態においては、キャビティ空間Cの外周縁の近傍と他の部分とで樹脂の収縮差が形成されなくなるとともに、面取り部q1、r1が形成される分、ディスク基板B1のスタンパ61及び円盤プレート36からの離型性を良くすることができるので、ディスク基板B1の周方向に反りが生じるのを防止することができる。そして、ディスク基板B1の平面度が高くなり、光ディスクの品質を高くすることができる。
【0068】
次に、凹部22の深さe1とディスク基板B1の周方向の反り量との関係について説明する。
【0069】
図8は本発明の第1の実施の形態における凹部の深さとディスク基板の周方向の反り量との関係図である。なお、図において、横軸に凹部22の深さe1を、縦軸に周方向の反り量を採ってある。
【0070】
この場合、深さe1を変化させて、ディスク基板B1の周方向の反り量を測定した。なお、測定機は、「Dr.schenk社」製の「PROmeteus」を使用した。
【0071】
図に示されるように、光ディスクの品質を低下させないためのディスク基板B1の周方向の反り量の上限、すなわち、基準値は0.3〔°〕であるが、深さe1を、
e1>150〔μm〕
にすると、ディスク基板B1を円盤プレート36から離型させるときに、ディスク基板B1の外周面とキャビティリング37の内周面S2との摩擦によって、キャビティリング37による引きずり抵抗が発生するので、周方向の反り量が多くなってしまう。これに対して、深さe1を、
e1≦150〔μm〕
にすると、反り量を基準値以下にすることができる。
【0072】
このように、本実施の形態においては、ディスク基板B1の周方向における反り量を小さくすることができるので、ディスク基板B1の平面度が高くなり、光ディスクの品質を高くすることができる。
【0073】
なお、深さe1を50〔μm〕未満にすると、第1、第2の変位部Sk2、Sk3によって十分な寸法の面取り部q1、r1を形成することができないので、ディスク基板B1の外周縁部に隆起部が形成されるのを確実に防止するために、深さe1を、
50〔μm〕≦e1
にするのが好ましい。
【0074】
次に、ブルーレイディスクの製造方法について説明する。この場合、ブルーレイディスクにおいて、ディスク基板B1の情報面Saが形成される側の面を表面とし、ディスク基板B1の情報面Saが形成されない側の面を裏面とする。
【0075】
図9は本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの製造方法を示す図である。
【0076】
図に示されるように、工程(a)において、前記構成のディスク成形用金型によってディスク基板B1を成形し、工程(b)において、アルミニウム等の金属を使用し、スパッタリング法によって、厚さが数十〔μm〕の金属薄膜から成る反射膜k1を形成し、工程(c)において、光透過性の樹脂から成るシートを被覆することによって、厚さが約0.1〔mm〕のカバー層k2を形成する。このようにして、ブルーレイディスクを成形することができる。
【0077】
この場合、ディスク基板B1の外周縁部の表面側の部分に面取り部q1が形成されるので、カバー層k2の対応する部分にも、面取り部q2が形成される。
【0078】
したがって、ブルーレイディスクに隆起部が形成されることがなくなるので、前記ブルーレイディスクをAV機器等にセットしてデータを読み出したり、書き込んだりしようとするときに、読出ヘッド、記録ヘッド等が隆起部に接触することがない。
【0079】
さらに、ディスク基板B1の面取り部q1を覆うように、カバー層k2の外周縁部にも面取り部q2が形成されているので、前記カバー層k2の剥離強度を向上させることができる。また、仮に、隆起部がある場合、一般的にカバー層k2が外周縁部で不均一になりやすいが、本実施の形態においては、面取り部q1が形成されるので、安定して良品を生産することができる。
【0080】
また、スタンパ61の裏側に段差を形成する必要がなくなるので、成形が繰り返されるのに伴って、スタンパ61の裏面が摩耗することがなく、スタンパ61の寿命を長くすることができる。その結果、ディスク基板B1のコストを低くすることができる。
【0081】
本実施の形態においては、前記シートを被覆することによってカバー層k2を形成するようになっているが、スピンコート法によって樹脂、例えば、紫外線硬化樹脂を塗布することによりカバー層k2を形成することができる。
【0082】
図10は本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの他の製造方法を示す図である。
【0083】
図に示されるように、工程(a)において、前記構成のディスク成形用金型によってディスク基板B1を成形し、工程(b)において、アルミニウム等の金属を使用し、スパッタリング法によって、厚さが数十〔μm〕の金属薄膜から成る反射膜k1を形成し、工程(c)において、スピンコート法によって樹脂、例えば、紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって、厚さが約0.1〔mm〕のカバー層k3を形成する。このようにして、ブルーレイディスクを成形することができる。
【0084】
この場合、ディスク基板B1の外周縁部の表面側の部分に面取り部q1が形成されるので、スピンコート法によって塗布された紫外線硬化層の樹脂が、ディスク基板B1の外周縁部に溜まるが、カバー層k3の対応する部分に、わずかな面取り部q3が形成されるので、ブルーレイディスクに隆起部が形成されることがなくなる。
【0085】
次に、光ディスクとして多層膜ブルーレイディスクを製造するためのブルーレイディスクの他の製造方法について説明する。
【0086】
図11は本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの更に他の製造方法を示す第1の図、図12は本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの更に他の製造方法を示す第2の図である。
【0087】
図に示されるように、工程(a)において、前記構成のディスク成形用金型によってディスク基板B1を成形し、工程(b)において、アルミニウム等の金属を使用し、スパッタリング法によって、厚さが数十〔μm〕の金属薄膜から成る反射膜k1を形成し、工程(c)において、スピンコート法によって厚さが数十〔μm〕の樹脂を塗布し、中間層k4を形成する。これに伴って、ディスク基板B1、反射膜k1及び中間層k4から成る積層体70が形成される。
【0088】
この場合、ディスク基板B1に第1の情報面Sa1が形成され、ディスク基板B1の外周縁部の表面側の部分に面取り部q1が形成されるので、スピンコート法によって塗布された樹脂が、ディスク基板B1の外周縁部に溜まるが、中間層k4の対応する部分に、わずかな面取り部q5が形成される。
【0089】
続いて、中間層k4の表面に第2の情報面Sa2が形成される。そして、工程(d)において、中間層k4の表面をスタンパ71と対向させて、スタンパ71に押し付け、中間層k4の第2の情報面Sa2に凹凸から成る微細パターンを形成する。
【0090】
この場合、仮に、ディスク基板B1の外周縁部にわずかな隆起部が存在すると、反射膜k1及び中間層k4の外周縁部も隆起し、外周縁部が隆起した中間層k4とスタンパ71とが接触することになり、精度良く微細パターンを形成することができなくなる。これに対して、本実施の形態においては、ディスク基板B1の外周縁部にわずかな隆起部が発生するのを防止することができるので、スタンパ71を精度良く配設することができ、安定して微細パターンを形成することができる。
【0091】
次に、工程(e)において、スタンパ71から積層体70を離型させる。このとき、前記中間層k4の外周縁部の表面側の部分に面取り部q5が形成されているので、積層体70をスタンパ71から容易に離型させることができる。
【0092】
さらに、ディスク基板B1の面取り部q1を覆うように、カバー層k4の外周縁部にも面取り部q5が形成されているので、前記カバー層k4の剥離強度が向上し、スタンパ71を離型させる際にカバー層k4が反射膜k1から剥がれるのを防止することができる。
【0093】
続いて、工程(f)において、アルミニウム等の金属を使用し、スパッタリング法によって、反射膜k1より薄い金属薄膜から成る半反射膜k5を形成する。このとき、前記中間層k4の外周縁部の表面側の部分に面取り部q5が形成されているので、半反射膜k5の対応する部分に、わずかな面取り部q6が形成される。
【0094】
そして、工程(g)において、スピンコート法によって樹脂、例えば、紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって、厚さが約0.1〔mm〕のカバー層k6を形成する。このようにして、ブルーレイディスクを成形することができる。
【0095】
この場合、前記半反射膜k5の外周縁部の表面側の部分に面取り部q6が形成されるので、スピンコート法によって塗布された紫外線硬化層の樹脂が、半反射膜k5の外周縁部に溜まるが、カバー層k6の対応する部分に、わずかな面取り部q7が形成されるので、ブルーレイディスクに隆起部が形成されることがなくなる。
【0096】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0097】
図13は本発明の第2の実施の形態におけるディスク成形用金型の要部分解図である。
【0098】
この場合、凹部22を形成する面は、第2の鏡面盤としての円盤プレート36側の第1の縁部としての点p11から第1の鏡面盤としての円盤プレート16(図1)側の第2の縁部としての点p12にかけて形成された底面部Sk1、該底面部Sk1より円盤プレート36側に形成された第1の変位部Sk2、及び前記底面部Sk1より第1の金型としての金型組立体12側に形成された第2の変位部Sk3を備える。なお、前記点p12は、外周リングとしてのキャビティリング37の前端面S1と内周面S2との交点p13から距離e11だけ円盤プレート36側に離れた箇所に形成される。
【0099】
前記底面部Sk1は、前記内周面S2と平行に、かつ、ディスク基板B1の軸方向に延在させて、円盤プレート36側の第1の縁部としての点p3から円盤プレート16側の第2の縁部としての点p4にかけて、一定の深さe1で平面状に形成される。また、第1の変位部Sk2は、前記点p11から点p3にかけて、第2の変位部Sk3は、前記点p12から点p4にかけて、深さが大きくなるように所定の形状で形成される。本実施の形態において、前記第1、第2の変位部Sk2、Sk3は、円弧の形状を有し、点p11、p12における接線は、ディスク基板B1の径方向に延び、点p3、p4における接線は、ディスク基板B1の軸方向に延びる。なお、前記第1、第2の変位部Sk2、Sk3の形状を、所定の関数で、例えば、直線、曲線等によって表すことができる。
【0100】
そして、前記凹部22における底面部Sk1の深さe1は、
50≦e1≦150〔μm〕
にされる。
【0101】
また、第1、第2の変位部Sk2、Sk3の軸方向寸法(変位部長さ)、すなわち、点p11から点p3までの軸方向における距離e2、及び交点p13から点p4までの軸方向における距離e13は、
0≦e2≦300〔μm〕
50≦e13≦300〔μm〕
にされる。
【0102】
そして、前記距離e11は、
0<e11≦100〔μm〕
にされる。
【0103】
前記各実施の形態において、スタンパ61は金型組立体12側に配設されるが、スタンパ61を金型組立体32側に配設することができる。その場合、インナスタンパホルダ、突当リング、スペーサ保持リング等は金型組立体32側に、キャビティリング等は金型組立体12側に配設される。
【0104】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるディスク基板の成形状態を示す概念図である。
【図2】従来のディスク成形用金型の要部を示す概念図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の部分断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の要部を示す拡大図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の第1の要部分解図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の第2の要部分解図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるディスク基板の要部を示す断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における凹部の深さとディスク基板の周方向の反り量との関係図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの製造方法を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの他の製造方法を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの更に他の製造方法を示す第1の図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの更に他の製造方法を示す第2の図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態におけるディスク成形用金型の要部分解図である。
【符号の説明】
【0106】
12、32 金型組立体
16、36 円盤プレート
22 凹部
37 キャビティリング
61 スタンパ
C キャビティ空間
S2 内周面
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク成形用金型、外周リング、ディスク基板及びその成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、成形機、例えば、ディスク基板を成形するための射出成形機においては、加熱シリンダ内において溶融させられた樹脂をディスク成形用金型内のキャビティ空間に充填し、該キャビティ空間内において樹脂を冷却し、固化させることによってディスク基板を得るようにしている。
【0003】
そのために、前記射出成形機は、固定側の金型組立体及び可動側の金型組立体から成るディスク成形用金型、前記樹脂をキャビティ空間に充填するための射出装置、並びに前記可動側の金型組立体を固定側の金型組立体に対して接離させるための型締装置を備える。そして、該型締装置によって前記可動側の金型組立体を進退させると、ディスク成形用金型の型閉じ、型締め及び型開きが行われ、型締め時に、固定側の金型組立体の円盤プレートと可動側の金型組立体の円盤プレートとの間に前記キャビティ空間が形成される。
【0004】
また、前記射出装置は、加熱シリンダ、該加熱シリンダの前端に取り付けられた射出ノズル、及び前記加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設されたスクリューを備える。
【0005】
そして、計量工程時に、前記スクリューが回転させられ、樹脂が溶融させられてスクリューの前方に溜められ、それに伴って、スクリューが後退させられ、この間に、ディスク成形用金型の型閉じ及び型締めが行われる。続いて、射出工程時に、前記スクリューが前進させられ、スクリューの前方に溜められた樹脂が射出ノズルから射出され、ディスク成形用金型のスプルーを介してキャビティ空間に充填される。そして、冷却工程時に、前記キャビティ空間内の樹脂が冷却され、穴開け加工が行われ、ディスク基板が成形される。続いて、型開きが行われ、前記ディスク基板が取り出される。
【0006】
図2は従来のディスク成形用金型の要部を示す概念図である。
【0007】
図において、12は固定側の金型組立体、32は可動側の金型組立体であり、前記金型組立体12、32によってディスク成形用金型が構成される。また、16、36は円盤プレートである。
【0008】
固定側の金型組立体12においては、円盤プレート16に、ディスク基板B1の、データを書き込むための面、すなわち、情報面に、微細なパターンを形成するためのスタンパ61が取り付けられる。また、可動側の金型組立体32においては、円盤プレート36に外周リングとしてのキャビティリング37が取り付けられ、該キャビティリング37によってキャビティ空間Cの外周縁が形成される。
【0009】
ところで、キャビティ空間Cに充填された樹脂は、キャビティ空間Cの中央に形成された図示されないゲートに供給された後、キャビティ空間C内を径方向外方に向けて流れるようになっているが、このとき、ディスク成形用金型の外周縁が外気に触れているので、樹脂の温度は、キャビティ空間Cの外周縁の近傍において他の部分より低くなり、樹脂の溶融した部分である流動層(コア層)がキャビティ空間Cの外周縁まで十分に伸びず、その結果、外周縁の近傍の樹脂は、密度が高い状態で固化し、他の部分の樹脂は、密度が低い状態で固化してしまう。
【0010】
したがって、その後、型開きが行われ、ディスク基板B1の全体が冷却されると、収縮する量が、キャビティ空間Cの外周縁の近傍において、密度が高い分だけ少なく、他の部分において、密度が低い分だけ多くなり、収縮差が形成される。その結果、ディスク基板B1の周方向に反りが生じ、ディスク基板B1の平面度が低くなり、ディスク基板B1の品質が低下するだけでなく、ディスク基板B1によって製造された製品、例えば、光ディスクの品質が低下してしまう。
【0011】
また、ディスク基板B1の外周縁部がわずかに軸方向に盛り上がり、隆起部(スキージャンプ部)m1が形成されてしまう。そして、ディスク基板B1に反射膜、カバー層(光透過層)等を積層することによってブルーレイディスク等の光ディスクを製造すると、光ディスクに前記隆起部m1に対応する隆起部が形成され、前記光ディスクをAV機器等にセットしてデータ(情報)を読み出したり、書き込んだりしようとするときに、読出ヘッド、記録ヘッド等が隆起部に接触する恐れがある。
【0012】
そして、カバー層をスピンコート法によって積層すると、外周縁部に液溜りが発生し、光ディスクに隆起部が一層形成されてしまう。
【0013】
そこで、キャビティ空間Cの外周縁部においてディスク成形用金型に段差を形成し、スタンパ61を段差に乗せることによってキャビティ空間Cを薄くし、ディスク基板B1の外周縁部が盛り上がるのを防止するようにしたディスク成形用金型が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0014】
また、キャビティリング37を温調することによって、キャビティリング37と円盤プレート36との間の温度差を小さくし、キャビティ空間Cの外周縁の近傍の樹脂の温度が他の部分の温度より低くなるのを防止し、ディスク基板B1の外周縁部に隆起部m1が形成されるのを防止するようにしたディスク成形用金型も提供されている。
【特許文献1】特開2003−11180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前記従来のディスク成形用金型においては、スタンパ61の裏側に段差が当たるので、成形が繰り返されるのに伴って、スタンパ61の裏面が摩耗し、スタンパ61の寿命が短くなってしまう。その結果、ディスク成形用金型の耐久性が低くなってしまう。
【0016】
また、キャビティリング37を温調する場合、ディスク成形用金型のコストが高くなってしまう。
【0017】
本発明は、前記従来のディスク成形用金型の問題点を解決して、ディスク基板の外周縁部に隆起部が形成されるのを防止することができ、ディスク基板の品質を向上させることができ、かつ、ディスク成形用金型の耐久性を向上させることができ、ディスク成形用金型のコストを低くすることができるディスク成形用金型、外周リング、ディスク基板及びその成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そのために、本発明のディスク成形用金型においては、第1の鏡面盤と、該第1の鏡面盤に対して進退自在に配設された第2の鏡面盤と、第1、第2の鏡面盤のうちの一方の鏡面盤に取り付けられたスタンパと、前記一方の鏡面盤と対向させて、他方の鏡面盤に取り付けられ、内周縁の端面がキャビティ空間を形成する外周リングとを有する。
【0019】
そして、該外周リングの内周面における前記キャビティ空間を形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部が形成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ディスク成形用金型においては、第1の鏡面盤と、該第1の鏡面盤に対して進退自在に配設された第2の鏡面盤と、第1、第2の鏡面盤のうちの一方の鏡面盤に取り付けられたスタンパと、前記一方の鏡面盤と対向させて、他方の鏡面盤に取り付けられ、内周縁の端面がキャビティ空間を形成する外周リングとを有する。
【0021】
そして、該外周リングの内周面における前記キャビティ空間を形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部が形成される。
【0022】
この場合、外周リングの内周面におけるキャビティ空間を形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部が形成されるので、キャビティ空間に充填された成形材料の流動層が、その分径方向外方に向けて伸び、外周縁の近傍の成形材料及び他の部分の成形材料は、ほぼ同じ密度の状態で固化する。
【0023】
その結果、ディスク基板の外周縁部に隆起部が形成されるのを防止することができる。また、ディスク基板の周方向における反り量を小さくすることができるので、ディスク基板の平面度が高くなり、ディスク基板の品質を向上させることができる。
【0024】
しかも、ディスク基板の外周縁部に隆起部が形成されるのを防止するために、スタンパの裏側に段差を形成する必要がないので、成形が繰り返されるのに伴って、スタンパの裏面が摩耗することがなく、スタンパの寿命を長くすることができる。その結果、ディスク成形用金型の耐久性を向上させることができる。
【0025】
また、ディスク基板の外周縁部に隆起部が形成されるのを防止するために、外周リングを温調する必要がないので、ディスク成形用金型のコストを低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、成形品としてのディスク基板を成形するディスク成形用金型について説明する。
【0027】
図3は本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の部分断面図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の要部を示す拡大図である。
【0028】
図において、12は、第1の支持盤としての図示されない固定プラテンに、図示されないボルトによって取り付けられた第1の金型としての固定側の金型組立体、32は、第2の支持盤としての図示されない可動プラテンに、図示されないボルトによって取り付けられ、かつ、可動プラテンと共に進退自在に配設された第2の金型としての可動側の金型組立体であり、前記金型組立体12、32によって金型装置及びディスク成形用金型が構成される。
【0029】
前記金型組立体12は、第1の支持プレートとしてのベースプレート15、該ベースプレート15にボルトb1によって取り付けられた第1の鏡面盤としての円盤プレート16、及びロケートリング81に隣接させて配設されたスプルーブッシュ24を備える。該スプルーブッシュ24の前端(金型組立体32側の端部)に、キャビティ空間Cに臨ませてダイ28が形成され、該ダイ28と連通させてスプルー26が形成される。そして、成形材料としての図示されない樹脂(本実施の形態においては、ポリカーボネートが使用される。)は、図示されない射出装置の射出ノズルから射出され、スプルー26を通ってキャビティ空間Cに充填される。
【0030】
なお、前記射出装置は、シリンダ部材としての加熱シリンダ、該加熱シリンダの前端に取り付けられた射出ノズル、及び前記加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設された射出部材としてのスクリューを備える。
【0031】
そして、前記円盤プレート16には、ディスク基板の情報面に凹凸(グループ、ピット等)から成る微細パターンを形成するためのスタンパ61が取り付けられ、前記スプルーブッシュ24の前半部の径方向外方には、前記スタンパ61の内周縁を押さえ、保持するための筒状体としての、かつ、スタンパ押えとしてのインナスタンパホルダ14が配設される。また、前記円盤プレート16の外周縁の近傍に、前記スタンパ61の外周縁を吸引し、保持するための吸引用の流路としての真空流路21が形成され、該真空流路21は、図示されない制御弁等を介して負圧発生源としての図示されない真空ポンプに接続される。したがって、制御弁を開閉することによって真空流路21内に選択的に負圧を形成し、該負圧によってスタンパ61の外周縁が選択的に保持される。すなわち、前記真空流路21は、スタンパ押えとしてのアウタスタンパホルダとして機能する。
【0032】
また、前記円盤プレート16の外周縁に、環状の突当リング18が、図示されないボルトによって取り付けられる。そのために、前記円盤プレート16の外周縁に環状の切欠23が形成され、該切欠23に突当リング18が配設される。
【0033】
そして、前記円盤プレート16及び突当リング18より径方向外方において、第1の包囲リングとしての環状のガイドリング19がボルトb2によって前記ベースプレート15に取り付けられる。
【0034】
また、前記金型組立体32は、ベースプレート82、該ベースプレート82にボルトb3によって取り付けられた第2の支持プレートとしての中間プレート40、該中間プレート40にボルトb4によって取り付けられた第2の鏡面盤としての円盤プレート36、前記ベースプレート82内において可動プラテンに臨ませて配設され、ボルトb5によって中間プレート40に取り付けられたシリンダ83、及び該シリンダ83に沿って進退自在に配設され、前端(金型組立体12側の端部)が前記ダイ28に対応する形状を有する加工部材としてのカットパンチ48を備える。
【0035】
前記シリンダ83内には、前記カットパンチ48の後端において、一体に形成されたフランジ84が進退自在に配設され、該フランジ84の前方に付勢部材としてのカットパンチ戻し用ばね85が配設され、該カットパンチ戻し用ばね85によって前記フランジ84が後方に付勢される。
【0036】
そして、前記円盤プレート36の外周縁部には、円盤プレート36に対して移動自在に、かつ、突当リング18と対向させて、外周リングとしての環状のキャビティリング37が配設され、前記円盤プレート36及びキャビティリング37より径方向外方において、前記ガイドリング19と対向させて、第2の包囲リングとしての環状のガイドリング38がボルトb6によって中間プレート40に取り付けられる。前記キャビティリング37は、付勢部材としてのばね86によって金型組立体12側に向けて付勢され、円盤プレート36に対して移動自在に配設される。
【0037】
また、前記キャビティリング37は、前進限位置において、キャビリング押え87によってそれ以上の前進が規制され、円盤プレート36の前端面(金型組立体12側の端面)よりディスク基板の厚さ分だけ突出させて配設され、型締め時に、前記金型組立体12と対向させて形成された当接面としての前端面S1がスタンパ61及び突当リング18と当接させられるとともに、内周面S2の一部によってキャビティ空間Cの外周縁が構成される。なお、前記円盤プレート36の外周縁には環状の切欠39が形成され、該切欠39の外周面S3とキャビティリング37とが摺動させられる。
【0038】
そして、金型組立体32を金型組立体12に対して接離させるために図示されない型締装置が配設される。該型締装置の型締め用の駆動部としての型締シリンダを駆動し、前記金型組立体32を進退させることによって、ディスク成形用金型の型閉じ、型締め及び型開きを行うことができ、型締め時に、円盤プレート16、36間に前記キャビティ空間Cが形成される。
【0039】
また、型締め時に、穴開け用の駆動部としての図示されない駆動シリンダを駆動することによって前記フランジ84を前進させると、前記カットパンチ48が前進させられ、ダイ28内に進入する。その結果、前記キャビティ空間C内の樹脂に穴開け加工が行われる。
【0040】
前記円盤プレート16、36には、第1、第2の温調用流路88、89が形成され、該各第1、第2の温調用流路88、89に水、油、空気等の温調用の媒体が供給され、円盤プレート16、36が温調され、冷却される。
【0041】
そして、計量工程時に、前記スクリューが回転させられ、樹脂が溶融させられてスクリューの前方に溜められ、それに伴って、スクリューが後退させられ、この間に、ディスク成形用金型の型閉じ及び型締めが行われる。続いて、射出工程時に、前記スクリューが前進させられ、スクリューの前方に溜められた樹脂が射出ノズルから射出され、キャビティ空間Cに充填される。そして、冷却工程時に、前記キャビティ空間C内の樹脂が冷却され、穴開け加工が行われ、ディスク基板が成形される。続いて、型開きが行われ、前記ディスク基板が取り出される。
【0042】
ところで、キャビティ空間Cに充填された樹脂は、キャビティ空間Cの中央に形成された図示されないゲートに供給された後、キャビティ空間C内を径方向外方に向けて流れるようになっているが、このとき、ディスク成形用金型の外周縁が外気に触れていて、冷却されるので、流動層がキャビティ空間Cの外周縁まで十分に伸びない場合、外周縁の近傍の樹脂は、密度が高い状態で固化し、他の部分の樹脂は、密度が低い状態で固化してしまう。
【0043】
したがって、その後、型開きが行われ、ディスク基板の全体が冷却されたときに、キャビティ空間Cの外周縁の近傍と他の部分との間で樹脂の収縮差が生じるが、それに伴って、ディスク基板の外周縁部に隆起部が形成されたり、ディスク基板の周方向に反りが生じたりすると、ディスク基板の平面度が低くなり、ディスク基板によって製造された製品、例えば、光ディスクの品質が低下してしまう。
【0044】
また、ディスク基板に反射膜、カバー層(光透過層)等を積層することによってブルーレイディスク等の光ディスクを製造すると、光ディスクに前記隆起部に対応する隆起部が形成され、前記光ディスクをAV機器等にセットしてデータを読み出したり、書き込んだりしようとするときに、読出ヘッド、記録ヘッド等が隆起部に接触する恐れがある。
【0045】
そして、カバー層をスピンコート法によって積層すると、外周縁部に液溜りが発生し、光ディスクに隆起部が一層形成されてしまう。
【0046】
さらに、ディスク基板に反射膜、中間層、半反射膜、カバー層等を積層して、多層ブルーレイディスク等の光ディスクを製造する場合においては、中間層が中間層用のスタンパに押し付けられて、中間層の表面にも情報面が形成されるようになっているが、中間層が薄いので、中間層における流動層がキャビティ空間Cの外周縁まで十分に伸びず、キャビティ空間Cの外周縁の近傍と他の部分とにおいて、樹脂の収縮差が大きくなり、中間層の平面度も低くなり、光ディスクの品質が一層低下してしまう。
【0047】
そこで、本実施の形態においては、前記キャビティリング37の内周面S2におけるキャビティ空間Cを形成する所定の部位に、所定の深さの凹部22が形成される。
【0048】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるディスク基板の成形状態を示す概念図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の第1の要部分解図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の第2の要部分解図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるディスク基板の要部を示す断面図である。
【0049】
図において、12は固定側の金型組立体、32は可動側の金型組立体、16、36は円盤プレート、37はキャビティリングである。固定側の金型組立体12においては、円盤プレート16に、ディスク基板B1の情報面Saに微細なパターンを形成するためのスタンパ61が取り付けられる。また、可動側の金型組立体32においては、円盤プレート36にキャビティリング37が取り付けられ、該キャビティリング37によってキャビティ空間Cの外周縁が形成される。
【0050】
そして、前記キャビティリング37の内周面S2の所定の部位、本実施の形態においては、型締め時にキャビティ空間Cと対向する部位に、切削加工によって凹部22が形成され、前記内周面S2のスタンパ61側の部分に、キャビティ空間C内に向けて迫り出す突出部f1が形成される。
【0051】
前記凹部22を形成する面は、円盤プレート36側の第1の縁部としての点p1から円盤プレート16側の第2の縁部としての点p2にかけて形成された底面部Sk1、該底面部Sk1より円盤プレート36側に形成された第1の変位部Sk2、及び前記底面部Sk1より金型組立体12側に形成された第2の変位部Sk3を備える。なお、前記点p2はキャビティリング37の前端面S1と内周面S2との交点p10に形成される。
【0052】
前記底面部Sk1は、前記内周面S2と平行に、かつ、ディスク成形用金型及びディスク基板B1の軸方向に延在させて、円盤プレート36側の第1の縁部としての点p3から円盤プレート16側の第2の縁部としての点p4にかけて、一定の深さe1で平面状に形成される。また、第1の変位部Sk2は、前記点p1から点p3にかけて、第2の変位部Sk3は、前記点p2から点p4にかけて、深さが大きくなるように所定の形状で形成される。本実施の形態において、前記第1、第2の変位部Sk2、Sk3は、円弧の形状(アール形状)を有し、点p1、p2における接線は、ディスク基板B1の径方向に延び、点p3、p4における接線は、ディスク基板B1の軸方向に延びる。なお、前記第1、第2の変位部Sk2、Sk3の形状を、所定の関数で、例えば、直線、曲線等によって表すことができる。
【0053】
そして、前記凹部22における底面部Sk1の深さe1は、
50≦e1≦150〔μm〕
にされる。
【0054】
また、第1、第2の変位部Sk2、Sk3の軸方向寸法(変位部長さ)、すなわち、点p1から点p3までの軸方向における距離e2、及び点p2から点p4までの軸方向における距離e3は、
0≦e2≦300〔μm〕
50≦e3≦300〔μm〕
にされる。
【0055】
なお、円盤プレート36における円盤プレート16と対向する前端面S4と点p1とは、軸方向における同じ位置に置くのが望ましいが、図6に示されるように、点p1が前端面S4より軸方向における円盤プレート16側の位置に置かれるのは許容される。この場合、前端面S4から点p1までの軸方向における距離e4は、
0≦e4≦100〔μm〕
にされる。
【0056】
なお、前記ディスク基板B1の厚さδは、
δ≒1.1〔mm〕
にされる。
【0057】
このように、本実施の形態においては、前記キャビティリング37の内周面S2に凹部22が形成されるので、キャビティ空間Cの外周縁が凹部22に対応する分だけ径方向外方に突出することになる。しかも、前記距離e2、e3は十分に短くされるので、凹部22の容積が大きくされ、凹部22内に収容される樹脂の量を多くすることができる。
【0058】
したがって、キャビティ空間Cの外周縁の近傍の樹脂が急激に冷却されるのを防止することができるので、キャビティ空間Cに充填された樹脂の流動層が、その分径方向外方に向けて伸び、外周縁の近傍の樹脂及び他の部分の樹脂は、ほぼ同じ密度の状態で固化する。
【0059】
その結果、その後、型開きが行われ、ディスク基板B1の全体が冷却されるときに、キャビティ空間Cの外周縁の近傍と他の部分とで樹脂が収縮する量が等しくなり、収縮差が形成されなくなるので、ディスク基板B1の外周縁部が軸方向に盛り上がるのを防止することができる。
【0060】
また、ディスク基板B1の外周縁部の情報面Sa側の部分に、第1の変位部Sk2に対応する形状の面取り部q1が、前記情報面Saと反対側、すなわち、非情報面Sb側の部分に、第2の変位部Sk3に対応する形状の面取り部r1が形成される。
【0061】
したがって、ディスク基板B1の外周縁部に隆起部が形成されるのを防止することができるので、光ディスクの品質を高くすることができる。
【0062】
しかも、ディスク基板B1の外周縁部に隆起部が形成されるのを防止するために、スタンパ61の裏側に段差を形成する必要がないので、成形が繰り返されるのに伴って、スタンパ61の裏面が摩耗することがなく、スタンパ61の寿命を長くすることができる。その結果、ディスク成形用金型の耐久性を向上させることができる。
【0063】
また、ディスク基板B1の外周縁部に隆起部が形成されるのを防止するために、キャビティリング37を温調する必要がないので、ディスク成形用金型のコストを低くすることができる。
【0064】
そして、ディスク基板B1に反射膜、カバー層(光透過層)等を積層することによってブルーレイディスク等の光ディスクを製造した場合に、光ディスクをAV機器等にセットしてデータを読み出したり、書き込んだりしようとするときに、読出ヘッド、記録ヘッド等が隆起部に接触することがなくなる。そして、カバー層をスピンコート法によって積層したときに、外周縁部に液溜りが発生しても、光ディスクに隆起部が形成されることはない。
【0065】
また、本実施の形態においては、前記面取り部q1は、第2の変位部Sk3によって形成されるので、前記面取り部q1の高さ、すなわち、面取り部高さe5は、距離e3と等しく、
50≦e5≦300〔μm〕
にされ、前記面取り部q1の幅、すなわち、面取り部幅e6は、深さe1と等しく、
50≦e6≦150〔μm〕
にされ、前記面取り部q1が極めて小さく形成される。したがって、前記情報面Saの半径ri1をその分大きくすることができるので、光ディスクに記録することかできるデータ量を大きくすることができる。
【0066】
また、面取り部q1が形成されていると、カバー層をスピンコート法によって形成しようとする場合に、面取り部q1より所定の距離だけ径方向内側の部分の層厚が小さくなるが、面取り部q1が小さく形成されるので、その分カバー層の層厚を確保することができる。
【0067】
さらに、本実施の形態においては、キャビティ空間Cの外周縁の近傍と他の部分とで樹脂の収縮差が形成されなくなるとともに、面取り部q1、r1が形成される分、ディスク基板B1のスタンパ61及び円盤プレート36からの離型性を良くすることができるので、ディスク基板B1の周方向に反りが生じるのを防止することができる。そして、ディスク基板B1の平面度が高くなり、光ディスクの品質を高くすることができる。
【0068】
次に、凹部22の深さe1とディスク基板B1の周方向の反り量との関係について説明する。
【0069】
図8は本発明の第1の実施の形態における凹部の深さとディスク基板の周方向の反り量との関係図である。なお、図において、横軸に凹部22の深さe1を、縦軸に周方向の反り量を採ってある。
【0070】
この場合、深さe1を変化させて、ディスク基板B1の周方向の反り量を測定した。なお、測定機は、「Dr.schenk社」製の「PROmeteus」を使用した。
【0071】
図に示されるように、光ディスクの品質を低下させないためのディスク基板B1の周方向の反り量の上限、すなわち、基準値は0.3〔°〕であるが、深さe1を、
e1>150〔μm〕
にすると、ディスク基板B1を円盤プレート36から離型させるときに、ディスク基板B1の外周面とキャビティリング37の内周面S2との摩擦によって、キャビティリング37による引きずり抵抗が発生するので、周方向の反り量が多くなってしまう。これに対して、深さe1を、
e1≦150〔μm〕
にすると、反り量を基準値以下にすることができる。
【0072】
このように、本実施の形態においては、ディスク基板B1の周方向における反り量を小さくすることができるので、ディスク基板B1の平面度が高くなり、光ディスクの品質を高くすることができる。
【0073】
なお、深さe1を50〔μm〕未満にすると、第1、第2の変位部Sk2、Sk3によって十分な寸法の面取り部q1、r1を形成することができないので、ディスク基板B1の外周縁部に隆起部が形成されるのを確実に防止するために、深さe1を、
50〔μm〕≦e1
にするのが好ましい。
【0074】
次に、ブルーレイディスクの製造方法について説明する。この場合、ブルーレイディスクにおいて、ディスク基板B1の情報面Saが形成される側の面を表面とし、ディスク基板B1の情報面Saが形成されない側の面を裏面とする。
【0075】
図9は本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの製造方法を示す図である。
【0076】
図に示されるように、工程(a)において、前記構成のディスク成形用金型によってディスク基板B1を成形し、工程(b)において、アルミニウム等の金属を使用し、スパッタリング法によって、厚さが数十〔μm〕の金属薄膜から成る反射膜k1を形成し、工程(c)において、光透過性の樹脂から成るシートを被覆することによって、厚さが約0.1〔mm〕のカバー層k2を形成する。このようにして、ブルーレイディスクを成形することができる。
【0077】
この場合、ディスク基板B1の外周縁部の表面側の部分に面取り部q1が形成されるので、カバー層k2の対応する部分にも、面取り部q2が形成される。
【0078】
したがって、ブルーレイディスクに隆起部が形成されることがなくなるので、前記ブルーレイディスクをAV機器等にセットしてデータを読み出したり、書き込んだりしようとするときに、読出ヘッド、記録ヘッド等が隆起部に接触することがない。
【0079】
さらに、ディスク基板B1の面取り部q1を覆うように、カバー層k2の外周縁部にも面取り部q2が形成されているので、前記カバー層k2の剥離強度を向上させることができる。また、仮に、隆起部がある場合、一般的にカバー層k2が外周縁部で不均一になりやすいが、本実施の形態においては、面取り部q1が形成されるので、安定して良品を生産することができる。
【0080】
また、スタンパ61の裏側に段差を形成する必要がなくなるので、成形が繰り返されるのに伴って、スタンパ61の裏面が摩耗することがなく、スタンパ61の寿命を長くすることができる。その結果、ディスク基板B1のコストを低くすることができる。
【0081】
本実施の形態においては、前記シートを被覆することによってカバー層k2を形成するようになっているが、スピンコート法によって樹脂、例えば、紫外線硬化樹脂を塗布することによりカバー層k2を形成することができる。
【0082】
図10は本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの他の製造方法を示す図である。
【0083】
図に示されるように、工程(a)において、前記構成のディスク成形用金型によってディスク基板B1を成形し、工程(b)において、アルミニウム等の金属を使用し、スパッタリング法によって、厚さが数十〔μm〕の金属薄膜から成る反射膜k1を形成し、工程(c)において、スピンコート法によって樹脂、例えば、紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって、厚さが約0.1〔mm〕のカバー層k3を形成する。このようにして、ブルーレイディスクを成形することができる。
【0084】
この場合、ディスク基板B1の外周縁部の表面側の部分に面取り部q1が形成されるので、スピンコート法によって塗布された紫外線硬化層の樹脂が、ディスク基板B1の外周縁部に溜まるが、カバー層k3の対応する部分に、わずかな面取り部q3が形成されるので、ブルーレイディスクに隆起部が形成されることがなくなる。
【0085】
次に、光ディスクとして多層膜ブルーレイディスクを製造するためのブルーレイディスクの他の製造方法について説明する。
【0086】
図11は本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの更に他の製造方法を示す第1の図、図12は本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの更に他の製造方法を示す第2の図である。
【0087】
図に示されるように、工程(a)において、前記構成のディスク成形用金型によってディスク基板B1を成形し、工程(b)において、アルミニウム等の金属を使用し、スパッタリング法によって、厚さが数十〔μm〕の金属薄膜から成る反射膜k1を形成し、工程(c)において、スピンコート法によって厚さが数十〔μm〕の樹脂を塗布し、中間層k4を形成する。これに伴って、ディスク基板B1、反射膜k1及び中間層k4から成る積層体70が形成される。
【0088】
この場合、ディスク基板B1に第1の情報面Sa1が形成され、ディスク基板B1の外周縁部の表面側の部分に面取り部q1が形成されるので、スピンコート法によって塗布された樹脂が、ディスク基板B1の外周縁部に溜まるが、中間層k4の対応する部分に、わずかな面取り部q5が形成される。
【0089】
続いて、中間層k4の表面に第2の情報面Sa2が形成される。そして、工程(d)において、中間層k4の表面をスタンパ71と対向させて、スタンパ71に押し付け、中間層k4の第2の情報面Sa2に凹凸から成る微細パターンを形成する。
【0090】
この場合、仮に、ディスク基板B1の外周縁部にわずかな隆起部が存在すると、反射膜k1及び中間層k4の外周縁部も隆起し、外周縁部が隆起した中間層k4とスタンパ71とが接触することになり、精度良く微細パターンを形成することができなくなる。これに対して、本実施の形態においては、ディスク基板B1の外周縁部にわずかな隆起部が発生するのを防止することができるので、スタンパ71を精度良く配設することができ、安定して微細パターンを形成することができる。
【0091】
次に、工程(e)において、スタンパ71から積層体70を離型させる。このとき、前記中間層k4の外周縁部の表面側の部分に面取り部q5が形成されているので、積層体70をスタンパ71から容易に離型させることができる。
【0092】
さらに、ディスク基板B1の面取り部q1を覆うように、カバー層k4の外周縁部にも面取り部q5が形成されているので、前記カバー層k4の剥離強度が向上し、スタンパ71を離型させる際にカバー層k4が反射膜k1から剥がれるのを防止することができる。
【0093】
続いて、工程(f)において、アルミニウム等の金属を使用し、スパッタリング法によって、反射膜k1より薄い金属薄膜から成る半反射膜k5を形成する。このとき、前記中間層k4の外周縁部の表面側の部分に面取り部q5が形成されているので、半反射膜k5の対応する部分に、わずかな面取り部q6が形成される。
【0094】
そして、工程(g)において、スピンコート法によって樹脂、例えば、紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって、厚さが約0.1〔mm〕のカバー層k6を形成する。このようにして、ブルーレイディスクを成形することができる。
【0095】
この場合、前記半反射膜k5の外周縁部の表面側の部分に面取り部q6が形成されるので、スピンコート法によって塗布された紫外線硬化層の樹脂が、半反射膜k5の外周縁部に溜まるが、カバー層k6の対応する部分に、わずかな面取り部q7が形成されるので、ブルーレイディスクに隆起部が形成されることがなくなる。
【0096】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0097】
図13は本発明の第2の実施の形態におけるディスク成形用金型の要部分解図である。
【0098】
この場合、凹部22を形成する面は、第2の鏡面盤としての円盤プレート36側の第1の縁部としての点p11から第1の鏡面盤としての円盤プレート16(図1)側の第2の縁部としての点p12にかけて形成された底面部Sk1、該底面部Sk1より円盤プレート36側に形成された第1の変位部Sk2、及び前記底面部Sk1より第1の金型としての金型組立体12側に形成された第2の変位部Sk3を備える。なお、前記点p12は、外周リングとしてのキャビティリング37の前端面S1と内周面S2との交点p13から距離e11だけ円盤プレート36側に離れた箇所に形成される。
【0099】
前記底面部Sk1は、前記内周面S2と平行に、かつ、ディスク基板B1の軸方向に延在させて、円盤プレート36側の第1の縁部としての点p3から円盤プレート16側の第2の縁部としての点p4にかけて、一定の深さe1で平面状に形成される。また、第1の変位部Sk2は、前記点p11から点p3にかけて、第2の変位部Sk3は、前記点p12から点p4にかけて、深さが大きくなるように所定の形状で形成される。本実施の形態において、前記第1、第2の変位部Sk2、Sk3は、円弧の形状を有し、点p11、p12における接線は、ディスク基板B1の径方向に延び、点p3、p4における接線は、ディスク基板B1の軸方向に延びる。なお、前記第1、第2の変位部Sk2、Sk3の形状を、所定の関数で、例えば、直線、曲線等によって表すことができる。
【0100】
そして、前記凹部22における底面部Sk1の深さe1は、
50≦e1≦150〔μm〕
にされる。
【0101】
また、第1、第2の変位部Sk2、Sk3の軸方向寸法(変位部長さ)、すなわち、点p11から点p3までの軸方向における距離e2、及び交点p13から点p4までの軸方向における距離e13は、
0≦e2≦300〔μm〕
50≦e13≦300〔μm〕
にされる。
【0102】
そして、前記距離e11は、
0<e11≦100〔μm〕
にされる。
【0103】
前記各実施の形態において、スタンパ61は金型組立体12側に配設されるが、スタンパ61を金型組立体32側に配設することができる。その場合、インナスタンパホルダ、突当リング、スペーサ保持リング等は金型組立体32側に、キャビティリング等は金型組立体12側に配設される。
【0104】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるディスク基板の成形状態を示す概念図である。
【図2】従来のディスク成形用金型の要部を示す概念図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の部分断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の要部を示す拡大図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の第1の要部分解図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるディスク成形用金型の第2の要部分解図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるディスク基板の要部を示す断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における凹部の深さとディスク基板の周方向の反り量との関係図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの製造方法を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの他の製造方法を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの更に他の製造方法を示す第1の図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態におけるブルーレイディスクの更に他の製造方法を示す第2の図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態におけるディスク成形用金型の要部分解図である。
【符号の説明】
【0106】
12、32 金型組立体
16、36 円盤プレート
22 凹部
37 キャビティリング
61 スタンパ
C キャビティ空間
S2 内周面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1の鏡面盤と、
(b)該第1の鏡面盤に対して進退自在に配設された第2の鏡面盤と、
(c)第1、第2の鏡面盤のうちの一方の鏡面盤に取り付けられたスタンパと、
(d)前記一方の鏡面盤と対向させて、他方の鏡面盤に取り付けられ、内周縁の端面がキャビティ空間を形成する外周リングとを有するとともに、
(e)該外周リングの内周面における前記キャビティ空間を形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部が形成されることを特徴とするディスク成形用金型。
【請求項2】
(a)前記外周リングは、前記一方の鏡面盤と対向させて形成された当接面を備え、
(b)前記凹部における一方の鏡面盤側の縁部は、前記外周リングの内周面と当接面との交点に形成される請求項1に記載のディスク成形用金型。
【請求項3】
(a)前記凹部は、底面部、該底面部より前記他方の鏡面盤側に形成された第1の変位部、及び前記底面部より前記一方の鏡面盤側に形成された第2の変位部を備え、
(b)該第2の変位部の軸方向寸法は、50〔μm〕以上、かつ、300〔μm〕以下にされる請求項1に記載のディスク成形用金型。
【請求項4】
(a)前記凹部は、底面部、該底面部より前記他方の鏡面盤側に形成された第1の変位部、及び前記底面部より前記一方の鏡面盤側に形成された第2の変位部を備え、
(b)前記第1の変位部の軸方向寸法は、0〔μm〕以上、かつ、300〔μm〕以下にされる請求項1に記載のディスク成形用金型。
【請求項5】
(a)前記外周リングは、前記一方の鏡面盤と対向させて形成された当接面を備え、
(b)前記凹部における一方の鏡面盤側の縁部は、前記外周リングの内周面と当接面との交点から、他方の鏡面盤側に、0〔μm〕より長く、かつ、100〔μm〕以下の距離だけ離れた箇所に形成される請求項1に記載のディスク成形用金型。
【請求項6】
前記他方の鏡面盤の前端面から、凹部における他方の鏡面盤側の縁部までの軸方向における距離は、0〔μm〕以上、かつ、100〔μm〕以下にされる請求項1に記載のディスク成形用金型。
【請求項7】
第1の鏡面盤、該第1の鏡面盤に対して進退自在に配設された第2の鏡面盤、及び第1、第2の鏡面盤のうちの一方の鏡面盤に取り付けられたスタンパを有するディスク成形用金型に使用され、前記一方の鏡面盤と対向させて、他方の鏡面盤に取り付けられ、内周縁の端面がキャビティ空間を形成する外周リングにおいて、
該外周リングの内周面における前記キャビティ空間を形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部が形成されることを特徴とする外周リング。
【請求項8】
第1の鏡面盤、該第1の鏡面盤に対して進退自在に配設された第2の鏡面盤、第1、第2の鏡面盤のうちの一方の鏡面盤に取り付けられたスタンパ、及び前記一方の鏡面盤と対向させて、他方の鏡面盤に取り付けられ、内周縁の端面がキャビティ空間を形成する外周リングを有するとともに、該外周リングの内周面における前記キャビティ空間を形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部が形成されたディスク成形用金型によって成形されたディスク基板において、
該ディスク基板の外周縁部に、前記凹部に対応させて面取り部が形成されることを特徴とするディスク基板。
【請求項9】
第1の鏡面盤、該第1の鏡面盤に対して進退自在に配設された第2の鏡面盤、第1、第2の鏡面盤のうちの一方の鏡面盤に取り付けられたスタンパ、及び前記一方の鏡面盤と対向させて、他方の鏡面盤に取り付けられ、内周縁の端面がキャビティ空間を形成する外周リングを有するとともに、該外周リングの内周面における前記キャビティ空間を形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部が形成されたディスク成形用金型によって成形されるディスク基板の成形方法において、
前記ディスク基板の外周縁部に、前記凹部に対応させて面取り部を形成することを特徴とするディスク基板の成形方法。
【請求項1】
(a)第1の鏡面盤と、
(b)該第1の鏡面盤に対して進退自在に配設された第2の鏡面盤と、
(c)第1、第2の鏡面盤のうちの一方の鏡面盤に取り付けられたスタンパと、
(d)前記一方の鏡面盤と対向させて、他方の鏡面盤に取り付けられ、内周縁の端面がキャビティ空間を形成する外周リングとを有するとともに、
(e)該外周リングの内周面における前記キャビティ空間を形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部が形成されることを特徴とするディスク成形用金型。
【請求項2】
(a)前記外周リングは、前記一方の鏡面盤と対向させて形成された当接面を備え、
(b)前記凹部における一方の鏡面盤側の縁部は、前記外周リングの内周面と当接面との交点に形成される請求項1に記載のディスク成形用金型。
【請求項3】
(a)前記凹部は、底面部、該底面部より前記他方の鏡面盤側に形成された第1の変位部、及び前記底面部より前記一方の鏡面盤側に形成された第2の変位部を備え、
(b)該第2の変位部の軸方向寸法は、50〔μm〕以上、かつ、300〔μm〕以下にされる請求項1に記載のディスク成形用金型。
【請求項4】
(a)前記凹部は、底面部、該底面部より前記他方の鏡面盤側に形成された第1の変位部、及び前記底面部より前記一方の鏡面盤側に形成された第2の変位部を備え、
(b)前記第1の変位部の軸方向寸法は、0〔μm〕以上、かつ、300〔μm〕以下にされる請求項1に記載のディスク成形用金型。
【請求項5】
(a)前記外周リングは、前記一方の鏡面盤と対向させて形成された当接面を備え、
(b)前記凹部における一方の鏡面盤側の縁部は、前記外周リングの内周面と当接面との交点から、他方の鏡面盤側に、0〔μm〕より長く、かつ、100〔μm〕以下の距離だけ離れた箇所に形成される請求項1に記載のディスク成形用金型。
【請求項6】
前記他方の鏡面盤の前端面から、凹部における他方の鏡面盤側の縁部までの軸方向における距離は、0〔μm〕以上、かつ、100〔μm〕以下にされる請求項1に記載のディスク成形用金型。
【請求項7】
第1の鏡面盤、該第1の鏡面盤に対して進退自在に配設された第2の鏡面盤、及び第1、第2の鏡面盤のうちの一方の鏡面盤に取り付けられたスタンパを有するディスク成形用金型に使用され、前記一方の鏡面盤と対向させて、他方の鏡面盤に取り付けられ、内周縁の端面がキャビティ空間を形成する外周リングにおいて、
該外周リングの内周面における前記キャビティ空間を形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部が形成されることを特徴とする外周リング。
【請求項8】
第1の鏡面盤、該第1の鏡面盤に対して進退自在に配設された第2の鏡面盤、第1、第2の鏡面盤のうちの一方の鏡面盤に取り付けられたスタンパ、及び前記一方の鏡面盤と対向させて、他方の鏡面盤に取り付けられ、内周縁の端面がキャビティ空間を形成する外周リングを有するとともに、該外周リングの内周面における前記キャビティ空間を形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部が形成されたディスク成形用金型によって成形されたディスク基板において、
該ディスク基板の外周縁部に、前記凹部に対応させて面取り部が形成されることを特徴とするディスク基板。
【請求項9】
第1の鏡面盤、該第1の鏡面盤に対して進退自在に配設された第2の鏡面盤、第1、第2の鏡面盤のうちの一方の鏡面盤に取り付けられたスタンパ、及び前記一方の鏡面盤と対向させて、他方の鏡面盤に取り付けられ、内周縁の端面がキャビティ空間を形成する外周リングを有するとともに、該外周リングの内周面における前記キャビティ空間を形成する部位に、50〔μm〕以上、かつ、150〔μm〕以下の深さの凹部が形成されたディスク成形用金型によって成形されるディスク基板の成形方法において、
前記ディスク基板の外周縁部に、前記凹部に対応させて面取り部を形成することを特徴とするディスク基板の成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−52230(P2010−52230A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218487(P2008−218487)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(501495237)三菱化学メディア株式会社 (105)
【出願人】(000147350)株式会社精工技研 (154)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(501495237)三菱化学メディア株式会社 (105)
【出願人】(000147350)株式会社精工技研 (154)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】
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