説明

ディスク構造体の弾性連結器

本発明は、弾性連結器に関し、各リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)の軸端部の少なくとも一方と中間ディスク(3)または側面ディスク(1.2、1.1)の少なくとも一方との間の接触が所定の状態でのみ有効であるように構成され、所定の状態において、リング状セグメントが減衰媒体または2つの連結器半体(1、2)の一方によって周方向で負荷を掛けておらず、一方では、リング状セグメントが減衰媒体または2つの連結器半体の一方によって周方向で負荷を掛けていない状態において、連結器の径方向における所定距離は、リング状セグメントの軸端部と中間ディスク及び/または側面ディスクの少なくとも一方の外縁部との間で設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに一致する特に自動車のドライブトレインのための減衰デバイスを有するディスク構造体の弾性連結器に関する。このような減衰デバイスを有する弾性連結器は、捩れ振動を維持し、下流のドライブトレインから離間するようにこの捩れ振動を発生させる。相対回動角が小さい場合に、減衰は、有利には2つの連結器半体間で発生しないまたはわずかに発生し、一方では、比較的強い減衰は、回動角度が大きいときに発生する。この特性は、負荷とは関係なく、すなわち弾性連結器が大きいまたは小さいトルクを現在伝達させるかに関係なく設定される。特に、高トルクを伝達する間さえ、振幅が小さい捩れ振動が同時にある場合には、減衰が設定されずにわずかにのみ設定され、強い減衰は、小さいトルクについて及び大きいトルクについての双方で、振幅が比較的大きい捩れ振動の場合に発生するのみである。
【背景技術】
【0002】
ディスク構造体における公知の弾性連結器であって所望の特性を達成する弾性連結器は、特許文献1及び特許文献2に開示される。ここで示される2つの連結器それぞれは、浮遊減衰リングを有し、この浮遊減衰リングは、連結器の内部空間で両連結器半体に対して限定的な範囲で回動可能なように導入されており、この内部空間は、減衰媒体で充填されており、減衰チャンバを部分チャンバに分割する。特許文献2における浮遊減衰リングは、連結器の周囲にわたって個別のリング状セグメントに分割されており、このセグメントは、互いに離間し、連結器の中間ディスクへ径方向外側に配向されたカムと協働し、中間ディスクは、第2連結器半体を形成し、カムは、第1連結器半体の外縁部において径方向内側に向けられ、第1部分チャンバ及び第2部分チャンバを形成し、これら第1及び第2部分チャンバは、第1連結器半体と第2連結器半体との間で相対的に回動する間、それらの容積が変化する。
【0003】
特許文献2で公知の特徴は、請求項1のプリアンブルで要約されている。公開された特許文献3及び特許文献4は、同様に、対応する特徴を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国登録特許公報第3923749号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10241103号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10022625号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19907414号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種における連結器がその特性に関して非常に信頼性がありかつ優れていることを実際に検証されているが、さらなる改良の余地がある。このため、望ましいことは、例えば、残りの回動角度範囲における減衰動作に望ましくない影響を与えることなく、第1連結器半体と第2連結器半体との間の最大相対回動に近い範囲における、特に以前の流体減衰(hydraulic damping)を越えて、減衰特性を増幅させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、この要請を満たすディスク構造体の弾性連結器を特定する問題に基づいている。特に、弾性連結器は、検証された形態に関する軽微な改良によって区別されており、それにもかかわらず、最大相対回転角度範囲における所望の増幅された減衰を有する。
【0007】
本発明における問題は、請求項1の特徴を有する弾性連結器によって解決される。本発明の特に有利なかつ好都合な形態は、従属請求項で特定される。
【0008】
発明者は、検証された浮遊減衰リングを有する連結器における軽微な改良のみを通して、成功しており、この減衰リングは、第1連結器半体と第2連結器半体との間の大きな回動角度の範囲で所望のさらなる減衰をもたらす状態で個別のリング状セグメントに分割され、これらは、大きな回動角度の範囲で連結器にいわゆる摩擦減衰を組み込む。この摩擦減衰は、浮遊減衰リングのリング状セグメントにおける軸端部領域とそれらを向く中間ディスクの外周領域または少なくとも1つの側面ディスクの内周領域との間に摩擦接触面を形成することによって達成される。本発明において、連結器は、各リング状セグメントの少なくとも1つの軸端部(基本的に、単一のリング状セグメントのみを本発明にしたがって実施すれば十分である)と中間ディスクまたは少なくとも1つの側面ディスクの外縁部との間の接触が減衰媒体を通って周方向で、または両連結器半体によってリング状セグメントに負荷を掛けた状態でのみ有効であり、一方では、減衰媒体または2つの連結器半体の一方によって周方向でリング状セグメントに負荷を掛けていない状態において、所定間隔がリング状セグメントの軸端部と中間ディスク及び/または少なくとも1つの側面ディスクの外縁部との間の連結器における径方向で設定されるように、設計されている。
【0009】
特に有利な形態において、リング状セグメントにおける負荷を掛けた状態で埋められる間隔は、各リング状セグメントの1つの軸端部と中間ディスクとの間で生成され、一方では、リング状セグメントの1つの軸端部、特に反対側の軸端部と少なくとも1つの側面ディスクとの間で埋められる予め規定可能な間隔は、選択肢としてのみ設けられ、上記間隔を部分的にのみ埋めることもここで考慮される。
【0010】
具体的には、本発明におけるディスク構造体の弾性連結器は、内燃機関の捩れ振動を減衰するために特に実施され、第1連結器半体と第2連結器半体とを有し、これら第1及び第2連結器半体は、少なくとも1つ設けられた弾性連結器素子に対して互いに限定的な範囲で回動可能である。第1連結器半体は、2つの側面ディスクを備え、これら側面ディスクは、回転的に固定された態様で、外周縁に接続されており、第2連結器半体は、タブに配置された少なくとも1つの中間ディスクによって形成され、これは、側面ディスク間に配置され、これらによって取り囲まれる。
【0011】
側面ディスクは、液密内部空間を区画し、この液密内部空間は、中間ディスクを収容し、少なくとも1つの減衰チャンバは、連結器半体の相互の回動中に容積が変更可能であり、減衰媒体で充填され、内部空間の径方向外側領域に配置されている。
【0012】
浮遊減衰リングは、2つの連結器半体それぞれに関して限定的な範囲で回動可能であり、内部空間内へ導入されており、第1連結器半体と共に減衰チャンバの少なくとも1つの1つの部分チャンバを形成し、第2連結器半体と共に減衰チャンバの少なくとも1つの部分チャンバを形成し、浮遊減衰リングは、連結器の円周にわたって個別のリング状セグメントに分割され、これらリング状セグメントは、互いに離間し、中間ディスクの径方向外側に及び/または少なくとも1つの側面ディスクの外縁部の径方向内側にスライドする態様で取り付けられている。
【0013】
本発明において、リング状セグメントは、軸端部の一方または双方に配置されており、この軸端部は、中間ディスク及び/または少なくとも1つの側面ディスクの外縁部に対して、負荷を掛けていない状態で、連結器の径方向で所定間隔を有し、この所定間隔は、中間ディスク及び/少なくとも1つの側面ディスクの外縁部における接触によるスライド摩擦を生成するために、リング状セグメントに負荷を掛けた状態で埋められる。
【0014】
流体減衰は、第1連結器半体と第2連結器半体との間の比較的大きい相対回動角度の範囲で増幅され、1つの部分チャンバの、特に第1部分チャンバの横断面は、リング状セグメントの軸端部に向かう方向で比較的低減されるように実施され、特に、リング状セグメントの軸方向中間部において第1の比較的大きな横断面を有し、かつそれぞれ連結器を通る軸方向断面に関して、軸端部の前の所定の軸方向延在部にわたる領域でそれぞれ比較的小さい横断面を有する。例えばリング状セグメントの中間領域に”バスタブ”を形成することによって、異なる面積を設けてもよい。これは、以下でより詳細に説明される。
【0015】
特に、連結器の径方向断面を通る平面において中間ディスクに関して傾斜可能なリング状セグメントを設ける場合、これは、有利には、負荷を掛けていない状態でまたは継続的に、傾斜点または傾斜領域を介して中間ディスクに外部から支持される。また、一形態において、リング状セグメントに負荷を掛けていない状態で、傾斜点または傾斜領域をリング状セグメントの軸方向中間部に位置付け、負荷を増大すると共にリング状セグメントの軸端部の方向で移動してもよい。
【0016】
特にこのような傾斜点または傾斜領域を達成するために、例えば曲げ可能なリング状セグメントを有する他の形態において、リング状セグメントの径方向内側輪郭は、形成され、これは、それを向く中間ディスクの径方向外側輪郭から離れる。両輪郭は、一形態において輪状線の形態で設計されているが、異なる円の直径を有して実施されてもよく、リング状セグメントの円の直径は、主として、中間ディスクの輪郭の円の直径よりも大きい。
【0017】
リング状セグメントと連結器半体の一方または双方との間のスライド接触は、減衰チャンバからの減衰媒体を用いて潤滑化される。
【0018】
さらに、リング状セグメントの軸端部と中間ディスク及び/または少なくとも1つの側面ディスクの外縁部との間の間隔を温度に依存して減少させることが可能であり、間隔は、特に減衰媒体またはリング状セグメントの温度が上昇すると共に減少する。後者の場合において、より迅速に摩擦減衰を開始することは、特に流体減衰が減少することを妨げる減衰媒体の低い温度と比較して達成され、これは、減衰媒体の温度が上昇する特定の環境の下で発生する。
【0019】
リング状セグメントの軸端部と関連する構成部材−少なくとも1つの側面ディスクまたは中間ディスク−との間の遊びにおけるこの温度依存する変化は、例えば、リング状セグメントの径方向外側面でまたはリング状セグメントの径方向内側面で摩擦が増幅されるかに応じて、温度が増加すると共にリング状セグメントが真直ぐになるまたは湾曲するようにリング状セグメントを設計するとして、実現されてもよい。
【0020】
本発明は、例示的な実施形態及び添付の図面に基づいて、以下で例示的な目的で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明にしたがって実施される弾性連結器を通る軸方向断面図の詳細図であって、リング状セグメントと中間ディスクとの間またはリング状セグメントと側面ディスクの外縁部との間における本発明における間隔が未だ認識できない、詳細図である。
【図2】本発明にしたがって設けられた間隔を説明するための(縮尺ではない)概略拡大図であって、この間隔が、一般的に、実際にはあまり明確ではない、概略拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1には、第1連結器半体1が示されており、この第1連結器半体は、詳細に図示されているように、2つの側面ディスク1.1及び1.2を備え、これら側面ディスクは、外周縁に回転的に固定された態様で接続されている。第1連結器半体1は、第2連結器半体2を取り囲んでおり、2つの連結器半体1、2は、弾性連結器素子4を介して互いに回転的な弾性的かつ限定的な態様で回動可能である。例えば、2つの連結器半体1、2は、ここで示すように、連結器の周方向で圧縮バネを介して互いに対して支持されており、対応する支持面は、側面ディスク1.1、1.2と第2連結器半体2とにある圧縮バネのために設けられている。例えば、支持面は、細部aに一致して側面ディスク1.1、1.2にある突出部によって実施される。
【0023】
第2連結器半体2は、中間ディスク3によって形成されており、この中間ディスクは、内部空間5で受けられており、この内部空間は、2つの側面ディスク1.1、1.2によって区切られている。
【0024】
複数の減衰チャンバ6は、減衰媒体で充填されており、連結器半体1、2の相互の回動中に容積が変化され、内部空間5の径方向外側領域に配置されている。
【0025】
さらに、浮遊減衰リング7が設けられており、この浮遊減衰リングは、連結器の外周にわたって個別のリング状セグメント7.1、7.2及び7.3に分割されており、これらリング状セグメントは、互いに離間している。減衰リング7またはそのリング状セグメント7.1、7.2、7.3は、中間ディスク3の径方向外側で及び側面ディスク1.1、1.2の外縁部8の径方向内側でスライドする。この場合において、外縁部8は、同様に、カム12によって形成されており、このカムは、2つの側面ディスク1.1、1.2のうちの少なくとも一方から径方向内側に突出し、対向する区切面12.1、12.2を有し、この区切面は、リング状セグメント7.1、7.2、7.3の正反対の区切面13.1、13.2を向く。
【0026】
中間ディスク3は、カム11を有するが、このカムは、径方向外側に突出する。カム11は、同様に径方向に延在する停止面11.1、11.2を有し、リング状セグメント7.1、7.2、7.3の2つの軸端部9.1、9.2にある停止面10.1、10.2とは正反対にあり、同様に、径方向に延在する。
【0027】
各減衰チャンバ6は、リング状セグメント7.1、7.2、7.3によって2つの部分チャンバ6.1、6.2に分割される。図示の実施形態において、各リング状セグメント7.1、7.2の各軸端部9.1、9.2は、1つの減衰チャンバ6を2つの部分チャンバ6.1、6.2に分割する。
【0028】
したがって、図示の実施形態において、第1部分チャンバ6.1それぞれは、1つのリング状セグメント7.1、7.2、7.3と第1連結器半体1またはそのカム12との間に配置され、一方では、第2部分チャンバ6.2それぞれは、1つのリング状セグメント7.1、7.2、7.3と中間ディスク3またはそのカム11との間に配置されている。
【0029】
ここで第2連結器半体2を第1連結器半体1に対して相対的に回動させると、初期的に、第2連結器半体2の2つの停止面11.1、11.2の一方は、回転方向に応じて、リング状セグメント7.1、7.2、7.3の割り当てられた停止面10.1、10.2に達する。第2部分チャンバ6.2からの減衰媒体は、小さくなり、減衰間隙を介して接続された第2部分チャンバ6.2内に流入し、同時に拡大してこの場合においてカム11それぞれの周方向にある他の側面それぞれに位置付けられる。特に大きな減衰ギャップを設定することによって、減衰は、最小化される、それとも消される。停止面11.1が停止面10.1に突き当たるまたは逆回転方向の場合において停止面11.2が停止面10.2に突き当たる瞬間において、対応するリング状セグメント7.1、7.2、7.3は、係合し、第1連結器半体及びそのカム12に対して相対的に回動される。このようにして、各カム12の一側面にある第1部分チャンバ6.1は、小さく形成され、カム12の他の側面にある割り当てられた第1部分チャンバ6.1は、拡大され、減衰媒体は、小さくなる第1部分チャンバ6.1から拡大する第1部分チャンバ6.1へ流入する。これら2つのチャンバ間の接続は、比較的小さな減衰ギャップを介してもたらされ、所望の減衰は、発生する。
【0030】
小さくなる第1部分チャンバ6.1において、水圧は、高くなり、これにより、中間ディスク3に向かう運動の意味でリング状セグメント7.1、7.2、7.3に傾けるまたは曲げる効果をもたらす。以下のことが発生する。
【0031】
図2に示すように、減衰圧力が第1部分チャンバ6.1内で未だ高くならず、したがってリング状セグメント7.1、7.2、7.3が減衰媒体または第1連結器半体1によって周方向で負荷を掛けない限り、所定間隔は、リング状セグメント7.1、7.2、7.3、より正確にはその内側を向く面と中間ディスク3またはその外側を向く面との間における連結器の径方向でリング状セグメント7.1、7.2、7.3の軸端部9.1、9.2の領域に設けられている。上記曲げる力または傾ける力を第1部分チャンバ6.1から水圧または減衰圧力からリング状セグメント7.1、7.2、7.3へ掛ける場合、この間隔は、埋められ、リング状セグメント7.1、7.2、7.3は、摩擦する態様で中間ディスク3に接触する。これは、破線でその第1軸端部9.1においてリング状セグメント7.2に基づいて示されている。
【0032】
リング状セグメント7.1、7.2、7.3を曲げるまたは傾ける態様で中間ディスク3と第1連結器半体1またはその外縁部8との間に配置するかに応じて、一実施形態においてリング状セグメント7.1、7.2、7.3の第1または第2軸端部9.1、9.2と縁部8との間でリング状セグメント7.1、7.2、7.3に負荷を掛けない状態で設けられた間隔は、同様に、埋められる。これは、破線に基づいてリング状セグメント7.2の第2軸端部9.2において図2に示されている。第1連結器半体1の外縁部8が比較的薄壁として例えばシート状金属から製造される場合、必要なことは、外縁部8とリング状セグメント7.1、7.2、7.3の第1または第2軸端部9.1、9.2との間の連結器の軸方向で移動される接触面を設けることであり、この接触面で摩擦が発生する。
【0033】
(リング状セグメント7.1、7.2、7.3の径方向内側でまたは径方向外側で)一方のまたは他方の間隔を埋めることによって、摩擦減衰を発生し、これは、間隔を形成する限り、不活性である。
【0034】
リング状セグメント7.1、7.2、7.3に負荷を掛けていない状態における上記所定間隔または1つの所定間隔は、対象とする間隔が埋まることが発生しない限り望まないまたは望ましくない高い摩擦力が発生することを防止するので、比較的小さく実施されてもよい。例えば、間隔は、0.5mmから2mmの範囲で、特に0.5mmから1.5mmの間で、または0.5mmから1mmの間であってもよい。しかしながら、他の特有のより大きい間隔は可能であるが、より小さい間隔も状況に応じて可能である。
【0035】
さらに、いわゆるバスタブ14の形態で、カム12の両側にある2つの第1部分チャンバ6.1間の減衰間隙を拡大して形成することは、図2に示されており、これは、関連するリング状セグメント、ここではリング状セグメント7.2がその軸方向中間位置にある限り、常に動作中である。
【0036】
リング状セグメント7.1、7.2、7.3が軸方向で直角の曲げ部を有して示されているが、これは、図におけるそれら軸端部9.1、9.2の領域において、省略されてもよい単なる選択肢である。
【符号の説明】
【0037】
1 連結器半体(第1連結器半体)、1.1,1.2 側面ディスク、2 第2連結器半体(第2連結器半体)、3 中間ディスク、4 弾性連結器素子、5 内部空間、6 減衰チャンバ、6.1 第1部分チャンバ、6.2 第2部分チャンバ、7 浮遊減衰リング,減衰リング、7.1,7.2,7.3 リング状セグメント、8 外縁部,縁部、9.1,9.2 軸端部、10.1,10.2 停止面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に内燃機関の捩れ振動を減衰させるためのディスク構造体の弾性連結器であって、
1.1 外周縁に回転可能に固定された態様で接続された2つの側面ディスク(1.1、1.2)を備える第1連結器半体(1)と、
1.2 ハブに関連付けられた少なくとも1つの中間ディスク(3)であって前記側面ディスク(1.1、1.2)間に配置されかつそれらによって取り囲まれる中間ディスクによって形成される第2連結器半体(2)と、
を備え、
1.3 2つの前記第1及び第2連結器半体(1、2)が、少なくとも1つの弾性連結器素子(4)の力に対して互いに限定的な範囲で回動可能であり、
1.4 前記側面ディスク(1.1、1.2)が前記中間ディスク(3)を受ける液密な内部空間(5)を区切り、
1.5 少なくとも1つの減衰チャンバ(6)が、前記第1及び第2連結器半体(1、2)の相互の回動中に容積が可変であり、減衰媒体で充填されており、前記内部空間(5)の径方向外側領域に配置されており、
1.6 浮遊減衰リング(7)が、2つの前記第1及び第2連結器半体(1、2)それぞれに関して限定的な範囲で回動可能であり、前記内部空間(5)内に導入され、前記浮遊減衰リングが、前記第1連結器半体(1)と共に前記減衰チャンバ(6)の少なくとも1つの第1部分チャンバ(6.1)を形成し、前記第2連結器半体(2)と共に前記減衰チャンバ(6)の少なくとも1つの第2部分チャンバ(6.2)を形成し、
1.7 前記浮遊減衰リング(7)が、当該弾性連結器の外周にわたって個別のリング状セグメント(7.1、7.2、7.3)に分割され、前記リング状セグメントが、互いに離間し、前記中間ディスク(3)の径方向外側で及び/または少なくとも1つの前記側面ディスク(1.1、1.2)の外縁部(8)の径方向内側でスライドするように取り付けられる、
弾性連結器において、
1.8 前記減衰媒体または2つの前記第1及び第2連結器半体(1、2)の一方によって周方向で負荷がかかっていない状態において、前記リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)が、軸端部(9.1、9.2)の一方または双方において、前記中間ディスク(3)に関して及び/または前記側面ディスク(1.1、1.2)の少なくとも一方の前記外縁部(8)に関して当該弾性連結器の径方向で所定間隔を有し、
1.9 前記リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)が、前記中間ディスク(3)及び/または前記側面ディスク(1.1、1.2)の少なくとも一方に曲げ可能または傾斜可能な態様で取り付けられ、前記中間ディスク(3)及び/または前記側面ディスク(1.1、1.2)の少なくとも一方の前記外縁部(8)における前記軸端部(9.1、9.2)の前記所定間隔が、前記減衰媒体または2つの前記第1及び第2連結器半体(1、2)の一方によって周方向で前記リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)に負荷を掛けている状態において、埋められることを特徴とする弾性連結器。
【請求項2】
当該弾性連結器を通る軸方向断面において、1つの前記第1及び第2部分チャンバ(6.1、6.2)の横断面が、前記リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)の軸端部(9.1、9.2)に向かう方向で減少するように実施され、特に前記リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)の軸方向中間部において第1の比較的大きな横断面を有し、前記軸端部(9.1、9.2)の前の領域それぞれにおいて比較的小さい横断面を有することを特徴とする請求項1に記載の弾性連結器。
【請求項3】
リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)が、前記減衰媒体もしくは2つの前記第1及び第2連結器半体(1、2)の一方によってまたは連続的に周方向で負荷を掛けていない状態で、当該リング状セグメントの軸方向中間部において前記中間ディスク(3)の径方向外側で支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性連結器。
【請求項4】
前記リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)の径方向内側の輪郭が、それを向く前記中間ディスク(3)の径方向外側の輪郭から離れており、特に双方の輪郭が、円形の線の形態で実施されるが、円の直径が異なることを特徴とする請求項3に記載の弾性連結器。
【請求項5】
前記リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)と2つの前記第1及び第2連結器半体(1、2)との間のスライド接触面が、前記減衰チャンバ(6)からの減衰媒体を用いて潤滑化されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の弾性連結器。
【請求項6】
前記リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)の前記軸端部(9.1、9.2)と前記中間ディスク(3)及び/または前記側面ディスク(1.1、1.2)の少なくとも一方との間の径方向の間隔が、前記減衰媒体の及び/または前記リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)の温度特性にしたがって変化する、特に減少することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の弾性連結器。
【請求項7】
前記リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)が、これらが温度の上昇と共に真直ぐになるまたは曲がるように設計されていることを特徴とする請求項6に記載の弾性連結器。
【請求項8】
前記リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)が、これらが前記中間ディスク(3)の傾斜点にまたは傾斜領域にわたって常に存在するように配置され、
前記傾斜点または前記傾斜領域は、前記第1連結器半体(1)と前記浮遊減衰リング(7)との間または前記第2連結器半体(2)と前記浮遊減衰リング(7)との間の相対的な回動を増大させながら、前記リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)の前記軸端部(9.1、9.2)に向かう方向で移動することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の弾性連結器。
【請求項9】
前記リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)が、それら2つの前記軸端部(9.1、9.2)それぞれにおいて、停止面(10.1、10.2)を有し、
前記停止面が、前記第1連結器半体(1)または前記第2連結器半体(2)と前記浮遊減衰リング(7)との間で相対的に回動すると、前記第1連結器半体(1)または前記第2連結器半体(2)の反対側に配置された停止面(11.1、11.2)に突き当たることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の弾性連結器。
【請求項10】
前記リング状セグメント(7.1、7.2、7.3)が、第1連結器半体(1)及び前記第2連結器半体(2)と共に第1及び第2部分チャンバ(6.1、6.2)を有する2つの減衰チャンバ(6)を形成することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の弾性連結器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−530225(P2012−530225A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515371(P2012−515371)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003110
【国際公開番号】WO2010/145745
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(508204618)フォイト・パテント・ゲーエムベーハー (24)