ディスク搬送装置
【課題】ユーザによるディスクの強制的な挿入等により過負荷が発生しても、これを遮断してギア列に過負荷が付与されることなく破損を防止できるディスク搬送装置を提供できる。
【解決手段】挿入されたディスクが直接当接されて両サイドで保持するローラの駆動力でディスクを回転させながら搬送する駆動ローラ6a,6bと、当該駆動ローラと同軸に設けられたローラギア6e,6fと駆動源との間に介在されその駆動力を伝達するギア列8a〜8cと、駆動ローラ6a,6bと共にローラギア6e,6fを含むギア列8a〜8cを回転自在に保持し成型材で構成されたローラアーム7aを備え、ローラアーム7aに形成された軸受部31,32及びローラギア6e,6fの軸34,35を、当該ギアの軸心と直交する法線方向に弾性変形可能に構成し、その弾性変形により、ディスク挿入による過負荷を時にローラギアとギア列との噛み合いを離脱できる構成とした。
【解決手段】挿入されたディスクが直接当接されて両サイドで保持するローラの駆動力でディスクを回転させながら搬送する駆動ローラ6a,6bと、当該駆動ローラと同軸に設けられたローラギア6e,6fと駆動源との間に介在されその駆動力を伝達するギア列8a〜8cと、駆動ローラ6a,6bと共にローラギア6e,6fを含むギア列8a〜8cを回転自在に保持し成型材で構成されたローラアーム7aを備え、ローラアーム7aに形成された軸受部31,32及びローラギア6e,6fの軸34,35を、当該ギアの軸心と直交する法線方向に弾性変形可能に構成し、その弾性変形により、ディスク挿入による過負荷を時にローラギアとギア列との噛み合いを離脱できる構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクを直接挿入してローラで保持しながら搬入するようにしたスロットイン方式のローディング機構を備えるディスク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このようなスロットイン方式のローディング機構を備えるディスク搬送装置は、トレイを用いずにディスク装置内にディスクをローディングする機構として、ディスク装置の筐体内に挿入されたディスクを直接ゴムローラで弾性的に挟持し、その状態でゴムローラを回転させることによりディスクを搬入してその全体を筐体内に引き込み、ディスク記録再生位置に装着する機構である。このスロットイン方式のローディング機構においては、ディスクの外周縁部をガイドするローラによって、当該ディスクをディスクの径方向に挟み込み、ローラを回転させることにより、ディスク自体を回転させながら搬送する構成で、ローラはディスクの周縁部のみに接触する構成である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなスロットインローディング機構を備えるディスク搬送装置においては、筐体に設けられた挿入口にディスクを直接挿入し、このディスク挿入を検知し、その検知によってゴムローラを回転させ、さらにディスクを挿入してその回転するゴムローラにディスクを当接させて搬入することで、ディスクのローディングを開始する。すなわち、挿入に際しては、ユーザがディスク単体を直接挿入し、当該ディスクを挟持するゴムローラに直接当接させることにより、これを検出し、引き込みを行うこととなる。この方式の場合は、ユーザにより直接挿入するため、その挿入の加減が明確でない場合や、急激に挿入した場合等、必要以上の負荷をかけた状態で挿入したり、挿入を検出できない場合や検出による駆動ができない場合等には、挿入したディスクが当接するゴムローラに過負荷が加えられてしまうという問題があるため、何らかの過負荷回避の手段が必要である。
【0004】
ところで、従来、通常のディスクローディング機構において、過負荷回避の例としては種々の対策が行われていた。例えば、バックラッシュ等によりトレイとクランパホルダとの相対位置がずれた場合でも、トレイを高精度で移動させることができるように、相互に噛み合う歯車機構の大歯車と小歯車とを弾性体により所定方向に付勢して相対的に回転可能に構成したディスクローディング機構が提案されている(特許文献2参照)。また、ロック状態を解除することが可能な駆動装置及びローディング装置が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−64518号公報
【特許文献2】特開昭64−30059号公報
【特許文献3】特開平8−338496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の過負荷回避のものは、歯車等の駆動伝達系において、ギアのバックラッシュやロック状態における対策を行ったものであり、ユーザによるディスク挿入に関連して発生する過負荷への対策を行ったものではない。特に、ディスクの外周縁部をガイドするローラによって、当該ディスクをディスクの径方向に挟み込み、ローラを回転させることにより、ディスク自体を回転させながら搬送するスロットイン方式のものでは、ディスクの搬入を、ユーザがディスクを挿入することによりディスクをゴムローラに直接当接することにより行うので、場合よっては、強い押圧力で強制的に挿入する場合も発生して、ゴムローラにローラギアを介して連結されているギアを破損する等の問題も発生するものであった。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題を解決し、ユーザによる強制的な挿入等により過負荷が発生しても、これを遮断してギア列に過負荷が付与されることなく破損を防止できるディスク搬送装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のディスク搬送装置は、ディスクを装置本体正面の挿入口に挿入して搬入するようにしたスロットイン方式のデスク搬送装置であって、挿入されたディスクが直接当接されて両サイドで保持し、一方を駆動ローラとしてその駆動力でディスクを回転させながら搬送するガイドローラと、前記ガイドローラの駆動ローラに駆動力を伝達する駆動源と、前記駆動ローラと同軸に設けられたローラギアと駆動源との間に介在されその駆動力を伝達するギア列と、前記駆動ローラと共に前記ローラギアを含むギア列の各々を回転自在に保持し成型材で構成されたローラアームとを備え、前記ローラアームは、前記ギア列に噛み合うと共に挿入されたディスクが最初に当接される前記駆動ローラと同軸の前記ローラギアの軸及び軸受部を、当該ギアの軸心と直交する法線方向に弾性変形可能に構成し、前記ディスクを挿入するに際し、前記ガイドローラに直接加えられる過負荷を、前記ローラギアの軸及び軸受部の弾性変形により当該ギアと噛み合うギアとの噛み合いを離脱して、ディスクの挿入によって駆動ローラに作用する回転力がギア列に伝達されないように構成したものである。
【0009】
これにより、ユーザによるディスクの強制的な挿入等により過負荷が発生しても、ディスクを介して直接負荷が加えられる駆動ローラと同軸のローラギアの軸及び軸受部の弾性変形によって、当該ギアと噛み合うギアとの噛み合いを離脱し、ディスクの挿入によって駆動ローラに作用する回転力がギア列に伝達されないので、ギア列に過負荷が付与されないディスク搬送装置が得られる。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成によれば、ユーザによるディスクの強制的な挿入等により過負荷が発生しても、これを遮断してギア列に過負荷が付与されることなく破損を防止できるディスク搬送装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1にかかるディスク搬送装置のディスク装置本体とこれに挿入されるディスクを示す外観斜視図
【図2】同ディスク装置全体を構成する部品を一部ユニット化して示す分解斜視図
【図3】同筐体及び一部の構成部分を除いた各構成部品をメカシャーシに取り付けた状態の上面図
【図4】同両筐体を取り除いた状態におけるディスクを挿入直後の上面図
【図5】同状態におけるディスク搬入の搬送途中段階の上面図
【図6】同状態におけるディスクを再生可能な位置まで搬入した上面図
【図7】同ローラアームとリンクアームの上面図
【図8】(a)同ローラベースとリンクアームを含むローラアームが閉じた状態の下面図、(b)同ローラアームが開いた状態の下面図
【図9】同第1の筐体と第2の筐体及び防塵カバーを取り除いた状態を示す正面図
【図10】同ゴムローラとギアを取り付けた状態のローラアームの上面図
【図11】(a)同ローラアームの斜視図、(b)同ローラギアを一体に設けたゴムローラを取り付けた状態のローラアームの斜視図
【図12】同ゴムローラと一体のローラギアとギアの噛み合い状態を示す断面図
【図13】同ディスクを挿入した直後の作用の説明図
【図14】同ディスク挿入時に過負荷が作用した場合の説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、本発明のディスク搬送装置の実施形態1について、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明のディスク搬送装置を有するディスク装置本体とこれに挿入されるディスクを示す外観斜視図、図2はディスク装置全体を構成する部品を一部ユニット化して示す分解斜視図である。ここで、図1では水平配置された例を示し、図2では水平配置の分解斜視図としたが、当該装置自体は縦・横配置のどちらにも対応できるものであり、以下は、便宜上、「左右」、「上下」や「昇降」等の表現で説明する。
【0013】
図1において、1は装置本体を構成する上カバーとしての第1の筐体、2は同下カバーとしての第2の筐体であり、両筐体1,2で構成される装置本体の正面にディスクの挿入口となる開口部1aを設け、その開口部1aは防塵カバー3により塞がれる構成となっている。この図1に示すように、開口部1aにおいて、防塵カバー3を弾性変形させながらディスク100を直接挿入することにより、このディスク100は、内部に構成されたディスク搬送装置の作用で、記録再生可能な所定の位置まで搬送される。ここで、図示するディスク100は大径ディスクである12cmディスク、ディスク200は小径ディスクである8cmディスクを示している。
【0014】
図2に示すように、ディスク装置全体としては、前述した筐体1,2の内部に有するディスク回転駆動・再生装置及びディスク搬送装置と、これらに関連する機構部品が構成されている。防塵カバー3は、第1の筐体1の開口部1aを塞ぐようにその内側に配置され、この防塵カバー3は、フェルト等の弾性材シート3aを備え、そのほぼ中央部にディスク100を挿入し通過させるためのスリット3bが形成されている。防塵カバー3の装置内側に対向する位置には、挿入されるディスク100(200)の上側をガイドする上ガイド4と下側をガイドするローラベース5のガイド部5aが設けられている。ローラベース5は、挿入されたディスク100(200)を装置内部に搬送するガイド及び駆動力伝達手段となるゴムローラ6a〜6dを有する一対のローラアーム7a,7bを、回動自在に保持している。右側の一対のゴムローラ6a,6bはローラアーム7aに回動自在に設けられており、左側の一対のゴムローラ6c,6dはローラアーム7bに固定されている。そして、回動自在なゴムローラ6a,6bに一体に設けたローラギア6e,6fに対し、ローラアーム7aに設けたギア8a〜8cよりなるギア列8を介して、駆動源のモータ9の駆動力が伝達される。その駆動力は、モータ9の駆動力をウォームギア9a及びギア10a〜10eよりなるギア列10を介し、ギア10aからギア8cに伝達され、かつその伝達はクラッチプレート11の回動によりギア10bと10cの噛み合いが切り離されることにより切り換えられるようになっている。その際、モータ9の駆動力は、ギア10dからギア10fのみへの伝達となり、ギア10fと一体に形成されたピニオン10gを介し、後述するスライドカム16を駆動するようになっている。このような搬送装置は、メカシャーシ12に、必要に応じて回動自在又は摺動可能に保持構成されている。
【0015】
また、図2に示すように、ディスク装置は、スピンドルモータを一体に構成してディスク100(200)を載置するターンテーブル13と、光ピックアップ14を有るトラバース15を備えている。そして、このトラバース15は、昇降可能な構成とすると共に、フローティング支持されており、挿入されたディスクを装着してその再生を行うことができるようになっている。
【0016】
16はメカシャーシ12の右側に摺動自在に設けられたスライドカムであり、メカシャーシ12の下部に回動自在に支持されたリンクアーム17を介して、メカシャーシ12の左側に摺動自在に設けられたスライドカム18と連結されており、スライドカム16とスライドカム18が同期して相互に逆方向に摺動するように構成されている。19はトラバース15の一方を支持する中間シャーシであり、メカシャーシ12にピン19a,19bで回動自在に設けると共に、スライドカム16,18に形成した昇降カム16a,18bと係合するピン19c,19dが設けられている。この構成により、スライドカム16,18をスライドすることによって、中間シャーシ19を、ピン19a,19bを中心としてピン19c,19d側を上下方向に回動して昇降する構成となっている。
【0017】
トラバース15は、中間シャーシ19の前方にフローティングゴム20a,20bを介して、左右それぞれ1ヶ所固定されており、その後部はフローティングゴム20c,20dを介してメカシャーシ12に固定されている。この構成により、スライドカム16,18のスライドによる中間シャーシ19の上下方向の回動動作に伴い、トラバース15はフローティングゴム20d,20c側を中心とする回動動作を行い、それに伴ってターンテーブル13部分が昇降動作を行えるようになっている。
【0018】
21は装着されたディスクを保持するクランパであり、ターンテーブル13と対向する上部において、ディスク100(200)をターンテーブル13にクランプするように設けられている。ターンテーブル13にはマグネットが設けられており、クランパ21に設けられた鉄製のヨーク21aにより、クランパ21がターンテーブル13に磁力により引っ張られてディスク100(200)を挟み込むように構成されている。このクランパ21は、筐体1内にトラバース15の上部を覆うように配置された上側シャーシとなるアッパーベース22に形成された開口部22aより、ターンテーブル13に対向して装着/離脱されるように設けられており、アッパーベース22上に設けられた左右のクランパリフタ23a,23bの移動によりその装着/離脱が行われるようになっている。
【0019】
アッパーベース22には、その下面側に、ディスクのセンタリングを行うセンタリング部材24と、ディスクの搬送を検出しトラバース15の昇降動作へ切り換えるためのトリガレバー25とが、摺動・回動自在に設けられている。また、挿入されたディスクをターンテーブル13とクランパ21の間に高さを安定して保持するためのガイドレバー26が、回動自在に保持されている。ここで、アッパーベース22はメカシャーシ12に固定され、メカシャーシ12は両筐体1,2に挟み込まれて固定される構成となっている。
【0020】
また、図2において、27aはディスク挿入用開口部1aにディスクを挿入した際にこれを検出する検出スイッチ、27bはディスクの排出時にローディング終了を検出する検出スイッチ、27cはディスクを再生可能な位置に搬送した際に検出する検出スイッチであり、ローラアーム7bと対向する位置の基板27上に設けられている(図3参照)。28aと28bはローラベース5に回動自在に設けられたリンクアームであり、この両者によりローラアーム7a、7bは同期して回動するようにローラベース5に設けられている。29はローラアーム7bに設けられたディスク検出レバーであり、検出スイッチ27aを作動させるものである。
【0021】
次に、図3について説明する。この図3は、図2に示す全体構成の中で、筐体1,2、ローラアーム7a,7bを含むローラベース5部分及びアッパーベース22とその構成部分を除いた各構成部品を、メカシャーシ12に取り付けた状態の上面図を示す。
【0022】
図3に示すように、ターンテーブル13と光ピックアップ14は、トラバース15上でディスク装置のほぼ中央に配置され、トラバース15のターンテーブル13側を載置するように中間シャーシ19が配置されている。この中間シャーシ19の右側にスライドカム16、左側にスライドカム18を、メカシャーシ12の両側において、ディスクの搬送方向と同じ前後方向(矢印イ及びロ方向)にスライド自在に配置している。初期状態では、メカシャーシ12との間に張設されたバネ16jにより、スライドカム16は矢印イ方向、スライドカム18はリンクアーム17を介して矢印ロ方向に付勢されている。中間シャーシ19は、そのスライドカム16,18に形成した昇降カム16a,18aに左右のピン19c,19dを係合し、左右のピン19a,19bをメカシャーシ12に形成した軸受部12a,12bに回動自在に保持している。この構成により、スライドカム16,18をスライドすることによって、中間シャーシ19を、ピン19a,19bを中心としてピン19c,19d側を上下方向に回動して昇降する構成となっている。
【0023】
ここで、スライドカム16,18のスライドは、後述するディスクの挿入によりその搬送力でトリガレバー25が回動し、スライドカム16が矢印ロ方向に若干スライドさせられることによってラック30がピニオン10gに噛み合うことにより、モータ9の駆動力をウォームギア9a及びギア10e−10d−10fを介し、そのギア10fと同軸のピニオン10gを回転し、行うことができるようになっている。このピニオン10gの回転により、噛み合うラック30を介して、スライドカム16が矢印ロ方向に更にスライドし、このスライドに伴って、リンクアーム17を介してスライドカム18を矢印イ方向に移動させる構成となっている。
【0024】
すなわち、モータ9の駆動によって、ディスクを搬送し、ディスクが再生可能な位置まで搬送されると、トリガレバー25の作用とモータ9の駆動力の伝達切換によって、スライドカム16,18をスライドさせ、中間シャーシ19及びトラバース15を昇降させ、ターンテーブル13上にディスクを装着し、クランパ21がターンテーブル13に磁力により引っ張られてディスクを挟み込んで保持することにより、再生可能状態とすることができる。
【0025】
次に、ディスクを挿入して再生可能な位置まで搬送するスロットイン方式の搬送装置部分の構成について説明する。図4〜図6は、ディスクの搬送状態を示すため、両筐体1,2と、上ガイド4を含むアッパーベース22を除いた状態の図である。
【0026】
図4は、大径ディスク100をディスク挿入口に挿入した直後の状態であり、この時ディスク100は右側の一対のゴムローラ6a,6b及び左側の一対のゴムローラ6c,6dに当接しており、ローラアーム7bに設けられたディスク検出レバー29がディスク100によって回動することにより、検出スイッチ27aを作動させることによってディスク100の挿入が検出された状態である。この状態で、検出スイッチ27aの作動によりモータ9が動作を開始し、ギア列10とギア列8を介して、ゴムローラ6a,6bを駆動することになるが、この駆動ローラとしてのゴムローラ6a,6bが矢印ハ方向に回動することにより、そのゴムローラ6bの回転駆動力及び摩擦力と、もう一方の回動しないゴムローラ6c,6dのうち一つのゴムローラ6dの摩擦力とによって、ゴムローラ6dを回動中心として、ディスク100は矢印ニ方向に回動することとなる。
【0027】
ゴムローラ6bの回転駆動力により、ゴムローラ6dを中心に回動することによりディスク100は矢印イ方向に搬送され、この移動によりゴムローラ6bと6d間はディスク100によって押し広げられるので、一対のローラアーム7a,7bは矢印ホ方向及び矢印ヘ方向、すなわち開く方向に回動する。このように、ローラアーム7a,7bが開くことにより、ゴムローラ6a,6cは、一旦、ディスク100の周縁から離れるが、図5に示す状態で共に当接する状態となる。
【0028】
図5はゴムローラ6a,6b,6c及び6dの全てがディスク100と当接した状態であり、図4の挿入した直後のディスク位置100Aから、再生可能なディスク位置100C(図6)まで搬送される過程で、この図5に示すディスク位置100Bは、ディスク100の回転駆動がゴムローラ6bと6dによる駆動からゴムローラ6aと6cによる駆動に切り換えられる位置である。この位置からディスク位置100Cまでは、ゴムローラ6aの回転駆動力で、ゴムローラ6cの位置を中心として、ディスク100は矢印ニ方向に回動しながら更に矢印イ方向搬送されることになる。
【0029】
このディスク100の搬送においては、図2で示したガイドレバー26によりその厚み方向が保持されながら搬送され、センタリング部材24によって左右方向の位置が決定されながら搬送される。そして、ディスク100が図6に示す位置、すなわちターンテーブル13に対向するディスク再生可能な位置まで搬送されると、トリガレバー25によってディスク100の搬送完了位置、すなわち前述のディスク位置100Cが検出される。
【0030】
次に、ディスク100の排出時について説明する。再生可能な状態にあるディスク100のクランプ状態の解除、トラバース15の下降動作を行い、再度ゴムローラ6aと6cによって挟持することにより、ディスク100を排出可能な図6の状態とすることができる。そして、ゴムローラ6aと6bには、モータ9により挿入搬送時とは逆の駆動力が伝達され、図4〜図6に示す矢印ハ方向とは逆方向の駆動力により、ゴムローラ6aと6cによる駆動で排出の搬送を開始する。ディスク100を図4〜図6に示す矢印ニ方向とは逆方向に回動させながら搬送することになる。ディスク位置100Cから図5に示すディスク位置100Bまでは、ゴムローラ6aの回転駆動力で、ゴムローラ6cの位置を中心として、ディスク100を矢印ニ方向とは逆方向に回動しながら搬送し、ゴムローラ6a,6b,6c及び6dの全てがディスク100と当接した状態となる。この図5から図4の状態までは同様にゴムローラ6bと6dによる駆動で搬送し、図4に示す状態となる。そして、図4は搬出時にディスク100が、ユーザの手指によって取り出しが可能な状態であり、この状態で、ゴムローラ6a〜6dによる挟持及び摩擦力と、防塵カバー3の弾性による摩擦力で飛び出すことなく保持されるようになっている。
【0031】
ここで、ローラアーム7a及び7bについて、図7及び図8に基づき説明するが、図7はローラアームとリンクアームのみを示す上面図、図8は(a)図がローラベースとリンクアームを含むローラアームが閉じた状態の下面図、(b)図がローラアームが開いた状態の下面図を示すものである。ローラアーム7a及び7bは、ローラベース5に対し、回動軸部7a−1及び7b−1を中心に、リンクアーム28a及び28bにより同期して回動するように設けられており、前述した図4〜図6に示したディスク100に対するゴムローラ6a〜6dの当接が可能なように構成されている。このため、ローラアーム7a及び7bは、前述したディスク100による拡開する矢印ホ方向及び矢印ヘ方向と逆の方向、すなわち矢印ト方向及び矢印チ方向に付勢するためのねじりコイルバネ7a−2及び7b−2を設けている。この付勢力によって、ゴムローラ6a,6bと6c,6dとによりディスク100を挟み込み、常に当接しながら搬送できるように構成されている。
【0032】
また、図7に示すように、ローラアーム7aに設けられた回動自在なゴムローラ6a,6bは、前述したように一体に設けたローラギア6e,6fを有し、このローラギア6e,6f対して、ローラアーム7aに設けたギア8a〜8cよりなるギア列8のうち、ローラギア6eに対してはギア8aが噛み合い、ローラギア6fに対してはギア8cが噛み合っている。ここで、ギア10aは、前述した図2に示すように歯車が一体に上下に形成されており、ギア列10のギア10bが下歯車に噛み合い、上歯車がギア8cに噛み合うようになっている。そして、駆動源のモータ9の駆動力が、ギア列10よりギア列8に伝達されることにより、ゴムローラ6a,6bに伝達される構成となっている。
【0033】
次に、図9は、第1の筐体1、第2の筐体2及び防塵カバー3を取り除いた状態を示す正面図であり、上ガイド4と、ローラベース5に形成したガイド部5aとによって、ディスク挿入口300を構成している。同図より明らかなように、ディスクを挿入する挿入口300を構成する上ガイド4とローラベース5のガイド部5aは、それぞれ上下方向に緩やかな弓形に湾曲した形状としたガイド面を構成し、その両者間のほぼ中央部を、挿入されるディスクの搬送中心としている。そして、この搬送中心の同一平面上に、前述した、ゴムローラ6a〜6dのディスク当接部分が位置し、ディスク検出レバー29が臨み、挿入されたディスクの厚み方向を規制するディスク規制部材41〜45が臨んでおり、この上ガイド4とローラベース5のガイド部5aにガイドしてディスクを挿入することができる。なお、この図9に示す状態では、ターンテーブル13の頂部は、ディスクの挿入に支障がない、下方に位置している。
【0034】
次に、図10〜12に基づいて、右側の一対のゴムローラ6a,6b及びこれを設けたローラアーム7aについて、その詳細な構成について説明する。
【0035】
図10は、前述した図7に示すゴムローラとギアを取り付けた状態のローラアーム7aのみを抜き出して示すものであり、前述したように、ディスク挿入口300に挿入されるディスク100が挿入時に直接当接するゴムローラ6a,6bは、一体に設けたローラギア6e,6fを介して、常にギア列8及びギア列10とかみあっている状態にある。
【0036】
図11はローラアーム7aの構成を示す斜視図であり、(a)図はローラギア6e,6fを一体に設けたゴムローラ6a,6b及びギア8a〜8cを取り外した状態、(b)図はギア8a〜8cのみを取り外した状態を示している。このローラアーム7aは、ローラギア6eを一体に設けたゴムローラ6aの軸受部31、ローラギア6fを一体に設けたゴムローラ6bの軸受部32、ギア8a〜8cの軸部8a−1,8b−1,8c−1、軸部8c−1を弾性変形可能とするためのスリット33aを形成した弾性片33、ギア10aの貫通孔10a−1(回動軸部7a−1への嵌合孔兼)等を構成している。軸受部31には、ゴムローラ6aの軸が嵌合される上側軸受31aと下側軸受31b、下側軸受31bを形成するためローラアーム7aに形成された切り欠き孔31c、前述したディスク規制部材43,44が構成されている。他方の軸受部32には、ゴムローラ6bの軸が嵌合される上側軸受32aと下側軸受32b、下側軸受32bを形成するためローラアーム7aに形成された切り欠き孔32c、前述したディスク規制部材45が構成されている。そして、(b)図に示すように、軸受部31の上側軸受31aと下側軸受31bにはローラギア6eを一体に設けたゴムローラ6aの軸34が、軸受部32の上側軸受32aと下側軸受32bにはローラギア6fを一体に設けたゴムローラ6bの軸35が、それぞれ回動自在に嵌合されている。
【0037】
次に、ローラギア6eを一体に設けたゴムローラ6a及びローラギア6fを一体に設けたゴムローラ6bの構成について説明するが、ここでは、図12に基づいて、ローラギア6fを一体に設けたゴムローラ6bの構成について説明する。図12は、ゴムローラ6bの軸心部分からギア8cの軸心部分を結ぶ線上で断面したものであり、ディスク100が挿入されてゴムローラ6bに当接した直後の状態を示している。
【0038】
図12において、軸35は、その両端部が前述の上側軸受32aと下側軸受32bに嵌合される回転軸部35aを形成すると共に、上端近傍の一端から小径と大径の2段構成のカップ形状部を形成し、その小径部35bにゴムローラ6bを嵌合し、大径部35cの下端にローラギア6fを一体に形成している。つまり、ローラギア6fを構成する部材により、その回転軸部35aとゴムローラ6bの嵌合部(小径部35b)を構成し、当該部材を変形可能とするために回転軸部35aとの間に内部空間35d,35eを形成して下方を開放したカップ状の構成としている。ゴムローラ6bは、軸35を構成する材質に比べて柔らかいゴム材により構成しているため、当該ゴムローラ6bは軸35の小径部35bに密着して回転できるようになっており、ギア8cの回転によりローラギア6fが回転することによって同時に回転する。ここで、ローラギア6fが構成された軸35は、弾性変形可能な樹脂成形材で構成されているため、回転軸部35aとカップ状大径部35cに形成されたローラギア6fとの間は弾性変形可能となっている。また、ローラアーム7aも弾性変形可能な樹脂成形材で構成されているため、軸受部32、及びスリット33aを形成した弾性片33も変形可能に構成されている。
【0039】
ここで、図13に示すように、ディスク100をディスク挿入口に挿入し、右側の一対のゴムローラ6a,6b及び左側の一対のゴムローラ6c,6dに当接した際の作用について説明する。この状態において、通常はディスク検出レバー29がディスク100によって回動して、検出スイッチ27aを作動させることによりモータ9が動作を開始し、ギア列10とギア列8を介して、ゴムローラ6a,6bを駆動し、前述した作用によりディスク100の搬送を行うことになる。
【0040】
しかしながら、ディスク100の挿入が急激であったり、ユーザによる挿入が必要以上に押し込まれすぎたりして、モータ9による駆動が間に合わなかった場合、あるいは電源スイッチが入っていない等の何らかのトラブルでモータ9による駆動系が動作しない場合、何らの手当をしていなければ、次のような作用によるトラブルを発生してしまうということになる。すなわち、ディスク100を挿入して右側の一対のゴムローラ6a,6b及び左側の一対のゴムローラ6c,6dに当接した図13の状態で、ディスク100を更に矢印イ方向に押し込むことにより、ディスク100は、回動しないゴムローラ6c,6dの摩擦力によって当該ゴムローラ6dを回動中心として、矢印ニ方向に回動する。そして、このディスク100の回動により、当該ディスク100と摩擦をもって接触しているゴムローラ6a,6bは、モータ9の駆動力ではなく、ディスク100の挿入力により矢印ハ方向に回転させられる。この矢印ハ方向の回転力が働くと、ローラギア6e,6fを介してギア列8に回転力が伝達されるが、この時、モータ9は動作していない状態であるため、ロックされているギア列8及びギア列10を回転させようとする力として作用することとなる。このため、更なるディスク100の押し込みによって、ギア列8又はギア列10のギア破損、又はゴムローラ6bの破損を引き起こすというトラブル発生を来すこととなる。
【0041】
このこのトラブル発生を未然に防止するのが、前述した図10〜12に示す構成であり、その作用について、図14に基づいて説明する。
【0042】
図14は、図12の断面図において、ディスク100が、ゴムローラ6bの方向に、強制的に更に押し込まれることにより、軸受部32、軸部8c−1の弾性片33及び軸35が弾性変形して、ローラギア6fとギア8cが切り離された状態を示す。
【0043】
すなわち、図14に示すように、ディスク100にゴムローラ6bを介して小径部35bが押されることにより、回転軸部35aに対して押された側のカップ状部分が変形するが、このとき同時に軸受部32自体も変形する。この変形の度合いはディスク100を押し込む押圧力によって異なるが、その押圧力は前述のようにゴムローラ6b及び軸35を含むローラギア6fの回転力として作用する。このため、押圧力が小さい場合は、変形量が小さく、ローラギア6fとギア8cは噛み合ったままでディスク100も回転しない状態であるが、押圧力が更に加えられることによってローラギア6fとギア8cの噛み合いが徐々に浅くなり、ギア8cの軸部8c−1を構成した弾性片33の変形を来たし、両者の噛み合いが切り離されることにより、図14に示す状態となってゴムローラ6b及びローラギア6fは回転する。この作用により、ディスク100が強制的に挿入された場合等で、ギア列8及びギア列10がロックされている場合においても、異常な過負荷による当該ギア列8又はギア列10のギア破損等を防止できることとなる。
【0044】
ここで、軸受部32、軸部8c−1の弾性片33及び軸35等が弾性変形してローラギア6fとギア8cが切り離されるための負荷力は、ギア列8及びギア列10あるいはゴムローラ6bが破損する限界の負荷力によって、適宜設定される。
【0045】
本実施の形態のディスク搬送装置は、以上説明したように、ディスクを装置本体正面の挿入口に挿入して搬入するようにしたスロットイン方式のデスク搬送装置であって、挿入されたディスクが直接当接されて両サイドで保持し、一方を駆動ローラとしてその駆動力でディスクを回転させながら搬送するガイドローラと、前記ガイドローラの駆動ローラに駆動力を伝達する駆動源と、前記駆動ローラと同軸に設けられたローラギアと駆動源との間に介在されその駆動力を伝達するギア列と、前記駆動ローラと共に前記ローラギアを含むギア列の各々を回転自在に保持し成型材で構成されたローラアームとを備え、前記ローラアームは、前記ギア列に噛み合うと共に挿入されたディスクが最初に当接される前記駆動ローラと同軸の前記ローラギアの軸及び軸受部を、当該ギアの軸心と直交する法線方向に弾性変形可能に構成し、前記ディスクを挿入するに際し、前記ガイドローラに直接加えられる過負荷を、前記ローラギアの軸及び軸受部の弾性変形により当該ギアと噛み合うギアとの噛み合いを離脱して、ディスクの挿入によって駆動ローラに作用する回転力がギア列に伝達されないように構成したものであり、ユーザによる強制的な挿入等により過負荷が発生しても、ディスクを介して直接負荷が加えられる駆動ローラと同軸のローラギアの軸及び軸受部の弾性変形によって、当該ギアと噛み合うギアとの噛み合いを離脱し、ディスクの挿入によって駆動ローラに作用する回転力がギア列に伝達されないので、ギア列に過負荷が付与されないという作用を有する。
【0046】
また、本実施の形態のディスク搬送装置は、前記ローラギアは、その内部構成を軸との間に間隙があるカップ状とし、当該ローラギア自体を弾性変形可能に構成したものであり、構成が簡単であるという作用を有する。
【0047】
また、本実施の形態のディスク搬送装置は、前記ローラギアに駆動力を伝達するギア列のうち少なくとも一つのギアの軸受部において、当該ギアの軸部の弾性支持部をスリットにより形成し、この軸部を弾性変形可能に構成したものであり、簡単な構成で軸受部の弾性変形との相乗効果が得られるという作用を有する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のディスク装置は、ディスクの周縁部をガイドするローラによって両サイドを保持し搬入するようにしたスロットイン方式のディスク搬送装置として、特に、CDやDVD,BD等のディスク状の記録媒体を、トレイを用いずに装置内にローディングするスロットインローディング機構を備えるディスク搬送装置に有用である。
【符号の説明】
【0049】
6a〜6d ゴムローラ
6e,6f ローラギア
7a,7b ローラアーム
8a〜8c ギア
10a〜10f ギア
31,32 軸受部
33 弾性片
34 ゴムローラ6aの軸34
35 ゴムローラ6bの軸35
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクを直接挿入してローラで保持しながら搬入するようにしたスロットイン方式のローディング機構を備えるディスク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このようなスロットイン方式のローディング機構を備えるディスク搬送装置は、トレイを用いずにディスク装置内にディスクをローディングする機構として、ディスク装置の筐体内に挿入されたディスクを直接ゴムローラで弾性的に挟持し、その状態でゴムローラを回転させることによりディスクを搬入してその全体を筐体内に引き込み、ディスク記録再生位置に装着する機構である。このスロットイン方式のローディング機構においては、ディスクの外周縁部をガイドするローラによって、当該ディスクをディスクの径方向に挟み込み、ローラを回転させることにより、ディスク自体を回転させながら搬送する構成で、ローラはディスクの周縁部のみに接触する構成である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなスロットインローディング機構を備えるディスク搬送装置においては、筐体に設けられた挿入口にディスクを直接挿入し、このディスク挿入を検知し、その検知によってゴムローラを回転させ、さらにディスクを挿入してその回転するゴムローラにディスクを当接させて搬入することで、ディスクのローディングを開始する。すなわち、挿入に際しては、ユーザがディスク単体を直接挿入し、当該ディスクを挟持するゴムローラに直接当接させることにより、これを検出し、引き込みを行うこととなる。この方式の場合は、ユーザにより直接挿入するため、その挿入の加減が明確でない場合や、急激に挿入した場合等、必要以上の負荷をかけた状態で挿入したり、挿入を検出できない場合や検出による駆動ができない場合等には、挿入したディスクが当接するゴムローラに過負荷が加えられてしまうという問題があるため、何らかの過負荷回避の手段が必要である。
【0004】
ところで、従来、通常のディスクローディング機構において、過負荷回避の例としては種々の対策が行われていた。例えば、バックラッシュ等によりトレイとクランパホルダとの相対位置がずれた場合でも、トレイを高精度で移動させることができるように、相互に噛み合う歯車機構の大歯車と小歯車とを弾性体により所定方向に付勢して相対的に回転可能に構成したディスクローディング機構が提案されている(特許文献2参照)。また、ロック状態を解除することが可能な駆動装置及びローディング装置が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−64518号公報
【特許文献2】特開昭64−30059号公報
【特許文献3】特開平8−338496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の過負荷回避のものは、歯車等の駆動伝達系において、ギアのバックラッシュやロック状態における対策を行ったものであり、ユーザによるディスク挿入に関連して発生する過負荷への対策を行ったものではない。特に、ディスクの外周縁部をガイドするローラによって、当該ディスクをディスクの径方向に挟み込み、ローラを回転させることにより、ディスク自体を回転させながら搬送するスロットイン方式のものでは、ディスクの搬入を、ユーザがディスクを挿入することによりディスクをゴムローラに直接当接することにより行うので、場合よっては、強い押圧力で強制的に挿入する場合も発生して、ゴムローラにローラギアを介して連結されているギアを破損する等の問題も発生するものであった。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題を解決し、ユーザによる強制的な挿入等により過負荷が発生しても、これを遮断してギア列に過負荷が付与されることなく破損を防止できるディスク搬送装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のディスク搬送装置は、ディスクを装置本体正面の挿入口に挿入して搬入するようにしたスロットイン方式のデスク搬送装置であって、挿入されたディスクが直接当接されて両サイドで保持し、一方を駆動ローラとしてその駆動力でディスクを回転させながら搬送するガイドローラと、前記ガイドローラの駆動ローラに駆動力を伝達する駆動源と、前記駆動ローラと同軸に設けられたローラギアと駆動源との間に介在されその駆動力を伝達するギア列と、前記駆動ローラと共に前記ローラギアを含むギア列の各々を回転自在に保持し成型材で構成されたローラアームとを備え、前記ローラアームは、前記ギア列に噛み合うと共に挿入されたディスクが最初に当接される前記駆動ローラと同軸の前記ローラギアの軸及び軸受部を、当該ギアの軸心と直交する法線方向に弾性変形可能に構成し、前記ディスクを挿入するに際し、前記ガイドローラに直接加えられる過負荷を、前記ローラギアの軸及び軸受部の弾性変形により当該ギアと噛み合うギアとの噛み合いを離脱して、ディスクの挿入によって駆動ローラに作用する回転力がギア列に伝達されないように構成したものである。
【0009】
これにより、ユーザによるディスクの強制的な挿入等により過負荷が発生しても、ディスクを介して直接負荷が加えられる駆動ローラと同軸のローラギアの軸及び軸受部の弾性変形によって、当該ギアと噛み合うギアとの噛み合いを離脱し、ディスクの挿入によって駆動ローラに作用する回転力がギア列に伝達されないので、ギア列に過負荷が付与されないディスク搬送装置が得られる。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成によれば、ユーザによるディスクの強制的な挿入等により過負荷が発生しても、これを遮断してギア列に過負荷が付与されることなく破損を防止できるディスク搬送装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1にかかるディスク搬送装置のディスク装置本体とこれに挿入されるディスクを示す外観斜視図
【図2】同ディスク装置全体を構成する部品を一部ユニット化して示す分解斜視図
【図3】同筐体及び一部の構成部分を除いた各構成部品をメカシャーシに取り付けた状態の上面図
【図4】同両筐体を取り除いた状態におけるディスクを挿入直後の上面図
【図5】同状態におけるディスク搬入の搬送途中段階の上面図
【図6】同状態におけるディスクを再生可能な位置まで搬入した上面図
【図7】同ローラアームとリンクアームの上面図
【図8】(a)同ローラベースとリンクアームを含むローラアームが閉じた状態の下面図、(b)同ローラアームが開いた状態の下面図
【図9】同第1の筐体と第2の筐体及び防塵カバーを取り除いた状態を示す正面図
【図10】同ゴムローラとギアを取り付けた状態のローラアームの上面図
【図11】(a)同ローラアームの斜視図、(b)同ローラギアを一体に設けたゴムローラを取り付けた状態のローラアームの斜視図
【図12】同ゴムローラと一体のローラギアとギアの噛み合い状態を示す断面図
【図13】同ディスクを挿入した直後の作用の説明図
【図14】同ディスク挿入時に過負荷が作用した場合の説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、本発明のディスク搬送装置の実施形態1について、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明のディスク搬送装置を有するディスク装置本体とこれに挿入されるディスクを示す外観斜視図、図2はディスク装置全体を構成する部品を一部ユニット化して示す分解斜視図である。ここで、図1では水平配置された例を示し、図2では水平配置の分解斜視図としたが、当該装置自体は縦・横配置のどちらにも対応できるものであり、以下は、便宜上、「左右」、「上下」や「昇降」等の表現で説明する。
【0013】
図1において、1は装置本体を構成する上カバーとしての第1の筐体、2は同下カバーとしての第2の筐体であり、両筐体1,2で構成される装置本体の正面にディスクの挿入口となる開口部1aを設け、その開口部1aは防塵カバー3により塞がれる構成となっている。この図1に示すように、開口部1aにおいて、防塵カバー3を弾性変形させながらディスク100を直接挿入することにより、このディスク100は、内部に構成されたディスク搬送装置の作用で、記録再生可能な所定の位置まで搬送される。ここで、図示するディスク100は大径ディスクである12cmディスク、ディスク200は小径ディスクである8cmディスクを示している。
【0014】
図2に示すように、ディスク装置全体としては、前述した筐体1,2の内部に有するディスク回転駆動・再生装置及びディスク搬送装置と、これらに関連する機構部品が構成されている。防塵カバー3は、第1の筐体1の開口部1aを塞ぐようにその内側に配置され、この防塵カバー3は、フェルト等の弾性材シート3aを備え、そのほぼ中央部にディスク100を挿入し通過させるためのスリット3bが形成されている。防塵カバー3の装置内側に対向する位置には、挿入されるディスク100(200)の上側をガイドする上ガイド4と下側をガイドするローラベース5のガイド部5aが設けられている。ローラベース5は、挿入されたディスク100(200)を装置内部に搬送するガイド及び駆動力伝達手段となるゴムローラ6a〜6dを有する一対のローラアーム7a,7bを、回動自在に保持している。右側の一対のゴムローラ6a,6bはローラアーム7aに回動自在に設けられており、左側の一対のゴムローラ6c,6dはローラアーム7bに固定されている。そして、回動自在なゴムローラ6a,6bに一体に設けたローラギア6e,6fに対し、ローラアーム7aに設けたギア8a〜8cよりなるギア列8を介して、駆動源のモータ9の駆動力が伝達される。その駆動力は、モータ9の駆動力をウォームギア9a及びギア10a〜10eよりなるギア列10を介し、ギア10aからギア8cに伝達され、かつその伝達はクラッチプレート11の回動によりギア10bと10cの噛み合いが切り離されることにより切り換えられるようになっている。その際、モータ9の駆動力は、ギア10dからギア10fのみへの伝達となり、ギア10fと一体に形成されたピニオン10gを介し、後述するスライドカム16を駆動するようになっている。このような搬送装置は、メカシャーシ12に、必要に応じて回動自在又は摺動可能に保持構成されている。
【0015】
また、図2に示すように、ディスク装置は、スピンドルモータを一体に構成してディスク100(200)を載置するターンテーブル13と、光ピックアップ14を有るトラバース15を備えている。そして、このトラバース15は、昇降可能な構成とすると共に、フローティング支持されており、挿入されたディスクを装着してその再生を行うことができるようになっている。
【0016】
16はメカシャーシ12の右側に摺動自在に設けられたスライドカムであり、メカシャーシ12の下部に回動自在に支持されたリンクアーム17を介して、メカシャーシ12の左側に摺動自在に設けられたスライドカム18と連結されており、スライドカム16とスライドカム18が同期して相互に逆方向に摺動するように構成されている。19はトラバース15の一方を支持する中間シャーシであり、メカシャーシ12にピン19a,19bで回動自在に設けると共に、スライドカム16,18に形成した昇降カム16a,18bと係合するピン19c,19dが設けられている。この構成により、スライドカム16,18をスライドすることによって、中間シャーシ19を、ピン19a,19bを中心としてピン19c,19d側を上下方向に回動して昇降する構成となっている。
【0017】
トラバース15は、中間シャーシ19の前方にフローティングゴム20a,20bを介して、左右それぞれ1ヶ所固定されており、その後部はフローティングゴム20c,20dを介してメカシャーシ12に固定されている。この構成により、スライドカム16,18のスライドによる中間シャーシ19の上下方向の回動動作に伴い、トラバース15はフローティングゴム20d,20c側を中心とする回動動作を行い、それに伴ってターンテーブル13部分が昇降動作を行えるようになっている。
【0018】
21は装着されたディスクを保持するクランパであり、ターンテーブル13と対向する上部において、ディスク100(200)をターンテーブル13にクランプするように設けられている。ターンテーブル13にはマグネットが設けられており、クランパ21に設けられた鉄製のヨーク21aにより、クランパ21がターンテーブル13に磁力により引っ張られてディスク100(200)を挟み込むように構成されている。このクランパ21は、筐体1内にトラバース15の上部を覆うように配置された上側シャーシとなるアッパーベース22に形成された開口部22aより、ターンテーブル13に対向して装着/離脱されるように設けられており、アッパーベース22上に設けられた左右のクランパリフタ23a,23bの移動によりその装着/離脱が行われるようになっている。
【0019】
アッパーベース22には、その下面側に、ディスクのセンタリングを行うセンタリング部材24と、ディスクの搬送を検出しトラバース15の昇降動作へ切り換えるためのトリガレバー25とが、摺動・回動自在に設けられている。また、挿入されたディスクをターンテーブル13とクランパ21の間に高さを安定して保持するためのガイドレバー26が、回動自在に保持されている。ここで、アッパーベース22はメカシャーシ12に固定され、メカシャーシ12は両筐体1,2に挟み込まれて固定される構成となっている。
【0020】
また、図2において、27aはディスク挿入用開口部1aにディスクを挿入した際にこれを検出する検出スイッチ、27bはディスクの排出時にローディング終了を検出する検出スイッチ、27cはディスクを再生可能な位置に搬送した際に検出する検出スイッチであり、ローラアーム7bと対向する位置の基板27上に設けられている(図3参照)。28aと28bはローラベース5に回動自在に設けられたリンクアームであり、この両者によりローラアーム7a、7bは同期して回動するようにローラベース5に設けられている。29はローラアーム7bに設けられたディスク検出レバーであり、検出スイッチ27aを作動させるものである。
【0021】
次に、図3について説明する。この図3は、図2に示す全体構成の中で、筐体1,2、ローラアーム7a,7bを含むローラベース5部分及びアッパーベース22とその構成部分を除いた各構成部品を、メカシャーシ12に取り付けた状態の上面図を示す。
【0022】
図3に示すように、ターンテーブル13と光ピックアップ14は、トラバース15上でディスク装置のほぼ中央に配置され、トラバース15のターンテーブル13側を載置するように中間シャーシ19が配置されている。この中間シャーシ19の右側にスライドカム16、左側にスライドカム18を、メカシャーシ12の両側において、ディスクの搬送方向と同じ前後方向(矢印イ及びロ方向)にスライド自在に配置している。初期状態では、メカシャーシ12との間に張設されたバネ16jにより、スライドカム16は矢印イ方向、スライドカム18はリンクアーム17を介して矢印ロ方向に付勢されている。中間シャーシ19は、そのスライドカム16,18に形成した昇降カム16a,18aに左右のピン19c,19dを係合し、左右のピン19a,19bをメカシャーシ12に形成した軸受部12a,12bに回動自在に保持している。この構成により、スライドカム16,18をスライドすることによって、中間シャーシ19を、ピン19a,19bを中心としてピン19c,19d側を上下方向に回動して昇降する構成となっている。
【0023】
ここで、スライドカム16,18のスライドは、後述するディスクの挿入によりその搬送力でトリガレバー25が回動し、スライドカム16が矢印ロ方向に若干スライドさせられることによってラック30がピニオン10gに噛み合うことにより、モータ9の駆動力をウォームギア9a及びギア10e−10d−10fを介し、そのギア10fと同軸のピニオン10gを回転し、行うことができるようになっている。このピニオン10gの回転により、噛み合うラック30を介して、スライドカム16が矢印ロ方向に更にスライドし、このスライドに伴って、リンクアーム17を介してスライドカム18を矢印イ方向に移動させる構成となっている。
【0024】
すなわち、モータ9の駆動によって、ディスクを搬送し、ディスクが再生可能な位置まで搬送されると、トリガレバー25の作用とモータ9の駆動力の伝達切換によって、スライドカム16,18をスライドさせ、中間シャーシ19及びトラバース15を昇降させ、ターンテーブル13上にディスクを装着し、クランパ21がターンテーブル13に磁力により引っ張られてディスクを挟み込んで保持することにより、再生可能状態とすることができる。
【0025】
次に、ディスクを挿入して再生可能な位置まで搬送するスロットイン方式の搬送装置部分の構成について説明する。図4〜図6は、ディスクの搬送状態を示すため、両筐体1,2と、上ガイド4を含むアッパーベース22を除いた状態の図である。
【0026】
図4は、大径ディスク100をディスク挿入口に挿入した直後の状態であり、この時ディスク100は右側の一対のゴムローラ6a,6b及び左側の一対のゴムローラ6c,6dに当接しており、ローラアーム7bに設けられたディスク検出レバー29がディスク100によって回動することにより、検出スイッチ27aを作動させることによってディスク100の挿入が検出された状態である。この状態で、検出スイッチ27aの作動によりモータ9が動作を開始し、ギア列10とギア列8を介して、ゴムローラ6a,6bを駆動することになるが、この駆動ローラとしてのゴムローラ6a,6bが矢印ハ方向に回動することにより、そのゴムローラ6bの回転駆動力及び摩擦力と、もう一方の回動しないゴムローラ6c,6dのうち一つのゴムローラ6dの摩擦力とによって、ゴムローラ6dを回動中心として、ディスク100は矢印ニ方向に回動することとなる。
【0027】
ゴムローラ6bの回転駆動力により、ゴムローラ6dを中心に回動することによりディスク100は矢印イ方向に搬送され、この移動によりゴムローラ6bと6d間はディスク100によって押し広げられるので、一対のローラアーム7a,7bは矢印ホ方向及び矢印ヘ方向、すなわち開く方向に回動する。このように、ローラアーム7a,7bが開くことにより、ゴムローラ6a,6cは、一旦、ディスク100の周縁から離れるが、図5に示す状態で共に当接する状態となる。
【0028】
図5はゴムローラ6a,6b,6c及び6dの全てがディスク100と当接した状態であり、図4の挿入した直後のディスク位置100Aから、再生可能なディスク位置100C(図6)まで搬送される過程で、この図5に示すディスク位置100Bは、ディスク100の回転駆動がゴムローラ6bと6dによる駆動からゴムローラ6aと6cによる駆動に切り換えられる位置である。この位置からディスク位置100Cまでは、ゴムローラ6aの回転駆動力で、ゴムローラ6cの位置を中心として、ディスク100は矢印ニ方向に回動しながら更に矢印イ方向搬送されることになる。
【0029】
このディスク100の搬送においては、図2で示したガイドレバー26によりその厚み方向が保持されながら搬送され、センタリング部材24によって左右方向の位置が決定されながら搬送される。そして、ディスク100が図6に示す位置、すなわちターンテーブル13に対向するディスク再生可能な位置まで搬送されると、トリガレバー25によってディスク100の搬送完了位置、すなわち前述のディスク位置100Cが検出される。
【0030】
次に、ディスク100の排出時について説明する。再生可能な状態にあるディスク100のクランプ状態の解除、トラバース15の下降動作を行い、再度ゴムローラ6aと6cによって挟持することにより、ディスク100を排出可能な図6の状態とすることができる。そして、ゴムローラ6aと6bには、モータ9により挿入搬送時とは逆の駆動力が伝達され、図4〜図6に示す矢印ハ方向とは逆方向の駆動力により、ゴムローラ6aと6cによる駆動で排出の搬送を開始する。ディスク100を図4〜図6に示す矢印ニ方向とは逆方向に回動させながら搬送することになる。ディスク位置100Cから図5に示すディスク位置100Bまでは、ゴムローラ6aの回転駆動力で、ゴムローラ6cの位置を中心として、ディスク100を矢印ニ方向とは逆方向に回動しながら搬送し、ゴムローラ6a,6b,6c及び6dの全てがディスク100と当接した状態となる。この図5から図4の状態までは同様にゴムローラ6bと6dによる駆動で搬送し、図4に示す状態となる。そして、図4は搬出時にディスク100が、ユーザの手指によって取り出しが可能な状態であり、この状態で、ゴムローラ6a〜6dによる挟持及び摩擦力と、防塵カバー3の弾性による摩擦力で飛び出すことなく保持されるようになっている。
【0031】
ここで、ローラアーム7a及び7bについて、図7及び図8に基づき説明するが、図7はローラアームとリンクアームのみを示す上面図、図8は(a)図がローラベースとリンクアームを含むローラアームが閉じた状態の下面図、(b)図がローラアームが開いた状態の下面図を示すものである。ローラアーム7a及び7bは、ローラベース5に対し、回動軸部7a−1及び7b−1を中心に、リンクアーム28a及び28bにより同期して回動するように設けられており、前述した図4〜図6に示したディスク100に対するゴムローラ6a〜6dの当接が可能なように構成されている。このため、ローラアーム7a及び7bは、前述したディスク100による拡開する矢印ホ方向及び矢印ヘ方向と逆の方向、すなわち矢印ト方向及び矢印チ方向に付勢するためのねじりコイルバネ7a−2及び7b−2を設けている。この付勢力によって、ゴムローラ6a,6bと6c,6dとによりディスク100を挟み込み、常に当接しながら搬送できるように構成されている。
【0032】
また、図7に示すように、ローラアーム7aに設けられた回動自在なゴムローラ6a,6bは、前述したように一体に設けたローラギア6e,6fを有し、このローラギア6e,6f対して、ローラアーム7aに設けたギア8a〜8cよりなるギア列8のうち、ローラギア6eに対してはギア8aが噛み合い、ローラギア6fに対してはギア8cが噛み合っている。ここで、ギア10aは、前述した図2に示すように歯車が一体に上下に形成されており、ギア列10のギア10bが下歯車に噛み合い、上歯車がギア8cに噛み合うようになっている。そして、駆動源のモータ9の駆動力が、ギア列10よりギア列8に伝達されることにより、ゴムローラ6a,6bに伝達される構成となっている。
【0033】
次に、図9は、第1の筐体1、第2の筐体2及び防塵カバー3を取り除いた状態を示す正面図であり、上ガイド4と、ローラベース5に形成したガイド部5aとによって、ディスク挿入口300を構成している。同図より明らかなように、ディスクを挿入する挿入口300を構成する上ガイド4とローラベース5のガイド部5aは、それぞれ上下方向に緩やかな弓形に湾曲した形状としたガイド面を構成し、その両者間のほぼ中央部を、挿入されるディスクの搬送中心としている。そして、この搬送中心の同一平面上に、前述した、ゴムローラ6a〜6dのディスク当接部分が位置し、ディスク検出レバー29が臨み、挿入されたディスクの厚み方向を規制するディスク規制部材41〜45が臨んでおり、この上ガイド4とローラベース5のガイド部5aにガイドしてディスクを挿入することができる。なお、この図9に示す状態では、ターンテーブル13の頂部は、ディスクの挿入に支障がない、下方に位置している。
【0034】
次に、図10〜12に基づいて、右側の一対のゴムローラ6a,6b及びこれを設けたローラアーム7aについて、その詳細な構成について説明する。
【0035】
図10は、前述した図7に示すゴムローラとギアを取り付けた状態のローラアーム7aのみを抜き出して示すものであり、前述したように、ディスク挿入口300に挿入されるディスク100が挿入時に直接当接するゴムローラ6a,6bは、一体に設けたローラギア6e,6fを介して、常にギア列8及びギア列10とかみあっている状態にある。
【0036】
図11はローラアーム7aの構成を示す斜視図であり、(a)図はローラギア6e,6fを一体に設けたゴムローラ6a,6b及びギア8a〜8cを取り外した状態、(b)図はギア8a〜8cのみを取り外した状態を示している。このローラアーム7aは、ローラギア6eを一体に設けたゴムローラ6aの軸受部31、ローラギア6fを一体に設けたゴムローラ6bの軸受部32、ギア8a〜8cの軸部8a−1,8b−1,8c−1、軸部8c−1を弾性変形可能とするためのスリット33aを形成した弾性片33、ギア10aの貫通孔10a−1(回動軸部7a−1への嵌合孔兼)等を構成している。軸受部31には、ゴムローラ6aの軸が嵌合される上側軸受31aと下側軸受31b、下側軸受31bを形成するためローラアーム7aに形成された切り欠き孔31c、前述したディスク規制部材43,44が構成されている。他方の軸受部32には、ゴムローラ6bの軸が嵌合される上側軸受32aと下側軸受32b、下側軸受32bを形成するためローラアーム7aに形成された切り欠き孔32c、前述したディスク規制部材45が構成されている。そして、(b)図に示すように、軸受部31の上側軸受31aと下側軸受31bにはローラギア6eを一体に設けたゴムローラ6aの軸34が、軸受部32の上側軸受32aと下側軸受32bにはローラギア6fを一体に設けたゴムローラ6bの軸35が、それぞれ回動自在に嵌合されている。
【0037】
次に、ローラギア6eを一体に設けたゴムローラ6a及びローラギア6fを一体に設けたゴムローラ6bの構成について説明するが、ここでは、図12に基づいて、ローラギア6fを一体に設けたゴムローラ6bの構成について説明する。図12は、ゴムローラ6bの軸心部分からギア8cの軸心部分を結ぶ線上で断面したものであり、ディスク100が挿入されてゴムローラ6bに当接した直後の状態を示している。
【0038】
図12において、軸35は、その両端部が前述の上側軸受32aと下側軸受32bに嵌合される回転軸部35aを形成すると共に、上端近傍の一端から小径と大径の2段構成のカップ形状部を形成し、その小径部35bにゴムローラ6bを嵌合し、大径部35cの下端にローラギア6fを一体に形成している。つまり、ローラギア6fを構成する部材により、その回転軸部35aとゴムローラ6bの嵌合部(小径部35b)を構成し、当該部材を変形可能とするために回転軸部35aとの間に内部空間35d,35eを形成して下方を開放したカップ状の構成としている。ゴムローラ6bは、軸35を構成する材質に比べて柔らかいゴム材により構成しているため、当該ゴムローラ6bは軸35の小径部35bに密着して回転できるようになっており、ギア8cの回転によりローラギア6fが回転することによって同時に回転する。ここで、ローラギア6fが構成された軸35は、弾性変形可能な樹脂成形材で構成されているため、回転軸部35aとカップ状大径部35cに形成されたローラギア6fとの間は弾性変形可能となっている。また、ローラアーム7aも弾性変形可能な樹脂成形材で構成されているため、軸受部32、及びスリット33aを形成した弾性片33も変形可能に構成されている。
【0039】
ここで、図13に示すように、ディスク100をディスク挿入口に挿入し、右側の一対のゴムローラ6a,6b及び左側の一対のゴムローラ6c,6dに当接した際の作用について説明する。この状態において、通常はディスク検出レバー29がディスク100によって回動して、検出スイッチ27aを作動させることによりモータ9が動作を開始し、ギア列10とギア列8を介して、ゴムローラ6a,6bを駆動し、前述した作用によりディスク100の搬送を行うことになる。
【0040】
しかしながら、ディスク100の挿入が急激であったり、ユーザによる挿入が必要以上に押し込まれすぎたりして、モータ9による駆動が間に合わなかった場合、あるいは電源スイッチが入っていない等の何らかのトラブルでモータ9による駆動系が動作しない場合、何らの手当をしていなければ、次のような作用によるトラブルを発生してしまうということになる。すなわち、ディスク100を挿入して右側の一対のゴムローラ6a,6b及び左側の一対のゴムローラ6c,6dに当接した図13の状態で、ディスク100を更に矢印イ方向に押し込むことにより、ディスク100は、回動しないゴムローラ6c,6dの摩擦力によって当該ゴムローラ6dを回動中心として、矢印ニ方向に回動する。そして、このディスク100の回動により、当該ディスク100と摩擦をもって接触しているゴムローラ6a,6bは、モータ9の駆動力ではなく、ディスク100の挿入力により矢印ハ方向に回転させられる。この矢印ハ方向の回転力が働くと、ローラギア6e,6fを介してギア列8に回転力が伝達されるが、この時、モータ9は動作していない状態であるため、ロックされているギア列8及びギア列10を回転させようとする力として作用することとなる。このため、更なるディスク100の押し込みによって、ギア列8又はギア列10のギア破損、又はゴムローラ6bの破損を引き起こすというトラブル発生を来すこととなる。
【0041】
このこのトラブル発生を未然に防止するのが、前述した図10〜12に示す構成であり、その作用について、図14に基づいて説明する。
【0042】
図14は、図12の断面図において、ディスク100が、ゴムローラ6bの方向に、強制的に更に押し込まれることにより、軸受部32、軸部8c−1の弾性片33及び軸35が弾性変形して、ローラギア6fとギア8cが切り離された状態を示す。
【0043】
すなわち、図14に示すように、ディスク100にゴムローラ6bを介して小径部35bが押されることにより、回転軸部35aに対して押された側のカップ状部分が変形するが、このとき同時に軸受部32自体も変形する。この変形の度合いはディスク100を押し込む押圧力によって異なるが、その押圧力は前述のようにゴムローラ6b及び軸35を含むローラギア6fの回転力として作用する。このため、押圧力が小さい場合は、変形量が小さく、ローラギア6fとギア8cは噛み合ったままでディスク100も回転しない状態であるが、押圧力が更に加えられることによってローラギア6fとギア8cの噛み合いが徐々に浅くなり、ギア8cの軸部8c−1を構成した弾性片33の変形を来たし、両者の噛み合いが切り離されることにより、図14に示す状態となってゴムローラ6b及びローラギア6fは回転する。この作用により、ディスク100が強制的に挿入された場合等で、ギア列8及びギア列10がロックされている場合においても、異常な過負荷による当該ギア列8又はギア列10のギア破損等を防止できることとなる。
【0044】
ここで、軸受部32、軸部8c−1の弾性片33及び軸35等が弾性変形してローラギア6fとギア8cが切り離されるための負荷力は、ギア列8及びギア列10あるいはゴムローラ6bが破損する限界の負荷力によって、適宜設定される。
【0045】
本実施の形態のディスク搬送装置は、以上説明したように、ディスクを装置本体正面の挿入口に挿入して搬入するようにしたスロットイン方式のデスク搬送装置であって、挿入されたディスクが直接当接されて両サイドで保持し、一方を駆動ローラとしてその駆動力でディスクを回転させながら搬送するガイドローラと、前記ガイドローラの駆動ローラに駆動力を伝達する駆動源と、前記駆動ローラと同軸に設けられたローラギアと駆動源との間に介在されその駆動力を伝達するギア列と、前記駆動ローラと共に前記ローラギアを含むギア列の各々を回転自在に保持し成型材で構成されたローラアームとを備え、前記ローラアームは、前記ギア列に噛み合うと共に挿入されたディスクが最初に当接される前記駆動ローラと同軸の前記ローラギアの軸及び軸受部を、当該ギアの軸心と直交する法線方向に弾性変形可能に構成し、前記ディスクを挿入するに際し、前記ガイドローラに直接加えられる過負荷を、前記ローラギアの軸及び軸受部の弾性変形により当該ギアと噛み合うギアとの噛み合いを離脱して、ディスクの挿入によって駆動ローラに作用する回転力がギア列に伝達されないように構成したものであり、ユーザによる強制的な挿入等により過負荷が発生しても、ディスクを介して直接負荷が加えられる駆動ローラと同軸のローラギアの軸及び軸受部の弾性変形によって、当該ギアと噛み合うギアとの噛み合いを離脱し、ディスクの挿入によって駆動ローラに作用する回転力がギア列に伝達されないので、ギア列に過負荷が付与されないという作用を有する。
【0046】
また、本実施の形態のディスク搬送装置は、前記ローラギアは、その内部構成を軸との間に間隙があるカップ状とし、当該ローラギア自体を弾性変形可能に構成したものであり、構成が簡単であるという作用を有する。
【0047】
また、本実施の形態のディスク搬送装置は、前記ローラギアに駆動力を伝達するギア列のうち少なくとも一つのギアの軸受部において、当該ギアの軸部の弾性支持部をスリットにより形成し、この軸部を弾性変形可能に構成したものであり、簡単な構成で軸受部の弾性変形との相乗効果が得られるという作用を有する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のディスク装置は、ディスクの周縁部をガイドするローラによって両サイドを保持し搬入するようにしたスロットイン方式のディスク搬送装置として、特に、CDやDVD,BD等のディスク状の記録媒体を、トレイを用いずに装置内にローディングするスロットインローディング機構を備えるディスク搬送装置に有用である。
【符号の説明】
【0049】
6a〜6d ゴムローラ
6e,6f ローラギア
7a,7b ローラアーム
8a〜8c ギア
10a〜10f ギア
31,32 軸受部
33 弾性片
34 ゴムローラ6aの軸34
35 ゴムローラ6bの軸35
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを装置本体正面の挿入口に挿入して搬入するようにしたスロットイン方式のデスク搬送装置であって、
挿入されたディスクが直接当接されて両サイドで保持し、一方を駆動ローラとしてその駆動力でディスクを回転させながら搬送するガイドローラと、
前記ガイドローラの駆動ローラに駆動力を伝達する駆動源と、
前記駆動ローラと同軸に設けられたローラギアと駆動源との間に介在されその駆動力を伝達するギア列と、
前記駆動ローラと共に前記ローラギアを含むギア列の各々を回転自在に保持し成型材で構成されたローラアームとを備え、
前記ローラアームは、前記ギア列に噛み合うと共に挿入されたディスクが最初に当接される前記駆動ローラと同軸の前記ローラギアの軸及び軸受部を、当該ギアの軸心と直交する法線方向に弾性変形可能に構成し、
前記ディスクを挿入するに際し、前記ガイドローラに直接加えられる過負荷を、前記ローラギアの軸及び軸受部の弾性変形により当該ギアと噛み合うギアとの噛み合いを離脱して、ディスクの挿入によって駆動ローラに作用する回転力がギア列に伝達されないように構成したディスク搬送装置。
【請求項2】
前記ローラギアは、その内部構成を軸との間に間隙があるカップ状とし、当該ローラギア自体を弾性変形可能に構成した請求項1に記載のディスク搬送装置。
【請求項3】
前記ローラギアに駆動力を伝達するギア列のうち少なくとも一つのギアの軸受部において、当該ギアの軸部の弾性支持部をスリットにより形成し、この軸部を弾性変形可能とする請求項1又は2に記載のディスク搬送装置。
【請求項1】
ディスクを装置本体正面の挿入口に挿入して搬入するようにしたスロットイン方式のデスク搬送装置であって、
挿入されたディスクが直接当接されて両サイドで保持し、一方を駆動ローラとしてその駆動力でディスクを回転させながら搬送するガイドローラと、
前記ガイドローラの駆動ローラに駆動力を伝達する駆動源と、
前記駆動ローラと同軸に設けられたローラギアと駆動源との間に介在されその駆動力を伝達するギア列と、
前記駆動ローラと共に前記ローラギアを含むギア列の各々を回転自在に保持し成型材で構成されたローラアームとを備え、
前記ローラアームは、前記ギア列に噛み合うと共に挿入されたディスクが最初に当接される前記駆動ローラと同軸の前記ローラギアの軸及び軸受部を、当該ギアの軸心と直交する法線方向に弾性変形可能に構成し、
前記ディスクを挿入するに際し、前記ガイドローラに直接加えられる過負荷を、前記ローラギアの軸及び軸受部の弾性変形により当該ギアと噛み合うギアとの噛み合いを離脱して、ディスクの挿入によって駆動ローラに作用する回転力がギア列に伝達されないように構成したディスク搬送装置。
【請求項2】
前記ローラギアは、その内部構成を軸との間に間隙があるカップ状とし、当該ローラギア自体を弾性変形可能に構成した請求項1に記載のディスク搬送装置。
【請求項3】
前記ローラギアに駆動力を伝達するギア列のうち少なくとも一つのギアの軸受部において、当該ギアの軸部の弾性支持部をスリットにより形成し、この軸部を弾性変形可能とする請求項1又は2に記載のディスク搬送装置。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【公開番号】特開2012−18704(P2012−18704A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153596(P2010−153596)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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